JP2010190146A - ディーゼルエンジンの始動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒において燃料の燃焼を適切に行うことのできるディーゼルエンジンの始動制御装置を提供する。
【解決手段】ディーゼルエンジン10の始動制御装置(ECU50)は、エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒内に燃料噴射弁18によって燃料を噴射させて最初の燃焼を行う。ECU50は、エンジン停止状態における第1圧縮気筒のクランク角(第1圧縮気筒の停止クランク角)に基づいて、最初の燃焼における燃料噴射量Qを可変設定する。ECU50は、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、最初の燃焼における燃料噴射量Qを少なくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの始動を制御する制御装置に関する。
車両の走行が停止された時にエンジンを自動停止するとともに、車両の発進操作がなされた時にエンジンを自動始動するエンジンの自動停止始動装置、いわゆるエコノミーランニングシステムがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のものは、ディーゼルエンジンの自動始動時に、最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒に設けられたグロープラグへの通電量を、他の気筒に設けられたグロープラグへの通電量よりも大きくして、第1圧縮気筒での燃料の着火を確保している。
特開2006−46251号公報
ところで、特許文献1に記載のものは、第1圧縮気筒での燃料の着火を確保しているものの、第1圧縮気筒における燃料の燃焼状態について考慮していない。このため、第1圧縮気筒において必ずしも燃料の燃焼が適切に行われているとはいえず、未だ改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒において燃料の燃焼を適切に行うことのできるディーゼルエンジンの始動制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の発明は、エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒内に燃料を噴射して最初の燃焼を行うディーゼルエンジンの始動制御装置であって、エンジン停止状態における前記第1圧縮気筒のクランク角を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記クランク角に基づいて、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、ディーゼルエンジンでは、エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒内に燃料が噴射されて最初の燃焼が行われる。ここで、本願発明者らは、燃料の噴射量および噴射圧が一定であったとしても、エンジン停止時状態における第1圧縮気筒のクランク角(第1圧縮気筒の停止クランク角)によって燃料の着火時期が変化して、最初の燃焼により発生するトルクが変化することを見出した。具体的には、最初の燃焼が行われる第1圧縮気筒において、エンジン始動時のピストンによる圧縮開始位置から圧縮上死点までの長さ(圧縮行程長さ)が長いほど燃焼により発生するトルクが大きくなる。このため、燃料の噴射量や噴射圧が一定である場合、第1圧縮気筒の停止クランク角によっては燃料の過不足等が生じて、エンジン始動時間が長くなったり、燃費性能の低下や騒音の増大が生じたりするおそれがある。
この点、上記構成によれば、エンジン停止状態における第1圧縮気筒のクランク角が検出され、この検出されるクランク角に基づいて最初の燃焼における燃料の噴射量又は噴射圧が可変設定されるため、第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、燃料の燃焼を適切に行うことができる。なお、燃料の噴射圧を低くすることにより、気筒において圧縮上死点までに噴射される燃料の量が少なくなるため、燃焼により発生するトルクや燃焼に伴う騒音や振動が小さくなる。したがって、最初の燃焼における燃料の噴射圧を制御することにより、燃料の燃焼を適切に行うことができる。
上述したように、燃料の噴射量および噴射圧が一定であったとしても、第1圧縮気筒における圧縮行程長さが長いほど燃焼により発生するトルクが大きくなり、エンジン回転速度の上昇度合(上昇量や上昇率)が大きくなる傾向がある。このため、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、燃料の噴射量を少なくしたり燃料の噴射圧を低くしたりしても、エンジン回転速度の上昇度合の大きさを維持し易くなる。
この点、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記クランク角が進角側であるほど、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量を少なくする、又は前記最初の燃焼における前記燃料の噴射圧を低くするため、エンジン回転速度の上昇度合が小さくなることを抑制しつつ、燃費性能の向上、又は騒音や振動の低減を図ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記設定手段は、前記最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合が、一定に設定された目標上昇度合に近付くように前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定することを特徴とする。
上記構成によれば、第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合を一定に設定された目標上昇度合に近付けることにより、エンジン始動時間のばらつきを抑制することができる。なお、燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合としては、燃焼行程の最初から最後までのエンジン回転速度の上昇量や、燃焼行程中におけるエンジン回転速度の変化率等を採用することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明を前提として、前記設定手段は、前記最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合が、一定に設定された目標上昇度合に近付くように前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定するといった構成において、前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記クランク角が進角側であるほど、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量を減量する減量幅を大きくする、又は前記最初の燃焼における前記燃料の噴射圧を低下させる低下幅を大きくするようにしている。このため、燃料の噴射量および噴射圧が一定であったとしても第1圧縮気筒における圧縮行程長さが長いほどエンジン回転速度の上昇度合が大きくなるといった傾向に応じて、燃料噴射量又は燃料噴射圧を補正することができる。その結果、燃費性能の向上、又は騒音や振動の低減を図ることができる。
上述したように、燃料の噴射量および噴射圧が一定であったとしても、第1圧縮気筒における圧縮行程長さが長いほど燃焼により発生するトルクが大きくなり、エンジン回転速度の上昇度合が大きくなる傾向がある。このため、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、エンジン回転速度の上昇度合を大きくすることが容易となる。
この点、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記設定手段は、前記最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合が、前記検出手段により検出される前記クランク角が進角側であるほど大きく設定された目標上昇度合に近付くように前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定するため、燃費性能の低下、又は騒音や振動の増大を抑制しつつ、エンジン回転速度の上昇度合を大きくすることができる。
第6に記載の発明によるように、第1〜第5の発明において、前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記クランク角が、前記第1圧縮気筒内に噴射された燃料が着火すると判定することのできる最遅角側の所定クランク角よりも進角側であることを条件として、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定するようにし、第1圧縮気筒内に噴射された燃料が着火しない場合には、第1圧縮気筒において最初の燃焼を行わず、第1圧縮気筒の次に圧縮行程となる第2圧縮気筒において最初の燃焼を行うことが有効である。
第7に記載の発明は、第1〜第6に記載の発明において、前記設定手段は、前記ディーゼルエンジンが自動停止された後に自動始動される時に、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定するため、エンジン始動される機会の多い自動停止始動機能付きのディーゼルエンジンにおいて、第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、燃料の燃焼を適切に行うことができる。
第8に記載の発明は、第1〜第7に記載の発明において、前記検出手段は、前記ディーゼルエンジンが自動停止される際に前記第1圧縮気筒のクランク角を検出し、前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記ディーゼルエンジンが自動停止される際の前記第1圧縮気筒のクランク角に基づいて、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射圧を低下させるため、ディーゼルエンジンの停止から第1圧縮気筒内への燃料の噴射までに、燃料の噴射圧を制御することができる。ここで、ディーゼルエンジンが自動停止された後に自動始動されるまでの間、燃料の圧力は比較的高い状態で保持されるため、燃料の圧力を低下させるように制御することができる。
エコノミーランニングシステムの概要を示す模式図。 エンジン自動停止始動制御の処理手順を示すフローチャート。 第1圧縮気筒の停止クランク角とエンジン回転速度の上昇量との関係を示すグラフ。 第1圧縮気筒燃焼および第2圧縮気筒燃焼についてエンジン始動時間とエンジン回転速度との関係を示すグラフ。 第1圧縮気筒の停止クランク角とエンジン回転速度の目標上昇量を実現するために必要な燃料噴射量との関係を示すグラフ。 第1圧縮気筒の停止クランク角とエンジン回転速度の上昇量との関係についてその変形例を示すグラフ。 第1圧縮気筒の停止クランク角とエンジン回転速度の上昇量との関係についてその他の変形例を示すグラフ。
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、エコノミーランニングシステムに搭載されるコモンレール式のディーゼルエンジンの自動停止始動を制御する制御装置に具体化している。
図1に示すように、このエコノミーランニングシステムは、ディーゼルエンジン10と、ディーゼルエンジン10の自動停止および自動始動を制御する制御装置(ECU)50と、各種センサとを備えている。
ディーゼルエンジン10は直列多気筒式のディーゼルエンジンであり、直列に並べられた複数(本実施形態では4つ)の気筒11を備えている。気筒11内には、ピストンが往復摺動可能に設けられている。
ディーゼルエンジン10は、吸気通路から送られる吸気を各気筒11へ供給する吸気マニホールド16と、各気筒11から排出される排気を排気通路へと送る排気マニホールド19とを備えている。
ディーゼルエンジン10は、各気筒11内に燃料を噴射する燃料噴射弁18と、燃料噴射弁18に燃料を供給するコモンレール17と、コモンレール17に燃料を圧送する燃料ポンプ24とを備えている。コモンレール17は、燃料ポンプ24から圧送される燃料を一時的に貯留する。燃料ポンプ24は、ディーゼルエンジン10の回転力により駆動されて所定のタイミングで燃料を圧送する。なお、燃料噴射弁18として、特開2000−045902号公報に記載されるように、燃料噴射の停止時に弁内の燃料の圧力が維持されるタイプの燃料噴射弁が採用されている。このため、ディーゼルエンジン10が自動停止されてから自動始動されるまで、燃料噴射弁18内の燃料の圧力が比較的高い状態で維持される。
ディーゼルエンジン10は、始動モータ25を備えている。始動モータ25は、ディーゼルエンジン10の始動時に駆動されてクランクシャフトを回転させる。
エコノミーランニングシステムは、アクセルペダルの踏み込量を検出するアクセル踏み込み量センサ71、ディーゼルエンジン10のクランクシャフトが回転する際のクランク角度を検出するクランク角センサ72、コモンレール17内の燃料の圧力を検出するレール圧センサ73、ブレーキペダルが踏み込まれている状態を検出するブレーキ踏み込みセンサ74、及びディーゼルエンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ75等の各種センサを備えている。
エコノミーランニングシステムは、ディーゼルエンジン10の各部を制御する制御装置(ECU)50を備えている。ECU50は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バスによって互いに接続されたROM、RAM、CPU、バックアップRAM、入力ポート、及び出力ポート等を備えている。ECU50は、各種センサから送られる情報に基づいて、ディーゼルエンジン10に関する各種制御を実行する。
本実施形態では、ECU50は、ディーゼルエンジン10の始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒について、ディーゼルエンジン10の停止状態におけるクランク角(第1圧縮気筒の停止クランク角)を取得する。具体的には、クランク角センサ72は、クランクシャフトの近傍に配置された2つのクランク角センサを備えており、これらのクランク角センサはクランクシャフトの周方向に沿って互いに位相がずらされている。これらのクランク角センサは、クランクシャフトに設けられたロータの凹凸を検出するものであり、約10°CA(クランク角)の分解能でクランクシャフトの回転を検出することができる。ECU50は、クランク角センサ72から出力されるパルス信号をカウントし、それをクランクシャフトの絶対位置であるクランク角に変換する。2つのクランク角センサは、クランクシャフトの周方向に沿って位相がずらされて配置されているため、クランクシャフトが回転する際にこれらのクランク角センサの出力には位相差が生じる。ECU50は、これら2つのクランク角センサの出力の位相差を比較することにより、クランクシャフトの正転及び逆転を判断することができる。そして、ECU50は、クランクシャフトの正転および逆転に応じて、検出されたクランク角を加減算することによってクランク角を10°CAの精度で検出する。なお、第1圧縮気筒の停止クランク角をその他のセンサによって検出する構成や、第1圧縮気筒の停止クランク角を推定する構成を採用することもできる。
エコノミーランニングシステムは、ディーゼルエンジン10を搭載した車両の走行停止時にアイドリングストップ状態に移行し、ディーゼルエンジン10を自動停止させる。その後、運転者がブレーキペダルから足を離し、更にアクセルペダルを踏み込んだ時に、エコノミーランニングシステムはディーゼルエンジン10を自動的に再始動させる。以下、図2を参照して、ディーゼルエンジン10の自動停止始動制御について説明する。
まず、ECU50は、ディーゼルエンジン10の自動停止条件が成立したか否か判定する(S110)。具体的には、ECU50は各種センサの出力に基づいて、以下の条件が設立しているか否か判定する。(1)ディーゼルエンジン10の暖機が終了していること、(2)アクセルペダルが踏み込まれていないこと、(3)ブレーキペダルが踏み込まれている状態であること、(4)車両の走行が停止している状態であること。そして、ECU50は、これらの全ての条件が成立している場合に、ディーゼルエンジン10の自動停止条件が成立したと判定する。なお、これらの条件の一部を省略したり、条件を更に追加したりしてもよい。
ディーゼルエンジン10の自動停止条件が成立したと判定されると(S110:YES)、ECU50は、ディーゼルエンジン10の停止制御を行うと共に、クランク角センサ72の出力に基づいてクランクシャフトの絶対位置であるクランク角を検出する(S120)。具体的には、ECU50は、燃料噴射弁18からの燃料噴射を停止させて、ディーゼルエンジン10の回転速度を低下させる。このとき、ECU50はコモンレール17内の燃料圧力を低下させる処理は行わず、また燃料噴射弁18では上述したように弁内の燃料の圧力が維持される。なお、ディーゼルエンジン10の自動停止条件が成立していないと判定されると(S110:NO)、再び自動停止条件が成立したか否かの判定が行われる(S110)。
続いて、ECU50は、ディーゼルエンジン10が停止したか否か判定する(S130)。具体的には、ECU50は、エンジン回転速度センサ75の出力に基づいてエンジン回転速度Neを検出し、エンジン回転速度Neが所定のエンジン回転速度NeR以下である場合にディーゼルエンジン10が停止したと判定する。また、エンジン回転速度Neが所定のエンジン回転速度NeRよりも大きい場合には、再びディーゼルエンジン10の停止制御を行うと共にクランク角を検出する(S120)。
ディーゼルエンジン10が停止したと判定されると(S130:YES)、ECU50は、各気筒11の停止クランク角を検出する(S140)。具体的には、上述したようにECU50は、クランクシャフトの正転および逆転に応じて、クランク角センサ72により検出されたクランク角を加減算することによってクランク角を検出する。そして、ECU50は、検出されたクランク角と各気筒11との対応関係に基づいて、ディーゼルエンジン10の停止状態における各気筒11のクランク角を検出する。ここで、各気筒11の停止クランク角として、ディーゼルエンジン10の始動を開始する時における各気筒11のクランク角を用いる。したがって、ディーゼルエンジン10が一旦停止された後に、エンジン始動を行うまでにクランクシャフトが回転した場合には、エンジン始動の直前においてエンジン停止状態となった時の各気筒11のクランク角が検出される。こうして検出される各気筒11の停止クランク角は、ディーゼルエンジン10の運転状態や運転停止後の状態によって変化して始動時毎に異なったものとなる。
続いて、ECU50は、ディーゼルエンジン10の自動始動条件が成立したか否か判定する(S150)。具体的には、ECU50は各種センサの出力に基づいて、上述した自動停止条件(1)〜(4)のうち1つでも成立しない場合に、ディーゼルエンジン10の自動始動条件が成立したと判定する。なお、これらの条件の一部を省略したり、条件を更に追加したりしてもよい。
ディーゼルエンジン10の自動始動条件が成立したと判定されると(S150:YES)、ECU50は、ディーゼルエンジン10の自動始動を行うために以下の処理を実行する。なお、ディーゼルエンジン10の自動始動条件が成立していないと判定されると(S150:NO)、再び自動始動条件が成立したか否かの判定が行われる(S150)。
ECU50は、ディーゼルエンジン10の始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能か否か判定する(S160)。
具体的には、ECU50は、各気筒11のクランク角に基づいて第1圧縮気筒を特定し、図3に示す関係に基づいて、この第1圧縮気筒の停止クランク角が燃料の燃焼を可能なクランク角であるか否か判定する。
すなわち、機関運転状態に基づいて設定されるエンジン始動時の基本燃料噴射量Q0の燃料を第1圧縮気筒内に噴射したとき、第1圧縮気筒の停止クランク位置と燃焼行程でのエンジン回転速度Neの上昇度合とは図3に示す関係となる。ここでは、ピストンの上死点(TDC)を基準として進角側を負とし遅角側を正として、第1圧縮気筒における燃焼行程の最初と最後とでのエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeをエンジン回転速度の上昇度合として採用している。第1圧縮気筒の停止クランク角として取り得る範囲は、エンジンの特性によって変化するが、直列4気筒式のディーゼルエンジン10ではおおよそ図3に示すクランク角の範囲を取り得る。なお、燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合としては、燃焼行程中におけるエンジン回転速度の変化率等を採用することもできる。
第1圧縮気筒の停止クランク角がクランク角X1よりも遅角側である場合には、吸気を圧縮した時に気筒11内の温度が十分に上昇せず、燃料噴射弁18によって噴射された燃料が着火しない。一方、第1圧縮気筒内に燃料を噴射して最初の燃焼を行うときに、その最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNe(目標上昇度合)が設定されている。このため、ECU50は、この目標上昇量TΔNeを実現することのできる最遅角側のクランク角Y1よりも停止クランク角が進角側であるときに、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能であると判定し、クランク角Y1よりも停止クランク角が遅角側であるときに、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことができないと判定する。
続いて、図2に示すように、ECU50は、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能であると判定したときには(S160:YES)、第1圧縮気筒において燃料の最初の燃焼(第1圧縮気筒燃焼)を行ってディーゼルエンジン10を始動し(S170)、一方、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能でないと判定したときには(S160:NO)、ディーゼルエンジン10の始動時に第1圧縮気筒の次に圧縮行程となる第2圧縮気筒において燃料の最初の燃焼(第2圧縮気筒燃焼)を行ってディーゼルエンジン10を始動する(S180)。具体的には、ECU50は、始動モータ25を駆動してクランクシャフトを回転させるとともに、各気筒11の燃料噴射時期に燃料噴射弁18を駆動して燃料を噴射させる。こうして、ディーゼルエンジン10の自動始動が行われた後、ECU50は本処理を終了する。なお、S130,140の処理がエンジン停止状態における第1圧縮気筒のクランク角を検出する検出手段としての処理に相当し、S170の処理が最初の燃焼における燃料の噴射量を可変設定する設定手段としての処理に相当する。以下、第1圧縮気筒燃焼および第2圧縮気筒燃焼について、図3〜5を参照して詳細に説明する。
図4に示すように、ECU50は、それぞれ第1圧縮気筒燃焼および第2圧縮気筒燃焼を行って、ディーゼルエンジン10の始動を行う。ここで、ECU50は、第2圧縮気筒燃焼を行う場合には、最初の圧縮行程(第1圧縮気筒)では燃料の噴射を行わない(図4中に噴射を丸印で表示)。したがって、第2圧縮気筒燃焼では、第1圧縮気筒燃焼を行う場合よりもディーゼルエンジン10の始動時間Tが長くなることを抑制するために、エンジン回転速度Neが始動判定閾値TNeに到達するまで基本燃料噴射量Q0を補正量ΔQによって増量する。このため、第2圧縮気筒燃焼を行う場合も、第1圧縮気筒燃焼を行う場合と略等しいエンジン始動時間とすることができる。また、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能でないと判定したときに、第2圧縮気筒において燃料の最初の燃焼が行われるため、第1圧縮気筒内に燃料を噴射しても着火しないといった事態や、第1圧縮気筒内に噴射された燃料の燃焼状態が悪化するといった事態を回避することができる。なお、補正量ΔQは一定値であってもよいし、予め実験等により求められたマップを参照することによりエンジン運転状態に基づいて設定される可変値であってもよい。また、基本燃料噴射量Q0を補正量ΔQによって増量するといった態様の他に、基本燃料噴射量Q0及び補正量ΔQを含む燃料噴射量Qを最初から設定する態様を採用してもよい。
また、ECU50は、第1圧縮気筒燃焼を行う場合に、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて燃料の噴射量を可変設定する。具体的には、第1圧縮気筒における最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが、第1圧縮気筒の停止クランク角に対して一定の目標上昇量TΔNeとなるように燃料噴射量Qを設定する。ここで、目標上昇量TΔNeは、ディーゼルエンジン10の目標始動時間に基づいて以下のように設定される。すなわち、目標始動時間がディーゼルエンジン10や車両の仕様等に基づいて設定され、この目標始動時間内に実行することのできる燃焼の回数が設定される。そして、その燃焼回数でエンジン回転速度Neを始動判定閾値TNeまで上昇させることができるように、1回の燃焼における平均的なエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが設定される。さらに、その平均的なエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを実現することができるように、最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeが設定される。このように設定された目標上昇量TΔNeはECU50に記憶されている。
図3に示すように、燃料の噴射量が基本燃料噴射量Q0で一定に設定され且つ燃料の噴射圧が一定に設定されていたとしても、第1圧縮気筒の最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇量ΔNeは、第1圧縮気筒の停止クランク角に応じて変化する。これは、最初の燃焼が行われる第1圧縮気筒において、エンジン始動時のピストンによる圧縮開始位置から圧縮上死点までの長さ(圧縮行程長さ)が長いほど燃焼により発生するトルクが大きくなるためである。そこで、第1圧縮気筒の停止クランク角に対して最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが一定の目標上昇量TΔNeとなるように、ECU50は、第1圧縮気筒の停止クランク角がクランク角Y1よりも進角側にある場合には、燃料噴射量Qを基本燃料噴射量Q0よりも少なく設定する。すなわち、ECU50は、基本燃料噴射量Q0の燃料を噴射したときに、エンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeよりも上昇量ΔNeが高くなる斜線で示す範囲に対応して燃料噴射量Qを減量補正する。
そして、第1圧縮気筒の停止クランク角と、このエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeを実現するために必要な燃料噴射量Qとは、図5に実線で示す関係となる。すなわち、この必要な燃料噴射量Qは、エンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeを実現することのできる最遅角側のクランク角Y1において最も多くなり、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど少なくなる。このため、第1圧縮気筒の停止クランク角がクランク角Y1よりも遅角側にある場合には、第1圧縮気筒の停止クランク角がクランク角Y1であるときの燃料噴射量Q(基本燃料噴射量Q0)よりも燃料噴射量Qを少なく設定する。ここでは、ECU50は、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、燃料噴射量Qを少なく設定する。
具体的には、ECU50は、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、基本燃料噴射量Q0を減量する補正量ΔQ(減量幅)が大きくなるように予め実験等により求められたマップを参照し、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて補正量ΔQを算出する。そして、基本燃料噴射量Q0から補正量ΔQを減量することにより燃料噴射量Qを設定する。こうした態様により、ECU50は、第1圧縮気筒の停止クランク角に対して、最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが一定の目標上昇量TΔNeとなるように燃料噴射量Qを設定する。なお、第1圧縮気筒の停止クランク角と燃料噴射量Qの補正量ΔQとの関係を定めたマップから補正量ΔQを算出して、基本燃料噴射量Q0から補正量ΔQ(減量幅)を減量するといった態様の他に、第1圧縮気筒の停止クランク角と燃料噴射量Qとの関係を定めたマップから燃料噴射量Qを算出する態様を採用してもよい。また、こうしたマップを参照する構成に代えて、第1圧縮気筒の停止クランク角と燃料噴射量Qとの関係を定めた計算式に基づいて、燃料噴射量Qを設定するといった態様を採用することもできる。
このため、ディーゼルエンジン10において第1圧縮気筒燃焼に必要とされるエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeを満たしつつ、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが目標上昇量TΔNeを上回る分に相当する燃料を節約することができる。その結果、ディーゼルエンジン10の燃費性能の向上、及び騒音や振動の低減を図ることができる。
以上詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
ディーゼルエンジン10では、エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒内に燃料が噴射されて最初の燃焼が行われる。ここで、本願発明者らは、燃料噴射量Qが基本燃料噴射量Q0で一定であり且つ燃料噴射圧(コモンレール17内の燃料圧力)が一定であったとしても、エンジン停止時状態における第1圧縮気筒のクランク角(第1圧縮気筒の停止クランク角)によって燃料の着火時期が変化して、最初の燃焼により発生するトルクが変化することを見出した。具体的には、最初の燃焼が行われる第1圧縮気筒において、エンジン始動時のピストンによる圧縮開始位置から圧縮上死点までの長さ(圧縮行程長さ)が長いほど燃焼により発生するトルクが大きくなる。このため、燃料噴射量Qやコモンレール17内の燃料圧力が一定である場合、第1圧縮気筒の停止クランク角によっては燃料の過不足等が生じて、エンジン始動時間が長くなったり、燃費性能の低下や騒音の増大が生じたりするおそれがある。
この点、エンジン停止状態における第1圧縮気筒のクランク角が検出され、この検出されるクランク角に基づいて最初の燃焼における燃料噴射量Qが可変設定されるため、第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、燃料の燃焼を適切に行うことができる。
上述したように、燃料噴射量Q及び燃料噴射圧が一定であったとしても、第1圧縮気筒における圧縮行程長さが長いほど燃焼により発生するトルクが大きくなり、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが大きくなる傾向がある。このため、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、燃料噴射量Qを少なくしたり燃料噴射圧を低くしたりしても、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeの大きさを維持し易くなる。
この点、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、最初の燃焼における燃料噴射量Qを少なく設定するため、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが小さくなることを抑制しつつ、燃費性能の向上を図ることができる。
第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを一定に設定された目標上昇量TΔNeに近付けるため、ディーゼルエンジン10の始動時間Tのばらつきを抑制することができる。
最初の燃焼によるエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが、一定に設定された目標上昇量TΔNeに近付くように燃料噴射量Qを可変設定する際に、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、最初の燃焼における燃料噴射量Qを減量する補正量ΔQ(減量幅)を大きくするようにしている。このため、燃料噴射量Q及び燃料噴射圧が一定であったとしても第1圧縮気筒における圧縮行程長さが長いほどエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが大きくなるといった傾向に応じて、燃料噴射量Qを補正することができる。その結果、燃費性能の向上を図ることができる。
エンジン停止状態における第1圧縮気筒のクランク角が、第1圧縮気筒内に噴射された燃料が着火すると判定することのできる最遅角側のクランク角X1(ここではクランク角X1よりも進角側に設定されたクランク角Y1)よりも進角側であることを条件として、最初の燃焼における燃料噴射量Qを可変設定するようにし、第1圧縮気筒内に噴射された燃料が着火しない場合には、第1圧縮気筒において最初の燃焼を行わず、第1圧縮気筒の次に圧縮行程となる第2圧縮気筒において最初の燃焼を行っているため、燃焼されない燃料が噴射されることを抑制することができる。
ディーゼルエンジン10が自動停止された後に自動始動される時に、最初の燃焼における燃料噴射量Qを可変設定するため、エンジン始動される機会の多いエコノミーランニングシステムに搭載されるディーゼルエンジン10において、第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、燃料の燃焼を適切に行うことができる。
上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施することもできる。
上記実施形態では、図5に示すマップを参照して、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて燃料噴射量Qを設定したが、ディーゼルエンジン10の冷却水温度等、ディーゼルエンジン10の運転状態に基づいて燃料噴射量Qを補正してもよい。
上記実施形態では、図3に示すように、基本燃料噴射量Q0においてエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeを実現することのできる最遅角側のクランク角Y1よりも第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるときに、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能であると判定したが、基本燃料噴射量Q0において燃料の燃焼を行うことのできる最遅角側のクランク角X1よりも第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるときに、第1圧縮気筒において燃料の燃焼を行うことが可能であると判定してもよい。この場合には、第1圧縮気筒燃焼を行うことのできる停止クランク角の範囲が拡大するため、ディーゼルエンジン10の始動時間を短縮することができる。なお、こうした構成において、第1圧縮気筒の停止クランク角がクランク角Y1とクランク角X1との間にある場合、すなわち基本燃料噴射量Q0においてエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが目標上昇量TΔNeよりも低くなる範囲内に第1圧縮気筒の停止クランク角がある場合には、基本燃料噴射量Q0を増量補正することにより、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを目標上昇量TΔNeにすることができる。
また、図6に示すように、基本燃料噴射量Q0においてエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNe2を実現することができない場合には、斜線で示す範囲に対応させて、第1圧縮気筒の停止クランク角が遅角側であるほど、第1圧縮気筒燃焼における基本燃料噴射量Q0を増量する増量補正量を大きくすることにより、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを目標上昇量TΔNe2にすることができる。
上記実施形態では、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを一定に設定された目標上昇量TΔNeにするように、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて第1圧縮気筒燃焼における燃料噴射量Qを可変設定したが、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを目標上昇量TΔNeに近付けるように、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて第1圧縮気筒燃焼における燃料噴射量Qを可変設定することもできる。この場合も、第1圧縮気筒の停止クランク角が始動時毎に異なったとしても、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを一定の目標上昇量TΔNeに近付けることにより、エンジン始動時間のばらつきを抑制することができる。
また、図7に示すように、エンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNe3を、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて可変設定することもできる。具体的には、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、第1圧縮気筒燃焼によるエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNe3が大きくなるように設定することが有効である。このように設定された目標上昇量TΔNe3はECU50に記憶されている。そして、ECU50は、第1圧縮気筒燃焼によるエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeが目標上昇量TΔNe3に近付くように、又は上昇量ΔNeが目標上昇量TΔNe3となるように、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて燃料噴射量Qを可変設定することにより、燃費性能の低下を抑制しつつ、エンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを大きくすることができる。特に、第1圧縮気筒の停止クランク角が進角側であるほど、エンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNe3が直線的に大きくなるように設定しておくことにより、燃料の燃焼条件が良好であるほどエンジン回転速度Neの上昇量ΔNeを効率的に大きくしつつ、ディーゼルエンジン10の燃費性能を向上させることができる。
上記実施形態では、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて燃料噴射量Qを可変設定するようにしたが、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて燃料噴射圧、すなわちコモンレール17内の燃料圧力を可変設定するようにしてもよい。具体的には、コモンレール17に減圧弁を設けるとともに、ディーゼルエンジン10が自動停止される際に検出される第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて、この減圧弁を制御するといった構成を採用することができる。ここで、ディーゼルエンジン10が自動停止された後に自動始動されるまでの間、コモンレール17内の燃料の圧力は比較的高い状態で保持されているため、減圧弁により燃料の圧力を低下させるように制御することができる。この場合には、第1圧縮気筒燃焼における燃料の噴射圧を低くすることにより、第1圧縮気筒において圧縮上死点までに噴射される燃料の量が少なくなるため、燃焼により発生するトルクや燃焼に伴う騒音や振動が小さくなる。したがって、最初の燃焼における燃料の噴射圧を制御することにより、ディーゼルエンジン10の第1圧縮気筒において燃料の燃焼を適切に行うことができる。
上記実施形態では、直列4気筒式のディーゼルエンジン10を採用したが、6気筒ディーゼルエンジン等、その他の気筒数のディーゼルエンジンを採用することもでき、またV型ディーゼルエンジン等、その他の型式のディーゼルエンジンを採用することもできる。それぞれのエンジン特性に応じて第1圧縮気筒の停止クランク角として取り得る範囲は変化するが、図3に示す態様に準じて、燃料噴射弁18によって噴射された燃料が着火するか否かの境界であるクランク角X1と、基本燃料噴射量Q0の燃料を噴射したときにエンジン回転速度Neの目標上昇量TΔNeを実現することのできる最遅角側のクランク角Y1とを設定して、第1圧縮気筒の停止クランク角に基づいて最初の燃焼における燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定すればよい。
10…ディーゼルエンジン、18…燃料噴射弁、50…始動制御装置としてのECU。

Claims (8)

  1. エンジン始動時に最初に圧縮行程となる第1圧縮気筒内に燃料を噴射して最初の燃焼を行うディーゼルエンジンの始動制御装置であって、
    エンジン停止状態における前記第1圧縮気筒のクランク角を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出される前記クランク角に基づいて、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定する設定手段と
    を備えることを特徴とするディーゼルエンジンの始動制御装置。
  2. 前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記クランク角が進角側であるほど、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量を少なくする、又は前記最初の燃焼における前記燃料の噴射圧を低くすることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
  3. 前記設定手段は、前記最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合が、一定に設定された目標上昇度合に近付くように前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
  4. 前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記クランク角が進角側であるほど、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量を減量する減量幅を大きくする、又は前記最初の燃焼における前記燃料の噴射圧を低下させる低下幅を大きくすることを特徴とする請求項3に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
  5. 前記設定手段は、前記最初の燃焼によるエンジン回転速度の上昇度合が、前記検出手段により検出される前記クランク角が進角側であるほど大きく設定された目標上昇度合に近付くように前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定することを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
  6. 前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記クランク角が、前記第1圧縮気筒内に噴射された燃料が着火すると判定することのできる最遅角側の所定クランク角よりも進角側であることを条件として、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
  7. 前記設定手段は、前記ディーゼルエンジンが自動停止された後に自動始動される時に、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射量又は噴射圧を可変設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
  8. 前記検出手段は、前記ディーゼルエンジンが自動停止される際に前記第1圧縮気筒のクランク角を検出し、
    前記設定手段は、前記検出手段により検出される前記ディーゼルエンジンが自動停止される際の前記第1圧縮気筒のクランク角に基づいて、前記最初の燃焼における前記燃料の噴射圧を低下させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のディーゼルエンジンの始動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013068165A (ja) * 2011-09-22 2013-04-18 Mazda Motor Corp 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置
JP2015048827A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 マツダ株式会社 エンジンの始動制御装置

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