JP2020126901A - 強磁性粉末、組成物、成形品、強磁性粉末の製造方法 - Google Patents

強磁性粉末、組成物、成形品、強磁性粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁束密度が高い成形品の工業的生産に適用可能であり、取扱性に優れる強磁性粉末を提供する。【解決手段】粒子径が5〜500nmであるFe16N2の結晶粒子の集合物を含む、強磁性粉末であり、前記強磁性粉末の平均粒子径が0.2〜100μmであり、Fe16N2の含有量が、前記強磁性粉末100質量%に対して50質量%以上である、強磁性粉末。【選択図】図2

Description

本発明は、強磁性粉末、組成物、成形品、強磁性粉末の製造方法に関する。
磁石の材料として希土類元素(レアアース)が知られている。省資源の観点から、磁石の材料としては、レアアースの代替物の使用が検討されている。そこで、Fe16の磁気が極めて強いことから(非特許文献1)、Fe16を含む強磁性粉末の利用が検討されている(特許文献1〜3)。このように、Fe16を含む強磁性粉末を用いることで、高い磁気特性を示す永久磁石等を製造することが検討されている。
しかし、Fe16を含む強磁性粉末の製造は、窒化効率の観点からナノメートルオーダーの鉄粉末を原料粉末として使用しない限り、困難である。Fe16を含む強磁性粉末等の製造方法として、例えば、特許文献1〜3に記載の技術が知られている。
また、非特許文献2、3には酸化鉄からナノサイズのFe16の粒子を製造することが記載されている。
特開2013−80922号公報 特開2005−183932号公報 特開2013−016750号公報
M.Takahashi,H.Shoji,Journal of Magnetism and Magnetic Materials 208(2000)145−157. S.Kikkawa,K.Kubota,T.Takeda,Journal of Alloys and Compounds 449(2008)7−10. E.Kita,K.Shibata,H.Yanagihara,Y.Sasaki,M.Kishimoto,Journal of Magnetism and Magnetic Materials 310(2007)2411−2413.
例えば、永久磁石等の高性能磁石には単位体積当たりの磁束が大きいこと、すなわち磁束密度が高いことが求められる。加えて、高性能磁石には磁束の発生に充分な体積が求められる。そのため、高性能磁石等の成形品の製造においては、強磁性粉末を高密度で充填して成形することが求められる。
ここで、強磁性粉末が高密度で充填されている成形品を得るには、強磁性粉末の平均粒子径が大きい方が工業的に有利である。
しかしながら、従来の方法で得られる強磁性粉末にあっては、平均粒子径が100nm程度のナノメートルオーダーであるため、高性能磁石を得るために充分に平均粒子径を大きくすることができない。加えて、特許文献1〜3に記載の製造方法では、得られる粉末の平均粒子径がナノメートルオーダーであることから、粉末中の粒子の化学的安定性に劣り、凝集しやすい。よって、特許文献1〜3に記載の製造方法では取扱性に優れる強磁性粉末を得ることができない。
本発明は、磁束密度が高い成形品の工業的生産に適用可能であり、取扱性に優れる強磁性粉末を提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、粉末内にナノメートルサイズの鉄粒子からなる結晶粒を生成させ、次いで、窒化処理を行うことで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の態様を有する。
[1] 粒子径が5〜500nmであるFe16の結晶粒子の集合物を含む、強磁性粉末であり、前記強磁性粉末の平均粒子径が0.2〜100μmであり、Fe16の含有量が、前記強磁性粉末100質量%に対して50質量%以上である、強磁性粉末。
[2] 飽和磁化が160emu/g以上である、[1]の強磁性粉末。
[3] 保磁力が500Oe以上である、[1]又は[2]の強磁性粉末。
[4] BET法による比表面積が0.05〜300m/gである、[1]〜[3]のいずれかの強磁性粉末。
[5] [1]〜[4]のいずれかの強磁性粉末を含む、組成物。
[6] [1]〜[4]のいずれかの強磁性粉末の成形物である、成形品。
[7] Fe16の含有量が前記成形品100体積%に対して40体積%以上である、[6]の成形品。
[8] ボンド磁石である、[6]又は[7]の成形品。
[9] Feを含む原料粉末に水素ガスを含有する雰囲気下で還元処理を施して、前記原料粉末の内部に、粒子径が5〜500nmであるFeの結晶粒子の集合物を形成し、前記結晶粒子に窒化処理を施す、強磁性粉末の製造方法であり、前記原料粉末の平均粒子径が0.2〜190μmであり、前記窒化処理の処理温度が80〜300℃であり、前記窒化処理の処理時間が1〜20時間である、強磁性粉末の製造方法。
[10] 前記水素ガスの露点が−100〜0℃である、[9]の強磁性粉末の製造方法。
[11] 前記還元処理の処理温度が、200〜500℃である、[9]又は[10]の強磁性粉末の製造方法。
[12] 前記還元処理の処理時間が1〜20時間である、[9]〜[11]のいずれかの強磁性粉末の製造方法。
[13] 前記窒化処理を、アンモニアを含有する雰囲気下で行う、[9]〜[12]のいずれかの強磁性粉末の製造方法。
本発明によれば、磁束密度が高い工業的生産に適用可能であり、取扱性に優れる強磁性粉末が提供される。
実施例1の強磁性粉末について測定したX線回折パターンを示す図である。 実施例1の強磁性粉末の透過電子像を示す図である。
本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<強磁性粉末>
本発明の強磁性粉末は、粒子径が5〜500nmであるFe16の結晶粒子の集合物Aを含む。本発明の強磁性粉末は、Fe16の結晶粒子の集合物A以外に、Fe16以外の構成成分としてFe、FeN、FeN、FeNをさらに含んでもよい。
Fe16の結晶粒子の集合物Aとは、複数のFe16の結晶粒子同士が互いに結合することで形成されたものである。Fe16の結晶粒子の集合物Aは、複数のFe16の結晶粒子を含むともいえる。Fe16の結晶粒子の集合物Aにおいては、複数のFe16の結晶粒子同士が互いに結合し、互いに結合した複数のFe16の結晶粒子からなる微細構造が形成されている。Fe16の結晶粒子の集合物Aにおいては、複数のFe16の結晶粒子同士の結合態様は特に限定されない。
Fe16の結晶粒子の粒子径は、5〜500nmであり、5〜100nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。Fe16の結晶粒子の粒子径が5nm以上であることにより、微細構造が化学的に安定化され、強磁性粉末の取扱性がよくなる。Fe16の結晶粒子の粒子径が500nm以下であることにより、微細構造におけるFe16の結晶粒子の内部まで充分に窒化され、成形品とした際の磁束密度が高くなる。
Fe16の結晶粒子の粒子径(nm)は、強磁性粉末についてX線回折パターンを測定し、下記のシェラーの式(1)を用いて算出される値である。
D=Kλ/Bcosθ ・・・式(1)
式(1)中、Dは結晶粒子の粒子径(nm)であり、λはX線の波長(nm)であり、θはブラック角(回折角2θの半分)であり、Kは定数で0.9である。
X線回折パターンの測定には、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「SmartLab」等)を使用できる。
ただし、簡便であることから、Fe16の結晶粒子の粒子径は、電子顕微鏡による観察像を用いて計測してもよい。
本発明の強磁性粉末の平均粒子径は0.2〜100μmであり、0.2〜60μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましい。強磁性粉末の平均粒子径が0.2μm以上であることにより、成形品の製造の際にFe16を高密度で充填することができる。また、強磁性粉末の凝集が少なくなり、後述の組成物とした際に分散性がよくなる。
強磁性粉末の平均粒子径が100μm以下であることにより、微細構造におけるFe16の結晶粒子の内部まで充分に窒化され、成形品とした際の磁束密度が高くなる。
強磁性粉末の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて乾式法によって測定できる。強磁性粉末の平均粒子径の測定には、粒子分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000IIシリーズ」)を使用できる。
本発明の強磁性粉末は、Fe16の含有量が、強磁性粉末100質量%に対して50質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
本発明の強磁性粉末においては、Fe16の含有量の上限値は特に限定されない。Fe16の含有量は、例えば、50〜60質量%でもよく、60〜70質量%でもよい。
Fe16の含有量は、X線回折によるリートベルト解析法によって測定できる。
本発明の強磁性粉末の飽和磁化は160emu/g以上が好ましく、180emu/g以上がより好ましく、200emu/g以上がさらに好ましい。強磁性粉末の飽和磁化が160emu/g以上であると、成形品とした際の磁束密度が高くなる傾向がある。
強磁性粉末の飽和磁化の上限値は特に限定されない。強磁性粉末の飽和磁化は、例えば、160〜180emu/gでもよく、160〜200emu/gでもよい。
強磁性粉末の飽和磁化は、振動試料型磁力計(例えば、東英工業株式会社製「VSM−5型」)を使用して、磁界:15kOe、温度:20℃の条件下で測定できる。
本発明の強磁性粉末の保磁力は500Oe以上が好ましく、1000Oe以上がより好ましく、2000Oe以上がさらに好ましい。強磁性粉末の保磁力が500Oe以上であると、成形品とした際の磁束密度が高くなる傾向がある。
強磁性粉末の保磁力の上限値は特に限定されない。強磁性粉末の保磁力は、例えば、500〜800Oeでもよく、500〜800Oeでもよい。
強磁性粉末の保磁力は、振動試料型磁力計(例えば、東英工業株式会社製「VSM−5型」)を使用して、磁界:15kOe、温度:20℃の条件下で測定できる。
本発明の強磁性粉末のBET法による比表面積は、0.05〜300m/gが好ましく、0.5〜100m/gがより好ましく、1〜50m/gがさらに好ましい。
強磁性粉末のBET法による比表面積が、0.05m/g以上であると、成形品とした際の磁束密度が高くなる傾向がある。
強磁性粉末のBET法による比表面積が、300m/g以下であると、強磁性粉末が化学的に安定化される傾向があり、強磁性粉末の取扱性がよくなる。
強磁性粉末のBET法による比表面積は、熱伝導度検出器を用いた流動法によって測定できる。強磁性粉末のBET法による比表面積の測定には、例えば、株式会社島津製作所製フローソーブ「III2305/231」を使用できる。
(作用効果)
以上説明した本発明の強磁性粉末にあっては、粒子径が5〜500nmであるFe16の結晶粒子の集合物Aを含み、Fe16の含有量が、強磁性粉末100質量%に対して50質量%以上である。そのため、磁石等の成形品としたときの磁束密度が高くなる。
本発明の強磁性粉末にあっては、平均粒子径が0.2〜100μmであるため、粒子の化学的安定性が向上し、凝集しにくくなり、取扱性がよくなる。また、平均粒子径が0.2〜100μmであるため、Fe16を高密度で充填することができ、本発明の強磁性粉末を高性能磁石の工業的生産に適用できる。
<強磁性粉末の製造方法>
本発明の強磁性粉末の製造方法では、まず、Feを含む原料粉末に水素ガスを含有する雰囲気下で還元処理を施して、前記原料粉末の内部にFeの結晶粒子の集合物Bを形成する。次いで前記結晶粒子に窒化処理を施す。
原料粉末としては、Feを含むものであれば特に限定されない。ただし、Feの含有量は、原料粉末100質量%に対して60〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。Feの含有量が前記下限値以上であると、得られる強磁性粉末においてFe16の含有量が高くなる傾向がある。
原料粉末は、Fe以外に構成成分としてFe、Feをさらに含んでもよい。原料粉末は、例えば、鉄粉末を酸化させることで得てもよい。鉄粉末としては、還元鉄、鋳鉄粉末等種々の形態のものを利用できる。
例えば、FeOOHを含む粉末を脱水してFeを生成し、Feを還元することで、Feを含む原料粉末を得てもよい。ここで、FeOOHを含む粉末は、第一鉄塩水溶液の中和−湿式酸化法によって製造できる。ここで、pH等の反応条件を変更することによってFeOOH粉末の平均粒子径を制御できる。平均粒子径が制御されたFeOOH粉末を原料粉末の製造に使用することで、Feを含む原料粉末の平均粒子径を変化させることができる。
他にも、Feを含む粉末において、Feを酸化してγ−Feを生成し、γ−Feを還元することで、Feを含む原料粉末を得てもよい。
原料粉末の平均粒子径は0.2〜190μmであり、0.2〜100μmが好ましい。
原料粉末の平均粒子径が0.2μm以上であるため、原料粉末が化学的に安定化され、凝集が起きにくくなる。また、得られる強磁性粉末の平均粒子径を0.2μm以上とすることができ、成形品の製造の際にFe16を高密度で充填することができる。
原料粉末の平均粒子径が190μm以下であるため、還元処理において原料粉末の還元反応が充分に進行し、5〜500nmのFeの結晶粒子の集合物Bを粉末の内部に充分に形成できる。そのため、窒化処理において充分量のFe16の結晶粒子が生成し、強磁性粉末の保磁力が高くなる。
原料粉末の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて乾式法によって測定できる。強磁性粉末の平均粒子径の測定には、粒子分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000IIシリーズ」)を使用できる。
還元処理によって、原料粉末中のFeが還元され、原料粉末の内部にFeの結晶粒子の集合物Bが形成される。
Feの結晶粒子の集合物Bとは、複数のFeの結晶粒子同士が互いに結合することで形成されたものである。Feの結晶粒子の集合物Bは、複数のFeの結晶粒子を含むともいえる。Feの結晶粒子の集合物Bにおいては、複数のFeの結晶粒子同士が互いに結合し、互いに結合した複数のFeの結晶粒子からなる微細構造が形成されている。Feの結晶粒子の集合物Bにおいては、複数のFeの結晶粒子同士の結合態様は特に限定されない。
Feの結晶粒子の粒子径は、得られる強磁性粉末中のFe16の結晶粒子の粒子径一致する場合が多い。そのため、Feの結晶粒子の粒子径は、5〜500nmであり、5〜100nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。Feの結晶粒子の粒子径が5nm以上であると、微細構造が化学的に安定化される。Feの結晶粒子の粒子径が500nm以下であると、微細構造におけるFe16の結晶粒子の内部まで充分に窒化され、充分量のFe16が生成する。その結果、強磁性粉末の保磁力が500Oe以上となり、成形品とした際の磁束密度が高くなる。
還元処理は水素ガスを含有する雰囲気下で行う。還元処理を行う雰囲気としては、水素ガスを1〜100体積%含む混合気体が挙げられる。前記混合気体は水素ガス以外に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスをさらに含んでもよい。
還元処理においては、水素ガスの露点は−100〜0℃が好ましく、−80〜−20℃がより好ましい。
水素ガスの露点が前記下限値以上であると、還元処理後の粉末に適度に酸素原子が残留し、表面が不活性化され、Feの結晶粒子の集合物Bの化学的安定性がさらによくなる。
水素ガスの露点が前記上限値以下であると、還元処理によって原料粉末中にFeの結晶粒子の集合物Bを形成できる。その結果、強磁性粉末中に粒子径が5〜500nmであるFe16の結晶粒子の集合物Aを形成できる。
還元処理の処理温度は200〜500℃が好ましく、300〜400℃がより好ましい。
還元処理の処理温度が前記下限値以上であると、原料粉末中のFeの還元反応が充分に進行し、Feの結晶粒子の生成量がさらに多くなる。
還元処理の処理温度が前記上限値以下であると、原料粉末の焼結が起きにくく、原料粉末中にFeの結晶粒子からなる微細構造が形成されやすい。また、Feの結晶粒子の粒子径が過度に大きくなりにくく、後述の窒化処理において充分量のFe16の結晶粒子が生成し、強磁性粉末の保磁力がさらに高くなる。
還元処理の処理時間は1〜20時間が好ましく、3〜7時間がより好ましい。
還元処理の処理時間が前記下限値以上であると、原料粉末中のFeの還元反応が充分に進行し、Feの結晶粒子の集合物B、すなわち複数のFeの結晶粒子からなる微細構造が形成されやすい。
還元処理の処理時間が前記上限値以下であると、Feの結晶粒子の粒子径が過度に大きくなりにくく、後述の窒化処理において充分量のFe16の結晶粒子が生成し、強磁性粉末の保磁力がさらに高くなる。
次いで、本発明の強磁性粉末の製造方法では、還元処理によって原料粉末の内部にFeの結晶粒子の集合物Bを形成した後、Feの結晶粒子に窒化処理を施す。窒化処理においては、Feの結晶粒子を窒化して、Fe16の結晶粒子とする。窒化処理においては、還元処理で原料粉末中に形成されたFeの結晶粒子からなる微細構造がそのまま維持され、Feの結晶粒子が窒化される。
窒化処理はアンモニアを含有する雰囲気下で行うことが好ましい。窒化処理を行う雰囲気としては、アンモニアを1〜100体積%含む混合気体が挙げられる。前記混合気体はアンモニア以外に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスをさらに含んでもよい。アンモニアの含有量が1体積%以上であると、充分量のFe16が生成し、強磁性粉末にFeが残存しにくくなる。
窒化処理の処理温度は、80〜300℃であり、120〜220℃が好ましい。
窒化処理の処理温度が前記下限値以上であることにより、Feの結晶粒子を窒化することができ、Fe16の結晶粒子が生成される。
窒化処理の処理温度が前記上限値以下であることにより、副生成物であるFeNが生成しにくくなる。また、生成したFe16がFeとFeNとに分解される反応が起きにくくなり、充分量のFe16の結晶粒子が得られる。
Fe16の生成率を制御する観点から、窒化処理の処理温度は、80〜120℃でもよく、120〜220℃でもよく、220〜300℃でもよい。Fe16の生成率が高いほど強磁性粉末の保磁力が高くなる。
窒化処理の処理温度が80〜120℃であると、Fe16の生成率は50〜70質量%となる傾向があり、強磁性粉末中にFeが残留する傾向がある。この場合、強磁性粉末の保磁力は500〜800Oeとなる傾向がある。
窒化処理の処理温度が120〜220℃であると、Fe16の生成率は70〜100質量%となる傾向があり、Feの残存量は微量である。この場合、保磁力は800〜3000Oeとさらに高くなる傾向がある。
窒化処理の処理温度が220〜300℃であると、Fe16の生成率は50〜70質量%となる傾向があり、FeNが生成するか、Fe16がFeとFeNに分解される傾向がある。この場合、保磁力は500〜1000Oeとなる傾向がある。
したがって保磁力をより高くする観点でもFe16の高い生成率が得られることから、窒化処理の処理温度は120〜220℃が好ましい。
Fe16の生成率(質量%)は、下式(2)により算出される値である。
(Fe16の生成率)=(強磁性粉末中のFe16の質量(g))/(原料粉末中のFe原子の質量(g))×100 ・・・(2)
窒化処理の処理時間は1〜20時間であり、5〜8時間が好ましい。
窒化処理の処理時間が前記下限値以上であることにより、Feの結晶粒子を窒化することができ、Fe16の結晶粒子が生成される。
窒化処理の処理時間が前記上限値以下であることにより、副生成物であるFeNが生成しにくくなり、また、Fe16がFeとFeNとに分解される分解反応が起きにくくなり、充分量のFe16が生成し、強磁性粉末の保磁力が高くなる。
(作用効果)
以上説明した本発明の強磁性粉末の製造方法にあっては、Feを含む原料粉末に水素ガスを含有する雰囲気下で還元処理を施して、前記原料粉末の内部にFeの結晶粒子の集合物Bを形成するため、得られる強磁性粉末の平均粒子径を大きくすることができる。加えて、原料粉末の平均粒子径が特定の数値範囲内であるため、平均粒子径が0.2〜100μmである強磁性粉末を製造できる。
次いで本発明の強磁性粉末の製造方法では、Feの結晶粒子に窒化処理を施す。ここで、本発明の強磁性粉末の製造方法では、窒化処理の処理温度、窒化処理の処理時間が特定の数値範囲内である。そのため、本発明の強磁性粉末の製造方法によれば、後述の実施例で示すように、平均粒子径が0.2〜100μmであり、Fe16の含有量が50質量%以上である本発明の強磁性粉末を製造できる。
以上より、本発明の強磁性粉末の製造方法によれば、磁束密度が高い成形品の工業的生産に適用可能であり、取扱性に優れる強磁性粉末を製造できる。
<組成物>
本発明の組成物は上述の本発明の強磁性粉末を含む。本発明の組成物は、バインダー樹脂、添加剤をさらに含んでもよい。本発明の組成物は、例えばボンド磁石等の本発明の成形品の製造に適用できる。
バインダー樹脂としては、成形品を得る際の成形法にあわせて適宜選択できる。例えば、射出成形、押出成形、カレンダ−成形の場合には、熱可塑性樹脂が使用できる。圧縮成形の場合には、熱硬化性樹脂が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂、ゴム等のエラストマーが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂等が挙げられる。
ただし、バインダー樹脂はこれらの例示に限定されず、種々の成形方法に応じて選択できる。
成形品の製造の際には、成形性、磁気特性を高めるために、必要に応じて、可塑剤、滑剤、カップリング剤等の添加物を使用してもよい。また、フェライト磁石粉末等の他種の磁石粉末を混合してもよい。
本発明の組成物は、例えば、強磁性粉末とバインダー樹脂と必要に応じて添加剤とを混合し、混練することで製造できる。
混合の際には、ヘンシェルミキサー、V字ミキサー等の混合機等を使用してもよい。混練の際には一軸混練機、二軸混練機、押出混練機等を使用してもよい。
本発明の組成物において強磁性粉末の含有量は組成物100質量%に対して60〜95質量%が好ましく、80〜90質量%がより好ましい。
本発明の組成物においてバインダー樹脂の含有量は組成物100質量%に対して1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
本発明の組成物が添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、組成物100質量%に対して1〜2質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
(作用効果)
以上説明した本発明の組成物は、本発明の強磁性粉末を含むため、Fe16を磁束密度が高い成形品の工業的生産に適用できる。また、取扱性に優れる本発明の強磁性粉末を含むため、成形品の製造の際に生産性がよくなる。
<成形品>
本発明の成形品は上述の本発明の強磁性粉末の成形物である。本発明の成形品は、本発明の強磁性粉末を成形することで得られる。成形品の形状は特に限定されない。
成形方法は特に限定されない。例えば、射出成形、押出成形、カレンダ−成形、圧縮成形が挙げられる。ただし、成形方法はこれらの例示に限定されない。
本発明の成形品においては、Fe16の含有量は成形品100体積%に対して40体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましい。Fe16の含有量が成形品100体積%に対して40体積%以上であると、成形品の磁束密度がさらに高くなり、磁気特性がさらによくなる。
本発明の成形品の形態としては、ボンド磁石等が挙げられる。ボンド磁石は、例えば、本発明の強磁性粉末又は本発明の組成物を圧縮成形、射出成形、シート成形すること等によって製造できる。
(作用効果)
以上説明した本発明の成形品は、本発明の強磁性粉末の成形物であるため、強磁性粉末が高密度で充填され、磁束密度が高くなる。また成形品の製造の際には、取扱性に優れる強磁性粉末を使用するため、生産性がよい。
<実施例>
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されない。
[測定方法]
(原料粉末の平均粒子径)
原料粉末の平均粒子径(μm)は、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000II型」を使用して測定した。
(強磁性粉末の平均粒子径)
強磁性粉末の平均粒子径(μm)は、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000II型」を使用して測定した。
(強磁性粉末の比表面積)
強磁性粉末の比表面積(m/g)は、株式会社島津製作所製フローソーブ「III2305/231」を使用してBET法により測定した。
(Fe16の結晶粒子の粒子径)
Fe16の結晶粒子の粒子径(nm)は、X線回折装置(株式会社リガク製「SmartLab」等)を用いて、X線回折パターンを測定し、下記のシェラーの式(1)を用いて算出した。
D=Kλ/Bcosθ ・・・式(1)
式(1)中、Dは結晶粒子の粒子径(nm)であり、λはX線の波長(nm)であり、θはブラック角(回折角2θの半分)であり、Kは定数で0.9である。
(Fe16の生成率)
Fe16の生成率(質量%)は、下式(2)により算出した。
(Fe16の生成率)=(強磁性粉末中のFe16の質量(g))/(原料粉末中のFe原子の質量(g))×100 ・・・(2)
(飽和磁化、保磁力)
強磁性粉末の飽和磁化(emu/g)及び保磁力(Oe)は、振動試料型磁力計(東英工業株式会社製「VSM−5型」」)を使用して、磁界:15kOe、温度:20℃の条件下で測定した。
[判定方法]
(Fe16の生成)
各例で得られた強磁性粉末について、株式会社リガク製「SmartLab」を使用してX線回折パターンを測定し、X線回析パターンの測定結果とFe16の生成率の算出結果とに基づいて、下記の判定基準で判定した。
◎:Fe16の回折線が確認され、Fe16の生成率が70%以上である。
〇:Fe16の回折線が確認され、Fe16の生成率が50%以上70%未満である。
×:Fe16の回折線が確認されない。
[実施例1]
素原料としてFe粉末:200mgを石英サヤに入れ、熱処理炉に静置した。炉内に窒素ガスを3L/minの流量で供給し、窒素置換を15分行った。その後、空気を3L/minの流量で流しながら、10℃/minで1000℃まで昇温し、1000℃で5時間保持し、酸化処理を行って原料粉末を準備した。X線回折によって原料粉末中にFeの生成を確認できた。Feを含む原料粉末の平均粒径は100μmであった。Feを含む原料粉末について、株式会社リガク製「SmartLab」を使用してX線回折パターンを測定し、すべての回折線がFeであることを確認した。
次にFeを含む原料粉末:100mgを石英サヤに入れ、熱処理炉に静置した。炉内に窒素ガスを流量:3L/minで15分供給し、窒素置換を行った。その後、水素ガス(露点:−50 ℃)を流量:3L/minで供給しながら、10℃/minで300℃まで昇温し、還元処理を5時間行った。還元処理後の粉末について、透過電子顕微鏡(JEOL社製「JEM−200」)にて透過電子像を取得し、粉末の内部にFeの結晶粒子の集合物B1が形成されていることを確認した(図示略)。
次いで、室温まで温度を下がったことを確認した後、水素ガスの供給を止めて窒素ガスを流量:3L/minで供給し、窒素置換を行った。次いで、アンモニアガスを流量:3.0L/minで流しながら、10℃/minで150℃まで昇温し、窒化処理を8時間行って実施例1の強磁性粉末を得た。
実施例1の強磁性粉末について、株式会社リガク製「SmartLab」を使用してX線回折パターンを測定した。図1は、実施例1の強磁性粉末について測定したX線回折パターンを示す。図1に示す回折パターンから、すべての回折線がFe16であることを確認した。
また、実施例1の強磁性粉末について、透過電子顕微鏡(JEOL社製「JEM−200」)にて透過電子像を観察した。図2に実施例1の強磁性粉末の透過電子像を示す。図2に示すように、実施例1の強磁性粉末の内部に粒子径が52nmの結晶粒子の集合物A1が形成されていることを確認できた。また、窒化処理の前後において取得した透過電子像を比較することで、強磁性粉末の内部に形成された結晶粒子の集合物A1は、還元処理後の原料粉末の内部に形成された結晶粒子の集合物B1と、粒子径、外観等が一致することを確認した。
[実施例2〜5、比較例1]
実施例1と同様にして、Fe粉末から粒径30μmのFe粉末を製造した。次いで、還元処理の際に使用した水素ガスの露点を表1、2に記載の温度に変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例2〜5では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。一方、比較例1では還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bが原料粉末中に形成されなかったことを確認した。
[実施例6、7、比較例2]
実施例6、7、比較例2では、原料粉末を準備する際にFeOOH粉末を使用した。FeOOH粉末は、第一鉄塩水溶液の中和−湿式酸化法によって製造した。
次いで、FeOOH粉末を脱水してFeを生成し、Feを還元することで、Feを含む原料粉末を得た。ここで、FeOOH粉末の製造の際のpH条件を変更することで、FeOOH粉末の平均粒子径を変化させ、Feを含む原料粉末の平均粒子径を変化させた。得られた原料粉末の平均粒子径を表1、2に示した通りである。
このようにして得られた原料粉末を使用した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例6、7では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。
[実施例8、9、比較例3]
実施例8、9、比較例3では、原料粉末を準備する際に使用したFe粉末の平均粒子径を変化させることで、原料粉末の平均粒子径を表1、2に記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例8、9では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。
[実施例10〜12、比較例4、5]
還元処理の処理温度を表1、2に記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例10〜12では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。一方、比較例4、5では還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、粒子径が5〜500nmであるFeの結晶粒子の集合物Bが原料粉末中に形成されなかったことを確認した。
[実施例13〜16、比較例6、7]
還元処理の処理時間を表1、2に記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例13〜16では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。一方、比較例6、7では還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、粒子径が5〜500nmであるFeの結晶粒子の集合物Bが原料粉末中に形成されなかったことを確認した。
[実施例17〜20、比較例8、9]
窒化処理の処理温度を表1、2に記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例17〜20では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。
[実施例21〜23、比較例10、11]
窒化処理の処理時間を表1、2に記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の強磁性粉末を製造した。
実施例21〜23では、還元処理後の粉末の透過電子像の観察結果から、Feの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成したことを確認した。
実施例1〜23、比較例1〜11で得られた強磁性粉末について、比表面積、Fe16の生成率(質量%)、Fe16の結晶粒子の粒子径、飽和磁化、保磁力を上述の測定方法にしたがって測定した。測定結果を表3、4に示す。
次いで、実施例1〜23、比較例1〜11で得られた強磁性粉末:9.8gとエポキシ樹脂:0.19gとステアリン酸亜鉛:0.01gとを混合し、圧縮プレス成形機(岩城産業社製「IMF−20」を用いてボンド磁石を製造した。得られたボンド磁石における強磁性粉末の含有量(体積%)を表3、4に示す。
実施例1〜23では、原料粉末の平均粒子径、窒化処理の処理温度及び処理時間が本発明で規定する範囲内であり、還元処理の際にFeの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成した。このようにして得られた実施例1〜23の強磁性粉末を使用することで、Fe16の含有量が成形品100体積%に対して40体積%以上であり、磁束密度が高いボンド磁石を得ることができた。
また、Fe16の結晶粒子の粒子径、強磁性粉末の平均粒子径、Fe16の含有量が本発明で規定する範囲内である強磁性粉末を用いることで、Fe16の含有量が成形品100体積%に対して40体積%以上であり、磁束密度が高いボンド磁石を得ることができた。
実施例1〜23では、還元処理における水素ガスの露点が−100〜0℃である。この場合、透過電子像の観察結果から、原料粉末中に粒子径が5〜500nmであるFeの結晶粒子からなる微細構造を含む集合物Bの形成が確認できた。そのため、続く窒化処理によってこの微細構造を維持したままFe16が粉末全体に生成したと考えられる。結果として、実施例1〜23では保磁力が500Oe以上である強磁性粉末を製造できた。
比較例1では、還元処理における水素ガスの露点が0℃超である。この場合、粒子径が5〜500nmであるFeの結晶粒子の集合物Bを原料粉末中に形成できず、Fe16が生成しなかった。
比較例2では、原料粉末の平均粒子径が0.2μm未満である。この場合、Fe16の含有量が40体積%以上である成形品が得られず、磁束密度が高いボンド磁石が得られなかった。
比較例3では、原料粉末の平均粒子径が190μm超である。この場合、還元処理の際に原料粉末の中心部にまでFeの結晶粒子からなる微細構造が形成されなかった。そのため窒化しても粉末の中心部にFe16を生成させることができなかった。その結果、保磁力が低下したと考えられる。
比較例4では、還元処理の処理温度が200℃未満である。この場合、還元反応が進行せず、Feの結晶粒子からなる微細構造が形成されなかった。
比較例5では還元処理の処理温度が500℃超である。この場合、還元反応は進行するが、Feの結晶粒子の粒子径が500nmより大きくなり、窒化処理においてFe16が生成せず、強磁性粉末の保磁力が低下したと考えられた。
比較例6では還元処理の処理時間が1時間未満である。この場合、原料粉末中にFeの結晶粒子からなる微細構造が形成されなかった。
比較例7では還元処理の処理時間が20時間超である。この場合、Feの結晶粒子の粒子径が500nmより大きくなり、Fe16が生成せず、強磁性粉末の保磁力が低下したと考えられた。
比較例8では、窒化処理の温度が80℃未満である。この場合、Fe16が生成しなかった。
比較例9では、窒化処理の温度が300℃超である。この場合、Fe16が得られず、強磁性粉末の保磁力が500Oe以下であった。
比較例10では窒化処理の処理時間が1時間未満である。この場合、Fe16が生成しなかった。
比較例11では窒化処理の処理時間が20時間超である。この場合、生成したFe16が分解し、強磁性粉末の保磁力が低下した。

Claims (13)

  1. 粒子径が5〜500nmであるFe16の結晶粒子の集合物を含む、強磁性粉末であり、
    前記強磁性粉末の平均粒子径が0.2〜100μmであり、
    Fe16の含有量が、前記強磁性粉末100質量%に対して50質量%以上である、強磁性粉末。
  2. 飽和磁化が160emu/g以上である、請求項1に記載の強磁性粉末。
  3. 保磁力が500Oe以上である、請求項1又は2に記載の強磁性粉末。
  4. BET法による比表面積が0.05〜300m/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の強磁性粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の強磁性粉末を含む、組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の強磁性粉末の成形物である、成形品。
  7. Fe16の含有量が、前記成形品100体積%に対して40体積%以上である、請求項6に記載の成形品。
  8. ボンド磁石である、請求項6又は7に記載の成形品。
  9. Feを含む原料粉末に水素ガスを含有する雰囲気下で還元処理を施して、前記原料粉末の内部に、粒子径が5〜500nmであるFeの結晶粒子の集合物を形成し、前記結晶粒子に窒化処理を施す、強磁性粉末の製造方法であり、
    前記原料粉末の平均粒子径が0.2〜190μmであり、
    前記窒化処理の処理温度が80〜300℃であり、
    前記窒化処理の処理時間が1〜20時間である、強磁性粉末の製造方法。
  10. 前記水素ガスの露点が−100〜0℃である、請求項9に記載の強磁性粉末の製造方法。
  11. 前記還元処理の処理温度が、200〜500℃である、請求項9又は10に記載の強磁性粉末の製造方法。
  12. 前記還元処理の処理時間が1〜20時間である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の強磁性粉末の製造方法。
  13. 前記窒化処理を、アンモニアを含有する雰囲気下で行う、請求項9〜12のいずれか一項に記載の強磁性粉末の製造方法。
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