JP2018150659A - 無孔質全熱交換素子用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、熱交換効率が高く、高湿環境下における機械的強度に優れた全熱交換素子を作るために、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、且つ、高湿環境下にて湿潤強度の低下が極めて少なく、寸法安定性に優れた無孔質全熱交換素子用紙を提供することである。【解決手段】JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプ及び合成繊維を含む原紙と、該原紙に付与された吸湿剤を含有することを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。【選択図】なし
Description
本発明は、新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に顕熱(温度)と潜熱(湿度)の熱交換を行う全熱交換器の全熱交換素子に使用される全熱交換素子用紙において、熱交換性が良好で、且つ給排気の混合が少ない無孔質全熱交換素子用紙に関する。
新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に熱交換を行う空気対空気の熱交換器において、顕熱(温度)と共に潜熱(湿度)の熱交換も行う全熱交換器の全熱交換素子には熱伝導性と透湿性を両方有する必要があるため、天然パルプを主成分とした紙が多くの場合に用いられている。
特許文献1では実質的に無孔質なセルロース系基材に吸湿剤を含有させた全熱交換素子用紙が提案されている。実質的に無孔質なセルロース基材を用いているため、熱伝導性や気体遮蔽性に優れており、さらに吸湿剤を含有しているため、透湿性も高く、熱交換効率の優れた全熱交換素子用紙である。しかしながら、セルロース系基材は高湿環境下において湿潤強度が低下し、破断し易く、また、湿度の変化により、寸法変化が生じ易い。そのため、当該用紙を用いた全熱交換素子は高湿環境下では変形により、空気の流入が阻害され、熱交換効率が低下したり、接着部分の剥がれや仕切り板の亀裂が発生したりするといった問題点があった。
特許文献2では高湿条件下での全熱交換素子の寸法安定性を向上させるために、セルロースパルプに熱可塑性高分子のナノファイバーを含有させた全熱交換素紙用紙が提案されている。しかしながら、セルロースパルプの叩解度が低く、結果、気体遮蔽性に劣り、当該用紙を用いた全熱交換素子は新鮮な外気に室内の汚れた空気が混合し易いといった問題点があった。
本発明の課題は、熱交換効率が高く、高湿環境下における機械的強度に優れた全熱交換素子を作るために、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、且つ、高湿環境下にて湿潤強度の低下が極めて少なく、寸法安定性に優れた無孔質全熱交換素子用紙を提供することである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記発明を見出した。
(1)JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプ及び合成繊維を含む原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含有することを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。
(2)合成繊維の平均繊維径が1.0〜5.5μmであることを特徴とする上記(1)記載の無孔質全熱交換素子用紙。
(3)合成繊維が難燃剤を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の無孔質全熱交換素子用紙。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプ及び合成繊維を含む原紙と、該原紙に付与された吸湿剤を含有しているため、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、且つ、高湿環境下にて湿潤強度の低下が極めて少なく、寸法安定性に優れた良好な無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度(以下、「ショッパー・リーグラ法のろ水度」と略記する場合がある)が80°SR以上に叩解したセルロースパルプ及び合成繊維を含む原紙と、該原紙に付与された吸湿剤を含有することを特徴とする。
本発明における無孔質全熱交換素子用紙とは、高度に叩解処理されたセルロースパルプを用いることを必須とし、実質的に無孔質であるかのような特性を持つ全熱交換素子用紙である。具体的には、本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプを含み、JIS P8117で規定される王研式透気抵抗度にて5,000秒以上の値を示す全熱交換素子用紙である。本発明において、叩解したセルロースパルプにおけるショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR未満の場合、透気抵抗度は5,000秒未満となり、得られる全熱交換素子用紙は熱伝導性、気体遮蔽性が劣るため、実質的に無孔質とは言えないものとなる。
本発明において、セルロースパルプの原料としてはNBKP、LBKP、NBSP、LBSP、NUKP等が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、目的に応じて数種類混合して使用しても良い。
本発明において、セルロースパルプはダブルディスクリファイナー、デラックスファイナー、ジョルダン等の叩解機により、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上になるまで叩解される。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙が合成繊維を含むことにより、高湿環境下にて湿潤強度の低下が極めて少なく、寸法安定性に優れた無孔質全熱交換素子用紙となる。合成繊維としてはポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維が挙げられる。また、単繊維の他に、放射状や並列に分割する繊維や熱融着性繊維を用いることができる。
本発明において、合成繊維が難燃剤を含む難燃性繊維であることにより、本発明の無孔質全熱交換素子用紙に難燃性を付与することができる。難燃剤としては、合成繊維の原料に練り込むことができる有機難燃剤や無機難燃剤を使用することができる。有機難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸塩系やリン酸エステル系等のリン系難燃剤;窒素系難燃剤;臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤等が挙げられる。また、無機難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等のアンチモン系難燃剤;ジルコニウム化合物;硼酸、硼酸亜鉛等のホウ素化合物;三酸化モリブデン;ケイ酸ナトリウム;上記化合物の錯体である複合無機物が挙げられる。火災時や使用後の焼却処分時に有毒なハロゲン系ガスを発生しない非ハロゲン系難燃剤が好ましい。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙に含有される合成繊維の平均繊維径は、好ましくは1.0〜5.5μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmであり、さらに好ましくは3.0〜4.0μmである。平均繊維径が1.0μm未満であると、当該用紙の高湿環境下における湿潤強度の低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなったり、湿式抄造時に繊維がもつれ易く、欠点となったりする場合がある。また、5.5μmを超えると、当該用紙の透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性になる場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙に含有される合成繊維の繊維長は、好ましくは1〜10mmであり、より好ましくは2〜8mmであり、さらに好ましくは3〜6mmである。繊維長が1mm未満であると、当該用紙の高湿環境下における湿潤強度の低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合があり、繊維長が10mmを超えると、湿式抄造時にもつれ易く、欠点となったり、均一性が損なわれたりする場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙に含有される合成繊維の含有量は、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは3〜6質量%である。1質量%未満であると当該用紙の高湿環境下における湿潤強度の低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合があり、10質量%を超えると、当該用紙の透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性になる場合がある。
本発明において、全熱交換素子用紙が付与された吸湿剤を含有することにより、当該用紙の厚み方向の水分移動が容易になり、透湿性の高い無孔質全熱交換素子用紙となる。吸湿剤としてはハロゲン化物、酸化物、塩類、水酸化物などの吸湿剤を使用できるが、吸湿性能の高い塩化リチウム、塩化カルシウム、リン酸塩等が好ましい。また、中には難燃性を示す吸湿剤もあり、これらを単独又は併用することにより、難燃性を付与することができる。吸湿剤の含有量は、吸湿剤の種類により異なるが、JIS Z0208に規定される温度20℃、相対湿度65%における透湿度が300g/m2・24h以上であれば、熱交換効率の高い無孔質全熱交換素子用紙となり、そのためには原紙に対して1質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。
本発明における無孔質全熱交換素子用紙の製造方法について説明する。初めに、原紙を抄造する。ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプと合成繊維をそれぞれ十分に離解させた分散液を混合し、抄造する。該原紙の抄造方法としては湿式抄造法が好ましく、長網、丸網、ツインワイヤー、オントップ、ハイブリッド等の抄紙機が用いられる。次に、該原紙に吸湿剤を付与させる。吸湿剤を付与させる方法としては、該原紙に均一に吸湿剤を付与させる方法であれば良く、サイズプレスやディップコーターによる含浸処理や、ロールコーターやバーコーターによる塗工処理が用いられる。さらに、厚みや透気抵抗度等の品質を安定化させるために、カレンダー処理を行っても良い。カレンダー処理にはソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いることができる。
本発明における無孔質全熱交換素子用紙は透気抵抗度が5,000秒以上であり、且つ透湿度が300g/m2・24h以上であることを必須とし、好ましくは透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であり、より好ましくは透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上である。これらを達成するためには、単純により叩解度の高いセルロースパルプを使用したり、吸湿剤を多く付与させたりするだけでなく、適宜、目的に応じた製造設備を組み合わせることにより、より熱交換効率の高い優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。例えば、一般に、叩解度が高いセルロースパルプを使用した場合、湿式抄造では水引きが悪くなり、抄造速度が遅くなることにより、生産性が劣る場合がある。そのため、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上で比較的低いろ水度の叩解したセルロースパルプを用いることにより、抄紙速度を落とすことなく、無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得ることができる。その後、該原紙に吸湿剤を付与させ、金属ロール対のスーパーカレンダーを用い、比較的高い線圧にてカレンダー処理を行い、高密度化することにより、生産性を損なわず、熱伝導性、気体遮蔽性に優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。逆に叩解度の高いセルロースパルプを使用した場合、多段の抄紙機を使用し、薄い紙層を積層することにより、抄造速度を落とさずに原紙を抄造することができ、得られた原紙に吸湿剤を付与した後、ソフトニップカレンダーを用いて、比較的低い線圧でカレンダー処理を行うことで、当該原紙中の極微小な空隙の割合をコントロールし、所望の透湿性を持った無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。また、合成繊維に熱融着性繊維を用いた場合、カレンダー処理の工程において、熱カレンダー装置を用いることにより、より強度が増し、高い熱交換効率を持ちながら、高湿環境下での湿潤強度や寸法安定性がより優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<叩解パルプ1>
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ1とした。
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ1とした。
<叩解パルプ2>
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が70°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ2とした。
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が70°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ2とした。
<PET繊維1>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径3.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維1とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径3.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維1とした。
<PET繊維2>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維2とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維2とした。
<PET繊維3>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径1.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維3とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径1.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維3とした。
<PET繊維4>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径2.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維4とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径2.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維4とした。
<PET繊維5>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径5.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維5とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径5.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維5とした。
<PET繊維6>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径5.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維6とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径5.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維6とした。
<PET繊維7>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径6.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維7とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径6.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維7とした。
<難燃PET繊維>
ポリエチレンテレフタレート樹脂に、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムが5%含有するように、混練押出機にて溶融混合して得た原料を用い、溶融紡糸法にて得た平均繊維径3.0μm、繊維長5mmの繊維を難燃PET繊維とした。
ポリエチレンテレフタレート樹脂に、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムが5%含有するように、混練押出機にて溶融混合して得た原料を用い、溶融紡糸法にて得た平均繊維径3.0μm、繊維長5mmの繊維を難燃PET繊維とした。
実施例1〜15の無孔質全熱交換素子用紙及び比較例1の全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(実施例1〜15の無孔質全熱交換素子用紙及び比較例1の全熱交換素子用紙の作製)
2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとPET繊維又は難燃PET繊維を表1に示す配合比率になるように混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量40g/m2の実施例1〜15及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙の原紙を得た。該原紙に、含浸加工機にて吸湿剤として塩化リチウムを表1の対原紙付与率となるように付与した。その後、カレンダー処理を行い、厚さ35μmの実施例1〜15及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙を得た。
2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとPET繊維又は難燃PET繊維を表1に示す配合比率になるように混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量40g/m2の実施例1〜15及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙の原紙を得た。該原紙に、含浸加工機にて吸湿剤として塩化リチウムを表1の対原紙付与率となるように付与した。その後、カレンダー処理を行い、厚さ35μmの実施例1〜15及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙を得た。
比較例2の無孔質全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(比較例2の無孔質全熱交換素子用紙の作製)
2m3の分散タンクに水を投入後、十分に離解した叩解パルプ1を混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量40g/m2の比較例2の無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得た。該原紙に、含浸加工機にて吸湿剤として塩化リチウムを対原紙8%の付与率となるように付与した。その後、カレンダー処理を行い、厚さ35μmの比較例2の無孔質全熱交換素子用紙を得た。
2m3の分散タンクに水を投入後、十分に離解した叩解パルプ1を混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量40g/m2の比較例2の無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得た。該原紙に、含浸加工機にて吸湿剤として塩化リチウムを対原紙8%の付与率となるように付与した。その後、カレンダー処理を行い、厚さ35μmの比較例2の無孔質全熱交換素子用紙を得た。
比較例3の全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(比較例3の全熱交換素子用紙の作製)
2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解した叩解パルプ1とPET繊維1を混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量40g/m2の比較例3の全熱交換素子用紙の原紙を得た。その後、該原紙のカレンダー処理を行い、厚さ35μmの比較例3の全熱交換素子用紙を得た。
2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解した叩解パルプ1とPET繊維1を混合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、長網抄紙機にて抄造し、坪量40g/m2の比較例3の全熱交換素子用紙の原紙を得た。その後、該原紙のカレンダー処理を行い、厚さ35μmの比較例3の全熱交換素子用紙を得た。
上記のようにして得られた実施例1〜15及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙について、以下の項目について測定し、評価した。
(透気抵抗度)
JIS P8117に規定される王研式透気抵抗度試験方法に準じて、透気抵抗度測定を実施した。
JIS P8117に規定される王研式透気抵抗度試験方法に準じて、透気抵抗度測定を実施した。
(透湿度)
JIS Z0208に規定される透湿度試験方法に準じ、温度20℃、相対湿度65%の条件にて透湿度測定を実施した。
JIS Z0208に規定される透湿度試験方法に準じ、温度20℃、相対湿度65%の条件にて透湿度測定を実施した。
(湿潤強度)
JIS P8135の湿潤引張強さ試験方法に準じ、実施例1〜15及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙の縦方向(流れ方向)の湿潤引張強さを測定し、湿潤強度とした。
JIS P8135の湿潤引張強さ試験方法に準じ、実施例1〜15及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙の縦方向(流れ方向)の湿潤引張強さを測定し、湿潤強度とした。
(全熱交換素子の変形)
実施例1〜15及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙を用いて、縦200mm、横200mm、高さ250mm、一段の高さ2.6mmの全熱交換素子を作製した。該全熱交換素子を温度30℃、相対湿度90%の条件で48時間放置し、形状変化を目視にて評価した。評価基準は下記のようにした。
実施例1〜15及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙を用いて、縦200mm、横200mm、高さ250mm、一段の高さ2.6mmの全熱交換素子を作製した。該全熱交換素子を温度30℃、相対湿度90%の条件で48時間放置し、形状変化を目視にて評価した。評価基準は下記のようにした。
◎:形状変化はほとんど無いレベル
○:形状変化は多少あるが、実使用上は問題無いレベル
×:明らかに形状変化が起こり、実使用上問題があるレベル
○:形状変化は多少あるが、実使用上は問題無いレベル
×:明らかに形状変化が起こり、実使用上問題があるレベル
さらに、実施例1、15及び比較例2の無孔質全熱交換素子用紙について、以下の項目を測定し、評価した。評価結果を表2に示す。
(炭化長)
JIS A1322に規定される難燃性試験方法に準じ、加熱時間3分の条件にて炭化長測定を実施した。
JIS A1322に規定される難燃性試験方法に準じ、加熱時間3分の条件にて炭化長測定を実施した。
実施例1と比較例1の結果より、比較例1の全熱交換素子用紙はショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR未満のセルロースパルプを使用しているため、透気抵抗度が5,000秒未満であった。そのため、比較例1の全熱交換素子用紙は透気抵抗度が低く、無孔質とは言えないレベルであり、熱伝導性、気体遮蔽性が劣っている。実施例1はショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したセルロースパルプを使用しているため、透気抵抗度が5,000秒以上であり、熱伝導性や気体遮蔽性に優れている。
実施例1〜7の結果より、原紙に配合される合成繊維の繊維径が太くなるほど、無孔質全熱交換素子用紙の湿潤強度は強くなり、高湿環境下における当該用紙で作製された全熱交換素子の変形は小さくなったが、透気抵抗度は低くなった。実施例2の無孔質全熱交換素子用紙は平均繊維径が1.0μm未満であり、湿潤強度は実施例1、3〜7の無孔質全熱交換素子用紙よりは小さく、実施例2の無孔質全熱交換素子用紙を用いて作製された全熱交換素子は実使用上、問題無いレベルではあるものの変形した。また、合成繊維を配合することにより生じる無孔質全熱交換素子用紙内の極微小な空隙が該用紙の保水力を高め、透湿性が向上するはずであるが、合成繊維自身がセルロースパルプと比較すると吸湿性が低いために、合成繊維を配合したことによる吸湿性の低下の方が勝ってしまい、合成繊維の平均繊維径が1.0μm未満である実施例2の無孔質全熱交換素子用紙は、実施例1、3〜7の無孔質全熱交換素子用紙と比べると透湿性が低かった。一方、実施例7の無孔質全熱交換素子用紙は平均繊維径が5.5μmを超えており、実施例1〜6の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、透気抵抗度が低かった。結果、平均繊維径が1.0〜5.5μmの合成繊維を含有している実施例1、3〜6の無孔質全熱交換素子用紙の方が、湿潤強度が高く、高湿環境下での寸法安定性に優れており、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率の高い全熱交換素子用紙である。さらに透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、平均繊維径が3.0〜4.0μmの合成繊維を含有している実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下での寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、8〜13と比較例2の結果より、比較例2の無孔質全熱交換素子用紙は合成繊維を含有していないため、湿潤強度が低く、当該用紙で作製された全熱交換素子は高湿環境下にて実使用で問題があるレベルまで変形した。比較例2の無孔質全熱交換素子用紙は高湿環境下での湿潤強度や寸法安定性が劣っていた。実施例1、8〜13の無孔質全熱交換素子用紙は合成繊維の含有量が多くなるほど、湿潤強度は高くなるが、透気抵抗度は低くなった。実施例8の無孔質全熱交換素子用紙は合成繊維の含有量が1質量%未満であるため、湿潤強度が低く、当該用紙を用いて作製された全熱交換素子は高湿環境下にて実使用上、問題無いレベルではあるものの変形した。また、合成繊維を含有することにより生じる全熱交換素子用紙内の極微小な空隙が該用紙の保水力を高め、透湿性が向上するはずであるが、合成繊維自身がセルロースパルプと比較すると吸湿性が低いために、合成繊維を含有することによる吸湿性の低下の方が勝ってしまい、合成繊維の含有量が1質量%未満である実施例8の無孔質全熱交換素子用紙は、実施例1、9〜13の無孔質全熱交換素子用紙と比べると、透湿性が低かった。実施例13の無孔質全熱交換素子用紙は合成繊維の含有量が10質量%を超えるため、実施例1、8〜12の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、透気抵抗度が低かった。結果、合成繊維の含有量が1〜10質量%である実施例1、9〜12の無孔質全熱交換素子用紙の方が、湿潤強度が高く、高湿環境下における寸法安定性に優れており、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率の高い全熱交換素子用紙である。さらに透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、合成繊維の含有量が3〜6質量%である実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下での寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、14と比較例3の結果より、比較例3の全熱交換素子用紙は吸湿剤を付与していないため、透湿度が300g/m2・24h未満であり、透湿性が劣っていた。実施例14の無孔質全熱交換素子用紙は吸湿剤を対原紙1質量%付与しているため、透湿度が300g/m2・24h以上であり、潜熱(湿度)の交換に優れている。さらに、実施例1の無孔質全熱交換素子用紙は吸湿剤を対原紙8質量%付与しているため、透湿度が1,400g/m2・24h以上であり、潜熱の交換により優れている。
実施例1、15及び比較例2の結果より、実施例15の無孔質全熱交換素子用紙は難燃剤を練り込んだ合成繊維を含有しているため、炭化長が短くなり、難燃性が向上した。難燃剤を練り込んだ合成繊維を含有している実施例15の無孔質全熱交換素子用紙は透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿度に優れているため、熱交換効率が高く、湿潤強度が高いため、該用紙を用いた全熱交換素子の変形もほとんど無く、加えて高い難燃性を示す全熱交換素子用紙である。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙は新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に顕熱(温度)と共に潜熱(湿度)の熱交換を行う全熱交換器の全熱交換素子に使用される。
Claims (3)
- JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプ及び合成繊維を含む原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含有することを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。
- 合成繊維の平均繊維径が1.0〜5.5μmであることを特徴とする請求項1記載の無孔質全熱交換素子用紙。
- 合成繊維が難燃剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の無孔質全熱交換素子用紙。
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JP2017049651A JP2018150659A (ja) | 2017-03-15 | 2017-03-15 | 無孔質全熱交換素子用紙 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020125893A (ja) * | 2019-02-06 | 2020-08-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 全熱交換器用シート、全熱交換器用素子、及び全熱交換器 |
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2017
- 2017-03-15 JP JP2017049651A patent/JP2018150659A/ja active Pending
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