JP2020129024A - 画像形成システム及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、静電荷像現像用トナーを用い、定着後に所望の光沢度を有するトナー画像が得られる画像形成システム及び画像形成方法を提供することである。【解決手段】本発明の画像形成システムは、静電荷像現像用トナーと画像形成装置とで構成される画像形成システムであって、下記条件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする画像形成システム。(a)前記静電荷像現像用トナーの690nmでの光透過率T1.0、T1.1及びT1.5が、下記条件下で、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。式(1):0.2<T1.5/T1.1<0.8式(2):0.2<T1.5/T1.0<0.7(b)前記画像形成装置が、画像形成部と、第1定着部と、定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成システム及び画像形成方法に関する。より詳しくは、静電荷像現像用トナーを用い、定着後に所望の光沢度を有するトナー画像が得られる画像形成システム及び画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成方法においては、画像形成の高速化や環境負荷の低減等を目的として省エネルギー化を図るため、より低い温度で熱定着できる静電荷像現像用トナーが求められている。
静電荷像現像用トナーによるトナー画像の形成には、様々な光沢度を有する記録媒体が用いられている。例えば、従来から多用されている普通紙等の光沢度が小さい(表面の凹凸が大きい)記録媒体の他に、アート紙、コート紙、微コート紙等のように光沢度の大きい(表面の凹凸が小さい)記録媒体を用いられてきており、光沢度の異なる各種記録媒体とトナー画像間で光沢度差のない高画質な画像の出力を行いたいという要望が多くなってきている。すなわち、表面凹凸の小さい記録媒体は、記録媒体自体の光沢度が高いため(60度光沢度が10〜80%である。)、トナー画像の表面凹凸の方が大きくなり光沢度が低くなってしまう。その結果、記録媒体自体の光沢度とトナー画像部分の光沢度とに差異が生じて、画像の光沢均一性が著しく低下してしまう。光沢均一性が低下した画像は、使用者に強い違和感を与えることになる。
通常、電子写真方式の画像形成方法においては、定着ベルトや加圧・加熱ローラーにより構成されている定着装置を用い、定着時の定着時間、定着温度や加圧条件を制御し、トナー画像を記録媒体上に定着する方法が主流であり、これらの定着時の各条件を制御することにより、ある程度は形成されるトナー画像の光沢度を変化させることが可能である。
しかしながら、上記のような定着時の温度や圧力を変化せて光沢度を制御する方法では、定着後のトナー画像の強度が変化するという問題を抱えている。また、定着時の温度や圧力のみを変化せても、定着部から排出されたのちのトナー画像の硬化速度の違いによって、所望の光沢度が得られない場合がある。例えば、記録媒体として厚紙を用いた場合には、記録媒体として普通紙を用いた場合に比較し、トナー画像の硬化速度が速くなるため、記録媒体上に形成されるトナー画像の光沢度は高くなりやすいという問題を抱えている。
一方、定着工程で加熱処理施したのちの特定波長域における光の透過率を規定した静電荷像現像用トナーが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。当該方法によれば、低温定着性及び濃度ムラの少ない静電静電荷像現像用トナーが得られるとされている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、定着時の静電荷像現像用トナーの溶融時の挙動に着目した発明であり、定着後のトナー画像についての言及や示唆は一切ない。
また、トナー画像を加熱してトナー画像を記録媒体上に定着する定着手段と、定着手段によって定着された記録媒体上のトナー画像を再加熱してトナー画像の光沢度を再加熱前のものに比べて低下させる再加熱手段を有する画像記録装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。当該方法によれば、光沢度が異なる種々の記録媒体上にトナー画像を形成する場合に、粒状性の低下を生じさせることなく、最適な光沢度にて、光沢均一性を安定的に向上させることができるとされている。しかしながら、特許文献2に記載されている方法は、定着後に再加熱して光沢度を低下させる方法であるが、具体的に光沢度を低下させるための設定手段の記載はない。すなわち、具体的な加熱温度や加熱時間と、それに関連した光沢度との関係性を示唆する記載はない。また、定着後の光沢度低下手段は、再加熱によりドナー画像の平準化を行う方法であり、冷却手段を導入する方法についての言及や示唆も一切ない。
従って、定着工程での定着時の定着時間、定着温度や加圧条件を変更することなく、それ以降の工程で、トナー画像の光沢度を任意の条件に制御することができる画像形成システム及び画像形成方法の開発が望まれている。
特開2017−173554号公報 特開2009−008709号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、定着強度を損なうことがなく、所望の光沢度を有するトナー画像が得られる画像形成システム及び画像形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、静電荷像現像用トナーとして、トナーの光透過率を所定の範囲内にすることができるトナーを使用すること及び画像形成装置において、トナー画像の冷却速度を制御することを特徴とする画像形成システムにより、定着強度を損なうことがなく、所望の光沢度を有するトナー画像が得られる画像形成システムを提供することができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.静電荷像現像用トナーと画像形成装置とで構成される画像形成システムであって、下記条件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする画像形成システム。
(a)前記静電荷像現像用トナーの690nmでの光透過率T1.0、T1.1及びT1.5が、下記条件下で、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。
式(1):0.2<T1.5/T1.1<0.8
式(2):0.2<T1.5/T1.0<0.7
但し、T1.0は、ガラス上の前記静電荷像現像用トナーの付着量を6.5g/mとし、前記静電荷像現像用トナーに、加圧・加熱処理A(圧力:200kPa、温度:100℃)を1.0秒間施した後の光透過率。
1.1及びT1.5は、前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施した後、圧力を開放し、圧力を0kPaかつ温度を100℃とした条件下での加熱処理を0.1秒間及び0.5秒間、それぞれ独立に施した後のそれぞれの光透過率。
(b)前記画像形成装置が、
少なくとも、前記静電荷像現像用トナーを使用する画像形成部と、
記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する加熱部材と加圧部材で構成される第1定着部と、
前記定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ
指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する。
2.前記冷却速度調整部が、前記第1定着部を構成する前記加圧部材の温度を下げて、前記光沢度を制御する手段を有することを特徴とする第1項に記載の画像形成システム。
3.前記加圧部材の温度を制御する手段が、前記加圧部材に風をあてて温度を制御する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成システム。
4.前記加圧部材の温度を制御する手段が、加圧部材に冷却ローラーを当接して制御する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成システム。
5.前記加圧部材の温度を制御する手段が、対向する位置に配置される加熱ローラーと加圧ローラーの離接時間で制御する手段であることを特徴とする第2項に記載の画像形成システム。
6.前記冷却速度調整部が、第1定着後に、前記記録媒体を加熱する手段を有し、加熱量を制御することで前記光沢度を制御することを特徴とする第1項に記載の画像形成システム。
7.前記記録媒体を加熱する手段が、非接触方式の加熱手段であることを特徴とする第6項に記載の画像形成システム。
8.前記記録媒体を加熱する手段が、ハロゲンランプの数と発光強度により制御する手段であることを特徴とする第6項又は第7項に記載の画像形成システム。
9.前記冷却速度調整部が、前記第1定着部の後に、冷却手段を有することを特徴とする第1項に記載の画像形成システム。
10.前記冷却手段が、記録媒体への冷風の吹き付け手段であることを特徴とする第9項に記載の画像形成システム。
11.前記冷却手段が、冷却ローラー又は冷却ベルトを記録媒体に接触させる手段であることを特徴とする第9項に記載の画像形成システム。
12.前記冷却速度制御手段が、あらかじめ冷却速度と光沢度の相関関係を示すテーブルを作成し、当該相関関係を示すテーブルに応じて冷却速度を制御することを特徴とする第1項から第11項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
13.前記トナー画像を、第1定着部で加熱ローラーと加圧ローラーによりニップし、当該ニップを開放した2秒後のトナー画像の温度をTemp2としたとき、Temp2の温度範囲を下記式(3)で規定する範囲内に制御し、あらかじめ作成した前記Temp2と光沢度の相関関係を示すテーブルに応じて、冷却速度を制御することを特徴とする第1項から第11項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
式(3) 40℃<Tem2<110℃
14.前記静電荷像現像用トナーが、下記式(4)及び(5)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とする第1項から第13項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
式(4) 0.2<T1.5/T1.1<0.7
式(5) 0.3<T1.5/T1.0<0.7
15.前記静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂が、末端又は側鎖に活性水素を有する樹脂成分を含み、前記活性水素の一部が架橋剤で架橋されていることを特徴とする第1項から第14項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
16.前記熱可塑性樹脂がビニル系樹脂を主成分とし、かつ、脂肪族ポリエステル樹脂を含有し、当該脂肪族ポリエステル樹脂が、イソシアネート基で架橋したウレタン変性樹脂であることを特徴とする第15項に記載の画像形成システム。
17.前記静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂の少なくとも一部がビニル系樹脂であり、当該ビニル系樹脂が酸を含有し、かつ、Al、Mg又はCaの多価金属イオンで架橋されていることを特徴とする第1項から第14項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
18.前記静電荷像現像用トナーにおける前記多価金属イオンの含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内であることを特徴とする第17項に記載の画像形成システム。
19.前記静電荷像現像用トナーが、SP値が19〜25J/cmの範囲内で、数平均分子量Mnが200〜2000の範囲内で、かつ、融点が60〜120℃の範囲内にある結晶性化合物を含有することを特徴とする第1項から第18項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
20.前記結晶性化合物が、分子内にアミド基と、炭素数が10以上の長鎖アルキル基を有する化合物であることを特徴とする第19項に記載の画像形成システム。
21.前記静電荷像現像用トナーの貯蔵弾性率G´が1×10Paになる温度が、110℃以下であることを特徴とする第1項から第20項までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
22.静電荷像現像用トナーと画像形成装置とを用いて画像を形成する画像形成方法であって、
下記条件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
(a)前記静電荷像現像用トナーが、690nmでの光透過率T1.0、T1.1及びT1.5としたとき、下記条件下で、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。
式(1):0.2<T1.5/T1.1<0.8
式(2):0.2<T1.5/T1.0<0.7
但し、T1.0は、ガラス上の前記静電荷像現像用トナーの付着量を6.5g/mとし、前記静電荷像現像用トナーに、加圧・加熱処理A(圧力:200kPa、温度:100℃)を1.0秒間施した後の光透過率。
1.1及びT1.5は、前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施した後、圧力を開放し、圧力を0kPaかつ温度を100℃とした条件下での加熱処理を0.1秒間及び0.5秒間、それぞれ独立に施した後のそれぞれの光透過率。
(b)前記画像形成装置が、
少なくとも、前記静電荷像現像用トナーを使用する画像形成部と、
記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する加熱部材と加圧部材で構成される第1定着部と、
前記定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ
指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する。
本発明によれば、定着強度を損なうことがなく、所望の光沢度を有するトナー画像が得られる画像形成システム及び画像形成方法を提供することができる。
本発明で規定する構成からなる転写体の効果発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来、定着後のトナー画像の光沢度は、定着時の定着時間、定着温度や加圧条件を制御しすることにより、トナー画像の光沢度をコントロールする方法が主流であったが、このような定着時の条件を変化させると、形成されたトナー画像の定着強度に影響を与える場合があった。
本発明者らは、記録媒体上に付与したトナー画像の定着後の光沢度の挙動について鋭意検討を進めた結果、定着時の上記条件を変えずに、静電荷像現像用トナーの組成と定着後に加熱処理又は冷却処理によるトナー画像の温度変化履歴を付与することにより、トナー画像の表面形状を変化させ、トナー画像の光沢度を制御することができることを突き止めた。
更に詳しくは、定着加熱後の記録媒体の冷却速度に応じて、トナー画像の光沢度が変化することが判明した。すなわち、定着後の再加熱処理や冷却処理によるトナー画像の冷却速度を制御し、急冷処理を施すと光沢度が高くなり、逆に、ゆっくりと冷却させることにより光沢度が低くなる。この挙動を支配しているのは、トナー画像における「弾性回復」現象である。弾性回復とは、定着工程におけるニップ(加熱・加圧処理)中に、加圧・加熱されているトナーが、ニップ後にその圧力を解放されることで、元の形状に戻ろうとする現象である。つまり、ニップ中に比べてニップ後の表面の凹凸が増加し、表面散乱により光沢度が低下する。
上記の弾性回復について図を交えて説明する。
図1は、定着後のドナー画像の弾性回復を説明するための模式図である。
図1には、記録媒体1(例えば、普通紙)上にトナーTNによるトナー画像が形成されてからトナーTN1が定着するまでの、5つの状態を図1の(a)〜(e)で示す。
図1の(a)は、記録媒体1が定着ユニットのニップ部に到達する前の状態で、記録媒体1上に、転写されたトナーTNの集合体であるトナー画像が形成されている。
図1の(b)では、トナーTNを保持している記録媒体1が、定着部を構成しているニップ部に到達した直後の状態を示す。図1の(b)では、定着部材である定着ベルト2による加熱及び加圧によって、トナーTNに矢印D1で表される向きの力が印加される。当該力が印加されることにより、トナーTNの粒子の変形が開始する。図1の(b)では加熱・加圧手段として定着ベルト2を適用している例を示しているが、後述するような対向する一対の加熱ローラーと加圧ローラーにより、ニップを構成する方法であってもよい。
図1の(c)では、定着ベルト2による矢印D1で表される下向き方向の加熱及び加圧が継続されることにより、図1の(b)に比較して、トナーTNの変形又は溶融が進行し、透過率が上昇し、その結果、光沢度が高くなる。
図1の(d)は、記録媒体1がニップ部を通過し、ニップが解放された状態を表す。定着ベルト2が、トナーTNから離間し、押圧が解除されたことにより、記録媒体1上のトナーTNにおいて、トナーTNの弾性により、矢印D1と反対の向きの復元力が発生する。これにより、トナーTN3は元に戻ろうとする。このような、トナーTNの元に戻ろうとする挙動が、「弾性回復」と呼ばれている。この弾性回復にとりトナーTNの粒子起因による凹凸が回復し、光沢度は低下する。
図1の(e)では、図1の(d)の定着ベルト2の離間直後よりも弾性回復が進んだ状態で、図1の(d)と比較して、ニップ部における挟持が解消された後の経過時間が長いため、トナーTNにおける形状の回復が進行し、トナー画像の凹凸が更に進行し、光沢度も低下する。
この時、弾性回復量はニップ解放後の温度によって変化する。ニップ開放後のトナーTNがトナーのガラス転移以下になると、弾性回復は停止する。すなわち冷却すると、弾性回復は停止するため、光沢度の低下が停止する。
本発明においては、静電荷像現像用トナーの組成と定着後における加熱処理又は冷却処理によるトナー画像の温度変化履歴を付与し、弾性回復速度を制御することにより、ニップ中の温度、圧力及び定着時間をほぼ同一にした条件で光沢度を制御できるため、定着強度を損なわずにトナー画像に最適に光沢度を付与させることができたものである。
具体的な静電荷像現像用トナーの組成及び定着後の温度履歴の制御手段の詳細につては後述する。
定着後のドナー画像の弾性回復を説明するための模式図 定着ニップ時及びニップ解放後のトナー画像の透過率特性のプロファイルを示す模式図 トナーの定着後の冷却速度に対する光沢度依存性とトナーの透過率の関係を示すグラフ 定着工程におけるトナー画像の透過率測定方法の一例を示す概略図 第1定着後の冷却速度の制御手段の一例を示す概略図 中間転写方式の画像形成装置の一例である多機能プリンタ−(MFP)の構成を模式的に示す図 冷却速度の制御手段A及び冷却速度の制御手段Bを具備した定着ユニットとその近傍の構成を示す模式図 冷却速度の制御手段Aである加圧ローラー冷却手段として冷却ローラーを具備した一例示を示す模式図 ニップ部の下流側に、非接触冷却手段を設置した定着ユニットとその近傍の構成を示す模式図 予め求めた光沢度と、Temp2における温度の関係を求めた一例を示すグラフ MFP500のハードウェアー構成の一例を示すブロック図 MFP500における記録媒体上にトナー画像を形成するためにCPU101が実行する処理の一例のフローチャート
本発明の画像形成システムは、静電荷像現像用トナーと画像形成装置とで構成され、静電荷像現像用トナーとして、上記条件(a)及び(b)を満たし、かつトナー画像の冷却速度を制御することができる画像形成装置を有することを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、第1の実施形態として、冷却速度を調整する手段が、第1定着部を構成する加圧部材(例えば、加圧ローラー)の温度を下げて光沢度を制御する手段であることが、より安定して冷却速度を制御することにより、所望のトナー画像の光沢度を得ることができる点で好ましい。
更に、第1の実施形態に係る加圧部材の温度を制御する具体的な手段として、加圧部材(例えば、加圧ローラー)に風をあてて温度を制御する手段、加圧部材(例えば、加圧ローラー)に冷却ローラーを当接して制御する手段、又は、対向する位置に配置される加熱ローラーと加圧ローラーの離接時間で制御する手段を適用することが、簡便な手段で精度よく、加圧部材の温度を制御することができる点で好ましい。
また、第2の実施形態として、冷却速度を調整する手段が、第1定着後に、記録媒体を加熱する手段を有し、加熱量を制御することで光沢度を制御する手段であることが、より安定して冷却速度を制御することにより、所望のトナー画像の光沢度を得ることができる点で好ましい。
更に、第2の実施形態に係る記録媒体を加熱する手段が、非接触方式の加熱手段又はハロゲンランプの数と発光強度により制御する手段であることが、簡便な手段で精度よく、加圧部材の温度を制御することができる点で好ましい。
また、第3の実施形態として、冷却速度を調整する手段が、第1定着部の後に、冷却手段を有することが、より安定して冷却速度を制御することにより、所望のトナー画像の光沢度を得ることができる点で好ましい。
更に、第3の実施形態に係る冷却手段が、記録媒体への冷風の吹き付け手段又は冷却ローラー又は冷却ベルトを記録媒体に接触させる手段であることが、簡便な手段で精度よく、加圧部材の温度を制御することができる点で好ましい。
また、冷却速度制御手段が、あらかじめ冷却速度と光沢度の相関関係を示すテーブルを作成し、当該相関関係を示すテーブルに応じて冷却速度を制御することが、所望のトナー画像の光沢度を得ることができる点で好ましい。
また、トナー画像を、第1定着部で加熱ローラーと加圧ローラーによりニップ部を形成し、当該ニップ部を開放した2秒後のトナー画像の温度をTemp2としたとき、Temp2の温度範囲を前記式(3)で規定する範囲内に制御し、あらかじめ作成した前記Temp2と光沢度の相関関係を示すテーブルに応じて、冷却速度を制御する方法とすることが、所望のトナー画像の光沢度を得ることができる点で好ましい。
本発明の画像形成システムにおいては、前記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂は、末端又は側鎖に活性水素を有する樹脂成分を含み、前記活性水素の一部が架橋剤で架橋されていることが好ましい。更に、熱可塑性樹脂はビニル系樹脂を主成分とし、かつ、脂肪族ポリエステル樹脂を含み、当該脂肪族ポリエステル樹脂は、イソシアネート基で架橋したウレタン変性樹脂であることが、弾性成分が増加し、ニップ後の弾性回復の発現を制御することができ、好ましい範囲の光沢度とすることができる点で好ましい。
また、静電荷像現像用トナーは、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂の少なくとも一部はビニル系樹脂であり、当該ビニル系樹脂はモノマー単位として酸を含有し、かつ、Al、Mg又はCaの多価金属イオンで架橋されていること、更に、前記価金属イオンの含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内であることが、ニップ後の弾性回復の条件制御が可能となり、安定して所望の光沢度とすることができる点で好ましい。
また、静電荷像現像用トナーが、SP値が19〜25J/cmの範囲内で、数平均分子量Mnが200〜2000の範囲内で、かつ、融点が60〜120℃の範囲内にある結晶性化合物を含有すること、更に、結晶性化合物が、分子内にアミド基と、炭素数が10以上の長鎖アルキル基を有する化合物であることが、主成分である熱可塑性樹脂の分子運動をより促進させることで、低Tg化し、可塑化効果を発現させることができる点で好ましい。
また、静電荷像現像用トナーの貯蔵弾性率G´が1×10Paになる温度が、110℃以下であることが、ニップ後の弾性回復の条件制御が可能となり、安定して所望の光沢度とすることができる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《画像形成システム》
本発明の画像形成システムは、静電荷像現像用トナーと画像形成装置とで構成され、下記条件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする画像形成システム。
(a)前記静電荷像現像用トナーの690nmでの光透過率T1.0、T1.1及びT1.5が、下記条件下で、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。
式(1):0.2<T1.5/T1.1<0.8
式(2):0.2<T1.5/T1.0<0.7
但し、T1.0は、ガラス上の前記静電荷像現像用トナーの付着量を6.5g/mとし、前記静電荷像現像用トナーに、加圧・加熱処理A(圧力:200kPa、温度:100℃)を1.0秒間施した後の光透過率。
1.1及びT1.5は、前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施した後、圧力を開放し、圧力を0kPaかつ温度を100℃とした条件下での加熱処理を0.1秒間及び0.5秒間、それぞれ独立に施した後のそれぞれの光透過率。
(b)前記画像形成装置が、
少なくとも、前記静電荷像現像用トナーを使用する画像形成部と、
記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する加熱部材と加圧部材で構成される第1定着部と、
前記定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ
指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する。
以下、本発明の画像形成システムの詳細について説明する。はじめに、静電荷像現像用トナーの光沢度及び透過率に関する特性について説明する。
〔静電荷像現像用トナーの定着後の光沢度・透過率特性〕
本発明の画像形成システムに適用する静電荷像現像用トナーでは、下記の透過率特性を満たすことを特徴と一つとする。
すなわち、ガラス上の前記静電荷像現像用トナーの付着量を6.5g/mとし、前記静電荷像現像用トナーに、圧力が200kPa、温度が100℃の条件の加圧・加熱処理Aを1.0秒間施したのちの前記静電荷像現像用トナーの690nmの光に対する透過率をT1.0とし、
前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施したのち、圧力を開放し、圧力が0kPa、温度が100℃の条件で加温処理のみを0.1秒間施したのちの前記静電荷像現像用トナーの690nmの光に対する透過率をT1.1とし、
前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施したのち、圧力を開放し、圧力が0kPa、温度が100℃の条件で加温処理のみを0.5秒間施したのちの前記静電荷像現像用トナーの690nmの光に対する透過率をT1.5としたとき、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。
式(1) 0.2<T1.5/T1.1<0.8
式(2) 0.2<T1.5/T1.0<0.7
(T1.0、T1.1、T1.5について)
はじめに、本発明で規定するT1.0、T1.1、T1.5について、図を用いて説明する。
図2は、定着ニップ時及びニップ解放後のトナー画像の透過率特性プロファイルの一例を示す模式図である。
図2において、横軸は定着ニップからニップ開放までの経過時間(秒)を示し、縦軸は、ガラス上に6.5g/m静電荷像現像用トナーを有するサンプルの690nmの光における透過率T(%)を表す。この時、圧力を200kPa、温度を100℃の加圧・加熱処理Aで1.0秒間のニップを施したのちの静電荷像現像用トナーの690nmの光に対する透過率Tを100%として基準化し、これをT1.0とした。
図2で示す定着ニップ中とは、前記図1で説明した図1の(b)及び(c)で示した工程で、ガラスの静電荷像現像用トナーに圧力を200kPa、温度を100℃の条件で、1秒間の加圧・加熱処理Aを施した時の静電荷像現像用トナーの透過率の挙動を示したもので、加圧・加熱処理により透過率が上昇し、平衡透過率に到達し、T1.0を透過率100%と基準化する。
次いで、図1の(d)及び(e)で示すように、ニップによる加圧のみを開放し、温度を100℃の条件で加温処理のみを0.1秒間施した時の透過率をT1.1、更に温度が100℃の条件で加温処理のみを0.5秒間施した時の透過率をT1.5として、それぞれの相対透過率を求める。
ここで測定する透過率T1.0、T1.1、T1.5は、それぞれトナー画像の光沢度と強い相関を持っている。
〔静電荷像現像用トナーの定着後の冷却速度に対する光沢度及び透過率依存性〕
本発明において、所望のトナー画像の光沢度を得る方法としては、特定の特性を有する静電荷像現像用トナーの設計と、第1定着後のトナー画像の冷却速度制御を行うことが特徴となる。
図3は、特性の異なる静電荷像現像用トナーの定着後の冷却速度に対する光沢度依存性とそれに関連するトナーの透過率の関係を説明するためのグラフである。
図1の(d)〜(e)で示すように、定着工程でのニップ(加熱・加圧)開放後に、トナー画像は弾性回復することにより表面の凹凸が増加することで光沢度が低下する。この弾性回復は、トナーを構成する材料のガラス転移温度(Tg)に相関し、トナーの温度がTg以下になると停止するため、定着後に急冷処理を施すと、弾性回復現象が生じる前に、弾性回復が停止するため、高い光沢特性を得ることができる。
図3の(a)に示すグラフは、横軸が冷却速度、縦軸がトナー画像の光沢度と記録媒体の光沢度との差を表示し、構成の異なるトナーA、トナーB、トナーCの光沢度特性の一例を示している。
トナーAは、得られる光沢度が、冷却速度の大きく影響を受けないトナーであり、逆に、トナーCは、得られる光沢度が、冷却速度に大きく依存するトナーである。
従って、予め冷却速度VS光沢度との相関関係を示すテーブルを作成することにより、所望の光沢度を、採用するトナーに対し、冷却速度を制御することにより得ることができる。目安としては、記録媒体の光沢度〜記録媒体の光沢度±20程度の範囲となるように、冷却条件を設定することが好ましい。
〔静電荷像現像用トナーの特性〕
上記静電荷像現像用トナーにおいて、冷却速度に対する光沢度依存性を発現させる因子としては、
1)結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂は、末端又は側鎖に活性水素を有する樹脂成分を含み、前記活性水素の一部が架橋剤で架橋されている構成とすること、
2)熱可塑性樹脂はビニル系樹脂を主成分とし、かつ、脂肪族ポリエステル樹脂を含み、当該脂肪族ポリエステル樹脂は、イソシアネート基で架橋したウレタン変性樹脂とすること、
3)静電荷像現像用トナーを構成する結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂の少なくとも一部をビニル系樹脂とすること、
4)当該ビニル系樹脂はモノマー単位として酸を含有し、かつ、Al、Mg又はCaの多価金属イオンで架橋されていること、
5)多価金属イオンの含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内であること、
6)SP値が19〜25J/cmの範囲内で、数平均分子量Mnが200〜2000の範囲内で、かつ、融点が60〜120℃の範囲内にある結晶性化合物を含有すること、
7)前記結晶性化合物が、分子内にアミド基と、炭素数が10以上の長鎖アルキル基を有する化合物であること、
等の条件を選択、又は組み合わせることが好ましい。なお、静電荷像現像用トナーの詳細については、後述する。
(トナー画像の透過率T1.0、T1.1、T1.5
図3の(b)に示すグラフは、前記図2と同様にして、図3の(a)で示したトナーA〜Cについての透過率T1.0、T1.1、T1.5について記載したグラフである。
図3の(b)に示すグラフでは、横軸に定着工程におけるニップ開始時間を0秒とし、1.0秒まで第1定着を行った後、それ以降はニップ開放時間として表示している。縦軸には、ニップ開始1.0秒後の透過率(T1.0)を100%とした相対透過率(%)を示してある。
図3の(b)で示す透過率は、下記の方法により測定して求めることができる。
1)記録媒体1上、トナー量として6.5g/mとなるようにしてトナー画像TNを形成する。
2)次いで、このトナー画像TNに対し、第1定着部で圧力が200kPa、温度が100℃の条件の加圧・加熱処理Aを1.0秒間施す。この時の690nmの光に対する透過率をT1.0とする。
3)次いで、圧力を開放し、圧力が0kPa、温度が100℃の条件で加温処理のみを0.1秒間施したのちの前記静電荷像現像用トナーの690nmの光に対する透過率をT1.1として求める。
4)次いで、圧力を開放し、圧力が0kPa、温度が100℃の条件で加温処理のみを0.5秒間施したのちの前記静電荷像現像用トナーの690nmの光に対する透過率をT1.5として求める。
以上の各透過率をプロットして、図3の(b)で示す各トナーの定着ニップ時及びニップ解放後の透過率プロファイルを得ることができる。
上記説明した図3の(a)と図3の(b)より、光沢度の絶対値は、ニップ開放度のT1.1における透過率に相関し、冷却工程における光沢度の変化は、ニップが解放されたのちの透過率の傾きに相関していることが分かる。
すなわち、T1.0〜T1.1におけるニップ開放後の透過率の急激な変化は、トナー画像におけるバネ成分に起因する変化で、圧力開放により、バネが伸びる現象で、時間を要することはない。これに対し、T1.1〜T1.5における緩やかの透過率に変化は、ダッシュポットに起因する変化である。ここでいうダッシュポットとは、急激な変形に対し強い抵抗を示す要素であり、緩やかな変形を許す特性を持つもので、粘性を表わす要素である。
図3の(b)で示すように、トナーAはT1.0〜T1.1及びT1.1〜T1.5における変化が小さく、逆に、トナーCはT1.0〜T1.1及びT1.1〜T1.5における変化が大きな特性にあり、本発明では、光沢度の制御範囲が広いという観点から、トナーCが好ましい。
(トナー画像の透過率測定方法)
上記で示すトナー画像の透過率の測定方法の一例を、図を交えて説明する。
図4は、上記で説明した定着工程におけるトナー画像の透過率測定方法の一例を示す概略図である。
図4に示すように、下部のガラス基材3A上に、トナー画像TNを6.5g/mの条件で付与し、透過率測定サンプルを作製する。
上部側ガラス基材3B及び下面側ガラス基材3Aの温度を測定するための非接触温度計8が設置されている。
次いで、加熱部材4A及び加熱部材4Bを上部側ガラス基材3B及び下面側ガラス基材3Aに接触させ、それぞれのガラス基材の温度を100℃になる条件とする。
次いで、付与する圧力は加圧部材で制御し、ガラス基材3A及び3Bを当接した後の圧力を200kPaとなるよう、予め条件を設定する。
また、測定部の上部には、690nmのレーザー光を照射するためのレーザー光源6があり、下部には、透過した光量を測定するためのフォトダイオード7が配置されている。フォトダーオード7による出力値を、アンプを通して電圧に変換し、オシロスコープで検知し、透過光量より透過率を求める。この時、T1.0を相対透過率100%と規定する。
実際の透過率測定では、トナー画像TNを保持している下部のガラス基材3Aを、下部の加熱部材4A上に設置し、次いで、設置5秒後に、加熱部材4Bに具備している上部ガラス基材3Bを、ガラス基材3Aが保持しているトナー画像TN上に、200kPaの圧力で当接させ、1.0秒後にガラス基材3Aとガラス基材3Bを離間させ、当接1秒後の透過率T1.0、離間0.1秒後のT1.1、離間0.5秒後のT1.5を測定する。
以上により、求められた透過率T1.0、T1.1、T1.5により、下記式(1)及び(2)で規定する条件を求める
式(1) 0.2<T1.5/T1.1<0.8
式(2) 0.2<T1.5/T1.0<0.7。
〔冷却速度の制御方法〕
ニップ後の冷却速度の制御としては、
制御手段A)第1定着部を構成する前記加圧部材の温度を下げて光沢度を制御する手段、
制御手段B)第1定着後に、記録媒体を加熱する手段を有し、加熱量を制御することで光沢度を制御する手段、
制御手段C)第1定着部の後に、記録媒体を冷却する冷却手段を有すること、
等の条件を選択、又は組み合わせることが好ましい。
図5は、第1定着後の冷却速度の制御手段の一例を示す概略図である。
第1定着工程において、加熱ローラー3と加圧ローラー4により、ニップに記録媒体1上に形成したトナー画像TNの加熱加圧を行う。第1定着後の冷却速度を制御する手段としては、加圧部材である加圧ローラー4に対し、冷却ローラーや冷風により冷却する手段、あるいは、第1定着工程の下流側に、加熱工程又は冷却工程を設け、冷却速度を制御する方法が挙げられる。
なお、冷却速度の制御手段の詳細については、後述する。
《静電荷像現像用トナー》
以下、本発明に係る静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)の詳細について説明する。
[トナー粒子の構成]
本発明に係るトナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子を含む。
なお、本発明において、トナー粒子とは、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをいい、トナー粒子の集合体をトナーという。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子として用いる。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂を含有する。また、本発明に係るトナー母体粒子は、その他必要に応じて、離型剤(ワックス)、着色剤及び荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。
〔結着樹脂〕
本発明に係るトナーにおいては、非晶性ビニル樹脂及び結晶性樹脂を含有することが好ましく、更に詳しくは、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂は、末端又は側鎖に活性水素を有する樹脂成分を含み、前記活性水素の一部が架橋剤で架橋されていることが好ましい形態である。
また、熱可塑性樹脂がビニル系樹脂(非晶性ビニル樹脂ともいう。)を主成分とし、かつ、脂肪族ポリエステル樹脂を含有し、当該脂肪族ポリエステル樹脂は、イソシアネート基で架橋したウレタン変性樹脂であることが好ましい態様である。
また、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂の少なくとも一部がビニル系樹脂であり、当該ビニル系樹脂が酸を含有し、かつ、Al、Mg又はCaの多価金属イオンで架橋されていることが好ましい。
(非晶性ビニル樹脂)
非晶性ビニル樹脂とは、少なくともビニル単量体を用いた重合により得られる樹脂である。
例えば、アクリル樹脂、スチレン・アクリル共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。非晶性ビニル樹脂は、結晶性樹脂との相分離を制御しやすい。中でも、乳化凝集法における製造性(つまり、均一な凝集性を持つラテックスが作られることで、粒度分布のシャープなトナーが得られる。)や、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン・アクリル共重合体樹脂が好ましい。非晶性ビニル樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
非晶性ビニル樹脂の含有量の下限値は、結着樹脂全量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらにより好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。5質量%以上であれば、結晶化樹脂との相溶状態が良好となり、低温定着性が良好となる。
また、低温定着性向上の観点から、非晶性ビニル樹脂の含有量の上限値は、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
なお、上記の非晶性ビニル樹脂の含有量は、結着樹脂全量に対する全ての非晶性ビニル樹脂の含有量である。したがって、例えば、結着樹脂が、非晶性ビニル樹脂及び結晶性樹脂以外に、非晶性ビニル樹脂とのハイブリッド構造を有するハイブリッド樹脂を含む場合には、トナー中に含有される主成分としての非晶性ビニル樹脂の含有量に加えて、ハイブリッド樹脂中の非晶性ビニル重合セグメントの含有量も、上記の非晶性ビニル樹脂の含有量に含むものとする。
(1)スチレン単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン及びこれらの誘導体など。
(2)(メタ)アクリル酸エステル単量体
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体など。
(3)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど。
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど。
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど。
(6)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど。
(7)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体など。
また、ビニル単量体としては、例えばカルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を有する単量体を用いることが好ましい。具体的には、以下のものがある。
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。
また、スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
さらに、リン酸基を有する単量体としてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、ビニル単量体として、多官能性ビニル類を使用し、非晶性ビニル樹脂を、架橋構造を有するものとすることもできる。多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
非晶性ビニル樹脂の製造方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。
非晶性ビニル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が25〜60℃の範囲内である非晶性樹脂であることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が35〜55℃の範囲内である非晶性樹脂であることがより好ましい。
なお、本発明において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、「ダイヤモンドDSC」(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いて測定される値である。測定手順としては、測定試料(樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度とする。
また、非晶性ビニル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量は、重量平均分子量(Mw)で10000〜100000の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明において、樹脂のGPCによる分子量は、以下のようにして測定される値である。
すなわち、装置「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)及びカラムTSKgel guardcolumn SuperHZ−L」及び「TSKgel SuperHZM−M」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料(樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させる。
次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
(結晶性樹脂)
本発明に係る結晶性樹脂の含有量は、結着樹脂全量に対して3〜30質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、5〜20質量%の範囲内であり、特に15〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
結着樹脂における結晶性樹脂の含有割合が3質量%以上であることにより、定着後の画像中の結晶性樹脂と非晶性ビニル樹脂の相溶化を抑制し、30質量%以下であることにより、定着後の画像中の結晶性樹脂と非晶性ビニル樹脂とが相分離状態になることを抑制させるのに適当な量となる。
〈結晶性ポリエステル樹脂〉
前記結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸成分)又はヒドロキシカルボン酸と、2価以上のアルコール(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な融解ピークを有する樹脂をいう。明確な融解ピークとは、具体的には、上述の結晶性ポリエステル樹脂単独の示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において、2回目の昇温過程における融解ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、65〜85℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは75〜85℃の範囲内である。結晶性ポリエステル樹脂の融点が上記範囲であることにより、十分な低温定着性及び優れた画像保存性が得られる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、樹脂組成によって制御することができる。ここに、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、上述の結晶性ポリエステル樹脂単独の示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において、2回目の昇温過程における融解ピークのピークトップ温度である。なお、当該DSC曲線において融解ピークが複数存在する場合は、一番吸熱量の大きい融解ピークのピークトップ温度を融点とする。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、吸熱ピークのピークトップの温度であり、ダイヤモンドDSC(パーキンエルマー社製)を用いてDSCによって測定することができる。具体的には、試料をアルミニウム製パンKITNo.B0143013に封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目の加熱時には室温(25℃)から、2回目の加熱時には0℃から、10℃/分の昇温速度でそれぞれ150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点として測定する。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸成分とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;及びこれらカルボン酸化合物の無水物、又は炭素数1〜3のアルキルエステルなどが挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸成分としては、飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコール成分とは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、上述の多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒下で反応させる一般的なポリエステルの重合法を用いて製造することができ、例えば直接重縮合やエステル交換法を、単量体の種類によって使い分けて製造することが好ましい。
また、直鎖脂肪族ヒドロキシカルボン酸を、前記多価カルボン酸及び/又は多価アルコールと組み合わせて用いることができる。結晶性ポリエステル樹脂を形成するための直鎖脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシペンタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸:及びこれらのヒドロキシカルボン酸が環化したラクトン化合物、又は炭素数1〜3のアルコールとのアルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、結晶性ポリエステル樹脂を形成する際に、多価カルボン酸と多価アルコール成分とを用いることで反応を制御することが容易になり、目的の分子量の樹脂を得ることができるため好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造に使用することのできる触媒としては、例えばチタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタン触媒や、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシドなどのスズ触媒などが挙げられる。
上記の多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との使用比率は、多価アルコール成分のヒドロキシ基[OH]と多価カルボン酸成分のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]が、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2の範囲内である。
〈酸価及び測定方法〉
結晶性ポリエステル樹脂は、その酸価が5〜30mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜25mgKOH/g、さらに好ましくは15〜25mgKOH/gの範囲内である。この酸価は、1gの試料に含まれる酸の中和に必要な水酸化カリウム(KOH)の質量をmg単位で表したものである。樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に準じて下記手順により測定される。
〈1〉試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶解し、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を調製する。JIS特級水酸化カリウム7gをイオン交換水5mLに溶解し、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとする。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を調製する。標定はJIS K0070−1992の記載に従う。
〈2〉本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(トルエン:エタノールが体積比で2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として調製したフェノールフタレイン溶液を数滴加えて、調製した水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は指示薬の薄い紅色が約30秒間続いた時とする。
〈3〉空試験
試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(トルエン:エタノールが体積比で2:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記本試験と同様の操作を行う。
本試験と空試験の滴定結果を下記式(1)に代入して酸価を算出する。
式(1) A=〔(C−B)×f×5.6〕/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:空試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
C:本試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
f:0.1mol/リットルの水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量分布から算出された重量平均分子量(Mw)が5000〜50000の範囲内、数平均分子量(Mn)が1500〜25000の範囲内であることが好ましい。
GPCによる分子量測定は、以下のように行う。
すなわち、装置「HLC−8320」(東ソー社製)及びカラム「TSKgel guardcolumn SuperHZ−L」及び「TSKgel SuperHZM−M」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流す。測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)を、室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して試料溶液を得る。この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒とともに装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。
検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。
〈アミド基を有した脂肪酸誘導体〉
本発明に係るトナー母体粒子が含有する結着樹脂は、前記結晶性樹脂以外にアミド基を有した脂肪酸誘導体を含有することが結着樹脂の低粘度化効果の点で好ましい。
脂肪酸誘導体を入れることで、冷却による光沢制御範囲が広がる。
ニップ解放直後トナーは瞬間的に元に戻ろうとして、その結果表面粗さが増える。これはトナーの弾性成分に起因する。その次に徐々に表面粗さを増していくが、これはクリープ成分(粘性成分)に起因する。脂肪酸誘導体を入れると、このクリープ成分が大きくなり、時間に対して粗さが徐々に増えていく。このようなトナーが冷却速度を変えると、光沢を変えやすいことがわかった。
すなわち、脂肪酸誘導体がない場合に比べて、ある場合は光沢制御範囲が広がることになる。
本発明に係る脂肪酸誘導体は、脂肪酸を原料とした、アルコール、アミン、アルカリ土類金属などと反応させて得られる化合物である。代表的なものとして、脂肪酸とアルコールを原料とした脂肪酸エステル、脂肪酸とアミンを原料とした脂肪酸アミド化合物、脂肪酸とアルカリ土類金属を原料として金属石鹸等が挙げられる。
中でも、脂肪酸アルキルアミド化合物が好ましい。脂肪酸アルキルアミド化合物として、下記で表される化合物が適用される。
脂肪酸アルキルアミド化合物として、R−CONRで表される化合物が適用される。式中、Rは炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基である。R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基である。
ここで、R及びRのアルキル基、アリール基、アラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基などの通常不活性な置換基で置換されてもよい。ただし、好ましくは、RとRの少なくとも一つが水素原子であり、さらに好ましくは無置換のものである。脂肪酸アルキルアミドは結晶性保持成分として含有され、低エネルギー定着(低温定着)環境においても、脂肪酸アミド化合物による結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の保持効果により、低温定着性の向上が達成できてより好ましい。さらに、脂肪酸アルキルアミド化合物の副次的効果により、定着オフセットや定着巻き付きが防止できる。また、高極性のアミド基を末端に有していると、メイン樹脂との強い相互作用も発現され、メイン樹脂の可塑効果を促進させる。
本発明に係るトナーは、全トナー成分に対して0.5%〜20%、好ましくは1%以上10%以下含有される。
前記結晶性樹脂及び前記脂肪族誘導体の含有量によって、メイン樹脂の可塑効果及び結晶性樹脂の可塑化促進を制御する。脂肪酸誘導体(特に脂肪酸アルキルアミド化合物)の説明で記載したが、脂肪酸アミド化合物は高極性のアミド結合によってメイン樹脂及び結晶性樹脂と強い相互作用を示す。つまり、メイン樹脂に対して、分子レベルで絡み合い、メイン樹脂の分子運動をより促進させることで、低Tg化し、可塑化効果をもたらす。また、結晶性樹脂に対しても同様に、結晶成分に作用することで、メイン樹脂への結晶性樹脂による可塑化効果を高めることができると考えられる。
前記脂肪酸誘導体の融点は、50〜110℃の範囲内であることが好ましく、60〜105℃の範囲内であることがより好ましい。50℃以上の場合、メイン樹脂の可塑効果を促進する一方で、低粘度化に伴うホットオフセット起因の定着剥離性が大きく低下することを抑制し、110℃以下の場合、メイン樹脂の印加熱に対して可塑効果(溶融)を促進でき、定着性向上の効果を発揮することができる。
前記脂肪酸誘導体のSP値は、19〜24の範囲内であり、好ましくは19〜22の範囲内である。
前記脂肪酸誘導体の重量平均分子量は、200〜550の範囲内であることが好ましく、250〜500の範囲内であることがより好ましい。前記重量平均分子量が200以上であると、メイン樹脂の可塑効果を促進する一方で、低粘度化に伴うホットオフセット起因の定着剥離性が大きく低下することを抑制し、550以下であると、メイン樹脂の印加熱に対して可塑効果(溶融)を促進でき、定着性向上の効果を発揮することができる。
〈ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂〉
本発明に係る結晶性樹脂は、前記した未変性結晶性ポリエステル樹脂以外に、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含有することが好ましい。
前記結晶性樹脂のうち、未変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量をa[質量%]、前記ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の含有量をb[質量%]としたとき、bに対するaの比の値a/bが、0.1〜1.0の範囲内であることが、未変性及び変性部の結晶性セグメントによる低温定着性の確保と、変性部のウレタン重合セグメントにおける高温時の弾性維持による高光沢化の抑制、定着分離性と耐ドキュメントオフセット性を両立させる点で好ましい。
前記ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、ウレタン重合セグメントと結晶性ポリエステル重合セグメント(以下、単に「結晶性重合セグメント」ともいう。)が結合してなるブロック共重合体からなる結晶性樹脂である。
〈1〉ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂のDSC測定における融解ピーク温度
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融解ピーク温度は、50〜90℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは60〜85℃の範囲内である。ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融点が上記の範囲にあることにより、十分な低温定着性が確実に得られる。
前記ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の融解ピーク温度は、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂単独の示差走査熱量測定(DSC測定)によって得られるDSC曲線から求められた0℃から200℃まで昇温する二回目の昇温過程における融解ピークのピーク温度である。
〈2〉ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の結晶性重合セグメントの含有割合
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂における結晶性重合セグメントの含有割合は、50〜99.5質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは60〜97質量%、特に好ましくは60〜95質量%の範囲内である。
結晶性重合セグメントの含有割合は、具体的には、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、すなわち、結晶性重合セグメントとなる多価カルボン酸及び多価アルコールと、ウレタン重合セグメントとなる多価アルコール及び多価イソシアネートとを合計した全質量に対する、結晶性重合セグメントとなる多価カルボン酸及び多価アルコールの質量の割合である。
結晶性重合セグメントの含有割合が50質量%以上であることによって、十分なシャープメルト性が得られ、よって、優れた低温定着性を得ることができる。一方、99.5質量%以下であることによって、熱定着時に高温となった場合にも結着樹脂全体として十分な粘弾性が維持されるので、その弾性回復によって定着ベルトからの定着分離性を確保するとともに十分な耐ドキュメントオフセット性が得られる。
また、ウレタン結合でポリエステルを架橋させることで、弾性成分が増し、ニップ後の弾性回復で光沢度が低下する。すなわち、架橋性により、樹脂の硬さを調整することで、光沢度が低下する。架橋構造がなければ、ニップ中十分溶融させると、弾性回復が少ないため、光沢度が高くなる。所望の光沢度(紙の光沢度〜紙の光沢度+20)よりも高い光沢度になる。ウレタン結合の濃度を制御することで、弾性回復の起こりやすさを制御し、その結果光沢度を適切な範囲に制御できる。
ウレタン基分子量の全分子量に対する比率は1%〜10%、好ましくは1%〜5%である。
比率が高ければ、弾性が高くなり、光沢度が下がり、比率が低ければ弾性が低くなり光沢が上がる。
〈3〉ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の合成方法
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、あらかじめ、結晶性重合セグメントとなる、両末端にヒドロキシ基を有するプレポリマー(後述の結晶性ポリエステルジオールなど)、及び、末端にイソシアネート基を有するポリウレタンユニットを、それぞれ合成し、両者を混合して反応させる(合成反応A)ことによって、合成することができる。
また、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂は、まず、結晶性重合セグメントとなる、両末端にヒドロキシ基を有するプレポリマー(後述の結晶性ポリエステルジオールなど)を合成し、次いで、当該プレポリマーの両末端のヒドロキシ基に多価イソシアネート化合物のみ、又は、多価イソシアネート化合物及び多価アルコールを反応させる(合成反応B)ことによってウレタン重合セグメントを形成することにより、合成することもできる。
上記の合成反応Aは、両末端にヒドロキシ基を有するプレポリマー及び末端にイソシアネート基を有するポリウレタンユニットをともに溶解することができる溶媒中で行う。同様に、上記の合成反応Bは、両末端にヒドロキシ基を有するプレポリマーと多価イソシアネート化合物及び多価アルコールを溶解することができる溶媒中で行う。
このような反応溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒を挙げることができる。反応溶媒は、副反応を防ぐために脱水精製したものであることが好ましい。
また、上記の合成反応A及びBは、合成反応を促進するために加温下で行うことが好ましい。反応温度としては、溶媒の沸点によっても異なるが、50〜80℃の範囲内とすることが好ましい。
〈ウレタン重合セグメント〉
ウレタン重合セグメントは、多価アルコールと多価イソシアネートとから得られるものである。ウレタン重合セグメントを形成するために用いることのできる多価アルコールとしては、上述と同様のものを用いることができる。
ウレタン重合セグメントを形成するための多価アルコールは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ウレタン重合セグメントを形成するために用いることのできる多価イソシアネートとしては、炭素数6〜20(ただし、NCO基中の炭素は除く)の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物などが挙げられる。
ウレタン重合セグメントを得るためのジイソシアネート成分としては、上記のジイソシアネートとともに3価以上のポリイソシアネートを用いてもよい。
ウレタン重合セグメントを形成するための多価イソシアネートは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4′−及び/又は4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートは、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α、α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートの変性物としては、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレシイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基による変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、ウレタン変性TDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
結晶性を得るためには、脂肪族イソシアネートが好ましい。
結着樹脂におけるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の含有割合は、10〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
結着樹脂におけるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の含有割合が10質量%以上であることにより、十分な低温定着性を確実に得ることができる。また、結着樹脂におけるウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の含有割合が50質量%以下であることにより、耐熱保管性が得られる。
〔離型剤〕
離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知の種々のものを用いることができ、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量部の範囲内である。離型剤の含有割合が上記範囲内であることにより、十分な定着分離性が得られる。
離型剤のトナー粒子への導入方法としては、後述のトナーの製造方法の凝集、融着工程において、離型剤のみよりなる微粒子を非晶性樹脂微粒子、結晶性樹脂微粒子などとともに水系媒体中で凝集、融着する方法が挙げられる。離型剤微粒子は、離型剤を水系媒体に分散させた分散液として得ることができる。離型剤微粒子の分散液は、界面活性剤を含有する水系媒体を離型剤の融点以上に加熱し、溶融した離型剤溶液を加えて機械的撹拌などの機械的エネルギーや超音波エネルギーなどを付与して微分散させた後、冷却することによって調製することができる。
また、非晶性樹脂が、例えば、スチレン・アクリル樹脂などである場合には、凝集、融着工程に供される非晶性樹脂微粒子(スチレン・アクリル樹脂微粒子)に離型剤をあらかじめ複合させておくことによって、当該離型剤をトナー粒子へ導入することもできる。具体的には、スチレン・アクリル樹脂を形成するための重合性単量体の溶液に離型剤を溶解させ、これを、界面活性剤を含有する水系媒体中に加え、上記と同様に機械的撹拌などの機械的エネルギーや超音波エネルギーなどを付与して微分散させた後、重合開始剤を加えて所望の重合温度で重合を行う、いわゆるミニエマルション重合法によって、離型剤を含有する非晶性樹脂微粒子の分散液を調製することができる。
〔着色剤〕
着色剤としては、一般に知られている染料及び顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができる。
具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:2、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができる。
染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量部の範囲内である。
〔トナー粒子を構成する他の成分〕
本発明に係るトナー母体粒子中には、結着樹脂、着色剤及び離型剤の他に、必要に応じて荷電制御剤などの内添剤が含有されていてもよい。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部の範囲内とされる。
(多価金属イオン)
トナー粒子は、結着樹脂をイオン架橋する多価金属イオンを含有し、トナー粒子中の多価金属イオンの含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内にあることが好ましく、0.05〜0.20質量%の範囲内がより好ましく、0.05〜0.15質量%の範囲内がさらに好ましい。
トナー粒子が含有する多価金属イオンには、トナーの製造に使用される凝集剤に由来の金属元素、ポリエステル樹脂の合成に使用されるエステル化触媒に由来の金属元素等があるが、そのうち、凝集剤に由来の多価金属イオンが結着樹脂をイオン架橋する多価金属イオンで、Al、Mg又はCaの多価金属イオンであることが好ましい。
凝集剤に由来の多価金属イオンの含有量は、結着樹脂のイオン架橋度を表し、含有量が多いほどイオン架橋度も大きくなって、トナーが溶融しにくくなることから、多価金属イオンの含有量により加熱時のトナーの溶融性を制御することができる。
イオン架橋が大きくなると、ニップ後の弾性回復が大きくなり、光沢は下がる。イオン架橋か小さくなると、ニップ後の弾性回復が小さくなり、光沢は上がる。
トナー粒子中の多価金属イオンの含有量は、酸分解:誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES:Inductively Coupled Plasma− Optical Emission Spectrometry)により、次のようにして測定することができる。
試料(トナー)3質量部をポリオキシエチルフェニルエーテルの0.2質量%水溶液35質量部に添加して分散させる。この分散液を、超音波ホモジナイザーUS−1200T(日本精機製作所社製)により25℃で5分間処理し、外添剤をトナー表面から取り除いて測定用の試料を得る。
次いで、上記試料100mgを密閉式マイクロ波分解装置ETHOS1(マイルストーンゼネラル社製)にセットし、硫酸、硝酸による分解を行う。このとき、未分解物がある場合は塩酸、フッ化水素酸、過酸化水素等を用いて目的成分を溶出させた。分解液は超純水を用いて適宜希釈する。試薬は、関東化学社製の超高純度試薬を用いる。
高周波誘導結合プラズマ発光分析装置SPS3520UV(エスアイアイナノテクノロジー社製)に、上記前処理を施した試料をセットし、結着樹脂のイオン架橋に寄与する多価金属イオンの含有量を測定する。このとき、目的の金属元素の波長を検出波長とする。 なお、検量線は、試料を含まない分解液に、関東化学社製の各元素の原子吸光用標準液を添加し、試料液と同じ酸濃度になるように調整した溶液を用いて調製する。
(外添剤)
本発明に係るトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを向上させるために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して、本発明に係るトナーを構成してもよい。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、又は、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
(現像剤)
本発明に係るトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15〜100μmの範囲内のものが好ましく、25〜80μmの範囲内のものがより好ましい。
〔トナー粒子の平均粒径〕
本発明に係るトナー粒子は、平均粒径が、例えば、体積基準のメジアン径で3〜9μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、例えば、後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、試料(トナー粒子)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を調製し、このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナー粒子の平均円形度〕
本発明に係るトナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、試料(トナー粒子)を界面活性剤入り水溶液に縣濁させ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより、平均円形度が算出される。
式(T) 円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
〔トナー貯蔵弾性率の測定〕
本発明においては、本発明に係るトナーの貯蔵弾性率G´が1×10Paになる温度が、110℃以下であることが好ましい態様である。
本発明において、トナーの貯蔵弾性率G´は、下記の方法に従って求めることができる。
トナーの貯蔵弾性率G´は、粘弾性測定装置(レオメーター)「RDA−II型」(レオメトリックス社製)を用い、下記の条件で測定を行う。
測定治具:直径10mmのパラレルプレートを使用する。
測定試料:トナーを加熱・溶融後に直径約10mm,高さ1.5〜2.0mmの円柱状試料に成型して使用する。
測定周波数:6.28ラジアン/秒
測定歪の設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行う。
試料の伸長補正:自動測定モードにて調整。
測定周波数:6.28ラジアン/秒、
測定開始温度:30℃、
測定終了温度:200℃、
昇温条件:2℃/min、とした
〔トナー軟化点〕
トナーの軟化点(Tsp)は、90〜110℃であることが好ましい。
軟化点(Tsp)が上記範囲であることにより定着時にトナーに加わる熱の影響をより低減させることができる。従って、着色剤に負担をかけずに画像形成が行えるので、より広く安定した色再現性を発現させることが期待される。
トナーの軟化点(Tsp)は、例えば、以下の方法を単独で、又は、組み合わせることにより制御することができる。すなわち、
(1)結着樹脂を形成すべき重合性単量体の種類や組成比を調整する。
(2)連鎖移動剤の種類や添加量により結着樹脂の分子量を調整する。
(3)ワックス等の種類や添加量を調整する。
トナーの軟化点(Tsp)は、「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより1.96×106 Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、最初に流出する温度を溶融開始温度、降下量5mmに対する温度を軟化点温度とする方法により測定されるものである。
〔トナーの製造方法〕
本発明において、トナーを製造する方法としては、混練・粉砕法、乳化分散法、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、画像の高画質化を達成するために小粒径化されたトナーを得る必要があることを考慮して、製造コスト及び製造安定性の観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂よりなる微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう)の分散液を、着色剤よりなる微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径及び粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナーを製造する方法である。
トナーを製造する方法において、乳化重合凝集法を用いる場合に形成させる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の構成とすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した第1結着樹脂微粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
また、トナーはコア・シェル構造として構成されていてもよく、このコア・シェル構造のトナーの製造方法は、コア用の結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを会合、凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層を形成するためのシェル用結着樹脂微粒子を添加して、コア粒子表面にこのシェル用結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
トナーがコア・シェル構造である場合において、その製造方法について、以下説明する。
(1)着色剤が微粒子状に分散された着色剤微粒子の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2−1)主ワックス及び内添剤などを含有したコア用の結着樹脂よりなるコア用結着樹脂微粒子を得て、この分散液を調製するコア用結着樹脂微粒子重合工程、
(2−2)シェル用の結着樹脂よりなるシェル用結着樹脂微粒子を得て、この分散液を調製するシェル用結着樹脂微粒子重合工程、
(3)コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で凝集、融着させてコア粒子となるべき会合粒子を形成する凝集・融着工程、
(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、コア粒子を得る第1の熟成工程、
(5)コア粒子の分散液中に、シェル層を形成すべきシェル用結着樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面に当該シェル用結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造の粒子を形成するシェル層形成工程、
(6)コア・シェル構造の粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、コア・シェル構造のトナー粒子を得る第2の熟成工程、
(7)冷却されたトナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を固液分離し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去するろ過、洗浄工程、
(8)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程から構成され、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤処理工程を加えてもよい。
〈各製造法工程の詳細〉
(1)着色剤微粒子分散液調製工程
この着色剤微粒子分散液調製工程においては、水系媒体中に着色剤を添加して分散機によって分散処理することにより、着色剤が微粒子状に分散された着色剤微粒子の分散液を調製する処理が行われる。具体的には、着色剤の分散処理は界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態の水系媒体中で行われる。分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミルなどの媒体型分散機が挙げられる。
この着色剤微粒子分散液における着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で40〜200nmであることが好ましい。
この着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150(HONEYWELL社製)」を用い、下記測定条件下により測定されるものである。
・サンプル屈折率 1.59
・サンプル比重 1.05(球状粒子換算)
・溶媒屈折率 1.33
・溶媒粘度 0.797(30℃)、1.002(20℃)
・0点調整 測定セルにイオン交換水を投入し調整した。
(2−1)コア用結着樹脂微粒子重合工程
このコア用結着樹脂微粒子重合工程においては、重合処理を行って主ワックス及び内添剤などを含有したコア用の結着樹脂よりなるコア用結着樹脂微粒子の分散液を調製する処理が行われる。
この工程における重合処理の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、必要に応じて主ワックス及び内添剤などが含有された重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性の重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。この様な工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的な乳化(液滴の形成)を行う処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
〈界面活性剤〉
ここで、上記着色剤微粒子分散液やコア用結着樹脂微粒子の重合時に使用する水系媒体に用いられる界面活性剤について説明する。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
以下、コア用結着樹脂微粒子重合工程で使用される重合開始剤及び連鎖移動剤について説明する。
〈重合開始剤〉
水溶性の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などを挙げることができる。
また、油溶性重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などが挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
得られるコア用の結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、及び、α−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(2−2)シェル用結着樹脂微粒子重合工程
このシェル用結着樹脂微粒子重合工程においては、上記(2−1)のコア用結着樹脂微粒子重合工程と同様に重合処理を行って、シェル用の結着樹脂よりなるシェル用結着樹脂微粒子の分散液を調製する処理が行われる。
(3)凝集・融着工程
この凝集・融着工程においては、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で凝集、融着させてコア粒子となるべき会合粒子を形成する処理が行われる。この工程における凝集、融着の方法としては、(1)の着色剤微粒子分散液調製工程により得られた着色剤微粒子、及び、(2−1)のコア用結着樹脂微粒子重合工程により得られたコア用結着樹脂微粒子を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、コア用結着樹脂微粒子や着色剤微粒子とともにワックス微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
ここで、「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
塩析/融着法は、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩などからなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、コア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子の融解ピーク温度以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に凝集・融着を行うものである。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
(3)の凝集・融着工程を塩析/融着によって行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくともコア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度がコア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以上であると、コア用結着樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては結着樹脂のガラス転移点以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤をコア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、コア用結着樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ、コア用結着樹脂微粒子と着色剤微粒子の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確ではないが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。以上の塩析/融着法により、コア用結着樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
また、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、生成される樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。 (4)第1の熟成工程
この第1の熟成工程においては、会合粒子を熱エネルギーにより熟成させる処理が行われる。そして、上記(3)凝集・融着工程の加熱温度や、特に、(4)第1の熟成工程の加熱温度と時間を制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成されたコア粒子表面が平滑だが均一的な形状を有するものになる様に制御することができる。具体的には、上記(3)凝集・融着工程で加熱温度を低めにしてコア用結着樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル層形成工程
このシェル層形成工程においては、コア粒子の分散液中にシェル用結着樹脂微粒子の分散液を添加してコア粒子の表面にシェル用結着樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル用結着樹脂微粒子を被覆させてコア・シェル構造の粒子を形成するシェル化処理が行われる。
このシェル層形成工程は、低温定着性と耐熱保存性の両方の性能を付与するための好ましい製造工程である。また、カラー画像を形成する場合に、二次色について高い色再現性を得るために、このシェル層形成を行うことが好ましい。
具体的には、コア粒子の分散液を、上記(3)凝集・融着工程及び上記(4)第1の熟成工程における加熱温度を維持した状態で、シェル用結着樹脂微粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用結着樹脂微粒子をコア粒子表面に被覆させてコア・シェル構造の粒子を形成させる。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
(6)第2の熟成工程
この第2の熟成工程においては、上記(5)シェル層形成工程によりコア・シェル構造の粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用結着樹脂微粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、コア粒子の表面を被覆するシェル用結着樹脂微粒子による層の厚さを100〜300nmとする。このようにして、コア粒子の表面にシェル用結着樹脂微粒子を固着させてシェル層を形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃ったコア・シェル構造のトナー粒子が形成される。
(7)ろ過、洗浄工程
このろ過、洗浄工程においては、先ず、トナー粒子の分散液を冷却する処理が行われる。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却することが好ましい。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
次いで、所定温度まで冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離し、その後、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にあるトナー粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理が行われる。ここで、ろ過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧ろ過法、フィルタープレス等を使用して行うろ過法など特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この乾燥工程においては、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥する処理が行われる。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添処理工程
この外添処理工程においては、上記(8)乾燥工程で乾燥処理されたトナー粒子に対して外添剤を添加する処理が行われる。外添剤の添加方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を用いて添加することができる。
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法は、本発明で規定する透過率特性を有する静電荷像現像用トナーを用い、少なくとも、前記静電荷像現像用トナーを使用する画像形成部と、記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する加熱部材と加圧部材で構成される第1定着部と、前記定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ、指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する構成からなる画像形成装置とを用いて画像を形成することを特徴とする。
本発明の画像形成方法では、具体的には、例えば、下記(1)及び(2)の方法などが挙げられる。
(1)静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像することによって形成されるトナー画像を画像支持体に直接転写する工程と、画像支持体上に担持されたトナー画像を加熱定着する工程とを経ることにより画像を形成する、いわゆる直接転写方式の画像形成方法。
(2)静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像することによって形成されるトナー画像を中間転写体に転写する工程と、中間転写体上に転写されたトナー画像を画像支持体に転写する工程と、画像支持体に担持されたトナー画像を加熱定着する工程とを経ることにより画像を形成する、いわゆる中間転写方式の画像形成方法。
本発明においては、上記(2)項に係る中間転写方式の画像形成方法が、より好ましい態様であり、以下(2)項を主体に画像形成方法を説明する。
〔画像形成装置の全体概要〕
はじめに、中間転写方式の画像形成装置の全体構成について、図を交えて説明する。
図6は、中間転写方式の画像形成装置の一例である多機能プリンタ−(MFP)の構成を模式的に示す図である。
図6において、画像形成装置であるMFP500は、制御部100と画像形成部200とを有している。画像形成部200は、典型的には、スキャナーユニット800がプリント対象の原稿の内容を光学的に読取って得られる画像情報に基づいて、給紙カセット111に装填されている記録媒体P(用紙Pともいう)に対して、カラーもしくはモノクロの画像を形成する。スキャナーユニット800には、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)900が連結されており、このADF900からプリント対象の原稿が順次搬送されるようになっている。
より具体的には、画像形成部200は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の別に、プロセスユニット30C、30M、30Y、30K(以下、「プロセスユニット30」とも総称する。)を含む。各色のプロセスユニット30は、転写ベルト108の移動方向に沿って配列されており、対応する色のトナー画像を転写ベルト8上に順次形成する。
プロセスユニット30C、30M、30Y、30Kは、それぞれ、1次転写ローラー10C、10M、10Y、10K(以下、「1次転写ローラー10」とも称す。)と、感光体11C、11M、11Y、11K(以下、「感光体11」とも総称する。)と、現像ローラー12C、12M、12Y、12K(以下、「現像ローラー12」とも総称する。)と、プリントヘッド13C、13M、13Y、13K(以下、「プリントヘッド13」とも総称する。)と、帯電チャージャー14C、14M、14Y、14K(以下、「帯電チャージャー14」とも総称する。)と、トナーユニット15C、15M、15Y、15K(以下、「トナーユニット15」とも総称する。)が具備されている。
各プロセスユニット30は、操作パネル300などに対するユーザーの操作に応じたプリント要求を受取ると、プリントすべき画像を構成する各色のトナー画像を感光体11上に形成するとともに、他のプロセスユニット30とタイミングを合わせて、当該形成した各色のトナー画像を転写ベルト8上に転写する。このとき、1次転写ローラー10が対応する感光体11上のトナー画像を転写ベルト8へ移動させる。
各プロセスユニットでは、帯電チャージャー14が回転する感光体11の表面を帯電させるとともに、プリントヘッド13がプリントすべき画像情報に従って、感光体11の表面を露光する。これにより、感光体11の表面には、形成すべきトナー画像を表わす静電潜像が形成される。その後、現像ローラー12が、感光体11の表面に対して、トナーユニット15のトナーを供給する。これにより、感光体11上に、トナー画像として、静電潜像が現像される。その後、1次転写ローラー10が、駆動モーター109によって回転する転写ベルト108上に、各感光体11の表面に現像されたトナー画像を順次転写する。これにより、各色のトナー画像が重ね合わされて、用紙Pに転写すべきトナー画像が形成される。
画像形成部200は、プリントされるトナー画像の濃度を安定化させるために、転写ベルト108上のトナー濃度を検出するための濃度センサー31を含む。
当該濃度センサー131を用いた画像安定化制御として、転写ベルト108上に現像器の現像出力を変えて、トナー濃度を変え印字したトナー濃度検出用パッチを数パッチ形成する。画像形成部200は、濃度センサー131を用いてトナー濃度を検出し、その結果に応じて、現像器の現像出力にフィードバックを行うことにより、印字時に常に安定したトナー濃度を得ることが可能である。装置本体のメインスイッチがオンした場合、トナーカートリッジが交換された場合、所定枚数を印字した場合等に画像安定化制御を実行することが可能である。
画像形成部200は、給紙カセット111を有している。給紙カセット111では、給紙ローラー111Aが、給紙カセット111に装填されている用紙Pを取り出す。この取り出された用紙Pは、搬送ローラー174などによって搬送経路113に沿って搬送される。搬送ローラー174は、用紙Pをタイミングセンサーに到達した位置で待機させる。その後、搬送ローラー174は、転写ベルト108上に形成されたトナー画像が2次転写ローラー5に到達するタイミングに合わせて、用紙Pを2次転写ローラー105へ搬送する。
2次転写ローラー105及び対向ローラー106により、転写ベルト108上のトナー画像が用紙Pへ転写される。典型的には、2次転写ローラー105にトナー画像の有する電荷に応じた所定の電位(例えば、約+2000V)を印加しておくことで、転写ベルト108上のトナー画像が2次転写ローラー105側へ電気的に引き寄せる力が生じ、これにより、トナー画像の用紙Pへの転写が行われる。
さらに、用紙Pへ転写されたトナー画像は、定着ベルト605及び加圧ローラー609等を含む定着装置(後述する図7〜図9に記載の定着ユニット60)において処理されることにより、用紙Pに定着する。トナー画像が定着した用紙Pは、排紙トレイに出力される。これにより、一連のプリントプロセスは完了する。MFP500において、定着ベルト605は定着部材の一例であり、加圧ローラー609は加圧部材の一例である。
搬送経路113に沿って、平滑度センサー166が設けられている。平滑度センサー166は、搬送経路113上の用紙Pの表面の平滑度を検出し、制御部100へ出力する。MFP500は、平滑度センサー166として、空気漏洩式を含むいかなる方式のセンサーを備えることができる。
〔定着装置〕
次いで、本発明の画像形成システムにおいて、光沢度を制御する主要な構成要素である定着装置について、その詳細を説明する。
本発明の画像形成システムにおいて、定借装置として、トナー画像の光沢度を制御する手段として、指定された画像の光沢度に従い、ニップ後の冷却速度を制御する冷却速度制御手段を有することを特徴とする。
前述のように、ニップ後の冷却速度の制御する手段としては、
冷却速度の制御手段A)第1定着部を構成する前記加圧部材の温度を下げて光沢度を制御する手段(実施形態1)、
冷却速度の制御手段B)第1定着後に、記録媒体を加熱する手段を有し、加熱量を制御することで光沢度を制御する手段(実施形態2)、
冷却速度の制御手段C)第1定着部の後に、記録媒体を冷却する冷却手段(実施形態3)、
が挙げられる。
(代表的な冷却速度制御手段を具備した定着装置の構成)
〈冷却速度の制御手段A及び制御手段Bの適用例〉
図7は、冷却速度の制御手段A及び冷却速度の制御手段Bを具備した定着ユニット60とその近傍の構成を模式的に示す図である。
図7に示されるように、定着ユニット60は、加熱部60Aと加圧部60Bとを含む。加熱部60Aは、加熱ローラー601と定着ローラー602とを含む。加熱ローラー601と定着ローラー602には、定着ベルト605が張架されている。図8では、説明を容易にするために、加熱ローラー601と定着ローラー602との配列が、図7に対して時計回りに90度回転された状態で示されている。
加熱ローラー601の内部には、ヒーター63が収容されている。ヒーター63は、定着ベルト605の表面を加熱する。加熱の温度は、トナーの特性により異なるが、おおむね、80〜250℃の範囲内である。定着ベルト605の表面には、図7では図示されていない温度センサーが設けられている。MFP500では、当該温度センサーによって定着ベルト605の温度がモニターされ、この温度は図示されていない温度制御回路にフィードバックされる。これにより、定着ベルト605は、所定の温度に制御される。
定着ローラー602では、金属の円筒状基体607が、ゴム606によって被覆されている。ゴムは、耐熱性を有する。ゴムの材料は、例えば、シリコーンゴム又はフッ素ゴムである。ゴム硬度は、5〜50度程度である。ゴムの厚さは、例えば、1〜50mm程度である。ゴム表面の離型性を上げるため、定着ローラー602の円筒状基体607を被覆する素材は、フッ素系の樹脂等であっても良い。
定着ベルト605は、例えば、金属又は樹脂等の基体にゴム層を被覆し、さらに、ゴム層の表面に離型層が設けられることによって形成される。基体が樹脂によって構成される場合、当該樹脂は、ポリイミド等の耐熱性の高い樹脂であることが好ましい。ゴム層は、耐熱性の高いシリコーンゴム又はフッ素ゴムによって構成されることが好ましい。ゴム層の厚さは、例えば、0.1〜5mm程度である。ゴム硬度は、例えば、5度〜50度程度である。離型層は、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)又はPTFA(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂によって構成される。
定着ベルト605のMD−1硬度(typeC)は、85°以上95°以下が好ましい。MD−1硬度が85°未満では、凹凸部境界面への接触面積が大きくなり、画像乱れが発生する可能性が高くなる。さらに、85°未満では、定着ベルト605の耐久性も悪化し得る。MD−1硬度が95°を超えると、凸部への接触面積が減り、定着強度が悪化するおそれがある。
加圧部60Bは、主に、加圧ローラー609によって構成される。加圧ローラー609では、金属の円筒状基体609Aが、ゴム609Bによって被覆されている。ゴム609Bは、例えば、シリコーン系、フッ素系等の耐熱性の高いゴムである。ゴム609Bの厚さは、例えば、0.1〜20mm程度である。ゴム609Bの硬度は、例えば、5〜50度程度である。ゴム609Bの表面には、離型層が設けられることが好ましい。
加圧部60Bを速く加熱するために、加圧ローラー609の内部に熱源(ヒーター)が設置されても良い。
定着ユニット60は、定着ローラー用モーターと加圧ローラー用モーターとを含む。定着ローラー用モーターは、定着ローラー602を回転駆動する。定着ローラー用モーターとして、例えば、サーボモーターが実装される。矢印DR1は、定着ローラー602が回転する向きを示す。
加圧ローラー用モーターは、加圧ローラー609を回転駆動する。加圧ローラー用モーターとして、例えば、パルスモーターが実装される。矢印DR2は、加圧ローラー609が回転する向きを示す。
定着ベルト605は、加圧ローラー609と当接する。定着ベルト605と加圧ローラー609とが当接する部分は、用紙Pの搬送経路113の一部を構成する。当該部分では、用紙P上に形成されたトナー画像が定着される。本発明でいうでは、定着ベルト605と加圧ローラー609とが当接する部分を、「ニップ部」ともいう。MFP500では、ニップ部において用紙に加えられる荷重は、例えば、1500N〜5000N程度である。
定着部では、さらに、下流側には、制御手段Bに相当する記録媒体Pを加熱する非接触加熱手段610(例えば、補助ヒーター)が配置されている。非接触加熱手段610は、定着ユニット60で画像を定着された用紙Pを加熱する。一例としては、非接触加熱手段610として補助ヒーターを用い、非接触で用紙Pを加熱する。非接触加熱手段610は、例えば、定着ユニット60のニップ部から20mm離間した位置から、用紙Pの再加熱を開始できるように、配置される。
MFP500は、さらに、温度センサー622が設置されている。温度センサー622は、非接触加熱手段610と対向する部分から排出された直後の位置(位置P2)にある用紙Pの表面温度を検出する。位置Pはニップ出口から2秒後に紙が到達する位置で、その表面温度Temp2を測定する。
非接触加熱手段610として、加熱手段を適用する場合には、例えば、複数個のハロゲンランプ6を配置し、ハロゲンランプの点灯数とランプの輻射熱温度により、Temp2の温度を制御することができる。
また、図7で示すように、冷却速度の制御手段Aとして、加圧ローラー609の表面を冷却するための冷却ファン630を具備してもよい。ニップ時の加圧ローラーの温度を変えることにより、ニップ後のトナーの冷却速度が変化する。その理由は、ニップ時間が短いために、ニップ出口では記録媒体Pの表裏温度差が大きく、加圧温度を下げると紙裏面温度が低くなり、より表裏温度差が大きくなる。その結果、ニップ後に記録媒体Pの表面から裏面に熱が流れるため、トナー表面の温度が急速に低下する。
図8には、冷却速度の制御手段Aである加圧ローラー609を冷却する手段として、図7で説明した冷却ファン630に代えて、冷却ローラー631を適用した例を示してある。
冷却ローラー631を加圧ローラー609に直接当接する様に配置することにより、加圧ローラー609の冷却が可能となり、例えば、50℃程度まで冷却することができる。冷却ローラー631は、例えば、ローラー内部に冷媒、例えば、冷却水を循環させることにより、冷却操作を行うことができる。
〈冷却速度の制御手段Cの適用例〉
図9は、ニップ部の下流側に、非接触冷却手段611を設置した定着ユニット60とその近傍の構成を模式的に示す図である。
図9に示す定着ユニット60には、図7及び図8で示したような冷却手段(冷却ファン630や冷却ローラー631)を設けずに、ニップ部の下流側に、非接触加熱手段610に代えて、冷却速度の制御手段Cとして非接触冷却手段611を設置した例を示してある。非接触冷却手段611は、具体的には、冷風機により構成され、冷媒を介して温度調整された冷風を、定着後のトナー画像TN表面に吹き付けて、2秒後の温度(Temp2)を制御する方法である。
冷却速度の制御手段Cとしては、上記説明した非接触冷却手段611のほかに、トナー画像TNを保持している記録媒体Pの裏面側に、直接、冷却ローラーや冷却ベルトを当接して温度を制御する方法であってもよい.
〈光沢度を制御する冷却速度と光沢度と相関関係を示すテーブルの作成〉
本発明において、図7及び図8で例示したように、冷却速度の制御手段Aである加圧ローラー609の温度を変える手段と、冷却速度の制御手段Bである加熱を行う非接触加熱手段610である手段を組み合わせた方法、又は、図9で例示したような非接触冷却手段611を設置した冷却速度の制御手段Cを用いて、冷却速度を制御することができる。
上記各冷却速度を制御する手段の中でも、ニップ後のトナーの冷却速度を最も効率的に制御する方法としては、冷却速度の制御手段A又は冷却速度の制御手段B、又は図7ですように冷却速度の制御手段Aと冷却速度の制御手段Bの組み合わせが有効であり、これらを組み合わせることにより、ニップの2秒後(P2)におけるトナー画像の温度(Temp2)を制御することができ、その結果、Temp2と光沢度の相関関係を予め測定して作成したテーブルに基づき、所望の光沢度に設定することができる。
図10は、上記方法で予め求めた光沢度と、Temp2における温度の関係を求めたグラフである。
例えば、冷却速度の制御手段Aである加圧ローラー609の温度を変える手段と、ニップ後の下流に設置した非接触加熱手段610との設定条件の組み合わせにより得られるTemp2における温度と、得られる光沢度の関係をグラフ化する。具体的な温度条件等については、実施例に記載する。
このような代表的な2つの冷却速度の制御手段を組み合わせることにより、Temp2として40〜120℃の範囲内での光沢度の制御が可能となる。この温度Temp2は、図で示すように、非接触温度計を設置して測定する。なお、非接触式温度計の設置位置は、適用するシステムの搬送速度により適宜変更する。
上記の方法に従って、光沢度とTemp2における温度の相関関係を示すテーブルを作成することで、例逆速度を適宜制御することにより、所望の光沢度を設定できる。
以上のようなシステムにおいては、トナーの貯蔵弾性率G´が1×10Paになる温度が110℃以下であることが好ましい態様である。ニップ中のトナー温度は記録媒体の種類によっても異なるが、その中心条件で設定することが好ましく、その中心条件はレオメーターで得られる貯蔵弾性率G´の値が1×10Paになる温度であることが好ましい。
すなわち、前記図5で説明したように、第1定着工程において、定着部材である加熱ローラー3と加圧ローラー4が離間するときの温度をTemp0とし、ニップ出口から2秒後の温度をTemp2とすると、トナー画像TNが定着強度を保てる標準の定着条件では、Temp0はトナーの粘弾性により決定される。このTemp0は、レオメーター測定における貯蔵弾性率G´=1×10になる温度に相当する。したがって、Temp2は40〜120℃の範囲で制御することができ、40℃の時は急冷であり、110℃の時は徐冷となる。
〔MFPのハードウェアーの構成〕
図11は、MFP500のハードウェアー構成を模式的に示す図である。
図11に示されるように、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を具備している。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMl03に展開し、展開したプログラムと協働してMFP500の各ブロックの動作を制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)又はハードディスクドライブで構成されている。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)との間で、各種のデータを送受信する機能を有している。この制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データに基づいて記録媒体Pにトナー画像TNを形成する。通信部71は、例えば、LANカード等の通信制御カードで構成されている。
スキャナーユニット800には、ADF900(図6参照)及びスキャナーを具備している。ADF900は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。スキャナーは、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
スキャナーユニット800のスキャナーは、ADF900からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。スキャナーユニット800は、スキャナーによる読取結果に基づいて画像データを生成する。この画像データには、画像処理部310において所定の画像処理が施される。
操作パネル300は、例えばタッチパネル付のユニットによって実現され、表示部301及び操作部302として機能する。表示部301は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)によって実現され、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部302は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーと、タッチパネル内のタッチセンサーとによって実現される。操作部302は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部310は、画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部310は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行い、入力画像データに対する各種の処理(階調補正、色補正、シェーディング補正、等の各種補正処理、及び、圧縮処理、を含む)を実行する。制御部100は、これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部200を制御する。
定着ユニット60は、さらに、加圧ローラー609と定着ベルト605との距離を調節するための駆動モーター640を具備している。駆動モーター640は、例えば、加圧ローラー609を変位させる機能を備えている。
定着ユニット60において、定着ローラー用モーター61、加圧ローラー用モーター62、駆動モーター640、ヒーター63、及び、補助ヒーター610は、制御部100によって制御される。
温度センサー64は、定着ベルト605の表面に設けられている。温度センサー621は、加圧ローラー609の表面に設けられている。温度センサー64及び温度センサー
621は、それぞれ、その検出出力を制御部100へと出力する。
〈光沢度制御のフロー〉
図12は、MFP500における記録媒体上にトナー画像を形成するためにCPU101が実行する処理の一例のフローチャートである。
ステップS10において、CPU101は、プリント要求(例えば、印刷ジョブの開始指示の入力)があったか否かを判断する。CPU101は、当該指示があったと判断するとステップS12へ制御を進め(ステップS10にてYES)、そうでなければステップS20へ制御を進める(ステップS10にてNO)。なお、CPU101は、印刷開始の指示が光沢度の設定を含む場合には、ステップS22へ制御を進め、ステップS22及びS24の制御を実行した後、ステップS12へ制御を進めてもよい。
ステップS12にて、CPU101は、プロセスユニット30C、30M、30Y、30Kを制御して、記録媒体P(用紙p)上に画像を形成する。
ステップS14にて、CPU101は、定着ユニット60を制御することにより、記録媒体P上に形成された画像を定着ユニット60にて定着させる。
ステップS20にて、CPU101は、光沢度の設定を受け付けたか否かを判断する。
MFP500では、プリント要求ごとに光沢度が設定される場合もあれば、デフォルトの設定として光沢度が設定される場合もある。ステップS20では、デフォルトの設定としての光沢度の設定の有無が判断される。CPU101は、光沢度の設定が要求されたと判断するとステップS22へ制御を進め(ステップS20にてYES)、そうでなければステップS10へ制御を戻す(ステップS20にてNO)。なお、CPU101は、上記のように、ステップS10において受け付けられたプリント要求が光沢度の設定を含む場合には、ステップS22へ制御を進めてもよい。
ステップS22にて、CPU101は、光沢度の設定を取得する。
ステップS24にて、CPU101は、ステップS22にて取得した設定に対応するプロセス条件を取得し、当該条件に従った制御を実現する。プロセス条件の一例は、加圧部材である加圧ローラー609の温度制御、下流部に配置している非接触加熱手段610や非接触冷却手段611の条件(温度)制御である。他の例としては、ニップ部において記録媒体Pを挟持する圧力である。CPU101は、例えば、駆動モーター640を制御することにより定着ベルト605と加圧ローラー609との距離を調整し、これにより、ニップ部における挟持圧力を制御する。
ステップS24の制御の後、CPU101は、プリント要求に応じて記録媒体P上でのトナー画像の形成及び当該画像の定着を実行する。これにより、上記プロセス条件に従った環境下で、所望の光沢度を有するトナー画像を形成された印刷物が生成される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。
《各構成材料の調製》
トナーの調製に用いる各構成材料を、以下のように調製した。
〔非晶性ビニル樹脂粒子分散液X1の調製〕
(1)第1段重合:樹脂微粒子の分散液a1の調製
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該反応容器の内温を80℃に昇温させた。昇温後、得られた混合液に過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、得られた混合液の温度を再度80℃とした。当該混合液に、下記組成からなる単量体混合液1を1時間かけて滴下後、80℃にて前記混合液を2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液a1を調製した。
〈単量体混合液1の調製〉
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、当該溶液を80℃に加熱後、80質量部の上記調製した樹脂微粒子の分散液a1(固形分換算)と、下記組成からなる単量体及び離型剤を90℃にて溶解させた単量体混合液2とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製、「CLEARMIX」は同社の登録商標)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。下記ベヘン酸ベヘニルは、離型剤であり、その融点は73℃である。
〈単量体混合液2の調製〉
スチレン 285質量部
n−ブチルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
ベヘン酸ベヘニル 190質量部
〈樹脂微粒子の分散液a2の調製〉
次いで、前記単量体混合液2に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、得られた分散液を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液a2を調製した。
(3)第3段重合
さらに、樹脂微粒子の分散液a2にイオン交換水400質量部を添加し、十分に混合した後、得られた分散液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、前記分散液を2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ビニル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)からなる非晶性ビニル樹脂粒子分散液X1を調製した。
(単量体混合液3)
スチレン 307質量部
n−ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
得られた非晶性ビニル樹脂粒子分散液X1について物性を測定したところ、非晶性樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(d50)は220nmであり、ガラス転移温度(Tg)は46℃であり、重量平均分子量(Mw)は32000であった。
〔結晶性ポリエステル樹脂(無変性脂肪族ポリエステル樹脂)分散液CP1の調製〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、多価カルボン酸であるセバシン酸300質量部及び多価アルコールである1,6−ヘキサンジオール170質量部を仕込み、撹拌しながら1時間かけて内温を190℃にまで昇温させた。均一に撹拌された状態であることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4を、多価カルボン酸の仕込み量に対して0.003質量%の量で投入した。生成する水を留去しながら、6時間かけて内温を190℃から240℃まで昇温させ、温度240℃の条件で6時間かけて脱水縮合反応を継続して重合を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は66.8℃、数平均分子量(Mn)は6300であった。
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)に、上記結晶性ポリエステル樹脂300質量部と、メチルエチルケトン(溶剤)160質量部と、イソプロピルアルコール(溶剤)100質量部とを入れ、水循環式恒温槽にて70℃に維持しながら、100rpmで撹拌混合しつつ樹脂を溶解させた。
その後、撹拌回転数を150rpmにし、水循環式恒温槽を66℃に設定し、10質量%アンモニア水(試薬)17質量部を10分間かけて投入した後、66℃に保温されたイオン交換水を7質量部/分の速度で、合計900質量部滴下し転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)は130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整し、これを結晶性ポリエステル樹脂分散液CP1とした。
〔脂肪酸アミド化合物分散液の調製〕
下記に示す脂肪酸アミド化合物を使用して、脂肪酸アミド化合物分散液ED−1〜ED−3を調製した。
脂肪酸アミド化合物A−1:融点100℃、Mw283(ステアリン酸アミド) SP値19.7
脂肪酸アミド化合物A−2:融点82℃、Mw338(エルカ酸アミド) SP値19.8
脂肪酸アミド化合物A−3:融点74℃、Mw281(オレイン酸アミド) SP値20.2
(脂肪酸アミド化合物分散液ED−1の調製)
上記脂肪酸アミド化合物A−1の36質量部をメチルエチルケトンに溶解させて溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の脂肪酸アミド化合物A−1の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水84質量部をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cmの条件で運転することにより、メジアン径200nmの脂肪酸アミド化合物A−1の混合水系分散液(同時乳化分散液)である脂肪酸アミド化合物分散液ED−1を調製した。固形分は23質量%であった。
(脂肪酸アミド化合物分散液ED−2及びED−3の調製)
上記脂肪酸アミド化合物分散液ED−1の調製において、脂肪酸アミド化合物A−1に代えて、それぞれ脂肪酸アミド化合物A−2、脂肪酸アミド化合物A−3を用いた以外は同様にして、脂肪酸アミド化合物分散液ED−2及びED−3を調製した。
〔着色剤分散液Cy1の調製〕
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.Pigment Blue 15:3)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の水系分散液(着色剤分散液)(Cy1)を調製した。
得られた着色剤粒子の水系分散液(Cy1)について、着色剤粒子の体積基準のメジアン径(d50)は110nmであった。
〔ウレタン変性ポリエステル樹脂微粒子の調製〕
(樹脂形成用溶液の調製)
〈樹脂形成用溶液(Y1)の調製〉
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸と1,6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル(Mn:5000)960質量部及びアセトン300質量部を入れて撹拌し、ポリエステルをメチルエチルケトンに均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)40質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。これにより、樹脂(b1)を得た。得られた樹脂(b1)の1000質量部と、アセトンの1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、樹脂(b1)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、樹脂(b1)形成用溶液(Y1)を調製した。
〈樹脂形成用溶液(Y2)の調製〉
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸と1,6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル(Mn:5000)980質量部及び アセトン300質量部を入れて撹拌し、ポリエステルをアセトンに均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)20質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。これにより、樹脂(b2)を得た。得られた樹脂(b2)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、樹脂(b2)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、樹脂(b2)形成用溶液(Y2)を得た。
〈樹脂形成用溶液(Y3)の調製〉
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸と1,6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル(Mn:5000)920質量部及びアセトン300質量部を入れて撹拌し、ポリエステルをアセトンに均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)80質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。これにより、樹脂(b3)を得た。得られた樹脂(b3)1000質量部と、アセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、樹脂(b3)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を得た。
〈樹脂形成用溶液(Y4)の調製〉
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、セバシン酸とアジピン酸と1,6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル(Mn:5000)880質量部及びアセトン300質量部を入れて撹拌し、ポリエステルをアセトンに均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)120質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。これにより、樹脂(b4)を得た。得られた樹脂(b3)1000質量部と、アセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、樹脂(b4)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、樹脂(b4)形成用溶液(Y4)を得た。
(ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
〈ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−1の調製〉
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂である樹脂形成用溶液(Y1)を100質量部、メチルエチルケトン400質量部に加え、撹拌しながら70℃に加熱して溶解させた。さらにトリエチルアミン1.5質量部を加えて中和を行い、これにより油相を調製した。
一方、脱イオン水900質量部にドデシル硫酸ナトリウム0.8質量部を溶解させて水相を得た。
この水相を撹拌しながら油相を徐々に加えた後、高速撹拌を行い、得られた乳化液をレーザー式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いて粒径を測定し、粒径が変動しなくなった時点で高速撹拌を終了した。この後、減圧下において乳化液からメチルエチルケトンを除去することにより、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−1を調製した。
ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−1における微粒子の平均粒径は200nm、固形分は22%であった。
〈ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−2〜UED−4の調製〉
上記レタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−1の調製において、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂である樹脂形成用溶液(Y1)を、それぞれ樹脂形成用溶液(Y2)〜樹脂形成用溶液(Y4)に変更した以外は同様にして、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−2〜UED−4を調製した。固形分は全て22%であった。
《トナーの調製》
〔トナー1の調製〕
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、コア用の非晶性ビニル樹脂粒子分散液X1を315質量部(固形分換算)、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液UED−1を12質量部(固形分換算)、無変性脂肪族ポリエステル樹脂分散液CP1を18質量部、脂肪族アミド分散液(ED−1)17質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂100質量%に対し1質量%(固形分換算)及びイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
さらに、着色剤粒子分散液Cy1を30質量部(固形分換算)投入し、塩化マグネシウム30質量部をイオン交換水30質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温した。
粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させた。次いで、昇温して80℃の状態で撹拌し、トナー母体粒子の平均円形度が0.965になるまで粒子の融着を進行させ、下記の洗浄・乾燥工程を行った。
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて調製したトナー母体粒子の分散液を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、35℃のイオン交換水で洗浄後、25%の水酸化ナトリウム水溶液にて、35℃におけるpHが4.0になるまで調整した(Net強度 0.10相当)。前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後、「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して、トナー母体粒子1を作製した。
(外添剤処理工程)
上記調製したトナー母体粒子1に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1を調製した。
トナー1について、後述のマグネシウム含有量を測定した結果、0.12質量%であった。
〔トナー2〜11の調製〕
上記トナー1の調製において、マグネシウムの含有量、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂の種類、脂肪族アミド分散液の種類を、表Iに記載の構成に変更した以外は同様にして、トナー2〜11を調製した。
なお、トナー7は、MgCl添加量をトナー2の1.5倍とし、トナー10はMgClの添加量をトナー2の半分とした。また、トナー6、7及び10は、ウレタン変性ポリエステル樹脂微粒子分散液に代えて、無変性脂肪族ポリエステル樹脂分散液CP1を用いた。
〔トナーの透過率T1.0、T1.1、T1.5の測定〕
図4に記載の透過率測定装置を用いて、上記調製したトナー1〜11の透過率T1.0、T1.1、T1.5を測定した。
(トナー1の透過率T1.0、T1.1、T1.5の測定)
図4に示すように、下部のガラス基材3A上に、トナー1を6.5g/mの条件で付与し、透過率測定サンプルを作製した。
上部側ガラス基材3B及び下面側ガラス基材3Aの温度を測定するための非接触温度計8を所定の位置に配置した。
次いで、加熱部材4A及び加熱部材4Bを上部側ガラス基材3B及び下面側ガラス基材3Aに接触させ、それぞれのガラス基材の温度を100℃になる条件とする。
次いで、付与する圧力は加圧部材で制御し、ガラス基材3A及び3Bを当接した後の圧力を200kPaとなるよう、予め条件を設定した。
測定部の上部に690nmのレーザー光を照射するためのレーザー光源6を配置し、下部には、透過した光量を測定するためのフォトダイオード7を配置した。フォトダーオード7による出力値を、アンプを通して電圧に変換し、オシロスコープで検知し、透過光量より透過率を求めた。
トナー1を保持している下部のガラス基材3Aを、下部の加熱部材4A上に設置し、次いで、設置5秒後に、加熱部材4Bに具備している上部ガラス基材3Bを、ガラス基材3Aが保持しているトナー画像TN上に、温度100℃、200kPaの圧力で1秒間当接させ、透過光量より透過率T1.0を求め、この透過率T1.0を相対透過率100%と規定した。
次いで、1.0秒後にガラス基材3Aとガラス基材3Bを離間させ、離間0.1秒後のT1.1、離間0.5秒後のT1.5を測定した。
次いで、上記測定したT1.0、T1.1、T1.5により、T1.5/T1.1及びT1.5/T1.0を求めた結果、T1.5/T1.1=0.35、T1.5/T1.0=0.30であった。
(トナー2〜11の透過率T1.0、T1.1、T1.5の測定)
同様に、トナー2〜トナー11について測定したT1.5/T1.1及びT1.5/T1.0を測定し、得られた結果を表Iに示す。
〔マグネシウム含有量の測定〕
表Iに記載のマグネシウム含有量(質量%)は、下記の方法で測定した。
各トナー中のマグネシウム含有量は、酸分解:ICP−OESを用い、下記の方法で測定した。
(前処理)
各トナーの3質量部をポリオキシエチルフェニルエーテルの0.2質量%水溶液35質量部に添加して分散させた。この分散液を、超音波ホモジナイザーUS−1200T(日本精機製作所社製)により25℃で5分間処理し、外添剤をトナー表面から取り除いて測定用の試料を得た。
上記トナーの100mgを密閉式マイクロ波分解装置ETHOS1(マイルストーンゼネラル社製)にセットし、硫酸、硝酸による分解を行った。このとき、未分解物がある場合は塩酸、フッ化水素酸、過酸化水素等を用いて目的成分を溶出させた。分解液は超純水を用いて適宜希釈した。試薬は、関東化学社製の超高純度試薬を用いた。
(測定)
高周波誘導結合プラズマ発光分析装置SPS3520UV(エスアイアイナノテクノロジー社製)に、上記前処理を施した試料をセットし、結着樹脂のイオン架橋に寄与する金属元素としてMgの含有量を測定した。このとき、Mgの検出波長は279.553nmとした。
なお、検量線は、試料を含まない分散液に、関東化学社製の各元素の原子吸光用標準液を添加し、試料液と同じ酸濃度になるように調整した溶液を用いて作成した。
以上により得られた結果は、表Iに示す。
Figure 2020129024
《画像形成》
〔Temp2(冷却速度)VS光沢度の相関関係を示すテーブルの作成〕
図7に記載の定着ユニット60を用いて、Temp2(冷却速度)と光沢度の相関関係を示すテーブルを作成した。
(第1定着工程)
定着ベルト605は、ポリイミド基体上にシリコーンゴム層(厚さ:220μm、ゴム硬度20°)を有し、表面がテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと称す。MD−1硬度85°)でコーティングされている。定着ベルト周長は120mmである。
加熱ローラー602は、ゴム厚が20mm、ゴム硬度が10度、φ60で構成されている。また、加圧ローラー60Bは、ゴム厚が5mm、ゴム硬度が10度、φ60であり、ゴムはシリコーンゴムで、表面はPFA樹脂でコーティングされている。
〈定着条件〉
(1)加圧ローラーの設定温度:55℃〜110℃
加圧温度は、冷却ファン630よりエアを当て、下記の各条件にて調整した。
1)強風のとき加圧ローラー温度:54℃
2)中風のとき加圧ローラー温度:80℃
3)弱風のとき加圧ローラー温度:110℃
(2)荷重:2000N
(3)通紙速度:300mm/sec
(4)ニップ長さ:20mm
(5)トナー付着量:8g/m
(第2定着工程:ニップ開放後の工程)
非接触加熱手段610(補助ヒーター)としては、内部にハロゲンヒーターが2つ配置されている。ハロゲンヒーターは断熱材で覆われている。当該断熱材の長さは300mmである。
第1定着工程出口(ニップ開放部)から非接触加熱手段610(補助ヒーター)の左端部までの間隔は200mmである。
温度計622では、第1定着工程出口(Temp0)から2sec後の位置のTemp2を測定する。例えば、400mm/sなら第1定着工程出口から800mm下流側となる。
上記非接触加熱手段610の2つのハロゲンヒーターをオンオフすることで、Temp2を制御する。
上記により求めた、トナー1のTemp2(冷却速度)VS光沢度の相関関係を示すテーブルを表IIに示す。また、トナー1のTemp2(冷却速度)VS光沢度の相関図グラフを、前述の図10に示す。
MAXは各条件で測定した光沢度の最大値(42)であり、MINは最小値(20)である。光沢度制御範囲ΔGは、最大値−最小値=22であり、平均光沢度は最大値と最小値の平均=31である。
画像作製で用いた記録媒体Pの光沢度は23であり、記録媒体の光沢度〜記録媒体の光沢度+20ぐらいを制御できれば、好ましい。
なお、光沢度は、光沢度計としてGMX−203(村上色彩社製、75°光沢度)を用いて測定した。
Figure 2020129024
上記の方法に従って、トナー2〜11についても測定を行った。
〔形成画像の光沢度及びトナーの保管性の評価〕
(各トナーの光沢範囲の評価)
上記トナーについて測定したMAX、MIN、光沢度制御範囲ΔG(MAX−MIN)、及び平均光沢度を求めた。
次いで、各トナーの光沢度制御範囲ΔG(MAX−MIN)及び平均光沢度について、下記の基準に従ってランク分けを行った。
〈光沢度制御範囲ΔG〉
◎:光沢度制御範囲ΔGが、20以上である
〇:光沢度制御範囲ΔGが、15以上、20未満である
×:光沢度制御範囲ΔGが、15未満である
〈平均光沢度〉
◎:平均光沢度が、25以上、40未満である
〇:平均光沢度が、20以上、25未満である
×:平均光沢度が、20未満、又は40以上である
(トナーの保管性の評価)
上記調製した各トナーをサンプル瓶に充填・密封したのち、60℃の恒温槽中で3時間保管した。次いで、各トナーの溶状を目視観察し、凝集及び沈殿物の発生がないものを「〇」、わずかに凝集又は沈殿物の発生が認められるものを「△」、沈殿物及び凝集物の発生が認められるものを「×」と判定した。
以上により得られた結果を、表IIIに示す。
Figure 2020129024
表IIIに記載の結果より明らかなように、本発明の画像形成方法は、本発明で規定する光透過率特性を満たすトナーを用い、冷却手段を有する定着ユニットにより、所望の光沢度トナー画像に制御することができることがわかる。
1 記録媒体
2 定着ベルト
3A、3B ガラス基材
4A、4B 加熱部材
5 加圧部材
6 レーザー光源
7 フォトダイオード
8 非接触温度計
9 加熱又は冷却手段
60 定着ユニット
60A 加熱部
60B 加圧部
61 定着ローラー用モーター
62 加圧ローラー用モーター
63 ヒーター
64 温度センサー
65 ローラー位置調整用モーター
101 CPU
500 画像形成装置
601 加熱ローラー
602 定着ローラー
605 定着ベルト
609 加圧ローラー
610 非接触加熱手段
611 非接触冷却手段
622 温度センサー
630 冷却ファン
631 冷却ローラー
L ハロゲンランプ
P 用紙
TN トナー画像

Claims (22)

  1. 静電荷像現像用トナーと画像形成装置とで構成される画像形成システムであって、下記条件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする画像形成システム。
    (a)前記静電荷像現像用トナーの690nmでの光透過率T1.0、T1.1及びT1.5が、下記条件下で、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。
    式(1):0.2<T1.5/T1.1<0.8
    式(2):0.2<T1.5/T1.0<0.7
    但し、T1.0は、ガラス上の前記静電荷像現像用トナーの付着量を6.5g/mとし、前記静電荷像現像用トナーに、加圧・加熱処理A(圧力:200kPa、温度:100℃)を1.0秒間施した後の光透過率。
    1.1及びT1.5は、前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施した後、圧力を開放し、圧力を0kPaかつ温度を100℃とした条件下での加熱処理を0.1秒間及び0.5秒間、それぞれ独立に施した後のそれぞれの光透過率。
    (b)前記画像形成装置が、
    少なくとも、前記静電荷像現像用トナーを使用する画像形成部と、
    記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する加熱部材と加圧部材で構成される第1定着部と、
    前記定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ
    指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する。
  2. 前記冷却速度調整部が、前記第1定着部を構成する前記加圧部材の温度を下げて、前記光沢度を制御する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
  3. 前記加圧部材の温度を制御する手段が、前記加圧部材に風をあてて温度を制御する手段であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
  4. 前記加圧部材の温度を制御する手段が、加圧部材に冷却ローラーを当接して制御する手段であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
  5. 前記加圧部材の温度を制御する手段が、対向する位置に配置される加熱ローラーと加圧ローラーの離接時間で制御する手段であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
  6. 前記冷却速度調整部が、第1定着後に、前記記録媒体を加熱する手段を有し、加熱量を制御することで前記光沢度を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
  7. 前記記録媒体を加熱する手段が、非接触方式の加熱手段であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
  8. 前記記録媒体を加熱する手段が、ハロゲンランプの数と発光強度により制御する手段であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成システム。
  9. 前記冷却速度調整部が、前記第1定着部の後に、冷却手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
  10. 前記冷却手段が、記録媒体への冷風の吹き付け手段であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
  11. 前記冷却手段が、冷却ローラー又は冷却ベルトを記録媒体に接触させる手段であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
  12. 前記冷却速度制御手段が、あらかじめ冷却速度と光沢度の相関関係を示すテーブルを作成し、当該相関関係を示すテーブルに応じて冷却速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
  13. 前記トナー画像を、第1定着部で加熱ローラーと加圧ローラーによりニップし、当該ニップを開放した2秒後のトナー画像の温度をTemp2としたとき、Temp2の温度範囲を下記式(3)で規定する範囲内に制御し、あらかじめ作成した前記Temp2と光沢度の相関関係を示すテーブルに応じて、冷却速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
    式(3) 40℃<Tem2<110℃
  14. 前記静電荷像現像用トナーが、下記式(4)及び(5)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
    式(4) 0.2<T1.5/T1.1<0.7
    式(5) 0.3<T1.5/T1.0<0.7
  15. 前記静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂が、末端又は側鎖に活性水素を有する樹脂成分を含み、前記活性水素の一部が架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
  16. 前記熱可塑性樹脂がビニル系樹脂を主成分とし、かつ、脂肪族ポリエステル樹脂を含有し、当該脂肪族ポリエステル樹脂が、イソシアネート基で架橋したウレタン変性樹脂であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成システム。
  17. 前記静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として熱可塑性樹脂を主成分として含有し、当該熱可塑性樹脂の少なくとも一部がビニル系樹脂であり、当該ビニル系樹脂が酸を含有し、かつ、Al、Mg又はCaの多価金属イオンで架橋されていることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
  18. 前記静電荷像現像用トナーにおける前記多価金属イオンの含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内であることを特徴とする請求項17に記載の画像形成システム。
  19. 前記静電荷像現像用トナーが、SP値が19〜25J/cmの範囲内で、数平均分子量Mnが200〜2000の範囲内で、かつ、融点が60〜120℃の範囲内にある結晶性化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
  20. 前記結晶性化合物が、分子内にアミド基と、炭素数が10以上の長鎖アルキル基を有する化合物であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成システム。
  21. 前記静電荷像現像用トナーの貯蔵弾性率G´が1×10Paになる温度が、110℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載の画像形成システム。
  22. 静電荷像現像用トナーと画像形成装置とを用いて画像を形成する画像形成方法であって、
    下記条件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
    (a)前記静電荷像現像用トナーが、690nmでの光透過率T1.0、T1.1及びT1.5としたとき、下記条件下で、下記式(1)及び(2)で規定する条件を同時に満たす。
    式(1):0.2<T1.5/T1.1<0.8
    式(2):0.2<T1.5/T1.0<0.7
    但し、T1.0は、ガラス上の前記静電荷像現像用トナーの付着量を6.5g/mとし、前記静電荷像現像用トナーに、加圧・加熱処理A(圧力:200kPa、温度:100℃)を1.0秒間施した後の光透過率。
    1.1及びT1.5は、前記加圧・加熱処理Aを1.0秒間施した後、圧力を開放し、圧力を0kPaかつ温度を100℃とした条件下での加熱処理を0.1秒間及び0.5秒間、それぞれ独立に施した後のそれぞれの光透過率。
    (b)前記画像形成装置が、
    少なくとも、前記静電荷像現像用トナーを使用する画像形成部と、
    記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する加熱部材と加圧部材で構成される第1定着部と、
    前記定着したトナー画像の冷却速度調整部と、かつ
    指定された画像の光沢度に従い、前記冷却速度調整部を制御する冷却速度制御部を有する。
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