JP2020124871A - 表皮材の製造方法および表面加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維材料をからなるシートを含んで構成される積層シートを用いた表皮材からの繊維くずの発生を抑制することを課題とする。【解決手段】熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物からなる第1層32と、融点が第1層32を形成する繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成された第2層31と、からなる積層シートSを表皮材の形状に裁断する裁断工程と、その裁断工程において裁断された積層シートSCに、押し型54を押圧することによって意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工工程と、を含み、その表面加工工程が、裁断工程において裁断された積層シートSCに対して、表面加工の押圧と同時に、外周縁部を加熱しつつ押圧し、その外周縁部を押し潰すように溶着させる。【選択図】図6B
Description
本発明は、素材の異なる2種のシートを積層させた積層シートを用いて表皮材を製造する表皮材の製造方法に関し、また、その表皮材に表面加工を施す表面加工装置に関する。
下記特許文献1には、基材(コアシート材)の表面に表皮シート材をプレス成形によって一体化させた車両用内装材が記載されている。その車両用内装材は、プレス成形の際に、表皮シート材を軟化点以上融点未満に加熱しながら裁断刃でトリミング加工することで、基材の端末を表皮シート材で被覆した構成のものとされている。車両用内装材等の表皮には、表層とは異なる素材で表層の下の層を形成した構成のもの、つまり、素材の異なる2種のシートを積層して一体化させた積層シートが採用される場合がある。そして、そのような積層シートには、例えば、下層に繊維材料を編み込んで形成されたもの(編物)や繊維材料が絡み合ったもの(不織布)を用いたものが存在する。
上記のような繊維材料からなる編物や不織布を用いたシートを裁断すると、その裁断した箇所において繊維が分断されて、多量の繊維くずが発生するという問題がある。例えば、そのようなシートを含む積層シートが車両用内装材の表皮に採用されている場合には、車両用内装材の組み付け過程等において、その車両用内装材の周囲の部材にも、多量の繊維くずが付着してしまう虞がある。
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、繊維材料からなるシートを含んで構成される積層シートを用いた表皮材からの繊維くずの発生を抑制することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の表皮材の製造方法は、
素材の異なる2種のシートが積層された積層シートから表皮材を製造する表皮材の製造方法であって、
熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物あるいは前記繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布からなる第1層と、融点が前記繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成されて前記第1層の上層側に配された第2層と、からなる積層シートを前記表皮材の形状に裁断する裁断工程と、
前記裁断工程において裁断された前記積層シートに、押し型を押圧することによって意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工工程と、
を含み、
前記表面加工工程は、前記裁断工程において裁断された前記積層シートに対して、表面加工の押圧と同時に、外周縁部を加熱しつつ押圧することを特徴とする。
素材の異なる2種のシートが積層された積層シートから表皮材を製造する表皮材の製造方法であって、
熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物あるいは前記繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布からなる第1層と、融点が前記繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成されて前記第1層の上層側に配された第2層と、からなる積層シートを前記表皮材の形状に裁断する裁断工程と、
前記裁断工程において裁断された前記積層シートに、押し型を押圧することによって意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工工程と、
を含み、
前記表面加工工程は、前記裁断工程において裁断された前記積層シートに対して、表面加工の押圧と同時に、外周縁部を加熱しつつ押圧することを特徴とする。
この表皮材の製造方法は、表面加工が施こされた表皮材を製造する方法である。この表皮材に用いられる積層シートは、繊維材料を用いた第1層を有するため、表皮材の形状に裁断すると、その裁断した箇所において繊維がほつれたり分断されたりして、多量の繊維くずが発生することになる。しかしながら、上記の表皮材の製造方法は、積層シートを裁断した後、その裁断された積層シートに対して表面加工を施すために押し型を押圧するのと同時に、積層シートの外周縁部を加熱しつつ押圧することで、その外周縁部を押し潰すようにして溶着させることができる。したがって、上記製造方法によれば、表皮材の端末処理を行って、繊維くずの発生を抑えることができるとともに、その表皮材の端末処理を表面加工と同時に行うことができるため、表皮材の製造時のサイクルタイムを短縮することができる。
なお、表皮材を形成する積層シートは、第1層および第2層の両者が、熱によって溶融可能な材料によって形成されたものであれば、その材料等は、特に限定されない。第2層を形成する材料には、例えば、合皮、樹脂(ウレタン樹脂,ポリ塩化ビニル等)製のシート、不織布等、種々のものを採用可能である。また、第1層が編物である場合には、編布だけでなく、立体編物(立体編布)とすることもできる。
上記方法において、前記表面加工工程は、前記積層シートを前記第1層側から加熱するものとすることができる。
積層シートは、第2層の融点が第1層を形成する繊維材料の融点より低いため、第2層が第1層より溶融し易く、第2層が溶融してしまうと、表皮材の裁断端末の見栄えが悪くなってしまう。それに対して、この構成の表皮材の製造方法によれば、加熱を第1層側から行うため、第2層へ熱の伝達を抑えることができ、表皮材の裁断端末の見栄えの悪化を抑えることができる。
また、上記方法において、前記裁断工程は、トムソン刃を用いて、複数枚の前記積層シートを重ねた状態で裁断するものとすることができる。
この製造方法は、表面加工時において積層シートの端末処理を行うため、積層シートの裁断時に繊維くずは発生するものの、複数枚の積層シートをまとめて裁断することができるため、表皮材の製造時のサイクルタイムを短縮することができる。
また、上記方法において、前記第1層は、2枚の基布が連結糸で繋がれた構造の立体編物とされた構成とすることができる。
この構成の第1層は、例えばダブルラッセルと呼ばれる編物からなる。このような立体編物は、基布と基布との間に無数の連結糸が存在するため、通常の裁断を行った場合には、例えば、基布が2枚あることや無数の連結糸が分断されること等が要因で、より多くの繊維くずが発生しやすい。したがって、立体編物からなる第1層を有する積層シートを用いて表皮材を製造する場合には、上記製造方法が、特に有効である。なお、立体編物からなる第1層を有する積層シートに対して、押圧による表面加工を施した場合、その立体編物からなる第1層をも塑性変形させることができるため、例えばウレタンフォーム(スラブウレタン等)を下層側に採用した場合に比較して、比較的凹凸の大きな表面加工を施すことができ、表皮材の意匠性をより高めることができる。
また、上記課題を解決するために本発明の表面加工装置は、
熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物あるいは前記繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布からなる第1層と、融点が前記繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成されて前記第1層の上層側に配された第2層と、からなる積層シートから表皮材を製造する際に、その表皮材に意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工装置であって、
前記表皮材の形状に裁断された前記積層シートが、前記第1層が接する状態でセットされる台座と、
前記台座に対向するとともに前記台座に対して接近離間可能に配され、前記表皮材に付与する前記表面形状に応じた形状の表面加工押圧部と、裁断された前記積層シートの外周縁部に沿う形状の外周縁部押圧部と、を有する押し型と、
前記台座に設けられ、前記台座にセットされる前記積層シートの外周縁部に沿って配された加熱装置と、
を備えたことを特徴とする。
熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物あるいは前記繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布からなる第1層と、融点が前記繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成されて前記第1層の上層側に配された第2層と、からなる積層シートから表皮材を製造する際に、その表皮材に意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工装置であって、
前記表皮材の形状に裁断された前記積層シートが、前記第1層が接する状態でセットされる台座と、
前記台座に対向するとともに前記台座に対して接近離間可能に配され、前記表皮材に付与する前記表面形状に応じた形状の表面加工押圧部と、裁断された前記積層シートの外周縁部に沿う形状の外周縁部押圧部と、を有する押し型と、
前記台座に設けられ、前記台座にセットされる前記積層シートの外周縁部に沿って配された加熱装置と、
を備えたことを特徴とする。
この構成の表面加工装置は、加熱装置によって台座にセットされた積層シートの外周縁部を加熱した状態とすることができる。そして、その状態において、押し型を台座に接近させてセットした積層シートに押圧することで、積層シートに表面加工を施すと同時に、外周縁部をも押圧して、その外周縁部を押し潰すように溶着させることができる。したがって、この構成の表面加工装置によれば、表皮材の端末処理を行って、繊維くずの発生を抑えることができ、その表皮材の端末処理を表面加工と同時に行うことができるため、表皮材の製造時のサイクルタイムを短縮することができる。
本発明によれば、繊維材料からなるシートを含んで構成される積層シートを用いた表皮材からの繊維くずの発生を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
本発明の実施例である表皮材の製造方法によって製造された表皮材は、図1に示す車両用のドアトリム10に用いられる。まず、その車両用のドアトリム10について説明する。ドアトリム10は、車両用のサイドドアの車室内側部分を構成するものであり、ドアインナパネルに対して車室内側から取り付けられるものである。ドアトリム10は、概して矩形状をなすトリムボード11を主体として構成され、そのトリムボード11に加えて、トリムボード11上に設けられたインサイドハンドル12、スイッチベース13、アームレスト14,ドアポケット15、スピーカーグリル16等の各種機能部品を含んで構成される。
トリムボード11は、複数のボード部材が互いに組み付けられたものであり、主として、アッパボード20、ロアボード21、オーナメントボード22、および、アームレストボード23によって構成される。なお、上記のインサイドハンドル12は、オーナメントボード22に設けられている。アームレスト14は、アームレストボード23が、ロアボード21の上方側、オーナメントボード22の下方側(トリムボード11のほぼ中央)に締結されることによって形成され、スイッチベース13は、そのアームレスト14の前方側に設けられている。また、ドアポケット15およびスピーカーグリル16は、ロアボード21の下方側に設けられている。
上記のアッパボード20は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料などによって形成された板状の基材に、表皮材30が貼り付けられて構成されたものである。また、その表皮材30には、綾目状のエンボス加工が施されている。なお、基材は、合成材料に限定されず、例えば、木質系材料(ケナフ、ヘンプ、フラックス、サイザルなど)と合成樹脂を混合したものなどを用いてもよい。
表皮材30は、図2に示す、2種の素材の異なるシートが積層された積層シートからなる。詳しく言えば、積層シートSは、アッパボード20、オーナメントボード22およびアームレストボード23の車両用内装材の意匠面をなす表層31と、その下層側のクッション層32と、が積層されたものである。そのクッション層32は、繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物からなる。詳しく言えば、クッション層32は、2枚の基布32a,32bが連結糸32cによって繋がれた構造の立体編物(立体編布)であり、ダブルラッセルと呼ばれる編物である。つまり、本実施例においては、クッション層32が第1層であり、表層31が第2層である。
なお、表層31およびクッション層32の両者は、熱可塑性樹脂によって形成されたものである。具体的に言えば、表層31は、ウレタン樹脂(例えば、ポリウレタン)によって形成されたものであり、クッション層32は、エステル樹脂(例えば、ポリエステル)によって形成されたものである。そして、積層シートSは、表層31を形成する過程でウレタン樹脂をシート状に拡げたものに対し、そのウレタン樹脂が完全に凝固する前にクッション層32を重ねることで、表層31とクッション層32とが一体的に形成されたものとなっている。したがって、この積層シートSを裁断して製造された表皮材30は、基材に対して一度の貼着作業ですむため、車両用内装材の製造時のサイクルタイムの短縮を図ることができる。
また、表層31を形成するポリウレタンは、融点が180℃程度である。一方、クッション層32を形成するポリエステルは、融点が260℃程度である。つまり、表層31は、融点がクッション層32の融点より低いものとなっている。
表皮材30は、上記のようにクッション層32が立体編物とされているため、クッション性に優れており触感もよく、車両用内装材の表皮材として好適なものとなっている。しかしながら、そのクッション層32が編物であるために、積層シートSから表皮材30の形状に裁断する際に問題が生じる。詳しく言えば、編物を裁断すると、図3に示すように、裁断した箇所において繊維がほつれて、多量の繊維くず35が発生してしまうのである。例えば、そのような単に裁断しただけの表皮材を基材に貼着してしまうと、ドアトリム10を組み上げた後においても、繊維くずが発生して、ドアトリム10の意匠面に付着してしまう虞がある。なお、第1層であるクッション層32は、立体編物に限定されず、編布であってもよく、さらに言えば、それら編物に限定されず、繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布であってもよい。第1層に編物や不織布が用いられる場合、上記の問題は同様に生じるため、本実施例の積層シート裁断方法が有効である。
そこで、本実施例の表皮材の製造方法によって製造された表皮材30は、上記のような繊維くずの発生が抑えられたものとなっている。以下に、本実施例の表皮材の製造方法について、図4〜図6を参照しつつ詳しく説明する。
まず、本実施例の製造方法においては、前述のように構成された積層シートSから、表皮材30の形状に裁断する裁断工程が行われる。その裁断工程は、図4Aに示すように、複数枚(図4Aにおいては、3枚)の積層シートSを基台40上に重ねて載置する。そして、図4Bに示すように、トムソン刃41を鉛直下向きに降下させて、複数枚の積層シートSをまとめて裁断するようになっている。つまり、この裁断工程は、複数枚の積層シートSをまとめて裁断できるため、裁断工程に掛かる時間、ひいては、表皮材の製造時のサイクルタイムの短縮が図られている。ただし、図4Cに示すように、この裁断した状態の積層シートSCは、端末から多量の繊維くず35が発生することになる。
次に、本実施例の製造方法においては、裁断した積層シートSCに対してエンボス加工を施す表面加工工程が行われる。この表面加工工程においては、図5に概略構成を示す本発明の実施例である表面加工装置としてのエンボス加工装置50が用いられる。そのエンボス加工装置50は、装置本体51と、裁断した積層シートSCを保持して装置本体51内にセットされるシート固定用治具52と、からなる。装置本体51は、プレス加工を行うものであり、シート固定用治具52がセットされる下型としての定盤53と、その定盤53の上方に対向して配される上型としての押し型54と、を含んで構成される。定盤53には、一対のガイドレール55が設けられており、上記のシート固定用治具52は、それら一対のガイドレール55によって案内され、定盤53上の所定位置にセットされる。
シート固定用治具52は、裁断された積層シートSCの形状の凹所60を有しており、その凹所60内において積層シートSCを保持する構成とされている。また、その凹所60の中央部分には、開口61が形成されている。つまり、シート固定用治具52は、凹所60と開口61とにより形成された段差部62によって、裁断された積層シートSCを外周縁部において保持するものとなっている。そして、その段差部62には、加熱装置としての熱線ヒータ63が配されている。その熱線ヒータ63は、クッション層32を融点以上に加熱するようになっている。
なお、図6Aに示すように、シート固定用治具52には、裁断した積層シートSCをクッション層32が下側に位置する状態で保持させる。つまり、本エンボス加工装置50においては、定盤53とシート固定用治具52とを含んで、裁断された積層シートSCが第1層であるクッション層32が接する状態でセットされる台座65として機能するものとなっている。
また、定盤53には、一対のガイドレール55の間に、シリコンゴム製の弾性シート70が設けられている。その弾性シート70は、シート固定用治具52が所定位置にセットされた状態において、そのシート固定用治具52の開口61の下方側、つまり、シート固定用治具52に保持されたシート積層シートSCの下方側に位置している。
一方、押し型54は、定盤53に対して接近離間可能に配されており、押し型本体部80と、その押し型本体部80の下面側に下方に突出して設けられてエンボス柄(意匠性を高めるための表面形状)を付与するためのエンボス加工リブ(表面加工押圧部)81と、を有している。なお、そのエンボス加工リブ81は、シート固定用治具52の開口61より僅かに小さいサイズとされている。また、押し型本体部80は、所定位置にセットされたシート固定用治具52の段差部62に対応する箇所、つまり、裁断された積層シートSCの外周縁部に沿う形状のリブである外周縁部溶着リブ(外周縁部押圧部)82を有している。なお、外周縁部溶着リブ82は、その鉛直方向の寸法がエンボス加工リブ81の寸法より小さくされている。
このように構成された本実施例のエンボス加工装置50においては、図6Bに示すように、押し型54を下降させると、エンボス加工リブ81が、積層シートSCの表面に当接し、シート固定用治具52の開口61を挿通する。そして、エンボス加工リブ81は、弾性シート70との間で、積層シートSCを挟み込み、その押圧力によって積層シートSCにエンボス柄を付与するのである。また、エンボス加工リブ81が積層シートSCの表面に当接した後、さらに、押し型54を下降させると、外周縁部溶着リブ82が積層シートSCの外周縁部に当接する。そして、押し型54をさらに下降させると、エンボス加工リブ81による押圧と、外周縁部溶着リブ82による押圧とが、同時に行われるのである。なお、先に説明したように、積層シートSCの外周縁部は、シート固定用治具52に配された熱線ヒータ63によってクッション層32側から加熱されているため、積層シートSCの外周縁部は、外周縁部溶着リブ82によって押圧されて、図6Cに示すように、押し潰された状態で溶着させられるのである。
以上のように、本実施例の表皮材の製造方法においては、表面加工工程が、裁断工程において裁断された積層シートSCに対して、表面加工の押圧と同時に、外周縁部を加熱しつつ押圧するようになっているのである。つまり、本実施例の表皮材の製造方法は、裁断された積層シートSCに対して表面加工を施すために押圧するのと同時に、積層シートSCの外周縁部を加熱しつつ押圧することで、その外周縁部を押し潰すようにして溶着させることができる。したがって、本実施例の製造方法によれば、表皮材30の端末処理を行って、繊維くずの発生を抑えることができるとともに、表皮材30の端末処理を表面加工と同時に行うことができるため、表皮材30の製造時のサイクルタイムを短縮することができるのである。
なお、表皮材30は、第2層である表層31の融点が第1層であるクッション層32の融点より低いため、表層31がクッション層32より溶融し易く、表層31が溶融してしまうと、表皮材30の裁断端末の見栄えが悪くなってしまう。それに対して、本実施例の製造方法によれば、加熱をクッション層32側から行うため、表層31へ熱の伝達を抑えることができ、表皮材30の裁断端末の見栄えの悪化を抑えることができる。
また、表皮材30は、クッション層32が、2枚の基布32a,32bが連結糸32cで繋がれた構造の立体編物とされている。そのため、通常の編布より多くの繊維くずが発生しやすい。したがって、本実施例のように、立体編物からなる第1層(クッション層32)を有する積層シートSを用いて表皮材30を製造する場合には、本実施例の製造方法が、特に有効である。なお、立体編物からなるクッション層32を有する積層シートSに対して、押圧による表面加工を施した場合、図6Cに示すように、そのクッション層32をも塑性変形させることができる。例えばウレタンフォーム(スラブウレタン等)を下層に採用した場合には、表層のみの凹凸による表面加工となるため、立体編物からなるクッション層32を有する積層シートSは、ウレタンフォーム(スラブウレタン等)を下層に採用した積層シートに比較して、比較的凹凸の大きな表面加工を施すことができ、表皮材30は意匠性の高いものとなっている。
上記実施例の表皮材の製造方法は、車両用内装材の表皮材の製造に採用されていたが、それに限定されず、(a)熱によって溶融可能な繊維材料がシート状に形成された第1層と(b)融点が繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成された第2層とからなる積層シートから表皮材を製造する際に広く利用可能である。また、それら第1層と第2層とに用いられる材料は、熱によって溶融可能なもので、第2層が第1層の融点より低い融点となる関係のものであれば、特に限定されない。例えば、第2層には、樹脂だけでなく、合皮や不織布等を採用することもできる。
10…車両用ドアトリム、20…アッパボード(乗物用内装材)、30…表皮材、31…表層〔第2層〕、32…クッション層〔第1層,立体編物〕、32a,32b…基布、32c…連結糸、41…トムソン刃、50…エンボス加工装置〔表面加工装置〕、54…押し型、63…熱線ヒータ〔加熱装置〕、65…台座、81…エンボス加工リブ〔表面加工押圧部〕、82…外周縁部溶着リブ〔外周縁押圧部〕
Claims (5)
- 素材の異なる2種のシートが積層された積層シートから表皮材を製造する表皮材の製造方法であって、
熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物あるいは前記繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布からなる第1層と、融点が前記繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成されて前記第1層の上層側に配された第2層と、からなる積層シートを前記表皮材の形状に裁断する裁断工程と、
前記裁断工程において裁断された前記積層シートに、押し型を押圧することによって意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工工程と、
を含み、
前記表面加工工程は、前記裁断工程において裁断された前記積層シートに対して、表面加工の押圧と同時に、外周縁部を加熱しつつ押圧することを特徴とする表皮材の製造方法。 - 前記表面加工工程は、前記積層シートを前記第1層側から加熱することを特徴とする請求項1に記載の表皮材の製造方法。
- 前記裁断工程は、トムソン刃を用いて、複数枚の前記積層シートを重ねた状態で裁断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表皮材の製造方法。
- 前記第1層は、2枚の基布が連結糸で繋がれた構造の立体編物とされた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表皮材の製造方法。
- 熱によって溶融可能な繊維材料が編み込まれてシート状に形成された編物あるいは前記繊維材料が絡み合ってシート状に形成された不織布からなる第1層と、融点が前記繊維材料の融点より低い材料がシート状に形成されて前記第1層の上層側に配された第2層と、からなる積層シートから表皮材を製造する際に、その表皮材に意匠性を高めるための表面形状を付与する表面加工装置であって、
前記表皮材の形状に裁断された前記積層シートが、前記第1層が接する状態でセットされる台座と、
前記台座に対向するとともに前記台座に対して接近離間可能に配され、前記表皮材に付与する前記表面形状に応じた形状の表面加工押圧部と、裁断された前記積層シートの外周縁部に沿う形状の外周縁部押圧部と、を有する押し型と、
前記台座に設けられ、前記台座にセットされる前記積層シートの外周縁部に沿って配された加熱装置と、
を備えた表面加工装置。
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