JP2019167652A - 無孔質全熱交換素子用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、熱交換効率が高く、高湿環境下における機械的強度に優れた全熱交換素子を作るために、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、且つ、高湿環境下において潮解し難く、湿潤強度の低下が極めて少ない、寸法安定性に優れた無孔質全熱交換素子用紙を提供することである。【解決手段】JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる第一層と、該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる第二層において、該第一層の両面に該第二層を積層した原紙と、該原紙に付与された吸湿剤を含有することを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。【選択図】なし
Description
本発明は、新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に顕熱(温度)と潜熱(湿度)の熱交換を行う全熱交換器の全熱交換素子に使用される全熱交換素子用紙において、熱交換性が良好で、且つ給排気の混合が少ない無孔質全熱交換素子用紙に関する。
新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に熱交換を行う空気対空気の熱交換器において、顕熱(温度)と共に潜熱(湿度)の熱交換も行う全熱交換器の全熱交換素子には熱伝導性と透湿性を両方有する必要があるため、天然パルプを主成分とした紙が多くの場合に用いられている。しかしながら、天然パルプ等のセルロース系基材は高湿環境下において湿潤強度が低下し、破断し易く、また、湿度の変化により、寸法変化が生じ易い。そのため、セルロース基材を用いた全熱交換素子は、高湿環境下では変形により、空気の流入が阻害され、熱交換効率が低下したり、接着部分の剥がれや仕切り板の亀裂が発生したりする場合があるといった課題があった。
特許文献1では高湿条件下での全熱交換素子の寸法安定性を向上させるために、セルロースパルプに熱可塑性高分子のナノファイバーを含有させた全熱交換素紙用紙が提案されている。しかしながら、セルロースパルプの叩解度が低く、結果、気体遮蔽性に劣り、当該用紙を用いた全熱交換素子は新鮮な外気に室内の汚れた空気が混合し易いといった問題点があった。
特許文献2では、潮解による強度低下防止のため、潮解性物質を使用せずに潜熱交換効率を向上させる目的で、吸放湿性粉体を抄き込んだ全熱交換素子用紙が提案されている。しかしながら、透気度が高く、気体遮蔽性に劣り、新鮮な外気に室内の汚れた空気が混合し易いといった問題点があった。
本発明の課題は、熱交換効率が高く、高湿環境下において、潮解による影響を受け難く、機械的強度に優れた全熱交換素子を作るために、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、且つ、高湿環境下において、潮解し難く、湿潤強度の低下が極めて少ない、寸法安定性に優れた全熱交換素子用紙を提供することである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記発明を見出した。
(1)第一層の両面に第二層を積層した原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含有し、
第一層が、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる層であり、
第二層が、該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる層であることを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。
第一層が、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる層であり、
第二層が、該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる層であることを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。
(2)ガラス繊維の平均繊維径が1.0〜5.5μmであり、合成繊維の平均繊維径が0.5〜3.0μmであることを特徴とする上記(1)記載の無孔質全熱交換素子用紙。
(3)合成繊維が難燃剤を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の無孔質全熱交換素子用紙。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、第一層の両面に第二層を積層した原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含有し、第一層が、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる層であり、第二層が、該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる層であるため、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、且つ、高湿環境下において潮解し難く、湿潤強度の低下が極めて少ない、寸法安定性に優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、第一層の両面に第二層を積層した原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含有し、第一層が、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる層であり、第二層が、該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる層であることを特徴とする。
本発明における無孔質全熱交換素子用紙とは、高度に叩解処理されたセルロースパルプを用いることを必須とし、実質的に無孔質であるかのような特性を持つ全熱交換素子用紙である。具体的には、本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプを含み、JIS P8117で規定される王研式透気抵抗度にて5,000秒以上の値を示す全熱交換素子用紙である。本発明において、叩解したセルロースパルプにおけるショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR未満の場合、透気抵抗度は5,000秒未満となり、得られる全熱交換素子用紙は熱伝導性、気体遮蔽性が劣るため、実質的に無孔質とは言えないものとなる。
本発明において、セルロースパルプの原料としてはNBKP、LBKP、NBSP、LBSP、NUKP等が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、目的に応じて数種類混合して使用しても良い。
本発明において、セルロースパルプはダブルディスクリファイナー、デラックスファイナー、ジョルダン等の叩解機により、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上になるまで叩解される。
本発明における無孔質全熱交換素子用紙の第一層は、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなるため、熱伝導性、透湿性、気体遮蔽性に優れ、湿潤強度の低下が極めて少なく、寸法安定性に優れている。ガラス繊維の代わりに合成繊維を用いても同様の効果が得られる場合もあるが、ガラス繊維の方が合成繊維に比べ熱伝導性が高いため、熱交換効率に優れている。また、同じ平均繊維径の場合、ガラス繊維の方が合成繊維よりも剛直性が高いため、機械的強度が高く、湿潤強度低下の抑制に優れている。加えて、ガラス繊維は不燃であるため、難燃性を付与することができる。ガラス繊維としては蒸気吹付法、スピニング法、火焔延伸法、ロータリー法などで製造されたものを用いることができる。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第一層に含有されるガラス繊維の平均繊維径は、好ましくは1.0〜5.5μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmであり、更に好ましくは3.0〜4.0μmである。平均繊維径が1.0μm未満であると、当該用紙の高湿環境下における湿潤強度低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合がある。また、5.5μmを超えると、当該用紙の透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性になる場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第一層に含有されるガラス繊維の繊維長は、好ましくは1〜16mmであり、より好ましくは2〜14mmであり、更に好ましくは3〜12mmである。繊維長が1mm未満であると、当該用紙の高湿環境下における湿潤強度低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合があり、繊維長が16mmを超えると、湿式抄造時に離解しにくくなり、均一性が損なわれたりする場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第一層に含有されるガラス繊維の含有量は、第一層の質量に対して、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜6質量%である。1質量%未満であると当該用紙の高湿環境下における湿潤強度低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合があり、10質量%を超えると、当該用紙の透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性になる場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第一層の両面に積層される第二層は、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる。合成繊維を配合しているため、高湿環境下における湿潤強度低下の抑制や寸法安定性の向上に優れている。合成繊維としてはポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維が挙げられる。また、単繊維の他に、放射状や並列に分割する繊維や熱融着性繊維を用いることができる。合成繊維の代わりにガラス繊維を用いても同様の効果が得られる場合もあるが、ガラス繊維は皮膚刺激性があるため、当該用紙の表面となる第二層には、合成繊維の方が好ましい。当該用紙を加工する場合、作業者がストレスなく作業できるため、作業性が向上する。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第二層に含有される合成繊維の平均繊維径は、好ましくは0.5〜3.0μmであり、より好ましくは0.7〜2.5μmであり、更に好ましくは1.0〜2.0μmである。平均繊維径が0.5μm未満であると、当該用紙の高湿環境下における湿潤強度低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなったり、湿式抄造時に繊維がもつれ易く、欠点となったりする場合がある。また、3.0μmを超えると、当該用紙の透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性になる場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第二層に含有される合成繊維の繊維長は、好ましくは1〜10mmであり、より好ましくは2〜8mmであり、更に好ましくは3〜6mmである。繊維長が1mm未満であると、当該用紙の高湿環境下における湿潤強度の低下抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合があり、繊維長が10mmを超えると、湿式抄造時にもつれ易く、欠点となったり、均一性が損なわれたりする場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第二層に含有される合成繊維の含有量は、第二層の質量に対し、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜16質量%であり、更に好ましくは3〜14質量%である。1質量%未満であると当該用紙の高湿環境下における湿潤強度低下の抑制や寸法安定性の向上といった効果が低くなる場合があり、20質量%を超えると、当該用紙の透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性になる場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第二層に含有される合成繊維が難燃剤を含む難燃性繊維であることにより、本発明の全熱交換素子用紙の難燃性をより高めることができる。難燃剤としては、合成繊維の原料に練り込むことができる有機難燃剤や無機難燃剤を使用することができる。有機難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸塩系やリン酸エステル系等のリン系難燃剤;窒素系難燃剤;臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤等が挙げられる。また、無機難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等のアンチモン系難燃剤;ジルコニウム化合物;硼酸、硼酸亜鉛等のホウ素化合物;三酸化モリブデン;ケイ酸ナトリウム;上記化合物の錯体である複合無機物が挙げられる。火災時や使用後の焼却処分時に有毒なハロゲン系ガスを発生しない非ハロゲン系難燃剤が好ましい。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第二層に多孔質水分吸着剤を含有しているため、高湿環境下で水分吸着剤の細孔内に水分が保持され、当該用紙が体積変化し難く、寸法安定性が向上し、潮解の影響を受け難い。多孔質水分吸着剤としては、珪素、チタン、アルミニウム、タンタル、バナジウム、ジルコニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等から選ばれる少なくとも1種の金属原子の酸化物を含有してなり、その形態としては、多数の細孔を有する粒状体、一次粒子径が数nmの単独粒子が複数凝集してなる複合粒子、管状体、繊維状金属酸化物の凝集体等が挙げられる。より具体的には、非晶質アルミニウム珪酸塩、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、繊維状又は管状のアルミニウム珪酸塩、繊維状又は管状の酸化チタン、珪藻土等を挙げることができる。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙の第二層に含有される多孔質水分吸着剤の含有量は、第二層の質量に対し、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜16質量%であり、更に好ましくは3〜14質量%である。1質量%未満であると、高湿環境下で潮解し易くなり、寸法安定性が低くなる場合があり、20質量%を超えると、第二層を構成するショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプ及び/又は合成繊維の含有量が相対的に少なくなる。該セルロースパルプの含有量が少なくなると、透気抵抗度が低下し、実質的に無孔質とは言えない特性となる場合がある。また、本発明の無孔質全熱交換素子用紙の第二層における該セルロースパルプは多孔質水分吸着剤を保持するバインダーの役割も果たしており、該セルロースパルプの含有量が相対的に少なくなると、該水分吸着剤が脱落し易くなる場合がある。又は、該合成繊維の含有量が少なくなった場合、高湿下での湿潤強度が低下する場合がある。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙は第一層の両面に同じ構成の第二層を積層しているため、環境変化により、当該用紙が伸縮した場合に一方向に曲がりにくくなるため、当該用紙を用いた全熱交換素子は環境変化による変形が起こり難くなる。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙は、原紙に付与された吸湿剤を含有することにより、当該用紙の厚み方向の水分移動が容易になり、透湿性の高い全熱交換素子用紙となる。吸湿剤としてはハロゲン化物、酸化物、塩類、水酸化物などの吸湿剤を使用できるが、吸湿性能の高い塩化リチウム、塩化カルシウム、リン酸塩等が好ましい。また、中には難燃性を示す吸湿剤もあり、これらを単独又は併用することにより、より難燃性を高めることができる。吸湿剤の含有量は、吸湿剤の種類により異なるが、JIS Z0208に規定される温度20℃、相対湿度65%における透湿度が300g/m2・24h以上であれば、熱交換効率の高い無孔質全熱交換素子用紙となり、そのためには原紙に対して1質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。
本発明の無孔質全津交換素子用紙は、必要に応じて防カビ剤を付与することができる。防カビ剤としては、銀、銅、亜鉛等の無機系や、イミダゾール系、チアゾール系、ピリチオン系等の有機系のものが挙げられ、単独又は複合して用いることができる。
本発明において、無孔質全熱交換素子用紙は求める特性が得られれば良く、当該用紙及び当該用紙の第一層及び第二層の坪量は特に限定しないが、性能や製造時の加工性、ハンドリングの観点から、当該用紙の坪量は20〜80g/m2が好ましく、25〜68g/m2がより好ましく、30〜60g/m2が更に好ましい。また、当該用紙の第一層の坪量は12〜48g/m2が好ましく、15〜40g/m2がより好ましく、18〜36g/m2が更に好ましい。更に、当該用紙の片面の第二層の坪量は4〜16g/m2が好ましく、5〜14g/m2がより好ましく、6〜12g/m2が更に好ましい。また、第二層の坪量は両面とも同じ坪量にすることにより、環境変化による伸縮が起きた場合に、両面で同程度の変化となるため、一方向に曲がるといった変形が生じにくくなり、寸法安定性に優れる。
本発明における全熱交換素子用紙の製造方法について説明する。初めに、原紙を抄造する。当該用紙の第一層及び第二層の原料をそれぞれ十分に離解、混合した分散液を作製し、抄造する。本発明の無孔質全熱交換素子用紙は、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機等、これら抄紙機の抄紙ヘッドが同種又は異種の2機以上、オンラインで設置されているコンビネーション抄紙機などにより製造される。その際に、本発明の無孔質全熱交換素子用紙となる積層ウェブを形成する方法としては、各々の抄紙ヘッドで抄きあげた湿紙ウェブを積層する抄き合わせ方法、当該用紙の第二層の湿紙ウェブを形成した後に、当該用紙の第一層の原料を分散したスラリーを流して積層した湿紙ウェブを作製し、更に、当該用紙の第二層の原料を分散したスラリーを流して積層ウェブとする方法が挙げられる。また、当該用紙の第一層又は第二層を予め抄造して作製した乾燥ウェブを用いて、該乾燥ウェブ上に、該乾燥ウェブとは異なる層の原料を分散したスラリーを流す方法、該乾燥ウェブと、抄紙ヘッドにより抄造した湿紙ウェブと抄き合わせて積層ウェブとする方法でも良い。これら抄紙機で抄造された積層ウェブは、シリンダードライヤー、エアドライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等により、加熱乾燥され、原紙が得られる。
次に、該原紙に吸湿剤を付与させる。吸湿剤を付与させる方法としては、該原紙に均一に吸湿剤を付与させる方法であれば良く、サイズプレスやディップコーターによる含浸処理や、ロールコーターやバーコーターによる塗工処理が用いられる。更に、厚みや透気抵抗度等の品質を安定化させるために、カレンダー処理を行っても良い。カレンダー処理にはソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いることができる。
本発明における無孔質全熱交換素子用紙は、好ましくは透気抵抗度が5,000秒以上であり、且つ透湿度が300g/m2・24h以上であり、より好ましくは透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であり、更に好ましくは透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上である。これらを達成するためには、単純により叩解度の高いセルロースパルプを使用したり、吸湿剤を多く付与させたりするだけでなく、適宜、目的に応じた製造設備を組み合わせることにより、より熱交換効率の高い優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。
例えば、一般に、叩解度が高いセルロースパルプを使用した場合、湿式抄造では水引きが悪くなり、抄造速度が遅くなることにより、生産性が劣る場合がある。そのため、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上で比較的低いろ水度の叩解したセルロースパルプを用いることにより、抄紙速度を落とすことなく、無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得ることができる。その後、該原紙に吸湿剤を付与させ、金属ロール対のスーパーカレンダーを用い、比較的高い線圧にてカレンダー処理を行い、高密度化することにより、生産性を損なわず、熱伝導性、気体遮蔽性に優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。逆に叩解度の高いセルロースパルプを使用した場合、多段の抄紙機を使用し、薄い紙層を積層することにより、抄造速度を落とさずに原紙を抄造することができ、得られた原紙に吸湿剤を付与した後、ソフトニップカレンダーを用いて、比較的低い線圧でカレンダー処理を行うことで、当該原紙中の極微小な空隙の割合をコントロールし、所望の透湿性を持った無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。また、合成繊維に熱融着性繊維を用いた場合、カレンダー処理の工程において、熱カレンダー装置を用いることにより、より強度が増し、高い熱交換効率を持ちながら、高湿環境下での湿潤強度や寸法安定性がより優れた無孔質全熱交換素子用紙を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<叩解パルプ1>
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3質量%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ1とした。
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3質量%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ1とした。
<叩解パルプ2>
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3質量%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が70°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ2とした。
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)を濃度3質量%で離解した後、ダブルディスクリファイナーを用いて、ショッパー・リーグラ法のろ水度が70°SRになるまで叩解したパルプを叩解パルプ2とした。
<ガラス繊維1>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径3.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維1とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径3.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維1とした。
<ガラス繊維2>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径0.5μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維2とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径0.5μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維2とした。
<ガラス繊維3>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径1.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維3とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径1.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維3とした。
<ガラス繊維4>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径2.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維4とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径2.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維4とした。
<ガラス繊維5>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径5.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維5とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径5.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維5とした。
<ガラス繊維6>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径5.5μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維6とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径5.5μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維6とした。
<ガラス繊維7>
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径6.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維7とした。
アルカリシリカガラスからなる、平均繊維径6.0μm、繊維長5mmのガラス繊維をガラス繊維7とした。
<PET繊維1>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径1.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維1とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径1.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維1とした。
<PET繊維2>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.2μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維2とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.2μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維2とした。
<PET繊維3>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維3とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維3とした。
<PET繊維4>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.7μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維4とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径0.7μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維4とした。
<PET繊維5>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径2.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維5とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径2.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維5とした。
<PET繊維6>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径3.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維6とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径3.0μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維6とした。
<PET繊維7>
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径3.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維7とした。
ポリエチレンテレフタレートからなる、平均繊維径3.5μm、繊維長5mmのポリエステル繊維をPET繊維7とした。
<難燃PET繊維>
ポリエチレンテレフタレート樹脂に、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムが5質量%含有するように、混練押出機にて溶融混合して得た原料を用い、溶融紡糸法にて得た平均繊維径3.0μm、繊維長5mmの繊維を難燃PET繊維とした。
ポリエチレンテレフタレート樹脂に、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムが5質量%含有するように、混練押出機にて溶融混合して得た原料を用い、溶融紡糸法にて得た平均繊維径3.0μm、繊維長5mmの繊維を難燃PET繊維とした。
<多孔質水分吸着剤>
多孔質水分吸着剤としては、多孔質シリカ(商品名:ミズカソーブ(登録商標)SO、水澤化学工業(株)製)を用いた。
多孔質水分吸着剤としては、多孔質シリカ(商品名:ミズカソーブ(登録商標)SO、水澤化学工業(株)製)を用いた。
実施例1〜33及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(実施例1〜33及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙の作製)
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとガラス繊維を表1〜3に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第一層の原料スラリーを得た。次に、別の2m3の分散タンクに水を投入後、叩解パルプ、PET繊維又は難燃PET繊維、多孔質水分吸着剤を表1〜3の配合比になるように混合し、更に凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して0.2質量%添加し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第二層の原料スラリーを得た。
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとガラス繊維を表1〜3に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第一層の原料スラリーを得た。次に、別の2m3の分散タンクに水を投入後、叩解パルプ、PET繊維又は難燃PET繊維、多孔質水分吸着剤を表1〜3の配合比になるように混合し、更に凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して0.2質量%添加し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第二層の原料スラリーを得た。
次に原紙抄造工程として、第二層の原料スラリーを長網抄紙機にて坪量10g/m2となるように抄造し、第二層の湿紙ウェブとした。続けて、第一層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量30g/m2の第一層の湿紙ウェブとなるように、該第二層の湿紙ウェブの上に抄き合わせた。更に続けて、第二層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量10g/m2の第二層の湿紙ウェブとなるように、該第二層と第一層を抄き合わせた湿紙ウェブの第一層の上に抄き合わせて、第一層の両面に第二層が積層された三層構造の湿紙ウェブを得た。次に、該三層構造の湿紙ウェブを多筒シリンダードライヤーにて乾燥し、坪量50g/m2の実施例1〜33及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙の原紙を得た。
次に含浸工程として、該原紙に含浸加工機にて吸湿剤として塩化リチウムを表1〜3の含有量(対原紙)となるように付与した。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの実施例1〜33及び比較例1の(無孔質)全熱交換素子用紙を得た。
実施例34の無孔質全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(実施例34の無孔質全熱交換素子用紙の作製)
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとガラス繊維を表3に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第一層の原料スラリーを得た。次に、別の2m3の分散タンクに水を投入後、叩解パルプ、PET繊維、多孔質水分吸着剤を表3の配合比になるように混合し、更に凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して0.2質量%添加し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第二層の原料スラリーを得た。次に原紙抄造工程として、第二層の原料スラリーを長網抄紙機にて坪量10g/m2となるように抄造し、第二層の湿紙ウェブとした。続けて、第一層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量30g/m2の第一層の湿紙ウェブとなるように、該第二層の湿紙ウェブの上に抄き合わせた。更に続けて、第二層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量10g/m2の第二層の湿紙ウェブとなるように、該第二層と第一層を抄き合わせた湿紙ウェブの第一層の上に抄き合わせて、第一層の両面に第二層が積層された三層構造の湿紙ウェブを得た。次に、該三層構造の湿紙ウェブを多筒シリンダードライヤーにて乾燥し、坪量50g/m2の実施例34の無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得た。次に含浸工程として、該原紙に含浸加工機にて、吸湿剤として塩化リチウムと、ベンゾイミダゾール系防カビ剤を表3の付与比率となるように付与した。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの実施例34の無孔質全熱交換素子用紙を得た。
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとガラス繊維を表3に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第一層の原料スラリーを得た。次に、別の2m3の分散タンクに水を投入後、叩解パルプ、PET繊維、多孔質水分吸着剤を表3の配合比になるように混合し、更に凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して0.2質量%添加し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第二層の原料スラリーを得た。次に原紙抄造工程として、第二層の原料スラリーを長網抄紙機にて坪量10g/m2となるように抄造し、第二層の湿紙ウェブとした。続けて、第一層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量30g/m2の第一層の湿紙ウェブとなるように、該第二層の湿紙ウェブの上に抄き合わせた。更に続けて、第二層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量10g/m2の第二層の湿紙ウェブとなるように、該第二層と第一層を抄き合わせた湿紙ウェブの第一層の上に抄き合わせて、第一層の両面に第二層が積層された三層構造の湿紙ウェブを得た。次に、該三層構造の湿紙ウェブを多筒シリンダードライヤーにて乾燥し、坪量50g/m2の実施例34の無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得た。次に含浸工程として、該原紙に含浸加工機にて、吸湿剤として塩化リチウムと、ベンゾイミダゾール系防カビ剤を表3の付与比率となるように付与した。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの実施例34の無孔質全熱交換素子用紙を得た。
比較例2の無孔質全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(比較例2の無孔質全熱交換素子用紙の作製)
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、十分に離解させた叩解パルプ、PET繊維を表3に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、原料スラリーを得た。次に原紙抄造工程として、原料スラリーを長網抄紙機にて抄造し、多筒シリンダードライヤーにて乾燥して坪量50g/m2の比較例2の無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得た。次に含浸工程として、該原紙に含浸加工機にて、吸湿剤として塩化リチウムを表3の付与比率となるように付与した。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの比較例2の無孔質全熱交換素子用紙を得た。
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、十分に離解させた叩解パルプ、PET繊維を表3に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、原料スラリーを得た。次に原紙抄造工程として、原料スラリーを長網抄紙機にて抄造し、多筒シリンダードライヤーにて乾燥して坪量50g/m2の比較例2の無孔質全熱交換素子用紙の原紙を得た。次に含浸工程として、該原紙に含浸加工機にて、吸湿剤として塩化リチウムを表3の付与比率となるように付与した。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの比較例2の無孔質全熱交換素子用紙を得た。
比較例3の全熱交換素子用紙を以下の工程にて作製した。
(比較例3の全熱交換素子用紙の作製)
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとガラス繊維を表1に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第一層の原料スラリーを得た。次に、別の2m3の分散タンクに水を投入後、叩解パルプ、PET繊維、多孔質水分吸着剤を表3の配合比になるように混合し、更に凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して0.2質量%添加し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第二層の原料スラリーを得た。次に原紙抄造工程として、第二層の原料スラリーを長網抄紙機にて坪量10g/m2となるように抄造し、第二層の湿紙ウェブとした。続けて、第一層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量30g/m2の第一層の湿紙ウェブとなるように、該第二層の湿紙ウェブの上に抄き合わせた。更に続けて、第二層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量10g/m2の第二層の湿紙ウェブとなるように、該第二層と第一層を抄き合わせた湿紙ウェブの第一層の上に抄き合わせて、第一層の両面に第二層が積層された三層構造の湿紙ウェブを得た。次に、該三層構造の湿紙ウェブを多筒シリンダードライヤーにて乾燥し、坪量50g/m2の比較例3の全熱交換素子用紙の原紙を得た。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの比較例3の全熱交換素子用紙を得た。
初めに、原料スラリー調製工程として、2m3の分散タンクに水を投入後、それぞれ十分に離解させた叩解パルプとガラス繊維を表1に示す配合比率になるように混合し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第一層の原料スラリーを得た。次に、別の2m3の分散タンクに水を投入後、叩解パルプ、PET繊維、多孔質水分吸着剤を表3の配合比になるように混合し、更に凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して0.2質量%添加し、分散濃度1質量%で5分間分散して、第二層の原料スラリーを得た。次に原紙抄造工程として、第二層の原料スラリーを長網抄紙機にて坪量10g/m2となるように抄造し、第二層の湿紙ウェブとした。続けて、第一層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量30g/m2の第一層の湿紙ウェブとなるように、該第二層の湿紙ウェブの上に抄き合わせた。更に続けて、第二層の原料スラリーを円網抄紙機にて坪量10g/m2の第二層の湿紙ウェブとなるように、該第二層と第一層を抄き合わせた湿紙ウェブの第一層の上に抄き合わせて、第一層の両面に第二層が積層された三層構造の湿紙ウェブを得た。次に、該三層構造の湿紙ウェブを多筒シリンダードライヤーにて乾燥し、坪量50g/m2の比較例3の全熱交換素子用紙の原紙を得た。最後に厚み調整工程として、カレンダー処理を行い、厚さ45μmの比較例3の全熱交換素子用紙を得た。
上記のようにして得られた実施例1〜34及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙について、以下の項目について測定し、評価した。
(透気抵抗度)
JIS P8117に規定される王研式透気抵抗度試験方法に準じて、透気抵抗度測定を実施した。
JIS P8117に規定される王研式透気抵抗度試験方法に準じて、透気抵抗度測定を実施した。
(透湿度)
JIS Z0208に規定される透湿度試験方法に準じ、温度20℃、相対湿度65%の条件にて透湿度測定を実施した。
JIS Z0208に規定される透湿度試験方法に準じ、温度20℃、相対湿度65%の条件にて透湿度測定を実施した。
(湿潤強度)
JIS P8135の湿潤引張強さ試験方法に準じ、実施例1〜34及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙の縦方向(流れ方向)の湿潤引張強さを測定し、湿潤強度とした。
JIS P8135の湿潤引張強さ試験方法に準じ、実施例1〜34及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙の縦方向(流れ方向)の湿潤引張強さを測定し、湿潤強度とした。
(潮解性)
縦250mm、横200mmの試験片を温度30℃、相対湿度90%の環境下に48時間、長辺が縦方向になるように吊るした状態で放置し、試験片の状態を目視観察して、評価した。評価基準は下記のようにした。
縦250mm、横200mmの試験片を温度30℃、相対湿度90%の環境下に48時間、長辺が縦方向になるように吊るした状態で放置し、試験片の状態を目視観察して、評価した。評価基準は下記のようにした。
◎:試験片の表面は濡れているが、ボコつき等の変形がほとんど無いレベル
○:試験片の表面にわずかに結露による水滴ができ、ややボコつき等の変形があるものの、実使用上問題無いレベル
×:試験片から結露による水滴が滴り落ち、大きく変形し、実使用上問題があるレベル
○:試験片の表面にわずかに結露による水滴ができ、ややボコつき等の変形があるものの、実使用上問題無いレベル
×:試験片から結露による水滴が滴り落ち、大きく変形し、実使用上問題があるレベル
(全熱交換素子の変形)
実施例1〜34及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙を用いて、縦200mm、横200mm、高さ250mm、一段の高さ2.6mmの全熱交換素子を作製した。該全熱交換素子を温度30℃、相対湿度90%の条件で48時間放置し、形状変化を目視にて評価した。評価基準は下記のようにした。
実施例1〜34及び比較例1〜3の(無孔質)全熱交換素子用紙を用いて、縦200mm、横200mm、高さ250mm、一段の高さ2.6mmの全熱交換素子を作製した。該全熱交換素子を温度30℃、相対湿度90%の条件で48時間放置し、形状変化を目視にて評価した。評価基準は下記のようにした。
◎:形状変化はほとんど無いレベル
○:形状変化は多少あるが、実使用上問題無いレベル
×:明らかに形状変化が起こり、実使用上問題があるレベル
○:形状変化は多少あるが、実使用上問題無いレベル
×:明らかに形状変化が起こり、実使用上問題があるレベル
更に実施例1、32及び比較例2の無孔質全熱交換素子用紙については炭化長を、実施例1、34の無孔質全熱交換素子用紙については防カビ性を評価した。評価結果を表4に示す。
(炭化長)
JIS A1322に規定される難燃性試験方法に準じ、加熱時間3分の条件にて炭化長測定を実施した。
JIS A1322に規定される難燃性試験方法に準じ、加熱時間3分の条件にて炭化長測定を実施した。
(防カビ性)
JIS Z2911に規定されるかび抵抗性試験の湿式法に準じ、実施した。評価結果の判定基準は下記のようになる。
JIS Z2911に規定されるかび抵抗性試験の湿式法に準じ、実施した。評価結果の判定基準は下記のようになる。
0:試験片の(かび胞子懸濁液を)接種した部分に菌糸の発育が認められない。
1:試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は全面積の1/3を超えない。
2:試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は全面積の1/3を超える。
1:試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は全面積の1/3を超えない。
2:試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は全面積の1/3を超える。
実施例1と比較例1の結果より、比較例1の全熱交換素子用紙はショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR未満のセルロースパルプを使用しているため、透気抵抗度が5,000秒未満であった。そのため、比較例1の全熱交換素子用紙は透気抵抗度が低く、無孔質とは言えないレベルであり、熱伝導性、気体遮蔽性が劣っていた。実施例1はショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したセルロースパルプを使用しているため、透気抵抗度が5,000秒以上であり、熱伝導性や気体遮蔽性に優れている。
実施例1と比較例2の結果より、比較例2の無孔質全熱交換素子用紙は、多孔質水分吸着剤を含有していないため、高湿環境下において、実使用上問題があるレベルまで、潮解した。また、潮解の影響により、比較例2の無孔質全熱交換素子用紙は合成繊維を含有しているものの、湿潤強度が低下し、当該用紙にて作製された全熱交換素子は実使用上問題があるレベルまで変形した。比較例2の無孔質全熱交換素子用紙は高湿環境下において潮解し易く、寸法安定性が劣っていた。実施例1の無孔質全熱交換素子用紙はショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SRになるまで叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる第一層と、該第一層の両側に積層される該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる第二層からなり、吸湿剤を含有しているため、高湿環境下において潮解し難く、寸法安定性に優れている。
実施例1〜7の結果より、第一層に含有されるガラス繊維の繊維径が太くなるほど、無孔質全熱交換素子用紙の湿潤強度は高くなるが、透気抵抗度は低くなった。実施例2の無孔質全熱交換素子用紙は第一層に含有されるガラス繊維の平均繊維径が1.0μm未満であり、実施例1、3〜7の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると湿潤強度が低く、当該用紙を用いて作製された全熱交換素子は実使用上、問題無いレベルではあるものの変形した。また、透湿度が低かった。一方、実施例7の無孔質全熱交換素子用紙は第一層に含有されるガラス繊維の平均繊維径が5.5μmを超えており、実施例1〜6の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、透気抵抗度が低かった。結果、第一層に含有されるガラス繊維の平均繊維径が1.0〜5.5μmである実施例1、3〜6の無孔質全熱交換素子用紙は湿潤強度が高く、高湿環境下における寸法安定性に優れており、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率に優れている無孔質全熱交換素子用紙である。更に透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、第一層に含有されるガラス繊維の平均繊維径が3.0〜4.0μmである実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下での寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、8〜13の結果より、実施例1、8〜13の無孔質全熱交換素子用紙は第一層のガラス繊維の含有量が多くなるほど、湿潤強度は高くなるが、透気抵抗度は低くなった。実施例8の無孔質全熱交換素子用紙は第一層のガラス繊維の含有量が第一層の質量に対し1質量%未満であるため、湿潤強度が低く、当該用紙を用いて作製された全熱交換素子は高湿環境下において実使用上、問題無いレベルではあるものの変形した。また、透湿度が低かった。一方、実施例13の無孔質全熱交換素子用紙は第一層のガラス繊維の含有量が第一層の質量に対し10質量%を超えるため、実施例1、8〜12の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、透気抵抗度が低かった。結果、第一層のガラス繊維の含有量が第一層の質量に対し1〜10質量%である実施例1、9〜12の無孔質全熱交換素子用紙は、湿潤強度が高く、高湿環境下における寸法安定性に優れており、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率の高い無孔質全熱交換素子用紙である。更に透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、第一層のガラス繊維の含有量が第一層の質量に対し3〜6質量%である実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下での寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、14〜19の結果より、第二層に含有されるPET繊維の繊維径が太くなるほど、無孔質全熱交換素子用紙の湿潤強度は高くなり、高湿環境下における当該用紙で作製された全熱交換素子の変形は小さくなった。実施例14の無孔質全熱交換素子用紙は第二層に含有されるPET繊維の平均繊維径が0.5μm未満であるため、実施例1、15〜19の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、湿潤強度が低く、実施例14の無孔質全熱交換素子用紙を用いて作製された全熱交換素子は実使用上問題無いレベルではあるが、変形した。一方、実施例19の無孔質全熱交換素子用紙は第二層に含有されるPET繊維の平均繊維径が3.0μmを超えるため、実施例1、14〜18の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、透気抵抗度が低かった。結果、第二層に含有されるPET繊維の平均繊維径が0.5〜3.0μmである実施例1、15〜18の無孔質全熱交換素子用紙は湿潤強度が高く、高湿環境下における寸法安定性に優れており、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率の高い全熱交換素子用紙である。更に透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、平均繊維径が1.0〜2.0μmのPET繊維を第二層に含有している実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下での寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、20〜25の結果より、第二層に含有されるPET繊維の含有量が多くなるほど、無孔質全熱交換素子用紙の湿潤強度は強くなり、高湿環境下における当該用紙で作製された全熱交換素子の変形は小さくなった。実施例20の無孔質全熱交換素子用紙は第二層に含有されるPET繊維の含有量が第二層の質量に対し1質量%未満であるため、実施例1、21〜25の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、湿潤強度が低く、当該用紙を用いて作られた全熱交換素子は実使用上問題無いレベルではあるが、変形した。一方、実施例25の無孔質全熱交換素子用紙は第二層に含有されるPET繊維の含有量が20質量%を超えるため、実施例1、20〜24の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、透気抵抗度が低かった。結果、第二層に含有されるPET繊維の含有量が1〜20質量%である実施例1、21〜24の無孔質全熱交換素子用紙は湿潤強度が高く、高湿環境下における寸法安定性に優れており、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率の高い全熱交換素子用紙である。更に透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、第二層に含有されるPET繊維の含有量が3〜14質量%である実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下での寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、26〜31の結果より、第二層に含有される多孔質水分吸着剤の含有量が多くなるほど、高湿度環境下において、潮解し難くなり、湿潤強度が向上した。実施例26の無孔質全熱交換素子用紙は第二層に含有される多孔質水分吸着剤の含有量が第二層の質量に対し1質量%未満であるため、実施例1、27〜31の無孔質全熱交換素子用紙と比較すると、高湿環境下において潮解し易く、湿潤強度も低かった。また、透湿度も低かった。当該用紙を用いて作製された全熱交換素子は実使用上、問題無いレベルではあるものの変形した。一方、実施例31の無孔質全熱交換素子用紙は第二層に含有される多孔質水分吸着剤の含有量が第二層の質量に対し20質量%を超えているため、相対的にショッパー・リーグラ法のろ水度が80°SR以上に叩解したパルプの含有量が少なくなり、透気抵抗度が低くなった。また、当該用紙を用いて全熱交換素子を作製する際、実使用上問題無いレベルではあるものの、粉落ち(多孔質水分吸着剤の脱落)が見られた。結果、実施例1、27〜30の無孔質全熱交換素子用紙は高湿環境下において潮解し難く、寸法安定性に優れ、透気抵抗度が100,000秒以上であり、且つ透湿度が1,000g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿性に優れており、熱交換効率の高い無孔質全熱交換素子用紙である。更に透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、第二層に含有される多孔質水分吸着剤の含有量が3〜14質量%である実施例1の無孔質全熱交換素子用紙の方が、より高い熱交換効率でありながら、高湿環境下において潮解し難く、寸法安定性にも優れている無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、33及び比較例3の結果より、比較例3の全熱交換素子用紙は吸湿剤を付与していないため、透湿度が300g/m2・24h未満であり、透湿性が劣っていた。実施例33の無孔質全熱交換素子用紙は吸湿剤を対原紙1質量%付与しているため、透湿度が300g/m2・24h以上であり、潜熱(湿度)の交換に優れている。更に、実施例1の無孔質全熱交換素子用紙は吸湿剤を対原紙8質量%付与しているため、透湿度が1,400g/m2・24h以上であり、潜熱の交換により優れている。
実施例1、32及び比較例2の結果より、実施例32の無孔質全熱交換素子用紙は第一層にガラス繊維を含有していることに加え、第二層に難燃剤を練り込んだ合成繊維を含有しているため、炭化長が短くなり、難燃性が向上した。ガラス繊維及び難燃剤を練り込んだ合成繊維を含有している実施例32の無孔質全熱交換素子用紙は、透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿度、湿潤強度に優れており、当該用紙を用いて作製した全熱交換素子は熱交換効率が高く、高湿環境下における素子の変形もほとんど無く、加えて高い難燃性を示す無孔質全熱交換素子用紙である。
実施例1、34の結果より、実施例34の無孔質全熱交換素子用紙は防カビ剤を含有しているため、防カビ性が向上した。実施例34の無孔質全熱交換素子用紙は、透気抵抗度が1,500,000秒以上であり、且つ透湿度が1,400g/m2・24h以上であるため、熱伝導性、気体遮蔽性、透湿度、湿潤強度に優れており、当該用紙を用いて作製した全熱交換素子は熱交換効率が高く、高湿環境下における素子の変形もほとんど無く、加えて高い防カビ性を示す無孔質全熱交換素子用紙である。
本発明の無孔質全熱交換素子用紙は新鮮な外気を供給すると共に室内の汚れた空気を排出する際に顕熱(温度)と共に潜熱(湿度)の熱交換を行う全熱交換器の全熱交換素子に使用される。
Claims (3)
- 第一層の両面に第二層を積層した原紙と、該原紙に付与された吸湿剤とを含有し、
第一層が、JIS P8121−1で規定されるショッパー・リーグラ法で測定したろ水度が80°SR以上に叩解したセルロースパルプとガラス繊維からなる層であり、
第二層が、該セルロースパルプと合成繊維と多孔質水分吸着剤からなる層であることを特徴とする無孔質全熱交換素子用紙。 - ガラス繊維の平均繊維径が1.0〜5.5μmであり、合成繊維の平均繊維径が0.5〜3.0μmであることを特徴とする請求項1記載の無孔質全熱交換素子用紙。
- 合成繊維が難燃剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の無孔質全熱交換素子用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018056777A JP2019167652A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 無孔質全熱交換素子用紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018056777A JP2019167652A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 無孔質全熱交換素子用紙 |
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2018
- 2018-03-23 JP JP2018056777A patent/JP2019167652A/ja active Pending
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