以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。以下の説明では、インクジェットプリンタを正面から見たときに、インクジェットプリンタから遠ざかる方を前方、インクジェットプリンタに近づく方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、インクジェットプリンタの設置態様等を限定するものではない。
図1は、一実施形態に係る大判のインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」とする。)10の正面図である。プリンタ10は、ロール状の記録媒体5を前後方向に移動させるとともに、左右方向に移動するキャリッジ20に搭載されたインクヘッド50からインクを吐出することによって、記録媒体5上に画像を印刷する。
記録媒体5は、画像が印刷される対象物である。記録媒体5は特に限定されない。記録媒体5は、例えば、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類であってもよいし、樹脂製やガラス製などの透明なシートであってもよい。金属製やゴム製等のシートであってもよい。また、布帛であってもよい。
図1に示すように、プリンタ10は、キャリッジ20と、キャリッジ移動装置30と、搬送装置40と、インクヘッド50と、キャッピング装置90と、ワイピング装置95と、制御装置100とを備えている。
キャリッジ移動装置30は、ガイドレール31と、ベルト32と、左右のプーリ33aおよび33bと、キャリッジモータ34とを備えている。ガイドレール31には、キャリッジ20が摺動自在に係合している。ガイドレール31は、左右方向に延びている。ガイドレール31は、キャリッジ20の左右方向への移動をガイドする。ベルト32は、キャリッジ20に固定されている。ベルト32は、無端状のベルトである。ベルト32は、ガイドレール31の右側に設けられたプーリ33aおよび左側に設けられたプーリ33bに巻き掛けられている。右側のプーリ33aにはキャリッジモータ34が取り付けられている。キャリッジモータ34は、制御装置100と電気的に接続されている。キャリッジモータ34は、制御装置100によって制御される。キャリッジモータ34が駆動するとプーリ33aが回転し、ベルト32が走行する。それにより、キャリッジ20がガイドレール31に沿って左右方向に移動する。
キャリッジ20の下方には、プラテン12が配置されている。プラテン12は、左右方向に延びている。プラテン12には記録媒体5が載置される。プラテン12上の記録媒体5は、搬送装置40によって前後方向に移動される。搬送装置40は、ピンチローラ41と、グリットローラ42と、フィードモータ43とを備えている。ピンチローラ41はプラテン12の上方に設けられ、記録媒体5を上から押下する。ピンチローラ41は、キャリッジ20より後方に配置されている。プラテン12には、グリットローラ42が設けられている。グリットローラ42は、ピンチローラ41の下方に配置されている。グリットローラ42は、ピンチローラ41と対向する位置に設けられている。グリットローラ42は、フィードモータ43に連結されている。グリットローラ42は、フィードモータ43の駆動力を受けて回転可能に形成されている。フィードモータ43は、制御装置100と電気的に接続されている。フィードモータ43は、制御装置100によって制御される。ピンチローラ41とグリットローラ42との間に記録媒体5が挟まれた状態でグリットローラ42が回転すると、記録媒体5は前後方向に搬送される。
図2は、キャリッジ20の下面の構成を模式的に示す平面図である。図2に示すように、キャリッジ20の下面には、複数のインクヘッド50が設けられている。インクヘッド50は、インクを吐出する部材である。複数のインクヘッド50は、キャリッジ20において左右方向に並んで配置されている。複数のインクヘッド50の下面には、それぞれ、複数のノズル51が形成されている。ノズル51は、インクが吐出される微細な孔である。インクヘッド50の下面は、それぞれ、複数のノズル51が形成されたノズル面50aを構成している。ノズル面50aにおいて、複数のノズル51は前後方向に並んでノズル列を形成している。ここでは、ノズル列は、1つのインクヘッド50につき2列形成されている。ただし、インクヘッド50およびノズル51の配置は上記したものに限定されるわけではない。
図3は、ノズル51周辺の部分断面図である。図3に示すように、ノズル51の近傍には、ケース52と、振動板53と、アクチュエータ54とが設けられている。ケース52は、中空に形成されている。ケース52は、ここでは、上下に配置された2つの部分に仕切られている。ケース52の上方の部分と下方の部分との間には、開口52aが設けられている。ケース52の開口52aよりも下方の部分は、圧力室52bを構成している。ノズル51は、圧力室52bの下壁を上下方向に貫通している。圧力室52bには、インクが収容されている。インク吐出時には、圧力室52bに収容されているインクがノズル51から吐出される。
振動板53は、開口52aを塞ぐように取り付けられている。振動板53はケース52とともに、圧力室52bを区画している。振動板53は、圧力室52bの内側および外側に弾性変形可能な部材である。振動板53は、圧力室52bの容積を増加および減少させるように変形可能に構成されている。振動板53は、典型的には樹脂フィルムである。
圧力室52bの側壁には、インクが流入するインク流入口52cが形成されている。ただし、インク流入口52cは圧力室52bとつながっていればよく、インク流入口52cの位置は何ら限定されない。圧力室52bには、インク流入口52cを通じてインクが供給される。
振動板53の圧力室52bと反対側の面には、アクチュエータ54が当接している。アクチュエータ54は、振動板53を介して、圧力室52bの体積を増減させるように駆動する。これにより、圧力室52bの体積が変化し、圧力室52bの体積の変化によってノズル51からインクが吐出される。アクチュエータ54は、例えば、圧電材料と導電層とが交互に積層された積層体の圧電素子である。アクチュエータ54は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。アクチュエータ54は、制御装置100からの駆動信号を受けると膨張または収縮し、振動板53を圧力室52bの外側または内側に弾性変形させる。
図1に示すように、インクはインク供給システムSSによってインクヘッド50に供給される。図4は、インク供給システムSSおよびキャッピング装置90の構成を示す模式図である。インク供給システムSSは、インクヘッド50にインクを供給するシステムである。ここでは、インク供給システムSSは、ノズル列ごとに設けられている。図4に示すように、インク供給システムSSは、インクカートリッジ60と、インク流路61と、送液ポンプ70と、ダンパ80とを備えている。
インクカートリッジ60は、インクが収容されたインク容器の一例である。インクカートリッジ60は、ここでは、密閉型に構成されている。収容されたインクの劣化等を抑制するためには、インクカートリッジ60は、密閉型に構成されていることが好ましい。1つのインクカートリッジ60には、例えば、プロセスカラーインクおよび特色インクのうちの1つのインクが貯留されている。インクの材料は何ら限定されず、従来からインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。上記インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インクであってもよい。あるいは、水性染料インクや、紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インク等であってもよい。インクカートリッジ60には、例えば、インクが収容された可撓性のパウチが内蔵されている。
インク流路61は、インクカートリッジ60とインクヘッド50とを接続している。インクは、インク流路61を通ってインクカートリッジ60からインクヘッド50に供給される。インク流路61の材質は限定されないが、例えば、可撓性のチューブによって構成されている。
送液ポンプ70は、インク流路61に設けられている。送液ポンプ70は、駆動時にはインクカートリッジ60からインクヘッド50に向かう方向にインクを送るように構成されている。送液ポンプ70は、ここでは、チューブポンプである。ただし、送液ポンプ70の種類は限定されず、例えば、ダイヤフラムポンプなどであってもよい。送液ポンプ70は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
ダンパ80は、インク流路61、より詳しくは、送液ポンプ70とインクヘッド50との間に設けられている。ダンパ80は、インクが一時的に貯留される貯留室を備え、インクの圧力変動を緩和している。また、ダンパ80には、貯留室内のインクの量を検出する検出装置が設けられ、制御装置100は、検出装置が検出する貯留室内のインクの量に基づいて送液ポンプ70の動作を制御している。
図5Aおよび図5Bは、ダンパ80の構成を模式的に示した断面図である。そのうち、図5Aは、ダンパ80の内部の圧力が所定の圧力よりも小さい状態を示している。図5Bは、ダンパ80の内部の圧力が所定の圧力以上の状態を示している。図5Aおよび図5Bに示すように、ダンパ80は、ダンパ本体81と、ダンパ膜82と、内部バネ83と、押圧部材84と、支持バネ85と、フィラー86と、センサ87とを備えている。
ダンパ本体81は中空に形成されている。貯留室81aは、ダンパ本体81の内部に構成されている。貯留室81aには、図示しない流入口と流出口とが形成されている。インクは、流入口を通って貯留室81aに流入し、流出口を通って貯留室81aから流出する。貯留室81aには、インクが一時的に貯留される。
ダンパ本体81には、開口81bが形成されている。ダンパ膜82は、開口81bを覆うように設けられている。貯留室81aは、ダンパ本体81とダンパ膜82とによって区画されている。ダンパ膜82は、例えば、可撓性を有する樹脂製のフィルムによって構成されている。ダンパ膜82は、貯留室81a内の圧力に反応して、貯留室81aの内側および外側に変形可能である。ダンパ膜82は、貯留室81aの内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で取り付けられている。
図5Aおよび図5Bに示すように、貯留室81aの内部には、内部バネ83が設けられている。内部バネ83は、ダンパ膜82の貯留室81a側の面に接触している。内部バネ83は、圧縮された状態で貯留室81aに配置されている。内部バネ83は、ダンパ膜82に向かって弾性力を付与している。
押圧部材84は、ダンパ膜82の貯留室81aとは反対側の面に設けられている。押圧部材84は、内部バネ83に支持されており、ダンパ膜82の撓みとともに、貯留室81aの内側および外側に移動可能である。
フィラー86は、ダンパ本体81の外側に配置されている。フィラー86は、支持バネ85を介してダンパ本体81に支持されている。図5Aおよび図5Bに示すように、フィラー86は、略コの字状に形成されている。フィラー86は、接触部86aと、支持部86bと、被検出部86cとを有している。接触部86aは、伸長方向の中心付近で押圧部材84に対向している。支持部86bは、接触部86aの支持バネ85側の端部から、接触部86aに垂直に延びている。被検出部86cは、接触部86aのセンサ87側の端部から、接触部86aに垂直に延びている。接触部86aには、貯留室81a内部の圧力により押圧部材84が接触し、または離間する。支持部86bは、支持バネ85に支持されている。被検出部86cは、センサ87によって検出される部位である。
図5Aおよび図5Bに示すように、センサ87は、一対の検出部87aと87bとを有し、検出部87aと87bとの間にフィラー86の被検出部86cが位置しているかどうかを検出している。センサ87は、ここでは、非接触式のセンサである。図5Aに示すように、貯留室81aの圧力が所定の圧力を下回っているとき、フィラー86の被検出部86cは検出部87aと87bとの間に位置している。このとき、センサ87は、信号を発するように設定されている。図5Bに示すように、貯留室81aの圧力が大きくなるにしたがって、ダンパ膜82が貯留室81aの外側に撓む。このとき、押圧部材84によって、フィラー86が貯留室81aの外側に押される。それにより、フィラー86は、支持バネ85を軸に回転する。そして、貯留室81aの圧力が所定の圧力より大きくなったとき、フィラー86の被検出部86cは、検出部87aと87bとの間から外れた位置に移動する。このとき、センサ87は、信号を停止するように設定されている。センサ87は、制御装置100に接続されている。制御装置100は、センサ87からの信号を受信している。
ダンパ80のダンパ膜82、内部バネ83、押圧部材84、支持バネ85、フィラー86、およびセンサ87は、貯留室81a内のインクの量を検出する検出装置SDとして機能している。検出装置SDは、貯留室81a内のインクの量を検出するとともに、検出されたインクの量が所定の量を下回った場合には信号を送信するように構成されている。検出装置SDは、ここでは、貯留室81a内のインクの圧力が所定の圧力を下回っているかどうかを検出することによって、貯留室81a内のインクの量が所定の量を下回っているかどうかを検出する。
なお、本実施形態では、検出装置SDは、貯留室81a内のインクの量が所定の量を下回った場合に制御装置100に信号を送信するように設定されているが、検出装置SDの信号発信動作はこれと逆動作であってもよい。「検出装置SDは、貯留室81a内のインクの量が所定の量を下回った場合に信号を送信する」とは、貯留室81a内のインクの量が所定の量を上回っている状態と下回っている状態との間で信号発信動作が切り替わることを意味する。また、本実施形態では、検出装置SDは、貯留室81a内の圧力を検出することによって貯留室81a内のインクの量を検出しているが、例えば、インクの液面高さ等を検出してもよい。「検出装置SDがインクの量を検出する」とは、インクの量を直接に検出する場合も、本実施形態のように、圧力その他のインク量とは別の物理量を介してインクの量を検出する場合も含む。さらに、本実施形態では、検出装置SDは、貯留室81a内のインクの量が所定の量を上回っているか、下回っているかを検出するように構成されていたが、例えば、インク量を連続的に測定できてもよい。その場合、検出装置SDは、例えば、貯留室81a内のインクの圧力を連続的に測定できる圧力センサを備えていてもよい。
制御装置100は、センサ87から信号を受け取ると、送液ポンプ70を駆動させる。送液ポンプ70の駆動により貯留室81a内の圧力が所定の圧力以上になると、センサ87は、信号を停止する。制御装置100は、センサ87からの信号が途切れると、送液ポンプ70を停止させる。この制御により、消費されたインクに対応する量のインクがインクヘッド50に供給される。
図1に示すように、キャリッジ20の可動範囲の右端には、ホームポジションP1が設定されている。ホームポジションP1は、印刷待機時などにキャリッジ20が配置される位置である。ホームポジションP1におけるキャリッジ20の下方には、キャッピング装置90が配置されている。図1および図4に示すように、キャッピング装置90は、キャップ91と、キャップ移動機構92と、吸引ポンプ93とを備えている。
キャップ91は、インクヘッド50に装着可能に構成されている。キャップ91は、インクヘッド50と同数設けられている。1つのインクヘッド50には1つのキャップ91が装着される。キャップ91は、上面が開口した容器状の形状を有している。キャップ91は、ゴム等によって形成されている。インクヘッド50への装着時、キャップ91の上縁がインクヘッド50のノズル面50aに密着される。
複数のキャップ91は、1つのキャップ移動機構92によって支持されている。キャップ移動機構92は、複数のキャップ91をインクヘッド50のノズル面50aに装着し、または離間させる。キャップ移動機構92は、キャップ91を下方から支持して上下方向に移動させる。それにより、キャップ91は、インクヘッド50に装着され、また離間される。キャップ移動機構92は、例えば、図示しない駆動モータを備えている。キャップ移動機構92は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。なお、本実施形態では、キャップ移動機構92は、キャップ91を上下方向に移動させてインクヘッド50に装着したが、例えば、斜めにスライドさせて装着するように構成されていてもよい。
図4に示すように、吸引ポンプ93は、複数のキャップ91に接続されている。吸引ポンプ93は、キャップ91がインクヘッド50に装着された場合にインクヘッド50からインクを吸引する。吸引ポンプ93は、例えば、減圧ポンプである。吸引ポンプ93は、ノズル面50aに密着された状態のキャップ91の内部を減圧することによって、インクヘッド50からインクを吸引する。吸引ポンプ93は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
図1に示すように、ホームポジションP1の左方には、ワイピング装置95が設けられている。ワイピング装置95は、インクヘッド50のノズル面50aを拭うワイピング動作を行う。ワイピング装置95は、ワイパー96と、ワイパー移動機構97とを備えている。
ワイパー96は、平板状に構成されている。ワイパー96は、ここでは、平面部が前後方向を向くように設けられている。ワイパー96は、例えば、ゴムによって形成されている。ワイパー96の上端は、インクヘッド50のノズル面50aよりもわずかに高い位置に設定されている。そこで、インクヘッド50がワイパー96の移動経路に位置している状態で、ワイパー移動機構97がワイパー96を移動させると、ワイパー96は、インクヘッド50のノズル面50aを払拭する。
ワイパー移動機構97は、ワイパー96を前後方向に移動させるように構成されている。ワイパー移動機構97は、例えば、図示しない駆動モータとベルトとを備えている。ワイパー移動機構97は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
図1に示すように、プリンタ10の右端部には、操作パネル200が設けられている。操作パネル200には、機器状態を表示する表示部と、ユーザーによって操作される入力キー等が設けられている。操作パネル200は、制御装置100と接続されている。操作パネル200は、制御装置100に接続された表示装置の一例である。ただし、制御装置100に接続される表示装置は、操作パネル200だけに限定されず、例えば、外部のディスプレイ等でもよい。
図6は、本実施形態に係るプリンタ10のブロック図である。図6に示すように、制御装置100は、キャリッジモータ34と、フィードモータ43と、インクヘッド50のアクチュエータ54と、送液ポンプ70と、キャップ移動機構92と、吸引ポンプ93と、ワイパー移動機構97と、操作パネル200とにそれぞれ電気的に接続されており、それらを制御可能に構成されている。また、制御装置100は、検出装置SDのセンサ87に電気的に接続され、センサ87からの信号を受信している。
制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置とを備えている。なお、制御装置100は必ずしもプリンタ10の内部に設けられている必要はなく、例えば、プリンタ10の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ10と通信可能に接続されたコンピュータ等であってもよい。
図6に示すように、制御装置100は、印刷制御部110と、キャッピング制御部120と、ワイピング制御部130と、インク供給部140と、動作確認部150とを備えている。制御装置100は、その他の処理部を備えていてもよいが、ここでは図示および説明を省略する。
印刷制御部110は、プリンタ10の印刷動作を制御する。印刷制御部110は、キャリッジモータ34を制御してキャリッジ20を左右方向に移動させながら、インクヘッド50からインクを吐出させることにより、記録媒体5の一部に画像を印刷する。印刷制御部110は、さらに、フィードモータ43を制御して記録媒体5を前後方向に移動させることによって、記録媒体5上の印刷位置を移動させる。これらの動作により、記録媒体5上に画像が印刷される。
キャッピング制御部120は、プリンタ10のキャッピング動作およびインク吸引動作を制御する。キャッピング制御部120は、キャップ移動機構92を制御して、キャップ91をインクヘッド50に装着させる。また、印刷時には、キャップ91をインクヘッド50から離間させる。キャッピング制御部120は、また、キャップ91がインクヘッド50に装着された状態で吸引ポンプ93を駆動させ、インクヘッド50からインクを吸引する。インク吸引は、例えば印刷前などの所定の場合に実施される。
ワイピング制御部130は、プリンタ10のワイピング動作を制御する。ワイピング制御部130は、ワイパー移動機構97を制御してワイパー96を前後方向に走行させ、ワイパー96によってインクヘッド50のノズル面50aを払拭する。ワイピングは、例えばインク吸引の後などの所定の場合に実施される。
インク供給部140は、インクヘッド50へのインクの供給を制御している。図6に示すように、インク供給部140は、受信部141と、供給制御部142とを備えている。受信部141は、検出装置SDからの信号を受信するように構成されている。受信部141は、ダンパ80の貯留室81a内のインクの圧力が所定値を下回ったときに信号を受信する。供給制御部142は、受信部141がセンサ87からの信号を受信した場合に、送液ポンプ70を駆動させ、インク流路61、ダンパ80、およびインクヘッド50を含むインク供給システムSSにインクを供給する。供給制御部142は、センサ87からの信号が途切れた場合には、送液ポンプ70を停止させる。これにより、インク供給部140は、インクヘッド50で消費された量に対応する量のインクをインクヘッド50に供給している。また、インク供給システムSSにインクが充填されていない状況(例えば、プリンタ10の使用開始前など)では、供給制御部142は、送液ポンプ70を駆動させて、インク供給システムSSにインクを充填する。この場合も、インク充填の完了は、通常のインクの補充と同様に、検出装置SDからの信号がOFFになったかどうかによって判断される。
動作確認部150は、インク供給システムSS内にインクが充填されていない状態において、インク供給システムSSおよびキャッピング装置90の動作確認を行うように設定されている。インク供給システムSS内にインクが充填されていない状況としては、例えば、プリンタ10の使用開始前やインクカートリッジ60の交換後等が設定されているとよい。ただし、どのような状況を設定するかは特に限定されない。図6に示すように、動作確認部150は、第1送液確認部160と、第2送液確認部170と、吸引確認部180とを備えている。
第1送液確認部160は、インク供給部140によってインク供給システムSS内にインクが充填される前に、インク供給システムSSに異常がないかを確認する。例えば、検出装置SDに故障があり、ダンパ80にインクを供給してもそれを検出しない場合、何らの手当てもしなければ、インクの過剰供給によってインク供給システムSSが破損する危険がある。その場合、例えば、ダンパ80のダンパ膜82が破れ、貯留室81aが破裂する等の問題が起こりうる。第1送液確認部160は、そのような問題を事前に発見するために設けられている。
図6に示すように、第1送液確認部160は、テスト送液部161と、送液量記憶部162と、第1送液診断部163と、第1表示制御部164とを備えている。テスト送液部161は、供給制御部142によるインク充填の前に送液ポンプ70を制御してインクを送るように構成されている。テスト送液は、供給制御部142によるインク充填の前にインク供給システムSSが正常かどうかを確認するための送液である。送液量記憶部162は、テスト送液部161の制御によって送液ポンプ70が送るインクの量の限界値(以下、限界供給量と言う)を記憶している。第1送液診断部163は、テスト送液部161の制御によって送液ポンプ70が送ったインクの量が限界供給量に達しても受信部141が検出装置SDからの信号を受信している場合に第1の送液異常と診断する。上記診断の詳細については後述する。
なお、上記において限界供給量は、送液ポンプ70の送液量として説明したが、これと等価な物理量であれば、他の量でもよい。つまり、例えば、限界供給量は、送液ポンプ70の駆動回数や送液時間等でもよい。ここでの「送液ポンプ70の送液量」は、送液ポンプ70の送液量(体積または重さ)と等価計算可能な他の物理量を含む概念である。
第1表示制御部164は、第1送液診断部163が第1の送液異常と診断した場合に、インクが供給されていない可能性を知らせる表示を表示装置(例えば、操作パネル200)に表示させる。第1表示制御部164は、例えば、ダンパ80へのインクの供給が確認できない旨の表示とともに、インクカートリッジ60の装着状態の確認を促す表示を表示させる。
第2送液確認部170は、第1送液確認部160によって第1の送液異常が発生していると診断された場合に、第1送液確認部160によるものと同様の確認を再実施するように設定されている。図6に示すように、第2送液確認部170は、リセット部171と、再診断部172と、再診断回数記憶部173と、第2送液診断部174と、第2表示制御部175とを備えている。
リセット部171は、第1送液診断部163が第1の異常と診断した後にリセット操作を受け付ける。リセット操作は、例えば、操作パネル200で行われる。リセット操作に先立っては、ユーザーによってインクカートリッジ60の再装着が行われるとよい。リセット操作により、第1送液確認部160による異常確認と同様の確認を再度行う準備が整う。
再診断部172は、リセット操作後に、テスト送液部161および第1送液診断部163に指令して第1の送液異常が発生しているかどうかを再診断させる。再診断回数記憶部173は、リセット操作および再診断についての限界回数を記憶している。第2送液診断部174は、リセット操作および再診断が限界回数に達した場合に第2の送液異常と診断する。限界回数は特に限定されないが、例えば、「2回」である。第2表示制御部175は、第2送液診断部174が第2の送液異常と診断した場合に、検出装置SDに異常が発生している可能性を知らせる表示を表示装置に表示させる。第2表示制御部175は、例えば、再テストにおいてもダンパ80へのインクの供給が確認できない旨の表示とともに、検出装置SDの確認を促す表示を表示させる。
吸引確認部180は、第1送液診断部163または第2送液診断部174によってインク供給システムSSが正常であることが確認された後に、キャッピング装置90に異常がないかどうかを確認する。第1送液診断部163または第2送液診断部174によってインク供給システムSSが正常であることが確認されたことにより、検出装置SDが正常であることは担保されている。よって、吸引確認部180は、検出装置SDを利用してキャッピング装置90の動作確認を行う。
図6に示すように、吸引確認部180は、装着制御部181と、吸引制御部182と、吸引時間記憶部183と、吸引診断部184と、第3表示制御部185とを備えている。装着制御部181は、キャップ移動機構92を制御して、キャップ91をインクヘッド50に装着する。吸引制御部182は、装着制御部181の制御によってキャップ91がインクヘッド50に装着された後に、吸引ポンプ93を制御してインクを吸引する。吸引時間記憶部183は、吸引制御部182の制御によって吸引ポンプ93が吸引を行う限界時間(以下、限界吸引時間と言う)を記憶している。吸引診断部184は、吸引制御部182の制御によって吸引ポンプ93が吸引を行った時間が限界吸引時間に達しても受信部141が検出装置SDからの信号を受信しない場合に吸引異常と診断する。
第3表示制御部185は、吸引診断部184が吸引異常と診断した場合に、キャッピング装置90に異常が発生している可能性を知らせる表示を表示装置に表示させる。第3表示制御部185は、例えば、ダンパ80からインクが排出されていない旨の表示とともに、キャッピング装置90の確認を促す表示を表示させる。
以下では、インク供給システムSSにインクを充填する前に行う一連の動作確認について説明する。図7は、インク供給システムSSにインクを充填する前の動作確認の流れを示すフローチャートである。図8は、インク供給システムSSに異常が認められた場合の再確認の流れを示すフローチャートである。図7のうち、ステップS01〜S06は、最初のインク供給システムSSの確認の各ステップを示している。ステップS01〜S06においてインク供給システムSSに異常が認められなければ、図7に示すように、ステップは、キャッピング装置90の確認の各ステップに進む。キャッピング装置90の確認のステップは、ステップS07〜S13である。
一方、ステップS01〜S06においてインク供給システムSSに異常が認められれば、ステップは、インク供給システムSSの再確認のステップに進む。図8に示すように、インク供給システムSSの再確認のステップは、ステップS14〜S27である。インク供給システムSSの再確認は、ここでは、最大2回行われ、再確認によってインク供給システムSSが正常であると判定された場合には、ステップは、キャッピング装置90の確認のステップ(S07〜S13)に進む。
図7に示すように、ステップS01では、送液ポンプ70が駆動され、インクがテスト供給される。続くステップS02では、検出装置SDからの信号がOFFになったかどうかが確認される。検出装置SDからの信号がOFFになっている場合(「YES」の場合)、ステップS03において、インクのテスト供給が停止される。これは、正常なインク供給の停止である。
ステップS02において検出装置SDからの信号がOFFになっていない場合(「NO」の場合)、ステップS04において、テスト供給(ステップS01)で供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達したかどうかが判定される。なお、実際には、インク量Q1および限界供給量Qmaxは、例えば、供給時間で管理されてもよい。テスト供給によって供給されたインク量Q1がまだ限界供給量Qmaxに達していない場合(「NO」の場合)、図7に示すように、インクのテスト供給は継続する。そして、テスト供給によって供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達する前に検出装置SDからの信号がOFFした場合には、ステップS03により、インクのテスト供給は正常に停止する。ステップS04において、供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達した場合(「YES」の場合)、図7に示すように、インクのテスト供給は停止される(ステップS05)。これは、異常停止である。続くステップS06では、第1の送液異常の表示が表示装置に表示される。
この最初のインク供給システムSSの確認で異常が認められた場合、その原因は、大別して2つある。その1つは、インクが供給されない場合であり、もう1つはインクが供給されているにもかかわらず検出装置SDがそれを検出しない場合である。可能性としては、例えば、インクカートリッジ60の誤装着や残量不足等によりインクが供給されない場合の方が多いと考えられるため、本実施形態のステップS06では、インクが供給されていない可能性を知らせる表示を表示させている。
ステップS03において、インクのテスト供給が正常に終了した場合、ステップは、ステップS07に進む。ステップS07では、キャップ91がインクヘッド50に装着される。続くステップS08では、吸引ポンプ93が駆動され、インクが吸引される。インク吸引が正常に行われた場合、インクヘッド50内のインクは、吸引ポンプ93の吸引力によってインクヘッド50の外部に排出される。それにより、ダンパ80内のインクの圧力が低下し、センサ87がONする。しかし、例えば、キャッピング装置90のインク吸引経路の気密が十分でなかったり、キャップ91とインクヘッド50のノズル面50aとの密着が保たれていなかったり、あるいは、吸引ポンプ93に異常があったりすると、インクヘッド50からのインクの排出速度が遅くなり、センサ87がONする時間が遅くなる。または、センサ87がONしない。
ステップS09では、検出装置SDからの信号がONになったかどうかが確認される。検出装置SDからの信号がONになっている場合(「YES」の場合)、ステップS10において、吸引ポンプ93が停止される。これは、正常な停止である。
ステップS09において検出装置SDからの信号がONになっていない場合(「NO」の場合)、ステップS11において、インク吸引の時間T1が限界時間Tmaxに達したかどうかが判定される。インク吸引時間T1がまだ限界時間Tmaxに達していない場合(「NO」の場合)、図7に示すように、インク吸引は継続する。そして、インク吸引時間T1が限界時間Tmaxに達する前に検出装置SDからの信号がONした場合には、ステップS10により、吸引ポンプ93が正常に停止される。ステップS11において、インク吸引時間T1が限界時間Tmaxに達した場合(「YES」の場合)、図7に示すように、吸引ポンプ93は停止される(ステップS12)。これは、異常停止である。続くステップS13では、吸引異常を示す表示が表示装置に表示される。
このように、本実施形態に係るプリンタ10は、供給制御部142によるインク充填の前に送液ポンプ70を制御してインクを送るテスト送液部161と、テスト送液部161の制御によって送液ポンプ70が送るインクの量の限界値(限界供給量Qmax)を記憶する送液量記憶部162と、テスト送液部161の制御によって送液ポンプ70が送ったインクの量Q1が限界供給量Qmaxに達しても受信部141が検出装置SDからの信号を受信している場合に第1の送液異常と診断する第1送液診断部163とを備えている。それにより、インク供給システムSSにインクが充填される前にインク供給システムSSの異常を発見することができる。
特に、本実施形態に係るプリンタ10によれば、インク供給を検出できないままインクを供給し続けて、インク供給システムSSを破損させる可能性があることをインクの供給前に知ることができる。第1の送液異常には、インクを送液できているにもかかわらず、それを検出できない場合が含まれている。よって、本実施形態に係るプリンタ10によれば、インク供給によってインク供給システムSSを破損させる可能性があることをインクの供給前に知ることができる。
なお、インク供給システムSSにインクを充填した後にも、同様の方法でインク供給システムSSの異常を診断することは可能であり、また、その方が望ましい。ただし、インク供給システムSSにインクが充填される前にインク供給システムSSの異常が診断できると、その時点で対策を行うことが可能である。その結果、プリンタ10の使用中にインク供給システムSSに異常が発生するおそれが低減される利点がある。
また、本実施形態では、プリンタ10は、第1の送液異常を認めた場合には、インクが供給されていない可能性を知らせる表示を表示装置に表示させるように設定されている。第1の送液異常の原因としては、インクの供給を検出できていない可能性よりもインクが供給されていない可能性の方が高いため、かかる構成によれば、より可能性の高い異常原因をユーザーに示唆することができる。そこで、異常原因の調査に係るユーザーの負担を軽減することができる。
さらに、本実施形態に係るプリンタ10は、キャップ91がインクヘッド50に装着された後に、吸引ポンプ93を制御してインクを吸引する吸引制御部182と、吸引制御部182の制御によって吸引ポンプ93が吸引を行う限界時間Tmaxを記憶する吸引時間記憶部183と、吸引制御部182の制御によって吸引ポンプ93が吸引を行った時間T1が限界時間Tmaxに達しても受信部141が検出装置SDからの信号を受信しない場合に吸引異常と診断する吸引診断部184とを備えている。かかる構成によれば、キャッピング装置90によるインク吸引の異常を発見することができる。そこで、インク吸引が正常になされていないインクヘッド50を使用して印刷を行い、その結果、印刷不良を起こすおそれが低減される。
特に本実施形態では、上記キャッピング装置90の動作確認は、検出装置SDが正常に動作していることが確認された後、テスト供給によって供給されたインクを利用して実施されている。従って、キャッピング装置90の動作確認のためにインク供給を行う必要がなく、効率的である。また、検出装置SDが正常に動作していることが確認された後に実施されているため、結果が信頼できる。
また、本実施形態では、プリンタ10は、吸引異常を認めた場合には、キャッピング装置90に異常がある可能性を知らせる表示を表示装置に表示させるように設定されている。よって、ユーザーは、表示によりキャッピング装置90に異常の可能性があることを知ることができる。なお、本実施形態では、検出装置SDが正常に動作していることが確認されているため、異常の原因がキャッピング装置90またはインクヘッド50のノズル面50aにあることはほぼ確実である。そこで、キャッピング装置90またはインクヘッド50のノズル面50aに異常がある旨の表示を表示装置に表示させてもよい。
図8に示すように、ステップS04において第1の送液異常の診断がされた場合(「YES」の場合)、プリンタ10は、インク供給システムSSの再確認を実施する(ステップS14〜S27)。前述したように、第1の送液異常と診断される場合には、インクカートリッジ60の誤装着や残量不足といった軽微な問題が起こっている場合が含まれている。そこで、本実施形態に係るプリンタ10は、インク供給システムSSの再確認を実施し、それでも第1の異常と同じ異常が発生する場合に、インク供給システムSSの異常として第2の送液異常を認定する。ここでは、プリンタ10は、インク供給システムSSの再確認を最大2回実施する。
ステップS14では、リセット操作が行われる。これにより、インク供給システムSSの再診断を行うことが可能となる。ユーザーは、ステップS14に先立ってインクカートリッジ60の再装着や残量確認等を行うとよい。続くステップS15では、ステップS01と同様に、インクのテスト供給が行われる。その後、最初のインク供給システムSSの確認と同様に、ステップS16で検出装置SDからの信号の受信が確認され、受信されない場合(「YES」の場合)には、ステップS17においてインクのテスト供給が停止される(正常停止)。この場合には、ステップは、ステップS07に進む。
ステップS16において検出装置SDからの信号がOFFになっていない場合(「NO」の場合)、ステップS18において、テスト供給(ステップS15)で供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達したかどうかが判定される。テスト供給によって供給されたインク量Q1がまだ限界供給量Qmaxに達していない場合(「NO」の場合)、図8に示すように、インクのテスト供給は継続する。そして、テスト供給によって供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達する前に検出装置SDからの信号がOFFした場合には、ステップS17により、インクのテスト供給は正常に停止する。ステップS18において、供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達した場合(「YES」の場合)、図8に示すように、インクのテスト供給は停止される(ステップS19)。これは、異常停止である。続くステップS20では、第1の送液異常の表示が再び表示装置に表示される。
2回目のインク供給システムSSの再診断(ステップS21〜S27)も、1回目のインク供給システムSSの再診断(ステップS14〜S20)と同様である。よって簡略に説明すると、ステップS21では、リセット操作が行われる。ステップS22では、インクのテスト供給が行われる。ステップS23では、検出装置SDからの信号の受信が確認され、受信されない場合(「YES」の場合)には、ステップS24においてインクのテスト供給が停止される(正常停止)。この場合には、ステップは、ステップS07に進む。ステップS23の結果が「NO」の場合、ステップS25において、テスト供給によって供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達したかどうかが判定される。供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達する前に検出装置SDからの信号がOFFした場合には、インクのテスト供給は正常に停止する(ステップS24)。供給されたインク量Q1が限界供給量Qmaxに達した場合(ステップS25の結果が「YES」の場合)、インクのテスト供給は停止される(ステップS26)。これは、異常停止である。続くステップS27では、第2の送液異常の表示が表示装置に表示される。第2の送液異常の表示は、ここでは、検出装置SDに異常が発生している可能性を知らせる表示である。
このように、本実施形態に係るプリンタ10は、第1送液診断部163が第1の送液異常と診断した後にリセット操作を受け付けるリセット部171と、リセット操作後に、テスト送液部161および第1送液診断部163に指令して、第1の送液異常が発生しているかどうかを再診断させる再診断部172と、リセット操作および再診断についての限界回数を記憶する再診断回数記憶部173と、リセット操作および再診断が限界回数に達した場合に第2の送液異常と診断する第2送液診断部174とを備えている。かかる構成によれば、最初のインク供給システムSSの診断結果が軽微な問題(例えば、インクカートリッジ60の誤装着等)を原因とする場合には、対処後の再診断により正常と診断することができる。また、最初のインク供給システムSSの診断結果が重大な故障(例えば、検出装置SDの故障等)を原因とする場合には、再診断により重大故障であることを確認できる。
また、本実施形態に係るプリンタ10は、第2送液診断部174が第2の送液異常と診断した場合に、検出装置SDに異常が発生している可能性を知らせる表示を表示装置に表示させる。かかる表示によれば、インク供給システムSSの異常のうちでも大きな問題となりやすい検出装置SDの異常の可能性がユーザーに警告される。ユーザーは、これにより重大故障の可能性を認識し、対処を行うことができる。なお、第2の送液異常と診断された場合には、例えば、インク充填が行えないなど、プリンタ10の動作が制限されてもよい。
なお、図7および図8に示された限界供給量Qmaxは、少なくとも、ダンパ80の貯留室81aの容量よりも小さく設定される。本実施形態では、限界供給量Qmaxと、第2送液確認部170によるインク供給システムSSの再確認(ここでは、最大2回)におけるインク供給量の最大値(ここでは、2×Qmax)との合計(3×Qmax)は、ダンパ80の貯留室81aの容量よりも小さく設定されている。かかる設定によれば、インク供給システムSSの異常確認および再確認を最大限に行っても、貯留室81aはインクで満杯にはならない。よって、ダンパ80を破損させることがなく、安全である。ここでは、プリンタ10はインク供給システムSSの再確認を最大2回行うように設定されているが、再確認を行わないように設定されていてもよく、その場合には、限界供給量Qmaxがダンパ80の貯留室81aの容量よりも小さく設定されていればよい。限界供給量Qmaxがそのように設定されていれば、インクのテスト送液によって貯留室81aが満杯になることはなく、安全である。
以上、好適な一実施形態について説明した。しかし、上記の実施形態は例示に過ぎず、ここに開示する技術は他の種々の形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、テスト送液によるインク供給システムSSの確認は、供給制御部142によるインク充填の前に行われていた。しかし、テスト送液によるインク供給システムSSの確認は、供給制御部142によるインク充填の前だけでなく、他の場合、例えば、インク充填後のメンテナンス時等にも行われてよい。テスト送液によるインク供給システムSSの確認を行うタイミングは、特に限定されない。
また、上記実施形態では、インク吸引系統の確認は、インク供給システムSSの確認に引き続いて行われたが、そうでなくてもよい。インク吸引系統の確認は、インク供給システムSSの確認とは別に行われてもよい。例えば、インク吸引系統の確認は、メンテナンスとしてのインク吸引の度に行われてもよい。インク吸引系統の確認のタイミングは、特に限定されない。
さらに、本実施形態では、インク供給システムSSの異常確認における限界供給量と、再確認における限界供給量とは同じであったが、同じでなくともよい。ダンパ80内の積算のインク量は、インク供給システムSSの異常確認の度に増加する。よって、例えば、最初のインク供給システムSSの確認における限界供給量よりも1回目の再確認における限界供給量の方が小さく、1回目の再確認における限界供給量よりも2回目の再確認における限界供給量の方が小さくてもよい。再確認の最大回数も特に限定されず、各再確認における限界供給量をどのように設定するかも限定されない。
インク供給システムの構成は、上記したものに限定されない。インク供給システムには、他の部材、例えば、バルブや循環流路などが適宜に追加されてもよく、一部の部材が削除されてもよい。
その他、インクジェットプリンタの構成については、特に言及がない限りにおいて限定されない。例えば、ここに開示する技術は、フラットベッドタイプのインクジェットプリンタなどに対しても利用できる。また、例えば、カッティングヘッド付きインクジェットプリンタなどのように、その一部にインクジェットプリンタが組み込まれた装置にも利用できる。