JP7366371B2 - 軟磁性粉末、組成物、成形品、軟磁性粉末の製造方法 - Google Patents
軟磁性粉末、組成物、成形品、軟磁性粉末の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7366371B2 JP7366371B2 JP2020116344A JP2020116344A JP7366371B2 JP 7366371 B2 JP7366371 B2 JP 7366371B2 JP 2020116344 A JP2020116344 A JP 2020116344A JP 2020116344 A JP2020116344 A JP 2020116344A JP 7366371 B2 JP7366371 B2 JP 7366371B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- soft magnetic
- atoms
- magnetic powder
- iron
- powder
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
軟磁性材料として、Fe-Si-Al系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Si-Bのアモルファス合金、Fe-Si-B-Cu-Nbのナノ結晶合金等が知られている。しかし、これらの軟磁性材料は飽和磁化が低いという問題がある。そのため、これらの軟磁性材料を磁気デバイスに適用した際には、磁気デバイスの出力を高くできない。
特許文献1には、窒化鉄系磁性粉末が記載されている。特許文献1の実施例では、マグネタイト等の粉末を還元処理した後、アンモニアガスを用いて加圧条件下で窒化処理を行い、被処理粉末の表面を除酸化処理して磁性粉末を得ている。
特許文献2には、窒化鉄粉末の製造方法が記載されている。特許文献2では、磁場を印加した状態で鉄粉をカルボン酸溶液中で溶解してゲルを作製し、当該ゲルの乾燥物から有機成分を除去し、次いで還元処理及び窒化処理を施して窒化鉄粒子を生成することが提案されている。
本発明は、飽和磁化が高く、軟磁気特性を具備する軟磁性粉末及びその製造方法を提供する。
[1] 鉄原子で構成される結晶構造を有する粒子を含む、粉末であり、前記結晶構造を構成する2以上の鉄原子の間に窒素原子及び炭素原子が存在し、組成が下式(1)で表される、軟磁性粉末。
Fe100-(α+β+γ)CαNβOγ・・・式(1)
式(1)中、αは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する炭素原子の比率であり、かつ前記αは1~11原子%であり;βは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する窒素原子の比率であり、かつ前記βは0.1~10原子%であり;γは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する酸素原子の比率であり、かつ前記γは0.1~10原子%である。
[2] 前記結晶構造の結晶子径が、5~500nmである、[1]に記載の軟磁性粉末。
[3] 前記粉末の平均粒子径が、0.1~150μmである、[1]又は[2]に記載の軟磁性粉末。
[4] 保磁力が、150Oe以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の軟磁性粉末。
[5] 飽和磁化が、150emu/g以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の軟磁性粉末。
[6] BET法による比表面積が、0.05~300m2/gである、[1]~[5]のいずれかに記載の軟磁性粉末。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の軟磁性粉末を含む、組成物。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の軟磁性粉末の成形物である、成形品。
[9] 前記軟磁性粉末の含有量が、前記成形物100体積%に対して40体積%以上である、[8]に記載の成形品。
[10] ボンド磁性体である、[8]又は[9]に記載の成形品。
[11] 酸化鉄を含み、かつ、平均粒子径が0.1~150μmである原料粉末に還元処理を施すことで、鉄原子で構成される結晶構造を有する粒子を含む鉄粉末を得た後に、前記鉄粉末に窒化処理を施し、次いで炭素含有化合物のガスを含む雰囲気下で100~300℃の条件で炭化処理を施すことで、前記結晶構造に窒素原子及び炭素原子を保持させ、組成が下式(1)で表される粉末を得る、軟磁性粉末の製造方法。
Fe100-(α+β+γ)CαNβOγ・・・式(1)
式(1)中、αは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する炭素原子の比率であり、かつ前記αは1~11原子%であり;βは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する窒素原子の比率であり、かつ前記βは0.1~10原子%であり;γは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する酸素原子の比率であり、かつ前記γは0.1~10原子%である。
[12] 前記酸化鉄が、FeO、Fe2O3及びFe3O4からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、[11]に記載の軟磁性粉末の製造方法。
[13] 前記結晶構造の結晶子径が、5~500nmである、[11]又は[12]に記載の軟磁性粉末の製造方法。
[14] 前記還元処理を、露点が-100~0℃である水素ガスを含む雰囲気下で行う、[11]~[13]のいずれかに記載の軟磁性粉末の製造方法。
[15] 前記窒化処理を、アンモニアを含む雰囲気下で行う、[11]~[14]のいずれかに記載の軟磁性粉末の製造方法。
[16] 前記窒化処理の処理温度が、100~300℃である、[11]~[15]のいずれかに記載の軟磁性粉末の製造方法。
[17] 前記炭化処理の後、100~300℃の条件で熱処理を前記粉末にさらに施す、[11]~[16]のいずれかに記載の軟磁性粉末の製造方法。
本発明の軟磁性粉末は、特定の粒子(III)を含む粉末である。粒子(III)は、鉄原子を主成分とし、さらに炭素原子、窒素原子で構成される結晶構造(III)を有する。結晶構造(III)においては、2以上の鉄原子の間に窒素原子及び炭素原子が存在する。
結晶構造(III)は鉄の正方晶となることが一般的である。また、鉄の正方晶においては、直方体又は立方体の各頂点に鉄原子が配置される。そのため、本発明の軟磁性粉末においては、結晶構造(III)の各頂点に配置された2以上の鉄原子の間に窒素原子及び炭素原子が存在すると考えられる。
本発明の軟磁性粉末は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、粒子(III)以外の粒子をさらに含んでもよい。
Fe100-(α+β+γ)CαNβOγ ・・・式(1)
式(1)中、αは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する炭素原子の比率であり;βは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する窒素原子の比率であり;γは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する酸素原子の比率である。
鉄原子量(100-(α+β+γ))は、例えば、ICP発光分光分析、蛍光X線分析により測定することも可能である。ICPは、Inductively Coupled Plasmaの略である。
D=Kλ/(Bcosθ) ・・・式(2)
式(2)中、Dは結晶構造(III)の結晶子径であり、λはX線の波長であり、θはブラック角であり、Kは定数で0.9である。X線回折パターンの測定には、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「SmartLab」等)を使用できる。
保磁力は、磁力計(例えば、東英工業株式会社製「VSM-5型」)を用いて、磁界:15kOe、温度:20℃の条件下で測定できる。
飽和磁化は、磁力計(例えば、東英工業株式会社製「VSM-5型」)を用いて、磁界:15kOe、温度:20℃の条件下で測定できる。
軟磁性粉末のBET法による比表面積は、熱伝導度検出器を用いた流動法によって測定できる。軟磁性粉末のBET法による比表面積の測定には、例えば、株式会社島津製作所製フローソーブ「III2305/231」を使用できる。
平均粒子径は、粒子分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000シリーズ」)により測定できる。
以上説明した本発明の軟磁性粉末においては、2以上の鉄原子で構成される結晶構造に炭素原子が存在する。そのため、粉末の保磁力が低くなり、軟磁気特性が発現する。加えて、式(1)で表される所定の組成において、αが充分に高く、炭素量が充分である。したがって、本発明の軟磁性粉末は軟磁性材料として利用できるほど充分な軟磁気特性を具備する。
また、本発明の軟磁性粉末においては、2以上の鉄原子で構成される結晶構造に窒素原子が存在する。加えて、式(1)で表される所定の組成において、βが充分に高く、窒素量が充分である。したがって、本発明の軟磁性粉末の飽和磁化が従来の窒化鉄粉末と同等以上に高く維持される。
本発明者らは窒化鉄の磁気特性の基礎的研究を行ってきた。その研究過程で、FeO、Fe2O3、Fe3O4等の酸化鉄を含む原料粉末を、水素雰囲気中で還元して、酸素が微量に残存した鉄粉末とした後、アンモニア等のガス雰囲気中で窒化処理を行い、窒化鉄粉末を合成し、次いでアセチレン等の炭素含有化合物のガス雰囲気中で炭化処理を行うと、窒素、炭素、酸素を含む磁性粉末が得られ、この磁性粉末が軟磁気特性を発現していることを初めて知見した。
以下、本発明の軟磁性粉末の製造方法の詳細について説明する。
Fe100-(α+β+γ)CαNβOγ・・・式(1)
従来の窒化鉄粉末の製造においては、鉄原子で構成される結晶構造の内部に窒素原子及び炭素原子の両方を保持させることができず、窒化鉄粉末に軟磁気特性を付与できなかった。これに対し、本発明においては、γが所定の下限値以上であるため、鉄原子で構成される結晶構造の内部に炭素原子がさらに取り込まれる。その結果、軟磁性材料として利用できるほど充分な軟磁気特性が発現する。
軟磁気特性を具備する軟磁性粉末が得られやすいことから、原料粉末の酸化鉄は、FeO、Fe2O3及びFe3O4からなる群から選ばれる少なくとも一種以上が好ましい。
結晶構造(I)は、例えば、鉄の立方晶となる。鉄粉末は、窒化処理及び炭化処理を施す前の粉末であるから、結晶構造(I)には原則として窒素原子及び炭素原子が実質的に存在しない。
窒化処理の処理温度は100~300℃が好ましく、150~220℃がより好ましい。窒化処理の処理温度が前記下限値以上であると、結晶構造(I)に窒素原子を保持させやすく、結晶構造(II)を形成しやすい。窒化処理の処理温度が前記上限値以下であると、激しい窒化反応を抑制でき、Fe4N等の不要な窒化物の生成を抑制できる。
炭化処理の際には、炭素原子の比率、すなわちαが高くなる傾向があることから、炭素含有化合物のガスに加えて水素ガスを併用してもよい。
炭化処理の処理時間は1~20時間が好ましく、3~10時間がより好ましい。炭化処理の処理時間が前記下限値以上であると、αが充分に高くなり、所定の組成の軟磁性粉末が得られやすい。炭化処理の処理時間が前記上限値以下であると、Fe3C等の不要な炭化物の生成を抑制できる。
熱処理の処理温度は、100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。熱処理の処理時間は、1~50時間が好ましく、1~20時間がより好ましい。熱処理の処理温度、処理時間が前記数値範囲内であると、軟磁気特性を維持しながら、軟磁性粉末の磁気特性を調整できる。
本発明の軟磁性粉末は、軟磁性材料として利用できる。軟磁性材料の形態としては、例えば、組成物、成形品が挙げられる。
組成物は、本発明の強磁性粉末を含む。組成物は、軟磁性粉末に加えて、バインダー樹脂、添加剤をさらに含んでもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂、ゴム等のエラストマーが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノ-ル樹脂等が挙げられる。ただし、バインダー樹脂はこれらの例示に限定されず、種々の成形方法に応じて選択できる。
バインダー樹脂の含有量は、組成物100質量%に対して1~10質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましい。
添加剤の含有量は、組成物100質量%に対して1~2質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましい。
(原料粉末の平均粒子径)
原料粉末の平均粒子径は、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000II型」を使用して測定した。
軟磁性粉末の平均粒子径は、マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000II型」を使用して測定した。
軟磁性粉末の比表面積(m2/g)は、株式会社島津製作所製フローソーブ「III2305/231」を使用してBET法により測定した。
結晶子径(nm)は、X線回折装置(株式会社リガク製「SmartLab」等)を用いて、X線回折パターンを測定し、下式(2)のシェラーの式を用いて算出した。
D=Kλ/(Bcosθ) ・・・式(2)
式(2)中、Dは結晶粒子の粒子径(nm)であり、λはX線の波長(nm)であり、θはブラック角(回折角2θの半分)であり、Kは定数で0.9である。
例えば、図1は実施例3の軟磁性粉末について測定したX線回折パターンを示す図である。実施例3では図1に示すX線回折パターンに基づいてシェラーの式から結晶子径を算出した。
軟磁性粉末の飽和磁化(emu/g)、保磁力(Oe)は、振動試料型磁力計(東英工業株式会社製「VSM-5型」)を使用して、磁界:15kOe、温度:20℃の条件下で測定した。
実施例で使用した原料粉末は以下の通りである。
粉末1:平均粒子径が35μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末2:平均粒子径が0.05μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末3:平均粒子径が0.1μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末4:平均粒子径が12μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末5:平均粒子径が55μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末6:平均粒子径が90μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末7:平均粒子径が150μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末8:平均粒子径が180μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末9:平均粒子径が15μmであり、FeOを主成分とする酸化鉄粉末。
粉末10:平均粒子径が18μmであり、α―Fe2O3を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末11:平均粒子径が12μmであり、γ―Fe2O3を主成分とする酸化鉄粉末。
粉末12:平均粒子径が25μmであり、Fe3O4を主成分とする酸化鉄粉末。
原料として、100mgの粉末1を石英サヤに入れ、熱処理炉に静置した。熱処理炉内に窒素ガスを流量3L/分の条件で15分供給し、窒素置換を行った。その後、露点が-80℃である水素ガスを流量3L/分の条件で熱処理炉内に供給し、10℃/分で400℃まで熱処理炉内を昇温し、熱処理炉内の温度を400℃で4時間保持した。熱処理炉内の温度を下げ、室温まで温度が低下したことを確認した後、水素ガスの供給を止め、窒素ガスを流量3L/分の条件で熱処理炉内に供給し、窒素置換を行い、粉末1に還元処理を施した。
次いで、アンモニアガスを流量3L/分の条件で熱処理炉内に供給し、10℃/分で160℃まで昇温し、熱処理炉内の温度を160℃で5時間保持した。熱処理炉内の温度を下げ、室温まで温度が低下したことを確認した後、アンモニアガスの供給を止め、窒素ガスを流量3L/分の条件で熱処理炉内に供給し、窒素置換を行い、被処理粉末に窒化処理を施した。
その後、アセチレン:25体積%と窒素:75体積%の混合ガスを3L/分の条件で熱処理炉内に供給し、10℃/分で100℃まで昇温し、熱処理炉内の温度を100℃で8時間保持した。熱処理炉内の温度を下げ、室温まで温度が低下したことを確認した後、アセチレンガスの供給を止め、窒素ガスを流量3L/分の条件で熱処理炉内に供給し、窒素置換を行い、被処理粉末に炭化処理を施した。その後熱処理炉から実施例1の軟磁性粉末を回収した。
炭化処理の処理温度を表1、2に示す各温度に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2~5の軟磁性粉末、比較例1、2の磁性粉末をそれぞれ得た。
窒化処理の処理温度を表1、2に示す各温度に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例6~10の軟磁性粉末、比較例3、4の磁性粉末をそれぞれ得た。
還元処理の処理温度を表1、2に示す各温度に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例11~15の軟磁性粉末、比較例5、6の磁性粉末をそれぞれ得た。
原料粉末を粉末1の代わりに表1、2に示す各粉末2~8に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例16~20の軟磁性粉末、比較例7、8の磁性粉末をそれぞれ得た。
還元処理に使用する水素ガスの露点を表2に示す各温度に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例21~25の軟磁性粉末、比較例9、10の磁性粉末をそれぞれ得た。
原料粉末を粉末1の代わりに表2に示すように各粉末10~12に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例26~28の軟磁性粉末をそれぞれ得た。
表2に示すように原料粉末として粉末12に変更し、炭化処理に使用するガスを表2に示す各炭素含有化合物のガスに変更し、炭化処理の温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例29~33の軟磁性粉末を得た。
実施例29では、炭素含有化合物のガスとしてエチレンガスを使用した。
実施例30では、炭素含有化合物のガスとしてメタンガスを使用した。
実施例31では、炭素含有化合物のガスとして、アセチレンガス(25体積%)と水素ガス(75体積%)との混合ガスを炭化処理に使用した。
実施例32では、炭素含有化合物のガスとして、一酸化炭素ガス(50体積%)と水素ガス(50体積%)との混合ガスを炭化処理に使用した。
実施例33では、炭素含有化合物のガスとして、二酸化炭素ガス(50体積%)と水素ガス(50体積%)との混合ガスを炭化処理に使用した。
炭化処理の後、室温まで温度が低下したことを確認した後、アセチレンガスの供給を止め、真空下、100℃、10時間の条件で熱処理を炭化処理後の粉末にさらに施した以外は、実施例3と同様にして実施例34の軟磁性粉末を得た。
熱処理の条件を、アルゴンガス雰囲気下、200℃の条件に変更した以外は、実施例34と同様にして実施例35の軟磁性粉末を得た。
熱処理の条件を、水素ガス雰囲気下、200℃の条件に変更した以外は、実施例34と同様にして実施例36の軟磁性粉末を得た。
熱処理の条件を、窒素ガス雰囲気下、250℃の条件に変更した以外は、実施例34と同様にして実施例37の軟磁性粉末を得た。
熱処理の条件を、窒素(90体積%)と水素(10体積%)の混合ガス雰囲気下、300℃で10時間に変更した以外は、実施例34と同様にして実施例38の軟磁性粉末を得た。
熱処理の条件を、80℃、5時間の条件に変更した以外は、実施例34と同様にして比較例11の磁性粉末を得た。
熱処理の条件を、320℃、5時間の条件に変更した以外は、実施例38と同様にして比較例12の磁性粉末を得た。
実施例6~10の軟磁性粉末の組成は、Fe84-87C1-11N0.1-10O2であった。実施例6~10の軟磁性粉末の結晶子径は20nmであった。実施例6~10の軟磁性粉末の飽和磁化は175~210emu/gの範囲内であった。実施例6~10の軟磁性粉末の保磁力は5~45Oeの範囲内であった。実施例6~10の軟磁性粉末の比表面積は75m2/gであった。
実施例11~15の軟磁性粉末の組成は、Fe86.9-87C1-11N0.1-10O2であった。実施例11~15の軟磁性粉末の結晶子径は5~500nmの範囲内であった。実施例11~15の軟磁性粉末の飽和磁化は182~210emu/gの範囲内であった。実施例11~15の軟磁性粉末の保磁力は5~46Oeの範囲内であった。実施例11~15の軟磁性粉末の比表面積は75m2/gであった。
実施例16~20の軟磁性粉末の組成は、Fe86.9-88.4C1.2-10.3N0.1-9.2O1.2-2.1であった。実施例16~20の軟磁性粉末の結晶子径は20nmであった。実施例16~20の軟磁性粉末の飽和磁化は174~211emu/gの範囲内であった。実施例16~20の軟磁性粉末の保磁力は3~48Oeの範囲内であった。実施例16~20の軟磁性粉末の比表面積は100~300m2/gであった。
実施例21~25の軟磁性粉末の組成は、Fe78.9-88.9C1-11N0.1-10O0.1-10であった。実施例21~25の軟磁性粉末の結晶子径は5~500nmの範囲内であった。実施例21~25の軟磁性粉末の飽和磁化は178~212emu/gの範囲内であった。実施例21~25の軟磁性粉末の保磁力は5~45Oeの範囲内であった。実施例21~25の軟磁性粉末の比表面積は75m2/gであった。
実施例26~28の軟磁性粉末の組成は、Fe87C8N3O2であった。実施例26~28の軟磁性粉末の結晶子径は20nmであった。実施例26~28の軟磁性粉末の飽和磁化は211~215emu/gの範囲内であった。実施例26~28の軟磁性粉末の保磁力は14~23Oeの範囲内であった。実施例26~28の軟磁性粉末の比表面積は75m2/gであった。
実施例29~33の軟磁性粉末の組成は、Fe85-90C6-11N2O2であった。実施例29~33の軟磁性粉末の結晶子径は20nmであった。実施例29~33の軟磁性粉末の飽和磁化は209~214emu/gの範囲内であった。実施例29~33の軟磁性粉末の保磁力は11~21Oeの範囲内であった。実施例29~33の軟磁性粉末の比表面積は75m2/gであった。
実施例34~38の軟磁性粉末の組成は、Fe84.8-89.7C7-11N0.9-1.8O2-2.6であった。実施例34~38の軟磁性粉末の結晶子径は31~36nmの範囲内であった。実施例34~38の軟磁性粉末の飽和磁化は201~211emu/gの範囲内であった。実施例34~38の軟磁性粉末の保磁力は9~18Oeの範囲内であった。実施例34~38の軟磁性粉末の比表面積は75m2/gであった。
比較例5では原料粉末が充分に還元されず、酸化鉄が残留したと考えられる。比較例6では結晶構造(I)の結晶子径が過度に大きくなり、窒化反応が充分に起きなかったと考えられる。
比較例7では炭化反応が充分に起きず、良好な軟磁気特性が得られなかったと考えられる。また、比較例7では成形体密度が20%程度まで低下した。比較例8では窒化反応、炭化反応が充分に起きず、良好な軟磁気特性が得られず、飽和磁化も低下したと考えられる。
比較例9では原料粉末の還元処理が充分に起きなかったと考えられる。比較例10では、結晶子径が過剰に大きくなり、窒化反応が充分に起きなかったと考えられる。
比較例11、12では、粉末に熱処理を施す前までは軟磁気特性が発現し、良好な軟磁気特性が得られていたが、熱処理により炭素の量が過度に減少し、保磁力が700Oe程度まで増加し、炭化処理の直後は発現していた軟磁気特性が、熱処理によって損なわれたと考えられる。
Claims (17)
- 鉄原子で構成される結晶構造を有する粒子を含む、粉末であり、
前記結晶構造を構成する2以上の鉄原子の間に窒素原子及び炭素原子が存在し、
組成が下式(1)で表される、軟磁性粉末。
Fe100-(α+β+γ)CαNβOγ・・・式(1)
式(1)中、αは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する炭素原子の比率であり、かつ前記αは1~11原子%であり;βは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する窒素原子の比率であり、かつ前記βは0.1~10原子%であり;γは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する酸素原子の比率であり、かつ前記γは0.1~10原子%である。 - 前記結晶構造の結晶子径が、5~500nmである、請求項1に記載の軟磁性粉末。
- 前記粉末の平均粒子径が、0.1~150μmである、請求項1又は2に記載の軟磁性粉末。
- 保磁力が、150Oe以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の軟磁性粉末。
- 飽和磁化が、150emu/g以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の軟磁性粉末。
- BET法による比表面積が、0.05~300m2/gである、請求項1~5のいずれか一項に記載の軟磁性粉末。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の軟磁性粉末を含む、組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の軟磁性粉末の成形物である、成形品。
- 前記軟磁性粉末の含有量が、前記成形物100体積%に対して40体積%以上である、請求項8に記載の成形品。
- ボンド磁性体である、請求項8又は9に記載の成形品。
- 酸化鉄を含み、かつ、平均粒子径が0.1~150μmである原料粉末に還元処理を施すことで、鉄原子で構成される結晶構造を有する粒子を含む鉄粉末を得た後に、
前記鉄粉末に窒化処理を施し、次いで炭素含有化合物のガスを含む雰囲気下で100~300℃の条件で炭化処理を施すことで、前記結晶構造に窒素原子及び炭素原子を保持させ、組成が下式(1)で表される粉末を得る、軟磁性粉末の製造方法。
Fe100-(α+β+γ)CαNβOγ・・・式(1)
式(1)中、αは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する炭素原子の比率であり、かつ前記αは1~11原子%であり;βは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する窒素原子の比率であり、かつ前記βは0.1~10原子%であり;γは鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子の合計100原子%に対する酸素原子の比率であり、かつ前記γは0.1~10原子%である。 - 前記酸化鉄が、FeO、Fe2O3及びFe3O4からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、請求項11に記載の軟磁性粉末の製造方法。
- 前記結晶構造の結晶子径が、5~500nmである、請求項11又は12に記載の軟磁性粉末の製造方法。
- 前記還元処理を、露点が-100~0℃である水素ガスを含む雰囲気下で行う、請求項11~13のいずれか一項に記載の軟磁性粉末の製造方法。
- 前記窒化処理を、アンモニアを含む雰囲気下で行う、請求項11~14のいずれか一項に記載の軟磁性粉末の製造方法。
- 前記窒化処理の処理温度が、100~300℃である、請求項11~15のいずれか一項に記載の軟磁性粉末の製造方法。
- 前記炭化処理の後、100~300℃の条件で熱処理を前記粉末にさらに施す、請求項11~16のいずれか一項に記載の軟磁性粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020116344A JP7366371B2 (ja) | 2020-07-06 | 2020-07-06 | 軟磁性粉末、組成物、成形品、軟磁性粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020116344A JP7366371B2 (ja) | 2020-07-06 | 2020-07-06 | 軟磁性粉末、組成物、成形品、軟磁性粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022014152A JP2022014152A (ja) | 2022-01-19 |
JP7366371B2 true JP7366371B2 (ja) | 2023-10-23 |
Family
ID=80185313
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020116344A Active JP7366371B2 (ja) | 2020-07-06 | 2020-07-06 | 軟磁性粉末、組成物、成形品、軟磁性粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7366371B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20160042849A1 (en) | 2014-08-08 | 2016-02-11 | Regents Of The University Of Minnesota | MAGNETIC MATERIAL INCLUDING a"-Fe16(NxZ1-x)2 OR A MIXTURE OF a"-Fe16Z2 AND a"-Fe16N2, WHERE Z INCLUDES AT LEAST ONE OF C, B, OR O |
JP2017517630A (ja) | 2014-03-28 | 2017-06-29 | リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ | コーティングされたナノ粒子を含む鉄窒化物磁性材料 |
-
2020
- 2020-07-06 JP JP2020116344A patent/JP7366371B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017517630A (ja) | 2014-03-28 | 2017-06-29 | リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ | コーティングされたナノ粒子を含む鉄窒化物磁性材料 |
US20160042849A1 (en) | 2014-08-08 | 2016-02-11 | Regents Of The University Of Minnesota | MAGNETIC MATERIAL INCLUDING a"-Fe16(NxZ1-x)2 OR A MIXTURE OF a"-Fe16Z2 AND a"-Fe16N2, WHERE Z INCLUDES AT LEAST ONE OF C, B, OR O |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2022014152A (ja) | 2022-01-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5769223B2 (ja) | 強磁性粒子粉末及びその製造法、異方性磁石及びボンド磁石 | |
JP5822188B2 (ja) | 強磁性粒子粉末及びその製造法、異方性磁石及びボンド磁石 | |
JP5831866B2 (ja) | 強磁性粒子粉末及びその製造方法、並びに異方性磁石、ボンド磁石及び圧粉磁石 | |
JP5858419B2 (ja) | 強磁性粒子粉末の製造方法、異方性磁石、ボンド磁石及び圧粉磁石 | |
JP5924657B2 (ja) | 強磁性窒化鉄粒子粉末の製造方法、異方性磁石、ボンド磁石及び圧粉磁石 | |
JP6155440B2 (ja) | 強磁性窒化鉄粒子粉末の製造方法、異方性磁石、ボンド磁石及び圧粉磁石の製造方法 | |
WO2013042721A1 (ja) | 強磁性窒化鉄粒子粉末の製造方法、異方性磁石、ボンド磁石及び圧粉磁石 | |
JP2011246820A (ja) | 鉄系ナノサイズ粒子およびその製造方法 | |
JP7366371B2 (ja) | 軟磁性粉末、組成物、成形品、軟磁性粉末の製造方法 | |
Shu et al. | Tuning magnetic properties of magnetic recording media cobalt ferrite nano-particles by co-precipitation method | |
JP4304668B2 (ja) | 金属微粒子および金属微粒子の製造方法 | |
JP6823323B2 (ja) | 強磁性粉末、組成物、成形品、強磁性粉末の製造方法 | |
JP2010095751A (ja) | 強磁性金属粒子粉末及びその製造法、並びに磁気記録媒体 | |
JP4296379B2 (ja) | ボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粉末の製造法及びボンド磁石 | |
WO2022259949A1 (ja) | SmFeN系異方性磁性粉末およびボンド磁石、ならびにそれらの製造方法 | |
JP4370555B2 (ja) | ボンド磁石用Sm−Fe−N系磁性粉末の製造法及びボンド磁石 | |
JPH0140765B2 (ja) | ||
JP2006307342A (ja) | Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の製造法及びSm−Fe−N系磁性粒子粉末を含有するボンド磁石用樹脂組成物、ボンド磁石 | |
JP2006041210A (ja) | 耐候性に優れた窒化鉄系磁性粉末 | |
JPH02111804A (ja) | 金属磁性粉の製造法 | |
Choi et al. | Miniaturisation and Nanotechnology in PM: Preparation and Characterization of Fe Based Nanopowders Synthesized by Chemical Vapor Condensation Process | |
Li et al. | Preparation of MnxNi0. 5− xZn0. 5Fe2O4 Nanorods by the Co-precipitation Method |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426 Effective date: 20200814 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20200814 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20201106 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20221107 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230807 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230808 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230912 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20231002 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7366371 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |