JP2020138961A - アミド化合物の製造方法 - Google Patents

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Aiichiro Nagaki
愛一郎 永木
真維 古澤
Mai Furusawa
真維 古澤
吾郎 橋本
Goro Hashimoto
吾郎 橋本
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Abstract

【課題】多様なカルボン酸ハロゲン化物を使用でき、副反応を抑えて所望のアミド化合物をバッチ式よりも高い収率で製造できるアミド化合物の製造方法の提供。【解決手段】フロー式のリアクターを用いたアミド化合物の製造方法であって、フロー式のリアクターが、第1の流通路と、第2の流通路と、第1の流通路と第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、第1の混合手段と接続し、第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路とを有し、カルボン酸ハロゲン化物を含有する第1の液を第1の流通路内に流通させ、かつ分子量が1,000以下のアミン化合物と無機アルカリと水とを含有する第2の液を第2の流通路内に流通させ、第1の混合手段で第1の液及び第2の液を混合して混合液を得る混合工程と、混合液を第3の流通路内に流通させ、第3の流通路内でカルボン酸ハロゲン化物とアミン化合物とを反応させてアミド化合物を得る反応工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、フロー式のリアクターを用いたアミド化合物の製造方法に関する。
アミド結合を有するアミド化合物は、化粧品、医薬品など、多くの用途で用いられている。
アミド結合を生成することでアミド化合物を合成する反応として、カルボン酸塩化物とアミン化合物とを水酸化ナトリウム水溶液の共存下で反応させてアミド化合物を得るショッテン・バウマン反応(Schotten−Baumann Reaction)が知られている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
ピリジン、トリエチルアミン、反応原料としてのアミン化合物などを塩基として使用する一般的なアミド化反応では、反応後にこれらのアミンの塩酸塩を廃棄物として処理しなくてはならない。それに対して、ショッテン・バウマン反応では、生成するのが無機塩であるため、廃棄物処理の負担が軽減される。また、ショッテン・バウマン反応は、有機溶媒を使用せずに反応を行うことができるため、反応後の脱有機溶媒が不要となる。そのため、ショッテン・バウマン反応は、工業スケールでの反応に適している。
しかし、ショッテン・バウマン反応では、水存在下で反応を行う関係上、副反応として、水とカルボン酸塩化物との反応が生じ、カルボン酸が副生成物として生成しやすい。そのため、ショッテン・バウマン反応が適用できるのは、ある程度炭素数の多い疎水性のカルボン酸塩化物に限られている。そして、ある程度炭素数の多い疎水性のカルボン酸塩化物であっても、ある程度の副反応は生じる。
そこで、ショッテン・バウマン反応を応用し、多様なカルボン酸ハロゲン化物を使用でき、かつ副反応を抑えて所望のアミド化合物を高い収率で製造する方法が求められているのが現状である。
Schotten, C. Ber. 1884, 17, 2544. Baumann, E. Ber. 1886, 19, 3218.
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、多様なカルボン酸ハロゲン化物を使用でき、かつ副反応を抑えて所望のアミド化合物をバッチ式よりも高い収率で製造できるアミド化合物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
フロー式のリアクターを用いたアミド化合物の製造方法であって、
前記フロー式のリアクターが、
第1の流通路と、
第2の流通路と、
前記第1の流通路と前記第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、
前記第1の混合手段と接続し、前記第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路と、
を有し、
カルボン酸ハロゲン化物を含有する第1の液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ分子量が1,000以下のアミン化合物と無機アルカリと水とを含有する第2の液を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記第1の液及び前記第2の液を混合して混合液を得る混合工程と、
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、前記第3の流通路内で前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物とを反応させてアミド化合物を得る反応工程と、
を含むことを特徴とするアミド化合物の製造方法。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、多様なカルボン酸ハロゲン化物を使用でき、かつ副反応を抑えて所望のアミド化合物をバッチ式よりも高い収率で製造できるアミド化合物の製造方法を提供することができる。
図1は、フローマイクロリアクターの一例を示す概略図である。 図2は、フローマイクロリアクターの他の一例を示す概略図である。 図3は、実施例1で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図4は、実施例2で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図5は、実施例3で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図6は、実施例4で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図7は、NaOHの当量とPの収率との関係を示すグラフである。 図8は、実施例5で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図9は、滞留時間(tR2)とPの収率との関係を示すグラフである。 図10は、実施例6で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図11は、実施例7で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図12は、実施例8で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図13は、実施例9で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図14は、実施例10で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図15は、実施例11で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。 図16は、比較例3及び実施例11の結果を示すグラフである。 図17は、実施例12で用いたフローマイクロリアクターの概略図である。
(アミド化合物の製造方法)
本発明のアミド化合物の製造方法は、フロー式のリアクターを用いたアミド化合物の製造方法である。
前記アミド化合物の製造方法は、混合工程と、反応工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてのその他の工程を含む。
前記アミド化合物の製造方法に用いられる前記フロー式のリアクターは、第1の流通路と、第2の流通路と、第3の流通路と、第1の混合手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、第4の流通路、第5の流通路、第2の混合手段、送液手段、温度調節手段などのその他の手段を有する。
なお、前記フロー式のリアクターを、フローマイクロリアクターと称することがある。
本発明のアミド化合物の製造方法によれば、バッチ式のアミド化合物の製造方法(例えば、ショッテン・バウマン反応)と異なり、制限を設けずにカルボン酸ハロゲン化物を用いることができる。
本発明のアミド化合物の製造方法によれば、バッチ式のショッテン・バウマン反応と比べ、カルボン酸の生成を抑えることができ、バッチ式よりも高い収率でアミド化合物を製造できる。
また、バッチ式のショッテン・バウマン反応においては、反応系内のpHが経時で変化するため、反応系内のpHのモニタリング及び制御が求められるところ、本発明のアミド化合物の製造方法は、フロー式のリアクターを用いるため、リアクターの任意の位置における反応系の状態は経時での変化が少ないため、反応系内のpHのモニタニングや制御を必要としない。
<混合工程>
前記混合工程としては、カルボン酸ハロゲン化物を含有する第1の液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ分子量が1,000以下のアミン化合物と無機アルカリと水とを含有する第2の液を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記第1の液及び前記第2の液を混合して混合液を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<第1の液>>
前記第1の液は、カルボン酸ハロゲン化物を少なくとも含有する。
前記第1の液は、カルボン酸ハロゲン化物自体であってもよいし、有機溶媒を含有していてもよい。
<<<カルボン酸ハロゲン化物>>>
前記カルボン酸ハロゲン化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボン酸フッ化物、カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化物、カルボン酸ヨウ化物などが挙げられる。これらの中でも、反応性と取り扱い性の点からカルボン酸塩化物が好ましい。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、単一組成であってもよいし、複数の組成を有する混和物であってもよい。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、−COX基(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表す。)を有する。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、例えば、モノカルボン酸のハロゲン化物である。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、例えば、下記一般式(1)で表される。
ただし、前記一般式(1)中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表す。Rは、置換基を有していてもよい有機基を表す。
前記カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、脂肪族カルボン酸ハロゲン化物、脂環式カルボン酸ハロゲン化物、芳香族カルボン酸ハロゲン化物などが挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を有するカルボン酸のハロゲン化物が挙げられる。
前記脂環式カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素基を有するカルボン酸のハロゲン化物が挙げられる。
前記芳香族カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、芳香族炭化水素基を有するカルボン酸のハロゲン化物が挙げられる。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、前記−COX基以外の位置にハロゲン原子を有していてもよい。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、前記−COX基以外の位置に酸素原子を有していてもよい。
前記カルボン酸ハロゲン化物の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カルボン酸ハロゲン化物は、炭素数2〜80であってもよいし、炭素数2〜50であってもよいし、炭素数2〜30であってもよいし、炭素数2〜20であってもよい。
前記カルボン酸ハロゲン化物の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子量1,000以下などが挙げられる。
前記カルボン酸ハロゲン化物は、−COX基(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表す。)以外に、後述する反応工程において反応する基を有さないことが好ましい。そのような基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、脂肪酸クロライドが挙げられる。前記脂肪酸クロライドは、単一組成の脂肪酸クロライドであってもよいし、混和組成の脂肪酸クロライドであってもよい。
前記単一組成の脂肪酸クロライドとしては、例えば、カプリル酸クロライド、カプリン酸クロライド、ラウリン酸クロライド、ミリスチン酸クロライド、パルミチン酸クロライド、ステアリン酸クロライド、イソステアリン酸クロライド、2−エチルヘキサン酸クロライド、オレイン酸クロライド、ベヘニン酸クロライドなどが挙げられる。
前記混和組成の脂肪酸クロライドとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸クロライド、パーム核油脂肪酸クロライド、牛脂脂肪酸クロライドなどが挙げられる。
これらの中でも、カプリン酸クロライド、ラウリン酸クロライド、ミリスチン酸クロライド、ヤシ油脂肪酸クロライドが好ましく、ラウリン酸クロライド、ヤシ油脂肪酸クロライドがより好ましい。
前記第1の液における前記カルボン酸ハロゲン化物の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の液を前記第1の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.05mL/min〜5.0mL/minであってもよいし、0.1mL/min〜2.5mL/minであってもよい。
<<第2の液>>
前記第2の液は、分子量が1,000以下のアミン化合物と無機アルカリと水とを含有する。
前記第2の液において、前記無機アルカリは前記水に溶解していることが好ましい。
前記第2の液は、単一の相で形成されていてもよいし、複数の相で形成されていてもよい。前記第2の液は、例えば、液状の前記アミン化合物と、前記無機アルカリの水溶液とが懸濁した状態であってもよい。
<<アミン化合物>>
前記アミン化合物の分子量は1,000以下である。
前記アミン化合物としては、アミノ基を有し、かつカルボン酸ハロゲン化物と反応しアミド基を形成可能な限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1級アミンであってもよいし、2級アミンであってもよい。
前記アミン化合物としては、例えば、モノアミン化合物、ジアミン化合物などが挙げられる。
前記1級アミンは、例えば、以下の一般式(2)で表される。
ただし、前記一般式(2)中、Rは、置換基を有していてもよい有機基を表す。
前記2級アミンは、例えば、以下の一般式(3)で表される。
ただし、前記一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい有機基を表す。
前記アミン化合物の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アミン化合物は、炭素数1〜80であってもよいし、炭素数1〜50であってもよいし、炭素数1〜30であってもよい。
前記アミン化合物としては、脂肪族アミン化合物、脂環式アミン化合物、芳香族アミン化合物などが挙げられる。
前記脂肪族アミン化合物としては、例えば、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を有するアミン化合物が挙げられる。
前記脂環式アミン化合物としては、例えば、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素基を有するアミン化合物が挙げられる。
前記芳香族アミン化合物としては、例えば、芳香族炭化水素基を有するアミン化合物が挙げられる。
前記アミン化合物が置換基を有する場合、前記置換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、それらの塩などが挙げられる。前記塩としては、アルカリ塩などが挙げられる。
前記アミン化合物は、ハロゲン原子を有していてもよい。
前記アミン化合物は、酸素原子を有していてもよい。
前記アミン化合物は、前記アミノ基以外に、後述する反応工程において反応する基を有さないことが好ましい。そのような基としては、例えば、−COX基(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表す。)、酸無水物基などが挙げられる。
前記アミン化合物が置換基を有する場合の例として、例えば、グルタミン酸塩、アルキルタウリン塩などが挙げられる。
前記アミン化合物が置換基を有する場合の具体例としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−エチル−β−アラニンナトリウム、N−メチルタウリンナトリウム、N−エチルタウリンナトリウム、N−メチルグリシンナトリウム、N−エチルグリシンナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、グルタミン酸ナトリウム、N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−メチルタウリンナトリウムが好ましい。
前記第2の液における前記アミン化合物の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1M(0.1mol/L)〜2.0M(2.0mol/L)であってもよいし、0.5M(0.1mol/L)〜1.5M(1.5mol/L)であってもよい。
<<無機アルカリ>>
前記無機アルカリとしては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム)、アルカリ金属のリン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)、アンモニアの無機塩(例えば、水酸化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸又は重炭酸アンモニウム)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物塩が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
前記第2の液における前記無機アルカリの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2の液における、前記アミン化合物と前記無機アルカリとのモル比(アミン化合物:無機アルカリ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0:0.5〜1.0:5.0が好ましく、1.0:0.9〜1.0:2.5がより好ましい。
前記第2の液を前記第2の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1mL/min〜20mL/minであってもよいし、0.2mL/min〜15mL/minであってもよい。
前記第1の液を前記第1の流通路内に流通させる際の流速(A)と、前記第2の液を前記第2の流通路内に流通させる際の流速(B)との比率〔(A):(B)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる前記混合液の均一混合性の観点から、0.05:1.0〜1.0:0.05が好ましく、0.1:1.0〜1.0:0.1がより好ましく、0.1:1.0〜1.0:1.0が特に好ましい。
前記第1の混合手段における、前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物との混合割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、等量に近いほど好ましく、その点において、モル比(カルボン酸ハロゲン化物:アミン化合物)で、0.5:1.0〜1.0:0.5が好ましく、0.8:1.0〜1.0:0.8がより好ましく、0.9:1.0〜1.0:0.9が特に好ましい。
前記第2の液は、予めバッチ式で作製し、それを第2の流通路内に流通させてもよいし、第4の流通路と、第5の流通路と、第2の混合手段とを用いて前記第2の液を作製し、それを連続的に第2の流通路内に流通させてもよい。
アミン化合物を含有する第2の液における無機アルカリの濃度を高くしようとすると、バッチ式で第2の液を作製する場合、無機アルカリが溶解しにくく、第2の液の作製が困難になる。そのような場合は、第4の流通路と、第5の流通路と、前記第4の流通路と前記第5の流通路との合流部に設けられた第2の混合手段とを用いて前記第2の液を作製し、それを連続的に第2の流通路に流通させるほうがよい。
例えば、前記アミン化合物を前記第4の流通路内に流通させ、かつ前記無機アルカリを含有する水溶液を前記第5の流通路内に流通させ、前記第2の混合手段で前記アミン化合物及び前記水溶液を混合して混合液である前記第2の液を得る。そして、前記第2の混合手段と接続し、前記第2の混合手段の下流側に配された前記第2の流通路内に前記第2の液を流通させる。
<反応工程>
前記反応工程としては、前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、前記第3の流通路内で前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物とを反応させてアミド化合物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させる際の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.05mL/min〜5.0mL/minであってもよいし、0.1mL/min〜2.5mL/minであってもよい。
前記反応工程における反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃以下であってもよいし、50℃以下であってもよい。また、前記反応温度は、通常0℃以上である。
<流通路>
以下、前記第1の流通路、前記第2の流通路、前記第3の流通路、前記第4の流通路、及び前記第5の流通路について説明する。これらの流通路を総じて「流通路」と称することがある。
前記流通路は、液体を流通可能な管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その内径、外径、長さ、材質などの構成は、所望する反応に応じて適宜選択することができる。
前記流通路は、通常、少なくとも1つの混合手段と接続される。
前記流通路は、例えば、原料物質、液体を混合手段に供給する際に使用される。
また、前記流通路は、例えば、前記混合手段によって混合された2種以上の物質の混合物を反応させる際に使用される。なお、この際、前記流通路内では反応が継続して起きていてもよい。
前記流通路の材質としては、特に制限はなく、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)などが挙げられる。
前記流通路の内径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜4mmが好ましく、100μm〜3mmがより好ましく、250μm〜2mmが更により好ましく、500μm〜1,500μmが特に好ましい。
前記流通路の断面積(S)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記流通路の断面積(S)の好ましい範囲は、前記内径をrとした際に、前記内径の好ましい範囲において、rをS〔=π(0.5r)〕に置き換えた範囲である。
前記流通路の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1cm〜1,000cmであってもよいし、2cm〜500cmであってもよい。
前記流通路としては、市販品を利用することができ、例えば、ジーエルサイエンス株式会社製のステンレスチューブ(外径1/16インチ(1.58mm)、内径250μm、500μm及び1,000μmから選択可能、チューブ長さは使用者により調整可能)などが挙げられる。
液が流通する流通路における前記液の滞留時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.001sec〜100secなどが挙げられる。
<混合手段>
以下、前記第1の混合手段、及び前記第2の混合手段について説明する。これらの混合手段を総じて「混合手段」と称することがある。
前記混合手段としては、2種以上の液体を混合可能なかぎり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、管継手型のマイクロミキサーなどが挙げられる。
<<管継手型のマイクロミキサー>>
前記管継手型のマイクロミキサーは、内部に形成された流路を備え、必要に応じて前記内部に形成された流路と、前記流通路とを接続する接続部材を備える。前記接続部材における接続方式としては、特に制限はなく、公知の接続方式の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ねじ込み式、ユニオン式、突合わせ溶接式、差込み溶接式、ソケット溶接式、フランジ式、食込み式、フレア式、メカニカル式などが挙げられる。
前記管継手型のマイクロミキサーの内部には、前記流路以外に、前記流路に連通し、前記流路に複数の液体を導入する導入路が形成されていることが好ましい。即ち、前記導入路の数に応じて、前記流路の上流側が分岐された構成が好ましい。前記導入路の数が2つである場合には、前記管継手型のマイクロミキサーとして、例えば、T字型やY字型を用いることができ、前記導入路の数が3つである場合には、例えば、十字型を用いることができる。なお、1つの液体を予め流路に仕込んでおき、それ以外の液体を導入路により導入する構成としてもよい。
前記管継手型のマイクロミキサーの材質としては、特に制限はなく、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性、及び加工容易性などの要求に応じて、適宜選択することができ、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、及びテフロン(登録商標)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)などのフッ素樹脂、TFAA(トリフルオロアセトアミド)などが挙げられる。
前記管継手型のマイクロミキサーとしては、市販品を利用することができ、例えば、山武社製YM−1型ミキサー、YM−2型ミキサー;島津GLC社製ミキシングティー及びティー(T字コネクタ);東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー;スウェージロック社製ユニオンティー、三幸精機工業株式会社製T字型マイクロミキサーなどが挙げられる。
前記混合手段内での2以上の液体の混合方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層流による混合、乱流による混合などが挙げられる。中でも、より効率的に反応制御や除熱を行える点で、層流による混合(静的混合)が好ましい。
なお、前記混合手段内の流路は微小であるため、混合手段に導入された複数の液体同士はおのずと層流支配の流れとなりやすく、流れに直交する方向に拡散して混合される。層流による混合において、さらに、流路内に分岐点及び合流点を設けることで、流れる液体の層流断面を分割するような構成とし、混合速度を高める構成としてもよい。
また、前記混合手段の流路において、乱流による混合(動的混合)を行う場合には、流量や流路の形状(接液部分の3次元形状や流路の屈曲などの形状、壁面の粗さ、など)を調整することによって、層流から乱流へと変化させることができる。前記乱流による混合は、前記層流による混合と比べて、混合効率がよく混合速度が速いという利点を有する。
ここで、前記混合手段内の前記流路の内径が小さい方が、分子の拡散距離を短くできるので、混合に要する時間を短縮させて混合効率を向上させることができる。さらに、前記流路の内径が小さい方が、体積に対する表面積の比が大きくなり、例えば、反応熱の除熱などの、液体の温度制御を容易に行うことができる。
一方で、前記流路の内径が小さ過ぎると、液体を流す時の圧力損失が増加するとともに、送液に使用するポンプとして特別な高耐圧のものが必要となるため、製造コストが高くなることがある。また、送液流量が制限されることにより、前記マイクロミキサーの構造も制限されることがある。
前記混合手段内の前記流路の内径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜4mmが好ましく、100μm〜3mmがより好ましく、150μm〜1mmが更により好ましく、200μm〜750μmが特に好ましい。
前記内径が50μm未満であると、圧力損失が増大することがある。前記内径が4mmを超えると、単位体積当たりの表面積が小さくなり、その結果、迅速な混合や反応熱の除熱が困難になることがある。一方、前記内径が前記特に好ましい範囲であると、より迅速に混合でき、より効率的に反応熱を除熱できる点で有利である。
前記流路の断面積(S)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記流路の断面積(S)の好ましい範囲は、前記内径をrとした際に、前記内径の好ましい範囲において、rをS〔=π(0.5r)〕に置き換えた範囲である。
前記流路の断面形状としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、矩形、半円形、三角形などが挙げられる。
<<その他の手段>>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、送液手段、温度調節手段などが挙げられる。
<<<送液手段>>>
前記送液手段としては、各種液体を、前記フローマイクロリアクターの前記流通路に供給できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプなどが挙げられる。
前記ポンプとしては、特に制限はなく、工業的に使用されうるものから適宜選択することができるが、送液時に脈動を生じないものが好ましく、例えば、プランジャーポンプ、ギアーポンプ、ロータリーポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。
<<<温度調節手段>>>
前記温度調節手段としては、前記フローマイクロリアクターの前記混合手段、及び前記流通路の温度を調節できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記フローマイクロリアクターにおける各流通路、及び各混合手段の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。前記温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0℃以上などが挙げられる。なお、前記マイクロフローリアクター内の水が凍らなければ、前記温度は、0℃未満であってもよい。
ここで、前記アミド化合物の製造方法に好適に使用されるフローマイクロリアクターの一例を図を用いて説明する。更に、それを用いたアミド化合物の製造方法の一例を図を用いて説明する。
図1は、フローマイクロリアクターの一例を示す概略図である。
図1に示すフローマイクロリアクターは、1つの混合手段と、3つの流通路とを備える。
流通路PA1は、混合手段M1に接続されている。
流通路PA2は、混合手段M1に接続されている。
混合手段M1は、流通路PA1と流通路PA2との合流部に設けられている。
流通路PA3は、混合手段M1の下流側に配されている。
図1に示すフローマイクロリアクターにおいては、例えば、図中の破線内が所定の温度(T℃)に保たれる。
第1の液であるカルボン酸ハロゲン化物(R−CO−X)を流通路PA1(第1の流通路)内に流通させ、かつアミン化合物(HN−R)と無機アルカリと水とを含有する第2の液を流通路PA2(第2の流通路)内に流通させ、混合手段M1(第1の混合手段)で第1の液及び第2の液を混合して混合液を得る。
得られた混合液を流通路PA3(第3の流通路)内に流通させ、流通路PA3(第3の流通路)内でカルボン酸ハロゲン化物とアミン化合物とを反応させてアミド化合物(R−CONH−R)を得る。
図2は、フローマイクロリアクターの他の一例を示す概略図である。
図2に示すフローマイクロリアクターは、2つの混合手段と、5つの流通路とを備える。
流通路PA1は、混合手段M1に接続されている。
流通路PA2は、混合手段M1及び混合手段M2に接続されている。流通路PA2は、混合手段M2の下流側に配されている。
混合手段M1は、流通路PA1と流通路PA2との合流部に設けられている。
流通路PA3は、混合手段M1の下流側に配されている。
流通路PA4は、混合手段M2に接続されている。
流通路PA5は、混合手段M2に接続されている。
混合手段M2は、流通路PA4と流通路PA5との合流部に設けられている。
図2に示すフローマイクロリアクターにおいては、例えば、図中の破線内が所定の温度(T℃)に保たれる。
アミン化合物(HN−R)を流通路PA4(第4の流通路)内に流通させ、かつ無機アルカリを含有する水溶液を流通路PA5(第5の流通路)内に流通させ、混合手段M2(第2の混合手段)でアミン化合物及び水溶液を混合して混合液である第2の液を得る。一方、第1の液であるカルボン酸ハロゲン化物(R−CO−X)を流通路PA1(第1の流通路)内に流通させる。そして、混合手段M1(第1の混合手段)で第1の液及び第2の液を混合して混合液を得る。
得られた混合液を流通路PA3(第3の流通路)内に流通させ、流通路PA3(第3の流通路)内でカルボン酸ハロゲン化物とアミン化合物とを反応させてアミド化合物(R−CONH−R)を得る。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<収率>
生成物の収率は、ガスクロマトグラフ(GC:Gas Chromatograph)により決定した。
具体的には、Rtx−200カラム(RESTEK社製)を備えた汎用ガスクロマトグラフGC−2014(株式会社島津製作所製)を用い、ヘリウムをキャリアガスとしてFID(水素炎イオン化検出器)により測定した。生成物の定量は市販のドデカン又はテトラデカンを内部標準物質として用いて行った。
<試薬>
酢酸クロライドについては、東京化成工業株式会社から購入し、そのまま使用した。
3−フェニルプロパノイルクロライドについては、東京化成工業株式会社から購入し、そのまま使用した。
n−ブチルアミンについては、東京化成工業株式会社から購入し、そのまま使用した。
n−プロピルアミンについては、富士フイルム和光純薬株式会社から購入し、そのまま使用した。
水については、蒸留水を富士フイルム和光純薬株式会社から購入し、そのまま使用した。
NaOHについては、ナカライテスク株式会社から購入し、そのまま使用した。
<フロー式の反応装置>
<<フローマイクロリアクター>>
実施例で使用したフローマイクロリアクターは、以下のとおりである。
混合手段としては、内径250μm又は500μmのSUS304 T字型マイクロミキサー(三幸精機株式会社製)を用いた。
流通路としては、SUS316製の管(GL Sciences社製)を用いた。
混合手段と流通路とは、ステンレス製の継手(GL Sciences社製, 1/16OUW)で接続した。
フローマイクロリアクターを、バスに浸漬させることにより温度を調節した。
ハーバード社製シリンジポンプを用いて、試薬、及び各溶液をフローマイクロリアクターに導入した。
(比較例1)
<バッチ反応容器を用いた酢酸クロライドの反応>
以下のスキームに示すアミド化合物の合成を、バッチ式により行った。
酢酸クロライドは、親水性のカルボン酸ハロゲン化物の代表例として用いた。
ここで、酢酸クロライドとアミンとの反応において副生成物として生成する酢酸を定量することは難しい。n−プロピルアミンは、酢酸クロライドと反応しやすい一方、酢酸とは反応しにくい。そこで、n−プロピルアミンを加えて、Pの生成量を確認することで、間接的に酢酸の生成量を推定した。
酢酸クロライド(14.01M、neat、1mL)と、n−ブチルアミン(1.401M)及びn−ブチルアミンに対して1当量のNaOHを含む水10mL(酢酸クロライドに対して1当量のn−ブチルアミンを含む)とを混合し0℃でt分反応させた。その後、大過剰のn−プロピルアミン(7.0M)を含む水6mLを加えた。
その後、得られたP、及びPの収率を求めた。結果を表1に示した。
t=1分〜60分の反応においては、Pの収率が0%であることから、n−プロピルアミンを添加する前には、酢酸クロライドが全て消費されており、Pへ転化しなかった酢酸クロライドのほとんどは、酢酸になっていると考えられる。
(実施例1)
<フローマイクロリアクターを用いた、酢酸クロライドの反応(管長さ、及び滞留時間)>
アミド化合物の合成を、図3に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、管長さ(L)、及び滞留時間(tR1)を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ(表2参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
酢酸クロライド(14.01M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速0.5mL/minで流通路P11を介して混合手段M1に導入した。n−ブチルアミン(1.401M)及びn−ブチルアミンに対して1当量のNaOHを含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速5.0mL/minで流通路P12を介して混合手段M1に導入した。ここで、混合手段M1における酢酸クロライドとn−ブチルアミンとの混合割合は1:1(モル比)である。混合手段M1により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M2に導入した。n−プロピルアミン(7.0M)を含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速3.0mL/minで流通路P13を介して混合手段M2に導入した。混合手段M2により混合されて得られた液を、流通路Rを通過させ、塩酸水溶液で中和した。
なお、反応温度は0℃である。流通路Rの長さ(L)を表2に示した。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。結果を表2に示した。
の収率は、比較例1の結果よりも大きくなった。また、PとPとの合計の収率は、比較例1の結果よりも大きく向上しており、比較例1のバッチ式の場合よりも、カルボン酸の生成を抑制できていることが確認できた。
実施例1の結果は、親水性の高い酢酸クロライドをカルボン酸ハロゲン化物として用いたショッテン・バウマン反応において、カルボン酸の生成を大きく抑制できていることを示している。このことは、バッチ式のショッテン・バウマン反応では得られない優れた効果である。
(実施例2)
<フローマイクロリアクターを用いた、酢酸クロライドの反応(管長さ、及び滞留時間)>
アミド化合物の合成を、図4に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、管長さ(L)、及び滞留時間(tR1)を変化させた。また、実施例1とは異なる流速で実験を行った。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ(表3参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
実施例1において、流速、及び流通路Rの長さ(L)を表3に記載の流速、及び流通路Rの長さ(L)に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応を行った。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。結果を表3に示した。
(実施例3)
<フローマイクロリアクターを用いた、酢酸クロライドの反応(管長さ、内径、及び滞留時間)>
アミド化合物の合成を、図5に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、管長さ(L)、内径(Φ)、及び滞留時間(tR1)を変化させた。また、実施例1とは異なる流速で実験を行った。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R(反応部):内径(表4参照)、長さ(表4参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
実施例1において、流速、流通路Rの長さ(L)、及び流通路Rの内径(Φ)を表4に記載の流速、流通路Rの長さ(L)、及び流通路Rの内径(Φ)に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応を行った。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。結果を表4に示した。
(実施例4)
<フローマイクロリアクターを用いた、酢酸クロライドの反応(NaOH当量)>
アミド化合物の合成を、図6に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、n−ブチルアミンに対するNaOHの量を変化させた。
なお、NaOH当量を多くする場合、NaOHがアミン水溶液に溶けなくなる恐れがある。そこで、実施例1〜3とは異なる装置を用い、NaOH水溶液と、アミン化合物とを、フローマイクロリアクター内で混合させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ3.5cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
酢酸クロライド(14.01M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速1.0mL/minで流通路P11を介して混合手段M2に導入した。n−ブチルアミン(10.12M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速1.385mL/minで流通路P12を介して混合手段M1に導入した。NaOH水溶液(NaOHの濃度は表5参照)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速8.615mL/minで流通路P13を介して混合手段M1に導入した。ここで、混合手段M1におけるn−ブチルアミンとNaOHとの混合割合(NaOH当量)は表5に記載のとおりである。混合手段M1により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M2に導入した。ここで、混合手段M2における酢酸クロライドとn−ブチルアミンとの混合割合は1:1(モル比)である。混合手段M2により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M3に導入した。n−プロピルアミン(7.0M)を含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速3.0mL/minで流通路P14を介して混合手段M3に導入した。混合手段M3により混合されて得られた液を、流通路Rを通過させ、塩酸水溶液で中和した。
なお、反応温度は0℃である。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。。結果を表5に示した。
NaOHの当量とPの収率との関係を、図7に示した。表5及び図7より、1.6当量の場合に、最もPの収率が高い結果を示した。
なお、NaOH当量が多い場合に、NaOH水溶液とアミン化合物とを混合させても、マイクロフローリアクター内で不溶物が生じることはなく、これらの混合物は、懸濁状態で存在していた。
(実施例5)
<フローマイクロリアクターを用いた、酢酸クロライドの反応(管長さ、内径、及び滞留時間)>
アミド化合物の合成を、図8に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、実施例4において良い結果が得られた、NaOHがn−ブチルアミンに対して1.6当量の場合に、管長さ(L)、内径(Φ)、及び滞留時間(tR2)を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径(表6参照)、長さ(表6参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
NaOH当量をn−ブチルアミンに対して1.6当量とし、実施例4において、流通路Rの長さ(L)、内径(Φ)、及び滞留時間(tR2)を表6に記載の流通路Rの長さ(L)、内径(Φ)、及び滞留時間(tR2)に変更した以外は、実施例4と同様にして、反応を行った。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。結果を表6に示した。
滞留時間(tR2)とPの収率との関係を、図9に示した。滞留時間(tR2)の増加とともにPの収率が高くなった。
いずれの条件でもPの収率は良好であり、比較例1の結果よりも高かった。
(比較例2)
<バッチ反応容器を用いた3−フェニルプロパノイルクロライドの反応>
以下のスキームに示すアミド化合物の合成を、バッチ式により行った。
3−フェニルプロパノイルクロライドは、疎水性のカルボン酸ハロゲン化物の代表例として用いた。
3−フェニルプロパノイルクロライド(6.76M、neat、1mL)と、n−ブチルアミン(1.35M)及びn−ブチルアミンに対して1当量のNaOHを含む水5mL(3−フェニルプロパノイルクロライドに対して1当量のn−ブチルアミンを含む)とを混合し0℃でt分反応させた。その後、大過剰のn−プロピルアミン(7.0M)を含む水6mLを加えた。
その後、得られたP、及びPの収率を求めた。結果を表7に示した。
3−フェニルプロパノイルクロライドは、酢酸クロライドよりも疎水性が高いため、Pの収率は、比較例1におけるPの収率よりも高くなった。
(実施例6)
<フローマイクロリアクターを用いた、3−フェニルプロパノイルクロライドの反応(管長さ、内径、及び滞留時間)>
アミド化合物の合成を、図10に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、管長さ(L)、内径(Φ)、及び滞留時間(tR1)を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R(反応部):内径(表8参照)、長さ(表8参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
3−フェニルプロパノイルクロライド(6.76M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速0.1mL/minで流通路P11を介して混合手段M1に導入した。n−ブチルアミン(1.35M)及びn−ブチルアミンに対して1当量のNaOHを含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速0.5mL/minで流通路P12を介して混合手段M1に導入した。ここで、混合手段M1における3−フェニルプロパノイルクロライドとn−ブチルアミンとの混合割合は1:1(モル比)である。混合手段M1により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M2に導入した。n−プロピルアミン(6.76M)を含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速0.3mL/minで流通路P13を介して混合手段M2に導入した。混合手段M2により混合されて得られた液を、流通路Rを通過させ、塩酸水溶液で中和した。
なお、反応温度は0℃である。流通路Rの長さ(L)及び流通路Rの内径(Φ)を表8に示した。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。結果を表8に示した。
の収率は、比較例2の結果よりも大きくなった。また、PとPとの合計の収率も、比較例2の結果よりも向上しており、比較例2のバッチ式の場合よりも、カルボン酸の生成を抑制できていることが確認できた。
実施例6の結果は、疎水性の高い酢酸クロライドをカルボン酸ハロゲン化物として用いたショッテン・バウマン反応において、バッチ式の場合に比べ、カルボン酸の生成を抑制でき、アミド化合物の収率を向上できていることを示している。
(実施例7)
<フローマイクロリアクターを用いた、3−フェニルプロパノイルクロライドの反応(流速、及び管長さ)>
アミド化合物の合成を、図11に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、流速、及び管長さ(L)を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ(表9参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
実施例6において、流速、及び流通路Rの長さ(L)を表9に記載の流速(F、F、F)、及び流通路Rの長さ(L)に変更した以外は、実施例6と同様にして、反応を行った。
以上により得られた生成物P、P、及びPの収率を求めた。結果を表9に示した。
流速が早すぎると、3−フェニルプロパノイルクロライドがアミンと反応する前にリアクター外に排出されるため、Pの収率が高くなる傾向が見られた。
(実施例8)
<フローマイクロリアクターを用いた、3−フェニルプロパノイルクロライドの反応(NaOH当量)>
アミド化合物の合成を、図12に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、n−ブチルアミンに対するNaOHの量を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ3.5cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
3−フェニルプロパノイルクロライド(6.76M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速1.0mL/minで流通路P11を介して混合手段M2に導入した。n−ブチルアミン(10.12M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速0.668mL/minで流通路P12を介して混合手段M1に導入した。NaOH水溶液(NaOHの濃度は表10参照)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速4.332mL/minで流通路P13を介して混合手段M1に導入した。ここで、混合手段M1におけるn−ブチルアミンとNaOHとの混合割合(NaOH当量)は表10に記載のとおりである。混合手段M1により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M2に導入した。ここで、混合手段M2における3−フェニルプロパノイルクロライドとn−ブチルアミンとの混合割合は1:1(モル比)である。混合手段M2により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M3に導入した。n−プロピルアミン(6.76M)を含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速3.0mL/minで流通路P14を介して混合手段M3に導入した。混合手段M3により混合されて得られた液を、流通路Rを通過させ、塩酸水溶液で中和した。
なお、反応温度は40℃である。
以上により得られた生成物P、P、及びPの収率を求めた。結果を表10に示した。
NaOHがn−ブチルアミンに対して1.6当量の場合に、Pの収率が最大値(77%)を示した。
(実施例9)
<フローマイクロリアクターを用いた、3−フェニルプロパノイルクロライドの反応(管長さ、滞留時間、及びNaOH当量)>
アミド化合物の合成を、図13に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、管長さ(L)、及び滞留時間(tR2)、並びにn−ブチルアミンに対するNaOHの量を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ(表11参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
実施例8において、流通路Rの長さ(L)、n−ブチルアミンに対するNaOH当量、及び滞留時間(tR2)を表11に記載の流通路Rの長さ(L)、n−ブチルアミンに対するNaOH当量、及び滞留時間(tR2)に変更した以外は、実施例8と同様にして、反応を行った。
以上により得られた生成物P、P、及びPの収率を求めた。結果を表11に示した。
流通路Rの長さ(L)及び滞留時間(tR2)を長くすることで、Pの収率が高くなった。
(実施例10)
<フローマイクロリアクターを用いた、3−フェニルプロパノイルクロライドの反応(流速、管長さ、滞留時間、及び酸クロの当量)>
アミド化合物の合成を、図14に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、流速、管長さ(L)、滞留時間(tR2)、及びアミンに対する酸クロライドの当量を変化させた。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ(表12参照)
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
実施例9において、流速、流通路Rの長さ(L)、滞留時間(tR2)、及びn−ブチルアミンに対する3−フェニルプロパノイルクロライドの当量を表12に記載の流速(F、F)、流通路Rの長さ(L)、滞留時間(tR2)、及びn−ブチルアミンに対する3−フェニルプロパノイルクロライドの当量に変更した以外は、実施例9と同様にして、反応を行った。
以上により得られた生成物P、及びPの収率を求めた。結果を表12に示した。
(比較例3)
<バッチ反応容器を用いたカルボン酸ハロゲン化物の反応(アルキル鎖の長さ)>
以下のスキームに示すアミド化合物の合成を、バッチ式により行った。
この比較例では、カルボン酸クロライドのアルキル鎖長を変化させた。
各カルボン酸クロライド(所定の量(表13参照)、neat)と、n−ブチルアミン(1.40M)及びn−ブチルアミンに対して1当量のNaOHを含む水10mLとを混合し60分反応させた。その後、大過剰のn−プロピルアミン(7.0M)を含む水6mLを加えた後、塩酸で中和した。
その後、得られたPの収率を求めた。結果を図16に示した。
図16は、カルボン酸クロライドのアルキル鎖長と、Pの収率との関係を示すグラフである。
なお、用いたカルボン酸クロライドは、東京化成工業株式会社から購入し、そのまま用いた。また、上記スキームにおけるn数と、図16におけるアルキル鎖長との関係は以下の通りである。
n=0:アルキル鎖=2
n=1:アルキル鎖=3
n=2:アルキル鎖=4
n=3:アルキル鎖=5
n=4:アルキル鎖=6
n=5:アルキル鎖=7
n=6:アルキル鎖=8
n=8:アルキル鎖=10
n=9:アルキル鎖=11
n=10:アルキル鎖=12
なお、n=0については、比較例1、及び実施例5の結果を用いた。
(実施例11)
<フローマイクロリアクターを用いた、カルボン酸ハロゲン化物の反応(アルキル鎖の長さ)>
アミド化合物の合成を、図15に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、カルボン酸クロライドのアルキル鎖長を変化させた。実施例11に用いたカルボン酸クロライドは、比較例3で用いたカルボン酸クロライドと同じである。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ400cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
カルボン酸クロライド(所定の量(表14参照)、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより所定の流速(表14参照)で流通路P11を介して混合手段M2に導入した。n−ブチルアミン(10.12M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速13.384mL/minで流通路P12を介して混合手段M1に導入した。NaOH水溶液(NaOHの濃度は表14参照)を、ハーバード社製シリンジポンプにより所定の流速(表14参照)で流通路P13を介して混合手段M1に導入した。混合手段M1により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M2に導入した。混合手段M2により混合されて得られた液を、流通路Rを介して混合手段M3に導入した。n−プロピルアミン(7.0M)を含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速6.0mL/minで流通路P14を介して混合手段M3に導入した。混合手段M3により混合されて得られた液を、流通路Rを通過させ、塩酸水溶液で中和した。
なお、反応温度は表14に示すとおりである。
以上により得られた生成物Pの収率を求めた。結果を図16に示した。
図16より、いずれのアルキル鎖の場合でも、バッチ式よりもフロー式の方がPの収率が高い結果となった。
(実施例12)
<収率>
生成物の収率は、下式により決定した。
A:ヤシ油脂肪酸クロライドとn−プロピルアミンからなるアミド化合物の収率(%)
B:ヤシ油脂肪酸クロライドの加水分解により副生した脂肪酸の収率(%)
R:混合手段M3により混合されて得られた液のエタノールによる希釈倍率
Rc:フローマイクロリアクターを流れる総流量のうち、ヤシ油脂肪酸クロライドの比率(w/w%)
Ma:ヤシ油脂肪酸クロライドとn−プロピルアミンからなるアミド化合物の分子量
Mb:ヤシ油脂肪酸クロライドの加水分解により副生した脂肪酸の分子量
Mc:ヤシ油脂肪酸クロライドの分子量
ヤシ油脂肪酸クロライドとn−プロピルアミンからなるアミド化合物の収率とヤシ油脂肪酸クロライドの加水分解により副生した脂肪酸の収率は以下に示す測定方法を用いて算出した。
<測定方法>
サンプル10gを100mLビーカーに精密に量り、水50mLに溶かし、30%の酢酸水溶液を10mL加えて弱酸性にした。この液を99.5%エタノール50mLで分液漏斗に移し、石油エーテル40mLを加えてよく振り混ぜた。石油エーテル層が透明になるまで放置し、水層を別の分液漏斗に移し替えた。この水層に更に石油エーテル40mLを加え、よく振り混ぜた。この操作をもう一度行い、石油エーテル抽出液を一つに合わせ、50%エタノール水溶液40mLずつで3回洗った。この石油エーテル抽出液を、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、200mLの三角フラスコに移した。水浴上で石油エーテルを留去し、残留物を105℃で1時間乾燥した後、その重量を測定し次式(1)により抽出収率Xを算出した。Xは、ヤシ油脂肪酸クロライドとn−プロピルアミンからなるアミド化合物とヤシ油脂肪酸クロライドの加水分解により副生した脂肪酸の合計収率である。
C:石油エーテル抽出物(g)
S:サンプル採取量(g)
次に、石油エーテルを留去・乾燥した三角フラスコに中和した99.5%エタノール25mLを加え、残留物を溶解させた。フェノールフタレイン1gをエタノール100mLに溶かして調製した指示薬を数滴加え、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、次式(2)によりヤシ油脂肪酸クロライドの加水分解により副生した脂肪酸の収率Bを算出した。
D:0.1N水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1N水酸化ナトリウム水溶液の力価
S:サンプル採取量(g)
Mb:ヤシ油脂肪酸クロライドの加水分解により副生した脂肪酸の分子量
これらの測定結果をもとに、次式(3)によりヤシ油脂肪酸クロライドとn−プロピルアミンからなるアミド化合物の収率Aを算出した。
<試薬>
ヤシ油脂肪酢酸クロライドについては、市販品を購入し、そのまま使用した。
N−メチルタウリンナトリウム水溶液については、市販品(38%水溶液品)を購入し、そのまま使用した。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物については、関東化学株式会社から購入し、そのまま使用した。
NaOHについては、関東化学株式会社から購入し、そのまま使用した。
酢酸については、関東化学株式会社から購入し、そのまま使用した。
エタノールについては、富士フィルム和光純薬株式会社から購入し、そのまま使用した。
石油エーテルについては、関東化学株式会社から購入し、そのまま使用した。
硫酸ナトリウムについては、関東化学株式会社から購入し、そのまま使用した。
フェノールフタレインについては、関東化学株式会社から購入し、そのまま使用した。
水については、蒸留水を富士フイルム和光純薬株式会社から購入し、そのまま使用した。
<フローマイクロリアクターを用いた、カルボン酸ハロゲン化物と置換基を有するアミン化合物の反応>
アミド化合物の合成を、図17に示すフローマイクロリアクターを用いて行った。
この実施例では、カルボン酸ハロゲン化物としてヤシ油脂肪酸クロライドを用い、置換基を有するアミン化合物としてN−メチルタウリンナトリウム又はL−グルタミン酸ナトリウム一水和物を用いて実験を行った。
フローマイクロリアクターの混合手段、流通路の詳細は、以下のとおりである。
・流通路P11:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P12:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P13:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路P14:内径1,000μm、長さ100cm
・流通路R:内径1,000μm、長さ50cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ200cm
・流通路R(反応部):内径1,000μm、長さ100cm
・混合手段M1:T型マイクロミキサー、内径250μm
・混合手段M2:T型マイクロミキサー、内径500μm
・混合手段M3:T型マイクロミキサー、内径500μm
ヤシ油脂肪酸クロライド(4.17M、neat)を、ハーバード社製シリンジポンプにより所定の流速(表15参照)で流通路P11を介して混合手段M2に導入した。置換基を有するアミン化合物(所定の濃度(表15参照))を、ハーバード社製シリンジポンプにより所定の流量(表15参照)で流通路P12を介して混合手段M1に導入した。NaOH水溶液(2.46M)を、ハーバード社製シリンジポンプにより所定の流速(表15参照)で流通路P13を介して混合手段M1に導入した。混合手段M1により混合されて得られた液を、流通路R1を介して混合手段M2に導入した。n−プロピルアミン(6.76M)を含む水を、ハーバード社製シリンジポンプにより流速3.0mL/minで流通路P14を介して混合手段M3に導入した。混合手段M3により混合されて得られた液を、流通路R3を通過させ、エタノールで反応停止した。
なお、反応温度は40℃である。
以上により得られた生成物P1の収率を、前述の方法により求めた。結果を表15に示した。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> フロー式のリアクターを用いたアミド化合物の製造方法であって、
前記フロー式のリアクターが、
第1の流通路と、
第2の流通路と、
前記第1の流通路と前記第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、
前記第1の混合手段と接続し、前記第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路と、
を有し、
カルボン酸ハロゲン化物を含有する第1の液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ分子量が1,000以下のアミン化合物と無機アルカリと水とを含有する第2の液を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記第1の液及び前記第2の液を混合して混合液を得る混合工程と、
前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、前記第3の流通路内で前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物とを反応させてアミド化合物を得る反応工程と、
を含むことを特徴とするアミド化合物の製造方法である。
<2> 前記カルボン酸ハロゲン化物が、カルボン酸塩化物である前記<1>に記載のアミド化合物の製造方法である。
<3> 前記無機アルカリが、水酸化ナトリウムである前記<1>から<2>のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法である。
<4> 前記アミン化合物が、1級アミン又は2級アミンである前記<1>から<3>のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法である。
<5> 前記第1の混合手段における、前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物との混合割合が、モル比(カルボン酸ハロゲン化物:アミン化合物)で、0.8:1.0〜1.0:0.8である前記<1>から<4>のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法である。
<6> 前記第2の液における、前記アミン化合物と前記無機アルカリとのモル比(アミン化合物:無機アルカリ)が、1.0:0.9〜1.0:2.5である前記<1>から<5>のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法である。
PA1 流通路
PA2 流通路
PA3 流通路
PA4 流通路
PA5 流通路
11 流通路
12 流通路
13 流通路
14 流通路
流通路
流通路
流通路
M1 混合手段
M2 混合手段
M3 混合手段

Claims (6)

  1. フロー式のリアクターを用いたアミド化合物の製造方法であって、
    前記フロー式のリアクターが、
    第1の流通路と、
    第2の流通路と、
    前記第1の流通路と前記第2の流通路との合流部に設けられた第1の混合手段と、
    前記第1の混合手段と接続し、前記第1の混合手段の下流側に配された第3の流通路と、
    を有し、
    カルボン酸ハロゲン化物を含有する第1の液を前記第1の流通路内に流通させ、かつ分子量が1,000以下のアミン化合物と無機アルカリと水とを含有する第2の液を前記第2の流通路内に流通させ、前記第1の混合手段で前記第1の液及び前記第2の液を混合して混合液を得る混合工程と、
    前記混合液を前記第3の流通路内に流通させ、前記第3の流通路内で前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物とを反応させてアミド化合物を得る反応工程と、
    を含むことを特徴とするアミド化合物の製造方法。
  2. 前記カルボン酸ハロゲン化物が、カルボン酸塩化物である請求項1に記載のアミド化合物の製造方法。
  3. 前記無機アルカリが、水酸化ナトリウムである請求項1から2のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法。
  4. 前記アミン化合物が、1級アミン又は2級アミンである請求項1から3のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法。
  5. 前記第1の混合手段における、前記カルボン酸ハロゲン化物と前記アミン化合物との混合割合が、モル比(カルボン酸ハロゲン化物:アミン化合物)で、0.8:1.0〜1.0:0.8である請求項1から4のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法。
  6. 前記第2の液における、前記アミン化合物と前記無機アルカリとのモル比(アミン化合物:無機アルカリ)が、1.0:0.9〜1.0:2.5である請求項1から5のいずれかに記載のアミド化合物の製造方法。
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