JP2020133535A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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和正 西浦
Kazumasa Nishiura
和正 西浦
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Abstract

【課題】燃料によるオイルの希釈度合を低下させることができ、かつ、目標油圧を得る適正なオイル吐出量を決定することができるエンジンの制御装置を提供すること。【解決手段】ECUは、オイルポンプに発生させる油圧の目標油圧をエンジンの温度に応じて設定する(ステップS1)。また、ECUは、油圧センサにより検出された油圧を目標油圧と比較し、目標油圧を得るためのオイルポンプのオイル吐出量である油圧フィードバック量を決定し、油圧フィードバック量に従ってオイルポンプをフィードバック制御する。そして、ECUは、油圧フィードバック量が所定値を超えた場合(ステップS2でYES)は高温維持制御を実施する(ステップS3)。高温維持制御において、ECUは、エンジンを高温に維持するように制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンの制御装置に関する。
従来のエンジンにあっては、噴射された燃料がシリンダ壁面でオイルと接触したり、混合気中の燃料がクランク室に吹き抜けてオイルと接触したりすることによりオイル希釈が発生する。オイル希釈は、燃料の一部がオイルに溶け込む現象であり、オイルの粘度低下や潤滑性能の低下を引き起こす。
特許文献1に記載のものは、燃料によるオイルの希釈度を検出し、その希釈度が所定の許容希釈度を超えた場合は、希釈度を低下させるように燃料の噴射時期等を制御することにより、オイル希釈に起因する機関の摺動部分の焼き付き等を防止している。
特開平10−317936号公報
ここで、近年のエンジンは、オイルの吐出量を変更可能な可変容量式のオイルポンプを備えることにより、オイルポンプの駆動負荷を状況に応じた必要十分な大きさに低減し、燃費を向上するようになっている。
ところが、オイル希釈の発生している状態では、オイル粘度の低下によりオイルポンプが発生する油圧が低下するため、油圧の低下分を相殺するようにオイルの吐出量を増加させる必要がある。そのため、可変容量式のオイルポンプを採用することによる燃費向上の効果を最大限に得ることができない。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、燃料によるオイルの希釈度合を低下させることができ、かつ、目標油圧を得る適正なオイル吐出量を決定することができるエンジンの制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するため、エンジンにオイルを圧送する可変容量式のオイルポンプと、前記エンジンの温度を検出する温度検出部と、前記オイルポンプが発生する油圧を検出する油圧検出部と、を備えるエンジンの制御装置であって、前記オイルポンプに発生させる油圧の目標油圧を前記エンジンの温度に応じて設定する目標油圧設定部と、前記油圧検出部により検出された油圧を前記目標油圧と比較し、前記目標油圧を得るための前記オイルポンプのオイル吐出量である油圧フィードバック量を決定し、前記油圧フィードバック量に従って前記オイルポンプをフィードバック制御する油圧制御部と、前記油圧フィードバック量が所定値を超えた場合、前記エンジンを高温に維持するように制御する高温維持制御を実施する高温維持制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、燃料によるオイルの希釈度合を低下させることができ、かつ、目標油圧を得る適正なオイル吐出量を決定することができる。
図1は、本発明の一実施例に係るエンジンの制御装置を示す図である。 図2は、本発明の一実施例に係るエンジンの制御装置のオイル希釈抑制動作を説明するフローチャートである。 図3は、本発明の一実施例に係るエンジンの制御装置のオイル希釈抑制動作を説明するタイミングチャートである。 図4は、本発明の一実施例に係るエンジンの制御装置のオイル希釈抑制動作の効果を説明する図である。
本発明の一実施の形態に係るエンジンの制御装置は、エンジンにオイルを圧送する可変容量式のオイルポンプと、エンジンの温度を検出する温度検出部と、オイルポンプが発生する油圧を検出する油圧検出部と、を備えるエンジンの制御装置であって、オイルポンプに発生させる油圧の目標油圧をエンジンの温度に応じて設定する目標油圧設定部と、油圧検出部により検出された油圧を目標油圧と比較し、目標油圧を得るためのオイルポンプのオイル吐出量である油圧フィードバック量を決定し、油圧フィードバック量に従ってオイルポンプをフィードバック制御する油圧制御部と、油圧フィードバック量が所定値を超えた場合、エンジンを高温に維持するように制御する高温維持制御を実施する高温維持制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係るエンジンの制御装置は、燃料によるオイルの希釈度合を低下させることができ、かつ、目標油圧を得る適正なオイル吐出量を決定することができる。
以下、本発明の一実施例に係るエンジンの制御装置について図面を用いて説明する。
図1において、本発明の一実施例に係るエンジンの制御装置を搭載した車両50は、エンジン60と、ECU(Electronic Control Unit)30とを含んで構成されている。
エンジン60は、ピストン5が気筒を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行う4サイクルエンジンによって構成されている。
エンジン60は、シリンダ66が形成されたシリンダブロック60Aと、このシリンダブロック60Aの上部に設けられたシリンダヘッド67とを備えている。シリンダブロック60Aのシリンダ66にはピストン5が往復運動可能に収納されている。また、シリンダブロック60Aにはクランク軸7が回転可能に収納されている。ピストン5の往復運動はクランク軸7の回転運動に変換される。
シリンダヘッド67には吸気バルブ70および排気バルブ71が設けられている。また、シリンダヘッド67には、吸気バルブ70を駆動する吸気カムシャフト68と、排気バルブ71を駆動する排気カムシャフト69とが設けられている。
エンジン60は、吸気通路61Aを形成する吸気管61と、排気通路62Aを形成する排気管62とを備えている。
吸気通路61Aにはインテークマニホールド6が設けられており、インテークマニホールド6は吸気を各気筒の燃焼室64に分配する。排気通路62Aには、排気を浄化する触媒24が設けられている。
エンジン60は、インジェクタ23を備えており、このインジェクタ23は、シリンダヘッド67に設けられた吸気ポート72を介して燃料を燃焼室64に噴射する。インジェクタ23が噴射する燃料は、ガソリンまたはディーゼル燃料である。
シリンダヘッド67には可変バルブタイミング機構80が設けられており、この可変バルブタイミング機構80は、吸気カムシャフト68と図示しない吸気カムとの位相を変更する。可変バルブタイミング機構80は、油圧により作動する。なお、排気カムシャフト69と図示しない排気カムとの位相を変更する、図示しない可変バルブタイミング機構を更にシリンダヘッド67に設ける構成としてもよい。
エンジン60は、冷却水温センサ10を備えており、この冷却水温センサ10は、エンジン60の内部を流通する冷却水の温度(以下、冷却水温ともいう)を検出し、検出信号をECU30に出力する。このように、エンジン60は水冷式エンジンである。
エンジン60は、外気との熱交換により冷却水の熱を放熱するラジエータ14と、このラジエータ14に外気を送風するラジエータファン15とを備えている。ここで、ラジエータ14における冷却水の放熱量は、ラジエータファン15が駆動しているときは大きく、ラジエータファン15が停止しているときは小さい。また、ラジエータファン15は、冷却水の温度が所定の温度閾値以上のときに駆動をするようになっている。この温度閾値が通常の温度閾値よりも高い温度閾値に設定されているときは、冷却水の温度が高い温度閾値になるまでラジエータファン15が停止したままであるため、エンジン60は高温に維持される。
エンジン60には、オイルを圧送する可変容量式のオイルポンプ8が設けられている。オイルポンプ8は、クランク軸7の回転によって駆動する。オイルポンプ8が吐出したオイルは、エンジン60の各部に供給され、各部の潤滑に用いられる。また、オイルポンプ8が発生した油圧は、可変バルブタイミング機構80、図示しない油圧テンショナ機構等に供給され、これらの機構の作動に用いられる。
エンジン60は、油圧センサ13を備えており、この油圧センサ13は、オイルポンプ8が発生する油圧を検出し、検出信号をECU30に出力する。
エンジン60は、油温センサ11を備えており、この油温センサ11は、オイルの温度(以下、油温ともいう)を検出し、検出信号をECU30に出力する。
ここで、エンジン60の温度は、冷却水温センサ10により検出された冷却水の温度、または油温センサ11により検出されたオイルの油温により表わされる。本実施例における冷却水温センサ10または油温センサ11は、本発明における温度検出部を構成する。
車両50は外気温センサ12を備えており、外気温センサ12は、外気温を検出して検出信号をECU30に出力する。
ECU30は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、エンジン60の運転状態を電気的に制御するようになっている。
CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。
ECU30は、エンジン60の運転中に所定の停止条件が成立した場合、エンジン60を停止(アイドルストップ)する。また、ECU30は、停止条件の成立によるエンジン60の停止中(アイドルストップ中)に、所定の再始動条件が成立した場合、エンジン60を再始動する。
ECU30は、オイルポンプ8に発生させる油圧の目標油圧を、エンジン60の温度に応じて設定する。ECU30は、例えば、予めエンジン60の温度と目標油圧との相関をマップとして記憶しておき、このマップを参照して目標油圧を設定する。ECU30は、本発明における目標油圧設定部を構成する。
ECU30は、油圧センサ13により検出された油圧を目標油圧と比較し、目標油圧を得るためのオイルポンプ8のオイル吐出量である油圧フィードバック量を決定し、決定した油圧フィードバック量に従ってオイルポンプ8をフィードバック制御する。油圧フィードバック量は、実際に検出された油圧と目標油圧との差分に対応する制御量であり、油圧の検出値と目標油圧とを一致させるように決定される。そのため、検出された油圧と目標油圧との差が大きくなるほど、油圧フィードバック量は大きくなる。ECU30は、本発明における油圧制御部を構成する。
ここで、エンジン60において、インジェクタ23から噴射された燃料がシリンダ66の壁面でオイルと接触したり、混合気中の燃料がクランク室65に吹き抜けてオイルと接触したりすることにより、燃料の一部がオイルに溶け込むオイル希釈が発生する。
オイル希釈が発生している状態では、オイル粘度の低下等により、目標油圧に対応するオイル吐出量となるようにオイルポンプ8を作動させても、実際にオイルポンプ8が発生する油圧は目標油圧より低くなる。そのため、目標油圧を得るためには、オイルポンプ8のオイル吐出量を油圧フィードバック量に従って増加させる必要がある。
一方、オイルポンプ8は、オイル希釈時のオイル吐出量の増加に対応する最大吐出量を有しているが、オイル希釈の発生時はオイル吐出量を増加させる必要があり、エンジン60にとってのオイルポンプ8の駆動負荷が大きくなるため、可変容量式のオイルポンプ8を採用したことによる燃費向上効果を最大限に得ることができない。
したがって、オイル希釈の度合が大きくならないように抑制したり、オイル希釈の度合を小さくするように制御したりすることが好ましい。ここで、オイル希釈の度合が大きいときは、目標油圧からの油圧の低下量も大きくなり、目標油圧を得るための油圧フィードバック量も大きくなる。このため、油圧フィードバック量が大きいときはオイル希釈の度合が大きい状態であると推定することができる。また、オイル希釈の状態は、オイルの油温を高くして燃料を揮発させることにより解消および抑制することができる。
そこで、本実施例では、油圧センサ13により検出された油圧と目標油圧との差分が大きくなって、油圧フィードバック量が所定値を超えた場合、ECU30は、高温維持制御を実施する。油圧フィードバック量の所定値は、目標油圧を得るためのオイル吐出量の増大分が大きくなり、オイル希釈の度合を低減する必要が生じる状態に対応する値である。高温維持制御は、エンジン60を通常よりも高温に維持する制御である。高温維持制御を実施することにより、エンジン60が通常よりも高温に維持され、オイルの油温も通常より高温に維持されるので、オイル中の燃料が揮発し易くなり、オイル希釈を解消できる。
ECU30は、高温維持制御が実施されていない通常の制御状態において、エンジン60の温度を、暖機運転を終了する温度である暖機終了温度で一定となるように制御する。一方、ECU30は、高温維持制御においては、暖機終了温度よりも所定温度高い温度にエンジン60の温度を維持する。ECU30は、本発明における高温維持制御部を構成する。
エンジン60を通常よりも高温に維持する制御としては、例えば、冷機状態からの暖機を促進させるために、アイドル回転数を通常よりも高くする制御、または点火時期を遅角して要求空気量を増加させる制御を採用することができる。
また、ECU30は、高温維持制御において、エンジン60のアイドルストップを禁止する。アイドルストップを禁止することにより、エンジン60が停止して冷却される期間が短くなるため、エンジン60を高温に維持し易くすることができる。
本実施例では、エンジン60の温度として冷却水の水温を用いている。本実施例のエンジン60のような水冷式エンジンは、通常は水温計を備えているからであり、また、水温から油温を推定することができるからである。また、エンジン60の温度として水温に限らず油温を用いてもよい。また、油温センサ11を省略して水温から油温を推測してもよい。また、エンジン60は空冷式エンジンであってもよく、この場合のエンジン60の温度としては、水温に代わって油温またはシリンダ温度等を用いることができる。
したがって、本実施例の高温維持制御では、冷却水の水温が通常よりも高温になるように制御が行われる。ここで、エンジン60の暖機運転を終了する水温がT1[℃]であるとき、通常よりも高温の水温とはT1[℃]より高い水温をいう。
高温維持制御では、ラジエータファン15が駆動を開始する温度閾値は、高温維持制御を実施しない通常の温度閾値よりも高く設定される。これにより、高温維持制御中は、エンジン60の温度が通常より高い温度になるまで停止したままとなり、ラジエータファン15が駆動を開始するタイミングが遅くなるので、エンジン60の温度が高温に維持される。例えば、通常の制御時にラジエータファン15の温度閾値が、低温(T2[℃])に設定されている場合、高温維持制御ではラジエータファン15の温度閾値が高温(T3[℃])に設定される。ここで、T1、T2、T3は、T3>T2>T1の関係となっている。
なお、高温維持制御は、ラジエータ14とエンジン60との間の冷却水の循環量を制御する図示しない冷却水バルブをECU30が制御してエンジン60を高温に維持する制御を含んでいてもよい。
次に、図2を参照して、本実施形態に係るエンジンの制御装置においてECU30により実行されるオイル希釈抑制動作について説明する。
図2において、ECU30は、ステップS1で、オイルポンプ8に発生させる油圧の目標油圧をエンジン60の温度に応じて設定する。
次いで、ECU30は、ステップS2で、油圧フィードバック量が所定値以上か否かを判別する。油圧フィードバック量が所定値未満の場合、ECU30は今回の動作を終了する。油圧フィードバック量が所定値以上の場合、ECU30は、ステップS3に進んで高温維持制御を実行(開始)する。この高温維持制御によってエンジン60の温度、つまり油温、冷却水温が高温に維持される。
次いで、ECU30は、ステップS4に進み、高温に上昇後のエンジン60の温度に応じた目標油圧を設定する。
次いで、ECU30は、ステップS5で、油圧フィードバック量が所定値以下か否かを判別する。油圧フィードバック量が所定値より大きい場合、ECU30はステップS3に戻り、高温維持制御を継続する。油圧フィードバック量が所定値以下の場合、ECU30は、ステップS6に進み、高温維持制御を終了して通常の制御状態とし、今回の動作を終了する。
次に、図3を参照し、ECU30によりオイル希釈抑制動作の実施中のエンジン60の各部の状態の推移を説明する。図3において、横軸は時間を表わし、縦軸は、上から順に、油圧フィードバック量に対応するオイルポンプ吐出量、高温維持制御のオン/オフ、アイドルストップの許可/禁止、ラジエータファン15が駆動を開始する温度閾値(図中の駆動開始閾値と記す)、冷却水の水温を表わしている。油圧フィードバック量に対応するオイルの吐出量とは、油圧フィードバック量を直接表わす代わりに、オイルポンプ8の総吐出量のうち油圧フィードバック量に対応する分の吐出量を表わしている。なお、縦軸は上に行くほど大きな値となっている。また、油圧フィードバック量に対応するオイルポンプ吐出量および水温における破線は、本実施例の高温維持制御を実施しなかった場合の比較例の値を示している。
図3に示すように、初期状態の時刻t0において、高温維持制御が実施されておらず(図中、オフと記す)、通常の制御状態であるため、アイドルストップが許可、ラジエータファン15の温度閾値が低温(T2[℃])となっている。また、この時刻t0は、エンジン60が冷機始動後の暖機中であるため、水温およびオイルポンプ吐出量が次第に大きくなっている。
その後、時刻t1において、オイルポンプ吐出量が閾値を超えている。この閾値は、油圧フィードバック量が所定値に相当するオイルポンプ吐出量である。そのため、時刻t1において、油圧フィードバック量が所定値を超えたことにより、高温維持制御が実施される(高温維持制御オン)。高温維持制御では、アイドルストップが禁止され、ラジエータファン15の温度閾値が高温(T3[℃])に設定される。これにより、水温が高温に維持され、オイルに含まれる燃料が揮発するので、オイル希釈の度合が低下する。
その後、時刻t2において、オイルポンプ吐出量が閾値を下回っている。これは、油圧フィードバック量が所定値を下回ったことを表わしている。このため、高温維持制御が終了され(高温維持制御オフ)、アイドルストップが再び許可され、ラジエータファン15の温度閾値が通常の低温(T2[℃])に戻される。
一方、破線で示すように、高温維持制御を実施しなかった場合の比較例では、時刻t1以降に、水温が高温に維持されないので、オイル希釈の度合が増加し、オイルポンプ吐出量は、増加後のオイル希釈の度合に対応する値に増加している。このため、オイルポンプ8の駆動負荷も増加し、オイルポンプ8を可変容量式としたことによる燃費向上効果を最大限に奏することができない。
図4は、高温維持制御の有無によるオイルポンプ8の最低吐出量の違いを示している。図4において、最低吐出量は、ベース油圧に対応する吐出量と、オイル希釈分に対応する吐出量との和である。ベース油圧とは、オイル希釈がなく油圧フィードバック量がゼロの場合の理想的なオイル吐出量のことである。また、オイル希釈分とは、オイル希釈の度合によって変化するオイル吐出量のことである。
図4に示すように、比較例である高温維持制御なしの場合は、オイルの希釈度合を抑制または低下させることができないため、オイル希釈の度合の増加に応じてオイル希釈分のオイル吐出量が大きくなっている。このため、オイル希釈の度合の増加に応じてオイルポンプ8の駆動負荷も増えてしまう。この結果、可変容量式のオイルポンプ8を採用したことによる燃費向上効果を最大限に奏することができない。
一方、本実施例のように、高温維持制御ありの場合は、オイル希釈の度合が大きくなり油圧フィードバック量が所定値を超えると、高温維持制御が実施されてオイルの希釈度合が低下されるので、オイル希釈の度合を一定の値に制限することができる。このため、オイルポンプ8の駆動負荷の増大を抑制でき、燃費向上効果を最大限に奏することができる。
以上説明したように、本実施例では、ECU30は、オイルポンプ8に発生させる油圧の目標油圧をエンジン60の温度に応じて設定する。また、ECU30は、油圧センサ13により検出された油圧を目標油圧と比較し、目標油圧を得るためのオイルポンプ8のオイル吐出量である油圧フィードバック量を決定し、油圧フィードバック量に従ってオイルポンプ8をフィードバック制御する。
そして、ECU30は、油圧フィードバック量が所定値を超えた場合は高温維持制御を実施する。この高温維持制御において、ECU30は、エンジン60を高温に維持するように制御する。
これにより、燃料によるオイルの希釈度合が大きくなって油圧フィードバック量が所定値を超えた場合、高温維持制御が実施されてエンジン60が高温に維持され、オイルを高温にすることができるで、高温のオイルから燃料を揮発させることができる。このため、燃料によるオイルの希釈度合を低下させることができる。また、高温維持制御の実施中も、検出された油圧と目標油圧との比較により油圧フィードバック量が決定されるので、適正なオイル吐出量を決定することができる。
また、油圧フィードバック量に基づいて高温維持制御の実施を判断しているので、オイル希釈によるオイル吐出量の増加分を油圧として検出して高温維持制御の実施を判断する場合と比較し、より早期にかつ確実に高温維持制御を開始することができる。オイル吐出量の増加分を油圧として検出して高温維持制御の実施を判断する手法では、油圧フィードバック量が増加してからオイル吐出量が増加するまでに時間差が生じる場合があるからである。
この結果、燃料によるオイルの希釈度合を低下させながら、適正なオイル吐出量を決定する制御を実施することができる。
また、ECU30は、高温維持制御において、エンジン60の暖機運転を終了する温度よりも所定温度高い温度にエンジン60の温度を維持する。
これにより、燃料によるオイルの希釈が発生している場合に、暖機運転を終了する通常の温度よりも高い温度にエンジン60が維持されるので、オイルに含まれる燃料をより早期に揮発させることができ、燃料によるオイルの希釈を抑制できる。
また、ECU30は、高温維持制御において、エンジン60のアイドルストップを禁止する。
これにより、アイドルストップを実施した場合のエンジン60の温度の低下を防止でき、エンジン60の温度を高温に維持し易くすることができる。
また、仮にアイドルストップを実施した場合はエンジン60が頻繁に運転と停止を繰り返してエンジン60の温度が上下し、オイルポンプ8に対する油圧フィードバック制御も頻繁に行われることになり油圧の制御が煩雑になってしまうが、本実施例では、アイドルストップを禁止するので、油圧制御が煩雑になることを防止できる。
高温維持制御では、ラジエータファン15が駆動する温度閾値は、高温維持制御を実施しない通常の温度閾値よりも高く設定されている。
これにより、ラジエータファン15の駆動開始温度が高温側に変化し、冷却水の温度およびオイルの油温が高温に維持されるので、オイルに含まれる燃料をより早期に揮発させることができ、燃料によるオイルの希釈を抑制できる。
上述の通り、本発明の一実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
8 オイルポンプ
10 冷却水温センサ(温度検出部)
11 油温センサ(温度検出部)
13 油圧センサ(油圧検出部)
30 ECU(目標油圧設定部、油圧制御部、高温維持制御部)
60 エンジン

Claims (4)

  1. エンジンにオイルを圧送する可変容量式のオイルポンプと、
    前記エンジンの温度を検出する温度検出部と、
    前記オイルポンプが発生する油圧を検出する油圧検出部と、を備えるエンジンの制御装置であって、
    前記オイルポンプに発生させる油圧の目標油圧を前記エンジンの温度に応じて設定する目標油圧設定部と、
    前記油圧検出部により検出された油圧を前記目標油圧と比較し、前記目標油圧を得るための前記オイルポンプのオイル吐出量である油圧フィードバック量を決定し、前記油圧フィードバック量に従って前記オイルポンプをフィードバック制御する油圧制御部と、
    前記油圧フィードバック量が所定値を超えた場合、前記エンジンを高温に維持するように制御する高温維持制御を実施する高温維持制御部と、を備えることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 前記高温維持制御は、前記エンジンの暖機運転を終了する温度よりも所定温度高い温度に前記エンジンの温度を維持する制御であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記高温維持制御は、前記エンジンのアイドルストップを禁止する制御であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記エンジンは、冷却水の熱を放熱するラジエータと、前記ラジエータに外気を送風するラジエータファンとを備え、
    前記高温維持制御は、前記ラジエータファンが駆動する温度閾値が、前記高温維持制御を実施しない通常の温度閾値よりも高く設定される制御であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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