JP6671197B2 - 移乗支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、移乗支援システムに関する。
病院、介護施設又は在宅において療養中の被介護者が移乗する際の動作を補助する目的で、各種の動作補助機能を備えた寝台装置や移乗装置などが提案されている。例えば、特許文献1には、横臥状態から座位状態に移行する動作を支援する機能を備えた介護用ベッドが開示されている。また、特許文献2には、被介護者の移乗動作を支援する移乗支援装置が開示されている。
特開平11−267159号公報 特開2011−147522号公報
一般的に、ベッドから車いすまでの間には10cm〜15cmの隙間がどうしても生じるが、これを乗り越えるためには介護者及び被介護者双方の身体的負担の増加を避けることが出来ない。その対策として、上記特許文献1,2に例示されるような各種対策が講じられてきたものの、決して十分かつ効果的なものではなかった。
すなわち、従来、ベッド及び周辺機器のそれぞれが単独で高さ調整をするものがあったが、あくまでもスタンドアローンでの動作に止まっていた。そのため、被介護者または介護者には、ベッド及び周辺機器間の高さ寸法差等を自ら目視確認しながら手動操作で高さ調整することが求められていた。また、このような手動操作は、介護を要する被介護者にとっては難しく、また、例え介護者が操作する場合であっても、ベッドと各周辺機器との組み合わせ毎に、最適な高さや配置関係等が異なるため、操作には慣れが必要であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、被介護者が移乗元から移乗先へ移乗する際の機器操作を容易かつ正確とすることが可能な、移乗支援システムの提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様は、移乗元上の被介護者が移乗先へ移乗する際の動作を支援する移乗支援システムであって、前記移乗元及び前記移乗先のそれぞれにおける、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つに関し、前記移乗元及び前記移乗先の少なくとも一方の絶対値を他方の絶対値に応じて修正すること、及び、前記移乗元及び前記移乗先間の相対差を修正すること、の何れか一方もしくは両方を行う第1の機器を備える。
上記移乗支援システムによれば、被介護者が移乗元から移乗先へ移乗する前に、第1の機器によって前記絶対値及び前記相対差の一方又は両方を適正化させることができる。すなわち、第1の機器の支援によって、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つを定量的に修正することにより、被介護者や介護者毎の操作のばらつきなく高い再現性をもって修正を行うことができる。
なお、修正項目の一つである「向き」は、移乗元及び移乗先間における相対的な配置方向のみならず、例えば寝台装置の寝台面の鉛直方向の傾きや車椅子の座面の鉛直方向の傾きも含む。
(2)上記(1)に記載の移乗支援システムにおいて、前記第1の機器が前記修正を行う際に、前記移乗元の種別及び前記移乗先の種別の少なくとも一方を参照してもよい。
この場合、何から何に向かって移乗するのかを事前に把握した上で修正できるので、移乗元の種別及び移乗先の種別の組み合わせに応じた修正を行うことができる。なお、「種別」には、移乗元の機器名や型番等、及び、移乗先の機器名や型番等を含む。
(3)上記(2)に記載の移乗支援システムにおいて、前記第1の機器が、前記修正のタイミング及び速度の少なくとも一方を、前記移乗先の前記種別に基づいて制御してもよい。
この場合、第1の機器は、移乗先の種別を把握した上で移乗動作を支援できるので、移乗動作時の被介護者の動きや姿勢の経過を考慮することができる。例えば、移乗動作中の被介護者の姿勢変化を考慮して、被介護者を後押しする際の力のかけ方を適切に行うことができる。
(4)上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の移乗支援システムにおいて、前記移乗元における前記被介護者の動作及び状態の少なくとも一方の情報を取得する第2の機器をさらに備え;前記第1の機器が、前記第2の機器から前記情報を得た場合に前記修正を行う;構成を採用してもよい。
この場合、被介護者に関する所定の情報を第2の機器によって検知することで、被介護者が移乗動作を希望していることを自動的に検知することができる。
(5)上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の移乗支援システムにおいて、前記被介護者または介護者からの入力を受け付ける第3の機器をさらに備え;前記第3の機器が前記入力を受けている間に、前記第1の機器が前記修正を行う;構成を採用してもよい。
この場合、被介護者または介護者による入力を第3の機器によって検知することで、被介護者が移乗動作を希望していることを検知することができる。そして、第3の機器が入力を検知したことを受けて、第1の機器が自動的に移乗支援動作を進めることができる。
(6)上記(1)〜(5)の何れか一項に記載の移乗支援システムにおいて、前記第1の機器が前記修正を行っている際に、前記修正が完了したか否かの少なくとも一方を報知する第4の機器をさらに備えてもよい。
この場合、被介護者及び介護者の少なくとも一方が、相対差の修正動作が未完であるかまたは完了であるかを明確に知ることができる。なお、ここで言う「報知」とは、音や音声、光、振動など、被介護者及び介護者の少なくとも一方が感知できるものとする。
(7)上記(1)〜(6)の何れか一項に記載の移乗支援システムにおいて、前記相対差を修正する場合に、前記第1の機器が、前記高さ、前記位置、及び前記向き、のうちの少なくとも一つである、前記移乗元における第1の情報と前記移乗先における第2の情報との双方を準備し、さらに、前記第1の情報及び前記第2の情報間の差分により、前記相対差を求める、構成を採用してもよい。
この場合、第1の機器によって相対差を確実かつ正確に求めることができる。
(8)上記(1)〜(6)の何れか一項に記載の移乗支援システムにおいて、前記絶対値を修正する場合に、前記第1の機器が、前記高さ、前記位置、及び前記向き、のうちの少なくとも一つである、前記移乗元における第1の情報と前記移乗先における第2の情報との双方を準備し、さらに、前記第1の情報が前記第2の情報に対して許容範囲内となるように、または、前記第2の情報が前記第1の情報に対して許容範囲内となるように、前記移乗元の前記絶対値及び前記移乗先の前記絶対値の少なくとも一方に対し、前記修正を行う、構成を採用してもよい。
この場合、第1の機器によって絶対値の修正作業を確実かつ正確に行うことができる。
(9)上記(1)〜(8)の何れか一項に記載の移乗支援システムにおいて、前記移乗元が、寝台装置であり;前記移乗先が、車椅子、歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器、のうちの少なくとも一つを含む;構成を採用してもよい。
この場合、寝台装置を中心として様々な機器に移乗することができる。
本発明の上記(1)に記載の態様に係る移乗支援システムによれば、被介護者が移乗元から移乗先へ移乗する際の機器操作を容易かつ正確とすることが可能になる。
また、上記(2)に記載の場合、移乗元の種別及び移乗先の種別の組み合わせを事前に把握した上で修正を行うことができるので、移乗動作に適したより細かな修正を行うことが可能となる。
また、上記(3)に記載の場合、修正を、移乗動作の支援を受ける被介護者の動きや姿勢の経過に応じてより適切に行うことができる。
また、上記(4)に記載の場合、被介護者の移乗の意思を自動的に検知できるので、全自動で移乗支援動作を行うことが可能となる。
また、上記(5)に記載の場合、被介護者による入力を第3の機器で受けている間、第1の機器が移乗支援動作を進めるので、全体として半自動で移乗支援動作を行うことが可能となる。
また、上記(6)に記載の場合、被介護者にとっては、修正動作が未完であるかまたは完了であるかを明確に知ることができるので、安心して身を任せることができる。また、介護者にとっては、移乗支援動作の進行経過をより明確に把握できる。
また、上記(7)に記載の場合、第1の機器によって相対差を確実かつ正確に求めることができるので、移乗支援動作をより正確に行うことが可能となる。
また、上記(8)に記載の場合、第1の機器によって絶対値の修正作業を確実かつ正確に行うことができるので、移乗支援動作をより正確に行うことが可能となる。
また、上記(9)に記載の場合、寝台装置を中心として様々な機器に移乗することができるので、被介護者の移乗支援を広範囲に渡り行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る移乗支援システムの、制御系を示すブロック図である。 同移乗支援システムによる、被介護者の移乗動作の支援方法を説明するための平面図である。 同移乗支援システムによる、寝台装置から車椅子への移乗動作の支援方法を説明する側面図である。 同移乗支援システムによる、寝台装置から車椅子への移乗動作の支援方法を説明する図であって、寝台装置の寝台面及び車椅子の座面の昇降動作を説明するための側面図である。 同移乗支援システムにおける車椅子の誘導方法を示す平面図である。 同移乗支援システムにおける車椅子の他の誘導方法を示す平面図である。 同移乗支援システムにおける車椅子の更に他の誘導方法を示す平面図である。 同移乗支援システムによる、寝台装置から車椅子への移乗動作の支援方法を説明する図であって、寝台装置の寝台面及び車椅子の座面の傾動を説明するための側面図である。 同移乗支援システムによる、寝台装置から車椅子への移乗支援を全自動で行う場合の流れ図である。 同移乗支援システムの変形例を示す図であって、寝台装置から車椅子への移乗支援を半自動で行う場合の流れ図である。 同移乗支援システムの変形例を示す図であって、他の機器への適用例を示す側面図である。 同移乗支援システムの変形例を示す図であって、更に他の機器への適用例を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る移乗支援システムを説明する図であって、寝台装置から移乗ロボットへの移乗支援を説明する側面図である。 同移乗支援システムの制御系を示すブロック図である。 同移乗支援システムによる、寝台装置から移乗ロボットへの移乗支援を全自動で行う場合の流れ図である。 同移乗支援システムの変形例を示す図であって、寝台装置から移乗ロボットへの移乗支援を半自動で行う場合の流れ図である。
本発明の移乗支援システムの各実施形態及びその変形例について、図面を参照しながら以下に説明する。
本実施形態の移乗支援システムは、移乗元上の被介護者が移乗先へ移乗する際の動作を支援する。そして、この移乗支援システムは、前記移乗元及び前記移乗先のそれぞれにおける、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つに関し、前記移乗元及び前記移乗先の少なくとも一方の絶対値を他方の絶対値に応じて修正すること、及び、前記移乗元及び前記移乗先間の相対差を修正すること、の何れか一方もしくは両方を行う第1の機器を備えている。
[A]第1実施形態(相対差制御による移乗支援)
本実施形態では、前記第1の機器として、図1に示す、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200を備えている。なお、以下の説明においては、図2及び図3に示すように、移乗元が寝台装置101であり、移乗先が車椅子201である場合を主に例示する。しかしながら、この組み合わせのみに限らず、移乗先が歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器、などの他の機器であってもよい。また、移乗元が、車椅子、歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器、の何れかであり、移乗先が、寝台装置101であってもよい。
以下の説明においては、まず、寝台装置101及び車椅子201それぞれの全体構造を説明し、続いて、前記寝台装置側制御装置100及び前記車椅子側制御装置200についての説明を行う。
[寝台装置]
寝台装置101は、寝台面102aを上面とするマットレスを有する寝台102と、寝台102をその下方より支持する支持架台103と、これら寝台102及び支持架台103の変形動作を駆動制御する前記寝台装置側制御装置100と、を備えている。寝台装置101は、電力を動力源とする電動ベッドである。
寝台面(マットレス面)102aは、寝台装置側制御装置100によって寝台102を背上げまたは膝上げ等の変形をさせる前の標準状態においては水平面をなしている。寝台面102aは、その平面視において左右方向よりも前後方向に長い矩形状を有する。寝台面102aの長手方向は前後方向とされ、寝台面102aの短手方向は左右方向となっている。
支持架台103は、寝台102をその下方より支持し、寝台102の荷重および寝台102上の被介護者Pの荷重を受け止めている。支持架台103は、寝台装置側制御装置100によって駆動され、寝台102の昇降動作、傾斜動作、及び屈曲動作を行う。そして、これら動作のうち、主に昇降動作及び傾斜動作により、被介護者Pの移乗動作を支援する。
すなわち、図3に示すように、寝台装置側制御装置100によって寝台102を昇降させると、端座位にある被介護者Pを乗せたまま寝台面102aが鉛直方向に昇降する。その結果、水平状態にある寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を、H1〜H3の間で調整して、被介護者Pの腰位置を持ち上げたり下げたりすることができる。また、寝台装置側制御装置100によって寝台102を傾動させた場合は、被介護者Pを乗せたまま、寝台面102aを、車椅子201に近くなるにつれて低くなるように傾斜させ、被介護者Pが車椅子201に向かうように促すことができる。
なお、これらの昇降動作及び傾斜動作は、それぞれ単独で行ってもよいし、または両方を同時に行ってもよいが、被介護者の移乗動作を考慮して、車椅子201との間で連係して行うことが好ましい。
具体的に言うと、例えば寝台装置101から車椅子201に移乗する場合には、まず寝台装置101の寝台面102aの高さを、寝台装置101上から被介護者が降りやすい高さ位置に上昇して停止させる。続いて、車椅子201がその座面202aの高さを、寝台面102aの高さに合わせる。一般的に、被介護者が就寝している際の寝台面102aの高さは、安全面の観点より最小床高さになっていることが多いが、その低い状態からでは被介護者が立ち上がりにくい。そのため、上記のようにまず寝台面102aを上昇させて被介護者の腰位置を上げおき、続いて、この腰位置(寝台面102aの高さ)に合わせるように車椅子201の座面202aの高さを昇降させることが好ましい。
逆に、車椅子201から寝台装置101に移乗する場合には、まず車椅子201がその座面202aの高さを、車椅子201上から被介護者が降りやすい高さ位置に上昇させる。続いて、寝台面102aの高さを、車椅子201の座面202aの高さに合わせる。このように、まず座面202aを上昇させて被介護者の腰位置を上げおき、続いて、この腰位置(座面202aの高さ)に合わせるように寝台面102aの高さを昇降させることが好ましい。
[車椅子]
車椅子201は、座面202a及び背もたれ202bを有する車体202と、車体202を支持する一対の駆動輪(後輪)203及び一対の操舵輪(前輪)204と、座面202a及び背もたれ202bの昇降及び傾動制御、そして駆動輪203及び操舵輪204の走行制御を行う前記車椅子側制御装置200と、を備えている。なお、車椅子201は、車椅子側制御装置200による自動走行と、介護者の手押しによる通常走行とを選択的に行えるが、以下の説明では、自動走行の場合を例示する。
すなわち、車椅子側制御装置200によって駆動輪203が回転駆動された場合には、車椅子201がその前後方向に進退する。また、車椅子側制御装置200によって操舵輪204の向きが変えられることで、車椅子201の走行方向を左右に変えることができる。したがって、車椅子側制御装置200の制御により、車椅子201を所望の位置において所望の向きを向くように移動させることが可能である。なお、上記構成の他、操舵輪204を単なる従動輪とし、さらに一対の駆動輪203の回転方向を互いに逆向きにすることでも、車椅子201の方向転換を行うことが可能である。
座面202aは、車椅子側制御装置200により、床面Fを基準とした鉛直方向の高さ調整をする昇降動作と、水平軸線Cfを中心とした傾斜動作とが行える。そして、これら昇降動作及び傾斜動作により、被介護者Pの移乗動作を支援する。
すなわち、被介護者Pが移乗してくる前に、座面202aを鉛直方向に昇降させることで、被介護者Pを受け入れやすい高さで迎えることができる。また、座面202bを寝台装置101に近い側が低くなるように傾動させることで、昇降動作と同様に、被介護者Pを受け入れやすい傾斜角度で迎えることができる。
背もたれ202bは、水平軸線Crを中心として車椅子201の前後方向に傾動することで、被介護者Pの移乗動作がより容易となるように支援する。
すなわち、被介護者Pが移乗してくる前に、背もたれ202bを車椅子201の後方側に向けてやや倒しておくことで、被介護者Pを受け入れやすくなる。また、被介護者Pが車椅子201から寝台装置101に戻るための移乗をする際には、背もたれ202bを車椅子201の前方側に向かってやや倒すようにすることで、被介護者Pの背中を背もたれ202bで後押しできるので、被介護者Pを寝台装置101に向けてスムーズに送り出すことができる。
なお、座面202aの昇降動作、傾斜動作、そして背もたれ202bの傾斜動作は、全て同時に行ってもよいし、または一つが完了してから他のものを順次行うなど、各工程を、時間差をもって行うようにしてもよい。
以上説明の、寝台装置101における寝台面102aの昇降制御及び傾動制御と、車椅子201における座面202aの昇降制御及び傾動制御と、車椅子201における背もたれ202bの傾動制御と、については、それぞれ単独で行ってもよいし、または何れか2つ以上を連携させてもよい。例えば、下記のような流れで駆動制御することも可能である。
まず、車椅子側制御装置200によって、車椅子201を走行させ、寝台装置101に対して所望の相対位置及び相対向きとなる位置に停止させる。このときの車椅子201の自動走行制御は、例えば、車椅子201に設けられた操作部のボタン(不図示)を介護者が押下することで開始される。前記ボタンが押下されると、これを入力として制御部220が検知し、相対位置測定部244及び走行駆動部254の連係動作により、車椅子201が所定の位置まで自動走行し、そして停止することができる。
続いて、寝台装置側制御装置100によって、座面202aと寝台面102aとの高さ寸法差を取得し、この高さ寸法差が好ましい範囲内に収まるように寝台面102aを昇降させ、そして停止させる。この時、車椅子201における背もたれ202bの傾斜も同時に調整してもよい。なお、本実施形態では、調整の出だしの動きは、相対差を小さくする動きとなる。
続いて、寝台装置側制御装置100によって寝台102を傾動させ、寝台面102a上で端座位にある被介護者Pを車椅子201に向かって移乗するように促す。以上により、移乗準備が完了する。
最後に、被介護者Pが寝台装置101から車椅子201へと移乗する。
上記の駆動制御を行う寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200について、図1を参照しながら以下に詳細を説明する。
[寝台装置側制御装置]
寝台装置側制御装置100は、寝台装置101に設けられており、図1に示すように、通信部110と、制御部120と、記憶部130と、測定機構140と、駆動機構150とを備えている。
通信部110は、制御部120に接続されている。また、制御部120は、車椅子側制御装置200との間で無線通信を行う。無線通信の形態としては、Wi−Fi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ANT(登録商標)等を採用することができる。なお、必要に応じて、無線通信の代わりに有線通信を採用してもよい。また、通信部110及び通信部210間における通信は、双方向に限らず一方向であってもよい。例えば、車椅子201の通信部210から寝台装置101の通信部110に向けて一方向の通信を行うようにしてもよい。
記憶部130は、寝台装置101及び車椅子201間の好ましい相対差を、各種設定値として記憶している。ここで言う「相対差」とは、寝台装置101及び車椅子201間における、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つに関する相対差である。すなわち、下記(a)〜(d)の何れか一つまたはこれらの組み合わせをもって「相対差」と称する。
(a)床面Fを基準としての、寝台装置101における寝台面102aの高さ寸法と、車椅子201における座面202aの高さ寸法との相対差
(b)平面視における、寝台装置101の位置と車椅子201の位置との相対差
(c)平面視における、寝台装置101の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)と、車椅子201の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)との相対差
(d)側面視した場合の傾斜角度に関する、寝台装置101の寝台面102aと、車椅子201の座面202aとの間の相対差(すなわち、寝台面102a及び座面202aの何れか一方を基準とした場合の、他方がなす傾斜角度)
記憶部130は、上記(a)〜(d)のそれぞれに関し、寝台装置101から車椅子201に移乗する際の被介護者Pの身体的負担を最も軽くするための相対差を予め実測などして求めておいたものを、前述の「好ましい相対差」として記憶している。
すなわち、例えば上記(a)について図4により説明すると、寝台装置101から車椅子201へ移乗する際、床面Fから寝台面102aまでの高さ寸法がh1であるとすれば、床面Fから座面202aまでの高さ寸法としては、同じくh1か、またはh1よりもやや低めのh2であると、被介護者Pの身体的負担を軽減できるので好ましい。よって、「好ましい相対差」としては、最小値がゼロ(寝台面102aと座面202aが互いに同じ高さで段差が無い)でかつ、最大値がh1−h2としてこれら最小値から最大値の範囲内より適宜選定されることが好ましい。
また、床面Fから寝台面102aまでの高さ寸法がh3である場合、床面Fから座面202aまでの高さ寸法としては、同じくh3か、またはh3よりもやや低めのh1であると、被介護者Pの身体的負担を軽減できるので好ましい。よって、「好ましい相対差」としては、最小値がゼロでかつ最大値がh3−h1としてこれら最小値から最大値の範囲内より適宜選定されることが好ましい。
なお、厳密には、寝台装置101に備わるマットレスの柔らかさと、被介護者Pの体重との組み合わせにより、マットレスにおいて端座位にある被介護者Pの腰の沈み具合が変動する場合が有る。このような変動が大きくなると、実質的な「好ましい相対差」が上記の最小値及び最大値間の範囲外となってしまうこともあり得る。
そこで、記憶部130に、被介護者Pの体重データと、付与する荷重毎のマットレスの沈み込み寸法のデータとを校正データとして保存しておき、この校正データを用いて、上記の最小値及び最大値を校正しても良い。例えば、被介護者Pの腰位置におけるマットレス上の沈み込み寸法がδである場合、寝台面102a上における無負荷位置(被介護者Pの体重がかかっていない位置)における高さ寸法がδ分だけ高くなるように調整する、座面202aの高さ寸法をδ分だけ低くする、または、寝台面102aの高さ寸法を上げると共に座面202aの高さ寸法を下げる、などにより、δ分の沈み込み寸法を吸収してもよい。さらには、寝台面102a上の被介護者Pの腰位置における最も低く沈み込んだ部分の高さ寸法をもって、寝台面102aの高さ寸法としてもよい。
なお、被介護者Pの腰の沈み具合以外に、被介護者Pの身体的状態によっても、実質的な「好ましい相対差」が上記の最小値及び最大値間の範囲外となってしまうことがあり得る。例えば、被介護者Pが肢体不自由な障害者である場合と、肢体健全な場合とでは、同じ体重と同じ柔らかさのマットレスの組み合わせをもってしても、実質的な「好ましい相対差」は互いに異なる。このような観点より、被介護者Pの身体的状態も加味した校正データを記憶部130に保存して用いることがより好ましい。
続いて、上記(b),(c)について図5及び図6を例示して説明する。
図5において、符号fが車椅子201の前側(前進側)を示し、符号rが車椅子201の後側(後退側)を示す。
寝台装置101上の被介護者Pが一旦、端座位となってから車椅子201に移乗する場合には、被介護者Pの足の動きを妨げることのないように、寝台装置101の側縁102bに対して少なくとも足1本分以上の間を空けて停止させる必要がある。
また、寝台装置101に車椅子201を横付けする際、図5に示すように、側縁102bに対して車椅子201の前後方向が斜めとなるように停止させる場合や、側縁102bに対して前記前後方向が垂直をなすように停止させる場合や、さらには側縁102bに対して前記前後方向が平行をなすように停止させる場合などが考えられる。
さらには、被介護者Pが端座位とならずに移乗する場合には、例えば図6に示すように、寝台面102a上で座位状態にある被介護者Pを真横に平行移動させて側縁102bを乗り越えさせることで、車椅子201の座面202a上に移乗させることも考えられる。この場合、車椅子201は、その前後方向が寝台装置101の側縁102bの延在方向と平行でかつ、側縁102bに対して隙間無く横付けすることが好ましい。また、平面視した場合における被介護者Pの腰位置の移動先に座面202aが存在するように車椅子201を位置合わせすることが好ましい。
以上説明のように、車椅子201の誘導に際しては種々の形態が考えられるが、それらのうちのどれが最も好ましいかについては、被介護者Pの状態や体の移し方等を考慮して適宜選択することが好ましい。そして、選択結果を上記(b)及び(c)に記載の各相対差として、記憶部130に保存しておく。なお、車椅子201の誘導方法に関して数パターンを記録しておき、これらの内から、被介護者Pまたは介護者が適宜選択できるようにしてもよい。この場合、寝台装置101や車椅子201が設置される部屋の広さや間取りに応じて柔軟に対応することが可能となる。
上記(b)及び(c)に記載の各相対差が得られるように車椅子201を誘導させる具体的手段を、図5の例に戻って説明すると、まず、寝台装置101においては、その側縁102b上の、端座位となる被介護者Pの腰位置(端座位位置)に予めマーカーmを付しておく。また、車椅子201においては、側縁102bの延在方向と、側縁102b上のマーカーmに対する相対距離及び方向を認識するセンサーsを備えておく。これらマーカーm及びセンサーsを予め備えておくことにより、最適な位置に車椅子201を誘導して停止させることができる。
すなわち、まずセンサーsによりマーカーmの方向とマーカーmまでの距離とを把握し、これらを、記憶部130に予め保存しておいた好ましい配置状態(上記(b)及び(c)に記載の各相対差)と比較することで差分を得る。続いて、車椅子201を自走させ、上記差分を減じて上記(b)及び(c)に記載の各相対差が得られた時点で停止させる。
なお、マーカーmまで車椅子201を誘導する方法としては種々の形態が考えられるが、それらのうちの2例を図7により説明する。
まず、最初の例では、図7の紙面右側に示すように、寝台装置101に対し、マーカーmから所定の位置に赤外線センサーs1を設けておく。そして、車椅子201が赤外線bを横切ったタイミングを赤外線センサーs1によって取得し、さらにこのタイミングを、寝台装置101から車椅子201に対して送信する。一方、車椅子201においては、駆動輪203の外径寸法と、車椅子201が赤外線bを横切ってからの駆動輪203の回転数とにより、車椅子201の走行距離と走行方向とを算出して求める。走行方向は、操舵輪204の操舵角、または一対の駆動輪203における左右での走行距離差などによって算出することができる。このようにして、赤外線bを横切った後の車椅子201の走行距離及び走行方向を把握することで、赤外線bの位置を基準とした(赤外線センサーs1を基準とした)車椅子201の進路がわかるので、車椅子201がマーカーm近傍の所定位置に至るまでの距離及び方向を算出することが可能である。
なお、車椅子201の走行距離及び走行方向、さらにはマーカーmまでの距離及び方向の算出は、寝台装置側制御装置100側で行ってもよいし、または車椅子側制御装置200側で行ってもよい。
次の例では、図7の紙面左側に示すように、車椅子201に距離センサーs2(エコーセンサー、赤外線センサーなど)を設けておく。そして、例えば距離センサーs2がエコーセンサーの場合は、自らが発した音波が帰ってくるまでの時間と、帰ってきた方向とを取得することにより、寝台装置101の側縁102bまでの距離と方向とを求めることができる。
この他、レーザー光を用いた光学的手法も採用可能である。例えば、車椅子201より周囲に向かってレーザー光を、照射角度を水平方向に振りながら照射し、自らの周囲における障害物有無、さらには寝台装置101の側縁102bの存在方向及び距離を画像処理により取得する。この画像処理を定期的に繰り返すことにより、寝台装置101の側縁102bまでの距離と方向を求めることができる。
さらには、マーカーm自体に自らの位置をマーカー情報として発信する機能を設けておき、車椅子201側で前記マーカー情報を受信することで、車椅子201からマーカーmまでの距離と方向とを取得する構成も採用可能である。
続いて、上記(d)について図8を用いて説明する。寝台装置101上で端座位にある被介護者Pが車椅子201に向かって移乗する際、寝台面102aを座面202aに向かって下りとなるように傾斜させると、移乗動作がしやすくなって好ましい。一方、被介護者Pをこれから受け入れる車椅子201側においては、移乗初期のうちは座面202aが寝台面102aに向かって下りとなるように傾斜させると移乗動作がしやすい。また、被介護者Pの腰が座面202aに乗った移乗後期では座面202aを車椅子201の後方側に向かって下りとなるように傾斜させると腰が奥深くまで入り込むため安定させやすい。
逆に、車椅子201に座っている被介護者Pが寝台装置101に向かって移乗する場合は、座面202aを寝台面102aに向かって下りとなるように傾斜させると、移乗動作がしやすい。一方、これから被介護者Pを受け入れる寝台装置101側においては、移乗初期のうちは寝台面102aが座面202aに向かって下りとなるように傾斜させ、被介護者Pの腰が寝台面102aに乗った移乗後期では寝台面102aを水平に戻すようにすると、移乗動作がしやすい。
以上説明のように、側面視における、寝台面102a及び座面202aの何れか一方を基準とした場合の他方がなす傾斜角度αとして好ましい値を予め求めて記憶部130に保存しておき、被介護者Pの移乗動作時に読み出して、寝台面102a及び座面202aそれぞれの傾きを制御することが好ましい。
以上説明の(a)〜(d)は、これらのうちの1つのみを調整するようにしてもよいし、2つを選んで調整するようにしてもよいし、3つを選んで調整するようにしてもよいし、さらには4つ全てを調整するようにしてもよい。また、(a)〜(d)から複数選んだ場合、それらの全てを同時に調整するようにしてもよいし、または一つが完了してから他のものを順次行うなど、各工程を、時間差をもって調整するようにしてもよい。
さらに言うと、以上(a)〜(d)において、「好ましい相対差」は一定値(例えば上記(a)に関して言えば、高さ寸法の相対差を一定値とする)としてもよい。しかしながら、移乗開始から移乗完了に至るまでの時間経過の中、被介護者Pの姿勢や動作は時々刻々と変わるので、これらに応じて、前述の「好ましい相対差」は時間と共に変化させることが好ましい。このような観点より、上記(a)〜(d)のそれぞれに関する「好ましい相対差」は時系列で変化させてもよい。
なお、上記の「好ましい相対差」に関する説明は、主に、寝台装置101から車椅子201へ移乗する場合を想定したものである。これに加えて、車椅子201から寝台装置101へ移乗する場合を想定したものを別の「好ましい相対差」として記憶部130に記憶させておき、車椅子201から寝台装置101へ移乗する際に制御部120が読み出して用いるようにしてもよい。
さらには、移乗元が寝台装置101である場合、車椅子201以外の移乗先として、歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器などの他の機器のそれぞれについて、前述の「好ましい相対差」を予め求めておいてこれらを記憶部130に記憶させてもよい。逆に、車椅子201以外の機器(歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器など)を移乗元として寝台装置101に移乗する場合を想定して、前述の「好ましい相対差」を予め求めておいて記憶部130に記憶させてもよい。
なお、寝台装置101、車椅子201、そしてその他機器(歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器など)のそれぞれに対し、予め識別符合(ID)を付しておくことが好ましい。この場合、移乗元と移乗先との間で互いの識別符合(ID)を移乗開始前に交換し合うことで、何から何への移乗であるのかを双方の機器において認識することができるので、複数パターンある「好ましい相対差」のうちから最適なものを選んで用いることができる。
前記測定機構140は、高さ測定部141と寝台面傾斜角度測定部142とを備えている。
高さ測定部141は、寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部120に送信する。本実施形態の寝台面102aは傾動するため、移乗中は寝台面102aの高さ寸法が寝台面102a上の場所により異なる場合がある。そのため、寝台面102aを平面視した場合の特定位置(特定点)における高さ寸法を用いて、寝台面102aの高さ調整を行うようにすることが好ましい。特定点としては、被介護者Pが移乗に際して端座位となる位置(例えば図5のマーカーmの位置)を好適に用いることができる。
また、高さ測定部141による高さ寸法測定は、例えば、まず、寝台面102aを平坦かつ水平にするとともに支持架台103を最も低くした状態での、マーカーmの位置における、寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を初期値として記憶しておく。そして、この初期値に対して、支持架台103の上昇及び傾斜動作による昇降寸法と、寝台102の屈曲動作による昇降寸法とを加算することで求めることができる。各昇降寸法の測定は、支持架台103の変形量、すなわち支持架台103を構成する各脚部(不図示)の傾動角度や伸縮寸法の変化量を測定することで容易に求めることが可能である。
なお、前記初期値の設定は、寝台面102aを上面とする前記マットレスの厚み寸法を変数の一つとして入力可能にしておくと、使用するマットレスを変えても必ず正確な高さ寸法が得られるので好ましい。
前記寝台面傾斜角度測定部142は、寝台面102aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部120に送信する。傾斜角度の測定は、例えば、水準器を用いて、前記マットレスを支える支持架台103が、寝台面102aの長手方向に対しては何度傾斜し、また左右方向に対しては何度傾斜しているかを測定することで求められる。
傾斜角度も、高さ寸法と同様に、被介護者Pが移乗に際して端座位となる位置(例えば図5のマーカーmの位置)を測定基準とすることが好ましい。
前記駆動機構150は、高さ調整駆動部151と、寝台面傾斜角度調整駆動部152とを備えている。
高さ調整駆動部151は、制御部120からの指示を受けた場合に、支持架台103を、指示に応じた所定高さ寸法分、昇降させる。より具体的に言うと、マーカーmの位置における寝台面102aの高さ寸法が所望となるように昇降させる。この昇降動作により、寝台面102aを所望の高さ寸法に正確に合わせることができる。
前記寝台面傾斜角度調整駆動部152は、制御部120からの指示を受けた場合に、寝台102を、指示に応じた所定傾斜角度分、傾動させる。より具体的に言うと、マーカーmの位置における寝台面102aの傾斜角度が所望となるように傾動させる。この傾動により、寝台面102aを所望の傾斜角度に正確に合わせることができる。
以上説明の構成を有する寝台装置側制御装置100によれば、高さ測定部141により寝台面102aの高さ寸法を測定すると共に、寝台傾斜角度測定部142により寝台面102aの傾斜角度を測定することで、現時点での、床面Fに対する寝台面102aの相対的な配置を制御部120が把握する。
そして、制御部120は、現時点における寝台面102aの高さ寸法を、別途取得した座面202aの高さ寸法と比較して相対差を得る。このようにして得た現時点における相対差を、制御部120は、記憶部130に記憶されている前記(a)に記載の相対差と比較し、両者の差が許容範囲内になければ、高さ調整駆動部151を駆動させて高さ寸法の調整を行う。また、制御部120は、現時点における寝台面102aの傾斜角度を、別途取得した座面202aの傾斜角度と比較して相対差を得る。このようにして得た現時点における相対差を、制御部120は、記憶部130に記憶されている前記(d)に記載の相対差と比較し、両者の差が許容範囲内になければ、寝台面傾斜角度調整駆動部152を駆動させて傾斜角度の調整を行う。
なお、高さ寸法の調整と傾斜角度の調整とは、同時に行ってもよいし、またはどちらか一方をまず先に行い、続いて他方を行うようにしてもよい。また、上記(b)及び(c)に記載の相対差は車椅子201側で行うため、これらについては車椅子側制御装置200の説明において述べる。
[車椅子側制御装置]
車椅子側制御装置200は、車椅子201に設けられており、図1に示すように、通信部210と、制御部220と、記憶部230と、測定機構240と、駆動機構250とを備えている。
通信部210は、制御部220に接続されている。また、制御部220は、寝台装置側制御装置100との間で無線通信を行う。無線通信の形態としては、前記通信部110と同様に、Wi−Fi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ANT(登録商標)等を採用することができる。なお、必要に応じて、無線通信の代わりに有線通信を採用してもよい。また、前述した通り、車椅子201及び寝台装置101間の通信は双方向に限らず、例えば、車椅子201の通信部210から寝台装置101の通信部110に向けて一方向の通信を行うようにしてもよい。
記憶部230は、自らの種別を示す識別番号を記憶している。ここで言う「種別」には、自らが「車椅子」であることを示す機器名、自らの型番、自らの識別符号(ID)、等の情報が含まれている。この種別を、通信部210を介して寝台装置101に送信することで、車椅子201が寝台装置101に対し、自らの機器名と仕様とを知らせることができる。一方、寝台装置側制御装置100においては、前記制御部120が、車椅子201より送られてきた前記種別を確認することで、車椅子201が意図した移乗先であることを確認した上で移乗支援動作を開始することができる。
前記測定機構240は、高さ測定部241と座面傾斜角度測定部242と背もたれ傾斜角度測定部243と相対位置測定部244とを備えている。
高さ測定部241は、座面202aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部220に送信する。本実施形態の座面202aは傾動するため、移乗中は座面202aの高さ寸法が座面202a上の場所により異なる場合がある。そのため、座面202aを平面視した場合の特定位置(特定点)における高さ寸法を用いて、座面202aの高さ調整を行うことが好ましい。特定点としては、移乗する際の被介護者Pに最も近い最前縁位置(例えば図5,図8におけるマーカーmaの位置)を好適に用いることができる。
また、高さ測定部241による高さ寸法測定は、例えば、まず、座面202aを水平かつ最も低くした状態での、マーカーmaの位置における、座面202aの床面Fからの高さ寸法を初期値として記憶しておく。そして、この初期値に対して、座面202aの上昇及び傾斜動作による昇降寸法を加算することで求められる。各昇降寸法の測定は、座面202aを昇降させる機構(不図示)の傾動角度や伸縮寸法の変化量を測定することで容易に求められる。
前記座面傾斜角度測定部242は、座面202aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。傾斜角度の測定は、例えば水準器を用いて、座面202aが前後方向において水平面より何度傾斜しているかを測定することで求められる。傾斜角度も、高さ寸法と同様に、移乗する際の被介護者Pに最も近い前記最前縁位置(マーカーmaの位置)を測定基準とすることが好ましい。
前記背もたれ傾斜角度測定部243は、背もたれ202bの鉛直面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。傾斜角度の測定は、例えば水準器を用いて、背もたれ202bが前後方向において鉛直面より何度傾斜しているかを測定することで求められる。
前記相対位置測定部244は、平面視した場合においての、寝台装置101に対する車椅子201の相対位置を取得して制御部220に送信する。相対位置測定部244としては、前述したセンサーsまたは距離センサーs2等を採用することができる。すなわち、相対位置測定部244として例えばセンサーsを採用した場合には、車椅子201から見た場合の、前記側縁102bの延在方向と、側縁102b上のマーカーmに対する距離及びマーカーmの方向とを認識する。
前記駆動機構250は、高さ調整駆動部251と、座面傾斜角度調整駆動部252と、背もたれ傾斜角度調整駆動部253と、走行駆動部254とを備えている。
高さ調整駆動部251は、制御部220からの指示を受けた場合に、座面202aを、指示に応じた所定高さ寸法に昇降させる。より具体的に言うと、マーカーmaの位置における座面202aの高さ寸法が所望の範囲内となるように昇降させる。この昇降動作により、座面202aを所望の高さ寸法に正確に合わせることができる。
前記座面傾斜角度調整駆動部253は、制御部220からの指示を受けた場合に、座面202aを、指示に応じた所定傾斜角度に傾動させる。より具体的に言うと、マーカーmaの位置を傾動軸として座面202aが所望の範囲内となるように傾動させる。この傾動により、座面202aを所望の傾斜角度に正確に合わせることができる。
背もたれ傾斜角度調整駆動部253は、制御部220からの指示を受けた場合に、背もたれ202bを、指示に応じた所定傾斜角度に傾動させる。より具体的に言うと、前記水平軸線Crを中心として背もたれ202bを車椅子201の前後方向に傾動させる。この傾動により、背もたれ202bの傾斜が所望の範囲内となるように正確に合わせることができる。
前記走行駆動部254は、制御部220からの指示を受けた場合に、車椅子201を、指示に応じた移動方向及び移動量をもって移動させる。より具体的に言うと、前述した(b)に記載の、平面視における寝台装置101の位置と車椅子201の位置との相対差が得られるよう、車椅子201を自動走行させる。同時に、前述した(c)に記載の、平面視における、寝台装置101の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)と、車椅子201の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)との相対差が得られるよう、車椅子201を操舵する。そして、これら(b)及び(c)の双方の相対差が得られた時点で、車椅子201の自動走行を停止させた後、駆動輪(後輪)203及び操舵輪(前輪)204の回転をロックさせることで、車椅子201のさらなる移動を規制する。
以上説明の構成を有する車椅子側制御装置200によれば、車椅子201を寝台装置101に対して適切な状態で横付けすることができる。すなわち、高さ測定部241により座面202aの高さ寸法を取得し、座面傾斜角度測定部242により座面202aの水平面に対する傾斜角度を取得し、背もたれ傾斜角度測定部243により背もたれ202bの鉛直面に対する傾斜角度を取得し、さらに、相対位置測定部244により車椅子201の寝台装置101に対する平面視上における距離及び方向を取得する。そして、これら取得値を制御部220が受け取ることで、現時点での、床面Fに対する座面202aの相対的な配置を把握することができる。
そして、制御部220は、前記制御部120と協同することにより、現時点における座面202a及び寝台面102a間の高さ寸法に関する相対差を、前記(a)に記載の好ましい相対差と比較し、両者の差が許容範囲内になければ、高さ調整駆動部251を駆動させて高さ寸法の調整を行う。
また、制御部220は、前記制御部120と協同することにより、現時点における寝台面102a及び座面202a間の傾斜角度に関する相対差を、前記(d)に記載の好ましい相対差と比較し、両者の差が許容範囲内になければ、座面傾斜角度調整駆動部253を駆動させて傾斜角度の調整を行う。なお、高さ寸法の調整、相対位置の調整、そして傾斜角度の調整は、3つとも同時に行ってもよいし、またはそれぞれを、時間差をもって順次行うようにしてもよい。
また、上記説明においては、寝台装置101の寝台面102aの高さ調整及び傾斜調整に加えて、車椅子201側でも座面202aの高さ調整及び傾斜調整を行うものとしたが、車椅子201側でのこれら調整を省略して、前述した(b)及び(c)に記載の相対差に関する調整のみを行うようにしてもよい。
以上説明の移乗支援システムにより寝台装置101上の被介護者Pを車椅子201に移乗させる際の制御としては、(i)全自動制御及び(ii)半自動制御の何れも採用可能である。
前記(i)全自動制御では、後述のコントローラのボタンを押すことで、移乗支援が開始し、そして移乗支援が終わったら自然に制御が停止する。この全自動制御を採用する場合、介護者または被介護者Pが緊急時に全自動制御を強制的に停止させるためのキャンセルボタン(ストップボタン)を、寝台装置101及び車椅子201の何れか一方に設けておくことが好ましく、さらには両方に設けておくことがより好ましい。
前記(ii)半自動制御では、後述のコントローラのボタンを押すことで移乗支援が開始し、そのままボタンを押し続けることで移乗支援が継続して行われる。そして、前記ボタンから指を離すことで移乗支援の制御が停止する。したがって、介護者または被介護者Pが前記ボタンの押下を止めることで、緊急時の制御強制停止を行うことができる。
以下に、これら(i)全自動制御及び(ii)半自動制御のそれぞれについて、詳細を説明する。
[全自動制御]
移乗支援システムにより、寝台装置101上の被介護者Pを車椅子201に移乗させるのを全自動で支援する場合について、図9及び図1を参照しながら以下に説明する。
まず、ステップS1において、寝台装置101上で端座位にある被介護者P、または寝台装置101の近傍にいる介護者が、寝台装置101に備わっているコントローラ(不図示)を押下する。
そして、この操作が移乗支援開始の指示として、前記制御部120に入力される(ステップS2)。なお、被介護者Pの移乗開始の意志を移乗支援システムに入力する手段としては、前記コントローラの操作のみに限らず、例えば被介護者Pが横臥位から端座位に移行した際の動作及び姿勢状態変化の少なくとも一方を検知することで入力として用いてもよい。この場合、被介護者Pの動作または姿勢状態を検知する手段としては、例えば、寝台面102aにおいて被介護者Pが端座位となる位置に感圧センサー(第2の機器。不図示)設けておくことが考えられる。また、感圧センサー以外に、被介護者P及び介護者の少なくとも一方の音声指示を入力として受信できるマイク(第2の機器。不図示)設けておくことも考えられる。
続くステップS3においては、寝台装置101が自らの状態取得を行う。すなわち、高さ測定部141においては、寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部120に送信する。また、寝台面傾斜角度測定部142においては、寝台面102aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部120に送信する。
このようにして現時点における寝台面102aの高さ寸法と傾斜角度とを取得することにより、制御装置120は、自らの状態取得を完了する。
一方、ステップS2に続くステップS4では、車椅子201が自らの状態取得を行う。すなわち、高さ測定部241は、座面202aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部220に送信する。また、座面傾斜角度測定部242は、座面202aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、背もたれ傾斜角度測定部243は、背もたれ202bの鉛直面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、相対位置測定部244は、平面視した場合においての、寝台装置101に対する車椅子201の相対位置を取得して制御部220に送信する。
このようにして、現時点における座面202aの高さ寸法及び傾斜角度と、車椅子201の位置及び向きと、背もたれ202bの傾斜角度と、を取得することにより、制御装置220は、自らの状態取得を完了する。
続くステップS5においては、制御部220が、現時点における座面202aの高さ寸法及び傾斜角度、背もたれ202bの傾斜角度、そして車椅子201の位置及び向き、に加えて、記憶部230に記憶されている識別番号(種別)を寝台装置101へと送信する。この送信は、制御部220からの指示を受けて通信部210が行い、そして通信部110を介して制御部120へと伝えられる。
続くステップS6においては、制御部120が、寝台装置101における状態取得の結果と、車椅子201から送信されてきた状態取得の結果とを対比して、現時点における両者間の相対差を求める。具体的に言うと、下記(a1)〜(d1)を求める。
(a1)現時点での、床面Fを基準としての、寝台装置101における寝台面102aの高さ寸法と、車椅子201における座面202aの高さ寸法との相対差
(b1)現時点での、平面視における、寝台装置101の位置と車椅子201の位置との相対差
(c1)現時点での、平面視における、寝台装置101の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)と、車椅子201の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)との相対差
(d1)現時点での、側面視した場合の傾斜角度に関する、寝台装置101の寝台面102aと、車椅子201の座面202aとの間の相対差(すなわち、寝台面102a及び座面202aの何れか一方を基準とした場合の、他方がなす傾斜角度)
続くステップS7においては、制御部120が、記憶部130より、前述の(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」を読み出す。この読み出しの際、制御部120は、ステップS5において車椅子201より送信されてきた識別番号(種別)を参照し、移乗先が車椅子201であることを認識する。そして、制御部120は、記憶部130に記憶されている複数の移乗先情報のうち、車椅子201についての上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」を読み出す。
なお、以上説明の各ステップのうち、ステップS3〜S7については、ステップS1,S2を待たずして、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200間で寝台装置101の状態及び車椅子201の状態を常に通信(双方向でも一方向でも可)する構成を採用すれば省略可能である。この場合、ステップS2の後はステップS8へと続くことになる。
続くステップS8においては、制御部120が、現時点での相対差が望ましい相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。具体的には、上記(a1)の相対差が上記(a)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(b1)の相対差が上記(b)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(c1)の相対差が上記(c)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(d1)の相対差が上記(d)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。
このようにして、現時点における上記(a1)〜(d1)の各相対差が移乗動作に適しているか否かが制御部120により判断される。そして、これら(a1)〜(d1)に関する全ての相対差が上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」の許容範囲内に既に入っている場合(YES)には、後述のステップS14へと進む。逆に、(a1)〜(d1)に関する相対差のうちの一つでも、上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」の許容範囲内に入っていない場合(NO)には、許容範囲外と判断された相対差を「好ましい相対差」の許容範囲内に入れるために、寝台装置101及び車椅子201の双方をそれぞれどのように駆動すべきかを制御部120が判断する。そして、ステップS9,S11へと進む。
続くステップS9では、制御部120からの指示を受けた場合に、高さ調整駆動部151及び寝台面傾斜角度調整駆動部152の少なくとも一方が起動し、寝台面102aの高さ寸法及び傾斜角度の少なくとも一方を調整する。
そして、続くステップS10では、寝台装置101が調整後の状態取得を行う。すなわち、高さ測定部141においては、寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部120に送信する。また、寝台面傾斜角度測定部142においては、寝台面102aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部120に送信する。
このようにして調整後における寝台面102aの高さ寸法と傾斜角度とを取得することにより、制御装置120は、調整後の状態取得を完了する。
一方、前記ステップS11は、ステップS8において制御部120が下した判断結果を、通信部110,210を介して制御部220が得ることで開始される。すなわち、ステップS11では、制御部220からの指示を受けた場合に、走行駆動部254を起動して車椅子201を所望の位置まで自走させ、さらに所望の向きを向いた状態で停止させる。さらに、制御部220からの指示を受けた場合に、高さ調整駆動部251及び座面傾斜角度調整駆動部252の少なくとも一方が起動し、座面202aの高さ寸法及び傾斜角度の少なくとも一方を調整する。また、必要に応じて、背もたれ傾斜角度調整駆動部253を起動して背もたれ202bの傾斜角度も調整する。
続くステップS12では、車椅子201が調整後における自らの状態取得を行う。すなわち、高さ測定部241は、座面202aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部220に送信する。また、座面傾斜角度測定部242は、座面202aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、背もたれ傾斜角度測定部243は、背もたれ202bの鉛直面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、相対位置測定部244は、平面視した場合においての、寝台装置101に対する車椅子201の相対位置を取得して制御部220に送信する。
このようにして、調整後における座面202aの高さ寸法及び傾斜角度と、車椅子201の位置及び向きと、背もたれ202bの傾斜角度と、を取得することにより、制御装置220は、自らの状態取得を完了する。そして、その結果を寝台装置101の制御部120に向けて送信する。
続くステップS13においては、制御部120が、寝台装置101における状態取得の結果と、車椅子201から送信されてきた状態取得の結果とを対比して、調整後における両者間の相対差を求める。具体的に言うと、下記(a2)〜(d2)を求める。
(a2)調整後の、床面Fを基準としての、寝台装置101における寝台面102aの高さ寸法と、車椅子201における座面202aの高さ寸法との相対差
(b2)調整後の、平面視における、寝台装置101の位置と車椅子201の位置との相対差
(c2)調整後の、平面視における、寝台装置101の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)と、車椅子201の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)との相対差
(d2)調整後の、側面視した場合の傾斜角度に関する、寝台装置101の寝台面102aと、車椅子201の座面202aとの間の相対差(すなわち、寝台面102a及び座面202aの何れか一方を基準とした場合の、他方がなす傾斜角度)
上記(a2)〜(d2)が得られた後、制御部120による制御がステップS8へと戻される。そして、ステップS8においては、制御部120が、調整後の相対差が望ましい相対差の許容範囲内に入っているかを判断する。具体的には、上記(a2)の相対差が上記(a)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(b2)の相対差が上記(b)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(c2)の相対差が上記(c)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(d2)の相対差が上記(d)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。
このようにして、調整後における上記(a2)〜(d2)の各相対差が移乗動作に適しているか否かが制御部120により判断される。そして、これら(a2)〜(d2)に関する全ての相対差が上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」の許容範囲内に入っている場合(YES)には、ステップS14へと進む。
ステップS14では、寝台装置101に設けられたスピーカー(不図示)により、「乗り移りの準備が整いました」と被介護者P及び介護者に対して音声通知する。そして、この音声通知後のステップS15をもって、本実施形態の移乗支援システムによる移乗支援が完了する。
なお、上記の例においては、音声通知(ステップS14)後に、寝台装置101及び車椅子201の各動作を停止させているが、この形態のみに限らず、他の形態を採用してもよい。例えば、図9において、ステップS8とステップS9,S11との間に「乗り移りのお手伝いを始めます」といった音声通知(ステップS8a、不図示)を行うようにしてもよい。この場合、端座位にある被介護者Pは、寝台面102aの昇降動作及び傾斜動作によって腰を持ち上げられたり座面202aに向かって押されたりするので、移乗支援を受けているという実感を抱きながら安心して車椅子201へと移乗することができる。
なお、前記ステップS9においては、高さ調整駆動部151及び寝台面傾斜角度調整駆動部152によって前記相対差を修正する開始タイミング及び速度の少なくとも一方を、移乗先の前記種別に基づいて制御することが好ましい。
例えば図3に示すように、移乗元が寝台装置101で移乗先が車椅子201という組み合わせにおいては、寝台面102aの高さ寸法と座面202aの高さ寸法とが等しいか、または座面202aよりも寝台面102aの高さ寸法を少し高めにすると、被介護者Pが移乗しやすくなる。
これに対し、もし、移乗準備開始(ステップS2)の時点における寝台装置101の寝台面102aが高さ寸法H1でかつ水平であり、また、車椅子201の座面202aが高さ寸法H3でかつ最前縁位置(図5,図8におけるマーカーmaの位置)から車椅子201の後方に向かって低くなるように傾斜している場合には、被介護者Pにとって移乗しにくいので調整が必要となる。
このような状態より移乗準備開始する場合、図3における寝台面102aの高さ寸法をH1からH2またはH3にゆっくりと上昇させ、なおかつ目的とする高さ寸法に至る直前のタイミングで、寝台面102aを車椅子201に向かって下りとなるように傾斜させることが好ましい。この場合、端座位にある被介護者Pの腰を、高さ寸法H1から高さ寸法H2またはH3にゆっくりと持ち上げると同時に、寝台面102aから座面202aに向かって腰を押すことができる。このように、寝台面102aにより被介護者Pの腰を持ち上げつつ、最上位の高さに至る直前のタイミングで腰を車椅子201に向けて押し出すことで、被介護者Pの足腰にかかる負担を軽減することが可能となる。
なお、寝台面102aを上昇させる際、上昇開始時、上昇中、上昇停止直前における各上昇速度を、一定速度ではなく相対差を設けてもよい。例えば、上昇中の上昇速度を速めにする一方、上昇開始時及び上昇停止直前における上昇速度を上昇中よりも遅めにすることで、被介護者Pに対する身体的及び心理的負担を軽減させつつも、移乗準備に要する時間を短縮することができる。
一方、車椅子201においては、寝台面102aの駆動開始タイミング及び駆動速度に応じて、座面202aの駆動開始タイミング及び駆動速度を連動させることが好ましい。すなわち、寝台面102aの高さ寸法を上昇開始する前に、座面202aの高さ寸法をH3からH2またはH1にゆっくりと降下させつつ、座面202aの最前縁位置(図5,図8におけるマーカーmaの位置)が前後方向において最も低くなるように傾斜させる。同時に、背もたれ202bも車椅子201の後方に向けて少し倒すように傾斜させる。
そして、車椅子201における座面202a及び背もたれ202bの準備完了を待って、寝台面102aの高さ寸法及び傾斜角度を上述のように駆動制御する。このようにして寝台装置101及び車椅子201の双方における移乗準備が整った後、被介護者Pが寝台面102a上から座面202a上へと乗り移る。
そして、車椅子201側では、被介護者Pが座面202a上に乗り移ったことを検知した後、今度は座面202aを最前縁位置から車椅子201の後方に向かって低くなるように傾斜させると同時に高さ寸法をH3に上昇させることで、元の状態に戻り、移乗完了となる。
[半自動制御]
以上説明の図9においては、全自動で移乗動作を支援する場合について説明したが、図10に示すように半自動で移乗動作を支援する構成も採用可能である。なお、前述した通り、この半自動制御では、後述のコントローラのボタンを押すことで移乗支援が開始し、そのままボタンを押し続けることで移乗支援が継続して行われる。そして、前記ボタンから指を離すことで移乗支援の制御が停止する。したがって、介護者または被介護者Pが前記ボタンの押下を止めることで、緊急時の制御強制停止を行うことができる。
半自動制御について具体的に説明すると、まずステップS101において、寝台装置101上で端座位にある被介護者P、または寝台装置101の近傍にいる介護者が、寝台装置101に備わっているコントローラ(不図示)のボタンを押下し続ける。
そして、ボタンを押下し始めたことをもって移乗準備を開始し(ステップS102)、ボタンが押下されている間はその入力が継続して前記制御部120に送り続けられ、制御部120は入力が止まるまで(すなわち、ボタンの押下を止めるまで)移乗支援を継続して行う。
続くステップS103においては、寝台装置101が自らの状態を取得する。すなわち、高さ測定部141においては、寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部120に送信する。また、寝台面傾斜角度測定部142においては、寝台面102aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部120に送信する。
このようにして現時点における寝台面102aの高さ寸法と傾斜角度とを取得することにより、制御装置120は、自らの状態取得を完了する。
一方、ステップS102後のステップS104では、車椅子201が自らの状態取得を行う。すなわち、高さ測定部241は、座面202aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部220に送信する。また、座面傾斜角度測定部242は、座面202aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、背もたれ傾斜角度測定部243は、背もたれ202bの鉛直面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、相対位置測定部244は、平面視した場合においての、寝台装置101に対する車椅子201の相対位置を取得して制御部220に送信する。
このようにして、現時点における座面202aの高さ寸法及び傾斜角度と、車椅子201の位置及び向きと、背もたれ202bの傾斜角度と、を取得することにより、制御装置220は、自らの状態取得を完了する。
続くステップS105においては、制御部220が、現時点における座面202aの高さ寸法及び傾斜角度、背もたれ202bの傾斜角度、そして車椅子201の位置、に加えて、記憶部230に記憶されている識別番号(種別)を寝台装置101へと送信する。この送信は、制御部220からの指示を受けて通信部210が行い、そして通信部110を介して制御部120へと伝えられる。
続くステップS106においては、制御部120が、寝台装置101における状態取得の結果と、車椅子201から送信されてきた状態取得の結果とを対比して、現時点における両者間の相対差を求める。具体的に言うと、下記(a1)〜(d1)を求める。
(a1)現時点での、床面Fを基準としての、寝台装置101における寝台面102aの高さ寸法と、車椅子201における座面202aの高さ寸法との相対差
(b1)現時点での、平面視における、寝台装置101の位置と車椅子201の位置との相対差
(c1)現時点での、平面視における、寝台装置101の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)と、車椅子201の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)との相対差
(d1)現時点での、側面視した場合の傾斜角度に関する、寝台装置101の寝台面102aと、車椅子201の座面202aとの間の相対差(すなわち、寝台面102a及び座面202aの何れか一方を基準とした場合の、他方がなす傾斜角度)
続くステップS107においては、制御部120が、記憶部130より、前述の(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」を読み出す。この読み出しの際、制御部120は、ステップS105において車椅子201より送信されてきた識別番号(種別)を参照し、移乗先が車椅子201であることを認識する。そして、制御部120は、記憶部130に記憶されている複数の移乗先情報のうち、車椅子201についての上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」を読み出す。
続くステップS108においては、制御部120が、現時点での相対差が望ましい相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。具体的には、上記(a1)の相対差が上記(a)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(b1)の相対差が上記(b)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(c1)の相対差が上記(c)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(d1)の相対差が上記(d)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。
このようにして、現時点における上記(a1)〜(d1)の各相対差が移乗動作に適しているか否かが制御部120により判断される。そして、これら(a1)〜(d1)に関する全ての相対差が上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」の許容範囲内に既に入っている場合(YES)には、後述のステップS115へと進む。逆に、(a1)〜(d1)に関する相対差のうちの一つでも、上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」の許容範囲内に入っていない場合(NO)には、許容範囲外と判断された相対差を「好ましい相対差」の許容範囲内に入れるために、寝台装置101及び車椅子201の双方をそれぞれどのように駆動すべきかを制御部120が判断する。そして、ステップS109,S111へと進む。
続くステップS109では、制御部120からの指示を受けた場合に、高さ調整駆動部151及び寝台面傾斜角度調整駆動部152の少なくとも一方が起動し、寝台面102aの高さ寸法及び傾斜角度の少なくとも一方を調整する。
そして、続くステップS110では、寝台装置101が調整後の状態取得を行う。すなわち、高さ測定部141においては、寝台面102aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部120に送信する。また、寝台面傾斜角度測定部142においては、寝台面102aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部120に送信する。
このようにして調整後における寝台面102aの高さ寸法と傾斜角度とを取得することにより、制御装置120は、調整後の状態取得を完了する。
一方、前記ステップS111は、ステップS108において制御部120が下した判断結果を、通信部110,210を介して制御部220が得ることで開始される。すなわち、ステップS111では、制御部220からの指示を受けた場合に、走行駆動部254を起動して車椅子201を所望の位置まで自走させ、さらに所望の向きを向いた状態で停止させる。さらに、制御部220からの指示を受けた場合に、高さ調整駆動部251及び座面傾斜角度調整駆動部252の少なくとも一方が起動し、座面202aの高さ寸法及び傾斜角度の少なくとも一方を調整する。また、必要に応じて、背もたれ傾斜角度調整駆動部253を起動して背もたれ202bの傾斜角度も調整する。
続くステップS112では、車椅子201が調整後における自らの状態取得を行う。すなわち、高さ測定部241は、座面202aの床面Fからの高さ寸法を取得して制御部220に送信する。また、座面傾斜角度測定部242は、座面202aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、背もたれ傾斜角度測定部243は、背もたれ202bの鉛直面に対する傾斜角度を取得して制御部220に送信する。また、相対位置測定部244は、平面視した場合においての、寝台装置101に対する車椅子201の相対位置を取得して制御部220に送信する。
このようにして、調整後における座面202aの高さ寸法及び傾斜角度と、車椅子201の位置及び向きと、背もたれ202bの傾斜角度と、を取得することにより、制御装置220は、自らの状態取得を完了する。そして、その結果を寝台装置101の制御部120に向けて送信する。
続くステップS113においては、制御部120が、寝台装置101における状態取得の結果と、車椅子201から送信されてきた状態取得の結果とを対比して、調整後における両者間の相対差を求める。具体的に言うと、下記(a2)〜(d2)を求める。
(a2)調整後の、床面Fを基準としての、寝台装置101における寝台面102aの高さ寸法と、車椅子201における座面202aの高さ寸法との相対差
(b2)調整後の、平面視における、寝台装置101の位置と車椅子201の位置との相対差
(c2)調整後の、平面視における、寝台装置101の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)と、車椅子201の前後方向又は左右方向の向き(ベクトル)との相対差
(d2)調整後の、側面視した場合の傾斜角度に関する、寝台装置101の寝台面102aと、車椅子201の座面202aとの間の相対差(すなわち、寝台面102a及び座面202aの何れか一方を基準とした場合の、他方がなす傾斜角度)
上記(a2)〜(d2)が得られた後、続くステップS114においては、制御部120が、調整後の相対差が望ましい相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。具体的には、上記(a2)の相対差が上記(a)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(b2)の相対差が上記(b)の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(c2)の相対差が上記(c)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。また、上記(d2)の相対差が上記(d)の相対差の許容範囲内に入っているか否かを判断する。
このようにして、調整後における上記(a2)〜(d2)の各相対差が移乗動作に適しているか否かが制御部120により判断される。そして、これら(a2)〜(d2)に関する全ての相対差が上記(a)〜(d)に関する「好ましい相対差」の許容範囲内に入っている場合(YES)には、ステップS115へと進む。
ステップS115では、寝台装置101に設けられたスピーカー(不図示)により、「乗り移りできます」と被介護者P及び介護者に対して音声通知する。
この音声通知を受けて、ステップS116で被介護者P又は介護者がコントローラのボタン押下を止める。
その結果、ステップS118において各駆動機構が停止してステップS119に進み、本実施形態の移乗支援システムによる移乗支援が完了する。
なお、前記ステップS109においては、前記全自動制御の場合と同様に、高さ調整駆動部151及び寝台面傾斜角度調整駆動部152によって前記相対差を修正する開始タイミング及び速度の少なくとも一方を、移乗先の前記種別に基づいて制御することが好ましい。
また、寝台面102aを上昇させる際、前記全自動制御の場合と同様に、上昇開始時、上昇中、上昇停止直前における各上昇速度を、一定速度ではなく相対差を設けてもよい。
また、車椅子201においては、前記全自動制御の場合と同様に、寝台面102aの駆動開始タイミング及び駆動速度に応じて、座面202aの駆動開始タイミング及び駆動速度を連動させることが好ましい。
また、前記ステップS115での音声通知を受けて、ステップS116で被介護者P又は介護者がコントローラのボタン押下を止めるものとしたが、各駆動機構を停止させる手段はこの形態のみに限らない。例えば、コントローラに座面202aの高さ寸法を表示させ、この表示を見て、被介護者P又は介護者がコントローラのボタン押下を止める構成も採用可能である。
以上説明の本実施形態の骨子について以下にまとめる。
本実施形態は、移乗元である寝台装置101上の被介護者Pが移乗先である車椅子201へ移乗する際の動作を支援する移乗支援システムであって、寝台装置101及び車椅子201間における、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つに関する相対差を取得して修正する第1の機器として、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200を備えている。
この移乗支援システムによれば、被介護者Pが寝台装置101から車椅子201へ移乗する前に、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200によって相対差を適正化させることができる。すなわち、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200により、寝台面102a及び座面202aのそれぞれについて、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つを定量的に把握した上で修正するものであるから、被介護者Pや介護者毎の操作のばらつきなく高い再現性をもって相対差の修正を行うことができる。
したがって、被介護者Pが寝台装置101から車椅子201へ移乗する際の機器操作を容易かつ正確とすることが可能となる。
さらに、本実施形態の移乗支援システムでは、寝台装置側制御装置100が前記相対差を修正する際に、移乗元である自らが寝台装置101であることは勿論、移乗先の種別が車椅子201であることも参照している。
この構成によれば、何から何に向かって移乗するのかを事前に把握した上で相対差を修正できるので、これらの組み合わせに適した相対差の修正を行うことができる。
したがって、移乗元の種別及び移乗先の種別の組み合わせを事前に把握した上で相対差の修正を行うことができるので、移乗動作に適したより細かな相対差修正を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態の移乗支援システムでは、寝台装置側制御装置100が、前記相対差を修正するタイミング及び速度の少なくとも一方を、前記移乗先の種別が車椅子201であることを把握した上で制御している。
この構成によれば、移乗動作支援を、被介護者Pの動きや姿勢の経過を考慮して、より適切に行うことができる。
さらに、本実施形態の移乗支援システムでは、寝台装置101上における被介護者Pの動作及び状態の少なくとも一方の情報を取得する前記感圧センサーや前記マイク(第2の機器)をさらに備え;寝台装置側制御装置100が、前記第2の機器から前記情報を得た場合に前記相対差の修正を行う;構成も採用できる。
この場合、被介護者Pに関する前記情報を前記第2の機器によって検知することで、被介護者Pが移乗動作を希望していることを自動的に検知できるので、全自動で移乗支援動作を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態の移乗支援システムでは、被介護者Pまたは介護者からの入力(ボタンの押下)を受け付けるコントローラ(第3の機器)をさらに備えている。そして、前記半自動制御の場合は、このコントローラがボタンの押下を受けている間、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200が前記相対差の修正を行う。
この構成によれば、被介護者Pまたは介護者による入力をコントローラによって検知することで、被介護者Pが移乗動作を希望していることを検知することができる。そして、コントローラが入力を検知し続けている間、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200が移乗支援動作を継続して行う。
したがって、被介護者P又は介護者によるコントローラへの入力を受けて、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200が自動的に移乗支援動作を進めるので、全体として半自動で移乗支援動作を行うことが可能となる。
なお、本実施形態の移乗支援システムでは、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200が前記相対差の修正を行っている際に、前記相対差が所定範囲内であること、及び、前記相対差が所定範囲外であること、のうちの少なくとも一方を報知するスピーカ(不図示。第4の機器)をさらに備えてもよい。
例えば、図9に示した全自動制御の場合には、ステップS8における判断結果がYESであれば、前記相対差が所定範囲内であるという意図で、「調整が済みました」と前記スピーカより音声で報知することが考えられる。一方、ステップS8における判断結果がNOであれば、前記相対差が所定範囲外であるという意図で、「調整中です」と前記スピーカより音声で報知することが考えられる。
さらに言うと、図10に示した半自動制御の場合も、ステップS108及びステップS114における判断結果がYESであれば、前記相対差が所定範囲内であるという意図で、「調整が済みました」と前記スピーカより音声で報知することが考えられる。一方、ステップS108及びステップS114における判断結果がNOであれば、前記相対差が所定範囲外であるという意図で、「調整中です」と前記スピーカより音声で報知することが考えられる。
上記スピーカのような第4の機器を備えた場合、被介護者P及び介護者の少なくとも一方が、前記相対差の修正動作が未完であるかまたは完了であるかを明確に知ることができる。したがって、被介護者Pにとっては、相対差の修正動作が未完であるかまたは完了であるかを明確に知ることができるので、安心して身を任せることができる。また、介護者にとっては、移乗支援動作の進行経過をより明確に把握できる。
なお、ここで言う「報知」とは、音や音声、光、振動など、被介護者P及び介護者の少なくとも一方が感知できるものとする。
さらに、本実施形態の移乗支援システムでは、寝台装置側制御装置100が、寝台面102aにおける高さ寸法及び傾斜角度を第1の情報として取得し、車椅子側制御装置200が、座面202aにおける高さ寸法及び傾斜角度を第2の情報として取得している。そして、本実施形態の移乗支援システムでは、第1の情報と第2の情報の差分により、前記相対差を求めている。
この構成によれば、寝台装置側制御装置100及び車椅子側制御装置200によって相対差を確実かつ正確に求めることができる。
なお、本実施形態の移乗支援システムでは、移乗元が寝台装置101でかつ移乗先が車椅子201の場合を例示して説明したが、移乗先が、歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器、のうちの何れかであってもよい。この場合、寝台装置101を中心として様々な機器に移乗することができるので、被介護者Pの移乗支援を広範囲に渡り行うことが可能となる。
具体的に言うと、例えば図11に示すように、寝台装置101から立ち上がり補助器301に移乗する形態にも本発明を適用することができる。
立ち上がり補助器301は、補助器本体302と、補助器本体302を床面F上で走行可能に支持する複数の車輪303と、補助器本体302の上部に対して水平軸線304aを中心として上下に揺動自在な昇降ハンドル304と、昇降ハンドル304を上下に揺動させる駆動機構305と、駆動機構305の動作を制御する立ち上がり補助器側制御装置300と、立ち上がり補助器側制御装置300への操作入力を行うコントローラ(不図示)と、昇降ハンドル304の上部に両端が取付けられるとともに被介護者Pの腰を支える腰バンド306と、補助器本体302の下部に設けられて立ち上がり時の被介護者Pの脚を支える脚支持部307と、を備えている。
立ち上がり補助器側制御装置300は、前記車椅子側制御装置200に相当する装置であり、寝台装置101との間で連係制御を行う。
寝台装置101の寝台面102a上で端座位にある被介護者Pが立ち上がり補助器301に移乗する場合について説明する。
まず、寝台面102aの高さ寸法が低い状態で、介護者が立ち上がり補助器301を寝台装置101の側方に移動させ、被介護者Pの腰に腰バンド306を巻くとともに被介護者Pに昇降ハンドル304を把持させる。この時、昇降ハンドル304は最も低い高さ寸法に下げられている。
このようにして準備が整った後、被介護者Pまたは介護者が前記コントローラを操作することで移乗開始となる。前記コントローラが操作されたことを受け、立ち上がり補助器側制御装置300が寝台装置101の寝台装置側制御装置100との間で無線通信による連係動作を開始する。すなわち、立ち上がり補助器側制御装置300が駆動機構305を起動させることで昇降ハンドル304が水平軸線304aを中心として上昇する。この上昇により、被介護者Pの腕が立ち上がり補助器301に向かって引き上げられ、さらには腰も腰バンド306による支えを受けながら持ち上げられる。
上記動作に連動して、寝台装置101側においても寝台装置側制御装置100が寝台面102aを上昇させる。この際、寝台面102aの上昇開始タイミング及び上昇速度を、昇降ハンドル304の上昇開始タイミング及び上昇速度と略一致させることが好ましい。
なお、被介護者Pの腰が寝台面102a上から離れるまでの間は、昇降ハンドル302の高さ寸法と寝台面102aの高さ寸法との相対差である高さ寸法差を略一定にするように、寝台装置側制御装置100及び立ち上がり補助器側制御装置300が連携して制御することがより好ましい。
以上説明の寝台装置側制御装置100及び立ち上がり補助器側制御装置300による連携制御により、被介護者Pは寝台装置101から立ち上がり補助器301へと楽に移乗することができる。
なお、移乗開始に際しては、コントローラを操作する以外に、被介護者Pの体重移動をセンサーで検知することで移乗開始としてもよい。すなわち、寝台面102a上で端座位にある被介護者Pが体重を前に移動させることで寝台面102aにかけている体重が抜けることを検知して、移乗開始と判断してもよい。
さらに他の例を図12により説明する。同図に示す例は、寝台装置101の寝台面102a上に横臥している被介護者Pを介護者P1,P2がストレッチャー401へと移乗させる場合を示している。
ストレッチャー401は、寝台面402aを上面とするストレッチャー本体402と、ストレッチャー本体402を床面F上で走行可能に支持する複数の車輪403と、ストレッチャー本体402の両側方に設けられた一対の柵体404と、前記寝台装置側制御装置100との間で連携制御を行うストレッチャー側制御装置400と、を備えている。
ストレッチャー側制御装置400は、前記車椅子側制御装置200に相当する装置であり、寝台装置側制御装置100に対して、自らの種別がストレッチャーであることや現時点における寝台面402aの高さ寸法等を送信する。
寝台装置101の寝台面102a上の被介護者Pがストレッチャー401上に移乗する場合について説明する。
まず、寝台面102aの高さ寸法が低い状態で、介護者P2がストレッチャー401を寝台装置101の側方に移動させる。そして、寝台装置101の側方に介護者P1が立ち、またストレッチャー401の側方に介護者P2が立つ。
このようにして準備が整った後、介護者P1が前記コントローラを操作することで移乗準備開始となる。前記コントローラが操作されたことが、寝台装置側制御装置100から無線通信によりストレッチャー側制御装置400へと伝達される。そして、ストレッチャー側制御装置400は、自らの種別と現時点における寝台面402aの高さ寸法等を寝台装置側制御装置100に対して送信する。
寝台装置側制御装置100は、現時点における寝台面102aの高さ寸法を測定し、これを、現時点における寝台面402aの高さ寸法と対比することで高さ寸法差(相対差)を得る。続いて、寝台装置側制御装置100は、前記相対差が許容範囲内となるまで寝台面102aを上昇させることで、寝台面102aと寝台面402aとが互いに略同一高さとなる。
以上により移乗準備が完了するので、介護者P1が被介護者Pの身体を寝台面102a上から寝台面402a上へと押し出すと同時に、介護者P2も、被介護者Pの身体を寝台面102a上から寝台面402a上へと引っ張る。
以上説明の寝台装置側制御装置100及びストレッチャー側制御装置400による連携制御により、介護者P1,P2は、被介護者Pを寝台装置101からストレッチャー401へと楽に移乗させることができる。
図示を省略するものの、さらに他の例を述べると、寝台装置101の側方にポータブルトイレを配置し、寝台装置側制御装置100が前記ポータブルトイレの高さ寸法を予め入力可能とし、さらに、寝台装置101の寝台面102a上に横臥している被介護者Pが起き上がった際の体重移動を圧力センサーで検知する構成も採用可能である。
この場合、寝台面102a上に横臥している被介護者Pが起き上がった際、前記圧力センサーで被介護者Pの姿勢変化を検知する。そして、この姿勢変化を入力として前記寝台装置側制御装置100が起動して各種動作を実施し、ポータブルトイレの高さ寸法に寝台面102aの高さ寸法を概ね一致させる。このような移乗支援により、被介護者Pは寝台装置101からポータブルトイレへの移乗と、ポータブルトイレから寝台装置101への移乗との双方を容易に行うことが可能となる。
図示を省略するものの、さらに他の例を述べると、寝台装置101の寝台面102aを複数の領域に分けると共に各領域のそれぞれに感圧センサーを設けておき、被介護者Pの位置を正確に把握する構成も採用可能である。
例えば、寝台装置101から自走可能なリフト(不図示)に全自動もしくは半自動で移乗する場合、前記感圧センサーにより寝台面102a上における被介護者Pの位置を寝台装置側制御装置100で把握し、さらに寝台面102aの高さ寸法と共に送信する。この送信を受け取った前記リフトにおいては、被介護者Pの位置まで自走及び位置決めした後、介護者が吊り上げ機器を被介護者Pの身体に装着する。このようにして移乗準備が整った後、前記吊り上げ機器を上昇させると同時に、寝台装置側制御装置100によって寝台面102aの高さ寸法を下げる。このようにして、リフトによる被介護者Pの上昇と、寝台面102aの下降とを組み合わせて同時に行うことで、被介護者Pをあまり高く持ち上げることなく寝台面102aより離すことが可能となる。
図示を省略するものの、さらに他の例として、寝台装置101から歩行器に移乗する場合について説明する。
前記歩行器としては、走行台車と、この走行台車上に昇降自在に設けられたアームレストとを備えた構成が一般的である。
寝台面102a上に端座位にある被介護者Pが前記歩行器に移乗する場合、前記アームレストを最低位置としてその上に被介護者Pは両腕を載せた状態となる。この状態より移乗開始する場合、上昇するアームレストの上昇開始タイミング及び上昇スピードと略等しい上昇開始タイミング及び上昇スピードで寝台面102aを上昇させることが好ましい。このように両者を連携させながら被介護者Pを立ち上がらせることで、被介護者Pの膝がアームレストに干渉するのを防いでスムーズな移乗動作を行わせることが可能となる。
以上説明の移乗支援システム及び各種変形例においては、移乗元と移乗先とが情報交換により連携して被介護者Pの移乗支援を行っているが、自動動作の実施に際し、被介護者Pが各機器間に挟まれたりまたは意図しない干渉を受けたりしないように、感圧センサー、光学センサー、温度センサー等の検知器を、移乗元及び移乗先の少なくとも一方に設けておくことが好ましい。
また、病院内の寝台装置等に本発明を適用する場合、寝台装置101及び車椅子201がそれぞれ複数台用いられる場合が想定される。この場合、移乗元及び移乗先の組み合わせを正しくする必要が有るため、各機器にナンバリング等をしておいて常にペアの機器を明確にしておく必要が有る。例えば、複数有る寝台装置101のうちのどれと、複数有る車椅子201のうちのどれとがペアをなしているかを、それぞれが有する識別番号の組み合わせにより定めておき、通信手段を介して識別番号を交換することにより確認することが好ましい。
[B]第2実施形態(絶対値制御による移乗支援)
本発明の第2実施形態について、図13以降を参照して以下に説明する。
図13に示すように、本実施形態では、寝台装置500(移乗元)上の被介護者Pが移乗ロボット600(移乗先)上へ移乗する際の移乗動作を支援する前記第1の機器として、絶対値制御を行う移乗ロボット側制御装置650及び寝台装置側制御装置550を備えている。
[移乗ロボット]
図13に示すように、移乗ロボット600は、車体601と;車体601を走行駆動する駆動輪602と;車体601の走行方向を司る操舵輪603と;車体601上に設けられた座椅子604と;被介護者Pが手で把持した際に被介護者Pの身体を支える一対のアーム605と;を備えている。さらに、移乗ロボット600は、移乗支援システムを構成する前記第1の機器として、前記移乗ロボット側制御装置650を備えている。
移乗ロボット側制御装置650は、図14に示すように、通信部651と、制御部652と、記憶部653と、測定機構660と、駆動機構670とを備えている。
前記通信部651は、制御部652に接続されている。また、制御部652は、寝台装置側制御装置550との間で無線通信を行う。無線通信の形態としては、Wi−Fi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ANT(登録商標)等を採用することができる。なお、必要に応じて、無線通信の代わりに有線通信を採用してもよい。また、通信部651及び通信部551間における通信は、双方向に限らず一方向であってもよい。例えば、移乗ロボット600の通信部651から寝台装置500の通信部551に向けて一方向の通信を行うようにしてもよい。
前記記憶部653は、自らの種別を示す識別番号を記憶している。ここで言う「種別」には、自らが「移乗ロボット」であることを示す機器名、自らの型番、自らの識別符号(ID)、等の情報が含まれている。この種別を、通信部651を介して寝台装置500に送信することで、移乗ロボット600が寝台装置500に対し、自らの機器名と仕様とを知らせることができる。一方、寝台装置側制御装置550においては、制御部552が、移乗ロボット600より送られてきた前記種別を確認することで、移乗ロボット600が意図した移乗先であることを確認できる。
前記測定機構660は、座面高さ測定部661と相対位置測定部662とを備えている。
前記座面高さ測定部661は、前記座椅子604の座面604aの床面Fからの高さ寸法HAを取得して制御部652に送信する。座面高さ測定部661による高さ寸法測定は、例えば、まず、座面604aを水平かつ最も低くした状態での、座面604aの床面Fからの高さ寸法を初期値として記憶しておく。そして、この初期値に対して、座面604aの上昇による昇降寸法を加算することで求められる。
前記相対位置測定部662は、平面視した場合においての、寝台装置500に対する移乗ロボット600の相対位置を取得して制御部652に送信する。相対位置測定部662としては、上記第1実施形態で説明したセンサーsまたは距離センサーs2等を採用することができる。
前記駆動機構670は、前記座面高さ調整駆動部671と走行駆動部672とを備えている。
前記座面高さ調整駆動部671は、制御部652からの指示を受けた場合に、座面高さ寸法HA(絶対値)が、制御部652からの指示値と一致するように、座椅子604を昇降させる。
前記走行駆動部672は、制御部652からの指示を受けた場合に、移乗ロボット600を、指示に応じた移動方向及び移動量をもって移動させる。
以上説明の構成を有する移乗ロボット側制御装置650によれば、移乗ロボット600を寝台装置500に対して適切な状態で横付けすることができる。すなわち、相対位置測定部662により、移乗ロボット600の寝台装置500に対する平面視上の距離及び方向を測定する。そして、これら測定値を受信した制御部652は、走行駆動部672を駆動することで移乗ロボット600を寝台装置500に向かって走行させ、所望の位置及び向きで停止させる。
さらに、移乗ロボット側制御装置650は、座面高さ測定部661により座面高さHAを測定し、これを制御部652に送信する。また、制御部652は、寝台装置側制御装置550との間での通信を介して、寝台面502aの床面Fからの高さ寸法HB(絶対値)を取得する。そして、制御部652は、座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲内に入るように、座椅子604を昇降させる。
[寝台装置]
寝台装置500は、寝台面502aを上面とするマットレスを有する寝台502と、寝台502をその下方より支持する支持架台503と、これら寝台502及び支持架台503の変形動作を駆動制御する前記寝台装置側制御装置550と、を備えている。寝台装置500は、電力を動力源とする電動ベッドである。
寝台面(マットレス面)502aは、寝台装置側制御装置550によって寝台502を背上げまたは膝上げ等の変形をさせる前の標準状態においては水平面をなしている。寝台面502aは、その平面視において左右方向よりも前後方向に長い矩形状を有する。寝台面502aの長手方向は前後方向とされ、寝台面502aの短手方向は左右方向となっている。
支持架台503は、寝台502をその下方より支持し、寝台502の荷重および寝台502上の被介護者Pの荷重を受け止めている。支持架台503は、寝台装置側制御装置550によって駆動され、寝台502の昇降動作、傾斜動作、及び屈曲動作を行う。なお、各動作は、それぞれ単独で行ってもよいし、または同時に行ってもよい。
寝台装置側制御装置550は、寝台装置500に設けられており、図14に示すように、通信部551と、前記制御部552と、記憶部553と、測定機構560と、駆動機構570とを備えている。
前記通信部551は、制御部552に接続されている。また、制御部552は、前記移乗ロボット側制御装置650との間で無線通信を行う。無線通信の形態としては、Wi−Fi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ANT(登録商標)等を採用することができる。なお、必要に応じて、無線通信の代わりに有線通信を採用してもよい。また、前述した通り、移乗ロボット600及び寝台装置500間の通信は双方向に限らず、例えば、移乗ロボット600の通信部651から寝台装置500の通信部551に向けて一方向の通信を行うようにしてもよい。
前記記憶部553は、自らの種別を示す識別番号を記憶している。ここで言う「種別」には、自らが「寝台装置」であることを示す機器名、自らの型番、自らの識別符号(ID)、等の情報が含まれている。この種別を、通信部551を介して移乗ロボット600に送信することで、寝台装置500から移乗ロボット600に対し、自らの機器名と仕様とを知らせることができる。一方、移乗ロボット600においては、制御部652が、寝台装置500より送られてきた前記種別を確認することで、寝台装置500が意図した移乗元であることを確認できる。
前記測定機構560は、寝台面高さ測定部561と寝台面傾斜角度測定部562とを備えている。
寝台面高さ測定部561は、寝台面502aの床面Fからの高さ寸法HB(絶対値)を取得して制御部552に送信する。寝台面高さ測定部561による高さ寸法測定は、例えば、まず、寝台面502aを平坦かつ水平にするとともに支持架台503を最も低くした状態での、寝台面502aの床面Fからの高さ寸法を初期値として記憶しておく。そして、この初期値に対して、支持架台503の上昇及び傾斜動作による昇降寸法と、寝台502の屈曲動作による昇降寸法とを加算することで求めることができる。各昇降寸法の測定は、支持架台503の変形量、すなわち支持架台503を構成する各脚部(不図示)の傾動角度や伸縮寸法の変化量を測定することで容易に求めることが可能である。
なお、前記初期値の設定は、寝台面502aを上面とする前記マットレスの厚み寸法を変数の一つとして入力可能にしておくと、使用するマットレスを変えても必ず正確な高さ寸法が得られるので好ましい。
前記寝台面傾斜角度測定部562は、寝台面502aの水平面に対する傾斜角度を取得して制御部552に送信する。傾斜角度の測定は、例えば、水準器を用いて、前記マットレスを支える支持架台503が、寝台面502aの長手方向に対しては何度傾斜し、また左右方向に対しては何度傾斜しているかを測定することで求められる。
傾斜角度も、高さ寸法と同様に、被介護者Pが移乗に際して端座位となる位置を測定基準とすることが好ましい。
前記駆動機構570は、寝台面高さ調整駆動部571と、寝台面傾斜角度調整駆動部572とを備えている。
前記寝台面高さ調整駆動部571は、制御部552からの指示を受けた場合に、支持架台503を、指示に応じた所定高さ寸法分、昇降させる。この昇降動作により、寝台面502aを所望の高さ寸法に正確に合わせることができる。
前記寝台面傾斜角度調整駆動部572は、制御部552からの指示を受けた場合に、寝台502を、指示に応じた所定傾斜角度分、傾動させる。この傾動により、寝台面502aを所望の傾斜角度に正確に合わせることができる。
以上説明の構成を有する寝台装置側制御装置500によれば、寝台面高さ測定部561により寝台面502aの高さ寸法を測定すると共に、寝台傾斜角度測定部562により寝台面502aの傾斜角度を測定することで、現時点での、床面Fに対する寝台面502aの相対的な配置を制御部552が把握する。さらに、寝台装置側制御装置500は、各測定値を通信により移乗ロボット600へと送信することができる。一方、各測定値を取得した移乗ロボット600においては、各測定値を参照して、座椅子604の座面604aの高さ寸法HAを、寝台面502aの高さ寸法HBに対して許容範囲内となるよう、座椅子604を昇降させる。
[全自動制御]
以上説明の移乗支援システムにより、寝台装置500上の被介護者Pを移乗ロボット600に移乗させる際の動作を全自動で支援する場合について、図15を参照しながら以下に説明する。なお、以下の説明においては、移乗ロボット600の座椅子604の座面604aの高さ寸法HAを寝台面502aの高さ寸法HBに一致させる支援動作について説明するが、移乗ロボット600を寝台装置500に横付けする動作については、上記第1実施形態での説明した車椅子201の走行制御とほぼ同じであるため、ここではその説明を省略する。
まず、ステップS501において、介護者が、移乗ロボット600に備わっているコントローラ(不図示)を押下する。
そして、この操作が移乗支援開始の指示として、前記制御部652に入力される(ステップS502)。
続くステップS503においては、寝台装置500が自らの状態を取得する。すなわち、寝台面高さ測定部561においては、寝台面502aの床面Fからの高さ寸法HBを取得して制御部552に送信する。制御部552は、高さ寸法HBを、通信部551を介して移乗ロボット側制御装置650に送信する。
一方、ステップS502に続くステップS504では、移乗ロボット600が自らの状態を取得する。すなわち、座面高さ測定部661は、座面604aの床面Fからの高さ寸法HAを取得して制御部652に送信する。
このようにして座面高さHA及び寝台面高さHBの双方を取得した制御部652は、ステップS505において、座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲内にあるか否かを判断する。その結果、「HAがHBに対して許容範囲内にない(NO)」と判断した場合には、ステップS506へと進む。一方、「HAがHBに対して許容範囲内にある(YES)」と判断した場合には、ステップS508へと進む。
ステップS506へ進んだ場合には、座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲に入るように、座面高さ調整駆動部671を駆動して座椅子604を昇降させる。
続くステップS507では、座椅子604を昇降させた後の座面高さHAを取得し、処理をステップS505へと戻す。
再度、ステップS505において、調整後の座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲内にあるか否かを判断する。その結果、「HAがHBに対して許容範囲内にある(YES)」と判断した場合には、座面高さ調整駆動部671を停止させてステップS508へと進む。
ステップS508では、移乗ロボット600に設けられたスピーカー(不図示)により、「乗り移りの準備が整いました」と被介護者P及び介護者に対して音声通知する。そして、この音声通知後のステップS509をもって、本実施形態の移乗支援システムによる移乗支援が完了する。
[半自動制御]
以上説明の図15においては、全自動で移乗動作を支援する場合について説明したが、図16に示すように半自動で移乗動作を支援する構成も採用可能である。
すなわち、まずステップS601において、介護者が、移乗ロボット600に備わっているコントローラのボタン(不図示)を押下し続ける。
そして、この操作が移乗支援開始の指示として、前記制御部652及び前記制御部552に入力される(ステップS602)。
続くステップS603においては、寝台装置500が自らの状態を取得する。すなわち、寝台面高さ測定部561においては、寝台面502aの床面Fからの高さ寸法HBを取得して制御部552に送信する。制御部552は、高さ寸法HBを、通信部551を介して移乗ロボット側制御装置650に送信する。
一方、ステップS602に続くステップS604では、移乗ロボット600が自らの状態を取得する。すなわち、座面高さ測定部661は、座面604aの床面Fからの高さ寸法HAを取得して制御部652に送信する。
そして、座面高さHA及び寝台面高さHBの双方を取得した制御部652は、ステップS606において、座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲内にあるか否かを判断する。その結果、「HAがHBに対して許容範囲内にない(NO)」と判断した場合には、処理をステップS605へと進め、逆に、「HAがHBに対して許容範囲内にある(YES)」と判断した場合には、ステップS607へと進める。
ステップS605では、前記ボタンが押され続けている限り、座面高さ調整駆動部671による座椅子604の昇降動作が継続して行われている。
ステップS605に続くステップS609においては、コントローラのボタンが離されたか否かが判断される。その結果、「離されていない(NO)」と判断した場合には、処理がS605及びS604へと戻り、逆に、「離された(YES)」と判断した場合には、ステップS610へと進む。
ステップS609からステップS605に戻った場合には、座椅子604の昇降動作が継続して行われる。また、ステップS609からステップS604にも戻っているので、再度、座面高さ測定部661が座面604aの床面Fからの高さ寸法HAを取得して制御部652に送信する。
そして、再度、ステップS606において、昇降中の座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲内にあるか否かを判断する。その結果、「HAがHBに対して許容範囲内にある(YES)」と判断した場合には、ステップS607へと進む。
ステップS607では、移乗ロボット600に設けられたスピーカー(不図示)により、「ちょうど良い高さになりました」と被介護者P及び介護者に対して音声通知を行い、この音声通知を受けた介護者がステップS608でコントローラのボタンを離す。
再度、ステップS609においてコントローラのボタンが離されたか否かが判断される。その結果、「離された(YES)」と判断した場合には、ステップS610へと進む。
ステップS610では、座面高さ調整駆動部671が停止して座椅子604の昇降が停止する。その結果、座面高さHAが寝台面高さHBに対して許容範囲内に合わせされ、ステップS611へと進み、本実施形態の移乗支援システムによる移乗支援が完了する。
以上説明のように、本実施形態の移乗支援システムは、移乗元である寝台装置500上の被介護者Pが移乗先である移乗ロボット600へ移乗する際の動作を支援する。そして、本実施形態の移乗支援システムは、移乗ロボット600における座面高さHAの絶対値を、寝台装置500の寝台面502aの寝台面高さHBの絶対値の許容範囲内となるように修正する第1の機器として、移乗ロボット側制御装置650及び寝台装置側制御装置550を備えている。
この移乗支援システムによれば、被介護者Pが寝台装置500から移乗ロボット600へ移乗する前に、移乗ロボット側制御装置650及び寝台装置側制御装置550によって座面高さHAを寝台面高さHBの許容範囲内に調整することができる。したがって、被介護者Pが寝台装置500から移乗ロボット600へ移乗する際の機器操作を容易かつ正確とすることが可能となる。
なお、上記第2実施形態では、修正する絶対値の対象として高さを採用したが、この形態のみに限らず、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つを採用してもよい。
また、上記第1実施形態では相対差を用いた制御を行う一方、上記第2実施形態では絶対値を用いた制御について説明したが、これらを組み合わせた構成も採用可能である。例えば、移乗元及び移乗先間における「高さ」の調整については絶対値を用いた制御を行う一方、移乗元及び移乗先間における「向き」の調整については相対差を用いた制御を行う構成も採用可能である。
また、上記第1実施形態及びその各種変形例と、上記第2実施形態及びその各種変形例とを、必要に応じて適宜組み合わせることも可能であり、そのような組み合わせも本発明の範囲内に包含される。
100 寝台装置側制御装置(第1の機器)
101 寝台装置(移乗元)
200 車椅子側制御装置(第1の機器)
201 車椅子(移乗先)
300 立ち上がり補助器側制御装置(第1の機器)
301 立ち上がり補助器(移乗先)
400 ストレッチャー側制御装置(第1の機器)
401 ストレッチャー(移乗先)
500 移乗元(寝台装置)
550 寝台装置側制御装置(第1の機器)
600 移乗ロボット(移乗先)
650 移乗ロボット側制御装置(第1の機器)
P 被介護者

Claims (9)

  1. 移乗元上の被介護者が移乗先へ移乗する際の動作を支援する移乗支援システムであって、
    前記移乗元及び前記移乗先のそれぞれにおける、高さ、位置、及び向き、のうちの少なくとも一つの情報を測定する測定部と、
    前記測定部で測定された情報に関し、前記移乗元及び前記移乗先の少なくとも一方の絶対値を他方の絶対値に応じて修正すること、及び、前記移乗元及び前記移乗先間の相対差を修正すること、
    の何れか一方もしくは両方を行う駆動部と、
    を含む第1の機器を備え、
    前記第1の機器が前記修正を行う際に、前記移乗元の種別及び前記移乗先の種別の少なくとも一方を参照する、
    ことを特徴とする移乗支援システム。
  2. 介護者または前記被介護者により支援開始の指示を受信できるコントローラをさらに備える前記第1の機器が前記修正を行う際に、前記移乗元の種別及び前記移乗先の種別の少なくとも一方を参照することを特徴とする請求項1に記載の移乗支援システム。
  3. 前記第1の機器が、前記修正のタイミング及び速度の少なくとも一方を、前記移乗先の前記種別に基づいて制御することを特徴とする請求項2に記載の移乗支援システム。
  4. 前記移乗元における前記被介護者の動作及び状態の少なくとも一方の情報を取得する第2の機器をさらに備え;
    前記第1の機器が、前記第2の機器から前記情報を得た場合に前記修正を行う;
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の移乗支援システム。
  5. 前記被介護者または介護者からの入力を受け付ける第3の機器をさらに備え;
    前記第3の機器が前記入力を受けている間に、前記第1の機器が前記修正を行う;
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の移乗支援システム。
  6. 前記第1の機器が前記修正を行っている際に、前記修正が完了したか否かの少なくとも一方を報知する第4の機器をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の移乗支援システム。
  7. 前記第1の機器はさらに通信部と制御部を含み、
    前記通信部が、
    前記高さ、前記位置、及び前記向き、のうちの少なくとも一つである、前記移乗元における第1の情報と前記移乗先における第2の情報との双方を取得し、
    さらに、前記制御部は、前記第1の情報及び前記第2の情報間の差分により、前記相対差を求める、
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の移乗支援システム。
  8. 前記第1の機器はさらに通信部を含み、
    前記絶対値を修正する場合に、
    前記通信部が、
    前記高さ、前記位置、及び前記向き、のうちの少なくとも一つである、前記移乗元における第1の情報と前記移乗先における第2の情報との双方を取得し、
    さらに、前記駆動部は、前記第1の情報が前記第2の情報に対して許容範囲内となるように、または、前記第2の情報が前記第1の情報に対して許容範囲内となるように、前記移乗元の前記絶対値及び前記移乗先の前記絶対値の少なくとも一方に対し、前記修正を行う、
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の移乗支援システム。
  9. 前記移乗元が、寝台装置であり;
    前記移乗先が、車椅子、歩行器、ストレッチャー、トイレ、立ち上がり補助器、及び移乗機器、のうちの少なくとも一つを含む;
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の移乗支援システム。
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