本発明は、ウエストサイズを伸縮自在とした被服、即ち、スーツ用ズボンや綿パン等のパンツ(ズボン)、スカート、キュロットスカート等(以下、「ボトムス(bottoms)」という)のウエスト伸縮自在ボトムスに関するもので、特に、ウエストが伸びたときでもポケットの美観を損なうことのない小ポケットを有するLポケット付きボトムスに関するものである。
一般に、パンツ(ズボン)等のボトムスの既製品のウエストサイズは、例えば、紳士用であれば、79cm、82cm、85cm等の3cm間隔、婦人用であれば、69cm、72cm、75cm等の3cm間隔とした所定の間隔に設定されており、購入者は自己のウエストサイズに近いものを選択して購入している。ところが、既製品のウエストサイズに対し、自己のウエストサイズが合わない際には、購入した衣服のウエストサイズを縫製等により自己のウエストサイズに修正したり、ベルト等を使用して矯正したりして着用している。しかし、このような修正作業には手間及び費用を要し、また、ベルト等によって矯正する場合でも、その購入に余分な費用がかかる。そのうえ、ベルト等で矯正する場合、パンツ等のウエストベルト部に皺が生じることがあり見栄えに好ましくなく、着用した際の快適性も劣ることなる。
また、このような既製品のウエストサイズが固定化されたボトムスでは、たとえ、購入時に、或いは、修正により自己のウエストサイズとボトムスのウエストサイズが合致していても、例えば、起立時と着座時とを比べると、着座時の方が自己のウエストサイズが大きくなることから、そのウエストサイズの変化に対応できない。飲食前後におけるウエストサイズの変化もそれに該当する。このため、ウエストサイズが固定化されたボトムスでは、着用者のウエストの動きに追従するフィット性が得られず、快適性に劣る。
そこで、これを解決したものとして、例えば、本発明者の特許発明に係る特許文献1乃至特許文献3に記載された技術が公知である。これらの技術は、ズボン等のポケットまたはタック部分でウエストベルト部の一部を重複させる機構とし、即ち、前方または後方のうちの一方のウエストベルト部(延出部)を前方または後方のうちの他方のウエストベルト部(収容部)の内側(裏側)に重ねて配置し、そして、それらの内側で弾性材により連結する。これにより、ズボン等のウエストベルト部が着用者のウエストの動きに合わせて伸縮自在となるものである。
特許第3789663号公報
特許第3964595号公報
特許第4499267号公報
これら特許文献1乃至特許文献3のウエスト伸縮自在ボトムスによれば、脇線近傍の脇ポケット部にタックを設けることによって、ウエストベルト部の伸びに伴い脇ポケット部の袋布に掛かる引張り力をタックの襞の展開によって逃がし、ウエストベルト部のスムースな伸びを確保することができる。そして、こうしたウエスト伸縮自在ボトムスにおける脇ポケット部として、特許文献3に開示のボトムスでは、通常の大きさのポケットに加え、それよりも大きさの小さい小ポケットをその直線のポケット口が脇線に沿うように設けられている。このような通常の大きさのポケットに加えて小ポケットを設けた脇ポケット部では、小ポケットの袋布にタックを設けることで、通常の大きさのポケットの見た目の変化を少なくして見栄えを良くでき、また、小ポケットは小銭入れ、鍵入れ、切符入れ等として使用でき、通常の大きさのポケットに入れる物との区別ができることで使い勝手を良くできる。
ここで、脇ポケットのバリエーションとして、従来、特許文献3に開示があるように、通常の大きさのポケットとしてポケット口の外縁がL字形状であるLポケット(L型ポケット)が存在する。このLポケットは、従来、ジーンズ(Gパン)のカジュアルなスタイルに好まれて用いられてきたが、斜めポケットに比べ脇線側で開口が開かない見栄えを確保できることから、特に、骨盤が大きい女性でも、着用したときに斜めポケットに比べポケット口が変形し難く見栄えを良くすることができることから、最近では綿パン、スーツ用ズボン、スラックス等にも採用されている。
ところが、このようなLポケットに対し、それよりも大きさの小さい小ポケットをその直線状のポケット口が脇線に沿うように設けた場合、ウエスト伸縮自在ボトムスでは、そのウエストが伸びた時に、小ポケットの袋布が変形しやすく、図13(a)に示したように、小ポケットの小ポケット口(23S)から袋布の表地25の部分が吹き出したり、脇ポケット部(20)及びその周辺に皺が生じたりし、特に、綿パン、スーツ用ズボン、スラックス等の場合には、その生地の材質からして皺寄りが目立つことで見栄えが大きく損なわれるという問題がある。
即ち、特許文献3に開示した小ポケットを設けたウエスト伸縮自在ボトムスにおいて、普通の大きさのポケットとしてポケット口の外縁がL字形状であるLポケット(L型ポケット)を採用した場合、伸縮自在なウエストベルト部に対し、L字状のポケット口外縁の上端が接続しているから、ウエストベルト部が伸びると、その伸びに伴ってL字状のポケット口外縁の上端側も移動する。このため、図13(a)に示したようにL字状のポケット口外縁(26L)と脇線(RS)の交点であるポケット止まり(75L)を中心にしてその周囲に引き攣りが生じ易くなる。
ここで、ポケット口の外縁をL字状とするLポケットでは、そのポケットの中に入れる物が落ち難い大きさを考慮すると、そのL字状のポケット口外縁と脇線の交点であるポケット止まりの位置が、斜めポケットのときよりもウエストベルト部に近づく位置に設計される。このため、このようなポケット口の外縁をL字状とするLポケットに対し、小ポケットを付加した際には、L字形状であるポケット口外縁のポケット止まりの高さから上で引き攣り量、引っ張り量が大きいものとなる。
その結果、ポケット口の外縁をL字状とするLポケットに対し、それよりも大きさの小さい小ポケットをその直線状のポケット口が脇線に沿うように設けた場合には、ウエストが伸びた時に、小ポケットの袋布が変形しやすく、図13(a)に示したように、小ポケットのポケット口から袋布の表地の部分が吹き出したり、小ポケット及びその周辺に皺が生じたりする。特に、図13(a)に示したように小ポケットのポケット口として、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮し、また、Lポケットのポケット口として、中に入れた物が落ち難い大きさを考慮すると、小ポケットのポケット口外縁の下端がLポケットのポケット止まり(75L)よりも下に位置する設計となるが、そのような場合には、小ポケットのポケット口の膨らみ等の変化が前身頃によって抑制されるから、小ポケットのポケット口からの袋布の表地の部分の吹き出しや、小ポケット部及びその周辺の皺寄りが顕著となる。そして、綿パン、スーツ用ズボン、スラックス等の場合には、このような小ポケットのポケット口からの袋布の吹き出しや、小ポケット及びその周辺の皺寄りが目立つことで、ポケットの見栄えが悪くなり商品イメージを大きく低下させてしまうことになる。
そこで、本発明においては、ウエストが伸びたときのポケットの美観を損なうことなく小ポケットを設けたLポケット付きボトムスの提供を課題とするものである。
請求項1の発明のLポケット付きボトムスは、身頃に縫着しない端部側が延出自在な延出部と、前記延出部の前記身頃に縫着しない前記端部側を収容した収容部と、前記収容部の内部で前記収容部と前記延出部の間を弾性材によって弾性的に接続した接続部とによって、ウエスト方向に延びる帯状をなした伸縮自在なウエストベルト部を構成し、L字状のポケット口外縁の上端が前記延出部に接続したLポケット部を前記身頃の前身頃側であって片側の脇線または両脇の脇線に沿って取付け、また、前記Lポケット部よりも容量が小さく、ポケット口外縁の上端が前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁よりも脇線寄りで前記延出部に接続した小ポケット部を前記前身頃側であって片側または両脇の脇線に沿って前記Lポケット部と重複して取付けたものである。そして、前記小ポケット部において、それを構成する袋布の向こう布側に上端から下方に向かって延びる襞状のタック部が形成され、前記タック部の襞がその上方を除いた一部で縫合されているものである。
ここで、上記ウエストベルト部は、着用時に人体のウエスト周りに配設する部位であり、身頃の上部に縫合わされボトムスの履き口となる上部において、ウエスト周囲に亘って延びる帯状に形成されたものである。
上記延出部は、前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表裏を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部側が身頃に縫着されずに収容部に挿入されて収容され、かつ、収容部から延出自在とされるものである。
上記収容部は、前記延出部を除く残りの前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表裏を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部(一端部または両端部)側に前記延出部の身頃に縫着されない端部側が挿入されて収められたものである。
上記延出部と収容部の関係は、見栄え、美観からして、ボトムスの脇線の上方付近で、延出部の延出自在な端部が前記ウエストベルト部の表裏の外面側(表裏面側)から隠れるように収容部内に入れられ、即ち、収容部に対し延出部の端部側が収容されて、収容部と延出部が重複する。そして、通常はポケットが前身頃側に配設されることから、ボトムスの前身頃側の上部に延出部が配設され、後身頃側の上部に収容部が配設され、延出部と収容部は脇線またはその近傍の上方で重ね合わせられる。つまり、収容部の延出部を収容している開口端は、脇線の上またはその近傍に位置している。
このような延出部及び収容部によって、ウエストベルト部の表側及び裏側を形成する構成は、例えば、延出部や収容部の表側と裏側は、1枚布をウエストベルト部の上端部で折り曲げる構成としてもよいし、ウエストベルト部の上端部で表裏の生地を接ぐ構成としてもよい。
上記接続部は、前記収容部に対し前記延出部の前記身頃に縫着しない端部側を入れて重ねた状態で、前記収容部の内部においてゴム等の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続したものである。
ここで、上記弾性材は、略直線状の1本の弾性材或いは縫合等によって1本に一体化された略直線状のゴム等の弾性材であってもよいし、2本または3本以上であってもよい。即ち、2本以上の弾性材を前記収容部と前記延出部の間に並列的に配置し、ウエストの周方向に対し略垂直な方向で各弾性材が上下方向に配置するようにしてもよい。このときの各弾性材同士は離間していてもよいし、互いに近接していてもよいし、一部で厚みを重複させていてもよい。
また、上記接続部の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続は、前記収容部や前記延出部に対する弾性材の接続が直接的または間接的かは問われない。弾性材を直接的に前記収容部と前記延出部に縫付けて前記収容部と前記延出部の間に取付けてもよいし、例えば、弾性材に対しその最大伸びを規定する非弾性材としての伸び止め材を併設し、その伸び止め材を前記収容部側や前記延出部側に縫付けることで、つまりは、非弾性材としての伸び止め材を弾性材の両端部側に縫付け、更に、弾性材の他端よりも突出させて、前記収容部や前記延出部に縫付けることで、伸び止め材を介して間接的に弾性材を前記収容部と前記延出部の間に取付けるようにしてもよい。即ち、上記接続部は、弾性材を用いて前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続している構成であれば、弾性材のみからなる構成であってもよいし、弾性材と伸び止め材等の非弾性材との組合わせで前記収容部と前記延出部の間を接続してもよい。
上記Lポケット部は、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、ボトムスの表側のポケット口の外縁が略L字型形状を有し、そのL字状のポケット口外縁の前中心寄りの上端(始端)が前記延出部に接続し、L字状の反対側の脇線寄りの終端がボトムスの脇線に接続しているものである。このポケット口の外縁が略L字型形状は、例えば、その外縁が角張ったL字形状であってもよいし、緩やかにカーブしたL字形状であってもよい。また、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケットであってもよいし、ポケット口の外縁が縦方向に長く横方向に短いL字形状のポケットであってもよい。特に、ポケット口の開き、変形が少ないことから、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部が好ましい。そして、そのようなポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部においては、そのポケット口の縦方向の開口縦幅が、ポケットの中に入れた物の落ち難さを考慮すると、通常、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmに設定される。なお、上記L字状とは、L字及びそれを左右反転させた形状(線対称形状)を含む概念である。また、上記脇線に沿って取付けとは、Lポケット部を形成する袋布の端部が身頃の前側及び後側の境界部分で身頃の前側及び後側と共に縫合されて、身頃の前側及び後側の接ぎ目部分に縫付けられていることを意味する。
上記小ポケット部は、前記Lポケット部と同様、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、前記Lポケット部よりも容量が小さく前記Lポケット部に重ね合わせて重複して取付られたものである。即ち、ボトムスの裏側からみたときに、Lポケット部を構成する袋布の手前(前方)側に小ポケット部を構成する袋布が配設しており、小ポケット部を形成する袋布は、Lポケット部を形成する袋布よりもその容量が小さいものである。
この上記小ポケット部は、そのポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りで、即ち、延出部が収容される収容部の開口端に近づいて前記延出部に接続し、ポケット口外縁の反対側の終端はボトムスの脇線側に接続しているものである。上記小ポケット部は、ボトムスの表側のポケット口の外縁が、ウエストベルト部のウエスト方向に対し垂直方向に略真っ直ぐな略直線状のものであってもよいし、前中心側から脇線側に向かって傾く斜めの直線状のものであってもよいし、L字型形状のものであってもよいし、その変形で外縁が略S字型形状のものであってもよい。特に、ポケット口の外縁が脇線に沿う略直線形状であると、視覚的にポケット口外縁が脇線に重複することで目立たないものとすることができる。なお、上記小ポケット部のポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りとは、小ポケット部のポケット口外縁の上端が前記L字状のポケット口外縁の上端よりも脇線に近いことを意味する。
そして、上記小ポケット部は、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮すると、ポケット口の縦方向の開口(縦幅)が、7cm〜13cm、好ましくは、8cm〜12cmに設定される。特に、前記Lポケット部のL字状のポケット口の縦方向の開口縦幅が、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmを考慮すると、小ポケット部のポケット止まり、即ち、小ポケット口外縁の終端(下端)は、前記Lポケット部のポケット止まり、即ち、脇線と交わるLポケット口外縁の終端の位置より下方に位置することになる。このような小ポケット部とLポケット部の位置関係では、ボトムスの表側から見て、小ポケット部の小ポケット口外縁の下方が、前身頃及びLポケット部によって隠れることになる。
なお、上記Lポケット部及び小ポケット部は、左右のどちらかの脇または左右の両脇に設けられるが、両脇のポケットが左右対称であってもよいし、左右対称でなくともよく、右脇のポケットと左脇のポケットとの種類、形態が異なっていてもよい。
更に、上記小ポケット部は、それを形成している袋布の向こう布側において、その上端から下方に向かって延びる襞状のタック部を有するものである。
ここで、上記タック部とは、小ポケット部を構成する袋布の向こう布に形成した所定の折り目に沿って折り返す、即ち、折畳むことで襞状に形成されたものであり、ウエストベルト部の伸びに伴い、前身頃側の上部に設けた延出部の移動と共に、ポケットの袋布に掛かる引張り力を襞の展開によって逃がすものである。そして、上記タック部では、その上方を除いて一部の襞が縫合されており、その縫合部分では襞の展開が制限されるものである。なお、上記タック部の上方を除く一部で襞が縫合とは、タック部の上方除いて一部の襞が縫合されていることを意味するが、タックの襞を縫合する位置は、必ずしもタック部の下端までタックの襞が縫合されていることまでを要求するものではない。即ち、タック部の襞の縫合は、ウエストベルト部が伸びたときに袋布の上方で所定の展開量を確保する点から、少なくともタック部の上方を除く必要があるが、タック部の下端側まで縫合されている必要はなく、タック部の上方に加え、タック部の下端側が除かれていてもよい。なお、タック部の上方を除いては、正確にタックの長さの中間位置から上の範囲でタックの襞が縫合されないことを意味するものではなく、タックの上端から下に所定範囲ではタックの襞が縫合されないことを意味する。
なお、上記小ポケット部の向こう布とは、ボトムスの外側(表側)において袋布の生地(裏布)が見えないように袋布に貼付けられる身頃等の共地向こう布、表地を意味するものではなく、袋状の袋布のうちボトムスの裏面側(身体側)に配設する側を向こう布とし、ボトムスの表面側に近い方に配設する手前布と区別するものである。身頃と共地であってもよいし、身頃とは異なる生地、例えば、スレーキ生地等の裏地を使用することも可能である。
請求項2の発明のLポケット付きボトムスは、身頃に縫着しない端部側が延出自在な延出部と、前記延出部の前記身頃に縫着しない前記端部側を収容した収容部とによって、ウエスト方向に延びる帯状のウエストベルト部の表側を形成し、また、前記収容部の内部で前記収容部と前記延出部の間を弾性材によって弾性的に接続し、更に、前記弾性材とは別の他の弾性材を設けた腰裏ベルト部によって、前記ウエスト方向に一体に連続して前記ウエストベルト部の裏側を形成したものである。また、L字状のポケット口外縁の上端が前記延出部に接続したLポケット部を前記身頃の前身頃側であって片側の脇または両脇の脇線に沿って取付け、更に、前記Lポケット部よりも容量が小さく、ポケット口外縁の上端が前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁よりも脇線寄りで前記延出部に接続した小ポケット部を前記身頃の前身頃側であって片側の脇または両脇の脇線に沿って前記Lポケット部と重複して取付けたものである。そして、前記小ポケット部において、それを構成する袋布の向こう布側に上端から下方に向かって延びる襞状のタック部が形成され、前記タック部の襞がその上方を除いた一部で縫合されているものである。
ここで、上記ウエストベルト部は、着用時に人体のウエスト周りに配設する部位であり、身頃の上部に縫合わされてボトムスの履き口となる上部において、ウエスト周囲に亘って延びる帯状に形成されたものである。
上記延出部は、前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表側を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部側が身頃に縫着されずに収容部に挿入されて収容され、かつ、収容部から延出自在とされるものである。
上記収容部は、前記延出部を除く残りの前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表側を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部(一端部または両端部)側に前記延出部の身頃に縫着されない端部側が重ねられ収められたものである。
上記延出部と収容部の関係は、見栄え、美観からして、ボトムスの脇線の上方付近で、延出部の延出自在な端部が前記ウエストベルト部の表面側から隠れるように収容部に収められ、即ち、収容部に対し延出部の端部側が収容されて収容部と延出部が重複する。そして、通常はポケットが前身頃側に配設されることから、ボトムスの前身頃側の上部に延出部が配設され、後身頃側の上部に収容部が配設され、延出部と収容部は脇線またはその近傍の上方で重ね合わせられる。つまり、収容部の延出部を収容している開口端は、脇線の上またはその近傍に位置している。
上記接続部は、前記収容部に対し前記延出部の前記身頃に縫着しない端部側を重ねた状態で、前記収容部の内部においてゴム等の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続したものである。
ここで、上記弾性材は、略直線状の1本の弾性材或いは縫合等によって1本に一体化された略直線状のゴム等の弾性材であってもよいし、2本または3本以上であってもよい。即ち、2本以上の弾性材を前記収容部と前記延出部の間に並列的に配置し、ウエストの周方向に対し略垂直な方向で各弾性材が上下方向に配置するようにしてもよい。このときの各弾性材同士は離間していてもよいし、互いに近接していてもよいし、一部で厚みを重複させていてもよい。
また、上記接続部の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続は、前記収容部や前記延出部に対する弾性材の接続が直接的または間接的かは問われない。弾性材を直接的に前記収容部と前記延出部に縫付けて前記収容部と前記延出部の間に取付けてもよいし、例えば、弾性材に対しその最大伸びを規定する非弾性材としての伸び止め材を併設し、その伸び止め材を前記収容部側や前記延出部側に縫付けることで、つまりは、非弾性材としての伸び止め材を弾性材の両端部側に縫付け、更に、弾性材の他端よりも突出させて、前記収容部や前記延出部に縫付けることで、伸び止め材を介して間接的に弾性材を前記収容部と前記延出部の間に取付けるようにしてもよい。即ち、上記接続部は、弾性材を用いて前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続している構成であれば、弾性材のみからなる構成であってもよいし、弾性材と伸び止め材等の非弾性材との組合わせで前記収容部と前記延出部の間を接続してもよい。
また、上記腰裏ベルト部は、前記ウエスト方向に一体に連続して前記ウエストベルト部の裏側を形成し、前記弾性材とは別の他の弾性材によって伸縮自在なものであり、全体を前記弾性材とは別の他の弾性材で構成することで伸縮自在な構成としてもよいし、腰裏ベルト部の一部に前記弾性材とは別の他の弾性材を配設する構成であってもよい。即ち、前記ウエストベルト部の裏側の全周を他の弾性材、例えば、ゴムやパワーネット等で形成してもよいし、前記ウエストベルト部のウエスト周方向の一部を1または2以上のゴム等の弾性材で形成するものであってもよい。例えば、上記腰裏ベルト部は、前記延出部に縫付けた延出部側裏ベルトと、前記収容部に縫付けた収容部側裏ベルトと、前記延出部側裏ベルトの一端及び前記収容部側裏ベルトの一端の間を接続した前記弾性材とは別の他の弾性材とから構成されて、前記延出部側裏ベルトと前記収容部側裏ベルトの間の弾性材によってウエスト方向に伸縮自在とされるものであってもよい。
上記Lポケット部は、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、ボトムスの表側のポケット口の外縁が略L字型形状を有し、そのL字状のポケット口外縁の前中心寄りの上端(始端)が前記延出部に接続し、L字状の反対側の脇線寄りの終端がボトムスの脇線に接続しているものである。このポケット口の外縁が略L字型形状は、例えば、その外縁が角張ったL字形状であってもよいし、緩やかにカーブしたL字形状であってもよい。また、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケットであってもよいし、ポケット口の外縁が縦方向に長く横方向に短いL字形状のポケットであってもよい。特に、ポケット口の開き、変形が少ないことから、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部が好ましい。そして、そのようなポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部においては、そのポケット口の縦方向の開口縦幅が、ポケットの中に入れた物の落ち難さを考慮すると、通常、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmに設定される。なお、上記L字状とは、L字及びそれを左右反転させた形状(線対称形状)を含む概念である。また、上記脇線に沿って取付けとは、Lポケット部を形成する袋布の端部が身頃の前側及び後側の境界部分で身頃の前側及び後側と共に縫合されて、身頃の前側及び後側の接ぎ目部分に縫付けられていることを意味する。
上記小ポケット部は、前記Lポケット部と同様、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、前記Lポケット部よりも容量が小さく前記Lポケット部に重ね合わせて重複して取付られたものである。即ち、ボトムスの裏側からみたときに、Lポケット部を構成する袋布の手前(前方)側に小ポケット部を構成する袋布が配設しており、小ポケット部を形成する袋布は、Lポケット部を形成する袋布よりもその容量が小さいものである。
この上記小ポケット部は、そのポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りで、即ち、延出部が収容される収容部の開口端に近づいて前記延出部に接続し、ポケット口外縁の反対側の終端はボトムスの脇線側に接続しているものである。上記小ポケット部は、ボトムスの表側のポケット口の外縁が、ウエストベルト部のウエスト方向に対し垂直方向に略真っ直ぐな略直線状のものであってもよいし、前中心側から脇線側に向かって傾く斜めの直線状のものであってもよいし、L字型形状のものであってもよいし、その変形で外縁が略S字型形状のものであってもよい。特に、ポケット口の外縁が脇線に沿う略直線形状であると、視覚的にポケット口外縁が脇線に重複することで目立たないものとすることができる。なお、上記小ポケット部のポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りとは、小ポケット部のポケット口外縁の上端が前記L字状のポケット口外縁の上端よりも脇線に近いことを意味する。
そして、上記小ポケット部は、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮すると、ポケット口の縦方向の開口(縦幅)が、7cm〜13cm、好ましくは、8cm〜12cmに設定される。特に、前記Lポケット部のL字状のポケット口の縦方向の開口縦幅が、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmを考慮すると、小ポケット部のポケット止まり、即ち、小ポケット口外縁の終端(下端)は、前記Lポケット部のポケット止まり、即ち、脇線と交わるLポケット口外縁の終端の位置より下方に位置することになる。このような小ポケット部とLポケット部の位置関係では、ボトムスの表側から見て、小ポケット部の小ポケット口外縁の下方が、前身頃及びLポケット部によって隠れることになる。
なお、上記Lポケット部及び小ポケット部は、左右のどちらかの脇または左右の両脇に設けられるが、両脇のポケットが左右対称であってもよいし、左右対称でなくともよく、右脇のポケットと左脇のポケットとの種類、形態が異なっていてもよい。
更に、上記小ポケット部は、それを形成している袋布の向こう布側において、その上端から下方に向かって延びる襞状のタック部を有するものである。
ここで、上記タック部とは、小ポケット部を構成する袋布の向こう布に形成した所定の折り目に沿って折り返す、即ち、折畳むことで襞状に形成されたものであり、ウエストベルト部の伸びに伴いポケットの袋布に掛かる引張り力を襞の展開によって逃がすものである。そして、上記タック部では、その上方を除いて一部の襞が縫合されており、その縫合の部分では襞の展開が制限されるものである。なお、上記タック部の上方を除く一部で襞が縫合とは、タック部の上方除いて一部の襞が縫合されていることを意味するが、タックの襞を縫合する位置は、必ずしもタック部の下端までタックの襞が縫合されていることまでを要求するものではない。即ち、タック部の襞の縫合は、ウエストベルト部が伸びたときに袋布の上方で所定の展開量を確保する点から、少なくともタック部の上方を除く必要があるが、タック部の下端側まで縫合されている必要はなく、タック部の上方に加え、タック部の下端側が除かれていてもよい。なお、タック部の上方を除いては、正確にタックの長さの中間位置から上の範囲でタックの襞が縫合されないことを意味するものではなく、タックの上端から下に所定範囲ではタックの襞が縫合されないことを意味する。
なお、上記小ポケット部の向こう布とは、ボトムスの外側(表側)において袋布の生地(裏布)が見えないように袋布に貼付けられる身頃等の共地向こう布、表地を意味するものではなく、袋状の袋布のうちボトムスの裏面側(身体側)に配設する側を向こう布とし、ボトムスの表面側に近い方に配設する手前布と区別するものである。身頃と共地であってもよいし、身頃とは異なる生地、例えば、スレーキ生地等の裏地を使用することも可能である。
請求項3の発明のLポケット付きボトムスは、前記小ポケット部におけるタック部の襞(折り返し部分)を縫合する始点が、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置から上に垂直方向で3cm以上、8cm以下の範囲内、好ましくは、4cm以上、7.5cm以下、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内にあり、前記タック部の襞を縫合する終点は前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置またはそれよりも下にあるものである。
上記小ポケット部のポケット口外縁の終端とは、ボトムスの表側におけるポケット口外縁の長さの両端のうち、延出部に接続する上端とは反対側の脇線寄りの端(下端、末端)のことであり、ポケット止まりのことである。
また、上記始点、終点とは、前記タック部の襞(折り返し部分)を縫合した縫合線の端を意味し、縫製時の縫い始め、縫い終わりの縫製方向、手順までを意味するものではない。このときのタック部の襞の縫合は、その縫合線(縫い目)が、ボトムスの裏側からみたときに、小ポケット部を構成する袋布の向こう布側の外面側にでないように襞を縫合する中縫いであってもよいし、縫合線(縫い目)が向こう布の外面側に表出することになるコバステッチであってもよい。
なお、上記の数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、生地の種類、縫製糸の種類、縫い目の種類等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。
請求項4の発明のLポケット付きボトムスは、前記小ポケット部を構成する袋布の向こう布側において、前記小ポケット部のポケット口外縁に対応する位置に芯材が取付けられているものである。
上記芯材としては、紙芯(パネロン、バイリーン、不繊布等)、布芯(綿、麻、シルク等)、ストレッチ素材(ニット芯等)等が使用されるが、この芯材は、例えば、アイロンプレス等で袋布に接着してもよいし、縫製によって縫付けることも可能である。また、ポケットの袋布が、スレーキ生地等の場合には、通常、ボトムスの表側でポケット口から袋布の生地が見えないように、前記小ポケット部を構成する袋布の向こう布側の前記タック部から前記脇線側で、身頃等と共生地からなる表地(共布向こう布)を取り付けるが、袋布に取り付けるこの表地の裏面に芯材をアイロンプレス等で固着して、それを袋布に縫付け等によって取付けることで、袋布に対し芯材を取付けるようにしてもよい。
そして、上記芯材は、前記小ポケット部のポケット口外縁に対応する位置に設けられるが、少なくとも前記小ポケット部のポケット口外縁の上端から前記Lポケット部のポケット口外縁の終端(ポケット止まり)の垂直方向の長さの範囲に対応していればよい。好ましくは、ウエストベルト部に引張り力が掛かった際の小ポケット部のポケット口外縁の移動範囲に対応する大きさのものである。
請求項5の発明のLポケット付きボトムスの前記小ポケット部は、そのポケット口外縁が前記脇線に沿って延びた直線状であるものである。
なお、上記脇線に沿ってとは、必ずしも前記小ポット部のポケット口外縁が前記脇線に一致することまでを要求するものではなく、前記脇線及びその近傍で前記小ポケット部の直線状に延びたポケット口外縁が位置していることを意味する。
請求項6の発明のLポケット付きボトムスの前記Lポケット部は、そのポケット口外縁が縦方向に短く横方向に長いL字状であり、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端は、前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端より下に位置しているものであり、ボトムスの表側から見て、前記小ポケット部のポケット口外縁の下方が前記前身頃及び前記Lポケット部を構成する袋布の手前布の後方に位置して隠れているものである。
なお、上記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端とは、ボトムスの表側におけるポケット口外縁の長さの両端のうち、L字状の上端とは反対側の末端を意味する。即ち、延出部に接続する上端とは反対側の端(下端、末端)のことであり、ポケット止まりのことである。
請求項7の発明のLポケット付きボトムスの前記腰裏ベルト部は、請求項2乃至請求項6の何れか1つの構成において、前記収容部の裏側に縫付けた収容部側裏ベルトと前記延出部の裏側に縫付けた延出部側裏ベルトの間を前記他の弾性材によって弾性的に接続してなるものである。
即ち、上記腰裏ベルト部は、前記延出部に縫付けた延出部側裏ベルトと、前記収容部に縫付けた収容部側裏ベルトと、前記延出部側裏ベルトの一端及び前記収容部側裏ベルトの一端の間を接続した前記弾性材とは別の他の弾性材とから構成されて、前記延出部側裏ベルトと前記収容部側裏ベルトの間の弾性材によってウエスト方向に伸縮自在とされるものである。
このような腰裏ベルト部は、前記ウエストベルト部の表側を形成する前記延出部及び前記収容部に対し、通常、前記ウエストベルト部の上端部で、延出部側裏ベルトが前記延出部に接がれ、また、収容部側裏ベルトが前記収容部に接がれる。そして、延出部側裏ベルトと収容部側裏ベルトの間を接続する前記弾性材とは別の弾性材は、前記延出部が入れられる前記収容部の開口端側付近で前記延出部に縫着されず前記延出部の裏側に配設される。上記延出部側裏ベルトと収容部側裏ベルトの間を接続する弾性材は、1本のゴム等の弾性材であっても良いし、2本または3本以上の弾性材を並列的に配置し、ウエストの周方向に対し略垂直な方向で各弾性材が上下方向に配置するようにしてもよい。
請求項1の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部の表側及び裏側が、延出部と収容部で形成されており、延出部の端部側が収容部に挿入されて収容され、その状態で延出部と収容部の間が接続部の弾性材によって弾性的に接続されているから、ウエストベルト部に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、弾性材の伸びによって、収容部から延出部が延出することにより、ウエストベルト部が伸長する。また、引張り力が解放されると、弾性材の弾性力によって、伸長したウエストベルト部は元に戻る。こうして、身頃の上部に接続したウエストベルト部は、延出部と収容部の間を弾性的に接続した弾性材の弾性力によって伸縮自在である。
更に、請求項1の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ポケット口外縁がL字状でその上端が延出部に接続したLポケット部と、Lポケット部よりも容量が小さく、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りでポケット口外縁の上端が延出部に接続した小ポケット部とが脇線に沿って前身頃側に設けられている。
そして、小ポケット部を構成する袋布の向こう布側においては、その上端から下方に向かって延びた襞状のタック部が形成され、少なくともその上方が展開自在とされている。よって、ウエストベルト部に引張り力が掛かり収容部に対し延出部が延出するときには、小ポケット部に設けたタック部が展開することで、Lポケット部、小ポケット部、及び前身頃に掛かる引張り力を逃がすことができ、ウエストベルト部をスムースに伸ばすことができる。
なお、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及びそれよりも脇線寄りに位置する小ポケット部のポケット口外縁の上端は前記延出部に接続しているから、収容部に対する延出部の移動に伴い、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及び小ポケット部のポケット口外縁の上端も移動することになる。
このとき、小ポケット部に設けたタック部の襞はその上方を除く一部が縫合されているから、ウエストベルト部が伸びたときでも、タック部の襞の一部が縫合されていることでその開きが制限され、袋布の生地の遊び、余裕が少ない。これより、Lポケット部のポケット口外縁がL字形状であることで、そのポケット止まりから上の引き攣り量が大きくても、Lポケット部よりも脇線寄りに設けた小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出したり、ポケットに皺寄りが生じたりする事態が防止され、見栄えや外観性を維持できる。
このようにして、ウエストが伸びたときのポケットの美観を損なうことなく小ポケットを設けたLポケット付きボトムスとなる。
請求項2の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部の表側は、延出部と収容部で形成されており、延出部の端部側が収容部に収容され、その状態で延出部と収容部の間が接続部の弾性材によって弾性的に接続されている。また、ウエストベルト部の裏側は、前記弾性材とは別の他の弾性材によって伸縮自在な腰裏ベルト部で形成されている。よって、ウエストベルト部に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、収容部と延出部を接続する弾性材の伸びによって収容部から延出部が延出すると共に、ウエストベルト部の裏側を構成する腰裏ベルト部の弾性材の伸びによって腰裏ベルト部が伸びることにより、ウエストベルト部が伸長する。また、引張り力が解放されると、それら弾性材の弾性力によって、伸長したウエストベルト部は元に戻る。こうして、身頃の上部に接続したウエストベルト部は、延出部と収容部の間を弾性的に接続した弾性材の弾性力と腰裏ベルト部の弾性材の弾性力によって伸縮自在である。
更に、請求項2の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ポケット口外縁がL字状でその上端が延出部に接続したLポケット部と、Lポケット部よりも容量が小さく、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りでポケット口外縁の上端が延出部に接続した小ポケット部とが脇線に沿って前身頃側に設けられている。
そして、小ポケット部を構成する袋布の向こう布側においては、その上端から下方に向かって延びた襞状のタック部が形成され、少なくともその上方が展開自在とされている。よって、ウエストベルト部に引張り力が掛かり収容部に対し延出部が延出するときには、小ポケット部に設けたタック部が展開することで、Lポケット部、小ポケット部、及び前身頃に掛かる引張り力を逃がすことができ、ウエストベルト部をスムースに伸ばすことができる。
なお、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及びそれよりも脇線寄りに位置する小ポケット部のポケット口外縁の上端は前記延出部に接続しているから、収容部に対する延出部の移動に伴い、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及び小ポケット部のポケット口外縁の上端も移動することになる。
このとき、小ポケット部に設けたタック部の襞はその上方を除く一部が縫合されているから、ウエストベルト部が伸びたときでも、タック部の襞の一部が縫合されていることでその開きが制限され、袋布の生地の遊び、余裕が少ない。これより、Lポケット部のポケット口外縁がL字形状であることで、そのポケット止まりから上の引き攣り量が大きくても、Lポケット部よりも脇線寄りに設けた小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出したり、ポケットに皺寄りが生じたりする事態が防止され、見栄えや外観性を維持できる。
このようにして、ウエストが伸びたときのポケットの美観を損なうことなく小ポケットを設けたLポケット付きボトムスとなる。
請求項3の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記小ポケット部のタック部の襞(折り返し部分)を縫合する始点は、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置から上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下、好ましくは、4cm以上、7.5cm以下、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内にあり、前記タック部の襞を縫合する終点は、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置またはそれよりも下にある。これより、ウエストベルト部が伸び際には、タック部の上方の襞の展開量を十分に確保しつつ、タック部の下方で襞の展開を制限できる。よって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、ウエストベルト部に引張り力が掛かった際でもウエストベルト部と身頃の境界部での引き攣りを抑えて見栄えを損なうことなく、ボトムスの外側の小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出るのを抑えることができる。
請求項4の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記小ポケット部を構成する袋布の向こう布側で前記小ポケット部のポケット口外縁の位置に対応して芯材が取付けられているから、ウエストベルト部が伸びたときの小ポケット部の袋布の変形、皺寄りを抑制でき、小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出したり、ポケットに皺が生じたりするのを更に防止できる。よって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、ウエストベルト部が伸びたときのポケットの見栄えを向上させることができる。
請求項5の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記小ポケット部は、そのポケット口外縁が前記脇線に沿って延びた直線状であるから、小ポケット部のポケット口が脇線と一体となって見られることで目立ち難い。よって、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、美感、外観性を向上させることができる。
請求項6の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記Lポケット部は、そのポケット口外縁が縦方向に短く横方向に長いL字状であり、また、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端は、前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端より下に位置していることから、着用者の動きや骨盤の大きい人でもそのL字状のポケット口が変形し難く、更に、小ポケット部の中に入れた物が取り出し易い大きさであり、かつ、Lポケット部の中に入れた物が落ち難い大きさである。よって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、使い勝手が良く、また、見栄えに優れるものある。
そして、このように、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端が、前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端より下に位置することで、ボトムスの表側から見て、前記小ポケット部のポケット口外縁の下方が前記前身頃及び前記Lポケット部を構成する袋布の手前布の後方に位置し、ウエストベルト部が伸びたときに小ポケットのポケット口外縁の膨らみ等による変化が前身頃やLポケット部の手前布によって抑制されることでLポケット部のポケット止まりから上の引き攣りがより大きくなる構成であっても、小ポケット部に設けたタック部の襞の一部を縫合していることで、小ポケット部のポケット口からの袋布の表地の部分の吹き出しや、小ポケット部及びその周辺の皺寄りが抑制され、見栄えや外観性が維持される。
請求項7の発明に係るボトムスによれば、前記ウエストベルト部の裏側は、前記収容部の裏側に縫付けた収容部側裏ベルトと前記延出部の裏側に縫付けた延出部側裏ベルトの間を前記弾性材とは別の他の弾性材によって弾性的に接続してなる腰裏ベルト部で形成されているものである。したがって、請求項2乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、前記弾性材とは別の他の弾性材が一部のみの配設であるから、低コストで済み、また、伸縮に伴う弛みも少なくなるから見栄えも良い。
図1(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの正面図である。図1(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長していない状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の近傍を右側面から見た部分拡大図である。図1(c)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長した状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の近傍を右側面から見た部分拡大図である。
図2は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りを示す斜視図である。
図3は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りを展開して裏側から見た展開図である。
図4(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエストベルト部を展開して内部の構成を示す部分展開図であり、図4(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエストベルト部を構成する延出部と収容部の関係を示す部分展開図であり、図4(c)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエストベルト部及びその周囲の構造をズボンの裏側から見て示す部分展開図である。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長する前のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの裏側から見た部分拡大図であり、図5(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長した状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの裏側から見た部分拡大図である。
図6(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長する前のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの表側から見た部分拡大図であり、図6(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長した状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの表側から見た部分拡大図である。
図7(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのLポケット部を形成する袋布の構成を説明するための部品展開図であり、図7(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのLポケット部を形成する袋布の構成を説明する説明図である。
図8(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布の構成を説明するための部品展開図であり、図8(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布の作製途中の構成を示す説明図であり、図8(c)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布にタック部を形成し、タック部の襞をその一部で縫合した状態を示す説明図である。
図9(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布に設けたタック部の襞の一部を中縫いによって縫合した状態を示す説明図であり、図9(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布に設けたタック部の襞の一部をコバステッチで縫合した状態を示す説明図である。
図10は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部及びLポケット部の構成とウエストベルト部の構成をズボンの裏側から見て説明する部分分解斜視図である。
図11は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部及びLポケット部の構成とウエストベルト部の構成をズボンの表側から見て説明する部分分解斜視図である。
図12(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を構成する袋布に縫付けた表地の一部に芯材を貼ることを示す説明図であり、図12(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を構成する袋布に縫付けた表地の片面の全体に芯材を貼ることを示す説明図である。
図13(a)は小ポケット部を有するLポケット付きボトムスを着用した際に、小ポケット部の袋布の表地部分が小ポケット口から吹き出したり、小ポケット部及びその周囲で皺寄りが生じたりする状態を示した説明図であり、図13(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンを着用した際の脇ポケット部及びその周囲の状態を示す説明図である。
図14は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンのウエスト周りを示す斜視図である。
図15は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンのウエスト周りを展開して裏側から見た展開図である。
図16は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンのウエストベルト部の構成を説明するための要部分解斜視図である。
図17(a)は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンの腰裏ベルト部の別の例を示す説明図であって、腰裏ベルト部の表面側(意匠面側)で弾性材の一部を展開した(捲った)状態で示した説明図であり、図17(b)は図17(a)に示した腰裏ベルト部の裏面側(反意匠面側)で弾性材の一部を展開した(捲った)状態で示した説明図である。
図18は本発明の実施の形態に係る綿パンのLポケット部のL字形状のポケット口外縁の別の例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する部分及び機能を意味するものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態に係るLポケット付きボトムスとしての綿パン1の概略構成について、図1乃至図3を参照して説明する。
本実施の形態に係る綿パン1は、下半身を包む前身頃4F及び後身頃4Bと、それら前身頃4F及び後身頃4Bの上部に接続され着用時に人体のウエスト周りに位置するウエストベルト部10とを有するものである。
また、本実施の形態に係る綿パン1は、着用時に人体のウエスト付近に位置するウエスト部Wにおいて、前身頃4F側であって左脇線LSの近傍及び右脇線RSの近傍にLポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20を有している。
ここで、本実施の形態のウエストベルト部10について、図1乃至図6を参照して、詳細に説明する。
本実施の形態において、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10は、そのウエスト長を収容部12と延出部11に分割し、後身頃4Bに縫合わされる収容部12と端部を除いて前身頃4Fに縫合わされる延出部11とを脇線LS,RS付近の上方で重ね合わせて重ね合わせ部13を形成している。
即ち、脇線LS,RS近傍で、収容部12の端部12eに延出部11の端部11t側を挿入し収容することで、特に、延出部11の前身頃4Fに縫着されない端部11tをウエストベルト部10の表裏の意匠面側から隠れるように収容部12内に入れることで、収容部12及び延出部11の重なりによる重ね合わせ部13を形成し、このような収容部12及び延出部11によってウエストベルト部10の表側及び裏側が形成されている。
そして、本実施の形態のウエストベルト部10においては、延出部11の端部11tが収められた収容部12の内部(内側)において、延出部11の端部11tと収容部12の内面側とが弾性材としての平ゴム16で構成される接続部15によって弾性的に接続されている。
このように、本実施の形態では、ウエスト方向に延びる帯状のウエストベルト部10を収容部12及び延出部11の別体で構成し、延出部11の前身頃4Fに縫着しない端部11t側を収容部12に挿入し、収容部12に対し延出部11が収容されている状態で収容部12の内部において収容部12及び延出部11の間を平ゴム16によって弾性的に接続していることで、平ゴム16の弾性力により収容部12から延出部11を延出自在とする。
即ち、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、図1、図5及び図6に示したように、平ゴム16の伸長によって収容部12から延出部11が引き出されて延出し、ウエストベルト部10が伸長する。そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、平ゴム16が弾性力によって元の本来の長さに戻るから、再び延出部11が収容部12内に収容される方向に移動し元の状態に戻る。
こうして、本実施の形態では、ウエストベルト部10を伸縮自在な構成としている。
このような本実施の形態のウエストベルト部10の伸縮自在な構造について、主に、図4乃至図6を参照して、より具体的に説明すると、本実施の形態では、収容部12及び延出部11は何れも前身頃4F及び後身頃4Bと共地(例えば、綿系の生地等)で形成され、ウエストベルト部10の表側の生地と裏側の生地の両者をウエストベルト部10の上端部側で接続している構成である。
即ち、本実施の形態では、綿パン1の外観側にあるウエストベルト部10の表側(外側)を形成する延出部表ベルト11Fの布地、及び、身体が挿入される側にあるウエストベルト部10の裏側(内側)を形成する延出部裏ベルト11Bの布地は、共に身頃4F,4Bと共地とし、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの両者を上側で接いで延出部11を構成している。また、ウエストベルト部10の表側(外側)を形成する収容部表ベルト12Fの布地及びウエストベルト部10の裏側(内側)を形成する収容部裏ベルト12Bの布地も共に身頃4F,4Bと共地とし、収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの両者を上側で接いで収容部12を構成している。
詳しくは、ウエストベルト部10の表側及び裏側を構成する収容部12は、身頃4F,4Bと共地からなる所定幅の収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目に沿ってまたはその近傍で収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの両者が縫合線62Aにて縫合わされている。また、収容部表ベルト12Fの下側は、その折り返した下端部の折り目に沿ってまたはその近傍で後身頃4Bの上端部に縫合線62Cにて縫合わされ、収容部表ベルト12Fに対応する収容部裏ベルト12Bの下側もその折り返した下端部の折り目の近傍で後身頃4Bの上端部に縫合線62Bにて縫合わされている。なお、縫合線62Cと縫合線62Bは、統一してもよいし、収容部裏ベルト12Bの下側は、後身頃4Bに対しウエスト方向の数箇所の部分的な縫付けであってもよい。
このとき収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの布地の内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等によって貼付けられる。例えば、ハード芯HCは収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの布地において折り返しのない中央部分に貼付けられる。また、ソフト芯SCは収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの布地の上端部や下端部の折り返し部分に貼付けられる。更に、必要に応じ、収容部12に入れられる延出部11の滑りを良くするために、延出部11が挿入される収容部12の端部12e(開口側)の内面においてソフト芯SCやハード芯HCの上に、伸縮性を有しない生地、例えば、ポリエステル系生地等からなる接着布、裏地等を、アイロンプレス等によって貼付けることもある。
即ち、本実施の形態では、収容部表ベルト12Fの布地に対し、その上下端部を内折りすることで、収容部表ベルト12Fがウエスト周方向で均一な幅となるようにその幅が設定され、また、収容部裏ベルト12Bにおいてもその布地の上下端部を内折りすることで、収容部裏ベルト12Bがウエスト周方向で均一な幅となるようにその幅が設定されている。なお、このとき、収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの中央側に所定形状に切り出されたハード芯HCを貼付けている場合には、通常、そのハード芯HCの形状に沿って収容部表ベルト12Fの布地の上下端部が内折りされる。そして、収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの両者はそれらの上方で縫合線62Aにて接がれ、また、下方で縫合線62B及び縫合線62Cにて後身頃4Bと縫合され、それら収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bによって、帯状をなす収容部12を形成している。
また、ウエストベルト部10を構成する延出部11についても、身頃4F,4Bと共地からなる所定幅の延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目に沿ってまたはその近傍で延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの両者が縫合線61Aにて縫合わされている。更に、延出部表ベルト11Fの下側は、収容部12に挿入される先端部11tを除いて、前身頃4F及び後述するポケットの袋布21L,21Sの一部に縫合線61Cにて縫合わされ、それに対応する延出部裏ベルト11Bの下側も、収容部12に挿入される先端部11t側の一部を除いて前身頃4F及び後述するポケットの袋布21L,21Sの一部に縫合線61Bにて縫合わされている。なお、縫合線61Cと縫合線61Bは、統一してもよいし、延出部裏ベルト11Bの下側は、前身頃4Fに対しウエスト方向の数箇所の部分的な縫付けであってもよい。
一方で、収容部12内に挿入される延出部11の先端部11tは、前身頃4Fやポケットの袋布21L,21Sの上端部と縫合わされず自由な状態になっている。これより、図5及び図6に示すように、収容部12に入れられた延出部11の先端部11tは、収容部12から延出自在、つまり、ウエスト方向に相対移動自在とされる。
そして、収容部12と同様、延出部11についても、延出部表ベルト11Fや延出部裏ベルト11Bの布地の内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等で貼付けられる。例えば、ハード芯HCは延出部表ベルト11Fや延出部裏ベルト11Bの布地において折り返しのない中央部分に貼付けられる。また、ソフト芯SCは延出部表ベルト11Fや延出部裏ベルト11Bの布地の上端部や下端部の折り返し部分に貼付けられる。
ここで、図4(b)で示すように、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bからなる本実施の形態の延出部11は、収容部12に対して摺動し易いように、前身頃4Fに縫着されない先端部11tにおいて、その先端側に向かって徐々に幅を細くしている。詳細には、本実施の形態の延出部11の収容部12に挿入される先端部11tでは、その上端が直線状のラインであるのに対し、その下端が先端に向かって上昇する傾斜ラインである。一方、延出部11の収容部12に挿入される先端部11tを除いては、収容部12と同様に延出部11の延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bがウエスト周方向で均一な幅となるようにその幅が設定されている。
即ち、本実施の形態では、延出部表ベルト11Fの布地に対し、その上下端部を内折りし、また、延出部裏ベルト11Bの布地に対し、その上下端部を内折りして、収容部12に挿入される先端部11tを除いては、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bがウエスト方向に均一な幅となるようにそれらの幅が設定され、そして、収容部12に挿入される先端部11tでは、その端に向かって徐々に幅が細くなるように延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの幅が設定されている。なお、このとき、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの中央側に所定形状に切り出されたハード芯HCを貼付けている場合には、通常、そのハード芯HCの形状に沿って延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの布地の上下端部が内折りされる。これら延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bは、両者がそれらの上方で縫合線61Aにて接がれ、また、下方で前身頃4Fと縫合線61B及び縫合線61Cにて縫合され、それら延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bによって、帯状をなす延出部11を形成している。
なお、本実施の形態のウエストベルト部10の表側及び裏側を構成するこれら収容部12と延出部11は、延出部11の前身頃4Fに縫着されていない先端部11tが収容部12内に挿入されて収容され、収容部12及び延出部11が重なる重ね合わせ部13を形成している。
そして、本実施の形態のウエストベルト部10では、このようにして形成された収容部12と延出部11は、収容部12の内部(内面側)において、それらの間が所定長さの平ゴム16からなる接続部15によって接続されている。
平ゴム16としては、織ゴム、編ゴム、コールゴム、ゴムテープ等が使用される。十分な弾性を有するものであれば、他にもゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の様々な弾性を有する素材を用いることも可能である。
これより、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、平ゴム16の弾性力によって、収容部12に挿入された延出部11をウエスト方向に延出自在、即ち、相対移動自在とする。つまり、収容部12と延出部11の間を接続した平ゴム16の弾性力により、ウエストベルト部10を伸縮自在とする。
更に、本実施の形態では、この平ゴム16に対し、平ゴム16の厚さよりも薄い非伸縮性の生地、例えば、リボンテープ等からなる帯状の伸び止め材17を縫着しており、この伸び止め材17によって平ゴム16の最大の伸び長さを規定している。即ち、平ゴム16の最大伸びに相当する長さだけ弛ませて伸び止め材17が平ゴム16に並設して縫着されている。
伸び止め材17としては、平ゴム16の伸びを規定する役割からすれば、伸縮性に乏しく、適度な強度を有する生地が好適であり、更に、平ゴム16よりも厚みが薄いと嵩を抑制できる点で好ましく、例えば、スレーキ生地や、リボンテープや、ポリエステル系、ナイロン系、レーヨン系、綿等からなる生地等が使用できる。
本実施の形態において、この伸び止め材17は、その長手方向の一端部側が、収容部12内に挿入される延出部11の先端部11t側に平ゴム16を縫付けるときの縫付線51にて、延出部11と共に平ゴム16の一端部側に縫付けられている。また、伸び止め材17の延出部11側とは反対側の他端部側は、平ゴム16を収容部表ベルト12Fに縫付けるときの縫付線52にて、収容部表ベルト12Fと共に平ゴム16の他端部側に縫付けられている。このように本実施の形態において、帯状の伸び止め材17は、平ゴム16に対しその両端部側に縫付線51,52にて縫付けられている。
このとき、伸び止め材17は、平ゴム16の伸びを許容する分だけ、即ち、平ゴム16の伸びる許容範囲の長さ(例えば、1.5cm〜5cm)だけ弛ませ、平ゴム16の両端部側に縫付線51,52にて縫付けている。なお、平ゴム16の最大伸びに相当する長さだけ弛ませて平ゴム16に縫付けている伸び止め材17は縫付線51及び縫付線52間の弛みを折畳む折り目の形成により、嵩張りを少なくできる。
こうして、本実施の形態においては、平ゴム16に並設して取付けた伸び止め材17によって、平ゴム16の伸びの限界が規定されており、平ゴム16に引張り力が掛かっても、この伸び止め材17が縫付線51及び縫付線52間で弛ませている(折畳まれている)長さまでしか平ゴム16が伸びることのないようにし、平ゴム16の過度の伸びを防止している。即ち、伸び止め材17によって平ゴム16に無理な引張り力が掛かるのを防止するから、平ゴム16を長持ちさせることができる。更に、このように平ゴム16にその最大伸びを特定する伸び止め材17を並設していることで、収容部12及び延出部11の重ね合わせ部13に過度な張力が加えられないようにその伸び長さを制限できることから、重ね合わせ部13の見栄えを維持することもできる。加えて、ウエストベルト部10が伸縮する布地で形成されていても、特定の伸縮性に設定できる。
なお、図4において、伸び止め材17は、平ゴム16の表裏面のうち収容部表ベルト12F側とは反対面側、即ち、収容部裏ベルト12B側に取付けられているが、本発明を実施する場合には、収容部表ベルト12F側に取付けてもよい。
また、本実施の形態では、伸び止め材17の両端部を平ゴム16の両端部に縫付ける構成としているが、本発明を実施する場合には、伸び止め材17を長くし、その長くした伸び止め材17を平ゴム16の最大伸びに相当する長さだけ弛ませて平ゴム16の長さ方向の両端側に縫付け、更に、平ゴム16の一端または両端よりも突出させて延出部11や収容部12の内部に縫付けるようにしてもよい。この場合には、平ゴム16を収容部表ベルト12Fや延出部11に直接縫付けず、伸び止め材17を収容部表ベルト12Fや延出部11に縫付けることで、平ゴム16が収容部表ベルト12Fや延出部11に対し伸び止め材17を介して接続する構成となる。このような構成によって、収容部12及び延出部11の間を平ゴム16によって弾性的に接続する接続部15を形成してもよい。
例えば、伸び止め材17の端部の一方を平ゴム16の一方の端部に縫付け、また、伸び止め材17の途中に平ゴム16の端部の他方を縫付け、そして、伸び止め材17の端部の他方を、収容部表ベルト布12Fの内面に縫付ける構成では、伸び止め材17の端部の他方を、収容部表ベルト布12Fの内面に縫付けるときの縫付線を収容部12の開口端12e側からより離れた遠い位置に持ってくることができる。このため、収容部表ベルト布12Fの内面に縫付けるときの縫付線をベルト通し5A(図2参照)で隠す場合には、隣り合ったベルト通し5,5A(図2参照)の間隔を長くすることができるようになり、ベルト通しの配置数を少なくすることが可能となる。
即ち、本実施の形態の綿パン1において、延出部11の先端部11t側に平ゴム16を縫付けたときの縫付線51は、延出部11の先端が収容部12内に収容されるため、綿パン1の表側及び裏側の意匠面側からは見えない。
しかしながら、平ゴム16を収容部表ベルト12Fに縫付けたときの縫付線52は収容部表ベルト12Fの表裏面を貫通し綿パン1の表側に出ることになる。
そこで、本発明を実施する場合には、美観を向上させるために、ウエストベルト部10の表側で縫付線52をベルト通し5A(図2参照)で隠すようにすることも可能である。また、このようなベルト通し5(図1及び2参照)は、例えば、ウエストベルト部10の表側で、延出部11が延出される収容部12の開口端12eを覆い隠すように収容部12の表側の開口端12eにも取付けると、ウエストベルト部10の見栄えや美感を向上させることができる。勿論、綿パン1のウエストベルト部10の正面側及び背面側にも、同様のベルト通し5(図1及び2参照)が適当な間隔をとって取付けられる。
また、本実施の形態では、平ゴム16の延出部11側とは反対側の他端部を収容部12の収容部表ベルト12Fの内面(裏面)側に縫付けている。このように、平ゴム16を収容部表ベルト12Fの内面(裏面)側に縫付ける場合には、平ゴム16の面方向と並行方向への縫付けであるから、縫製に不慣れな熟練者にもその縫付けが分かりやすく、熟練の有無に関わらず、正確な縫製が容易にでき作業効率も良好となる。
しかし、本発明を実施する場合には、平ゴム16の延出部11側とは反対側の他端部を、収容部12の収容部裏ベルト12Bの内面(裏面)側に縫付けてもよい。
特に、平ゴム16を収容部裏ベルト12Bの内面側に縫付けると、平ゴム16を収容部12に縫付けるときの縫付線は、ウエストベルト部10の表側から見えなくなるから、ベルト通しを設けないボトムスであっても、見栄え、美感を維持できる。このときの伸び止め材17も、平ゴム16の表裏面のうち収容部裏ベルト12B側に取付けてもよいし、収容部裏ベルト12B側とは反対面側の収容部表ベルト12F側に取付けることも可能である。
更に、本実施の形態の綿パン1においては、収容部12及び延出部11の間を接続する平ゴム16とは別に補助弾性材として幅の細い所定長さの平ゴム28を後述する小ポケット部20Sの小袋布21Sとウエストベルト部10との間に縫着している。詳細には、平ゴム28の一端部を、後述する小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SBの後側布地21BBの上端部であってタック部22を形成する第2の折り目222の近傍に縫付け、また、反対側の他端部を、後述するLポケット部20Lを構成する大袋布21Lの向こう布21LBの上端部であって、小袋布21Sと重複していない部分で延出部表ベルト11Fの内折りした下部及び前身頃4Fの上端部と共に縫付けられている。なお、この平ゴム28を縫付けるときの縫付線は綿パン1の表側(外側)からは見えないようになっている。
このときの平ゴム28としては、例えば、織ゴム、編ゴム、コールゴム、ゴムテープ等が使用されるが、本発明を実施する場合、十分な弾性を有するものであれば、ゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の様々な弾性を有する素材を用いることも可能である。
このように、本実施の形態の綿パン1においては、平ゴム28の一端部を、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SBの後側布地21BBの上端部に対して縫付け、反対側の他端部を、Lポケット部20Lを構成する大袋布21Lの向こう布21LBの上端部であって小袋布21Sと重複していない部分に対して、前身頃4Fの上端部及び延出部表ベルト11Fの下側の折り返し部分と共に縫付け、この平ゴム28によって小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sのタック部22近傍と延出部表ベルト11F側とを弾性的に接続することで、延出部11の先端部11t側が収容部12から繰り返し出たり入ったりする場合でも、平ゴム28の弾性力によりタック部22の形状を維持し、小袋布21Sの形状が崩れたり、ウエストベルト部10と身頃4F,4Bの境界付近で小袋布21Sや身頃4F,4Bに皺が寄り見栄えが悪くなったりするのを防いでいる。
特に、平ゴム28の長さ方向の両端部のうち延出部表ベルト11Fの折り返した下部及び前身頃4Fの上端部へ縫付け位置を、反対側のタック部22近傍への縫付け位置よりも若干高くし、平ゴム28の両端の縫付け高さに高低を付していると、タック部22から前中心FC寄りの後側布地21BBに皺が入り難いものとのなる。
なお、このような補助弾性材としての平ゴム28の縫付けは、例えば、長さ方向の一端を、後側布地21BBの上端部に縫付ける一方で、反対側の他端部を延出部表ベルト11Fの上側の折り返し部分に縫付けることも可能である。このような縫付位置でも、小袋布21の形状を維持し、皺寄りの発生を防止して綿パン1の見栄えを良好に維持できる。
次に、ウエストベルト部10の周辺の構造について詳細を説明する。
上述したように、本実施の形態のウエストベルト部10は、後身頃4B側に縫合した収容部12の内部に前身頃4F側に縫合した延出部11の先端部11tが挿入されてウエスト周りが形成され、収容部12の内部において平ゴム16により収容部12と延出部11の間が接続されている構成である。
ここで、本実施の形態の綿パン1において、直線状に形成したウエストベルト部10の収容部12及び延出部11は、図5及び図6に示したように、両脇の脇線LS,RSの上方付近で収容部12に延出部11が挿入されることで重ね合わせられて、収容部12及び延出部11が重複した重ね合わせ部13を形成している。そして、本実施の形態の綿パン1においては、この収容部12と延出部11の重ね合わせ部13付近の下方であって、脇線LS,RSの近傍に左右で一対の脇ポケット部20が形成されている。
本実施の形態の脇ポケット部20は、図5及び図6に示したように、L字形状のLポケット口外縁26Lを有するLポケット部20Lと、それよりも容量が小さく直線状の小ポケット口外縁26Sを有する小ポケット部20Sとから構成されており、ズボンの裏側から見て、Lポケット部20Lを構成する大袋布21Lの手前側に小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sが重ねられて形成されている。
このようなLポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20の製作及び取付けについての詳細を、主に、図5乃至図13を参照にして説明する。
本実施の形態の脇ポケット部20を形成するLポケット部20Lは、綿パン1の脇線LS,RSに沿って前身頃4Fと後身頃4Bの間で大袋布21Lを縫付けることによって脇線LS,RS近傍の前身頃4F側に形成されている。
Lポケット部20Lを構成する大袋布21Lは、図7、図10及び図11に示すように、例えば、綿生地、スレーキ生地等の1枚の布地を所定形状に切断し、それを中央側で折畳み、手前布21LF側の端部21Lfを前身頃4F及び後身頃4Bに接続すると共に、向こう布21LB側の端部21Lbも、その下方側を前身頃4F及び後身頃4Bに接続して、後述する小ポケット部20Sの小袋布21Sの端部21Sf,21Sbと共に脇線LS、RSを形成する。
このとき、大袋布21Lの手前布21LF側の略L字状の上端部は、前身頃4Fの略L字状の上端部と縫合し、略L字状のLポケット口外縁26Lを形成している。そして、大袋布21Lの手前布21LF側の残りの上端部は、前身頃4Fと共に延出部11に縫合されており、また、大袋布21Lの向こう布21LB側の上端部も延出部11に縫合されている。
大袋布21Lの向こう布21LB側の端部21Lbにおいて前身頃4F及び後身頃4Bに縫合していない上方は、後述する小ポケット部20Sを構成している小袋布21Sの手前布21SF側の端部21Sbと縫合され略直線状の小ポケット口外縁26Sを形成している。
なお、図において、略L字状のLポケット口外縁26Lの脇線LS,RS寄りの終端(末端)と脇線LS,RSの交点をLポケット止まり75Lとし、ウエストベルト部10に対し垂直方向に略直線状の小ポケット口外縁26Sの終端(下端、末端)を小ポケット止まり75Sとしており、小ポケット止まり75SやLポケット止まり75Lには、必要に応じ、縫製の縫い目を補強する閂止めが施される。
また、本実施の形態において、このLポケット部20Lを構成する大袋布21Lの向こう布21LB側では、大袋布21Lを形成している生地がズボンの表側(外側)から見えないようにするために、身頃4F,4Bと共地の所定形状(図においては、略四分円の形状)の表地(共布向こう布)25Lが縫付けられている。即ち、大袋布21Lの生地がLポケット部20Lの表側(外側)から見えないようにするため、大袋布21Lを形成する所定形状の綿生地、スレーキ生地等の生地に対し、向こう布21LBのズボンの表面側から見える方の表面側に身頃4F,4Bと共地の所定形状の表地25Lを重ねて縫付けている。
そして、このLポケット部20Lの大袋布21Lは、その表側(反身体側)の手前布21LFの下端部及びその裏側(身体側)の向こう布21LBの下端部を縫合線28Lにて縫製して閉じることで袋状に形成され、手前布21LFの略L字状のLポケット口外縁26Lとそれに対向する向こう布21LBとの間がポケット口23Lとなり、手前布21LFと向こう布21LBの間がLポケット部20Lのポケットとしての収容空間となっている。
こうして、Lポケット部20Lの大袋布21Lは、前身頃4Fと後身頃4Bの間で縫着されて前身頃4F側に配設されている。
このような手前布21LFと向こう布21LBからなる大袋布21Lによって構成されるLポケット部20Lのサイズ、容量は、綿パン1の種類、デザイン、紳士用・婦人用等に応じて任意に設定されるが、綿パン1の表側(外側)からみたときのLポケット部20LのLポケット口23Lの開口幅(縦幅)ml(図6(a)参照)は、ポケットの中に入れる物が落ち難いように、通常、5cm〜11cm程度、好ましくは、6cm〜10cm程度に設定される。なお、L字状のLポケット口外縁26Lと脇線LS,RSとの交点をLポケット止まり75Lとすると、Lポケット部20LのLポケット口23Lの開口幅(縦幅)mlは、綿パン1の表側(外側)から見たときに、ウエストベルト部10の下端、即ち、上がり線OLから、Lポケット口外縁26LのLポケット止まり75Lの高さ位置までの垂直方向(上下方向)の長さ(距離)である。また、大袋布21Lの大きさ寸法は、その垂直方向(上下方向)の縦幅が、上がり線OL(図4及び図6参照)を基準とするとそこから下端部の縫合線28Lまでの長さ(距離)で、例えば、18〜26cm程度、好ましくは、20〜24cm程度である。また、大袋布21Lの最大横幅は、脇線LS,RSを基準としそこから前中心FC側の端までの長さ(距離)で、11cm〜21cm程度、好ましくは、14cm〜19cm程度である。なお、綿パン1の表側(外側)からみたときのLポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、脇線LS,RSとの間の横幅の長さ(距離)は、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmであり、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの上端との間の横幅の長さ(距離)も、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmである。
また、本実施の形態の脇ポケット部20を形成する小ポケット部20Sも、Lポケット部20Lと同様、綿パン1の脇線LS,RSに沿って前身頃4Fと後身頃4Bの間で小袋布21Sを縫付けることによって脇線LS,RS近傍の前身頃4F側に形成されている。
この小ポケット部20Sの小袋布21Sも、図8に示すように、例えば、綿生地、スレーキ生地等の1枚の布地を略長方形状等の所定形状に切断し、それを中央側で折畳み、向こう布21SB側の端部21Sbを前身頃4F及び後身頃4Bに接続すると共に、手前布21SF側の端部21Sfも、その下方側を前身頃4F及び後身頃4Bに接続し、Lポケット部20Lの大袋布21Lの端部2Lb,21Lfと共に脇線LS、RSを形成している。
このとき、小袋布21Sの手前布21SF側の上端部は、大袋布21Lと共に、延出部11と縫合されている。また、小袋布21Sの向こう布21SF側の上端部は、前中心FC側の一部が延出部11と縫合されている。
更に、小袋布21Sの手前布21SF側の端部21Sfは、前身頃4F及び後身頃4Bに接続していない上方がLポケット部20Lを形成する大袋布21Lの向こう布21LB側の端部21Lbの上方と縫合され、脇線LS、RSに沿いウエストベルト部10に対して直角な略垂直方向に直線状の小ポケット口外縁26Sを形成している。
そして、小ポケット部20Sの小袋布21Sは、その表側(反身体側)の手前布21SFの下端及びその裏側(身体側)の向こう布21SBの下端を縫合線28Sにて縫製して閉じることで袋状に形成され、小袋布21Sにおいて手前布21SFの略直線状の小ポケット口外縁26Sとそれに対向する向こう布21SBとの間が小ポケット口23Sとなり、それら手前布21SFと向こう布21SBの間が小ポケット部20Sのポケットとしての収容空間となっている。
こうして、小ポケット部20Sの小袋布21Sも、Lポケット部20Lの大袋布21Lと同様、前身頃4Fと後身頃4Bの間で縫着されており、綿パン1の裏側から見たときに、大袋布21Lの手前側に小袋布21Sが位置し、両者がそれらの端部を脇線LS,RSで寄せて重ね、脇線LS,RS寄りで重なり合って重複している。
このような手前布21SFと向こう布21SBからなる小袋布21Sによって構成される小ポケット部20Sのサイズ、容量も、綿パン1の種類、デザイン、紳士用・婦人用等に応じて任意に設定されるが、綿パン1の表側(外側)からみたときの小ポケット部20Sの小ポケット口23Sの開口幅(縦幅)ms(図6参照)は、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮すると、3cm〜15cmの範囲内、好ましくは、6cm〜13cmの範囲内、より好ましくは、8cm〜12cmの範囲内とされる。
特に、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sは一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮し、かつ、Lポケット部20Lの中に入れた物が落ち難い大きさを考慮するとなると、本実施の形態においては、小ポケット部20Sの直線状の小ポケット口外縁26Sの下端である小ポケット止まり75Sが、Lポケット部20のL字状のLポケット口外縁26Lの下端であるLポケット止まり75Lよりも下方、例えば、1cm〜6cm下に位置し、ズボンの表側(外側)から見たとき、小ポケット口外縁26Sの下方は、前身頃4Fの後ろに重なって見えないようになっている。
なお、ウエストベルト部10に対して直角な略垂直方向(上下方向)に直線状の小ポケット口外縁26Sの下端を小ポケット止まり75Sとすると、小ポケット口23Sの開口幅(縦幅)msは、綿パン1の表側(外側)からみたときのウエストベルト部10の下端、即ち、上がり線OLから、小ポケット口外縁26Sの小ポケット止まり25Sの位置までの垂直方向の長さ(距離)である。また、小袋布21Sの大きさ寸法は、その垂直方向(上下方向)の縦幅が、上がり線OLを基準とするとそこから下端部の縫合線28Sまでの長さ(距離)で、例えば、14〜20cm程度、好ましくは、15〜18cm程度である。また、小袋布21Sの最大横幅は、脇線LS,RSを基準としそこから前中心FC側の端までの長さ(距離)で、7cm〜13cm程度、好ましくは、8cm〜11cm程度である。
ここで、延出部11の延出部表ベルト11Fは、前身頃4Fと大袋布21Lと小袋布21Sの手前布21SFに対し、前中心FC側から小ポケット口外縁26Sの上端の位置まで縫合線61Cにて縫付けられるが、小袋布21Sの向こう布21SB側に対しては、前中心FC側から後述するタック部22の第1の折り目221の位置までが縫合線61Cによる縫合位置となっている。また、延出部11の延出部裏ベルト11Bは、前身頃4Fと大袋布21Lと小袋布21Sに対し、前中心FC側から小袋布21Sの後述するタック部22の第2の折り目222の近傍までが縫合線61Bによる縫合位置とされている。
即ち、延出部11の収容部12に挿入される先端部11t側は前身頃4F、大袋布21L及び小袋布21Sに縫着されておらず収容部12から延出自在とされる。
これより、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、図5及び図6に示したように、小ポケット口外縁26Sの上端部及びLポケット口外縁26Lの上端部は、延出部11が収容部12から抜き出る方向に延出部11と一体に移動し、収容部12の開口端12e側、即ち、脇線LS,RS側から離れる方向に位置する。そして、それに伴い、小ポケット口外縁26Sと脇線LS,RSの間の表出する面積が拡大する。
このとき、本実施の形態では、ポケット口外縁26Sと脇線LS,RSの間で小袋布21Sの生地がズボンの表側(外側)から見えないようにするために、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側には、身頃4F,4Bと共地の表地(共布向こう布)25Sが縫付けられている。即ち、小ポケット口外縁26Sが脇線LS,RS側から離れる方向に移動した際でも小袋布21Sの生地がズボンの表側(外側)から見えないようにするため、小袋布21Sを形成する所定形状の綿生地、スレーキ生地等の布地に対し、その向こう布21SB側に身頃4F,4Bと共地の所定形状(図においては略長方形状)の表地(共布向こう布)25Sを重ねて縫付けている。これより、ウエストベルト部10に引張り力が掛かると、延出部11の移動に伴い小ポケット口外縁26Sの上端部が脇線LS,RS側から離れる方向に移動することで、小ポケット部20Sの表地25Sが表出する面積が拡大する。
更に、本実施の形態では、図12に示したように、小袋布21Sに縫付ける表地25Sに対しズボンの表側(外側)とは反対面側に芯材としてのハード芯77をアイロンプレス等によって貼り付けている。これにより、後述するように、ウエストベルト部10が伸びたときでも、小ポケット口23Sから小袋布21(表地25を含む)が吹き出したり、脇ポケット部20やその周囲に皺が寄ったりするのをより効果的に防止し、より見栄えを向上させることができる。このときのハード芯77は、脇線LS,RS寄りに設けられ、図12(b)に示したように、タック部22から脇線LS,RS側に設けた表地25Sの片面(裏面)の略全面に接着してもよいが、図12(a)に示されるように、表地25Sの片面(裏面)に対し、脇線LS,RS寄りの一部であっても、小ポケット口23Sから小袋布21が吹き出したり、脇ポケット部20やその周囲に皺が寄ったりするのを防止して見栄えを向上させる効果が得られる。
即ち、この芯材としてのハード芯77は、後述するタック部22から脇線LS,RS寄りに設けられるが、脇線LS,RS及びその近傍の範囲の小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sに対応する位置であって、少なくとも、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sの上端からLポケット口外縁26LのLポケット止まり75Lの長さ以上で脇線LS,RS側に沿って取付けることで、ウエストベルト部10が伸びたときの小ポケット部20Sの小袋布21Sの変形を防止し、小ポケット部20Sの皺寄りを効果的に防止できる。より好ましくは、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際の小ポケット部20Sのポケット口外縁26Sが移動する範囲、即ち、小ポケット部20Sの表地25Sが表出する範囲に対応する大きさであれば、生地が薄くても、ウエストが伸びたときの小ポケット部20Sの小袋布21Sの変形を防止して、見栄えを向上させる効果を得ることができる。
なお、ここでは、ハード芯77を表地25Sにアイロン等で接着する説明としたが、本発明を実施する場合には、接着芯等を直接、小袋布21Sに接着してもよいし、縫製による縫付けであってもよい。
加えて、本実施の形態の小袋布21Sにおいては、図8(a)に示した小袋布21Sの向こう布21SBとなる方で、脇線LS,RSを形成する身頃4F,4B側に縫合される前に、予め、図8(b)及び図8(c)に示すように、所定の位置にて2本の折り目221、222を付しそれらの折り目221、222に沿って所定幅で折重ねることにより、タック(折り返し)部22を形成している。
このタック部22は、図8(b)に示すように、小袋布21Sの向こう布21SBにおいて、上端から下方に延びる2本の折り目221、222を形成し、2本の折り目221、222のうち手前布21SF及び向こう布21SBの閉鎖端部側に近い方(図18(b)において右側)の第1の折り目221を谷折りとし、もう一方の第2の折り目222を山折りにすることで、図8(c)に示すように、襞状に形成されている。
なお、図8(c)に示すように、タック部22の襞を形成した小袋布21Sの向こう布21SBにおいて、身頃4F,4B側に縫付ける端部21Sb側から第2の折り目222までの間の布地を後側布地21BBとし、端部21Sbとは反対側の閉鎖端部側から第1の折り目221までの間の布地を前側布地21BFとし、後側布地21BBと前側布地21BFの間の布地、即ち、第2の折り目222と第1の折り目221の間の布地を中間布地21BMとしたとき、第1の折り目221及び第2の折り目222に沿って折畳んで形成した襞状のタック部22では、それら後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとが重なり合って重複する。
このように小袋布21Sの向こう布21SBの一部を折畳んだタック部22の形成により、ウエスト部Wに引張り力が掛かった際には、ウエストベルト部10の延出部11が収容部12から抜き出る移動と共に、折畳んだタック部22(正確には、タック部の一部)が開くから、脇ポケット部20を構成する袋布21L,21Sに掛かる引張り力を逃すことができ、ウエスト周りをスムースに伸ばすことができる。そして、タック部22が開閉することによってウエストベルト部10が伸縮する際でも、ウエストベルト部10の下部の身頃4F,4Bの生地に皺、引き攣り等を生じさせ難いから、見栄えの良い綿パン1となる。
このときタック部22の上端部の折畳み長さは、ウエストベルト部10の伸び量に応じウエストベルト部10を伸ばしたときの袋布21L,21Sの上方の引き攣りが少なくウエストベルト部10のスムースな伸びを確保できる長さであればよく、好ましくは、ウエストベルト部10の伸び長さ以上に設定される。タック部22の襞(折り返し部分)の幅、即ち、2本の折り目221と折り目222の間の間隔幅からすると、小袋布21Sの向こう布21SBの上端で第1の折り目221と第2の折り目222の間の間隔、即ち、横幅長さw(図11参照)は、好ましくは、ウエストベルト部10の最大の伸び長さの0.5倍〜0.7倍である。
例えば、平ゴム16に縫着した伸び止め材17の折畳み長さを3cmとし、その伸び止め材17の折畳み長さによって平ゴム16の最大伸びを約3cmに規制する場合、即ち、ウエストベルト部10の伸び長さを3cmとする場合には、小袋布21Sの向こう布21SBの上端で第1の折り目221と第2の折り目222の間の横幅長さwを約1.5cm以上とする。より好ましくは、約1.5cm以上、2cm以下である。
また、例えば、平ゴム16に縫着した伸び止め材17の折畳み長さを5cmとし、その伸び止め材17の折畳み長さによって平ゴム16の最大伸びを約5cmに規制する場合、即ち、ウエストベルト部10の伸び長さを5cmとする場合には、小袋布21Sの向こう布21SBの上端で第1の折り目221と第2の折り目222の間の横幅長さwを約2.5cm以上とする。より好ましくは、約2.5cm以上、3cm以下である。
また、タック部22の垂直方向(上下方向)の縦幅の長さは、綿パン1の種類、デザイン、紳士用・婦人用等に応じて任意に設定されるが、例えば、紳士用のボトムスのように、折り目221、222を安定させるために折り目221、222にアイロン等のプレスを施してしっかり折り目を付したり、小袋布21Sをアイロン等でプレスしてクセとりをしたりする設計の場合には、通常、小袋布21Sの縦幅の全長(正確には、小袋布21Sの上端から向こう布21SB及び手前布21SRを縫合した縫合線28Sの位置まで)に亘ってタック部22が形成され、タック部22の折り目221,222がアイロン等のプレスでしっかり付されるようにされる。例えば、上がり線OLを基準とするとタック部22の垂直方向の縦幅の長さx(上がり線OLと縫合線28Sの間の長さ)は、14〜20cm程度、好ましくは、15〜18cm程度である。
これにより、小袋布21Sの下方の遊び、余り、ダブつき、浮き等が少なくなり、アイロン等でプレスすればそれらのクセとりができるから、小袋布21Sの歪み、皺、膨らみ、浮き等が少なくて見栄えに優れた脇ポケット部20に仕上げることができる。
一方、タック部22を形成するための2本の折り目221、222にしっかりクセを付したり、また、小袋布21Sのクセとりをしたりするためのアイロン等のプレス処理を行わないボトムス、例えば、婦人用のボトムスの場合には、必ずしも小袋布21Sの縦幅の全長に亘ってタック部22を形成しなくともよく、タック部22の形成が小袋布21Sの縦幅長さの一部となる場合もある。このときのタック部の長さは、例えば、上がり線OLを基準とすると、タック部22の垂直方向の縦幅の長さxは、9〜18cm程度、好ましくは、10〜16cm程度である。このような所定長さのタック部22の形成により袋布21の下方の布地の遊びも綿パン1の表側に響かない程度になる。
ここで、上がり線OLは、上述したように、ウエストベルト部10の表側の下端、詳しくは、ウエストベルト部10表側の延出部表ベルト11の下端のラインに一致するものである。向こう布21SBの裁ち切り線からすると、上がり線OLはその裁ち切り線よりも、通常、1cm程度下位に位置する。
なお、ウエストベルト部10が伸びるときに袋布21L,21Sに掛かる引張り力は、袋布21L,21Sにおいて、ウエストベルト部10の配設側の上端側から下方に向かって徐々に減少する。そこで、それに併せて、本実施の形態においては、タック部22の折畳み長さは、その上端側から下方に向かって徐々に小さくなるように設定されている。即ち、2本の折り目221及び折り目222は上端側から下方に向かって徐々に近づくように設定されている。例えば、図8においては、傾きが小さく略直線状の第1の折り目221に対し、第2の折り目222は上端側から下方に向かって第1の折り目221側に近づく(大きく傾く)斜めに形成し、2本の折り目221及び折り目222が上端側から下方に向かって徐々に近づくようにしている。これにより、ウエストベルト部10の伸縮による小袋布21Sの皺、膨らみ、浮き等や引き攣りを減らすことができ見栄えを良くできる。
しかし、本発明を実施する場合、2本の折り目221及び折り目222間の幅は、上端から下方に向かって一定にすることも可能であるし、折り目221,222も、上下方向に垂直な直線状とすることも可能である。
そして、本実施の形態では、このように小ポケット部20Sの小袋布21Sにおいて、2本の折り目221,222に沿って折畳んで形成した襞状のタック部22を形成し、その一部でタック部22の襞(折り返し部分)を閉じるよう縫合線78にて縫合している。
ここで、上述したように、従来、横方に長く縦方向に短いL字状のポケット口外縁26Sを有するLポケット部20Lでは、Lポケット口23Lの開口幅(縦幅)mlが短くウエストベルト部10に近いから、ウエストベルト部10が伸びたときに、Lポケット止まり75Lに大きな負荷がかかりその周囲で袋布21S,21Lや身頃4F,4Bが大きく引き攣られ、それにより、図13(a)で示したように、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sから小袋布21S、表地25Sがとびだしたり、小ポケット部20S及びその周囲に皺が寄ったりし、ズボンを表側から見たときの脇ポケット部20の外観性や見栄えが損なわれる問題があった。
そこで、本実施の形態では、この問題を解決するために、タック部22において、小袋布21Sの向こう布21SBの上端から下方に向かう所定範囲は、タック部22の襞を縫合することなくタックの折畳みの開閉を自在とし、タックの上方を除き、所定位置から下でタックの襞を縫合線78にて縫合している。
具体的に説明すると、本実施の形態において、タック部22の襞を縫合線78にて閉じる位置は、少なくとも小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に所定の長さであればよい。即ち、小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しを抑えるためには、少なくとも小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に所定の長さだけタック部22の襞を閉じればよく、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tより下では、タック部22の襞を縫合しても良いし、縫合しなくても良い。即ち、タック部22の襞を縫合する終点78eは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tまたはそれよりも下にある。例えば、図4乃至図6、図10及び図11に示したように、タック部22の襞を縫合する終点78eは小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tとしてもよいし、図8及び図9に示したように、タック部22の下端部まで襞を縫合して、タック部22の襞を縫合する終点78eは小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tよりも下に設定してもよい。
図4乃至図6、図10及び図11で示したように、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tより下を縫合しない場合には、ウエスト部Wが伸びたときの脇ポケット部20の下方、特に、小ポケット止まり75Sの周囲の引き攣り、引張りが抑制され、小袋布21Sの歪みや皺寄りを効果的に防止して、綿パン1を表側から見たときの美感、見栄えの向上が可能となる。一方で、図8及び図9で示したように、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tより下も縫合した場合には、小袋布21Sがより落ち着くから、商品として陳列した際の美感、見栄えの向上が可能となる。
ここで、本発明者らの実験研究によれば、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上でタック部22の襞を縫合線78にて縫合する長さは、3cm以上、8cm以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内である。即ち、小ポケット口外縁76Sの末端である小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に垂直方向(上下方向)の長さで、好ましくは、3cm以上、8cm以下の範囲内で、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内でタック部22の襞を縫合線78にて縫合するのが好ましい。
小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上でタック部22の縫合する長さが長すぎる場合、タック部22の展開量を十分に確保できない。このため、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際にウエスト部Wのスムースな動きを確保できず窮屈感を生じさせることになる。また、袋布21L,21Sの上方で引き攣り、引っ張りによる歪み、皺寄り等が生じ、それが綿パン1の表側にも響いて、見栄えが低下したりする。一方で、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上でタック部22の縫合する長さが短い場合、小袋布21Sの布地の遊びが多くなるから、布地の種類によっては、ズボンの着用時に脇ポケット部20の小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sからとび出しやすくなる。
そこで、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tとタック部22の襞を縫合する縫合線78の始点78sとの間の垂直方向(上下方向)の長さ(縦幅)をYb(cm)(図5参照)とすると、好ましくは、3≦Yb≦8であり、より好ましくは、4≦Yb≦7である。このように、タック部22の襞を閉じる縫合線78の始点78sがポケット止まり75の高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以内、好ましくは、4cm以上、7cm以内にあれば、即ち、タック部22に対し、小ポケット口23Sの末端、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端である小ポケット止まり75の高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下の範囲内、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内で縫合線78にてタック部22の襞を閉じことで、ウエストベルト部10が伸びたときでも、ウエストベルト部10と身頃4F,4Bの境界部に引き攣りが生じ難くてウエスト部Wのスムースな伸びを確保でき、かつ、小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sから吹き出して露出する事態が効果的に抑制され、綿パン1を表側から見たときの良好な見栄えを保つことができる。
また、このとき、小袋布21Sの向こう布21SBの上がり線OLとタック部22の襞を縫合する縫合線78の始点78sとの間の垂直方向の長さ(縦幅)をYa(cm)(図4参照)とすると、好ましくは、3≦Ya≦7であり、より好ましくは、4≦Ya≦6である。即ち、タック部22の縫合の始点78sは、向こう布21SBの上がり線OLから下に3cm以上、7cm以下の範囲内に位置させるのが好ましく、より好ましくは、4cm以上、6cm以下の範囲内である。
タック部22の縫合の始点78sがタック部22の上端に近すぎる場合、タック部22の展開量を十分に確保できない。このため、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際にウエスト部Wのスムースな動きを確保できず窮屈感を生じさせる恐れがある。また、小袋布21Sの上方で引き攣り、引っ張りによる歪み、皺寄り等が生じ、それがズボンの表側にも響いて、見栄えが低下したりする。一方で、タック部22の縫合する位置が下方に下がり過ぎる場合、小袋布21Sの布地の遊びが多くなるから、布地の種類によっては、ズボンの着用時に脇ポケット部20の小袋布21(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sかとびだしやすくなる。
向こう布21SBの上がり線OLとタック部22の縫合の始点78sとの間の垂直方向(上下方向)の長さYaが、3cm以上、7cm以下の範囲内、より好ましくは、4cm以上、6cm以下の範囲内であれば、タックの開きが十分に確保され、ウエストベルト部10が伸びたときでも、ウエスト部Wのスムースな動きを確保でき、かつ、小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sから吹き出す事態を効果的に抑えることができ、ズボンを表側から見たときの良好な見栄えを保つことができる。
ここで、縫合線78にてタック部22の襞を縫合する形態は、後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFのうち、中縫いを行うことによって、第1の折り目221と第2の折り目222の間の布地である中間布地21BMと、第1の折り目221から前中心BC側に向かう布地である前側布地21BFとを、タックの長さ方向の一部で縫合線78にて縫合することで一部の襞を縫合するようにしてもよいし、コバステッチで後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合するようしてもよい。
即ち、中縫いによる中間布地21BMと前側布地21BFの縫合は、図9(a)で示すように、縫合線78の縫い目が中間布地21BMと前側布地21BFを貫通するが後側布地21BBには貫通せずその縫い目が後側布地21BBに表出しないのに対し、コバステッチによる後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとの縫合は、図9(b)に示すように、縫合線78の縫い目が後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFを貫通し後側布地21BBに表出する。即ち、中縫いは、図9(a)に示すように、中間布地21BMと前側布地21BFを縫合し、その縫合線78の縫い目が、ズボンの裏側から見たときに後側布地21BBに表出しないのに対し、コバステッチは、図9(b)に示すように、後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合し、その縫合線78の縫い目が、ズボンの裏側から見て後側布地21BBに表出するものである。
特に、コバステッチにより後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合には、中縫いにより中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合と比較して、縫合した部分のタックの開き量を大きく制限できる。
一方、中縫いにより中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合には、コバステッチにより後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合と比較して、縫合した部分のタックの開き量の制限を少なくできる。
よって、袋布21S,21Lの生地、表地25S,25Lの生地、身頃4B,4Fの生地、ウエストベルト部10の表側や裏側の生地等によって、また、Lポケット口23Lや小ポケット口23Sの開口の大きさ等によって、中縫いまたはコバステッチを適宜選択することも可能である。
例えば、身頃4B,4Fや、袋布21S,21L等の生地が薄いものや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が短いもの(例えば、3≦ms≦7)では、小ポケット口23Sから小袋布21S(表地25Sを含む)が吹き出しやすくなるから、タックの開き量の制限を大きくできるコバステッチの縫製で後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合することで、ウエストベルト部10が伸びたときの小袋布21Sの変形、小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しをより効果的に抑制できる。
一方で、生地が厚いものや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が長いもの(例えば、7<ms≦15)では、ウエスト部Wが伸びたときに、小ポケット止まり75Sの周囲で引き攣り、引張り量が大きくなることで皺寄りが生じやすくなるから、タックの開き量(展開量)の制限を少なくできる中縫いの縫製で中間布地21BMと前側布地21BFを縫合することで、ウエスト部Wが伸びたときでも小ポケット止まり75Sの周辺の引き攣り、引張りにより歪み、皺寄りを効果的に抑え、綿パン1を表側から見たときの外観性や見栄えを良好に維持することが可能となる。
更に、タック部22の折り目221,222に対する縫合線78の間隔によっても縫合する部分のタックの開き量を適宜設定することが可能である。例えば、タック部22の襞を縫合するときの縫合線78は、コバステッチでは、縫製の分かり易さから、第2の折り目222に平行させる斜めとし、タック部22を形成する第2の折り目222に平行で第2の折り目222から、好ましくは、7mm以内、より好ましくは、1mm以上、5mm以内でタック部22の襞を縫合線78にて縫合する。即ち、縫合線78と第2の折り目222の間隔幅をD2(mm)(図9(b)参照)とすると、好ましくは、D2≦0.7、より好ましくは、0.1≦D2≦0.5である。このように第2の折り目222に平行する斜めの縫合線78の位置を第2の折り目222から所定範囲内とすると、コバステッチの場合にはタックの開きが大きく制限されることで、生地が薄いときや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が短い(例えば、3≦ms≦7)ときでも、小ポケット口23Sからの小袋布21(表地25Sを含む)の吹き出しを効果的に抑えることができる。
また、中縫いでは、縫製の分かり易さから、縫合線78を第1の折り目221に平行させる直線とし、縫合線78の位置を第1の折り目221から好ましくは、5mm以内、より好ましくは、1mm以上、3mm以内でタック部22の襞を縫合線78にて縫合する。即ち、縫合線78と第1の折り目221の間隔幅をD1(mm)(図9(a)参照)とすると、好ましくは、D1≦0.5、より好ましくは、0.1≦D1≦0.3とする。このように第1の折り目221に平行させる縫合線78の位置を第1の折り目221から所定範囲内とすると、中縫いの場合にはタックの開きに余裕がでるから、生地が厚いときや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が長い(例えば、7<ms≦15)ときでも、ウエストベルト部10が伸びたときの小ポケット止まり部75Sの周囲の引き攣り、引張りによる歪み、皺寄りを効果的に抑え、ズボンを表側から見たときの外観性や見栄えを良好に維持することが可能となる。
勿論、本発明を実施する場合には、小袋布21Sのタック部22の襞を縫合するときの縫合線78は、第1の折り目221や第2の折り目222と平行させず直線状または斜めとしてもよい。
このように、本実施の形態の小ポケット部20Sを形成する小袋布21Sでは、その向こう布21SBに形成したタック部22において、向こう布21SBの上端から所定範囲は縫合することなく、例えば、上がり線OLを基準とすると、そこから下に垂直方向の長さYaで3cm〜7cmの範囲は縫合することなく、小ポケット部20Sのポケット止まり75Sの高さ75tに対応する位置75tから上に垂直方向の長さ(縦幅)Ybで3cm〜8cmの範囲内で縫合することによりタック部22の襞の一部を閉じてタックの開きを制限している。即ち、タック部22の上端から下に所定の長さ範囲では、タック部22の襞を閉じることなく展開自在(開閉自在)とするも、タック部22の下方側でタックの襞を縫合線78にて縫合していることによりタック部22の開きを制限している。
これより、本実施の形態の綿パン1では、L字状のLポケット口外縁26Lを有するLポケット部20Lに対し、それよりも収容容積の小さい小ポケット部20Sを脇線LS,RSに沿って形成しているが、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SBに所定長さのタック部22を形成し、そのタック部22の襞の一部をタック部22の上方を除いて縫合線78にて縫合してタックの開きを制限したことで、小袋布21Sの布地の遊びが少なくなり、図13(b)に示したように、ズボンの表側(外側)から見て、ウエストベルト部10が伸びたときでも、小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sから吹き出すのが抑制され、脇ポケット部20及びその周囲に皺寄りが生じ難くなり、見栄えの良い脇ポケット部20を形成し、美観を維持できる。
特に、本実施の形態では、タック部22の襞を縫合する縫合線78の始点78sは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下の範囲内にあり、小袋布21Sの向こう布21SBの上がり線OLからすると、その位置よりも垂直方向の長さで3cm〜7cm下にあり、タック部22の襞を縫合する終点78eは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tまたはそれよりも下にある。
したがって、タック部22の上方の襞の展開量を十分に確保して袋布21S,21Lや身頃4F,4Bの上方の引き攣りを抑制しつつ、タック部22の下方で襞の展開を制限したことで、小袋布21Sの遊び、余裕を少なくして、小ポケット口23Sから吹き出すのを抑制できる。故に、ウエストベルト部10が伸びたときの小袋布21S(表地25Sを含む)の変形を効果的に抑制でき、小袋布21の歪みや皺寄りが生じ難いことで、ズボンを表側から見たときの見栄えに優れたものとなる。
そして、本実施の形態の綿パン1は、上端部が延出部11に接続するL字状のLポケット口外縁26Lを有するLポケット部20Lと、それよりも収容容積が小さく、上端部が延出部11に接続しLポケット口外縁26Lの上端部よりも収容部12側の脇線LS,RSに近い直線状の小ポケット口外縁26Sを有する小ポケット部20Sとを脇線LS,RSに沿って前身頃4F側に形成したものである。このように、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの延出部11に接続する上端部よりも小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの延出部11に接続する上端部を脇線LS,RS寄り、即ち、収容部12及び延出部11の境界寄りに形成したことにより、ウエストベルト部10に引っ張り力が掛かった際には、脇線LS,RSと小ポケット口外縁26Sの間の表出する面積が拡大するのみで、即ち、小ポケット部20Sにおける表地25Sの表出する面積が拡大するのみで、表地25Sよりも大きな面積のLポケット部20Lの表地25Lの表出する面積に大きな変化はないから、外観の目立つ変化が少なくて、美感を向上させることができる。つまり、ウエストを伸縮自在とするも、小ポケット部20Sよりも大きな(広い)ポケット口サイズのLポケット部20Lの見た目の変化を少なくして脇ポケット部20の見栄えを良くでき、Lポケット部20Lのデザインの自由度が高く、そのデザインにバリエーションを持たせることが可能となる。
特に、ウエストベルト部10が伸縮していない状態で、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sを脇線LS,RSに沿って形成されているものであると、脇線LS,RSに小ポケット口外縁26Sが重複して目立たなくなり、見栄えに優れるものとなる。
更に、本実施の形態の綿パン1は、Lポケット部20Lよりも容量の小さい小ポケット部20Sを設けたから、Lポケット部20Lには、例えば、財布、ハンカチ、ティッシュペーパー等の大きな物を入れ、小ポケット部20Sには、例えば、小銭、鍵、切符等の小物を入れるものとして使用すれば、小ポケット部20Sに入れた物とLポケット部20Lに入れた物とを区別でき、脇ポケット部20に入れた物を取り出す際の選別にかかる時間を短縮できて、容易に目的の物を取り出すことが可能であり、非常に使い勝手が良いものである。
以上説明してきたように、本実施の形態の綿パン1は、身頃4F,4Bの上部に接続しウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10が伸縮自在なLポケット付きボトムスであって、ウエストベルト部10の表側及び裏側を形成し、身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側が延出自在な延出部11と、延出部11と共にウエストベルト部10の表側及び裏側を形成し、延出部11の身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側を収容した収容部12と、収容部12の内部で収容部12と延出部11の間を弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続した接続部15と、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿って取付けられ、Lポケット口外縁26LがL字状でその上端が延出部11に接続したLポケット部20Lと、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿ってLポケット部20Lと重複して取付けられ、Lポケット部20Lよりも容量が小さく、小ポケット口外縁26Sの上端がLポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lよりも脇線RS,LS寄りで延出部11に接続した小ポケット部20Sとを具備し、小ポケット部20Sには、それを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側に上端から下方に向かって延びた襞状のタック部22が形成され、タック部22の襞が少なくともその上方で展開自在であり、上方を除く一部で縫合されているものである。
このように本実施の形態のLポケット付きボトムスとしての綿パン1によれば、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10の表側及び裏側が、延出部11と収容部12で形成されており、延出部11の端部11t側が収容部12に挿入されて収容され、その状態で延出部11と収容部12の間が接続部15の弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続されている。これより、ウエストベルト部10に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した接続部15の弾性材としての平ゴム16の伸びによって、収容部12から延出部11が延出することにより、ウエストベルト部10が伸長する。また、引張り力が解放されると、平ゴム16の弾性力によって、伸長したウエストベルト部10は元に戻る。こうして、身頃4F,4Bの上部に接続したウエストベルト部10は、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した平ゴム16の弾性力によって伸縮自在である。よって、ウエストベルト部10が伸縮自在であることで、身体のウエスト周りの動きに追随できるから、食後や着座時等にウエスト周りが大きくなった際でも締め付け力、窮屈感を軽減し、常にウエスト周りにフィットでき、快適な着用感を得ることができる。
更に、本実施の形態の綿パン1によれば、Lポケット口外縁26LがL字状でその上端が延出部11に接続したLポケット部20Lと、Lポケット部20Lよりも容量が小さく、Lポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lの上端よりも脇線LS,RS寄りで小ポケット口外縁26Sの上端が延出部11に接続した小ポケット部20Sとが脇線LS,RSに沿って前身頃4F側に設けられている。このように、Lポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lの上端及びそれよりも脇線RS,LS寄りに位置する小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの上端は延出部11に接続しているから、収容部12に対する延出部11の移動に伴い、Lポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lの上端及び小ポケット部20Sの小ポケット口外縁20Sの上端も移動することになる。
そして、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側においては、その上端から下方に向かって延びた襞状のタック部22を形成し、少なくともその上方が展開自在であるので、ウエストベルト部10に引張り力が掛かり収容部12に対し延出部11が延出するときには、小ポケット部20Sに設けたタック部22が展開することで、Lポケット部20L、小ポケット部20S、及び前身頃4Fに掛かる引張り力を逃がすことができ、ウエストベルト部10をスムースに伸ばすことができる。
このとき、小ポケット部20Sに設けたタック部22の襞はその上方を除く一部が縫合されているから、ウエストベルト部10が伸びたときでも、タック部22の開きが制限され、小袋布21Sの生地の遊び、余裕が少なくなっている。これより、Lポケット部20Lのポケット口外縁26LがL字形状であることで、延出部11の移動に伴うLポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端の移動により、Lポケット部20LのLポケット止まり75Lから上で大きな引き攣り量が生じても、Lポケット部20Lよりも脇線RS,LS寄りに設けた小ポケット部20Sの小ポケット口23Sから小袋布21S(表地25Sを含む)が吹き出したり、小ポケット部20S及びその周囲に皺寄りが生じたりする事態が防止され、見栄えや外観性を維持できる。
このようにして、ウエスト部Wが伸びたときの脇ポケット部20の美観を損なうことなく小ポケット部20Sを設けたLポケット付きボトムスとしての綿パン1となる。
特に、本実施の形態に係る小ポケット部20Sによれば、タック部22の襞を縫合する縫合線78の始端78sは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下の範囲内にあり、タック部22の襞を縫合する終点78eは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tまたはそれよりも下にある。
これより、タック部22の上方の襞の展開量を十分に確保しつつ、タック部22の下方で襞の展開を制限できる。よって、ウエストベルト部10が伸びたときでもウエストベルト部10との境界付近の身頃4F,4Bや袋布21S,21Lの上方の引き攣りを抑えて見栄えを損なうことなく、小袋布21S(表地25Sを含む)がズボンの外側の小ポケット部20Sの小ポケット口23Sから吹き出したり脇ポケット部20に皺寄りが生じたりするのを防止できる。即ち、ウエストベルト部10が伸びたときの小袋布21S(表地25Sを含む)の変形を効果的に抑制でき、小袋布21の歪みや皺寄りが生じ難いことで、ズボンを表側から見たときの美感、見栄えが向上する。
特に、タック部22の襞を縫合する終点78eが、小ポケット部20Sのポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tであると、ウエストベルト部10が伸びたときに、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sを中心としたその周囲に発生する引き攣り、引張りを少なくでき小袋布21Sの歪みや皺寄りを少なくできる。一方、タック部22の襞を縫合する終点78eが、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tより下にあると、身頃4F,4Bや袋布21L,21Sが薄い生地であっても、効果的に、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しを防止できる。
また、小ポケット部20Sのタック部22の襞は、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を形成する2本の折り目221,222のうち、タック部22の折畳み状態で小ポケット部20Sの小袋布21Sの向こう布21SBに表れない方の折り目221から5mm以内、より好ましくは、1mm以上、3mm以内の中縫いで縫合した場合には、タック部22の襞を縫合した部分でも所定の展開量を確保できる。よって、Lポケット部20LのLポケット口23Lの縦幅が長いときでも、また、身頃4F,4Bや袋布21L,21Sの生地が厚いときでも、ウエストベルト部10が伸びた時に、小ポケット部20Sのポケット止まり75Sの周囲に生じやすい引き攣り、引っ張りを抑制して見栄えを向上させることができる。
なお、上記小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れていない折り目221とは、タック部22の襞を形成するために谷折りした折り目線のことである。
また、上記中縫いは、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を縫合するときの縫合線(縫い目)78が小ポケット部20Sを形成する小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れないように襞を縫合する縫い方である。
一方、小ポケット部20Sのタック部22の襞が、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を形成する2本の折り目221,222のうち、タック部22の折畳み状態で小ポケット部20Sの小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れる方の折り目222から7mm以内、より好ましくは、1mm以上、5mm以内でコバステッチで縫合した場合には、タック部22の襞を縫合した部分では、その襞が殆ど展開しないから、身身頃4F,4Bや袋布21L,21Sの生地が薄いときでも、また、Lポケット部20LのLポケット口23Lの縦幅が短いときでも、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出し、表出を効果的に抑え、また、小ポケット部20S及びその周囲の皺寄りを効果的に抑え、見栄えを維持できる。
なお、上記小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れている折り目222とは、タックの襞を形成するために山折りした折り目線のことである。
また、上記コバステッチは、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を縫合するときの縫合線(縫い目)78が小ポケット部20Sを形成する小袋布21S向こう布21SBの外面側に表れるように襞を縫合する縫い方である。
加えて、本実施の形態の綿パン1によれば、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側で小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの位置に対応して芯材としてのハード芯77が取付けられているから、ウエストベルト部10が伸びたときの小ポケット部20Sの小袋布21の変形、皺寄りがより抑制される。よって、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しや、小ポケット部20S及びその周囲の皺寄りの抑制効果を高めることができる。これより、ウエストベルト部10が伸びたときのポケットの見栄えを一層向上させることができる。
更に、本実施の形態の綿パン1によれば、小ポケット部20Sは、その小ポケット口外縁26Sが脇線RS,LSに沿って延びた直線状であるから、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sが脇線RS,LSと一体となって見られることで目立ち難く、美感、外観性を維持できる。
また、本実施の形態の綿パン1において、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lが縦方向に短く横方向に長いL字状であり、また、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの終端75Sが、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの脇線RS,LS寄りの終端75Lより下に位置していると、着用者の動きや骨盤の大きい人でもそのLポケット口外縁26L、即ち、Lポケット口23Lが変形し難く、更に、小ポケット部20Sの中に入れた物が取り出し易い大きさであり、かつ、Lポケット部20Lの中に入れた物が落ち難い大きさである。よって、使い勝手が良く、また、見栄えに優れるものある。
特に、Lポケット口外縁26Lが縦方向に短く横方向に長いL字形状のLポケット部20Lにおいては、そのLポケット止まり75Lの位置、即ち、脇線RS,LSと交わるL字状のポケット口外縁76Sの終端75Lがウエストベルト部10に近い位置に設計されることで、そのLポケット止まり75の位置から上の引き攣り量が大きいものとなるが、小ポケット部20Sのタック部22の襞の一部を所定の位置で縫合線78にて縫合することで、ウエストベルト部10が伸びたときでも小袋布21Sの表地25の部分が小ポケット口23Sから吹き出す事態が抑制され、見栄えを良くできる。
そして、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの終端75Sが、Lポケット部20LのL字状のポケット口外縁26Lの脇線RS,LS寄りの終端75Lより下に位置することで、ボトムスの表側から見て、小ポケット部20Sのポケット口外縁26Sの下方が前身頃4F及びLポケット部20Lを構成する大袋布21Lの手前布21LFの後方に位置し、ウエストベルト部10が伸びたときに小ポケット部20Sの小ポケット口23Sの膨らみ等による変化が前身頃4FやLポケット部20Lの大袋布21Lの手前布21LFによって抑制されることでLポケット部20LのLポケット止まり75Lから上でより引き攣りが生じやすい構成となっていても、小ポケット部20Sに設けたタック部22の襞の一部を縫合していることで、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21Sの表地25の部分の吹き出しや、小ポケット部20S及びその周辺の皺寄りを抑制できる。
ところで、本発明を実施する場合には、綿パン1の身頃4F,4Bは、例えば、綿系、ポリエステル系、ウール系の生地等の1枚の生地で形成することも可能であるし、表地及び裏地の2枚の生地で二重に構成する場合もある。例えば、紳士用のボトムスの多くでは身頃4F,4Bの表地及び裏地が重ねられ、ズボンの裏側からみたときに、その裏地側の手前に小ポケット部20Sの小袋布21S及びLポケット部20Lの大袋布21Lが配設して、小袋布21S及び大袋布21Lが表出する構造となる。一方、婦人用のボトムスの多くでは、身頃4F,4Bの表地及び裏地の間に小ポケット部20Sの小袋布21S及びLポケット部20Lの大袋布21Lが配設され、ズボンの裏側からみたときに、小袋布21S及び大袋布21Lの手前に身頃4F,4Bの裏地が配設し、身頃4F,4Bの裏地によって小袋布21S及び大袋布21Lが隠れている。なお、綿パン1等では、身頃4F,4Bの表側を形成する生地(表地)には、ウエスト部Wの形状に沿わせるために開かないタック4aが施される場合があり、そのタック4aの部分に対応し、身頃4F,4Bの裏地が、いせ込んで(ダブらせて)ウエストベルト部10に縫い合わせられる。即ち、身頃4F,4Bの裏地をつまんでウエストベルト部10に縫い留められ襞状を形成する。特に、タック4aを脇ポケット部20やその付近の身頃4F,4Bに設けた場合には、脇ポケット部20に入れたときに身頃4F,4Bに生じる皺の吸収を可能とする。
ここで、更に、本実施の形態の変形例に係る綿パン1について、図14乃至図17を参照して説明する。
変形例においては、ウエストベルト部10の表側のみを収容部12から延出部11が延出自在な構成とし、ウエストベルト部10の裏側はウエスト方向に一体に形成した腰裏ベルト部30で構成した点で上記実施の形態と相違する。その他の構成については、上記実施の形態に係る綿パン1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみを説明する。
即ち、変形例に係る綿パン1においては、ウエストベルト部10の表側のウエスト長を収容部12と延出部11に分割し、ウエストベルト部10の表側が収容部12及びそれに収容された延出部11によって形成されており、延出部11の前身頃4Fに縫着されない端部11tをウエストベルト部10の表面の意匠面側から隠れるように収容部12の内面側に収容されることで、ウエストベルト部10の表側で収容部12に対し延出部11が挿入された構成である。つまり、ウエストベルト部10の表側から見て、収容部12に対しその内面側で延出部11の端部11tが重ねられ収められており、収容部12と延出部11はウエスト周囲で一体に連続しておらず分離している構成である。そして、これら収容部12及び延出部11は、収容部12の内部(内面側)で平ゴム16によって接続されている。
上記実施の形態に係る綿パン1においては、ウエストベルト部10の表側及び裏側に弾性材が露呈しないことで、見た目にも伸縮することが分かりづらいものとなっている。一方で、ウエストベルト部10の表側で収容部12に対し延出部11が収められるその収容部12の開口端12eはベルト通し5を使用すればそれによって収容部12から延出部11が延出する部分を隠すことができるが、ウエストベルト部10の裏側では収容部12の開口端12eが露呈することになるから、興味本位でその開口から内部構造を引き出して平ゴム16による伸縮機構を壊してしまう恐れがある。
これに対し、変形例に係る綿パン1では、ウエストベルト部10の表側のみが、そのウエスト長を収容部12と延出部11に分割されて収容部12及びそれに挿入された延出部11によって形成されており、延出部11の前身頃4Fに縫着されない先端部11tをウエストベルト部10の表面の意匠面側から隠れるように収容部12内に重ね入れることで、ウエストベルト部10の表側のみで収容部12に対し延出部11が挿入された構成である。
つまり、ウエストベルト部10の表側のみ収容部12に対し延出部11の端部11tが重ねられ収められており、収容部12と延出部11はウエスト周囲で一体に連続しておらず分離している構成である。そして、延出部11の先端部11tが収められた収容部12の内面側において、延出部11と収容部12の内面側とが弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続されている。
一方、ウエストベルト部10の裏側は、収容部12に縫着した収容部側裏ベルト部32と延出部11に縫着した延出部側裏ベルト部31との間を平ゴム33で接続してなる腰裏ベルト部30で形成され、ウエスト周囲で一体に連続した構成である。
即ち、変形例では、ウエストベルト部10の裏側は、ウエスト周囲で分離しておらず一体に連続している構成であり、ウエストベルト部10の表側を形成している収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と、ウエストベルト部10の表側を形成している延出部11にその先端部11t側を除いて縫合した延出部側裏ベルト31と、延出部側裏ベルト31及び収容部側裏ベルト32の間を接続した平ゴム33からなる腰裏ベルト部30で形成されている。
このように、変形例では、ウエスト方向に延びる帯状のウエストベルト部10の裏側をウエスト方向に一体に連続した腰裏ベルト部30で構成し、収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と延出部11の長さ方向の一部に縫合した延出部側裏ベルト31と間を平ゴム33によって弾性的に接続することで、平ゴム33の弾性力により腰裏ベルト部30を伸縮自在とする。
したがって、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、収容部12と延出部11の間を弾性的に接続する接続部15の平ゴム16の伸長によって、ウエストベルト部10の表側では収容部12から延出部11が引き出されて延出すると共に、平ゴム33の伸長によって、ウエストベルト部10の裏側では腰裏ベルト部30が伸長する。そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、ウエストベルト部10の内部の平ゴム16及び腰裏ベルト部30の平ゴム33の弾性力によって元の本来の長さに戻るから、ウエストベルト部10の表側では、再び延出部11が収容部12内に収容される方向に移動し元の状態に戻り、また、ウエストベルト部10の裏側の腰裏ベルト部30も元の本来の長さ状態に戻る。このようにして、本変形例においては、ウエストベルト部10を伸縮自在としている。
ここで、変形例においては、綿パン1のウエストベルト部10の表側(外面側)を形成する延出部11及び収容部12と、綿パン1のウエストベルト部10の裏側を形成する腰裏ベルト部30の延出部側裏ベルト31及び収容部側裏ベルト32とは、前身頃4F及び後身頃4Bと共地(例えば、綿生地等)である。そして、図15及び図16で示すように、表側の収容部12とそれに対応した裏側の収容部側裏ベルト32の両者は、ウエストベルト部10の上端側で縫合線62Aにて接続し、表側の延出部11とそれに対応した裏側の延出部側裏ベルト31の両者は、ウエストベルト部10の上端側で縫合線61Aにて接続する構成である。
詳しくは、ウエストベルト部10の表側を構成する収容部12とそれに対応するウエストベルト部10の裏側を構成する収容部側裏ベルト32は、身頃4F,4Bと共地からなり所定形状に切り出された所定幅の収容部12及び収容部側裏ベルト32の布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目の近傍で収容部12及び収容部側裏ベルト32の両者が縫合線62Aにて縫合わされている。また、収容部12の下側は、その折り返した下端部の折り目の近傍で後身頃4Bの上端部に縫合線62Cにて縫合わされ、収容部12に対応する収容部側裏ベルト32の下側もその折り返した下端部の折り目の近傍で後身頃4Bの上端部に縫合わされている。このとき収容部側裏ベルト32の下端は、必要に応じ、パイピング処理等による補強を行ってもよい。更に、変形例においても、上記と同様、収容部12や収容部側裏ベルト32の布地の内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等によって貼付けられる。
また、ウエストベルト部10の表側を構成する延出部11及びそれに対応するウエストベルト部10の裏側の延出部側裏ベルト31についても、身頃4F,4Bと共地からなり所定形状に切り出された所定幅の延出部11及び延出部側裏ベルト31の布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目の近傍で延出部11及び延出部側裏ベルト31の両者が縫合線61Aにて縫合わされている。このとき、延出部11に縫合する延出部側裏ベルト31は、延出部11の先端部11t側を除く延出部11の一部に取付けられている。延出部11の下側は、収容部12に挿入される先端部11t側を除いて、上記実施の形態と同様に、袋布21S,21Lと共に、前身頃4Fに縫合線61Cにて縫合わされている。また、延出部側裏ベルト31Bの下側も、小袋布21Sの向こう布21SBと共に前身頃4Fに縫合わされている。そして、本変形例においても、上記実施の形態と同様に、収容部12内に挿入される延出部11の先端部11tは、前身頃4Fの上端部と縫合わされず自由な状態になっている。これより、収容部12に入れられた延出部11の先端部11tは収容部12から延出自在、つまり、ウエスト方向に相対移動自在とされ、その挿入深さが変化自在である。延出部11や延出部側裏ベルト31も、収容部12及び収容部側裏ベルト32と同様、それらの内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等で貼付けられる。
なお、上記実施の形態に係る収容部12が収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bから構成されるのに対し、変形例に係る収容部12は、実質的に、実施の形態の収容部表ベルト12Fに相当するものである。同様に、実施の形態に係る延出部11が延出部表ベルト11F及び収容部裏ベルト11Bから構成されるのに対し、本変形例に係る延出部11は、実質的に、実施の形態の延出部表ベルト11Fに相当するものである。
更に、変形例においては、延出部11に縫合線61Aにて縫合した延出部側裏ベルト31の端部と収容部12に縫合線62Aにて縫合した収容部側裏ベルト32の端部の間が1本の平ゴム33で接続されている。この平ゴム33は、その一端部側が縫付線362にて収容部側裏ベルト32の端部に縫付けられ、反対側の他端部側が縫付線361にて延出部側裏ベルト31に縫付けられている。平ゴム33をその両端部側で縫付けるときの縫付線361,362は、縫付け強度を確保できれば1本であってもよいし、2本以上としてもよい。
このとき、変形例において、収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31の間を接続する平ゴム33は、延出部11の先端部11t側が重ねられている収容部12の一端の端12eから前中心FC側に向かう延出部11側に位置するが、その部分では延出部11に縫着されていない。これにより、ウエストベルト部10に引張り力がかかった際には、平ゴム33による所定の伸びを確保し、腰裏ベルト部30部がスムースに伸びるようにしている。なお、平ゴム33による収容部側裏ベルト32の端と延出部側裏ベルト31の端との間の接続長さ(伸縮自在な長さ)は、平ゴム33の弾性力にもよるが、平ゴム33の未伸縮状態で、例えば、3.5cm〜6cm程度、好ましくは、4cm〜5cm程度に設定される。
ここで、このように平ゴム33は延出部11に縫着されていないため、ウエストベルト部10の上方で平ゴム33と延出部11の間から、延出部11の内面側、例えば、延出部11の上下で内折りした布地の裁ち切り線やハード芯HCといった内部構造が見えると商品イメージを低下させる恐れがある。そこで、本変形例においては、平ゴム33の配設位置に対応する延出部11の内面側に、略長方形の裏地(図示せず)を縫付けるのが好ましい。延出部11の内面に設ける裏地としては、特に、伸縮性を有しない生地、ポリエステル系の生地、ナイロン系の生地、スレーキ生地、リボンテープ等の生地であれば、接触抵抗が少なく、収容部12に対する延出部11の摺動性を向上させ、収容部12と延出部11の滑らかな動きを得ることができる。しかし、見栄えを維持するものとしては、その他の布地、芯地等であってもよい。
なお、このような裏地は、例えば、その上端が、延出部11の内面においてその内折りした上部の外面側に縫付けられ、下端が、収容部12の内面においてその内折りした下部の外面側または内面側に縫付けられる。このとき、裏地の長さは、延出部11の先端から前中心FC側に向かって平ゴム33の配設位置に対応する部分まであってもよいし、収容部12の開口近傍の平ゴム33の配設位置に対応する部分のみであってもよい。何れにせよ、平ゴム33と延出部11の隙間から見える延出部11の内面には、裏地が見えるようにすればよい。
このように延出部11の内面において平ゴム33の配設位置に対応する箇所に裏地を取付けることにより、平ゴム33と延出部11の間から延出部11の内面が見えても、裏地が見えるだけであるから、商品イメージが低下しない。また、着用者が延出部11の内部構造に興味を抱いて、延出部11を引き出すことで伸縮自在構造を壊してしまう事態を防止することもできる。
即ち、ウエストベルト部10の表側を形成する延出部11の内面側には、腰裏ベルト部30の平ゴム33に対応する位置で、延出部11の上部に裏地の上部が縫付けによって取付けられ、延出部11の下部に裏地11Cの下部が縫付けによって取付けられていると、延出部11と腰裏ベルト部30の平ゴム33との間から延出部11の内面が見えたときでも裏地が見えるだけであるから、商品イメージの低下を防止できる。
こうして、変形例に係る綿パン1は、ウエストベルト部10の表側が互いに端部側を重ねた収容部12及び延出部11からなる構成とし、その間を所定の伸縮自在な長さ及び太さの平ゴム16で弾性的に接続することで、収容部12から延出部11を延出自在とする伸縮自在構造である。一方、ウエストベルト部10の裏側は、収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と、延出部11の一部に縫合した延出部側裏ベルト32との間を平ゴム33で弾性的に接続することで、平ゴム33の弾性力によりウエストベルト部10の裏側を形成する腰裏ベルト部30を伸縮自在とする構造である。
このような変形例に係る綿パン1によれば、ウエストベルト部10の裏側が延出部11に縫合した延出部側裏ベルト31と、収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と、それらの間を接続する平ゴム33とからなり、ウエスト方向で連続して一体に形成された腰裏ベルト部30で構成されているから、ウエストベルト部10の裏側では収容部12の開口端12eが露出して目立つことがないので、興味本位で収容部12の開口側から内部構造を引き出して壊してしむ事態を防止できる。そして、ウエストベルト部10の表側では、収容部12に対し延出部11が収められるその収容部12の開口端12eはベルト通し5を使用すればそれによって収容部12から延出部11が延出する部分を隠すこともできる。
更に、変形例に係る綿パン1によれば、収容部12及び延出部11を接続する平ゴム16に加え、ウエストベルト部10の裏側を構成する腰裏ベルト部30にも収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31の間を接続する平ゴム33が用いられていることから、弾性力を強化でき、ウエストベルト部10をより伸ばすことも可能であり、また、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、平ゴム16の耐久性の向上を可能とする。
なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であり、変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
ここで、腰裏ベルト部30について、図14乃至図16において、1本の平ゴム33としているが、本発明を実施する場合には、図17に示すように、収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31を接続する弾性材として2本の平ゴムを用いることも可能である。
即ち、図17に示すように、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設した平ゴムからなる上方側の上位ゴム33A及び下方側の下位ゴム33Bによって収容部側裏ベルト32と延出部側裏ベルト31の間を接続してもよい。図17においては、収容部側裏ベルト32と延出部側裏ベルト31の間を2本の上位ゴム33A及び下位ゴム33Bで接続することによって、それら上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの弾性力により、腰裏ベルト部30を伸縮自在としている。
この図17に示した腰裏ベルト部30においては、別体である上位ゴム33A及び下位ゴム33Bがそれらの一部を重ねて上下方向(ウエスト周方向に対して直角方向)に配設され、上側の上位ゴム33Aとその下側に位置する下位ゴム33Bの各両端部が収容部側裏ベルト32と延出部側裏ベルト31に縫付けられている。このとき、収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト32の間に縫着されている上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの両者は、収容部側裏ベルト32の一端部及び延出部側裏ベルト31の一端部との間で縫合されることなく分離した状態にある。
なお、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの厚みの重複部分は、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bが重なった状態での上下端間の長さ距離である縦幅全長の1/10以上、8/10以下の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは、2/10以上、5/10以下、更に好ましくは、3/10以上、5/10以下である。ここで、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの厚みの重複領域が大きいと、伸び力が高くなり、人体の動きに対するフィット性の向上が可能となる。しかし、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの厚みの重複領域が大き過ぎると、着用時の重厚感が増して着心地が低下したり、弾性力が強くなり過ぎてウエストの締め付け力が大きくなり窮屈感が増大したりする。
そこで、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの厚みが重なる重複領域の縦幅長さが、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bが重なり合った状態での上下端間の長さ距離である縦幅全長に対して、1/10以上、8/10以下の範囲内であれば、より好ましくは2/10以上、5/10以下の範囲内、更に好ましくは3/10以上、5/10以下の範囲内であれば、締め付け力、窮屈感が強調されることなく、フィット感の増大を可能とする。
また、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの各縦幅長さ(本来の長さ)は、厚みを重複させた状態での上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの縦幅の全長の5/10以上、8/10以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、6/10以上、8/10以下の範囲内である。上記範囲内あれば、重なりによる重厚感も少なくて、より少ない力で伸び易くてフィット性が良く、締め付け感、窮屈感もより少ないものとなる。
なお、互いに一部を重ねて上下に配設する上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの縦幅の全長は、ウエストベルト部10表側の収容部12及び延出部11に縫付けた延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32の縦幅の全長と比較して2cm以内の差(増減)はあるも、通常、同程度に設定され、例えば、3.5cm〜5cm程度に設定される。
そして、上位ゴム33Aの上端と延出部側裏ベルト31の上端との高さ位置の差が大きいと、ウエストベルト部10の裏側において上位ゴム33Aの上側で延出部側裏ベルト31の露出量が増えるために、延出部側裏ベルト31等の内部構造や縫製の仕方に興味を持って伸縮機構を無理に引き出して壊してしまったり、延出部側裏ベルト31等の縫製を壊してしまったりする恐れがある。また、上位ゴム33Aの上端が低位置にあると、見栄えの確保等のために、上位ゴム33Aが縫付けられている延出部側裏ベルト31の一端側の上端部や収容部側裏ベルト32の一端側の上端部の縫い代の浮きを抑えるべくそこを延出部側裏ベルト31の内面に縫付ける必要がある。しかし、上位ゴム33Aの上端を延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32の上端の高さと一致させて連続的であると、或いは、2cm以内の差であれば、上記事態を防止でき、縫製工程もより簡単で済む。
ここで、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの前後(表裏)方向の配置関係は、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)から見て、図17に示したように、下位ゴム33Bの前方(手前側)に上位ゴム33Aが配設され両者の一部が重ねられても良いし、下位ゴム33Bの後方に上位ゴム33Aが配設され両者の一部が重ねられても良い。
即ち、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの関係は、上位ゴム33Aの下方に下位ゴム33Bの上方が重ねられ互いに一部を重ね合わせて厚みを重複させていれば、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)から見たときに、上位ゴム33Aの下方の手前側(上側)に下位ゴム33Bの上方を重ねてもよいし、図17に示したように、上位ゴム33Aの下方の後ろ側(下側)に下位ゴム33Bの上方を重ねてもよい。
そして、例えば、図17に示したように、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム33Bよりも上位ゴム33Aが手前にあり、上位ゴム33Aの下端縁が下位ゴム33Bよりも手前に位置するものでは、タックインしたシャツのずれ上がりを防止する滑り止め機能を持たせたることもできる。
また、図17に示した腰裏ベルト部30においては、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bは、共に、そのウエスト方向の一端部側が収容部側裏ベルト32の端部に縫付けられ、反対側の他端部側が延出部側裏ベルト31に縫付けられるが、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bは、伸縮自在な長さを同一としていてもよいし、伸縮自在な長さを相違させてもよい。上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31間の接続長さ、即ち、伸縮長さを同一とする場合には、両者を所定に重複させた状態でまとめて延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32に縫製することから、縫製に不慣れな作業者でも縫製が分かりやすく、作業効率を向上できる。一方で、下位ゴム33Bと上位ゴム33Aとで伸縮自在な長さを相違させていると、引張り力がかかった際に、下位ゴム33Bと上位ゴム33Aにかかる負荷が分散されるから、下位ゴム33Bと上位ゴム33Aを長持ちさせることができる。また、延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32への下位ゴム33Bと上位ゴム33Aの縫製の縫い目にかかる負荷等も分散されるから、それら縫い目の解れも生じ難く、また、生地を傷め難い。
例えば、図17に示すように、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)、つまり、ズボンの腰裏側からみて、上方側の上位ゴム33Aを手前とし、下位ゴム33Bを上位ゴム33Aの後方に配設したとき、その上位ゴム33Aは、収容部側裏ベルト32の端部に縫付線362Aにて縫付け、また、延出部側裏ベルト31の端部に縫付線361Aにて縫付ける一方で、下位ゴム33Aは、縫付線362Aよりも収容部側裏ベルト32の端部側から離れた位置で縫付線362Bにて縫付け、また、縫付線361Aよりも延出部側裏ベルト31の端部側から離れた位置で縫付線361Bにて縫付ける。これより、上位ゴム33Aよりも下位ゴム33Bの伸縮自在な長さ(接続長さ)を長くして、伸びによる変化を相違させることで、負荷を分散させゴム等を長持ちさせることができる。特に、このように上位ゴム33Aよりも下位ゴム33Bの伸縮自在な長さ(接続長さ)を長くすることで、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの全体縦幅を短くしなくとも、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際に、上位ゴム33Aが上方に凸に湾曲して、ズボンの表側で延出部11の上に上位ゴム33Aが突出して露呈するのを防止し、見栄えを維持できる。勿論、本発明を実施する場合は、上位ゴム側33Aで伸縮自在な長さを長くすることも可能である。
このように、図17に示した腰裏ベルト部30によれば、別体に形成された上位ゴム33Aと下位ゴム33Bをそれらの一部で重ねて上下方向に配設して延出部側裏ベルト31と収容部側裏ベルト32の間を接続し、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bが延出部側裏ベルト31及び収容部側裏ベルト32の間で一体化されずに分離している構成であるため、ウエストベルト部10に引張り力がかかった際に上位ゴム33Aと下位ゴム33Bにかかる負荷が分散される。よって、長期間の着用でもゴムの弾性力が低下し難く、腰裏ベルト部30の伸縮性、弾力性が低下しにくい。
そして、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの厚みの重複により弾性力を高くできるから、伸び量を向上できる。このとき、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bはそれぞれの一部分が重なっており、しかも、延出部側裏ベルト31と収容部側裏ベルト32の間で上位ゴム33Aと下位ゴム33Bが結合されていないと互いに動きが拘束され難いことから、伸ばす外力も少なくて済む。よって、強力な締め付け感、窮屈感を増大させることなく、弾性力を向上させることができる。そして、少ない外力で高い伸縮力が得られヤング率を小さくできるから弾性力も低下し難く、耐久性が維持される。即ち、このような相互に一部を重ねて上下に配設した上位ゴム33A及び下方側の下位ゴム33Bによれば、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。故に、耐久性を確保しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく少ない外力でも容易に伸縮して人体のウエストの動きに追従する滑らかな伸縮によりフィット性を高めることができる。
こうして、図17に示した腰裏ベルト部30によれば、上方の弾性材及び下方の弾性材としての上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの2本の弾性材によって延出部側裏ベルト31と収容部側裏ベルト32の間を接続し、上位ゴム33Aの下方に下位ゴム33Bの上方を重複させて上下に配設されているものである。このような、厚みを重複させた上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの並列構造によって、着用時の締め付け感、窮屈感の低減を可能とする。
なお、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bは、上位ゴム33Aの下方に下位ゴム33Bの上方が重ねられており、互いに厚みの一部を重ねて重複させているものであり、ボトムスの裏側から見て上位ゴム33Aの手前側に下位ゴム33Bを重ねてもよいし、上位ゴム33Aの後ろで下位ゴム33Bを重ねてるようにしてもよい。
特に、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設した上位ゴム31と下位ゴム32は、それら厚みを重複させた状態での縦幅の全長の10%以上、80%以下の範囲内で厚みを重複させていると、締め付け力、窮屈感が強調されることなく、より人体のウエストの動きに追従するフィット感が得られる。
また、上位ゴム31と下位ゴ32の各縦幅長さは、互いに厚みを重複させているときの上位ゴム31と下位ゴム32の縦幅の全長の50%以上、80%以下の範囲内であると、重厚感も少なくて、より少ない力で伸び易くてフィット性が良く、締め付け感、窮屈感もより少なくなる。
つまり、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、より少ない締め付け感、窮屈感で人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
こうして、変形例に係る綿パン1は、身頃4F,4Bの上部に接続しウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10が伸縮自在なLポケット付きボトムスであって、ウエストベルト部10の表側を形成し、身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側が延出自在な延出部11と、延出部11と共にウエストベルト部10の表側を形成し、延出部11の身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側を収容した収容部12と、収容部12の内部で収容部12と延出部11の間を弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続した接続部15と、ウエスト方向に一体に連続してウエストベルト部10の裏側を形成し、収容部12の裏側に縫付けた収容部側裏ベルト31と延出部11の裏側に縫付けた延出部側裏ベルト32の間を平ゴム16とは異なる他の弾性材としての平ゴム33、または、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bによって弾性的に接続してなり、平ゴム33、または、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bによって伸縮自在な腰裏ベルト部30と、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿って取付けられ、Lポケット口外縁26LがL字状でその上端が延出部11に接続したLポケット部20Lと、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿ってLポケット部20Lと重複して取付けられ、Lポケット部20Lよりも容量が小さく、小ポケット口外縁26Sの上端がLポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lよりも脇線RS,LS寄りで延出部11に接続した小ポケット部20Sとを具備し、小ポケット部20Sは、それを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側に上端から下方に向かって延びた襞状のタック部22が形成され、タック部22の襞が少なくともその上方で展開自在であり、上方を除く一部で縫合されているものである。
この変形例に係る綿パン1においても、ウエストベルト部10に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した接続部15の平ゴム16の伸びによって、収容部12から延出部11が延出すると共に、腰裏ベルト部30の弾性材としての平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの伸びによって腰裏ベルト部30が伸びることにより、ウエストベルト部10が伸長する。また、引張り力が解放されると、平ゴム16の弾性力、腰裏ベルト部30の平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの弾性力によって、伸長したウエストベルト部10は元に戻る。即ち、ウエストベルト部10は、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した平ゴム16の弾性力、腰裏ベルト部30の平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの弾性力によって伸縮自在である。
そして、変形例に係る綿パン1では、ウエストベルト部10の裏側においてウエスト方向の一部に平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bを配設するものであるから、低コストで済み、また、伸縮に伴う弛みも少なくなるから見栄えも良い。
その他の構成については、上記実施の形態と同様であり、変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
なお、上記実施の形態やその変形例のLポケット付きボトムスは、綿パン以外にも、例えば、スーツ、スラックス等のカジュアルでないボトムス、チノパンやジーンズ(Gパン)等のカジュアルなボトムス、スポーツウエアのボトムス等に適用されるものであり、更に、ボトムスとしてはズボンに限られるものでもなく、スカートやキュロットスカート等にも適用できる。また、収容部12及び延出部11を重ね合わせ、収容部12の内側でそれらの間を平ゴム16によって接続することで、ウエストベルト部10の表側に弾性材が露出しないから、見栄えを損なうことなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができる。よって、ゴルフ等の運動(スポーツ)時に着用するゴルフスラックス等のトレーニングウエア、スポーツウエアにも好適であり、高いフィット性により激しい動きにも追従し、高い着用感を得ることができる。
また、上記実施の形態やその変形例では、左右の脇線LS,RSの近傍の2箇所に収容部12及び延出部11を重ね合わせた重ね合わせ部13を有し、それに対応して平ゴム16を左右の2箇所に配設し、また、Lポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20を左右の2箇所に配設した綿パン1で説明した。しかし、本発明を実施する場合には、収容部12及び延出部11の重ね合わせ部13を1箇所以上とし、また、それに対応する平ゴム16や、Lポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20も1箇所以上であればよい。
なお、上記実施の形態では、ウエストベルト部10の表側及び裏側を身頃4B,4Fと共地(綿生地等)とし、即ち、収容部12を構成する収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12B並びに延出部11を構成する延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bを身頃4B,4Fと共地とし、ウエストベルト部10の上端部で表側と裏側の生地を接ぐ構成としている。しかし、本発明を実施する場合には、ウエストベルト部10の表側と裏側を別生地で構成することも可能である。勿論、身頃4F,4Bや、ウエストベルト部10の表側、裏側の生地も、綿系の生地に限定されるものではなく、ポリエステル系、ウール系の生地等であってもよい。更に、例えば、ウエストベルト部10の表側の生地は、身頃4B,4Fと共地とし、ウエストベルト部10部の裏側は、タックインしたシャツがズボンから食み出るのを防止する滑り止め機能を持たせたポリエステル系、ナイロン系、レーヨン系、綿、スレーキ、リボンテープ、ラバー等からなる、所謂、マーベルト仕様とすることもできる。勿論、ウエストベルト部10の表側も身頃4F,4Bとは別生地で作製することも可能であるし、収容部12側と延出部11側で異なる生地を使用することも可能である。更に、変形例においても、腰裏ベルト部30の延出部側裏ベルト31Bや収容部側裏ベルト32Bをマーベルト仕様とすることも可能である。
また、上記実施の形態やその変形例では、図において、Lポケット部20LのLポケット口外縁26LのL字の縦と横の交わる角部が緩やかにカーブした形状であるが、本発明を実施する場合には、例えば、図18に示したように、L字の縦と横の交わる角部が角張ったL字形状としてもよく、その角部も90°であることを要求するものではなく、90°以上、または90°以下であってもよい。なお、このときのLポケット部20LのLポケット口23Lの開口幅(縦幅)も、例えば、5cm〜11cm程度、好ましくは、6cm〜10cm程度に設定される。そして、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、脇線LS,RSの間の横幅の長さ(距離)は、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmであり、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの上端の間の横幅の長さ(距離)も、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmである。そして、何れの形状も、カーブ状または直角状のコーナから脇線RS,LS側に向かっては、緩やかに下方に傾く(斜めに下る)傾斜状としているが、水平方向に真っ直ぐな直線状としてもよい。また、本発明を実施する場合には、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lが、そのカーブまたは直角状のコーナから脇線RS,LS側に向かう手前で下方に更にカーブしてから脇線LS,RSに接続し、Lポケット口外縁26LのLポケット口外縁26Lの下端、即ち、Lポケット止まり75Lが、小ポケット口外縁26の下端、即ち、小ポケット止まり75Sよりも下方に位置するようにしてもよい。これにより、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26の下端、即ち、小ポケット止まり75Sが、前身頃4F及び大袋布21Lの手前布21LFに隠れることなく表出し、小ポケット部20Sに物を入れるときに、小ポケット口外縁26側が前身頃4F及び大袋布21Lの手前布21LFに当たり難くなり、小ポケット口23を開き易くすることができる。
上記実施の形態やその変形例では、収容部12の内部において延出部11及び収容部12の間を接続する平ゴム16に対し、伸び止め材17を並設する構成を説明したが、本発明を実施する場合には、伸び止め材17は、延出部11を収容部12側に延ばして延出部11と一体としたストッパー部分として形成し、そのストッパー部分に、平ゴム16の最大伸びを制限する伸び止め材17の役割を持たせることも可能である。即ち、延出部11の先端を細くして延長し、共布で伸び止め材17の役割をするストッパー部分を設けることによって、伸び止め材17を形成してもよい。このような場合には、単独の伸び止め材17をリボンテープ等で設ける必要がなく、縫製工程も簡略化されるため、コストがかからず安価にゴムを長持ちさせることができる。また、伸び止め材17以外にも、伸縮するゴムの伸びの限界を綿等の繊維の織り込みによって規定することも可能である。
しかし、本発明を実施する場合、伸び止め材17については省略することも可能である。伸び止め材17を省略した場合には、例えば、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sのタック部22の展開量によって、平ゴム16の最大の伸び長さを規定することも可能である。
加えて、上記実施の形態やその変形例では、小ポケット部20Sを形成する袋布21Sの向こう布21SB側に対し、その小ポケット口外縁26Sが移動する範囲で、ズボンの外側で、身頃4F,4Bと共地の表地(共布向こう布)25が縫付けられているが、本発明を実施する場合には、その表地部分を、後身頃4B側の生地を前身頃4F側に延ばすことで形成することも可能である。即ち、後身頃4B側の生地を延長し、それを袋布21Sの向こう布21SB側に重ね合わせて縫付けることも可能である。このような場合には、ズボンの表側に脇線LS,RSの縫付線を表出させない縫製も可能であり、ウエストベルト部10が伸びて、小ポケット口外縁26Sの移動に伴い表出する部分が、後身頃4B側と一体のものとして認識されやすく、小ポケット部20S近傍の見栄えを良く保つことができる。また、本発明を実施する場合には、ジーンズのように、Lポケット部20L内に、更に、第3のポケットとして、所謂、コインポケット(ウォッチポケット)を付加することも可能である。
更に、上記実施の形態やその変形例では、小袋布21Sやタック部22の形状維持、皺寄り防止、見栄えの向上のために補助弾性材としての平ゴム28を設けている。この補助弾性材としての平ゴム28の弾性力は、主弾性材としての平ゴム16の弾性力に比較すると小さく、ウエストサイズの伸縮のための主弾性材としての平ゴム16の弾性力からすれば無視できる程度である。また、見栄えに影響する皺が入る可能性も低いことから、当然、省略することも可能である。
そして、本発明を実施する場合、十分な弾性を有するものであれば、収容部12と延出部11の間を弾性的に接続する弾性材や、腰裏ベルト部30の弾性材は、平ゴムに限定されず、ゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の様々な弾性を有する素材を用いることも可能である。補助弾性材としての平ゴム28についても同様である。
そして、本発明を実施するに際しては、ボトムスの構造、形状、材質、生地、大きさ、長さ、幅、接続関係等についても、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムス、特に、紳士用のズボンにおいては、ウエストベルト部10の上下の両端や、脇ポケット部20のポケット口外縁26S,26L等に布を落ち着かせたり縫い代を安定させたり強度を補完するためにステッチを施すこともある。
なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
1 綿パン
4F 前身頃
4B 後身頃
10 ウエストベルト部
11 延出部
12 収容部
15 接続部
16 平ゴム(弾性材)
20L Lポケット部
20S 小ポケット部
21L 大袋布
21S 小袋布
22 タック部
23L Lポケット口
23S 小ポケット口
26L Lポケット口外縁
26S 小ポケット口外縁
30 腰裏ベルト部
31 延出部側裏ベルト
32 収容部側裏ベルト
33 平ゴム(他の弾性材)
33A 上位ゴム(他の弾性材)
33B 下位ゴム(他の弾性材)
78 縫合線
LS 左脇線
RS 右脇線
本発明は、ウエストサイズを伸縮自在とした被服、即ち、スーツ用ズボンや綿パン等のパンツ(ズボン)、スカート、キュロットスカート等(以下、「ボトムス(bottoms)」という)のウエスト伸縮自在ボトムスに関するもので、特に、ウエストが伸びたときでもポケットの美観を損なうことのない小ポケットを有するLポケット付きボトムスに関するものである。
一般に、パンツ(ズボン)等のボトムスの既製品のウエストサイズは、例えば、紳士用であれば、79cm、82cm、85cm等の3cm間隔、婦人用であれば、69cm、72cm、75cm等の3cm間隔とした所定の間隔に設定されており、購入者は自己のウエストサイズに近いものを選択して購入している。ところが、既製品のウエストサイズに対し、自己のウエストサイズが合わない際には、購入した衣服のウエストサイズを縫製等により自己のウエストサイズに修正したり、ベルト等を使用して矯正したりして着用している。しかし、このような修正作業には手間及び費用を要し、また、ベルト等によって矯正する場合でも、その購入に余分な費用がかかる。そのうえ、ベルト等で矯正する場合、パンツ等のウエストベルト部に皺が生じることがあり見栄えに好ましくなく、着用した際の快適性も劣ることなる。
また、このような既製品のウエストサイズが固定化されたボトムスでは、たとえ、購入時に、或いは、修正により自己のウエストサイズとボトムスのウエストサイズが合致していても、例えば、起立時と着座時とを比べると、着座時の方が自己のウエストサイズが大きくなることから、そのウエストサイズの変化に対応できない。飲食前後におけるウエストサイズの変化もそれに該当する。このため、ウエストサイズが固定化されたボトムスでは、着用者のウエストの動きに追従するフィット性が得られず、快適性に劣る。
そこで、これを解決したものとして、例えば、本発明者の特許発明に係る特許文献1乃至特許文献3に記載された技術が公知である。これらの技術は、ズボン等のポケットまたはタック部分でウエストベルト部の一部を重複させる機構とし、即ち、前方または後方のうちの一方のウエストベルト部(延出部)を前方または後方のうちの他方のウエストベルト部(収容部)の内側(裏側)に重ねて配置し、そして、それらの内側で弾性材により連結する。これにより、ズボン等のウエストベルト部が着用者のウエストの動きに合わせて伸縮自在となるものである。
特許第3789663号公報
特許第3964595号公報
特許第4499267号公報
これら特許文献1乃至特許文献3のウエスト伸縮自在ボトムスによれば、脇線近傍の脇ポケット部にタックを設けることによって、ウエストベルト部の伸びに伴い脇ポケット部の袋布に掛かる引張り力をタックの襞の展開によって逃がし、ウエストベルト部のスムースな伸びを確保することができる。そして、こうしたウエスト伸縮自在ボトムスにおける脇ポケット部として、特許文献3に開示のボトムスでは、通常の大きさのポケットに加え、それよりも大きさの小さい小ポケットをその直線のポケット口が脇線に沿うように設けられている。このような通常の大きさのポケットに加えて小ポケットを設けた脇ポケット部では、小ポケットの袋布にタックを設けることで、通常の大きさのポケットの見た目の変化を少なくして見栄えを良くでき、また、小ポケットは小銭入れ、鍵入れ、切符入れ等として使用でき、通常の大きさのポケットに入れる物との区別ができることで使い勝手を良くできる。
ここで、脇ポケットのバリエーションとして、従来、特許文献3に開示があるように、通常の大きさのポケットとしてポケット口の外縁がL字形状であるLポケット(L型ポケット)が存在する。このLポケットは、従来、ジーンズ(Gパン)のカジュアルなスタイルに好まれて用いられてきたが、斜めポケットに比べ脇線側で開口が開かない見栄えを確保できることから、特に、骨盤が大きい女性でも、着用したときに斜めポケットに比べポケット口が変形し難く見栄えを良くすることができることから、最近では綿パン、スーツ用ズボン、スラックス等にも採用されている。
ところが、このようなLポケットに対し、それよりも大きさの小さい小ポケットをその直線状のポケット口が脇線に沿うように設けた場合、ウエスト伸縮自在ボトムスでは、そのウエストが伸びた時に、小ポケットの袋布が変形しやすく、図13(a)に示したように、小ポケットの小ポケット口(23S)から袋布の表地25の部分が吹き出したり、脇ポケット部(20)及びその周辺に皺が生じたりし、特に、綿パン、スーツ用ズボン、スラックス等の場合には、その生地の材質からして皺寄りが目立つことで見栄えが大きく損なわれるという問題がある。
即ち、特許文献3に開示した小ポケットを設けたウエスト伸縮自在ボトムスにおいて、普通の大きさのポケットとしてポケット口の外縁がL字形状であるLポケット(L型ポケット)を採用した場合、伸縮自在なウエストベルト部に対し、L字状のポケット口外縁の上端が接続しているから、ウエストベルト部が伸びると、その伸びに伴ってL字状のポケット口外縁の上端側も移動する。このため、図13(a)に示したようにL字状のポケット口外縁(26L)と脇線(RS)の交点であるポケット止まり(75L)を中心にしてその周囲に引き攣りが生じ易くなる。
ここで、ポケット口の外縁をL字状とするLポケットでは、そのポケットの中に入れる物が落ち難い大きさを考慮すると、そのL字状のポケット口外縁と脇線の交点であるポケット止まりの位置が、斜めポケットのときよりもウエストベルト部に近づく位置に設計される。このため、このようなポケット口の外縁をL字状とするLポケットに対し、小ポケットを付加した際には、L字形状であるポケット口外縁のポケット止まりの高さから上で引き攣り量、引っ張り量が大きいものとなる。
その結果、ポケット口の外縁をL字状とするLポケットに対し、それよりも大きさの小さい小ポケットをその直線状のポケット口が脇線に沿うように設けた場合には、ウエストが伸びた時に、小ポケットの袋布が変形しやすく、図13(a)に示したように、小ポケットのポケット口から袋布の表地の部分が吹き出したり、小ポケット及びその周辺に皺が生じたりする。特に、図13(a)に示したように小ポケットのポケット口として、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮し、また、Lポケットのポケット口として、中に入れた物が落ち難い大きさを考慮すると、小ポケットのポケット口外縁の下端がLポケットのポケット止まり(75L)よりも下に位置する設計となるが、そのような場合には、小ポケットのポケット口の膨らみ等の変化が前身頃によって抑制されるから、小ポケットのポケット口からの袋布の表地の部分の吹き出しや、小ポケット部及びその周辺の皺寄りが顕著となる。そして、綿パン、スーツ用ズボン、スラックス等の場合には、このような小ポケットのポケット口からの袋布の吹き出しや、小ポケット及びその周辺の皺寄りが目立つことで、ポケットの見栄えが悪くなり商品イメージを大きく低下させてしまうことになる。
そこで、本発明においては、ウエストが伸びたときのポケットの美観を損なうことなく小ポケットを設けたLポケット付きボトムスの提供を課題とするものである。
請求項1の発明のLポケット付きボトムスは、身頃に縫着しない端部側が延出自在な延出部と、前記延出部の前記身頃に縫着しない前記端部側を収容した収容部と、前記収容部の内部で前記収容部と前記延出部の間を弾性材によって弾性的に接続した接続部とによって、ウエスト方向に延びる帯状をなした伸縮自在なウエストベルト部を構成し、L字状のポケット口外縁の上端が前記延出部に接続したLポケット部を前記身頃の前身頃側であって片側の脇線または両脇の脇線に沿って取付け、また、前記Lポケット部よりも容量が小さく、ポケット口外縁の上端が前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁よりも脇線寄りで前記延出部に接続した小ポケット部を前記前身頃側であって片側または両脇の脇線に沿って前記Lポケット部と重複して取付けたものである。そして、前記小ポケット部において、それを構成する袋布の向こう布側に上端から下方に向かって延びる襞状のタック部が形成され、前記タック部の襞がその上方を除いた一部で縫合されているものである。
ここで、上記ウエストベルト部は、着用時に人体のウエスト周りに配設する部位であり、身頃の上部に縫合わされボトムスの履き口となる上部において、ウエスト周囲に亘って延びる帯状に形成されたものである。
上記延出部は、前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表裏を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部側が身頃に縫着されずに収容部に挿入されて収容され、かつ、収容部から延出自在とされるものである。
上記収容部は、前記延出部を除く残りの前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表裏を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部(一端部または両端部)側に前記延出部の身頃に縫着されない端部側が挿入されて収められたものである。
上記延出部と収容部の関係は、見栄え、美観からして、ボトムスの脇線の上方付近で、延出部の延出自在な端部が前記ウエストベルト部の表裏の外面側(表裏面側)から隠れるように収容部内に入れられ、即ち、収容部に対し延出部の端部側が収容されて、収容部と延出部が重複する。そして、通常はポケットが前身頃側に配設されることから、ボトムスの前身頃側の上部に延出部が配設され、後身頃側の上部に収容部が配設され、延出部と収容部は脇線またはその近傍の上方で重ね合わせられる。つまり、収容部の延出部を収容している開口端は、脇線の上またはその近傍に位置している。
このような延出部及び収容部によって、ウエストベルト部の表側及び裏側を形成する構成は、例えば、延出部や収容部の表側と裏側は、1枚布をウエストベルト部の上端部で折り曲げる構成としてもよいし、ウエストベルト部の上端部で表裏の生地を接ぐ構成としてもよい。
上記接続部は、前記収容部に対し前記延出部の前記身頃に縫着しない端部側を入れて重ねた状態で、前記収容部の内部においてゴム等の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続したものである。
ここで、上記弾性材は、略直線状の1本の弾性材或いは縫合等によって1本に一体化された略直線状のゴム等の弾性材であってもよいし、2本または3本以上であってもよい。即ち、2本以上の弾性材を前記収容部と前記延出部の間に並列的に配置し、ウエストの周方向に対し略垂直な方向で各弾性材が上下方向に配置するようにしてもよい。このときの各弾性材同士は離間していてもよいし、互いに近接していてもよいし、一部で厚みを重複させていてもよい。
また、上記接続部の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続は、前記収容部や前記延出部に対する弾性材の接続が直接的または間接的かは問われない。弾性材を直接的に前記収容部と前記延出部に縫付けて前記収容部と前記延出部の間に取付けてもよいし、例えば、弾性材に対しその最大伸びを規定する非弾性材としての伸び止め材を併設し、その伸び止め材を前記収容部側や前記延出部側に縫付けることで、つまりは、非弾性材としての伸び止め材を弾性材の両端部側に縫付け、更に、弾性材の他端よりも突出させて、前記収容部や前記延出部に縫付けることで、伸び止め材を介して間接的に弾性材を前記収容部と前記延出部の間に取付けるようにしてもよい。即ち、上記接続部は、弾性材を用いて前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続している構成であれば、弾性材のみからなる構成であってもよいし、弾性材と伸び止め材等の非弾性材との組合わせで前記収容部と前記延出部の間を接続してもよい。
上記Lポケット部は、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、ボトムスの表側のポケット口の外縁が略L字型形状を有し、そのL字状のポケット口外縁の前中心寄りの上端(始端)が前記延出部に接続し、L字状の反対側の脇線寄りの終端がボトムスの脇線に接続しているものである。このポケット口の外縁が略L字型形状は、例えば、その外縁が角張ったL字形状であってもよいし、緩やかにカーブしたL字形状であってもよい。また、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケットであってもよいし、ポケット口の外縁が縦方向に長く横方向に短いL字形状のポケットであってもよい。特に、ポケット口の開き、変形が少ないことから、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部が好ましい。そして、そのようなポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部においては、そのポケット口の縦方向の開口縦幅が、ポケットの中に入れた物の落ち難さを考慮すると、通常、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmに設定される。なお、上記L字状とは、L字及びそれを左右反転させた形状(線対称形状)を含む概念である。また、上記脇線に沿って取付けとは、Lポケット部を形成する袋布の端部が身頃の前側及び後側の境界部分で身頃の前側及び後側と共に縫合されて、身頃の前側及び後側の接ぎ目部分に縫付けられていることを意味する。
上記小ポケット部は、前記Lポケット部と同様、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、前記Lポケット部よりも容量が小さく前記Lポケット部に重ね合わせて重複して取付られたものである。即ち、ボトムスの裏側からみたときに、Lポケット部を構成する袋布の手前(前方)側に小ポケット部を構成する袋布が配設しており、小ポケット部を形成する袋布は、Lポケット部を形成する袋布よりもその容量が小さいものである。
この上記小ポケット部は、そのポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りで、即ち、延出部が収容される収容部の開口端に近づいて前記延出部に接続し、ポケット口外縁の反対側の終端はボトムスの脇線側に接続しているものである。上記小ポケット部は、ボトムスの表側のポケット口の外縁が、ウエストベルト部のウエスト方向に対し垂直方向に略真っ直ぐな略直線状のものであってもよいし、前中心側から脇線側に向かって傾く斜めの直線状のものであってもよいし、L字型形状のものであってもよいし、その変形で外縁が略S字型形状のものであってもよい。特に、ポケット口の外縁が脇線に沿う略直線形状であると、視覚的にポケット口外縁が脇線に重複することで目立たないものとすることができる。なお、上記小ポケット部のポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りとは、小ポケット部のポケット口外縁の上端が前記L字状のポケット口外縁の上端よりも脇線に近いことを意味する。
そして、上記小ポケット部は、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮すると、ポケット口の縦方向の開口(縦幅)が、7cm〜13cm、好ましくは、8cm〜12cmに設定される。特に、前記Lポケット部のL字状のポケット口の縦方向の開口縦幅が、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmを考慮すると、小ポケット部のポケット止まり、即ち、小ポケット口外縁の終端(下端)は、前記Lポケット部のポケット止まり、即ち、脇線と交わるLポケット口外縁の終端の位置より下方に位置することになる。このような小ポケット部とLポケット部の位置関係では、ボトムスの表側から見て、小ポケット部の小ポケット口外縁の下方が、前身頃及びLポケット部によって隠れることになる。
なお、上記Lポケット部及び小ポケット部は、左右のどちらかの脇または左右の両脇に設けられるが、両脇のポケットが左右対称であってもよいし、左右対称でなくともよく、右脇のポケットと左脇のポケットとの種類、形態が異なっていてもよい。
更に、上記小ポケット部は、それを形成している袋布の向こう布側において、その上端から下方に向かって延びる襞状のタック部を有するものである。
ここで、上記タック部とは、小ポケット部を構成する袋布の向こう布に形成した所定の折り目に沿って折り返す、即ち、折畳むことで襞状に形成されたものであり、ウエストベルト部の伸びに伴い、前身頃側の上部に設けた延出部の移動と共に、ポケットの袋布に掛かる引張り力を襞の展開によって逃がすものである。そして、上記タック部では、その上方を除いて一部の襞が縫合されており、その縫合部分では襞の展開が制限されるものである。なお、上記タック部の上方を除く一部で襞が縫合とは、タック部の上方除いて一部の襞が縫合されていることを意味するが、タックの襞を縫合する位置は、必ずしもタック部の下端までタックの襞が縫合されていることまでを要求するものではない。即ち、タック部の襞の縫合は、ウエストベルト部が伸びたときに袋布の上方で所定の展開量を確保する点から、少なくともタック部の上方を除く必要があるが、タック部の下端側まで縫合されている必要はなく、タック部の上方に加え、タック部の下端側が除かれていてもよい。なお、タック部の上方を除いては、正確にタックの長さの中間位置から上の範囲でタックの襞が縫合されないことを意味するものではなく、タックの上端から下に所定範囲ではタックの襞が縫合されないことを意味する。
なお、上記小ポケット部の向こう布とは、ボトムスの外側(表側)において袋布の生地(裏布)が見えないように袋布に貼付けられる身頃等の共地向こう布、表地を意味するものではなく、袋状の袋布のうちボトムスの裏面側(身体側)に配設する側を向こう布とし、ボトムスの表面側に近い方に配設する手前布と区別するものである。身頃と共地であってもよいし、身頃とは異なる生地、例えば、スレーキ生地等の裏地を使用することも可能である。
請求項2の発明のLポケット付きボトムスは、身頃に縫着しない端部側が延出自在な延出部と、前記延出部の前記身頃に縫着しない前記端部側を収容した収容部とによって、ウエスト方向に延びる帯状のウエストベルト部の表側を形成し、また、前記収容部の内部で前記収容部と前記延出部の間を弾性材によって弾性的に接続し、更に、前記弾性材とは別の他の弾性材を設けた腰裏ベルト部によって、前記ウエスト方向に一体に連続して前記ウエストベルト部の裏側を形成したものである。また、L字状のポケット口外縁の上端が前記延出部に接続したLポケット部を前記身頃の前身頃側であって片側の脇または両脇の脇線に沿って取付け、更に、前記Lポケット部よりも容量が小さく、ポケット口外縁の上端が前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁よりも脇線寄りで前記延出部に接続した小ポケット部を前記身頃の前身頃側であって片側の脇または両脇の脇線に沿って前記Lポケット部と重複して取付けたものである。そして、前記小ポケット部において、それを構成する袋布の向こう布側に上端から下方に向かって延びる襞状のタック部が形成され、前記タック部の襞がその上方を除いた一部で縫合されているものである。
ここで、上記ウエストベルト部は、着用時に人体のウエスト周りに配設する部位であり、身頃の上部に縫合わされてボトムスの履き口となる上部において、ウエスト周囲に亘って延びる帯状に形成されたものである。
上記延出部は、前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表側を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部側が身頃に縫着されずに収容部に挿入されて収容され、かつ、収容部から延出自在とされるものである。
上記収容部は、前記延出部を除く残りの前記ウエストベルト部のウエスト方向の長さの一部でその表側を形成する帯状をなし、その長さ方向の端部(一端部または両端部)側に前記延出部の身頃に縫着されない端部側が重ねられ収められたものである。
上記延出部と収容部の関係は、見栄え、美観からして、ボトムスの脇線の上方付近で、延出部の延出自在な端部が前記ウエストベルト部の表面側から隠れるように収容部に収められ、即ち、収容部に対し延出部の端部側が収容されて収容部と延出部が重複する。そして、通常はポケットが前身頃側に配設されることから、ボトムスの前身頃側の上部に延出部が配設され、後身頃側の上部に収容部が配設され、延出部と収容部は脇線またはその近傍の上方で重ね合わせられる。つまり、収容部の延出部を収容している開口端は、脇線の上またはその近傍に位置している。
上記接続部は、前記収容部に対し前記延出部の前記身頃に縫着しない端部側を重ねた状態で、前記収容部の内部においてゴム等の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続したものである。
ここで、上記弾性材は、略直線状の1本の弾性材或いは縫合等によって1本に一体化された略直線状のゴム等の弾性材であってもよいし、2本または3本以上であってもよい。即ち、2本以上の弾性材を前記収容部と前記延出部の間に並列的に配置し、ウエストの周方向に対し略垂直な方向で各弾性材が上下方向に配置するようにしてもよい。このときの各弾性材同士は離間していてもよいし、互いに近接していてもよいし、一部で厚みを重複させていてもよい。
また、上記接続部の弾性材によって前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続は、前記収容部や前記延出部に対する弾性材の接続が直接的または間接的かは問われない。弾性材を直接的に前記収容部と前記延出部に縫付けて前記収容部と前記延出部の間に取付けてもよいし、例えば、弾性材に対しその最大伸びを規定する非弾性材としての伸び止め材を併設し、その伸び止め材を前記収容部側や前記延出部側に縫付けることで、つまりは、非弾性材としての伸び止め材を弾性材の両端部側に縫付け、更に、弾性材の他端よりも突出させて、前記収容部や前記延出部に縫付けることで、伸び止め材を介して間接的に弾性材を前記収容部と前記延出部の間に取付けるようにしてもよい。即ち、上記接続部は、弾性材を用いて前記収容部と前記延出部の間を弾性的に接続している構成であれば、弾性材のみからなる構成であってもよいし、弾性材と伸び止め材等の非弾性材との組合わせで前記収容部と前記延出部の間を接続してもよい。
また、上記腰裏ベルト部は、前記ウエスト方向に一体に連続して前記ウエストベルト部の裏側を形成し、前記弾性材とは別の他の弾性材によって伸縮自在なものであり、全体を前記弾性材とは別の他の弾性材で構成することで伸縮自在な構成としてもよいし、腰裏ベルト部の一部に前記弾性材とは別の他の弾性材を配設する構成であってもよい。即ち、前記ウエストベルト部の裏側の全周を他の弾性材、例えば、ゴムやパワーネット等で形成してもよいし、前記ウエストベルト部のウエスト周方向の一部を1または2以上のゴム等の弾性材で形成するものであってもよい。例えば、上記腰裏ベルト部は、前記延出部に縫付けた延出部側裏ベルトと、前記収容部に縫付けた収容部側裏ベルトと、前記延出部側裏ベルトの一端及び前記収容部側裏ベルトの一端の間を接続した前記弾性材とは別の他の弾性材とから構成されて、前記延出部側裏ベルトと前記収容部側裏ベルトの間の弾性材によってウエスト方向に伸縮自在とされるものであってもよい。
上記Lポケット部は、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、ボトムスの表側のポケット口の外縁が略L字型形状を有し、そのL字状のポケット口外縁の前中心寄りの上端(始端)が前記延出部に接続し、L字状の反対側の脇線寄りの終端がボトムスの脇線に接続しているものである。このポケット口の外縁が略L字型形状は、例えば、その外縁が角張ったL字形状であってもよいし、緩やかにカーブしたL字形状であってもよい。また、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケットであってもよいし、ポケット口の外縁が縦方向に長く横方向に短いL字形状のポケットであってもよい。特に、ポケット口の開き、変形が少ないことから、ポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部が好ましい。そして、そのようなポケット口の外縁が縦方向に短く横方向に長いL字形状のポケット部においては、そのポケット口の縦方向の開口縦幅が、ポケットの中に入れた物の落ち難さを考慮すると、通常、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmに設定される。なお、上記L字状とは、L字及びそれを左右反転させた形状(線対称形状)を含む概念である。また、上記脇線に沿って取付けとは、Lポケット部を形成する袋布の端部が身頃の前側及び後側の境界部分で身頃の前側及び後側と共に縫合されて、身頃の前側及び後側の接ぎ目部分に縫付けられていることを意味する。
上記小ポケット部は、前記Lポケット部と同様、後身頃及び前身頃からなる身頃のうちの前身頃側であってボトムスの左または右の片方の脇線若しくは左右両方の脇線に沿って設けられたものであり、前記Lポケット部よりも容量が小さく前記Lポケット部に重ね合わせて重複して取付られたものである。即ち、ボトムスの裏側からみたときに、Lポケット部を構成する袋布の手前(前方)側に小ポケット部を構成する袋布が配設しており、小ポケット部を形成する袋布は、Lポケット部を形成する袋布よりもその容量が小さいものである。
この上記小ポケット部は、そのポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りで、即ち、延出部が収容される収容部の開口端に近づいて前記延出部に接続し、ポケット口外縁の反対側の終端はボトムスの脇線側に接続しているものである。上記小ポケット部は、ボトムスの表側のポケット口の外縁が、ウエストベルト部のウエスト方向に対し垂直方向に略真っ直ぐな略直線状のものであってもよいし、前中心側から脇線側に向かって傾く斜めの直線状のものであってもよいし、L字型形状のものであってもよいし、その変形で外縁が略S字型形状のものであってもよい。特に、ポケット口の外縁が脇線に沿う略直線形状であると、視覚的にポケット口外縁が脇線に重複することで目立たないものとすることができる。なお、上記小ポケット部のポケット口外縁の上端がLポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りとは、小ポケット部のポケット口外縁の上端が前記L字状のポケット口外縁の上端よりも脇線に近いことを意味する。
そして、上記小ポケット部は、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮すると、ポケット口の縦方向の開口(縦幅)が、7cm〜13cm、好ましくは、8cm〜12cmに設定される。特に、前記Lポケット部のL字状のポケット口の縦方向の開口縦幅が、5cm〜11cm、好ましくは、6cm〜10cmを考慮すると、小ポケット部のポケット止まり、即ち、小ポケット口外縁の終端(下端)は、前記Lポケット部のポケット止まり、即ち、脇線と交わるLポケット口外縁の終端の位置より下方に位置することになる。このような小ポケット部とLポケット部の位置関係では、ボトムスの表側から見て、小ポケット部の小ポケット口外縁の下方が、前身頃及びLポケット部によって隠れることになる。
なお、上記Lポケット部及び小ポケット部は、左右のどちらかの脇または左右の両脇に設けられるが、両脇のポケットが左右対称であってもよいし、左右対称でなくともよく、右脇のポケットと左脇のポケットとの種類、形態が異なっていてもよい。
更に、上記小ポケット部は、それを形成している袋布の向こう布側において、その上端から下方に向かって延びる襞状のタック部を有するものである。
ここで、上記タック部とは、小ポケット部を構成する袋布の向こう布に形成した所定の折り目に沿って折り返す、即ち、折畳むことで襞状に形成されたものであり、ウエストベルト部の伸びに伴いポケットの袋布に掛かる引張り力を襞の展開によって逃がすものである。そして、上記タック部では、その上方を除いて一部の襞が縫合されており、その縫合の部分では襞の展開が制限されるものである。なお、上記タック部の上方を除く一部で襞が縫合とは、タック部の上方除いて一部の襞が縫合されていることを意味するが、タックの襞を縫合する位置は、必ずしもタック部の下端までタックの襞が縫合されていることまでを要求するものではない。即ち、タック部の襞の縫合は、ウエストベルト部が伸びたときに袋布の上方で所定の展開量を確保する点から、少なくともタック部の上方を除く必要があるが、タック部の下端側まで縫合されている必要はなく、タック部の上方に加え、タック部の下端側が除かれていてもよい。なお、タック部の上方を除いては、正確にタックの長さの中間位置から上の範囲でタックの襞が縫合されないことを意味するものではなく、タックの上端から下に所定範囲ではタックの襞が縫合されないことを意味する。
なお、上記小ポケット部の向こう布とは、ボトムスの外側(表側)において袋布の生地(裏布)が見えないように袋布に貼付けられる身頃等の共地向こう布、表地を意味するものではなく、袋状の袋布のうちボトムスの裏面側(身体側)に配設する側を向こう布とし、ボトムスの表面側に近い方に配設する手前布と区別するものである。身頃と共地であってもよいし、身頃とは異なる生地、例えば、スレーキ生地等の裏地を使用することも可能である。
請求項3の発明のLポケット付きボトムスの前記腰裏ベルト部は、請求項2の構成において、前記収容部の裏側に縫付けた収容部側裏ベルトと前記延出部の裏側に縫付けた延出部側裏ベルトの間を前記他の弾性材によって弾性的に接続してなるものである。
即ち、上記腰裏ベルト部は、前記延出部に縫付けた延出部側裏ベルトと、前記収容部に縫付けた収容部側裏ベルトと、前記延出部側裏ベルトの一端及び前記収容部側裏ベルトの一端の間を接続した前記弾性材とは別の他の弾性材とから構成されて、前記延出部側裏ベルトと前記収容部側裏ベルトの間の弾性材によってウエスト方向に伸縮自在とされるものである。
このような腰裏ベルト部は、前記ウエストベルト部の表側を形成する前記延出部及び前記収容部に対し、通常、前記ウエストベルト部の上端部で、延出部側裏ベルトが前記延出部に接がれ、また、収容部側裏ベルトが前記収容部に接がれる。そして、延出部側裏ベルトと収容部側裏ベルトの間を接続する前記弾性材とは別の弾性材は、前記延出部が入れられる前記収容部の開口端側付近で前記延出部に縫着されず前記延出部の裏側に配設される。上記延出部側裏ベルトと収容部側裏ベルトの間を接続する弾性材は、1本のゴム等の弾性材であっても良いし、2本または3本以上の弾性材を並列的に配置し、ウエストの周方向に対し略垂直な方向で各弾性材が上下方向に配置するようにしてもよい。
請求項4の発明のLポケット付きボトムスは、前記小ポケット部におけるタック部の襞(折り返し部分)を縫合する始点が、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置から上に垂直方向で3cm以上、8cm以下の範囲内、好ましくは、4cm以上、7.5cm以下、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内にあり、前記タック部の襞を縫合する終点は前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置またはそれよりも下にあるものである。
上記小ポケット部のポケット口外縁の終端とは、ボトムスの表側におけるポケット口外縁の長さの両端のうち、延出部に接続する上端とは反対側の脇線寄りの端(下端、末端)のことであり、ポケット止まりのことである。
また、上記始点、終点とは、前記タック部の襞(折り返し部分)を縫合した縫合線の端を意味し、縫製時の縫い始め、縫い終わりの縫製方向、手順までを意味するものではない。このときのタック部の襞の縫合は、その縫合線(縫い目)が、ボトムスの裏側からみたときに、小ポケット部を構成する袋布の向こう布側の外面側にでないように襞を縫合する中縫いであってもよいし、縫合線(縫い目)が向こう布の外面側に表出することになるコバステッチであってもよい。
なお、上記の数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、生地の種類、縫製糸の種類、縫い目の種類等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。
請求項5の発明のLポケット付きボトムスは、前記小ポケット部を構成する袋布の向こう布側において、前記小ポケット部のポケット口外縁に対応する位置に芯材が取付けられているものである。
上記芯材としては、紙芯(パネロン、バイリーン、不繊布等)、布芯(綿、麻、シルク等)、ストレッチ素材(ニット芯等)等が使用されるが、この芯材は、例えば、アイロンプレス等で袋布に接着してもよいし、縫製によって縫付けることも可能である。また、ポケットの袋布が、スレーキ生地等の場合には、通常、ボトムスの表側でポケット口から袋布の生地が見えないように、前記小ポケット部を構成する袋布の向こう布側の前記タック部から前記脇線側で、身頃等と共生地からなる表地(共布向こう布)を取り付けるが、袋布に取り付けるこの表地の裏面に芯材をアイロンプレス等で固着して、それを袋布に縫付け等によって取付けることで、袋布に対し芯材を取付けるようにしてもよい。
そして、上記芯材は、前記小ポケット部のポケット口外縁に対応する位置に設けられるが、少なくとも前記小ポケット部のポケット口外縁の上端から前記Lポケット部のポケット口外縁の終端(ポケット止まり)の垂直方向の長さの範囲に対応していればよい。好ましくは、ウエストベルト部に引張り力が掛かった際の小ポケット部のポケット口外縁の移動範囲に対応する大きさのものである。
請求項6の発明のLポケット付きボトムスの前記小ポケット部は、そのポケット口外縁が前記脇線に沿って延びた直線状であるものである。
なお、上記脇線に沿ってとは、必ずしも前記小ポット部のポケット口外縁が前記脇線に一致することまでを要求するものではなく、前記脇線及びその近傍で前記小ポケット部の直線状に延びたポケット口外縁が位置していることを意味する。
請求項7の発明のLポケット付きボトムスの前記Lポケット部は、そのポケット口外縁が縦方向に短く横方向に長いL字状であり、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端は、前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端より下に位置しているものであり、ボトムスの表側から見て、前記小ポケット部のポケット口外縁の下方が前記前身頃及び前記Lポケット部を構成する袋布の手前布の後方に位置して隠れているものである。
なお、上記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端とは、ボトムスの表側におけるポケット口外縁の長さの両端のうち、L字状の上端とは反対側の末端を意味する。即ち、延出部に接続する上端とは反対側の端(下端、末端)のことであり、ポケット止まりのことである。
請求項1の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部の表側及び裏側が、延出部と収容部で形成されており、延出部の端部側が収容部に挿入されて収容され、その状態で延出部と収容部の間が接続部の弾性材によって弾性的に接続されているから、ウエストベルト部に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、弾性材の伸びによって、収容部から延出部が延出することにより、ウエストベルト部が伸長する。また、引張り力が解放されると、弾性材の弾性力によって、伸長したウエストベルト部は元に戻る。こうして、身頃の上部に接続したウエストベルト部は、延出部と収容部の間を弾性的に接続した弾性材の弾性力によって伸縮自在である。
更に、請求項1の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ポケット口外縁がL字状でその上端が延出部に接続したLポケット部と、Lポケット部よりも容量が小さく、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りでポケット口外縁の上端が延出部に接続した小ポケット部とが脇線に沿って前身頃側に設けられている。
そして、小ポケット部を構成する袋布の向こう布側においては、その上端から下方に向かって延びた襞状のタック部が形成され、少なくともその上方が展開自在とされている。よって、ウエストベルト部に引張り力が掛かり収容部に対し延出部が延出するときには、小ポケット部に設けたタック部が展開することで、Lポケット部、小ポケット部、及び前身頃に掛かる引張り力を逃がすことができ、ウエストベルト部をスムースに伸ばすことができる。
なお、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及びそれよりも脇線寄りに位置する小ポケット部のポケット口外縁の上端は前記延出部に接続しているから、収容部に対する延出部の移動に伴い、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及び小ポケット部のポケット口外縁の上端も移動することになる。
このとき、小ポケット部に設けたタック部の襞はその上方を除く一部が縫合されているから、ウエストベルト部が伸びたときでも、タック部の襞の一部が縫合されていることでその開きが制限され、袋布の生地の遊び、余裕が少ない。これより、Lポケット部のポケット口外縁がL字形状であることで、そのポケット止まりから上の引き攣り量が大きくても、Lポケット部よりも脇線寄りに設けた小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出したり、ポケットに皺寄りが生じたりする事態が防止され、見栄えや外観性を維持できる。
このようにして、ウエストが伸びたときのポケットの美観を損なうことなく小ポケットを設けたLポケット付きボトムスとなる。
請求項2の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部の表側は、延出部と収容部で形成されており、延出部の端部側が収容部に収容され、その状態で延出部と収容部の間が接続部の弾性材によって弾性的に接続されている。また、ウエストベルト部の裏側は、前記弾性材とは別の他の弾性材によって伸縮自在な腰裏ベルト部で形成されている。よって、ウエストベルト部に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、収容部と延出部を接続する弾性材の伸びによって収容部から延出部が延出すると共に、ウエストベルト部の裏側を構成する腰裏ベルト部の弾性材の伸びによって腰裏ベルト部が伸びることにより、ウエストベルト部が伸長する。また、引張り力が解放されると、それら弾性材の弾性力によって、伸長したウエストベルト部は元に戻る。こうして、身頃の上部に接続したウエストベルト部は、延出部と収容部の間を弾性的に接続した弾性材の弾性力と腰裏ベルト部の弾性材の弾性力によって伸縮自在である。
更に、請求項2の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、ポケット口外縁がL字状でその上端が延出部に接続したLポケット部と、Lポケット部よりも容量が小さく、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端よりも脇線寄りでポケット口外縁の上端が延出部に接続した小ポケット部とが脇線に沿って前身頃側に設けられている。
そして、小ポケット部を構成する袋布の向こう布側においては、その上端から下方に向かって延びた襞状のタック部が形成され、少なくともその上方が展開自在とされている。よって、ウエストベルト部に引張り力が掛かり収容部に対し延出部が延出するときには、小ポケット部に設けたタック部が展開することで、Lポケット部、小ポケット部、及び前身頃に掛かる引張り力を逃がすことができ、ウエストベルト部をスムースに伸ばすことができる。
なお、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及びそれよりも脇線寄りに位置する小ポケット部のポケット口外縁の上端は前記延出部に接続しているから、収容部に対する延出部の移動に伴い、Lポケット部のL字状のポケット口外縁の上端及び小ポケット部のポケット口外縁の上端も移動することになる。
このとき、小ポケット部に設けたタック部の襞はその上方を除く一部が縫合されているから、ウエストベルト部が伸びたときでも、タック部の襞の一部が縫合されていることでその開きが制限され、袋布の生地の遊び、余裕が少ない。これより、Lポケット部のポケット口外縁がL字形状であることで、そのポケット止まりから上の引き攣り量が大きくても、Lポケット部よりも脇線寄りに設けた小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出したり、ポケットに皺寄りが生じたりする事態が防止され、見栄えや外観性を維持できる。
このようにして、ウエストが伸びたときのポケットの美観を損なうことなく小ポケットを設けたLポケット付きボトムスとなる。
請求項3の発明に係るボトムスによれば、前記ウエストベルト部の裏側は、前記収容部の裏側に縫付けた収容部側裏ベルトと前記延出部の裏側に縫付けた延出部側裏ベルトの間を前記弾性材とは別の他の弾性材によって弾性的に接続してなる腰裏ベルト部で形成されているものである。したがって、請求項2に記載の効果に加えて、前記弾性材とは別の他の弾性材が一部のみの配設であるから、低コストで済み、また、伸縮に伴う弛みも少なくなるから見栄えも良い。
請求項4の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記小ポケット部のタック部の襞(折り返し部分)を縫合する始点は、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置から上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下、好ましくは、4cm以上、7.5cm以下、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内にあり、前記タック部の襞を縫合する終点は、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端の高さに対応する位置またはそれよりも下にある。これより、ウエストベルト部が伸び際には、タック部の上方の襞の展開量を十分に確保しつつ、タック部の下方で襞の展開を制限できる。よって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、ウエストベルト部に引張り力が掛かった際でもウエストベルト部と身頃の境界部での引き攣りを抑えて見栄えを損なうことなく、ボトムスの外側の小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出るのを抑えることができる。
請求項5の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記小ポケット部を構成する袋布の向こう布側で前記小ポケット部のポケット口外縁の位置に対応して芯材が取付けられているから、ウエストベルト部が伸びたときの小ポケット部の袋布の変形、皺寄りを抑制でき、小ポケット部のポケット口から袋布が吹き出したり、ポケットに皺が生じたりするのを更に防止できる。よって、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、ウエストベルト部が伸びたときのポケットの見栄えを向上させることができる。
請求項6の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記小ポケット部は、そのポケット口外縁が前記脇線に沿って延びた直線状であるから、小ポケット部のポケット口が脇線と一体となって見られることで目立ち難い。よって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、美感、外観性を向上させることができる。
請求項7の発明に係るLポケット付きボトムスによれば、前記Lポケット部は、そのポケット口外縁が縦方向に短く横方向に長いL字状であり、また、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端は、前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端より下に位置していることから、着用者の動きや骨盤の大きい人でもそのL字状のポケット口が変形し難く、更に、小ポケット部の中に入れた物が取り出し易い大きさであり、かつ、Lポケット部の中に入れた物が落ち難い大きさである。よって、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、使い勝手が良く、また、見栄えに優れるものある。
そして、このように、前記小ポケット部のポケット口外縁の終端が、前記Lポケット部のL字状のポケット口外縁の脇線寄りの終端より下に位置することで、ボトムスの表側から見て、前記小ポケット部のポケット口外縁の下方が前記前身頃及び前記Lポケット部を構成する袋布の手前布の後方に位置し、ウエストベルト部が伸びたときに小ポケットのポケット口外縁の膨らみ等による変化が前身頃やLポケット部の手前布によって抑制されることでLポケット部のポケット止まりから上の引き攣りがより大きくなる構成であっても、小ポケット部に設けたタック部の襞の一部を縫合していることで、小ポケット部のポケット口からの袋布の表地の部分の吹き出しや、小ポケット部及びその周辺の皺寄りが抑制され、見栄えや外観性が維持される。
図1(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの正面図である。図1(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長していない状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の近傍を右側面から見た部分拡大図である。図1(c)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長した状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の近傍を右側面から見た部分拡大図である。
図2は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りを示す斜視図である。
図3は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りを展開して裏側から見た展開図である。
図4(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエストベルト部を展開して内部の構成を示す部分展開図であり、図4(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエストベルト部を構成する延出部と収容部の関係を示す部分展開図であり、図4(c)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエストベルト部及びその周囲の構造をズボンの裏側から見て示す部分展開図である。
図5(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長する前のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの裏側から見た部分拡大図であり、図5(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長した状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの裏側から見た部分拡大図である。
図6(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長する前のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの表側から見た部分拡大図であり、図6(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのウエスト周りが伸長した状態のウエストベルト部及び脇ポケット部の構造をズボンの表側から見た部分拡大図である。
図7(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンのLポケット部を形成する袋布の構成を説明するための部品展開図であり、図7(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンのLポケット部を形成する袋布の構成を説明する説明図である。
図8(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布の構成を説明するための部品展開図であり、図8(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布の作製途中の構成を示す説明図であり、図8(c)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布にタック部を形成し、タック部の襞をその一部で縫合した状態を示す説明図である。
図9(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布に設けたタック部の襞の一部を中縫いによって縫合した状態を示す説明図であり、図9(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を形成する袋布に設けたタック部の襞の一部をコバステッチで縫合した状態を示す説明図である。
図10は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部及びLポケット部の構成とウエストベルト部の構成をズボンの裏側から見て説明する部分分解斜視図である。
図11は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部及びLポケット部の構成とウエストベルト部の構成をズボンの表側から見て説明する部分分解斜視図である。
図12(a)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を構成する袋布に縫付けた表地の一部に芯材を貼ることを示す説明図であり、図12(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンの小ポケット部を構成する袋布に縫付けた表地の片面の全体に芯材を貼ることを示す説明図である。
図13(a)は小ポケット部を有するLポケット付きボトムスを着用した際に、小ポケット部の袋布の表地部分が小ポケット口から吹き出したり、小ポケット部及びその周囲で皺寄りが生じたりする状態を示した説明図であり、図13(b)は本発明の実施の形態に係る綿パンを着用した際の脇ポケット部及びその周囲の状態を示す説明図である。
図14は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンのウエスト周りを示す斜視図である。
図15は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンのウエスト周りを展開して裏側から見た展開図である。
図16は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンのウエストベルト部の構成を説明するための要部分解斜視図である。
図17(a)は本発明の実施の形態の変形例に係る綿パンの腰裏ベルト部の別の例を示す説明図であって、腰裏ベルト部の表面側(意匠面側)で弾性材の一部を展開した(捲った)状態で示した説明図であり、図17(b)は図17(a)に示した腰裏ベルト部の裏面側(反意匠面側)で弾性材の一部を展開した(捲った)状態で示した説明図である。
図18は本発明の実施の形態に係る綿パンのLポケット部のL字形状のポケット口外縁の別の例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する部分及び機能を意味するものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態に係るLポケット付きボトムスとしての綿パン1の概略構成について、図1乃至図3を参照して説明する。
本実施の形態に係る綿パン1は、下半身を包む前身頃4F及び後身頃4Bと、それら前身頃4F及び後身頃4Bの上部に接続され着用時に人体のウエスト周りに位置するウエストベルト部10とを有するものである。
また、本実施の形態に係る綿パン1は、着用時に人体のウエスト付近に位置するウエスト部Wにおいて、前身頃4F側であって左脇線LSの近傍及び右脇線RSの近傍にLポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20を有している。
ここで、本実施の形態のウエストベルト部10について、図1乃至図6を参照して、詳細に説明する。
本実施の形態において、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10は、そのウエスト長を収容部12と延出部11に分割し、後身頃4Bに縫合わされる収容部12と端部を除いて前身頃4Fに縫合わされる延出部11とを脇線LS,RS付近の上方で重ね合わせて重ね合わせ部13を形成している。
即ち、脇線LS,RS近傍で、収容部12の端部12eに延出部11の端部11t側を挿入し収容することで、特に、延出部11の前身頃4Fに縫着されない端部11tをウエストベルト部10の表裏の意匠面側から隠れるように収容部12内に入れることで、収容部12及び延出部11の重なりによる重ね合わせ部13を形成し、このような収容部12及び延出部11によってウエストベルト部10の表側及び裏側が形成されている。
そして、本実施の形態のウエストベルト部10においては、延出部11の端部11tが収められた収容部12の内部(内側)において、延出部11の端部11tと収容部12の内面側とが弾性材としての平ゴム16で構成される接続部15によって弾性的に接続されている。
このように、本実施の形態では、ウエスト方向に延びる帯状のウエストベルト部10を収容部12及び延出部11の別体で構成し、延出部11の前身頃4Fに縫着しない端部11t側を収容部12に挿入し、収容部12に対し延出部11が収容されている状態で収容部12の内部において収容部12及び延出部11の間を平ゴム16によって弾性的に接続していることで、平ゴム16の弾性力により収容部12から延出部11を延出自在とする。
即ち、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、図1、図5及び図6に示したように、平ゴム16の伸長によって収容部12から延出部11が引き出されて延出し、ウエストベルト部10が伸長する。そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、平ゴム16が弾性力によって元の本来の長さに戻るから、再び延出部11が収容部12内に収容される方向に移動し元の状態に戻る。
こうして、本実施の形態では、ウエストベルト部10を伸縮自在な構成としている。
このような本実施の形態のウエストベルト部10の伸縮自在な構造について、主に、図4乃至図6を参照して、より具体的に説明すると、本実施の形態では、収容部12及び延出部11は何れも前身頃4F及び後身頃4Bと共地(例えば、綿系の生地等)で形成され、ウエストベルト部10の表側の生地と裏側の生地の両者をウエストベルト部10の上端部側で接続している構成である。
即ち、本実施の形態では、綿パン1の外観側にあるウエストベルト部10の表側(外側)を形成する延出部表ベルト11Fの布地、及び、身体が挿入される側にあるウエストベルト部10の裏側(内側)を形成する延出部裏ベルト11Bの布地は、共に身頃4F,4Bと共地とし、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの両者を上側で接いで延出部11を構成している。また、ウエストベルト部10の表側(外側)を形成する収容部表ベルト12Fの布地及びウエストベルト部10の裏側(内側)を形成する収容部裏ベルト12Bの布地も共に身頃4F,4Bと共地とし、収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの両者を上側で接いで収容部12を構成している。
詳しくは、ウエストベルト部10の表側及び裏側を構成する収容部12は、身頃4F,4Bと共地からなる所定幅の収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目に沿ってまたはその近傍で収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの両者が縫合線62Aにて縫合わされている。また、収容部表ベルト12Fの下側は、その折り返した下端部の折り目に沿ってまたはその近傍で後身頃4Bの上端部に縫合線62Cにて縫合わされ、収容部表ベルト12Fに対応する収容部裏ベルト12Bの下側もその折り返した下端部の折り目の近傍で後身頃4Bの上端部に縫合線62Bにて縫合わされている。なお、縫合線62Cと縫合線62Bは、統一してもよいし、収容部裏ベルト12Bの下側は、後身頃4Bに対しウエスト方向の数箇所の部分的な縫付けであってもよい。
このとき収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの布地の内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等によって貼付けられる。例えば、ハード芯HCは収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの布地において折り返しのない中央部分に貼付けられる。また、ソフト芯SCは収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの布地の上端部や下端部の折り返し部分に貼付けられる。更に、必要に応じ、収容部12に入れられる延出部11の滑りを良くするために、延出部11が挿入される収容部12の端部12e(開口側)の内面においてソフト芯SCやハード芯HCの上に、伸縮性を有しない生地、例えば、ポリエステル系生地等からなる接着布、裏地等を、アイロンプレス等によって貼付けることもある。
即ち、本実施の形態では、収容部表ベルト12Fの布地に対し、その上下端部を内折りすることで、収容部表ベルト12Fがウエスト周方向で均一な幅となるようにその幅が設定され、また、収容部裏ベルト12Bにおいてもその布地の上下端部を内折りすることで、収容部裏ベルト12Bがウエスト周方向で均一な幅となるようにその幅が設定されている。なお、このとき、収容部表ベルト12Fや収容部裏ベルト12Bの中央側に所定形状に切り出されたハード芯HCを貼付けている場合には、通常、そのハード芯HCの形状に沿って収容部表ベルト12Fの布地の上下端部が内折りされる。そして、収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bの両者はそれらの上方で縫合線62Aにて接がれ、また、下方で縫合線62B及び縫合線62Cにて後身頃4Bと縫合され、それら収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bによって、帯状をなす収容部12を形成している。
また、ウエストベルト部10を構成する延出部11についても、身頃4F,4Bと共地からなる所定幅の延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目に沿ってまたはその近傍で延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの両者が縫合線61Aにて縫合わされている。更に、延出部表ベルト11Fの下側は、収容部12に挿入される先端部11tを除いて、前身頃4F及び後述するポケットの袋布21L,21Sの一部に縫合線61Cにて縫合わされ、それに対応する延出部裏ベルト11Bの下側も、収容部12に挿入される先端部11t側の一部を除いて前身頃4F及び後述するポケットの袋布21L,21Sの一部に縫合線61Bにて縫合わされている。なお、縫合線61Cと縫合線61Bは、統一してもよいし、延出部裏ベルト11Bの下側は、前身頃4Fに対しウエスト方向の数箇所の部分的な縫付けであってもよい。
一方で、収容部12内に挿入される延出部11の先端部11tは、前身頃4Fやポケットの袋布21L,21Sの上端部と縫合わされず自由な状態になっている。これより、図5及び図6に示すように、収容部12に入れられた延出部11の先端部11tは、収容部12から延出自在、つまり、ウエスト方向に相対移動自在とされる。
そして、収容部12と同様、延出部11についても、延出部表ベルト11Fや延出部裏ベルト11Bの布地の内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等で貼付けられる。例えば、ハード芯HCは延出部表ベルト11Fや延出部裏ベルト11Bの布地において折り返しのない中央部分に貼付けられる。また、ソフト芯SCは延出部表ベルト11Fや延出部裏ベルト11Bの布地の上端部や下端部の折り返し部分に貼付けられる。
ここで、図4(b)で示すように、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bからなる本実施の形態の延出部11は、収容部12に対して摺動し易いように、前身頃4Fに縫着されない先端部11tにおいて、その先端側に向かって徐々に幅を細くしている。詳細には、本実施の形態の延出部11の収容部12に挿入される先端部11tでは、その上端が直線状のラインであるのに対し、その下端が先端に向かって上昇する傾斜ラインである。一方、延出部11の収容部12に挿入される先端部11tを除いては、収容部12と同様に延出部11の延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bがウエスト周方向で均一な幅となるようにその幅が設定されている。
即ち、本実施の形態では、延出部表ベルト11Fの布地に対し、その上下端部を内折りし、また、延出部裏ベルト11Bの布地に対し、その上下端部を内折りして、収容部12に挿入される先端部11tを除いては、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bがウエスト方向に均一な幅となるようにそれらの幅が設定され、そして、収容部12に挿入される先端部11tでは、その端に向かって徐々に幅が細くなるように延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの幅が設定されている。なお、このとき、延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの中央側に所定形状に切り出されたハード芯HCを貼付けている場合には、通常、そのハード芯HCの形状に沿って延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bの布地の上下端部が内折りされる。これら延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bは、両者がそれらの上方で縫合線61Aにて接がれ、また、下方で前身頃4Fと縫合線61B及び縫合線61Cにて縫合され、それら延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bによって、帯状をなす延出部11を形成している。
なお、本実施の形態のウエストベルト部10の表側及び裏側を構成するこれら収容部12と延出部11は、延出部11の前身頃4Fに縫着されていない先端部11tが収容部12内に挿入されて収容され、収容部12及び延出部11が重なる重ね合わせ部13を形成している。
そして、本実施の形態のウエストベルト部10では、このようにして形成された収容部12と延出部11は、収容部12の内部(内面側)において、それらの間が所定長さの平ゴム16からなる接続部15によって接続されている。
平ゴム16としては、織ゴム、編ゴム、コールゴム、ゴムテープ等が使用される。十分な弾性を有するものであれば、他にもゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の様々な弾性を有する素材を用いることも可能である。
これより、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、平ゴム16の弾性力によって、収容部12に挿入された延出部11をウエスト方向に延出自在、即ち、相対移動自在とする。つまり、収容部12と延出部11の間を接続した平ゴム16の弾性力により、ウエストベルト部10を伸縮自在とする。
更に、本実施の形態では、この平ゴム16に対し、平ゴム16の厚さよりも薄い非伸縮性の生地、例えば、リボンテープ等からなる帯状の伸び止め材17を縫着しており、この伸び止め材17によって平ゴム16の最大の伸び長さを規定している。即ち、平ゴム16の最大伸びに相当する長さだけ弛ませて伸び止め材17が平ゴム16に並設して縫着されている。
伸び止め材17としては、平ゴム16の伸びを規定する役割からすれば、伸縮性に乏しく、適度な強度を有する生地が好適であり、更に、平ゴム16よりも厚みが薄いと嵩を抑制できる点で好ましく、例えば、スレーキ生地や、リボンテープや、ポリエステル系、ナイロン系、レーヨン系、綿等からなる生地等が使用できる。
本実施の形態において、この伸び止め材17は、その長手方向の一端部側が、収容部12内に挿入される延出部11の先端部11t側に平ゴム16を縫付けるときの縫付線51にて、延出部11と共に平ゴム16の一端部側に縫付けられている。また、伸び止め材17の延出部11側とは反対側の他端部側は、平ゴム16を収容部表ベルト12Fに縫付けるときの縫付線52にて、収容部表ベルト12Fと共に平ゴム16の他端部側に縫付けられている。このように本実施の形態において、帯状の伸び止め材17は、平ゴム16に対しその両端部側に縫付線51,52にて縫付けられている。
このとき、伸び止め材17は、平ゴム16の伸びを許容する分だけ、即ち、平ゴム16の伸びる許容範囲の長さ(例えば、1.5cm〜5cm)だけ弛ませ、平ゴム16の両端部側に縫付線51,52にて縫付けている。なお、平ゴム16の最大伸びに相当する長さだけ弛ませて平ゴム16に縫付けている伸び止め材17は縫付線51及び縫付線52間の弛みを折畳む折り目の形成により、嵩張りを少なくできる。
こうして、本実施の形態においては、平ゴム16に並設して取付けた伸び止め材17によって、平ゴム16の伸びの限界が規定されており、平ゴム16に引張り力が掛かっても、この伸び止め材17が縫付線51及び縫付線52間で弛ませている(折畳まれている)長さまでしか平ゴム16が伸びることのないようにし、平ゴム16の過度の伸びを防止している。即ち、伸び止め材17によって平ゴム16に無理な引張り力が掛かるのを防止するから、平ゴム16を長持ちさせることができる。更に、このように平ゴム16にその最大伸びを特定する伸び止め材17を並設していることで、収容部12及び延出部11の重ね合わせ部13に過度な張力が加えられないようにその伸び長さを制限できることから、重ね合わせ部13の見栄えを維持することもできる。加えて、ウエストベルト部10が伸縮する布地で形成されていても、特定の伸縮性に設定できる。
なお、図4において、伸び止め材17は、平ゴム16の表裏面のうち収容部表ベルト12F側とは反対面側、即ち、収容部裏ベルト12B側に取付けられているが、本発明を実施する場合には、収容部表ベルト12F側に取付けてもよい。
また、本実施の形態では、伸び止め材17の両端部を平ゴム16の両端部に縫付ける構成としているが、本発明を実施する場合には、伸び止め材17を長くし、その長くした伸び止め材17を平ゴム16の最大伸びに相当する長さだけ弛ませて平ゴム16の長さ方向の両端側に縫付け、更に、平ゴム16の一端または両端よりも突出させて延出部11や収容部12の内部に縫付けるようにしてもよい。この場合には、平ゴム16を収容部表ベルト12Fや延出部11に直接縫付けず、伸び止め材17を収容部表ベルト12Fや延出部11に縫付けることで、平ゴム16が収容部表ベルト12Fや延出部11に対し伸び止め材17を介して接続する構成となる。このような構成によって、収容部12及び延出部11の間を平ゴム16によって弾性的に接続する接続部15を形成してもよい。
例えば、伸び止め材17の端部の一方を平ゴム16の一方の端部に縫付け、また、伸び止め材17の途中に平ゴム16の端部の他方を縫付け、そして、伸び止め材17の端部の他方を、収容部表ベルト布12Fの内面に縫付ける構成では、伸び止め材17の端部の他方を、収容部表ベルト布12Fの内面に縫付けるときの縫付線を収容部12の開口端12e側からより離れた遠い位置に持ってくることができる。このため、収容部表ベルト布12Fの内面に縫付けるときの縫付線をベルト通し5A(図2参照)で隠す場合には、隣り合ったベルト通し5,5A(図2参照)の間隔を長くすることができるようになり、ベルト通しの配置数を少なくすることが可能となる。
即ち、本実施の形態の綿パン1において、延出部11の先端部11t側に平ゴム16を縫付けたときの縫付線51は、延出部11の先端が収容部12内に収容されるため、綿パン1の表側及び裏側の意匠面側からは見えない。
しかしながら、平ゴム16を収容部表ベルト12Fに縫付けたときの縫付線52は収容部表ベルト12Fの表裏面を貫通し綿パン1の表側に出ることになる。
そこで、本発明を実施する場合には、美観を向上させるために、ウエストベルト部10の表側で縫付線52をベルト通し5A(図2参照)で隠すようにすることも可能である。また、このようなベルト通し5(図1及び2参照)は、例えば、ウエストベルト部10の表側で、延出部11が延出される収容部12の開口端12eを覆い隠すように収容部12の表側の開口端12eにも取付けると、ウエストベルト部10の見栄えや美感を向上させることができる。勿論、綿パン1のウエストベルト部10の正面側及び背面側にも、同様のベルト通し5(図1及び2参照)が適当な間隔をとって取付けられる。
また、本実施の形態では、平ゴム16の延出部11側とは反対側の他端部を収容部12の収容部表ベルト12Fの内面(裏面)側に縫付けている。このように、平ゴム16を収容部表ベルト12Fの内面(裏面)側に縫付ける場合には、平ゴム16の面方向と並行方向への縫付けであるから、縫製に不慣れな熟練者にもその縫付けが分かりやすく、熟練の有無に関わらず、正確な縫製が容易にでき作業効率も良好となる。
しかし、本発明を実施する場合には、平ゴム16の延出部11側とは反対側の他端部を、収容部12の収容部裏ベルト12Bの内面(裏面)側に縫付けてもよい。
特に、平ゴム16を収容部裏ベルト12Bの内面側に縫付けると、平ゴム16を収容部12に縫付けるときの縫付線は、ウエストベルト部10の表側から見えなくなるから、ベルト通しを設けないボトムスであっても、見栄え、美感を維持できる。このときの伸び止め材17も、平ゴム16の表裏面のうち収容部裏ベルト12B側に取付けてもよいし、収容部裏ベルト12B側とは反対面側の収容部表ベルト12F側に取付けることも可能である。
更に、本実施の形態の綿パン1においては、収容部12及び延出部11の間を接続する平ゴム16とは別に補助弾性材として幅の細い所定長さの平ゴム28を後述する小ポケット部20Sの小袋布21Sとウエストベルト部10との間に縫着している。詳細には、平ゴム28の一端部を、後述する小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SBの後側布地21BBの上端部であってタック部22を形成する第2の折り目222の近傍に縫付け、また、反対側の他端部を、後述するLポケット部20Lを構成する大袋布21Lの向こう布21LBの上端部であって、小袋布21Sと重複していない部分で延出部表ベルト11Fの内折りした下部及び前身頃4Fの上端部と共に縫付けられている。なお、この平ゴム28を縫付けるときの縫付線は綿パン1の表側(外側)からは見えないようになっている。
このときの平ゴム28としては、例えば、織ゴム、編ゴム、コールゴム、ゴムテープ等が使用されるが、本発明を実施する場合、十分な弾性を有するものであれば、ゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の様々な弾性を有する素材を用いることも可能である。
このように、本実施の形態の綿パン1においては、平ゴム28の一端部を、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SBの後側布地21BBの上端部に対して縫付け、反対側の他端部を、Lポケット部20Lを構成する大袋布21Lの向こう布21LBの上端部であって小袋布21Sと重複していない部分に対して、前身頃4Fの上端部及び延出部表ベルト11Fの下側の折り返し部分と共に縫付け、この平ゴム28によって小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sのタック部22近傍と延出部表ベルト11F側とを弾性的に接続することで、延出部11の先端部11t側が収容部12から繰り返し出たり入ったりする場合でも、平ゴム28の弾性力によりタック部22の形状を維持し、小袋布21Sの形状が崩れたり、ウエストベルト部10と身頃4F,4Bの境界付近で小袋布21Sや身頃4F,4Bに皺が寄り見栄えが悪くなったりするのを防いでいる。
特に、平ゴム28の長さ方向の両端部のうち延出部表ベルト11Fの折り返した下部及び前身頃4Fの上端部へ縫付け位置を、反対側のタック部22近傍への縫付け位置よりも若干高くし、平ゴム28の両端の縫付け高さに高低を付していると、タック部22から前中心FC寄りの後側布地21BBに皺が入り難いものとのなる。
なお、このような補助弾性材としての平ゴム28の縫付けは、例えば、長さ方向の一端を、後側布地21BBの上端部に縫付ける一方で、反対側の他端部を延出部表ベルト11Fの上側の折り返し部分に縫付けることも可能である。このような縫付位置でも、小袋布21の形状を維持し、皺寄りの発生を防止して綿パン1の見栄えを良好に維持できる。
次に、ウエストベルト部10の周辺の構造について詳細を説明する。
上述したように、本実施の形態のウエストベルト部10は、後身頃4B側に縫合した収容部12の内部に前身頃4F側に縫合した延出部11の先端部11tが挿入されてウエスト周りが形成され、収容部12の内部において平ゴム16により収容部12と延出部11の間が接続されている構成である。
ここで、本実施の形態の綿パン1において、直線状に形成したウエストベルト部10の収容部12及び延出部11は、図5及び図6に示したように、両脇の脇線LS,RSの上方付近で収容部12に延出部11が挿入されることで重ね合わせられて、収容部12及び延出部11が重複した重ね合わせ部13を形成している。そして、本実施の形態の綿パン1においては、この収容部12と延出部11の重ね合わせ部13付近の下方であって、脇線LS,RSの近傍に左右で一対の脇ポケット部20が形成されている。
本実施の形態の脇ポケット部20は、図5及び図6に示したように、L字形状のLポケット口外縁26Lを有するLポケット部20Lと、それよりも容量が小さく直線状の小ポケット口外縁26Sを有する小ポケット部20Sとから構成されており、ズボンの裏側から見て、Lポケット部20Lを構成する大袋布21Lの手前側に小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sが重ねられて形成されている。
このようなLポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20の製作及び取付けについての詳細を、主に、図5乃至図13を参照にして説明する。
本実施の形態の脇ポケット部20を形成するLポケット部20Lは、綿パン1の脇線LS,RSに沿って前身頃4Fと後身頃4Bの間で大袋布21Lを縫付けることによって脇線LS,RS近傍の前身頃4F側に形成されている。
Lポケット部20Lを構成する大袋布21Lは、図7、図10及び図11に示すように、例えば、綿生地、スレーキ生地等の1枚の布地を所定形状に切断し、それを中央側で折畳み、手前布21LF側の端部21Lfを前身頃4F及び後身頃4Bに接続すると共に、向こう布21LB側の端部21Lbも、その下方側を前身頃4F及び後身頃4Bに接続して、後述する小ポケット部20Sの小袋布21Sの端部21Sf,21Sbと共に脇線LS、RSを形成する。
このとき、大袋布21Lの手前布21LF側の略L字状の上端部は、前身頃4Fの略L字状の上端部と縫合し、略L字状のLポケット口外縁26Lを形成している。そして、大袋布21Lの手前布21LF側の残りの上端部は、前身頃4Fと共に延出部11に縫合されており、また、大袋布21Lの向こう布21LB側の上端部も延出部11に縫合されている。
大袋布21Lの向こう布21LB側の端部21Lbにおいて前身頃4F及び後身頃4Bに縫合していない上方は、後述する小ポケット部20Sを構成している小袋布21Sの手前布21SF側の端部21Sbと縫合され略直線状の小ポケット口外縁26Sを形成している。
なお、図において、略L字状のLポケット口外縁26Lの脇線LS,RS寄りの終端(末端)と脇線LS,RSの交点をLポケット止まり75Lとし、ウエストベルト部10に対し垂直方向に略直線状の小ポケット口外縁26Sの終端(下端、末端)を小ポケット止まり75Sとしており、小ポケット止まり75SやLポケット止まり75Lには、必要に応じ、縫製の縫い目を補強する閂止めが施される。
また、本実施の形態において、このLポケット部20Lを構成する大袋布21Lの向こう布21LB側では、大袋布21Lを形成している生地がズボンの表側(外側)から見えないようにするために、身頃4F,4Bと共地の所定形状(図においては、略四分円の形状)の表地(共布向こう布)25Lが縫付けられている。即ち、大袋布21Lの生地がLポケット部20Lの表側(外側)から見えないようにするため、大袋布21Lを形成する所定形状の綿生地、スレーキ生地等の生地に対し、向こう布21LBのズボンの表面側から見える方の表面側に身頃4F,4Bと共地の所定形状の表地25Lを重ねて縫付けている。
そして、このLポケット部20Lの大袋布21Lは、その表側(反身体側)の手前布21LFの下端部及びその裏側(身体側)の向こう布21LBの下端部を縫合線28Lにて縫製して閉じることで袋状に形成され、手前布21LFの略L字状のLポケット口外縁26Lとそれに対向する向こう布21LBとの間がポケット口23Lとなり、手前布21LFと向こう布21LBの間がLポケット部20Lのポケットとしての収容空間となっている。
こうして、Lポケット部20Lの大袋布21Lは、前身頃4Fと後身頃4Bの間で縫着されて前身頃4F側に配設されている。
このような手前布21LFと向こう布21LBからなる大袋布21Lによって構成されるLポケット部20Lのサイズ、容量は、綿パン1の種類、デザイン、紳士用・婦人用等に応じて任意に設定されるが、綿パン1の表側(外側)からみたときのLポケット部20LのLポケット口23Lの開口幅(縦幅)ml(図6(a)参照)は、ポケットの中に入れる物が落ち難いように、通常、5cm〜11cm程度、好ましくは、6cm〜10cm程度に設定される。なお、L字状のLポケット口外縁26Lと脇線LS,RSとの交点をLポケット止まり75Lとすると、Lポケット部20LのLポケット口23Lの開口幅(縦幅)mlは、綿パン1の表側(外側)から見たときに、ウエストベルト部10の下端、即ち、上がり線OLから、Lポケット口外縁26LのLポケット止まり75Lの高さ位置までの垂直方向(上下方向)の長さ(距離)である。また、大袋布21Lの大きさ寸法は、その垂直方向(上下方向)の縦幅が、上がり線OL(図4及び図6参照)を基準とするとそこから下端部の縫合線28Lまでの長さ(距離)で、例えば、18〜26cm程度、好ましくは、20〜24cm程度である。また、大袋布21Lの最大横幅は、脇線LS,RSを基準としそこから前中心FC側の端までの長さ(距離)で、11cm〜21cm程度、好ましくは、14cm〜19cm程度である。なお、綿パン1の表側(外側)からみたときのLポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、脇線LS,RSとの間の横幅の長さ(距離)は、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmであり、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの上端との間の横幅の長さ(距離)も、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmである。
また、本実施の形態の脇ポケット部20を形成する小ポケット部20Sも、Lポケット部20Lと同様、綿パン1の脇線LS,RSに沿って前身頃4Fと後身頃4Bの間で小袋布21Sを縫付けることによって脇線LS,RS近傍の前身頃4F側に形成されている。
この小ポケット部20Sの小袋布21Sも、図8に示すように、例えば、綿生地、スレーキ生地等の1枚の布地を略長方形状等の所定形状に切断し、それを中央側で折畳み、向こう布21SB側の端部21Sbを前身頃4F及び後身頃4Bに接続すると共に、手前布21SF側の端部21Sfも、その下方側を前身頃4F及び後身頃4Bに接続し、Lポケット部20Lの大袋布21Lの端部2Lb,21Lfと共に脇線LS、RSを形成している。
このとき、小袋布21Sの手前布21SF側の上端部は、大袋布21Lと共に、延出部11と縫合されている。また、小袋布21Sの向こう布21SF側の上端部は、前中心FC側の一部が延出部11と縫合されている。
更に、小袋布21Sの手前布21SF側の端部21Sfは、前身頃4F及び後身頃4Bに接続していない上方がLポケット部20Lを形成する大袋布21Lの向こう布21LB側の端部21Lbの上方と縫合され、脇線LS、RSに沿いウエストベルト部10に対して直角な略垂直方向に直線状の小ポケット口外縁26Sを形成している。
そして、小ポケット部20Sの小袋布21Sは、その表側(反身体側)の手前布21SFの下端及びその裏側(身体側)の向こう布21SBの下端を縫合線28Sにて縫製して閉じることで袋状に形成され、小袋布21Sにおいて手前布21SFの略直線状の小ポケット口外縁26Sとそれに対向する向こう布21SBとの間が小ポケット口23Sとなり、それら手前布21SFと向こう布21SBの間が小ポケット部20Sのポケットとしての収容空間となっている。
こうして、小ポケット部20Sの小袋布21Sも、Lポケット部20Lの大袋布21Lと同様、前身頃4Fと後身頃4Bの間で縫着されており、綿パン1の裏側から見たときに、大袋布21Lの手前側に小袋布21Sが位置し、両者がそれらの端部を脇線LS,RSで寄せて重ね、脇線LS,RS寄りで重なり合って重複している。
このような手前布21SFと向こう布21SBからなる小袋布21Sによって構成される小ポケット部20Sのサイズ、容量も、綿パン1の種類、デザイン、紳士用・婦人用等に応じて任意に設定されるが、綿パン1の表側(外側)からみたときの小ポケット部20Sの小ポケット口23Sの開口幅(縦幅)ms(図6参照)は、一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮すると、3cm〜15cmの範囲内、好ましくは、6cm〜13cmの範囲内、より好ましくは、8cm〜12cmの範囲内とされる。
特に、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sは一般的な手の大きさ、取り出し易さを考慮し、かつ、Lポケット部20Lの中に入れた物が落ち難い大きさを考慮するとなると、本実施の形態においては、小ポケット部20Sの直線状の小ポケット口外縁26Sの下端である小ポケット止まり75Sが、Lポケット部20のL字状のLポケット口外縁26Lの下端であるLポケット止まり75Lよりも下方、例えば、1cm〜6cm下に位置し、ズボンの表側(外側)から見たとき、小ポケット口外縁26Sの下方は、前身頃4Fの後ろに重なって見えないようになっている。
なお、ウエストベルト部10に対して直角な略垂直方向(上下方向)に直線状の小ポケット口外縁26Sの下端を小ポケット止まり75Sとすると、小ポケット口23Sの開口幅(縦幅)msは、綿パン1の表側(外側)からみたときのウエストベルト部10の下端、即ち、上がり線OLから、小ポケット口外縁26Sの小ポケット止まり25Sの位置までの垂直方向の長さ(距離)である。また、小袋布21Sの大きさ寸法は、その垂直方向(上下方向)の縦幅が、上がり線OLを基準とするとそこから下端部の縫合線28Sまでの長さ(距離)で、例えば、14〜20cm程度、好ましくは、15〜18cm程度である。また、小袋布21Sの最大横幅は、脇線LS,RSを基準としそこから前中心FC側の端までの長さ(距離)で、7cm〜13cm程度、好ましくは、8cm〜11cm程度である。
ここで、延出部11の延出部表ベルト11Fは、前身頃4Fと大袋布21Lと小袋布21Sの手前布21SFに対し、前中心FC側から小ポケット口外縁26Sの上端の位置まで縫合線61Cにて縫付けられるが、小袋布21Sの向こう布21SB側に対しては、前中心FC側から後述するタック部22の第1の折り目221の位置までが縫合線61Cによる縫合位置となっている。また、延出部11の延出部裏ベルト11Bは、前身頃4Fと大袋布21Lと小袋布21Sに対し、前中心FC側から小袋布21Sの後述するタック部22の第2の折り目222の近傍までが縫合線61Bによる縫合位置とされている。
即ち、延出部11の収容部12に挿入される先端部11t側は前身頃4F、大袋布21L及び小袋布21Sに縫着されておらず収容部12から延出自在とされる。
これより、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、図5及び図6に示したように、小ポケット口外縁26Sの上端部及びLポケット口外縁26Lの上端部は、延出部11が収容部12から抜き出る方向に延出部11と一体に移動し、収容部12の開口端12e側、即ち、脇線LS,RS側から離れる方向に位置する。そして、それに伴い、小ポケット口外縁26Sと脇線LS,RSの間の表出する面積が拡大する。
このとき、本実施の形態では、ポケット口外縁26Sと脇線LS,RSの間で小袋布21Sの生地がズボンの表側(外側)から見えないようにするために、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側には、身頃4F,4Bと共地の表地(共布向こう布)25Sが縫付けられている。即ち、小ポケット口外縁26Sが脇線LS,RS側から離れる方向に移動した際でも小袋布21Sの生地がズボンの表側(外側)から見えないようにするため、小袋布21Sを形成する所定形状の綿生地、スレーキ生地等の布地に対し、その向こう布21SB側に身頃4F,4Bと共地の所定形状(図においては略長方形状)の表地(共布向こう布)25Sを重ねて縫付けている。これより、ウエストベルト部10に引張り力が掛かると、延出部11の移動に伴い小ポケット口外縁26Sの上端部が脇線LS,RS側から離れる方向に移動することで、小ポケット部20Sの表地25Sが表出する面積が拡大する。
更に、本実施の形態では、図12に示したように、小袋布21Sに縫付ける表地25Sに対しズボンの表側(外側)とは反対面側に芯材としてのハード芯77をアイロンプレス等によって貼り付けている。これにより、後述するように、ウエストベルト部10が伸びたときでも、小ポケット口23Sから小袋布21(表地25を含む)が吹き出したり、脇ポケット部20やその周囲に皺が寄ったりするのをより効果的に防止し、より見栄えを向上させることができる。このときのハード芯77は、脇線LS,RS寄りに設けられ、図12(b)に示したように、タック部22から脇線LS,RS側に設けた表地25Sの片面(裏面)の略全面に接着してもよいが、図12(a)に示されるように、表地25Sの片面(裏面)に対し、脇線LS,RS寄りの一部であっても、小ポケット口23Sから小袋布21が吹き出したり、脇ポケット部20やその周囲に皺が寄ったりするのを防止して見栄えを向上させる効果が得られる。
即ち、この芯材としてのハード芯77は、後述するタック部22から脇線LS,RS寄りに設けられるが、脇線LS,RS及びその近傍の範囲の小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sに対応する位置であって、少なくとも、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sの上端からLポケット口外縁26LのLポケット止まり75Lの長さ以上で脇線LS,RS側に沿って取付けることで、ウエストベルト部10が伸びたときの小ポケット部20Sの小袋布21Sの変形を防止し、小ポケット部20Sの皺寄りを効果的に防止できる。より好ましくは、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際の小ポケット部20Sのポケット口外縁26Sが移動する範囲、即ち、小ポケット部20Sの表地25Sが表出する範囲に対応する大きさであれば、生地が薄くても、ウエストが伸びたときの小ポケット部20Sの小袋布21Sの変形を防止して、見栄えを向上させる効果を得ることができる。
なお、ここでは、ハード芯77を表地25Sにアイロン等で接着する説明としたが、本発明を実施する場合には、接着芯等を直接、小袋布21Sに接着してもよいし、縫製による縫付けであってもよい。
加えて、本実施の形態の小袋布21Sにおいては、図8(a)に示した小袋布21Sの向こう布21SBとなる方で、脇線LS,RSを形成する身頃4F,4B側に縫合される前に、予め、図8(b)及び図8(c)に示すように、所定の位置にて2本の折り目221、222を付しそれらの折り目221、222に沿って所定幅で折重ねることにより、タック(折り返し)部22を形成している。
このタック部22は、図8(b)に示すように、小袋布21Sの向こう布21SBにおいて、上端から下方に延びる2本の折り目221、222を形成し、2本の折り目221、222のうち手前布21SF及び向こう布21SBの閉鎖端部側に近い方(図18(b)において右側)の第1の折り目221を谷折りとし、もう一方の第2の折り目222を山折りにすることで、図8(c)に示すように、襞状に形成されている。
なお、図8(c)に示すように、タック部22の襞を形成した小袋布21Sの向こう布21SBにおいて、身頃4F,4B側に縫付ける端部21Sb側から第2の折り目222までの間の布地を後側布地21BBとし、端部21Sbとは反対側の閉鎖端部側から第1の折り目221までの間の布地を前側布地21BFとし、後側布地21BBと前側布地21BFの間の布地、即ち、第2の折り目222と第1の折り目221の間の布地を中間布地21BMとしたとき、第1の折り目221及び第2の折り目222に沿って折畳んで形成した襞状のタック部22では、それら後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとが重なり合って重複する。
このように小袋布21Sの向こう布21SBの一部を折畳んだタック部22の形成により、ウエスト部Wに引張り力が掛かった際には、ウエストベルト部10の延出部11が収容部12から抜き出る移動と共に、折畳んだタック部22(正確には、タック部の一部)が開くから、脇ポケット部20を構成する袋布21L,21Sに掛かる引張り力を逃すことができ、ウエスト周りをスムースに伸ばすことができる。そして、タック部22が開閉することによってウエストベルト部10が伸縮する際でも、ウエストベルト部10の下部の身頃4F,4Bの生地に皺、引き攣り等を生じさせ難いから、見栄えの良い綿パン1となる。
このときタック部22の上端部の折畳み長さは、ウエストベルト部10の伸び量に応じウエストベルト部10を伸ばしたときの袋布21L,21Sの上方の引き攣りが少なくウエストベルト部10のスムースな伸びを確保できる長さであればよく、好ましくは、ウエストベルト部10の伸び長さ以上に設定される。タック部22の襞(折り返し部分)の幅、即ち、2本の折り目221と折り目222の間の間隔幅からすると、小袋布21Sの向こう布21SBの上端で第1の折り目221と第2の折り目222の間の間隔、即ち、横幅長さw(図11参照)は、好ましくは、ウエストベルト部10の最大の伸び長さの0.5倍〜0.7倍である。
例えば、平ゴム16に縫着した伸び止め材17の折畳み長さを3cmとし、その伸び止め材17の折畳み長さによって平ゴム16の最大伸びを約3cmに規制する場合、即ち、ウエストベルト部10の伸び長さを3cmとする場合には、小袋布21Sの向こう布21SBの上端で第1の折り目221と第2の折り目222の間の横幅長さwを約1.5cm以上とする。より好ましくは、約1.5cm以上、2cm以下である。
また、例えば、平ゴム16に縫着した伸び止め材17の折畳み長さを5cmとし、その伸び止め材17の折畳み長さによって平ゴム16の最大伸びを約5cmに規制する場合、即ち、ウエストベルト部10の伸び長さを5cmとする場合には、小袋布21Sの向こう布21SBの上端で第1の折り目221と第2の折り目222の間の横幅長さwを約2.5cm以上とする。より好ましくは、約2.5cm以上、3cm以下である。
また、タック部22の垂直方向(上下方向)の縦幅の長さは、綿パン1の種類、デザイン、紳士用・婦人用等に応じて任意に設定されるが、例えば、紳士用のボトムスのように、折り目221、222を安定させるために折り目221、222にアイロン等のプレスを施してしっかり折り目を付したり、小袋布21Sをアイロン等でプレスしてクセとりをしたりする設計の場合には、通常、小袋布21Sの縦幅の全長(正確には、小袋布21Sの上端から向こう布21SB及び手前布21SRを縫合した縫合線28Sの位置まで)に亘ってタック部22が形成され、タック部22の折り目221,222がアイロン等のプレスでしっかり付されるようにされる。例えば、上がり線OLを基準とするとタック部22の垂直方向の縦幅の長さx(上がり線OLと縫合線28Sの間の長さ)は、14〜20cm程度、好ましくは、15〜18cm程度である。
これにより、小袋布21Sの下方の遊び、余り、ダブつき、浮き等が少なくなり、アイロン等でプレスすればそれらのクセとりができるから、小袋布21Sの歪み、皺、膨らみ、浮き等が少なくて見栄えに優れた脇ポケット部20に仕上げることができる。
一方、タック部22を形成するための2本の折り目221、222にしっかりクセを付したり、また、小袋布21Sのクセとりをしたりするためのアイロン等のプレス処理を行わないボトムス、例えば、婦人用のボトムスの場合には、必ずしも小袋布21Sの縦幅の全長に亘ってタック部22を形成しなくともよく、タック部22の形成が小袋布21Sの縦幅長さの一部となる場合もある。このときのタック部の長さは、例えば、上がり線OLを基準とすると、タック部22の垂直方向の縦幅の長さxは、9〜18cm程度、好ましくは、10〜16cm程度である。このような所定長さのタック部22の形成により袋布21の下方の布地の遊びも綿パン1の表側に響かない程度になる。
ここで、上がり線OLは、上述したように、ウエストベルト部10の表側の下端、詳しくは、ウエストベルト部10表側の延出部表ベルト11の下端のラインに一致するものである。向こう布21SBの裁ち切り線からすると、上がり線OLはその裁ち切り線よりも、通常、1cm程度下位に位置する。
なお、ウエストベルト部10が伸びるときに袋布21L,21Sに掛かる引張り力は、袋布21L,21Sにおいて、ウエストベルト部10の配設側の上端側から下方に向かって徐々に減少する。そこで、それに併せて、本実施の形態においては、タック部22の折畳み長さは、その上端側から下方に向かって徐々に小さくなるように設定されている。即ち、2本の折り目221及び折り目222は上端側から下方に向かって徐々に近づくように設定されている。例えば、図8においては、傾きが小さく略直線状の第1の折り目221に対し、第2の折り目222は上端側から下方に向かって第1の折り目221側に近づく(大きく傾く)斜めに形成し、2本の折り目221及び折り目222が上端側から下方に向かって徐々に近づくようにしている。これにより、ウエストベルト部10の伸縮による小袋布21Sの皺、膨らみ、浮き等や引き攣りを減らすことができ見栄えを良くできる。
しかし、本発明を実施する場合、2本の折り目221及び折り目222間の幅は、上端から下方に向かって一定にすることも可能であるし、折り目221,222も、上下方向に垂直な直線状とすることも可能である。
そして、本実施の形態では、このように小ポケット部20Sの小袋布21Sにおいて、2本の折り目221,222に沿って折畳んで形成した襞状のタック部22を形成し、その一部でタック部22の襞(折り返し部分)を閉じるよう縫合線78にて縫合している。
ここで、上述したように、従来、横方に長く縦方向に短いL字状のポケット口外縁26Sを有するLポケット部20Lでは、Lポケット口23Lの開口幅(縦幅)mlが短くウエストベルト部10に近いから、ウエストベルト部10が伸びたときに、Lポケット止まり75Lに大きな負荷がかかりその周囲で袋布21S,21Lや身頃4F,4Bが大きく引き攣られ、それにより、図13(a)で示したように、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sから小袋布21S、表地25Sがとびだしたり、小ポケット部20S及びその周囲に皺が寄ったりし、ズボンを表側から見たときの脇ポケット部20の外観性や見栄えが損なわれる問題があった。
そこで、本実施の形態では、この問題を解決するために、タック部22において、小袋布21Sの向こう布21SBの上端から下方に向かう所定範囲は、タック部22の襞を縫合することなくタックの折畳みの開閉を自在とし、タックの上方を除き、所定位置から下でタックの襞を縫合線78にて縫合している。
具体的に説明すると、本実施の形態において、タック部22の襞を縫合線78にて閉じる位置は、少なくとも小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に所定の長さであればよい。即ち、小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しを抑えるためには、少なくとも小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に所定の長さだけタック部22の襞を閉じればよく、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tより下では、タック部22の襞を縫合しても良いし、縫合しなくても良い。即ち、タック部22の襞を縫合する終点78eは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tまたはそれよりも下にある。例えば、図4乃至図6、図10及び図11に示したように、タック部22の襞を縫合する終点78eは小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tとしてもよいし、図8及び図9に示したように、タック部22の下端部まで襞を縫合して、タック部22の襞を縫合する終点78eは小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tよりも下に設定してもよい。
図4乃至図6、図10及び図11で示したように、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tより下を縫合しない場合には、ウエスト部Wが伸びたときの脇ポケット部20の下方、特に、小ポケット止まり75Sの周囲の引き攣り、引張りが抑制され、小袋布21Sの歪みや皺寄りを効果的に防止して、綿パン1を表側から見たときの美感、見栄えの向上が可能となる。一方で、図8及び図9で示したように、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tより下も縫合した場合には、小袋布21Sがより落ち着くから、商品として陳列した際の美感、見栄えの向上が可能となる。
ここで、本発明者らの実験研究によれば、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上でタック部22の襞を縫合線78にて縫合する長さは、3cm以上、8cm以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内である。即ち、小ポケット口外縁76Sの末端である小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に垂直方向(上下方向)の長さで、好ましくは、3cm以上、8cm以下の範囲内で、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内でタック部22の襞を縫合線78にて縫合するのが好ましい。
小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上でタック部22の縫合する長さが長すぎる場合、タック部22の展開量を十分に確保できない。このため、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際にウエスト部Wのスムースな動きを確保できず窮屈感を生じさせることになる。また、袋布21L,21Sの上方で引き攣り、引っ張りによる歪み、皺寄り等が生じ、それが綿パン1の表側にも響いて、見栄えが低下したりする。一方で、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上でタック部22の縫合する長さが短い場合、小袋布21Sの布地の遊びが多くなるから、布地の種類によっては、ズボンの着用時に脇ポケット部20の小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sからとび出しやすくなる。
そこで、小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tとタック部22の襞を縫合する縫合線78の始点78sとの間の垂直方向(上下方向)の長さ(縦幅)をYb(cm)(図5参照)とすると、好ましくは、3≦Yb≦8であり、より好ましくは、4≦Yb≦7である。このように、タック部22の襞を閉じる縫合線78の始点78sがポケット止まり75の高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以内、好ましくは、4cm以上、7cm以内にあれば、即ち、タック部22に対し、小ポケット口23Sの末端、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端である小ポケット止まり75の高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下の範囲内、より好ましくは、4cm以上、7cm以下の範囲内で縫合線78にてタック部22の襞を閉じことで、ウエストベルト部10が伸びたときでも、ウエストベルト部10と身頃4F,4Bの境界部に引き攣りが生じ難くてウエスト部Wのスムースな伸びを確保でき、かつ、小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sから吹き出して露出する事態が効果的に抑制され、綿パン1を表側から見たときの良好な見栄えを保つことができる。
また、このとき、小袋布21Sの向こう布21SBの上がり線OLとタック部22の襞を縫合する縫合線78の始点78sとの間の垂直方向の長さ(縦幅)をYa(cm)(図4参照)とすると、好ましくは、3≦Ya≦7であり、より好ましくは、4≦Ya≦6である。即ち、タック部22の縫合の始点78sは、向こう布21SBの上がり線OLから下に3cm以上、7cm以下の範囲内に位置させるのが好ましく、より好ましくは、4cm以上、6cm以下の範囲内である。
タック部22の縫合の始点78sがタック部22の上端に近すぎる場合、タック部22の展開量を十分に確保できない。このため、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際にウエスト部Wのスムースな動きを確保できず窮屈感を生じさせる恐れがある。また、小袋布21Sの上方で引き攣り、引っ張りによる歪み、皺寄り等が生じ、それがズボンの表側にも響いて、見栄えが低下したりする。一方で、タック部22の縫合する位置が下方に下がり過ぎる場合、小袋布21Sの布地の遊びが多くなるから、布地の種類によっては、ズボンの着用時に脇ポケット部20の小袋布21(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sかとびだしやすくなる。
向こう布21SBの上がり線OLとタック部22の縫合の始点78sとの間の垂直方向(上下方向)の長さYaが、3cm以上、7cm以下の範囲内、より好ましくは、4cm以上、6cm以下の範囲内であれば、タックの開きが十分に確保され、ウエストベルト部10が伸びたときでも、ウエスト部Wのスムースな動きを確保でき、かつ、小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sから吹き出す事態を効果的に抑えることができ、ズボンを表側から見たときの良好な見栄えを保つことができる。
ここで、縫合線78にてタック部22の襞を縫合する形態は、後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFのうち、中縫いを行うことによって、第1の折り目221と第2の折り目222の間の布地である中間布地21BMと、第1の折り目221から前中心BC側に向かう布地である前側布地21BFとを、タックの長さ方向の一部で縫合線78にて縫合することで一部の襞を縫合するようにしてもよいし、コバステッチで後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合するようしてもよい。
即ち、中縫いによる中間布地21BMと前側布地21BFの縫合は、図9(a)で示すように、縫合線78の縫い目が中間布地21BMと前側布地21BFを貫通するが後側布地21BBには貫通せずその縫い目が後側布地21BBに表出しないのに対し、コバステッチによる後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとの縫合は、図9(b)に示すように、縫合線78の縫い目が後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFを貫通し後側布地21BBに表出する。即ち、中縫いは、図9(a)に示すように、中間布地21BMと前側布地21BFを縫合し、その縫合線78の縫い目が、ズボンの裏側から見たときに後側布地21BBに表出しないのに対し、コバステッチは、図9(b)に示すように、後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合し、その縫合線78の縫い目が、ズボンの裏側から見て後側布地21BBに表出するものである。
特に、コバステッチにより後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合には、中縫いにより中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合と比較して、縫合した部分のタックの開き量を大きく制限できる。
一方、中縫いにより中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合には、コバステッチにより後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合する場合と比較して、縫合した部分のタックの開き量の制限を少なくできる。
よって、袋布21S,21Lの生地、表地25S,25Lの生地、身頃4B,4Fの生地、ウエストベルト部10の表側や裏側の生地等によって、また、Lポケット口23Lや小ポケット口23Sの開口の大きさ等によって、中縫いまたはコバステッチを適宜選択することも可能である。
例えば、身頃4B,4Fや、袋布21S,21L等の生地が薄いものや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が短いもの(例えば、3≦ms≦7)では、小ポケット口23Sから小袋布21S(表地25Sを含む)が吹き出しやすくなるから、タックの開き量の制限を大きくできるコバステッチの縫製で後側布地21BBと中間布地21BMと前側布地21BFとを縫合することで、ウエストベルト部10が伸びたときの小袋布21Sの変形、小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しをより効果的に抑制できる。
一方で、生地が厚いものや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が長いもの(例えば、7<ms≦15)では、ウエスト部Wが伸びたときに、小ポケット止まり75Sの周囲で引き攣り、引張り量が大きくなることで皺寄りが生じやすくなるから、タックの開き量(展開量)の制限を少なくできる中縫いの縫製で中間布地21BMと前側布地21BFを縫合することで、ウエスト部Wが伸びたときでも小ポケット止まり75Sの周辺の引き攣り、引張りにより歪み、皺寄りを効果的に抑え、綿パン1を表側から見たときの外観性や見栄えを良好に維持することが可能となる。
更に、タック部22の折り目221,222に対する縫合線78の間隔によっても縫合する部分のタックの開き量を適宜設定することが可能である。例えば、タック部22の襞を縫合するときの縫合線78は、コバステッチでは、縫製の分かり易さから、第2の折り目222に平行させる斜めとし、タック部22を形成する第2の折り目222に平行で第2の折り目222から、好ましくは、7mm以内、より好ましくは、1mm以上、5mm以内でタック部22の襞を縫合線78にて縫合する。即ち、縫合線78と第2の折り目222の間隔幅をD2(mm)(図9(b)参照)とすると、好ましくは、D2≦0.7、より好ましくは、0.1≦D2≦0.5である。このように第2の折り目222に平行する斜めの縫合線78の位置を第2の折り目222から所定範囲内とすると、コバステッチの場合にはタックの開きが大きく制限されることで、生地が薄いときや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が短い(例えば、3≦ms≦7)ときでも、小ポケット口23Sからの小袋布21(表地25Sを含む)の吹き出しを効果的に抑えることができる。
また、中縫いでは、縫製の分かり易さから、縫合線78を第1の折り目221に平行させる直線とし、縫合線78の位置を第1の折り目221から好ましくは、5mm以内、より好ましくは、1mm以上、3mm以内でタック部22の襞を縫合線78にて縫合する。即ち、縫合線78と第1の折り目221の間隔幅をD1(mm)(図9(a)参照)とすると、好ましくは、D1≦0.5、より好ましくは、0.1≦D1≦0.3とする。このように第1の折り目221に平行させる縫合線78の位置を第1の折り目221から所定範囲内とすると、中縫いの場合にはタックの開きに余裕がでるから、生地が厚いときや、小ポケット口23Sの開口縦幅ms(cm)が長い(例えば、7<ms≦15)ときでも、ウエストベルト部10が伸びたときの小ポケット止まり部75Sの周囲の引き攣り、引張りによる歪み、皺寄りを効果的に抑え、ズボンを表側から見たときの外観性や見栄えを良好に維持することが可能となる。
勿論、本発明を実施する場合には、小袋布21Sのタック部22の襞を縫合するときの縫合線78は、第1の折り目221や第2の折り目222と平行させず直線状または斜めとしてもよい。
このように、本実施の形態の小ポケット部20Sを形成する小袋布21Sでは、その向こう布21SBに形成したタック部22において、向こう布21SBの上端から所定範囲は縫合することなく、例えば、上がり線OLを基準とすると、そこから下に垂直方向の長さYaで3cm〜7cmの範囲は縫合することなく、小ポケット部20Sのポケット止まり75Sの高さ75tに対応する位置75tから上に垂直方向の長さ(縦幅)Ybで3cm〜8cmの範囲内で縫合することによりタック部22の襞の一部を閉じてタックの開きを制限している。即ち、タック部22の上端から下に所定の長さ範囲では、タック部22の襞を閉じることなく展開自在(開閉自在)とするも、タック部22の下方側でタックの襞を縫合線78にて縫合していることによりタック部22の開きを制限している。
これより、本実施の形態の綿パン1では、L字状のLポケット口外縁26Lを有するLポケット部20Lに対し、それよりも収容容積の小さい小ポケット部20Sを脇線LS,RSに沿って形成しているが、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SBに所定長さのタック部22を形成し、そのタック部22の襞の一部をタック部22の上方を除いて縫合線78にて縫合してタックの開きを制限したことで、小袋布21Sの布地の遊びが少なくなり、図13(b)に示したように、ズボンの表側(外側)から見て、ウエストベルト部10が伸びたときでも、小袋布21S(表地25Sを含む)が小ポケット口23Sから吹き出すのが抑制され、脇ポケット部20及びその周囲に皺寄りが生じ難くなり、見栄えの良い脇ポケット部20を形成し、美観を維持できる。
特に、本実施の形態では、タック部22の襞を縫合する縫合線78の始点78sは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75Sの高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下の範囲内にあり、小袋布21Sの向こう布21SBの上がり線OLからすると、その位置よりも垂直方向の長さで3cm〜7cm下にあり、タック部22の襞を縫合する終点78eは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tまたはそれよりも下にある。
したがって、タック部22の上方の襞の展開量を十分に確保して袋布21S,21Lや身頃4F,4Bの上方の引き攣りを抑制しつつ、タック部22の下方で襞の展開を制限したことで、小袋布21Sの遊び、余裕を少なくして、小ポケット口23Sから吹き出すのを抑制できる。故に、ウエストベルト部10が伸びたときの小袋布21S(表地25Sを含む)の変形を効果的に抑制でき、小袋布21の歪みや皺寄りが生じ難いことで、ズボンを表側から見たときの見栄えに優れたものとなる。
そして、本実施の形態の綿パン1は、上端部が延出部11に接続するL字状のLポケット口外縁26Lを有するLポケット部20Lと、それよりも収容容積が小さく、上端部が延出部11に接続しLポケット口外縁26Lの上端部よりも収容部12側の脇線LS,RSに近い直線状の小ポケット口外縁26Sを有する小ポケット部20Sとを脇線LS,RSに沿って前身頃4F側に形成したものである。このように、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの延出部11に接続する上端部よりも小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの延出部11に接続する上端部を脇線LS,RS寄り、即ち、収容部12及び延出部11の境界寄りに形成したことにより、ウエストベルト部10に引っ張り力が掛かった際には、脇線LS,RSと小ポケット口外縁26Sの間の表出する面積が拡大するのみで、即ち、小ポケット部20Sにおける表地25Sの表出する面積が拡大するのみで、表地25Sよりも大きな面積のLポケット部20Lの表地25Lの表出する面積に大きな変化はないから、外観の目立つ変化が少なくて、美感を向上させることができる。つまり、ウエストを伸縮自在とするも、小ポケット部20Sよりも大きな(広い)ポケット口サイズのLポケット部20Lの見た目の変化を少なくして脇ポケット部20の見栄えを良くでき、Lポケット部20Lのデザインの自由度が高く、そのデザインにバリエーションを持たせることが可能となる。
特に、ウエストベルト部10が伸縮していない状態で、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sを脇線LS,RSに沿って形成されているものであると、脇線LS,RSに小ポケット口外縁26Sが重複して目立たなくなり、見栄えに優れるものとなる。
更に、本実施の形態の綿パン1は、Lポケット部20Lよりも容量の小さい小ポケット部20Sを設けたから、Lポケット部20Lには、例えば、財布、ハンカチ、ティッシュペーパー等の大きな物を入れ、小ポケット部20Sには、例えば、小銭、鍵、切符等の小物を入れるものとして使用すれば、小ポケット部20Sに入れた物とLポケット部20Lに入れた物とを区別でき、脇ポケット部20に入れた物を取り出す際の選別にかかる時間を短縮できて、容易に目的の物を取り出すことが可能であり、非常に使い勝手が良いものである。
以上説明してきたように、本実施の形態の綿パン1は、身頃4F,4Bの上部に接続しウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10が伸縮自在なLポケット付きボトムスであって、ウエストベルト部10の表側及び裏側を形成し、身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側が延出自在な延出部11と、延出部11と共にウエストベルト部10の表側及び裏側を形成し、延出部11の身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側を収容した収容部12と、収容部12の内部で収容部12と延出部11の間を弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続した接続部15と、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿って取付けられ、Lポケット口外縁26LがL字状でその上端が延出部11に接続したLポケット部20Lと、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿ってLポケット部20Lと重複して取付けられ、Lポケット部20Lよりも容量が小さく、小ポケット口外縁26Sの上端がLポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lよりも脇線RS,LS寄りで延出部11に接続した小ポケット部20Sとを具備し、小ポケット部20Sには、それを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側に上端から下方に向かって延びた襞状のタック部22が形成され、タック部22の襞が少なくともその上方で展開自在であり、上方を除く一部で縫合されているものである。
このように本実施の形態のLポケット付きボトムスとしての綿パン1によれば、ウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10の表側及び裏側が、延出部11と収容部12で形成されており、延出部11の端部11t側が収容部12に挿入されて収容され、その状態で延出部11と収容部12の間が接続部15の弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続されている。これより、ウエストベルト部10に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した接続部15の弾性材としての平ゴム16の伸びによって、収容部12から延出部11が延出することにより、ウエストベルト部10が伸長する。また、引張り力が解放されると、平ゴム16の弾性力によって、伸長したウエストベルト部10は元に戻る。こうして、身頃4F,4Bの上部に接続したウエストベルト部10は、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した平ゴム16の弾性力によって伸縮自在である。よって、ウエストベルト部10が伸縮自在であることで、身体のウエスト周りの動きに追随できるから、食後や着座時等にウエスト周りが大きくなった際でも締め付け力、窮屈感を軽減し、常にウエスト周りにフィットでき、快適な着用感を得ることができる。
更に、本実施の形態の綿パン1によれば、Lポケット口外縁26LがL字状でその上端が延出部11に接続したLポケット部20Lと、Lポケット部20Lよりも容量が小さく、Lポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lの上端よりも脇線LS,RS寄りで小ポケット口外縁26Sの上端が延出部11に接続した小ポケット部20Sとが脇線LS,RSに沿って前身頃4F側に設けられている。このように、Lポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lの上端及びそれよりも脇線RS,LS寄りに位置する小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの上端は延出部11に接続しているから、収容部12に対する延出部11の移動に伴い、Lポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lの上端及び小ポケット部20Sの小ポケット口外縁20Sの上端も移動することになる。
そして、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側においては、その上端から下方に向かって延びた襞状のタック部22を形成し、少なくともその上方が展開自在であるので、ウエストベルト部10に引張り力が掛かり収容部12に対し延出部11が延出するときには、小ポケット部20Sに設けたタック部22が展開することで、Lポケット部20L、小ポケット部20S、及び前身頃4Fに掛かる引張り力を逃がすことができ、ウエストベルト部10をスムースに伸ばすことができる。
このとき、小ポケット部20Sに設けたタック部22の襞はその上方を除く一部が縫合されているから、ウエストベルト部10が伸びたときでも、タック部22の開きが制限され、小袋布21Sの生地の遊び、余裕が少なくなっている。これより、Lポケット部20Lのポケット口外縁26LがL字形状であることで、延出部11の移動に伴うLポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端の移動により、Lポケット部20LのLポケット止まり75Lから上で大きな引き攣り量が生じても、Lポケット部20Lよりも脇線RS,LS寄りに設けた小ポケット部20Sの小ポケット口23Sから小袋布21S(表地25Sを含む)が吹き出したり、小ポケット部20S及びその周囲に皺寄りが生じたりする事態が防止され、見栄えや外観性を維持できる。
このようにして、ウエスト部Wが伸びたときの脇ポケット部20の美観を損なうことなく小ポケット部20Sを設けたLポケット付きボトムスとしての綿パン1となる。
特に、本実施の形態に係る小ポケット部20Sによれば、タック部22の襞を縫合する縫合線78の始端78sは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tから上に垂直方向の長さで3cm以上、8cm以下の範囲内にあり、タック部22の襞を縫合する終点78eは、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tまたはそれよりも下にある。
これより、タック部22の上方の襞の展開量を十分に確保しつつ、タック部22の下方で襞の展開を制限できる。よって、ウエストベルト部10が伸びたときでもウエストベルト部10との境界付近の身頃4F,4Bや袋布21S,21Lの上方の引き攣りを抑えて見栄えを損なうことなく、小袋布21S(表地25Sを含む)がズボンの外側の小ポケット部20Sの小ポケット口23Sから吹き出したり脇ポケット部20に皺寄りが生じたりするのを防止できる。即ち、ウエストベルト部10が伸びたときの小袋布21S(表地25Sを含む)の変形を効果的に抑制でき、小袋布21の歪みや皺寄りが生じ難いことで、ズボンを表側から見たときの美感、見栄えが向上する。
特に、タック部22の襞を縫合する終点78eが、小ポケット部20Sのポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tであると、ウエストベルト部10が伸びたときに、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sを中心としたその周囲に発生する引き攣り、引張りを少なくでき小袋布21Sの歪みや皺寄りを少なくできる。一方、タック部22の襞を縫合する終点78eが、小ポケット部20Sの小ポケット止まり75S、即ち、小ポケット口外縁26Sの下端75Sの高さに対応する位置75tより下にあると、身頃4F,4Bや袋布21L,21Sが薄い生地であっても、効果的に、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しを防止できる。
また、小ポケット部20Sのタック部22の襞は、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を形成する2本の折り目221,222のうち、タック部22の折畳み状態で小ポケット部20Sの小袋布21Sの向こう布21SBに表れない方の折り目221から5mm以内、より好ましくは、1mm以上、3mm以内の中縫いで縫合した場合には、タック部22の襞を縫合した部分でも所定の展開量を確保できる。よって、Lポケット部20LのLポケット口23Lの縦幅が長いときでも、また、身頃4F,4Bや袋布21L,21Sの生地が厚いときでも、ウエストベルト部10が伸びた時に、小ポケット部20Sのポケット止まり75Sの周囲に生じやすい引き攣り、引っ張りを抑制して見栄えを向上させることができる。
なお、上記小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れていない折り目221とは、タック部22の襞を形成するために谷折りした折り目線のことである。
また、上記中縫いは、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を縫合するときの縫合線(縫い目)78が小ポケット部20Sを形成する小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れないように襞を縫合する縫い方である。
一方、小ポケット部20Sのタック部22の襞が、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を形成する2本の折り目221,222のうち、タック部22の折畳み状態で小ポケット部20Sの小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れる方の折り目222から7mm以内、より好ましくは、1mm以上、5mm以内でコバステッチで縫合した場合には、タック部22の襞を縫合した部分では、その襞が殆ど展開しないから、身身頃4F,4Bや袋布21L,21Sの生地が薄いときでも、また、Lポケット部20LのLポケット口23Lの縦幅が短いときでも、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出し、表出を効果的に抑え、また、小ポケット部20S及びその周囲の皺寄りを効果的に抑え、見栄えを維持できる。
なお、上記小袋布21Sの向こう布21SBの外面側に表れている折り目222とは、タックの襞を形成するために山折りした折り目線のことである。
また、上記コバステッチは、ズボン(ボトムス)の裏側から見たときに、襞を縫合するときの縫合線(縫い目)78が小ポケット部20Sを形成する小袋布21S向こう布21SBの外面側に表れるように襞を縫合する縫い方である。
加えて、本実施の形態の綿パン1によれば、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側で小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの位置に対応して芯材としてのハード芯77が取付けられているから、ウエストベルト部10が伸びたときの小ポケット部20Sの小袋布21の変形、皺寄りがより抑制される。よって、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21S(表地25Sを含む)の吹き出しや、小ポケット部20S及びその周囲の皺寄りの抑制効果を高めることができる。これより、ウエストベルト部10が伸びたときのポケットの見栄えを一層向上させることができる。
更に、本実施の形態の綿パン1によれば、小ポケット部20Sは、その小ポケット口外縁26Sが脇線RS,LSに沿って延びた直線状であるから、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sが脇線RS,LSと一体となって見られることで目立ち難く、美感、外観性を維持できる。
また、本実施の形態の綿パン1において、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lが縦方向に短く横方向に長いL字状であり、また、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの終端75Sが、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの脇線RS,LS寄りの終端75Lより下に位置していると、着用者の動きや骨盤の大きい人でもそのLポケット口外縁26L、即ち、Lポケット口23Lが変形し難く、更に、小ポケット部20Sの中に入れた物が取り出し易い大きさであり、かつ、Lポケット部20Lの中に入れた物が落ち難い大きさである。よって、使い勝手が良く、また、見栄えに優れるものある。
特に、Lポケット口外縁26Lが縦方向に短く横方向に長いL字形状のLポケット部20Lにおいては、そのLポケット止まり75Lの位置、即ち、脇線RS,LSと交わるL字状のポケット口外縁76Sの終端75Lがウエストベルト部10に近い位置に設計されることで、そのLポケット止まり75の位置から上の引き攣り量が大きいものとなるが、小ポケット部20Sのタック部22の襞の一部を所定の位置で縫合線78にて縫合することで、ウエストベルト部10が伸びたときでも小袋布21Sの表地25の部分が小ポケット口23Sから吹き出す事態が抑制され、見栄えを良くできる。
そして、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの終端75Sが、Lポケット部20LのL字状のポケット口外縁26Lの脇線RS,LS寄りの終端75Lより下に位置することで、ボトムスの表側から見て、小ポケット部20Sのポケット口外縁26Sの下方が前身頃4F及びLポケット部20Lを構成する大袋布21Lの手前布21LFの後方に位置し、ウエストベルト部10が伸びたときに小ポケット部20Sの小ポケット口23Sの膨らみ等による変化が前身頃4FやLポケット部20Lの大袋布21Lの手前布21LFによって抑制されることでLポケット部20LのLポケット止まり75Lから上でより引き攣りが生じやすい構成となっていても、小ポケット部20Sに設けたタック部22の襞の一部を縫合していることで、小ポケット部20Sの小ポケット口23Sからの小袋布21Sの表地25の部分の吹き出しや、小ポケット部20S及びその周辺の皺寄りを抑制できる。
ところで、本発明を実施する場合には、綿パン1の身頃4F,4Bは、例えば、綿系、ポリエステル系、ウール系の生地等の1枚の生地で形成することも可能であるし、表地及び裏地の2枚の生地で二重に構成する場合もある。例えば、紳士用のボトムスの多くでは身頃4F,4Bの表地及び裏地が重ねられ、ズボンの裏側からみたときに、その裏地側の手前に小ポケット部20Sの小袋布21S及びLポケット部20Lの大袋布21Lが配設して、小袋布21S及び大袋布21Lが表出する構造となる。一方、婦人用のボトムスの多くでは、身頃4F,4Bの表地及び裏地の間に小ポケット部20Sの小袋布21S及びLポケット部20Lの大袋布21Lが配設され、ズボンの裏側からみたときに、小袋布21S及び大袋布21Lの手前に身頃4F,4Bの裏地が配設し、身頃4F,4Bの裏地によって小袋布21S及び大袋布21Lが隠れている。なお、綿パン1等では、身頃4F,4Bの表側を形成する生地(表地)には、ウエスト部Wの形状に沿わせるために開かないタック4aが施される場合があり、そのタック4aの部分に対応し、身頃4F,4Bの裏地が、いせ込んで(ダブらせて)ウエストベルト部10に縫い合わせられる。即ち、身頃4F,4Bの裏地をつまんでウエストベルト部10に縫い留められ襞状を形成する。特に、タック4aを脇ポケット部20やその付近の身頃4F,4Bに設けた場合には、脇ポケット部20に入れたときに身頃4F,4Bに生じる皺の吸収を可能とする。
ここで、更に、本実施の形態の変形例に係る綿パン1について、図14乃至図17を参照して説明する。
変形例においては、ウエストベルト部10の表側のみを収容部12から延出部11が延出自在な構成とし、ウエストベルト部10の裏側はウエスト方向に一体に形成した腰裏ベルト部30で構成した点で上記実施の形態と相違する。その他の構成については、上記実施の形態に係る綿パン1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略し、相違する点のみを説明する。
即ち、変形例に係る綿パン1においては、ウエストベルト部10の表側のウエスト長を収容部12と延出部11に分割し、ウエストベルト部10の表側が収容部12及びそれに収容された延出部11によって形成されており、延出部11の前身頃4Fに縫着されない端部11tをウエストベルト部10の表面の意匠面側から隠れるように収容部12の内面側に収容されることで、ウエストベルト部10の表側で収容部12に対し延出部11が挿入された構成である。つまり、ウエストベルト部10の表側から見て、収容部12に対しその内面側で延出部11の端部11tが重ねられ収められており、収容部12と延出部11はウエスト周囲で一体に連続しておらず分離している構成である。そして、これら収容部12及び延出部11は、収容部12の内部(内面側)で平ゴム16によって接続されている。
上記実施の形態に係る綿パン1においては、ウエストベルト部10の表側及び裏側に弾性材が露呈しないことで、見た目にも伸縮することが分かりづらいものとなっている。一方で、ウエストベルト部10の表側で収容部12に対し延出部11が収められるその収容部12の開口端12eはベルト通し5を使用すればそれによって収容部12から延出部11が延出する部分を隠すことができるが、ウエストベルト部10の裏側では収容部12の開口端12eが露呈することになるから、興味本位でその開口から内部構造を引き出して平ゴム16による伸縮機構を壊してしまう恐れがある。
これに対し、変形例に係る綿パン1では、ウエストベルト部10の表側のみが、そのウエスト長を収容部12と延出部11に分割されて収容部12及びそれに挿入された延出部11によって形成されており、延出部11の前身頃4Fに縫着されない先端部11tをウエストベルト部10の表面の意匠面側から隠れるように収容部12内に重ね入れることで、ウエストベルト部10の表側のみで収容部12に対し延出部11が挿入された構成である。
つまり、ウエストベルト部10の表側のみ収容部12に対し延出部11の端部11tが重ねられ収められており、収容部12と延出部11はウエスト周囲で一体に連続しておらず分離している構成である。そして、延出部11の先端部11tが収められた収容部12の内面側において、延出部11と収容部12の内面側とが弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続されている。
一方、ウエストベルト部10の裏側は、収容部12に縫着した収容部側裏ベルト部32と延出部11に縫着した延出部側裏ベルト部31との間を平ゴム33で接続してなる腰裏ベルト部30で形成され、ウエスト周囲で一体に連続した構成である。
即ち、変形例では、ウエストベルト部10の裏側は、ウエスト周囲で分離しておらず一体に連続している構成であり、ウエストベルト部10の表側を形成している収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と、ウエストベルト部10の表側を形成している延出部11にその先端部11t側を除いて縫合した延出部側裏ベルト31と、延出部側裏ベルト31及び収容部側裏ベルト32の間を接続した平ゴム33からなる腰裏ベルト部30で形成されている。
このように、変形例では、ウエスト方向に延びる帯状のウエストベルト部10の裏側をウエスト方向に一体に連続した腰裏ベルト部30で構成し、収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と延出部11の長さ方向の一部に縫合した延出部側裏ベルト31と間を平ゴム33によって弾性的に接続することで、平ゴム33の弾性力により腰裏ベルト部30を伸縮自在とする。
したがって、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際には、収容部12と延出部11の間を弾性的に接続する接続部15の平ゴム16の伸長によって、ウエストベルト部10の表側では収容部12から延出部11が引き出されて延出すると共に、平ゴム33の伸長によって、ウエストベルト部10の裏側では腰裏ベルト部30が伸長する。そして、ウエスト周りを伸ばそうとする力が解除されると、ウエストベルト部10の内部の平ゴム16及び腰裏ベルト部30の平ゴム33の弾性力によって元の本来の長さに戻るから、ウエストベルト部10の表側では、再び延出部11が収容部12内に収容される方向に移動し元の状態に戻り、また、ウエストベルト部10の裏側の腰裏ベルト部30も元の本来の長さ状態に戻る。このようにして、本変形例においては、ウエストベルト部10を伸縮自在としている。
ここで、変形例においては、綿パン1のウエストベルト部10の表側(外面側)を形成する延出部11及び収容部12と、綿パン1のウエストベルト部10の裏側を形成する腰裏ベルト部30の延出部側裏ベルト31及び収容部側裏ベルト32とは、前身頃4F及び後身頃4Bと共地(例えば、綿生地等)である。そして、図15及び図16で示すように、表側の収容部12とそれに対応した裏側の収容部側裏ベルト32の両者は、ウエストベルト部10の上端側で縫合線62Aにて接続し、表側の延出部11とそれに対応した裏側の延出部側裏ベルト31の両者は、ウエストベルト部10の上端側で縫合線61Aにて接続する構成である。
詳しくは、ウエストベルト部10の表側を構成する収容部12とそれに対応するウエストベルト部10の裏側を構成する収容部側裏ベルト32は、身頃4F,4Bと共地からなり所定形状に切り出された所定幅の収容部12及び収容部側裏ベルト32の布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目の近傍で収容部12及び収容部側裏ベルト32の両者が縫合線62Aにて縫合わされている。また、収容部12の下側は、その折り返した下端部の折り目の近傍で後身頃4Bの上端部に縫合線62Cにて縫合わされ、収容部12に対応する収容部側裏ベルト32の下側もその折り返した下端部の折り目の近傍で後身頃4Bの上端部に縫合わされている。このとき収容部側裏ベルト32の下端は、必要に応じ、パイピング処理等による補強を行ってもよい。更に、変形例においても、上記と同様、収容部12や収容部側裏ベルト32の布地の内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等によって貼付けられる。
また、ウエストベルト部10の表側を構成する延出部11及びそれに対応するウエストベルト部10の裏側の延出部側裏ベルト31についても、身頃4F,4Bと共地からなり所定形状に切り出された所定幅の延出部11及び延出部側裏ベルト31の布地の各上下端部が内折りされ、折り返した上端部の折り目の近傍で延出部11及び延出部側裏ベルト31の両者が縫合線61Aにて縫合わされている。このとき、延出部11に縫合する延出部側裏ベルト31は、延出部11の先端部11t側を除く延出部11の一部に取付けられている。延出部11の下側は、収容部12に挿入される先端部11t側を除いて、上記実施の形態と同様に、袋布21S,21Lと共に、前身頃4Fに縫合線61Cにて縫合わされている。また、延出部側裏ベルト31Bの下側も、小袋布21Sの向こう布21SBと共に前身頃4Fに縫合わされている。そして、本変形例においても、上記実施の形態と同様に、収容部12内に挿入される延出部11の先端部11tは、前身頃4Fの上端部と縫合わされず自由な状態になっている。これより、収容部12に入れられた延出部11の先端部11tは収容部12から延出自在、つまり、ウエスト方向に相対移動自在とされ、その挿入深さが変化自在である。延出部11や延出部側裏ベルト31も、収容部12及び収容部側裏ベルト32と同様、それらの内面(裏面)には、接着芯等の芯材としてのソフト芯SCやハード芯HCがアイロンプレス等で貼付けられる。
なお、上記実施の形態に係る収容部12が収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12Bから構成されるのに対し、変形例に係る収容部12は、実質的に、実施の形態の収容部表ベルト12Fに相当するものである。同様に、実施の形態に係る延出部11が延出部表ベルト11F及び収容部裏ベルト11Bから構成されるのに対し、本変形例に係る延出部11は、実質的に、実施の形態の延出部表ベルト11Fに相当するものである。
更に、変形例においては、延出部11に縫合線61Aにて縫合した延出部側裏ベルト31の端部と収容部12に縫合線62Aにて縫合した収容部側裏ベルト32の端部の間が1本の平ゴム33で接続されている。この平ゴム33は、その一端部側が縫付線362にて収容部側裏ベルト32の端部に縫付けられ、反対側の他端部側が縫付線361にて延出部側裏ベルト31に縫付けられている。平ゴム33をその両端部側で縫付けるときの縫付線361,362は、縫付け強度を確保できれば1本であってもよいし、2本以上としてもよい。
このとき、変形例において、収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31の間を接続する平ゴム33は、延出部11の先端部11t側が重ねられている収容部12の一端の端12eから前中心FC側に向かう延出部11側に位置するが、その部分では延出部11に縫着されていない。これにより、ウエストベルト部10に引張り力がかかった際には、平ゴム33による所定の伸びを確保し、腰裏ベルト部30部がスムースに伸びるようにしている。なお、平ゴム33による収容部側裏ベルト32の端と延出部側裏ベルト31の端との間の接続長さ(伸縮自在な長さ)は、平ゴム33の弾性力にもよるが、平ゴム33の未伸縮状態で、例えば、3.5cm〜6cm程度、好ましくは、4cm〜5cm程度に設定される。
ここで、このように平ゴム33は延出部11に縫着されていないため、ウエストベルト部10の上方で平ゴム33と延出部11の間から、延出部11の内面側、例えば、延出部11の上下で内折りした布地の裁ち切り線やハード芯HCといった内部構造が見えると商品イメージを低下させる恐れがある。そこで、本変形例においては、平ゴム33の配設位置に対応する延出部11の内面側に、略長方形の裏地(図示せず)を縫付けるのが好ましい。延出部11の内面に設ける裏地としては、特に、伸縮性を有しない生地、ポリエステル系の生地、ナイロン系の生地、スレーキ生地、リボンテープ等の生地であれば、接触抵抗が少なく、収容部12に対する延出部11の摺動性を向上させ、収容部12と延出部11の滑らかな動きを得ることができる。しかし、見栄えを維持するものとしては、その他の布地、芯地等であってもよい。
なお、このような裏地は、例えば、その上端が、延出部11の内面においてその内折りした上部の外面側に縫付けられ、下端が、収容部12の内面においてその内折りした下部の外面側または内面側に縫付けられる。このとき、裏地の長さは、延出部11の先端から前中心FC側に向かって平ゴム33の配設位置に対応する部分まであってもよいし、収容部12の開口近傍の平ゴム33の配設位置に対応する部分のみであってもよい。何れにせよ、平ゴム33と延出部11の隙間から見える延出部11の内面には、裏地が見えるようにすればよい。
このように延出部11の内面において平ゴム33の配設位置に対応する箇所に裏地を取付けることにより、平ゴム33と延出部11の間から延出部11の内面が見えても、裏地が見えるだけであるから、商品イメージが低下しない。また、着用者が延出部11の内部構造に興味を抱いて、延出部11を引き出すことで伸縮自在構造を壊してしまう事態を防止することもできる。
即ち、ウエストベルト部10の表側を形成する延出部11の内面側には、腰裏ベルト部30の平ゴム33に対応する位置で、延出部11の上部に裏地の上部が縫付けによって取付けられ、延出部11の下部に裏地11Cの下部が縫付けによって取付けられていると、延出部11と腰裏ベルト部30の平ゴム33との間から延出部11の内面が見えたときでも裏地が見えるだけであるから、商品イメージの低下を防止できる。
こうして、変形例に係る綿パン1は、ウエストベルト部10の表側が互いに端部側を重ねた収容部12及び延出部11からなる構成とし、その間を所定の伸縮自在な長さ及び太さの平ゴム16で弾性的に接続することで、収容部12から延出部11を延出自在とする伸縮自在構造である。一方、ウエストベルト部10の裏側は、収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と、延出部11の一部に縫合した延出部側裏ベルト32との間を平ゴム33で弾性的に接続することで、平ゴム33の弾性力によりウエストベルト部10の裏側を形成する腰裏ベルト部30を伸縮自在とする構造である。
このような変形例に係る綿パン1によれば、ウエストベルト部10の裏側が延出部11に縫合した延出部側裏ベルト31と、収容部12に縫合した収容部側裏ベルト32と、それらの間を接続する平ゴム33とからなり、ウエスト方向で連続して一体に形成された腰裏ベルト部30で構成されているから、ウエストベルト部10の裏側では収容部12の開口端12eが露出して目立つことがないので、興味本位で収容部12の開口側から内部構造を引き出して壊してしむ事態を防止できる。そして、ウエストベルト部10の表側では、収容部12に対し延出部11が収められるその収容部12の開口端12eはベルト通し5を使用すればそれによって収容部12から延出部11が延出する部分を隠すこともできる。
更に、変形例に係る綿パン1によれば、収容部12及び延出部11を接続する平ゴム16に加え、ウエストベルト部10の裏側を構成する腰裏ベルト部30にも収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31の間を接続する平ゴム33が用いられていることから、弾性力を強化でき、ウエストベルト部10をより伸ばすことも可能であり、また、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、平ゴム16の耐久性の向上を可能とする。
なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であり、変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
ここで、腰裏ベルト部30について、図14乃至図16において、1本の平ゴム33としているが、本発明を実施する場合には、図17に示すように、収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31を接続する弾性材として2本の平ゴムを用いることも可能である。
即ち、図17に示すように、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設した平ゴムからなる上方側の上位ゴム33A及び下方側の下位ゴム33Bによって収容部側裏ベルト32と延出部側裏ベルト31の間を接続してもよい。図17においては、収容部側裏ベルト32と延出部側裏ベルト31の間を2本の上位ゴム33A及び下位ゴム33Bで接続することによって、それら上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの弾性力により、腰裏ベルト部30を伸縮自在としている。
この図17に示した腰裏ベルト部30においては、別体である上位ゴム33A及び下位ゴム33Bがそれらの一部を重ねて上下方向(ウエスト周方向に対して直角方向)に配設され、上側の上位ゴム33Aとその下側に位置する下位ゴム33Bの各両端部が収容部側裏ベルト32と延出部側裏ベルト31に縫付けられている。このとき、収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト32の間に縫着されている上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの両者は、収容部側裏ベルト32の一端部及び延出部側裏ベルト31の一端部との間で縫合されることなく分離した状態にある。
なお、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの厚みの重複部分は、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bが重なった状態での上下端間の長さ距離である縦幅全長の1/10以上、8/10以下の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは、2/10以上、5/10以下、更に好ましくは、3/10以上、5/10以下である。ここで、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの厚みの重複領域が大きいと、伸び力が高くなり、人体の動きに対するフィット性の向上が可能となる。しかし、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの厚みの重複領域が大き過ぎると、着用時の重厚感が増して着心地が低下したり、弾性力が強くなり過ぎてウエストの締め付け力が大きくなり窮屈感が増大したりする。
そこで、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの厚みが重なる重複領域の縦幅長さが、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bが重なり合った状態での上下端間の長さ距離である縦幅全長に対して、1/10以上、8/10以下の範囲内であれば、より好ましくは2/10以上、5/10以下の範囲内、更に好ましくは3/10以上、5/10以下の範囲内であれば、締め付け力、窮屈感が強調されることなく、フィット感の増大を可能とする。
また、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの各縦幅長さ(本来の長さ)は、厚みを重複させた状態での上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの縦幅の全長の5/10以上、8/10以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、6/10以上、8/10以下の範囲内である。上記範囲内あれば、重なりによる重厚感も少なくて、より少ない力で伸び易くてフィット性が良く、締め付け感、窮屈感もより少ないものとなる。
なお、互いに一部を重ねて上下に配設する上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの縦幅の全長は、ウエストベルト部10表側の収容部12及び延出部11に縫付けた延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32の縦幅の全長と比較して2cm以内の差(増減)はあるも、通常、同程度に設定され、例えば、3.5cm〜5cm程度に設定される。
そして、上位ゴム33Aの上端と延出部側裏ベルト31の上端との高さ位置の差が大きいと、ウエストベルト部10の裏側において上位ゴム33Aの上側で延出部側裏ベルト31の露出量が増えるために、延出部側裏ベルト31等の内部構造や縫製の仕方に興味を持って伸縮機構を無理に引き出して壊してしまったり、延出部側裏ベルト31等の縫製を壊してしまったりする恐れがある。また、上位ゴム33Aの上端が低位置にあると、見栄えの確保等のために、上位ゴム33Aが縫付けられている延出部側裏ベルト31の一端側の上端部や収容部側裏ベルト32の一端側の上端部の縫い代の浮きを抑えるべくそこを延出部側裏ベルト31の内面に縫付ける必要がある。しかし、上位ゴム33Aの上端を延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32の上端の高さと一致させて連続的であると、或いは、2cm以内の差であれば、上記事態を防止でき、縫製工程もより簡単で済む。
ここで、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの前後(表裏)方向の配置関係は、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)から見て、図17に示したように、下位ゴム33Bの前方(手前側)に上位ゴム33Aが配設され両者の一部が重ねられても良いし、下位ゴム33Bの後方に上位ゴム33Aが配設され両者の一部が重ねられても良い。
即ち、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの関係は、上位ゴム33Aの下方に下位ゴム33Bの上方が重ねられ互いに一部を重ね合わせて厚みを重複させていれば、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)から見たときに、上位ゴム33Aの下方の手前側(上側)に下位ゴム33Bの上方を重ねてもよいし、図17に示したように、上位ゴム33Aの下方の後ろ側(下側)に下位ゴム33Bの上方を重ねてもよい。
そして、例えば、図17に示したように、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム33Bよりも上位ゴム33Aが手前にあり、上位ゴム33Aの下端縁が下位ゴム33Bよりも手前に位置するものでは、タックインしたシャツのずれ上がりを防止する滑り止め機能を持たせたることもできる。
また、図17に示した腰裏ベルト部30においては、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bは、共に、そのウエスト方向の一端部側が収容部側裏ベルト32の端部に縫付けられ、反対側の他端部側が延出部側裏ベルト31に縫付けられるが、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bは、伸縮自在な長さを同一としていてもよいし、伸縮自在な長さを相違させてもよい。上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの収容部側裏ベルト32及び延出部側裏ベルト31間の接続長さ、即ち、伸縮長さを同一とする場合には、両者を所定に重複させた状態でまとめて延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32に縫製することから、縫製に不慣れな作業者でも縫製が分かりやすく、作業効率を向上できる。一方で、下位ゴム33Bと上位ゴム33Aとで伸縮自在な長さを相違させていると、引張り力がかかった際に、下位ゴム33Bと上位ゴム33Aにかかる負荷が分散されるから、下位ゴム33Bと上位ゴム33Aを長持ちさせることができる。また、延出部側裏ベルト31や収容部側裏ベルト32への下位ゴム33Bと上位ゴム33Aの縫製の縫い目にかかる負荷等も分散されるから、それら縫い目の解れも生じ難く、また、生地を傷め難い。
例えば、図17に示すように、腰裏ベルト部30の表側(意匠面側、身体側)、つまり、ズボンの腰裏側からみて、上方側の上位ゴム33Aを手前とし、下位ゴム33Bを上位ゴム33Aの後方に配設したとき、その上位ゴム33Aは、収容部側裏ベルト32の端部に縫付線362Aにて縫付け、また、延出部側裏ベルト31の端部に縫付線361Aにて縫付ける一方で、下位ゴム33Aは、縫付線362Aよりも収容部側裏ベルト32の端部側から離れた位置で縫付線362Bにて縫付け、また、縫付線361Aよりも延出部側裏ベルト31の端部側から離れた位置で縫付線361Bにて縫付ける。これより、上位ゴム33Aよりも下位ゴム33Bの伸縮自在な長さ(接続長さ)を長くして、伸びによる変化を相違させることで、負荷を分散させゴム等を長持ちさせることができる。特に、このように上位ゴム33Aよりも下位ゴム33Bの伸縮自在な長さ(接続長さ)を長くすることで、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの全体縦幅を短くしなくとも、ウエストベルト部10に引張り力が掛かった際に、上位ゴム33Aが上方に凸に湾曲して、ズボンの表側で延出部11の上に上位ゴム33Aが突出して露呈するのを防止し、見栄えを維持できる。勿論、本発明を実施する場合は、上位ゴム側33Aで伸縮自在な長さを長くすることも可能である。
このように、図17に示した腰裏ベルト部30によれば、別体に形成された上位ゴム33Aと下位ゴム33Bをそれらの一部で重ねて上下方向に配設して延出部側裏ベルト31と収容部側裏ベルト32の間を接続し、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bが延出部側裏ベルト31及び収容部側裏ベルト32の間で一体化されずに分離している構成であるため、ウエストベルト部10に引張り力がかかった際に上位ゴム33Aと下位ゴム33Bにかかる負荷が分散される。よって、長期間の着用でもゴムの弾性力が低下し難く、腰裏ベルト部30の伸縮性、弾力性が低下しにくい。
そして、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bの厚みの重複により弾性力を高くできるから、伸び量を向上できる。このとき、上位ゴム33Aと下位ゴム33Bはそれぞれの一部分が重なっており、しかも、延出部側裏ベルト31と収容部側裏ベルト32の間で上位ゴム33Aと下位ゴム33Bが結合されていないと互いに動きが拘束され難いことから、伸ばす外力も少なくて済む。よって、強力な締め付け感、窮屈感を増大させることなく、弾性力を向上させることができる。そして、少ない外力で高い伸縮力が得られヤング率を小さくできるから弾性力も低下し難く、耐久性が維持される。即ち、このような相互に一部を重ねて上下に配設した上位ゴム33A及び下方側の下位ゴム33Bによれば、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。故に、耐久性を確保しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく少ない外力でも容易に伸縮して人体のウエストの動きに追従する滑らかな伸縮によりフィット性を高めることができる。
こうして、図17に示した腰裏ベルト部30によれば、上方の弾性材及び下方の弾性材としての上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの2本の弾性材によって延出部側裏ベルト31と収容部側裏ベルト32の間を接続し、上位ゴム33Aの下方に下位ゴム33Bの上方を重複させて上下に配設されているものである。このような、厚みを重複させた上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの並列構造によって、着用時の締め付け感、窮屈感の低減を可能とする。
なお、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bは、上位ゴム33Aの下方に下位ゴム33Bの上方が重ねられており、互いに厚みの一部を重ねて重複させているものであり、ボトムスの裏側から見て上位ゴム33Aの手前側に下位ゴム33Bを重ねてもよいし、上位ゴム33Aの後ろで下位ゴム33Bを重ねてるようにしてもよい。
特に、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設した上位ゴム31と下位ゴム32は、それら厚みを重複させた状態での縦幅の全長の10%以上、80%以下の範囲内で厚みを重複させていると、締め付け力、窮屈感が強調されることなく、より人体のウエストの動きに追従するフィット感が得られる。
また、上位ゴム31と下位ゴ32の各縦幅長さは、互いに厚みを重複させているときの上位ゴム31と下位ゴム32の縦幅の全長の50%以上、80%以下の範囲内であると、重厚感も少なくて、より少ない力で伸び易くてフィット性が良く、締め付け感、窮屈感もより少なくなる。
つまり、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、より少ない締め付け感、窮屈感で人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
こうして、変形例に係る綿パン1は、身頃4F,4Bの上部に接続しウエスト方向に延びる帯状をなすウエストベルト部10が伸縮自在なLポケット付きボトムスであって、ウエストベルト部10の表側を形成し、身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側が延出自在な延出部11と、延出部11と共にウエストベルト部10の表側を形成し、延出部11の身頃4F,4Bに縫着していない端部11t側を収容した収容部12と、収容部12の内部で収容部12と延出部11の間を弾性材としての平ゴム16によって弾性的に接続した接続部15と、ウエスト方向に一体に連続してウエストベルト部10の裏側を形成し、収容部12の裏側に縫付けた収容部側裏ベルト31と延出部11の裏側に縫付けた延出部側裏ベルト32の間を平ゴム16とは異なる他の弾性材としての平ゴム33、または、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bによって弾性的に接続してなり、平ゴム33、または、上位ゴム33A及び下位ゴム33Bによって伸縮自在な腰裏ベルト部30と、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿って取付けられ、Lポケット口外縁26LがL字状でその上端が延出部11に接続したLポケット部20Lと、前身頃4F側であって両脇の脇線RS,LSに沿ってLポケット部20Lと重複して取付けられ、Lポケット部20Lよりも容量が小さく、小ポケット口外縁26Sの上端がLポケット部20LのL字状のLポケット口外縁26Lよりも脇線RS,LS寄りで延出部11に接続した小ポケット部20Sとを具備し、小ポケット部20Sは、それを構成する小袋布21Sの向こう布21SB側に上端から下方に向かって延びた襞状のタック部22が形成され、タック部22の襞が少なくともその上方で展開自在であり、上方を除く一部で縫合されているものである。
この変形例に係る綿パン1においても、ウエストベルト部10に対しウエスト方向に引張り力が掛かった際には、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した接続部15の平ゴム16の伸びによって、収容部12から延出部11が延出すると共に、腰裏ベルト部30の弾性材としての平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの伸びによって腰裏ベルト部30が伸びることにより、ウエストベルト部10が伸長する。また、引張り力が解放されると、平ゴム16の弾性力、腰裏ベルト部30の平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの弾性力によって、伸長したウエストベルト部10は元に戻る。即ち、ウエストベルト部10は、延出部11と収容部12の間を弾性的に接続した平ゴム16の弾性力、腰裏ベルト部30の平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bの弾性力によって伸縮自在である。
そして、変形例に係る綿パン1では、ウエストベルト部10の裏側においてウエスト方向の一部に平ゴム33または上位ゴム33A及び下位ゴム33Bを配設するものであるから、低コストで済み、また、伸縮に伴う弛みも少なくなるから見栄えも良い。
その他の構成については、上記実施の形態と同様であり、変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
なお、上記実施の形態やその変形例のLポケット付きボトムスは、綿パン以外にも、例えば、スーツ、スラックス等のカジュアルでないボトムス、チノパンやジーンズ(Gパン)等のカジュアルなボトムス、スポーツウエアのボトムス等に適用されるものであり、更に、ボトムスとしてはズボンに限られるものでもなく、スカートやキュロットスカート等にも適用できる。また、収容部12及び延出部11を重ね合わせ、収容部12の内側でそれらの間を平ゴム16によって接続することで、ウエストベルト部10の表側に弾性材が露出しないから、見栄えを損なうことなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができる。よって、ゴルフ等の運動(スポーツ)時に着用するゴルフスラックス等のトレーニングウエア、スポーツウエアにも好適であり、高いフィット性により激しい動きにも追従し、高い着用感を得ることができる。
また、上記実施の形態やその変形例では、左右の脇線LS,RSの近傍の2箇所に収容部12及び延出部11を重ね合わせた重ね合わせ部13を有し、それに対応して平ゴム16を左右の2箇所に配設し、また、Lポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20を左右の2箇所に配設した綿パン1で説明した。しかし、本発明を実施する場合には、収容部12及び延出部11の重ね合わせ部13を1箇所以上とし、また、それに対応する平ゴム16や、Lポケット部20L及び小ポケット部20Sからなる脇ポケット部20も1箇所以上であればよい。
なお、上記実施の形態では、ウエストベルト部10の表側及び裏側を身頃4B,4Fと共地(綿生地等)とし、即ち、収容部12を構成する収容部表ベルト12F及び収容部裏ベルト12B並びに延出部11を構成する延出部表ベルト11F及び延出部裏ベルト11Bを身頃4B,4Fと共地とし、ウエストベルト部10の上端部で表側と裏側の生地を接ぐ構成としている。しかし、本発明を実施する場合には、ウエストベルト部10の表側と裏側を別生地で構成することも可能である。勿論、身頃4F,4Bや、ウエストベルト部10の表側、裏側の生地も、綿系の生地に限定されるものではなく、ポリエステル系、ウール系の生地等であってもよい。更に、例えば、ウエストベルト部10の表側の生地は、身頃4B,4Fと共地とし、ウエストベルト部10部の裏側は、タックインしたシャツがズボンから食み出るのを防止する滑り止め機能を持たせたポリエステル系、ナイロン系、レーヨン系、綿、スレーキ、リボンテープ、ラバー等からなる、所謂、マーベルト仕様とすることもできる。勿論、ウエストベルト部10の表側も身頃4F,4Bとは別生地で作製することも可能であるし、収容部12側と延出部11側で異なる生地を使用することも可能である。更に、変形例においても、腰裏ベルト部30の延出部側裏ベルト31Bや収容部側裏ベルト32Bをマーベルト仕様とすることも可能である。
また、上記実施の形態やその変形例では、図において、Lポケット部20LのLポケット口外縁26LのL字の縦と横の交わる角部が緩やかにカーブした形状であるが、本発明を実施する場合には、例えば、図18に示したように、L字の縦と横の交わる角部が角張ったL字形状としてもよく、その角部も90°であることを要求するものではなく、90°以上、または90°以下であってもよい。なお、このときのLポケット部20LのLポケット口23Lの開口幅(縦幅)も、例えば、5cm〜11cm程度、好ましくは、6cm〜10cm程度に設定される。そして、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、脇線LS,RSの間の横幅の長さ(距離)は、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmであり、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lの上端と、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26Sの上端の間の横幅の長さ(距離)も、例えば、9cm〜18cm、好ましくは、10cm〜14cmである。そして、何れの形状も、カーブ状または直角状のコーナから脇線RS,LS側に向かっては、緩やかに下方に傾く(斜めに下る)傾斜状としているが、水平方向に真っ直ぐな直線状としてもよい。また、本発明を実施する場合には、Lポケット部20LのLポケット口外縁26Lが、そのカーブまたは直角状のコーナから脇線RS,LS側に向かう手前で下方に更にカーブしてから脇線LS,RSに接続し、Lポケット口外縁26LのLポケット口外縁26Lの下端、即ち、Lポケット止まり75Lが、小ポケット口外縁26の下端、即ち、小ポケット止まり75Sよりも下方に位置するようにしてもよい。これにより、小ポケット部20Sの小ポケット口外縁26の下端、即ち、小ポケット止まり75Sが、前身頃4F及び大袋布21Lの手前布21LFに隠れることなく表出し、小ポケット部20Sに物を入れるときに、小ポケット口外縁26側が前身頃4F及び大袋布21Lの手前布21LFに当たり難くなり、小ポケット口23を開き易くすることができる。
上記実施の形態やその変形例では、収容部12の内部において延出部11及び収容部12の間を接続する平ゴム16に対し、伸び止め材17を並設する構成を説明したが、本発明を実施する場合には、伸び止め材17は、延出部11を収容部12側に延ばして延出部11と一体としたストッパー部分として形成し、そのストッパー部分に、平ゴム16の最大伸びを制限する伸び止め材17の役割を持たせることも可能である。即ち、延出部11の先端を細くして延長し、共布で伸び止め材17の役割をするストッパー部分を設けることによって、伸び止め材17を形成してもよい。このような場合には、単独の伸び止め材17をリボンテープ等で設ける必要がなく、縫製工程も簡略化されるため、コストがかからず安価にゴムを長持ちさせることができる。また、伸び止め材17以外にも、伸縮するゴムの伸びの限界を綿等の繊維の織り込みによって規定することも可能である。
しかし、本発明を実施する場合、伸び止め材17については省略することも可能である。伸び止め材17を省略した場合には、例えば、小ポケット部20Sを構成する小袋布21Sのタック部22の展開量によって、平ゴム16の最大の伸び長さを規定することも可能である。
加えて、上記実施の形態やその変形例では、小ポケット部20Sを形成する袋布21Sの向こう布21SB側に対し、その小ポケット口外縁26Sが移動する範囲で、ズボンの外側で、身頃4F,4Bと共地の表地(共布向こう布)25が縫付けられているが、本発明を実施する場合には、その表地部分を、後身頃4B側の生地を前身頃4F側に延ばすことで形成することも可能である。即ち、後身頃4B側の生地を延長し、それを袋布21Sの向こう布21SB側に重ね合わせて縫付けることも可能である。このような場合には、ズボンの表側に脇線LS,RSの縫付線を表出させない縫製も可能であり、ウエストベルト部10が伸びて、小ポケット口外縁26Sの移動に伴い表出する部分が、後身頃4B側と一体のものとして認識されやすく、小ポケット部20S近傍の見栄えを良く保つことができる。また、本発明を実施する場合には、ジーンズのように、Lポケット部20L内に、更に、第3のポケットとして、所謂、コインポケット(ウォッチポケット)を付加することも可能である。
更に、上記実施の形態やその変形例では、小袋布21Sやタック部22の形状維持、皺寄り防止、見栄えの向上のために補助弾性材としての平ゴム28を設けている。この補助弾性材としての平ゴム28の弾性力は、主弾性材としての平ゴム16の弾性力に比較すると小さく、ウエストサイズの伸縮のための主弾性材としての平ゴム16の弾性力からすれば無視できる程度である。また、見栄えに影響する皺が入る可能性も低いことから、当然、省略することも可能である。
そして、本発明を実施する場合、十分な弾性を有するものであれば、収容部12と延出部11の間を弾性的に接続する弾性材や、腰裏ベルト部30の弾性材は、平ゴムに限定されず、ゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の様々な弾性を有する素材を用いることも可能である。補助弾性材としての平ゴム28についても同様である。
そして、本発明を実施するに際しては、ボトムスの構造、形状、材質、生地、大きさ、長さ、幅、接続関係等についても、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムス、特に、紳士用のズボンにおいては、ウエストベルト部10の上下の両端や、脇ポケット部20のポケット口外縁26S,26L等に布を落ち着かせたり縫い代を安定させたり強度を補完するためにステッチを施すこともある。
なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
1 綿パン
4F 前身頃
4B 後身頃
10 ウエストベルト部
11 延出部
12 収容部
15 接続部
16 平ゴム(弾性材)
20L Lポケット部
20S 小ポケット部
21L 大袋布
21S 小袋布
22 タック部
23L Lポケット口
23S 小ポケット口
26L Lポケット口外縁
26S 小ポケット口外縁
30 腰裏ベルト部
31 延出部側裏ベルト
32 収容部側裏ベルト
33 平ゴム(他の弾性材)
33A 上位ゴム(他の弾性材)
33B 下位ゴム(他の弾性材)
78 縫合線
LS 左脇線
RS 右脇線