以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本本発明の圧電センサの一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、圧電センサ1は、圧電素子20と、シールド体30と、シース40とを有する帯状のセンサである。図1には、圧電センサ1を切断した切断面が示されている。なお、本実施形態の説明に用いる図面では、各部材の厚みを誇張して示している。圧電素子20は、圧電体21と、おもて面導電層22と、裏面導電層23とから構成されている。圧電素子20は、帯状の長尺な素子である。この圧電体21は、圧電センサ1における最も内側に配置されている。以下、圧電素子20の長手方向を単に長手方向と称し、圧電素子20の厚み方向(図1では上下方向)を単に厚み方向と称し、長手方向と厚み方向それぞれに直交する方向を幅方向と称する。なお、圧電センサ1と圧電素子20は、厚み方向、長手方向、および幅方向が全て一致している。
圧電体21は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をフィルム状に成形した後、そのフィルム状のPVDFを長尺の帯状に切断したものである。なお、フィルム状の圧電体21を切断してから、その切断した圧電体21におもて面導電層22および裏面導電層23を付着させてもよく、切断前のフィルム状の圧電体21におもて面導電層22および裏面導電層23を付着させてから、おもて面導電層22および裏面導電層23が付着した圧電体21を切断してもよい。PVDFは、圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体21には分極処理が施されており、圧電体21に変形が生じたときにおもて面導電層22と、裏面導電層23の間に電圧が誘起される。圧電体21を構成する圧電材料としては、PVDFの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。
圧電体21の厚みは、0.02mm以上0.12m以下であることが好ましい。圧電体21の厚さは、厚ければ厚いほど検出感度が良好になるが、圧電体21の厚さが厚すぎると圧電素子20、ひいては圧電センサ1が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。また、圧電体21の幅は、0.5mm以上1.5mm以下が好ましい。
おもて面導電層22は、圧電体21の一方の面に成膜された層である。以下、この一方の面をおもて面21aと称する。このおもて面導電層22は、第1導体の一例に相当する。おもて面導電層22は、蒸着によって銅をおもて面21aに付着させることで形成されている。ただし、導電性を有する材料であれば、アルミニウム、スズなどの他の金属材料や導電性樹脂を用いてもよい。また、これらの材料をおもて面21aに付着させる方法として、スパッタ、電子ビーム堆積法(EBD)、ケミカルベーパーデポジション(CVD)、塗布、無電解メッキ、導電接着剤による接着等の他の方法を用いてもよい。図1に示すように、おもて面導電層22の幅は、圧電体21の幅よりも少し小さい幅に形成されているので、おもて面21aの幅方向両端部は露出している。露出している部分の幅は、圧電体21の厚み以上の幅にすることが好ましい。圧電素子20を作製する際に、フィルム状の圧電体21におもて面導電層22を成膜し、その後に圧電体21とおもて面導電層22を切断して帯状の圧電素子20を得ることが考えられる。その切断時に、おもて面導電層22の幅方向端部がダレたりバリが生じることがある。圧電体21の厚みによっては、ダレた部分またはバリが裏面導電層23に達して、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまう虞がある。露出している部分の幅を、圧電体21の厚み以上の幅にすることで、導通してしまうことを抑制できる。また、おもて面導電層22の厚みが厚いと、大きなバリが形成されることがあるので、露出した部分の幅は、おもて面導電層22の厚さ以上の幅にすることが好ましい。
裏面導電層23は、圧電体21の他方の面に成膜された層である。以下、この他方の面を裏面21bと称する。この裏面導電層23は、第2導体の一例に相当する。圧電体21は、おもて面導電層22と裏面導電層23の間に挟まれている。裏面導電層23も、蒸着によって銅を裏面に付着させることで形成されている。ただし、おもて面導電層22と同様に、他の材料を用いてもよく、これらの材料を蒸着以外の方法で裏面21bに付着させてもよい。また、裏面導電層23とおもて面導電層22は、同じ材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。図1に示すように、裏面導電層23の幅は、圧電体21の幅よりも少し小さい幅に形成されているので、裏面21bの両端部は露出している。露出している部分の幅は、圧電体21の厚み以上の幅にすることが好ましい。圧電素子20を作製する際に、フィルム状の圧電体21に裏面導電層23を成膜し、その後に圧電体21と裏面導電層23を切断して帯状の圧電素子20を得ることが考えられる。その切断時に、裏面導電層23の幅方向端部がダレたりバリが生じることがある。圧電体21の厚みによっては、ダレた部分またはバリがおもて面導電層22に達して、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまう虞がある。露出している部分の幅を、圧電体21の厚み以上の幅にすることで、導通してしまうことを抑制できる。また、裏面導電層23の厚みが厚いと、大きなバリが形成されることがあるので、露出した部分の幅は、裏面導電層23の厚さ以上の幅にすることが好ましい。
以上説明した、おもて面導電層22の幅および裏面導電層23の幅に着目してまとめると、
第1導体と第2導体との間に帯状の圧電体が設けられた長尺状の圧電素子を備え、
前記第1導体が、前記圧電体のおもて面に、該圧電体の幅方向両端それぞれから該幅方向中心側に間隔をあけて設けられたおもて面導電層であり、
前記第2導体が、前記圧電体の裏面に、該圧電体の幅方向両端それぞれから該幅方向中心側に間隔をあけて設けられた裏面導電層であることを特徴とする圧電センサである。
シールド体30は、圧電素子20の長手方向に沿って延在し、圧電素子20を挟み込んだ帯状のものである。図1に示すシールド体30は、第1シールド体32と、第2シールド体34とから構成されている。第1シールド体32は、絶縁性の第1絶縁フィルム321の片面全体に、導電性を有する第1シールド層322が成膜された帯状のものである。なお、図1および後述する図4では第1シールド層322の断面を示すハッチングは省略している。第1絶縁フィルム321は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。ただし、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂(PFA)などの他の樹脂フィルムを用いてもよい。第1シールド層322は、蒸着によって銅を第1絶縁フィルム321に付着させることで形成された層である。ただし、アルミニウム等の他の材料を用いてもよい。また、スパッタ、EBD、CVD、塗布、浸漬(ドブ付け)、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて第1絶縁フィルム321に付着させてもよい。第1シールド体32は、圧電素子20のおもて面導電層22よりも外側(図1における上側)に配置されている。第1絶縁フィルム321とおもて面導電層22は接触している。第1シールド層322は、第1絶縁フィルム321を間に挟むことで、おもて面導電層22とは非接触で、おもて面導電層22を覆っている。
第2シールド体34は、絶縁性の第2絶縁フィルム341の片面に、導電性を有する第2シールド層342が成膜された帯状のものである。なお、図1および後述する図4では第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。第2シールド体34は、第1シールド体32と同一の構成を有する。ただし、絶縁性のフィルムと導電性を有する層とが組み合わされたものであれば、第2シールド体34を構成する材料と第1シールド体32を構成する材料とを異なるものにしてもよい。第2シールド体34は、裏面導電層23よりも外側(図1における下側)に配置されている。第2絶縁フィルム341と裏面導電層23は接触している。第2シールド層342は、第2絶縁フィルム341を間に挟むことで、裏面導電層23とは非接触で、裏面導電層23を覆っている。
第1シールド体32の幅方向の両端部と、第2シールド体34の幅方向の両端部は、連結されている。すなわち、第1絶縁フィルム321と第2絶縁フィルム341は、幅方向の両端部が接着剤で貼り合わされている。従って、圧電素子20は、シールド体30によって周囲を覆われている。なお、熱圧着や超音波接着などを用いて、第1シールド体32の幅方向の両端部と第2シールド体34の幅方向の両端部とを貼り付けてもよい。第1シールド層322の両端部と第2シールド層342の両端部の間には、第1絶縁フィルム321と接着剤と第2絶縁フィルム341の厚み分の隙間が生じている。圧電センサ1を、振動を測定する振動センサとして使用する場合、この隙間は、測定したい振動の波長のうち、最短の波長に対して1/4以下にすることが望ましい。こうすることで、測定したい波長と同じ波長を有する外部ノイズが、第1シールド層322と第2シールド層342の両端部に形成されている隙間から侵入することを防止できる。
シース40は、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるためにシールド体30の外周を覆っている。シース40は、第1シース41と第2シース42とから構成されている。図1では、各部材が分かるように、第1シース41と第1シールド体32の間に若干の隙間が存在しているように示されているが、実際には第1シース41と第1シールド体32は接触して配置されている。同様に、第2シース42と第2シールド体34も接触して配置されている。すなわち、圧電素子20を内包したシールド体30は、第1シース41と第2シース42によって挟み込まれている。
第1シース41および第2シース42は、ポリ塩化ビニル(PVC)製のフィルムである。ただし、第1シース41および第2シース42として、PETフィルム、4フッ化・6フッ化プロピレン フッ素樹脂(FEP)フィルム、PFAフィルムなど、他の絶縁材質のフィルムを用いてもよい。また、第1シース41の材質と第2シース42の材質を異ならせてもよい。第1シース41および第2シース42は、幅方向の両端部が接着剤で貼り合わされている。これにより、圧電素子20およびシールド体30は、シース40によって周囲を覆われている。なお、熱圧着や超音波接着などにより、第1シース41の幅方向の両端部を第2シース42の幅方向の両端部に貼り付けてもよい。また、シース40は、単層または複層のチューブ状のものを用いてもよい。さらに、シース40は、浸漬(ドブ付け)、吹き付け塗装、ハケ塗り、塗布装置などによってシールド体30の周囲に塗布されたものであってもよい。
図2は、図1に示した圧電センサの端部のうち、回路に接続された側の端部と回路を示す図である。
図2に示すように、おもて面導電層22と裏面導電層23は、回路の一例である差動増幅器90に接続されている。また、第1シールド層322および第2シールド層342は接地されている。なお、本実施形態における「接地されている」という用語には、アースに接続されている場合の他、グラウンドに接続されている場合を含む。差動増幅器90は、おもて面導電層22と裏面導電層23との電位差を増幅して出力するものである。差動増幅器90が出力した信号は不図示のA/D変換器やCPU等によって処理される。なお、差動増幅器90やCPU等の回路は、外部ノイズの影響を避けるため、接地された導電性の筐体の中に収納されていることが好ましい。差動増幅器90には電源電圧Vddとして10Vが供給されている。また、裏面導電層23には、電源電圧Vddの半分の電圧(5V)が基準電圧として印加されている。本実施形態では、電源電圧として10Vを用い、基準電圧として5Vを用いているので、正負電源を用いなくても信号を得ることができる。
上述の圧電センサ1に対して振動等の外力が加えられると、圧電素子20が変形し、その圧電効果によっておもて面導電層22と裏面導電層23の電位差が変動する。この電位差が差動増幅器90によって増幅されて出力される。すなわち圧電センサ1は、振動等の外力に基づく信号を出力するセンサとしての機能を有する。また、上述の圧電センサ1は、おもて面導電層22と裏面導電層23は、接地されたシールド体30によって囲まれており、外部ノイズによって電位が変動しにくくなるように構成されている。
また、圧電センサ1は、回路に接続されていない側の端部で、おもて面導電層22、裏面導電層23、シールド体30が露出していると、これらが互いに接触して振動等の外力に基づく信号が正確に得られなくなる虞がある。このため、おもて面導電層22、裏面導電層23、およびシールド体30は確実に絶縁状態しておくことが好ましい。また、おもて面導電層22および裏面導電層23の一部に、シールド体30に覆われていない部分があると、そこから外部ノイズの影響を受ける場合がある。このため、回路に接続されていない側の端部においても、おもて面導電層22および裏面導電層23をシールドしておくことが好ましい。
図3は、図1に示した圧電センサの端部のうち、回路に接続されていない側の端部に、絶縁性の端部被覆および導電性を有する端部被覆を施した一例を示す図である。この端部には、2つの絶縁性の端部被覆と、導電性を有する1つの端部被覆が施されている。図3では、各端部被覆を理解しやすいように、各端部被覆が施される様子を図3(a)から(d)まで段階的に示している。
図3(a)には、端部被覆が施されておらず、圧電素子20およびシールド体30が露出した端部が示されている。図3(b)には、図3(a)に示す、圧電素子20の端部が、絶縁性の第1端部被覆91で覆われた様子が示されている。この例では、圧電体21、おもて面導電層22および裏面導電層23は、第1端部被覆91で覆われることで、第1シールド層322および第2シールド層342と接触してしまうことが防止されている。
図3(c)には、図3(b)で示す状態から、第1端部被覆91ごとシールド体30の端部までが導電性を有する第2端部被覆92で覆われた様子が示されている。第1シールド層322と第2端部被覆92、第2シールド層342と第2端部被覆92それぞれは接触している。従って、第1シールド層322の電位、第2シールド層342の電位、および第2端部被覆92の電位は全て同じになる。この第2端部被覆92により、回路に接続されていない側の端部にある、おもて面導電層22および裏面導電層23は、外部ノイズの影響を受けにくくなる。
図3(d)には、図3(c)で示す状態から、第2端部被覆92ごとシース40の端部までが絶縁性の第3端部被覆93で覆われた様子が示されている。圧電素子20の端部、シールド体30の端部、第1端部被覆91、および第2端部被覆92が設けられた端部を第3端部被覆93によって物理的に保護することができる。なお、この第3端部被覆93を熱収縮(あるいは熱融着)する大きめの素材で構成しておき、端部を覆った状態で加熱することでシールド体30、シース40、および第2端部被覆92に密着させてもよい。
第1端部被覆91および第3端部被覆93の材質は、絶縁性のもの(例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、等)であればよい。また、第2端部被覆92の材質は、導電性のもの(例えば、アルミ、銅、錫、あるいは複数材料による合金、等)であればよい。また、第1端部被覆91、第2端部被覆92、および第3端部被覆93の形状は、フィルム状、メッシュ状、円柱状などを用いてもよく、その形状が限定されるものではない。さらに、上述した第1端部被覆91、第2端部被覆92、および第3端部被覆93のうちの、1つまたは2つを省略してもよい。加えて、例えば、圧電素子20とシールド体30の端面が同一平面状に形成されている場合には、その端面を絶縁性の部材で覆い、その外側を第1シールドおよび第2シールド層342のうち少なくとも一方に接するように導電性を有する部材で覆い、さらにその部材の外側に絶縁性の被覆を設けてもよい。また、圧電素子20を、シールド体30よりも少し短くし、第1絶縁フィルム321または第2絶縁フィルム341を内側にして圧電素子20の端面をシールド体30で包み、その外側に絶縁性の部材を設けてもよい。すなわち、導体同士の絶縁およびシールドをより確実にする構成であればよく、その構成が限定されるものではない。
続いて、圧電センサ1の作製手順について説明する。
図4は、図1に示した圧電センサの作製手順を示した断面図である。
図4(a)に示すように、先ず、帯状の圧電体21のおもて面21aにおもて面導電層22を成膜し、裏面21bに裏面導電層23を成膜した圧電素子20を用意する。また、図4(b)に示すように、第1絶縁フィルム321の一方の面に、第1シールド層322が成膜された第1シールド体32と、第2絶縁フィルム341の一方の面に、第2シールド層342が成膜された第2シールド体34を用意する。なお、本実施形態の第1シールド体32と第2シールド体34は同一のものであるので、倍の大きさのシールド体を用意し、長手方向に沿って半分に切断して第1シールド体32および第2シールド体34を作製してもよい。
次に、図4(c)に示すように、第2シールド層342を下側にした状態の第2シールド体34の上に圧電素子20を載せ、その圧電素子20の上に、第1絶縁フィルム321を下側にした状態で第1シールド体32を載せる。そして、第1絶縁フィルム321の幅方向の端部と第2絶縁フィルム341の幅方向の端部を接着剤で貼り合わせていく。なお、第2絶縁フィルム341の上面全体と、第1絶縁フィルム321の下面全体に接着剤を塗布した後、第2シールド体34の上に圧電素子20を載せ、さらにその上に第1シールド体32を載せて、第1絶縁フィルム321の幅方向の端部と第2絶縁フィルム341の幅方向の端部を貼り合わせてもよい。また、貼り合わせ方法としてロールツーロール方式を用いてもよく、その場合には、圧電素子20と第1シールド体32と第2シールド体34を同時に貼り合わせてもよい。
そして、図4(d)に示すように、第1シース41と第2シース42を用意する。最後に、図4(e)に示すように、第1シース41と第2シース42の間に、圧電素子20を内包したシールド体30を挟み込んで、第1シース41の幅方向の端部と第2シース42の幅方向の端部を接着剤で貼り合わせる。なお、第1シース41の片面全体と第2シース42の片面全体に接着剤を塗布した後、接着剤を塗布した面を上面にした第2シース42の上に圧電素子20内包したシールド体30を載せて、接着剤を塗布した面を下面にした第1シース41をそのシールド体30の上に載せて、第1シース41の幅方向の端部と第2シース42の幅方向の端部を貼り合わせても良い。また、圧電素子20内包したシールド体30と第1シース41と第2シース42の貼り合わせにロールツーロール方式を用いてもよい。その場合には、圧電素子20と第1シールド体32と第2シールド体34を同時に貼り合わせてもよい。以上により、圧電センサ1を得ることができる。
この実施形態では、帯状のシールド体30で帯状の圧電素子20を挟み込み、その外周を帯状のシース40で挟み込むだけでシールド機能を有する圧電センサ1を作製することができる。従って、安価に圧電センサ1を作製することができる。
続いて、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素の名称には、これまで用いた符号と同じ符号を付すことがあり、重複する説明は省略することがある。
図5は、圧電センサの第1変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図5では第1シールド層322および第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
第1変形例は、裏側絶縁フィルム24が設けられている点と、裏面導電層23が、圧電体21に対して幅方向にずれた位置に配置されている点とが図1に示した例と異なる。図5に示すように、この第1変形例では、圧電素子20は、圧電体21と、おもて面導電層22と、裏面導電層23と、裏側絶縁フィルム24とから構成されている。裏側絶縁フィルム24は、PET製のフィルムである。ただし、PE、PI、PPS、PFAなどの他の樹脂フィルムを用いてもよい。裏面導電層23は、蒸着によって銅を裏側絶縁フィルム24の一方の面に付着させることで形成された層である。ただし、アルミニウム等の他の材料を用いてもよい。また、スパッタ、EBD、CVD、塗布、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて裏側絶縁フィルム24に付着させてもよい。裏面導電層23と裏側絶縁フィルム24は、圧電体21に貼り付けられている。具体的には、裏面導電層23は、導電性接着剤によって圧電体21に貼り付けられている。これにより、裏面導電層23と圧電体21は電気的に接続されている。なお、第1シールド体32の幅方向の端部と第2シールド体34の幅方向の端部を貼り合わせることによって、裏面導電層23と圧電体21を互いに押し付けて、裏面導電層23と圧電体21を密着させてもよい。また、裏面導電層23と圧電体21とを導電性の樹脂で接続してもよい。
裏面導電層23は、裏側絶縁フィルム24とともに圧電体21とは幅方向にずれた状態で圧電体21に貼り付けられている。従って、裏面導電層23は、圧電体21の幅方向の一端21cから幅方向に間隔をあけて裏面21bに接している。換言すれば、圧電体21の裏面21bは、幅方向の一端21cから幅方向に所定間隔分だけ、裏面導電層23および裏側絶縁フィルム24に覆われていない部分があり、その部分は露出している。裏面導電層23を成膜する際に、裏面導電層23の幅方向端部にバリが生じる場合がある。裏面導電層23の幅方向端部と圧電体21の幅方向端部を一致させた状態で、裏面導電層23を圧電体21に貼り付けると、裏面導電層23の幅方向端部にバリが生じている場合には、そのバリがおもて面導電層22に達し、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまう虞がある。また、裏面導電層23と圧電体21を貼り付けるための導電性接着剤がおもて面導電層22に達してしまい、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまう虞もある。これに対し、裏面導電層23と圧電体21とを幅方向にずれた状態にすることで、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまうことを防止できる。
また、裏面導電層23および裏側絶縁フィルム24を、圧電体21とは幅方向にずれた状態にすることで、裏面導電層23の他端側部分および裏側絶縁フィルム24の他端側部分は、圧電体21における幅方向の他端21dから幅方向に突出している。これにより、裏面導電層23のうち突出している部分は、圧電体21に覆われておらず露出している。
図6は、図5に示した第1変形例の圧電センサにおける、回路に接続された側の端部と回路を示す図である。
図6に示すように、裏面導電層23は、上述の突出している部分(露出している部分)に、外部配線が接続されている。裏面導電層23は、圧電体21と裏側絶縁フィルム24によって覆われているので、裏面導電層23に外部配線を接続するためには、裏面導電層23の端部を覆っている圧電体21を、裏面導電層23からひき剥がす必要が生じる。第1変形例の圧電センサ1では、裏面導電層23が、圧電体21における幅方向の他端21dから幅方向に突出して露出している部分を有するので、圧電体21を剥がさなくても裏面導電層23に外部配線を接続することができる。なお、回路に接続されていない側の端部は、その端部における、上述の突出している部分を切り取った上で、圧電素子20の端部を図3に示した第1端部被覆91で覆えばよい。
図7は、図5示した第1変形例の圧電センサの作製手順を示した断面図である。なお、図7では第1シールド層322および第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
図7(a)に示すように、先ず、帯状の圧電体21のおもて面21aにおもて面導電層22を成膜したものと、裏側絶縁フィルム24の一方の面に裏面導電層23を成膜したものを用意する。そして、図7(b)に示すように、導電性接着剤を用いて、裏面導電層23を圧電体21の裏面21bに幅方向にずらして貼り合わせる。なお、貼り合わせ方法としてロールツーロール方式を用いてもよい。以上により、圧電素子20が作製される。以降は、図4に示した作製手順と同様に、図7(c)に示すように、第1シールド体32および第2シールド体34を用意し、図7(d)に示すように第1シールド体32と第2シールド体34の間に圧電素子20を挟み込む。そして、図7(e)に示すように、第1シース41と第2シース42を用意して、図7(f)に示すように、第1シース41と第2シース42の間に、圧電素子20内包したシールド体30を挟み込むことで、第1変形例の圧電センサ1を得ることができる。
図8は、圧電センサの第2変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図8では、第1シールド層322、第2シールド層342、およびシースシールド44の断面を示すハッチングは省略している。
第2変形例の説明では、主に第1変形例との違いについて説明し、第1変形例と重複する説明は省略することがある。第2変形例は、おもて側絶縁フィルム25が設けられている点、おもて面導電層22が圧電体21に対して幅方向にずれた状態で配置されている点、シース40がチューブ状である点、およびシース40にシースシールド44が設けられている点が第1変形例とは異なる。
図8に示すように、第2変形例では、圧電素子20は、圧電体21と、おもて面導電層22と、裏面導電層23と、裏側絶縁フィルム24と、おもて側絶縁フィルム25から構成されている。おもて面導電層22は、蒸着によって銅をおもて側絶縁フィルム25の一方の面に付着させることで形成された層である。ただし、アルミニウム等の他の材料を用いてもよい。また、スパッタ、EBD、CVD、塗布、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて裏側絶縁フィルム24に付着させてもよい。裏面導電層23は、おもて面導電層22と同じ材質および方法で裏側絶縁フィルム24の一方の面に形成された層である。なお、おもて面導電層22と裏面導電層23は、異なる材料で構成されていてもよく、異なる方法で形成されたものであってもよい。
おもて側絶縁フィルム25は、第1変形例の裏側絶縁フィルム24と同じPET製のフィルムである。ただし、PE、PI、PPS、PFAなどの他の樹脂フィルムを用いてもよい。また、裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25とを異なる材質のものにしてもよい。
おもて面導電層22は、おもて側絶縁フィルム25とともに圧電体21に貼り付けられている。具体的には、おもて面導電層22が圧電体21に導電性接着剤により貼り付けられている。これにより、おもて面導電層22と圧電体21は電気的に接続されている。なお、第1シールド体32の幅方向の端部と第2シールド体34の幅方向の端部を貼り合わせることによって、おもて面導電層22と圧電体21を互いに押し付けて、おもて面導電層22と圧電体21を密着させてもよい。また、裏面導電層23と圧電体21とを導電性の樹脂で接続してもよい。
おもて面導電層22およびおもて側絶縁フィルム25は、圧電体21とは幅方向にずれた状態で圧電体21に貼り付けられている。従って、おもて面導電層22は、圧電体21の幅方向の他端21dから幅方向に間隔をあけておもて面21aに接している。換言すれば、圧電体21のおもて面21aは、幅方向の他端21dから幅方向に所定間隔分だけ、おもて面導電層22およびおもて側絶縁フィルム25に覆われていない部分があり、その部分は露出している。おもて面導電層22を成膜する際に、おもて面導電層22の幅方向端部にバリが生じる場合がある。おもて面導電層22の幅方向端部と圧電体21の幅方向端部を一致させた状態で、おもて面導電層22と圧電体21とを貼り付けると、おもて面導電層22の幅方向端部にバリが生じている場合には、そのバリが裏面導電層23に達して、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまう虞がある。また、おもて面導電層22と圧電体21を貼り付けるための導電性接着剤が裏面導電層23に達してしまい、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまう虞もある。これに対し、おもて面導電層22と圧電体21とを幅方向にずれた状態にすることで、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまうことを防止できる。
また、おもて面導電層22およびおもて側絶縁フィルム25を、圧電体21とは幅方向にずれた状態にすることで、おもて面導電層22の一端側部分およびおもて側絶縁フィルム25の一端側部分は、圧電体21における幅方向の一端21cから幅方向に突出している。これにより、裏面導電層23のうち、突出している部分は、圧電体21に覆われておらず露出している。
シース40は、チューブ状の外皮43とシースシールド44とから構成されている。この第2変形例におけるシース40は、外部被覆の一例に相当し、シースシールド44は、導電膜の一例に相当する。外皮43は、PVC製のチューブである。ただし、外皮43として、PE、PET、FEP、PFAなど、他の絶縁材質のチューブを用いてもよい。シースシールド44は、外皮43の内側に配置されたすずめっき銅製のシールド編線である。なお、シースシールド44として、真鍮など他の材質の編線などを用いてもよい。シース40にシースシールド44を設けることで、圧電素子20およびシールド体30を物理的に保護できるだけでなく、第1シールド層322および第2シールド層342とあわせて2重のシールド効果を得ることができる。
図9は、図8に示した第2変形例の圧電センサにおける、回路に接続された側の端部と回路を示す図である。
図9に示すように、おもて面導電層22は、上述の突出している部分(露出している部分)に、外部配線が接続されている。図5に示したおもて面導電層22は、圧電体21とおもて側絶縁フィルム25によって覆われているので、おもて面導電層22に外部配線を接続するためには、おもて面導電層22の端部を覆っている圧電体21を、おもて面導電層22からひき剥がす必要が生じる。これに対し、第2変形例の圧電センサ1では、おもて面導電層22が、圧電体21における幅方向の一端21cよりも一端21c側に突出して露出している部分を有するので、圧電体21をひき剥がさなくてもおもて面導電層22に外部配線を接続することができる。なお、回路に接続されていない側の端部は、その端部においける、上述の突出している部分を切り取った上で、圧電素子20の端部を図3に示した第1端部被覆91で覆えばよい。
図10は、図8示した第2変形例の圧電センサの作製手順を示した断面図である。なお、図10では、第1シールド層322、第2シールド層342、およびシースシールド44の断面を示すハッチングは省略している。
図10(a)に示すように、先ず、帯状の圧電体21と、裏側絶縁フィルム24の一方の面に裏面導電層23を成膜したものと、おもて側絶縁フィルム25の一方の面におもて面導電層22を成膜したものを用意する。そして、図10(b)に示すように、導電性接着剤を用いて、圧電体21のおもて面21aにおもて面導電層22を幅方向にずらして貼り付ける。また、圧電体21の裏面21bに裏面導電層23を幅方向にずらして貼り合わせる。なお、貼り合わせ方法としてロールツーロール方式を用いてもよい。その場合には、帯状の圧電体21と、裏側絶縁フィルム24の一方の面に裏面導電層23を成膜したものと、おもて側絶縁フィルム25の一方の面におもて面導電層22を成膜したものとを同時に貼り合わせてもよい。以上により、圧電素子20が作製される。
次に、図10(c)に示すように、第1絶縁フィルム321の一方の面に、第1シールド層322が成膜された第1シールド体32と、第2絶縁フィルム341の一方の面に、第2シールド層342が成膜された第2シールド体34を用意する。そして、図10(d)に示すように、第2シールド層342を下側にした状態で第2シールド体34の上に圧電素子20を載せ、その圧電素子20の上に、第1絶縁フィルム321を下側にした状態で第1シールド体32を載せる。そして、第1絶縁フィルム321の幅方向の端部と第2絶縁フィルム341の幅方向の端部を接着剤で貼り合わせていく。
そして、図10(e)に示すように、チューブ状の外皮43とシースシールド44とから構成されたチューブ状のシース40を用意する。最後に、図10(f)に示すように、シース40の中に、図10(d)で作製したシールド体30に覆われた圧電素子20を挿入する。以上により、第2変形例の圧電センサ1を得ることができる。なお、外皮43に熱収縮性のチューブを用い、圧電素子20を内包するシールド体30をシース40内に挿入した後に、外皮43に熱を加えて収縮させ、シールド体30とシースシールド44とを密着させてもよい。また、シールド体30とシースシールド44の間に接着剤を充填してもよい。
図11は、圧電センサの第3変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図11では、第1シールド層322および第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
第3変形例の説明では、主に第2変形例との違いについて説明し、第2変形例と重複する説明は省略することがある。第3変形例は、裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25の構造と、第1シールド層322が第1絶縁フィルム321の内側に配置されている点と、第2シールド層342が第2絶縁フィルム341の内側に配置されている点と、シース40にシースシールド44が設けられていない点が第2変形例とは異なる。
図11に示すように、裏面導電層23は、裏側絶縁フィルム24の幅方向の中央部分にのみ成膜されている。従って、裏側絶縁フィルム24の幅方向の両端部分には裏面導電層23が成膜されていない。この第3変形例における裏側絶縁フィルム24は、第2絶縁体の一例に相当する。逆に言えば、裏側絶縁フィルム24の幅方向の両端は、裏面導電層23に対して幅方向に突出している。同様に、おもて面導電層22は、おもて側絶縁フィルム25の幅方向の中央部分にのみ成膜されている。この第3変形例におけるおもて側絶縁フィルム25は、第1絶縁体の一例に相当する。従って、おもて側絶縁フィルム25の幅方向の両端部分にはおもて面導電層22が成膜されていない。逆に言えば、おもて側絶縁フィルム25の幅方向の両端は、おもて面導電層22に対して幅方向に突出している。
裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25は、おもて面導電層22と裏面導電層23が成膜されていない両端部分が熱圧着されることで接着されている。なお、裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25の両端部は、超音波接着で連結してもよく、接着剤を用いて貼り合わせてもよい。裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25の幅方向の両端部を接着することで、おもて面導電層22は圧電体21のおもて面21aに押し付けられた状態になり、裏面導電層23は圧電体21の裏面21bに押し付けられた状態になる。このため、第3変形例では、おもて面導電層22と裏面導電層23とを導電性接着剤で圧電体21に貼り付けなくてもおもて面導電層22と裏面導電層23を圧電体21と電気的に接続することができる。導電性接着剤を省略することで、導電性接着剤の費用や製造コストを低減することができる。ただし、おもて面導電層22と裏面導電層23を、導電性接着剤を用いておもて面導電層22と裏面導電層23とを圧電体21に貼り付けてもよい。導電性接着剤で貼り付けることで、おもて面導電層22および裏面導電層23を、長手方向の全長に渡って確実に圧電体21に電気的に接続させることができる。また、おもて面導電層22と裏面導電層23が圧電体21に対してずれ動いてしまうことを確実に防止できる。なお、裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25の材質として、上述したものの他、シース40と同様のPVCやFEPを用いてもよい。
第1シールド層322は、第1絶縁フィルム321の内側に配置されている。また、第2シールド層342は第2絶縁フィルム341の内側に配置されている。第1絶縁フィルム321の幅方向の両端と第2絶縁フィルム341の両端は、熱圧着で互いに押し付けられることで、第1シールド層322および第2シールド層342よりもほんの少し幅方向外側にはみ出して、そのはみ出した部分で接着されている。熱圧着を採用することで、接着剤を用いなくても第1絶縁フィルム321と第2絶縁フィルム341の両端部を接着できるので接着剤の費用が不要になる上に、確実な接着が可能になる。また、第1シールド層322の幅方向の両端部と第2シールド層342の幅方向の両端部は、その両端部で接触している。したがって、第1シールド層322と前記第2シールド層342とは電気的に接続されている。これにより、シールド効果がより高まる。また、第1シールド層322と第2シールド層342の間に隙間が生じないので、波長が極短い外部ノイズであっても、第1シールド層322と第2シールド層342の隙間を通って圧電素子20に到達してしまうことがない。
なお、おもて面導電層22と第1シールド層322の間には、おもて側絶縁フィルム25が配置されているので、第1絶縁フィルム321の内側に第1シールド層322を配置しても、おもて面導電層22と第1シールド層322が接触していまうことはない。また、裏面導電層23と第2シールド層342の間には、裏側絶縁フィルム24が配置されているので、第2絶縁フィルム341の内側に第2シールド層342を配置しても、裏面導電層23と第2シールド層342が接触していまうことはない。
シース40は、チューブ状の外皮43のみで構成されている。ただし、シースシールド44を設けてもよい。また、図1に示した帯状の第1シース41と帯状の第2シース42によって、圧電素子20を内包したシールド体30を挟み込み、第1シース41と第2シース42の両端部を貼り合わせた構成にしてもよい。なお、第1絶縁フィルム321と第2絶縁フィルム341として耐摩耗性、耐薬品性、防錆性が高いものを採用し、シース40を省略してもよい。
図12は、図11示した第3変形例の圧電センサの作製手順を示した断面図である。なお、図12では、第1シールド層322および第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
図12(a)に示すように、先ず、帯状の圧電体21と、裏側絶縁フィルム24の一方の面における幅方向中央部分に裏面導電層23を成膜したものと、おもて側絶縁フィルム25の一方の面における幅方向中央部分におもて面導電層22を成膜したものを用意する。なお、図12(a)に示すように、裏面導電層23は、裏側絶縁フィルム24の幅方向方の一方にやや片寄せられた位置に成膜されている。同様におもて面導電層22は、おもて側絶縁フィルム25の幅方向方の他方にやや片寄せられた位置に成膜されている。そして、図12(b)に示すように、おもて面導電層22と圧電体21のおもて面21aとが幅方向にずれた位置になるように、裏側絶縁フィルム24の上面に形成された裏面導電層23の上に圧電体21を載せる。また、おもて面導電層22と圧電体21の裏面21bとが幅方向にずれた位置になるように、おもて側絶縁フィルム25の下面に形成されたおもて面導電層22を、その圧電体21の上に載せる。そして、裏側絶縁フィルム24とおもて側絶縁フィルム25の両端部を接着剤で貼り合わせる。以上により、圧電素子20が作製される。
次に、図12(c)に示すように、第1絶縁フィルム321の一方の面に、第1シールド層322が成膜された第1シールド体32と、第2絶縁フィルム341の一方の面に、第2シールド層342が成膜された第2シールド体34を用意する。そして、図12(d)に示すように、第2シールド層342を上側にした状態で第2シールド体34の上に圧電素子20を載せ、その圧電素子20の上に、第1絶縁フィルム321を上側にした状態で第1シールド体32を載せる。そして、第1絶縁フィルム321の幅方向の端部と第2絶縁フィルム341の幅方向の端部を熱圧着することで、第1絶縁フィルム321の幅方向の端部と第2絶縁フィルム341の幅方向の端部のうち、第1シールド層322および第2シールド層342よりも幅方向外側にはみ出した部分を接着する。
最後に、図12(e)に示すように、チューブ状のシース40を用意し、図12(f)に示すように、シース40の中に、図12(d)で作製した、圧電素子20を内包したシールド体30を挿入する。以上により、第3変形例の圧電センサ1を得ることができる。なお、外皮43に熱収縮性のチューブを用い、シールド体30に覆われた圧電素子20をシース40内に挿入した後に、シース40に熱を加えて収縮させ、シールド体30とシース40とを密着させてもよい。また、シールド体30とシース40の間に接着剤を充填してもよい。
図13は、圧電センサの第4変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図13では、第1シールド層322、第2シールド層342、第1シースシールド441、および第2シースシールド442の断面を示すハッチングは省略している。
第4変形例の説明では、主に第3変形例との違いについて説明し、第3変形例と重複する説明は省略することがある。第4変形例は、シース40の構造が第3変形例とは異なる。
図13に示すように、第4変形例のシース40は、帯状の第1外皮431と帯状の第2外皮432と第1シースシールド441と第2シースシールド442とから構成されている。この第4変形例におけるシース40は、外部被覆の一例に相当し、第1シースシールド441と第2シースシールド442は、導電膜の一例に相当する。第1外皮431および第2外皮432は、PVC製のフィルムである。ただし、PE、PET、FEP、PFAなど、他の絶縁材質のフィルムを用いてもよい。
第1シースシールド441は、蒸着によって銅を第1外皮431の内側面に付着させることで形成された層である。ただし、第1シースシールド441は、第1外皮431の幅方向の両端部には形成されていない。なお、第1シースシールド441は、アルミニウム等の他の材料で形成されていてもよい。また、スパッタ、EBD、CVD、塗布、浸漬、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて第1外皮431に付着させてもよい。第2シースシールド442も、同様に蒸着によって銅を第2外皮432の内側面に付着させることで形成された層である。第2シースシールド442も、第2外皮432の幅方向の両端部には形成されていない。なお、第2シースシールド442は、アルミニウム等の他の材料で形成されていてもよい。また、スパッタ、EBD、CVD、塗布、浸漬、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて第2外皮432に付着させてもよい。
第1外皮431と第2外皮432は、第1シースシールド441と第2シースシールド442が形成されていない幅方向両端部が熱圧着されることで接着されている。なお、第1外皮431と第2外皮432の両端部を超音波接着で連結してもよく、接着剤を用いて貼り合わせてもよい。第1外皮431と第2外皮432の幅方向両端部が接着されることで、第1シースシールド441と第2シースシールド442は、幅方向端部どうしが接触している。この第4変形例では、シース40に第1シースシールド441と第2シースシールド442を設けることで、圧電素子20およびシールド体30を物理的に保護できるだけでなく、第1シールド層322と第2シールド層342とあわせて2重のシールド効果を得ることができる。
図14は、図13示した第4変形例の圧電センサの作製手順を示した断面図である。なお、図13では、第1シールド層322、第2シールド層342、第1シースシールド441、および第2シースシールド442の断面を示すハッチングは省略している。
図14(a)から図14(d)に示す、圧電素子20の作製手順およびシールド体30によりその圧電素子20を被覆する手順は、第3変形例と同様である。シールド体30に被覆された圧電素子20を作製したら、図14(e)に示すように、第1外皮431の一方の面のうち、幅方向両端部以外に、第1シースシールド441が成膜されたものと、第2外皮432の一方の面のうち、幅方向両端部以外に、第2シースシールド442が成膜されたものを用意する。そして、図14(f)に示すように、第2外皮432を下側、第2シースシールド442を上側にしたものの上に、圧電素子20を内包したシールド体30を載せる。その後、そのシールド体30に被覆された圧電素子20の上に、第1シースシールド441を下側、第1外皮431を上側にしたものを載せる。最後に、第1外皮431と第2外皮432の、第1シースシールド441と第2シースシールド442が形成されていない幅方向両端部を熱圧着する。以上により、第4変形例の圧電センサ1を得ることができる。
図15は、圧電センサの第5変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図15ではシールド層312の断面を示すハッチングは省略している。
第5変形例の説明では、主に図1に示した圧電センサ1との違いについて説明し、重複する説明は省略することがある。第5変形例は、シールド体30とシース40の構造が図1に示した圧電センサ1とは異なる。図15に示すように、第5変形例のシールド体30は、絶縁性の絶縁フィルム311の片面全体に、導電性を有するシールド層312が成膜された帯状のものである。このシールド体30は、図1に示した第1シールド体32または第2シールド体34に対して約倍の幅を有する。シールド体30は、幅方向の中央で長手方向に沿って折り曲げられ、圧電素子20を挟み込んだ状態で、幅方向の端部どうしが接着剤で貼り合わされている。なお、熱圧着や超音波接着などでシールド体30の幅方向の端部を貼り合わせてもよい。
第5変形例のシース40は、ポリ塩化ビニル(PVC)製のフィルムである。ただし、このシース40として、PETフィルム、FEPフィルム、PFAフィルムなど、他の絶縁材質のフィルムを用いてもよい。シース40は、図1に示した第1シース41または第2シース42に対して約倍の幅を有する。シース40は、幅方向の中央で長手方向に沿って折り曲げられ、圧電素子20を内包したシールド体30を挟み込んだ状態で、幅方向の端部どうしが接着剤で貼り合わされている。なお、熱圧着や超音波接着などでシース40の幅方向の端部を貼り合わせてもよい。
図16は、図15に示した第5変形例の圧電センサの作製手順を示した断面図である。なお、図16では、シールド層312の断面を示すハッチングは省略している。
図16(a)に示すように、先ず、おもて面導電層22と裏面導電層23が成膜された圧電素子20を用意する。また、図16(b)に示すように、絶縁性の絶縁フィルム311の片面全体に、導電性を有するシールド層312が成膜されたシールド体30を用意する。次に、図16(c)に示すように、絶縁フィルム311を内側にした状態で圧電素子20をシールド体30で挟み込み、絶縁フィルム311の幅方向の端部を接着剤で貼り合わせる。なお、貼り合わせ方法としてロールツーロール方式を用いてもよい。ロールツーロール方式を用いる場合には、圧電素子20を挟み込んで絶縁フィルム311を折りたたむ折りたたみ機構を、ロールとロールの間に設ければよい。
最後に、図16(d)に示すように、シース40を用意し、図16(e)に示すように、圧電素子20を内包したシールド体30をシース40で挟み込んで、シース40の幅方向の端部を貼り合わせる。以上により、第5変形例の圧電センサ1を得ることができる。
この第5変形例では、シールド体30とシース40をそれぞれ1枚用意するだけで圧電センサ1を得ることができるので、部品点数を減らせるとともに、貼り合わせ部分が少なくてすむので圧電センサ1の作製が簡便になる。従って、圧電センサ1を安価に作製できる。
図17は、圧電センサの第6変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図16では第1シールド層322および第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
第6変形例の説明では、主に図1に示した圧電センサ1との違いについて説明し、重複する説明は省略することがある。第6変形例は、シールド体30が3層で構成されている点とシース40が省略されている点が図1に示した圧電センサ1とは異なる。図16に示すように、第6変形例の第1シールド体32は、絶縁性の第1絶縁フィルム321と導電性の第1シールド層322と絶縁性の第3絶縁フィルム323とから構成されている。第1絶縁フィルムは、圧電素子20側になる内側に設けられ、圧電素子20のおもて面導電層22に接触している。第1シールド層322は、内側に配置された第1絶縁フィルム321と外側に配置された第3絶縁フィルム323で挟み込まれている。第3絶縁フィルム323は、PVC製のフィルムである。ただし、FEPフィルム、PFAフィルムなど、他の絶縁材質のフィルムを用いてもよい。この第3絶縁フィルム323は、第1絶縁フィルム321よりも厚い。第3絶縁フィルムによって、圧電素子20、第1絶縁フィルム321、および第1シールド層322は物理的に保護されている。すなわち、第3絶縁フィルム323は、図1に示す第1シース41と同様に、圧電センサ1の、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めている。
第2シールド体34は、絶縁性の第2絶縁フィルム341と導電性の第2シールド層342と絶縁性の第4絶縁フィルム343とから構成されている。第2絶縁フィルム341は、圧電素子20側になる内側に設けられ、圧電素子20の裏面導電層23に接触している。第2シールド層342は、内側に配置された第2絶縁フィルム341と外側に配置された第4絶縁フィルム343で挟み込まれている。第4絶縁フィルム343は、第3絶縁フィルム323と同じ材質のフィルムである。ただし、第4絶縁フィルム343と第3絶縁フィルム323とを異なる材質のものにしてもよい。第4絶縁フィルム343は、第2絶縁フィルム341よりも厚い。第4絶縁フィルムによって、圧電素子20、第2絶縁フィルム341、および第2シールド層342は物理的に保護されている。すなわち、第4絶縁フィルム343は、図1に示す第2シース42と同様に、圧電センサ1の、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めている。
第1シールド体32の幅方向の両端部と、第2シールド体34の幅方向の両端部は、接着剤で連結されている。すなわち、第1絶縁フィルム321と第2絶縁フィルム341は、幅方向の両端部が貼り合わされている。なお、熱圧着や超音波接着などで第1シールド体32の幅方向の両端部を第2シールド体34の幅方向の両端部に貼り付けてもよい。
図18は、図17に示した第6変形例の圧電センサの端部のうち、回路に接続されていない側の端部に、絶縁性の端部被覆および導電性を有する端部被覆を施した一例を示す図である。この端部には、2つの絶縁性の端部被覆と、導電性を有する1つの端部被覆が施されている。図18では、各端部被覆が施される様子を図18(a)から(d)まで段階的に示している。
図18(a)には、端部被覆が施されておらず、圧電素子20およびシールド体30が露出した圧電センサ1の端部が示されている。図18(b)には、図18(a)に示した圧電素子20の端部が、絶縁性の第1端部被覆91で覆われた様子が示されている。この例では、圧電素子20が第1端部被覆91で覆われることで、圧電体21、おもて面導電層22および裏面導電層23は、第1シールド層322および第2シールド層342から電気的に絶縁される。
図18(c)には、図18(b)で示す状態から、第1端部被覆91ごと導電性を有する第2端部被覆92で覆われた様子が示されている。第2端部被覆92の、図18(b)における左端面は、シールド体30の端面に導電性接着剤で貼り付けられている。これにより、第1シールド層322と第2端部被覆92、第2シールド層342と第2端部被覆92それぞれは電気的に連結されている。従って、第1シールド層322の電位、第2シールド層342の電位、および第2端部被覆92の電位は全て同じになる。この第2端部被覆92により、回路に接続されていない側の端部にある、おもて面導電層22および裏面導電層23は、外部ノイズの影響を受けにくくなる。
図18(d)には、図18(c)で示す状態から、第2端部被覆92ごとシールド体30の端部までが絶縁性の第3端部被覆93で覆われた様子が示されている。シールド体30の端面および第2端部被覆92を第3端部被覆93によって物理的に保護することができる。なお、この第3端部被覆93を熱収縮(あるいは熱融着)する大きめの素材で構成しておき、端部を覆った状態で加熱することで第2端部被覆92に密着させてもよい。
図19は、図17に示した第6変形例の圧電センサの作製手順を示した断面図である。なお、図19では、第1シールド層322、第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
図19(a)に示すように、先ず、おもて面導電層22と裏面導電層23が成膜された圧電素子20を用意する。また、図19(b)に示すように、第1シールド層322が第1絶縁フィルム321と第3絶縁フィルム323で挟み込まれた第1シールド体32、および第2シールド層342が第2絶縁フィルム341と第4絶縁フィルム343で挟み込まれた第2シールド体34を用意する。
次に、図19(c)に示すように、第1絶縁フィルム321と第2絶縁フィルム341を内側にした状態で圧電素子20を第1シールド体32および第2シールド体34で挟み込み、第1シールド体32および第2シールド体34の幅方向の端部を接着剤で貼り合わせる。以上により、第6変形例の圧電センサ1を得ることができる。
この第6変形例では、シース40(図1参照)を用意する必要がないので、部品点数を減らせるとともに、貼り合わせ部分も少なくてすむので圧電センサ1の作製が簡便になる。従って、圧電センサ1を安価に作製できる。
図20は、圧電センサの第7変形例を示す、図1と同様の断面図である。なお、図20では第1シールド層322および第2シールド層342の断面を示すハッチングは省略している。
第7変形例の説明では、主に図1に示した圧電センサ1との違いについて説明し、重複する説明は省略することがある。第7変形例は、圧電素子20の構造が図1に示した圧電センサ1とは異なる。図20に示すように、第7変形例の圧電素子20は、内側に配置されたおもて面導電層22と、おもて面導電層22の外側に配置された圧電体21と、圧電体21の外側に配置された裏面導電層23とから構成されている。おもて面導電層22は銅箔で形成されている。おもて面導電層22は、導電性を有していれば銅以外の材質のものを用いてもよい。また、おもて面導電層22として、樹脂製のフィルムの両面に導電性の金属膜を形成したものを用いてもよい。おもて面導電層22は、圧電体21の幅方向端面よりも幅方向に突出した部分を有する。この突出した部分を有することで、外部配線の接続が容易になる。つまり、その突出した部分に外部配線が接続される。
裏面導電層23は、圧電体21の外側面に蒸着によって銅を付着させることで形成された層である。ただし、裏面導電層23は、導電性のものであれば銅以外の材料を用いたものであってもよい。また、裏面導電層23は、蒸着以外の方法で圧電体21の外側面に付着させてもよい。裏面導電層23の幅は、圧電体21の幅よりも狭いため、圧電体21外側面の両端部には露出した部分が形成されている。これは、裏面導電層23の幅方向端部がダレたり幅方向端部にバリが生じた場合でも、おもて面導電層22と裏面導電層23とが導通してしまわないようにするためである。
第7変形例の圧電素子20の作製に際しては、先ず帯状の圧電体21の外側面に裏面導電層23が形成されたものを裏面導電層23が下側になるように置く。次に、その裏面導電層23付きの圧電体21の上におもて面導電層22を載せ、裏面導電層23付きの圧電体21を長手方向に沿って折り曲げて、おもて面導電層22を挟み込む。以上により第7変形例の圧電素子20が作製できる。なお、圧電体21の上におもて面導電層22を載せる前に、圧電体21の内周面に導電性接着剤を塗布してもよい。
以上、図20を用いて説明した圧電センサは、
第1導体と第2導体との間に圧電体が設けられた圧電素子(図20に示す圧電素子20)を備えた圧電センサであって、
前記第1導体が、内側に配置された帯状のもの(図20に示すおもて面導電層22)であり、
前記圧電体が、前記第1導体のおもて面と裏面それぞれに接触するように前記長手方向に沿って折り曲げられたもの(図20に示す圧電体21)であり、
前記第2導体が、前記圧電体よりも外側に配置されたもの(図20に示す裏面導電層23)であることを特徴とする。
また、
前記第2導体が、前記圧電体の、前記第1導体に接触した接触面とは反対側の外周面の少なくとも一部(図20に示す裏面導電層23の幅は、圧電体21の幅よりも狭いため、圧電体21外側面の両端部には露出した部分が形成されている)に設けられたものであることが好ましい。なお、前記第2導体が、前記圧電体の、前記第1導体に接触した接触面とは反対側の外周面の全部に設けられたものであってもよい。
図21は、これまで説明した圧電センサをシーツに取り付けた例を示す図である。
図21には、圧電センサ1、シーツ51、マットレス52、固定糸53、フレキシブル配線シート61、回路基板62が示されている。なお、ここでは図1に示した圧電センサ1を例にして説明するが、変形例の圧電センサ1を用いてもよい。シーツ51、フレキシブル配線シート61、および回路基板62は、マットレス52の上に載置されている。このシーツ51の、マットレス52側になる裏面には、圧電センサ1が縦横それぞれに間隔をあけて網目状に延在するように取り付けられている。圧電センサ1はシーツ51の全域に同じほぼ間隔で配置されている。圧電センサ1は、縦に延びた圧電センサ1と横に延びた圧電センサ1が交差する全交点において、固定糸53によってシーツ51に縫い付けられている。なお、圧電センサ1の交点のうちのいくつかのみを縫い付けてもよい。
フレキシブル配線シート61には、圧電センサ1の端部のうち、回路に接続された側の端部が接続されている。圧電センサ1とフレキシブル配線シート61の接続構造については後述する。フレキシブル配線シート61は、回路基板62に接続されている。回路基板62には、差動増幅器90(図2参照)や不図示のCPU等が搭載されている。振動等の外力が圧電センサ1に加わることによって生じた信号は、フレキシブル配線シート61を介して回路基板62に送られる。
シーツ51の裏面に、圧電センサ1を配置することで、圧電センサ1は非侵襲性の心拍または/および呼吸センサとして機能する。また、高齢者や病人の、存在確認用や動作確認用の見守りセンサとしても機能する。しかも、圧電センサ1は柔軟性が高いため、寝ている人が痛い思いをすることがない。圧電センサ1をシーツ51の裏面に配置することで、患者や要介護者の離床警報だけでなく、呼吸(無呼吸)、寝返り、および排泄等の自動監視や、寝返り補助ベッドなどの自動制御への応用が可能である。
図22は、図21に示した圧電センサにおける端部の処理を示す図である。図22では、各端部処理を理解しやすいように、各端部が被覆される様子を図22(a)から(c)まで段階的に示している。
まず、図22(a)に示すように、端部処理がされる前における圧電センサ1と、フレキシブル配線シート61と、圧電センサ1の、回路に接続されていない側の端部を被覆する端部被覆シート95を用意する。図22(a)では、圧電センサ1は、おもて面導電層22を図22における紙面手前側にして、フレキシブル配線シート61と端部被覆シート95の間に置かれている。おもて面導電層22には、接続配線29がハンダ付けされている。
フレキシブル配線シート61には、複数の圧電センサ1が接続される。フレキシブル配線シート61は、接続された複数の圧電センサ1からの信号を回路基板62(図21参照)に送信するものである。このフレキシブル配線シート61には、複数のシート配線611と、複数の第1被接続部612と、複数の第2被接続部613と、複数の第3被接続部614とが形成されている。また、フレキシブル配線シート61には、折り曲げ線615が表示されている。図12(a)では折り曲げ線615が一点鎖線で示されている。複数のシート配線611それぞれの一端は、各第1被接続部612および各第2被接続部613に繋がっている。また、複数のシート配線611それぞれの他端は回路基板62(図21参照)に接続されている。フレキシブル配線シート61は、ポリイミドやポリエステルなどの樹脂製のフィルムの間に銅で形成された導体箔が挟み込まれたものである。この導体箔の大部分は、フレキシブル配線シート61のグラウンドとして作用する。なお、フレキシブル配線シート61として、複数の導体箔の間に絶縁性のフィルムを挟んだ積層構造をしたものを用いてもよい。また、導体箔は、銅以外の導電体を有するものを用いてもよい。さらに、樹脂製のフィルムは、絶縁性であれば他の材質のものを用いてもよい。複数の第3被接続部614それぞれは、フレキシブル配線シート61のグラウンドに接続されている。
端部被覆シート95は、フレキシブル配線シート61と同様に、絶縁性のフィルムの間に銅で形成された導体箔が挟み込まれたシートである。この導体箔は、端部被覆シート95のグラウンドとして作用する。端部被覆シート95には、複数の第4被接続部951および複数の第5被接続部953が形成されている。この複数の第4被接続部951および複数の第5被接続部953それぞれは、端部被覆シート95のグラウンドに接続されている。また、端部被覆シート95には、折り曲げ線952が表示されている。図12(a)では折り曲げ線615が一点鎖線で示されている。
次に、図22(b)に示すように、圧電センサ1の端部のうち、回路に接続された側の端部における第2シールド体34(図1参照)を第3被接続部614にハンダで接合する。また、裏面導電層23(図1参照)を第1被接続部612にハンダで接合する。さらに、おもて面導電層22から延びた接続配線29を第2被接続部613にハンダで接合する。そして、圧電センサ1の端部のうち、回路に接続されていない側の端部における第2シールド体34(図1参照)を第4被接続部951にハンダで接合する。また、第5被接続部953には導電性のペーストまたは導電接着剤を塗布しておく。
最後に、フレキシブル配線シート61の、図22(b)における紙面手前側の面に接着剤を塗布し、図22(c)に示すように、折り曲げ線615に沿って折り曲げて、圧電センサ1の端部のうち、回路に接続された側の端部をフレキシブル配線シート61で挟み込む。また、端部被覆シート95の、図22(b)における手前側の面に接着剤を塗布する。ただし、第5被接続部953には、接着剤を塗布しないようにする。そして、図22(c)に示すように、折り曲げ線952に沿って折り曲げて、圧電センサ1の端部のうち、回路に接続されていない側の端部を端部被覆シート95で挟み込む。端部被覆シート95を折り曲げることで、第5被接続部953が第1シールド体32(図1参照)の上に重なり、第5被接続部953と第1シールド体32が電気的に接続される。なお、フレキシブル配線シート61および端部被覆シート95を折り曲げる際に、シーツ51(図21参照)もフレキシブル配線シート61および端部被覆シート95の間に挟み込んでいる。こうすることで、シーツ51の各辺をフレキシブル配線シート61および端部被覆シート95に固定することができる。
この圧電センサ1の端部の処理では、複数の圧電センサ1を、1つのフレキシブル配線シート61で回路基板62に接続できる。その上、複数の圧電センサ1の端部を、1つの端部被覆シート95で覆うことができるので、処理が簡便になる。従って、圧電センサ1を安価に作製できる。
図23は、シーツへの圧電センサの取り付け方法を変更した例を示す図である。
図23には、圧電センサ1とシーツ51の一部が示されている。この例では、圧電センサ1がシーツ51に縫い込まれている点が図21に示した例とは異なる。図23に示す圧電センサ1は、縦横それぞれに間隔をあけてシーツ51になみ縫いされている。図23では、縦7本、横7本の圧電センサ1がなみ縫いされた様子が示されている。なお、図23では、横方向に延在する圧電センサ1は灰色で示されており、縦方向に延在する圧電センサ1は黒色で示されている。この例では、横方向に延在する圧電センサ1がシーツ51の裏側を通っている部分では、縦方向に延在する圧電センサ1がシーツ51のおもて側を通っており、縦方向に延在する圧電センサ1がシーツ51の裏側を通っている部分では、横方向に延在する圧電センサ1がシーツ51のおもて側を通っている。従って、縦方向に延在する圧電センサ1と横方向に延在する圧電センサ1の交点では、縦方向に延在する圧電センサ1と横方向に延在する圧電センサ1の間にシーツ51が介在し、それらの圧電センサ1が直接接触しないようになっている。
本発明は上述の実施形態や変形例に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことができる。例えば、本実施形態では、帯状の圧電素子20を例にして説明したが、圧電素子20は、内部導体と圧電体と外部導体とからなる線状のものであってもよい。また、シーツ51に圧電センサ1を配置する例を用いて説明したが、圧電センサ1を枕カバーに縫い付けてもよい。さらには、圧電センサ1は、足裏応力センサとして歩行バランスの監視に利用することもでき、車いすの座面に圧電センサ1を敷けば座圧バランスの監視などへの応用も可能になる。また、工作機械やロボット、農業機械、車、家電などに圧電センサ1を配置し、消耗部品の劣化や故障等を事前予測するための振動測定に用いてもよい。
また、帯状に形成された圧電センサ1は、圧電センサ1を捩じって使用してもよい。捩じることで圧電センサ1のおもて面と裏面が、長手方向に沿って交互に切り替わっていく。換言すれば、圧電センサ1の厚さ方向が、長手方向に沿って変化していく。帯状の圧電センサ1は、幅方向と厚さ方向とで圧電センサ1の変形しやすさが異なってしまうが、捩じることで圧電センサ1の変形しやすさを均一化することができる。また、圧電センサ1が長手方向に伸縮しやすくなるので、圧電センサ1を稼働部等に配置しやすくなる。なお、圧電センサ1を単独で捩じってもよいが、線材に圧電センサ1を撚り合わせつつ捩じってもよい。線材を用いる場合、圧電センサ1の伸縮を妨げないように、線材は伸縮性のあるものであることが好ましい。
ここで説明した圧電センサは、
第1導体と第2導体との間に圧電体が設けられた圧電素子を備えた帯状の圧電センサであって、
おもて面と裏面が、この圧電センサの延在する長手方向に沿って交互に切り替わるように捩じられた状態で配置されたことを特徴とする圧電センサである。
以上説明した実施形態や変形例によれば、安価な圧電センサを提供することが可能になる。
なお、以上説明した実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。