JP2020129497A - 非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents

非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、蓄電デバイスの高温充電保存特性を大幅に向上させることが可能な非水電解液、及びそれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。【解決手段】 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるピリジン化合物を前記非水電解液の全質量のうち0.01質量%〜1質量%含有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物の少なくとも1種の化合物を前記非水電解液の全質量のうち0.1質量%〜10質量%含有する非水電解液。(式中R1〜R5はそれぞれ独立しており、水素原子又はメチル基のいずれかを示す。)【選択図】 なし

Description

本発明は、電気化学特性、特に高温充電保存時における容量低下の抑制が可能な非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイスに関する。
近年、蓄電デバイス、特にリチウム電池は、携帯電話やノート型パソコン等の小型電子機器、電気自動車や電力貯蔵用として広く使用されている。尚、本明細書において、リチウム電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
リチウム電池は、主にリチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩と非水溶媒からなる非水電解液から構成され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が使用されている。
また、リチウム電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料等が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を用いたリチウム電池が広く実用化されている。コークスや黒鉛等の炭素材料はリチウム金属と同等の極めて卑な電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有している。負極上で電解液中の溶媒が還元分解すると、分解物の沈着や、ガス発生により、リチウムイオンの移動が妨げられ、高温保存特性等の電池特性を低下させる問題がある。
リチウム電池の正極としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。正極活物質中の重金属は、高温充電保存時に電解液中に溶出する場合がある。溶出した金属が負極上に再析出すると、電池容量の著しい劣化や非水電解液の分解による発生ガス量及び抵抗の増大などの問題が生じ、大きな課題である。
特許文献1には、有機溶媒、リチウム塩、及びピリジン又はピリジン誘導体を含有する非水電解液が提案されており、炭素材料負極を使用したリチウム電池において、充放電サイクル特性を向上させることが報告されている。
特許文献2には、有機溶媒、リチウム塩、及び炭素数2以上のアルキル基を官能基として有するピリジン誘導体を含有する非水電解液が提案されており、高温での電池保存特性の向上が報告されている。しかしながら、特許文献1に記載の非水電解液を適用したリチウム電池には高温での電池保存特性向上については記載されていない。加えて、特許文献1や特許文献2に記載の非水電解液を適用したリチウム電池では十分に高温保存後の電池劣化を抑制することは出来ない。
特開1995−105977号 特開2002−193462号
本発明は、蓄電デバイスの高温充電保存特性を大幅に向上させることが可能な非水電解液、及びそれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、高温保存時に正極活物質中の重金属が溶出し、負極側で再析出することで著しく電池容量が劣化する問題に着目し、前記課題を解決するために研究を重ね、ピリジン又はピリジン誘導体を含有する非水電解液が保存後の容量劣化を抑制できることを見出した。更なる鋭意研究を重ねた結果、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物の少なくとも1種の化合物を前記非水電解液と組み合わせることで特異的な被膜を形成することにより更なる保存特性を向上できることを見出した。
本発明は、非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイスに関する。
すなわち、本発明は、下記(1)から(6)を提供するものである。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるピリジン化合物を前記非水電解液の全質量中に0.01質量%〜1質量%含有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物の少なくとも1種の化合物を前記非水電解液の全質量中に0.1質量%〜10質量%含有する非水電解液。
Figure 2020129497
(式中R〜Rはそれぞれ独立しており、水素原子又はメチル基のいずれかを示す。)
(2)前記炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物がビニレンカーボネート(VC)又はビニルエチレンカーボネート(VEC)である前記(1)に記載の非水電解液。
(3)正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が前記(1)又は(2)に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
(4)前記正極の活物質がリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする前記(3)に記載の蓄電デバイス。
(5)リチウム遷移金属酸化物が、マンガンを含有するリチウム遷移複合金属酸化物であることを特徴とする前記(4)に記載の蓄電デバイス。
(6)前記マンガンを含有するリチウム遷移複合金属酸化物がスピネル型リチウムマンガン複合酸化物である前記(5)に記載の蓄電デバイス。
本発明によれば、蓄電デバイスの高温充電保存後の電池容量と電池特性の低下を抑制できる非水電解液及び、それを用いたリチウム電池等の蓄電デバイスを提供することができる。
本発明は、非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイスに関する。
〔非水電解液〕
本発明の非水電解液に含まれる化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2020129497
(式中R〜Rはそれぞれ独立しており、水素原子又はメチル基のいずれかを示す。)
前記一般式(I)においてRからRのいずれかひとつがメチル基であり、その他残りのRが水素原子である化合物が好適に挙げられる。その中でも、R又はRのいずれかひとつがメチル基であり、その他残りのRが水素原子である化合物がより好ましい。
一般式(I)としては、具体的に以下の化合物が好適に挙げられる。
Figure 2020129497

















高温保存特性をより向上させるため、上記化合物の中でも好ましくは、ピリジン(構造式1)、2−メチルピリジン(構造式2)、3−メチルピリジン(構造式3)、4−メチルピリジン(構造式4)又は2,6−ルチジン(構造式5)であり、より好ましくは2−メチルピリジン(構造式2)、3−メチルピリジン(構造式3)又は4−メチルピリジン(構造式4)であり、特に好ましくは、3−メチルピリジン(構造式3)である。
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、前記一般式(I)で表される化合物のうち少なくとも1種以上と、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物のうち少なくとも1種以上とを非水電解液中に含有することを特徴とする。
本発明の非水電解液に含まれる、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物としては具体的に、ビニレンカーボネート(VC)及びビニルエチレンカーボネート(VEC)、より選ばれる1種又は2種が好適に挙げられ、より好ましくはビニレンカーボネート(VC)が高温保存特性をより向上させるため挙げられる。
本発明の非水電解液が、蓄電デバイスの高温充電保存特性を向上させる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
高温で蓄電デバイスを保存した場合の容量劣化の要因のひとつとして、非水電解液中に含有されるリチウム塩が高温によって分解し、生じた酸が正極活物質中のコバルト、ニッケル、マンガンなどを代表とする重金属を溶出させる。溶出した重金属は負極上で還元され、不安定なSEIを形成し、保存後の容量劣化やガス発生、抵抗増加をもたらす。特にマンガンは、コバルト、ニッケルと比較して溶出量が多くなる傾向があり、電池性能が劣化し易い。本発明の一般式(I)の化合物は、塩基としての役割を有しかつ、置換基が小さい特徴をもつことから、リチウム塩が分解して発生した酸を特異的にトラップし、金属溶出を抑制する効果を有する。加えて、本発明の一般式(I)の化合物は、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物の少なくとも1種と組み合わせることで、負極上に特異的且つ良好なSEIを形成することができ、更なる電池特性を改善させると考えられる。
本発明の非水電解液において、前記一般式(I)で表される化合物のそれぞれの含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは1質量%以下、より好ましく0.5質量%以下である。一般式(I)で表される化合物は濃度が高すぎる場合は非水電解液溶媒の分解をより促進させる効果がある。当該濃度範囲であれば十分に高温保存特性を発揮しかつ、非水電解液溶媒の分解による容量劣化の影響がより小さい。
本発明の非水電解液において、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
本発明の非水電解液において、以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、高温充電保存後の電池容量の低下を抑制する効果が相乗的に向上する。
〔非水溶媒〕
まず本明細書において、「溶媒」とは溶質を溶解するための物質を示す。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。高温での電気化学特性が相乗的に向上するため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることがより好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが特に好ましい。
なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネート及び鎖状カルボン酸エステルを含む概念として用いる。
さらに、「鎖状カーボネート」とは炭酸直鎖アルキル化合物であるものと定義する。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランスもしくはシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(EEC)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられ、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(EEC)からなる群より選ばれる1種又は2種以上がより好適である。
前記環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できるので好ましい。
また、前記フッ素原子を有する環状カーボネートのうち少なくとも1種を使用すると高温充電保存特性をより向上させることができ、ガス発生をより抑制できるので好ましい。フッ素原子を有する環状カーボネートとしては、FEC又はDFECが更に好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、また、その上限としては、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに20質量%以下であり、最も好ましくは15質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できるので好ましい。
これらの溶媒は1種類で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用した場合は、高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できるので好ましく、3種類以上を組み合わせて使用することが特に好ましい。これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとFEC、PCとFEC、FECとDFEC、ECとDFEC、PCとDFEC、ECとEEC、ECとPCとFEC、又はECとEECとFEC等が好ましい。前記の組合せのうち、ECとFEC、PCとFEC、ECとPCとFEC、又はECとEECとFEC等の組合せがより好ましい。
鎖状エステルとしては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルブチルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、及びジブチルカーボネートからなる群より選ばれる1種又は2種以上の対称鎖状カーボネート、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、ピバリン酸プロピル等のピバリン酸エステル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酢酸メチル、及び酢酸エチル(EA)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の鎖状カルボン酸エステルが好適に挙げられる。
前記鎖状エステルの中でも、電気伝導度が高いことや、溶媒の分解による高温充電保存特性が低下するおそれが少ないため、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸メチル、及び酢酸エチル(EA)からなる群より選ばれるメチル基を有する鎖状エステルが好ましく、特にメチル基を有する鎖状カーボネートが好ましい。
本発明の非水電解液に用いる非水溶媒における鎖状エステルの含有量は、特に制限されないが、非水電解液全量に対して、5〜90質量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が5質量%以上であれば非水電解液の粘度が高くなりすぎず、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。また、該含有量が90質量%以下であれば非水電解液の電気伝導度が低下して高温充電保存特性が低下するおそれが少ないので上記範囲であることが好ましい。
環状カーボネートと鎖状エステルの割合は、高温下での電気化学特性向上の観点から、環状カーボネート:鎖状エステル(質量比)が10:90〜50:50が好ましく、30:70〜40:60がさらに好ましい。
その他の非水溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン及び1,2−ジブトキシエタン等の鎖状エーテル、ジメチルホルムアミド等のアミド及びスルホラン等のスルホン、並びにγ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン及びα−アンゲリカラクトン等のラクトンから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
上記その他の非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せは、例えば、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せ又は環状カーボネートと鎖状エステルとエーテルとの組合せ等が好適に挙げられ、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せがより好ましく、ラクトンの中でもγ−ブチロラクトン(GBL)を用いると更に好ましい。
その他の非水溶媒の含有量は、非水電解液全量に対して、通常1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、また通常40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。当該濃度範囲中であれば電気伝導度が低下することや、溶媒の分解による高温充電保存特性が低下するおそれが少ない。
一段と高温充電保存特性を向上させ、ガス発生を抑制する目的で、非水電解液中にさらにその他の添加剤を加えることが好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(J)の化合物が挙げられる。
(A)アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、及びセバコニトリルから選ばれる1種又は2種以上のニトリル。
(B)シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、又は1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン等の分枝アルキル基を有する芳香族化合物や、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、フルオロベンゼン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、又はジフェニルカーボネート等の芳香族化合物。
(C)メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種又は2種以上のイソシアネート化合物。
(D)2−プロピニル メチル カーボネート、酢酸 2−プロピニル、ギ酸 2−プロピニル、メタクリル酸 2−プロピニル、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジホルメートから選ばれる1種又は2種以上の三重結合含有化合物。
(E)1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、もしくは2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート等のスルトン、エチレンサルファイト等の環状サルファイト、エチレンサルフェート等の環状サルフェート、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、もしくはメチレンメタンジスルホネート等のスルホン酸エステル、及びジビニルスルホン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、もしくはビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホン化合物から選ばれる1種又は2種以上のS=O基含有化合物。
(F)環状アセタール化合物としては、分子内に「アセタール基」を有する化合物であれば、その種類は特に限定されない。その具体例としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、又は1,3,5−トリオキサン等の環状アセタール化合物。
(G)リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、エチル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、及び2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートから選ばれる1種又は2種以上のリン含有化合物。
(H)カルボン酸無水物としては、分子内に「C(=O)−O−C(=O)基」を有する化合物であれば特にその種類は限定されない。その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸等の鎖状のカルボン酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、3−アリル無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、又は3−スルホ−プロピオン酸無水物等の環状酸無水物。
(J)ホスファゼン化合物としては、分子内に「N=P−N基」を有する化合物であれば、その種類は特に限定されない。その具体例としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はエトキシヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物。
上記の中でも、(A)ニトリル、(B)芳香族化合物、及び(C)イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種以上を含むと一段と高温での電気化学特性が向上するので好ましい。
(A)ニトリルの中では、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、及びピメロニトリルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
(B)芳香族化合物の中では、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、及びtert−アミルベンゼンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、ビフェニル、o−ターフェニル、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びtert−アミルベンゼンから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
(C)イソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
前記(A)〜(C)の化合物の含有量は、非水電解液全量に対して0.01〜7質量%であることが好ましい。この範囲では、被膜が厚くなり過ぎずに十分に形成され、高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できる。該含有量は、非水電解液全量に対して0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、その上限は、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
また、(D)三重結合含有化合物、(E)スルトン、環状サルファイト、スルホン酸エステル、ビニルスルホンから選ばれる環状又は鎖状のS=O基含有化合物、(F)環状アセタール化合物、(G)リン含有化合物、(H)環状酸無水物、及び(J)環状ホスファゼン化合物を含むと高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できるので好ましい。
(D)三重結合含有化合物としては、2−プロピニル メチル カーボネート、メタクリル酸 2−プロピニル、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
(E)スルトン、環状サルファイト、環状サルフェート、スルホン酸エステル、及びビニルスルホンから選ばれる環状又は鎖状のS=O基含有化合物(但し、三重結合含有化合物、及び前記一般式のいずれかで表される特定の化合物は含まない)を用いることが好ましい。
前記環状のS=O基含有化合物としては、1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、メチレン メタンジスルホネート、エチレンサルファイト、及びエチレンサルフェートから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
また、鎖状のS=O基含有化合物としては、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、ジメチル メタンジスルホネート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、ジビニルスルホン、及びビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
前記環状又は鎖状のS=O基含有化合物の中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、エチレンサルフェート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、及びジビニルスルホンから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
(F)環状アセタール化合物としては、1,3−ジオキソラン、又は1,3−ジオキサンが好ましく、1,3−ジオキサンが更に好ましい。
(G)リン含有化合物としては、エチル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、又は2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートが好ましく、2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートが更に好ましい。
(H)環状酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、又は3−アリル無水コハク酸が好ましく、無水コハク酸又は3−アリル無水コハク酸が更に好ましい。
(J)環状ホスファゼン化合物としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はフェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物が好ましく、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンが更に好ましい。
前記(D)〜(J)の化合物のそれぞれの含有量は、非水電解液全量に対して0.001〜5質量%であることが好ましい。この範囲では、被膜が厚くなり過ぎずに十分に形成され、一段と高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できる。該含有量は、非水電解液全量に対して0.01質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、その上限は、非水電解液全量に対して3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
また、一段と高温での電気化学特性を向上させる目的で、非水電解液中にさらに、シュウ酸骨格を有するリチウム塩、リン酸骨格を有するリチウム塩及びS=O基を有するリチウム塩の中から選ばれる1種以上のリチウム塩を含むことが好ましい。
前記リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも1種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPOやLiPOF等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSOLiから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられ、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、及びFSOLiから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
前記リチウム塩が非水電解液中に占めるそれぞれの割合は、非水電解液全量に対して0.01質量%以上8質量%以下である場合が好ましい。この範囲にあると一段と高温充電保存特性を向上させることができ、ガス発生を抑制できる。好ましくは非水電解液全量に対して0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上である。その上限は、更に好ましくは非水電解液全量に対して6質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
(電解質塩)
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等の無機リチウム塩、LiN(SOF)〔LiFSI〕、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF(SONLi、(CF(SONLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SO、及びLiN(SOF)〔LiFSI〕から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPFを用いることがもっとも好ましい。電解質塩のそれぞれの濃度は、前記の非水電解液全量に対して、通常4質量%以上であることが好ましく、9質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。またその上限は、非水電解液全量に対して28質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩は1種で使用しても十分な性能を発揮するが、電解質塩を組み合わせることで更に電池特性を向上させる。好適な組み合わせとしては、LiPFを含み、更にLiBF、LiN(SOCF、及びLiN(SOF)〔LiFSI〕から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPFを含み、更にLiN(SOF)〔LiFSI〕が非水電解液中に含まれることがより好ましい。LiPF以外のリチウム塩が非水電解液全量に占めるそれぞれの割合は特に限定されないが、0.01質量%以上であると、高温充電保存特性を向上させる。さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは非水電解液全量に対して0.3質量%以上、最も好ましくは1質量%以上である。高温充電保存特性を低下させる上限としては、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。
〔非水電解液の製造〕
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)で表される化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の非水電解液は、下記の第1〜第4の蓄電デバイスに使用することができ、非水電解質として、液体状のものだけでなくゲル化されているものも使用し得る。更に本発明の非水電解液は固体高分子電解質用としても使用できる。中でも電解質塩にリチウム塩を使用する第1の蓄電デバイス用(即ち、リチウム電池用)または第4の蓄電デバイス用(即ち、リチウムイオンキャパシタ用)として用いることが好ましく、リチウム電池用として用いることが更に好ましく、リチウム二次電池用として用いることが最も適している。
〔第1の蓄電デバイス(リチウム電池)〕
本明細書においてリチウム電池とは、リチウム一次電池及びリチウム二次電池の総称である。また、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。本発明の蓄電デバイスであるリチウム電池は正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなり、前記正極の正極活物質はマンガンを含有するリチウム複合金属酸化物であれば特に制限なく使用できるが、特にスピネル型のリチウム複合金属酸化物であればより電気化学特性低下を抑制する。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、マンガンあるいは、マンガンを含有し、コバルト、及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記正極活物質のマンガンを含有するリチウム複合金属酸化物のマンガンサイトの一部が多元素で置換されていても良く、マンガンサイトを置換する他元素は例えばNi、Sn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Co、Liなどが挙げられる。
具体的な正極活物質としてLiMn1.5Ni0.54、LiMn、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、及びLiNi0.8Mn0.1Co0.1等が好適に挙げられ、特にLiMn1.5Ni0.54、又はLiMnを用いることが好ましく、特にLiMnを用いることが好ましい。
正極の導電剤は、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。また、グラファイトとカーボンブラックを適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10質量%が好ましく、特に2〜5質量%が好ましい。
正極は、前記の正極活物質をアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレンプロピレンジエンターポリマー等の結着剤と混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶剤を加えて混練して正極合剤とした後、この正極合剤を集電体のアルミニウム箔やステンレス製のラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm以上であり、より好ましくは、3g/cm以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm以上である。なお、上限としては、4g/cm以下が好ましい。
リチウム二次電池用負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金、及びリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料〔易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm(ナノメータ)以上の難黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛など〕、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、LiTi12などのチタン酸リチウム化合物等を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量の改善と、充電保存特性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、高温充電保存特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって高温充電保存特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では高温充電保存特性が良好となる。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する化合物が挙げられる。これらの金属化合物は単体、合金、酸化物、窒化物、硫化物、硼化物、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよいが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金の何れかが高容量化できるので好ましい。中でも、Si、Ge及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましく、Si及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが電池を高容量化できるので特に好ましい。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能なチタン原子を含有する金属酸化物が挙げられる。これらのチタンを含有する金属酸化物は充放電時の膨張収縮が小さく、難燃性であるため、電池の安全性を高める面では好ましい。中でも、LiTi12を含有するものが電池特性を向上させるため好ましい。
負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下加熱処理することにより作製することができる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm以上であり、特に好ましくは1.7g/cm以上である。なお、上限としては、2g/cm以下が好ましい。
また、リチウム一次電池用の負極活物質としては、リチウム金属又はリチウム合金が挙げられる。
リチウム電池の構造には特に限定はなく、単層または複層のセパレータを有するコイン型電池、円筒型電池、角型電池、ラミネート電池等を適用できる。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層または積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
〔第2の蓄電デバイス(電気二重層キャパシタ)〕
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
〔第3の蓄電デバイス〕
第3の蓄電デバイスは、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
〔第4の蓄電デバイス(リチウムイオンキャパシタ)〕
第4の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPFなどのリチウム塩が含まれる。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiMn;90質量%、炭素系導電剤;6質量%、を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);4質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、矩形の正極シートを作製した。また、天然黒鉛(負極活物質);98質量%と、カルボキシメチルセルロース(増粘剤);1質量%、スチレンブタジエンゴム(結着剤);1質量%を水に溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
ただし、表1に記載の非水電解液の組成は、一般式(I)で表される化合物を除いた組成である。また、電解質塩の濃度の単位Mはmol/Lを示す。
ちなみに、表1に記載の基準電解液の質量比で示した組成は、ECが30.1質量%、MECが53.7質量%、LiPFが8.6質量%、LiFSIが7.6質量%となる。
〔高温充電保存後のガス発生量、容量回復率、交流抵抗の評価〕
上記の方法で作製した電池を用いて45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.7Vで3サイクル充放電を行った。前記3サイクルの充放電までを当明細書では前処理と定義する。45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流値で1時間充電を行い、60℃の恒温槽中で20日間静置した後、45℃の恒温槽中で0.2Cの定電流下終止電圧2.7Vまで放電した。前記45℃条件下での0.2C定電流1時間充電から60℃での静置、45℃条件の放電までを当明細書では高温保存試験と定義する。高温充電保存後の回復率、残存容量、ガス発生量を表1に示す。回復率(%)は下記の式にて算出した。
回復率(%)=(高温保存試験後の放電容量/高温保存試験前の放電容量)×100
上記式での放電容量とは、高温保存試験前後に45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.7Vで充放電を行なったときの放電容量である。
表1記載の残存容量は恒温保存試験の45℃条件の放電容量を相対比較した値であり、比較例1の放電容量を100%とした。
表1記載のガス発生量は高温保存試験後のガス量をアルキメデス法で測定し、比較例1で発生したガス量を100%としたときの相対値である。
Figure 2020129497
上記表1において、本発明の非水電解液を用いた実施例では、比較例に比べ高温保存後の回復率及び高温保存電池特性を向上することができる。
本発明の非水電解液を用いた蓄電デバイスは、電気化学特性に優れたリチウム二次電池等の蓄電デバイスとして有用である。

Claims (6)

  1. 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるピリジン化合物を前記非水電解液の全質量のうち0.01質量%〜1質量%含有し、かつ炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物の少なくとも1種の化合物を前記非水電解液の全質量のうち0.1質量%〜10質量%含有する非水電解液。
    Figure 2020129497
    (式中R〜Rはそれぞれ独立しており、水素原子又はメチル基のいずれかを示す。)
  2. 前記炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート化合物がビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートである請求項1に記載の非水電解液。
  3. 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が請求項1又は2に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
  4. 前記正極の活物質がリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイス。
  5. 前記リチウム遷移金属酸化物が、マンガンを含有するリチウム遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の蓄電デバイス。
  6. 前記マンガンを含有するリチウム遷移複合金属酸化物がスピネル型リチウムマンガン複合酸化物である請求項5に記載の蓄電デバイス。
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