JP2020132732A - 架橋性シリル基を有する有機重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒドロシリル化反応を利用しながら、架橋性シリル基の導入率が高い有機重合体を形成可能な製造方法を提供すること。【解決手段】式:−O−CH2−C(R1)=CH2(R1は、水素または炭素数1〜6のアルキル基)で表される末端不飽和結合を有する有機重合体(B)に、一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)を反応させて、架橋性シリル基と、式:−O−CH=C(R1)−CH3で表される内部不飽和結合を有する有機重合体(D)を得、有機重合体(D)に酸を作用させて、前記内部不飽和結合を水酸基に変換し、架橋性シリル基および水酸基を有する有機重合体(E)を得、有機重合体(E)に、一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)を作用させて、ウレタン結合を介して、架橋性シリル基を更に導入して、架橋性シリル基を有する有機重合体(A)を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、架橋性シリル基を有する有機重合体の製造方法、該有機重合体、及びそれを含む硬化性組成物に関する。
架橋性シリル基を有する有機重合体は、湿分反応性ポリマーとして知られており、接着剤、シーリング材、コーティング材、塗料、粘着剤などの多くの工業製品に含まれ、幅広い分野で利用されている。
このような架橋性シリル基を有する有機重合体としては、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などの主鎖骨格を有する重合体が知られている。中でもポリオキシアルキレン系の主鎖骨格を有する架橋性シリル基含有重合体は、室温において比較的低粘度で取扱いやすく、また反応後に得られる硬化物も良好な弾性を示すなどの特徴から、その適用範囲は広い。
このような架橋性シリル基含有有機重合体の合成方法としては、例えば、水酸基を有する重合体に塩化アリルを反応させて、アリルオキシ基を有する重合体を形成し、該アリルオキシ基に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応させることで、重合体に架橋性シリル基を導入する方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。
特開昭52−73998号公報
上述した重合体が有するアリルオキシ基と、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物とのヒドロシリル化反応を周知の反応条件で実施すると、目的の架橋性シリル基を有する重合体が形成されると同時に、不可避的に、アリルオキシ基(末端不飽和結合)の異性化反応が20%程度進行してしまい、1−プロペニルオキシ基(内部不飽和結合)を有する重合体が副生する。副生した1−プロペニルオキシ基(内部不飽和結合)に対しては前記ヒドロシリル化反応は極めて進行しにくいため、前記ヒドロシリル化反応後に得られる重合体は、例えば20%程度の1−プロペニルオキシ基(内部不飽和結合)を有し、該重合体における架橋性シリル基導入率は、高くても80%程度しか達成できないという問題があった。しかも、1−プロペニルオキシ基(内部不飽和結合)の生成率は20%程度が限度ではなく、ヒドロシリル化反応で用いる触媒の種類など反応条件によっては、生成率はそれ以上に、例えば50%程度に達する場合もあり、その場合、架橋性シリル基導入率はさらに低下する。
本発明は、上記現状に鑑み、ヒドロシリル化反応を利用しながら、架橋性シリル基の導入率が高い有機重合体を形成可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、有機重合体に架橋性シリル基を導入するヒドロシリル化反応において末端不飽和結合の異性化によって副生した内部不飽和結合を酸分解して水酸基とし、これを利用してウレタン化反応によって更に架橋性シリル基を導入することで、前記課題を解決できることも見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、 下記一般式(1):
−O−CH−C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表される末端不飽和結合を有する有機重合体(B)に、一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)を反応させて、架橋性シリル基と、下記一般式(2):
−O−CH=C(R)−CH (2)
(式中、Rは上記と同様)で表される内部不飽和結合を有する有機重合体(D)を得る工程、有機重合体(D)に酸を作用させて、前記内部不飽和結合を水酸基に変換し、架橋性シリル基および水酸基を有する有機重合体(E)を得る工程、及び、有機重合体(E)に、一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)を作用させて、ウレタン結合を介して、架橋性シリル基を更に導入する工程、を含む、架橋性シリル基を有する有機重合体(A)の製造方法に関する。好ましくは、Rが水素である。好ましくは、有機重合体(A)の、主鎖骨格の末端あたりの架橋性シリル基導入率が85%以上である。好ましくは、有機重合体(A)が、ポリオキシアルキレンから構成される主鎖骨格を有する。
好ましくは、一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)が、下記一般式(3):
H−SiR 3−a−b (3)
(式中、Rは、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。Rは炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である。Xは水酸基または加水分解性基を示す。aは0、1、2のいずれか、bは1、2、3のいずれかであり、a+b≦3である条件を満たす。R、R、Xのそれぞれについて、それらが複数存在するとき、それらは同じでもよく、異なっていてもよい。)で表される。
好ましくは、一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)が、下記一般式(4):
O=C=N−(CH−SiR 3−d−e (4)
(式中、Rは、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。Rは炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である。Yは水酸基または加水分解性基を示す。cは1、2、3のいずれか、dは0、1、2のいずれか、eは1、2、3のいずれかであり、d+e≦3である条件を満たす。R、R、Yのそれぞれについて、それらが複数存在するとき、それらは同じでもよく、異なっていてもよい。)で表される。
また本発明は、主鎖骨格と、エーテル結合を介して前記主鎖骨格に結合した架橋性シリル基と、ウレタン結合を介して前記主鎖骨格に結合した架橋性シリル基とを有し、主鎖骨格の末端あたりの架橋性シリル基導入率が85%以上であり、下記一般式(2):
−O−CH=C(R)−CH (2)
(式中、Rは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で表される内部不飽和結合を有しない、有機重合体(A)にも関する。
さらに本発明は、前記有機重合体(A)を含む、硬化性組成物にも関し、また、前記硬化性組成物を硬化させた硬化物にも関する。
本発明によれば、ヒドロシリル化反応を利用しながら、架橋性シリル基の導入率が高い有機重合体を形成可能な製造方法を提供することができる。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、末端不飽和結合を有する有機重合体(B)に対し、ヒドロシリル化反応、内部不飽和結合の水酸基への変換反応、及び、ウレタン化反応をこの順で実施することにより、架橋性シリル基を有する有機重合体(A)を製造する。以下、各反応を順に説明する。
(ヒドロシリル化反応)
本発明の製造方法によると、まず、末端不飽和結合を有する有機重合体(B)に、一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)をヒドロシリル化反応させる。
(末端不飽和結合を有する有機重合体(B))
本発明において、有機重合体(B)の主鎖骨格は特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、ポリエステル系等の主鎖骨格等であってもよい。なかでも、本発明の製造方法における反応時の安定性が良好であることから、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格、又は、ポリオレフィン系の主鎖骨格が好ましい。高い架橋性シリル基導入率を達成できることから、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格がより好ましい。また、有機重合体(B)は、異なる種類の主鎖骨格が結合して形成された主鎖骨格を有するものであってもよいし、異なる種類の主鎖骨格の混合物であってもよい。
前記ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格としては特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等が挙げられる。好ましくはポリオキシプロピレンである。該主鎖骨格は直鎖状のものであってもよいし、分岐構造を含むものであってもよい。
ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格は、従来公知の方法によって、水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させることで形成することができ、これによって水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体が得られる。具体的な重合方法としては特に限定されないが、例えば、水酸基を有する開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得ることができる。
水酸基を有する開始剤としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、低分子量のポリオキシプロピレングリコール、低分子量のポリオキシプロピレントリオール、アリルアルコール、低分子量のポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、低分子量のポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル等の、水酸基を1個以上有する有機化合物が挙げられる。
モノエポキシドとしては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。好ましくはプロピレンオキサイドである。
触媒としては特に限定されないが、例えば、KOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の公知の触媒を使用することができる。なかでも、複合金属シアン化物錯体触媒は、連鎖移動反応が少なく、高分子量でかつ分子量分布の狭い重合体が得られるため好ましい。また、数平均分子量の小さいポリオキシアルキレン系重合体に対し、塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH、NaOCH等を作用させ、さらに2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCHBrCl、CHCl、CHBr等を反応させることによる鎖延長反応によっても、高分子量のポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
前記ポリオレフィン系の主鎖骨格としても特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン;イソブチレンとイソプレン等との共重合体;ポリクロロプレン、ポリイソプレン;イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体;ポリブタジエン;ポリブタジエンを水素添加して得られるポリオレフィン系重合体;イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系重合体、等が挙げられる。好ましくは、ポリブタジエン、あるいは、ポリブタジエンを水素添加して得られるポリオレフィン系重合体である。該主鎖骨格は直鎖状のものであってもよいし、分岐構造を含むものであってもよい。
有機重合体(B)が有する末端不飽和結合は、下記一般式(1):
−O−CH−C(R)=CH (1)
で表される。式(1)中、Rは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、水素または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素または炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、水素またはメチル基がさらに好ましく、水素が特に好ましい。Rが水素である態様では、ヒドロシリル化反応における内部不飽和結合の生成率が高くなるため、内部不飽和結合を利用して架橋性シリル基を追加導入するという本発明の製造方法を適用する意義は極めて大きい。末端不飽和結合は、有機重合体の繰り返し単位から構成される主鎖骨格の末端に結合していても良いし、該主鎖骨格に側鎖として結合していても良いが、主鎖骨格の末端に結合していることが好ましい。
末端不飽和結合を有する有機重合体(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、GPCにおけるポリスチレン換算分子量において好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000であり、さらに好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が3,000未満では、重合体全体に対する架橋性シリル基の相対量が多くなり、製造コストの点で不都合になる場合がある。また、数平均分子量が100,000を超えると、重合体が高粘度となり作業性が低下する場合がある。
末端不飽和結合を有する有機重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、狭いことが好ましい。具体的には2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、GPC測定により求められる数平均分子量と重量平均分子量から算出することができる。
末端不飽和結合を有する有機重合体(B)は、例えば、水酸基含有有機重合体に対しアルカリ金属塩を作用させて、重合体が有する水酸基をメタルオキシ基に変換した後、末端不飽和結合を有する有機ハロゲン化物を反応させる方法が好ましい。また、アルカリ金属塩の代わりに、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることもできる。
前記アルカリ金属塩としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド等が挙げられる。取り扱いの容易さと溶解性から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドがより好ましい。入手性の点で、ナトリウムメトキシドが、反応性の点で、ナトリウムtert−ブトキシドが、それぞれ特に好ましい。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で反応に供してもよい。
前記アルカリ金属塩の使用量は、特に限定されないが、水酸基含有有機重合体が有する水酸基に対するモル比として、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、0.8以上がより更に好ましい。前記モル比は1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
アルカリ金属塩を作用させる際の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上145℃以下がより好ましい。アルカリ金属塩を作用させる際の時間としては、10分以上5時間以下が好ましく、30分以上3時間以下がより好ましい。
次いで、水酸基から変換されたメタルオキシ基を有する有機重合体に対し、末端不飽和結合を有する有機ハロゲン化物を反応させることで、末端不飽和結合を有する有機重合体(B)を得ることができる。
末端不飽和結合を有する有機ハロゲン化物は、下記一般式(5):
X−CH−C(R)=CH (5)
で表すことができる。式(5)中、Rは、上述した一般式(1)中のRと同じであり、また、Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。前記有機ハロゲン化物としては特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、ヨウ化メタリル等が挙げられる。取り扱いの容易さから、塩化アリル、塩化メタリルが好ましい。
前記有機ハロゲン化物の使用量は、特に限定されないが、水酸基含有有機重合体が有する水酸基に対するモル比として、0.7以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。前記モル比は5.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
前記有機ハロゲン化物を反応させる際の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上140℃以下がより好ましい。反応時間は、10分以上5時間以下が好ましく、20分以上2時間以下がより好ましい。
(一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C))
ヒドロシリル化反応において、末端不飽和結合を有する有機重合体(B)に反応させる、一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)は、有機重合体(B)が有する末端不飽和結合へのヒドロシリル化付加反応が可能な水素−ケイ素結合と、架橋性シリル基を一分子中に併せ有する化合物であれば特に限定されないが、具体的には、下記一般式(3):
H−SiR 3−a−b (3)
で表すことができる。式(3)中、Rは、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。Rは炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である。Xは水酸基または加水分解性基を示す。aは0、1、2のいずれか、bは1、2、3のいずれかであり、a+b≦3である条件を満たす。R、R、Xのそれぞれについて、それらが複数存在するとき、それらは同じでもよく、異なっていてもよい。
は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1〜2がより更に好ましく、1が特に好ましい。Rの具体例としては、例えば、クロロメチル基、メトキシメチル基、N,N−ジエチルアミノメチル基等の、置換アルキル基が挙げられる。好ましくは、クロロメチル基、メトキシメチル基である。Rが複数存在する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
は、炭素数1〜20の非置換の炭化水素基であり、炭素数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1〜2がより更に好ましく、1が特に好ましい。Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基であり、より好ましくは、メチル基である。Rが複数存在する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
Xとしては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。前記のアルコキシ基等は、置換基を有していてもよい。加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、Xはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Xとしては、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)の具体例としては、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)クロロシラン、(メトキシメチル)ジクロロシラン、(ジメトキシメチル)ジクロロシラン、ビス(メトキシメチル)クロロシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、エチルジメトキシシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、(クロロメチル)メチルメトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(クロロメチル)ジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)メチルメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、ビス(メトキシメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)ジエトキシシラン、(エトキシメチル)ジエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシラン、[(クロロメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(クロロメチル)ジエトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジエメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン等のアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシフェニルシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類、トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシラン等のイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)等が挙げられる。
一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)の使用量は、有機重合体(B)が有する末端不飽和結合の量を考慮して適宜設定すればよい。具体的には、有機重合体(B)が有する末端不飽和結合に対する化合物(C)のモル比は、反応性の観点から0.05以上10以下が好ましく、0.3以上3以下がより好ましい。得られる有機重合体(A)の硬化物のモジュラス値を高められる点で、前記モル比は0.5以上がさらに好ましく、0.7以上が特に好ましい。一方で、経済性の観点から、前記モル比は2.5以下がさらに好ましく、2以下が特に好ましい。
ヒドロシリル化反応は、反応促進のため、ヒドロシリル化触媒の存在下で実施することが好ましい。ヒドロシリル化触媒としては、コバルト、ニッケル、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属や、その錯体等が知られており、これらを用いることができる。具体的には、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの、塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl];白金−ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}];白金−ホスフィン錯体[例えばPh(PPh、Pt(PBu];白金−ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、白金ビニルシロキサン錯体等の白金触媒が好ましい。
ヒドロシリル化触媒の使用量は特に限定されないが、有機重合体(B)に対し、白金重量換算で0.01ppmから1000ppmが好ましく、0.05ppmから100ppmがより好ましく、0.1ppmから50ppmが特に好ましい。
ヒドロシリル化反応の温度条件は、特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、反応系の粘度を下げたり、反応性を向上させる目的で、加熱条件下での反応が好ましく、具体的には、50℃〜150℃での反応がより好ましく、70℃〜120℃での反応がさらに好ましい。反応時間も適宜設定すればよいが、意図しない重合体間の縮合反応が進行しないように、温度条件とともに反応時間を調整することが好ましい。具体的には、反応時間は、30分以上5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。
また、ヒドロシリル化反応は、オルトカルボン酸トリアルキルエステルの存在下で実施してもよい。これによって、ヒドロシリル化反応時の増粘を抑制し、得られる重合体の貯蔵安定性を改善することができる。オルトカルボン酸トリアルキルエステルとしては、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル等が挙げられる。好ましくはオルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチルである。オルトカルボン酸トリアルキルエステルを使用する場合、その使用量は特に限定されないが、有機重合体(B)100重量部に対して0.1〜10重量部程度が好ましく、0.1〜3重量部程度がより好ましい。
前記ヒドロシリル化反応によって、有機重合体に架橋性シリル基を導入するが、その系中では、目的のヒドロシリル化に加えて、一般式(1)で表される末端不飽和結合の異性化反応が進行する。末端不飽和結合の異性化反応によって、下記一般式(2):
−O−CH=C(R)−CH (2)
(式中、Rは上記と同様)で表される内部不飽和結合が副生する。この内部不飽和結合に対してヒドロシリル化反応を進行させることは極めて困難であり、一般的に、内部不飽和結合はそのまま、生成物の有機重合体(D)に含まれることになる。
そのため、前記ヒドロシリル反応によって得られる有機重合体(D)は、ヒドロシリル化反応により導入された架橋性シリル基と、前記内部不飽和結合を共に有することになる。有機重合体(D)が有する架橋性シリル基と内部不飽和結合の比率はヒドロシリル化反応の条件によって変わり得るが、例えばヒドロシリル化触媒として塩化白金酸または白金−ビニルシロキサン錯体を使用した場合には、有機重合体(D)において、末端不飽和結合に対する架橋性シリル基の導入率は、最高でも80%程度であり、残り20%程度は内部不飽和結合が占めることになる。
なお、有機重合体(D)が架橋性シリル基と内部不飽和結合を有するとは、有機重合体(D)の重合体一分子に対し架橋性シリル基と内部不飽和結合が共に結合していることに限定する意図ではなく、多数の分子からなる有機重合体(D)の全体において、重合体に結合した架橋性シリル基と、重合体に結合した内部不飽和結合が含まれていることを意味する。即ち、有機重合体(D)には、架橋性シリル基と内部不飽和結合を共に有する重合体分子だけではなく、例えば、内部不飽和結合を持たず架橋性シリル基のみを有する重合体分子、及び、架橋性シリル基を持たず内部不飽和結合のみを有する重合体分子が含まれ得る。
(内部不飽和結合の水酸基への変換反応)
本発明の製造方法によると、以上のようにして製造された、架橋性シリル基と内部不飽和結合を有する有機重合体(D)に対し、酸を作用させて、前記内部不飽和結合を水酸基に変換する。この反応は、架橋性シリル基の加水分解・縮合反応が実質的に進行しない条件下で実施することが好ましい。
水酸基への変換反応の際に使用する酸としては、特に限定されないが、短時間で反応が進行することから、ブレンステッド酸の強酸が好ましい。このような酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素化合物;硫酸、硝酸;トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などのトリハロ酸;過塩素酸などが挙げられる。また、触媒の除去が容易になる観点から、減圧脱揮によって有機重合体から除去可能な触媒が好ましい。そのため、酸の大気圧下での沸点は150℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下であり、特に好ましくは70℃以下である。高活性であり副反応が少ないという点から、好ましくは塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素化合物であり、特に好ましくは塩化水素である。
酸の使用量は、当業者が適宜設定できるが、使用量が多くなると、反応中に有機重合体の粘度上昇が起こり易く、また、有機重合体から触媒を除去および/または失活させた後も有機重合体の貯蔵中の粘度上昇を引き起こし易い。このため、酸の使用量は少ないほうが好ましく、具体的には、反応系全体に対して500ppm以下であることが好ましく、より好ましくは300ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。
本発明において、有機重合体(D)への酸の添加方法は、特に限定されないが、例えば、液体状および/または固体状の酸を反応系に添加する方法、気体状の酸を反応系に吹き込む方法、反応系中で酸を発生させる方法などが挙げられる。
酸を反応系に添加する時には、酸添加直後の有機重合体(D)の局所的な増粘を抑えるために、酸および/またはその前駆体を有機溶媒などに溶解させて酸濃度を低下させてから添加することが好ましい。有機溶媒などで希釈せずに酸を添加すると、添加直後に酸が高濃度になった箇所で、有機重合体の急激な増粘、すなわちゲル化が発生することがある。この観点から、添加する酸の濃度は、好ましくは5wt%以下であり、より好ましくは2wt%以下であり、さらに好ましくは1wt%以下であり、特に好ましくは0.5wt%以下である。酸を希釈するために使用する有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、ヘキサン、トルエン等の非反応性有機溶媒や、メタノール等のアルコール類が挙げられる。用いる酸と溶媒が共沸組成を形成する場合、減圧脱揮により有機重合体から除去可能な共沸温度を有する溶剤であることが望ましい。
酸を反応系中で発生させる方法の具体例としては、例えば、有機重合体にハロシラン類を共存させておき、酸や溶媒、有機重合体中の微量水分とハロシラン類を反応させてハロゲン化水素を発生させる方法や、メタノールとハロシラン類の反応によりハロゲン化水素を発生させる方法等が挙げられる。ハロシラン類とは、珪素原子にハロゲン官能基が結合した化合物のことをいい、例えば、モノハロトリアルキルシラン類、ジハロジアルキルシラン類、トリハロモノアルキルシラン類等のハロアルキルシラン類等が挙げられるが、これらに限定されない。反応系の粘度上昇や有機重合体の貯蔵中の粘度上昇を抑えるために、加水分解性基が1つであるモノハロトリアルキルシラン類が好ましく、特にモノクロロトリアルキルシランが好ましい。
水酸基への変換反応においては、有機重合体(D)に、別途、有機溶媒を添加することが好ましい。このような別途添加する有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、ヘキサン、トルエン等の非反応性有機溶媒や、メタノール等のアルコール類が挙げられる。中でも、反応系の極性を向上させることで、前記変換反応が促進されることから、メタノール等のアルコール類が好ましく、特にメタノールが好ましい。水酸基への変換反応をメタノールの存在下で実施すると、有機重合体(D)の架橋性シリル基が有する加水分解性基のうち、少なくとも1つがメトキシ基以外の加水分解性基である場合には、該加水分解性基がメトキシ基に変換される反応を伴う。具体的には、有機重合体(D)が架橋性シリル基としてトリエトキシシリル基を有する場合、当該エトキシ基のうち一部が、添加したメタノールの量に従ってメトキシ基に変換される。
別途添加する有機溶媒の使用量は特に限定されず、反応液の粘度や、水酸基への変換反応の反応速度、反応後の溶媒除去の効率等を考慮して適宜決定することができる。例えば、有機重合体(D)100重量部に対して、3〜30重量部程度であってよく、5〜25重量部が好ましく、10〜20重量部がより好ましいが、これらに限定されない。
水酸基への変換反応は、この反応中に有機重合体(D)の架橋性シリル基が損なわれないように、架橋性シリル基の加水分解・縮合反応が実質的に進行しない条件下で実施するのが好ましい。特に、水は、架橋性シリル基の加水分解性基と反応し、反応性の高いシラノール基を生成するため、反応系の粘度上昇や有機重合体の貯蔵中の粘度上昇を引き起こす場合がある。そのため、反応系中の水分量は低減することが望ましい。具体的には、反応系中の水分量は、1,000ppm以下が好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは300ppm以下である。
メタノールは水溶性有機溶媒であるため極めて吸湿しやすく、メタノール中の水分量は容易に増加する。従って、別途添加する有機溶媒としてメタノールを使用する場合、該メタノール中の水分量は、メタノールを添加した後の反応系中の水分量が上記範囲を超えないように設定することが望ましく、具体的には、5,000ppm以下が好ましく、より好ましくは2,000ppm以下であり、さらに好ましくは1,000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。
十分脱水されているメタノールは、そのまま反応系に添加することができるが、脱水が不十分なメタノールを用いる場合、脱水剤を用いて脱水処理を行ってから反応系に添加してもよいし、又は、脱水剤を含ませた反応系に、そのようなメタノールを添加してもよい。使用可能な脱水剤としては特に限定されず、例えば、水分子を吸着するもの(活性アルミナ、モレキュラーシーブなどのゼオライト類、硫酸マグネシウムなどの無機塩類)、水と共沸し脱水効果を示すもの(ヘキサン、トルエン、キシレンなど)、水と化学反応を起こすもの(金属ナトリウムなどの金属、有機リチウム反応剤などの有機金属化合物、酸無水物、酸ハライド、ポリリン酸、5酸化2リンなどのリン化合物、オルト蟻酸メチルエステルなどのオルトエステル化合物、アセタール化合物、メチルシリケートなどの加水分解性基含有珪素化合物など)等が挙げられる。
水酸基への変換反応を実施する際の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がより好ましい。メタノール等の低沸点溶媒を添加する場合、温度を高く設定しすぎると反応系の圧力が上昇して危険であるため、反応系の圧力を考慮しながら適宜温度を設定するのが望ましい。反応時間は、15分以上5時間以下が好ましく、30分以上3時間以下がより好ましい。
水酸基への変換反応を進行させた後には、酸を有機重合体から除去し、及び/又は、酸を失活させることが望ましい。これにより、有機重合体の貯蔵中の粘度上昇を抑制することができる。酸の除去及び/又は失活により、水酸基への変換反応によって得られる有機重合体(E)中の酸の含量は10ppm以下とすることが好ましく、より好ましくは5ppm以下であり、さらに好ましくは2ppm以下であり、特に好ましくは1ppm以下である。酸を有機重合体から除去する方法の具体例としては、減圧脱揮や、加熱により気相部へ揮散した酸蒸気を気相部で失活させる方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
酸を失活させる方法の具体例としては、酸とエポキシ化合物との反応、酸と塩基性化合物との反応等が挙げられるが、これらに限定されない。特に、酸とエポキシ化合物との反応により失活させることが好ましい。
エポキシ化合物の具体例としては、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシドなどの脂肪族エポキシ化合物類、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、バイコロックス10、バイコロックス12、バイコロックス14、バイコロックス16、バイコロックス18(以上いずれもアルケマ社製)などの、炭素数4〜30のエポキシ化αオレフィン類、αピネンオキサイド、リモネンモノオキサイド、リモネンジオキサイドなどのテルペンオキサイド類、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などのエポキシ化植物油類、サンソサイザーE−6000、サンソサイザーE−4030(以上いずれも新日本理化社製)などのエポキシ化脂肪酸エステル類、サンソサイザーE−PS、サンソサイザーE−PO、サンソサイザーnE−PS(以上いずれも新日本理化社製)などの脂環式エポキシ化合物類などが挙げられる。これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。これらのうち、エポキシ化αオレフィン類、エポキシ化植物油類、エポキシ化脂肪酸エステル類、脂環式エポキシ化合物類などの、酸化反応により合成されるエポキシ化合物が、有機重合体の貯蔵中の増粘を抑制する上で好ましい。特に、毒性が低いことから、エポキシ化植物油類が好ましい。
前記エポキシ化合物は、酸の使用量に対して多く用いることが、酸を効率的に失活させるために望ましいが、前記エポキシ化合物の使用量が過剰にすぎると、かえって、有機重合体の貯蔵中の増粘が引き起こされやすくなる。そのため、前記エポキシ化合物の使用量は、酸の使用量に対してエポキシ化合物のオキシラン酸素が100モル等量以下であることが好ましく、より好ましくは50モル等量以下、さらに好ましくは25モル等量以下であり、特に好ましくは10モル等量以下である。
エポキシ化合物を用いて酸を失活させる際の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がより好ましい。反応時間は、15分以上5時間以下が好ましく、30分以上3時間以下がより好ましい。
以上で説明した水酸基への変換反応では、有機重合体(D)が有する架橋性シリル基は維持されたまま、内部不飽和結合が水酸基に変換されるので、架橋性シリル基と内部不飽和結合を有する有機重合体(D)から、架橋性シリル基と水酸基を有する有機重合体(E)が製造されることになる。ここで、架橋性シリル基と水酸基を有する有機重合体(E)とは、有機重合体(D)についての説明と同様、有機重合体(E)の重合体一分子に対し架橋性シリル基と水酸基が共に結合していることに限定する意図ではなく、多数の分子からなる有機重合体(E)の全体において、重合体に結合した架橋性シリル基と、重合体に結合した水酸基が含まれていることを意味する。即ち、有機重合体(E)には、架橋性シリル基と水酸基を共に有する重合体分子だけではなく、例えば、水酸基を持たず架橋性シリル基のみを有する重合体分子、及び、架橋性シリル基を持たず水酸基のみを有する重合体分子が含まれ得る。
(ウレタン化反応)
本発明の製造方法によると、以上のようにして製造された、架橋性シリル基と水酸基を有する有機重合体(E)に対し、一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)を作用させてウレタン結合を形成し、有機重合体に架橋性シリル基を更に導入する。このようなウレタン化反応を用いて架橋性シリル基を導入することによって、最初のヒドロシリル化反応で導入された架橋性シリル基を維持したまま、追加の架橋性シリル基をさらに導入することができる。
一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)としては、有機重合体(E)が有する水酸基とのウレタン化反応が可能なイソシアネート基と、架橋性シリル基を一分子中に併せ有する化合物であれば特に限定されないが、入手性の点で、下記一般式(4):
O=C=N−(CH−SiR 3−d−e (4)
で表される化合物が好ましい。式(4)中、Rは、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。Rは炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である。Yは水酸基または加水分解性基を示す。cは1、2、3のいずれか、dは0、1、2のいずれか、eは1、2、3のいずれかであり、d+e≦3である条件を満たす。R、R、Yのそれぞれについて、それらが複数存在するとき、それらは同じでもよく、異なっていてもよい。R、R、Yの具体例や好ましい基は、それぞれ、上述した一般式(3)中のR、R、Xと同様である。
一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)の具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジエトキシメチルシラン、(イソシアネートメチル)トリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)トリエトキシシラン、(イソシアネーメチル)ジメトキシメチルシラン、(イソシアネートメチル)ジエトキシメチル等が挙げられる。
一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)の使用量は、有機重合体(E)が有する水酸基の量を考慮して適宜決定すればよい。具体的には、有機重合体(E)の水酸基に対する化合物(F)のイソシアネート基のモル比が0.5以上であることが好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。前記モル比が0.5以上であると、有機重合体(A)から得られる硬化物の強度を優れたものとすることができる。化合物(F)の使用量の上限値は特に限定されず、前記モル比は1を超えてもよい。過剰な化合物(F)は、ウレタン化反応後に、減圧脱揮などの処理により除去してもよいし、活性水素基含有化合物等と反応させて他の化合物に変換してもよいし、あるいは、有機重合体(A)中に残存させてもよい。有機重合体(A)中に残存した化合物(F)、又はその誘導体は、シランカップリング剤として作用し得る。
ウレタン化反応は、ウレタン化触媒を使用せずに実施してもよいが、反応速度を向上させたり反応率を向上させる目的で、ウレタン化触媒の存在下で実施してもよい。このようなウレタン化触媒としては、例えば、Polyurethanes: Chemistry and Technology,Part I,Table 30,Chapter 4,Saunders and Frisch,Interscience Publishers,New York,1963に列挙されている触媒など、従来公知のウレタン化触媒を使用できる。具体的には、有機錫化合物、ビスマス化合物、有機アミン等の塩基触媒等が挙げられるが、これらに限定されない。
公知のウレタン化触媒のうち、活性が高い触媒として、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジオレイルマレート、ジブチルスズジブチルマレート、ジブチルスズジラウレート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニルジスタノキサン、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジブチルスズビス(o−フェニルフェノキサイド)、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズビス(トリエトキシシリケート)、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズビス(イソノニル−3−メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチルスズオキサイド、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジバーサテートなどの有機スズ化合物が好ましい。さらに、架橋性シリル基に対して活性の低い触媒が好ましく、この観点から、ジブチルスズビス(イソノニル−3−メルカプトプロピオネート)、ジブチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)などの、硫黄原子を含有するスズ触媒が特に好ましい。
ウレタン化触媒の添加量は当業者が適宜設定できるが、反応活性の点から、有機重合体(E)100重量部に対して1〜1000ppmが好ましく、10〜100ppmがより好ましい。この範囲では、十分な反応活性が得られることに加えて、得られる有機重合体(A)の耐熱性、耐候性、耐加水分解性、又は貯蔵安定性などの物性を良好に保持できる。
ウレタン化反応は、溶媒を使用せずに実施することができるが、有機重合体(E)、化合物(F)、触媒を均一に溶解させる目的で、また、反応系の温度制御や、触媒の添加を容易に実現するため、有機溶媒を添加して実施してもよい。有機溶媒の具体的な種類としては特に限定されず、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の炭化水素化合物類;クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられるが、これらに限定されない。また、フタル酸エステル類やポリエーテル類など、重合体の可塑剤として使用され得る物質を、反応溶媒として用いることもできる。
ウレタン化反応の温度は、当業者が適宜設定できるが、50℃以上120℃以下が好ましく、70℃以上100℃以下がより好ましい。反応時間は、15分以上5時間以下が好ましく、30分以上3時間以下がより好ましい。
(有機重合体(A))
本発明では、以上のように、内部不飽和結合の水酸基への変換反応を挟んで、2度にわたる架橋性シリル基の導入反応(即ち、ヒドロシリル化反応とウレタン化反応)を実施することにより、エーテル結合を介して主鎖骨格に結合した架橋性シリル基と、ウレタン結合を介して主鎖骨格に結合した架橋性シリル基とを有する有機重合体(A)が製造される。本発明の製造方法によると、架橋性シリル基導入率の高い有機重合体(A)を製造することができ、有機重合体(A)が示す、主鎖骨格の末端あたりの架橋性シリル基導入率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上を達成することができる。
有機重合体(A)が有するエーテル結合を介して主鎖骨格に結合した架橋性シリル基と、ウレタン結合を介して主鎖骨格に結合した架橋性シリル基の比率は特に限定されないが、例えば、モル比で99:1〜50:50であってよく、好ましくは98:2〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30である。
ここで、有機重合体(A)がエーテル結合を介して結合した架橋性シリル基と、ウレタン結合を介して結合した架橋性シリル基を共に有するとは、有機重合体(A)の重合体一分子に対し両架橋性シリル基が共に結合していることに限定する意図ではなく、多数の分子からなる有機重合体(A)の全体において、エーテル結合を介して主鎖骨格に結合した架橋性シリル基と、ウレタン結合を介して主鎖骨格に結合した架橋性シリル基が含まれていることを意味する。即ち、有機重合体(A)には、両架橋性シリル基を共に有する重合体分子だけではなく、例えば、ウレタン結合を介して結合した架橋性シリル基を持たずエーテル結合を介して結合した架橋性シリル基のみを有する重合体分子、及び、エーテル結合を介して結合した架橋性シリル基を持たずウレタン結合を介して結合した架橋性シリル基のみを有する重合体分子が含まれ得る。
より具体的に述べると、本発明により製造される有機重合体(A)は、主鎖骨格に結合した、次の一般式(1′)で表される架橋性シリル基含有基と、次の一般式(4′)で表される架橋性シリル基含有基を共に有し得るものである。
−O−CH−C(R)−CH−SiR 3−a−b (1′)
式(1′)中、R、R、R、X、a、bは、一般式(1)及び(3)について上述したものと同じである。)
−O−C(=O)−NH−(CH−SiR 3−d−e (4′)
式(4′)中、R、R、Y、c、d、eは、一般式(4)について上述したものと同じである。)
また、有機重合体(A)は、ヒドロシリル化反応後に、内部不飽和結合の水酸基への変換反応を行って製造されるものであるので、内部不飽和結合を有しないものとすることができる。
有機重合体(A)が有する架橋性シリル基は、上述したように一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)又は一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)を用いて有機重合体に導入することができる。その場合、有機重合体(A)が有する架橋性シリル基の具体的な構造は、化合物(C)及び化合物(F)で説明した架橋性シリル基の構造に準ずる。しかし、本発明の有機重合体(A)は、上記製造方法に限定されるわけではない。
具体的には、有機重合体(A)が有する架橋性シリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2−プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基等が挙げられる。なかでも、ジメトキシメチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基が挙げられ、これらの基は、高い反応性を示し、良好な機械物性を有する硬化物が得られるため好ましい。反応性の観点からは、トリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基がより好ましい。安定性の観点からは、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、トリエトキシシリル基がより好ましく、ジエトキシメチルシリル基、トリエトキシシリル基がさらに好ましい。また、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基は、製造が容易であるためより好ましい。中でも、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が最も好ましい。
<硬化性組成物>
本発明は、有機重合体(A)を含む硬化性組成物を提供することができる。
(シラノール縮合触媒)
本発明の硬化性組成物は、本発明の有機重合体(A)の架橋性シリル基を加水分解・縮合させる反応、即ち硬化反応を促進する目的で、シラノール縮合触媒を含有することが好ましい。
シラノール縮合触媒としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、有機錫化合物、カルボン酸金属塩、アミン化合物、カルボン酸、アルコキシ金属、無機酸等を使用することができる。
有機錫化合物の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビス(エチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジオクチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物などが挙げられる。近年の環境への関心の高まりから、ジオクチル錫化合物が好ましい。
カルボン酸金属塩の具体例としては、カルボン酸錫、カルボン酸ビスマス、カルボン酸チタン、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸鉄、などが挙げられる。カルボン酸基としては下記のカルボン酸と各種金属を組み合わせることができる。
アミン化合物の具体例としては、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、などのアミン類;ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN)、などの含窒素複素環式化合物;グアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類;ブチルビグアニド、1−o−トリルビグアニドや1−フェニルビグアニドなどのビグアニド類;アミノ基含有シランカップリング剤;ケチミン化合物などが挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸などが挙げられる。
アルコキシ金属の具体例としては、テトラブチルチタネートチタンテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)などのチタン化合物や、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物類が挙げられる。
その他のシラノール縮合触媒として、フッ素アニオン含有化合物、光酸発生剤や光塩基発生剤も使用できる。
シラノール縮合触媒は、異なる2種類以上の触媒を併用して使用してもよく、例えば、前記のアミン化合物とカルボン酸を併用することで、反応性が向上する効果が得られる可能性がある。
シラノール縮合触媒の配合量としては、本発明の有機重合体(A)100重量部に対して、0.001〜20重量部が好ましく、更には0.01〜15重量部がより好ましく、0.01〜10重量部が特に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量が0.001重量部を下回ると反応速度が不十分となる可能性がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量が20重量部を上回ると反応速度が速すぎるため組成物の使用可能な時間が短くなることにより作業性が悪くなったり、貯蔵安定性が悪くなる傾向がある。さらに、シラノール縮合触媒の中には、硬化性組成物が硬化した後で、硬化物の表面に染み出したり、硬化物表面を汚染する場合がある。このような場合には、シラノール縮合触媒の使用量を0.01〜3.0重量部とすることで、硬化性を確保しながら、硬化物の表面状態を良好に保てる。
本発明の硬化性組成物は、1分子当たり平均して0.5個以上1.2個未満の架橋性シリル基を有し、本発明の有機重合体(A)よりも、23℃で測定した粘度が低い重合体である反応性希釈剤をさらに含有しても良い。反応性希釈剤を使用することで、組成物の粘度を低減しながら、ブリードアウトを抑制することができる。該反応性希釈剤は、相溶性の観点から、本発明の有機重合体(A)と同じ主鎖骨格を有する重合体であることが好ましい。また、本発明の硬化性組成物は、本発明の有機重合体(A)には該当しない、架橋性シリル基を有する重合体をさらに含有しても良い。そのような重合体としては、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、その他の添加剤として、シリコン化合物、接着性付与剤、可塑剤、溶剤、希釈剤、シリケート、充填剤、タレ防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、物性調整剤、粘着付与樹脂、エポキシ基を含有する化合物、光硬化性物質、酸素硬化性物質、表面性改良剤、エポキシ樹脂、その他の樹脂、難燃剤、発泡剤を添加しても良い。また、本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、防かび剤等が挙げられる。
<<硬化性組成物の調製>>
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途、シラノール縮合触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と有機重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。作業性の点からは、1成分型が好ましい。
前記硬化性組成物が1成分型の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。また、脱水乾燥法に加えてn−プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を添加することにより、さらに貯蔵安定性は向上する。
<用途>
本発明の硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などのシーリング材、接着剤、防水材、塗膜防水材、型取剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材として使用することができる。本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、柔軟性および接着性に優れることから、シーリング材または接着剤として好適に使用することができる。
また本発明の硬化性組成物は、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気・電子部品、装置の電気絶縁材料、音響学的絶縁材料、弾性接着剤、バインダー、コンタクト型接着剤、スプレー型シール材、クラック補修材、タイル張り用接着剤、アスファルト防水材用接着剤、粉体塗料、注型材料、医療用ゴム材料、医療用粘着剤、医療用粘着シート、医療機器シール材、歯科印象材料、食品包装材、サイジングボードなどの外装材の目地用シーリング材、コーティング材、防滑被覆材、緩衝材、プライマー、電磁波遮蔽用導電性材料、熱伝導性材料、ホットメルト材料、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、コンクリート補強材、仮止め用接着剤、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車部品、トラック、バスなど大型車両部品、列車車両用部品、航空機部品、船舶用部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤などの様々な用途に利用可能である。自動車を例にすると、プラスチックカバー、トリム、フランジ、バンパー、ウインドウ取付、内装部材、外装部品などの接着取付など多種多様に使用可能である。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。また、本発明の硬化性組成物は、内装パネル用接着剤、外装パネル用接着剤、タイル張り用接着剤、石材張り用接着剤、天井仕上げ用接着剤、床仕上げ用接着剤、壁仕上げ用接着剤、車両パネル用接着剤、電気・電子・精密機器組立用接着剤、皮革、繊維製品、布地、紙、板およびゴムを結合するための接着剤、反応性後架橋感圧性接着剤、ダイレクトグレージング用シーリング材、複層ガラス用シーリング材、SSG工法用シーリング材、または、建築物のワーキングジョイント用シーリング材、土木用、橋梁用材料としても使用可能である。さらに、粘着テープや粘着シートなどの粘着材料としても使用可能である。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中の数平均分子量は以下の条件で測定したGPC分子量である。
送液システム:東ソー製HLC−8220GPC
カラム:東ソー製TSKgel SuperHシリーズ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
(合成例1)重合体(G−1)
数平均分子量約4,500のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にて、前記ポリオキシプロピレンジオールの約5.2倍(重量基準)のプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が約28,000の水酸基末端ポリオキシプロピレン(G−1)を得た。NMR分析により、重合体(G−1)にはアリルオキシ基末端が含まれ、水酸基末端との合計に対するアリルオキシ基末端の割合は約20%であることがわかった。
(比較例1)重合体(E−1)
重合体(G−1)の水酸基に対して1.2当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して140℃でメタノールを留去した後、1.6当量の3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリルオキシ基に変換し、アリルオキシ基末端ポリオキシプロピレン(B−1)を得た。
次に、重合体(B−1)100重量部に対して、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3質量%のイソプロピルアルコール溶液)45ppmおよびトリエトキシシラン1.5重量部を加え、90℃で4時間反応させて、末端にトリエトキシシリル基と1−プロペニルオキシ基を有するポリオキシプロピレン(D−1)を得た。NMR分析により、重合体(D−1)ではアリルオキシ基末端の残存率が1%未満であり、これ以上トリエトキシシランを添加しても、架橋性シリル基導入率の大幅な向上は見込めないことを確認した。また、同じくNMR分析により、重合体(D−1)では、1−プロペニルオキシ基末端が、重合体(G−1)の水酸基末端とアリルオキシ基末端の合計に対して約20%生成していることを確認した。
続いて、重合体(D−1)100重量部に対して、メタノール15重量部、および0.5wt%の塩化水素メタノール溶液0.36重量部を加え、70℃で1時間反応させた。さらに、エポキシ化大豆油(新日本理化製サンソサイザーE−2000H)0.09重量部を添加し、70℃で1時間撹拌した。その後、メタノールを減圧留去することにより、末端あたりの架橋性シリル基導入率が80%、数平均分子量が28,000の、末端に、主にトリメトキシシリル基を含む架橋性シリル基と水酸基を有するポリオキシプロピレン(E−1)を得た。NMR分析により、重合体(E−1)における1−プロペニルオキシ基末端の消失と、水酸基末端の生成を確認した。
(実施例1)重合体(A−1)
重合体(E−1)100重量部に対して、ジブチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)(日東化成製U−360)50ppm、および3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製SilquestA−Link35)0.57重量部を加え、90℃で1時間反応させることにより、末端あたりの架橋性シリル基導入率が98%、数平均分子量が29,000の、末端に、主にトリメトキシシリル基を含む架橋性シリル基を有するポリオキシプロピレン(A−1)を得た。以上より、重合体(A−1)では、ヒドロシリル化反応において副生した内部不飽和結合(1−プロペニルオキシ基)を利用して架橋性シリル基を追加導入することで、重合体(D−1)及び重合体(E−1)と比べて架橋性シリル基導入率が大幅に向上したことが分かる。
(比較例2)重合体(H−1)
重合体(G−1)100重量部に対して、ジブチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)(日東化成製U−360)50ppm、および3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製SilquestA−Link35)1.78重量部を加え、90℃で1時間反応させることにより、末端あたりの架橋性シリル基導入率が80%、数平均分子量が29,000の、末端にトリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン(H−1)を得た。NMR分析により、末端あたりの水酸基末端の割合が1%未満であり、これ以上3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを添加しても、架橋性シリル基導入率の大幅な向上は見込めないことを確認した。
(合成例2)重合体(G−2)
数平均分子量約4,500のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にて、前記ポリオキシプロピレンジオールの約2.3倍(重量基準)のプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量が約15,000の水酸基末端ポリオキシプロピレン(G−2)を得た。NMR分析により、重合体(G−2)にはアリルオキシ基末端が含まれ、水酸基末端との合計に対するアリルオキシ基末端の割合は約15%であることがわかった。
(比較例3)重合体(D−2)
重合体(G−2)の水酸基に対して1.2当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加して140℃でメタノールを留去した後、1.6当量の3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリルオキシ基に変換し、アリルオキシ基末端ポリオキシプロピレン(B−2)を得た。
次に、重合体(B−2)100重量部に対して、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3質量%のイソプロピルアルコール溶液)36ppmおよび(メトキシメチル)ジメトキシシラン2.4重量部を加え、90℃で2時間反応させることにより、末端あたりの架橋性シリル基導入率が80%、数平均分子量が15,000の、末端に(メトキシメチル)ジメトキシシリル基と1−プロペニルオキシ基を有するポリオキシプロピレン(D−2)を得た。NMR分析により、重合体(D−2)ではアリルオキシ基末端の残存率が1%未満であり、これ以上(メトキシメチル)ジメトキシシランを添加しても、架橋性シリル基導入率の大幅な向上は見込めないことを確認した。また、同じくNMR分析により、重合体(D−2)では、1−プロペニルオキシ基末端が、重合体(G−2)の水酸基末端とアリルオキシ基末端の合計に対して約20%生成していることを確認した。
(実施例2)重合体(A−2)
重合体(D−2)100重量部に対して、メタノール10重量部、および0.5wt%の塩化水素メタノール溶液0.36重量部を加え、70℃で1時間反応させた。次に、エポキシ化大豆油(新日本理化製サンソサイザーE−2000H)0.09重量部を添加し、70℃で1時間撹拌した。その後、メタノールを減圧留去することにより、末端にトリメトキシシリル基と水酸基を有するポリオキシプロピレン(E−2)を得た。NMR分析により、重合体(E−2)における1−プロペニルオキシ基末端の消失と、水酸基末端の生成を確認した。
重合体(E−2)100重量部に対して、ジブチルスズビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)(日東化成製U−360)50ppm、および3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製SilquestA−Link35)重量部を加え、90℃で1時間反応させることにより、末端あたりの架橋性シリル基導入率が98%、数平均分子量が15,000の、末端に(メトキシメチル)ジメトキシシリル基及びトリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン(A−2)を得た。以上より、重合体(A−2)では、ヒドロシリル化反応において副生した内部不飽和結合(1−プロペニルオキシ基)を利用して架橋性シリル基を追加導入することで、重合体(D−2)及び重合体(E−2)と比べて架橋性シリル基導入率が大幅に向上したことが分かる。
<組成物物性の評価方法>
表1及び表2に示した組成に従って、各重合体に対して、充填剤、酸化チタン、可塑剤、タレ防止剤、紫外線吸収剤、及び光安定剤を混合して充分混練した後、3本ペイントロールに通して分散させた。この後、プラネタリーミキサーを用い120℃で2時間減圧脱水を行い、50℃以下に冷却後、脱水剤、接着性付与剤、及び縮合触媒を加え、実質的に水分の存在しない状態で混練した。混練物を減圧脱泡後に防湿性の容器であるカートリッジに密封し、1成分型硬化性組成物を得た。カートリッジ型容器を23℃で1週間貯蔵した後に、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿雰囲気下にて各種試験体を作成し、各種評価を行った。
(評価)
作製した硬化性組成物の硬化性、ダンベル物性、引っ張り剪断強度、及び引き裂き強度を下記の方法にて測定した。その結果も、同じく表1及び表2に示した。
(硬化性)
23℃、相対湿度50%下で、硬化性組成物を厚さ約5mmの型枠にスパチュラを用いて充填し、表面を平面状に整えた時間を硬化開始時間とした。表面をスパチュラで触り、スパチュラに組成物が付着しなくなるまでの時間を皮張り時間として硬化性の測定を行った。
(ダンベル物性)
23℃、相対湿度50%下で、硬化性組成物を3mm厚のシート状型枠に充填した。23℃、相対湿度50%下で3日間硬化させた後、50℃乾燥機内で4日間養生し、シート状硬化物を得た。得られた硬化物をJIS K 6251に従って3号ダンベル型に打ち抜き試験片を得た。得られた試験片を用い、23℃、相対湿度50%下で、オートグラフを用いて引張試験(引張速度200mm/分)を行い、50%伸長時応力、及び破断時応力を測定した。
(引き裂き強度)
23℃、相対湿度50%下で、硬化性組成物を3mm厚のシート状型枠に充填した。23℃、相対湿度50%下で3日間硬化させた後、50℃乾燥機内で4日間養生し、シート状硬化物を得た。得られた硬化物を引き裂き試験用ダンベル型(JIS A型)に打ち抜き、試験片を得た。得られた試験片を用い、23℃、相対湿度50%下で、オートグラフを用いて引張試験(引張速度200mm/分)を行い、破断時応力を測定した。
(せん断強度)
23℃、相対湿度50%下で、被着体としてアルミニウム上板に、接着面積25mm×25mm、厚さ50μmで硬化性組成物を塗布し、オープンタイムを2分取った後、被着体同士を張り合わせた。この張り合わせた時間を開始時間として、23℃、相対湿度50%下で硬化させ、規定時間後にオートグラフを用いて引張試験(引張速度50mm/分)を行い、破断時応力を測定した。
なお、各評価では使用した添加剤は次のとおりである。
(1)脂肪酸処理沈降炭酸カルシウム(白石工業(株))
(2)重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株))
(3)酸化チタン((株)石原産業)
(4)ポリオキシプロピレンジオール、分子量約3000(三井化学(株))
(5)フタル酸ジイソデシル(ジェイプラス(株))
(6)脂肪酸アマイドワックス(楠本化成(株))
(7)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(BASF)
(8)2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール(BASF)
(9)ビニルトリメトキシシラン(Momentive(株))
(10)3−(N−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(Momentive(株))
(11)ジブチル錫ジラウレート(日東化成(株))
(12)N−ブチルベンゼンスルホンアミドの50重量パーセント溶液(日本カーバイド(株))
Figure 2020132732
Figure 2020132732
表1で示した結果より、本発明の製造方法に従って製造された実施例1の重合体を含む組成物は、同等の主鎖骨格を有するものの本発明の要件を満足しない製造方法によって製造された比較例1及び2の重合体を含む組成物と比較して、硬化性の向上(皮張り時間の短縮、せん断強度の立ち上がり時間の加速)、及び硬化物の機械的強度の増大(ダンベル物性の破断時強度と引き裂き強度の増大)を示したことが確認できる。また、同様の結果を、表2で示した実施例2と比較例3からも確認できる。
以上の結果より、本発明の製造方法に従って製造された重合体は、より高活性で、硬化物が高い機械的強度を有する硬化性組成物のベースポリマーとして好適に使用できることが分かる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1):
    −O−CH−C(R)=CH (1)
    (式中、Rは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表される末端不飽和結合を有する有機重合体(B)に、一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)を反応させて、架橋性シリル基と、下記一般式(2):
    −O−CH=C(R)−CH (2)
    (式中、Rは上記と同様)で表される内部不飽和結合を有する有機重合体(D)を得る工程、
    有機重合体(D)に酸を作用させて、前記内部不飽和結合を水酸基に変換し、架橋性シリル基および水酸基を有する有機重合体(E)を得る工程、及び
    有機重合体(E)に、一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)を作用させて、ウレタン結合を介して、架橋性シリル基を更に導入する工程、
    を含む、架橋性シリル基を有する有機重合体(A)の製造方法。
  2. が水素である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 有機重合体(A)の、主鎖骨格の末端あたりの架橋性シリル基導入率が85%以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 一分子中に水素−ケイ素結合および架橋性シリル基を有する化合物(C)が、下記一般式(3):
    H−SiR 3−a−b (3)
    (式中、Rは、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。Rは炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である。Xは水酸基または加水分解性基を示す。aは0、1、2のいずれか、bは1、2、3のいずれかであり、a+b≦3である条件を満たす。R、R、Xのそれぞれについて、それらが複数存在するとき、それらは同じでもよく、異なっていてもよい。)
    で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 一分子中に架橋性シリル基およびイソシアネート基を有する化合物(F)が、下記一般式(4):
    O=C=N−(CH−SiR 3−d−e (4)
    (式中、Rは、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基である。Rは炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である。Yは水酸基または加水分解性基を示す。cは1、2、3のいずれか、dは0、1、2のいずれか、eは1、2、3のいずれかであり、d+e≦3である条件を満たす。R、R、Yのそれぞれについて、それらが複数存在するとき、それらは同じでもよく、異なっていてもよい。)
    で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 有機重合体(A)が、ポリオキシアルキレンから構成される主鎖骨格を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 主鎖骨格と、
    エーテル結合を介して前記主鎖骨格に結合した架橋性シリル基と、
    ウレタン結合を介して前記主鎖骨格に結合した架橋性シリル基とを有し、
    主鎖骨格の末端あたりの架橋性シリル基導入率が85%以上であり、
    下記一般式(2):
    −O−CH=C(R)−CH (2)
    (式中、Rは、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で表される内部不飽和結合を有しない、有機重合体(A)。
  8. 請求項7に記載の有機重合体(A)を含む、硬化性組成物。
  9. 請求項8に記載の硬化性組成物を硬化させた硬化物。
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