JP2020139114A - 粘着付与樹脂水性分散体、水性粘着剤及び粘着シート - Google Patents

粘着付与樹脂水性分散体、水性粘着剤及び粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶剤の含有率が極めて少なく、優れた貯蔵安定性、機械安定性、塗工性、加工性、接着性、曲面接着性、耐湿熱性、定荷重剥離性、基材密着性を与える粘着付与樹脂水性分散体を提供すること。【解決手段】軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)、および水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gである共重合体樹脂(B)を含み、前記粘着付与樹脂(A)100質量部に対して、前記共重合体樹脂(B)を0.5〜50質量部含み、有機溶剤の含有率が1000ppm以下である粘着付与樹脂水性分散体。【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着付与樹脂水性分散体と、それを用いた水性粘着剤および粘着シートに関する。
粘着剤は、包装、建築、建材、自動車、電子部品などの産業分野から一般家庭まで幅広く使用されている。粘着シートの最も一般的な積層構成は、「基材シート/粘着剤層/剥離シート」(片面粘着シート)、あるいは、「剥離シート/粘着剤層/基材シート/粘着剤層/剥離シート」(両面粘着シート)である。使用時には、剥離シートが剥がされ、粘着剤層が被着体に貼付される。粘着シートは、様々な用途に用いられ、要求される接着力も様々である。
近年、地球環境保護(揮発性有機化合物排出抑制)や労働環境の改善、ならびに資源の有効利用などの観点から、溶剤型粘着剤の代替として水性のエマルジョン型粘着剤(以下、「水性粘着剤」と略称する)の使用検討が進んできた。しかしながら、水性粘着剤は溶剤型粘着剤に比較して、基材シートへの密着性や、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系被着体への接着力が著しく劣るという欠点があり、このようなポリオレフィン被着体等の難被着体への充分な接着力を有することなども求められるようになってきた。
また、自動車用途や建材用途においては、シックカー問題やシックハウス問題が懸念されるため、水性粘着剤が広く用いられている。自動車用途においては、例えば内装部材の場合には、夏場に車内温度が非常に高くなり、一方、建材用途においては、夏の直射日光を浴びるような環境では高温に達するため、使用される水性粘着剤には、かかる高温下での耐熱性、耐湿熱性、および耐熱保持力が要求される。
また、最近では基材シートも多様化しており、特に、自動車用途ではウレタンフォームのような表面に凹凸を有するシート状発泡体は多孔質なため、粘着剤層との実質的な接触面積が少なくなり、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性を確保することが困難であった。シート状発泡体は、一般的なプラスチックフィルムや紙等の基材シートに比して、厚みも厚く、曲げに抗して平坦に戻ろうとする力、すなわち復元力が大きい。ところが、シート状発泡体を基材シートとする粘着シートは、上記したように凹凸面や曲面を呈する被着体に貼付されることが多い。したがって、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性が不十分であると、シート状発泡体の復元力に抗して、シート状発泡体を被着体に貼りつけておくことができなくなる。つまり、シート状発泡体と粘着剤層との間で剥離が生じ、粘着剤層が被着体上に残された状態で、シート状発泡体が被着体から剥離してしまう。
一方、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性が仮に十分であったとしても、被着体に対する粘着剤層の接着力が不足していれば、被着体と粘着剤層との間で剥離が生じ、シート状発泡体が粘着剤層と一体となって、被着体から剥離してしまう。
水性粘着剤としては、耐熱性や接着力向上のために、アクリル系重合体樹脂分散体、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、天然ゴムラテックス、クロロプレンラテックス等をベースポリマーとし、これにロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の粘着付与剤樹脂水性分散体を混合してなる水性粘着剤として使用されることが知られている。通常、かかる粘着付与剤樹脂水性分散体には、ベースポリマーとの相溶性や、接着物性が良好であることから、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、および石油系樹脂の水性分散体が広く使用されている。
これらの課題を改良するために様々な工夫がなされており、例えば、特定のオキシアルキレン基含有単量体(a)と、アニオン基またはアニオン形成性基を有するエチレン性不飽和単量体(b)と、共重合可能な疎水性単量体(c)とを必須とするアクリル系共重合体を高分子乳化剤として、有効成分とするロジン物質の樹脂水性分散体並びに該樹脂水性分散体を含有してなる製紙用水性サイズ剤が開示されている(特許文献1参照)。この高分子乳化剤を使用すればロジン物質の均一な樹脂水性分散体は得られるが、概樹脂水性分散体水性のアクリル系樹脂に混合して水性粘着剤として使用した場合、長期経時において機械的安定性が低下したり、また、粘着シートを作成した際には高い柔軟性のために低温接着性は兼備できるが、オキシアルキレン基を多量に含有しているため、耐水性や耐湿熱性が著しく劣るだけでなく、ポリオレフィン系被着体に対する接着力も不十分であった。
例えば、界面活性剤成分を除く不揮発分濃度が、粘着付与樹脂(A)65〜99質量%および粘着付与樹脂(A)以外のガラス転移温度(Tg)が−80℃〜0℃であるポリマー(B)1〜35質量%(但し、粘着付与樹脂(A)とポリマー(B)の合計を100質量%とする)からなり、粘着付与樹脂(A)の水性分散体中に含まれる有機溶剤の量が50ppm以下である粘着付与樹脂水性分散体が開示されている(特許文献2参照)。粘着付与樹脂水性分散体の製造時に有機溶剤を使用しないため、粘着付与樹脂水性分散体中に溶剤を一切含有しないという利点があるが、概粘着付与樹脂水性分散体をアクリル系樹脂に混合して水性粘着剤とし、概水性粘着剤から作成された粘着剤シートは、ガラス転移温度(Tg)が低いため、耐熱性や耐熱保持力が極端に低下するという欠点があった。
例えば、乳化剤成分を除く不揮発分濃度が、軟化点135〜180℃、酸価20以下の重合ロジン系エステル樹脂(A)65〜99質量%および(A)以外の酸価が50〜100で、質量平均分子量が1000〜5000であるカルボキシル基を有するアクリルオリゴマー(B)1〜35質量%[(A)成分と(B)成分の合計を100質量%とする]からなり、水性分散体中に含まれる有機溶剤の量が50ppm以下である粘着付与樹脂水性分散体が開示されている(特許文献3参照)。概粘着付与樹脂水性分散体は、有機溶剤を極力含有しないように施しているため、環境保全などには有効であるが、重合ロジン系エステル樹脂の水性分散体をアクリル系樹脂に混合して水性粘着剤とし、概水性粘着剤から作成された粘着シートは、ポリオレフィン系被着体に対する接着力が不十分であり、また、芳香環やカルボキシル基以外の極性官能基を有するため、曲面接着性も不十分であった。さらに、溶剤を含有しない樹脂水性分散体を製造しようとすると、水性分散体の粘度が高く取り扱い難い等の問題がある場合があった。
例えば、反応性高分子乳化剤(A)と粘着付与樹脂とを含有し、反応性高分子乳化剤(A)と粘着付与樹脂との質量比が1/99〜30/70であり、 前記反応性高分子乳化剤(A)が、エポキシ基を有する単量体(a1)を1〜60モル%、エチレンオキサイドユニットを有する単量体(a2)を40〜99モル%含有する単量体混合物の重合体であることを特徴とする粘着付与樹脂水性分散体が開示されている(特許文献4参照)。概粘着付与樹脂水性分散体はエチレンオキサイドユニットを含有しているため、粘着付与樹脂水性分散体の貯蔵安定性や機械的安定性は向上するが、エチレンオキサイドユニットを有する単量体(a2)の含有量が多すぎるため、耐水性や耐湿熱性が著しく劣るだけでなく、ポリオレフィン系被着体に対する接着力も不十分であった。
このように、ベースポリマーと混合して水性粘着剤とした際に、従来の粘着剤に比較して優れた接着力、耐熱性、耐湿熱性、凝集力を与え、かつ、有機溶剤を使用することなく、貯蔵安定性の良好な粘着付与樹脂の水性分散体が望まれていた。
特開平8−52340号公報 特開2007−002212号公報 特開2008−195888号公報 特開2018−3009087号公報
本発明は、環境保全や労働衛生に資する見地から、有機溶剤の含有率が極めて少なく、優れた貯蔵安定性、機械安定性、塗工性、加工性、接着性、曲面接着性、耐湿熱性、定荷重剥離性、基材密着性を与える粘着付与樹脂水性分散体を提供すること、および概粘着付与樹脂水性分散体を含有した水性粘着剤、およびそれを用いた粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す粘着付与樹脂水性分散体により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)、および水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gである共重合体樹脂(B)を含み、前記粘着付与樹脂(A)100質量部に対して、前記共重合体樹脂(B)を0.5〜50質量部含み、有機溶剤の含有率が1000ppm以下である粘着付与樹脂水性分散体である。
本発明は、有機溶剤の含有率が極めて少なく、優れた貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、接着性、曲面接着性、耐湿熱性、定荷重剥離性、基材密着性等が良好な水性粘着剤を提供しうる粘着付与樹脂水性分散体および水性粘着剤と、水性粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた粘着シートの提供と共に、濾過性、釜汚れ性、機械的安定性、貯蔵安定性の良好な高軟化点の粘着付与樹脂水性分散体を提供できるようになった。
以下、本発明の実施形態について説明する。
尚、本明細書では、
軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)、水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gである共重合体樹脂(B)、分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しないエチレン性不飽和化合物(b1)、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物(b2)、分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(a3)、その他エチレン性不飽和化合物(b4)を、それぞれ、粘着付与樹脂(A)、共重合体樹脂(B)、化合物(b1)、化合物(b2)、化合物(b3)及び化合物(b4)と略記することがある。
また、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイルオキシ」、及び「(メタ)アリル」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリルまたはメタクリル」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシ」、及び「アリルまたはメタリル」を表すものとする。
≪粘着付与樹脂水性分散体≫
本発明の粘着付与樹脂水性分散体は、軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)、および水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gである共重合体樹脂(B)を含み、前記粘着付与樹脂(A)100質量部に対して、前記共重合体樹脂(B)を0.5〜50質量部含み、有機溶剤の含有率が1000ppm以下である。
以下、粘着付与樹脂水性分散体を構成する各成分について具体的に説明する。
<軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)>
軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂あるいは石油系樹脂等が挙げられる。
ロジン系樹脂の具体例としては、ロジン類を変性して得られる変性ロジン類、ロジン類を水素化して得られる水素化ロジン類、ロジン類を不均化して得られる不均化ロジン類、ロジン類を重合して得られる重合ロジン類等(これらを総称して「原料ロジン類」という。)の他、これら原料ロジン類とアルコール類とのエステル化物であるロジンエステル類などがあげられる。変性ロジン類としては、例えば、ロジン類を不飽和酸で変性させて得られる不飽和酸変性ロジン類、ロジン類をフェノール類で変性させることにより得られるフェノール変性ロジン類等があげられる。不飽和酸変性ロジン類の製造に用いられる不飽和酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等を用いることができる。フェノール変性ロジン類に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール等を用いることができる。変性方法は特に限定されず公知の方法を採用すればよく、通常は、ロジン類と不飽和酸またはフェノール類を混合し、加熱する方法が採用される。
テルペン系樹脂の具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどの公知のテルペン類を重合させて得られるテルペン系樹脂、あるいはテルペン類とフェノール類とを共重合させて得られるテルペンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂を高分子量化したものなども用いることができる。なお、これらテルペン系樹脂は、水素化されたものであってもよい。
フェノール系樹脂の具体例としては、フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物であるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を使用できる。該フェノール類としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなどが挙げられ、これらフェノール類とホルムアルデヒドをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、酸触媒で縮合反応させて得られるノボラック等が例示できる。また、フェノール類とアセチレンを、ナフテン酸亜鉛もしくはナフテン酸カドミウムを触媒として、レッペ反応によって得られるフェノール−アセチレン樹脂等も例示できる。
ケトン系樹脂としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンおよび/またはメチルシクロヘキサノンと、ホルムアルデヒドとの縮合物等を例示できる。
石油系樹脂としては、ナフサ分解でのエチレン、プロピレン、ブタジエン等の炭素数2〜4のオレフィン類を除いた分解油のうち、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等から得られる炭素数5以上のC5系石油樹脂やインデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等から得られるC9系石油樹脂等の脂肪族系、脂環属系、芳香族系の残留オレフィン類を重合させた樹脂が挙げられる。その他、上記各種単量体から得られるC5〜C9共重合系石油樹脂、コールタールの留分であるクマロン及びインデンの重合体からなるクマロン系樹脂、ダンマー、コーパル等の樹脂が挙げられる。
これら粘着付与樹脂のうち、本発明で用いられる粘着付与樹脂は、軟化点が100〜180℃の範囲であり、120〜170℃の範囲がより好ましく、140〜170℃の範囲が特に好ましい。軟化点が100℃未満であると、粘着剤に含有した場合には接着力が向上しないだけでなく、耐熱保持力が低下するため好ましくなく、軟化点が180℃を超える場合には、粘着剤のベースポリマー等との相溶性が悪化するだけでなく、粘着性(「タック」とも称する)や曲面接着性が低下するため好ましくない。
なお、本発明における軟化点とは、物質が温度の上昇によって軟化し、変形を始めるときの温度であり、環球法(JIS K5902)により測定した値である。
これら粘着付与樹脂のうち、軟化点が100〜180℃の範囲にあれば、特に限定されず公知のものを用いることができるが、ベースポリマーの相溶性や良好な接着性の発現のため、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、または石油系樹脂が好ましく、これらの中でも曲面接着性や耐水、耐湿熱性の点でロジン系樹脂が特に好ましい。
<共重合体樹脂(B)>
共重合体樹脂(B)は、水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gである共重合体樹脂である。
共重合体樹脂(B)は、上記範囲の酸価を示すことにより、粘着付与樹脂(A)を容易に水性分散化できるだけでなく、良好な接着強度を維持すことが可能となる。
また、酸価を示す置換基としては、例えば、スルホ基、スルフィノ基、スルファニル基(別名:メルカプト基)、スルフェノ基、ジスルファニル基、セラニル基、テラニル基、ホスファニル基(別名:ホスフィノ基)、ホスファニルデン基、ホスホノ基、ホスフィニコ基、ホスフィノイル基、ホスホノイル基、アルサニル基、スチバニル基、ビスムタニル基、ボリル基等の金属元素を有する酸性官能基やフェノール性水酸基、カルボキシル基、またはその酸無水物基が挙げられ、いずれを用いてもよいが、弱酸性であるカルボキシル基、またはその酸無水物基を有することが、耐熱保持力や耐湿熱性の点で好ましい。
共重合体を構成する単量体は、分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しないエチレン性不飽和化合物(b1)単位、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物(b2)単位、および分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(a3)単位を含有する樹脂であることが好ましく、必要に応じてその他エチレン性不飽和化合物(b4)単位を含有する共重合体樹脂であり、これら単量体混合物を重合した樹脂であることが好ましい。
また、本発明の共重合体の単量体としては、水酸基を有する単量体、およびエチレンオキサイドを有する単量体は、含有しない。
[化合物(b1)]
化合物(b1)は、分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しないエチレン性不飽和化合物である。
分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しないエチレン性不飽和化合物(b1)は、分配係数(LogP)が0以上1未満の疎水性の低い単量体であり、さらに活性水素含有の官能基を有しない低親水性であり、親和性はあるが水には完全溶解しない化合物である。化合物(b1)はこのように、低疎水性および低親水性の双方の特徴を有するため、水と油の双方に親和性が低いが、後述の親水性の化合物(b2)および疎水性の化合物(b3)と組み合わせることにより、粘着付与樹脂(A)の水性分散化が容易となる。さらに、このような共重合体樹脂(B)を含有した粘着付与樹脂水性分散体を、後述のベースポリマー(P)と混合して得られた水性粘着剤は、耐水性や耐湿熱性を向上させることが可能となる。
ここで、有機化合物の分子内水素のうち、炭素原子に結合する水素原子は反応性に乏しいが、窒素,酸素,硫黄、燐などに結合した水素は反応性が高く、これを活性水素と称し、この活性水素を有する官能基を「活性水素含有の官能基」と称する。活性水素含有の官能基としては、例えば、水酸基、ホルミル基、カルボキシル基、ヘミアセタール基、チオール基、スルホ基、ホスホ基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、アセトアミド基、オキシム基等が挙げられ、エーテル基、ケト基、ニトロ基は含まれない。
また、化合物(b1)は、分配係数(LogP)が0以上1未満の範囲が好ましく、0.2以上0.9未満の範囲がより好ましい。分配係数LogP=0以上1未満を満たすと、疎水性と親水性の双方の特性を有し、後述の化合物(b2)と化合物(b3)に加え、化合物(b1)を含有した共重合体樹脂(B)を使用すると、粘着付与樹脂(A)を容易に水性化することが可能となる。
なお、分配係数(LogP)は、化学物質の疎水性や移行性を表す指標となる無次元数であり、対象とする物質が、ある2つの相の接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度比またはその常用対数で示したものである。本発明では、1−オクタノール/水を使用した場合の分配係数であり、物質の親水性・疎水性を判断する基礎的な数値として用いられるため、JIS Z 7260−107:2000(フラスコ振とう法)に従って測定し、下記一般式[1]を使用して25℃におけるLogPを算出し、これを分配係数とする。分配係数測定の詳細については、実施例に示す。
一般式[1] LogP=Log(C0/Cw)≒ Log(xo/xw)
但し、LogP:オクタノール/水の分配係数、C:オクタノール相中の被験物質濃度(mol/L)、C:水相中の被験物質濃度(mol/L)、x:オクタノール相中の被験物質モル分率、x:水相中の被験物質モル分率である。
化合物(b1)として、例えば、以下のものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸γ−ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸4−メチル−2−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピレングリコール、アクリル酸2−(メトキシカルボニル)エチル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリル酸(3−メチルオキセタン−3−イル)、アクリル酸2−[(1,2−エポキシ−4,7−メタノヒドリンダン−5−イル)オキシ]エチル、(メタ)アクリル酸フルフリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、n−ビニル−2−ピロリドン、α-メチレン-γ-ブチロラクトン等のビニル化合物類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
化合物(b1)としては、基材との密着性を向上させる観点と曲面接着性を維持する観点から、芳香環を有しないことが好ましく、また、耐水性や耐湿熱性維持の観点から、エチレンオキサイドユニットを有しないことが好ましい。このような化合物(b1)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−(メトキシカルボニル)エチル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、n−ビニル−2−ピロリドンが工業的に好ましい。
なお、本明細書においてエチレンオキサイドユニットは、エチレンオキサイド(EO)の繰り返し単位が2以上のものを指す。
[化合物(b2)]
化合物(b2)は、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物であり、分子内にカルボキシル基、またはその酸無水物基((−C=O)−O−(C=O)−))を有する。
化合物(b2)は、水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有さない。
化合物(b2)により、共重合体樹脂(B)にカルボキシル基、またはその酸無水物基を有することで、粘着付与樹脂(A)の水性分散化が容易となる。また、概粘着付与樹脂水性分散体を含有した水性粘着剤は、良好な接着強度や耐熱保持力を維持すことが可能となる。
このような化合物(b2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチル、(メタ)アクリル酸ダイマー、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、アコニチン酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、α−クロロソルビン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、セネシオ酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ムコブロム酸、ムコクロル酸、ムコン酸、アコニット酸、ペニシル酸、ゲラン酸、シトロネル酸、4−アクリルアミドブタン酸、6−アクリルアミドヘキサン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、モノ(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンエステル等の、ラクトン環の開環付加によるカルボキシル基を末端に有する、ポリラクトン系(メタ)アクリル酸エステル、ブチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドが繰り返し付加している、末端にカルボキシル基を有するアルキレンオキサイド付加系コハク酸と、(メタ)アクリル酸とのエステル等のカルボキシル基含有の脂肪族系エチレン性不飽和二重結合基含有カルボン酸類やその酸無水物類が挙げられ、これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよいが、下記で示すベースポリマー(P)との相溶性、曲面接着性、耐水性、耐湿熱性維持の観点から、芳香環とエチレンオキサイドユニットを有しないことが好ましい。
[化合物(b3)]
化合物(b3)は、分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物である。
分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(b3)は、分配係数(LogP)が3以上10未満の疎水性を示す非極性単量体であり、適度な柔軟性と凝集力の双方を向上することが可能となるだけでなく、耐水性や耐湿熱性を向上させることが可能となる。ここで「極性基」とは、極性を有する基を指し、主として、ハメット(Hammett)の置換基定数、パラ効果σpが−0.20〜0.24の範囲外の基を意味する。ただし、エステル基およびビニルエーテル基は、極性基から除外して取り扱うものとする。分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(b3)としては、アルキル基を有することが好ましいが、アルキル基を有することで適度な柔軟性を維持しつつ疎水性であるため、粘着付与樹脂(A)との親和性が高いだけでなく、前記した化合物(b2)の親水性部分と化合物(b1)とを組み合わせて得られる共重合体樹脂(B)は、効果的な界面活性能を得ることが可能となる。そのため、安定した粘着付与樹脂水性分散体を得ることが可能となる。さらに、このような共重合体樹脂(B)を含有した粘着付与樹脂水性分散体を、後述のベースポリマー(P)と混合して得られた水性粘着剤は、貯蔵安定性と機械安定性を良好に保つことが可能となる。アルキル基としては、炭素数6〜22の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基またはフルオロアルキル基が好ましい。但し、シクロアルケニル基とアルキレン結合基はアルキル基に含まれるとする。
分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(b3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸アラキジル、(メタ)アクリル酸ヘニコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等のアルキル基を有する脂肪族(メタ)アクリル酸エステル類;
例えば、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロドデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロテトラデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロオクタデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロイコシルエチル等の(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル類;
例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、イソステアリルビニルエーテル、ノナデシルビニルエーテル、アラキジルビニルエーテル、ヘニコシルビニルエーテル、ベヘニルビニルエーテルの長鎖アルキル基を有する脂肪族ビニルエーテル類;
例えば、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、マルガリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、イソステアリン酸ビニル、ノナデカンン酸ビニル、アラキジン酸ビニル、ベヘン酸ビニル等のアルキル基を有する脂肪族ビニルエステル類;
例えば、カプロイル酢酸ビニル、ラウロイル酢酸ビニル、ステアロイル酢酸ビニル、アラキジノイル酢酸ビニル、ベヘノイル酢酸ビニル等のアルキル基を有するアルキロイル酢酸ビニルエステル類;
例えば、カプロイル酢酸(メタ)アリル、ラウロイル酢酸(メタ)アリル、ステアロイル酢酸(メタ)アリル、アラキジノイル酢酸(メタ)アリル、ベヘノイル酢酸(メタ)アリル等のアルキル基を有する脂肪族アリルエステル類;
例えば、1−オクテン、1−デセン、1−ヘプタデセン、1−オクタコセン、1−ノナデセン、1−イコセン、1−エイコセン、1−ヘンイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン等のアルケン類;
例えば、ジ(メタ)アクリル酸3−ブチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸3,3’−ジメチロールヘプタン、ジ(メタ)アクリル酸1,8−オクタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,18−オクタデカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,20−イコサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,22−ドコサンジオール等のアルキレン結合基を有する2官能の(メタ)アクリル酸エステル類;
例えば、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチル、(メタ)アクリル酸4−(tert−ブチル)シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸デカヒドロナフタレン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルエチル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]デカ−2−イル、(メタ)アクリル酸ジヒドロ−α−ターピニル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イル等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸環状エステル類;
例えば、ジ(メタ)アクリル酸2,5−ノルボルナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ジメチロールトリシクロデカン、エピクロロヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジヒドロキシメチル、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジヒドロキシメチルジカプロラクトネート、ジ(メタ)アクリル酸2−メチル−1,1’−トリシクロ[3,3,1,13,7]デカン−1,3−ジイル、ジ(メタ)アクリル酸1,2−アダマンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−アダマンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−アダマンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,2−アダマンタンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−アダマンタンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレンオキサイド変性水添ビスフェノールA(PO付加モル数:2〜22)等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ジエステル類;
例えば、N−シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルオキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルオキシシブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルオキシドデシル(メタ)アクリルアミド等のシクロアルキル基を有する単官能のアクリルアミド類;
例えば、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセン、イソボニルビニルエーテル、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(別名:5−ビニル−2−ノルボルネン)、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等のシクロアルキル基を有する単官能のビニルエーテル類;
例えば、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2,3−オキシランノルボルナン、2−(2−プロペニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、2,5−ビス{(メタ)アリルオキシ}ノルボルナン、2−エテニリデンアダマンタン、1−(メタ)アリルアダマンタン等のシクロアルキル基を有する単官能のビニル化合物類や(メタ)アリル化合物類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
上述のように、化合物(b3)は、分配係数LogPが3以上10未満であることが好ましく、3以上8未満がより好ましい。分配係数LogPが3未満では、十分な疎水性が得られず、分配係数LogPが10以上では、分子配向における疑似結晶性が高まり、塗膜白化や溶液状態で凝固する場合がある。分配係数LogPが上記の範囲であると、疎水性と分子配向による疑似結晶性を制御可能となり、共重合体樹脂(B)の界面活性能を向上することが可能となる。
化合物(b3)は、疎水性を示すことから、アルキル基を有する非極性単量体が好ましく、化合物(b3)を、共重合体を構成する単量体単位として使用することにより、共重合体(B)に導入することができる。また、化合物(b3)は芳香環を有しないことが好ましい。芳香環を有しないことで、アルキル基の柔軟性が損なわれずに疎水性のユニットを共重合体樹脂(B)に導入することが可能となる。また、化合物(b3)は、エチレンオキサイドユニットを有しないことが好ましい。エチレンオキサイドユニットを有しないことで、耐水性や耐湿熱性の維持を可能にできる。そのため、このような共重合体樹脂(B)を含有した粘着付与樹脂水性分散体を、後述のベースポリマー(P)と混合して得られた水性粘着剤を塗工し、作成した粘着シートをポリオレフィン板等の極性の低い被着体に対して貼着しても、強度の高い接着力や曲面接着性を維持することが可能となる。また、粘着シートを被着体に貼着して、加湿熱条件下に長期間曝露しても、疎水性に加え、分子配向による高凝集力を示すため、過酷な条件下に暴露されても、良好な耐湿熱性を維持し、発泡や浮き・剥がれ等の劣化現象の発生が著しく抑制される。
化合物(b3)は、共重合体樹脂(B)の界面活性能を向上させる観点より、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、ジ(メタ)アクリル酸2,5−ノルボルナンジオール等のアルキル基含有の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
[化合物(b4)]
化合物(b4)は、化合物(b1)、化合物(b2)、及び化合物(b3)以外の、その他エチレン性不飽和化合物である。
但し、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物およびエチレンオキサイドユニットを有するエチレン性不飽和化合物は含まない。
化合物(b4)を構成単量体の一部として、必要に応じて使用することにより、共重合体樹脂(B)を構成する単量体単位である化合物(b1)、化合物(b2)または化合物(b3)との共重合反応の効率化を図ることが容易となることがある。また、共重合体樹脂(B)を低粘度化できるとともに、粘着付与樹脂(A)の乳化時の作業性を向上させることが容易となることがある。
さらに、共重合体樹脂(B)の質量平均分子量(以下、「Mw」と略記する場合がある)、酸価(以下、「AV」と略記する場合がある)または粘度(以下、「Vis」と略記する場合がある)を制御することが可能となるため、粘着付与樹脂(A)の水性分散化が容易となる。また、共重合体樹脂(B)を含有した粘着付与樹脂水性分散体は、後述のベースポリマー(P)との相溶性も向上し、概粘着付与樹脂水性分散体を含有した水性粘着剤は、良好な接着強度、各種耐性、および可撓性等の諸物性を適宜制御することが可能となる。
このような化合物(b4)としては、例えば、メタクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸(メトキシカルボニル)メチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸スルホフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリル酸エステル類;
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルフタルイミド等のN置換ビニル化合物類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類;1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のαオレフィン類;メタクリロニトリル、スチレン等が挙げられ、これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよいが、下記で示すベースポリマー(P)との相溶性、基材との密着性および曲面接着性維持の観点から、芳香環を有しないことが好ましい。さらに水性化分散の安定化の観点から、活性水素含有の官能基を有しないことがさらに好ましい
[共重合体樹脂(B)の製造方法]
共重合体樹脂(B)は、水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gであって、低親水性かつ低疎水性のユニットに加え、カルボキシル基による親水基、および分配係数LogPが3以上10未満となるような疎水基を含有する共重合体樹脂であることが好ましい。
例えば、上記化合物(b1)、化合物(b2)および化合物(b3)と、必要に応じて化合物(b4)を共重合して得ることができる。上記各単量体のなかでも、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。種々のエチレン性不飽和化合物において、このように、共重合体樹脂(B)の粘度や水性分散化の制御、粘着付与樹脂水性分散体の粒子径、貯蔵安定性または機械的安定性、粘着シートの接着性や耐久性、あるいは塗工適性等を踏まえて、適宜、上記化合物(b1)、化合物(b2)、および化合物(b3)と、必要に応じて化合物(b4)を選択することが可能である。
共重合体樹脂(B)は、定法に従い、上記したような種々のエチレン性不飽和化合物の単量体混合物の合計100質量部に対して、通常0.001〜20質量部の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、あるいは懸濁重合などの方法により合成される。これらの重合方法及び反応操作において特に制限されるものではないが、塊状重合、高圧重合が好ましい。塊状重合の場合は、有機溶剤を一切使用しないので、高い重合反応率が望める他、物性に多大な影響を与える過剰な添加剤の混入を避けることが可能である。また、高圧重合の場合には、加圧釜を必要とするものの、著しい高粘度の反応液でも高い重合反応率が可能となる。 また、塊状重合方法では反応温度あるいは重合開始剤量、高圧重合方法では反応温度、加圧度等により、分子量や粘度の制御が可能となる。なお、重合反応に際しては、後述の塩基性化合物(E)を併用使用することも可能である。
重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などのアゾ系化合物が挙げられる。
また、過酸化ベンゾイルやtert−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートやジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエートやtert−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
また合成時には、ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、リモネン等の連鎖移動剤を使用しても良い。
これらの中でも、分子量制御および分子量分布制御の観点から、重合開始剤としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジベンゾイルジオキシダン、tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。
共重合体樹脂(B)を重合反応する際の重合条件は、重合方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。重合温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは40〜120℃ である。反応時間は、エチレン性不飽和化合物の各成分の重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
共重合体樹脂(B)は、化合物(b1)により分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しない低親水性かつ低疎水性のユニットが導入される。化合物(b1)は、共重合体樹脂(B)100質量%中に30〜75質量%含有することが好ましく、35〜70質量%含有することがより好ましい。
また、共重合体樹脂(B)に含有されるカルボキシル基は、酸価が20〜200mgKOH/gとなるように、化合物(b2)より導入されることが好ましく、共重合体樹脂(B)100質量%中、5〜15質量%含有することが好ましく、7〜15質量%含有することがより好ましい。
また、共重合体樹脂(B)は、化合物(b3)により分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しない疎水性基が導入される。化合物(b3)は、共重合体樹脂(B)100質量%中、10〜65質量%含有することが好ましく、20〜60質量%含有することがより好ましい。
すなわち、共重合体樹脂(B)は、化合物(b1)30〜75質量%、化合物(b2)5〜15質量%、化合物(b3)10〜65質量%を共重合して得られる樹脂であることが好ましい。より好ましくは、化合物(b1)35〜70質量%、化合物(b2)7〜15質量%、化合物(b3)20〜60質量%である。
共重合体樹脂(B)を構成する単量体単位の含有量が上記の範囲であると、親水性であるカルボキシル基が含まれる極性部位中に疎水性である非極性部位が存在し、さらに双方の中間的な部位も存在するため、低粘度で良好な界面活性能を有することが可能となる。そのため、粘着付与樹脂(A)を容易に水性分散化できるだけでなく、分散安定性も向上する。さらに本発明の共重合体樹脂(B)を含有した粘着付与樹脂水性分散体を使用した水性粘着剤から塗工形成された粘着シートの耐湿熱性の維持や接着性の向上も可能となる。
各単量体の含有量が上記の範囲内であると、共重合体樹脂(B)の酸価(以下、「AV」と略記する場合がある)、溶液粘度(以下、「Vis」と略記する場合がある)、質量平均分子量(以下、「Mw」と略記する場合がある)、ガラス転移温度(以下、「Tg」と略記する場合がある)、接着強度、各種耐性、可撓性、相溶性及び乳化性等の諸物性を適宜制御することが可能となる。特に、カルボキシル基以外の官能基(水酸基等)やエチレンオキサイドユニットを有しないことで、耐水性や耐湿熱性を維持し、芳香環を有しないことで曲面接着性を維持することが可能となる。
共重合体樹脂(B)は、良好な水性分散性を発揮し得るように、共重合体樹脂のガラス転移点(Tg)が、−50〜20℃、より好ましくは−45〜10℃となるように、共重合体樹脂の構成成分である各単量体の構成比率を選択することが好ましい。Tgが上記の範囲内であると、粘着付与樹脂(A)の乳化が容易となるだけでなく、粘着付与樹脂水性分散体を含有した水性粘着剤から得られた粘着シートの柔軟性を維持したまま、打ち抜きや裁断等の加工性を維持することが可能となる。
ここで、共重合体樹脂(B)において、共重合体のガラス転移温度(Tg)は、後述の示差走査熱量計(DSC)を用いて決定されるが、それぞれの共重合体樹脂の構成成分である各エチレン性不飽和化合物から形成され得る単独重合体のTgが既知であれば、各単独重合体のガラス転移温度(Tg)とエチレン性不飽和化合物の構成比とに基づいて、共重合体樹脂(B)のTgを理論的に求めることができ、共重合体樹脂(B)のTgを次のFOX式により、理論計算して求めることも可能である。
<FOX式>1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…+Wn/Tgn
〔上記FOX式は、n種のα,β−不飽和二重結合基含有化合物からなる重合体を構成する各化合物の単独重合体のガラス転移温度をTgi(K)とし、各化合物の質量分率を、Wiとしており、(W1+W2+…+Wi+…Wn=1)である。〕
更に、単独重合体のTgは、文献に記載されている値を用いることができる。そのような文献として、例えば、以下の文献を参照できる: 三菱レーヨン社のアクリルエステルカタログ(2001年度版);大阪有機化学工業社のカタログ(2009年度版);日立化成工業社のファンクリルカタログ(2007年度版);及び「POLYMER HANDBOOK」第3版第209〜277頁、John Wiley & Sons, Inc. 1989年発行。尚、本願における共重合体樹脂(B)のTgは、後述の示差走査熱量計(DSC)を用いて決定したものである。ガラス転移温度(Tg)の測定法の詳細は、実施例に記載する。
共重合体樹脂(B)の酸価(AV)は、前記したように20〜200mgKOH/gの範囲にあることが好ましく、30〜150mgKOH/gの範囲にあることがより好ましく、40〜100mgKOH/gの範囲がもっとも好ましい。また、共重合体樹脂(B)の質量平均分子量(Mw)は、1,000〜300,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜100,000の範囲にあることがより好まく、2,000〜50,000の範囲が最も好ましい。酸価(AV)は、JIS K0070:1992に準拠して測定される値である。
酸価(AV)および質量平均分子量(Mw)が上記の範囲にあると、粘着付与樹脂水性分散体の粘度を低粘度にでき、また水性分散性も良好となるため、粘着付与樹脂の粒子径を0.01〜10μmの範囲で制御し易くなる。酸価(AV)および質量平均分子量(Mw)の測定法の詳細は、実施例に記載する。
本発明の粘着付与樹脂水性分散体は、上記粘着付与樹脂(A)100質量部に対して、上記共重合体樹脂(B)を0.5〜50質量部含み、1〜30質量部含むことが好ましい。共重合体樹脂(B)がこの範囲内であると、粘着付与樹脂水性分散体の粘度が低くなり、作業性を著しく向上させると共に、安定な水性分散体を得ることが可能となるため、貯蔵安定性が向上する。また、後述のベースポリマーに含有させて、水性粘着剤とした場合にも経時放置における分離や増粘、減粘もなく、安定した水性粘着剤を得ることができる。この水性粘着剤の塗工乾燥後に得られる粘着シートは、良好な接着性を示し、曲面接着性や耐熱保持力を向上させることが可能となる。
<数平均分子量が300〜50,000である液状樹脂(C)>
次に、数平均分子量が300〜50,000である液状樹脂(C)について説明する。
本発明の粘着付与樹脂水性分散体の一実施形態において、粘着付与樹脂水性分散体は、上記必須成分に加えて、さらに数平均分子量(以下、「Mn」と略記する場合がある)が300〜50,000である液状樹脂(C)(以下、液状樹脂(C)と称す。)を含んでもよい。液状樹脂とは、25℃において、液状、またはペースト状の樹脂である。但し、粘着付与樹脂(A)および共重合体樹脂(B)は含まれない。
液状樹脂(C)の数平均分子量(Mn)は、300〜50,000であり、500〜10,000が好ましい。数平均分子量(Mn)がこの範囲であると、粘着付与樹脂(A)への吸着性が高まるため分散性が向上し、さらに耐熱保持力の維持が可能となる。
また、液状樹脂(C)は、共重合体(A)100質量部に対し、0.1〜50質量部含有することが好ましく、1〜30質量部含有することがより好ましい。液状樹脂(C)の含有量がこの範囲であると、粘着付与樹脂(A)の分散性が向上し、粒子径を精度良く制御することが可能となるだけでなく、粘着付与樹脂水性分散体や、粘着付与樹脂水性分散体を含有した水性粘着剤の貯蔵安定性と、水性粘着剤から形成される粘着剤層の耐水性や耐湿熱性をさらに向上することができる。
このような液状樹脂(C)の具体例としては、オレフィンの重合体、環状オレフィン、ポリオールまたは液状ロジンエステル等が挙げられるが、相溶性の点から、特に炭素数4〜5の不飽和炭化水素を重合させて得られるオレフィンの重合体や環状オレフィンまたは液状ロジンエステルが好ましい。炭素数4〜5の不飽和炭化水素としては、1−ブテン、イソブテン、2−ブテン、ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソペンテン、イソプレンなどが挙げられる。重合は公知の方法によればよく、ラジカル重合、カチオン重合などが採用できる。
液状樹脂(C)は、市販品を用いることもでき、オレフィンの重合体としては、例えば、NISSO−PB B−1000(Mn=1,200)NISSO−PB G−1000(Mn=1,400、水酸基価:68〜78mgKOH/g)、NISSO−PB BI−2000(Mn=2,200)、NISSO−PB GI−2000(Mn=1,500、水酸基価=60〜75mgKOH/g)〔以上、日本曹達社製〕;
LBR−302(Mn=5,500)、LBR−361(Mn=5,500)、L−SBR−820(Mn=8,500)〔以上、クラレ社製〕;
日石ポリブテンLV−7(Mn=300)、日石ポリブテンLV−50(Mn=430)、日石ポリブテンLV−100(Mn=500)、日石ポリブテンHV−15(Mn=630)、日石ポリブテンHV−35(Mn=750)、日石ポリブテンHV−50(Mn=800)〔以上、JXTGエネルギー社製〕;
日油ポリブテン0N(Mn=370)、日油ポリブテン015N(Mn=580)、日油ポリブテン3N(Mn=720)、日油ポリブテン10N(Mn=1,000)〔以上、日油社製〕;
RT2730(Mn=1,000)、RT2304(Mn=800)〔以上、HUNSTMAN社製〕が挙げられる。
液状ロジンエステルとしては、例えば、スーパーエステルL(Mn=650、液状ロジンエステル)、スーパーエステルA−18(Mn=700、液状ロジンエステル)、KE−364C(Mn=221、液状変性ロジンエステル)〔以上、荒川化学工業社製液状ロジン〕;
バンビームUV−22C(Mn=3,800、ロジン変性エポキシアクリレート)、バンビームUV−500(Mn=4,200、ロジン変性エポキシアクリレート)〔以上、ハリマ化成社製液状ロジン〕が挙げられる。
環状オレフィンとしては、PRIPOL2033(Mn=540、ダイマージオール)、PRIPOL1006(Mn=600、ダイマー酸)〔以上、CRODA Coatings & Polymers社製〕が挙げられる。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、これらの共重合体、及びその他のグリコール類などが挙げられる。
<界面活性剤(D)>
次に、界面活性剤(D)について説明する。
本発明の粘着付与樹脂水性分散体の一実施形態において、粘着付与樹脂水性分散体は、上記必須成分に加えて、さらに界面活性剤(D)を含んでもよい。
上記粘着付与剤樹脂(A)を水性分散体にする際、水性分散の安定性の点で界面活性剤(D)を含有することが可能である。
界面活性剤(D)は特に制限されることなく、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性の各種公知の界面活性剤が使用できるが、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤を単独または併用して含有することが好ましい。また、その含有量は、粘着付与樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。界面活性剤(D)を上記の範囲で含有すると、接着層の耐水・耐湿熱性を損なうことなく、また、水性分散体の貯蔵安定性をさらに向上することが可能となる。
上記アニオン性界面活性剤には、有機スルホン酸、硫酸エステルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、具体例には、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキル(またはアルケニル)硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸、並びにその誘導体が挙げられる。この中でも、エチレンオキサイドユニットを有しないアニオン性界面活性剤が好ましい。これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、エーテルエステル型または含窒素型のノニオン性界面活性剤である、例えば、アルキル、またはアリールポリオキシエチレンエーテル等のエーテル型のノニオン性界面活性剤;脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸トリメチロールプロパン、脂肪酸ペンタエリスリトール、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型のノニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレン脂肪酸ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型のノニオン性界面活性剤が挙げられる。また、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等の含窒素型のノニオン性界面活性剤も使用することが可能である。この中でも、エチレンオキサイドユニットを有しない、エステル型や含窒素型のノニオン性界面活性剤が好ましい。これらは、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
<塩基性化合物(E)>
次に、塩基性化合物(E)について説明する。
本発明の粘着付与樹脂水性分散体の一実施形態において、粘着付与樹脂水性分散体は、上記必須成分に加えて、さらに塩基性化合物(E)を含んでもよい。
塩基性化合物(E)によって、粘着付与樹脂(A)、または共重合体樹脂(B)中のカルボキシル基は、その一部または全部が中和され、生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
塩基性化合物(E)は、共重合体樹脂(B)を合成する際に使用しても良いし、粘着付与樹脂(A)、または共重合体樹脂(B)を予め中和してから粘着付与樹脂水性分散体を作成しても良いし、粘着付与樹脂(A)と共重合体樹脂(B)を混合する際に配合しても良いし、またその双方併用で使用しても良い。
塩基性化合物(E)としては特に限定されないが、無機塩、アンモニア、有機塩基等が挙げられる。有機塩基の中でも、沸点300℃以下の有機アミン化合物が塗膜の耐水・耐湿熱性の面から好ましい。沸点が300℃以下であると、樹脂塗膜から乾燥による除去が容易となり、塗膜の耐水・耐湿熱性や基材との密着性や接着性が良好になる。上記したように、塩基性化合物(E)は共重合体樹脂(B)を得るための重合反応時に使用しても良い。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、イソプロピルアミン、2−アミノアルコール、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、ジブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン等を挙げることができる。
これら有機アミン化合物のうち、飛散性が良好で塗膜中に残留しにくく、共重合体樹脂(B)と非反応性である3級アミン(e1)が特に好ましく、工業的に入手可能な、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン等が特に好ましい。なお、3級アミン(e1)以外の塩基性化合物は、塩基性物質(e2)と表記する。
塩基性化合物(E)の含有量は、粘着付与樹脂(A)および共重合体樹脂(B)中に含まれる全カルボキシル基量に対して、0.5〜20.0倍当量であることが好ましく、1.0〜10.0倍当量がより好ましい。塩基性化合物(E)の含有量が上記の範囲であると、塗膜形成時の乾燥時間が短く、また、水性分散体の安定性が良好にすることができる。
<その他化合物(F)>
次に、その他化合物(F)について説明する。
本発明の粘着付与樹脂水性分散体の一実施形態において、粘着付与樹脂水性分散体は、上記必須成分に加えて、課題を解決できる範囲であれば、さらにその他化合物(F)を含んでもよい。
その他化合物(F)は、上記粘着付与樹脂(A)、共重合体樹脂(B)、液状樹脂(C)、界面活性剤(D)、塩基性化合物(E)、ベースポリマー(P)以外の化合物であり、少量の成分を加えることにより、その素材の安定性や物理性状を改善する機能をもつ化合物である。例えば、硬化剤、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防錆剤、凍結溶融安定剤、染顔料、着色剤、充填剤、濡れ剤、酸化防止剤、難燃化剤、保存安定剤、紫外線吸収剤、チクソトロピー付与剤、分散安定剤、流動性付与剤、造膜助剤、保湿剤、pH調整剤、レベリング剤、加水分解抑制剤および消泡剤等が挙げられる。
なお、その他化合物(F)は、後述の水性粘着剤にもさらに添加使用することが可能である。
<粘着付与樹脂水性分散体>
次に粘着付与樹脂水性分散体について説明する。
本発明の粘着付与樹脂水性分散体は、上記したように、共重合体樹脂(B)と必要に応じて液状樹脂(C)、界面活性剤(D)、塩基性化合物(E)およびその他化合物(F)を共存させながら、粘着付与樹脂(A)を乳化することで得られる。
また、粘着付与樹脂水性分散体は、有機溶剤を含まないことが好ましく、原材料由来の残留有機溶剤に起因して含んだとしても、含有率としては、1,000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、100ppm以下が最も好ましい。
乳化方法は特に限定はなく、公知の乳化方法である高圧乳化法、反転乳化法、超音波乳化法、有機溶剤乳化法などのいずれの方法を採用してもよいが、設備の簡易性や生産コストの低減に加え、環境問題を考慮する場合は、有機溶剤を使用しない無溶剤系反転乳化法を採用するのが好ましい。無溶剤系反転乳化法の場合は、各種ミキサー、コロイドミル、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機などの各種乳化機を用いて、上記粘着付与樹脂(A)を軟化点以上で溶融し、常圧もしくは加圧下で、これに共重合体樹脂(B)と必要に応じて液状樹脂(C)、界面活性剤(D)、塩基性化合物(E)およびその他化合物(F)を予備混合し、水を添加して転相させることで水性分散体を得ることができる。
このようにして得られた粘着付与樹脂水性分散体の不揮発分濃度は特に限定されないが、通常20〜70%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られた粘着付与樹脂水性分散体の平均粒子径は、通常0.1〜2μm程度であり、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散している。また、該水性分散体は白色ないし乳白色の外観を呈し、pH値は5〜11程度で、粘度は通常100〜4,000mPa・s程度である。
≪水性粘着剤≫
本発明の水性粘着剤は、ベースポリマー(P)と、上記粘着付与樹脂水性分散体とを含むものである。
<ベースポリマー(P)>
本発明で用いられるベースポリマー(P)は、主に水性粘着剤の主剤として使用される樹脂水性分散体である。これらベースポリマー(P)としては、アクリル系水性分散体、ゴム系水性分散体および合成樹脂系水性分散体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。ベースポリマーは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系水性分散体としては、一般に各種のアクリル系粘着剤等に使用されているもの使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを重合することにより製造された水性分散体等を使用することができる。
また、上記ゴム系水性分散体としては、水性粘着剤に用いられる各種公知のものを使用できる。例えば、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
さらに、上記合成樹脂系水性分散体は、上記アクリル系水性分散体を除く合成樹脂系エマルジョンであり、水系粘着剤に用いられる各種公知のものを使用することができる。例えば、酢酸ビニル系水性分散体、エチレン−酢酸ビニル共重合体水性分散体、ウレタン系水性分散体等の合成樹脂系水性分散体が挙げられる。
上記アクリル系水性分散体は、定法に従い、単量体混合物の合計100質量部に対して、0.001〜20質量部の重合開始剤を用いて合成される。例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパ―オキサイド、t−ブチルハイドロパ―オキサイド、過酸化水素等の過酸化物を使用することができる。又過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等からなるレドックス開始剤も使用することができる。これらの重合開始剤は、通常は、乳化重合での各段階毎に、所定量を添加して、重合反応を行わせるようにすればよい。
本発明の水性粘着剤は、ベースポリマー(P)と粘着付与樹脂水性分散体との併用割合は、特に限定されないが、粘着付与樹脂水性分散体よる改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による耐熱保持力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、ベースポリマー(P)100質量部(不揮発分換算)に対して、粘着付与樹脂水性分散体を通常1〜100質量部(不揮発分換算)含むことが好ましい。
本発明の水性粘着剤は、その使用形態に応じて、粘度を適切に調整することが好ましい。本発明の水性粘着剤は、必要に応じて、粘度を調整するために、水分を追加使用してよい。また、追加水分を使用することなく、水性粘着剤を加熱することによって粘度を低下させることもできる。
本発明の水性粘着剤を使用して粘着剤層を形成する場合、粘着剤層の膜厚は、0.5〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。膜厚が上記範囲であると、十分な接着力を得ることが可能となる。
したがって、塗膜形成の観点から、水性粘着剤の粘度は、25℃にてB型粘度計で測定した際の粘度が、500〜15,000mPa・sの範囲であることが好ましく、1,000〜10,000mPa・sの範囲であることがより好ましい。粘度が15,000mPa・s以下の場合、塗工によって基材上に0.5〜100μmの薄膜を容易に形成することができ、タック、接着力および保持力等の粘着物性を高めることも容易である。一方、粘度が500mPa・s以上の場合、水性粘着剤から形成する粘着剤層の膜厚を制御することが容易である。本実施形態において、粘着剤層の膜厚、粘度、あるいは不揮発分濃度は、積層体の用途に応じて設定される。
本発明の粘水性粘着剤は、上記必須成分に加えて、課題を解決できる範囲であれば、上記のその他化合物(F)をさらに含んでもよい。
≪粘着シート≫
次に粘着シートについて、説明する。
本願の粘着シート(粘着フィルムとも称す)は、後述の基材上に上記の水性粘着剤からなる粘着剤層が形成されたものであり、表面を剥離処理したシート状基材(剥離ライナーとも称す)が積層されていても良い。
粘着シートを製造する場合、常法にしたがって適当な方法で、後述の基材に水性粘着剤を塗工した後、加熱等の方法により水分を除去して、基材の上に粘着剤層を形成することができる。例えば、剥離ライナーの剥離処理面に水性粘着剤を塗工、乾燥し、基材を貼り合わせて作成する方法が挙げられる。
水性粘着剤を塗工する方法としては、特に制限はない。例えば、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、キスコーター、リップコーター、コンマコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター、ディップコーター等の、周知の様々な方法を適用することができる。また、薄膜塗工または厚膜塗工等の形態についても、用途に応じて、特に制限なく、選択することができる。
粘着シートの基本的積層構成は、基材/粘着剤層/剥離ライナーのような片面粘着シート、あるいは剥離ライナー/粘着剤層/基材/粘着剤層/剥離ライナーのような両面粘着シートである。このように、剥離ライナーに積層された積層体を粘着シートという。使用時に、剥離ライナーが剥がされ、粘着剤層が被着体に貼着される。水性粘着剤は、貼着の際、被着体に粘着剤層が触れるその瞬間に粘着剤層が粘着性を有するのみならず、粘着剤以外の接着剤(以下、単に接着剤という)とは異なり、貼着中も完全に固化することなく、タックと適度な固さを有しつつ、貼着状態を維持するための凝集力を有することが必要である。凝集力は分子量や架橋密度に大きく依存する。このように、基材/粘着剤層/被着体の構成に積層された積層体を貼着積層体という。
本発明の水性粘着剤を用いた粘着シートは、例えば、各種公知の粘着製品(ラベル、シール、テープ、ステッカー等)の広範な用途に使用され、水性粘着剤は2つ以上の基材(基材の一方が粘着シートのベース基材、基材のもう一方が貼着される基材(被着体と称す))を貼り合わせる粘着剤層を形成する。本発明の水性粘着剤は、一般的には、各種金属、皮革、ガラス、塩ビシート、化粧紙等の一般用途に加え、合板パネル、コンクリート、セメントモルタル、石膏ボード等の材料の接着に使用される建材用途、天井材、加飾部品、ドアリム、座席シート、インスツルメントパネル、ダッシュサイレンサー、センターコンソール、ピラートリム、リアパーセルなどの自動車内装部材用途、電線用の結束テープなどの電線の被覆材用途に使用される。この中でも特に、難接着基材に用いられるものであることが好ましい。
難接着基材としては、ポリオレフィンフォーム、軟質ポリエーテル系、軟質ポリエステル系、硬質ポリエーテル系、硬質ポリエステル系のポリウレタンフォーム、塩化ビニルフォーム等の孔を有する発泡体基材;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体又はブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体等のオレフィン系樹脂基材;
PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)、PVC(塩化ビニル樹脂)、ナイロン、PC(ポリカーボネート樹脂)、ポリアリレート系樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等のプラスチック樹脂基材等が挙げられる。本発明の水性粘着剤に含有する粘着付与樹脂水性分散体は、難接着基材に対して優れた密着性を示す。
上記したように、剥離ライナーとしては、セロハン、各種プラスチックシート、紙、金属フォイル等のシート状基材の表面を剥離処理したものが挙げられる。また、シート状基材としては、単層のものであってもよいし、複数の基材を積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
<共重合体樹脂(B)の合成>
(合成例1)
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽及び滴下装置に、下記単量体、重合開始剤及び塩基性化合物をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
アクリル酸2−エチルヘキシル(b3) 17.25部
トリエチルアミン(e1) 6.59部
V65(重合開始剤) 0.24部
[滴下装置]
アクリル酸2−エチルヘキシル(b3) 40.25部
アクリル酸(b2) 7.1部
アクリル酸メチル(b1) 35.4部
トリエチルアミン(e1) 15.37部
V−65(重合開始剤) 0.56部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、窒素雰囲気下、攪拌しながら、80℃まで加熱し、重合を開始した。還流温度下で滴下装置から、上記エチレン性不飽和化合物、塩基性化合物(E)及び重合開始剤を含む混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌しながら、重合開始剤を0.1部ずつ1時間ごとに2回添加し、その後3時間反応を継続した。その後、トリエチルアミン(e1)11.38部を加えて25℃になるまで冷却し、共重合体樹脂(B)のアミン溶液を得た。この溶液は、黄色透明で、不揮発分濃度(NV)75.0%、溶液粘度(Vis)1,300mPa・s(25℃)であり、共重合体樹脂(B)は、ガラス転移温度(Tg)−27℃、共重合体の酸価(AV)55.3mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)11,000であった。
(合成例2〜37)
共重合体樹脂を構成する単量体、重合開始剤、および塩基性化合物(E)の種類および配合量をそれぞれ表1に従って変更した以外は、合成例1と同様に反応させることで、それぞれ合成例2〜37の共重合体樹脂を合成した。
なお、表1に記載された化合物(b3)は、重合槽への仕込み量と滴下槽への仕込み量との合計値(部)を表す。
また、開始剤は、重合槽への仕込み量、滴下槽への仕込み量および滴下終了後に2回添加した量との合計値(部)を表す。
これらのうち、合成例1〜19、および31〜37で得られた共重合体樹脂が共重合体樹脂(B)であり、合成例20〜30で得られた共重合体樹脂が共重合体樹脂(B)ではない共重合体樹脂(比較例用)である。
得られた共重合体樹脂の溶液外観、不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、酸価(AV)、質量平均分子量(Mw)及びガラス転移温度(Tg)を、後述の方法に従って求め、結果を表2に示した。なお、表1に記載した数値は、断りがない限り、重合槽への仕込み量と滴下装置への仕込み量等を含む合計量(部)であり、空欄は使用していないことを表す。
<粘着付与樹脂水性分散体の製造>
(製造例1)
攪拌槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた攪拌装置の攪拌槽及び滴下装置1,2に、下記粘着付与樹脂(A)、共重合体樹脂(B)、イオン交換水と必要に応じて液状樹脂(C)、界面活性剤(D)、および塩基性化合物(E)をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[攪拌槽]
D−160(A) 100部
合成例1で得られた共重合体樹脂(B) 10部
[滴下装置1]
トリエチルアミン(e1) 10部
[滴下装置2]
イオン交換水 80部
攪拌槽内の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら窒素気流中で180℃まで昇温し、1時間加熱溶融した。その後、反応温度120℃まで冷却し、次いで滴下装置1からトリエチルアミン(e1)を0.5時間で滴下した。さらに反応系内を100℃に保ちながら激しく攪拌し、滴下装置2からイオン交換水を2時間かけて滴下し、転相させて水性分散体とした。さらにイオン交換水16.7部を加えて25℃まで冷却し、180メッシュの炉布で濾過して不揮発分濃度50.1%の粘着付与樹脂水性分散体を得た。この際、生産性として濾過性、釜汚れ性、貯蔵安定性及び機械的安定性を後述の方法に従って評価し、結果を表2に示した。
また、得られた粘着付与樹脂水性分散体の不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、平均粒子径(Dm)、水素イオン指数(pH)及び溶剤含有率を後述の方法に従って求め、結果を表2に示した。
(製造例2〜78)
粘着付与樹脂(A)、共重合体樹脂(B)及び必要に応じてその他材料の種類および配合量をそれぞれ表2に従って変更した以外は、製造例1と同様にして、それぞれ製造例2〜78の粘着付与樹脂水性分散体を製造した。尚、液状樹脂(C)を攪拌槽に、塩基性化合物(E)は滴下装置1に、そしてイオン交換水と必要に応じて界面活性剤(D)は滴下装置2にそれぞれ仕込んで製造した。
また、製造例77、78は、共重合体樹脂(B)を使用せずに、液状樹脂(C)(製造例78)、界面活性剤(D)(製造例77、78)を使用した。
また、その他化合物(F)は、25℃に冷却した後に添加混合した。なお、表2に記載した数値は、特に断りがない限り、「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
これらのうち、製造例1〜9、11〜26、28〜48、55〜61、63〜71および73〜76で得られた水性分散体が本発明の粘着付与樹脂水性分散体であり、製造例10、27、49〜54、62、72、77および78で得られた水性分散体が本発明の粘着付与樹脂水性分散体ではない水性分散体である。得られた水性分散体の不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、平均粒子径(Dm)、水素イオン指数(pH)および有機溶剤含有率を、後述の方法に従って求め、結果を表2に示した。尚、表2に記載されたイオン交換水は、滴下装置2への仕込み量と不揮発分濃度調整用の量との合計値(部)を表す。
また、製造例27および72は、上記に加え、攪拌槽に仕込むイオン交換水の一部を有機溶剤としてトルエンに変更した。また、製造例51は水性化不可であった。
<ベースポリマー(P)の合成>
(合成例101)
攪拌槽、攪拌機、温度計を備えた攪拌装置の攪拌槽に、下記エチレン性不飽和単量体、連鎖移動剤、界面活性剤及びイオン交換水をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[攪拌槽]
アクリル酸2−エチルヘキシルアクリレート 81.94部
メタクリル酸メチル 10.18部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 3.31部
アクリル酸 4.58部
チオグリコール酸オクチル(連鎖移動剤) 0.02部
反応性界面活性剤 5.00部
イオン交換水 36.17部
攪拌槽内を攪拌しながら単量体の水性分散体を得た。次に、重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた重合反応装置の反応槽及び滴下装置に、下記単量体の水性分散体及び重合開始剤をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
イオン交換水 30.50部
[滴下装置]
上記単量体の水性分散体 153部
3%過硫酸カリウム水溶液(重合開始剤) 8.0部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、窒素雰囲気下、攪拌しながら、温度を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を2.0部添加した。
5分後、上記滴下装置から上記単量体の水性分散体と3%過硫酸カリウム水溶液とを3時間かけて滴下した。
反応温度を80℃に保持したまま、さらに攪拌しながら、3%過硫酸カリウム水溶液を滴下終了後0.5時間ごとに1.0部ずつ2回添加し、その後2時間熟成し、反応を継続した。その後、25℃になるまで冷却し、アンモニア水にてpH=7.5に調整して不揮発分濃度60%のベースポリマー(アクリル系樹脂水性分散体)を得た。得られたベースポリマーの不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、及び平均粒子径(Dm)を、後述の方法に従って求め、結果を表3に示した。
(合成例102、103)
表7に記載した材料および配合量に変更した以外は、合成例101と同様に、それぞれベースポリマー(アクリル系樹脂水性分散体)を合成した。得られたベースポリマーの不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)、及び平均粒子径(Dm)を、後述の方法に従って求め、結果を表7に示した。
《溶液外観》
合成例1〜37で得られた共重合体(B)溶液の外観を、それぞれ25℃の条件下で、目視にて観察した。極端に黒っぽく無ければ良好である。
《不揮発分濃度(NV)》
各合成例で得られた共重合体樹脂溶液またはベースポリマーの水性分散体、各製造例で得られた粘着付与樹脂水性分散体を、それぞれ、約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブン中にて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(固形分)とした(単位:%)。
《溶液粘度(Vis)》
合成例1〜37で得られた共重合体樹脂溶液、合成例101〜103で得られたベースポリマーの水性分散体または製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体を、それぞれを25℃でB型粘度計(東機産業社製 TV−22)にて、ローターNo2〜4、回転速度0.5〜100rpm、1分間回転の条件で測定し、溶液または水性分散体の粘度(mPa・s)とした。
《平均分子量(Mw)》
合成例1〜37で得られた共重合体樹脂について、数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)の測定は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)の決定は、標準物質であるポリスチレンの換算値とした。
装置名:昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPC System−21」
カラム:東ソー社製GMHXL:4本、東ソー社製HXL-H:1本を直列に連結した。
移動相溶媒 : テトラヒドロフラン(THF)
流量 : 1.0ml/分
カラム温度 : 40℃
合成例1〜37で得られた共重合体樹脂について、共栓三角フラスコ中に試料約1gを精秤し、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。次いで、アセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を5ml加え、1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は共重合体の不揮発分換算値である。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
《酸価(AV)》
合成例1〜37で得られた共重合体樹脂について、共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容積比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
《ガラス転移温度(Tg)》
合成例1〜37で得られた共重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ロボットDSC(示差走査熱量計、セイコーインスツルメンツ社製「RDC220」)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して、測定した。
試料約10mgをアルミニウムパンに入れ、秤量して示差走査熱量計にセットし、試料を入れない同タイプのアルミニウムパンをリファレンスとして、100℃の温度で5分間保持した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷した。その後、昇温速度10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg、単位:℃)を決定した。
《平均粒子径(Dm)》
合成例101〜103で得られたベースポリマーの水性分散体及び製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体の平均粒子径は、日機装社製「マイクロトラック」を使用して測定した。平均粒子径は、累積百分率の50%の値を適用した。
《水素イオン指数(pH)》
合成例101〜103で得られたベースポリマーの水性分散体または製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体で得られたpHは、HORIBA製F−52S,電極:型式6377−10Dを用いて測定した。
《濾過性の評価》
製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体を180メッシュの炉布で濾過して、3段階の評価をした。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:速やかに濾過でき、残渣が全くない。良好。
△:若干濾過に時間を要し、不揮発分濃度に影響しない程度の残渣が多少残る。実用上使用可能。
×:濾過時間が長く、また残渣がかなり多い。不揮発分濃度が減少している。実用不可。
《釜汚れ性の評価》
製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体の製造後における攪拌槽槽璧への固形物付着状況と、水による洗浄性について、3段階の評価をした。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:付着が全くなく、また洗浄性も良好
△:固形物の付着は若干あるが、洗浄性が良い。実用上使用可能。
×:固形物の付着が多く、洗浄してもとれない。実用不可。
《貯蔵安定性の評価》
製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体を225mlのマヨネーズ瓶に採取し、蓋をした状態で、25℃にて1ヶ月間貯蔵後、水性分散体の分散質と液層(分散媒)の分離の状態を3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:1ヶ月間貯蔵しても水性分散体は分離しない。良好。
△:2週間以上の貯蔵で分離するが、振とうにより均一な水性分散体に戻る。実用上使用可能。
×:2週間未満の貯蔵で分離するか、振とうしても均一な水性分散体に戻らない。実用不可。
《機械的安定性の評価》
製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体50gに水を5g添加して希釈し、300メッシュの金網で濾過して、そのうちの50gを試験試料とした。マロン式機械的安定性試験機[テスター産業社製]を用いて、温度25℃、荷重15kg、回転速度1,000rpmの条件で10分間機械的負荷を与えた後、生成する凝集物を300メッシュの金網で濾過し、初期の水性分散体の乾燥質量に対する凝集物の乾燥質量を算出し、凝集物の生成割合(%)により機械的安定性を3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:凝集物の生成割合が、0.1%未満。良好。
△:凝集物の生成割合が、0.1〜1.0%の範囲である。実用上使用可能。
×:凝集物の生成割合が、1.0%を超える。実用不可。
ここで、凝集物の生成割合は、下記の方法で算出した。
凝集物の生成割合(%)=100×(凝集物の質量)/(試験試料初期の質量)
《溶剤含有率の評価》
製造例1〜78で得られた粘着付与樹脂水性分散体をガスクロマトグラフィー[島津製作所社製「ガスクロマトグラフGC−8A」]を用い、水性分散体を必要に応じて水で1質量%に希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求め、3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。なお、検出限界は100ppmである。
キャリアーガス:窒素
カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製)
:PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)
カラムサイズ:直径3mm×3m
試料投入温度(インジェクション温度):180℃
カラム温度:80℃
内部標準物質:n−ブタノール〕

○:有機溶剤の含有率が、100ppm未満(検出限界以下)。良好。
△:有機溶剤の含有率が、100〜1,000ppmの範囲である。実用上使用可能。
×:有機溶剤の含有率が、1,000ppmを超える。実用不可。
各合成例と各製造例で使用した材料の略号を以下に示す。尚、数値は部を表し、空欄は配合なしを、「−」表示は未評価を表す。
<表1、2>
・化合物(b1)
MA:アクリル酸メチル、MMA:メタクリル酸メチル、MTA:アクリル酸2−メトキシエチル、THFA:アクリル酸テトラヒドロフルフリル、DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド、VAc:酢酸ビニル
・化合物(b2)
AA:アクリル酸、EAA:アクリル酸2−カルボキシエチル、MAA メタクリル酸
・化合物(b3)
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、LA:アクリル酸ラウリル、CEA:アクリル酸セチル、MCMA:メタクリル酸3,3,3−トリメチルシクロヘキシル、IBXMA:メタクリル酸イソボニル、VNB:5−ビニル−2−ノルボルネン
・化合物(b4)
MCA:アクリル酸ミリシル(分配係数LogPが10以上のエチレン性不飽和化合物)、EPOCA:アクリリック 8−(3−ヘキサデシルオキシラン−2−イル)オクタノイックアンヒドライド(分配係数LogPが3以上10未満で極性基を有するエチレン性不飽和化合物)、BA:アクリル酸ブチル、EMA:メタクリル酸エチル、BZMA:メタクリル酸ベンジル
・EO含有(エチレンオキサイドユニット含有)
EOMA:メタクリル酸メトキシポリオキシエチレン(EO付加モル数:9)
・OH含有(水酸基含有)
2HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・重合開始剤
V65:2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業社製「V65」]、PBO:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[日本油脂社製「パーブチルO」]
・塩基性化合物(E)
TEA:トリエチルアミン、DMBA:N,N−ジメチルベンジルアミン、EA:2−アミノエタノール
<表3、4>
・粘着付与樹脂(A)
D160:重合ロジンエステル[荒川化学工業社製「ペンセルD−160」、軟化点=160℃]、KT3:重合ロジンエステル[ハリマ化成社製「ハリエスターKT−3」、軟化点=180℃]、KR140:水添ロジンエステル [荒川化学工業社製「パインクリスタルKR−140」、軟化点=140℃]、FTR:石油系樹脂[三井化学社製「FTR6125」、軟化点=125℃]、T160:テルペン・フェノール樹脂[ヤスハラケミカル社製「YSポリスターT160」、軟化点=160℃]
・粘着付与樹脂(A)でない粘着付与樹脂
E−H:ロジンエステル[荒川化学工業社製「エステルガムH」、軟化点=68℃]
・共重合体樹脂(B)
合成例:表1記載の各合成例で得られた化合物(合成例1〜37)
・液状樹脂(C)
HV100:ポリブテン[JXTGエネルギー社製「日石ポリブテンHV−100」、Mn=980]、P1025:ダイマー酸[CRODA社製「Pripol1025」、Mn=560.9]、P2010:ポリエステルポリオール[クラレ社製「クラレポリオールP−2010」、Mn=2,000]、UV22C:ロジン変性エポキシアクリレート[ハリマ化成社製「バンビームUV−22C」、Mn=3,800]
・界面活性剤(D)(アニオン)
LAEOA:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(EO付加モル数:20)、DBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム
・界面活性剤(D)(ノニオン)
STEO:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(EO付加モル数:50)、YDEA:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
・塩基性化合物(e1)
DMBA:N,N−ジメチルベンジルアミン、TEA:トリエチルアミン
・塩基性化合物(e2)
EA:2−アミノエタノール
・水
W:イオン交換水
・有機溶剤
TOL:トルエン
・その他化合物(F)
KM73A:シリコーン系消泡剤 〔信越化学社製「信越シリコーンKM−73A」〕
<表7>
・エチレン性不飽和単量体
BA:アクリル酸ブチル、2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、MA:アクリル酸メチル、MMA:メタクリル酸メチル、HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、AA:アクリル酸、DAAM:ジアセトンアクリルアミド
・連鎖移動剤
SGO:チオグリコール酸オクチル
・界面活性剤
KH10:反応性界面活性剤[[第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」]
・重合開始剤
KPS:3%過硫酸カリウム水溶液
・水
W:イオン交換水
なお、表1中の重合開始剤の欄に記載した質量は、重合槽では添加した質量を、滴下中に3回添加した質量の総和、及び後添加は滴下終了後に2回添加した質量の総和を意味する。また、表3中の重合開始剤の欄に記載した質量は、滴下槽に仕込んだ質量と滴下終了後に2回添加した質量の総和を意味する。
<水性粘着剤>
上記製造例で得られた粘着付与樹脂水性分散体を用い、それぞれ以下の方法で水性粘着剤を作成した。
(実施例1)
攪拌槽、攪拌機、温度計を備えた攪拌装置の攪拌槽に、下記ベースポリマー、粘着付与樹脂水性分散体およびその他化合物(F){架橋剤、粘度調整剤、消泡剤及び防腐剤}をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[攪拌槽]
合成例101のベースポリマー(P) 100部
製造例1の粘着付与樹脂水性分散体 10部
アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液(架橋剤) 1.0部
アデカノール UH−420(粘度調節剤) 0.4部
SNデフォーマー154(消泡剤) 0.1部、
デルトップ100N(防腐剤) 0.01部
攪拌機としてホモミキサー〔中央理化社製「LZB46−HM−3」〕を使用して、回転数2,000rpmで、0.5時間攪拌した。次に、攪拌しながら、アクリゾル ASE−60(粘度調節剤)、アンモニア水及びイオン交換水を加えて調整し、不揮発分濃度(NV)約50%、溶液粘度(Vis)約8,000mPa・s、水素イオン指数(pH)約8.0に調整して、水性粘着剤を得た。得られた水性粘着剤の不揮発分濃度(NV)、溶液粘度(Vis)及び水素イオン指数(pH)を、上記した方法に従って求め、結果を表4に示した。
(実施例2〜78、比較例1〜13)
表8〜10に記載した材料のうち、ベースポリマー、粘着付与樹脂水性分散体、架橋剤、粘度調整剤、消泡剤及び防腐剤を表8〜10の記載に従い配合し撹拌混合を行い、それぞれ水性粘着剤を得た。
得られた各水性粘着剤を各基材に塗工、乾燥および貼り合わせを施し、粘着シートを作成し、以下の方法で評価した。それぞれの結果を表11〜13に示す。
なお、比較例5においては、粘着付与樹脂水性分散体が作成できないか、あるいは濾過性が著しく不良だったため、水性粘着剤の製造及び塗工は行わなかった。
《貯蔵安定性の評価》
各実施例および比較例において得られた水性粘着剤を、上記同様、225mlのマヨネーズ瓶に採取し、蓋をした状態で、25℃にて1ヶ月間貯蔵後、水性粘着剤の分散質と液層(分散媒)の分離の状態を3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:1ヶ月間貯蔵しても水性分散体は分離しない。良好。
△:2週間以上の貯蔵で分離するが、振とうにより均一な水性分散体に戻る。実用上使用可能。
×:2週間未満の貯蔵で分離するか、振とうしても均一な水性分散体に戻らない。実用不可。
《機械的安定性の評価》
各実施例および比較例において得られた水性粘着剤を、上記同様、50g採取して水を5g添加して希釈して300メッシュの金網で濾過し、そのうちの50gを試験試料とした。マロン式機械的安定性試験機[テスター産業社製]を用いて、温度25℃、荷重15kg、回転速度1,000rpmの条件で10分間機械的負荷を与えた後、生成する凝集物を300メッシュの金網で濾過し、初期の水性粘着剤の乾燥質量に対する凝集物の乾燥質量を算出し、凝集物の生成割合(%)により機械安定性を3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:凝集物の生成割合が、0.1%未満。良好。
△:凝集物の生成割合が、0.1〜1.0%の範囲である。実用上使用可能。
×:凝集物の生成割合が、1.0%を超えている。実用不可。
ここで、凝集物の生成割合は、下記の方法で算出した。
凝集物の生成割合(%)=100×(凝集物の質量)/(試験試料初期の質量)
《塗工性の評価》
得られた水性粘着剤を、剥離ライナーとして剥離処理された市販のグラシン紙(以下、「グラシンセパレーター」とも称す。)上に、乾燥後の粘着剤層の厚さが18μmになるように塗工し、100℃で2分間熱風乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、上記塗工面に60μm厚の市販上質紙を貼り合せて、上質紙/粘着剤層/剥離ライナーで構成された粘着シートを作製した。そして剥離ライナーを剥がした後の粘着剤層表面(塗工面)の状態を目視にて観察し、3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:塗工面にハジキ、発泡やスジ引きが認められず、平滑な塗工面である。良好。
△:塗工面の端部に若干のハジキや発泡が認められる。実用上使用可。
×:塗工面全体にハジキ、発泡やスジ引きが認められた。不良。
《加工性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各粘着シートを、23℃相対湿度50%の環境下で3日間養生した。その後、幅100mm×長さ100mmに裁断し、これを20枚重ね、40℃−60Kg/cm2の条件で1時間プレスした際の接着フィルム端部からの接着層のはみ出しの様子を以下のように3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:粘着剤層のはみ出しが観測されない。良好。
△:0.3mm未満の粘着剤層のはみ出しが観測されるが、実用上使用可能。
×:0.3mm以上の粘着剤層のはみ出しが観測される。不良。
《剥離強度の測定》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各粘着シートを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層を厚さ3mmのポリエチレン(PE)板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。この測定試料を、23℃、相対湿度50%の環境下で1日間放置した後に、同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180度の条件で剥離強度を測定した(貼り合わせ1日後の剥離強度測定)。
また、上記測定試料を、60℃、相対湿度95%の環境下で3日間放置した後に、同様の方法で剥離強度を測定した(湿熱経時3日後の剥離強度測定)。この剥離強度を接着力として3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:接着力が20.0(mN/25mm)以上。良好。
△:接着力が15.0(mN/25mm)以上20.0(mN/25mm)未満。実用可。
×:接着力が15.0(mN/25mm)未満。不良で実用不可。
《保持力の測定》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各粘着シートを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、貼り合わせ部分が25mm×25mmとなるように剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層を厚さ3mmのステンレス(SUS)板に23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。
この測定試料を、40℃の環境下で20分間放置した後に、40℃環境下で1kgの荷重をかけ、保持力試験機[テスター産業社製]を用いて、40℃の条件で7万秒測定を行い、荷重が落下するまでの時間、または落下しない場合には、初期の貼り付け時からずれた長さを測定し、次の3段階で評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:荷重の落下もなく、ズレが0.5mm未満。良好。
△:荷重の落下はないが、ズレが0.5mm以上。実用可。
×:7万秒未満で落下。不良で実用不可。
《曲面接着性の評価》
上記、《塗工性の評価》と同じ方法により作成した各粘着シートを、幅20mm×長さ22mmに裁断し、10mmφのポリエチレン(PE)樹脂円筒の曲面に、試料の長さ方向が円周方向に沿うように貼り付け、2kgゴムローラーで圧着し、23℃−50%の雰囲気下で24時間放置した。その後、試料の長さ方向の末端部分の剥がれ状態を目視で観察し、下記基準で3段階評価した。

○:全く剥離していないか、または試料末端の0.1mm未満の部分が剥離している。良好
△:試料末端の0.1〜0.5mmの部分が剥離している。実用可。
×:試料末端の0.5mmを超える部分が剥離している。不良で実用不可。
《定荷重剥離性試験の評価》
得られた水性粘着剤を、グラシンセパレーターの剥離面上に、乾燥後の厚さが60μmになるように塗工し、100℃で2分間熱風乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、表皮層(ファブリック)/発泡ウレタン層/ポリエステル不織布層からなる3層構造の厚さ10mmのシート状発泡体である表皮材のポリエステル不織布層を貼り合わせ、表皮材の厚さがもとの厚さの10%になるように加圧して圧着し、表皮材/粘着剤層/剥離ライナーで構成された粘着シートを作製した。
得られた粘着シートをそれぞれ幅25mm×長さ100mmに裁断し、剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層を幅25mm×長さ80mm部分をポリプロピレン板(以下、「PP板」とも称す)23℃、相対湿度50%の環境下で貼着し、質量2kgのロールを1往復して測定試料を得た。
得られた測定試料を23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置し、さらにその後、80℃の環境下で1時間放置した後に、貼付け面が下側となるようにしてPP板を水平に保ち、貼付けられていない部分の粘着シートの端部に100gの錘を吊り下げ、1時間放置し、PP板から剥がれた部分の長さを計測した。1時間以内にPP板からすべて剥がれ落ちた場合は、それまでの時間を測定し、下記基準で3段階評価した。なお、試験は80℃の環境下で行った。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:落下せず、ズレ20mm未満。良好で実用上問題ない。
△:50分以上で落下。実用可。
×:50分未満で落下。不良で実用不可。
《基材密着性の評価》
上記、《定荷重剥離性試験の評価》と同じ方法により作成した各粘着シートから剥離ライナーを剥がして露出した粘着剤層を指でこすり、粘着剤層が基材である表皮材から脱落するかどうかを下記基準で3段階評価した。「○」または「△」評価の場合、実際の使用時に支障ない。

○:15往復回を超えてこすっても基材から脱落しない。良好で実用上問題ない。
△:5〜15往復回で基材から脱落する。実用可。
×:5往復回未満で粘着剤が脱落する。不良で実用不可。
実施例、及び比較例で使用した材料を以下に示す。尚、表8〜11において、空欄は配合なしを、「−」表示は未塗工を意味している。
・ベースポリマー(P)
合成例:表4記載の各合成例で得られたアクリル系水性分散体(合成例101〜103)、LA50:クロロプレンラテックス[デンカ社製「LA−50」、NV=50%]、GFL280:クロロプレンラテックス[東ソー社製「スカイプレンラテックスGFL−280」、NV=52%]
・粘着付与樹脂水性分散体
製造例:表2記載の各製造例で得られた粘着付与樹脂水性分散体(製造例1〜84)
・架橋剤(F)
ADH:アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液
・粘度調整剤(F)
UH420:アデカ社製「アデカノール UH−420」、NV=30%、ASE60:ダウケミカル社製「アクリゾル ASE−60」、NV=28%
・消泡剤(F)
SN154:サンノプコ社製「SNデフォーマー154」
・防腐剤(F)
100N:大阪ガスケミカル社製「デルトップ100N」
・水
W:イオン交換水
以上のように、本発明の水性接着剤は、実施例1〜3、5〜7、9〜28、30〜36、38〜44、51、52、54〜56、58〜69、および73〜78においては、貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、剥離強度、保持力、曲面接着性、定荷重剥離及び基材密着性のいずれにおいても、「△」評価(実用可能レベル)が10項目中3個以下であり、他は全て「○」評価(良好レベル)のため、優れていることが分かる。
また、実施例4、8、29、37、45〜50、53、57および70〜72においては、各評価の「△」評価(実用可能レベル)が10項目中4〜10個であり、「×」評価(不良レベル)が一つもないため、実用上支障なく使用することが可能である。
これに対して、比較例1〜13では、貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、剥離強度、保持力、曲面接着性、定荷重剥離及び基材密着性のいずれかが極端に劣ることがわかる。
本発明に係る粘着付与剤樹脂水性分散体は、有機溶剤を用いずに高濃度に粘着付与樹脂を含有しても優れた濾過性、釜汚れ性、機械的安定性および貯蔵安定性の良好な高軟化点の粘着付与樹脂水性分散体を有することができ、またベースポリマーとの相溶性も良好であるため、概粘着付与剤樹脂水性分散体を含有した水性粘着剤は、優れた貯蔵安定性、機械的安定性、塗工性、加工性、接着性、曲面接着性、耐湿熱性、定荷重剥離性、基材密着性等を与えることから、建築分野(例えば、外装、内装、設備など)、電気機器分野(例えば、家電、厨房設備、空調など)、輸送器機分野(例えば、船舶、自動車など)、家具分野、雑貨分野などの光学分野以外の各種産業分野においても使用することが可能である。
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Claims (14)

  1. 軟化点が100〜180℃である粘着付与樹脂(A)、および
    水酸基およびエチレンオキサイドユニットを有しない、酸価20〜200mgKOH/gである共重合体樹脂(B)を含み、
    前記粘着付与樹脂(A)100質量部に対して、前記共重合体樹脂(B)を0.5〜50質量部含み、有機溶剤の含有率が1000ppm以下である粘着付与樹脂水性分散体。
  2. 前記共重合体樹脂(B)を構成する単量体単位として、分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しないエチレン性不飽和化合物(b1)単位、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物(b2)単位、および分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(b3)単位を含有し、前記共重合体樹脂(B)100質量%中、
    前記化合物(b1)30〜75質量%、
    前記化合物(b2)5〜15質量%、および
    前記化合物(b3)10〜65質量%
    であることを特徴とする請求項1記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  3. 前記分配係数LogPが3以上10未満の極性基を有しないエチレン性不飽和化合物(b3)が、アルキル基を有し、かつ芳香環を有しない、請求項1または2記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  4. 前記分配係数LogPが0以上1未満の活性水素含有の官能基を有しないエチレン性不飽和化合物(b1)が、芳香環を有しないことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  5. 前記共重合体樹脂(B)は、質量平均分子量が1,000〜300,000であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  6. 前記共重合体樹脂(B)は、ガラス転移温度が−10〜80℃であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  7. 前記粘着付与樹脂(A)が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  8. さらに、質量平均分子量が500〜50,000である液状樹脂(C)(但し、前記粘着付与樹脂(A)および前記共重合体樹脂(B)である場合を除く。)を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  9. さらに、界面活性剤(D)を含むことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  10. 前記界面活性剤(D)が、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤の少なくともいずれかを含む請求項9記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  11. さらに、塩基性化合物(E)を含むことを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  12. 前記塩基性化合物(E)が、3級アミンである請求項11記載の粘着付与樹脂水性分散体。
  13. ベースポリマー(P)と、請求項1〜12いずれか1項記載の粘着付与樹脂水性分散体とを含む、水性粘着剤。
  14. 基材(G)上に、請求項13記載の水性粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた、粘着フィルム。

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