JP2020139024A - 変性エラストマー組成物、架橋エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[10]に存する。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):非共役ジエン単位を含まないエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
成分(C): 1.0g/10分以上のメルトフローレート(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び3.0cN以上のメルトテンションを有する、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(D):不飽和シラン化合物
成分(E):過酸化物
RSi(R’)3 …(1)
(ただし、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、R’は互いに独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、R’のうちの少なくとも1つは炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
本発明の変性エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物、並びにこれを用いた成形体は、従来熱硬化性ゴムが使用されている良好なゴム弾性が要求される用途、さらに厳しい使用環境に曝される種々の用途への展開が期待できる。
本発明の変性エラストマー組成物は、下記成分(A)〜(D)を含み、且つ下記成分(E)によりグラフトされてなる変性エラストマー組成物であり、好ましくは更に下記成分(F)〜(G)を含む。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):非共役ジエン単位を含まないエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
成分(C):1.0g/10分以上のメルトフローレート(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び3.0cN以上のメルトテンションを有する、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(D):不飽和シラン化合物
成分(E):過酸化物
成分(F):架橋助剤
成分(G):軟化剤
本発明の架橋エラストマー組成物は、上記変性エラストマー組成物を下記成分(H)により架橋反応させてなるものである。
成分(H):シラノール縮合触媒
本発明の変性エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物が、圧縮永久歪特性に優れ、成形性、表面外観が良好であるという効果を奏するメカニズムは、以下の通り推定される。
成分(A)が成分(B)の中に微分散されることにより均一に架橋が進行し局所的な架橋を抑えることでブツの低減効果が発現される。更に、残存二重結合が存在しないことから良好な物性を得ることができる。また、成分(C)の歪み硬化性により、成分(A)と成分(B)を流動層として抱え込むことで良好な成形性を発現し、よって、押出外観に優れたものとなり、さらに動的熱処理段階で成分(A)の粒径を小さくすることができるため、良好なゴム弾性を得ることができる。
成分(A)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、共重合成分としてエチレンとα−オレフィンと非共役ジエン化合物とを含有する共重合体である。エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムには、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤との混合物(以下、「油展エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム」と称することもある。)である油展タイプのものと、炭化水素系ゴム用軟化剤を含まない非油展タイプのものがあり、本実施形態では油展タイプの共重合体ゴムを意図しているが、非油展タイプのものも好適に用いることができる。すなわち、本発明において、成分(A)のエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、油展タイプと非油展タイプのいずれでも使用可能であり、非油展タイプのもの又は油展タイプのものの1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよく、油展タイプの1種又は2種以上と非油展タイプの1種又は2種以上とを任意の組み合わせ及び比率で用いることもできる。
なお、油展タイプの場合、混合物中に含まれる炭化水素系ゴム用軟化剤は、成分(G)の軟化剤として分類される。
成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン単位とα−オレフィン単位を含み、非共役ジエン単位を含まない共重合体、すなわち成分(A)を除くエチレン・α−オレフィン共重合体である。成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体はこのようなものであればその種類は特に限定されず、公知のエチレン・α−オレフィン共重合体が適宜用いられる。
成分(C)の改質ポリプロピレンは、歪み硬化性を示すポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体又はプロピレン系共重合体、以下「プロピレン系(共)重合体」と記載する場合がある。)である。ここで、「歪み硬化」とは、溶融物の延伸歪みの増加にともない粘度が上昇する現象を意味し、本発明において「歪み硬化性」の有無は、後述する条件でメルトテンションを測定した時の溶融ストランドの破断挙動から判定でき、引き取り速度を増加させた際に急激に引き取り荷重が増加し、切断に至るときは歪み硬化性を示すと判定される。
即ち、メルトテンション測定用アタッチメントが装備されており、先端にφ1mm、長さ10mmのオリフィスを装着したφ10mmのシリンダーを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃、ピストン降下速度10mm/分で降下させた際にダイから吐出されるストランドを350mm下のロードセル付きプーリーに掛けて1m/分の速度で引き取り、安定後に引き取り速度を4分間で200m/分の速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を測定し、この測定された荷重をメルトテンションとする。
長鎖分岐構造を有するプロピレン系(共)重合体は、下記構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。構造式(1)において、Ca、Cb、Ccは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン系(共)重合体残基を示す。
P1、P2、P3は、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
なお、本発明における13C−NMRの測定方法については、下記の通りである。
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行う。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行う。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施する。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
分岐指数g’:[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
本発明で用いる成分(D)の不飽和シラン化合物は限定されないが、下記式(1)で表される不飽和シラン化合物が好適に用いられる。
RSi(R’)3 ・・・(1)
成分(E)の過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド群に含まれる有機過酸化物が挙げられ、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
これらの有機過酸化物は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分(F)の架橋助剤としては例えば、メトロハイドロジェンシリコン等の水素化ケイ素化合物、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド等のビスマレイミド構造を有する化合物;トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、塩化錫(SnCl2)等が挙げられる。これらの中では、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物や多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
本発明の変性エラストマー組成物は、柔軟性を増加させるとともに、加工性や流動性、耐油性を向上させる観点から、成分(G)として軟化剤を含有することができる。
軟化剤として液状炭化水素系ゴム用軟化剤を用いることで、本発明の変性エラストマー組成物の柔軟性や弾性を増加させることができ、また加工性や流動性が飛躍的に向上する傾向にある。
本発明の変性エラストマー組成物に成分(H)シラノール縮合触媒を配合することにより、組成物を分子間で架橋反応させることができ、水と反応して加水分解することによりシラノール基が生成し、更にシラノール基同士が脱水縮合することにより、架橋反応が進行し、変性エラストマー同士が結合して耐熱性に優れた架橋エラストマー組成物を生成させることができる。
本発明の変性エラストマー組成物は、成分(A)を5〜40質量部、成分(B)を30〜90質量部、成分(C)を5〜30質量部の割合でこれらを合計で100質量部となるように含むことが好ましい。
成分(A)の含有割合が上記上限よりも多く、成分(B)及び成分(C)の含有割合が上記下限よりも少ないと表面外観が劣る傾向があり、逆に、成分(A)の含有割合が上記下限よりも少なく、成分(B)及び成分(C)の含有割合が上記上限よりも多いとべたつきが多くなる傾向がある。
成分(B)の含有割合が上記上限よりも多く、成分(A)及び成分(C)の含有割合が上記下限よりも少ないとブロッキングが激しくなる傾向があり、逆に、成分(B)の含有割合が上記下限よりも少なく、成分(A)及び成分(C)の含有割合が上記上限よりも多いと圧縮永久歪が悪化する傾向がある。
成分(C)の含有割合が上記上限よりも多く、成分(A)及び成分(B)の含有割合が上記下限よりも少ないと圧縮永久歪が悪化する傾向があり、逆に、成分(C)の含有割合が上記下限よりも少なく、成分(A)及び成分(B)の含有割合が上記上限よりも多いと成形性や表面外観が悪化する傾向がある。
成分(E)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対し、好ましくは0.01〜3質量部であり、十分な架橋反応を得ると共に平滑な成形外観を保つ観点からより好ましくは0.05〜2質量部、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
本発明の変性エラストマー組成物には、上記成分の他に、その他の成分として各種の添加剤や充填剤、成分(A)〜(C)以外の樹脂やエラストマー等を本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
本発明の変性エラストマー組成物は、成分(A)及び(B)の2種の共重合体と、成分(C)の歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン、成分(D)の不飽和シラン化合物及び成分(E)の過酸化物、必要に応じて架橋助剤、軟化剤、その他の成分等を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダー等で機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することができる。この溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。また、後掲の実施例に示すように、本発明の組成物を単軸又は二軸押出機等で混練して製造する場合、通常120〜240℃、好ましくは120〜220℃に加熱した状態で溶融混練を行うことができる。
本発明の変性エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物の用途は特に限定されないが、グラスランチャンネル、ウェザーストリップ、ホース、ワイパーブレード、グロメット等の自動車部品やパッキン、ガスケット、クッション、防振ゴム、チューブ等の建築、工業部品、その他スポーツ、雑貨用品、医療用部品、食品用部品、家電用部品、電線被覆材として好適に用いることができる。
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
(A−1):三井EPT(登録商標)3072EPM(三井化学社製)
メタロセン触媒系油展EPDM
非共役ジエン:5−エチリデン−2−ノルボルネン
ジエン含有量:5.4質量%
エチレン単位含有量:64質量%
ムーニー粘度:51ML(予備加熱1分、および回転後4分後の値)125℃
(B−1):エンゲージ(登録商標) XLT8677(ダウ・ケミカル社製)
エチレン・α−オレフィン共重合体
α−オレフィン:1−オクテン
MFR(190℃、21.2N):1.0g/10分
密度:0.87g/cm3
融解終了点:123℃
(C−1)WAYMAX MFX8(日本ポリプロ株式会社製)
MFR(230℃、21.2N):1g/10分
メルトテンション:24cN(230℃)
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量:0.1個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.89
(C−2)WAYMAX MFX3(日本ポリプロ株式会社製)
MFR(230℃、21.2N):8g/10分
メルトテンション:5cN(230℃)
メチレン炭素(Ca、Cb、Cc)およびメチン炭素(Cbr):観測される
長鎖分岐量:0.2個/1000トータルプロピレン(全骨格形成炭素1000個あたり)
絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’:0.87
(C−3)ノバテック FY6(日本ポリプロ株式会社製)
MFR(230℃、21.2N):2.5g/10分
メルトテンション:2.4cN(230℃)
密度(JIS K7112:1999):0.90g/cm3
融点:160℃
(C−4)Adflex Q 300F(Lyondell basell社製)
MFR(230℃、21.2N):0.8g/10分
メルトテンション:7.8cN(230℃)
密度(JIS K7112:1999):0.88g/cm3
融点:163℃
(D−1)ビニルトリメトキシシラン:KBM−1003(信越化学社製)
(E−1)ジ(2−ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン:パーブチルP(日油社製)
(E−2)ジターシャリーブチルパーオキサイド:パーブチルD(日油社製)
(E−3)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン:カヤヘキサAD40C(化薬アクゾ株式会社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン40質量%と有機フィラー60質量%との混合物)
(F−1)ジビニルベンゼン(和光純薬工業株式会社製 ジビニルベンゼン55質量%とエチルビニルベンゼン45質量%との混合物)
(G−1)パラフィン系ゴム用軟化剤:ダイアナ(登録商標) プロセスオイルPW90(出光興産株式会社製、パラフィン系オイル)
40℃の動粘度:95.54cSt(センチストークス)
流動点:−15℃
引火点:272℃
(H−1)シラノール縮合触媒MB:LZ033(三菱ケミカル株式会社製、1.2%錫触媒(ジオクチル錫ジラウレート)含有線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンのMFR:2g/10分(190℃、21.2N荷重)、低密度ポリエチレンの密度:0.92g/cm3)
(株)日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計、商品名「DSC6220」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約5mgを加熱速度100℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で3分間保持した後、冷却速度10℃/分で−10℃まで降温し、その後、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから補外ピーク終了点(℃)を算出し、融解終了点とした。
メルトテンション測定用アタッチメントが装備されており、先端にφ1mm、長さ10mmのオリフィスを装着したφ10mmのシリンダーを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃、ピストン降下速度10mm/分で降下させた際にダイから吐出されるストランドを350mm下のロードセル付きプーリーに掛けて1m/分の速度で引き取り、安定後に引き取り速度を4分間で200m/分の速度に達する割合で増加させ、ストランドが破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を測定し、この測定された荷重をメルトテンションとした。
なお、表1中、メルトテンションは「MT」と略記する。
実施例及び比較例におけるエラストマー組成物の各種評価方法を以下に示す。
得られた成形シートについて、JIS K6253(Duro−A)に準拠し、デュロA硬度(15秒後)を測定した。
得られた成形シートについて、JIS K6262の規格に準拠し、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。
得られた架橋エラストマー組成物を口径20mmの単軸押出機、フルフライトスクリューを用い、シリンダー設定温度160℃〜200℃、回転数20rpmにて、厚さ0.5mm×幅35mmのシートを成形し、目視にて得られたシート表面のブツの有無と耳切れの有無を観察し、以下の基準にて判断した。
<ブツ>
〇:良い(押出成形シートの表面に凸状の外観不良が無く平滑)
△:やや悪い(押出成形シートの表面に凸状の外観不良が10個/m未満存在)
×:悪い(押出成形シートの表面に凸状の外観不良が10個/m以上存在)
<耐耳ぎれ>
〇:良い(押出成形シートの両端に切り込みが入らず平滑)
△:やや悪い(押出成形シートの両端に1mm程度の切り込みが存在)
×:悪い(押出成形シートの両端に2mm以上の切り込みが存在)
表1の通りに示す原料配合で、(G−1)以外の各原料を配合し、ヘンシェルミキサーにて1分間混合した。次いで、同方向二軸押出機(日本製鋼所社製、商品番号:TEX30、L/D=46、シリンダーブロック数:12)の上流の供給口に、得られた混合物を質量式フィーダーにて投入した。そして、液添ポンプにて成分(G−1)を押出機の途中の供給口から供給し、合計25kg/hの吐出量にて、上流部から下流部を120〜200℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、ストランドをカットすることでペレット化して変性エラストマー組成物を製造した。得られた変性エラストマー組成物100質量部に対して、成分(H−1)シラノール縮合触媒MBとしてLZ033を4質量部(錫触媒として0.048質量部)加えて触媒MBを含有する架橋エラストマー組成物を得た。これをインラインスクリュータイプの射出成形機(東芝機械社製、商品番号:IS130)を用い、射出圧力50MPa、シリンダー温\\度220℃、金型温度40℃の条件下にて、組成物を射出成形して厚さ2mm×幅120mm×長さ80mmのシートを成形した。さらに85℃、85%RHの条件で恒温恒湿機に24時間曝して、表面硬度、圧縮永久歪評価用のシートとした。
得られた実施例1のエラストマー組成物の評価結果を表1に示す。
表1に示す原料配合に変更する以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2〜4及び比較例1〜5の変性エラストマー組成物のペレットをそれぞれ得、同様に各評価用シートを成形し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
同様に、成分(E−3)についても、実際の配合量ではなく、成分(E−3)のうちの2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンのみの配合量(実配合量の40%)で示し、成分(F−1)についても、実際の配合量ではなく、成分(F−1)のうちのジビニルベンゼンのみの配合量(実配合量の55%)で示す。
表1に示すとおり、本発明のエラストマー組成物に該当する実施例1〜4は、いずれも圧縮永久歪、成形性及び表面外観(ブツ、耐耳ぎれ)に優れていることがわかる。
一方、比較例1〜5のエラストマー組成物は、圧縮永久歪、成形性及び表面外観(ブツ、耐耳ぎれ)のいずれかが不十分であることがわかる。
これらの結果から、本発明のエラストマー組成物は良好なシール特性、成形外観を有することが判明した。
Claims (10)
- 下記成分(A)〜(D)を含み、且つ下記成分(E)によりグラフトされてなる変性エラストマー組成物。
成分(A):エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
成分(B):非共役ジエン単位を含まないエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
成分(C): 1.0g/10分以上のメルトフローレート(230℃、荷重21.2N、JIS K7210準拠)、及び3.0cN以上のメルトテンションを有する、歪み硬化性を示す改質ポリプロピレン
成分(D):不飽和シラン化合物
成分(E):過酸化物 - 前記成分(A)が前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計100質量部に対して5〜40質量部であり、前記成分(B)が前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計100質量部に対して30〜90質量部であり、前記成分(C)が前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計100質量部に対して5〜30質量部であり、前記成分(D)が前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計100質量部に対して0.01〜5質量部である、請求項1に記載の変性エラストマー組成物。
- 前記成分(E)の使用量が前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計100質量部に対して0.01〜3質量部である、請求項1又は2に記載の変性エラストマー組成物。
- 前記成分(B)の密度が0.880g/cm3以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
- さらに成分(F):架橋助剤を、前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の合計100質量部に対して0.001〜2質量部含む、請求項1〜4のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
- 前記成分(B)の示差走査熱量計(DSC)で測定される融解の終了ピーク温度が115℃以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
- 前記成分(D)が下記式(1)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
RSi(R’)3 …(1)
(ただし、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、R’は互いに独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、R’のうちの少なくとも1つは炭素数1〜10のアルコキシ基である。) - さらに成分(G):軟化剤を、前記成分(A)、前記成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して0.5〜200質量部含む、請求項1〜7のいずれかに記載の変性エラストマー組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の変性エラストマー組成物を成分(H):シラノール縮合触媒により架橋反応させてなる架橋エラストマー組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の変性エラストマー組成物又は請求項9に記載の架橋エラストマー組成物で成形された成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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