JP2020129497A - 非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
また、リチウム電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料等が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を用いたリチウム電池が広く実用化されている。コークスや黒鉛等の炭素材料はリチウム金属と同等の極めて卑な電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有している。負極上で電解液中の溶媒が還元分解すると、分解物の沈着や、ガス発生により、リチウムイオンの移動が妨げられ、高温保存特性等の電池特性を低下させる問題がある。
リチウム電池の正極としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。正極活物質中の重金属は、高温充電保存時に電解液中に溶出する場合がある。溶出した金属が負極上に再析出すると、電池容量の著しい劣化や非水電解液の分解による発生ガス量及び抵抗の増大などの問題が生じ、大きな課題である。
本発明の非水電解液に含まれる化合物は、下記一般式(I)で表される。
高温で蓄電デバイスを保存した場合の容量劣化の要因のひとつとして、非水電解液中に含有されるリチウム塩が高温によって分解し、生じた酸が正極活物質中のコバルト、ニッケル、マンガンなどを代表とする重金属を溶出させる。溶出した重金属は負極上で還元され、不安定なSEIを形成し、保存後の容量劣化やガス発生、抵抗増加をもたらす。特にマンガンは、コバルト、ニッケルと比較して溶出量が多くなる傾向があり、電池性能が劣化し易い。本発明の一般式(I)の化合物は、塩基としての役割を有しかつ、置換基が小さい特徴をもつことから、リチウム塩が分解して発生した酸を特異的にトラップし、金属溶出を抑制する効果を有する。加えて、本発明の一般式(I)の化合物は、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物の少なくとも1種と組み合わせることで、負極上に特異的且つ良好なSEIを形成することができ、更なる電池特性を改善させると考えられる。
まず本明細書において、「溶媒」とは溶質を溶解するための物質を示す。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。高温での電気化学特性が相乗的に向上するため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることがより好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが特に好ましい。
さらに、「鎖状カーボネート」とは炭酸直鎖アルキル化合物であるものと定義する。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(J)の化合物が挙げられる。
前記リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも1種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPO2F2やLi2PO3F等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSO3Liから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられ、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO2F2、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、及びFSO3Liから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4等の無機リチウム塩、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPF6を用いることがもっとも好ましい。電解質塩のそれぞれの濃度は、前記の非水電解液全量に対して、通常4質量%以上であることが好ましく、9質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。またその上限は、非水電解液全量に対して28質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩は1種で使用しても十分な性能を発揮するが、電解質塩を組み合わせることで更に電池特性を向上させる。好適な組み合わせとしては、LiPF6を含み、更にLiBF4、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2F)2〔LiFSI〕から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPF6を含み、更にLiN(SO2F)2〔LiFSI〕が非水電解液中に含まれることがより好ましい。LiPF6以外のリチウム塩が非水電解液全量に占めるそれぞれの割合は特に限定されないが、0.01質量%以上であると、高温充電保存特性を向上させる。さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは非水電解液全量に対して0.3質量%以上、最も好ましくは1質量%以上である。高温充電保存特性を低下させる上限としては、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)で表される化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、マンガンあるいは、マンガンを含有し、コバルト、及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記正極活物質のマンガンを含有するリチウム複合金属酸化物のマンガンサイトの一部が多元素で置換されていても良く、マンガンサイトを置換する他元素は例えばNi、Sn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Co、Liなどが挙げられる。
具体的な正極活物質としてLiMn1.5Ni0.5O4、LiMn2O4、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2、及びLiNi0.8Mn0.1Co0.1O2等が好適に挙げられ、特にLiMn1.5Ni0.5O4、又はLiMn2O4を用いることが好ましく、特にLiMn2O4を用いることが好ましい。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは、3g/cm3以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm3以上である。なお、上限としては、4g/cm3以下が好ましい。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm3以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量の改善と、充電保存特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、高温充電保存特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって高温充電保存特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では高温充電保存特性が良好となる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。なお、上限としては、2g/cm3以下が好ましい。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層または積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
第3の蓄電デバイスは、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
第4の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6などのリチウム塩が含まれる。
LiMn2O4;90質量%、炭素系導電剤;6質量%、を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);4質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、矩形の正極シートを作製した。また、天然黒鉛(負極活物質);98質量%と、カルボキシメチルセルロース(増粘剤);1質量%、スチレンブタジエンゴム(結着剤);1質量%を水に溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
ただし、表1に記載の非水電解液の組成は、一般式(I)で表される化合物を除いた組成である。また、電解質塩の濃度の単位Mはmol/Lを示す。
ちなみに、表1に記載の基準電解液の質量比で示した組成は、ECが30.1質量%、MECが53.7質量%、LiPF6が8.6質量%、LiFSIが7.6質量%となる。
上記の方法で作製した電池を用いて45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.7Vで3サイクル充放電を行った。前記3サイクルの充放電までを当明細書では前処理と定義する。45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流値で1時間充電を行い、60℃の恒温槽中で20日間静置した後、45℃の恒温槽中で0.2Cの定電流下終止電圧2.7Vまで放電した。前記45℃条件下での0.2C定電流1時間充電から60℃での静置、45℃条件の放電までを当明細書では高温保存試験と定義する。高温充電保存後の回復率、残存容量、ガス発生量を表1に示す。回復率(%)は下記の式にて算出した。
回復率(%)=(高温保存試験後の放電容量/高温保存試験前の放電容量)×100
上記式での放電容量とは、高温保存試験前後に45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.7Vで充放電を行なったときの放電容量である。
表1記載の残存容量は恒温保存試験の45℃条件の放電容量を相対比較した値であり、比較例1の放電容量を100%とした。
表1記載のガス発生量は高温保存試験後のガス量をアルキメデス法で測定し、比較例1で発生したガス量を100%としたときの相対値である。
Claims (6)
- 前記炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物がビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートである請求項1に記載の非水電解液。
- 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が請求項1又は2に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
- 前記正極の活物質がリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイス。
- 前記リチウム遷移金属酸化物が、マンガンを含有するリチウム遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の蓄電デバイス。
- 前記マンガンを含有するリチウム遷移複合金属酸化物がスピネル型リチウムマンガン複合酸化物である請求項5に記載の蓄電デバイス。
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