JP2020132815A - 熱硬化性ポリウレタンフィルム、多層フィルム及び保護フィルム - Google Patents

熱硬化性ポリウレタンフィルム、多層フィルム及び保護フィルム Download PDF

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【課題】耐候性に優れた自立膜としてのフィルムを提供する。【解決手段】本発明のフィルム1は、熱硬化性ポリウレタンからなる単層構造を有している自立膜としてのフィルムであって、前記熱硬化性ポリウレタンは、ポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)と表面調整剤(C)とを含んだ2成分ウレタン系硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記ポリオール化合物(A)の水酸基と前記イソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比(OH/NCO)が0.8乃至1.2の範囲内にあり、前記表面調整剤(C)の量は、前記ポリオール化合物(A)と前記イソシアネート化合物(B)との合計量100質量部に対して0.05乃至3質量部の範囲内にある。【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性ポリウレタンフィルム、多層フィルム及び保護フィルムに関する。
自動車、自動二輪車、バス、電車などの外装部材表面には、意匠性や防錆性を高めるために、塗装によって塗膜が形成されている。外装部材表面の塗膜には、走行時の擦り傷、砂塵・飛び石による傷、爪による引っ掻き傷等により剥がれ(チッピング)が生じるという問題がある。
塗膜を保護するために、塗膜上にペイントプロテクションフィルム(以下、PPF)を用いることが提案されている。PPFは、多数の曲面を有する部材に沿って貼付させる必要がある。このため、PPFには、曲面性の高い部位にもフィルムが追従延伸することが必要とされる。したがって、フィルム基材としては、延伸性の高い熱可塑性ポリウレタンフィルムを用いることが多い。
熱可塑性ポリウレタンフィルムの作製方法としては、押出機とロール成形機とを使用する連続シーティング法が一般的に用いられる。具体的には、単軸や二軸の押出機により溶融可塑化した熱可塑性ウレタン樹脂をTダイ法により連続的にフィルム形状に吐出し、一対の冷却ロールで挟持して固化させて、任意の厚みや表面形状のフィルムを得るのが一般的である。
しかしながら、前記のTダイ法により作製した熱可塑性フィルムは、フィッシュアイと一般的に呼ばれる、フィルム基材原材料に起因するゲル状物による欠陥を生じることが問題となっている。
また、PPFは屋外環境で長い年月の間使用されるため、耐候性や汚染防止性も要求されるが、前記熱可塑性ポリウレタンフィルムは、概ね未架橋であるため、紫外線などにより劣化し、防汚性や耐薬品性を備えていないことがある。
特許文献1では、熱可塑性樹脂に複数種類の紫外線吸収剤と光安定剤とを含有させることにより、耐光性能を向上させる方法が提案されている。
特許文献2及び特許文献3には、防汚性及び耐候性を有するコート層をウレタンフィルム基材上に備えた多層シートが提案されている。
特開2009−520859号公報 特開2011−121359号公報 特開2003−27016号公報
特許文献1の方法で得られるフィルムに、実使用年数で5乃至10年という耐光性能を発揮させるためには、紫外線吸収剤等の添加剤の含有量を増やす必要がある。しかしながら、この場合、時間の経過と共に光安定剤や酸化防止剤がフィルム表面に浮き出るブリードアウトが生じやすい。
また、特許文献2及び特許文献3の方法で得られる多層シートは、引張状態で曲面に貼りつけると、相当な応力が、特に層の界面に集中する。それ故、低温環境においてポリウレタンが硬くなると、応力が局所的に集中することで、コート層が基材層から剥離するという問題がある。
そこで、本発明は、耐候性に優れた自立膜としてのフィルムを提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、熱硬化性ポリウレタンからなる単層構造を有している自立膜としてのフィルムであって、前記熱硬化性ポリウレタンは、ポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)と表面調整剤(C)とを含んだ2成分ウレタン系硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記ポリオール化合物(A)の水酸基と前記イソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比(OH/NCO)が0.8乃至1.2の範囲内にあり、前記表面調整剤(C)の量は、前記ポリオール化合物(A)と前記イソシアネート化合物(B)との合計量100質量部に対して0.05乃至3質量部の範囲内にあるフィルムが提供される。
本発明の第2側面によると、多層構造を構成している2以上の層を備え、それら層の少なくとも1つは、第1側面に係るフィルムである多層フィルムが提供される。
本発明の第3側面によると、第1側面に係るフィルム又は第2側面に係る多層フィルムを備えた車両外装塗膜の保護フィルムが提供される。
本発明によると、耐候性に優れた自立膜としてのフィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係るフィルムを概略的に示す断面図。 フィルム製造装置の一例を概略的に示す図。 図1に示すフィルムの応用例を概略的に示す断面図。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<フィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルムを概略的に示す断面図である。
このフィルム1は、単層構造を有している透明な自立膜である。ここで使用する用語「自立膜」とは、基板などの支持体によって支持されなくとも、それ自体を単独で取り扱うことができるフィルムを意味している。また、ここで使用する用語「フィルム」は、薄層形状及び可撓性を有している物品を意味し、厚さの概念は含まない。
フィルム1は、熱硬化性ポリウレタンからなる。具体的には、フィルム1は、後述する樹脂組成物の硬化物からなる。即ち、フィルム1は、ガラス、金属、炭素、タンパク質、セルロース、及び合成樹脂等の各種材料からなる織布又は不織布や、そのような材料からなる多孔質層を含んでいない。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、ポリオール化合物(A)と、イソシアネート化合物(B)と、表面調整剤(C)とを含んでいる。樹脂組成物は、2成分ウレタン系硬化性樹脂組成物である。以下に、各成分について説明する。
[ポリオール化合物(A)]
ポリオール化合物(A)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等を使用することができ、これらを併用してもよい。なかでも、芳香族環式構造を有さない、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂肪族ポリカーボネートポリオール、脂肪族ポリエステルポリオールを使用することが、耐変色性や透明性の観点から好ましい。
ポリオール化合物(A)に使用可能なポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合せしめた生成物や、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランとを共重合させた変性ポリテトラメチレンエーテルグリコールや、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとを共重合させた変性ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
また、これら以外にも脂肪族環式構造を有するポリエーテルポリオールでもよい。
ポリオール化合物(A)に使用可能なポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/またはホスゲンと、後述するポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
また、これら以外にも脂肪族環式構造を有するポリカーボネートポリオールでもよい。
ポリオール化合物(A)に使用可能なポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
また、これら以外にも脂肪族環式構造を有するポリエステルポリオールでもよい。
ポリオール化合物(A)の水酸基価は、ポリウレタン硬化物の破断強度及び破断伸びの観点から、好ましくは70〜500mgKOH/g、更に好ましくは200〜450mgKOH/gである。水酸基価が70mgKOH/g未満ではポリウレタン硬化物の破断強度が低下する傾向にあり、500mgKOH/gを超えるとポリウレタン樹脂の破断伸びが低下する傾向にある。水酸基価の分析方法はJIS K1557−1(2007年)に則り測定した。
[イソシアネート化合物(B)]
イソシアネート化合物(B)としては、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、及びm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリイソシアネートは、芳香族基を有さないことが耐変色性や透明性の観点から好ましい。
イソシアネート化合物(B)における、イソシアネート(NCO)含有量は、ポリウレタン硬化物の破断強度及び破断伸びの観点から、好ましくは15〜30質量%の範囲内にあり、更に好ましくは20〜25質量%の範囲内にある。
ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比(OH/NCO)、即ち、それらのモル比は、0.8乃至1.2の範囲内にある。この範囲外の場合、硬化不良や面状不良が発生する傾向にある。
[表面調整剤(C)]
表面調整剤(C)としては、公知乃至慣用のレベリング剤を使用することができる。中でも、硬化性樹脂組成物の表面張力の低下性能により優れる観点から、シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤が好ましい。
上記シリコーン系レベリング剤としては、市販のシリコーン系レベリング剤を使用できる。市販のシリコーン系レベリング剤としては、例えば、商品名「BYK−300」、「BYK−301/302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−315」、「BYK−313」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−345/346」、「BYK−347」、「BYK−348」、「BYK−349」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−377」、「BYK−378」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−3550」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製);商品名「AC FS 180」、「AC FS 360」、「AC S 20」(以上、Algin Chemie製);商品名「ポリフローKL−400X」、「ポリフローKL−400HF」、「ポリフローKL−401」、「ポリフローKL−402」、「ポリフローKL−403」、「ポリフローKL−404」(以上、共栄社化学(株)製);商品名「KP−323」、「KP−326」、「KP−341」、「KP−104」、「KP−110」、「KP−112」(以上、信越化学工業(株)製);商品名「LP−7001」、「LP−7002」、「8032 ADDITIVE」、「57 ADDITIVE」、「L−7604」、「FZ−2110」、「FZ−2105」、「67 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
上記フッ素系レベリング剤としては、市販のフッ素系レベリング剤を使用できる。市販のフッ素系レベリング剤としては、例えば、商品名「オプツール DSX」、「オプツール DAC−HP」(ダイキン工業(株)製);商品名「サーフロン S−242」、「サーフロン S−243」、「サーフロン S−420」、「サーフロン S−611」、「サーフロン S−651」、「サーフロン S−386」(AGCセイミケミカル(株)製);商品名「BYK−340」(ビックケミー・ジャパン(株)製);商品名「AC 110a」、「AC 100a」(以上、Algin Chemie製);商品名「メガファックF−114」、「メガファックF−410」、「メガファックF−444」、「メガファックEXP TP−2066」、「メガファックF−430」、「メガファックF−472SF」、「メガファックF−477」、「メガファックF−552」、「メガファックF−553」、「メガファックF−554」、「メガファックF−555」、「メガファックR−94」、「メガファックRS−72−K」、「メガファックRS−75」、「メガファックF−556」、「メガファックEXP TF−1367」、「メガファックEXP TF−1437」、「メガファックF−558」、「メガファックEXP TF−1537」(以上、DIC(株)製);商品名「FC−4430」、「FC−4432」(以上、住友スリーエム(株)製);商品名「フタージェント 100」、「フタージェント 100C」、「フタージェント 110」、「フタージェント 150」、「フタージェント 150CH」、「フタージェント A−K」、「フタージェント 501」、「フタージェント 250」、「フタージェント 251」、「フタージェント 222F」、「フタージェント 208G」、「フタージェント 300」、「フタージェント 310」、「フタージェント 400SW」(以上、(株)ネオス製);商品名「PF−136A」、「PF−156A」、「PF−151N」、「PF−636」、「PF−6320」、「PF−656」、「PF−6520」、「PF−651」、「PF−652」、「PF−3320」(以上、北村化学産業(株)製)等が挙げられる。
上記レベリング剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、例えば、2種以上のシリコーン系レベリング剤、2種以上のフッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤とフッ素系レベリング剤との組み合わせ等が挙げられる。
表面調整剤(C)の量は、ポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.05質量部乃至3質量部の範囲内にある。0.05質量部未満の場合、キャリアフィルムへの濡れ性の低下や防汚性に欠け、3質量部よりも多い場合、透明性が低下する傾向にある。
[その他の成分(D)]
樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(D)を更に含有することができる。
樹脂組成物は、その他の成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤(HALS等)、つや消し剤(シリカ、ガラス粉、金属酸化物等)、着色剤(染料、顔料等)、光拡散剤、低収縮剤、沈降防止剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤、分散剤、増粘剤、タレ止め剤、乾燥剤、レベリング剤、カップリング剤、付着促進剤、防錆顔料、熱安定剤、皮膜物質改質剤、スリップ剤、スリキズ剤、可塑剤、防菌剤、防カビ剤、防汚剤、難燃剤、重合防止剤、光重合促進剤、増感剤、熱開始剤(熱カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤)、及び離型剤等の添加剤の1以上を更に含有していてもよい。
成分(D)の量は、ポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)との合計量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
<樹脂組成物の調製>
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、この場合、溶剤を用いずに熱硬化性ポリウレタンを得ることができる。
上記の樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。
<フィルムの製造>
図1に示すフィルム1は、例えば、上記の樹脂組成物からなる塗膜を支持体上に形成し、塗膜を加熱し硬化させ、その後、硬化した膜を支持体から剥離することにより得る。フィルム1の製造には、例えば、図2に示す装置を利用することができる。
図2は、フィルム製造装置の一例を概略的に示す図である。
このフィルム製造装置100は、ロール・ツー・ロール式のダイコータである。このフィルム製造装置は、巻出ロール110と、キャリアフィルム120と、ガイドロール130a乃至130eと、バックアップロール140と、ダイヘッド150と、ヒータ160と、剥離ロール170と、巻取ロール180a及び180bとを含んでいる。
巻出ロール110には、キャリアフィルム120が巻かれている。巻出ロール110は、キャリアフィルム120を巻き出す。
キャリアフィルム120は、ベルト形状を有している。キャリアフィルム120上には、上述した樹脂組成物を塗布し、このキャリアフィルム120上で樹脂組成物からなる塗膜の硬化を行う。
キャリアフィルム120は、樹脂組成物の硬化物を剥離可能に支持し得るものである。キャリアフィルム120としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート及びセルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、及びポリアリレート系フィルムを挙げることができる。
キャリアフィルム120の厚さは、制限を設けるわけではないが、6乃至700μmの範囲内にあることが好ましく、40乃至250μmの範囲内にあることがより好ましく、50乃至150μmの範囲内にあることが更に好ましい。
ガイドロール130a乃至130eは、巻出ロール110から巻き出されたキャリアフィルム120を、ダイヘッド150とバックアップロール140との間の領域、ヒータ160、及び巻取ロール180aへと順次案内する。
バックアップロール140は、ダイヘッド150と向き合うように設置されている。バックアップロール140は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の裏面上を転動して、キャリアフィルム120とダイヘッド150との距離を一定に保つ役割を果たす。
ダイヘッド150は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の表面上に樹脂組成物を供給する。これにより、キャリアフィルム120の表面上に、樹脂組成物からなる塗膜を形成する。
ここでは、樹脂組成物の塗工にダイヘッド150を利用するダイコート法について説明しているが、樹脂組成物の塗工には他の方法を利用してもよい。樹脂組成物の塗工には、例えば、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
樹脂組成物からなる塗膜の硬化後の厚さ、即ち、フィルム1の厚さは、1乃至400μmの範囲内にあることが好ましい。薄すぎる場合、フィルム1の強度が低く、フィルム1がキャリアフィルム120から剥離する際に破断してしまう可能性が高い。厚すぎる場合、過度の剛性を発揮して塗装面等の曲面への追従性が低下したり、浮きが発生したりする可能性がある。
ヒータ160は、塗膜の乾燥・硬化を行う。加熱温度は、80乃至200℃の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、30乃至600秒の範囲内とすることが好ましい。
ヒータ160による加熱には、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、及び赤外線照射等の加熱方法を、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
剥離ロール170は、キャリアフィルム120に支持されたフィルム1上を転動するように設置されている。剥離ロール170は、キャリアフィルム120の移動方向に対して、フィルム1の移動方向を急激且つ大きく異ならしめ、これにより、フィルム1をキャリアフィルム120から剥離する。
巻取ロール180aは、フィルム1を剥離したキャリアフィルム120を巻き取る。また、巻取ロール180bは、キャリアフィルム120から剥離したフィルム1を巻き取る。
巻取ロール180aは、キャリアフィルム120に張力を与える。巻取ロール180aがキャリアフィルム120に与える張力は、キャリアフィルム120の厚さや材質によって異なるが、10乃至500N/mの範囲内とすることが好ましい。
フィルム1は、例えば、以上のようにして製造する。
フィルム1は、360乃至760nmの波長領域における平均透過率が90%以上であることが好ましい。平均透過率が90%以上であると、フィルム1は高い透明性を有する。平均透過率は、JIS K7361−1:1997に準拠した方法を用いて測定することができる。なお、この波長領域は、可視光線領域に相当する。
フィルム1は、ヘイズ値が2%未満であることが好ましい。また、フィルム1は、60℃の温度及び95%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってプレッシャークッカー試験を行う直前のヘイズ値に対する、プレッシャークッカー試験を行った直後のヘイズ値の増加が、プレッシャークッカー試験を行う直前のヘイズ値の2%以下であることが好ましい。ヘイズ値は、JIS K7136:2000に準拠した方法を用いて測定することができる。フィルム1は、小さなヘイズ値を有している場合、高い透明性を有する。
フィルム1は、破断強度が10乃至50MPaの範囲内にあることが好ましい。破断強度は、JIS K7127:1999に準拠した方法を用いて測定することができる。フィルム1は、破断強度が上記範囲内にある場合、高い機械的強度を有する。
フィルム1は、引張伸度が50乃至600%の範囲内にあることが好ましい。引張伸度は、JIS K7127:1999に準拠した方法を用いて測定することができる。フィルム1は、引張伸度が上記範囲内にある場合、高い機械的強度を有する。
フィルム1は、ヤング率が20乃至200MPaの範囲内にあることが好ましい。また、フィルム1は、60℃の温度及び95%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってプレッシャークッカー試験を行った直後のヤング率が、プレッシャークッカー試験を行う直前のヤング率の90%以上であることが好ましい。ヤング率は、JIS K7127:1999に準拠した方法を用いて測定することができる。ヤング率が上記範囲内にあるフィルム1は、可撓性に優れる。
フィルム1は、ガラス転移温度Tgが0乃至50℃の範囲内にあることが好ましい。また、フィルム1は、60℃の温度及び95%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってプレッシャークッカー試験を行った直後のガラス転移温度Tgが、プレッシャークッカー試験を行う直前のガラス転移温度Tgの90%以上であることが好ましい。ガラス転移温度Tgは、JIS K7121:1987に準拠した方法を用いて測定することができる。ガラス転移温度Tgが上記範囲内にあるフィルム1は、容易に製造することができる。
フィルム1は、水接触角が95°以上であることが好ましい。水接触角は、具体的には、周囲温度及び周囲圧力における水接触角である。水接触角が95°以上であるフィルム1は、撥水性に優れる。
フィルム1は、オレイン酸接触角が50°以上であることが好ましい。オレイン酸接触角は、具体的には、周囲温度及び周囲圧力におけるオレイン酸接触角である。オレイン酸接触角が50°以上であるフィルム1は、撥油性に優れる。
上記の通り、このフィルム1は、ガラス繊維布などの基材を含んでいない。従って、このフィルム1は、ガラス繊維布などの基材を含んだフィルムと比較して、透明性やコストの点で有利である。また、このフィルム1は、上述した樹脂組成物から得られる。このようなフィルム1は、耐候性に優れている。即ち、このフィルム1は、耐候性に優れた自立膜としてのフィルムである。また、このフィルム1は、一例によると、安価に製造することができ、透明性及び可撓性にも優れている。
<フィルムの応用例>
図3は、図1に示すフィルムの応用例を概略的に示す断面図である。
図3には、図1に示すフィルム1を含んだ多層フィルム10を描いている。多層フィルム10は、例えば、保護フィルムである。
多層フィルム10は、第1層としてのフィルム1に加え、第2層2を含んでいる。フィルム1と第2層2とは多層構造を形成している。なお、図3には、フィルム1以外の層として第2層2のみを描いているが、多層フィルム10は、フィルム1以外の層を、2以上含んでいてもよい。
第2層2は、自立膜であってもよく、それ自体を単独で取り扱うことができない膜であってもよい。後者の場合、フィルム1は、第2層2の基材としての役割を果たす。
第2層2は、例えば、自己修復層、ハードコート層、又は光触媒層である。フィルム1の第2層2が設けられた面の裏面には、粘着層及びセパレートフィルムをこの順に積層してもよい。この場合は、セパレートフィルムを剥離して粘着層を露出させ、この粘着層を介して、多層フィルム10を被対象物に貼り付けることができる。多層フィルム10がフィルム1以外の層を2以上含んでいる場合、フィルム1以外の2以上の層は、自己修復層、ハードコート層、及び光触媒層からなる群より選ばれる2以上を含んでいてもよい。
上記の通り、フィルム1は、耐候性に優れている。従って、このフィルム1を用いて得られる多層フィルム10も耐候性を有し得る。
また、上述した通り、フィルム1は、一例によると、安価に製造することができ、透明性及び可撓性にも優れている。従って、このフィルム1を用いて得られる多層フィルム10も、一例によると、安価に製造することができ、透明性及び可撓性にも優れている。
フィルム1や多層フィルム10は、例えば、車両外装塗膜の保護フィルムとして使用することができる。或る実施形態において、フィルム1や多層フィルム10は、自動車、トラック、オートバイ、列車、航空機、海洋車両、及びスノーモービルなどの車両の外面に貼り付けて使用することができる。代替実施形態において、フィルム1や多層フィルム10は、車両以外の構造物の表面、例えば付属品、建物及び建築用表面に貼り付けることができる。フィルム1や多層フィルム10は、主に室内及び屋外のいずれにおいて使用されるものであってもよい。特定の実施形態に係るフィルム1や多層フィルム10は、低表面エネルギー及びクリーニング容易特性のためだけでなく、非常に可撓性でありながら、優れた耐候性、耐化学性も示すため、屋外での使用に特に有利である。
以下に、本発明の実施例を記載する。但し、本発明は、以下に記載する事項に限定されるわけではない。
<実施例1>
図1に示すフィルム1を以下の手順で作製した。
先ず、ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比OH/NCOが1となるようにこれら化合物を混合し、これらの合計量100質量部に対して0.05質量部の表面調整剤(C)を加え、遊星攪拌脱泡機(マゼルスターKK5000、KURABO製)を用いて15分間攪拌して、塗液を調製した。ここで、ポリオール化合物(A)としては、XU−19923A(ペルノックス(株)製)を使用した。また、イソシアネート化合物(B)としては、XU−19923B(ペルノックス(株)製)を使用した。そして、表面調整剤(C)としては、BYK−SILCLEAN3700(ビックケミー・ジャパン(株)製)を使用した。
次に、この塗液を用いて、図2を参照しながら説明した方法により、厚さが100μmのフィルム1を製造した。ここでは、キャリアフィルム120として、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製離型フィルム(パナピールPET100TP03、パナック(株)製)を使用した。加熱は、160℃にて540秒にわたって行った。なお、キャリアフィルム120は、50N/mの張力で巻き取った。
<実施例2>
ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比OH/NCOを0.8に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製した。
<実施例3>
ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比OH/NCOを1.2に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製した。
<実施例4>
表面調整剤(C)の量を、ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)の合計量100質量部に対して3質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製した。
<比較例1>
ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比OH/NCOを0.7に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムの作製を試みた。しかしながら、本例では、硬化不良を生じ、フィルムを得ることはできなかった。
<比較例2>
ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比OH/NCOを1.3に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムの作製を試みた。しかしながら、本例では、硬化不良を生じ、フィルムを得ることはできなかった。
<比較例3>
表面調整剤(C)の量を、ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)の合計量100質量部に対して0.01質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製した。
<比較例4>
表面調整剤(C)の量を、ポリオール化合物(A)の水酸基とイソシアネート化合物(B)の合計量100質量部に対して5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりフィルムを作製した。
<比較例5>
樹脂組成物として、MDI系熱可塑性ポリウレタンペレットYJ8085(JOOWON社製)を用いた。これを押出機にて180℃で溶融混練した後、Tダイ押出成形することにより、厚さ100μmのフィルムを作製した。
<比較例6>
基材フィルムとして、ポリカプロラクタン系熱可塑性ポリウレタンフィルム(エスマーURS PX、日本マタイ(株)製、厚さ100μm)を準備した。このフィルムの表面側に、UV硬化性ウレタンアクリレート(AUP787、(株)トクシキ製、固形分50%)を乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、塗膜を90℃、3分で乾燥させた。乾燥後、400mJ/cmのUV照射条件で塗膜を硬化させて、一方の面に保護層(コート層)を有する厚さ110μmのポリウレタンフィルムを得た。
<評価方法>
(全光線透過率、ヘイズ、黄色度)
全光線透過率はJIS K7361−1:1997、ヘイズはJIS K7136:2000、黄色度はJIS K7373:2006に準拠して測定し、それぞれ以下の基準で評価した。
全光線透過率:90%以上の場合○、90%未満の場合×
ヘイズ:2%未満の場合○、2%以上の場合×
黄色度:0.5未満の場合○、0.5以上の場合×
(フィルム外観)
フィルムをA4サイズに切り出し、メック(株)製フィッシュアイカウンターを用いて、面積が0.01mm以上のフィッシュアイを選択した。その後、顕微鏡観察により、選択したフィッシュアイのうち熱劣化に起因するもの、即ち、異物由来でないもの、言い換えると輪郭のないものを計数した。検査面積は0.04mとした。フィッシュアイがないものを「○」、1個以上のものを「×」とした。
(撥水性の評価)
フィルムを100mm×50mmのサイズに切り出して試験サンプルを作製した。23℃、45%RHの雰囲気下且つ大気圧下で、接触角計(協和界面科学(株)製の「DM500」)の試験台に、試験サンプルを粘着テープで固定した。上記の条件下で、サンプル上に純水を2μL滴下して、サンプル表面と純水の接触角を測定した。そして、接触角が95°以上のものを○、接触角が95°未満のものを×とした。
(撥油性の評価)
フィルムを100mm×50mmのサイズに切り出して試験サンプルを作製した。23℃、45%RHの雰囲気下且つ大気圧下で、接触角計(協和界面科学(株)製の「DM500」)の試験台に、試験サンプルを粘着テープでしたする。上記の条件下で、サンプル上にオレイン酸を2μL滴下して、サンプル表面とオレイン酸の接触角を測定した。そして、接触角が50°以上のものを○、接触角が50°未満のものを×とした。
(耐候性試験)
キセノンウェザーメーター(アイスーパーUV テスターSUV-W161、岩崎電気(株))を用い、下記の条件で耐候性試験を行った。
照度:100W/m
温度:63℃
相対湿度:60%RH
照射時間:1000時間
フィルムの黄色度を、以下の基準で判定した。即ち、初期の黄色度が1%以下であり、且つ、耐候性試験後における黄色度が1%未満の場合を「〇」と判定した。そして、初期の黄色度が1%以上であるか、又は、耐候性試験後における黄色度が1%以上の場合を「×」と判定した。黄色度はJIS K7373:2006に準拠して評価した。
エスペック社製の高度加速寿命試験装置EHS−211を用いてプレッシャークッカー試験(以下、PCTという)を行った。PCTは、温度が60℃であり、相対湿度が95%である条件で、1000時間にわたって行った。
フィルムのヘイズを、以下の基準で判定した。即ち、初期のヘイズが2%以下であり、且つ、PCT後におけるヘイズが2%未満の場合を「〇」と判定した。そして、初期のヘイズが2%超であるか、又は、PCT後におけるヘイズが2%以上の場合を「×」と判定した。ヘイズはJIS K7136:2000に準拠して評価した。
次いで、引張伸度を測定した。フィルムの引張伸度は、以下の基準で判定した。即ち、初期の引張伸度が100%以上であり、且つ、PCT後の引張伸度保持率が90%以上の場合を「〇」と判定した。そして、初期の引張伸度が100%未満であるか、又は、PCT試験後の引張伸度保持率が90%未満の場合を「×」と判定した。引張伸度保持率は以下の式より算出した。
引張伸度保持率(%)=(引張伸度(PCT後)/引張伸度(PCT前))×100
引張伸度は、島津製作所社製の卓上形精密万能試験機AGS−Xを用いて、フィルムの流れ方向(Machine Direction;MD)の引張特性試験を行うことにより得た。なお、試験片の寸法は、幅が15mmであり、長さが150mmであった。また、この試験は、チャック間距離を100mmとし、引張速度を300mm/minとして行った。
(耐低温環境性)
比較例6のポリウレタンフィルムに対し、以下の方法により耐低温環境性の評価を行った。まず、基材フィルムの保護層を設けた面の裏面側に、アクリル系粘着剤を40μmの厚さで塗工した。その後、アルミバット(アズワン、浅3号)の縁に、この粘着剤付きポリウレタンフィルムを200%に延伸して貼りあわせた。次いで、これを−20℃の冷凍機に2時間放置し、その後、基材フィルムと保護層との密着性を評価した。具体的には、粘着テープをポリウレタンフィルムの縁に圧着させ、これを剥がそうとしたときに、フィルムの破壊、具体的には基材フィルムと保護層との層間剥離を生じるか確認した。
また、これと同様の評価を、実施例1乃至4及び比較例3乃至5のフィルムに対しても行った。これらフィルムは単層構造を有している(コート層を有していない)ので、冷凍機に放置後に、粘着テープをフィルムの縁に圧着させて剥がそうとしたときに、フィルムの破壊を生じるか確認した。
そして、フィルムの破壊を生じた場合を「×」と判定し、フィルムの破壊を生じなかった場合を「○」と判定した。
以下の表1に、評価結果を纏める。
表1に示すように、実施例1乃至4に係るフィルムは、外観、防汚性、耐候性、及び耐低温環境性の全てについて優れた性能を示した。これに対し、比較例4乃至6に係るフィルムは、何れも耐候性に優れていなかった。比較例3に係るフィルムは、耐候性に優れていたものの、防汚性に優れていなかった。また、比較例4に係るフィルムは、透明性にも優れていなかった。そして、比較例5に係るフィルムは外観及び防汚性にも優れておらず、比較例6に係るフィルムは透明性、外観及び耐低温環境性にも優れていなかった。
1…フィルム(第1層)、2…第2層、10…多層フィルム、100…フィルム製造装置、110…巻出ロール、120…キャリアフィルム、130a乃至130e…ガイドロール、140…バックアップロール、150…ダイヘッド、160…ヒータ、170…剥離ロール、180a及び180b…巻取ロール。

Claims (12)

  1. 熱硬化性ポリウレタンからなる単層構造を有している自立膜としてのフィルムであって、前記熱硬化性ポリウレタンは、ポリオール化合物(A)とイソシアネート化合物(B)と表面調整剤(C)とを含んだ2成分ウレタン系硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記ポリオール化合物(A)の水酸基と前記イソシアネート化合物(B)のイソシアネート基との当量比(OH/NCO)が0.8乃至1.2の範囲内にあり、前記表面調整剤(C)の量は、前記ポリオール化合物(A)と前記イソシアネート化合物(B)との合計量100質量部に対して0.05乃至3質量部の範囲内にあるフィルム。
  2. 前記表面調整剤(C)はレベリング剤である請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記表面調整剤(C)は、シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤の少なくとも一方である請求項1に記載のフィルム。
  4. 前記ポリオール化合物(A)は、水酸基価が70乃至500mgKOH/gの範囲内にある請求項1乃至3の何れか1項に記載のフィルム。
  5. 前記イソシアネート化合物(B)は、イソシアネート含有量が15乃至30%の範囲内にある請求項1乃至4の何れか1項に記載のフィルム。
  6. 100W/mの照度、63℃のブラックパネル温度及び60%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってキセノンウェザーメーターを用いた試験を行い、その後、色相評価を行うことにより得られるYI値が、1%未満である請求項1乃至5の何れか1項に記載のフィルム。
  7. 60℃の温度及び95%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってプレッシャークッカー試験を行い、その後、ヘイズ測定を行うことにより得られるヘイズ値が、2%以下である請求項1乃至6の何れか1項に記載のフィルム。
  8. 60℃の温度及び95%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってプレッシャークッカー試験を行った直後のヤング率は、前記プレッシャークッカー試験を行う直前のヤング率に対して90%以上である請求項1乃至7の何れか1項に記載のフィルム。
  9. 60℃の温度及び95%の相対湿度の条件下で、1000時間にわたってプレッシャークッカー試験を行った直後のガラス転移温度Tgは、前記プレッシャークッカー試験を行う直前のガラス転移温度Tgに対して90%以上である請求項1乃至8の何れか1項に記載のフィルム。
  10. 膜厚が1乃至400μmの範囲内にある請求項1乃至9の何れか1項に記載のフィルム。
  11. 多層構造を構成している2以上の層を備え、それら層の少なくとも1つは、請求項1乃至10の何れか1項に記載のフィルムである多層フィルム。
  12. 請求項1乃至10の何れか1項に記載のフィルム又は請求項11に記載の多層フィルムを備えた車両外装塗膜の保護フィルム。
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