JP2020136202A - サージ防護素子 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなアレスタ型のサージ防護素子は、碍子である絶縁性管の内壁に放電補助部としてカーボントリガ線を形成し、不活性ガスを満たした状態で対向した一対の封止電極を絶縁性管にロウ付けして作製される。
すなわち、従来のアレスタ型のサージ防護素子では、波尾の短い電流サージを繰り返し印加した際は、放電電極のダメージが少ないので、特性への影響は少ないが、波尾の長い電流サージを繰り返し印加すると、放電電極のダメージが大きく、電極材料が蒸発して壁面に付着してしまうことで、電極間距離が見かけ上短くなって放電開始電圧Vsが低下してしまう不都合があった。
すなわち、波尾の長い電流サージが印加された際、封止電極間に波尾に応じた時間だけアーク放電が形成され、このアーク放電の熱により酸素源層中の酸化物が溶けて分解され酸素が発生し、この酸素と放電補助部の炭素とが反応することで絶縁性管内にCO2ガスやCOガスを発生する。その結果、絶縁性管内のガスが増えることで、低下傾向にある放電開始電圧Vsを再び上昇させることができる。
すなわち、融点が2072℃のアルミナ(Al2O3)で形成されている絶縁性管の内周面の一部は溶融するが、融点が1650℃のSiO2を含む酸素源層も溶融して酸素を発生させることができる。
すなわち、このサージ防護素子では、酸素源層が、SiO2粉とケイ酸ナトリウムとを含むので、SiO2が粉を含んだ水ガラスとして酸素源層を絶縁性管の内周面に容易に付着させることができる。
すなわち、このサージ防護素子では、酸素源層が、放電補助部の近傍に形成されているので、酸素源層から発生した酸素と放電補助部の炭素とが反応し易くなり、放電開始電圧Vsの上昇を抑制するCO2ガスやCOガスをより発生させ易くなる。
すなわち、本発明に係るサージ防護素子によれば、絶縁性管の内周面の少なくとも一部に、酸化物を含有した酸素源層が形成されているので、波尾の長い電流サージが印加された際、アーク放電の熱により酸素源層中の酸化物から発生した酸素と放電補助部の炭素とが反応して生じたCO2ガスやCOガスにより放電開始電圧Vsの低下を抑制することができる。
したがって、本発明に係るサージ防護素子では、特に波尾の長い電流サージによるアーク放電に対して特性の影響が少なく、放電開始電圧の変動幅を小さくでき、安定した放電が可能になる。
特に、本発明に係るサージ防護素子は、大電流サージ耐性が要求されるインフラ用(鉄道関連、再生エネルギー関連(太陽電池、風力発電等))の電源及び通信設備に好適である。また、サージ耐量が向上しているため、素子の小型化も可能になり、小型電子機器及び実装基板への応用も可能になる。
上記絶縁性管2の内周面の少なくとも一部には、酸化物を含有した酸素源層5が形成されている。
特に、酸素源層5は、放電補助部4の近傍に形成されている。
また、酸素源層5は、酸化物としてSiO2を含んでいる。
本実施形態では、酸素源層5が、SiO2粉(珪砂)とケイ酸ナトリウムとの混合物のいわゆる水ガラスで構成されている。
上記放電補助部4は、炭素材で形成された導電性材料であって、いわゆるカーボントリガ線である。
なお、本実施形態では、放電補助部4は、絶縁性管2の内周面に軸線に沿って直線状に形成されている。
また、これら放電補助部4の近傍であって放電補助部4に沿って酸素源層5を絶縁性管2の内周面に複数形成している。本実施形態では酸素源層5を、図1に示すように、放電補助部4に沿った帯状に形成しているが、絶縁性管2の内周面の周方向に沿った帯状などに形成しても構わない。酸素源層5を帯状以外に、円状,楕円状,四角形状又は点状などに形成しても構わない。いずれの場合も、酸素源層5は、放電補助部4の近傍に設けることが好ましい。
なお、本実施形態では、一対の突出電極部3a間の空間に対抗した位置に酸素源層5を配置している。
封止電極3は、絶縁性管2の両端開口部に導電性融着材(図示略)により加熱処理によって密着状態に固定されている円板状のフランジ部3bを有している。このフランジ部3bの内側に、内方に突出していると共に絶縁性管2の内径よりも外径の小さな円柱状の突出電極部3aが一体に設けられている。
上記絶縁性管2内に封入される放電制御ガスは、不活性ガス等であって、例えばHe,Ar,Ne,Xe,Kr,SF6,CO2,C3F8,C2F6,CF4,H2,大気等及びこれらの混合ガスが採用される。
さらに、酸素源層5が、放電補助部4の近傍に形成されているので、酸素源層5から発生した酸素と放電補助部4の炭素とが反応し易くなり、放電開始電圧Vsの上昇を抑制するCO2ガスやCOガスをより発生させ易くなる。
5…酸素源層
Claims (4)
- 絶縁性管と、
前記絶縁性管の両端開口部を閉塞して内部に放電制御ガスを封止する一対の封止電極と、
前記絶縁性管の内周面に形成され炭素を含有した放電補助部とを備え、
前記絶縁性管の内周面の少なくとも一部に、酸化物を含有した酸素源層が形成されていることを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項1に記載のサージ防護素子において、
前記絶縁性管が、アルミナで形成され、
前記酸素源層が、前記酸化物としてSiO2を含むことを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項2に記載のサージ防護素子において、
前記酸素源層が、SiO2粉とケイ酸ナトリウムとを含むことを特徴とするサージ防護素子。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のサージ防護素子において、
前記酸素源層が、前記放電補助部の近傍に形成されていることを特徴とするサージ防護素子。
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