JP2020127890A - ベッドシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】介護の効率を向上させると共に、介護者の負担を軽減できるベッドシステムを提供する。【解決手段】ベッドシステム1は、昇降可能な床板13を有するベッド10と、ベッド10の側方に物体が位置したことを検知する赤外線センサ20と、介護者CのID情報を入力可能なサーバ40と、を備える。サーバ40は、ID情報が入力され、赤外線センサ20が人を検知したときに、床板13を高さH1に変位させる。【選択図】図1

Description

本発明は、床板の昇降機能を備えたベッドシステムに関する。
医療施設及び介護施設においては、自力で十分に動けない患者を介護者が介護している。介護には種々の作業が伴うが、ベッドから車椅子等への移乗、おむつの交換、食事の介助等は、介護者の体力的な負担が大きい。このため、電力等によりベッドの床板を昇降可能な介護用ベッドが開発されている。介護用ベッドを利用する場合は、患者がベッドから転落したときのダメージを抑えるために、普段は床板を低くしておき、介護者が患者を介護するときに、介護者の負担が少ない位置まで床板を上昇させる。
しかしながら、近年、社会の高齢化に伴い、少数の介護者が多数の患者の介護をすることが多くなっている。このため、介護者は作業の効率を上げるために、介護用ベッドの床板を上昇させることなく、又は、床板が適切な位置まで上昇する前に、作業を始めてしまうことがある。この結果、介護者が腰等を痛めてしまう場合がある。
特開2011−200343号公報
本発明の目的は、介護の効率を向上させると共に、介護者の負担を軽減できるベッドシステムを提供することである。
本発明に係るベッドシステムは、昇降可能な床板を有するベッドと、前記ベッドの側方に物体が位置したことを検知する第1センサと、介護者のID情報を入力可能な制御部と、を備える。前記制御部は、前記ID情報が入力され、前記第1センサが物体を検知したときに、前記床板を第1高さに変位させる。
本発明によれば、介護の効率を向上させると共に、介護者の負担を軽減できるベッドシステムを実現することができる。
第1の実施形態に係るベッドシステムを示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示すフローチャート図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第1の実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。 第2の実施形態に係るベッドシステムを示す図である。 第2の実施形態に係るベッドシステムの動作を示すフローチャート図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るベッドシステムを示す図である。
以下に詳述するように、本実施形態に係るベッドシステムは、介護者のルーチンワークの一部を半自動的に補助するものである。補助動作を開始するトリガーとして、介護者の個人認証及び人体センサを利用し、補助動作の種類の選択に時間帯を利用する。
図1に示すように、本実施形態に係るベッドシステム1においては、ベッド10が設けられている。ベッド10は介護用ベッドである。ベッド10においては、メインフレーム11、メインフレーム11によって上下動するサイドフレーム12、サイドフレーム12上に設けられた床板13、サイドフレーム12に取り付けられたヘッドボード14及びフットボード15が設けられている。床板13には、背ボトム17、膝ボトム18及び脚ボトム19が設けられている。
メインフレーム11には駆動部16が設けられており、サイドフレーム12、床板13、ヘッドボード14及びフットボード15を上下動させる。駆動部16は手元スイッチ16aによって操作される。駆動部16は、背ボトム17、膝ボトム18及び脚ボトム19の角度を変えることができる。ベッド10には、ベッド柵(図示せず)等が設けられていてもよい。ベッド10においては、以下に説明する場合を除き、手元スイッチ16aのボタンを押し続けている場合のみ、床板13等の動作が継続し、ボタンを押すことをやめると、動作が停止する。
ベッド10の側方、すなわち、右側及び左側のうち少なくとも一方には、人体を検出する人体センサとして、赤外線センサ20が設けられている。赤外線センサ20は例えばサイドフレーム12の内側に取り付けられており、病室の床とサイドフレーム12との間の領域Rに人体の一部が配置されると、それを検知する。これにより、赤外線センサ20は、ベッド10の側方に人が位置したことを検知する。ベッド10の側方とは、例えば、患者P(図3参照)がベッド10に仰臥位で寝たときに、右手側又は左手側となる位置である。また、ベッド10又はベッド10が設置された病室には、スピーカー21及びマイク22が設けられている。
また、ベッドシステム1においては、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)の端末装置30が設けられている。端末装置30には、RFID(Radio Frequency Identifier)技術を用いたRFリーダー31が設けられている。RFリーダー31はRFタグ50に格納された情報を読み取ることができる。RFタグ50は、例えば、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)タグである。また、端末装置30には、タッチパネル32が設けられており、必要な情報を入力及び表示することができる。なお、タッチパネル32の替わりに、ディスプレイ、キーボード及びマウスが設けられていてもよい。
更に、ベッドシステム1においては、サーバ40が設けられている。サーバ40は、ベッド10、赤外線センサ20、スピーカー21、マイク22及び端末装置30に、有線又は無線により接続されている。サーバ40は、スピーカー21から音声を出力すると共に、マイク22から入力された音声を認識することができる。端末装置30及びサーバ40により、制御部が構成されている。
サーバ40には、ベッド10の床板13の高さ、すなわち、病室の床と床板13の上面との距離が、複数水準記録されている。サーバ40には、例えば、床板13の高さのうち、介護者C(図4参照)が患者P(図3参照)の体位変換及びおむつ交換等の力作業をする際に、介護者Cが腰を曲げずに作業できるような高さH1、患者Pが床板13の端部で端座位を取ったときに、患者Pの足裏が病室の床に接触し、患者Pが端座位から立ち上がりやすいような高さH2、介護者Cが椅子に座って患者Pの食事を介助する際に、介護者Cにとって最も介助しやすい高さH3が記録されている。
高さH1は主として介護者Cの身長に依存する。高さH2は主として患者Pの膝下の長さに依存する。高さH3は主として介護者Cの座高及び患者Pの座高に依存する。従って、高さH1〜H3は、介護者C毎、患者P毎、及び、介護者Cと患者Pとの組合せ毎に異なる。高さH1〜H3の値としては、実測値が記録されていてもよく、介護者Cの体格及び患者Pの体格に基づいて計算された値が記録されていてもよい。
本実施形態に係るベッドシステム1は、医療施設又は介護施設等(以下、総称して「医療施設」という)に設置される。医療施設には、複数の介護者Cが勤務しており、複数の患者Pが入院している。医療施設においては、病室にベッド10が設置されており、ベッド10には赤外線センサ20が取り付けられている。また、ナースセンター等に端末装置30が設置されている。また、医療施設内の適切な場所にサーバ40が設置されている。介護者Cは、それぞれ、自分のID情報が格納されたRFタグ50を所持している。
サーバ40には、上述の高さH1〜H3が、介護者C毎、患者P毎、及び、介護者Cと患者Pの組合せ毎に記録されている。また、サーバ40には、各ベッド10に寝ている患者PのID情報も記録されている。更に、サーバ40には、医療施設で毎日定期的に行われる介護作業の時間帯が記録されている。例えば、リハビリ及び散歩等を目的として患者Pを病室から外出させる外出時間帯、おむつ交換の時間帯、食事の時間帯等が記録されている。
<動作>
次に、本実施形態に係るベッドシステムの動作について説明する。
図2は、本実施形態に係るベッドシステムの動作を示すフローチャート図である。
以下、医療施設で毎日定期的に行われる介護作業のうち、車椅子への移乗、おむつ交換、及び食事を例に挙げて説明する。
<車椅子への移乗>
先ず、ベッド10から車椅子に患者Pを移乗させる際の動作について説明する。
図3〜図13は、本実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。
なお、実際には、床板13上には、マットレス、シーツ、枕及び掛け布団等が置かれているが、図示の便宜上、各図においては適宜省略している。
図3に示すように、初期状態においては、患者Pはベッド10において仰臥位で寝ているものとする。このとき、ベッド10は基準状態となっている。基準状態とは、例えば、床板13の高さが床板13の可動域中の最も低い高さH0とされており、背ボトム17、膝ボトム18及び脚ボトム19が傾斜しておらず、床板13が水平になっている状態である。床板13の高さを最も低い高さH0とすることにより、患者Pがベッド10から転落した場合でも、患者Pのダメージを抑えることができる。
この状態から、介護者Cが患者Pをベッド10の右側から車椅子101に移乗させる。
先ず、図4に示すように、ナースステーション等に設置されている端末装置30のRFリーダー31に、介護者Cが自分のRFタグ50を接触させる。これにより、図2のステップS1に示すように、RFタグ50に格納されたID情報が端末装置30に入力され、サーバ40が介護者Cを認証する。また、介護者Cはタッチパネル32を用いて、介護対象となる患者Pを特定する。これにより、患者Pが寝ているベッド10に取り付けられた赤外線センサ20がアクティブになる。その後、介護者Cは車椅子101を押して病室に向かう。
次に、図5に示すように、介護者Cが病室に入り、ベッド10の側方における所定の位置に立つ。この位置は、後述する患者Pの体位変換の介助に適した位置であり、例えば、患者Pの腰部の側方である。また、この位置は、赤外線センサ20の検知領域R内にある。
介護者Cは患者Pに話しかけ、患者Pの掛け布団をとり、患者Pの身の回りを整理する等の移乗の準備を開始する。但し、この時点では、ベッド10の床板13の高さはH0であり、介護者Cが患者Pの体位変換を介助するには低すぎる。仮に、この状態で介護者Cが患者Pの体位変換を介助すると、介護者Cが腰や肘を痛めたり、肩こりを生じたりする可能性がある。
上述の如く、介護者Cの立ち位置は領域R内にあるため、図2のステップS2に示すように、赤外線センサ20が介護者Cの足を検知する。そして、ステップS3に示すように、介護者CがRFリーダー31にRFタグ50を接触させてから一定時間内であれば、サーバ40は、この認証された介護者Cが領域R内に現れたと判断する。そして、ステップS4に示すように、現在時刻が外出時間帯であれば、サーバ40は、介護者Cが患者Pを車椅子に移乗させようとしていると判断する。
サーバ40はスピーカー21により、床板13を上昇させる旨の音声を発信する。このとき、介護者Cは、領域Rからの退出、音声による指示又は手元スイッチ16aの操作により、床板13の上昇を回避することもできる。
一定の時間内に回避の指示がない場合は、ステップS7及び図6に示すように、サーバ40がベッド10の駆動部16に命令を出し、床板13を高さH1まで上昇させる。上述の如く、高さH1は、介護者Cが腰を曲げずに患者Pの体位変換の介助ができるような高さであり、介護者Cの体格、例えば身長に基づいて決定されている。サーバ40は、RFタグ50から読み取ったID情報に基づいて、その介護者Cに最適な高さH1を選択する。このように、介護者Cが患者Pに話しかけ、掛け布団をとる等の移乗の準備をしている間に、床板13が半自動的に高さH1まで上昇し、体位変換に適した高さとなる。
なお、床板13の上昇中に介護者Cが領域Rから離れると、赤外線センサ20が介護者Cを検知しなくなり、床板13の上昇が停止する。また、介護者Cが手元スイッチ16aを操作したり、音声で命令を出したりしても、床板13の上昇が停止する。これにより、何らかの不具合が発生したときには、床板13の上昇を直ちに停止させ、事故が発生することを防止できる。
例えば、床板13が上昇している間に、患者Pの腕がベッド柵(図示せず)内に入っていることが発見され、このまま床板13が上昇すると腕が挟まれてしまうような場合には、介護者Cは患者Pの腕をベッド柵から外すために、立ち位置を変更する。これにより、床板13が停止する。又は、介護者Cが床板13の上昇を停止させるために、故意に検知領域Rから退出してもよく、手元スイッチ16a又は音声命令により床板13の上昇を停止させてもよい。このようにして、半自動的な補助動作に伴う事故の発生を防止することができる。以下に説明する他の補助動作についても同様である。
図7に示すように、床板13の高さがH1になった後、介護者Cは患者Pの両膝を立てる。そして、介護者Cは患者Pの両膝を右に倒すと共に、患者Pの左肩及び背中を持ち上げて、患者Pに右向きの側臥位を取らせる。
次に、図2のステップS8及び図8に示すように、介護者Cが手元スイッチ16aを操作するか、又は音声で命令を出すことにより、ベッド10の駆動部16が背ボトム17を傾斜させる。これにより、患者Pが側臥位のまま背上げされる。
次に、図9に示すように、介護者Cが患者Pの両足をベッド10の右端から降ろすと共に、上半身を立たせる。これにより、床板13の右端部において、患者Pに端座位を取らせる。このとき、患者Pの足は病室の床に接していない。また、患者Pが仰臥位から側臥位を経て端座位に至る一連の体位変換を介助するために、介護者Cは領域Rから一旦離れる。
次に、図2のステップS9及び図10に示すように、介護者Cが手元スイッチ16aを操作するか、又は音声で命令を出すことにより、ベッド10の駆動部が床板13を高さH2まで下げる。このとき、サーバ40は、その患者Pに最適な高さH2を選択する。高さH2は、高さH0よりも高く、高さH1よりも低い。すなわち、H0<H2<H1である。これにより、患者Pの足裏が病室の床に接触する。また、介護者Cは車椅子101をベッド10の近傍に移動させ、固定する。
次に、図11に示すように、介護者Cが患者Pの立ち上がりを介助するために、再び領域R内に立つ。これにより、図2のステップS10に示すように、赤外線センサ20が介護者Cの足又は患者Pの足を検知する。この結果、ステップS11に示すように、サーバ40が床板13を少し上昇させる。これと共に、介護者Cが介助して、患者Pをベッド10から立たせる。このように、患者Pの立ち上がり動作と同期して、床板13を上昇させることにより、患者Pの立ち上がりを補助することができる。また、このとき、介護者Cは床板13を上昇させ続けるための操作を行う必要がないため、患者Pの介助に専念することができる。床板13は、高さH2よりもやや高い高さで停止する。
次に、図12に示すように、介護者Cは患者Pの身体の向きを車椅子101に向ける。そして、介護者Cは患者Pを車椅子101に搭乗させる。これにより、患者Pのベッド10から車椅子101への移乗が完了する。
次に、図2のステップS15及び図13に示すように、介護者Cが手元スイッチを操作するか、又は音声で命令を出すことにより、ベッド10を基準状態に戻す。すなわち、床板13全体を下降させて最も低い高さH0にすると共に、背ボトム17を水平に戻す。
そして、介護者Cは車椅子101を押して、患者Pを病室から連れ出す。
<おむつ交換>
次に、おむつ交換の際の動作について説明する。
図3に示すように、初期状態においては、ベッド10は基準状態にあり、患者Pはベッド10において仰臥位で寝ている。
先ず、図4及び図2のステップS1に示すように、介護者Cが端末装置30に自分のRFタグ50を接触させて個人認証を行うと共に、タッチパネル32を用いて対象となる患者Pを特定する。
次に、介護者Cがおむつ用カート102(図15参照)を押して病室に向かう。おむつ用カート102には、新しいおむつの束と、使用済みのおむつを廃棄するバケツが搭載されている。
次に、図5に示すように、介護者Cが病室に入り、ベッド10の側方における所定の位置に立つ。この位置は、後述する患者Pのおむつ交換に適した位置であり、例えば、患者Pの腰部の側方である。この位置は、赤外線センサ20の検知領域R内にある。
介護者Cは患者Pに話しかけ、患者Pの掛け布団を剥ぐ等のおむつ交換の準備を開始する。但し、この時点では、ベッド10の床板13の高さはH0であり、介護者Cが患者Pのおむつを交換するには低すぎる。仮に、この状態でおむつを交換すると、患者Pの腰部を持ち上げるときに、介護者Cが腰や肘を痛める可能性がある。
図2のステップS2に示すように、赤外線センサ20が介護者Cの足を検知し、ステップS3に示すように、検知した時刻が、介護者CがRFリーダー31にRFタグ50を接触させてから一定時間内であれば、サーバ40は、この認証された介護者Cが領域R内に現れたと判断する。そして、ステップS4及びS5に示すように、現在時刻がおむつ交換の時間帯であれば、サーバ40は、介護者Cが患者Pのおむつを交換するつもりであると判断する。
この結果、ステップS12及び図6に示すように、床板13を高さH1まで上昇させる。上述の如く、高さH1は、介護者Cが腰を曲げずに作業できるような高さである。このように、介護者Cが患者Pに話しかけ、掛け布団をとる等のおむつ交換の準備をしている間に、床板13が半自動的に高さH1まで上昇し、おむつ交換に適した高さとなる。そして、床板13の高さがH1になった後、介護者Cは患者Pのおむつを交換する。
次に、図2のステップS15及び図3に示すように、介護者Cが手元スイッチを操作するか、又は音声で命令を出すことにより、床板13を下降させて、高さH0に戻す。これにより、おむつ交換が完了する。
<食事>
次に、患者Pの食事を介護する際の動作について説明する。
図14は、本実施形態に係るベッドシステムの動作を示す図である。
図3に示すように、初期状態においては、患者Pはベッド10で寝ている。ベッド10は基準状態にある。
先ず、図4及び図2のステップS1に示すように、介護者CがRFタグ50を用いて個人認証を行うと共に、タッチパネル32を用いて対象となる患者Pを特定する。次に、介護者Cが食事のトレイ103(図14参照)を持って病室に向かう。なお、トレイ103は他のスタッフにより、事前に配膳されていてもよい。
次に、図5に示すように、介護者Cが病室に入り、トレイ103を適当な場所に置いた後、ベッド10の側方における所定の位置に立つ。この位置は、赤外線センサ20の検知領域R内にある。
介護者Cは患者Pに話しかけ、患者Pの掛け布団をとり、患者Pの身の回りを整理する等の食事の準備を開始する。但し、この時点では、ベッド10の床板13の高さはH0であり、介護者Cが患者Pの食事の介助を行うには低すぎる。仮に、この状態で食事の介助を行うと、介護者Cが肘等を痛める可能性がある。また、患者Pにとっても負担となる。
図2のステップS2及びS3に示すように、所定の時間内に赤外線センサ20が介護者Cの足を検知すると、サーバ40は、この認証された介護者Cが領域R内に現れたと判断する。そして、ステップS4〜S6に示すように、現在時刻が食事の時間帯であれば、サーバ40は、介護者Cが患者Pの食事を介助するつもりであると判断する。
この結果、ステップS13及び図14に示すように、サーバ40が床板13を高さH3まで上昇させると共に、背ボトム17を傾斜させ、患者Pを背上げする。上述の如く、高さH3は、介護者Cが椅子に座って患者Pの食事を介助する際に、無理なく作業ができるような高さである。このように、介護者Cが患者Pに話しかけ、掛け布団をとる等の食事の準備をしている間に、床板13が半自動的に高さH3まで上昇すると共に背ボトム17が傾斜し、食事に適した高さ及び姿勢となる。
次に、オーバーベッドテーブル104を患者Pの前に配置する。次に、オーバーベッドテーブル104上にトレイ103を置く。そして、介護者Cが椅子105をベッド10の側方に配置し、椅子105に座る。この状態で介護者Cは、患者Pの食事を介助する。
食事が終了したら、図2のステップS15及び図3に示すように、介護者Cが手元スイッチ16aを操作するか、又は音声で命令を出すことにより、ベッド10を基準状態に戻す。これにより、食事の介助が完了する。
なお、現在時刻が車椅子への移乗の時間帯でもなく、おむつ交換の時間帯でもなく、食事の時間帯でもない場合は、サーバ40は介護者Cの意図を推定できないため、補助動作を行わない。この場合は、図2のステップS14に進み、例えば、スピーカー21を介した音声により、手動モードによる操作を介護者Cに勧告する。
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係るベッドシステム1によれば、介護者CがRFタグ50をRFリーダー31に接触させた後、一定時間内に赤外線センサ20の検知領域Rに立つことにより、サーバ40は認証した介護者Cが所定の領域R内に出現したことを認識する。そして、サーバ40は、図6に示すように、ベッド10の床板13を高さH1まで上昇させたり、図14に示すように、床板13を高さH3まで上昇させると共に、背ボトム17を傾斜させる。このため、介護者Cが患者Pに話しかけたり、掛け布団を剥ぐ等の介助の準備をしている間に、床板13を最適な高さにセットすることができる。この結果、介護の効率が向上すると共に、介護者Cの肉体的な負担を軽減することができる。
なお、仮に、このような半自動的な補助動作がないと、介護者Cが介助の準備を終えた後に、手元スイッチを操作して、手動で床板13を上昇させる必要がある。この場合は、床板13を上昇させるためだけに時間を要することになる。このため、例えば1人の介護者Cが複数の患者Pの介護を担当している場合等、介護者Cに時間的な余裕が無い場合は、時間を節約するために、介護者Cは床板13の上昇を途中で停止して、又は、最初から床板13を上昇させずに、介助を開始する可能性がある。そうすると、介護者Cは不自然な姿勢、例えば腰を曲げた姿勢で作業することになり、腰や肘を痛める可能性がある。また、患者Pにとっても、本来不要な負担が発生する可能性がある。
また、図11に示すように、患者Pが端座位を取った状態で、赤外線センサ20が介護者Cの足又は患者Pの足を検知すると、床板13が上昇を開始する。これにより、患者Pの立ち上がりを支援することができる。なお、1人の介護者Cが手元スイッチを操作して床板13を上昇させつつ、患者Pの立ち上がりを介助することは困難である。このため、仮に、床板13の半自動的な上昇がないと、介護者Cは床板13の上昇という支援動作なしに患者Pを立ち上がらせることになる。これは、患者Pの状態によっては、患者P及び介護者Cの負担となる。
更に、ベッドシステム1においては、サーバ40に日常のルーチン作業の時間帯が記憶されている。これにより、介護者Cが認証され、赤外線センサ20が人体を感知した時刻に応じて、床板13が到達する状態を選択することができる。具体的には、外出時間帯であれば、車椅子への移乗に備えて床板13を高さH1まで上昇させ、おむつ交換の時間帯であれば、おむつ交換に備えて床板13をやはり高さH1まで上昇させ、食事の時間帯であれば、食事の介助に備えて、床板13を高さH3まで上昇させると共に、背ボトム17を背上げする。このように、本実施形態によれば、複数のルーチン作業を時間帯によって判別して、ベッド10を各作業に合わせた最適な状態にすることができる。
更にまた、ベッドシステム1においては、床板13の高さH1〜H3を、介護者C及び患者Pの体格に応じて決定し、その結果をサーバ40に格納している。そして、サーバ40が介護者CをRFタグ50によって個人認証することにより、各高さを介護者Cに適した高さとすることができる。また、患者Pが特定されることにより、各高さを患者Pに適した高さとすることができる。これにより、介護者C及び患者Pの負担をより効果的に軽減することができる。
更にまた、ベッドシステム1においては、床板13を移動させる補助動作を開始するために、介護者Cの個人認証及び領域R内への進入という条件を課している。これにより、赤外線センサ20が介護者C以外の人、例えば、他のスタッフや見舞客を検知しても、サーバ40は床板13の上昇を開始させない。また、赤外線センサ20が領域R内に進入した何らかの物品を人体と誤認識しても、サーバ40は床板13の上昇を開始させない。この結果、補助動作が不適切なタイミングで開始されることを防止できる。また、介護者Cが領域Rから退出するか、手元スイッチ16a又はマイク22を介して命令することにより、任意のタイミングで補助動作を停止することができる。この結果、補助動作に起因した事故の発生を防止することができる。
なお、RFタグ50及び赤外線センサ20の替わりに、領域Rにフットスイッチを設置し、介護者Cがフットスイッチを踏むことによって補助動作を開始させることも考えられる。しかしながら、この場合は、フットスイッチ及びそのケーブル類が邪魔になり、患者Pが躓いて転倒する可能性がある。また、RFタグ50と連動していないフットスイッチは、介護者C以外の人間が踏んでも作動するため、例えば他のスタッフや見舞客がフットスイッチを不用意に踏んでしまい、予期しないタイミングで床板13が上昇してしまう可能性がある。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係るベッドシステムを示す図である。
以下に詳述するように、本実施形態に係るベッドシステムは、前述の第1の実施形態と比較して、補助動作の種類の選択に物品センサを利用する点が異なっている。
図15に示すように、本実施形態に係るベッドシステム2においては、ベッド10、赤外線センサ20、スピーカー21、マイク22、端末装置30、サーバ40及びRFタグ50に加えて、物品センサとして、RFリーダー60及びRFタグ61〜63が設けられている。RFリーダー60は、RFタグ61〜63が近傍にあると、これを検知することができる。一方、サーバ40には介護作業の時間帯が記録されていない。
RFリーダー60はRFリーダー51と比較して、長距離の通信が可能である。RFリーダー60は、ベッド10に取り付けられているか、又は、ベッド10が設置された病室内に設置されている。また、RFタグ61は車椅子101に取り付けられており、RFタグ62はおむつ用カート102に取り付けられており、RFタグ63はトレイ103に取り付けられている。
<動作>
次に、本実施形態に係るベッドシステムの動作について説明する。
図16は、本実施形態に係るベッドシステムの動作を示すフローチャート図である。
先ず、図16のステップS1に示すように、介護者Cが端末装置30のRFリーダー31に自分のRFタグ50を接触させて個人認証を行うと共に、タッチパネル32を用いて対象となる患者Pを特定する。これにより、この患者Pが寝ているベッド10に取り付けられた赤外線センサ20がアクティブになると共に、RFリーダー60がアクティブになる。
そして、ステップS2及びS3に示すように、一定時間内に介護者Cが患者Pの病室に入り、領域Rに立つ。このとき、ステップS24に示すように、RFリーダー60がRFタグ61を検知すれば、近くに車椅子101があると判断し、これから車椅子への移乗が行われると判断する。この場合はステップS7に進み、床板13を高さH1まで上昇させる。
また、ステップS25に示すように、RFリーダー60がRFタグ62を検知すれば、近くにおむつ用カート102があると判断し、これからおむつ交換が行われると判断する。この場合は、ステップS12に進み、床板13を高さH1まで上昇させる。
更に、ステップS26に示すように、RFリーダー60がRFタグ63を検知すれば、近くにトレイ103があると判断し、これから食事が行われると判断する。この場合はステップS13に進み、床板13を高さH3まで上昇させると共に、背ボトム17を傾斜させる。
また、本実施形態においては、RFリーダー60が一旦RFタグ61、62又は63を検知した後、これらを検知しなくなった場合は、作業が完了したと判断し、ステップS15に進み、床板13を高さH0に戻すと共に、背ボトム17を水平に戻してもよい。
<効果>
本実施形態によれば、各作業に必須の物品にRFタグを付けることにより、その後に行われる作業の種類を予測し、適切な補助動作を開始することができる。また、予め時間帯を設定する必要がないため、急な外出やおむつ交換にも対応できる。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
(変形例)
前述の各実施形態においては、介護者Cを検知する人体センサとして、赤外線センサ20を用いる例を示したが、本発明はこれには限定されない。人体センサとしては、所定の領域R内に物体が存在することを検知できればよく、例えば、光電センサ、距離センサ、湿度センサ又はにおいセンサであってもよい。なお、本明細書において、「物体」とは、人及び物を含む概念である。
また、ヘッドボード14にレーザー発信器を取り付け、フットボード15にレーザー受信機を取り付けて、レーザー発信器から出射されたレーザー光線がレーザー受信機に入力されなかったときに、人体によりレーザー光線が遮られたと判断するレーザーセンサを設けてもよい。更に、サイドフレーム12の外側に圧力センサを設けてもよい。この場合は、介護者Cが領域R内に立つと、介護者Cの足が圧力センサに接触し、圧力センサが介護者Cの存在を検知する。
更にまた、赤外線センサ20の替わりに、RFタグ50自体を人体センサとして用いてもよい。この場合は、ベッド10の適当な位置に複数のRFリーダーを取り付けておき、介護者Cが所定のRFリーダーにRFタグ50を近接させることにより、そのRFリーダーに対応した補助動作が開始される。
例えば、第1のRFリーダーにRFタグを近接させると、床板13が高さH1まで上昇し、第2のRFリーダーにRFタグを近接させると、背ボトム17が背上げされ、第3のRFリーダーにRFタグを近接させると、床板13が高さH1から高さH2まで下降し、第4のRFリーダーにRFタグを近接させると、床板13が高さH3まで上昇すると共に背ボトム17が背上げされ、第5のRFリーダーにRFタグを近接させると、ベッド10が基準状態に戻るように設定することができる。
また、ベッド10にRFリーダーを取り付ける場合は、図4に示すようなナースステーションでの認証作業を省略してもよい。更に、RFタグ50としてNFCタグを使えば、RFタグ50をRFリーダーに接触させなくても交信できるため、ベッド10とRFタグ50との間の微生物の移動を抑制でき、院内感染を抑制できる。
更にまた、赤外線センサ20の替わりに、例えば病室の天井にカメラを取り付け、サーバ40に画像解析プログラムを格納してもよい。この場合は、カメラの画像をサーバ40が解析することにより、介護者Cが領域R内に立ったことを検知する。また、患者P又は介護者Cに関して、何らかの不具合が発生したときに、それを検知し、床板13の移動を停止させる。更に、作業中の介護者Cの腰が曲がっていることを検知し、腰が曲がらなくなる程度まで、床板13を上昇させてもよい。更にまた、所定のジェスチャーを登録しておき、介護者Cがそのジェスチャーをしたときに、そのジェスチャーに対応する補助動作を開始してもよい。更にまた、介護者Cが病室から退出した後に、自動的にベッド10を基準状態に戻してもよい。また、第2の実施形態において、物品センサとしてカメラを利用してもよい。この場合は、カメラが撮影した画像を解析して、物品を識別する。
このように、人体センサは必ずしもベッド10に取り付けられている必要はなく、領域R内に人が立ち入ったことを検知できればよい。また、人体センサは、人と物とを区別せずに物体を検知するセンサであっても、少なくとも人を検知することができれば、人体センサとして使用可能である。なお、赤外線センサは、検知対象物の温度によって、その検知対象物が人であるか物であるかをある程度区別できるため、人体センサとしては、より好適である。
更にまた、赤外線センサ20を設ける替わりに、サーバ40に所定の音声命令を登録しておき、介護者Cがマイク22を介してその音声命令を入力したときに、その音声命令に対応する補助作業を開始してもよい。この場合は、サーバ40に介護者Cの声を登録しておけば、端末装置30による介護者Cの認証を省略してもよい。
更にまた、ベッドシステムが補助する作業は、車椅子への移乗、おむつ交換及び食事には限定されない。例えば、移乗支援器具、歩行補助器又はリフトへの移乗であってもよく、患者Pの着替えの介助であってもよく、シーツ交換であってもよく、患者Pの口腔ケアであってもよい。
前述の実施形態及びその変形例は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例には限定されない。例えば、前述の各実施形態及び変形例において、いくつかの構成要素を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態及びその変形例は、相互に組み合わせて実施することができる。
1、2:ベッドシステム、10:ベッド、11:メインフレーム、12:サイドフレーム、13:床板、14:ヘッドボード、15:フットボード、16:駆動部、16a:手元スイッチ、17:背ボトム、18:膝ボトム、19:脚ボトム、20:赤外線センサ、21:スピーカー、22:マイク、30:端末装置、31:RFリーダー、32:タッチパネル、40:サーバ、50:RFタグ、51:RFリーダー、60:RFリーダー、61、62、63:RFタグ、101:車椅子、102:おむつ用カート、103:トレイ、104:オーバーベッドテーブル、105:椅子、C:介護者、H0、H1、H2、H3:高さ、P:患者、R:領域

Claims (4)

  1. 昇降可能なベッドと、
    前記ベッドの近傍に物体が存在するか否かを検知する第1センサと、
    第1介護者を特定する情報を取得し、前記第1センサが物体を検知したときに、自動的に前記ベッドの高さを第1高さにする制御部と、
    を備えるベッドシステム。
  2. 前記ベッドシステムは、前記ベッドの高さを操作可能な操作部をさらに備え、
    前記ベッドの高さが前記第1高さに変化している間で、前記操作部が指示を受け付けたとき、前記制御部は前記指示に基づき前記ベッドの高さを制御する請求項1記載のベッドシステム。
  3. 前記ベッドの高さが前記第1高さに変化している間で、前記第1センサが物体を検知しなくなったとき、前記制御部は前記ベッドの変位を停止させる請求項1または2に記載のベッドシステム。
  4. 前記制御部は、時間帯に基づいて前記第1高さを決定する請求項1〜3のいずれか1つ
    に記載のベッドシステム。
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