JP2020139174A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行っても、磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板を得ることができる方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、所定の成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延、一次再結晶焼鈍、最終仕上げ焼鈍を施す、方向性電磁鋼板の製造方法において、1≦(4〔%Sb〕+〔%Cu〕+〔%P〕)/(〔%Cr〕+1/5〔%Mn〕)≦7および(〔%Cr〕+1/3〔%Mn〕+〔%P〕)≧0.0002×T(一次再結晶焼鈍における500℃〜700℃の平均昇温速度)+0.07を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特に、磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
方向性電磁鋼板は、主に変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料であって、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織(集合組織)を有する。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程のうち、二次再結晶焼鈍時に、いわゆるゴス(Goss)方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。
従来、このような方向性電磁鋼板は、4.5質量%以下程度のSiと、AlNなどのインヒビターとを含有する鋼スラブを、1300℃以上に加熱し、インヒビターを一旦固溶させたのち、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気において一次再結晶焼鈍を施して、一次再結晶および脱炭を行い、ついでマグネシア(MgO)を主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶およびインヒビター成分の純化のために、1200℃で5h程度の最終仕上げ焼鈍を行うことによって製造されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
近年、省エネルギー化の要求が高まり、鉄損がさらに低減された方向性電磁鋼板が求められている。このような要求に対して、例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6では、脱炭焼鈍の昇温時または直前に急速加熱を行い、一次再結晶時の集合組織を制御することによって、二次再結晶後の結晶粒を微細化し、鉄損を低減する技術が開示されている。また、特許文献7、特許文献8では、脱炭焼鈍の昇温過程において急速加熱を行い、かつ脱炭焼鈍が行われる温度域における雰囲気ガスの酸化度を制御する方法が提案されている。
ところが、特許文献7、8に記載の方法では、磁気特性の向上代が小さいなど、安定性の面で問題が生じる場合があった。そこで、特許文献9では、一次再結晶焼鈍における雰囲気ガスの酸化度を低減して、内部酸化層(サブスケール)の形成を抑制することにより、二次再結晶焼鈍時に生じる窒化(浸窒現象)を制御し、良好な磁気特性が得られる技術が提案されている。
米国特許第1965559号公報 特公昭40−15644号公報 特公昭51−13469号公報 特開平8−295937号公報 特開2003−96520号公報 特開平10−280040号公報 特開2002−60843号公報 特開2008−1980号公報 特開2010−236013号公報
しかしながら、特許文献9では、フォルステライト被膜ではなく、TiCなどのセラミックス被膜を有する方向性電磁鋼板に適用することにより、磁気特性の向上を狙っている。これは、換言すると、フォルステライト被膜を有する一般的な方向性電磁鋼板の製造工程において、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行うと、デンドライト状のサブスケールが形成されやすく、フォルステライト被膜の被膜特性が劣化したり、磁気特性の改善効果が十分に得られなかったりする可能性を示している。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行っても、磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板を得ることが可能である、方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、一次再結晶焼鈍時における急速加熱による効果を享受しつつ、急速加熱によってもフォルステライト被膜の被膜特性を劣化させない方向性電磁鋼板の製造方法について検討した。
一次再結晶焼鈍時の昇温速度を高めると、より短時間で組織の再結晶が開始する。一方、サブスケールの形成は、脱炭とともに進行するため、昇温速度を高めたからといって、組織の再結晶のように短時間で開始するわけではない。そのため、昇温速度が高いと、組織の再結晶がすでに終了していても、サブスケールの形成が遅れて進行する。昇温速度が低く、組織に転位が残っている段階で、サブスケールが形成される場合、通常の体拡散に比べて、転位上の拡散速度が高いため、酸素が転位に沿って拡散し、ラメラ状のサブスケールが形成されやすい。しかしながら、すでに再結晶した組織に対しては、その結晶面に沿って酸素が拡散することに起因して、デンドライト状のサブスケールが形成されやすいことがわかった。ラメラ状のサブスケールは、二次再結晶焼鈍時に雰囲気の影響を抑えることができるため、被膜特性が良好なフォルステライト被膜を形成するには有利であり、さらに耐窒化性にも有効である。一方、デンドライト状のサブスケールは、二次再結晶焼鈍時に雰囲気の影響を受けやすく、被膜特性が劣化する原因となるとともに、窒化(浸窒)も生じやすい。特に、窒化工程を経ることなくAlNをインヒビターとして用いる場合、二次再結晶中に過度の窒化が生じると、粒成長抑制力が変動し、磁気特性が劣化する原因にもなり得る。
したがって、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板において、被膜特性と磁気特性をさらに向上させるためには、一次再結晶焼鈍時の急速加熱において、デンドライト状のサブスケールが形成されるのを抑制し、ラメラ状のサブスケールを作り込むことが重要となることが判明した。
ここで、特開2011−68968号公報では、ラメラ状のサブスケールを形成するために、表層近傍に脱珪層を適正に形成することにより、一次再結晶焼鈍時の酸化挙動を制御する方法が提案されており、特開2007−239009公報では、酸化を促進する元素であるCr濃度を適正に制御することにより、デンドライト状のサブスケールの形成を抑制する技術が提案されている。特開2003−193134号公報では、SおよびSeの含有量が抑制された成分系において、デンドライト状のサブスケールを改質するために、鋼スラブの成分組成を制御する技術が提案されている。
本発明者らは、このような知見をもとに、デンドライト状の酸化被膜が形成されるのを抑制するために、SbおよびCuのいずれか一方または両方と、Crとを、1≦(4〔%Sb〕+〔%Cu〕)/〔%Cr〕≦7(ただし、〔%M〕は、M元素の含有量(質量%)を示す。)の範囲で鋼スラブに含有させる、特開2003−193134号公報に記載の技術の適用を試みた。当該技術では、Crを添加することにより、デンドライト状の酸化被膜の形成が抑制される。また、Crを添加することの弊害として生じる酸化促進の効果を、酸化を抑制するための成分としてSbおよびCuのいずれか一方または両方を添加することによりバランスさせて、磁気特性と被膜特性を両立している。しかしながら、当該技術は、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行うことにより、デンドライト状のサブスケールが形成されやすくなった鋼種に対しては十分ではないことが判明した。
そこで、本発明者らは、一次再結晶焼鈍において急速加熱(具体的には、500℃から700℃までの平均昇温速度を150℃/sとした)を行った試料を供試材として、一次再結晶焼鈍時に形成される酸化被膜に影響する鋼スラブの成分組成について調査を行った。すると、このような急速加熱を行った場合、Mnは、Crと似た挙動を示し、酸化被膜のデンドライト化を抑制する効果と酸化促進の効果とを有していることが判明した。しかしながら、その効果はCrに比べて小さく、サブスケールのデンドライト化を抑制するためにはCrの3倍程度の添加が必要であり、酸化促進の効果を得るにはCrの5倍程度の添加が必要であることを新たに知見した。また、Pは、Crと同程度の添加により、サブスケールのデンドライト化を抑制する効果を示す一方で、酸化抑制の効果も示すことを新たに知見した。
上述した新たな知見を得た上で、一次再結晶焼鈍の昇温速度を高めることで助長されるサブスケールのデンドライト化を抑制するための鋼スラブの成分組成についても検討した。その結果、一次再結晶焼鈍の昇温速度が速いほど、デンドライト化の抑制効果を有する元素(Mn、PおよびCr)をより多く添加する必要があることを新たに発見した。また、これらの元素の必要量は、概ね昇温速度に比例して増加する傾向であった。このような効果は、500℃から700℃までの平均昇温速度が80℃/s以上となるような再結晶がサブスケール形成に先行して終了した試料に対して認められたものであった。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0%以上8.0%以下、Mn:0.005%以上0.5%以下、Cr:0.01%以上1.50%以下、Al:0.010%以上0.065%以下、N:0.005%以上0.012%以下と、Sb:0.005%以上0.50%以下、Cu:0.01%以上1.50%以下およびP:0.005%以上0.50%以下のうちから選択される1種以上と、必要に応じてCr:0.01%以上1.50%以下とを、下記(1)式を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とし、該冷延鋼板に、一次再結晶焼鈍を施した後に、焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を施す、方向性電磁鋼板の製造方法において、前記一次再結晶焼鈍における500℃から700℃までの平均昇温速度T(℃/s)が80℃/s以上であり、かつTとCr、Mn、及びPの含有量とが下記(2)式を満足する方向性電磁鋼板の製造方法。

1≦(4〔%Sb〕+〔%Cu〕+〔%P〕)/(〔%Cr〕+1/5〔%Mn〕)≦7・・・(1)式
(〔%Cr〕+1/3〔%Mn〕+〔%P〕)≧0.0002×T+0.07・・・(2)式
ただし、〔%M〕は、M元素の含有量(質量%)を示し、M元素を含有しないときは0とする。
[2]前記一次再結晶焼鈍では、700℃から800℃の温度域において、H2濃度:40%以上かつ露点:63℃以下の雰囲気下にて、鋼板を5秒以上滞留させる、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[3]前記成分組成が、インヒビターとしてMnSまたはCu2Sをさらに用いる場合には、質量%で、S:0.005%以上0.03%以下を含有し、あるいは、インヒビターとしてMnSeまたはCu2Seをさらに用いる場合には、質量%で、Se:0.005%以上0.03%以下を含有する、請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[4]前記成分組成が、質量%で、Ni:0.005%以上1.50%以下、Sn:0.01%以上0.50%以下、Nb:0.0005%以上0.0100%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびBi:0.0005%以上0.05%以下のうちから選択される1種以上をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[5]二次再結晶焼鈍中、鋼板が1000℃に昇温されるまでの時間を、窒素を25vol%以上含有する雰囲気下にて50時間以上とし、かつ、鋼板が800℃以上1000℃以下となる温度域において、該鋼板に生じる温度変化が−5℃/h以上2℃/h以下となる時間を30時間以上とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[6]二次再結晶焼鈍中、鋼板が1000℃に昇温されるまでの時間を、窒素を100vol%含有する雰囲気下にて50時間以上とし、かつ、鋼板が800℃以上1000℃以下となる温度域において、該鋼板に生じる温度変化が−5℃/h以上2℃/h以下となる時間を30時間以上とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行っても、磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板を得ることができる。
700℃から800℃における滞留時間と剥離径との関係を示すグラフである。
以下、本発明を具体的に説明する。まず、鋼スラブの成分組成の限定理由について述べる。なお、本明細書において、各成分元素の含有量を表わす「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶時の集合組織を改善するために有用な元素であるが、C含有量が0.08%を超えると、一次再結晶時の集合組織の劣化を招くので、C含有量の上限を0.08%とする。磁気特性の観点からは、C含有量を0.01%以上0.06%以下とすることが好ましい。なお、要求される磁気特性のレベルがさほど高くない場合には、一次再結晶焼鈍における脱炭を省略または簡略化するために、C含有量を0.01%以下としてもよい。
Si:2.0%以上8.0%以下
Siは、電気抵抗を高めることにより鉄損を改善するために有用な元素であるが、Si含有量が8.0%を超えると冷間圧延性が著しく劣化するので、Si含有量の上限を8.0%とする。また、Siは、窒化物を形成する元素として機能させる必要があるため、Si含有量の下限を2.0%とする。鉄損の観点からは、Si含有量を2.0%以上4.5%以下とすることが好ましい。
Mn:0.005%以上0.5%以下
Mnは、製造時における熱間加工性を向上させる効果があるが、Mn含有量が0.5%を超えると、一次再結晶時の集合組織が悪化して磁気特性の劣化を招くので、Mn含有量の上限を0.5%とする。また、Mn含有量が0.005%未満では熱間加工性を向上させる効果が得られないので、Mn含有量の下限を0.005%とする。
Al:0.010%以上0.065%以下、N:0.005%以上0.012%以下
AlおよびNは、二次再結晶に必要なインヒビターであるAlNを構成する元素である。Al含有量およびN含有量が上述した下限に満たないとインヒビター効果が得られない。一方、Al含有量およびN含有量が上述した上限を超えると、析出物の分散状態が不均一化し、やはりインヒビター効果が得られない。そのため、Al含有量を0.010%以上0.065%以下とし、N含有量を0.005%以上0.012%以下とする。なお、スラブ加熱により固溶させるために必要な温度が高温になるため、Al含有量の上限を0.040%とすることが好ましい。
本発明の鋼スラブは、Sb、CuおよびPのうちから選択される1種以上を、以下の範囲で含有する。
Sb:0.005%以上0.50%以下
Sbは、鋼板の過剰な酸化を抑制する働きがあり、かつ二次再結晶焼鈍時には、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して、磁気特性を効果的に向上させる働きがある。そのため、Sb含有量の下限を0.005%とする。一方、Sb含有量が0.50%を超えると、冷間圧延性が劣化するおそれがあるので、Sb含有量の上限を0.50%とする。冷間圧延性を劣化させないためには、Sb含有量の上限を0.10%とすることが好ましい。
Cu:0.01%以上1.50%以下
Cuは、Sbと同様、鋼板の過剰な酸化を抑制する働きがあり、二次再結晶焼鈍時に、鋼板の酸化を抑制することにより、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して、磁気特性を効果的に向上させる働きがある。そのため、Cu含有量の下限を0.01%とする。一方、Cu含有量が1.50%を超えると、熱間圧延性の劣化を招くおそれがあるので、Cu含有量の上限を1.50%とする。
P:0.005%以上0.50%以下
Pは、一次再結晶焼鈍時におけるサブスケールの形成を介して、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがある。そのため、P含有量の下限を0.005%とする。一方、P含有量が0.50%を超えると、冷間圧延性が劣化するおそれがあるので、P含有量の上限を0.50%とし、好ましくは0.10%以下とする。
また、本発明では、Crを必要に応じて含有させることができる。Crは、Mnと同様、一次再結晶時に酸化被膜を稠密化させるために制御が必要な元素である。そのため、Crを含有させる場合、Cr含有量は、以下の範囲を満たす必要がある。
Cr:0.01%以上1.50%以下
Crは、一次再結晶焼鈍時におけるサブスケールの形成を介して、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあるので、Cr含有量の下限を0.01%とする。一方、Cr含有量が1.50%を超えると二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Cr含有量の上限を1.50%とする。
さらに、本発明において、上述した成分組成の範囲を満足しつつ、下記(1)式を満足することが重要である。
1≦(4〔%Sb〕+〔%Cu〕+〔%P〕)/(〔%Cr〕+1/5〔%Mn〕)≦7・・・(1)式
ただし、〔%M〕は、M元素の含有量(質量%)を示し、M元素を含有しないときは0とする。
上記(1)式を満足することより、Mn(Crを含有する場合は、CrおよびMn)が有する過剰な酸化促進の効果と、Sb、CuまたはPが有する酸化抑制の効果とをバランスさせることができる。その結果、被膜特性の改善効果を得ることができる。
上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。
以上、本発明における鋼スラブ中の重要な成分について説明したが、インヒビターとして、AlNに加えて、MnS、Cu2Sなどの硫化物および/またはMnSe、Cu2Seなどのセレン化物を用いることもできる。この場合、SおよびSeは、以下の範囲で含有させることが好ましい。
S:0.005%以上0.03%以下、Se:0.005%以上0.03%以下
S含有量やSe含有量が0.005%以上であれば、十分なインヒビター効果が得られる。一方、S含有量やSe含有量が0.03%以下であれば、析出物の分散状態が不均一化するおそれもなく、十分なインヒビター効果が得られる。
また、工業的により安定して、磁気特性を改善するために、以下の元素を適宜含有させてもよい。
Ni:0.005%以上1.50%以下
Niは、熱延板組織の均一性を高めることにより、磁気特性を改善する働きがあり、そのためには0.005%以上含有させることが好ましい。なお、Ni含有量が1.50%以下であれば、二次再結晶が困難となるおそれもなく、磁気特性が劣化することもない。
Sn:0.01%以上0.50%以下
Snは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進して、磁気特性を向上させる働きがあり、そのためには0.01%以上含有させることが好ましい。なお、Sn含有量が0.50%以下であれば、冷間圧延性が劣化するおそれもない。
Nb:0.0005%以上0.0100%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下
NbおよびMoは、スラブ加熱時の温度変化による割れの抑制などを介して、熱延後のヘゲを抑制する働きがあり、そのためには、NbやMoを上述した下限以上で含有させることが好ましい。なお、Nb含有量やMo含有量が上述した上限以下であれば、炭化物や窒化物を形成するなどして最終製品まで残留した際に、鉄損を劣化させるおそれもない。
Bi:0.0005%以上0.05%以下
Biは、磁気特性の改善に有利な元素であり、そのためには0.0005%以上含有させることが好ましい。なお、Bi含有量が0.05%以下であれば、フォルステライト被膜の形成が阻害されるおそれもない。
次に、本発明の一実施形態による方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
上述した成分組成を有する鋼スラブを、再加熱することなく、あるいは再加熱したのち、熱間圧延に供して熱延鋼板とする。なお、鋼スラブを再加熱する場合には、再加熱温度を1200℃以上とすることが好ましい。再加熱の目的は、インヒビターを完全固溶させるためであり、Alを0.010%以上含有する系では、1200℃以上の再加熱が必要になる。再加熱温度の上限は、特に限定されないが、1450℃以下であれば、鋼スラブの形状を保つことができる。
次いで、熱延鋼板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、冷延鋼板(最終冷延板)とする。なお、冷間圧延は、常温で行ってもよく、常温より高い温度、例えば250℃程度に鋼板温度を上げて圧延する温間圧延としてもよい。
次いで、最終冷延板に一次再結晶焼鈍を施す。一次再結晶焼鈍の目的は、圧延組織を有する最終冷延板を一次再結晶させて、二次再結晶に最適な一次再結晶粒径に調整することである。また、焼鈍雰囲気を湿水素窒素または湿水素アルゴンとすることにより、鋼中のCを脱炭すると同時に、鋼の表面に酸化被膜を形成することである。そのため、一次再結晶焼鈍の焼鈍温度(保定温度)は、800℃以上950℃未満とすることが好ましい。また、保定時間は1分以上10分以下とすることが好ましい。なお、一次再結晶焼鈍にて形成された酸化被膜は、続く二次再結晶焼鈍において鋼板上に塗布されるMgOと反応して、フォルステライト被膜を形成する。このため、一次再結晶焼鈍後の酸化被膜の形態は、後工程での鋼板の表層に形成される被膜に大きく影響する。
ここで、本発明では、一次再結晶焼鈍における500℃から700℃までの平均昇温速度T(℃/s)が下記(2)式を満足することが重要である。
(〔%Cr〕+1/3〔%Mn〕+〔%P〕)≧0.0002×T+0.07・・・(2)式
ただし、〔%M〕は、M元素の含有量(質量%)を示し、M元素を含有しないときは0とする。
磁気特性を向上させる観点からは、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行うことが好ましいが、急速加熱を行うと一次再結晶焼鈍後に形成される酸化被膜がデンドライト化されやすくなり、優れた磁気特性と被膜特性とを両立させることができない。しかしながら、本発明では、上記(1)式に加えて、上記(2)式を満足することにより、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行っても、酸化被膜のデンドライト化を抑制することができる結果、優れた磁気特性と被膜特性とを両立させることができる。なお、本明細書において、「温度」は、鋼板の表面温度を基準とする。また、平均昇温速度は、鋼板の表面温度を基に次のとおりに計算して得られる値とする。例えば、500℃から700℃までの平均昇温速度は、(700℃-500℃)/(500℃から700℃までの昇温時間(s))により算出される。
500℃から700℃までの平均昇温速度Tは、T≧80℃/sとし、T≧100℃/sとすることが好ましい。平均昇温速度をこの範囲とすることにより、二次再結晶の核となる{110}<001>組織の形成を促し、二次再結晶後の磁気特性(具体的には、鉄損)を改善することができる。なお、平均昇温速度の上限は、特に限定されないが、製造設備の能力などの観点からは、1000℃/s程度とすることが好ましい。
また、酸化被膜の形成の初期段階において、疎な酸化被膜が形成されると、それ以降も酸素の供給に応じて、デンドライト状のサブスケールが成長する。そこで、本発明者らは、一次再結晶焼鈍において、サブスケールが形成される比較的低温域(700℃から800℃の温度域)に着目した。すると、比較的低温域における酸化であれば、再結晶した組織に対しても、酸化速度が遅くなるため、結晶粒内への酸素の拡散が抑制されるので、デンドライト状の酸化被膜の形成を抑制できることを知見した。また、焼鈍雰囲気中の水素濃度を高めたり、露点を低減したりすることにより、鋼板への酸素の供給を抑制することも、緻密な酸化被膜を形成するためには有効であることを知見した。これらの知見に基づいて検討したところ、一次再結晶焼鈍では、700℃から800℃の温度域において、焼鈍雰囲気をH2濃度:40vol%以上かつ露点:63℃以下とすることが好ましいことがわかった。H2濃度および露点がこの範囲であれば、焼鈍雰囲気の酸化度を低減することができる結果、緻密な酸化被膜が得られ、その後の焼鈍中にデンドライト状の酸化被膜が形成されにくくなる。初期の酸化被膜を緻密な構造にするためには、H2濃度:40vol%以上かつ露点:63℃以下の雰囲気下にて、鋼板を5秒以上保持することがより好ましい。酸化被膜の形成は、脱炭と同時に進行するため、5秒以上の保持時間であれば、緻密な酸化被膜が鋼板全面に形成されるので、デンドライト状の酸化被膜が部分的に形成されるおそれもない。その結果、二次再結晶焼鈍後の鋼板表面に形成されるフォルステライト被膜の厚みがより均一になり、さらに優れた被膜特性が得られる。
上述した一次再結晶焼鈍後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布する。二次再結晶焼鈍後の鋼板表面にフォルステライト被膜を形成するために、焼鈍分離剤の主剤としてはマグネシア(MgO)を利用することができる。このとき、Ti酸化物(TiO2など)やSr化合物などの助剤を焼鈍分離剤中に適量添加することにより、フォルステライト被膜の形成をさらに有利に行うことができる。特に、フォルステライト被膜の形成を均一に進めることのできる助剤の添加は、被膜特性の改善にも有利に働く。
これに引き続き、二次再結晶およびフォルステライト被膜形成のため仕上げ焼鈍を行なう。焼鈍雰囲気は、N2、Ar、H2あるいはこれらの混合ガスのいずれもが適合する。二次再結晶が開始するまでの間、窒素を25vol%以上含有する雰囲気とすると、浸窒(窒化)を抑制させる効果が生じるため、本発明の効果がより発現する。特に、窒素を100vol%含有する雰囲気下にて焼鈍を行うと、本発明の効果がさらに顕著に得られる。具体的には、二次再結晶焼鈍中、鋼板が1000℃に昇温されるまでの時間を、窒素を25vol%以上含有する雰囲気下にて50時間以上とすることが好ましく、窒素を100vol%含有する雰囲気下にて50時間以上とすることがより好ましい。一般に、不活性なガスとしてN2やArが考えられるが、本発明によれば、N2による浸窒(窒化)を抑制できるため、より安価なN2雰囲気での焼鈍が可能となる。
また、二次再結晶をより有利に行うためには、二次再結晶温度近傍で等温保持することが好ましい。具体的には、鋼板が800℃以上1000℃以下となる温度域において、鋼板に生じる温度変化が−5℃/h以上2℃/h以下となる時間を30時間以上とすればよい。ただし、このような効果は、昇温速度を緩やかにするなどによっても得られるため、必ずしも等温保持が必要なわけではない。
なお、Alを0.01%以上含有する場合、二次再結晶温度が800℃未満になることはほとんど認められない。また、インヒビターの効果が強すぎる場合、二次再結晶温度が1000℃を超える場合があるが、このような場合は、デンドライト状にならないように制御したサブスケールの形態もすでに変化してしまっているため、本発明の効果が得られる状態を保つことができない。このように、二次再結晶に有利な800℃〜1000℃の温度域で長時間の保持を行うと、浸窒(窒化)に寄与する時間も延長してしまうが、本発明によればこの問題は解消される。
本発明によれば、N2を100vol%含有する雰囲気下にて、二次再結晶温度近傍温度で30時間以上の均熱処理を行っても、二次再結晶時までの窒素増量を5質量ppm以下に抑制することが可能となり、磁気特性の劣化を抑制することができる。
最終製品で微量成分が析出すると磁気特性を劣化させるおそれがあるので、最終仕上げ焼鈍の最高温度は、成分純化のために1100℃以上とすることが好ましい。
最終仕上げ焼鈍の後、鋼板表面に、さらに絶縁被膜を塗布、焼き付けることもできる。かかる絶縁被膜としては、特に限定されず、公知または任意の絶縁被膜を用いることができる。たとえば、特開昭50−79442号公報や特開昭48−39338 号公報に記載されているリン酸塩−クロム酸塩−コロイダルシリカを含有する塗布液を鋼板表面に塗布し、800℃程度で焼き付ける方法が好適である。また、平坦化焼鈍により、鋼板の形状を整えることもでき、さらにこの平坦化焼鈍を絶縁被膜の焼き付け処理と兼備させることもできる。
(実施例1)
表1に示す成分組成を有する鋼スラブを、1350℃に加熱後、熱間圧延して、板厚2.4mmの熱延鋼板とした。その後、900℃、60秒の熱延板焼鈍を施してから、酸洗し、板厚1.5mmまで冷間圧延した後、1000℃、60秒の中間焼鈍を行った。その後、板厚0.27mmまで冷延圧延を行って、冷延鋼板を得た。得られた圧延鋼板から試験片を切り出し、実験設備にて500℃から700℃までの平均昇温速度Tを表1に示す条件として、各試験片に誘導加熱処理した後、続けて840℃で2分間均熱する一次再結晶焼鈍を施した。一次再結晶焼鈍は、全工程でH2:50vol%、N2:50vol%、露点55℃の湿潤雰囲気下で行い、同時に脱炭も行った。得られた脱炭焼鈍板の表面に、MgO:100重量部に対して3重量部相当のTiO2を添加した焼鈍分離剤を塗布した。
各試験片は2つのグループに分け、一方では、N2:100vol%の雰囲気下にて、900℃±10℃の温度範囲で40時間の均熱処理を行い、引き続き10時間をかけて1000℃まで焼鈍した後、室温まで冷却した後に、N2の分析を行った。分析結果を「N2増量」として表1に示す。他方では、同様のヒートサイクルで1000℃まで昇温させた後、続けてN2:H2=3:1となる雰囲気に変更して1200℃まで昇温させ、その温度で8時間の均熱を行うことにより、インヒビター成分の純化を行った。純化後の試験片に対して、磁束密度(B8)、鉄損(W17/50)を測定することにより磁気特性を評価し、また、被膜密着性を調査することにより被膜特性を評価した。なお、被膜密着性は、曲げ剥離径(鋼板を丸棒に巻き付けて被膜が剥離しない最小の曲げ径)にて評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2020139174
表1に示すように、発明例によれば、1.92T近傍の磁束密度(B8)および0.9W/kg以下の鉄損(W17/50)を有し、かつ剥離径30mm以下となる、優れた磁気特性と被膜特性を両立した方向性電磁鋼板を安定して得ることができた。
(実施例2)
表1のNo.9の鋼種から得られた冷延鋼板の中央部から、100mm×400mmの試験片を複数採取し、実験設備にて、一次再結晶と脱炭を兼ねた焼鈍を行なった。一次再結晶焼鈍における500℃から700℃までの昇温速度は250℃/sで固定し、H2濃度:50vol%かつ露点:55℃の雰囲気下にて、700℃から800℃の温度域における滞留時間を3秒から10秒まで変更した。また、滞留時間が7秒となる条件下で、H2濃度および露点を表2のように変更した。得られた脱炭焼鈍板の表面に、MgOを主成分としTiO2を5%含有する焼鈍分離剤を水スラリー状にして、塗布および乾燥して、焼き付けて、二次再結晶焼鈍を行った。二次再結晶焼鈍は800℃から900℃まで20時間かけて昇温したのち、900℃±7℃となる温度域にて40時間の均熱処理を行い、その後、鋼板中のインヒビター成分を除去するために1200℃まで昇温した。なお、二次再結晶焼鈍は、最初の昇温から900℃±7℃における均熱処理の終了までをN2:100vol%の雰囲気とし、それ以降はH2を含む雰囲気とした。続いて、リン酸塩系の絶縁張力コーティングの塗布焼付けた。得られた鋼板はいずれも、磁束密度(B8)が1.92T近傍の磁束密度(B8)および0.9W/kg以下の鉄損(W17/50)を有し、優れた磁気特性を示していた。その後、実施例1と同様、被膜特性を評価した。評価結果を図1および表2に示す。
Figure 2020139174
図1および表2に示すように、いずれも剥離径が35mm以下となる優れた被膜特性を有する方向性電磁鋼板が得られたが、特に、H2濃度:40vol%以上かつ露点:63℃以下の雰囲気下にて、700℃から800℃の温度域における保持時間を5秒以上とすると、極めて優れた被膜特性が得られることがわかった。
(実施例3)
表1に記載のNo.12の鋼種から得られた鋼スラブを実験設備にて再溶解し、表3に示す成分を添加して、真空鋼塊を作製した。得られた真空鋼塊を1400℃に加熱した後に、熱間圧延を行い、板厚2.3mmの熱延鋼板とした。その後、1050℃、70秒の熱延板焼鈍を施した。その後、板厚0.29mmまで冷間圧延し、500℃から700℃までの平均昇温速度Tを250℃/sとする一次再結晶焼鈍を施した。得られた鋼板の表面に、主成分をMgOとする焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍を行った。最終仕上げ焼鈍は、880℃までの昇温を60時間かけて行い、引き続き880℃±5℃で30時間均熱保持したのち、1150℃±5℃で8時間均熱保持した。なお、880℃±5℃の均熱保持が終了するまで、N2:H2=75:25となる雰囲気とした。また、1150℃±5℃での均熱保持の際は、H2:100vol%の雰囲気とした。最終仕上げ焼鈍後、リン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーティングを塗布し、800℃で焼き付けた。得られた鋼板について、鉄損(W17/50)を測定するとともに、実施例1,2と同様、被膜特性を評価した。評価結果を表3に示す。
Figure 2020139174
本発明によれば、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行っても、磁気特性および被膜特性に優れる方向性電磁鋼板を得ることができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0%以上8.0%以下、Mn:0.005%以上0.5%以下、Al:0.010%以上0.065%以下、N:0.005%以上0.012%以下と、Sb:0.005%以上0.50%以下、Cu:0.01%以上1.50%以下およびP:0.005%以上0.50%以下のうちから選択される1種以上と、必要に応じてCr:0.01%以上1.50%以下とを、下記(1)式を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とし、該冷延鋼板に、一次再結晶焼鈍を施した後に、焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍を施す、方向性電磁鋼板の製造方法において、前記一次再結晶焼鈍における500℃から700℃までの平均昇温速度T(℃/s)が80℃/s以上であり、かつTとCr、Mn、及びPの含有量とが下記(2)式を満足する方向性電磁鋼板の製造方法。

    1≦(4〔%Sb〕+〔%Cu〕+〔%P〕)/(〔%Cr〕+1/5〔%Mn〕)≦7・・・(1)式
    (〔%Cr〕+1/3〔%Mn〕+〔%P〕)≧0.0002×T+0.07・・・(2)式
    ただし、〔%M〕は、M元素の含有量(質量%)を示し、M元素を含有しないときは0とする。
  2. 前記一次再結晶焼鈍では、700℃から800℃の温度域において、H2濃度:40%以上かつ露点:63℃以下の雰囲気下にて、鋼板を5秒以上滞留させる、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記成分組成が、インヒビターとしてMnSまたはCu2Sをさらに用いる場合には、質量%で、S:0.005%以上0.03%以下を含有し、あるいは、インヒビターとしてMnSeまたはCu2Seをさらに用いる場合には、質量%で、Se:0.005%以上0.03%以下を含有する、請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記成分組成が、質量%で、Ni:0.005%以上1.50%以下、Sn:0.01%以上0.50%以下、Nb:0.0005%以上0.0100%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびBi:0.0005%以上0.05%以下のうちから選択される1種以上をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 二次再結晶焼鈍中、鋼板が1000℃に昇温されるまでの時間を、窒素を25vol%以上含有する雰囲気下にて50時間以上とし、かつ、鋼板が800℃以上1000℃以下となる温度域において、該鋼板に生じる温度変化が−5℃/h以上2℃/h以下となる時間を30時間以上とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 二次再結晶焼鈍中、鋼板が1000℃に昇温されるまでの時間を、窒素を100vol%含有する雰囲気下にて50時間以上とし、かつ、鋼板が800℃以上1000℃以下となる温度域において、該鋼板に生じる温度変化が−5℃/h以上2℃/h以下となる時間を30時間以上とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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