JP2020136118A - ヒータ - Google Patents
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Abstract
【課題】被膜の変色を抑制することができるヒータを提供することである。【解決手段】実施形態に係るヒータは、筒状部と;前記筒状部の内部に設けられ、前記筒状部の管軸に沿って延びるコイルと;前記筒状部の外面に設けられ、第1の膜と、前記第1の膜よりも高い屈折率を有する第2の膜と、が交互に積層された被膜と;を具備している。前記筒状部の内部には、クリプトンを主成分とするガス、または、キセノンを主成分とするガスが封入されている。前記筒状部の管外径をD(mm)、前記筒状部の肉厚をT(mm)とした場合に以下の式を満足する。T/D≧0.09、且つ、D≧11.8mm【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、ヒータに関する。
輻射熱により対象物を加熱するヒータがある。この様なヒータは、発熱時に可視光領域の光も外部に放出する。そのため、例えば、この様なヒータを空間暖房などに用いる場合には、使用者が眩しくないようにすること、いわゆる防眩性が求められる。
そこで、可視光を透過し難い被膜を、バルブの外面に設けたヒータが提案されている。この場合、被膜は、赤外線を透過し易く、可視光を透過し難いものとすることが好ましい。そのため、被膜を、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層した積層膜とする技術が提案されている。
そこで、可視光を透過し難い被膜を、バルブの外面に設けたヒータが提案されている。この場合、被膜は、赤外線を透過し易く、可視光を透過し難いものとすることが好ましい。そのため、被膜を、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層した積層膜とする技術が提案されている。
一方、バルブの内部には、発熱体であるコイルと、コイルを支持するアンカが設けられている。アンカはコイルを支持するものであるため、アンカの一方の端部側はコイルに接触し、他方の端部側はバルブの内壁に接触している。そのため、コイルにおいて発生した熱がアンカを介してバルブに伝わり、バルブに伝わった熱が被膜に伝わることになる。 ここで、被膜に設けられている高屈折率膜は、鉄などの金属を含んでいるため、被膜の温度が高くなり過ぎると被膜に変色が発生するおそれがある。近年においては、より高電力のヒータが求められるようになってきており、例えば、2000W(ワット)以上のヒータになると被膜の変色が発生しやすくなるおそれがある。
そこで、被膜の変色を抑制することができるヒータの開発が望まれていた。
そこで、被膜の変色を抑制することができるヒータの開発が望まれていた。
本発明が解決しようとする課題は、被膜の変色を抑制することができるヒータを提供することである。
実施形態に係るヒータは、筒状部と;前記筒状部の内部に設けられ、前記筒状部の管軸に沿って延びるコイルと;前記筒状部の外面に設けられ、第1の膜と、前記第1の膜よりも高い屈折率を有する第2の膜と、が交互に積層された被膜と;を具備している。前記筒状部の内部には、クリプトンを主成分とするガス、または、キセノンを主成分とするガスが封入されている。前記筒状部の管外径をD(mm)、前記筒状部の肉厚をT(mm)とした場合に以下の式を満足する。
T/D≧0.09、且つ、D≧11.8mm
T/D≧0.09、且つ、D≧11.8mm
本発明の実施形態によれば、被膜の変色を抑制することができるヒータを提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本実施の形態に係るヒータ1は、対象物や、対象物が置かれている空間を加熱するものとすることができる。例えば、ヒータ1は、店舗などの空間を加熱する暖房機器に用いられるものとすることができる。ただし、ヒータ1の用途は、例示をしたものに限定されるわけではない。
本実施の形態に係るヒータ1は、対象物や、対象物が置かれている空間を加熱するものとすることができる。例えば、ヒータ1は、店舗などの空間を加熱する暖房機器に用いられるものとすることができる。ただし、ヒータ1の用途は、例示をしたものに限定されるわけではない。
図1は、本実施の形態に係るヒータ1を例示するための模式図である。
図2は、図1におけるA部の模式拡大図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図1および図2においては、被膜50を省いて描いている。
図3は、図2におけるヒータ1のB−B線方向の模式断面図である。
図1および図2に示すように、ヒータ1には、バルブ10、フィラメント20、金属箔30、リード40、および被膜50を設けることができる。
図2は、図1におけるA部の模式拡大図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図1および図2においては、被膜50を省いて描いている。
図3は、図2におけるヒータ1のB−B線方向の模式断面図である。
図1および図2に示すように、ヒータ1には、バルブ10、フィラメント20、金属箔30、リード40、および被膜50を設けることができる。
バルブ10は、筒状部11、封止部12、突起部13、およびディンプル14を有することができる。バルブ10は、筒状部11、封止部12、突起部13、およびディンプル14が一体に形成されたものとすることができる。バルブ10は、例えば、石英ガラスから形成することができる。この場合、バルブ10は、例えば、透明、すなわち着色されていない石英ガラスから形成することができる。
筒状部11は、例えば、円筒状を呈するものとすることができる。筒状部11は、筒状部11の外径である管外径Dに比べて全長L(管軸方向の長さ)が長い形態を有することができる。なお、筒状部11の全長Lは、有効発光長と称することもできる。この場合、筒状部11の内壁の管壁負荷が高くなり過ぎると、筒状部11の温度が高くなり過ぎて、筒状部11が変形したり、筒状部11の耐久性が低下したりするおそれがある。そのため、ヒータ1の電力に応じて、所定の管壁負荷を超えないように、筒状部11の管外径D、および全長L(有効発光長)を適宜決定することができる。例えば、ヒータ1の電力が2000W(ワット)の場合には、管外径Dを12mm程度、全長L(有効発光長)を280mm程度とすることができる。
筒状部11の内部空間には、ガスを封入することができる。ガスは、コイル21において発生した熱が筒状部11に伝わり難くするために封入することができる。そのため、ガスは、熱伝導率の低いガスとすることが好ましい。ガスは、例えば、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、クリプトンと窒素ガスの混合ガスなどとすることができる。クリプトンと窒素ガスの混合ガスとする場合には、クリプトンの割合を90%以上とすることができる。この場合、キセノンを用いれば、コイル21において発生した熱が筒状部11に伝わるのを効果的に抑制することができる。クリプトン、または、クリプトンと窒素ガスの混合ガスを用いれば製造コストの低減を図ることができる。
また、ガスには、臭素やヨウ素などのハロゲン物質を含めることもできる。例えば、前述したキセノンやクリプトンなどに、微量のジブロモメタン(CH2Br2)などを含めることもできる。
以上に説明したように、筒状部11の内部には、クリプトンを主成分とするガス、または、キセノンを主成分とするガスを封入することができる。
筒状部11の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、例えば、0.6bar(60kPa)から0.9bar(90kPa)までの圧力範囲とすることができる。ここで、筒状部11の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
以上に説明したように、筒状部11の内部には、クリプトンを主成分とするガス、または、キセノンを主成分とするガスを封入することができる。
筒状部11の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、例えば、0.6bar(60kPa)から0.9bar(90kPa)までの圧力範囲とすることができる。ここで、筒状部11の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
封止部12は、筒状部11の、管軸方向における両端に設けることができる。筒状部11の両端に封止部12を設けることで、筒状部11の内部空間を気密に封止することができる。例えば、一対の封止部12は、加熱した筒状部11の両端部分を押しつぶすことで形成することができる。例えば、一対の封止部12は、ピンチシール法やシュリンクシール法を用いて形成することができる。ピンチシール法を用いて封止部12を形成すれば、図1および図2に例示をしたような板状の封止部12を形成することができる。シュリンクシール法を用いて封止部12を形成すれば、円柱状の封止部12を形成することができる。
突起部13は、筒状部11の外面に設けることができる。突起部13は、ヒータ1を製造する際に、筒状部11の内部空間を排気したり、筒状部11の内部空間に前述したガスを導入したりするために設けることができる。突起部13は、排気およびガスの導入後に、石英ガラスから形成された管を焼き切ることで形成されたものとすることができる。
ディンプル14は、筒状部11の内壁を局所的に突出させたものとすることができる。ディンプル14は、筒状部11を加熱して、筒状部11の外面を局所的に押圧することで形成することができる。そのため、ディンプル14が形成された位置における筒状部11の外面は、筒状部11の内部に向けて窪んでいる。
ディンプル14は、筒状部11の内壁から筒状部11の内部に突出し、アンカ23に接触するものとすることができる。ディンプル14は、アンカ23の位置を規制するために設けることができる。ディンプル14は、筒状部11の内部に向けて突出しているので、ディンプル14が形成された位置における筒状部11の内部寸法は、ディンプル14が形成されていない位置における筒状部11の内部寸法(内径)よりも小さくなる。そのため、ディンプル14によりアンカ23を保持することができる。例えば、図3に示すように、管径方向において、互いに対峙する一対のディンプル14を設け、一対のディンプル14によりアンカ23を保持することもできる。一対のディンプル14によりアンカ23を保持するようにすれば、アンカ23と筒状部11の内壁との接触長さを減らすことができる。そのため、コイル21において発生した熱がアンカ23を介して筒状部11に伝わるのを抑制することができる。
アンカ23が複数設けられる場合には、管軸方向に複数のディンプル14を設けることができる。この場合、複数のアンカ23ごとにディンプル14を設けることもできるし、所定の間隔をあけてディンプル14を設けることもできる。図1および図2に例示をしたヒータ1の場合には、3つのアンカ23に対して一対のディンプル14が設けられている。なお、ディンプル14の数や配置は、筒状部11の全長Lやアンカ23の数などに応じて適宜変更することができる。また、筒状部11の全長Lやアンカ23の数などによっては、ディンプル14を省くこともできる。すなわち、ディンプル14は、必要に応じて設けるようにすればよい。
フィラメント20は、コイル21、レグ22、およびアンカ23を有することができる。
コイル21およびレグ22は、一体に形成することができる。コイル21およびレグ22は、例えば、タングステンなどから形成することができる。
コイル21およびレグ22は、一体に形成することができる。コイル21およびレグ22は、例えば、タングステンなどから形成することができる。
コイル21は、螺旋状を呈するものとすることができる。コイル21は、例えば、タングステン線を螺旋状に巻くことで形成することができる。コイル21の概観形状は、円筒状とすることができる。コイル21は、筒状部11の内部空間に設けることができる。コイル21は、筒状部11の中央領域を筒状部11の管軸に沿って延びるものとすることができる。コイル21は、通電時に発熱するとともに赤外線を含む光を放出することができる。
レグ22は、コイル21の両側の端部のそれぞれに設けられている。レグ22は、線状を呈し、コイル21の端部から筒状部11の管軸に沿って延びるものとすることができる。レグ22の一方の端部は筒状部11の内部空間においてコイル21の端部と接続され、他方の端部は封止部12の内部において金属箔30と接続されている。レグ22の端部の近傍は、金属箔30とレーザ溶接することができる。レグ22は、コイル21に電力を供給する部分とすることができる。
図3に示すように、アンカ23は、筒状部11の内部空間に設けることができる。例えば、アンカ23の一方の端部23a側は、コイル21の外面に設けることができる。例えば、アンカ23の端部23a側を、コイル21の外面に数回巻き付けることができる。例えば、アンカ23の端部23a側は、螺旋状を呈するものとすることができる。例えば、アンカ23の他方の端部23b側は、筒状部11の内壁に接触させることができる。例えば、アンカ23の端部23b側は、筒状部11の内壁に沿って湾曲した形状を有するものとすることができる。アンカ23の端部23a側がコイル21の外面に設けられ、アンカ23の端部23b側が筒状部11の内壁に接触することで、アンカ23により、コイル21が、筒状部11の内部空間に支持される。すなわち、アンカ23はコイル21を筒状部11の内壁に対して支持するサポート部材とすることができる。
アンカ23は、例えば、タングステンなどから形成することができる。アンカ23は、例えば、タングステン線を曲げ加工することで形成することができる。なお、コイル21とアンカ23を別々に形成する場合を例示したが、コイル21、レグ22、およびアンカ23を同じ線材から一体に形成することもできる。ただし、コイル21とアンカ23を別々に形成すれば、アンカ23の線径がコイル21の線径よりも小さくなる様にすることができる。この様にすれば、コイル21において発生した熱が、アンカ23を介して筒状部11に伝わるのを抑制することができる。アンカ23の線径は、例えば、0.35mm以下とすることができる。
アンカ23が設けられていれば、コイル21が筒状部11の内部空間の中央領域に位置するようにすることができる。そのため、コイル21が筒状部11の内壁に全面的に接触したり、全面的に近接したりするのを抑制することができる。この場合、アンカ23は、少なくとも1つ設けることができる。複数のアンカ23を設ける場合には、複数のアンカ23を所定のピッチで等間隔に設けることもできるし、複数のアンカ23を任意のピッチで設けることもできる。アンカ23の数や配置は、コイル21の長さ、剛性などに応じて適宜変更することができる。
前述したように、ディンプル14は筒状部11の内部に向けて突出しているので、ディンプル14により、アンカ23の端部23b側が弾性変形する。そのため、弾性力により、アンカ23の位置を維持することができる。また、ディンプル14を形成した際に、アンカ23の端部23b側の一部がディンプル14に内部に設けられる。そのため、ディンプル14によってもアンカ23の位置を維持することができる。
金属箔30は、1つの封止部12に対して1つ設けることができる。金属箔30は、封止部12の内部に設けることができる。金属箔30の平面形状は四角形とすることができる。金属箔30は、例えば、モリブデンから形成することができる。
リード40は、1つの金属箔30に対して1つ設けることができる。リード40は、線状を呈するものとすることができる。リード40の一方の端部側は、封止部12の内部において、金属箔30と接続されている。例えば、リード40の一方の端部側は、金属箔30にレーザ溶接することができる。リード40の他方の端部側は封止部12の外部に露出させることができる。一対のリード40には、ヒータ1の外部に設けられた電源などを電気的に接続することができる。例えば、一対のリード40のそれぞれはコネクタに接続され、コネクタに設けられているケーブルを介して、一対のリード40が電源などと電気的に接続されるようにすることができる。リード40は、例えば、モリブデンなどから形成することができる。
被膜50は、筒状部11の外面に設けることができる。例えば、被膜50は、筒状部11の外面を覆うように設けることができる。ここで、可視光領域(波長が380nm〜780nmの領域)における被膜50の平均透過率が24%よりも高いと、視感評価において眩しさが増すようになる。一方、この平均透過率が24%以下となると、視感評価において眩しさが軽減される。この場合、この平均透過率が21%以下となると、視感評価において眩しさが感じられなくなる。そのため、可視光領域における平均透過率が24%以下となるような被膜50とすることが好ましい。
なお、筒状部11と被膜50とを合わせた場合の可視光領域における平均透過率が22%よりも高いと、視感評価において眩しさが増すようになる。一方、この平均透過率が22%以下となると、視感評価において眩しさが軽減される。この場合、この平均透過率が19%以下となると、視感評価において眩しさが感じられなくなる。そのため、筒状部11と被膜50とを合わせた場合の可視光領域における平均透過率が22%以下となるような被膜50とすることが好ましい。
可視光領域における平均透過率は、例えば、日本分光株式会社製の分光光度計V−570を用いて求めることができる。例えば、波長が380nm〜780nmの領域において、分光光度計V−570を用いて5nmごとに光の透過率を測定し、測定された透過率を平均することで、可視光領域における平均透過率を求めることができる。
また、被膜50は、赤外線を透過し易く、可視光を透過し難いものとすることが好ましい。例えば、被膜50は、低屈折率膜51(第1の膜の一例に相当する)と、高屈折率膜52(第2の膜の一例に相当する)とを交互に積層した積層膜とすることができる。
図4は、積層膜としての被膜50を例示するための模式断面図である。
図4に示すように、被膜50は、低屈折率膜51と高屈折率膜52とを交互に積層した積層膜とすることができる。低屈折率膜51と高屈折率膜52は、例えば、ディップ法、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
図4は、積層膜としての被膜50を例示するための模式断面図である。
図4に示すように、被膜50は、低屈折率膜51と高屈折率膜52とを交互に積層した積層膜とすることができる。低屈折率膜51と高屈折率膜52は、例えば、ディップ法、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
低屈折率膜51は、例えば、筒状部11の外面に設けることができる。すなわち、低屈折率膜51は第1層とすることができる。低屈折率膜51の厚みは、例えば、80nm程度とすることができる。低屈折率膜51は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)や酸化ケイ素(SiO)などのケイ素酸化物、フッ化マグネシウム(MgF2)などを含むものとすることができる。この場合、筒状部11は石英ガラスから形成されているため、石英ガラスになるべく近い成分を主成分として含む低屈折率膜51とすることが好ましい。この様にすれば、筒状部11の外面に設けられた低屈折率膜51と、筒状部11の外面との接合強度を向上させることができる。例えば、二酸化ケイ素を主成分として含む低屈折率膜51とすれば、低屈折率膜51と、筒状部11の外面との接合強度が高くなる。また、二酸化ケイ素は、化学的な安定性、耐熱性、高い機械的強度を有しているため、二酸化ケイ素を主成分として含む低屈折率膜51を、高温となる筒状部11の外面に直接設けるようにしても剥離や損傷が発生する可能性が低い。
高屈折率膜52は、例えば、低屈折率膜51の上に設けることができる。すなわち、筒状部11の外面に直接形成される第1層から始まる奇数層を低屈折率膜51とし、第2層から始まる偶数層を高屈折率膜52とすることができる。高屈折率膜52の厚みは、低屈折率膜51の厚みと同じであってもよいし、異なっていてもよい。高屈折率膜52の厚みは、例えば、57nm程度とすることができる。高屈折率膜52は、例えば、酸化鉄(III)(Fe2O3)などの鉄酸化物、酸化銅(I)(Cu2O)や酸化銅(II)(CuO)などの銅酸化物などを含むものとすることができる。この場合、酸化銅(I)は、赤外線を透過しやすいので、酸化銅(I)を主成分として含む高屈折率膜52とれば、赤外線の出射効率を向上させることができる。
低屈折率膜51と高屈折率膜52の積層数(低屈折率膜51と高屈折率膜52の合計の層数)は、要求される防眩性に応じて適宜変更することができる。例えば、いわゆるHigh Glareタイプのヒータ1とする場合は、低屈折率膜51と高屈折率膜52の積層数を10層程度とすることができる。また、被膜50が、二酸化ケイ素を主成分として含む低屈折率膜51と、酸化鉄(III)を主成分として含む高屈折率膜52とを有するものである場合には、ヒータ1の非通電時における被膜50の色は、金色となる。
ここで、コイル21において発生した熱は、筒状部11を介して被膜50に伝わることになる。この場合、アンカ23の一方の端部23a側はコイル21に接触し、他方の端部23b側は筒状部11の内壁に接触している。そのため、コイル21において発生した熱がアンカ23を介して筒状部11に伝わり易くなるので、アンカ23が設けられた位置における被膜50の表面温度が高くなりやすくなる。また、ディンプル14はアンカ23を保持しているため、ディンプル14が設けられた位置における被膜50の表面温度がさらに高くなりやすくなる。
被膜50の表面は、ヒータ1が設置されている環境に露出しているので、被膜50の表面温度が高くなり過ぎると、環境に含まれているガスやゴミなどと、被膜50に含まれている成分とが反応して、被膜50の表面が変色する場合がある。例えば、被膜50の最上層が高屈折率膜52の場合には、高屈折率膜52に含まれている金属と、ガスやゴミなどとが反応するおそれがある。被膜50に変色が発生すると、商品価値が低下することになる。近年においては、より高電力のヒータが求められるようになってきており、例えば、2000W(ワット)以上のヒータ1になると被膜50の変色が発生しやすくなるおそれがある。
この場合、コイル21の外径を小さくすれば、コイル21と被膜50との間の距離を大きくすることができるので、被膜50の表面温度が高くなるのを抑制することができる。しかしながらこの様にすると、防眩性が低下することになる。
また、筒状部11の管外径Dを大きくすれば、コイル21と被膜50との間の距離を大きくすることができるので、被膜50の表面温度が高くなるのを抑制することができる。しかしながらこの様にすると、ヒータ1の大型化を招くことになる。
また、筒状部11の管外径Dを一定とし、筒状部11の肉厚を厚くすれば、筒状部11の内壁と被膜50との間の距離を大きくすることができるので、被膜50の表面温度が高くなるのを抑制することができる。しかしながら、単に、筒状部11の肉厚を厚くすれば、コイル21と筒状部11の内壁との間の距離が小さくなり、被膜50の表面温度が高くなるおそれがある。
また、筒状部11の管外径Dを大きくすれば、コイル21と被膜50との間の距離を大きくすることができるので、被膜50の表面温度が高くなるのを抑制することができる。しかしながらこの様にすると、ヒータ1の大型化を招くことになる。
また、筒状部11の管外径Dを一定とし、筒状部11の肉厚を厚くすれば、筒状部11の内壁と被膜50との間の距離を大きくすることができるので、被膜50の表面温度が高くなるのを抑制することができる。しかしながら、単に、筒状部11の肉厚を厚くすれば、コイル21と筒状部11の内壁との間の距離が小さくなり、被膜50の表面温度が高くなるおそれがある。
そこで、本実施の形態に係るヒータ1においては、筒状部11の管外径D(mm)に対する筒状部11の肉厚T(mm)の比(T/D)と、管外径D(mm)の大きさの組み合わせにより、被膜50の表面温度が高くなるのを抑制するようにしている。
表1は、筒状部11の管外径Dを10.0mmから15.0mmまで変化させた場合の、筒状部11の管外径Dに対する筒状部11の肉厚Tの比(T/D)と、被膜50の変色の発生との関係を例示するための表である。
表1は、筒状部11の管外径Dを10.0mmから15.0mmまで変化させた場合の、筒状部11の管外径Dに対する筒状部11の肉厚Tの比(T/D)と、被膜50の変色の発生との関係を例示するための表である。
表1は、ヒータ1の電力密度が7.14W/mm以上の場合である。
また、筒状部11は石英ガラスを含むものとしている。
低屈折率膜51と高屈折率膜52の積層数は10としている。低屈折率膜51は二酸化ケイ素を主成分として含み、高屈折率膜52は酸化鉄(III)を主成分として含むものとしている。
また、筒状部11は石英ガラスを含むものとしている。
低屈折率膜51と高屈折率膜52の積層数は10としている。低屈折率膜51は二酸化ケイ素を主成分として含み、高屈折率膜52は酸化鉄(III)を主成分として含むものとしている。
表1から分かるように、「T/D≧0.09」、且つ、「D≧11.8mm」とすれば被膜50に変色が発生するのを抑制することができる。また、「T/D≧0.10」、且つ、「D≧11.8mm」とすれば被膜50に変色が発生するのをさらに効果的に抑制することができる。
また、本発明者の得た知見によれば、被膜50の表面温度を722℃以下にすることができれば、被膜50に変色が発生するのを抑制することができる。
表2は、被膜50の表面温度を例示するための表である。なお、表2は、3000時間の通電を行った場合の結果である。また、ヒータ1は、大気中に設けた。筒状部11に封入したガスの圧力は、0.8atm(81kPa)程度とした。
表2は、被膜50の表面温度を例示するための表である。なお、表2は、3000時間の通電を行った場合の結果である。また、ヒータ1は、大気中に設けた。筒状部11に封入したガスの圧力は、0.8atm(81kPa)程度とした。
表2から分かるように、筒状部11の管外径Dを12mmとした場合に、筒状部11の肉厚Tを1.2mm以上とすれば、被膜50の表面温度を722℃以下にすることができる。そのため、被膜50に変色が発生するのを抑制することができる。なお、製造公差を考慮する場合には、筒状部11の管外径Dを12mm±0.2mmとした場合に、筒状部11の肉厚Tを1.2mm±0.15mm以上とすればよい。
また、表2から分かるように、筒状部11に封入するガスをキセノンとすれば、被膜50の表面温度をさらに低下させることができる。一方、筒状部11に封入するガスをクリプトンとすれば、キセノンの場合に比べてコストを1/19程度にすることができる。そのため、ヒータ1が設置される環境などに応じて、封入するガスの種類を選択することもできる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1 ヒータ、10 バルブ、11 筒状部、14 ディンプル、20 フィラメント、21 コイル、22 レグ、23 アンカ、30 金属箔、40 リード、50 被膜、51 低屈折率膜、52 高屈折率膜
Claims (3)
- 筒状部と;
前記筒状部の内部に設けられ、前記筒状部の管軸に沿って延びるコイルと;
前記筒状部の外面に設けられ、第1の膜と、前記第1の膜よりも高い屈折率を有する第2の膜と、が交互に積層された被膜と;
を具備し、
前記筒状部の内部には、クリプトンを主成分とするガス、または、キセノンを主成分とするガスが封入され、
前記筒状部の管外径をD(mm)、前記筒状部の肉厚をT(mm)とした場合に以下の式を満足するヒータ。
T/D≧0.09、且つ、D≧11.8mm - 前記ヒータの電力密度は、7.14W/mm以上である請求項1記載のヒータ。
- 一方の端部側が前記コイルに設けられ、他方の端部側が前記筒状部の内壁に接触するアンカと;
前記筒状部の内壁から前記筒状部の内部に突出し、前記アンカに接触するディンプルと;
をさらに具備した請求項1または2に記載のヒータ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019029278A JP2020136118A (ja) | 2019-02-21 | 2019-02-21 | ヒータ |
EP19207350.0A EP3700296A1 (en) | 2019-02-21 | 2019-11-06 | Heater |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019029278A JP2020136118A (ja) | 2019-02-21 | 2019-02-21 | ヒータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020136118A true JP2020136118A (ja) | 2020-08-31 |
Family
ID=68470317
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019029278A Pending JP2020136118A (ja) | 2019-02-21 | 2019-02-21 | ヒータ |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP3700296A1 (ja) |
JP (1) | JP2020136118A (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4136810B2 (ja) * | 2003-06-27 | 2008-08-20 | 東芝ライテック株式会社 | 管形ヒータ |
JP4821819B2 (ja) * | 2008-08-26 | 2011-11-24 | ウシオ電機株式会社 | フィラメントランプおよび光照射式加熱処理装置 |
JP2015185442A (ja) * | 2014-03-25 | 2015-10-22 | 東芝ライテック株式会社 | ヒーター |
-
2019
- 2019-02-21 JP JP2019029278A patent/JP2020136118A/ja active Pending
- 2019-11-06 EP EP19207350.0A patent/EP3700296A1/en not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP3700296A1 (en) | 2020-08-26 |
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