JP2020124873A - 発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
蒸気導入口が設けられた第1の型と第2の型とを合わせた1対の型にて形成されるキャビティにエステル系エラストマーを基材樹脂として含む発泡粒子を充填し、加熱媒体で型及び発泡粒子を加熱することにより発泡成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子は、その粒子中に0〜2質量%の無機系ガスを含み、
前記発泡粒子は、前記第1の型と第2の型の間のクラッキング率が3〜85%で充填され、
前記型及び前記発泡粒子は、前記発泡粒子の融点Tmより30℃低い温度以上Tm以下の温度の加熱媒体で5秒〜60秒間加熱される、
方法。
項2.
キャビティに充填される発泡粒子が、
0.2〜2質量%の無機系ガスを含む発泡粒子(A)、又は
前記発泡粒子(A)と無機系ガスを含まない発泡粒子(B)との混合物であって、
発泡粒子(A)及び(B)の総質量に対する発泡粒子(A)の質量が30〜100質量%である、
請求項1に記載の方法。
項3.
前記クラッキング率が10〜85%である項1又は2に記載の方法。
項4.
前記加熱時間が10秒〜60秒間である項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5.
前記加熱温度がTmより25℃低い温度以上Tmより5℃低い温度以下である項1〜4のいずれかに記載の方法。
項6.
前記無機系ガスが不活性ガス及び空気からなる群より選択される少なくとも1種である項1〜5のいずれかに記載の方法。
項7.
前記発泡成形体の空隙率が7%以下である項1〜6のいずれかに記載の方法。
図1は、本発明の製造方法を実施するために好適な成形装置の一例を示す構成図である。
(1)エステル系エラストマー
エステル系エラストマーは特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエラストマーが挙げられる。好適には、ハードセグメントとソフトセグメントとを含むエステル系エラストマーが挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体に由来する成分が挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(例えば、1,4−ブタンジオール)等のC2−10アルキレングリコール、(ポリ)オキシC2−10アルキレングリコール、C5−12シクロアルカンジオール、ビスフェノール類又はこれらのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。ハードセグメントは、結晶性を有していてもよい。
ポリエステルタイプのソフトセグメントとしては、ジカルボン酸類(アジピン酸のような脂肪族C4−12ジカルボン酸)とジオール類(1,4−ブタンジオールのようなC2−10アルキレングリコール、エチレングリコールのような(ポリ)オキシC2−10アルキレングリコール)との重縮合体、オキシカルボン酸の重縮合体やラクトン(ε−カプロラクトンのようなC3−12ラクトン)の開環重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。ポリエステルタイプのソフトセグメントは、非晶性であってもよい。ソフトセグメントとしてのポリエステルの具体例としては、カプロラクトン重合体、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート等のC2−6アルキレングリコールとC6−12アルカンジカルボン酸とのポリエステルが挙げられる。このポリエステルの数平均分子量は、200〜15000の範囲であってもよく、200〜10000の範囲であってもよく、300〜8000の範囲であってもよい。
ポリエーテルタイプのソフトセグメントとしては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール)のような脂肪族ポリエーテルに由来するセグメントが挙げられる。ポリエーテルの数平均分子量は、200〜10000の範囲であってもよく、200〜6000の範囲であってもよく、300〜5000の範囲であってもよい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの質量割合は、20:80〜90:10であってもよく、30:70〜90:10であってもよく、30:70〜80:20であってもよく、40:60〜80:20であってもよく、40:60〜75:25であってもよい。
また、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸成分とそれ以外のジカルボン酸成分である場合、エステル系エラストマーが、ハードセグメントを30〜80質量%の割合で含み、かつテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分を5〜30質量%の割合で含んでいてもよい。テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分の割合は5〜25質量%であってもよく、5〜20質量%でもよく、10〜20質量%でもよい。なお、ジカルボン酸成分の割合は、樹脂のNMRスペクトルを定量評価することにより入手できる。
テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分が、イソフタル酸成分であることが好ましい。イソフタル酸成分を含むことで、エラストマーの結晶化度が下がる傾向があり、発泡成形性が向上してより低密度の発泡成形体を得ることができる。
基材樹脂は、100℃〜200℃の融点を有し得る。融点が200℃以下であると、発泡時に軟化が容易になり、低密度の発泡成形体を得やすい。融点が100℃以上であると、予備発泡工程後に収縮が起こり難く、成形が容易になる。樹脂の融点は、120℃〜200℃であってもよく、120℃〜190℃であってもよい。
基材樹脂は、0〜30mJ/mgの結晶化熱量を有し得る。結晶化熱量が30mJ/mg以下であると、発泡成形性が向上して、低密度の発泡成形体を得やすい。結晶化熱量は、3〜30mJ/mgであってもよく、6〜30mJ/mgであってもよく、9〜30mJ/mgであってもよい。
基材樹脂は、65以下のD硬度を有し得る。D硬度が65以下であると、発泡時の軟化が容易になり、低密度の発泡成形体を得やすい。D硬度は20〜60であってもよく、25〜60であってもよく、30〜60であってもよい。
基材樹脂はビカット軟化温度が60〜180℃であることが好ましい。ビカット軟化温度が60℃以上であると、発泡後に常温に晒された時点で収縮し難い。ビカット軟化温度が180℃以下であると所望の発泡倍数への発泡がしやすい。ビカット軟化温度は80℃〜150℃であることがより好ましい。
基材樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、エステル系エラストマー以外に、他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂であってもよい。
難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー等の有機顔料、金属粉、パール等の特殊顔料、染料等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
発泡成形体は、蒸気導入口が設けられた第1の型と第2の型とを合わせた1対の型にて形成されるキャビティにエステル系エラストマーを基材樹脂として含む発泡粒子を充填し、加熱媒体で型及び発泡粒子を加熱して得られる。例えば、多数の小孔を有する閉鎖型内に発泡粒子を充填し、加圧水蒸気で発泡粒子を加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させ、一体化させることにより得ることができる。
発泡粒子の充填の際に、例えば、第1の型と第2の型の間のクラッキング率を調節することにより発泡粒子の充填量を調整する等して、発泡成形体の密度を調整できる。クラッキング率は、例えば3〜85%であり、5〜85%が好ましく、10〜80%がより好ましい。クラッキング率をこの範囲内とすると、外観の美麗度合いを調整することができる。なお、クラッキング率の特定方法は実施例に記載したとおりである。
発泡粒子に含まれる無機系ガスの量は、無機系ガスを含んだ発泡粒子の質量に対し、例えば0〜2質量%であり、0.1〜1.5質量%が好ましく、0.2〜1.3質量%がより好ましい。無機系ガスの量をこの範囲内とすると、融着率が高く、外観が良好となり、生産性がよくなる。なお、発泡粒子に含まれる無機系ガスの量は、内圧付与前の発泡粒子の質量W1(g)と、内圧付与後の不活性ガス等を含む発泡粒子の質量W2(g)とから、次式により算出される。
発泡粒子が含むガス量(質量%)=((W2−W1)/W2)×100
発泡粒子に無機系ガスを含浸させた場合、発泡粒子をこのまま、型内にて加熱、発泡させてもよいが、発泡粒子を型内に充填する前に加熱、発泡させて、高発泡倍率の発泡粒子とした上で型内に充填して加熱、発泡させてもよい。このような高発泡倍率の発泡粒子を用いることによって、高発泡倍率の発泡成形体を得ることができる。
また、発泡成形体は、その空隙率が7%以下であることが好ましい。空隙率が低いと発泡成形体が長期寸法が安定したものとなる。なお、空隙率は次のようにして求められる値である。
<空隙率(体積%)>
発泡成形体から、表皮なしで一部分を切り出し、切り出し片の外形寸法を測定して見掛け体積(H)を求める。次いで、その切り出し片を23℃のエタノールに沈め、振動等を加えて切り出し片中の空気を除去した後に、エタノール液面上昇量から切り出し片の真の体積(I)を求める。次式により算出された値を空隙率(体積%)とする。
空隙率(体積%)=((H−I)/H)×100
型に充填される発泡粒子は、基材樹脂の粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程(含浸工程)、発泡性粒子を発泡させる発泡工程、さらには必要に応じて発泡粒子に無機系ガスを含有させる内圧付与工程を経て得ることができる。
(a)樹脂粒子
樹脂粒子は、公知の製造方法及び製造設備を使用して得ることができる。
例えば、押出機から押し出された樹脂の溶融混練物を、水中カット、ストランドカット等により造粒することによって、樹脂粒子を製造できる。溶融混練時の温度、時間、圧力等は、使用原料及び製造設備に合わせて適宜設定できる。
溶融混練時の押出機内の溶融混練温度は、樹脂が十分に軟化する温度である、170〜250℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。溶融混練温度とは、押出機ヘッド付近の溶融混練物流路の中心部温度を熱伝対式温度計で測定した押出機内部の溶融混練物の温度を意味する。
樹脂粒子は、その長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.8〜3であることが好ましい。樹脂粒子のL/Dがこの範囲にあると、金型内への充填性が良好である。なお、樹脂粒子の長さLは、押出方向の長さをいい、平均径Dは長さLの方向に実質的に直交する樹脂粒子の切断面の直径をいう。
樹脂粒子の平均径Dは0.5〜1.5mmが好ましい。平均径Dが0.5mm以上であると、発泡剤の保持性が向上し発泡性粒子の発泡性が向上しやすい。平均径Dが1.5mm以下であると、型内への発泡粒子の充填性が向上すると共に、板状の発泡成形体を製造する場合に発泡成形体の厚みを大きくしやすくなる。
気泡調整剤としては、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩、無機気泡核剤等が挙げられる。これら気泡調整剤は、複数種組み合わせてもよい。
高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸塩としては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
無機気泡核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
樹脂粒子は、他に、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤、カーボンブラック、酸化鉄、グラファイト等の着色剤等を含んでいてもよい。
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を製造する。なお、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる要領としては、公知の要領を用い得る。例えば、オートクレーブ内に、樹脂粒子、分散剤及び水を供給して撹拌することによって、樹脂粒子を水中に分散させて分散液を製造し、この分散液中に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難水溶性無機物や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような界面活性剤が挙げられる。
発泡剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、空気;窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)等の不活性ガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;ハロゲン化炭化水素が挙げられ、空気、不活性ガス又は脂肪族炭化水素が好ましい。なお、発泡剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
<発泡剤の含有量(含浸量)>
樹脂粒子を圧力容器に入れる前の重量Xgを測定する。圧力容器内で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、圧力容器から含浸物を取り出した後の重量Ygを測定する。下記式により、樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)が求められる。
発泡剤の含有量(質量部)=((Y−X)/X)×100
発泡性粒子の平均径Dは0.5〜1.5mmが好ましい。平均径Dが0.5mm以上であると、発泡剤の保持性が向上し発泡性粒子の発泡性が向上しやすい。平均径Dが1.5mm以下であると、型内への発泡粒子の充填性が向上すると共に、板状の発泡成形体を製造する場合に発泡成形体の厚みを大きくしやすくなる。
(c)発泡粒子
発泡工程では、発泡性粒子を発泡させて、発泡粒子を得ることができれば発泡温度、加熱媒体は特に限定されない。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ポリアミドパウダーや界面活性剤等の合着防止剤、帯電防止剤を塗布してもよい。帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
発泡粒子は、20〜320μmの平均気泡径を有することが好ましい。平均気泡径が20μm未満の場合、発泡成形体が収縮することがある。平均気泡径がこの範囲にあると、成形体の外観や融着が良好となりやすい。平均気泡径は20〜200μmであることがより好ましく、40〜150μmであることが更に好ましい。
充填粒子は、0〜2質量%の無機系ガスを含有する発泡粒子(発泡粒子(A)及び(B)の混合物を含む)のみとすることが、融着率及び外観の点で好ましいが、他の発泡粒子、例えば無機系ガスを2質量%超含有する発泡粒子が少量であれば含まれていてもよい。充填粒子に他の発泡粒子が含まれる場合、他の発泡粒子の量は、発泡粒子(A)及び(B)の総質量に対して、例えば10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
密閉容器の体積の70体積%を満たす発泡粒子を計量し、これを密閉容器内に投入し容器を密閉した後、ゲージ圧0.01〜2MPaの無機系ガスで任意の時間加圧する。加圧後に無機系ガスを密閉容器内が大気圧になるまでパージし、発泡粒子を取り出して重量を計る。無機系ガス量は次式によって算出する。
無機系ガス量(質量%)=((b−a)/b)×100
a:無機系ガスで加圧前の発泡粒子の重量(g)
b:無機系ガスで加圧後の発泡粒子の重量(g)
一対の型を完全に閉じた状態の型内体積(a)と任意のクラッキングを取った型内体積(b)とから次式によって算出する。
クラッキング率(%)=((b−a)/a)×100
JIS K7121:1987、JIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。試料をアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう5.5±0.5mg充てん後、アルミニウム製の蓋をした。次いで日立ハイテクサイエンス社製「DSC7000X、AS−3」示差走査熱量計を用い、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−70℃まで降温した後10分間保持し、−70℃から220℃まで昇温(1回目昇温)、10分間保持後220℃から−70℃まで降温(冷却)、10分間保持後−70℃から220℃まで昇温(2回目昇温)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質としてアルミナを用いた。融解温度(融点)は、装置付属の解析ソフトを用いて、2回目昇温過程にみられる最も大きな融解ピークのトップの温度を読みとった値とした。
ビカット軟化温度はISO306:2004に準拠し、A50法で測定する。試験片に荷重10Nをかけ、伝熱媒体を昇温速度50℃/時で加熱し、針状圧子が試験片の表面から1mm進入したときの伝熱媒体の温度をビカット軟化温度とする。
まず、内圧付与前の発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cm3を一定にし、その重量と体積を測定し、次式に基づいて発泡粒子の嵩密度を算出する。なお、嵩倍数は、嵩密度の逆数である。
嵩密度(g/cm3)=測定試料の重量(W)/測定試料の体積(V)
発泡粒子約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き26.5mm、22.4mm、19.0mm、16.0mm、13.2mm、11.20mm、9.50mm、8.80mm、6.70mm、5.66mm、4.76mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm、0.180mmのJIS標準篩で5分間分級する。篩網上の試料重量を測定し、その結果から得られた累積重量分布曲線を元にして累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
発泡成形体(400mm×300mm×厚み20mm)の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を2分割した。この2分割された発泡成形体の破断面の発泡粒子について、50個以上の発泡粒子を含む任意の範囲を設定し、この範囲内において発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子同士の界面で破断している発泡粒子数(b)を数え、下記式により融着率F(%)を算出した。
F(%)=(a/(a+b))×100
発泡成形体の表面において、粒子がすき間なく詰まっておらずくぼみとなっている部分(粒子間の間隙)を観察した。発泡成形体の表面の100mm×100mmの範囲において、間隙の最大の長さが2mm以上のものの数を測定し、6個以上であれば外観不良と判断し、表1中では「×」として表し、5個以下であれば外観良好と判断し「○」として表した。
なお、間隙の最大の長さとは、くぼみの上面における任意の2点をとった場合に、2点間の直線距離が最も長くなる場合の当該距離である。
得られた発泡成形体から、表皮皮無しの直方体(85mm×25mm×12.5mm)を4つ切り出し、サンプルとした。それぞれのサンプルの正確な寸法をノギスなどを使用して測定して合計し、見掛け体積(H)を測定した。
次いで、ガラス製メスシリンダー(内容積200mL)中のエタノール(120mL;23℃)中に、各サンプルを、金網等を使用して沈めた。ここに、軽い振動等を与えることにより発泡後の粒子間に存在している空気を除いた。エタノール中の金網等の道具の体積を考慮して、エタノールの液面上昇分より、サンプルの体積を測定した。4つのサンプルの真の体積を合計し、真の体積(I)を求めた。見掛け体積(H)と真の体積(I)とから次式により算出された値を空隙率(体積%)とした。
空隙率(体積%)=((H−I)/H)×100
発泡粒子の基材となるエステル系エラストマー(「ペルプレンP−75M」、東洋紡社製のポリブチレンテレフタレート系エラストマー、ビカット軟化温度110℃)100質量部及び気泡調整剤としてのエチレンビスステアリン酸アミドを0.3質量部を押出機に投入して、口径1.0mmの金型から溶融状態で押出し、押出された直後にカッターでカットして平均粒子径1.3mmのペレットを得た。
得られた発泡性粒子1.5kgを、内容積45Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌しながら0.11〜0.15MPaの水蒸気で加熱して発泡(予備発泡)させ、発泡粒子を得た。この発泡粒子の嵩密度は0.130g/cm3、融点は152℃、平均粒子径は2.3mmであった。
発泡粒子を密閉容器内にいれ、この密閉容器内に無機系ガスとして圧縮空気を圧入し、常温にて12時間以上保持して、発泡粒子内に圧縮空気を含浸(内圧付与)させた。圧入の圧力は、0.01〜2.0MPaの範囲で、発泡粒子の圧縮空気含有量が表1の量となるよう調整した。
一方、このようにして内圧付与された発泡粒子とは別に、内圧付与以外は同様にして、内圧付与されていない発泡粒子も得た。
成形装置は、DABO社製「DB−7459PP」を使用した。
圧縮空気を含有した発泡粒子と内圧付与されておらず圧縮空気を含有していない発泡粒子とを表1に示した割合で混合した充填粒子を、凹型の金型と凸型の金型からなる一対の金型(400mm×300mm×厚み20mm)に、表1に示したクラッキング率で充填した。充填完了後、型締めし、表1に示した加熱条件で加熱成形し、真空放冷により金型及び発泡成形体を十分に冷却してから型を開いて発泡成形体を取り出した。取り出した発泡成形体を50〜70℃のオーブン内に4時間以上静置して乾燥させ、内部水分などを逸散させた。
オーブンから取り出し常温で3時間以上静置した発泡成形体について、融着率の測定及び外観の評価を実施し、その結果を表1に示した。また、実施例1については発泡成形体の空隙率も測定した結果、6%だった。
なお、表1中、圧縮空気含有量は、圧縮空気を含有した発泡粒子の圧縮空気含有量を示す。また、圧縮空気を含有した発泡粒子量と内圧付与されていない発泡粒子量は、両量の合計質量を100とした場合の各量の質量割合(質量%)を示す。
Claims (7)
- 蒸気導入口が設けられた第1の型と第2の型とを合わせた1対の型にて形成されるキャビティにエステル系エラストマーを基材樹脂として含む発泡粒子を充填し、加熱媒体で型及び発泡粒子を加熱することにより発泡成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子は、その粒子中に0〜2質量%の無機系ガスを含み、
前記発泡粒子は、前記第1の型と第2の型の間のクラッキング率が3〜85%で充填され、
前記型及び前記発泡粒子は、前記発泡粒子の融点Tmより30℃低い温度以上Tm以下の温度の加熱媒体で5秒〜60秒間加熱される、
方法。 - キャビティに充填される発泡粒子が、
0.2〜2質量%の無機系ガスを含む発泡粒子(A)、又は
前記発泡粒子(A)と無機系ガスを含まない発泡粒子(B)との混合物であって、
発泡粒子(A)及び(B)の総質量に対する発泡粒子(A)の質量が30〜100質量%である、
請求項1に記載の方法。 - 前記クラッキング率が10〜85%である請求項1又は2に記載の方法。
- 前記加熱時間が10秒〜60秒間である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記加熱温度がTmより25℃低い温度以上Tmより5℃低い温度以下である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記無機系ガスが不活性ガス及び空気からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記発泡成形体の空隙率が7%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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