JP2021021173A - 熱交換素子用シート及びその製造方法 - Google Patents
熱交換素子用シート及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021021173A JP2021021173A JP2019139739A JP2019139739A JP2021021173A JP 2021021173 A JP2021021173 A JP 2021021173A JP 2019139739 A JP2019139739 A JP 2019139739A JP 2019139739 A JP2019139739 A JP 2019139739A JP 2021021173 A JP2021021173 A JP 2021021173A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat exchange
- exchange element
- sheet
- salt
- content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Central Air Conditioning (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
- Paper (AREA)
Abstract
【課題】気体遮蔽性と透湿性とを高いレベルで両立する取り扱い性にもすぐれた、更には、生産性にも優れた熱交換素子用シートおよびその製造方法を提供する。【解決手段】PVA樹脂、塩および湿式不織布を有する熱交換素子用シートであって、前記湿式不織布の坪量が、20g/m2以上60g/m2以下であり、前記PVA樹脂の含有量が、前記熱交換素子用シートの全体に対し0.2g/m2以上2.0g/m2以下であり、前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも何れか一方を含むものであり、前記塩の含有量が、2g/m2以上15g/m2以下であり、前記PVA樹脂および前記塩の含有質量比(前記PVA樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30である、熱交換素子用シート。【選択図】なし
Description
本発明は、熱交換素子用シート及びその製造方法に関する。
熱交換器は、住宅・建築物の換気設備の省エネルギー部材として注目されている。熱交換器は、室内と室外からの空気流路、熱交換素子、送風機からなる。この熱交換素子内にて、室内から室外へ排気される空気(排気)の「温度」と「湿度」を、室外から室内へ供給される空気(給気)に移行させ、室内に戻す構造となっている。熱交換素子の構成は、熱交換素子用シートと間隔保持部材の2種類の部材とそれらを接着固定する接着剤から形成される。その中でも熱交換素子用シートは、熱交換素子の温度交換効率、湿度交換効率、有効換気量率を高めるために熱伝達性、透湿性、気体遮蔽性が求められており、その性能を高める検討が行われている。
ここで、熱交換素子用シートの気体遮蔽性を向上させるために、湿式不織布にポリビニルアルコール樹脂(以下、PVA樹脂、という)を含浸させてなる熱交換素子用シートが知られている(特許文献1および2参照)。
特許文献1に開示された熱交換素子用シートは、坪量が70〜150g/m2の紙(湿式不織布)にPVA樹脂を含んでなる熱交換素子用シートである。そして、この熱交換素子用シートは、PVA樹脂を含むことで熱交換素子用シートの気体遮蔽性は高くなる(すなわち、通気性は低くなる)。ここで、この熱交換素子用シートにおいては、用いられた紙(湿式不織布)の坪量が大きく、この熱交換素子用シートは湿度を透過しにくくなる、すなわち、透湿性の劣ったものとなるとの課題がある。
次に、特許文献2には、PVA樹脂1g/m2と、塩である塩化リチウム2g/m2と、を含有(PVA樹脂および塩の含有質量比(前記PVA樹脂の含有量/前記塩の含有量))は0.5)した紙からなる熱交換素子用シートが開示されている。しかし、得られた熱交換素子用シートは脆いとの課題がある。そして、熱交換素子用シートが脆いことにより、この熱交換素子用シートは亀裂が入り易く、かつ、切断され易いものとなり、この熱交換素子用シートは、取り扱い性と生産性に劣るという課題がある。
そこで、本発明は、上で説明した事情に鑑み、気体遮蔽性および透湿性を高いレベルで達成し、取り扱い時や後加工時などに亀裂や切断が発生しにくいため取り扱い性と生産性にも優れた熱交換素子用シートおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決する為に、次のような特徴を有する。すなわち、
(1)湿式不織布を有する熱交換素子用シートであって、前記湿式不織布は、ポリビニルアルコール樹脂および塩を含有し、前記湿式不織布の坪量は、20g/m2以上60g/m2以下であり、前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量は、0.2g/m2以上2.0g/m2以下であり、前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含み、前記塩の含有量が、2g/m2以上15g/m2以下であり、前記ポリビニルアルコール樹脂および前記塩の含有質量比(前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30である、熱交換素子用シート、
(2)前記熱交換素子用シートが、カナダ標準ろ水度が50ml以上150ml以下のセルロースパルプを主成分として含有する、(1)に記載の熱交換素子用シート、
(3)前記熱交換素子用シートが、熱可塑性樹脂からなるナノファイバーを含有しており、
前記ナノファイバーの繊維径が1nm以上1000nm以下であり、
前記ナノファイバーの含有量が、前記熱交換素子用シートの全体に対し1質量%以上20質量%以下である、(1)または(2)に記載の熱交換素子用シート、
(4)前記ポリビニルアルコール樹脂の重合度が、1000以上である、(1)〜(3)の何れかに記載の熱交換素子用シート、
(5)透気度が、500秒/100ml以上である、(1)〜(4)の何れかに記載の熱交換素子用シートであり、
また、(6)(1)〜(5)のいずれかの熱交換素子用シートを用いた熱交換素子であり、
また、(7)(1)〜(5)の何れかに記載の熱交換素子用シートの製造方法であって、湿式不織布に加工液を含浸させる工程と、加工液を含浸させた湿式不織布を乾燥する工程とを有し、前記加工液が、ポリビニルアルコール樹脂と塩とを含有し、前記加工液における前記ポリビニルアルコール樹脂および前記塩の含有質量比(前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30であり、前記加工液の液温40℃における粘度が、2cP以上50cP以下であり、前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含む、熱交換素子用シートの製造方法である。
(1)湿式不織布を有する熱交換素子用シートであって、前記湿式不織布は、ポリビニルアルコール樹脂および塩を含有し、前記湿式不織布の坪量は、20g/m2以上60g/m2以下であり、前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量は、0.2g/m2以上2.0g/m2以下であり、前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含み、前記塩の含有量が、2g/m2以上15g/m2以下であり、前記ポリビニルアルコール樹脂および前記塩の含有質量比(前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30である、熱交換素子用シート、
(2)前記熱交換素子用シートが、カナダ標準ろ水度が50ml以上150ml以下のセルロースパルプを主成分として含有する、(1)に記載の熱交換素子用シート、
(3)前記熱交換素子用シートが、熱可塑性樹脂からなるナノファイバーを含有しており、
前記ナノファイバーの繊維径が1nm以上1000nm以下であり、
前記ナノファイバーの含有量が、前記熱交換素子用シートの全体に対し1質量%以上20質量%以下である、(1)または(2)に記載の熱交換素子用シート、
(4)前記ポリビニルアルコール樹脂の重合度が、1000以上である、(1)〜(3)の何れかに記載の熱交換素子用シート、
(5)透気度が、500秒/100ml以上である、(1)〜(4)の何れかに記載の熱交換素子用シートであり、
また、(6)(1)〜(5)のいずれかの熱交換素子用シートを用いた熱交換素子であり、
また、(7)(1)〜(5)の何れかに記載の熱交換素子用シートの製造方法であって、湿式不織布に加工液を含浸させる工程と、加工液を含浸させた湿式不織布を乾燥する工程とを有し、前記加工液が、ポリビニルアルコール樹脂と塩とを含有し、前記加工液における前記ポリビニルアルコール樹脂および前記塩の含有質量比(前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30であり、前記加工液の液温40℃における粘度が、2cP以上50cP以下であり、前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含む、熱交換素子用シートの製造方法である。
本発明によれば、気体遮蔽性および透湿性を高いレベルで達成し、取り扱い時や後加工時に亀裂や切断が発生しにくく取り扱い性と生産性にも優れた熱交換素子用シートおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の熱交換素子用シートは、湿式不織布を有する。また、この湿式不織布は、ポリビニルアルコール樹脂(以下、PVA樹脂という)および塩を含有し、その坪量は20g/m2以上60g/m2以下である。また、PVA樹脂の含有量は、0.2g/m2以上2.0g/m2以下であり、塩の含有量は、2g/m2以上15g/m2以下である。そして、塩は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含む。また、PVA樹脂および塩の含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩の含有量)が、0.013〜0.30である。
上記の構成の本発明の熱交換素子用シートでは、熱伝達性、気体遮蔽性および透湿性を高いレベルで達成することができ、さらに、取り扱い時や後加工時における亀裂や切断の発生が抑制されることで取り扱い性と生産性にも優れものとなる。
まず、PVA樹脂について説明する。PVA樹脂とは、式(1)で示される化合物である。また、式中のmは0または正の整数であり、式中のnは正の整数である。また、本発明において、PVA樹脂は湿式不織布に含有される。このことにより、湿式不織布を構成する繊維同士で形成される細孔の少なくとも一部がPVA樹脂で閉塞され、本発明の熱交換素子用シートの気体遮蔽性は優れたものとなる。一方で、PVA樹脂は親水性が高いため、湿式不織布を構成する繊維同士で形成される細孔の少なくとも一部がPVA樹脂で閉塞されていたとしても、熱交換素子用シートの透湿性は優れたものとなる。
(−CH2−CH(OH)−)m −(−CH2−CH(OCOCH3)−)n・・・(1)
ここで、PVA樹脂の重合度とはm+nで示されるものであるが、本発明のPVA樹脂は、重合度が1000以上のPVA樹脂であることが好ましい。PVA樹脂の重合度が1000以上であることで、湿式不織布に存在する上記の細孔の多くをより確実に閉塞することができ、熱交換素子用シートの高い気体遮蔽性を実現することができる。重合度の上限値は、特に限定するものではないが、2500以下であることが、加工性等の観点から好ましい。
(−CH2−CH(OH)−)m −(−CH2−CH(OCOCH3)−)n・・・(1)
ここで、PVA樹脂の重合度とはm+nで示されるものであるが、本発明のPVA樹脂は、重合度が1000以上のPVA樹脂であることが好ましい。PVA樹脂の重合度が1000以上であることで、湿式不織布に存在する上記の細孔の多くをより確実に閉塞することができ、熱交換素子用シートの高い気体遮蔽性を実現することができる。重合度の上限値は、特に限定するものではないが、2500以下であることが、加工性等の観点から好ましい。
熱交換素子用シートにおけるPVA樹脂の含有量は、0.2g/m2以上2.0g/m2以下である。下記の観点から、熱交換素子用シートにおけるPVA樹脂の含有量は0.3g/m2以上であることが好ましい。一方で、下記の観点から、熱交換素子用シートにおけるPVA樹脂の含有量は1.5g/m2以下であることが好ましい。熱交換素子用シートにおけるPVA樹脂の含有量を上述した下限値以上とすることで、湿式不織布に存在する上記の細孔がPVA樹脂によってより確実に閉塞され、熱交換素子用シートの気体遮蔽性が優れたものとなる。また、熱交換素子用シートにおけるPVA樹脂の含有量を上述した上限値以下とすることで、熱交換素子用シートにおける亀裂や切断の発生を抑制することができ、熱交換素子用シートの取り扱い性や生産性が優れたものとなる。
また、本発明の熱交換素子用シートが備える湿式不織布は、塩を有する。また、上記の塩は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含む。なお、本発明で用いる塩は、塩化アンモニウム、硫酸マンガン等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩以外の塩を含んでいても良い。ここで、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は、いずれも吸湿性に優れており、熱交換素子用シートに含まれる塩は空気中に含まれる湿気を素早く熱交換素子用シートに吸着させることができ、熱交換素子用シートに吸着された湿気は熱交換素子用シートの内部で素早く拡散し、最終的に、湿気が吸着された熱交換素子用シートの面の反対側の面から熱交換素子用シートの外部に素早く放散されることで、本発明の熱交換素子用シートの透湿性は優れたものとなる。
ここで、アルカリ金属塩としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を採用することができる。また、アルカリ土類金属塩としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等を採用することができる。塩として、これらの化合物を単独で用いても良いが、これらの中から選ばれた2種類以上の化合物が塩に含まれていても良い。これらの中でも、より少ない含有量の塩で熱交換素子用シートの透湿性をより優れたものとすることができるとの観点から、塩は塩化リチウムを含むことが好ましい。また、より少ない含有量のPVA樹脂で熱交換素子用シートの透気度をより優れたものとすることができるとの観点から、塩は塩化カルシウムを含むことが好ましい。
本発明の熱交換素子用シートにおける塩の含有量は、2g/m2以上15g/m2以下である。下記の観点から、熱交換素子用シートにおける塩の含有量は4g/m2以上であることが好ましい。一方で、下記の観点から、熱交換素子用シートにおける塩の含有量は12g/m2以下であることが好ましい。熱交換素子用シートにおける塩の含有量を上述した下限値以上とすることで、空気中の湿度を熱交換素子用シートに多く吸着させることができ、熱交換素子用シートの透湿性は優れたものとなる。また、塩の熱交換素子用シートにおける塩の含有量を上述した上限値以下とすることで、高湿環境下における熱交換素子用シートの使用の際に、熱交換素子用シートの強度が低下するのを抑制することができる。また、上記のことに加えて、熱交換素子では、熱交換素子用シートはコルゲート状のシートと接着剤により接着されているが、接着剤によるこれらのシートの接着性も向上する。
また、本発明の熱交換素子用シートにおいて、PVA樹脂および塩の含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩の含有量)は、0.013以上0.30以下である。下記の観点から好ましくは、含有質量比は0.020以上である。一方、下記の観点から、好ましくは、含有質量比は0.20以下である。PVA樹脂および塩の含有質量比を、上述した下限値以上とすることで、湿式不織布に存在する上記の細孔をより確実に閉塞することができ、熱交換素子用シートの気体遮蔽性がより優れたものとなる。また、PVA樹脂および塩の含有質量比を、上述した上限値以下とすることで、熱交換素子用シートの透湿性がより優れたものとなる。また、このことに加え、熱交換素子用シートの靭性が向上し、熱交換素子用シートでの亀裂や切断の発生が抑制され、熱交換素子用シートの取り扱い性と生産性とが優れたものとなる。
次に、本発明に用いる湿式不織布について説明する。湿式不織布は、水と繊維状物質を混ぜ合わせて網状のネット上に抄き上げ、圧縮や熱などで脱水する方法で得ることができる。上記の方法で得られた湿式不織布は、湿式不織布の面の全体で厚さが均一なものとなり、この湿式不織布を用いた熱交換素子用シートの気体遮蔽性は優れたものとなる。
次に、湿式不織布に用いる繊維状物質について説明する。繊維状物質としては、例えば、Nパルプ(針葉樹パルプ)、Lパルプ(広葉樹パルプ)、バガス、ムギワラ、アシ、パピルス、タケ、モクメン、ケナフ、ローゼル、アサ、アマ、ラミー、ジュード、ヘンプ、サイザイルアサ、マニラアサ、ヤシ、バナナ、熱可塑性樹脂繊維(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂からなる繊維)、再生繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン)などが挙げられる。これらの繊維を単独で用いても良いが、これらの中から選ばれた2種以上の繊維が含まれていてもよい。フィブリル化した繊維は、気体遮蔽する緻密な構造体を形成し易いため、高度にフィブリル化を進めた繊維状物質とすることが好ましい。また、高度にフィブリル化を進めた繊維状物質としては、例えば、Nパルプ(針葉樹パルプ)、Lパルプ(広葉樹パルプ)、アラミド繊維、アクリル繊維などが挙げられる。また、これらの繊維を単独で用いても良いが、これらの中から選ばれた2種以上の繊維が含まれていてもよい。更に好ましくは、Nパルプ(針葉樹パルプ)や、Lパルプ(広葉樹パルプ)などのセルロースパルプを高度にフィブリル化したものが好適に用いられる。フィブリル化したセルロースパルプを用いることにより、湿式不織布の生産性がよく、水素結合によるセルロース分子間の相互作用により、より強固に湿式不織布を形成することが可能である。本発明に用いるセルロースパルプとしては、限定するものではないが、木材等の植物から得られるNパルプ(針葉樹パルプ)やLパルプ(広葉樹パルプ)等を、単独で使用、もしくは併用することができる。
さらに、セルロースパルプは、熱可塑性樹脂繊維と組み合わせることがより好ましく、更に好ましくはセルロースパルプと熱可塑性樹脂からなるナノファイバー(以下、単に「ナノファイバー」と称することがある)の組み合わせである。熱交換素子用シートはナノファイバーを含むことで、熱交換素子用シートの内部に存在する孔を極めて微細なものとすることができる。そして、上記の孔が極めて微細なものとなることで、熱交換素子用シートにおけるPVA樹脂の含有量が少ない場合であっても、熱交換素子用シートの気体遮蔽性は極めて優れたものとなる。また、熱交換素子用シート内部にナノファイバーを含むことで、毛細管現象により、塩が吸湿した湿気を熱交換素子用シートの内部にて迅速に拡散させることができ、湿気が吸着された熱交換素子用シートの面の反対側の面での発散されることを促し、熱交換素子用シートの透湿性が優れたものとなる。
ここで、本願におけるナノファイバーとは、ナノメートル(nm)レベルの繊維直径を有する繊維を意味し、定義するのであれば、数平均繊維直径が1nm1000nm以下の繊維をいう。ナノファイバーにおいて、繊維断面が円形でない異形断面の場合は、同面積の円形に換算したときの繊維直径に基づくものとした。ナノファイバーの数平均繊維直径は、毛細管現象促進の観点から、好ましくは750nm以下であり、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。また、生産性とのバランスから、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上である。
ナノファイバーの含有量は、熱交換素子用シートの全体に対し、気体遮蔽性の向上の観点から、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、抄紙性の観点から、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
本発明に用いる繊維状物質は、JIS P8121(1995)で規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)が、好ましくは50ml以上、より好ましくは60ml以上、更に好ましく70ml以上であり、一方、好ましくは150ml以下、より好ましくは120ml以下、更に好ましくは90ml以下である。CSFを上述した下限値以上とすることで、繊維状物質間の空隙を大きく、残存させることができ、熱交換素子用シートの透湿性を向上させることができる。さらに、CSFを上述した下限値以上とすることで、湿式不織布の生産効率が向上する。また、CSFを上述した上限値以下とすることで、湿式不織布を構成する繊維状物質間の空隙が微細化された緻密な湿式不織布とすることができ、熱交換素子用シートの気体遮蔽性を優れたものとすることができる。このCSFは、ビーター、ディスクリファイナー、デラックスファイナー、ジョルダン、グラインダー、ビーズミル、高圧ホモジナイザーを用いて調整することができる。
また、本発明の熱交換素子用シートが備える湿式不織布はセルロースパルプを主成分として含有することが好ましい。さらに、上記のセルロースパルプのCSFは50ml以上150ml以下であることが好ましい。ここで、主成分として含有するとは、セルロースパルプを全熱交換素子用シートの全体に対し、50質量%を超えて含有することをいう。セルロースパルプの含有量は、全熱交換素子用シートの全体に対し、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。一方で、セルロースパルプの含有量の上限は特に限定はされない。
本発明に用いる湿式不織布の坪量は、20g/m2以上60g/m2以下である。好ましくは30g/m2以上である。一方、好ましくは45g/m2以下であり、より好ましくは40g/m2以下である。湿式不織布の坪量を上述した下限値以上とすることで、繊維状物質が積み重なり、湿式不織布を構成する繊維状物質間の空隙が微細化された緻密な湿式不織布とすることができ、熱交換素子用シートの気体遮蔽性が高くなる。また、湿式不織布の坪量を上述した上限値以下とすることで、繊維状物質の連続した空隙を有することができ、熱交換素子用シートの透湿性が優れたものとなるとともに、さらに湿式不織布の生産の際の水抜け性が良くなり熱交換素子用シートの生産効率が向上する。
本発明の熱交換素子用シートの厚みは、好ましくは90μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下である。熱交換素子用シートの厚みは、熱交換素子の温度交換効率に関係があり、薄くすることで熱交換素子の温度交換効率を向上することができる。一方、熱交換素子用シートの厚さは10μm以上であることが好ましい。薄すぎると熱交換素子用シートを熱交換素子に加工する上で、破れや皺が発生し、熱交換素子の成形が難しくなる。
本発明の熱交換素子用シートにおいては、熱交換素子用シートの透気度が500秒/100ml以上であることが好ましい。上記の要件を充足する熱交換素子用シートでは、排気する空気から給気する空気への漏洩の抑制が達成される。上記の理由から、熱交換素子用シートの透気度が1000秒/100ml以上であることが好ましくより好ましくは、3000秒/100ml以上であることが特に好ましい。また、透気度は高ければ高い程、高い気体遮蔽性を発現し、排気する空気から給気する空気への漏洩を少なくすることができ好ましい。
次に、本発明の熱交換素子用シートの製造方法について説明する。PVA樹脂および塩を水に溶解して得られる加工液を用意する。次いで、湿式不織布に上記の加工液をコーティングなどの塗工加工することで湿式不織布にPVA樹脂及び塩を付与したり、上記の加工液に湿式不織布をディッピングなどの含浸加工することによりにPVA樹脂及び塩を付与する。その後、乾燥処理に処することで、本発明の熱交換素子用シートを製造することができる。なかでも、加工液を湿式不織布の内部まで均一に付与することができるとの観点から含浸加工が好ましい。つまり、湿式不織布に加工液を含浸させる工程と、加工液を含浸させた湿式不織布を乾燥する工程とを有する熱交換素子用シートの製造方法であって、加工液が、ポリビニルアルコールPVA樹脂と塩とを含有し、加工液におけるポリビニルアルコール樹脂および塩の含有質量比(ポリビニルアルコール樹脂の含有量/塩の含有量)が、0.013〜0.30であり、加工液の液温40℃における粘度が、2cP以上50cP以下であり、塩が、少なくともアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも何れか一方を含むものが、好適な本発明の熱交換素子用シートの製造方法である。ここで、ポリビニルアルコールPVA樹脂と塩とを含有する加工液を用いることで、同浴にて塩とPVA樹脂を湿式不織布に付与することができるため、塩およびPVA樹脂を湿式不織布の内部まで均一に付与することができる。また、同浴にて一度の含浸で湿式不織布にPVA樹脂と塩とを付与する加工方法は、塩の含浸とPVA樹脂の含浸との2段階で加工するよりも効率がよく、熱交換素子用シートの生産性を向上させることができる。
ここで、加工液とは、PVA樹脂および塩を水に溶解した得られる水溶液であり、含まれるPVA樹脂および塩の質量比(PVA樹脂の含有量/塩の含有量)は、0.013〜0.30であることが好ましい。加工液に含まれるPVA樹脂および塩の含有質量比を上述した下限値以上とすることで、湿式不織布に存在する孔をより確実に閉塞することができ、熱交換素子用シートの気体遮蔽性が優れたものとなる。また、加工液に含まれるPVA樹脂および塩の質量比(PVA樹脂の含有量/塩の含有量)を上述した上限値以下とすることで、加工設備のロール等に付着する汚れを抑制することができ加工性が良好になるとともに、得られた熱交換素子用シートの透湿性が優れたものとなる。更に、熱交換素子用シートの靭性が向上し、熱交換素子用シートに亀裂や切断が発生するのを抑制することができ、取り扱い性や生産性に優れた熱交換素子用シートを得ることができる。
また、加工液の粘度は、加工液の液温が40℃の際に50cP以下であることが好ましく、更には、30cP以下であることがより好ましい。加工液の粘度が、加工液の液温が40℃の際に50cP以下であることで、熱交換素子用シートの製造工程において、ロール等への汚れの付着等を抑制することができ加工性が良好になり、加工液が湿式不織布の内部に浸み込み易くなり、湿式不織布へ塩及びPVA樹脂等を付与するための加工速度を速めることができる。そして、その結果、本発明の熱交換素子用シートの生産性がより優れたものとなる。一方で、粘度の下限は特に限定はされないが、湿式不織布の内部に浸み込んだ加工液が湿式不織布内部から抜けにくくなる観点から2cP以上であることが好ましい。
そして、これらの工程の後には、上記の加工液を含有する湿式不織布を加熱し、乾燥させる工程を設けることが好ましい。
上述したとおり、PVA樹脂とアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、同じ加工液中で混ぜ合わせることが可能で有り、同浴にて加工することが可能となる。また、PVA樹脂とアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方とを含む塩を有する加工液は安定しているため、さらに、抗菌剤、制菌剤、防カビ剤、難燃剤等の機能剤を加工液に付与することかできる。また、PVA樹脂とアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方とを含む塩を含む加工液は含浸加工中に発泡しやすいため、加工液中に発泡をさらに促進してしまう界面活性剤等を実質的に含まないことが好ましい。
本熱交換素子用シートは熱交換素子に好適に用いることができる。熱交換素子の製造方法は、特に限定されないが、例えば、互いに噛み合って回転する一対の歯車状のコルゲーターロールでコルゲート加工された間隔保持部材と熱交換用シートを押し付けるプレスロールを有する装置により行われ、接着剤により接着された片面ダンボールが得られる。それら片面ダンボールを互いに交差するように積層し、必要に応じて接着剤で接着することで成型することが、いわゆる直交流型熱交換素子を成型することができる。また、風路を形成する風路板と熱交換素子用シートを交互に積層し、隣接する風路が対向するように積層された、いわゆる対向流型熱交換素子を成型することができる。
次に、本発明の熱交換用シートについて実施例を挙げて詳細に説明する。
[測定方法]
(1)熱交換素子用シート及び湿式不織布の坪量
JIS L1906(2000)5.2の方法により目付を測定した。試料の異なる箇所から100mm角の試験片を5枚採取し、温度80℃の雰囲気の乾燥機中にて2hr静置し、その後、乾燥機から取り出したあと直ちにそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)に換算し、得られた5つの値の平均値を坪量(g/m2)とした。
(1)熱交換素子用シート及び湿式不織布の坪量
JIS L1906(2000)5.2の方法により目付を測定した。試料の異なる箇所から100mm角の試験片を5枚採取し、温度80℃の雰囲気の乾燥機中にて2hr静置し、その後、乾燥機から取り出したあと直ちにそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)に換算し、得られた5つの値の平均値を坪量(g/m2)とした。
(2)熱交換素子用シートに含有される塩の組成および含有量
3L容量の容器に充填された2.5Lの溶媒(水)に5枚の(1)の試験片を2分間含浸させた後、取り出し、再度、5枚の試験片を別の3L容量の容器に充填された2.5Lの溶媒(水)に2分間浸漬させた。続いて、温度80℃の雰囲気の乾燥機中にて2hr静置し、熱交換素子用シートから塩とPVA樹脂とを除去した試験片を得た。その後に、5枚の試験片それぞれの質量(g)を測定した。次いで、得られた5つの測定値の平均値から1m2当たりの坪量(g/m2)を算出した。この坪量を塩とPVA樹脂とを除去した試験片の坪量(g/m2)とし、(1)で求めた熱交換素子用シートの坪量から下記式より塩とPVA樹脂との含有量(g/m2)を計算した。
3L容量の容器に充填された2.5Lの溶媒(水)に5枚の(1)の試験片を2分間含浸させた後、取り出し、再度、5枚の試験片を別の3L容量の容器に充填された2.5Lの溶媒(水)に2分間浸漬させた。続いて、温度80℃の雰囲気の乾燥機中にて2hr静置し、熱交換素子用シートから塩とPVA樹脂とを除去した試験片を得た。その後に、5枚の試験片それぞれの質量(g)を測定した。次いで、得られた5つの測定値の平均値から1m2当たりの坪量(g/m2)を算出した。この坪量を塩とPVA樹脂とを除去した試験片の坪量(g/m2)とし、(1)で求めた熱交換素子用シートの坪量から下記式より塩とPVA樹脂との含有量(g/m2)を計算した。
塩とPVA樹脂との含有量の和(g/m2)=(熱交換素子用シートの坪量(g/m2)−塩とPVA樹脂とを除去した試験片の坪量(g/m2))
1度目に浸漬した水溶液の上澄みを回収して乾燥し、析出した固形分を得た。この固形分の元素分析を実施し、塩の組成と、固形分における塩の割合(R(%))とを求めた。
この結果から、塩の含有量を下記式より計算した。
1度目に浸漬した水溶液の上澄みを回収して乾燥し、析出した固形分を得た。この固形分の元素分析を実施し、塩の組成と、固形分における塩の割合(R(%))とを求めた。
この結果から、塩の含有量を下記式より計算した。
塩の含有量(g/m2)=塩とPVA樹脂との含有量の和(g/m2)×(塩の割合(R)/100)
(3)PVA樹脂の含有量
(2)において計算した塩とPVA樹脂との含有量の和(g/m2)から塩の含有量(g/m2)を減じてPVA樹脂の含有量(g/m2)を計算した。
(3)PVA樹脂の含有量
(2)において計算した塩とPVA樹脂との含有量の和(g/m2)から塩の含有量(g/m2)を減じてPVA樹脂の含有量(g/m2)を計算した。
(4)含有される繊維状物質の組成
(2)において溶媒(水)に浸漬後に乾燥して得た熱交換素子用シートから塩とPVA樹脂とを除去した試験片の赤外吸収スペクトルを測定し、含有される繊維状物質の組成を分析した。
(2)において溶媒(水)に浸漬後に乾燥して得た熱交換素子用シートから塩とPVA樹脂とを除去した試験片の赤外吸収スペクトルを測定し、含有される繊維状物質の組成を分析した。
(5)カナダ標準ろ水度(CSF)
セルロースパルプのカナダ標準ろ水度は、JIS P8121(1995)カナダ標準ろ水度試験方法に準拠して測定した。
セルロースパルプのカナダ標準ろ水度は、JIS P8121(1995)カナダ標準ろ水度試験方法に準拠して測定した。
(6)ナノファイバーの繊維径
ナノファイバーの繊維径は、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3500N型)で熱交換素子用シートの面に対して垂直な断面の写真を倍率30,000倍で撮影し、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、5mm角のサンプル内で無作為抽出した10本のナノファイバーの単繊維直径をnm単位で小数の1桁目まで測定して、少数の1桁目を四捨五入する。サンプリングは、合計30回行って各10本の単繊維直径のデータを取り、合計300本の単繊維直径のデータを取得した。平均繊維径は単繊維直径の値を積算し、全数で除した単純平均値を使用した。
ナノファイバーの繊維径は、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3500N型)で熱交換素子用シートの面に対して垂直な断面の写真を倍率30,000倍で撮影し、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、5mm角のサンプル内で無作為抽出した10本のナノファイバーの単繊維直径をnm単位で小数の1桁目まで測定して、少数の1桁目を四捨五入する。サンプリングは、合計30回行って各10本の単繊維直径のデータを取り、合計300本の単繊維直径のデータを取得した。平均繊維径は単繊維直径の値を積算し、全数で除した単純平均値を使用した。
(7)透湿性
透湿性は、JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)の方法により測定した。使用したカップは、直径60mmで深さ25mmである。試験片は、直径70mmの円形のものを5枚用意した。試験片は、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置した。次に、その試験片を、水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業製、品番030−25305)の入ったカップに設置し、初期質量(T0)を測定し、温度20℃、湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内で5時間静置し、その際の質量(T1)を測定した。下記式により透湿度を求め、5枚の平均値を値(g/m2/hr)とした。
透湿度(g/m2/hr)=(T1−T0) /(0.03×0.03×3.14)/5
(8)透気度(気体遮蔽性)
透気度は、JIS P8117(1998)透気度(ガーレ試験機法)の方法により測定する。ライナーシートまたはコルゲートシートの試験片は、長さ150mm、幅150mmを5枚採取する。試験片は23℃の温度で湿度50%RHに設定した恒温恒湿槽内で1時間処理する。23℃の温度で湿度50%RHの環境下で、ガーレ式デンソメータ(型式G−B3C、(株)東洋精機製作所)に試験片を設置し、空気100mlが通過する時間を測定し、5枚の平均値を値(秒/100ml)とする。
透湿性は、JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)の方法により測定した。使用したカップは、直径60mmで深さ25mmである。試験片は、直径70mmの円形のものを5枚用意した。試験片は、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置した。次に、その試験片を、水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業製、品番030−25305)の入ったカップに設置し、初期質量(T0)を測定し、温度20℃、湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内で5時間静置し、その際の質量(T1)を測定した。下記式により透湿度を求め、5枚の平均値を値(g/m2/hr)とした。
透湿度(g/m2/hr)=(T1−T0) /(0.03×0.03×3.14)/5
(8)透気度(気体遮蔽性)
透気度は、JIS P8117(1998)透気度(ガーレ試験機法)の方法により測定する。ライナーシートまたはコルゲートシートの試験片は、長さ150mm、幅150mmを5枚採取する。試験片は23℃の温度で湿度50%RHに設定した恒温恒湿槽内で1時間処理する。23℃の温度で湿度50%RHの環境下で、ガーレ式デンソメータ(型式G−B3C、(株)東洋精機製作所)に試験片を設置し、空気100mlが通過する時間を測定し、5枚の平均値を値(秒/100ml)とする。
(9)溶液の粘度
溶液の粘度は、TVB15形粘度計(東機産業株式会社)を用いて測定した。110mlスクリュー管に40℃の塗液を80ml入れ、ロータM−1、回転数50rpm、測定時間60秒間にて測定し、3回測定した平均値を値(cP)とした。また、ロータM−1にて測定限界になる場合は、ロータM−2を用いて、同条件にて測定した。
溶液の粘度は、TVB15形粘度計(東機産業株式会社)を用いて測定した。110mlスクリュー管に40℃の塗液を80ml入れ、ロータM−1、回転数50rpm、測定時間60秒間にて測定し、3回測定した平均値を値(cP)とした。また、ロータM−1にて測定限界になる場合は、ロータM−2を用いて、同条件にて測定した。
(10)生産性
熱交換素子用シートの生産性について、下記のとおり評価を行った。なお、評価のタイミングは、熱交換素子用シートの製造工程における湿式不織布の抄紙時およびディッピングによるPVA樹脂および塩の湿式不織布への付与時である。
熱交換素子用シートの生産性について、下記のとおり評価を行った。なお、評価のタイミングは、熱交換素子用シートの製造工程における湿式不織布の抄紙時およびディッピングによるPVA樹脂および塩の湿式不織布への付与時である。
A :湿式不織布の抄紙時およびディッピングによるPVA樹脂および塩の湿式不織布への付与時に、熱交換素子用シートに亀裂および切断の何れの発生も見られなかった。また、熱交換素子用シートの生産に対し問題とはならなかった。
B :湿式不織布の抄紙時およびディッピングによるPVA樹脂および塩の湿式不織布への付与時に、熱交換素子用シートの一部にのみ亀裂および切断の少なくとも何れか一方の発生が見られた。しかし、熱交換素子用シートの生産に対し大きな問題とはならなかった。
C :湿式不織布の抄紙時およびディッピングによるPVA樹脂および塩の湿式不織布への付与時に、熱交換素子用シートの全体に亀裂や切断の発生が見られた。また、熱交換素子用シートの生産に対し大きな問題となった。
(11)取り扱い性
熱交換素子用シートの取り扱い性について、以下のとおり評価を行った。25cm角の熱交換素子用シートを80℃の熱風乾燥機で10分の間、乾燥処理を行った後、熱交換素子用シートを熱風乾燥機から取り出してすぐに直径5cmの筒状に丸めた。円筒状の熱交換素子用シートの外観の観察を行い、下記の基準により取り扱い性の評価を行った。
熱交換素子用シートの取り扱い性について、以下のとおり評価を行った。25cm角の熱交換素子用シートを80℃の熱風乾燥機で10分の間、乾燥処理を行った後、熱交換素子用シートを熱風乾燥機から取り出してすぐに直径5cmの筒状に丸めた。円筒状の熱交換素子用シートの外観の観察を行い、下記の基準により取り扱い性の評価を行った。
良好 :円筒状の熱交換素子用シートに亀裂および切断の何れも観察されなかった。
不良 :円筒状の熱交換素子用シートに亀裂および切断の少なくとも何れか一方が観察された。
(実施例1)
針葉樹パルプを水に分散し、ビーターによりCSF100mlによるように叩解した。上記で得られた叩解の針葉樹パルプを抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて、坪量45g/m2の湿式不織布を得た。
(実施例1)
針葉樹パルプを水に分散し、ビーターによりCSF100mlによるように叩解した。上記で得られた叩解の針葉樹パルプを抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて、坪量45g/m2の湿式不織布を得た。
この湿式不織布に、ディッピングにより、塩化リチウムとPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール株式会社製 製品名JF−10、重合度1000)とを含有する加工液(粘度7cPs)を湿式不織布の全体に含有させ坪量50.4g/m2の熱交換素子用シートを得た。PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)は0.4/5(塩/PVA比=0.080)とした。
実施例1の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例2)
(ナノファイバーの作製)
(ポリマーアロイチップ)
融点220℃のナイロン6、40質量%と、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)、60質量%を、2軸型の押出混練機を用いて220℃で溶融混練してポリマーアロイチップを得た。
(ナノファイバーの作製)
(ポリマーアロイチップ)
融点220℃のナイロン6、40質量%と、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)、60質量%を、2軸型の押出混練機を用いて220℃で溶融混練してポリマーアロイチップを得た。
(ポリマーアロイ繊維のトウ)
上記ポリマーアロイチップを、1軸型の押出機を備えたステープル用の溶融紡糸装置に投入し、235℃で溶融し、スピンブロックに導いた。そして、ポリマーアロイ溶融体を限界濾過径15μmの金属不織布に濾過させ、紡糸温度235℃で、孔径0.3mmの吐出孔を有し口金面温度215℃とした口金から吐出させた。
上記ポリマーアロイチップを、1軸型の押出機を備えたステープル用の溶融紡糸装置に投入し、235℃で溶融し、スピンブロックに導いた。そして、ポリマーアロイ溶融体を限界濾過径15μmの金属不織布に濾過させ、紡糸温度235℃で、孔径0.3mmの吐出孔を有し口金面温度215℃とした口金から吐出させた。
吐出された線状の溶融ポリマーを冷却風で冷却固化し、油剤を付与し、紡糸速度1350m/分で引き取った。
得られた未延伸糸を合糸した後、延伸温度90℃、延伸倍率3.04倍、熱セット温度130℃で延伸熱処理し、単繊維繊度3.0dtex、総繊度50万dtexのポリマーアロイ繊維のトウを得た。得られたポリマーアロイ繊維は、強度3.4cN/dtex、伸度45%であった。
(脱海・切断・叩解)
上記ポリマーアロイ繊維のトウを、95℃に保った5%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬し、ポリマーアロイ繊維中のポリL乳酸成分を加水分解除去(脱海)した。次いで酢酸で中和し、水洗、乾燥し、ナノファイバーの繊維束を得、この繊維束を1mm長にカットした。このカット繊維を、水10Lあたり30gの濃度で、熊谷理機工業(株)製、試験用ナイヤガラビーターに仕込み、5分間予備叩解し、水を切って回収した。次いでこの回収物を自動式PFIミル(熊谷理機工業(株)製)に仕込み、回転数1500rpmクリアランス0.2mmの条件で6分間叩解した。そして、水を含んで粘土状となった回収物を80℃の熱風乾燥機内で24時間乾燥させ、ナノファイバーを得た。
上記ポリマーアロイ繊維のトウを、95℃に保った5%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬し、ポリマーアロイ繊維中のポリL乳酸成分を加水分解除去(脱海)した。次いで酢酸で中和し、水洗、乾燥し、ナノファイバーの繊維束を得、この繊維束を1mm長にカットした。このカット繊維を、水10Lあたり30gの濃度で、熊谷理機工業(株)製、試験用ナイヤガラビーターに仕込み、5分間予備叩解し、水を切って回収した。次いでこの回収物を自動式PFIミル(熊谷理機工業(株)製)に仕込み、回転数1500rpmクリアランス0.2mmの条件で6分間叩解した。そして、水を含んで粘土状となった回収物を80℃の熱風乾燥機内で24時間乾燥させ、ナノファイバーを得た。
得られたナノファイバーの繊維直径は110〜180nmで、その数平均繊維径は150nmであった。
実施例1で用いた湿式不織布を、針葉樹パルプの含有量が95質量%であり、上記のとおり得たナノファイバーの含有量が5質量%である湿式不織布としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の熱交換素子用シートを得た。
実施例2の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および、透湿性にも優れたものであった。
(実施例3)
実施例2で用いた湿式不織布を、針葉樹パルプの含有量が85質量%であり、上記のとおり得たナノファイバーの含有量が、15質量%である湿式不織布としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3の熱交換素子用シートを得た。
実施例2で用いた湿式不織布を、針葉樹パルプの含有量が85質量%であり、上記のとおり得たナノファイバーの含有量が、15質量%である湿式不織布としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3の熱交換素子用シートを得た。
実施例3の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例4)
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を30g/m2にしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の熱交換素子用シートを得た。
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を30g/m2にしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の熱交換素子用シートを得た。
実施例4の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例5)
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を55g/m2にしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の熱交換素子用シートを得た。
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を55g/m2にしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の熱交換素子用シートを得た。
実施例5の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例6)
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)は0.8/5(塩/PVA比=0.160)とした以外は実施例1と同様にして、実施例6の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は25cPsであった。
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)は0.8/5(塩/PVA比=0.160)とした以外は実施例1と同様にして、実施例6の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は25cPsであった。
実施例6の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例7)
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)は1.3/5(塩/PVA比=0.260)とした以外は実施例1と同様にして、実施例6の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は45cPsであった。
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)は1.3/5(塩/PVA比=0.260)とした以外は実施例1と同様にして、実施例6の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は45cPsであった。
実施例7の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例8)
実施例1で用いた湿式不織布に、ディッピングにより、塩化カルシウムとPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール株式会社製 製品名JF−10、重合度1000)とを含有する加工液(粘度45cPs)を含有させることで坪量63.2g/m2の熱交換素子用シートを得た。PVA樹脂と塩化カルシウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化カルシウムの含有量)は0.2/13(塩/PVA比=0.015)とした。
実施例1で用いた湿式不織布に、ディッピングにより、塩化カルシウムとPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール株式会社製 製品名JF−10、重合度1000)とを含有する加工液(粘度45cPs)を含有させることで坪量63.2g/m2の熱交換素子用シートを得た。PVA樹脂と塩化カルシウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化カルシウムの含有量)は0.2/13(塩/PVA比=0.015)とした。
実施例8の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例9)
実施例1で用いたPVA樹脂を重合度200のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール株式会社製 製品名JF−02、重合度200)にしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は7cPsであった。
(実施例9)
実施例1で用いたPVA樹脂を重合度200のPVA樹脂(日本酢ビ・ポバール株式会社製 製品名JF−02、重合度200)にしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は7cPsであった。
実施例9の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、透湿性に優れたものであったが、気体遮蔽性はやや劣るものであった。
(実施例10)
実施例1で用いたパルプの叩解度を30mlにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例10の熱交換素子用シートを得た。
実施例1で用いたパルプの叩解度を30mlにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例10の熱交換素子用シートを得た。
実施例10の熱交換素子用シートの生産性の評価はBであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(実施例11)
実施例1で用いたパルプの叩解度を180mlにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例12の熱交換素子用シートを得た。
実施例1で用いたパルプの叩解度を180mlにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例12の熱交換素子用シートを得た。
実施例11の熱交換素子用シートの生産性の評価はBであった。
また、得られた熱交換素子用シートは、取り扱い性も良好で、かつ、気体遮蔽性、および透湿性にも優れたものであった。
(比較例1)
実施例1で用いた塩化リチウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は4cPsであった。
実施例1で用いた塩化リチウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は4cPsであった。
比較例1の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートの取り扱い性は良好であったが、気体遮蔽性、および透湿性は劣るものであった。
(比較例2)
実施例1で用いたPVA樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は3cPsであった。
実施例1で用いたPVA樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の熱交換素子用シートを得た。また、このとき加工液の粘度は3cPsであった。
比較例2の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
また、得られた熱交換素子用シートの取り扱い性は良好であり、透湿性は優れていたが、気体遮蔽性は劣るものであった。
(比較例3)
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を15g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の熱交換素子用シートを得た。
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を15g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の熱交換素子用シートを得た。
比較例2の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
得られた熱交換素子用シートの取り扱い性は、亀裂が入りやすく不良であった。透湿性には優れていたが、気体遮蔽性は劣るものであった。
(比較例4)
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を70g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして比較例4の熱交換素子用シートを得た。
実施例1で用いた湿式不織布の坪量を70g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして比較例4の熱交換素子用シートを得た。
比較例4の熱交換素子用シートの生産性の評価は、抄紙時に水抜け性が悪く紙切れを発生しBであった。
また、得られた熱交換素子用シートの取り扱い性は良好であり、気体遮蔽性は優れていたが、透湿性は劣るものであった。
(比較例5)
PVA樹脂と塩化カルシウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化カルシウムの含有量)を0.010とした以外は実施例8と同様にして比較例5の熱交換素子用シート(坪量55.1g/m2)を得た。また、このとき加工液の粘度は5cPsであった。
PVA樹脂と塩化カルシウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化カルシウムの含有量)を0.010とした以外は実施例8と同様にして比較例5の熱交換素子用シート(坪量55.1g/m2)を得た。また、このとき加工液の粘度は5cPsであった。
比較例5の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
得られた熱交換素子用シートの取り扱い性は良好であり、透湿性には優れていたが、気体遮蔽性は劣るものであった。
(比較例6)
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)を0.340とした以外は実施例1と同様にして比較例6の熱交換素子用シート(坪量51.7g/m2)を得た。このとき、加工液の粘度は80cPsであった。
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)を0.340とした以外は実施例1と同様にして比較例6の熱交換素子用シート(坪量51.7g/m2)を得た。このとき、加工液の粘度は80cPsであった。
比較例6の熱交換素子用シートは、ディッピングで加工液の粘度が高くロールに汚れが残り、紙切れが発生して連続加工できず、生産性の評価はCであり、熱交換素子用シートを製造することができなかった。
(比較例7)
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)を0.190とした以外は実施例1と同様にして比較例7の熱交換素子用シート(坪量60.7g/m2)を加工した。このとき、加工液の粘度は100cPsであった。
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)を0.190とした以外は実施例1と同様にして比較例7の熱交換素子用シート(坪量60.7g/m2)を加工した。このとき、加工液の粘度は100cPsであった。
比較例7の熱交換素子用シートは、ディッピングで加工液の粘度が高くロールに汚れが残り、紙切れが発生して連続加工できず、生産性の評価はCであり、熱交換素子用シートを製造することができなかった。
(比較例8)
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)を0.200とした以外は実施例1と同様にして比較例8の熱交換素子用シート(坪量46.2g/m2)を得た。このとき、加工液の粘度は3cPsであった。
PVA樹脂と塩化リチウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化リチウムの含有量)を0.200とした以外は実施例1と同様にして比較例8の熱交換素子用シート(坪量46.2g/m2)を得た。このとき、加工液の粘度は3cPsであった。
比較例8の熱交換素子用シートの生産性の評価はAであった。
得られた熱交換素子用シートの取り扱い性は良好であったが、気体遮蔽性、および、透湿性には劣るものであった。
(比較例9)
PVA樹脂と塩化カルシウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化カルシウムの含有量)を0.024とした以外は実施例8と同様にして比較例9の熱交換素子用シート(坪量62.4g/m2)を加工した。このとき、加工液の粘度は15cPsであった。
PVA樹脂と塩化カルシウムとの含有質量比(PVA樹脂の含有量/塩化カルシウムの含有量)を0.024とした以外は実施例8と同様にして比較例9の熱交換素子用シート(坪量62.4g/m2)を加工した。このとき、加工液の粘度は15cPsであった。
比較例9の熱交換素子用シートは、ディッピングの加工時に塩化カルシウムがロール等に析出してロールが汚れて連続加工できず、生産性の評価はCであり、熱交換素子用シートを製造することができなかった。 実施例1〜11の熱交換素子用シートの構成および性能、ならびに比較例1〜9の熱交換素子用シートの構成および性能を表1〜4にまとめた。
実施例1〜11において、生産性が良好(すなわち、生産性の評価はA)で、かつ、取り扱い性が良好で、さらに、気体遮蔽性と透湿性とに優れた熱交換素子用シートを得ることができた。
一方、比較例1、4、8は透湿性に劣る熱交換素子用シートであった。比較例2、3、5、8は気体遮蔽性に劣る熱交換素子用シートであった。比較例6、7、9は生産性が悪く(すなわち生産性の評価はC)、熱交換素子用シートを製造することができなかった。
Claims (7)
- PVA樹脂、塩および湿式不織布を有する熱交換素子用シートであって、
前記湿式不織布の坪量が、20g/m2以上60g/m2以下であり、
前記PVA樹脂の含有量が、0.2g/m2以上2.0g/m2以下であり、
前記塩の含有量が、2g/m2以上15g/m2以下であり、
前記PVA樹脂および前記塩の含有質量比(前記PVA樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30であり、
前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも何れか一方を含む、熱交換素子用シート。 - 前記熱交換素子用シートが、カナダ標準ろ水度が50ml以上150ml以下のセルロースパルプを主成分として含有する、請求項1に記載の熱交換素子用シート。
- 前記熱交換素子用シートが、熱可塑性樹脂からなるナノファイバーを含有しており、
前記ナノファイバーの繊維径が1nm以上1000nm以下であり、
前記ナノファイバーの含有量が、前記熱交換素子用シートの全体に対し1質量%以上20質量%以下である、請求項1または2に記載の熱交換素子用シート。 - 前記PVA樹脂の重合度が、1000以上である、請求項1〜3の何れかに記載の熱交換素子用シート。
- 透気度が、500秒/100ml以上である、請求項1〜4の何れかに記載の熱交換素子用シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換素子用シートを用いた、熱交換素子。
- 請求項1〜5の何れかに記載の熱交換素子用シートの製造方法であって、湿式不織布に加工液を含浸させる工程と、加工液を含浸させた湿式不織布を乾燥する工程とを有し、前記加工液が、ポリビニルアルコール樹脂と塩とを含有し、前記加工液における前記ポリビニルアルコール樹脂および前記塩の含有質量比(前記ポリビニルアルコール樹脂の含有量/前記塩の含有量)が、0.013〜0.30であり、前記加工液の液温40℃における粘度が、2cP以上50cP以下であり、前記塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の何れか一方を含む、熱交換素子用シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019139739A JP2021021173A (ja) | 2019-07-30 | 2019-07-30 | 熱交換素子用シート及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019139739A JP2021021173A (ja) | 2019-07-30 | 2019-07-30 | 熱交換素子用シート及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021021173A true JP2021021173A (ja) | 2021-02-18 |
Family
ID=74574651
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019139739A Pending JP2021021173A (ja) | 2019-07-30 | 2019-07-30 | 熱交換素子用シート及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021021173A (ja) |
-
2019
- 2019-07-30 JP JP2019139739A patent/JP2021021173A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA2879447C (en) | Multilayered structure comprising fine fiber cellulose layer | |
JP6436096B2 (ja) | 全熱交換素子の製造方法 | |
JP6582986B2 (ja) | 熱交換用原紙およびそれを用いた全熱交換素子 | |
JP5678443B2 (ja) | 全熱交換用原紙およびそれを用いた全熱交換素子 | |
WO2006090790A1 (ja) | アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ一次電池 | |
WO2015050105A1 (ja) | 熱交換素子及び熱交換器 | |
JPWO2003010384A1 (ja) | 嵩高パルプ、その製造方法、該嵩高パルプを用いた加工紙又は多層紙 | |
JP7079267B2 (ja) | セパレータおよび該セパレータからなるアルカリマンガン乾電池用セパレータ | |
JP2021021173A (ja) | 熱交換素子用シート及びその製造方法 | |
JPH1080612A (ja) | 濾材およびエアフィルター | |
CN1901986A (zh) | 纤维-纤维复合材料 | |
JP2020133063A (ja) | 全熱交換素子用紙及び全熱交換素子 | |
CN113424008A (zh) | 全热交换元件用纸和全热交换元件 | |
WO2023037440A1 (ja) | エアフィルタ用濾材 | |
JP4437539B2 (ja) | 吸湿シート | |
WO2024122160A1 (ja) | エアフィルタ用濾材及びその製造方法 | |
JP2023136265A (ja) | 液体フィルタ用濾材 | |
JP2021147727A (ja) | 全熱交換素子用紙及び全熱交換素子 | |
JP2020148436A (ja) | 全熱交換素子用紙及び全熱交換素子 | |
JP2020076174A (ja) | ポリフェニレンサルファイド繊維含有湿式不織布 | |
JP2014043999A (ja) | 全熱交換素子 |