JP2020133047A - 全熱交換素子用紙及び全熱交換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、全熱交換効率に優れた全熱交換素子を提供すること、及び、そのために、熱伝導性、透湿性及び用紙強度に優れる全熱交換素子用紙を提供することである。【解決手段】叩解したセルロース繊維とバインダー繊維と吸湿剤とを含む全熱交換素子用紙であって、前記バインダー繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、湿熱接着性樹脂を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を5〜40質量%含むことを特徴とする全熱交換素子用紙。【選択図】なし

Description

本発明は、新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に顕熱(温度)と潜熱(湿度)の熱交換を行う全熱交換器の全熱交換素子と、全熱交換素子に使用される全熱交換素子用紙に関するものである。
熱交換を行う空気対空気の熱交換器において、顕熱(温度)と共に潜熱(湿度)の熱交換も行う全熱交換器に使用される全熱交換素子では、全熱交換素子用紙を挟んで、給気流と排気流が互いに独立した流路で形成されており、その間で全熱交換が行われる。このような全熱交換素子を備えた全熱交換器で室内の換気を行えば、冷暖房効率を大きく抑制することが可能となる。
全熱交換素子用紙は熱伝導性と透湿性の両方を有する必要がある。顕熱の熱交換効率を高めるには、全熱交換素子用紙の厚みを薄くすることが効果的であり、そのため、用紙の坪量を減らす、若しくは、スーパーカレンダーなどの加圧処理が行われる。また、潜熱の熱交換効率を高めるには、セルロース繊維を主体とする多孔質の原紙(和紙、クラフト紙等)に吸湿剤などを添加して透湿性を付与することが行われる。
全熱交換素子用紙の坪量を減らした場合、部材を構成するセルロース繊維の本数が減少するため、用紙強度が更に低下してしまう。一方、セルロース繊維の本数を増やすために、セルロース繊維の叩解処理を過度に進めると、セルロース繊維の繊維長が短くなってしまい、かえって用紙強度が低下する問題点がある。また、スーパーカレンダーなどの加圧処理により、セルロース繊維がダメージを受けてしまい、結果として用紙強度が低下する問題点がある。
全熱交換素子には、直交流型と対向流型があり、全熱交換素子用紙を加工して作製される。いずれも専用の機械を用いて作製されるが、特に、対向流型の場合、全熱交換素子用紙に、室内及び室外の空気を通すための流路を確保するための樹脂枠を取り付ける工程がある。この工程には、一般的に作業効率の観点から、射出成型機が用いられるが、この時、用紙強度が不足していると、射出される樹脂の圧力により、全熱交換素子用紙が破れてしまい、全熱交換素子として全く機能しなくなる問題がある。
特許文献1では、全熱交換素子用紙の高湿空気流側の開口径を、低湿空気流側の開口径よりも大きくしたことを特徴とする全熱交換用紙が提案されている。用紙の両面の開口径に差異を付けることにより、透湿性の良化は見込めるが、用紙強度はまだ不十分なため、更なる改良が必要な問題点があった。
特許文献2では、パーチメント処理された繊維基材と、吸湿剤とを有することを特徴とする透湿性シートが提案されている。該透湿性シートのセルロース繊維は硫酸処理を施されていることから、時間の経過に伴ってセルロース繊維が劣化してしまい、十分な用紙強度を維持できないため、更なる改良が必要な問題点があった。
特開2013−242130号公報 特開2016−108704号公報
本発明の課題は、全熱交換効率に優れた全熱交換素子を提供すること、及び、そのために、熱伝導性、透湿性及び用紙強度に優れる全熱交換素子用紙を提供することである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記発明を見出した。
(1)叩解したセルロース繊維とバインダー繊維と吸湿剤とを含む全熱交換素子用紙であって、前記バインダー繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、湿熱接着性樹脂を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を5〜40質量%含むことを特徴とする全熱交換素子用紙。
(2)前記(1)に記載の全熱交換素子用紙を用いたことを特徴とする全熱交換素子。
本発明の全熱交換素子用紙は、叩解したセルロース繊維と特定のバインダー繊維と吸湿剤とを含んでいるため、熱伝導性、透湿性及び用紙強度に優れた良好な全熱交換素子用紙を得ることができる。
本発明の全熱交換素子用紙は、叩解したセルロース繊維とバインダー繊維と吸湿剤とを含み、叩解したセルロース繊維とバインダー繊維とを含む原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含んでいる。
本発明における原紙について説明する。本発明における原紙は、叩解したセルロース繊維と合成繊維とを含み、湿式方式にて製造されることが好ましい。セルロース繊維としては、天然パルプを使用することが好ましい。天然パルプとしては、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒しサルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒しサルファイトパルプ(NBSP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の木材パルプ繊維を単独又は複数配合して使用することが好ましい。その他として、綿、コットンリンター、麻、竹、サトウキビ、トウモロコシ、ケナフ等の植物繊維;羊毛、絹等の動物繊維;レーヨン、キュプラ、リヨセル等のセルロース再生繊維を単独又は複数配合して使用することもできる。
セルロース繊維の叩解の指標として、JIS P 8121−1:2012に規定されたろ水度を適用することができる。本発明において、JIS P 8121−1:2012に規定されたろ水度に特に制限はないが、60°SR以上に叩解したセルロース繊維を用いることが好ましい。60°SR以上の比較的細かなセルロース繊維を含む原紙は、水との親和性を維持したままで密な構造が形成されることとなり、透湿性と気体遮蔽性が得られると共に、この原紙に含有される芯鞘型複合繊維が均一に原紙に存在することとなり、その結果、用紙強度が改善される。
本発明の全熱交換素子用紙は、バインダー繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、湿熱接着性樹脂を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を含有する。以下、特に断りのない限り、「融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、湿熱接着性樹脂を鞘成分とする芯鞘型複合繊維」を「芯鞘型複合繊維」と略記する場合がある。
本発明において、芯鞘型複合繊維の芯成分として用いられる融点160℃以上の樹脂としては、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂を挙げることができる。
これらの芯鞘型複合繊維は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、芯成分として、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドが好ましく、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレンがさらに好ましい。
芯成分として用いられる樹脂の融点が160℃以上であることにより、鞘成分を熱融着さる高温処理においても芯成分が形状を保つことから、全熱交換素子用紙の過剰なフィルム化を抑制し、良好な透湿性を維持することができる。樹脂の融点は163℃以上がより好ましい。融点は、JIS K7121:2012に準拠して測定した値である。
本発明において、芯鞘型複合繊維の鞘成分として用いられる湿熱接着性樹脂とは、水分存在下で加熱することによって膨潤・ゲル化し、接着性を発現する樹脂を指し、本発明の全熱交換素子用紙の好ましい製造法である抄造法において、抄造時のドライヤー乾燥時に、湿熱接着性樹脂が膨潤・ゲル化した状態となり、この状態にてシートを熱圧乾燥することで、他の繊維を強固に固定する。
本発明に用いる湿熱接着性樹脂としては、ビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂であることが好ましい。芯鞘型複合繊維の鞘成分として、親水性に優れた、これらの湿熱接着性樹脂が鞘成分であることにより、良好な透湿度を維持することが可能となり、透湿性に優れた全熱交換素子用紙を得ることが可能となる。
芯鞘型複合繊維の芯成分/鞘成分の体積比(「芯鞘比」とも称す)は、80/20〜40/60が好ましく、70/30〜50/50がより好ましい。芯成分は熱を付与された後も繊維形状を維持し、繊維の機械強度を維持する。鞘成分は熱を付与されると、溶融又は軟化して、構成繊維間を熱接着させる。鞘成分の熱接着により、構成繊維間の空隙が部分的に埋められ、適度に緻密な全熱交換素子用紙になる。
芯鞘比が40/60より小さくて、鞘成分が多くなり過ぎると、構成繊維間が強く熱接着されるものの、芯成分の占める割合が少なくなり過ぎることによって、芯鞘型複合繊維そのものの単繊維強度が低下する場合がある。また、鞘成分が多いと、鞘成分の溶融によって全熱交換素子用紙の表面がフィルム化しやすくなり、透湿性が劣る場合がある。一方、芯鞘比が80/20よりも大きくて、芯成分が多くなり過ぎると、芯鞘型複合繊維自体の単繊維強度は高くなるものの、全熱交換素子用紙の構成繊維間が十分に熱接着されなくなる。そのため、繊維間が十分に熱接着されないことに起因して用紙強度が低下するおそれがある。
本発明において、全熱交換素子用紙に含まれる全繊維成分に対して、芯鞘型複合繊維の含有率は5〜40質量%であり、8〜35質量%であることがより好ましく、10〜25質量%であることがさらに好ましい。芯鞘型複合繊維の含有率が5質量%未満の場合、繊維同士の接着点が増えないため、用紙強度を向上させる効果が発現しない。また、芯鞘型複合繊維の割合が40質量%より多い場合、繊維同士の接着点は増加するが、全熱交換素子用紙の表面がフィルム化しやすく、透湿剤の用紙内部への浸透が悪化し、透湿剤の分布が不均一になるため、透湿度が劣る場合がある。
本発明の全熱交換素子用紙には、必要とする密度、平滑度、透気度、用紙強度を得るために、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、有機顔料等の各種填料、接着剤、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、紙力増強剤等の各種配合剤を適宜含有することができる。
本発明における原紙の製法としては、一般的な長網抄紙機、丸網抄紙機等を用いて、セルロース繊維及び芯鞘型複合繊維をシート状に形成する抄造法が挙げられる。
本発明の全熱交換素子用紙には、必要とする密度、平滑度、透気度、用紙強度を得るために、抄紙機に設置されたサイズプレス、ロールコーター等で、表面サイズプレスを施してもよい。表面サイズプレス液の成分としては、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、ポリビニルアルコール等の各種合成バインダーが適宜使用できる。
本発明の全熱交換素子用紙には、必要とする密度、平滑度、透気度、用紙強度を得るために、カレンダー処理を施してもよい。カレンダー装置としては、硬質ロール同士、弾性ロール同士及び硬質ロールと弾性ロールの対の組み合わせからなる群から選ばれる1種以上の組合せロールを有する装置が好適に使用される。具体的には、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー等を使用することができる。
本発明の全熱交換素子用紙の坪量、厚み、密度等に関しては特に制限はないが、交換効率の観点から、坪量は低く、厚みは薄く、密度は高いものが好ましい。坪量は20〜80g/mの範囲が好ましく、30〜70g/mの範囲がより好ましい。厚みは20〜80μmの範囲が好ましく、30〜60μmの範囲がより好ましい。密度は0.7〜1.1g/cmの範囲が好ましく、0.9〜1.1g/cmの範囲がより好ましい。
本発明の全熱交換素子用紙には、難燃性を付与する目的で難燃剤を付着することができる。難燃剤としては、無機系難燃剤、無機リン系化合物、含窒素化合物、塩素系化合物、臭素系化合物などがある。例えば、ホウ砂とホウ酸の混合物、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、リン酸アミド、塩素化ポリオレフィン、臭化アンモニウム、非エーテル型ポリブロモ環状化合物等の水溶液若しくは水に分散可能である難燃剤が挙げられる。難燃性のレベルとしては、JIS A 1322:1966で測定される炭化長が10cm未満であることが好ましい。難燃剤の付着量としては、特に制限はなく、使用する難燃剤にもよるが、5g/m〜10g/mの範囲であることが好ましい。10g/mよりも多く付着させても良いが、効果は頭打ちとなる。
本発明の全熱交換素子用紙には、防カビ性を付与する目的で、防カビ剤を付着することができる。防カビ剤としては、一般的に防カビ剤として市販されているものが使用できる。例えば、有機窒素化合物、硫黄系化合物、有機酸エステル類、有機ヨウ素系イミダゾール化合物、ベンザゾール化合物などが挙げられる。防カビ性のレベルとしては、JIS Z 2911:2010で測定される菌糸の発育が認められない状態が好ましい。防カビ剤の付着量としては、0.5g/m〜5g/mの範囲であることが好ましい。5g/mよりも多く付着させても良いが、効果は頭打ちとなる。
本発明の全熱交換素子用紙における吸湿剤について説明する。吸湿剤は、湿熱交換効率を高めるため、原紙に塗布又は含浸する。吸湿剤としては、無機酸塩、有機酸塩、無機質填料、多価アルコール、尿素類、吸湿(吸水)性高分子などがある。
例えば、無機酸塩としては、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどがある。有機酸塩としては、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどがある。無機質填料としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、タルク、クレー、ゼオライト、珪藻土、セピオライト、シリカゲル、活性炭などがある。多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリグリセリンなどがある。尿素類としては、尿素、ヒドロキシエチル尿素などがある。
吸湿(吸水)性高分子としては、ポリアスパラギン酸、ポリアクリル酸、ポリグルタミン酸、ポリリジン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びそれらの塩又は架橋物、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、ヒアルロン酸、グアーガム、アラビアゴム、澱粉及びそれらの架橋物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、コラーゲン、アクリルニトリル系重合体ケン化物、澱粉/アクリル酸塩グラフト共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸塩共重合体ケン化物、澱粉/アクリルニトリルグラフト共重合体、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール/無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド系、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、多糖類/アクリル酸塩グラフト自己架橋体等がある。目的とする透湿度に応じて、種類や付着量を選んで用いられる。
本発明においては、コスト面と透湿性能の観点から、塩化カルシウム、塩化リチウム及び塩化マグネシウムの群から選ばれる1種以上の吸湿剤を使用することが好ましい。特に好ましい吸湿剤は塩化カルシウムである。塩化カルシウムと他の吸湿剤とを併用しても良い。
吸湿剤の付着量は、特に制限はない。使用する吸湿剤の種類にもよるが、JIS Z 0208:1976の評価方法を用い、23℃、相対湿度50%の条件下で測定された透湿度が300g/m・24h以上であることが好ましい。この範囲であれば、湿熱交換性能に優れた全熱交換素子が得ることができる。吸湿剤の付着量としては、使用する吸湿剤の種類にもよるが、ある程度の付着量から湿熱交換性能が頭打ちになることもあり、3g/m〜15g/mの範囲であることが好ましく、4g/m〜10g/mの範囲であることがより好ましい。透湿度としては300g/m・24h〜1500g/m・24hの範囲が好ましく、400g/m・24h〜1000g/m・24hの範囲がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<叩解パルプ>
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が70°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプとした。
<バインダー繊維1>
芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:255℃)、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系樹脂であり、繊維径13μm、繊維長5mm、芯成分/鞘成分の体積比が50/50の芯鞘型複合繊維を、バインダー繊維1とした。
<バインダー繊維2>
芯成分がポリプロピレン樹脂(融点160℃)、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系樹脂であり、繊維径13μm、繊維長5mm、芯成分/鞘成分の体積比が50/50の芯鞘型複合繊維を、バインダー繊維2とした。
<バインダー繊維3>
芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点:255℃)、鞘成分がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体からなる非晶性の共重合ポリエステル(融点:115℃)であり、繊維径11μm、繊維長5mm、芯成分/鞘成分の体積比が50/50の芯鞘型ポリエステル複合繊維を、バインダー繊維3とした。
<PET単繊維>
ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径2μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル繊維をPET単繊維とした。
<PP単繊維>
ポリプロピレンからなる、繊維径5μm、繊維長5mmの延伸オレフィン繊維をPP単繊維とした。
実施例1〜4及び比較例1〜7の全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(実施例1〜4及び比較例1〜7の全熱交換素子用紙の作製)
2mの分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた繊維を表1に示す配合比率になるように混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量37g/mの実施例1〜4、比較例1〜7の全熱交換素子用紙の原紙を得た。該原紙に、含浸加工機にて吸湿剤として塩化カルシウムを表1の対原紙付与率となるように付与した。その後、カレンダー処理を行い、厚さ35μmの実施例1〜4、比較例1〜7の全熱交換素子用紙を得た。
Figure 2020133047
上記のようにして得られた実施例1〜4及び比較例1〜7の全熱交換素子用紙について、以下の項目について測定し、評価した。
(透湿度)
JIS Z 0208:1976に規定される透湿度試験方法に準じ、温度20℃、相対湿度65%の条件にて透湿度測定を実施した。
(熱伝導性)
全熱交換素子用紙を温度20℃の室内に垂直にセットし、その表面側30cmの距離から赤外ランプ(500W)で照射し、測定開始から10分後の該全熱交換素子用紙の表面温度及び裏面温度を赤外放射温度計で測定した。
〇:表面と裏面との温度差が5℃未満であり、熱伝導性が優れるレベル
△:表面と裏面との温度差が5〜10℃であり、熱伝導性にやや優れるレベル
×:表面と裏面との温度差が10℃超えであり、熱伝導性が劣るレベル
(引張強度)
作製した全熱交換素子用紙について、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−116750)を用いて、JIS P 8113:2006に準じて縦方向の引張強度を測定した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ具の間隔を100mm、引張速度を200mm/minとした。
○:引張強度が1000N/m以上であり、用紙強度が優れるレベル
△:引張強度が400N/m以上1000N/m未満であり、用紙強度がやや優れるレベル
×:引張強度が400N/m未満であり、用紙強度が劣るレベル
Figure 2020133047
表2より、実施例の全熱交換素子用紙は、透湿度、熱伝導性が優れるのみならず、用紙強度も良好であることが確認できた。これに対して、比較例の全熱交換素子用紙は、透湿度、熱伝導性及び用紙強度のすべてに優れているものはなかった。
実施例1と比較例1とを比較すると、比較例1の原紙は叩解したセルロース繊維のみで構成されているため、実施例1の方が、引張強度が良好であることがわかる。実施例1と比較例2とを比較すると、比較例2のバインダー繊維は、鞘成分が湿熱接着性樹脂ではなく、非晶性の共重合ポリエステルであるため、実施例1の方が、引張強度及び熱伝導性が良好であり、また、比較例2の透湿度が700g/m・24hと劣ることがわかる。実施例1と比較例3及び比較例4とを比較すると、比較例3と比較例4は芯鞘型複合繊維の含有率が本発明の範囲外であるため、比較例3では引張強度が、比較例4では透湿度が劣ることがわかる。実施例1と比較例5及び比較例6とを比較すると、芯鞘型複合繊維の替わりに、比較例5ではPET単繊維を、比較例6ではPP単繊維を含有しているため、いずれも引張強度、熱伝導性及び透湿度が劣ることがわかる。また、比較例7の全熱交換素子用紙は吸湿剤を含んでいないため、実施例1〜4の方が、透湿度が良好であることがわかる。
これらのことから、叩解したセルロース繊維とバインダー繊維と吸湿剤とを含む全熱交換素子用紙であって、前記バインダー繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、湿熱接着性樹脂を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を3〜40質量%含む全熱交換素子用紙は、熱伝導性、透湿性、用紙強度に優れ、有効であることが確認できた。
本発明の全熱交換素子用紙は新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に顕熱(温度)と共に潜熱(湿度)の熱交換を行う全熱交換器の全熱交換素子に使用される。

Claims (2)

  1. 叩解したセルロース繊維とバインダー繊維と吸湿剤とを含む全熱交換素子用紙であって、前記バインダー繊維として、融点160℃以上の樹脂を芯成分とし、湿熱接着性樹脂を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を5〜40質量%含むことを特徴とする全熱交換素子用紙。
  2. 請求項1に記載の全熱交換素子用紙を用いたことを特徴とする全熱交換素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116145468A (zh) * 2023-01-09 2023-05-23 浙江朝晖过滤技术股份有限公司 高湿强、高吸水性湿帘纸的制备方法

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