JP2018172654A - 発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反発性に優れた発泡体を提供することを課題とする。【解決手段】熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成される発泡体であり、前記発泡体の厚さ方向の断面写真において、前記厚さ方向に直交する表面に位置し、かつ互いに接する2つの表面発泡粒子同士が、前記厚さ方向に沿う第1界面を備え、前記第1界面が、前記表面に接する点と、前記2つの発泡粒子と接するが表面に位置していない内部発泡粒子に接する点との間に位置し、前記第1界面は、前記2つの点を結ぶ第1直線が、前記表面に対して45°以上の仰角を有する第1高仰角界面を含み、前記第1高仰角界面が、ジグザグ構造を備えることを特徴とする発泡体により課題を解決する。【選択図】図2

Description

本発明は、発泡体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体及びその製造方法に関する。本発明の発泡体は、反発性に優れているため、各種建築資材、靴の部材(例えば、インソール部材、ミッドソール部材)、スポーツ用品、緩衝材、シートクッション、自動車部材等の幅広い用途で使用できる。
従来、緩衝材や梱包材として、ポリスチレンを基材樹脂とするポリスチレン発泡成形体が汎用されている。ここで、発泡成形体は、発泡性ポリスチレン粒子のような発泡性粒子を加熱して発泡(予備発泡)させて発泡粒子(予備発泡粒子)を得、得られた発泡粒子を金型のキャビティ内に充填した後、二次発泡させて発泡粒子同士を熱融着により一体化させることで得ることができる。
ポリスチレン発泡成形体は、原料となる単量体がスチレンであるため、剛性は高いものの、反発性が低いことが知られている。そのため、繰り返し圧縮される用途や柔軟性が求められる用途では使用し難いという課題があった。
発泡成形体の反発性を向上させるため、基材樹脂としてアミド系エラストマーを使用した発泡成形体が提案されている(国際公開WO2016/052387号:特許文献1)。アミド系エラストマーは、ポリスチレンよりも高い弾性を有している。そのためアミド系エラストマーを基材樹脂とする発泡成形体の反発性を向上できるとされている。
国際公開WO2016/052387号
特許文献1では、反発性が良好な発泡成形体を得ることができたが、更に反発性を向上させた発泡体を提供することが望まれていた。
本発明の発明者は、
(i)金型から取り出した発泡成形体を、厚さ方向に圧縮した発泡体が、その断面において、厚さ方向に沿う特定の発泡粒子間の界面がジグザグ構造になること
(ii)ジグザグ構造の界面を有する発泡体は、圧縮前の発泡成形体よりも、高い反発性を示すこと
を意外にも見い出すことで、本発明に至った。
かくして本発明によれば、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成される発泡体であり、
前記発泡体の厚さ方向の断面写真において、前記厚さ方向に直交する表面に位置し、かつ互いに接する2つの表面発泡粒子同士が、前記厚さ方向に沿う第1界面を備え、
前記第1界面が、前記表面に接する点と、前記2つの発泡粒子と接するが表面に位置していない内部発泡粒子に接する点との間に位置し、
前記第1界面は、前記2つの点を結ぶ第1直線が、前記表面に対して45°以上の仰角を有する第1高仰角界面を含み、
前記第1高仰角界面が、ジグザグ構造を備えることを特徴とする発泡体が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡体の製造方法であって、
発泡粒子を金型内で発泡成形することにより得た発泡成形体を熱プレスすることで発泡体を得る工程を含むことを特徴とする発泡体の製造方法が提供される。
本発明によれば、高い反発性を有する発泡体を提供できる。
以下のいずれかの場合、より高い反発性を有する発泡体を提供できる。
(1)第1高仰角界面が、1.05〜3.0の範囲の比L1/L2(L1は、第1高仰角界面の長さ、L2は第1直線の長さを意味する)で規定されるジグザグ構造を備える。
(2)発泡体の厚さ方向の断面写真において、表面に位置せず、かつ互いに接する2つの内部発泡粒子同士が、厚さ方向に沿う第2界面を備え、
第2界面は、その第2界面と厚さ方向に2つの発泡粒子と接する2つの点の間に位置し、
第2界面は、2つの点を結び表面に延在させた第2直線が、表面に対して45°以上の仰角を有する第2高仰角界面を含み、
第2高仰角界面が、ジグザグ構造を備える。
(3)第2高仰角界面が、1.05〜3.0の範囲の比L3/L4(L3は、第2の高仰角界面の長さ、L4は第2直線の長さを意味する)で規定されるジグザグ構造を備える。(4)熱可塑性エラストマーが、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーから選択される。
(5)発泡体が、建築資材、インソール部材、靴の部材又は緩衝材として用いられる。
また、熱プレスが、熱可塑性エラストマーの結晶化温度をT℃とすると、(T−20)℃〜(T+15)℃の熱及び0.2MPa以上の圧力を2分以上加える条件下で行われることにより、上記発泡体をより簡便に製造できる。
本発明の発泡体のジグザグ構造を説明するための概略図である。 実施例1の発泡体の断面写真である。 実施例2の発泡体の断面写真である。 比較例2の発泡体の断面写真である。
(発泡体)
発泡体は、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成される。
発泡体は、その厚さ方向の断面写真において、その表面に位置する発泡粒子間の特定の界面がジグザグ構造を備えた構成を有する。ジグザグ構造は、凹凸構造やデコボコ構造、折りたたみ構造と言い換えることも可能である。ジグザグ構造を特定の界面が有することで、その界面がバネの役割を果たした結果、反発性が向上していると発明者は推察している。ここで、本明細書において、表面に位置する発泡粒子を表面発泡粒子と称し、表面に位置していない発泡粒子を内部発泡粒子と称する。
(1)ジグザグ構造
ジグザグ構造に関して図1を用いて説明する。
(1−1)表面発泡粒子
図1は、その厚さ方向の断面の模式図である。図中、矢印Aは厚さ方向を意味し、1は発泡体の表面、2は表面発泡粒子、3は内部発泡粒子を意味する。
表面発泡粒子2において、ジグザグ構造を有する特定の界面は、図中、4で示される界面である。この界面は、表面に接する点xと、2つの表面発泡粒子2と接するが表面1に位置していない内部発泡粒子3に接する点yとの間に位置する。加えて、この界面は、2つの点x及びyを結ぶ第1直線T1が、表面1に対して45°以上の仰角αを有する面である。ここで、本明細書において、表面に接する界面を第1界面と、第1界面の内、ジグザグ構造を有する特定の界面を第1高仰角界面と称する。
第1直線T1に対するジグザグ構造の左右の振れ幅は、第1高仰角界面の長さL1と第1直線の長さL2との比L1/L2により規定できる。比L1/L2は、1.05〜3.0の範囲であることが好ましい。比L1/L2が1.05未満及び3.0より大きい場合、反発性を十分向上できないことがある。比L1/L2は、1.05〜2.8の範囲であることがより好ましく、1.10〜2.5の範囲であることが更に好ましい。
第1直線の長さL2は、300〜2000μmであることが好ましい。
第1界面中、第1高仰角界面が占める割合は、35%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。割合の上限は100%である。
第1高仰角界面の幅(ジグザグ構造の左右の振れ幅)は、50μm以上であることが好ましく、150〜1000μmであることがより好ましい。この幅は、次のようにして求められる。即ち、図1において、第1直線T1と平行になるように、かつ第1直線T1から最も遠いジグザグ構造の凸部のみと接するように、第1高仰角界面の左右に一対の第3直線H1を引く。一対の第3直線H1の間隔を第1高仰角界面の幅とする。
ジグザグ構造の左右への折り返し数は、2個以上であることが好ましく、2〜20個であることがより好ましい。折り返し数は、次のようにして求められる。即ち、図1において、左側の第3直線H1側に位置するジグザグ構造の頂点(変曲点)の数を数える(図1では5個)。この頂点の数を折り返し数とする。
第1界面中、第1高仰角界面以外の界面は、ジグザグ構造を有していてもいなくてもよい。
(1−2)内部発泡粒子
内部発泡粒子において、ジグザグ構造を有する特定の界面は、図中、5で示される厚さ方向に沿う界面である。この界面は、その界面が厚さ方向に2つの発泡粒子と接する2つの点z及びwの間に位置する。加えて、この界面は、2つの点z及びwを結び表面に延在させた第2直線T2が、表面1に対して45°以上の仰角βを有する面である。ここで、本明細書において、厚さ方向に沿う界面を第2界面と、第2界面の内、ジグザグ構造を有する特定の界面を第2高仰角界面と称する。
第2直線T2に対するジグザグ構造の左右の振れ幅は、第2高仰角界面の長さL3と第2直線の長さL4との比L3/L4により規定できる。比L3/L4は、1.05〜3.0の範囲であることが好ましい。比L3/L4が1.05未満及び3.0より大きい場合、反発性を十分向上できないことがある。比L3/L4は、1.05〜2.8の範囲であることがより好ましく、1.10〜2.5範囲であることが更に好ましい。
第2直線T2の長さL4は、200〜2000μmであることが好ましい。
第2界面中、第2高仰角界面が占める割合は35%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。割合の上限は100%である。
第2高仰角界面の幅(ジグザグ構造の左右の振れ幅)は、30μm以上であることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましい。この幅は、次のようにして求められる。即ち、図1において、第2直線T2と平行になるように、かつ第2直線T2から最も遠いジグザグ構造の凸部のみと接するように、第2高仰角界面の左右に一対の第4直線H2を引く。一対の第4直線H2の間隔を第2高仰角界面の幅とする。
ジグザグ構造の左右への折り返し数は、1個以上であることが好ましく、1〜15個であることがより好ましい。折り返し数は、次のようにして求められる。即ち、図1において、左側の第4直線H2側に位置するジグザグ構造の頂点(変曲点)の数を数える(図1では5個)。この頂点の数を折り返し数とする。
第2界面中、第2高仰角界面以外の界面は、ジグザグ構造を有していてもいなくてもよい。
なお、発泡体が厚い場合、内部発泡粒子間の界面のジグザグ構造は、表面に近い界面では明確に見られるが、表面から遠い界面では明確に見られない傾向がある。しかしながら、少なくとも表面発泡粒子の界面においてジグザグ構造が存在すれば、反発性を十分向上できると発明者は考えている。
(2)発泡体の物性
(i)反発係数
反発係数は、40以上であることがより好ましい。反発係数が40未満の場合、反発弾性が求められる用途での使用が難しくなる。反発係数は、50以上であることが更に好ましく、53以上であることが特に好ましい。反発係数の上限は、100である。
反発係数は、樹脂毎に好ましい範囲がある。例えば、アミド系エラストマーの場合、60以上であり、オレフィン系エラストマーの場合、45以上である。
また、発泡体の反発係数は、圧縮による発泡体製造前の発泡成形体の反発係数の1.0倍以上であることが好ましい。
(ii)C硬度
C硬度は、40〜90であることがより好ましい。C硬度が40未満の場合、発泡体の形状安定性が低下することがある。90より大きい場合、例えば十分な反発弾性や柔軟性を得られない場合がある。C硬度は、42〜90であることが更に好ましく、45〜85であることが特に好ましい。
C硬度は、樹脂毎に好ましい範囲がある。例えば、アミド系エラストマーの場合、55以上であり、オレフィン系エラストマーの場合、40以上である。
また、発泡体のC硬度は、圧縮による発泡体製造前の発泡成形体のC硬度の1.0倍以上であることが好ましい。
(iii)密度
密度は、0.05〜0.50g/cmであることが好ましい。密度が0.05g/cm未満の場合、発泡体が収縮して外観不良を起こしたり、強度が低下したりすることがある。0.50g/cmより大きい場合、発泡体の軽量性が低下することがある。特に、より高密度の発泡体において、本発明の反発性の向上効果が得られる。そのような高密度は、0.10〜0.50g/cmである。
(3)基材樹脂
基材樹脂としての熱可塑性エラストマーは、例えば、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーから選択できる。基材樹脂は、各種エラストマーのみからなっていてもよく、各エラストマーの混合物であってもよい。
(i)アミド系エラストマー
アミド系エラストマーは、架橋していてもよく、非架橋であってもよい。本明細書において、非架橋とは、発泡粒子のアルコール系溶剤への不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。また、架橋とはこのゲル分率が3.0質量%より多いものを意味する。
ここで、アミド系エラストマー(発泡体)のゲル分率は下記の要領で測定される。
発泡体の質量W1を測定する。次に、130℃のアルコール系溶剤(例えば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール)100mL中に発泡体を24時間に亘って浸漬する。
次に、アルコール系溶剤の残渣を80メッシュの金網を用いて濾過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡体のゲル分率を算出できる。
ゲル分率(質量%)=W2/W1×100
基材樹脂としては、非架橋のアミド系エラストマーが含まれていることが好ましい。
アミド系エラストマーはビカット軟化温度が55〜170℃であることが好ましい。ビカット軟化温度が55℃を下回ると発泡後に常温に曝された時点で収縮することがある。170℃を超えると所望の密度への発泡が困難となることがある。ビカット軟化温度は60〜165℃であることがより好ましい。
非架橋のアミド系エラストマーには、ポリアミドブロック(ハードセグメント)とポリエーテルブロック(ソフトセグメント)とを有するコポリマーを使用できる。
ポリアミドブロックとしては、例えば、ポリεカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウラミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリナノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)等のポリアミド構造が挙げられる。ポリアミドブロックは、これらポリアミド構造を構成する単位の組み合わせでもよい。
ポリエーテルブロックとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)等のポリエーテル構造が挙げられる。ポリエーテルブロックは、これらポリエーテル構造を構成する単位の組み合わせでもよい。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックはランダムに分散していてもよい。
ポリアミドブロックの数平均分子量は300〜15000であることが好ましく、600〜5000であることがより好ましい。ポリエーテルブロックの数平均分子量Mnは100〜6000であることが好ましく、200〜3000であることがより好ましい。
非架橋のアミド系エラストマーには、米国特許第4,331,786号明細書、米国特許第4,115,475号明細書、米国特許第4,195,015号明細書、米国特許第4,839,441号明細書、米国特許第4,864,014号明細書、米国特許第4,230,838号明細書及び米国特許第4,332,920号明細書に記載されたアミド系エラストマーも使用できる。
非架橋のアミド系エラストマーは、反応性末端を有するポリアミドブロックと反応性末端を有するポリエーテルブロックとの共重縮合で得られるものが好ましい。この共重縮合としては特に下記のものを挙げることができる:
(a)ジアミン鎖端を有するポリアミドブロックとジカルボン酸鎖端を有するポリオキシアルキレンブロックとの共重縮合、
(b)ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシ化α,ω−ポリオキシアルキレン単位のシアノエチル化及び水素化で得られるジカルボン酸鎖端を有するポリアミド単位とジアミン鎖端を有するポリオキシアルキレン単位との共重縮合、
(c)ジカルボン酸鎖端を有するポリアミド単位とポリエーテルジオールとの共重縮合(この場合に得られるものを特にポリエーテルエステルアミドとよんでいる)。
ジカルボン酸鎖端を有するポリアミドブロックを与える化合物としては、例えば、α,ω−アミノカルボン酸、ラクタム又はジカルボン酸の連鎖調節剤の存在下でのジカルボン酸とジアミンの縮合で得られる化合物が挙げられる。
(a)の共重縮合の場合、非架橋のアミド系エラストマーは、例えば、ポリエーテルジオールと、ラクタム(又はα,ω−アミノ酸)と、連鎖制限剤のジアシッドとを少量の水の存在下で反応させて得ることができる。非架橋のアミド系エラストマーは、種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有していてもよく、更に各成分がランダムに反応することでポリマー鎖中に分散していてもよい。
上記共重縮合時において、ポリエーテルジオールのブロックはそのまま用いてもよく、その水酸基とカルボキシ末端基を有するポリアミドブロックとを共重合して用いてもよく、その水酸基をアミノ化してポリエーテルジアミンに変換した後にカルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと縮合して用いてもよい。また、ポリエーテルジオールのブロックをポリアミド前駆体及び連鎖制限剤と混合して共重縮合させることで、ランダムに分散させたポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーを得ることも可能である。
(ii)オレフィン系エラストマー
オレフィン系エラストマーは、架橋していてもよく、非架橋であってもよい。非架橋とは、発泡体のキシレンへの不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。また、架橋とはこのゲル分率が3.0質量%より多いものを意味する。
ここで、オレフィン系エラストマー(発泡体)のゲル分率は下記の要領で測定される。
発泡体の質量W1を測定する。次に沸騰キシレン80ミリリットル中に発泡体を3時間還流加熱する。次にキシレン中の残渣を80メッシュの金網を用いてろ過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡体のゲル分率を算出できる。
ゲル分率(質量%)=W2/W1×100
基材樹脂としては、非架橋のオレフィン系エラストマーが含まれていることが好ましい。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、鉱物性油非含有下で、発泡体に所定の密度と圧縮永久ひずみを与え得るものが好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するものが挙げられる。このような構造は、常温でゴム弾性を示し、高温では可塑化され成形可能となるという性質を与える。
例えば、ハードセグメントがポリプロピレン系樹脂であり、ソフトセグメントがポリエチレン系樹脂である非架橋のオレフィン系エラストマーが挙げられる。
前者のポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリプロピレンとしては、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック等から選択される立体規則性を有していてもよい。
後者のポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリエチレン以外の成分としてはポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンが挙げられる。
非架橋のオレフィン系エラストマーには、潤滑油、パラフィン、ヤシ油、ステアリン酸、脂肪酸等の軟化剤が含まれていてもよい。
非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリプロピレン系樹脂と、ソフトセグメントとなるポリエチレン系樹脂とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマーが挙げられる。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアA硬度が30〜100であることが好ましく、40〜90であることがより好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(JIS K6253:97)に準拠して測定される。
また非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアD硬度が10〜70であることが好ましく、20〜60であることがより好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(ASTM D2240:95)に準拠して測定される。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、融点が80〜180℃であることが好ましく、90〜170℃であることがより好ましい。融点は、例えば、JIS K7121:2012の記載に準拠して測定される。
(iii)エステル系エラストマー
エステル系エラストマーは、高反発弾性及び低密度を示す発泡成形体を与えさえすれば特に限定されない。例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含むエステル系エラストマーが挙げられる。
ハードセグメントは、例えば、ジカルボン酸成分及び/又はジオール成分から構成される。ジカルボン酸成分と、ジカルボン酸成分及びジオール成分との2成分から構成されていてもよい。
ジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体に由来する成分が挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(例えば、1,4−ブタンジオール)等のC2−10アルキレングリコール、(ポリ)オキシC2−10アルキレングリコール、C5−12シクロアルカンジオール、ビスフェノール類又はこれらのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。ハードセグメントは、結晶性を有していてもよい。
ソフトセグメントは、ポリエステルタイプ及び/又はポリエーテルタイプのセグメントを使用できる。
ポリエステルタイプのソフトセグメントとしては、ジカルボン酸類(アジピン酸のような脂肪族C4−12ジカルボン酸)とジオール類(1,4−ブタンジオールのようなC2−10アルキレングリコール、エチレングリコールのような(ポリ)オキシC2−10ルキレングリコール)との重縮合体、オキシカルボン酸の重縮合体やラクトン(ε−カプロラクトンのようなC3−12ラクトン)の開環重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。ポリエステルタイプのソフトセグメントは、非晶性であってもよい。ソフトセグメントとしてのポリエステルの具体例としては、カプロラクトン重合体、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート等のC2−6アルキレングリコールとC6−12アルカンジカルボン酸とのポリエステルが挙げられる。このポリエステルの数平均分子量は、200〜15000の範囲であってもよく、200〜10000の範囲であってもよく、300〜8000の範囲であってもよい。
ポリエーテルタイプのソフトセグメントとしては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール)のような脂肪族ポリエーテルに由来するセグメントが挙げられる。
ポリエーテルの数平均分子量は、200〜10000の範囲であってもよく、200〜6000の範囲であってもよく、300〜5000の範囲であってもよい。
ソフトセグメントは、脂肪族のポリエステルとポリエーテルとの共重合体(ポリエーテル−ポリエステル)のようなポリエーテル単位を有するポリエステル、ポリオキシアルキレングリコール(例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール)のようなポリエーテルと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステルに由来するセグメントであってもよい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの質量割合は、20:80〜90:10であってもよく、30:70〜90:10であってもよく、30:70〜80:20であってもよく、40:60〜80:20であってもよく、40:60〜75:25であってもよい。
また、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸成分とそれ以外のジカルボン酸成分である場合、エステル系エラストマーが、ハードセグメントを30〜80質量%の割合で含み、かつテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分を5〜30質量%の割合で含んでいてもよい。テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分の割合は5〜25質量%であってもよく、5〜20質量%でもよく、10〜20質量%でもよい。なお、ジカルボン酸成分の割合は、樹脂のNMRスペクトルを定量評価することにより入手できる。
テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分が、イソフタル酸成分であることが好ましい。イソフタル酸成分を含むことで、エラストマーの結晶化度が下がる傾向があり、発泡成形性が向上してより低密度の発泡成形体を得ることができる。
(iv)ウレタン系エラストマー
ウレタン系エラストマーとしては、例えば、長鎖ポリオール、短鎖グリコール、ジイソシアナート等を原料として、重付加反応により、分子内にウレタン結合を介して得られるエラストマーを使用できる。
長鎖ポリオールとしては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリラクトンジオール、ポリカプロラトンジオール、ポリエナントラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(プロピレングリコール/エチレングリコール)、ポリ(1,6−ヘキサメチレングリコールカーボネート)等が挙げられる。長鎖ポリオールの分子量は100〜10000であってもよく、500〜5000であってもよい。
短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−キシリレングリコール、ビスフェノールA、ハイドロキノンジエチロールエーテル、フェニレンビス−(β−ヒドロキシエチルエーテル)等が挙げられる。
ジイソシアナートとしては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、o−キシレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、p−キシレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等が挙げられる。
ポリウレタン系エラストマー、長鎖ポリオールとジイソシアナートでソフトセグメントを、短鎖グリコールとジイソシアナートでハードセグメントを構成していてもよい。
ポリウレタン系エラストマーは、必要に応じて、マレイン化、カルボキシル化、水酸化、エポキシ化、ハロゲン化、スルホン化等の変性処理や、イオウ架橋、過酸化物架橋、金属イオン架橋、電子線架橋、シラン架橋等の架橋処理に付されていてもよい。
ポリウレタン系エラストマーは、成型体としての強靱性や屈曲性の点から、5000〜300000の粘度分子量を有していてもよく、好ましくは10000〜100000の粘度分子量を有していてもよい。
ポリウレタン系エラストマーは、3000〜200000の数平均分子量を有していてもよく、好ましくは5000〜180000の数平均分子量を有していてもよく、より好ましくは8000〜150000の数平均分子量を有していてもよい。
(v)他の樹脂
基材樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アミド系樹脂(エラストマーを除く)、オレフィン系樹脂(エラストマーを除く)、エステル系樹脂(エラストマーを除く)、ウレタン系樹脂(エラストマーを除く)、ポリエーテル樹脂等の他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂であってもよい。
(vi)用途
発泡体は、各種建築資材、靴の部材(例えば、インソール部材、ミッドソール部材)、スポーツ用品、緩衝材、シートクッション、自動車部材等の幅広い用途で使用できる。
発泡体は、特に表面に位置する発泡粒子間の界面にジグザグ構造を有している。このジグザグ構造は、微小なバネの役割を果たし、発泡体に保持された製品に加えられる微小な振動を吸収することが可能となる。微小な振動の吸収が望まれている製品として、例えば、車載用の全固体二次電池がある。全固体二次電池は、粉体をプレスすることにより製造されており、粉体間の電子及びイオンのやり取りで充放電を行う電池である。そのため粉体間の物理的な接触を維持することが、充放電容量及びサイクル数を初期状態から低下させないために必要とされる。車載用の全固体二次電池には、道路からのタイヤを介した微細な振動が印加される。微細な振動は、長期間印加されることで、粉体間にクラックが入り、物理的な接触を確保できないことになる。本発明の発泡体で、全固体二次電池を包むことで、このような微小な振動を発泡体が吸収するため、長期間の全固体二次電池の使用が可能となる。
(発泡体の製造方法)
発泡体は、発泡粒子を金型内で発泡成形することにより得た発泡成形体を熱プレスする工程を経ることで製造できる。
熱プレスは、熱可塑性エラストマーの結晶化温度をT℃とすると、(T−20)℃〜(T+15)℃の熱及び0.2MPa以上の圧力を2分以上加える条件下で行うことが好ましい。
圧力は、0.2〜5.0MPaの範囲であることがより好ましい。熱プレス時間は、2〜30分間であることがより好ましい。
また、熱プレスは、熱プレス前の発泡成形体の厚みに対する熱プレス後の発泡体の厚みの割合(変形率)で表現すると、20〜80%の範囲となるように行うことが好ましく、20〜60%の範囲となることが更に好ましい。
発泡成形体は、発泡粒子が型内に複数充填された一対の金型を加熱媒体により加熱成形することで製造できる。例えば、多数の小孔を有する金型により構成された型内に発泡粒子を充填し、加圧水蒸気で発泡粒子を加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させ、一体化させることにより得ることができる。
発泡粒子に不活性ガス又は空気(以下、不活性ガス等と称する)を含浸させて、発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。発泡力を向上させることにより、加熱発泡時に発泡粒子同士の融着性が向上し、発泡体は更に優れた発泡性を有する。なお、不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
発泡粒子に不活性ガス等を含浸させる方法としては、例えば、常圧以上の圧力を有する不活性ガス等の雰囲気下に発泡粒子を置くことによって、発泡粒子中に不活性ガス等を含浸させる方法が挙げられる。発泡粒子は、金型内に充填する前に不活性ガス等が含浸されてもよいが、発泡粒子を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス等の雰囲気下に置くことで含浸されてもよい。なお、不活性ガスが窒素である場合、0.1〜2.0MPa(ゲージ圧)の窒素雰囲気中に発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。
金型に充填される発泡粒子は、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程(含浸工程)、発泡性粒子を発泡させる発泡工程を経て得ることができる。
(A)含浸工程
(a)樹脂粒子
樹脂粒子は、公知の製造方法及び製造設備を使用して得ることができる。
例えば、押出機から押し出された樹脂の溶融混練物を、水中カット、ストランドカット等により造粒することによって、樹脂粒子を製造できる。溶融混練時の温度、時間、圧力等は、使用原料及び製造設備に合わせて適宜設定できる。
溶融混練時の押出機内の溶融混練温度は、樹脂が十分に軟化する温度である、170〜250℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。溶融混練温度とは、押出機ヘッド付近の溶融混練物流路の中心部温度を熱電対式温度計で測定した押出機内部の溶融混練物の温度を意味する。
樹脂粒子の形状は、例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状である。
樹脂粒子は、0.5〜3.5mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持力が低下して発泡性が低下することがある。3.5mmより大きい場合、成形型内への充填性が低下することがある。
樹脂粒子は、その長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.5〜3であることが好ましい。樹脂粒子のL/Dが0.5未満や3を超えている場合、金型内への充填性が低下することがある。なお、樹脂粒子の長さLは、押出方向の長さをいい、平均径Dは長さLの方向に実質的に直交する樹脂粒子の切断面の直径をいう。
樹脂粒子の平均径Dは0.5〜3.5mmが好ましい。平均径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持性が低下して発泡性粒子の発泡性が低下することがある。3.5mmより大きいと、金型内への発泡粒子の充填性が低下すると共に、板状の発泡体を製造する場合に発泡体の厚みを薄くできないことがある。
樹脂粒子には、気泡調整剤が含まれていてもよい。
気泡調整剤としては、重曹クエン酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩、無機気泡核剤等が挙げられる。これら気泡調整剤は、複数種組み合わせてもよい。
高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸塩としては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
無機気泡核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
樹脂粒子は、他に、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤、カーボンブラック、酸化鉄、グラファイト等の着色剤等を含んでいてもよい。
(b)発泡性粒子
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を製造する。なお、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる要領としては、公知の要領を用い得る。例えば、密閉可能なオートクレーブ内に、樹脂粒子、分散剤及び水を供給して撹拌することによって、樹脂粒子を水中に分散させて分散液を製造し、この分散液中に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難水溶性無機物や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような界面活性剤が挙げられる。
発泡剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、空気、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)等の無機ガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;ハロゲン化炭化水素が挙げられ、脂肪族炭化水素、無機ガスが好ましい。なお、発泡剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
樹脂粒子に含浸させる発泡剤の量は、樹脂粒子100質量部に対して、1〜12質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が1質量部未満であると、発泡力が低くなり、高い発泡倍率では、良好に発泡させ難いことがある。12質量部を超えると、気泡膜の破れが生じやすくなり、可塑化効果が大きくなりすぎて、発泡時の粘度が低下しやすくなり、かつ収縮が起こりやすくなる。脂肪族炭化水素を発泡剤として用いる場合、より好ましい発泡剤の量は6〜9質量部である。この範囲内であれば、発泡力を十分に高めることができ、高い発泡倍率であっても、より一層良好に発泡できる。発泡剤の含有量が9質量部以下であると、気泡膜の破れが抑えられ、可塑化効果が大きくなりすぎないために、発泡時の粘度の過度の低下が抑えられ、かつ収縮が抑えられる。
樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)は、以下のようにして測定される。
樹脂粒子を圧力容器に入れる前の質量Xgを測定する。圧力容器内で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、圧力容器から含浸物を取り出した後の質量Ygを測定する。下記式により、樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)が求められる。
発泡剤の含有量(質量部)=((Y−X)/X)×100
脂肪族炭化水素を発泡剤として用いる場合、樹脂粒子への発泡剤の含浸温度は、低いと樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。含浸温度は、常温(25℃)〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。発泡助剤(可塑剤)を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤(可塑剤)としては、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
(B)発泡工程
発泡工程では、発泡性粒子を発泡させて、発泡粒子を得ることができれば発泡温度、加熱媒体は特に限定されない。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ポリアミドパウダーや界面活性剤等の合着防止剤、帯電防止剤を塗布してもよい。帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
発泡粒子は、0.01〜0.50g/cmの範囲の嵩密度を有する。嵩密度が0.01g/cmより小さい場合、得られる発泡体に収縮が発生して外観が良好とならずかつ発泡体の機械的強度が低下することがある。0.50g/cmより大きい場合、発泡体の軽量性が低下することがある。
発泡粒子は、1.5〜15mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が1.5mm未満の場合、成形時の2次発泡性が低下することがある。15mmより大きい場合、加熱発泡により発泡体を作製する際に金型への充填性が低下することがある。平均粒子径は、2〜10mmであることがより好ましい。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<結晶化温度>
JIS K7121:1987、2012「プラスチックの転移温度測定方法」及び、JIS K7122:1987、2012「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては次のように行った。エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「DSC6220、ASD−2」示差走査熱量計又は日立ハイテクサイエンス社製「DSC7000X、AS−3」示差走査熱量計を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充填して、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−70℃まで降温した後10分間保持し、−70℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−70℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−70℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質としてアルミナを用いた。本発明において、融点とは、装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる最も大きな融解ピークのトップの温度を読み取った値とした。また、結晶化温度は、装置付属の解析ソフトを用いて、Cooling過程にみられる、3mJ/mg以上の熱量を有する最も高温側の結晶化ピークのトップ温度を読み取った値とした。
<樹脂粒子の長さL及び平均径D>
ノギスを用いて樹脂粒子の長さLと平均径Dを測った。樹脂粒子を製造する際の押出方向の長さをL、押出方向に対して垂直方向の長さを平均径Dとした。
<発泡粒子の平均粒子径>
発泡粒子約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き16.00mm、13.20mm、11.20mm、9.50mm、8.00mm、6.70mm、5.60mm、4.75mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.50mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mmのJIS標準篩で5分間分級した。篩網上の試料質量を測定し、その結果から得られた累積質量分布曲線を元にして累積質量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とした。
<発泡粒子の嵩密度>
まず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cmを一定にし、その質量と体積を測定し、次式に基づいて発泡粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<発泡成形体及び発泡体の密度>
発泡成形体及び発泡体の密度はJIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」記載の方法で測定した。即ち、100cm以上の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
測定用の試験片は、成形後72時間以上経過した試料から100mm×100mm×元の成形体厚みに切り取り、温度23±2℃、湿度50±5%又は、温度27±2℃、湿度65±5%の雰囲気条件に16時問以上放置したものを使用した。
<第1高仰角界面の長さL1、第1直線の長さL2及び比L1/L2、第1高仰角界面の幅、ジグザグ構造の左右への折り返し数>
発泡体の厚さ方向の断面写真(倍率20倍前後)をA4サイズ以上にプリントアウトし、発泡粒子界面をトレースすることでトレース図を作成した。作成したトレース図から、図1と同様にして、仰角αが45°以上の界面を5個以上選択し、それぞれの界面における点x及びyを決めた。この際、発泡粒子界面が見えにくければ、複数の断面写真を用いて、合計5個以上の界面を選択してもよい。拡大写真(倍率100倍前後)を撮影し点xから点yまでの長さ(第1直線T1の長さ)を、マップメジャー(ESCO社が販売する 型番 EA739CD−8)を用いて測定し、平均値化することで、第1高仰角界面の長さL1を得た。次に、点xから点yに引いた第1直線の長さを測定し、平均値化することで、第1直線の長さL2を得た。得られたL1及びL2から比L1/L2を算出した。
上記拡大写真において、第1直線T1と平行になるように、かつ第1直線T1から最も遠いジグザグ構造の凸部のみと接するように、第1高仰角界面の左右に一対の第3直線H1を引いた。一対の第3直線H1の間隔を第1高仰角界面の幅を測定し、平均値化することで、第1高仰角界面の幅(ジグザグ構造の幅)を得た。
上記拡大写真において、左側の第3直線H1側に位置するジグザグ構造の頂点(変曲点)の数を数え、平均値化した。この頂点の数を折り返し数とした。
<第2高仰角界面の長さL3、第2直線の長さL4及び比L3/L4、第2高仰角界面の幅、ジグザグ構造の左右への折り返し数>
発泡体の厚さ方向の断面写真(倍率20倍前後)をA4サイズ以上にプリントアウトし、発泡粒子界面をトレースすることでトレース図を作成した。作成したトレース図から、図1と同様にして、仰角βが45°以上の界面を5個以上選択し、それぞれの界面における点z及びwを決めた。この際、発泡粒子界面が見えにくければ、複数の断面写真を用いて、合計5個以上の界面を選択してもよい。拡大写真(倍率100倍前後)を撮影し点zから点wまでの長さ(第2直線T2の長さ)を、マップメジャー(ESCO社が販売する 型番 EA739CD−8)を用いて測定し、平均値化することで、第2高仰角界面の長さL3を得た。次に、点zから点wに引いた第2直線の長さを測定し、平均値化することで、第2直線の長さL4を得た。得られたL3及びL4から比L3/L4を算出した。
上記拡大写真において、第2直線T2と平行になるように、かつ第2直線T2から最も遠いジグザグ構造の凸部のみと接するように、第2高仰角界面の左右に一対の第4直線H2を引いた。一対の第4直線H2の間隔を第2高仰角界面の幅を測定し、平均値化することで、第2高仰角界面の幅(ジグザグ構造の幅)を得た。
上記拡大写真において、左側の第4直線H2側に位置するジグザグ構造の頂点(変曲点)の数を数え、平均値化した。この頂点の数を折り返し数とした。
<圧縮率>
発泡成形体と発泡体の厚さをノギス用いて測定した。圧縮率は、「式:((発泡成形体の厚さ−発泡体の厚さ)/発泡成形体の厚さ)×100」により算出した。
<反発係数>
JIS K 6400−3:2011に準拠して測定した。反発係数試験機(高分子計器社製、FR−2)に、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節した、同一の発泡体から切り出した100×100mmの試料を重ねて合計で30mm以上になるようにセットし、500mmの高さ(a)から銅球(φ5/8インチ、16.3g)を自由落下させて、その反発最高到達時の高さ(b)読み取り、式(b)/(a)×100により反発係数(%)を算出した。ただし、同一試験片を用いて3回測定を行い、これらの中央値を反発係数とした。
<C硬度>
C硬度は、100×100mm程度に切り出した試料を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節後、アスカーゴム・プラスチック硬度計C形(高分子計器社製)を用いて測定した。押針が試験片測定面に垂直になるように加圧面を密着させて、直ちに目盛を読み取った。発泡粒子同士の融着面をさけて、試料の5箇所を測定し、その平均値をC硬度とした。
実施例1
(1)樹脂粒子
ナイロン12をハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコールをソフトセグメントとするアミド系エラストマー(商品名「Pebax5533 SA01」、融点159℃、ビカット軟化温度142℃、アルケマ社製)100質量部と有機系気泡調整剤(商品名「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.3質量部を単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、アミド系エラストマーを初めは180℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
続いて、溶融状態のアミド系エラストマーを冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルからアミド系エラストマーを押出した。なお、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型(直径1.3mmのノズルを8穴有する)の各ノズルから樹脂を押し出し、30〜50℃の水中でカットした。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.0〜1.4mmで、粒子の平均径Dが1.0〜1.4mmであった。
(2)発泡性粒子
樹脂粒子(平均粒子径1.2mm)15kg(100質量部)を加温密閉可能な内容積43リットルの耐圧回転式混合機に投入した。更に、合着防止剤としてエパン450(第一工業製薬社製)0.5質量部を投入し撹拌した。樹脂粒子を撹拌させながら、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)12質量部を圧入し、内部温度を70℃に昇温させ2時間撹拌を続けたその後、20℃まで冷却して混合機から除圧後すぐに取り出すことで、発泡性粒子を得た。
(3)発泡粒子
内容積50Lの撹拌機付き円筒型予備発泡機に発泡性粒子を2kg投入し、0.21MPaの水蒸気で撹拌しながら、発泡させ、嵩密度0.10g/cmの発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に窒素を0.5MPaの圧力で圧入して常温にて18時間に亘って放置して発泡粒子に窒素を含浸した。
(4)発泡成形体
発泡粒子を密閉容器から取り出し、400mm×300mm×厚み11.0mmの大きさのキャビティを有する成形型のキャビティ内に充填し、0.25MPaの水蒸気で35秒間加熱し成形を行い、発泡成形体を得た。発泡成形体の結晶化温度は、127℃であった。
発泡成形体の密度は0.10g/cm、C硬度は50〜55、反発係数は60%であった。
(5)発泡体
発泡成形体を40℃の雰囲気下で12時間以上乾燥した後、約200mm×200mm×11.0mmに裁断した。裁断した発泡成形体を加熱冷却可能な熱プレス機を用いて、以下に説明するように、熱プレスに付した。
熱プレス機には、上部金型と下部金型とを備え、2つの金型に圧を加えることにより、2つの金型間の物品をプレス可能な構造を有する機器を使用した。2つの金型には、それぞれ加熱手段及び水を通過させることによる冷却手段を備え、それぞれ独立に温度を調整するものを使用した。
裁断した発泡成形体の上下をアルミ板で挟み込んだ。それぞれ140℃に加熱された上部金型と下部金型との間に、アルミ板とそれぞれの金型が接するように発泡成形体を配置した。配置後、上部金型及び下部金型を加圧初め時に1.0MPaとなるように加圧しながら熱プレスを実施し、15分間保持した。保持後、金型内に水と通水することで室温まで冷却し、次いで圧を開放することで発泡体を取り出した。得られた発泡体の厚さは4.0mmであり、圧縮率は64%であった。発泡体の厚さ方向の18倍の断面写真を図2(a)に、90倍の断面写真を図2(b)に示す。図2(a)を用いてL1〜L4、第1高仰角界面の幅及び第2高仰角界面の幅と、第1高仰角界面及び第2高仰角界面のジグザグ構造の左右への折り返し数とを測定し、L1/L2及びL3/L4を算出した。
得られた発泡体のC硬度と反発係数を測定し、結果を表1に示した。
実施例2
上部金型の加熱温度を135℃に、加圧初め時の圧力を1.2MPaとして10分間熱プレス行うこと以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の厚さは2.5mmであり、圧縮率は77%であった。発泡体の厚さ方向の断面写真(19倍)を図3に示す。図3を用いてL1〜L4、第1高仰角界面の幅及び第2高仰角界面の幅と、第1高仰角界面及び第2高仰角界面のジグザグ構造の左右への折り返し数とを測定し、L1/L2及びL3/L4を算出した。
得られた発泡体のC硬度と反発係数を測定し、結果を表1に示した。
実施例3
熱プレス工程における加圧を5分間行うこと以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の厚さは4.5mmであり、圧縮率は59%であった。得られた発泡体の厚さ方向の断面を撮影し、得られた断面写真を用いてL1〜L4、第1高仰角界面の幅及び第2高仰角界面の幅と、第1高仰角界面及び第2高仰角界面のジグザグ構造の左右への折り返し数とを測定し、L1/L2及びL3/L4を算出した。
得られた発泡体のC硬度と反発係数を測定し、結果を表1に示した。
実施例4
(1)樹脂粒子
オレフィン系エラストマー(商品名「TPO R11E」、プライムポリマー社製)100質量部を45kg/hのペースで、口径50mmの単軸押出機と口径65mmの単軸押出機とが連結されたタンデム型押出機に連続的に供給した。また、オレフィン系エラストマー100質量部に対して気泡調整剤として重曹クエン酸系の化学発泡剤(商品名「ファインセルマスターPO410K」、大日精化社製)0.5質量部を供給した。
押出機内における最高到達温度が260℃となるようにしてオレフィン系エラストマーを溶融混錬した。この溶融オレフィン系エラストマーを下流側の押出機(口径65mmの押出機)を通過させつつ該押出機先端部における樹脂温度が230℃となるように冷却した。
この溶融オレフィン系エラストマーを押出機の先端部に装着したダイス(温度320℃、入り口側樹脂圧18MPa)のダイス孔(直径0.8mm、ランド長さ3.0mmのノズルが32個配置)から約70℃の冷却水を収容したチャンバー内に押出し、8枚の切断刃を有する回転刃の回転軸を3440rpmの回転数で回転させ、粒状に切断しつつ前記冷却水で冷却させてオレフィン系エラストマーの樹脂粒子を作製した。
(2)発泡性粒子
5Lのオートクレーブに、上記にて得られた、樹脂粒子を2000g、水2000g、ノニオン系界面活性剤を4g投入して撹拌させながら、ブタンガスを240g投入した。50℃まで昇温し、1時間保持させた後、冷却させ発泡性粒子を得た。
(3)発泡粒子
得られた発泡性粒子をすぐに発泡機内に投入し、蒸気にて加熱して、嵩密度0.10g/cmの発泡粒子を得た。
(4)発泡成形体
上記発泡粒子を使用し、発泡成形体を得る際の蒸気圧を0.10MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形体及び発泡体を得た。発泡成形体の結晶化温度は100℃であった。
(5)発泡体
プレスする際の温度を上部と下部金型の加熱温度を100℃として、プレスの圧力を0.5MPa、時間を5分としたこと以外は実施例1と同様に発泡体を得た。得られた発泡体の厚さは6.9mmであり、圧縮率は37%であった。得られた発泡体の厚さ方向の断面を撮影し、得られた断面写真を用いてL1〜L4、第1高仰角界面の幅及び第2高仰角界面の幅と、第1高仰角界面及び第2高仰角界面のジグザグ構造の左右への折り返し数を測定し、L1/L2及びL3/L4を算出した。
得られた発泡体のC硬度と反発係数を測定し、結果を表1に示した。
実施例5
発泡体の厚さを4.7mmとして、圧縮率を57%としたこと以外は実施例4と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の厚さ方向の断面を撮影し、得られた断面写真を用いてL1〜L4を測定し、L1/L2及びL3/L4を算出した。
得られた発泡体のC硬度と反発係数を測定し、結果を表1に示した。
比較例1
実施例1の発泡成形体を比較例1の発泡成形体とし、発泡成形体の厚さ、C硬度及び反発係数を表1に示した。
比較例2
上部下部金型の加熱温度を145℃に、加圧初め時の圧力を0.8MPaとして10分間熱プレスを行うこと以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の厚さは3.0mmであり、圧縮率は73%であった。発泡体の厚さ方向の断面写真(20倍)を図4に示す。図4から、発泡体表面が溶融して厚膜化し、かつ発泡粒子の界面が剥離し、ジグザク構造も観察されていないことが分かる。これは、下部金型の加熱温度が、基材樹脂の結晶化温度+15℃を超えていたためであると推測される。
得られた発泡体のC硬度と反発係数を測定し、結果を表1に示した。
比較例3
実施例4の発泡成形体を比較例3の発泡成形体とし、発泡成形体の厚さ、C硬度及び反発係数を表1に示した。
比較例4
発泡粒子の嵩密度を0.15g/cmとして、得られる発泡成形体の密度を0.18g/cmとしたこと以外は実施例4と同様に発泡成形体を得、発泡成形体の厚さ、C硬度及び反発係数を表1に示した。
実施例1〜3より、ジグザグ構造の界面を備えた発泡体は、同じ樹脂から構成されるが、ジグザグ構造の界面を備えない比較例1の発泡成形体及び比較例2の発泡体より、高い反発係数を示すことが分かった。
また、実施例4〜5より、ジグザグ構造の界面を備えた発泡体は、同じ樹脂から構成されるが、ジグザグ構造の界面を備えない比較例3〜4の発泡成形体より、高い反発係数を示すことが分かった。
A:厚さ方向、1:発泡体の表面、2:表面発泡粒子、3:内部発泡粒子、4:ジグザグ構造を有する特定の界面、x:表面に接する点、y:2つの表面発泡粒子2と接するが表面1に位置していない内部発泡粒子3に接する点、T1:2つの点x及びyを結ぶ第1直線、α:表面1に対する仰角、L1:第1高仰角界面の長さ、L2:第1直線の長さ、H1:第3直線、5:ジグザグ構造を有する特定の界面、z及びw:界面5が厚さ方向に2つの発泡粒子と接する2つの点、T2:2つの点z及びwを結び表面に延在させた第2直線、β:表面1に対する仰角、L3:第2高仰角界面の長さ、L4:第2直線の長さ、H2:第4直線

Claims (8)

  1. 熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成される発泡体であり、
    前記発泡体の厚さ方向の断面写真において、前記厚さ方向に直交する表面に位置し、かつ互いに接する2つの表面発泡粒子同士が、前記厚さ方向に沿う第1界面を備え、
    前記第1界面が、前記表面に接する点と、前記2つの発泡粒子と接するが表面に位置していない内部発泡粒子に接する点との間に位置し、
    前記第1界面は、前記2つの点を結ぶ第1直線が、前記表面に対して45°以上の仰角を有する第1高仰角界面を含み、
    前記第1高仰角界面が、ジグザグ構造を備えることを特徴とする発泡体。
  2. 前記第1高仰角界面が、1.05〜3.0の範囲の比L1/L2(L1は、前記第1高仰角界面の長さ、L2は前記第1直線の長さを意味する)で規定されるジグザグ構造を備える請求項1に記載の発泡体。
  3. 前記発泡体の厚さ方向の断面写真において、前記表面に位置せず、かつ互いに接する2つの内部発泡粒子同士が、前記厚さ方向に沿う第2界面を備え、
    前記第2界面は、その第2界面が厚さ方向に2つの発泡粒子と接する2つの点の間に位置し、
    前記第2界面は、前記2つの点を結び前記表面に延在させた第2直線が、表面に対して45°以上の仰角を有する第2高仰角界面を含み、
    前記第2高仰角界面が、ジグザグ構造を備える請求項1又は2に記載の発泡体。
  4. 前記第2高仰角界面が、1.05〜3.0の範囲の比L3/L4(L3は、前記第2の高仰角界面の長さ、L4は前記第2直線の長さを意味する)で規定されるジグザグ構造を備える請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡体。
  5. 前記熱可塑性エラストマーが、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーから選択される請求項1〜4のいずれか1つに記載の発泡体。
  6. 前記発泡体が、建築資材、靴の部材又は緩衝材として用いられる請求項1〜5のいずれか1つに記載の発泡体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の発泡体の製造方法であって、
    発泡粒子を金型内で発泡成形することにより得た発泡成形体を熱プレスすることで発泡体を得る工程を含むことを特徴とする発泡体の製造方法。
  8. 前記熱プレスが、熱可塑性エラストマーの結晶化温度をT℃とすると、(T−20)℃〜(T+15)℃の熱及び0.2MPa以上の圧力を2分以上加える条件下で行われる請求項7に記載の発泡体の製造方法。
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