本開示は、調整可能な化学的特性、材料特性、及び構造特性を有する高機能研磨用物品即ち高機能研磨パッド、並びにこれを製造する新たな方法に関する。本開示の1つ以上の実施形態によると、3次元(3D)印刷プロセスといった付加製造プロセスによって、特性が改良された研磨パッドが作製され得ることが明らかになっている。本開示の実施形態は、限定しないが、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、反応性希釈剤、流動添加剤、硬化剤、光開始剤、及び硬化共力剤を含む、「樹脂前駆体成分」を含有する前駆体または樹脂前駆体組成物から形成された、少なくとも2つの異なる材料から形成された、個別の特徴と形状寸法を有する、高機能研磨パッドを提供する。樹脂前駆体組成物は、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、並びに、少なくとも単官能性であり得、且つ遊離基、ルイス酸、及び/または電磁放射に曝されたときに重合を起こし得る反応性希釈剤といった、化学的に活性な物質及び/または化合物もまた含み得る。一実施例として、高機能研磨パッドは、自動で逐次的に少なくとも1つの樹脂前駆体組成物を堆積し、続いて少なくとも1つの硬化ステップを行うことによって、複数のポリマー層から形成されていてよい。各層は、少なくとも1つのポリマー組成物、及び/または種々の組成物の領域を表していてよい。ある実施形態では、高機能研磨パッドのこれらの層及び/または領域は、金属、半金属酸化物、炭化物、窒化物、及び/またはポリマー粒子といった少なくとも1つのフィラーを含有する放射線硬化されたポリマーといった、複合材料構造を含んでいてよい。ある実施形態では、フィラーは、パッド全体もしくはパッドの特定の領域における耐摩耗性を増し、摩擦を減らし、磨耗に抵抗し、架橋及び/または熱伝導性を増進するために、使用され得る。したがって、パッド本体、並びにパッド本体の上一面に、その上に、及びその内部に作られた個別の特徴部を含む、高機能研磨パッドは、複数の異なる材料、及び/または材料の組成物から同時に形成され、それによって、パッドの構造及び特性をミクロンのスケールで制御可能にしていてよい。
さらに、研磨処理範囲全体にわたって所望のパッド研磨特性を含む、研磨パッドが提供される。典型的な研磨パッド特性は、研磨パッドの静的特性と動的特性のどちらをも含み、この静的特性と動的特性は、研磨パッド内の個々の材料と、研磨パッド構造全体の組成物の特性によって影響される。高機能研磨パッドは、複数の個別の材料を含有する領域、及び/または、形成された研磨パッド内の1つ以上の方向に対して材料組成の勾配を含有する領域を含み得る。研磨処理範囲にわたって所望の研磨性能を有する高機能研磨パッドを形成するために調整することができるいくつかの機械的特性の例は、限定しないが、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E’’、硬さ、降伏強さ、最大抗張力、伸び、熱伝導性、ゼータ電位、質量密度、ポアソン比、破壊靱性、表面粗さ(Ra)、及び他の関連する特性を含む。高機能研磨パッド内部で調整することができるいくつかの動的特性の例は、限定しないが、タンデルタ(tan δ)、貯蔵弾性率比(即ちE’30/E’90比)、及びエネルギー損失係数(KEL)といった他の関連するパラメータを含み得る。エネルギー損失係数(KEL)は、パッド材料の弾性反発効果及び減衰効果に関連している。KELは、以下の等式によって定義され得る。 KEL=tan δ*1012/[E’*(1+(tan δ)2)] E’の単位は、パスカルである。KELは、通常、動的粘弾性測定(DMA)法を用いて、40°Cの温度と1または1.6ヘルツ(Hz)の周波数で測定される。別様に明記されていない限り、本書に記載の貯蔵弾性率E’、E’30/E’90比、及び回復率の測定は、約1ヘルツ(Hz)の周波数で約5°C/分の温度傾斜率で実施された、DMA試験プロセスを用いて実施された。パッドの特性のうちの1つ以上を制御することによって、研磨プロセス性能の向上、研磨パッドの寿命の向上、及び研磨プロセスの繰り返し性の向上が達成され得る。1つ以上のこれらの特性を表すパッドの構成の例が、以下でさらに、本書で検討される1つ以上の実施形態に関連して検討される。
以下でより詳細に検討されるように、貯蔵弾性率E’は、基板全体にわたって研磨結果が均一になることを確保する上で重要な要因であり、したがって研磨パッドの性能に関する有用な測定基準である。貯蔵弾性率E’は、通常、印加された引張応力を、応力−ひずみ曲線の弾性線形部内の引張ひずみで除算することによって計算される(例えば傾斜、即ちDy/Dx)。同様に、粘性応力の粘性ひずみに対する比は、損失弾性率E’’を規定するのに使用される。貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’がどちらも、固有の材料特性であり、分子間及び分子内の両方の、材料内の化学結合の結果として生じることは、留意される。貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定(DMA)といった材料試験技法(例えばASTM D4065、D4440、及びD5279)を用いて、所望の温度で測定されてよい。異なる材料間で特性を比較するとき、40°Cといった、25°Cから40°Cの間の範囲の単一の温度で、その材料の貯蔵弾性率E’を測定するのが典型的である。
研磨パッドの性能及び均一性に関するもう1つの関連する測定基準は、研磨パッドの圧縮減衰特性及び反発減衰特性といった、材料の減衰力の測定である。減衰を測定する一般的な方法は、所望の温度における材料のタンデルタ(tan δ)を計算することである。このときtan δは、損失弾性率/貯蔵弾性率=E’’/E’である。異なる材料間で特性を比較するときには、材料のtan δの測定値を、40°Cといった単一の温度で比較するのが典型的である。別様に明記されていない限り、本書に記載されるtan δの測定は、約1ヘルツ(Hz)の周波数で約5°C/分の温度傾斜率で実施された、DMA試験プロセスを用いて実施された。Tan δは、概して、印加された周期的なひずみの影響を受ける材料内の化学的構造に、どれほど「粘度があるか」という測定基準であり、力が解放されると好適な低エネルギーの配座及び構造に戻る、可撓性があってコイルしている脂肪族ポリマー鎖といった、材料内のバネのような弾性の化学的構造と対比される。例えば、ある材料の弾性が低ければ低いほど、周期的な荷重が印加されたときに、材料中の粘性の分子セグメントの反応が材料中の弾性の分子セグメントよりも遅れ(位相シフト)、熱が生成される。基板の処理中に研磨パッド内で生成された熱は、研磨処理の結果(例えば研磨の均一性)に対して影響を与え得るものであり、したがってパッド材料を賢明に選択することによって、制御及び/または補償されるべきである。
研磨パッドの材料の硬さは、研磨後に基板上で見られる研磨の均一性の結果と、材料除去速度に対して、ある役割を果たし得る。しばしばロックウェル、ボール、またはショア硬さスケールを用いて測定される材料の硬さは、圧入部に向けた材料の抵抗を測定し、実験による硬さの値を提供するものであり、貯蔵弾性率E’が増大するのに伴って、同調、即ち一緒に増大してよい。パッド材料は、通常、ショア硬さスケールを用いて測定される。ショア硬さスケールは、通常、ASTM D2240技法を用いて測定される。通常、パッド材料の硬さ特性は、ショアAスケールまたはショアDスケールのどちらかで測定される。これらのスケールは、ポリオレフィンといった、より軟らかい、即ち低貯蔵弾性率E’のポリマー材料に対して一般的に使用される。ロックウェル硬さ(例えばASTM D785)試験もまた、熱可塑性材料または熱硬化性材料といった、「硬い」剛性の工学ポリマー材料を試験するのに用いられてよい。
研磨パッド装置及び研磨方法
図1Aは、複数の研磨ステーション100を内包する、より大きな化学機械研磨(CMP)システム内に置かれていてよい、研磨ステーション100の概略断面図である。研磨ステーション100はプラテン102を含む。プラテン102は、中心軸104を中心にして回転し得る。研磨パッド106は、プラテン102上に置かれ得る。典型的には、研磨パッド106は、研磨ステーション100内で処理される基板110のサイズ(例えば基板直径)よりも少なくとも1倍〜2倍大きいプラテン102の上表面を覆っている。一実施形態では、研磨パッド106とプラテン102の直径は、約6インチ(150mm)と約40インチ(1,016mm)の間である。研磨パッド106は、1つ以上の基板110に接触して処理するように構成された研磨面112と、プラテン102の表面を覆って置かれている支持面103とを含む。プラテン102は、研磨中に、研磨パッド106を支持し、研磨パッド106を回転させる。キャリアヘッド108は、基板110を、研磨パッド106の研磨面112に接触させて、保持する。キャリアヘッド108は、通常、基板110を研磨パッド106に接触させるために使われる可撓性のダイヤフラム111と、研磨処理中に基板の表面にわたって見られる圧力分布の本質的な不均一性を補正するために使われる保持リング109とを含む。キャリアヘッド108は、中心軸114を中心にして回転し、かつ/または、基板110と研磨パッド106との間に相対な動きを発生させる、スイープ運動(sweeping motion)で動き得る。
給送アーム118が、研磨スラリといった研磨用流体116を給送し、この研磨用流体は、研磨中に研磨面112に供給される。研磨流体116は、基板の化学機械研磨を可能にするために、研磨粒子、pH調整剤、及び/または、化学的に活性な成分を含有していてよい。研磨流体116のスラリ化学特性は、ウエハ表面及び/または、金属、金属酸化物、及び半金属酸化物を含み得る特徴を研磨するように設計されている。通常、研磨ステーション100はまた、研磨処理サイクル中の種々の時点でパッドコンディショニングディスク128(例えばダイヤモンドが植えつけられたディスク)を研磨面112に接触させ、接触面112をわたってスイープさせて、研磨パッド106の表面112を研磨し活性化するように構成された、コンディショニングアーム122並びにアクチュエータ124及び126を含む、パッドコンディショニングアセンブリ120も含む。
図1B〜図1Cは、研磨ステーション100内に置かれている、キャリアヘッド108及び従来型の「硬い」即ち高貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Aの一部の概略断面図である。図1D〜図1Eは、研磨ステーション100内に置かれている、キャリアヘッド108及び従来型の軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bの一部の概略断面図である。図1F〜図1Gは、研磨ステーション100内に置かれている、キャリアヘッド108及び、以下でさらに記載される高機能研磨パッド200の一実施形態の、一部の概略断面図である。明確にするため、可撓性ダイヤフラム111及びキャリアヘッド108の上部は、図1B〜図1Gからは除外されている。稼働中、可撓性ダイヤフラム111(図1A)は、基板110を研磨パッド106A、106Bまたは高機能研磨パッド200に接触させるように置かれており、キャリアヘッド108の装着部(図示せず)に連結されたキャリアヘッドアクチュエータ(図示せず)は、キャリアヘッド108と保持リング109を別々に、研磨パッド106A、106B、または高機能研磨パッド200の表面に接触させるように構成されている。図1C、図1E及び図1Fに示すように、可撓性ダイヤフラム111は、基板110の背面に対して、印加力F2として図示されている圧力を印加するように構成されており、キャリアヘッドアクチュエータは、保持リング109に対して力F1を印加するように構成されている。
図1Bは、基板110に対して研磨処理が実施される前の、キャリアヘッド108内で従来型の「硬い」即ち高貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Aの一部の上方に置かれた、基板110のエッジの一部を示す。基板110は、後続のCMPプロセス中に除去及び/または平坦化される、1つ以上のデバイス特徴110B(図1H)を有する、層110Aを含む。図1Cは、図1Bに示す従来型の「硬い」研磨パッド106Aを使用した研磨処理中の、基板110を示す。「硬い」研磨パッドを使用するCMPプロセスは、基板110のエッジで見られるエッジ効果によって、不均一な平坦化実績を有する傾向があることが分かっている。このエッジ効果は、具体的には、CMPプロセスの間に基板110のエッジでより大きく見られる固有の研磨不均一性を補償するために、力F1を保持リング109に印加する必要性に関する。言い換えれば、「硬い」研磨パッドを形成するのに使用される材料の、貯蔵弾性率E’が高いか、剛性であるか、または硬いという性質によって、保持リング109が「硬い」研磨パッド106Aに力F1を印加したときに、パッドの反発またはリッジ107Aが形成される。リッジ107Aの形成は、概して、基板110のエッジを基板110の中央よりも速く研磨するようにさせるための印加力F1による、「硬い」研磨パッド106Aの変形107Bに関連している。基板110のエッジで研磨速度がより高いことによって、「グローバル」なCMP平坦化の不均一性(例えば、基板全体にわたる不均一性)が生じる結果となる。
図1Hは、従来型の「硬い」研磨パッド106Aを使用して研磨されている、基板110の一部の概略断面図である。示されるように、基板110は、層110A内に形成され、CMPプロセス中に除去及び/または平坦化される複数の特徴部110Bを含む。この例では、「硬い」研磨パッド106Aを形成するのに使用される材料の、貯蔵弾性率E’が高いか、剛性であるか、及び/または硬い性質によって、可撓性ダイヤフラム111が基板110に力F2を印加したときに、顕微鏡スケール(例えば10nm〜1000nmの特徴部のピッチ)の顕著な変形が生じることは不可能であろう。この場合、「硬い」研磨パッド106Aは概して、許容可能な量の平坦化、及び顕微鏡スケールの平坦化効率を実現するが、上記の理由で、実現されるグローバルな平坦化の結果は、好ましいものではない。
図1Dは、基板110に対して研磨処理が実施される前の、キャリアヘッド108内で従来型の軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bの上方に置かれた、基板110のエッジの一部を示す。基板110は、後続のCMPプロセス中に除去及び/または平坦化される、1つ以上のデバイス特徴110B(図1I)を有する層110Aを含む。図1Eは、図1Dに示す従来型の軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bを使用した研磨処理中の、基板110を示す。軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッドを使用したCMPプロセスは、CMPプロセス中に保持リング109が生成する印加力F1及び可撓性ダイヤフラム111が生成する印加力F2の影響で、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッドが、比較的容易に変形することによって、不均一な平坦化実績を有する傾向があることが分かっている。言い換えれば、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bを形成するのに使用される材料の、軟らかく、可撓性があり、貯蔵弾性率E’が低い性質によって、保持リング109が供給する力F1の影響を最小化することが可能になり、保持リング109の下向きの力を補償するパッドの能力が向上する。この低貯蔵弾性率材料の圧縮応答によって、保持リングが圧縮から速やかに回復することと、研磨処理中の基板の中央とエッジとの間の研磨速度の差がより小さくなることが可能になる。したがって、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッドを使用することは、よりグローバルなCMP平坦化の均一性につながる。
図1Iは、従来型の軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bを使用して研磨されている、基板の一部の概略断面図である。この例では、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bを形成するのに使用される材料の、可撓性があるか、軟らかいか、または貯蔵弾性率E’が低い性質によって、可撓性ダイヤフラム111が基板110に力F2を印加したときに、顕微鏡スケール(例えば10nm〜1000nmの特徴部のピッチ)の変形が生じることが可能であろう。図1Iに示すように、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106B内の材料は、変形し、続いてデバイス特徴110B間の層110Aの領域に接触して、この領域を研磨することが可能である。特徴部110Bの頂部と特徴部110B間の領域の一部とを同時に研磨する動作によって、平坦化の不均一性と、他の平坦化の問題が作り出されるであろう。この場合、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の研磨パッド106Bは、概して、許容可能量のグローバルな平坦化を実現するが、達成される平坦化効率は好ましくなく、ディッシングの結果は好ましくない。低貯蔵弾性率を含む研磨パッドは、耐スクラッチ性能という顕微鏡スケールの利点を提供する。なぜならばそれらのパッドは、パッド表面と基板表面との間に配置され得る硬い不具合が、より貯蔵弾性率の高い材料によって基板表面に対して押し付けられるのではなく、パッド母材中に押圧及び/または受容されることを可能にするからである。
高機能研磨パッド
本開示の実施形態は、概して、付加製造プロセスを用いて形成することができる高機能研磨パッド200を提供する。高機能パッドは、典型的に、少なくとも2つの異なる材料の組成物から形成された別個の特徴または領域を含む、パッド本体を有する。図1F〜図1Gは、研磨ステーション100内に置かれている、高機能研磨パッド200のキャリアヘッド108及びパッド本体202の一部の概略断面図である。概して、高機能研磨パッド200であって、高機能パッドの機械的、構造的、及び/または動的特性を改良するため、研磨プロセス中に印加された荷重が、2つ以上の材料の組成物を含む研磨体202の領域中に分配されるように構成された、高機能研磨パッド200を形成することが望ましい。一実施形態では、パッド本体202は、少なくとも、第1の貯蔵弾性率E’材料(例えば高貯蔵弾性率E’材料)から形成された第1の研磨要素204と、第2の貯蔵弾性率E’材料(例えば中または低貯蔵弾性率E’材料)から形成された第2の研磨要素206を含んでいてよい。ある構成では、第1の研磨要素204の支持面203からの高さ150は、第2の研磨要素206の高さ151よりも高く、そのため第1の研磨要素204の上表面208は、第2の研磨要素206の上方に突き出ている。一実施例では、図1Gに示すとおり、力F2が、可撓性ダイヤフラム111によって、第1の研磨要素204を通って、図1Aに示すプラテン102といった支持部材に支持されている第2の研磨要素206まで、伝達されている。それによって、これらの研磨要素それぞれの中の材料の組み合わせである、所望の機械的特性及び動的特性を有する高機能研磨パッドが形成されている。高機能研磨パッドは、貯蔵弾性率がより高いタイプの研磨用特徴部と貯蔵弾性率が低いタイプの支持用特徴部とを分けることによって、グローバルな平坦性の向上という利点を提供しているが、一方で、最上部のパッドの貯蔵弾性率がより高いことによって提供されるダイ及びアレイのレベルの平坦性を向上するという利点は、維持されている。
図1Jは、本開示の一実施形態による、高機能研磨パッド200を使用して研磨されている、基板110の一部の概略断面図である。図1Jに示すように、ある実施形態では、研磨体202内の第1の研磨要素204は、基板110の表面上に形成された少なくとも2つ以上のデバイス特徴110B(例えば、集積回路素子)の距離にまたがるのに十分な大きさで形成されている。ある実施形態では、第1の研磨要素204のうちの1つ以上は、それらが基板の主寸法(例えば円形の基板の半径)よりも小さいが、基板110上に存在する最小のデバイス特徴のサイズよりは大きくなるようにして、サイズ決めされている。ある実施形態では、複数の第1の研磨要素204はそれぞれ、研磨面に平行である横方向の寸法208Lを有し、その寸法は約250マイクロメートルと約3ミリメートルの間のサイズである。第1の研磨要素204が研磨面208において円形、正方形、長方形、または三角形の断面を有する一実施例では、横方向の寸法(例えば長さ208L)は、第1の研磨要素204の直径であるか、または正方形、長方形もしくは三角形それぞれの一辺であることができる。第1の研磨要素204が研磨面208において環状体または円弧の形状をしている別の一実施例では、横方向の寸法(例えば幅214)は、半径に沿って測定された環状体もしくは円弧の厚さであることができ、またはあるケースでは、環状体の外径でさえあることができる。こうして、以下でさらに検討されるように、高機能研磨パッドを使用して基板に対して実施される研磨処理の実績を向上させるために、第1の研磨要素204と1つ以上の第2の研磨要素206との組み合わせを使用して、高機能研磨パッドの特性及び性能を調整することができる。
ある実施形態では、高機能研磨パッド200は、少なくとも1つの高貯蔵弾性率E’研磨要素、中貯蔵弾性率E’研磨要素、及び/または低貯蔵弾性率E’研磨要素、及び/または化学構造特性を含んでいてよい。例えば、高貯蔵弾性率E’材料の組成物は、芳香環及びいくつかの脂肪族鎖を含む化学基及び/または構造特性のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらの混合物であってよい。あるケースでは、高貯蔵弾性率E’材料は、2%よりも高い架橋密度を有する。高貯蔵弾性率E’組成物は、高機能研磨パッド内で最も剛性が高く、高い硬さの値を有し、最も伸びを示さない要素であってよい。中貯蔵弾性率E’組成物は、架橋や芳香環の混合物を含んでいてよいが、高貯蔵弾性率E’組成物よりも大量の脂肪族鎖、エーテルセグメント、及び/またはポリウレタンセグメントを含んでいてよい。中貯蔵弾性率E’組成物は、中間の剛性と硬さを有し、高貯蔵弾性率E’材料よりも多量の伸びを示してよい。低貯蔵弾性率E’組成物は、脂肪族鎖、エーテルセグメント、及び/またはポリウレタンセグメントを含んでいてよいが、芳香環または架橋による寄与は最小限であるか、まったくない。低貯蔵弾性率E’組成物は、可撓性を有し、軟らかく、及び/またはゴム状であってよい。
温度30°における所望の低、中、及び/または高貯蔵弾性率E’特性(E’30)を有する材料が、表1に要約されている。
(表1)
一実施形態では、そして表1を参照すると、研磨パッド本体202は、異なる貯蔵弾性率E’及び/または損失弾性率E’’を有する、少なくとも1つの粘弾性材料から形成されていてよい。結果として、パッド本体は、第1の貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’を有する第1の材料または第1の組成物の材料、並びに、第1の貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’とは異なる第2の貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’を有する第2の材料または第2の組成物の材料を含んでいてよい。ある実施形態では、研磨パッド表面の特徴部は、1つ以上のフォームファクタまたは寸法を有する複数の特徴部を含んでいてよく、種々の機械的特性、熱的特性、界面特性、及び化学的特性を有する特徴部の混合体であってよい。例えば、パッド本体の上一面に、その上に、及びその内部に配置されたチャネル、溝、及び/または隆起部といったパッド表面の特徴部は、第1の材料または第1の組成物の材料に由来する貯蔵弾性率E’のより高い特性と、第1の材料または第1の組成物の材料よりも弾性的である第2の材料または第2の組成物の材料に由来する、貯蔵弾性率E’のより低い特性の両方を含んでいてよい。
本書で使用する高機能研磨パッド200という語は、上記で検討され以下でさらに検討される属性、材料、特徴、及び/または特性のうちの1つ以上を内包する高機能な研磨パッドを広く表すことを意図している。高機能研磨パッドの具体的な構成を、図2A〜図2Kに示す実施例に関連して検討する。別様に明記されていない限り、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206という語は、高機能研磨パッド200の研磨体内の部分、領域、及び/または特徴を広く表すことを意図している。図2A〜図2Kに示す高機能研磨パッドの種々の構成の具体的な例は、本書の開示の範囲を限定することを意図してはいない。なぜならば、他の同様の構成も、本書に記載の1つ以上の付加製造プロセスを使用して形成されていてよいからである。
高機能研磨パッドは、層ごとに自動で逐次的に少なくとも1つの樹脂前駆体組成物を堆積し、続いて少なくとも1つの硬化ステップを行うことによって、形成されていてよい。各層は、少なくとも1つのポリマー組成物、及び/または種々の組成物の領域を表していてよい。この組成物は、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、反応性希釈剤、及び硬化剤を含んでいてよい。官能性ポリマーは、多官能性アクリレート前駆体組成物を含み得る。複数の固体ポリマー層を形成するために、1つ以上の組成物のUV放射及び/または熱エネルギーへの曝露といった、1つ以上の硬化ステップが用いられ得る。このようにして、研磨パッド全体が3D印刷によって複数のポリマー層から形成されてよい。硬化された層の厚さは、約0.1ミクロンから約1ミリメートルまで、例えば5ミクロンから約100ミクロンまで、例えば25ミクロンから約30ミクロンまでであってよい。
本開示による研磨パッドが持つ、パッド本体202全体にわたる貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’といった機械的特性は、研磨要素ごとの少なくとも1つの組成勾配に表されるように、様々であってよい。静的機械特性、動的機械特性及び摩耗特性を含み得る、目標の研磨パッド特性を実現するため、研磨パッド200全体にわたる機械的特性は、対照または非対称、均一または不均一であってよい。研磨パッド全体にわたって貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E’’を含む目標の特性を実現するために、パッド本体202全体にわたる研磨要素204、206のどちらのパターンも、放射状、同心、長方形、螺旋形、フラクタル、またはランダムであってよい。有利には、3D印刷プロセスによって、パッドの特定のパッドエリアにおいて、またはパッドのより大きいエリアにわたって、所望の特性を持った材料の組成物の、具体的な配置が可能になる。それによって、各特性が組み合わされてより優れた特性の平均または特性の「複合物」が示される。
高機能研磨パッドの構成の実施例
図2Aは、本開示の一実施形態による高機能研磨パッド200aの、概略斜視断面図である。1つ以上の第1の研磨要素204aは、1つ以上の第2の研磨要素206aに連結されて環状のパッド本体202を形成している、1つおきに形成されている(alternating)同心円として形成されていてよい。ある実施形態では、第1の研磨要素204aの支持面203からの高さ210は、第2の研磨要素206aの高さ212よりも高く、そのため第1の研磨要素204aの上表面208は、第2の研磨要素206aの上方に突き出ている。一実施形態では、第1の研磨要素204は、第2の研磨要素206aの一部212Aの上に配置されている。第1の研磨要素204a間に溝218またはチャネルが形成されており、溝218またはチャネルは、第2の研磨要素206aの少なくとも一部を含んでいる。研磨中には、第1の研磨要素204aの上表面208が基板と接触する研磨面を形成する一方、溝218は、研磨流体を保持して運ぶ。一実施形態では、第1の研磨要素204aは、研磨面と平行な面、即ちパッド本体202の上表面208に対して、直角の方向(即ち、図2AのZ方向)に第2の研磨要素206aよりも厚く、それによって、パッド本体202の上表面にチャネルまたは溝218が形成される。
一実施形態では、第1の研磨要素204aの幅214は、約250ミクロンと約5ミリメートルの間であってよい。硬い第1の研磨要素204a間のピッチ216は、約0.5ミリメートルと約5ミリメートルの間であってよい。各第1の研磨要素204aは、約250ミクロンから約2ミリメートルの範囲内の幅を有していてよい。幅214及び/またはピッチ216は、高機能研磨パッド200の半径の端から端までにわたって変動し、様々な硬さのゾーンを規定していてよい。
図2Bは、本開示の一実施形態による、高機能研磨パッド200bの概略的な部分上面図である。高機能研磨パッド200bは、高機能研磨パッド200bが互いにインターロックしている第1の研磨要素204bと第2の研磨要素206bを含んでいることを除き、図2Aの高機能研磨パッド200と同様である。第1の研磨要素204b及び第2の研磨要素206bは、複数の同心の輪を形成している。第1の研磨要素204bは、突き出た垂直リッジ220を含んでいてよく、第2の研磨要素206bは、垂直リッジ220を受容するための垂直凹部222を含んでいてよい。代わりに、第2の研磨要素206bが突き出たリッジを含んでいてよい一方で、第1の研磨要素204bが凹部を含んでいてもよい。高機能研磨パッド200bは、第2の研磨要素206bが第1の研磨要素204bとインターロックしていることによって、CMPプロセス中及び/または材料を扱っている間に発生し得るせん断力の印加に対する機械的強度が強化されている。一実施形態では、第1の研磨要素と第2の研磨要素は、インターロックして、研磨パッドの強度を向上させ、かつ、研磨パッドの物理的一体性を向上させ得る。特徴部間のインターロックは、物理的及び/または化学的な力によるものであってよい。
図2Cは、本開示の一実施形態による、高機能研磨パッド200cの概略的な斜視断面図である。研磨パッド200cは、第2の研磨要素206cといったベース材料層から延びる、複数の第1の研磨要素204cを含む。第1の研磨要素204cの上表面208は、研磨中に基板に接触する研磨面を形成する。第1の研磨要素204c及び第2の研磨要素206cは、異なる材料特性及び構造特性を有する。例えば、第1の研磨要素204cは硬い材料から形成されていてよいが、一方で第2の研磨要素206cは軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の材料から形成されていてよい。研磨パッド200cは、高機能研磨パッド200と同様に、3D印刷によって形成され得る。
各第1の研磨要素204cは、ほぼ同じサイズであってよいか、または、サイズが様々であることで、研磨パッド200c全体にわたって貯蔵弾性率E’が様々であるか、及び/または損失弾性率E’’が様々であるといったように、機械的特性が様々になっていてもよい。第1の研磨要素204cは、研磨パッド200cの全体にわたって均一に分布していてよいか、または高機能研磨パッド200cの所望の特性を実現するために、不均一なパターンで配列されていてもよい。
図2Cでは、第1の研磨要素204cは、第2の研磨要素206cから延びる円柱として示されている。代わりに、第1の研磨要素204cは、例えば環状体、部分的な環状体(例えば円弧)、卵形、正方形、長方形、三角形、多角形、もしくは他の不規則な形またはそれらの組み合わせの断面形状を持つ柱であるといったように、任意の適切な断面形状のものであってもよい。一実施形態では、第1の研磨要素204cは、硬さ、機械的強度、または高機能研磨パッド200cの他の所望の特性を調節するため、種々の断面形状のものであってよい。
図2Dは、本開示の一実施形態による、高機能研磨パッド200cの研磨体202の概略部分側面断面図である。高機能研磨パッド200dは、高機能研磨パッド200dが互いにインターロックしている第1の研磨要素204dと第2の研磨要素206dを含んでいることを除き、図2A〜図2Cの高機能研磨パッド200a、200bまたは200cと同様である。第1の研磨要素204d及び第2の研磨要素206dは、例えば図2A、2B、及び2Cに示されている、パッド本体202の一部を形成している複数の同心の輪及び/または別個の要素を含んでいてよい。一実施形態では、第1の研磨要素204dが突き出た側壁224を含んでいてよい一方、第2の研磨要素206dは、第1の研磨要素204dの突き出た側壁224を受容するための領域225を含んでいてよい。代わりに、第2の研磨要素206dが突き出た側壁を含んでいてよい一方で、第1の研磨要素204dが、突き出た側壁を受容するように構成された領域を含んでいてもよい。第2の研磨要素206cを第1の研磨要素204dとインターロックさせることによって、高機能研磨パッド200dは、引張強さ、圧縮強さ、及び/またはせん断強さの増大を示し得る。加えて、嵌合している側壁によって、高機能研磨パッド200dがばらばらに引き離されるのが防止される。
一実施形態では、第1の研磨要素204dと第2の研磨要素206dとの境界は、第1の研磨要素204dを形成するのに使われている第1の組成物から第2の研磨要素206dを形成するのに使われている第2の組成物への遷移または組成勾配といった、少なくとも1つの組成物の材料から別の組成物の材料への凝集した(cohesive)遷移を含む。材料の凝集性は、本書に記載の付加製造プロセスの直接的な結果であり、これによって、層ごと付加的に形成された構造内の2つ以上の化学的組成物をミクロンのスケールで制御し、密に混合することが可能になる。
図2Eは、本開示の一実施形態による研磨パッドの概略部分断面図である。高機能研磨パッド200eは、高機能研磨パッド200eが別様に構成されたインターロック用特徴部を含んでいることを除き、図2Dの高機能研磨パッド200dと同様である。高機能研磨パッド200eは、複数の同心の輪及び/または別個の要素を有する、第1の研磨要素204e及び第2の研磨要素206eを含んでいてよい。一実施形態では、第1の研磨要素204eが水平リッジ226を含んでいてよい一方、第2の研磨要素206eは、第1の研磨要素204eの水平リッジ226を受容するための水平凹部227を含んでいてよい。代わりに、第2の研磨要素206eが水平リッジを含んでいてよい一方で、第1の研磨要素204位eが水平凹部を含んでいてもよい。一実施形態では、図2Bの嵌合用特徴部といった垂直のインターロック用特徴部と、図2D及び図2Eのインターロック用特徴部といった水平のインターロック用特徴部とが組み合わされて、高機能研磨パッドを形成してよい。
図2F〜図2Kは、本開示の実施形態による様々な研磨パッド設計の概略平面図である。図2F〜図2Kの各々は、基板と接触して基板を研磨するための、第1の研磨要素204f〜204kをそれぞれ表す白色領域(白色ピクセルの領域)と、第2の研磨要素206f〜206kを表す黒色領域(黒色ピクセルの領域)とを有する、ピクセルチャートを含む。同じく本書で検討されているように、白色領域は概して黒色領域の上方に突き出ており、それによって白色領域間の黒色領域内にチャネルが形成されている。一実施例では、ピクセルチャート内のピクセルは、X方向とY方向への配列といった長方形のパターンで配列されている。これらの配列は、高機能研磨パッドの層内または層の一部内で、様々な材料の位置を規定するのに使用される。別の実施例では、ピクセルチャート内のピクセルは、六方最密充填配列タイプのパターン(例えば、1個のピクセルが6個の最近接ピクセルに囲まれている)で配列されており、この配列は、研磨パッドの層内または層の一部内で様々な材料の位置を規定するのに使用される。研磨中、研磨スラリは、チャネルを通って流れていてよく、チャネル内に保持されていてよい。図2F〜図2Kに示す研磨パッドは、付加製造プロセスを用いて材料の複数の層を堆積させることによって形成されていてよい。複数の層の各々は、第1の研磨要素204f〜204k、及び第2の研磨要素206f〜206kを形成する、2つ以上の材料を含んでいてよい。一実施形態では、第1の研磨要素204f〜204kは、研磨パッドの頂面上に溝及び/またはチャネルが形成されるように、材料の複数の層に平行な平面に対して直角の方向に、第2の研磨要素206f〜206kよりも厚くてよい。
図2Fは、複数の同心円状研磨用特徴部204fを有する、高機能研磨パッド設計200fの概略的なピクセルチャートである。研磨用特徴部204fは、等幅の同心円であってよい。一実施形態では、第1の研磨要素のピッチが半径方向に沿って一定になるように、第2の研磨要素206fもまた、等幅を有していてよい。研磨中、第1の研磨要素204f間のチャネルが、研磨スラリを保持し、研磨パッドの中心軸(すなわち同心円の中心)を中心とした研磨パッドの回転によって生成される遠心力による、研磨スラリの急速な損失を防止する。
図2Gは、同心円に配置された複数の区分けされた第1の研磨要素204gを有する研磨パッド設計200gの、概略的なピクセルチャートである。一実施形態では、区分けされた第1の研磨要素204gは、ほぼ等しい長さを有していてよい。区分けされた第1の研磨要素204gは、複数の同心円を形成していてよい。各円において、区分けされた第1の研磨要素204gは、各同心円の中に均等に分布していてよい。一実施形態では、区分けされた第1の研磨要素204gは、半径方向に等しい幅を有していてよい。ある実施形態では、区分けされた第1の研磨要素204gは、同心円の半径にかかわりなく、ほぼ等しい長さを有する(例えば、研磨パッドの中央領域を除いて弧長が等しい)。一実施形態では、第2の研磨要素206gは、複数の同心円の間に配置されており、同心円のピッチが一定になるように、等しい幅を有している。一実施形態では、研磨パッドの中心軸を中心とした研磨パッドの回転によって生成される遠心力の影響で研磨スラリが研磨パッドから直接流出することを防止するために、区分けされた第1の研磨要素204g間の間隙が、円ごとに互い違いにずれていてよい。
図2Hは、第2の研磨要素206hの上一面に配置された、螺旋状の第1の研磨要素204hを有する、研磨パッド設計200hの概略的なピクセルチャートである。図2Hでは、研磨パッド200hは、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジへと延びる、4つの螺旋状の第1の研磨要素204hを有する。4つの螺旋状の研磨用特徴部が示されているが、より少ないかまたはより多い数の螺旋状の研磨要素204h が、同様の態様で配置されていてよい。螺旋状の第1の研磨要素204hは、螺旋状のチャネル218hを画定する。一実施形態では、螺旋状の第1の研磨要素204hの各々は、一定の幅を有する。一実施形態では、螺旋状のチャネル218hもまた一定の幅を有する。研磨中、研磨パッドは、螺旋状のチャネル内に研磨スラリを保持するために、螺旋状の第1の研磨要素204hの方向とは反対の方向に、中心軸を中心に回転してよい。例えば図2Hでは、螺旋状の第1の研磨要素204h及び螺旋状のチャネルは、反時計回り方向に形成されており、したがって研磨パッドは研磨中、時計回りに回転して、螺旋状のチャネル内及び研磨パッド上の研磨スラリを保持してよい。一部の構成では、螺旋チャネルの各々は、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジまで連続している。この連続螺旋チャネルは、研磨スラリが、研磨屑があればそれらと共に、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジへと流れることを可能にする。一実施形態では、螺旋状の第1の研磨要素204hと同じ方向に(例えば図2Hでは反時計回りに)研磨パッドを回転させることによって、研磨パッドが洗浄されてよい。
図2Iは、第2の研磨要素206i上に螺旋状のパターンで配置された、区分けされた第1の研磨要素204iを有する、研磨パッド設計200iの概略的なピクセルチャートである。図2Iに示す高機能研磨パッドは、第1の研磨要素204iが区分けされている点と第1の研磨要素204iの径方向のピッチが変化している点を除き、図2Hの研磨パッドと同様である。一実施形態では、処理中の研磨パッドの表面の種々の領域におけるスラリの保持を調整及び/または制御するため、区分けされた第1の研磨要素204iの径方向のピッチは、研磨パッドの中心から研磨パッドのエッジ領域に向かって小さくなっている。
図2Jは、第2の研磨要素206j内に形成された、複数の別個の第1の研磨要素204jを有する、研磨パッド設計200jの概略的なピクセルチャートである。一実施形態では、複数の第1の研磨要素204jのそれぞれは、図2Cに示す構成と同様の、円柱ポストのタイプの構造であってよい。一実施形態では、複数の第1の研磨要素204jは、研磨面の平面内で同じ寸法を有し得る。一実施形態では、複数の円筒形の第1の研磨要素204jは、同心円で配置され得る。一実施形態では、複数の円筒形の第1の研磨要素204jは、研磨面の平面に対して規則的な2Dパターンで配置され得る。
図2Kは、第2の研磨要素206kの上一面に形成された、複数の別個の複数の第1の研磨要素204kを有する、研磨パッド設計200kの概略的なピクセルチャートである。図2Kの研磨パッドは、いくつかの図2Kの研磨要素204kが接続されて1つ以上の閉じた円を形成し得ることを除いて、図2Jの研磨パッドと同様である。1つ以上の閉じた円は、研磨中に研磨スラリを保持するための、1つ以上の堰き止め部を作り出し得る。
図2Aから図2Kの設計における第1の研磨要素204a〜204kは、同一の材料または同一の組成物の材料から形成されていてよい。代わりに、図2Aから図2Kの設計における第1の研磨要素204a〜204kの材料組成及び/または材料特性は、研磨用特徴部ごとに変動してもよい。材料組成及び/または材料特性が個別化されていることによって、研磨パッドの特定のニーズに向けたカスタマイズが可能になる。
付加製造装置及びプロセスの実施例
図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による付加製造システムを用いて高機能研磨パッドを形成するのに使用され得る、付加製造システム350の概略断面図である。付加製造処理は、限定しないが、ポリジェット堆積処理、インクジェット印刷処理、熱溶解積層処理、バインダージェッティング処理、粉末床溶融結合処理、選択的レーザ焼結処理、ステレオリソグラフィ処理、液槽光重合デジタルライトプロセシング、シート積層処理、指向性エネルギー堆積処理、または他の同様の3D堆積処理といった、処理を含み得る。
付加製造システム350は、一般的に、前駆体給送セクション353、前駆体形成セクション354、及び堆積セクション355を含む。堆積セクション355は、一般的に、付加製造装置(または、以後印刷ステーション300と呼ぶ)を含む。高機能研磨パッド200は、印刷ステーション300内の支持体302上で印刷されてよい。通常、高機能研磨パッド200は、図3Aに示すプリンタ306A及びプリンタ306Bといった1つ以上の液滴噴射プリンタ306を使用して、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムから、層ごとに形成される。プリンタ306A、306Bと支持体302とは、印刷処理中に、互いに対して移動し得る。
液滴噴射プリンタ306は、液体前駆体を分注するための1つ以上のノズル(例えばノズル309〜312)を有する、1つ以上のプリントヘッド308を含み得る。図3Aの実施形態では、液滴噴射プリンタ306Aは、ノズル309を有するプリントヘッド308Aと、ノズル310を有するプリントヘッド308Bとを含む。ノズル309が、軟性即ち低貯蔵弾性E’のポリマーといった第1のポリマー材料を形成する第1の液体前駆体組成物を分注するように構成されていてよい一方、ノズル310は、硬性のポリマー、即ち高貯蔵弾性率E’を示すポリマーといった、第2のポリマー材料を形成する第2の液体前駆体を分注するために使用されてよい。液体前駆体組成物は、所望の特性を有する高機能研磨パッドを形成するため、選択された箇所または領域に分注されてよい。これらの選択された箇所は、合わせて、CAD適合ファイルとして保存され得るターゲット印刷パターンを形成しており、このターゲット印刷パターンは後に、液滴噴射プリンタ306のノズルからの液滴の給送を制御する電子コントローラ305によって読み込まれる。
コントローラ305は、概して、印刷ステーション300を含む付加製造システム350内の構成要素の制御と自動化を促進するために使用される。コントローラ305は、例えば、コンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、または組込型コントローラであることができる。コントローラ305は通常、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、及び入出力(I/O)用補助回路(図示せず)を含む。CPUは、様々なシステム機能、基板の移動、チャンバ処理、及び制御支援ハードウエア(例えばセンサ、モータ、ヒータなど)を制御するために工業環境で使用される任意の形態のコンピュータプロセッサのうちの1つであってよく、システム内で実施される処理をモニタしてよい。メモリは、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または任意の他の形態のローカルもしくは遠隔のデジタルストレージなど、容易に利用可能な非揮発性メモリのうちの1つ以上であってよい。メモリ内には、CPUに命令するためのソフトウエア命令及びデータをコード化して記憶させることができる。従来の方法でプロセッサをサポートするように、補助回路もまた、CPUに接続される。補助回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含んでいてよい。コントローラ305が読むことができるプログラム(またはコンピュータ命令)が、どのタスクが付加製造システム350の構成要素によって実行可能かを決定する。好ましくは、このプログラムは、プリンタ306から給送される液滴の給送及び位置決め、並びにコントローラ305内で実施されている様々な処理タスク及び様々なシーケンスに沿った、印刷ステーション300内の構成要素の移動、支持、及び/または位置決めの、モニタリングと実行と制御に関連するタスクを実施するコードを含む、コントローラ305が読み取り可能なソフトウエアである。
高機能研磨パッド200は、3D印刷の後、付加製造システム350の堆積セクション355内に配置された硬化装置320を使用して固化されてよい。硬化装置320によって実施される硬化処理は、印刷された研磨パッドを硬化温度まで加熱するか、またはパッドを電磁放射もしくは電子ビーム硬化のうちの1つ以上の形態に曝露することによって、実施されてよい。一実施例では、硬化処理は、印刷された研磨パッドを、硬化装置320内に配置された可視光源、紫外光源、X線源、または他のタイプの電磁波源といった、電磁放射源によって生成された放射321に曝露することによって、実施されてよい。
付加製造プロセスは、種々の材料及び/または種々の組成物の材料から形成された別個の特徴部を有する高機能研磨パッドを作製するための、便利で、高度に制御可能なプロセスを提供する。一実施形態では、付加製造プロセスを用いて、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の特徴部、及び/または硬い即ち高貯蔵弾性率E’の特徴部が形成されてよい。例えば、研磨パッドの軟らかい即ち低貯蔵弾性E’の特徴部は、プリンタ306Bのノズル312から分注されたポリウレタンのセグメントを含有する第1の組成物から形成されてよく、研磨パッドの硬い即ち高貯蔵弾性E’の特徴部は、プリンタ306Aのノズル310から分注された、第2の組成物の液滴から形成されてよい。
別の実施形態では、第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206は、それぞれ2つ以上の組成物の混合物から形成されていてよい。一実施例では、第1の組成物は、プリントヘッド308Aといった第1のプリントヘッドによって、液滴の形態で分注されてよく、第2の組成物は、プリンタ306Aのプリントヘッド308Bといった第2のプリントヘッドによって、液滴の形態で分注されてよい。第1の研磨要素204を複数のプリントヘッドから給送された液滴の混合物で形成することは、第1の研磨要素204に対応する複数のピクセルをコントローラ305内に存在する堆積マップ内の所定のピクセルに合わせて整列させることを必要とするか、または含む。次に、プリントヘッド308Aは、第1の研磨要素204が形成されるべき場所に対応するピクセルに合わせて整列し、それから所定のピクセル上に液滴を分注してよい。こうして、第1の液滴組成物の液滴を堆積させることによって形成される第1の組成物の材料と、第2の液滴組成物の液滴を堆積させることによって形成される第2の組成物の材料を含む第2の材料とから、高機能研磨パッドが形成されてよい。
図3Bは、パッド製造プロセス中の印刷ステーション300と高機能研磨パッド200の、一部の概略断面図である。図3Bに示されるとおり、印刷ステーション300は、逐次的に高機能研磨パッド200の一部を形成するのに用いられる、2つのプリンタ306A及び306Bを含む。図3Bに示す高機能研磨パッド200の一部は、例えば、最終的に形成される高機能研磨パッド200の中の第1の研磨要素204または第2の研磨要素206のどちらかの一部を含んでいてよい。処理中、プリンタ306A及び306Bは、支持体302の第1の表面に対して、また続いて層ごとのプロセスによって支持体302上に堆積した成長中の研磨パッドの表面に対して、それぞれ液滴「A」または「B」を給送するように構成されている。図3Bに示すとおり、支持体302上に形成されている第1の層346の上に、第2の層348が堆積している。一実施形態では、第2の層348は、パッド製造プロセス内でプリンタ306A及び306Bの下流に配置された硬化装置320によって処理されている第1の層346の上に、形成される。ある実施形態では、第2の層348の一部は、プリンタ306A及び306Bのうちの1つ以上が、先立って形成された層346の表面346A上に液滴「A」及び/または「B」を堆積している間に、同時に、硬化装置320によって処理されてよい。このケースでは、現在形成中の層は、硬化ゾーン349Aの両側に配置された処理済み部分348A及び未処理部分348Bを含み得る。未処理部分348Bは、概して、分注された液滴343及び347といった、分注された液滴の列といったパターンを含んでいる。これらの分注された液滴は、それぞれプリンタ306B及び306Aを使用して、先行して形成された層346の表面346A上に堆積したものである。
図3Cは、先立って形成された層346の表面346A上に配置された、分注された液滴343の近接断面図である。分注された液滴343中の材料の特性に基づいて、また表面346Aの表面エネルギーのせいで、分注された液滴は、表面張力によって本来分注された液滴(例えば液滴「A」または「B」)のサイズよりも大きい量で、表面にわたって広がる。分注された液滴が広がる量は、液滴が表面346A上に堆積した瞬間からの時間に応じて変化するであろう。しかし、非常に短い時間(例えば<1秒)の経過後には、液滴の広がりは平衡サイズに到達し、平衡接触角αを有するであろう。分注された液滴が表面にわたって広がることによって、成長中の研磨パッドの表面上に液滴が置かれる解像度が、したがって最終的な研磨パッドの様々な領域内に見られる特徴部及び材料の組成物の解像度が、影響される。
ある実施形態では、液滴「A」及び「B」がある期間にわたって基板表面に接触した後に、これらの液滴の一方または両方を曝露して、液滴が基板表面で未硬化の平衡サイズに広がる機会を持つ前に、各液滴を所望のサイズで硬化、即ち所望のサイズに「固定」することが望ましい。この場合、分注された各液滴の解像度を制御するために、硬化装置320によって分注された液滴及び液滴が置かれた表面に対して供給されるエネルギー、並びに液滴の材料組成が調整される。したがって、3D印刷プロセス中に制御または調節を行うべき1つの重要なパラメータは、分注された液滴の、液滴が置かれた表面に対する表面張力の制御である。ある実施形態では、硬化プロセスの動態を制御し、酸素阻害を防止し、及び/または液滴が置かれた表面上における液滴の接触角を制御するため、液滴の調合物に対して1つ以上の硬化促進成分(例えば光開始剤)を添加することが望ましい。硬化促進成分が一般的に、1)所望の量の電磁放射への最初の曝露中に、分注された液滴中の材料内で生じるバルク硬化の量、2)所望の量の電磁放射への最初の曝露中に、分注された液滴中の材料内で生じる表面硬化の量、及び3)分注された液滴の表面硬化された領域に対する、表面改質(例えば添加剤)の量を、調整できる材料を含んでいるだろうことは、留意されるであろう。分注された液滴の表面硬化領域に対する表面改質の量は、一般的に、分注され、少なくとも部分的に硬化された液滴の表面に見られる、硬化または部分硬化されたポリマーの表面エネルギーの調整を含む。
分注された各液滴の表面特性及び寸法を印刷処理中に「固定」するため、分注された各液滴を部分的に硬化するのが望ましいことが分かっている。液滴を所望のサイズで「固定」する能力は、液滴の材料の組成物に対して少なくとも1つの硬化促進成分を所望の量で添加することと、付加製造プロセス中に十分な量の電磁エネルギーを硬化装置320から送達することによって、実現することができる。ある実施形態では、付加層形成プロセス中に、平方センチ当たり約1ミリジュール(mJ/cm2)と100mJ/cm2の間、例えば約10〜20mJ/cm2の紫外線(UV)を液滴に送達することが可能な、硬化装置320を使用することが望ましい。UV放射は、水銀マイクロ波アークランプ(例えばHバルブ、H+バルブ、Dバルブ、Qバルブ、及びVバルブタイプのランプ)、パルス式キセノンフラッシュランプ、高効率UV発光ダイオードアレイ、及びUVレーザといった、任意のUV源によって提供されてよい。UV放射は、約170nmと約500nmの間の波長を有していてよい。
ある実施形態では、分注された液滴「A」及び「B」のサイズは、約50〜約70ミクロンといったように、約10〜約200ミクロンであってよい。液滴が上一面に及び上に分注された基板またはポリマー層の表面エネルギー(dyne)に応じて、未硬化の液滴は、表面上で及び表面にわたって、約10ミクロンと約500ミクロンの間、例えば約50ミクロンと約200ミクロンの間のサイズ343Aに広がってよい。一実施例では、こうした液滴の高さは、表面エネルギー、濡れ、及び/または、流動剤、増粘剤、及び界面活性剤といった他の添加剤を含み得る樹脂前駆体の組成といった要素に応じて、約5ミクロンから約100ミクロンまでであってよい。添加材の1つの供給元は、ドイツ国ゲーレッツリートのBYK−ガードナーGmbHである。
ある実施形態では、一般的に、分注された液滴が、固定されるべき場所である表面と接触してから約1秒未満、例えば約0.5秒未満で「固定される」のを可能にするために、光開始剤、液滴の組成内の光開始剤の量、及び硬化装置320が供給するエネルギーの量を選択することが望ましい。送達される硬化エネルギーへの曝露によって、分注された液滴が部分的に硬化されるまでにかかる実際の時間は、液滴が送達された放射に曝露される前に表面上にある時間より長いか、または短くてよい。なぜならば、分注された液滴の硬化時間は、硬化源320から提供された放射エネルギーの量と波長に依存するからである。一実施例では、10〜15mJ/cm2の放射曝露レベルのUV放射の場合、120マイクロメートル(μm)の分注された液滴を部分的に硬化するのに使われる曝露時間は、約0.4マイクロ秒(μs)である。この短い時間枠の中で液滴を「固定」しようとするためには、高機能研磨パッドの表面346Aを硬化装置320から送達された放射321に曝露する一方で、液滴噴射プリンタ306の分注ノズルを、研磨パッドの表面から、例えば0.1ミリメートル(mm)と10mmの間、または0.5mmと1mmの間でさえある短い距離に位置決めしなければならない。液滴の組成と、先立って形成された層の硬化の量(例えば、先立って形成された層の表面エネルギーの量)と、硬化装置320からのエネルギーの量と、液滴の組成の中の光開始剤の量とを制御することによって、液滴の接触角αを制御して、固定された液滴の大きさを制御し、したがって印刷プロセスの解像度を制御することが可能であるということもまた、分かっている。一実施例では、下層の硬化は、約70%のアクリレート変換の硬化であってよい。固定された、または少なくとも部分的に硬化された液滴は、本書では以降、硬化された液滴とも呼ばれる。ある実施形態では、固定された液滴のサイズ343Aは、約10ミクロンと約200ミクロンの間である。ある実施形態では、「固定された」液滴の、本書では以降、動的接触角(例えば非平衡接触角)とも呼ばれる接触角は、望ましくは、少なくとも50°、例えば55°超、または60°超でさえある値、さらには70°超でさえある値に制御され得る。
付加製造プロセスによって層または層の一部を形成するのに使用されるピクセルチャート内のピクセルの解像度は、分注された液滴の平均の「固定された」サイズによって規定され得る。層または層の一部の材料組成は、こうして、「分注された液滴の組成」、即ち、層または層の一部内の、ある液滴の組成を持つ液滴を含むピクセルの総数のパーセンテージによって規定され得る。一実施例では、形成された高機能研磨パッドの1つの層の一領域が、第1の分注された液滴の組成が60%である、分注された液滴の組成を有するとして規定された場合、この領域内のピクセルの60%が、第1の材料の組成物を含む固定された液滴を含んでいることになる。層の一部が1つよりも多い材料の組成物を含んでいる場合には、高機能研磨パッド内の一領域の材料組成を、「材料組成比」として規定することも、また望ましくあり得る。材料組成比は、第1の材料の組成物が上に配置されたピクセルの数の、第2の材料の組成物が上に配置されたピクセルの数に対する比である。一実施例では、ある領域が、表面のエリア全体にわたって配置された1,000個のピクセルを含んでおり、このピクセルのうちの600個が第1の液滴組成物の固定された液滴を含み、このピクセルのうちの400個が第2の液滴組成物の固定された液滴を含んでいるとして規定された場合、材料組成比は、3:2である、第1の液滴組成物の第2の液滴組成物に対する比を含むであろう。各ピクセルが1よりも多い固定された液滴(例えばピクセルあたり1.2個の液滴)を含み得る構成では、材料組成比は、規定された領域内に存在する、第1の材料の固定された液滴の数の、第2の材料の固定された液滴の数に対する比として規定されるであろう。一実施例では、ある領域が1,000個のピクセルを含み、この領域内の第1の液滴組成物の固定された液滴が800個、第2の液滴組成物の固定された液滴が400個あるとして規定された場合、高機能研磨パッドのこの領域の材料組成比は、2:1である。
次の下層となる、分注された液滴の表面を硬化する量は、重要な研磨パッド形成処理パラメータの1つである。なぜならば、この「初回照射」における硬化の量が、分注された液滴の次の層が付加製造プロセス中に曝露される、表面エネルギーに影響するからである。各堆積層が、上に続いて堆積する層が成長していくのにつれて、これらの続いて堆積する層を通じて供給される硬化用放射のさらなる伝達に繰り返し曝露されることから、初回の硬化の線量は、形成された研磨パッド内で最終的に達成される各堆積層の硬化の量にも影響するという点においても、また重要である。形成された層のオーバーキュアを防止することは、一般的に望ましいことである。なぜならオーバーキュアは、オーバーキュアされた材料の材料組成及び/または硬化された層の表面の、後続のステップで分注される液滴の後続の堆積に対する濡れ性に影響するからである。一実施例では、分注された液滴の10〜30ミクロンの厚さの層の重合は、各液滴を表面に分注し、次いで、約0.1秒と約1秒の間の時間が経過した後に、分注された液滴を約10mJ/cm2と約15mJ/cm2の間の放射曝露レベルでUV放射に曝露することによって、実施されてよい。しかし、ある実施形態では、初回の硬化照射中に送達される放射レベルは、層ごとに異なっていてよい。例えば、種々の層ごとに分注された液滴の組成が異なっていることによって、各初回投与におけるUV放射への曝露の量は、現在曝露されている層と、同様に1つ以上の下層に対して、所望のレベルの硬化を提供するように調整されてよい。
ある実施形態では、液滴組成及び、最初の硬化ステップ中に硬化装置320から送達されるエネルギーの量を制御することが望ましい。最初の硬化ステップは、分注された液滴が堆積した層が、硬化装置320によって提供されるエネルギーに直接曝露され、層が所望の量まで部分的にのみ硬化されるステップである。一般的に、最初の硬化プロセスは、分注された液滴をバルク硬化するよりも、分注された液滴を表面硬化する方が主であった方が望ましい。なぜならば、分注された液滴のサイズを制御するために、形成された層の表面エネルギーを制御することが重要だからである。一実施例では、分注された液滴が部分的に硬化される量は、分注された液滴内の化学変換された材料の量によって規定することができる。一実施例では、ウレタンポリアクリレート含有層を形成するために使用される分注された液滴中に見られるアクリレートの変換は、以下の等式で計算されるパーセント値xによって規定される。
ここで、AC=C及びAC=Oは、FT−IR分光法を用いて得られた、910cm−1におけるC=Cピークの値、及び1700cm−1におけるC=Oピークの値である。重合中、アクリレート中のC=C結合はC−C結合に変換されるが、一方でアクリレート中のC=Oには変換は生じない。したがって、C=CのC=Oに対する強度が、アクリレート変換率を表す。AC=C/AC=O比が、硬化された液滴中のC=C結合のC=O結合に対する相対的な比率を表しており、したがって、(AC=C/AC=O)0は、液滴中の当初のAC=CのAC=Oに対する比率を意味し、一方で、(AC=C/AC=O)xは、液滴が硬化された後の基板表面におけるAC=CのAC=Oに対する比率を意味する。ある実施形態では、ある層が最初に硬化された量は、分注された液滴のうちの約70%以上であってよい。ある構成では、分注された液滴を約70%から約80%のレベルの硬化エネルギーに最初に曝露している間に、分注された液滴中の材料が部分的に硬化され、それによって分注された液滴の目標とする接触角を達成し得ることが、望ましくあり得る。未硬化のまたは部分的に硬化された頂面上のアクリレート材料は、後続の液滴と共に共重合される結果として、層間の結合が生み出されることが確信されている。
最初の層を形成するステップ中に、分注された液滴を部分的に硬化するプロセスは、残存しているアクリル基といった、残存している未結合基の存在によって、後続して堆積される層の間にいくらかの化学的結合/接着が存在することを確保するためにもまた、重要であり得る。残存している未結合基は重合していないので、後続して堆積される層の中の化学結合の形成に含まれることができる。層間の化学結合の形成はこうして、形成された高機能研磨パッドの、パッド形成プロセス中の層ごとの成長方向(例えば、図3BのZ方向)の、機械的強さを増大させることができる。上記のように、層間の結合はこのような物理的な力及び/または化学的な力の両方によって形成されていてよい。
個別に調整可能な特性を有する層を形成し、形成された層の複合物として所望のパッド特性を有する研磨パッドを形成するため、分注された液滴の混合または分注された液滴の位置決めは、層ごとに調整することができる。一実施例では、図3Bに示すように、分注された液滴の混合物は、50:50の比率で(または材料組成比1:1で)分注された液滴343と347を含む。分注された液滴343は少なくとも1つの、分注された液滴347中に見られる材料とは異なる材料を含む。第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206といった、研磨体202の部分の特性は、堆積プロセス中の分注された液滴の位置決めによって形成された、第1の組成物と第2の組成物の比率及び/または配分に従って、調整または調節されてよい。例えば、第1の組成物の重量%は、総組成物重量当たり約1重量%から、総組成物重量当たり約100%までであってよい。同様に、第2の組成物の重量%は、総組成物重量当たり約1重量%から、総組成物重量当たり約100%までであってよい。硬さ及び/または貯蔵弾性率といった必要とされる材料特性に応じて、2つ以上の材料の組成物は、所望の効果を実現するために種々の比率で混合され得る。一実施形態では、第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206の組成物は、少なくとも1つの組成物または組成物の混合、並びに、1つ以上のプリンタによって分注される液滴のサイズ、位置、及び/または密度を選択することによって、制御される。したがって、形成中の研磨パッドの表面上に、所望の密度とパターンで位置決めされた、かみ合わされた液滴を有する層を形成するために、コントローラ305は、概してノズル309〜310、311〜312を位置決めするのに適合している。ある構成では、分注された液滴は、各液滴が他の液滴とブレンドしない箇所に置かれ、それによって、硬化前にはそれぞれが別個の材料の「島」として残ることを確保するようにして、堆積されてよい。ある構成では、形成速度を上げるため、または材料特性をブレンドするため、分注された液滴は同じ層内の先立って分注された液滴の上に置かれてもよい。表面上における、互いに対する液滴の配置は、層内の分注された液滴それぞれの挙動を部分的に混合できるようにするために調整されてもまたよい。あるケースでは、隣接する液滴中の組成物の混合をより強くまたは弱くするために、液滴同士をそれぞれより近くにまたはより遠くに置くことが、望ましくあり得る。液滴の他の分注された液滴に対する位置決めと、各液滴の組成物を制御することが、形成された高機能研磨パッドの機械的特性及び研磨特性に影響し得ることが分かっている。
第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206を形成するために、概して2つの組成物だけが本書で検討されているが、本開示の実施形態は、組成勾配によって相互接続されている複数の材料で研磨パッド上の特徴部を形成することを包含している。ある構成では、研磨パッド内の第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206の組成は、以下で詳述するように、研磨面に平行な平面内で、及び/または、研磨パッドの厚さを通じて、調節される。
組成勾配を形成する性能、並びに高機能研磨パッド内で局所的に、及び高機能研磨パッド全体にわたって、化学特性を調節する性能は、図3Bに示す液滴「A」及び/または「B」を形成するために使用される、3D印刷技術の中の「インクジェット印刷可能」な低粘度の組成物、または低粘度の「インク」によって可能になっている。低粘度のインクは、「プレポリマー」組成物であり、パッド本体202内に見られる、形成される第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206の「前駆体」である。低粘度インクによって、従来型の技法(例えば、成形及び鋳造)によっては利用不可能である、広範な範囲の化学物質と別個の組成物を給送することが可能になり、その結果、パッド本体202の種々の領域内に、制御された組成の遷移または勾配を形成することが可能になる。これは、適切な粘度の調合物を実現するために高粘度の官能性オリゴマーに対して粘度を希釈する反応性希釈剤を添加して混合し、続いて、硬化装置320が送達する硬化エネルギーに曝露されてこの希釈液がより粘度の高い官能性オリゴマーと共に共重合することによって、実現する。反応性希釈剤は溶媒の役割を果たしてもよく、その結果、各ステップで除去しなければならない不活性の非反応性溶媒または希釈剤の使用が解消される。
図3Aの前駆体給送セクション353及び前駆体形成セクション354を参照すると、一実施形態では、第1の前駆体356が第2の前駆体357及び希釈剤358と混合されて、第1の印刷可能なインク組成物359を形成する。第1の印刷可能なインク組成物359は、プリンタ306Bのリザーバ304Bに給送され、研磨体202の部分を形成するために使用される。同様に、第3の前駆体366は、第4の前駆体367及び希釈剤368と混合されて第2の新たな印刷可能なインク組成物369を形成することができる。第2の新たな印刷可能なインク組成物369は、プリンタ306Aのリザーバ304Aに給送され、研磨体202の別の部分を形成するために使用される。ある実施形態では、第1の前駆体356と第3の前駆体366はそれぞれ多官能性オリゴマーといったオリゴマーを含んでおり、第2の前駆体357及び第4の前駆体367はそれぞれ多官能性モノマーを含んでおり、希釈剤358及び希釈剤368はそれぞれ反応性希釈剤(例えばモノマー)、及び/または開始剤(例えば光開始剤)を含んでいる。第1の印刷可能なインク組成物359の一実施例は、脂肪族鎖のセグメントを含む反応性の二官能性オリゴマーを含む第1の前駆体356であって、25°Cで約1000センチポアズ(cP)から、25°Cで約12,000cPまでの粘度を有し得る第1の前駆体を、モノアクリレートといった、25°Cで10cPの反応性希釈剤と混合し、即ちそれで希釈して、新たな粘度を有する新たな組成物を製作することを含み得る。こうして得られた印刷可能な組成物は、25°Cで約80cPから約110cPの粘度、及び70°Cで約15cPから約30cPの粘度を示してよく、3Dプリンタのインクジェットノズルから有効に分注されてよい。
図4A〜図4Fは、研磨体の1つ以上の領域にわたる組成勾配を含む、高機能研磨パッドの例である。図4A〜図4Dでは、白色ピクセルの標示が、第1の材料の分注された液滴が分注されているところを概略的に示すことを意図している一方、黒色ピクセルの標示は、研磨パッドを形成するために使用されている1つ以上の層内で、材料が何も分注されていないところを示している。これらの技法を使用することによって、研磨パッドの完成品の少なくとも一部を形成するために用いられる印刷層内で、硬化された材料の、または複数の硬化された液滴によって形成される材料の、組成勾配が形成され得る。研磨パッド内部の印刷層のカスタマイズされた組成は、研磨パッドの全体的な機械的特性を調節し、カスタマイズするために使用され得る。研磨用特徴部の組成は、任意の適切なパターンで変化してよい。本書に記載の研磨パッドは2種類の材料から形成されているとして示されているが、この構成は、本書の開示の範囲を限定することを意図しない。なぜならば、3種類以上の材料を含む複合研磨パッドも、本開示の範囲に含まれているからである。図2A〜図2Kの研磨パッドといった任意の設計の研磨パッドにおいて、研磨用特徴部の組成が、図4A〜図4Fの研磨パッドと同様の態様で変動し得ることは、留意すべきである。
図4A及び図4Bは、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206の一部を含む、高機能研磨パッド内の印刷層のピクセルチャートを表す、黒と白のビットマップ画像である。図4A及び図4Bでは、白色ピクセルが第1の材料の液滴が分注されているところを標示している一方、黒色ピクセルは、分注され硬化される材料が何も存在していないところを標示している。図4Aは、高機能研磨パッド200内の層の第1の部分のピクセルチャート400aであり、図4Bは、同じ高機能研磨パッドの第2の部分のピクセルチャート400bである。第1の部分は、ピクセルチャート400aに従って第1のプリントヘッドによって分注されてよく、第2の部分は、ピクセルチャート400bに従って第2のプリントヘッドによって分注されてよい。2つのプリントヘッドは、ピクセルチャート400a、400bを1つに重畳させて、別個の研磨用特徴部を含む1つ以上の層を形成する。研磨パッドのエッジ領域付近の研磨用特徴部は、第2の材料よりも第1の材料を多く含む。研磨パッドの中央領域付近の研磨用特徴部は、第1の材料よりも第2の材料を多く含む。この例では、各研磨用特徴部は、第1の材料と第2の材料との独自の組み合わせを有する。一実施例では、第1の研磨要素204は、第1の材料と第2の材料の第1の組み合わせを含み、第2の研磨要素206は、第1の材料と第2の材料の別の第2の組み合わせを含む。したがって、ピクセルチャートを使用することによって、研磨体の種々の部位において材料組成の所望の勾配が実現され、高機能研磨パッドの所望の研磨性能が実現されるようにして、研磨体を逐次的に形成することができる。
図4C及び図4Dは、特徴部を有する研磨パッドの概略的なピクセルチャート400c、400dである。ある実施形態では、図4Cは、研磨パッドの第1の部分のピクセルチャート400cであり、図4Dは、同じ研磨パッドの第2の部分のピクセルチャート400dである。図4C、図4Dによる研磨パッドは、研磨体の材料組成の勾配が、研磨パッド全体にわたって、左から右へと変化することを除いて、図4A、図4Bの研磨パッドに類似している。
図4Eは、研磨面208にわたって(例えばY方向に)材料組成の勾配を有する研磨面208を形成するために、付加製造プロセスを用いて形成された、織物をベースにした研磨パッド400eの概略図である。図4Eに示すように、研磨材料は、プラテン102の上、第1のロール481と第2のロール482の間に配置されてよい。貯蔵弾性率の高低が領域によって異なる織物製研磨パッド(または標準的な研磨パッドでさえも)を作製することで、研磨プロセスの別の部分で、基板を研磨パッド400eの異なる箇所に移動することができ、その結果、研磨処理の各フェーズ中に所望の機械的特性を提供することができる。一実施例は、高弾性率を有する研磨パッド400eの平坦化部分を使い、次に、基板をより低い弾性率を有する研磨パッド400eの第2の部分に移動して、基板表面をバフ研磨して擦過による欠陥を低減することで、最初の表面性状が迅速に取り除かれる、基板を含み得る。
図4Fは、Z方向に材料組成の勾配を有する研磨ベース層491を形成するために、付加製造プロセスを用いて形成された、高機能研磨パッド400fの概略側面断面図である。研磨ベース層491の積層した印刷層の材料組成及び/または材料特性の勾配は、第1の材料の第2の材料に対する比率が高濃度から低濃度へと一方向に、またはその逆に、変化していることができる。あるケースでは、研磨パッド内の1つ以上の領域は、高/低/高、または低/高/低の濃度勾配といった、異なる材料特性を有する少なくとも2つの材料のより複雑な濃度勾配を含んでいてよい。一実施例では、濃度勾配を形成している少なくとも2つの材料は、貯蔵弾性率E’、E’30/E’90比、タンデルタ、または他の同様のパラメータが異なっている。ある構成では、高機能研磨パッド400fは、第1の研磨要素204と第2の研磨要素206を含む別々の領域を含んでいてよい、研磨要素領域494を含み得る。一実施例では、研磨要素領域494は、図2A〜図2Kに示す構造のうちの1つ以上を含む、研磨体202の一部を含んでいてよい。
一実施形態では、ベース層491は、ベース層491内に形成された各層中に、2つ以上の異なる材料の均質な混合物を含む。一実施例では、この均質な混合物は、ベース層491内に形成された各層中に、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使用される、材料の混合物を含み得る。ある構成では、層の成長方向(例えば図3BのZ方向)に材料組成の勾配を形成するため、層ごとに材料の均質な混合物の組成を変化させることが望ましい。均質な混合物という語句は、概して、各層内に少なくとも2つの異なる組成物を有し、したがって、それぞれ所望の解像度でサイズ決めされた少なくとも2つの異なる組成物の小領域の混合物を含んでいてよい印刷された液滴を、分注及び硬化することによって形成される、材料を表すことを意図している。研磨ベース層491と研磨要素領域494との界面は、研磨ベース層491の上表面に見られる材料と、研磨要素領域494の下表面に見られる材料との均質なブレンドを含んでいてよいか、または、研磨要素領域494の第1の堆積した層内の異なる材料組成が、研磨ベース層491の表面上に直接堆積している、不連続な遷移を含んでいてよい。
研磨要素領域494のある実施形態では、またはより一般的には上記の研磨体202のうちの任意のものでは、研磨パッドの研磨面とは直角の方向に、第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206の材料組成の勾配を形成することが望ましい。一例では、研磨パッドのベース付近(例えば研磨面の逆側)の印刷層内に、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の特徴部を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有し、研磨パッドの研磨面付近の印刷層内に、硬い即ち高貯蔵弾性率E’の特徴部を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有することが望ましい。別の例では、研磨パッドのベース付近の印刷層内に、硬い即ち高貯蔵弾性率E’の特徴部を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有し、研磨パッドの研磨面付近の印刷層内に、軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の特徴部を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有することが望ましい。低貯蔵弾性率E’の表面特徴部は、欠陥の除去やスクラッチ低減に使用することができ、高貯蔵弾性率E’の特徴部は、ダイ及びアレイのスケール平坦化を増進するために使用することができる。
一実施形態では、第1の及び/または第2の研磨要素を形成するのに使われる材料中の材料組成の勾配は、研磨パッドの研磨面に対して直角方向に形成することが望ましい。一実施例では、研磨パッドのベース付近(例えば研磨面の逆側)の印刷層内に、第2の研磨要素206を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有し、研磨パッドの研磨面付近の印刷層内に、第1の研磨要素204を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有することが望ましい。別の例では、研磨パッドのベース付近の印刷層内に、第1の研磨要素204を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有し、研磨パッドの研磨面付近の印刷層内に、第2の研磨要素206を形成するために使用される材料の組成物をより高濃度に有することが望ましい。例えば、第1の層は、1:1という、第1の印刷組成物対第2の印刷組成物の材料組成比を有していてよく、第2の層では、第1の印刷組成物対第2の印刷組成物の材料組成比は2:1であってよく、第3の層では、第1の印刷組成物対第2の印刷組成物の材料組成比は3:1であってよい。一実施例では、第1の印刷組成物は第2の印刷組成物よりも高い貯蔵弾性率E’を含む材料を有しており、第1、第2、及び第3の層の逐次的な成長の方向は、高機能研磨パッドの支持面から離れる方向である。堆積された層の平面内で印刷された液滴の配置を調節することによって、単一層の種々の部分の中にも勾配が形成され得る。
高機能研磨パッドの形成プロセスの実施例
ある実施形態では、高機能研磨パッド200の構築は、研磨パッド設計のCADモデルを製作することによって開始される。これは、ユニグラフィックスまたは他の同様のソフトウエアといった、既存のCAD設計ソフトウエアを用いて行われ得る。次に、高機能研磨パッドの設計が設計要件(例えば水密性、質量密度など)を満たすことを確保するため、ソフトウエアのモデリングによって生成された出力ファイルが解析プログラムにロードされる。次に、出力ファイルがレンダリングされ、3Dモデルが一連の2Dのデータビットマップ即ちピクセルチャートに「スライス」される。上記で留意されているように、高機能研磨パッド内に層が構築されるX−Y平面上の箇所を規定するために、2Dのビットマップ、即ちピクセルチャートが使用される。これらの箇所は、ある付加製造プロセスの使用においてはレーザがパルシングする場所を規定するであろうし、また別の使用においてはノズルが材料の液滴を噴射する場所を規定するであろう。
ピクセルチャート内で見られる座標は、例えばポリジェットプリントヘッドを使って未硬化のポリマーの特定の液滴が置かれる箇所を、規定するのに使用される。X方向及びY方向のあらゆる箇所の座標と、パッドを支持する所与のZステージの位置は、ピクセルチャートに基づいて規定される。X、Y、及びZ方向の各箇所は、液滴を分注するか液滴を分注しないかの、どちらかの条件を含むであろう。構築速度向上のためまたはさらなるタイプの材料を堆積するため、プリントヘッドが、X方向及び/またはY方向にアレイ状に集められていてよい。図4A〜図4Dに示す実施例では、黒色ピクセルはノズルが材料を堆積しない箇所を表し、白色ピクセルはノズルが材料を堆積する箇所を表す。材料のマップ即ちピクセルチャートを組み合わせることで、別個の液滴を互いの付近に位置決めすることによって、形成された各層内に任意の所望の形状または構造的構成を持つ研磨パッドを印刷することができる。
熱可塑性ポリマーを堆積し、感光性樹脂前駆体組成物を堆積して硬化し、及び/または分注された粉末層をレーザパルスタイプの焼結及び融合することによって、高機能研磨パッドを形成するために、3Dプリンタといった付加製造装置が使用され得る。ある実施形態では、高機能研磨パッドの形成プロセスは、UV感受性材料をポリジェット印刷する方法を含み得る。この構成では、液滴噴出プリンタ306のノズルから前駆体調合物(例えば第1の印刷可能なインク組成物359)の液滴が噴射され、樹脂前駆体組成物が、構築ステージ上に堆積される。材料は、ノズルのアレイから堆積される際に、ローラーもしくは、液滴を平坦な膜の層へと平滑化するための他の手段を用いるか、または余剰の材料を取り去ることによって、平らにされてよい。液滴の分注中、及び/またはその直後に、UVランプまたはLED放射源が堆積層上を通過して、分注された液滴を硬化または部分的に硬化し、固形のポリマー網目にする。ある実施形態では、1つ以上の分注された液滴を実質的に硬化するか部分的に硬化し、その結果、形成される高機能研磨パッドの他の周辺領域または先行して形成された層に悪影響を与えないように具体的にカスタマイズされた、放射波長範囲が狭く、及び/またはスポットサイズが狭い、単色光源(例えばLED光源)が使用される。ある実施形態では、単色光源は、100nmと500nmの間の範囲内、例えば約170nmと400nmの間の範囲内の波長の光を送達するように構成されている。一実施形態では、UV LED源は、240nm、254nm、365nm、385nm、395nm、または405nmの波長の中心波長±10nm以内の帯域で、UV光を送達するように構成されている。パッドのモデルの最終的な実施形態が機械的に健全になることを確保するため、このプロセスは、層内及び層間の十分な結合で、層の上にまた層がくるように、構築されている。
構築プロセスを通じてポリマーの応力をよりよく制御するため、1つ以上の層の形成中に熱が加えられてよい。熱を送達することによって、硬化されたまたは部分的に硬化された各層内に形成されたポリマー網目が弛緩し、それによって膜内の応力が減少し、応力履歴が除去される。膜内の応力は、研磨パッド形成プロセス中または形成プロセス後の、研磨パッドの望ましくない変形につながり得る。部分的に形成された研磨パッドを、プリンタの構築トレイ上にあるうちに加熱することによって、最終的なパッド特性を層ごとのプロセスで設定することが確保され、予測可能なパッド組成及び研磨結果が実現され得る。研磨パッド形成プロセス内に熱を誘導するのに加えて、未硬化の樹脂の酸素への曝露を低減するために、成長している研磨パッドを取り囲むエリアに変更が加えられてよい。これは、真空を用いるか、または構築チャンバを窒素(N2)もしくは他の不活性ガスで溢れさせることによって行われ得る。成長中のパッドを覆う酸素の減少によって、遊離基の重合反応の抑制が低減され、分注された液滴のより完全な表面硬化が確保される。
付加製造によるポロシティ形成
ある実施形態では、形成された高機能研磨パッド200は、所望の分布またはパターンで一体のパッド本体202内に形成されたポアを含み、それによって、例えば第1のもしくは第2の研磨要素内、またはパッド構造全体にわたって形成された層の特性が、所望の熱特性、及び/または機械的特性を有することになる。その結果、付加製造プロセスでパッド本体の部分内の様々な材料の組成及び形成されたポロシティをカスタマイズすることによって、高機能研磨パッドの1つ以上の領域の特性を制御することができる。形成されたパッドの少なくとも表面上にポロシティが形成されることによって、パッド表面と、パッド上にロードされるスラリ及びスラリナノ粒子(例えばセリウム酸化物及び二酸化ケイ素)との相互作用の増大が助長され、その結果、研磨除去速度を上昇させ、CMPプロセスで通常見られる一般的なウエハ間の除去速度の偏差を縮小することが可能になる。
図5Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、ポア形成領域を含む研磨パッドの第1の研磨要素または第2の研磨要素の層522(図5B)の領域500を形成するのに使用される、ピクセルチャートの概略図を示す。この例では、ピクセルチャートは、第1のプリントヘッドから表面上にポロシティ形成剤504(図5B)の1つ以上の液滴を分注することと、次いで、少なくとも第2のプリントヘッドから1つ以上の樹脂前駆体組成物の液滴を分注することによって形成された材料を含む1つ以上の構造材料含有領域501で、ポア形成領域502を少なくとも部分的に取り囲むこととによって形成される、ポア形成領域502の長方形のパターンを含む。次いで、ポロシティ形成剤504を、後処理工程または研磨プロセス中に、後で除去して、研磨パッドの1つ以上の層内にポアを形成することができる。一実施例では、ポロシティ形成剤材料は、研磨パッドがCMP研磨プロセスで使用されているときに、形成された高機能研磨パッド200から除去される。この実施例では、ポロシティ形成剤材料は、高機能研磨パッドの第1の研磨要素または第2の研磨要素の表面520上に置かれたポロシティ形成剤と、第1の研磨要素及び/または第2の研磨要素と研磨中の基板との間に置かれたスラリ内に見られる1つ以上の成分との、相互作用によって除去されてよい。図5Aに示すとおり、ポア形成領域502は、上に層522が形成される表面の至るところに樹脂前駆体調合物の液滴を分注することによって形成された、構造材料含有領域501に取り囲まれている。本書に記載の様々な技法を使用することによって、構造材料含有領域501内に見られる硬化された構造材料の組成勾配、及び/または、ポア形成領域502のサイズ及び密度の勾配を、所望の機械的特性及び熱特性を有する研磨パッドの完成品の、少なくとも一部を形成するために使用することができる。ポア形成領域502内に置かれたポア形成材料の組成、並びに、研磨パッド200の全体(即ちX−Y平面)にわたる、または研磨要素の厚さ(即ちZ方向)を通じた、ポア形成領域502の分布及びサイズは、任意の適切なパターンで様々であってよい。本書に記載の研磨パッドは2種類の材料から形成されているとして示されているが、この構成は、本書の開示の範囲を限定することを意図しない。なぜならば、3種類以上の材料を含む複合研磨パッドも、本開示の範囲に含まれているからである。図2A〜図2Kに示す研磨パッドの設計といった、研磨パッド内に見られる構造材料の組成が、図4A〜図4Fに関連して上記で検討されたのと同様の態様で変動していてよいことは、留意すべきである。このように、ある実施形態では、形成された構造材料含有領域501内に見られる材料は、形成された層を横切る(例えばX及び/またはY方向)か、または貫通する(例えばZ方向)1つ以上の方向に変動する、2つ以上の異なる材料の混合を含んでいてよい。
図5Bは、本開示の1つ以上の態様による、図5Aに示す領域500の部分の側面断面図である。図5Bに示す部分は、本書に記載の付加製造プロセスの使用によってオプションのベース層521上に形成された、複数の層522を含む。検討を明確にする目的で、図5Bに示す各層は、2つの破線の間に配置されたものとして示されているが、本書に記載するプロセスによって、少なくとも、隣接する層中の構造材料含有領域501の部分は、形成された研磨パッド200内の層間に明確な物理的な境界が存在しないようにして、形成されていてよい。層522は、それぞれ、構造材料画院有料域501の領域間に点在する、ポア形成領域502を含んでいる。上記のとおり、研磨パッド200の表面520(即ち研磨面112)のポア形成領域502内に置かれたポロシティ形成剤と、研磨領域530内に置かれたスラリ(図示せず)との相互作用によって、ポロシティ形成剤504は容易に除去されてよく、ポア形成領域502内には空のボイドが残され、その結果ポア503が形成される。
一実施形態では、各層522を形成するのに使われるピクセルチャートは、形成された層の表面のいたるところに所望のパターンで形成された、ポロシティ形成剤504を含有するポア形成領域502の列を含む、パターンを含む。上記のように、ある実施形態では、ポロシティ形成剤504を含有するポア形成領域502のパターンは、X方向とY方向のどちらにも所望のピッチを有する、長方形の列内に形成され得る。しかし、ポロシティ形成剤504を含有するポア形成領域502のパターンは、六角形配列のポア形成領域502、様々な方向のパターンのポア形成領域502、ランダムなパターンのポア形成領域502、または他の有用なパターンのポア形成領域502を含む、任意の所望のパターンで形成されてよい。ある実施形態では、隣接する層522を形成するのに使われるピクセルチャート同士は、1つ以上の方向(例えば、X、Y、もしくはX及びY方向)に互いに対して所望の距離525でシフトされているか、または、異なる相対的X−Yパターンで形成されており、それによって、研磨パッドが形成される際、隣接して位置する層のポア形成領域502同士は、互いに接して置かれてはいない。一実施形態では、同様に構成された隣接する層のポア形成領域502同士のパターンは、互いに対して所望の距離で1つ以上の方向に互い違いにずれて配置されていてよく、それによって、隣接して位置する層のポア形成領域502同士は、互いに接して置かれてはいない。
図5Cは、本開示の別の態様による、図5Aに示す領域500の部分の側面断面図である。ある実施形態では、配置された層のうちの2つ以上が、互いに直接接して形成されるようにして、互いに対して位置合わせされていてよい。一実施例では、図5Cに示すとおり、2つの層522A及び522Bは、ポア形成領域502同士が互いに接して置かれる形で、層522Aが層522Bのすぐ上にあるようにして、形成されている。次に、次の層即ち後続の層は、後続の層のポア形成領域502が層522A〜B上に接して置かれないようにして、層522A〜Bに対して所望の距離525でシフトされていてよい。より多数からなる積層内にある2つ以上の層が、互いに直接接して形成されているこの構成は、X方向及びY方向の固定された液滴サイズの解像度がZ方向の層の厚さよりも大きくてよいケースでは、有用であり得る。一実施例では、固定された液滴のX方向及びY方向のサイズは、Z方向の厚さの2倍の大きさであるため、2つの層が互いに接して置かれているときに、X、Y、及びZ方向に、印刷された材料の規則的なパターンが形成されることが可能になっている。
再び図5Aを参照すると、層内のポア形成領域502及びその周囲の構造材料含有領域501を形成するのに使用されるピクセルチャートは、1つ以上の方向X、Y、またはZに一定のまたは様々なポロシティを有する、研磨用特徴部の部分を製作するのに使用され得る。一実施例では、高機能研磨パッドのエッジ領域付近の研磨特徴部は、ポロシティ形成材料504を含有するポア形成領域502よりも、構造材料含有領域501内に構造材料を形成するのに使用される樹脂前駆体調合物をより多く含んでいてよい。また、研磨パッドの中心領域付近の研磨用特徴部は、層ごとに、エッジ領域付近の研磨用特徴部よりも、ポア形成領域502をより高いパーセンテージ(例えばより高い密度)で含んでいてよい。この実施例では、同じタイプの各研磨用特徴部(例えば複数の第1の研磨要素204)、または異なるタイプの各研磨用特徴部(例えば第1の研磨要素204と第2の研磨要素206)は、層ごと、及び/または研磨要素ごとに、樹脂前駆体調合物、ポロシティ形成剤、及びポア形成領域502の密度の独自の組み合わせを有する。一実施例では、第1の研磨要素204は、樹脂前駆体調合物とポロシティ形成剤の第1の組み合わせを含み、第2の研磨要素206は、樹脂前駆体調合物とポロシティ形成剤の別の第2の組み合わせを含む。したがって、ピクセルチャートを使用することによって、研磨体の種々の部位において所望のポロシティの勾配が実現され、高機能研磨パッドの所望の研磨性能が実現されるようにして、研磨体を逐次的に形成することができる。
本書に記載の実施形態による多孔性の高機能研磨パッドを形成する方法は、以下のステップを含んでいてよい。第1に、本書に記載されているものといった、樹脂組成物の1つ以上の液滴が、所望のX及びYパターンで分注され、形成される層の構造材料部分を形成する。一実施形態では、樹脂組成物の1つ以上の液滴は、この1つ以上の液滴が第1の層を構成する場合、支持体上に分注される。ある実施形態では、樹脂組成物の1つ以上の液滴は、先立って堆積された層(例えば、第2の層など)の上に分注される。第2に、ポロシティ形成剤504を含むポロシティ形成組成物の1つ以上の液滴が、所望のX及びYパターンで分注され、形成される層内のポア形成領域502が形成される。一実施形態では、ポロシティ形成組成物の1つ以上の液滴は、この1つ以上の液滴が第1の層を構成する場合、支持体上に分注される。ある実施形態では、ポロシティ形成組成物の1つ以上の液滴は、先立って堆積された層の上に分注される。分注プロセスの第1の操作と第2の操作は、通常、時間的に分離されて、異なるX−Y座標において実施される。次に、即ち第3に、硬化可能な樹脂前駆体の分注された1つ以上の液滴と、ポロシティ形成組成物の分注された1つ以上の液滴は、少なくとも部分的に硬化される。次に、オプションである第4のステップでは、硬化可能な樹脂前駆体の分注された1つ以上の液滴と、ポロシティ形成組成物の分注された1つ以上の液滴は、アニール処理、リンス処理、またはこれらの両方のうちの少なくとも1つに曝露され、ポロシティ形成剤が除去される。リンス処理は、水か、アルコールといった別の溶液(例えばイソプロパノル)か、またはその両方でリンスすることを含み得る。アニール処理は、ポロシティ形成剤を気化させるため、堆積されたパッド構造を低圧下で低い温度(例えば約100°C)まで加熱することを含み得る。次に、第5のステップ、即ちオプションの第2の硬化処理が、形成された層または最終的なパッドに対して実施され、最終的な多孔性のパッド構造が形成される。あるケースではまた、第4のステップが完了する前に数々の積層された層を形成するため、第1の、第2の、第3の、及び第5の処理ステップが、任意の所望の順序で逐次的に繰り返されてもよい。
ある実施形態では、ポロシティ形成剤504は、水溶液の存在によって分解する、ヒドロゲル、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリエチレングリコール(PEG)といった、親水性及び/または水分解性の挙動を有する材料を含み得る。ある構成では、CMP研磨プロセス中に、形成された研磨パッド内に置かれたポロシティ形成剤504が、例えば溶解して水溶性スラリになるか(例えば、ポロシティ形成剤がスラリに対して溶解性がある)、またはスラリの存在下で分解するか、というように分解して、高機能研磨パッドの露出面にポア(例えば100nm〜1μmの開口またはボイド)を残すように構成されている。ポロシティ形成剤504は、不活性の可溶性成分と混合されているオリゴマー及び/またはポリマー材料を含んでいてよい。不活性の可溶性成分は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びグリセロールを含み得る。不活性の可溶性成分はまた、対応するモノアルキルエーテルまたはジアルキルエーテル、及び、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、またはイソブチル基を含んでいてよい、アルキル基も含み得る。一実施形態では、ポロシティ形成剤504は、PEG、並びに5%〜15%のオリゴマー及び/またはポリマー材料、例えばアクリレート材料を、含んでいる。ある構成では、ポリエチレングリコールアクリレート系またはメタクリレート系の、ヒドロゲル材料が使われてよい。これらのタイプの材料は、ほとんどの樹脂前駆体調合物中では溶解しない、極性材料から作られていることができる。ヒドロゲル材料は、約1から10%の比率でジアクリレート及びジメタクリレートと架橋することによって、ポア形成材料にすることができる。こうして形成されたヒドロゲル材料は、依然として水溶性を有しており、水で洗い流されてポアを生成することができる。
ある実施形態では、構造材料含有領域501は、本書で開示された樹脂前駆体成分のうちの1つ以上から形成された材料を含んでいてよい。例えば、構造材料含有領域501は、限定しないが、表3に列挙された材料か、または表3に列挙された材料が属する族の材料のうちの少なくとも1つから選択された、樹脂前駆体成分を使用して形成された材料を含んでいてよい。単体で、または本書に開示されている1つ以上の樹脂前駆体成分と組み合わせて使用されてよい、他の有用な樹脂前駆体成分は、本書に記載の、チオール−エン及びチオール−インタイプ、エポキシ、マイケル付加タイプ、開環重合(ROP)、及び環形成またはディールス−アルダー重合(DAP)タイプの成分もまた含んでいてよい。
一実施形態では、パッド本体202に形成されたポアは、後続する高機能研磨パッドの形成プロセス中にポロシティ形成剤504に気化といった相変化を生じさせることによって、形成されてよい。一実施例では、形成されたパッド内のポロシティは、ポロシティ形成剤材料の相変化の生成を誘発するために、研磨パッドの部分に電磁放射を送達することによって生成されてよい。一実施形態では、高機能研磨パッドのプレポリマー組成物は、熱的に不安定であり、熱的に不安定な基を含んでいてよい、化合物、ポリマー、またはオリゴマーを含んでいてよい。これらのポロゲンと熱的に不安定な基は、不飽和環式有機基といった、環式基であってよい。ポロゲンは、環式炭化水素化合物を含んでいてよい。例示的ないくつかのポロゲンは、限定しないが、ノルボルナジエン(BCHD、ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−2,5−ジエン)、アルファテルピネン(ATP)、ビニルシクロヘキサン(VCH)、酢酸フェニル、ブタジエン、イソプレン、及びシクロヘキサジエンを含む。一実施形態では、共有結合したポロゲン基を持つ放射硬化可能なオリゴマーを含有する、プレポリマー層が堆積される。UV放射と熱への曝露後、ポロゲン基の浸出によって多孔性ポリマー層が形成されてよい。別の一実施形態では、高機能研磨パッドのプレポリマー組成物は、含水化合物と混合されている、化合物、ポリマー、またはオリゴマーを含んでいてよい。この例では、逐次的な層堆積と、それに続いて含水化合物を排出してポアを形成することによって、複数の多孔層が形成されてよい。他の実施形態では、ポアは、分解して窒素ガスを形成する、アゾ化合物といった、気体の副生成物を形成する化合物の分解を熱的に誘発することによって、生成されてよい。
代わりに、ある実施形態では、樹脂前駆体組成物は、高機能研磨パッドを形成するのに使われる液滴の中に置かれた、直径100nm〜1μmのサイズのポリマーナノ球またはマイクロ球といった、ポリマー球を含んでいてよい。ある実施形態では、ポリマー球のサイズは、約100nmと20μmの間、例えば100nmと5μmの間であってよい。ある付加製造の実施形態では、樹脂前駆体組成物を含む液滴を第1のノズルから分注し、且つポリマー球含有調合物の液滴を第2のノズルから分注し、それによって、この2つの分注された液滴が混合されて完成形の液滴となり、その液滴がその後部分的または完全に硬化されて、成長している研磨パッドの一部を形成するのが望ましくあり得る。ある構成では、CMP研磨プロセス中に、ポリマー球が、例えば溶解して水溶性スラリになるか、またはスラリの存在下で分解するか、というように分解して、高機能研磨パッドの露出面にポア(例えば100nm〜1μmのポアの特徴部)を残すように構成されている。
ポリマー球は、所望の機械的特性、熱特性、摩耗特性、分解特性、または形成される高機能研磨パッド内で使用するのに有用な他の特性を有する、1つ以上の固形ポリマー材料を含んでいてよい。代わりに、ポリマー球が所望の機械的特性、熱特性、摩耗特性、または他の有用な特性を形成される高機能研磨パッドに提供するように、ポリマー球が、液体(例えば水)または気体の材料を取り囲む固形のポリマーシェルを含んでいてもよい。ポリマー球は、形成される研磨要素(例えば研磨要素204及び/または206)の部分内に1つ以上の領域を形成するのに使われる固定された液滴の領域内にポアを形成するためにも使用されて、形成される研磨パッドのこれらの部分に、所望の機械的特性、熱特性、摩耗特性、または他の有用な特性を与え得る。ポリマー球は、水溶液の存在によって分解する、ヒドロゲル、乳酸グリコール酸共重合体、PLGAといった、親水性及び/または水分解性の挙動を有する材料を含み得る。付加製造プロセス(例えば3D印刷)の実施後には、通常、ポリマー球は液滴調合物内及び硬化された材料内に均一に分散している。
ある構成では、ポリエチレングリコールアクリレート系またはメタクリレート系の、ヒドロゲル粒子が使われてよい。これらのタイプの粒子は、極性材料から作られており、ほとんどの調合物中で溶解不可能である。ヒドロゲル粒子は、約1から15%の比率でジアクリレート及びジメタクリレートと架橋することによって、粒子形態にすることができる。こうして形成されたヒドロゲル粒子は、依然として水溶性を有しており、水で洗い流されてポアを生成することができる。
調合物及び材料の実施例
上記で検討したように、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206といったパッド本体202の部分を形成するのに用いられる材料は、それぞれ、高機能研磨パッドの所望の特性を実現するための、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、反応性希釈液、及び硬化剤の混合物であってよい、少なくとも1つのインクジェット印刷可能なプレポリマー組成物から形成されていてよい。一般的に、プレポリマーのインクまたは組成物は、堆積された後に、硬化剤または化学開始剤を使用するかまたは使用しない、放射エネルギーまたは熱エネルギーへの曝露または接触といった、任意の数の手段を用いて処理されてよい。概して、堆積された材料は、紫外放射(UV)、ガンマ放射、X線放射、可視光放射、IR放射、及びマイクロ波放射を含んでいてよく、を含み得る電磁放射に曝露されることができ、重合反応を開始するために、加速電子及びイオンビームもまた使用されてよい。本開示の目的のためには、貫通硬化剤もしくは酸素抑制剤などの、増感剤、開始剤、及び/または硬化剤といった、硬化の方法または重合を促進する添加剤の使用は限定されない。
一実施形態では、一体のパッド本体202内の第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206といった2つ以上の研磨要素は、少なくとも1つの放射硬化可能な樹脂前駆体組成物の逐次的な堆積と堆積後の処理とから形成されていてよく、この組成物は、限定しないが、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリール基、及びアセチレン基を含む、不飽和の化学的部分または基を有する、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、及び/または反応性希釈剤を含んでいてよい。研磨パッドの形成処理中、ドイツ国ルートヴィヒスハーフェンのBASFが製造している製品Irgacure(登録商標)といった遊離基生成光開始剤などの硬化剤の存在下でUV放射といった放射に曝露されたときには、不飽和基に、遊離基重合が起こっていてよい。
本書に記載の開示の1つ以上の実施形態では、2つのタイプの遊離基光開始剤が使用され得る。本書ではバルク硬化光開始剤とも呼ばれる第1のタイプの光開始剤は、UV放射に曝露されると開裂し、直ちに遊離基を生じる開始剤であり、この遊離基が重合を開始し得る。第1のタイプの光開始剤は、分注された液滴の、表面硬化及び、貫通硬化即ちバルク硬化のどちらに対しても有用であり得る。第1のタイプの光開始剤は、限定しないが、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アセチルフェノン、アルキルフェノン、及びホスフィンオキシドを含んでいてよい。本書では表面硬化光開始剤とも呼ばれる第2のタイプの光開始剤は、UV放射によって活性化され、第2の化合物からの水素引き抜きによって遊離基を形成する。この遊離基が、実際の開始遊離基となる。この第2の加工物は、しばしば共開始剤または重合相乗剤と呼ばれ、アミン相乗剤であってよい。アミン相乗剤は、酸素阻害を減少させるために使われており、したがって、迅速な表面硬化のためには、第2のタイプの光開始剤が有用であり得る。第2のタイプの光開始剤は、限定しないが、ベンゾフェノン化合物及びチオキサントン化合物を含む群から選択されてよい。アミン相乗剤は、活性水素を有するアミンであってよく、一実施形態では、アミン含有アクリレートといったアミン相乗剤は、樹脂前駆体組成調合物内でベンゾフェノン光開始剤と組み合わされてよい。この目的は、以下のとおりである。a)酸素阻害を制限する、b)液滴または層の表面を速硬化し、液滴または層の表面の形状寸法を確定する、及びc)硬化プロセスを通じ、層の安定性を増大させる。あるケースでは、遊離基の硬化メカニズムを減速させるか阻害する二原子酸素による遊離基のクエンチを遅延させるか防止するため、不活性ガス雰囲気といった、酸素が制限されたまたは酸素のない硬化雰囲気または硬化環境、及び、乾燥していて脱気されており、ほとんど酸素が存在しない化学試薬が選択されてよい。
印刷された調合物内の化学開始剤の量の制御が、形成される高機能研磨パッドの特性を制御する上で重要な要因であることが判明している。なぜなら、高機能研磨パッドを形成する際に下層が硬化エネルギーに繰り返して曝露されることで、これら下層の特性が影響されるだろうからである。言い換えれば、堆積した層をある量の硬化エネルギー(例えばUV光、熱など)繰り返して曝露することは、形成された各層内の、その層の硬化の量、またはオーバーキュアに影響するのである。したがって、ある実施形態では、表面硬化の動態が貫通硬化(バルク硬化)よりも速くならないことを確保するのが望ましい。なぜならば、まず表面が硬化し、さらなる紫外線が表面の硬化された領域の下の材料に届くのがブロックされて、部分的に硬化された構造物の全体が「アンダーキュア」になるだろうからである。ある実施形態では、適正な鎖延長と架橋を確保するため、光開始剤の量を削減することが望ましい。概して、分子量がより大きくなればなるほど、ポリマーはより低速で制御された重合で形成される。反応生成物が含有しているラジカルが多すぎる場合には、反応動態の進行が速過ぎる可能性があり、分子量が低くなって、そのため硬化された材料の機械的特性が弱くなるであろうと確信されている。
ある実施形態では、樹脂前駆体組成物は、中から高分子量で、且つ分注された液滴の硬化処理の実施前、実施中、及び/または実施後に、その液滴のバルク領域内で相対的に流動しないように選択された、ポリマー光開始剤、及び/またはオリゴマー光開始剤を含む。中から高分子量のタイプの光開始剤は、通常、部分的に硬化された液滴内で移動しないか、少なくともその移動が最小限であるようにして、選択される。一実施例では、従来型の低分子量の光開始剤と比べて中から高分子量のタイプの光開始剤を有する液滴をUV硬化またはUV LED硬化した後、ポリマー光開始剤及びオリゴマー光開始剤は、光開始剤の分子量が比較的高いことによって、硬化された材料のバルク領域内で流動せず、硬化された材料の表面領域または界面領域に移動、または表面領域または界面領域から気化しないという傾向を持つだろう。中から高分子量のタイプの光開始剤は形成された液滴内で相対的に流動しないため、バルク領域の硬化特性、組成特性、及び機械的特性、並びに、分注された液滴の表面の硬化特性、組成特性、機械的特性、及び表面特性(例えば親水性)は、相対的に均一且つ安定したままである。一実施例では、中から高分子量のタイプの光開始剤は、600よりも高い、例えば1,000よりも高い、分子量を有する材料であってよい。一実施形態では、中から高分子量のタイプの光開始剤は、PLインダストリーズのPL−150、並びに、IGMレジンのOmnipol 1001、2702、2712、682、910、9210、9220、BP、及びTXの群から選択される材料であってよい。低分子量の光開始剤と比べて、ポリマー光開始剤及びオリゴマー光開始剤には流動しない性質があることによって、高機能研磨パッドの形成に用いられる付加製造プロセスの健康、安全、及び環境へのインパクトもまた改善される。
ある実施形態では、液滴調合物内で使用される中から高分子量のタイプの光開始剤は、成長中の研磨パッドの表面に分注された液滴の形成に使用される最終的な調合物の粘度を著しく変化させないようにして、選択される。従来の方法では、より低分子量の光開始剤によって、液滴を形成するのに使われた調合物の粘度が望ましくないように変更される。したがって、所望の、中から高分子量のタイプの光開始剤を選択することによって、最終的な液滴調合物の粘度を、付加製造プロセス(例えば3D印刷プロセス)中に、プリントヘッドといった堆積用ハードウエアで容易に分注し得るレベルに、調整または維持することができる。所望の調合物のうちのあるものは、非常に低い粘度(70°Cで10〜12cP)を有する。しかし、印刷用ハードウエアがConnex500印刷ツールであるといったケースでは、粘度は、70°Cで13〜17cPでなければならない。粘度を上昇させるためには、調合物中のオリゴマー含有量を増加させなければならない。オリゴマー含有量を増加させることは、形成される層の機械的特性にインパクトを与えるであろう。したがって、ポリマー光開始剤が添加された場合には、それによって自動的に粘度が上昇し、且つ形成される層の機械的特性へのインパクトはより小さいであろう。加えて、低分子光開始剤の移動は、それによって形成された層の表面疎水性が影響され、ひいては形成された液滴の印刷解像度と形成された層の接触角が影響されることから、懸念事項である。一実施例では、光開始剤は、Synasia、IGMレジン、及びPLインダストリーズから入手可能なスチレン系のものである。中から高分子量のタイプの光開始剤の所望のタイプの別の例を、以下の化学構造式(PI)に示す。
ある実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリエーテル、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、メラミン、ポリスルホン、ポリビニル材料、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、スチレン由来のコポリマー、ブタジエン由来のコポリマー、ハロゲン化ポリマー、ブロックコポリマー、及びこれらのコポリマーから選択される、少なくとも1つのオリゴマー及び/またはポリマーの、セグメント、化合物、または材料を含み得る。第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使われる組成物の生成及び合成は、少なくとも1つのUV放射硬化可能な官能性及び反応性のオリゴマーと、化学構造式(A)で示されるものといった、上記のポリマー及び/または分子のセグメントのうちの少なくとも1つとを使用して、実現されてよい。
化学構造式Aで表される二官能性オリゴマーであるビスフェノール−Aエトキシレートジアクリレートは、パッド本体202の第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206内に見られる材料の、低、中、及び高貯蔵弾性率E’の特性に寄与し得るセグメントを含む。例えば、芳香族基は、フェニル環が与える局部剛性によって、パッド本体202にさらなる剛性を付加してよい。しかし、当業者は、エーテル鎖セグメント「n」を増加することによって貯蔵弾性率E’が低下し、その結果、可撓性が増大したより軟らかい材料が生成されることを認識するであろう。一実施形態では、化学構造式(B)に示すゴム状の弾性の伸びを有するより軟らかくより弾性に富む組成物を作り出すため、ゴム状の反応性オリゴマーであるポリブタジエンジアクリレートが使用されてよい。
ポリブタジエンジアクリレートは、不飽和の他の未反応箇所との架橋反応が生じてよい、ペンダントアリル官能性(図示)を含む。ある実施形態では、ポリブタジエンセグメント「m」内の残留二重結合が反応して架橋を形成し、可逆的エラストマ特性がもたらされ得る。一実施形態では、組成物の架橋を含む高機能研磨パッドは、約5%〜約40%の伸び率と、約6〜約15のE’30:E’90比を有していてよい。架橋化学反応の例は、硫黄加硫及び、tert−ブチルペルベンゾエート、ジクミルペロキサイド、ベンゾイルペロキサイド、ジ−tert−ブチルペロキサイドなどといった過酸化物によるものを含む。一実施形態では、調合物の総重量で3%のベンゾイルペロキサイドが、ポリブタジエンジアクリレートと反応し、架橋密度が少なくとも約2%になるようにして架橋を形成する。
化学構造式(C)は、別のタイプの反応性オリゴマーであるポリウレタンアクリレートを表す。ポリウレタンアクリレートは、高機能研磨パッドに可撓性と伸びを与え得る材料である。ウレタン基を含むアクリレートは、脂肪族または芳香族のポリウレタンアクリレートであってよく、構造式中に示されているR基またはR’基は、脂肪族、芳香族、オリゴマーであってよく、酸素といったヘテロ原子を含んでいてよい。
反応性オリゴマーは、アクリル部位といった、少なくとも1つの反応性部位を含んでいてよく、並びに単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、及び/または六官能性であってよく、それによって架橋の焦点の役割を果たしてよい。図7Bは、3D印刷可能なインク組成物を製作するのに有用であり得る、ある硬化された反応性オリゴマーの、応力対ひずみのプロットである。オリゴマーは、「軟らかい」即ち低貯蔵弾性率E’の材料、「中間の軟らかさの」即ち中貯蔵弾性率E’の材料、または「硬い」即ち高貯蔵弾性率E’の材料であってよい(例えば表1)。示されているように、貯蔵弾性率E’(例えば傾斜、即ちDy/Dx)は、軟らかくて可撓性と伸張性があるポリウレタンアクリレートから、アクリルアクリレートへ、次いでポリエステルアクリレートへ、さらに一連のものの中で最も硬い、硬くて高貯蔵弾性率E’であるエポキシアクリレートへという順で、増大する。図7Bは、高機能研磨パッドの作製に有用であり得る、貯蔵弾性率E’の材料、または貯蔵弾性率E’の材料(複数)の範囲もしくは混合物が、どのように選択されてよいかを示す。官能性オリゴマーは、ペンシルバニア州エクストンのSartomer USA、米国コネチカット州トリントンのDymax Corporation、及び米国ジョージア州アルファレッタのAllnex Corporationを含む、様々な供給元から得られてよい。
本開示の実施形態では、ジ、トリ、テトラ、及びそれを上回る官能性のアクリレートを含む多官能性アクリレートが、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使われている材料内に、及び/またはこれらの研磨要素の中に見られる材料間に、架橋を形成し、それによって、貯蔵弾性率E’、粘性減衰、反発、圧縮、弾性、伸び、及びガラス転移点温度を含む、研磨パッドの特性を調整するのに使用されてよい。第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使われている様々な材料内の架橋の量を制御することによって、所望のパッド特性が形成され得ることが分かっている。ある構成では、研磨パッドの調合物内に、有利には剛性の芳香族化合物の代わりに多官能性アクリレートが使用されてよい。なぜならば、粘度の低いファミリーの材料を用いることによって、線形、分岐、及び/または環式といった、より様々な分子構造、並びにより広い範囲の分子量が可能になるし、それによって調合物と処理窓の幅が広がるからである。多官能性アクリレートのいくつかの例は、化学構造式(D)(1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン)、及び(E)(トリメチロールプロパントリアクリレート)に示されている。
架橋剤のタイプや化学構造、または架橋が形成されるメカニズムは、本開示の実施形態によって限定されない。例えば、アミン含有オリゴマーが、アクリル部分とマイケル付加タイプの反応をして共有結合架橋を形成してよいか、または、アミン基がエポキシ基と反応して共有結合架橋を形成してもよい。他の実施形態では、架橋は、イオン結合または水素結合によって形成されてよい。架橋剤は、線形、分岐、または環状の分子セグメントを含んでいてよく、さらにオリゴマー及び/またはポリマーのセグメントを含んでいてよく、窒素及び酸素と言ったヘテロ原子を含んでいてよい。研磨パッドの組成物に有用であり得る架橋用化合物は、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich、ペンシルベニア州エクストンのSartomer USA、米国コネチカット州トリントンのDymax Corporation、米国ジョージア州アルファレッタのAllnex Corporationを含む、様々な供給元から入手可能である。
本書に記載のとおり、反応性希釈剤は、適切な粘度の調合物を実現するために、高粘度の官能性オリゴマーと混合し、続いてこの希釈液を硬化エネルギーに曝露してより高粘度の官能性オリゴマーと共に共重合するための、粘度希釈用溶媒として使用することができる。一実施形態では、n〜4のとき、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレートの粘度は、25°Cで約1350センチポアズ(cP)であってよく、この粘度は、3D印刷プロセスにおいてこうした材料の分注を達成するには、高すぎるかもしれない。したがって、粘度を25°Cで約1cP〜約100cP、例えば25°Cで約1cP〜約20cPに下げるためには、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレートを、低分子量のアクリレートといったより低粘度の反応性希釈剤と混合することが望ましくあり得る。使われる反応性希釈剤の量は、調合組成物と希釈剤自体の粘度次第である。例えば、1000cPの反応性オリゴマーは、目標とする粘度を実現するためには、少なくとも調合物の重量で少なくとも40%の希釈を必要とし得る。反応性希釈剤の例は、化学構造式(F)(イソボルニルアクリレート)、(G)(デシルアクリレート)、及び(H)(グリシジルメタクリレート)に示されている。
25°CにおけるF−Hの粘度は、それぞれ9.5cP、2.5cP、及び2.7cPである。反応性希釈剤もまた多官能性であってよく、したがって架橋反応または、ポリマー網目を製作する他の化学反応が生じてよい。一実施形態では、グリシジルメタクリレート(H)が反応性希釈剤の役割を果たしており、混合物の粘度が約15cPとなるように、二官能性脂肪族ウレタンアクリレートと混合される。概算の希釈係数は、約2:1から約10:1、例えば約5:1であってよい。ジメチルアミノエチルメタクリレートといったこの混合物に、調合物の約10重量%になるようにして、アミンアクリレートが添加されてよい。この混合物を約25°Cから約75°Cに加熱することによって、アミンのエポキシドとの反応が生じ、アクリレート化されたアミンとアクリレート化されたエポキシドとの付加物が形成される。次に、Irgacure(登録商標)651といった、適切な遊離基光開始剤が、調合物の2重量%で添加されてよく、この混合物は、基板上に厚さ20ミクロンの層が形成されるようにして、適切な3Dプリンタで分注されてよい。次に、この層は、薄いポリマーフィルムを形成するために約10〜約50mJ/cm2の強度で走査型UVダイオードレーザを使用して、約0.1μsから約10秒の間、例えば0.5秒間、液滴または層を約200nmから約400nmのUV光に曝露することによって、硬化されてよい。3D印刷された研磨パッドの組成物に有用であり得る反応性希釈剤の化合物は、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich、ペンシルベニア州エクストンのSartomer USA、米国コネチカット州トリントンのDymax Corporation、米国ジョージア州アルファレッタのAllnex Corporationを含む、様々な供給元から入手可能である。
研磨パッドの作製に有用であり得る放射硬化の別の方法は、UVまたは低エネルギー電子ビームによって開始される、カチオン硬化である。エポキシ基含有材料はカチオン硬化可能であり、エポキシ基の開環重合(ROP)が、プロトン及びルイス酸といったカチオンによって開始されてよい。エポキシ材料はモノマー、オリゴマー、またはポリマーであってよく、脂肪族構造、芳香族構造、脂環式構造、アリール脂肪族構造、または複素環式構造を有していてよい。また、このエポキシ材料は、側基または、脂環式環系もしくは複素環式環系を形成する基として、エポキシ基も含み得る。
UV開始されたカチオン光重合は、遊離基光重合と対比して、いくつかの利点を示している。これらの利点は、収縮が小さいこと、明度が高いこと、リビング重合によって貫通硬化が改良されること、及び酸素抑制が起こらないことを含む。UVカチオン重合は、エポキシ基といった環状基の開環を生じさせる、酸触媒を含む。時としてカチオン開環重合(CROP)として知られるこの技法は、エポキシド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、シロキサン、オキセタン、環式アセタール及びホルマール、環式硫化物、ラクトン及びラクタムといった、遊離基の手段によっては重合させることができない、主要な種類のモノマーを重合させ得る。これらのカチオン重合可能なモノマーは、本書に記載のとおり、炭素−炭素の二重結合を通じた遊離基重合も生じてよい、グリシジルメタクリレート(化学構造式H)といった、両不飽和モノマーを含む。UV光(225〜300nm以下)または電子ビームを照射すると光酸を生成する光開始剤は、限定しないが、ヨードニウムといったアリールオニウム塩、及びトリアリールスルホニウムヘキサフルオロオスフェイト塩といったスルホニウム塩を含んでいてよく、これらは、ドイツ国ルートヴィヒスハーフェンのBASFから入手し得る(製品はIrgacure(登録商標))。
一実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使われ、その結果、一体のパッド本体202を形成するのに使われる材料は、少なくとも1つの放射硬化可能な樹脂前駆体組成物を堆積し、続いてカチオン硬化することによって形成されてよく、この組成物は、エポキシ基を有する官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、及び/または反応性希釈剤を含んでいてよい。コストを節約し、物理的組成を均衡させるために、遊離基硬化系とカチオン硬化系の混合が用いられてよい。一実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206は、少なくとも1つの放射硬化可能な樹脂前駆体組成物を堆積し、続いてカチオン硬化及び遊離基硬化することによって形成されてよく、この組成物は、アクリル基及びエポキシ基を有する官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、反応性希釈剤を含んでいてよい。別の実施形態では、カチオン硬化系に固有である明度と光吸収の欠如とを利用して、カチオン法によって硬化された組成物から、以下でさらに検討される観察窓、即ちCMP終点検出窓が形成されてよい。ある実施形態では、形成された高機能研磨パッド内の層のうちのいくつかはカチオン硬化法を用いて形成されていてよく、また層のうちのいくつかは遊離基硬化法を用いて形成されていてよい。
付加タイプのポリマーの例
パッド本体202、第1の研磨要素204、及び第2の研磨要素206を有するCMPパッドといった、印刷された研磨用物品を調製するのに、上記のアクリル系の遊離基重合及びカチオンエポキシ重合に加えて、他の「付加タイプ」の重合反応及び化合物が有用であってよい。研磨用物品内のポリマー層を印刷するプロセスでは、固体、液体、及び気体の副生成物が出ない、付加タイプの重合を用いることが有利である。1つ以上のタイプの副生成物の生成によって、副生成物の閉じ込め、ボイドの形成、気泡、及び潜在的な有害物質のガス放出といった、材料や構造や環境に関する問題が生じ得ると確信されている。付加タイプの重合プロセスとは対照的に、縮合重合反応は、水または他の化合物といった、少なくとも1つの副生成物を生成し得る。したがって、縮合重合反応は、印刷された研磨用物品を形成するための所望の合成経路ではない。上記のアクリル系遊離基重合及びカチオンエポキシ重合の他の、有用で代替的な付加タイプの重合は、限定しないが、チオール−エン及びチオール−インタイプ、アミン及び/またはアルコールとのエポキシ反応、マイケル付加タイプ、開環重合(ROP)及び環形成、またはディールス−アルダー重合(DAP)タイプを含み得る。一般的に、また本開示の目的に関しては、「付加タイプ」の重合反応は、少なくとも1つの化合物の別の化合物との反応、及び/または所望の特性を持つポリマー材料を形成するための電磁放射の使用を含んでいてよいが、副生成物は生成されない。さらに、別の化合物との間に付加重合反応を起こす化合物は、本書では「付加ポリマー前駆体組成物」とも表されてよく、少なくとも1つの付加ポリマー前駆体組成物を伴う合成材料形成プロセス内で、「パートA」及び/または「パートB」とも呼ばれてよい。
重要なことは、チオール−エンタイプ及びROPタイプといった上記の付加重合は、限定しないが、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、粘性減衰、反発、圧縮、弾性、伸び、及びガラス転移点温度を含む、印刷されたポリマー層及び研磨用物品の作製にとって重要な物理的特性の、調節及び操作を可能にし得る。アクリレート材料に関して本書で上記した基本的な合成調合物及び/または材料形成スキーム、並びに化学的な基礎的条件が、下記の付加ポリマー反応についても該当するということは、留意されるだろう。例えば、代替的な付加ポリマーは、パッド本体202の第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206内に見られる材料の、低、中、及び高貯蔵弾性率E’の特性に寄与し得るセグメントを含んでいてよい。一実施例では、芳香族基は、フェニル環が与える局部剛性によって、パッド本体202にさらなる剛性を付加してよい。本書に記載の代替的な付加ポリマーのアルキル及び/またはエーテル鎖セグメントの長さを増大させることによって、貯蔵弾性率E’が低下し、したがってより軟らかく可撓性の高い材料が生成されるということも、確信されている。代替的な付加ポリマーは、脂肪族、芳香族、オリゴマーであってよいR基も、また含んでいてよく、酸素といったヘテロ原子もまた含んでいてよい。代替的な付加ポリマーは、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、及び/または六官能性であり、したがって架橋の焦点の役割を果たすR基も、また有していてよい。R基を操作することで、「軟らかい」即ち低貯蔵弾性率E’材料、「中間の軟らかさの」即ち中貯蔵弾性率E’の材料、または「硬い」即ち高貯蔵弾性率E’の材料が生成されてよい。
さらに、付加ポリマー及びR基は、負及び/もしくは正の電荷を含んでいるか、または中性の電荷を帯びていてよい、水溶性基であって、限定しないが、アミド、イミダゾール、エチレン及びプロピレングリコール誘導体、カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、ヒドロキシル、及び第四級アンモニウム化合物を含む、水溶性基を有していてよい。重合され得る水溶性化合物は、限定しないが、1−ビニル−2−ピロドリン、ビニルイミダゾール、ポリエチレングリコールジアクリレート、アクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、ヒテノールBC10(登録商標)、マキセマル6106(登録商標)、ヒドロキシエチルアクリレート及び[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、4−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)水酸化アンモニウム、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルトリフェニルホスホニウムクロライド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリフェニルホスホニウムクロライド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、E−SPERSE RS−1618、E−SPERSE RS−1596、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールジアクリレート、メトキシポリエチレングリコールトリアクリレートを含み得る。
ある実施形態では、付加ポリマーは、1つ以上の線状ポリマーを含んでいてよい。これらのタイプのポリマーの例は、限定しないが、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−コ−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチルアクリレート)、及びポリ(ベンジルメタクリレート)を含み得る。
ある実施形態では、チオール−エンタイプの付加反応が、印刷されたポリマー層及びCMPパッドといった研磨用物品を生産するのに使用され得る。チオール−エン反応/チオール−イン反応は、遊離基またはイオン機構によって、2重結合または3重結合を横切ってS−H結合の付加が起こる反応である。チオール−エン反応は、硫黄版のヒドロシリル化反応であると考えられてよく、不飽和の炭素−炭素結合を含む化合物と共に重合反応を生じさせる、硫黄中心のラジカル種を生成するのに使われてもよい。チオール−エン付加重合の利点は、酸素阻害が生じないこと、重合効率が100%に近づくこと、(アクリルに加えて)アリール基と反応すること、並びに、高度の高分子構造制御によって、従来型のアクリルの遊離基重合によって形成される研磨用物品材料とは対照的に、形成された研磨用物品の貯蔵弾性率または損失弾性率及びタンデルタ特性を調節する能力が与えられることを含む。加えて、アクリル基及びアリール基を持つ少なくとも1つの化合物の混合物を含む混合重合は、材料のタンデルタを大きくし、可撓性、伸び、及び硬さといったその材料の機械的特性を調整し、並びに、コストを削減して、貯蔵弾性率といった物理的特性を均衡させるために、実施されてよい。例えば一実施形態では、脂肪族アリルエーテルが、堆積に先立って、アクリルエステルと25:75のモル比で単一のリザーバ内で混合されてよい。アクリル化合物は、研磨用物品の特定の領域内で弾性率を向上させ硬化後の架橋を増進するためと、モノマーのコスト/グラム分子量を低下させるために使用されてよい。
図3Dは、本開示の一実施形態による、チオール−エン重合のA部分及びB部分といった付加ポリマーの前駆体または化合物を含んでいてよい樹脂前駆体成分のうちの1つ以上を、混合し分注するのに使用することができる、ノズルアセンブリの概略図である。示されるように、液滴噴射プリンタ306Aは、ノズル314、並びにそれぞれが少なくとも1つの樹脂前駆体成分を混合領域318に給送する、リザーバ315及びリザーバ316を含み得る。混合領域318に給送された樹脂前駆体成分は、使用地点において乱流誘発要素318aによって混合され、混合された樹脂前駆体組成物の混合物を含有する1つ以上の液滴319を形成する。乱流誘発要素318aは、樹脂前駆体組成物が中を通る際に混合される、螺旋状の蛇行経路もまた含んでいてよい。別の実施形態では、混合物はあらかじめ混合され、単一のリザーバ内に収容されていてよい。図3A〜図3B、及び図3Dに示すように、混合後、液滴319が、研磨用物品といった基板表面に給送される。混合された樹脂前駆体構成要素の分注後、液滴は硬化される。図3Dに示す収容、混合、及び分注の各スキームが、研磨用物品の印刷に使用されるチオール−エン重合といった、本書に記載の以下の化学作用のうちの任意のものにとって適切であってよいことは、留意される。
チオール−エン付加重合反応は、分注された液滴を硬化するために、通常、Irgacure TPO−L(登録商標)、ベンゾフェノン、またはジメトキシフェニルアセトフェノンといった光開始剤有りまたは無しで、約150nmから約350nmの間、例えば254nmの波長のUV放射といった、UV放射を必要とする。チオール−エン化学作用によって3D印刷されたポリマー層の作製に有用であり得るチオールの例は、(I)1,3−プロパンジチオール、(J)2,2’−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、及び(K)トリメチロルプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)である。
チオール−エン化学作用の使用によって3D印刷されたポリマー層の作製に有用であり得る不飽和化合物の例は、(L)1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、(M)1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジビニルエーテル、及び1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを含む。
チオール−エン重合反応を生じさせる上記の化合物は、非限定的で例示的な例であって、本開示の態様または本書に記載の方法を、チオール−エン付加重合ポリマーの調製に限定することを意図していない。チオール−エン重合反応用の化合物は、ドイツ国ルートヴィヒスハーフェンのBASF、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich、及びペンシルベニア州エクストンのSartomer USAといったサプライヤーから入手し得る。
エポキシ基に見られるものといった、電子不足の炭素中心を持つアミン及びアルコール(求核剤)の反応は、CMPパッドといった、印刷されたポリマー層及び研磨用物品の作製に有用であり得る、付加重合の別の例(例えば熱硬化性樹脂)である。架橋及び鎖間結合の性質を制御することによって、硬化されたエポキシに多くの所望の特性が与えられる。これらの特性は、多くの基板への卓越した付着力、高い強さ(引張強さ、圧縮強さ、及び曲げ強さ)、耐化学性、耐疲労性、並びに耐腐食性を含む。粘度といった、処理において重要な未硬化のエポキシ樹脂の特性は、強度や耐化学性といった、硬化エポキシの最終的な特性と同様に、エポキシモノマー及び硬化剤または触媒の適切な選択によって、最適化することができる。貯蔵弾性率(E’)、硬さ、付着力、可撓性、及び伸びといった所望の物理的特性を得るために、アミン硬化剤及びアルコール硬化剤、並びにエポキシドのどちらの化学構造も、様々であってよい。上記のとおり、形成された材料の、所望の架橋密度を実現するため、即ち貯蔵弾性率(E’)といった物理的特性を調節するため、異なる官能度が選択されてもよい。
一実施形態では、A部分(例えばジアミン硬化剤)とB部分(ジエポキシド)とを共混合することによって印刷されたポリマー層及び研磨用物品を作製するために、アミンーエポキシタイプの付加重合反応が使用されてよい。このことは、図3Dで既に記載し示したように実現されてよい。一実施形態では、1つ以上の混合された液滴を混合して分注した後、分注された液滴を、フラッシュキセノンランプまたはIRレーザといった熱源を用いてソリッドステートへと速硬化することによって、1つ以上のアミン−エポキシ付加ポリマー層(約1〜200mm厚)が形成されてよい。印刷された研磨用物品の形成のためにエポキシ熱硬化性樹脂ポリマー層を硬化するのにも、様々な熱硬化促進剤が使用されてよく、それらは、限定しないが、フェニル尿素、三塩化ホウ素アミン錯体、イミダゾール、脂肪族ビス尿素、フェノール、及びレゾルシノールを含み得る。代わりの実施形態では、単一のリザーバから分注された印刷されたポリマー層及びCMPパッドを作製するのに、ワンパックの熱硬化性樹脂調合物が使用されてよい。本書では、25°Cといった特定の温度で、少なくとも1つのジエポキシドまたは多官能性エポキシドが、4,4’メチレンビス(フェニルジメチル尿素)といった促進剤有りまたは無しで、ジシアンジアミド(DICY)といった熱潜在性開始剤と共に、単一のリザーバ内に収容されていてよい。こうした混合物は、熱が加えられる前、(成分の反応度に応じて)何時間といった一定の時間にわたって、安定していてよい。上記のように、フラッシュキセノンランプまたはIRレーザの使用によって熱が加えられてよく、この熱が、DICY化合物の活性化とソリッドステートへの硬化を生じさせる。
エポキシ化合物または樹脂は、ビスフェノール−Fジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ゴム、エポキシ化油、エポキシ化ウレタン、エポキシエーテル、多環式脂肪族エポキシ、多環式芳香族エポキシ、及びこれらの組み合わせを含み得る。エポキシは、モノマー、オリゴマー、またはポリマーであってよい。エポキシ樹脂の賢明な選択によって、並びに、エポキシ化またはエポキシ官能化の化学構造及び程度を検討することによって、所望の範囲内の値に調整することができる弾性率を有するポリマー層を含む、印刷された研磨用物品を構築することができる。一実施形態では、エポキシ修飾されたポリウレタンまたはゴムは、約25°Cから約200°C、例えば75°Cといった温度でのアミン硬化後に所望の弾性率を実現するため、低粘度の芳香族エポキシドである、レゾルシノールジグリシジルエーテルと混合されてよい。印刷ポリマー層を作製するのに有用であり得るエポキシドのさらなる例は、(O)レゾルシノールジグリシジルエーテル、(P)ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、(Q)4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)である。
印刷されたポリマー層及びCMPパッドの作製には、同様に、数々のアミン化合物が利用可能である。アミンの形態は、モノマー、オリゴマー、及びポリマーであってよく、1分子あたり、少なくとも1つのアミン活性水素を伴う少なくとも1つのアミン基を含んでいてよい。適切なアミンは、限定しないが、脂肪族アミン、脂環式アミン、ポリエーテルアミン、ポリエチレンイミン、樹枝状アミン、及び芳香族アミンを含む。印刷されたポリマー層を作製するのに有用であり得るアミンの例は、(R)1,3−シクロヘキサンジアミン、(S)m−キシレンジアミン、及び(T)ジェファーミンD(登録商標)である。
エポキシ付加重合反応を生じさせ得る上記のエポキシ及びアミン化合物は、非限定的で例示的な例であって、本開示または本書に記載の方法のいかなる態様をも、印刷プロセスを通じたポリマー層または研磨用物品の調製に限定するものではない。エポキシ付加重合反応を生じさせ得る化合物は、ドイツ国ルートヴィヒスハーフェンのBASF、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich、米国ニュージャージー州ムーアズタウンのEmerald Performance MaterialsのCVC Thermoset Specialties及び、米国テキサス州ザ・ウッドランズのHuntsman Advanced Materialsといったサプライヤーから入手し得る。
ジアミンといった多官能性アミンは、他の付加重合反応に関して有用である。そうした反応の1つは、マイケル付加反応(1,4−共益付加)として知られており、この反応では、一次アミンまたは二次アミンが電子不足二重結合と反応する。具体的には、マイケル付加は、求核剤と、活性オレフィン及びアルキン官能基との反応であって、カルボニル基といった、電子吸引性を持ち共鳴安定化する活性化基に隣接する炭素−炭素の多重結合を横切って、求核剤が付加する反応である。マイケル付加の求核剤は「マイケル供与体」として知られ、活性化された求電子性のオレフィンは「マイケル受容体」としても知られ、これら2つの成分の反応生成物は、「マイケル付加物」として知られている。マイケル供与体の例は、限定しないが、アミン、チオール、ホスフィン、カルバニオン、及びアルコキシドを含む。マイケル受容体の例は、限定しないが、アクリレートエステル、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、シアノアクリレート及びビニルスルホン、ビニルケトン、ニトロエチレン、a,b不飽和アルデヒド、ビニルホスホネート、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アゾ化合物、β−ケトアセチレン、及びアセチレンエステルを含む。物品の可撓性、伸び、硬さ、靭性、弾性率、及び疎水性または親水性の性質といった、所望の物理的特性を得るかまたは調節するために、任意の数の種々のマイケル受容体及び/または混合物が使用されてよいことは、さらに留意される。例えば、マイケル受容体は、単官能性、二官能性、三官能性、及び四官能性であってよく、各R基は、異なる分子量、鎖長、分子構造を有していてよい。同様に、マイケル供与体は、上記の各特性に基づいて選択または特定されてよい。一実施形態では、印刷された研磨用物品は、反応例1に示すとおり、ジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート(10.1mmol)、及びジアミン、ピペラジン(10mmol)を使って作り出されてよい。
反応例1.
図3Dに示すように、一実施形態では、ジアクリレートとジアミンが2つの別個のリザーバ315、316内に存在していてよく、その後、分注ノズル314の蛇行経路の混合領域318内で混合されて液滴として分注され、次にキセノンフラッシュランプで熱硬化されて、ポリマー層を形成してよい。
マイケル付加ポリマーを生成するために使用され得る有用なアクリレートは数々あり、限定しないが、上記のアクリレートA〜Hを含む。同様に、少なくとも2つの一次アミン基または二次アミン基を含むアミンは、限定しないが、上記のアミンR〜Tを含み得る。これらの化合物の供給元は、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich、ペンシルバニア州エクストンのSartomer USA、米国コネチカット州トリントンのDymax Corporation、米国ジョージア州アルファレッタのAllnex Corporation、ドイツ国ルートヴィヒスハーフェンのBASF、及び米国テキサス州ザ・ウッドランズのHuntsman Advanced Materialsを含む。
別の実施形態では、印刷された研磨用物品は、開環重合(ROP)を使用して作製されてよい。ROPは、線状ポリマー、分岐ポリマー、及び網目ポリマー材料を製作する、環状モノマーの開環を伴う。ROPに関して有用であり得る環状モノマーは、限定しないが、オレフィン、エーテル、チオエーテル、アミン(例えばアジリジン及びオキサゾリン)、チオラクトン、ジスルフィド、スルフィド、無水物、カーボネート、シリコーン、ホスファゼン及びホスホナイトエポキシド、アセタール及びホルマール、ラクトン及びラクタムを含む。環状の、ROPを開始する材料または試薬は、多官能性、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及び分岐したものであってよく、ラジカルROP(RROP)、カチオンROP(CROP)、アニオンROP(AROP)、及び開環メタセシス重合(ROMP)を含む、任意の数のメカニズムによって開環してよい。
ほとんどの場合において、ROP重合は水といった望ましくない副生成物を作り出さず、ポリカーボネートを生成し得る従来型の縮合重合といった、通常は副生成物として水を作り出すポリマーに対して、「乾いた」経路を提供し得る。例えば、ケテンアセタールのROPは、水副生成物フリーの有用なポリエステルを作り出し得る。別の一例は、上記のように、正に帯電した中間体、即ちカチオン中間体(カチオンROPまたはCROP)を含むROPである。このカチオン中間体は、ポリアセタール、1,3,5−トリオキサンとオキシランのコポリマーまたは1,3,5−トリオキサンと1,3−ジオキサンのコポリマー、ポリテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとオキシランのコポリマー、ポリ(3,3−ビス(クロローメチル)オキセタン)、ポリシロキサン、エチレンイミンとポリホスファゼンのポリマーを含む、ポリマーを生成し得る。ROPによって生成される他の有用なポリマーは、限定しないが、ポリシクロオクテン、ポリカーボネート、ポリノルボルネン、ポリエチレンオキシド、ポリシロキサン、ポリエチレンイミン、ポリグリコライド、及びポリラクチドを含む。
環のサイズ、側基の置換、官能基化の程度といった環式ROP前駆体の化学構造を賢明に選択することによって、形成された物質の可撓性、伸び、硬さ、靱性、貯蔵弾性率(E’)、及び疎水性または親水性といった、印刷された研磨用物品の物理的特性を調節することができる。印刷された研磨用物品の作製にとって有用であり得るROP環式モノマーの例は、(U)ポリエステルを生成するδ−バレロラクトン、(V)ポリアミドを生成するε−カプロラクタム、及び(W)ポリオキサゾリンを生成する2−エチル−2−オキサゾリンを含む。
本開示のさらなる実施形態では、印刷された研磨用物品を作製するために、ディールス−アルダー(DA)反応が用いられてよい。伝統的なDA反応は、共役ジエンと第2の成分(「ジエノファイル」)との間の[4+2]環状付加反応であり、安定したシクロヘキセン誘導体(「付加物」)が生み出される。ジエン及びジエノファイルの選択は、環式、複素環式、並びに、複合官能基及び/または、保護官能基もしくは潜在官能基を含む、高度に置換された材料を含むことができる。ジエンは、2つの二重結合が1つの単結合によって分離されている任意の共役ジエンであると理解されてよく、ジエノファイルは、好ましくは電子吸引基に隣接している二重結合を有する化合物であってよい。ジエン前駆体は、共役ジエンを含む任意の5員環〜8員環であって、全ての環員が、炭素原子であるか、または共役ジエン系内の窒素、酸素、硫黄及びこれらの混合物から選択されたヘテロ原子と炭素原子との混合物からなっている、任意の5員環〜8員環からなっていてよい。環原子は、置換されていなくてよいか、または電子供与基(例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、アルコキシ置換アミノ基など)を含んでいてよい。ジエノファイルは、DA反応を経ることが可能な、任意の不飽和基からなっていてよい。既に述べたように、ジエノファイルは、シアノ基、アミド基、カルボキシ基、カルボキシエステル基、ニトロ基といった電子吸引基、または電子吸引基を含有する芳香環と、置換されていなくてよいかまたは置換されていてよい。代わりに、ジエノファイルは、1つ以上の電子吸引基と共役している環構造内の二重結合であってよい。DA反応は、熱的可逆性もまた示してよく、熱的可逆性があることで、温度上昇によって付加物の脱共役が可能になる。本開示の目的に関しては、適切なジエン及びジエノファイルは、研磨処理中に見られる温度といった、典型的なユーザ環境で遭遇する可能性が高い温度において、逆反応即ち「レトロ」DA反応を経る可能性が低いDA反応に参加することが可能な、任意のこうした材料であってよい。一実施形態では、研磨用物品は、研磨プロセス中に見られる温度よりもはるかに高い温度でリサイクルされ、モノマーに戻ってよい。
一実施形態では、ディールス−アルダー反応が、印刷されたポリマー層及びCMPパッドといった研磨用物品を作製するのに使用され得る。反応例2に例示されるように、ビスマレイミド化合物が、ビスフラン化合物と反応してポリマーを形成してよい。
反応例 2
重合のためのジエンとジエノファイル分子の要件は、これらの分子がそれぞれ、1つ以上の接続している基によって分離されている、少なくとも2つのジエン反応部位またはジエノファイル反応部位を含んでいることである。さらに、DA重合反応の生成物は、線状コポリマー、分岐鎖状ポリマーまたはコポリマー、ブロックコポリマー、及び星型または樹枝状ポリマーを含み得る。ジエン化合物及びジエノファイル化合物の供給元は、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrichである。
本開示の一実施形態では、ポリマー層及び印刷された研磨用物品を作製するために、芳香族化合物含有光応答性基が使用されてよい。光応答性基は、UV光に曝露されたときに、重合、及び/または、ポリマーの部分及び/またはより大きいポリマー網目の結合に、関与してよい。このタイプの反応は、[4p+4p]または[2p+2p]のどちらかの環状付加メカニズムによって進行してよく、このメカニズムは、所望の場合には、適切な波長の光を当てることによって、逆作用を経てよい。[2p+2p]環状付加反応の場合、2つのアルケンの間で光二量化が生じ、シクロブタン二量体が形成されてよい。有用な光応答性モノマー、オリゴマー、及びポリマーは、限定しないが、[4p+4p]または[2p+2p]のいずれかの環状付加メカニズムで反応し得る、アントラセン基、桂皮酸基、クマリン基、チミン基、及びスチルベン基を含む、光応答性基を含み得る。例示的な一実施例は、反応例3である。反応例3では、桂皮酸が[2p+2p]の環状付加反応を経て、シクロブタン基が生成される。こうした結合を形成する反応が、多官能性モノマー及びオリゴマーを使用して、[4p+4p]または[2p+2p]の環状付加反応を生じさせ、UV光源または適切な波長の他の形態の放射に曝露してポリマー材料を作製するのに使われてよいことは、留意されるだろう。[4p+4p]または[2p+2p] の環状付加反応の一例は、反応例3を含んでいてよい。
反応例 3
一般的に、[4p+4p]または[2p+2p]の環状付加反応または重合は、 約0.1秒と約100秒の間の期間にわたる、約0.1J/cm2と約500J/cm2の間の放射露光レベルによるUV放射の波長で開始される。膜の厚さ及び他の要因に依存し得る所望の転換レベルを実現するため、UV照射の曝露量及び強度が調整されてよい。UV照射は、水銀マイクロ波アークランプ(例えばHバルブ、H+バルブ、Dバルブ、Qバルブ、及びVバルブタイプのランプ)、パルス式キセノンフラッシュランプ、高効率UV発光ダイオードアレイ、及びUVレーザといった、任意のUV源によって提供されてよい。所望により、照射をパターニングするため、または曝露を所望のエリアのみに限定するため、適切な光学素子が用いられてよい。UV照射は、約170nmと約500nmの間の波長を有していてよい。光化学反応にとって有用な範囲の温度は、約−25°Cから約25°Cであってよい。これらの化合物の供給元は、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrichを含む。
本開示の別の実施形態では、CMPパッドといった印刷された研磨用物品を作製するために、ベンゾシクロブテン(BCB)化合物が使用されてよい。ベンゾシクロブテン化合物は、1分子あたりに少なくとも1つのBCB基を含む、熱重合可能なモノマーである。反応例4に示すように、第1の平衡ステップは、高反応性のo−キシリレン(k1/k2)をもたらすための、BCBの四員環の、熱的に活性化された開環を伴う。この反応中間体は、次に、容易に[2p+4p]のDA反応(k3)を経て、ポリマーを形成する。
反応例 4
BCBは、その官能性に応じて、熱硬化性樹脂材料または熱可塑性物質材料を産出するために重合してよく、キセノンフラッシュランプまたはIRレーザといった任意の適切な方法で、液滴分注後に硬化されてよい。ポリマーは通常、良好な熱的安定性を示し、研磨処理中に見られる温度における、機械的特性の保持を示す。研磨用物品に最適な貯蔵弾性率(E’)、硬さ、付着度、可撓性、及び伸びといった所望の物理的特性を得るためにBCBの化学構造が変えられてよいことを、当業者は認識するであろう。BCB化合物の供給元は、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrichと、米国ミシシッピ州ミッドランドのDow Chemical Company(Cyclotene(登録商標))を含む。
通常、高機能研磨パッド内により剛性の材料を形成するのに使用される調合物は、高機能研磨パッドの通常の使用中に荷重が印加されたときに、しばしば所望のレベルの伸びを有さない材料を形成する。ある実施形態では、この問題を解決するために、調合物に(したがって硬化される材料に)エラストマ材料を導入し、それによって、所望の引張強さを維持したままで形成された材料の伸びが増大することが、望ましくあり得る。あるケースでは、これらの材料の改良は、ポリウレタンオリゴマーメタクリレート系の材料をアクリルモノマーと組み合わせて使用することによって実現することができる。分注された新たな調合物を硬化する能力が少しでも劣化するのを防止する努力の一環として、エキソシン(Exothene)タイプの材料が使用されてよい。
相互侵入ポリマー網目
上記で検討したとおり、本書に記載の付加製造プロセスによって、高機能研磨パッドの特定のパッドエリア内に所望の特性を持った材料組成物を具体的に配置することが可能になり、それによって、堆積した組成物の特性を組み合わせて、個々の材料の諸特性の平均である特性や、諸特性の「複合」である特性を持つ、研磨パッドを作製することができる。本開示の別の一態様では、限定しないが、表3の材料または本書に記載の他の関連する樹脂前駆体成分から選択された樹脂前駆体成分を賢明に選択することによって、層内または層ごとの材料の「相互侵入ポリマー網目」を製作または作製することで、諸特性の平均、または諸特性の「複合」は、層内で、及び/または層ごとに、個別に調節され得ることが明らかになっている。
相互侵入ポリマー網目(IPN)は、1つのネットワーク内の2つ以上のポリマーのブレンドであって、そのポリマーのうちの少なくとも1つが別のポリマーの存在下で合成されている、2つ以上のポリマーのブレンドとして規定され得る。これによって、「物理的に架橋した」網目であって、1つのポリマーのポリマー鎖が別のポリマーによって形成された網目と絡まっており、及び/または別のポリマーによって形成された網目を貫通している、網目が作製されてよい。各個別の網目は、それぞれの個別の特性を保持しているので、E’30、E’90、E’30/E’90、強さ、靱性、圧縮、及び伸びを含む、特性の相乗的な向上が実現されてよい。IPNは膨張するが、溶媒中に溶解せず、材料のクリープ(creep)と流動が抑制されるという点で、ポリマーブレンドとは区別されてよい。あるケースでは、ポリマーが密接に絡まっており、及び/またはポリマーが密接な網目構造となっていることから、IPNは「ポリマー合金」として知られていてよい。ポリマーブレンドは、このポリマー合金によって、化学的に適合したものになり得、及び/または、よく混合されて、所望の相形態及び関連する特性を実現し得る。IPNは、物理的に密接に接触しているが、互いに化学的結合はしていてよいか、していなくてよい少なくとも2つのポリマーが、物理的に絡まっているかインターレースしていることによって理想的に形成されたマルチ連続構造によって、他の複数のシステムまたは網目から区別され得る。
本開示の実施形態では、IPNは、研磨パッドの特性を調節及び調整して、層内、及び/または層ごとに、E’30、E’90、E’30/E’90、強さ、靱性、圧縮、及び伸びを含む特性といった、所望の特性の組成物を製作するために用いられる。ある実施形態では、ポリマーは、約1重量パーセントから約50重量パーセントの間、例えば約5重量パーセントから約25重量パーセントの間、及び約10重量パーセントで、調合混合物または樹脂前駆体組成物の混合物に対して、加えられてよい。重要なことには、ポリマーの分子量、鎖長及び分岐は、ポリマーの混和性及び混合物の粘度を含む要因によって、ポリマーの重量パーセントに関してある役割を果たし得る。例えば、線状ポリマーは、分岐ポリマーと比べて、より粘度の高い混合物を作り出してよい。ある実施形態では、未硬化の混合物内のポリマーは、UV光に対して不活性であってよく、モノマーまたはオリゴマーといった他の官能性樹脂前駆体組成物との重合に参加しなくてよい。他の実施形態では、添加されたポリマーは、モノマーまたはオリゴマーといった樹脂前駆体成分との重合に関与し得る、化学的官能性、またはアクリル基及びエポキシ基といった基を含んでいてよい。本開示では、IPN合成の方法は限定されておらず、IPNを製作するのに使われる樹脂前駆体成分またはポリマーのタイプも、限定されていない。
本開示のさらなる実施形態では、IPNであって、その中で、モノマーまたはオリゴマーといった樹脂前駆体成分のUV光重合から生成されてよい成長中の架橋網目内に、線状ポリマーが閉じ込められていてよい、IPNが製作されてよい。あるケースでは、線状ポリマーの特性(例えば伸び)は、低い伸びを有し得る硬性の架橋材料も含むIPN内で維持されてよく、それによって、全体的な諸特性の「複合」または平均が作り出される。軟らかいか、中間の硬さか、または硬い、相またはその中の材料の、連続性、分布、及び重量またはモルパーセントに応じて、IPNは、強化されたゴムのような特性から、高耐衝撃性プラスチックの特性といった、幅広い特性を示してよい。本開示のある実施形態では、IPNを含有する研磨パッドは、高可撓性、高い伸び(例えば100%〜400%)、及び高靱性(≧2Mpa)で作製されてよい。ある実施形態では、適正な引張強さを維持しながら研磨パッドの伸びを増大するのに使用されてよい、ポリ(ブチルメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)(表3のA3)といったポリマーを含有する、IPNが作製される。これらの実施形態を表すいくつかの実験が、表8に示されている。表8のアイテム1は、A3ポリマーなしの対照実験(非IPN)、及びアイテム2〜3は、IPN内のA3の重量パーセントを増加した場合を含む、種々の条件下で生成されたIPNを表す。この結果は、研磨パッドに使われるIPNの有用性を示している。この表に示されている引張−伸びの結果は、ASTM D638引張試験の方法によるものである。
(表8)
本開示のさらなる実施形態では、IPNは、ウレタン、エステル、チオール−エン、及びエポキシポリマーを含むブレンドされた材料といった、パッド本体202の部分を形成する2つ以上のポリマー材料を用いて形成されてよい。エポキシを5%未満含有するウレタンアクリレートとエポキシポリマーの混合物によって、エポキシポリマーがウレタンアクリレート網目にとっての可塑剤の役割を果たす材料が生成されると確信されている。しかし、5%を超えるエポキシを含むウレタンポリマーとエポキシポリマーの混合物は、エポキシがウレタンアクリレート網目とインターレースし、それによって、%伸び、硬さ、及び最大引張強さといった、形成された材料の機械的特性が影響されるという、材料を生成すると確信されている。IPNを形成するのに使用できる材料の他の例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−α−メチルスチレン)、ポリ(tert−ブチルアクリレート−コ−エチルアクリレート−コ−メタクリル酸、ポリ(ベンジルメタクリレート)を含む。
ある実施形態では、調合混合物または樹脂前駆体成分の混合物は、付加製造プロセス(例えば3D印刷プロセス)中に、プリントヘッドといった堆積用ハードウエアによって分注される調合物内に完全に溶解する熱可塑性ポリマーを、約5%と約50%の間で含んでいてよい。熱可塑性ポリマー含有調合物は、光硬化後、熱可塑性ポリマーとインターレースして、相互侵入しているポリマー網目を形成する傾向があると確信されている。一実施例では、IPNの形成に使用される熱可塑性ポリマーは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PEEK、PEKKといった、線状ポリマーを含む。IPNを形成するための熱可塑性ポリマーの付加は、貯蔵弾性率、損失弾性率、引張強さ、伸び、及び可撓性を含む、硬化された材料の機械的特性を向上させる傾向がある。UV硬化中にメタクリレートポリマー鎖をメタクリレートモノマーに組み込むのは非常に困難であるため、プレ重合したメタクリレートモノマーは、この線状ポリマーを溶解することによって、容易に液滴調合物中に導入され得る。
ある実施形態では、付加製造プロセスは、代わりに、または併せて、光硬化可能なオリゴマー/モノマーを20〜70%、及び印刷後に熱硬化可能な(例えばアニールされる)オリゴマー/モノマーを30〜80%含む、インクジェット印刷可能な樹脂前駆体組成物の使用を含んでいてもよい。光硬化可能な部位は、大部分はアクリレート(ポリエステル/ポリエーテル)系の調合物であり、熱硬化可能な部位は、高温のアニール温度でイソシアネート基のブロック解除を可能にする、ジオールでブロックされたイソシアネートとを含む。その結果、以下の反応例のように、イソシアネートとジオールが反応してウレタンが形成される。
ブロック解除する基の例は、それぞれ170°C、140°C、及び170°Cのブロック解除温度を有する、フェノール基、オキシム基、及びカプロラクタム基を含む。ブロック型イソシアネートの他の例は、イソシアナートエチル(メタ)アクリレートにフェノールまたはジエチルオキシムを付加することによって調製された、フェノールまたはジエチルオキシムでブロックされたイソシアナートエチル(メタ)アクリレートを含む。これらのタイプの樹脂前駆体組成物は、電磁放射(例えばUV光)の送達によって供給されたエネルギー収支に基づく選択性を有するほとんどの現行の光硬化可能なインクとは異なって、高度に選択的な網目の形成を可能にすると、確信されている。したがって、これらの樹脂前駆体組成物を用いて形成される材料の機械的特性は、高機能研磨パッド内の成分の所望の要件を満たすように所望の調合組成物を制御することによって、より良く制御またはカスタマイズすることができる。
一実施形態では、印刷されたポリマー層は、形成される高機能研磨パッド200内の選択される材料層の1つ以上のパッド特性を向上するために使用される、無機及び/または有機の粒子を含有していてよい。3D印刷プロセスは、層あたり少なくとも1つの組成物による層ごとの逐次的な堆積を含んでいるため、特定のパッド特性を獲得するため、及び/または特定の機能を実施するため、パッドの層上または層内に配置される無機または有機の粒子を追加で堆積することもまた、望ましくあり得る。無機または有機の粒子は、1ナノメートル(nm)から100マイクロメートル(μm)の範囲の大きさであってよく、液滴噴出プリンタ306によって分注される前に前駆体材料に添加されてよいか、または、1重量%(wt%)と約50重量%の間の比で、未硬化の印刷層に添加されてよい。無機または有機の粒子は、最大引張強さを向上させるため、降伏強さを向上させるため、ある温度範囲にわたる貯蔵弾性率の安定性を向上させるため、熱伝導を向上させるため、材料のゼータ電位を調整するため、及び/または表面の表面エネルギーを調整するために、高機能研磨パッドの形成プロセス中に添加されてよい。粒子のタイプ、化学組成、または大きさ、及び添加される粒子は、用途または実現すべき所望の効果によって、様々であってよい。ある実施形態では、粒子は、金属間化合物、セラミック、金属、ポリマー、及び/またはセリア、アルミナ、シリカ、もしくはジルコニアといった金属の酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの組み合わせを含み得る。一実施例では、パッドの上に、パッドを覆って、またはパッド内に配置された無機または有機の粒子は、PEEK、PEK、PPS、並びに、高機能研磨パッドの機械特性、及び/または熱伝導性を向上させる他の同様の材料といった、高性能ポリマーの粒子を含み得る。3D印刷された研磨パッド内に組み込まれている粒子は、架橋の中心としてもまた機能してよく、そのことは、かけられる荷重の重量パーセントに応じた、貯蔵弾性率E’の上昇につながり得る。別の例では、セリアといった、ポリマー組成物含有の極性粒子は、パッド表面において、CMPスラリといった極性材料及び極性液体に対する、さらなる親和性を有していてよい。
高機能研磨パッドの特性
少なくとも第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を含むパッド本体202を有する高機能研磨パッド200を形成する利点は、単一材料の組成物から形成されたパッド本体には見られない、機械的特性、構造特性、及び動的特性を有する構造物を形成する能力である。ある実施形態では、第1の研磨要素204が、第2の研磨要素206の部分(例えば、図2Aの部分212A)の上に配置され、この部分によって支持されている、少なくとも1つの領域を含む研磨体202を形成することが望ましい。この構成では、2つの材料の特性の組み合わせと構造的な構成は、所望の機械的特性、構造特性、及び動的特性、並びに、従来型の研磨パッド設計に対して改良された研磨性能を有する、高機能研磨パッドを形成するのに使用され得る。
第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206内の材料及び、その材料の化学構造は、上記の化学的性質を用いて「調節された」バルク材料を実現するために、選択され得る。この「調節された」バルク材料で形成された高機能研磨パッド200は、研磨結果の改善、製造コスト削減、パッド寿命の延長といった、様々な利点を有する。一実施形態では、高機能研磨パッド200は、全体として測定された場合、約25ショアAと約75ショアDの間の硬さと、約5MPaと約75MPaの間の引張強さと、約5%と約350%の間の破断伸びと、約10MPaを超えるせん断長さと、約5MPaと約3000MPaの間の貯蔵弾性率E’とを有し得る。
上記のとおり、研磨される基板に対する研磨結果の向上を実現するため、第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206で使用するのに、異なる機械的特性を持つ材料が選択されてよい。形成された第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206内に見られる材料の、貯蔵弾性率E’といった機械的特性は、種々の材料や材料組成物を選択することによって作り出されるか、及び/または、研磨要素形成プロセス中に使用される、種々の堆積後処理ステップ(例えば硬化処理)を選択することによって、作り出されてよい。一実施形態では、第2の研磨要素206がより低い硬さの値とより低い貯蔵弾性率E’値を有していてよい一方、第1の研磨要素204は、より高い硬さの値とより高い貯蔵弾性率E’を有していてよい。別の一実施形態では、貯蔵弾性率E’は、各研磨要素204、206内で、及び/または研磨パッドの研磨面のあちこちの様々な別の箇所で、調整されてよい。一実施形態では、第1の研磨要素204は、約40ショアDスケール〜約90ショアDスケールの硬さを有していてよい。第2の研磨要素206は、約26ショアAスケールと約95ショアAスケールの間の硬さの値を有していてよい。第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206はそれぞれ、一体のパッド本体202内の複数の境界で混ざり合わされ、化学的に結合された、異なる化学組成を含んでいてよい。
ある実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使われる材料の硬さ、貯蔵弾性率E’、及び/または損失弾性率E’’は、それぞれ、1つ以上の研磨プロセスパラメータ及び/または研磨パッドの寿命を向上させるように構成されている。ある実施形態では、高機能研磨パッド内の第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206を形成するのに使われる材料の硬さ、貯蔵弾性率E’、及び/または損失弾性率E’’は、研磨速度及び研磨の均一性(例えば、WiWの均一性、WtWの均一性)を向上させるように構成されている。図1F〜図1G、図2A及び図2Cに概して示されているように、第1の研磨要素を支持するように位置している第2の研磨要素206の硬さを制御することによって、形成される高機能研磨パッドの研磨の均一性と研磨速度とを、大幅に向上できることが判明している。図6A〜図6Bは、概して、図2Aに示す高機能研磨パッド構造物と同様の構造を有する高機能研磨パッド(例えば、サンプル1、2及び3)内の、研磨要素の材料の硬さを変化させる影響を示している。図6Aは、研磨速度の、同様に構成された高機能研磨パッド(例えば、サンプル1、2及び3)の第2の研磨要素の材料の硬さを変化させた影響に対するプロットを示す。示されているデータを収集するのに使われた高機能研磨パッド構造が、各サンプルにおいて同様に構成された第1の研磨要素204(例えば、材料及び構造形状)を含んでいた一方、第2の研磨要素206の材料特性(例えば硬さ)が、第2の研磨要素206内で、硬い材料の調合物の液滴の、軟らかい材料の液滴に対する材料組成比を調整することによって様々であったことは、留意されるであろう。これらの実施例では、各サンプルで使用された第1の研磨要素204は、第2の研磨要素206の硬さよりも大きい硬さを持つようにして形成され、そのショアD硬さは約80、貯蔵弾性率は約1700MPaと2000MPaの間であった。図6Aに示すように、サンプル2及び3は、それぞれショアA硬さ80及びショアA硬さ70、並びに貯蔵弾性率13MPa及び貯蔵弾性率5MPaであり、ショアA硬さ90で貯蔵弾性率43MPaであったサンプル1と比べて、相対的に高い平均材料除去速度を有していた。しかし、図6Bに示すように、サンプル3は、サンプル1及び2と比べて最高の研磨速度均一性を有していた。サンプル1及び2がサンプル3との対比で示したように、高い研磨速度不均一性を示す高機能研磨パッドでは、基板の最終的な研磨結果も、不均一なものになるだろう。したがって、ある実施形態では、ショアA硬さが90未満になる硬さを実現するようにして、第2の研磨要素206内の1つ以上の層の材料組成比を調整することが望ましい。ある構成では、第2の研磨要素206内の1つ以上の層の材料組成比は、80未満のショアA硬さ、例えば70未満のショアA硬さ、または60未満のショアA硬さ、または50未満のショアA硬さ、または40未満でさえあるショアA硬さを実現するようにして、調整される。ある構成では、第2の研磨要素206内の1つ以上の層の材料組成比は、10から80の間のショアA硬さ、例えば10から70の間のショアA硬さ、または20と60の間でさえあるショアA硬さを実現するようにして、調整される。ある代替的な実施形態では、第2の研磨要素206を形成する材料の硬さを調整するため、第2の研磨要素206を形成するのに使われる少なくとも1つの調合物の樹脂前駆体組成物を変化させるのが望ましくあり得る。
本書に記載の開示の範囲の限定を意図するものではないが、本開示の目的に関して、高機能研磨パッド200内の第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206用の、30°C及び90°Cにおける所望の低、中、及び/または高貯蔵弾性率E’特性(E’30及びE’90)を有する材料が、表2に要約されている。
(表2)
高機能研磨パッド200の一実施形態では、複数の第1の研磨要素204は、1つ以上の第2の研磨要素206の上に突出しているように構成されており、それによって、研磨プロセス中、基板110の表面が、第1の研磨要素204の研磨面208を使って研磨される。一実施形態では、バルク材料研磨ステップ中の所望の平坦性、研磨能率、及びディッシングの低減を確保するために、研磨プロセス中に基板の表面に接触する第1の研磨要素204を、表2に規定されているような高貯蔵弾性率E’を有する材料で形成することが望ましい。しかし、一実施形態では、バフ研磨または残留材料除去ステップ中の所望の平坦性、研磨能率、及びディッシングの低減を確保するために、研磨プロセス中に基板の表面に接触する第1の研磨要素204を、低または中貯蔵弾性率E’を有する材料で形成することが望ましくあり得る。
ある実施形態では、第1の研磨要素204の貯蔵弾性率は、パッドの目つぶれ(glazing)の影響を最小化するようにして調整される。パッドの目つぶれは、使用された研磨パッドの目つぶれが起きた表面を研磨するプロセス(即ちパッドのコンディショニング)がない場合には、研磨処理の除去速度を時間の経過と共に低下させるものである。パッドの目つぶれは、基板の表面に接触する材料の塑性変形によって生じると確信されている。パッド表面のせん断力によって、接触している材料の「コールドフロー」または塑性変形が生じるため、目つぶれは、せん断弾性率(G’)に反比例する。等方性固体の場合、せん断弾性率は、νがポアソン比であるとき、概して等式G’=E’/2(1+ν)によって貯蔵弾性率と関係づけられる。このように、第1の研磨要素204を形成するのに使用される低せん断弾性率の、したがって低貯蔵弾性率の材料では、塑性変形速度がより速く、したがって目つぶれのエリアが形成されるであろう。したがって、上記のように、高貯蔵弾性率E’及び/または高い硬さの材料で第1の研磨要素204を形成することも、また望ましい。
パッドコンディショニング処理を用いることによって、研磨パッドの目つぶれした表面を確実に活性化し得るために、第1の研磨要素204を形成するのに使われる材料が、所望の引張強さ及びパーセント破壊伸びを有することもまた、望ましい。ある実施形態では、第1の研磨要素204を形成するのに用いられる材料の最大引張強さ(UTS)は、約250psiから9,000psiの間である。第1の研磨要素204を形成するのに使われる材料のUTSが高ければ高いほど、パッドコンディショニング処理を実施する前、最中、及び後の研磨パッド材料は、より耐久性が高まり、粒子の形成が起きにくくなると確信されている。一実施形態では、第1の研磨要素204を形成するのに用いられる材料のUTSは、約5,000psiから約9,000psiの間である。ある実施形態では、第1の研磨要素204を形成するのに用いられる材料の破壊伸びは、約5%から200%の間である。第1の研磨要素204を形成するのに用いられる材料の破壊伸びが低ければ低いほど、材料の変形性は低くなり、したがって、研磨剤の捕捉とスラリの移送を可能にする表面のマイクロテクスチャまたは凹凸を維持することが、容易になると確信されている。一実施形態では、基板の研磨面に接触するように構成された第1の研磨要素204を形成するのに使用される材料の破壊伸びは、約5%から約40%の間になるように調整される。
処理中のディッシング及びパッドの環状の変形に関する他の負の特性を生じさせ得る研磨中のパッドの弾性反発を低減する、所望の減衰特性を有する研磨パッドを設けることも、また必要である。したがって、研磨中に基板の表面と接触する高貯蔵弾性率E’材料を必要とする代償として、第1の研磨要素204を支持するように置かれた第2の研磨要素206が、より低い貯蔵弾性率E’を持つ材料から形成される。
一実施例では、高機能研磨パッド200は、図7Aに示すtan δ特性を含んでいてよい。図7Aは、第1の研磨パッド材料用の(例えば曲線791)、第2の研磨パッド材料用の(例えば曲線792)、及び、第1の研磨パッド材料(例えば軟らかい材料)または第2の研磨パッド材料(例えば硬い材料)を含む領域を含む高機能研磨パッドの構成用の(例えば曲線793)、tan δデータ(1Hz、傾斜率5°C/分)を含む。曲線791及び792に示されるように、これらのtan δデータは、第1の材料と第2の材料の、それぞれ離間した別個のtan δのピークを含んでいる。対照的に、高機能研磨パッド用の即ち曲線793のtan δのピークは、広がって融合している。このことは、例えば第2の研磨要素206内に見られる第1の研磨パッド材料と、例えば第1の研磨要素204内に見られる第2の研磨パッド材料との間に、分子レベルにおける混合、分子鎖の絡み合い、化学結合、及び/または組成勾配があることを示唆している。ディッシングの量と、平坦化効率、及び他の関連する研磨の不均一性を最小化するためには、30°Cから90°Cの間の温度において、tan δの最高値が約0.1と約3の間にあることが有用であることが分かっている。
プロセスの繰り返し性をさらに制御しようとするために高機能研磨パッドに関して制御し得る別のパラメータは、パッド材料の「回復」である。図7Cは、第1の研磨要素204または第2の研磨要素206の一部を形成していてよい材料の研磨サイクルの、数々のシミュレーションにわたって取られた、貯蔵弾性率E’の温度に応じたプロットを示している。プロット780は、各研磨サイクル中の、研磨パッドが開始時の温度約30°Cから最終的な定常状態の研磨温度約90°Cに加熱されたときの、当初の貯蔵弾性率の初期値776から(例えば、貯蔵弾性率値788へ)の貯蔵弾性率E’の低下と、パッドが約90°Cから最終的な温度約30°Cに冷却されたときの、貯蔵弾性率を測定した、複数の曲線を含む。説明のため、及び考察を明快にするため、図7Cのプロットは、曲線782及び783を含む第1の研磨サイクル、曲線784及び785を含む第2の研磨サイクル、並びに曲線786及び787を含む第3の研磨サイクルを含む、3つの研磨サイクルのデータを示している。図7Cに示すとおり、各サイクル777〜779の終了時点では、研磨パッド材料内に見られる応力の緩和による、及び/または、研磨処理中により高い荷重がかけられたときにより高い研磨温度で生じ得る、ポリマー材料の結合構造の少なくとも部分的な再構成による、測定された貯蔵弾性率の低下が見られる。数々の連続したサイクルの後で、材料がどれほど回復するかは、材料の「回復」力として知られている。回復は、通常、開始時点776から安定均衡点779までの、研磨サイクル内の同一地点で測定された、材料特性(例えば貯蔵弾性率)の大きさの低下の割合として測定される。回復は、終了値789の初期値790に対する比を測定し、それに100を乗算することによって計算することができる。研磨プロセスの安定性を確保するため、一般的には、研磨パッドの材料の回復は可能な限り大きいことが望ましく、したがって、CMPプロセスのシミュレートするように構成された動的粘弾性分析(DMA)試験で、回復が少なくとも50%を上回るか、または約70%以上でさえあることが望ましいと確信されている。一実施例では、DMA試験は、約5〜10分の間の長さ、例えば約8分の長さであり、最大温度傾斜率は、標準的なCMPプロセスをシミュレートするように意図された、約5°C/分である。DMA試験は、基板、スラリ、保持リング、と研磨パッドの間の摩擦によって研磨装置に生じる、パッドの発熱を模倣するのに使われる。熱は、研磨運転を通じて蓄積される傾向があり、続いて、基板処理ステップの合間に、通常の流体対流またはパッドからの熱伝導によって、急速に冷まされる。ある実施形態では、研磨パッドが所望の回復を有することを確保し、それによって研磨プロセスの安定性を確保するため、形成された層内の応力及び/または架橋の程度を制御するための、前駆体調合物の組成及び/または硬化プロセスのパラメータを、調整することが望ましい。ある実施形態では、研磨プロセスで使用する前に表面及び/またはバルク材料の特性を改良するため、高機能研磨パッドを熱的に処理するか、プラズマ処理するか、化学処理するか、及び/または高機能研磨パッドの表面を電磁放射に曝露することもまた、望ましくあり得る。ある実施例では、部分的に硬化された各層の形成後、もしくは部分的に硬化された複数の層の形成後に、さらには高機能研磨パッドを完全に形成した後に、高機能研磨パッドの少なくとも一部を熱的に処理するといったように、高機能研磨パッドの部分を熱的に処理することが望ましい。
図6E〜図6Fを参照すると、第1の研磨要素204の第2の研磨要素206に対する構造配置が、研磨プロセスの繰り返し性を制御し、研磨プロセスの研磨速度を向上させるのにも使用され得ることが分かっている。こうした構造配置の1つは、形成された高機能研磨パッド内の、第2の研磨要素206に対する第1の研磨要素204の相対的な物理的レイアウトに関連しており、本書では、形成された高機能研磨パッド内の第1の研磨要素204の総露出表面積/体積比(SAVR)として知られている。第2の研磨要素206に対する第1の研磨要素204の相対的な物理的レイアウトを制御することと、第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206を形成するのに使われている材料の機械的特性(例えば熱伝導性、硬さ、損失弾性率、研磨接触面積など)を制御することによって、総露出表面積/体積比を調整することで、研磨処理の繰り返し性及び基板研磨速度が、他の研磨パラメータと共に、大きく向上し得ると確信されている。一実施例では、第1の研磨要素204内の材料の機械的特性は、約6.0E−6未満、例えば約1.0E−7と6.0E−6 m2/sである、熱拡散率(m2/s)を含む。
図6Eは、2つの第1の研磨要素204A1及び204A2を示す。第1の研磨要素204A1及び204A2は、第1の研磨要素204A1と204A2のそれぞれの一部が、第2の研磨要素206の一部の中に埋設されているようにして、第2の研磨要素206によって支持されている。第2の研磨要素206は、研磨ツール内の構成要素(図示せず)によって支持されている、ベース面2061を有する。第1の研磨要素の埋設領域は、本書では概して非露出部2041であるとして記載されており、第1の研磨要素の第2の研磨要素206に埋設されていない部分は、本書では露出部2040と呼ばれる。第1の研磨要素204A1及び204A2のそれぞれは、第2の研磨要素206の表面2060から各第1の研磨要素204の頂表面2011まで延びる、特徴部高さ2021を有する。第1の研磨要素のアレイ内に形成されている第1の研磨要素204A1及び204A2は、高機能研磨パッドの構成に応じて一定であるかまたはX−Y平面内で変動してよい、間隔2020を有する。図2A及び図2F〜図2Kに示すようなある実施形態では、アレイ内の間隔2020は、径方向(例えばX−Y平面)及び円弧方向(例えばX−Y平面)に配向されていてよく、上記のとおり、一定であるか、またはこれらの方向のうちの1つ以上に向けて変動してよい。
構造としては、第1の研磨要素204A1、204A2はそれぞれ、第2の研磨要素206の表面2060よりも上にある側面2010の一部、及び、研磨中に上に基板が置かれる頂表面2011を含む、露出面を有する。一実施例では、図2Aに示す第1の研磨要素と同様に構成された第1の研磨要素は、第1の研磨要素それぞれの径方向位置(例えば、直径の異なる複数の同心円)に応じて変動する、総表面積を有する。一方、別の例では、図2Cに示す第1の研磨要素と同様に構成された第1の研磨要素に関して、各第1の研磨要素の総露出表面積は、ある第1の研磨要素と次の第1の研磨要素とで、異なっていなくてよい。一般的に、各第1の研磨要素204の総露出表面積(TESA)は、基板接触面積(SCA)である頂表面2011の面積と、各側面2010の露出部の面積の和である第1の研磨要素の総露出側壁面積とを含む。概して基板が研磨中に接触する面積である総表面接触面積が、高機能研磨パッドの全ての第1の研磨要素204の頂表面2011の面積全ての和であることは、留意されるであろう。しかし、パーセント接触面積は、第1の研磨要素204の総接触面積を、研磨パッドの総パッド表面積(例えば、Dをパッドの外径としたとき、πD2/4)で除算したものである。第1の研磨要素の体積(V)は、概して、例えば図2Cに示す第1の研磨要素204の円筒の体積といった、第1の研磨要素204の総内部体積である。しかし、例えば同じ径方向幅(例えば図2Aの幅214)または、同じ特徴部サイズ(例えば図2Cの長さ208L、第2の研磨要素206中への埋設深さ、及び研磨要素の高さ)を有するといったように、同様の断面形状を有する各第1の研磨要素204の総露出表面積/体積比(SAVR)(例えば、SAVR=TESA/V)は、高機能研磨パッドを形成するのに使われたアレイ内の第1の研磨要素204のそれぞれに関して、概して同じ総露出表面積/体積比を有するであろう。
図6Fは、それぞれ別々の第2の研磨要素206によって支持され、異なる特徴部高さ2021B1及び2021B2を有する、2つの研磨要素204B1及び204B2を示す。研磨プロセス中、第1の研磨要素204B1及び204B2のそれぞれの頂表面と、各基板との間に作り出された摩擦によって、熱流束2071または熱流束2072が生成され、それらの熱流束は、第1の研磨要素204B1及び204B2のそれぞれの頂表面から離れる方向に伝導される。これらの構成のそれぞれに関して、頂表面2011の特性と、基板の研磨に使用した研磨パラメータが同じままであれば、熱流束2017と2072は、概して同様になるであろう。しかし、部分的には、通常の研磨中に、別様に構成された第1の研磨要素204B1と第2の研磨要素204B2によって実現される温度の差異のせいで、第1の研磨要素204B1と204B2の露出表面積及び体積が研磨処理の結果に影響することが判明している。一般的には、処理温度の上昇によって、別様に構成された第1の研磨要素204B1及び204B2のそれぞれを形成するのに使われるポリマー含有材料の機械的特性の劣化が生じる。さらに、研磨温度がより高くなると一般的に研磨プロセスの研磨速度が上昇することと、ある基板と次の基板とで研磨プロセス条件が変動することは、一般的にほとんどの研磨プロセスにとって好ましくないことは、留意されるであろう。
図6Fを参照すると、研磨スラリが第1の研磨要素204B1及び204B2の露出面に対して移動することによって作り出された対流熱伝達によって、研磨プロセス中に生成された熱の少なくとも一部が除去される。通常、研磨スラリは、研磨中、第1の研磨要素204B1及び204B2の頂表面(例えば接触面)の正常な温度よりも低い温度である。したがって、少なくとも1)別様に構成された第1の研磨要素間の、スラリとの熱交換の能力に影響する、露出表面積の差異、2)特徴部高さの差異による、第2の研磨材料206の絶縁効果の差異、及び3)第1の研磨要素間の質量(例えば体積)の差異のせいで、研磨処理の結果は、第1の研磨要素204B1と第1の研磨要素204B2とで異なるものになるであろう。図6Cは、標準的な研磨プロセス中の、第1の研磨要素の、特徴部の高さ2021の除去率に対する影響を示す。図6Fに示すとおり、特徴部の高さが減少するのにつれて、材料除去率は上昇する。図6Dは、総露出表面積/体積比に対する特徴部の高さ2021の影響を示す。形成された第1の研磨要素の総露出表面積/体積比の差異によって作り出された構造的効果及び熱的効果が、図6Cに示す、別様に構成された(例えば、構造部高さ2021が異なる)第1の研磨要素それぞれの、研磨処理結果の差異につながると確信されている。
ポリマー含有研磨パッドを「パッドコンディショニング」する必要性のせいで、第1の研磨要素の頂表面2011を研磨するという作業が、研磨パッドの寿命にわたって特徴部高さ2021を低下させるであろうことは、留意されるだろう。しかし、高機能パッドがパッドコンディショニング処理によって研磨されるのにつれて、特徴部高さ2021のばらつきが、総露出表面積/体積比に、したがって研磨処理成績に、ばらつきを生じさせるであろう。したがって、総露出表面積/体積比が、研磨パッドの寿命を通じて不変のままであるようにして、高機能研磨パッド内の第1の研磨要素204を構成することが望ましい、ということが判明している。ある実施形態では、第2の研磨要素206内に部分的に埋設されている第1の研磨要素204の総露出表面積/体積比は、20毎ミリメートル(mm−1)未満の総露出表面積/体積比となるように、設計されている。別の実施例では、総露出表面積/体積比は、15mm−1、例えば10mm−1未満、または8mm−1未満でさえある。
ある実施形態では、高機能研磨パッド内の第1の研磨要素204は、総露出表面積/体積比が安定範囲内にあるように、例えばSAVRが20mm−1未満であるようにして、設計されており、頂表面2011のスラリ保持が望ましく維持されるようにして、第1の研磨要素204のポロシティが追加され、及び/または制御される。総露出表面積/体積比を調整するのと同様に、第1の研磨要素204の表面に多孔性の特徴部を追加することによっても、ウエハごとの、形成された第1の研磨要素204内の温度のばらつきを安定化させられることが、判明している。一実施例では、形成された第1の研磨要素のポロシティは、材料の熱拡散率(m2/s)が約1.0E−7と6.0E−6 m2/sの間になるようにして、形成される。第1の研磨要素204内のポアは、約50nm以上、例えば約1μmと約150nmといった平均ポアサイズを有することができ、約1%〜約50%のボイド容積率を有することができる。
研磨プロセスの繰り返し性を制御し、研磨プロセスの研磨率を向上するために使用し得る高機能研磨パッドの別の構造配置は、形成された高機能研磨パッド内の第1の研磨要素204の基板接触面積(SCA)を含む。基板が研磨中に接触する面積である基板接触面積が、概して、高機能研磨パッドの全ての第1の研磨要素204の頂表面2011の面積全ての和であることは、留意されるであろう。しかし、パーセント接触面積は、第1の研磨要素204の総表面接触面積を、研磨パッドの総パッド表面積(例えば、Dをパッドの外径としたとき、πD2/4)で除算したものである。図6Gは、高機能研磨パッド内に形成された第1の研磨要素(サンプル4及び5)の、研磨材料除去速度のパーセント接触面積に対するプロットを示す。図6Hは、高機能研磨パッド内に形成された第1の研磨要素(サンプル4及び5)の、平均研磨処理温度のパーセント接触面積に対するプロットを示す。図6Gに示すように、高機能研磨パッドの接触面積のパーセンテージを50%から40%に変えることによって、平均材料除去速度を、約3000オングストローム/分から、約3300オングストローム/分へと変化させる、即ち材料除去速度を10%上昇させることができる。図6Hに示すように、高機能研磨パッドの接触面積のパーセンテージを50%から40%に変えることによって、平均処理温度を、約53°Cから約56°Cへと変化させる、即ち処理温度を6%上昇させることができる。したがって、ある構成では、第1の研磨要素204のパーセント接触面積は、40%未満、例えば35%未満、または30%未満、または25%未満、さらには20%未満でさえあるパーセント接触面積を実現するようにして、調整される。ある構成では、第1の研磨要素204のパーセント接触面積は、1%と40%の間、例えば10%と40%の間、または10%と30%の間、または10%と20%の間になるようにして、調整される。
最適な研磨の均一性及び基板に対する研磨性能を維持するため、パッド材料のE’30:E’90比は必要に応じて制御され調整されるべきであるということも、また確信されている。この目的のため、一実施形態では、1つ以上の形成されたパッド材料(例えば第1の研磨要素204を形成するのに使われた材料)の、及び/または高機能研磨パッド200全体のE’30:E’90比は、6以上、例えば約6と約15の間であってよい。研磨パッドは、E’30を30°Cにおける貯蔵弾性率E’、E’90を90°Cにおける貯蔵弾性率E’としたときに、E’30/E’90の貯蔵弾性率の比が約6から約30の間の範囲になるといったように、約25°C〜90°Cの温度範囲にわたって、安定した貯蔵弾性率E’を有していてよい。6以上のE’30:E’90比を有する研磨パッドは、正常な処理中に見られる定常状態処理温度を下回る温度で、高貯蔵弾性率E’材料を用いるときにしばしば生じる、スクラッチのタイプの不具合を低減するのに有用である。言い換えれば、処理中に基板と接触している材料内の温度が上昇するのにつれて、この材料は、より低いE’30:E’90比を有する材料よりも大幅に軟化する傾向があるだろう。この結果、基板の表面をスクラッチする可能性は、低減される傾向があるだろう。研磨処理を通じた材料の軟化によって、この処理の、基板間の安定性に好ましくない影響が生じ得る。しかし、高E’30:E’90比材料は、研磨プロセスの最初の部分(例えば10〜40秒)で研磨面の材料に高貯蔵弾性率が必要で、次に温度が上昇し続けて研磨面の材料が適合するレベルに達したときに、研磨面材料がバフまたはスクラッチ低減モードで研磨プロセスを終了する場合に、有用であり得る。
ある実施形態では、研磨プロセスの1つ以上の態様を制御可能にするために、高機能研磨パッドの様々なセクションの熱伝導性を制御することが望ましい。一実施形態では、ある実子形態では、図1A〜図2KのZ方向といった研磨面に直角の方向に向けた、高機能研磨パッド全体の熱伝導性を増進することが望ましい。この例では、従来型の研磨パッドの設計に比べてZ方向の熱伝導性が向上していることによって、処理中に研磨パッドの表面で生成される熱を、大きな熱質量に、及び/または高機能研磨パッドが上に置かれているしばしば冷却された研磨プラテンに対して容易に伝導する能力がより高いため、研磨パッド面の温度をより低い温度に維持することが可能になる。研磨処理の温度が低下することによって、基板のバッチ内の第1の基板を研磨するときと同じバッチ内の最後の基板(例えば25番目の基板)を研磨するときとでしばしば見られた研磨処理のバラつきが減少し、基板のバッチを通じて、ポリマー材料にしばしば見られる材料特性(例えば、貯蔵弾性率E’、E’比、など)の劣化が低減される。代わりに、ある実施形態では、図1AのZ方向といった研磨面に直角の方向に向けて、高機能研磨パッド全体の熱伝導性を低下させることが望ましい。このケースでは、従来型の研磨パッドの設計に比べてZ方向の熱伝導性が低下していることによって、この研磨パッドでは、処理中に研磨パッドの表面で生成される熱を、高機能研磨パッドが上に置かれている研磨プラテンに対して伝導する能力がより低いため、研磨パッド面の温度を研磨中に平衡処理温度まで急速に上昇させることが可能になる。基板のバッチ内の第1の基板を研磨するときと同じバッチ内の最後の基板(例えば25番目の基板)を研磨得するときとにしばしば見られた、研磨処理のバラつきを減少させるために、しばしばより高いが、より安定している研磨処理温度を使用することも可能である。
したがって、ある実施形態では、本書に記載の付加製造プロセスの1つ以上を用いて研磨パッド内の任意の方向(例えばX、Y、またはZ方向)への、高機能研磨パッド200の熱伝導性を調整するため、1つ以上のフィラー、粒子、または他の材料を、調合プロセス中に第1の研磨要素204及び/または第2の研磨要素206に対して添加することが望ましい。ポリマーの熱伝導性は、従来から、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、及び窒化物を含む、熱伝導性フィラーの添加によって増進されてきた。したがって、研磨パッドの調合物及び組成物は、研磨パッドの熱導電性を向上させるための、窒化ホウ素(BN)または窒化アルミニウム(AlN)といった金属窒化物材料といった、熱伝導性粒子及び化合物を含んでいてよい。例えば、熱伝導性のフィラーを含んでいない従来型の研磨パッドは、25°Cにおいて、約0.1W/m・Kから約0.5W/m・Kの熱伝導性を有していてよい。一実施形態では、約250W/m・Kの熱伝導性を持つ窒化ホウ素が、調合物の約10重量%で、研磨パッドに添加される。窒化ボロンを含有する層は、研磨中に基板と接触し、研磨中に生成される摩擦研磨力によって最大の発熱が生じ得る基板表面に、及び/またはその付近に、堆積してよい。一実施形態では、添加される窒化ホウ素粒子によって、研磨パッドの熱伝導性は約10%から約25%に上昇し、その結果、研磨パッドの寿命は約2倍に延びた。別の実施形態では、第1の研磨要素204といった、研磨面のまたは研磨面付近のポリマー層は、基板の金属及び/または金属酸化物の除去に役立つ粒子を含有していてよい。
一実施形態では、表面層内のシリカ粒子の重量パーセントは、調合物の約0.1重量%から約30重量%、例えば10重量%であってよく、それによって、こうした被覆のショア硬さ及び弾性率が、約10%から約50%増大してよい。一実施形態では、粒子表面は、3D研磨パッドインク内で粒子がよく混合、及び/または懸濁し、それによって相分離を起こすことなくより容易に分注されるように、化学的に変化させられてよい。化学的変化は、シランカップリング剤といったカップリング剤による、界面活性剤様分子の、分子の極性表面との結合を含む。有用であり得る他のカップリング剤は、チタネート及びジルコネートを含む。カップリング剤の粒子との化学的結合、カップリング、または付着は、加水分解または縮合といった化学反応によって生じ得る。本書に記載のカップリング剤及び関連化合物は、米国ペンシルバニア州モリスビルのGelest Incorporated及び、米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich Chemical Companyを含む、数々の供給元から入手可能である。
弾性率、引張強さ、伸び、可撓性、及び圧縮率といった、形成される高機能研磨パッド材料の機械的特性を制御及び/または調節するプロセスは、オリゴマー/モノマーの立体障害及び酸素濃度の制御を含む、付加製造プロセスの光硬化の反応速度の制御及び操作にもまた依存する。光硬化(光重合)の反応速度は、高機能研磨パッドの付加製造にとって重要である。重合反応速度は、1)インクオリゴマー及びモノマーの分子の立体障害、及び2)酸素阻害による遊離基活性の弱体化によって、強い影響を受け得る。
立体障害に関しては、強い立体障害は光硬化の反応速度を低下させ、その結果、付加製造プロセス中に形成された材料の硬化可能性が低下し、機械的性能の調節を可能にし得る。あるケースでは、樹脂前駆体組成物は、例えばメタクリレート系のオリゴマー及び/またはモノマーをアクリレート系のオリゴマー及び/またはモノマーとブレンドするなどによって、形成された材料の機械的特性を向上するために、立体障害を増進するように設計されたオリゴマー及びモノマーを含む。言い換えれば、付加製造プロセスによって形成された材料の伸びは、メタクリレート系のオリゴマー及び/またはポリマーとアクリレート系のオリゴマー及び/またはポリマーの比を管理することによって、制御することができる。メタクリレート系材料の例を以下に示す。以下は、二官能性オリゴマーのメタクリレート(X1)、及び三官能性オリゴマーのメタクリレート(X2)を含む。
アクリレート系材料の例を以下に示す。以下は、二官能性オリゴマーのアクリレート(Y1)、及び三官能性オリゴマーのアクリレート(Y2)を含む。
さらに、アクリレート系及びメタクリレート系のオリゴマー及びモノマーの具体例は、Sartmer社のメタクリレート系材料SR203及びSR204、並びにアクリレート系材料SR285及びSR506を含み得る。
メタクリレートオリゴマーの典型的な例は、CN1963及びCN1964を含んでいるが、これらもまたSartomerから入手可能である。材料の機械的特性の向上によって、研磨プロセス中の高機能研磨パッドの機械的性能に利益がもたらされる。例えば、伸びが向上することによって、高機能研磨パッドの除去速度、ウエハ間研磨不均一性(WTWNU)、ウエハ内不均一性(WIWNU)、及び分極効率が増進され得る。
形成された材料の機械的特性に関する酸素の影響に関しては、付加製造環境内の反応性ガス(例えば酸素)濃度の操作もまた、形成される材料の表面特性(例えば、親水性、液滴が形成する動的接触角)及び機械的特性の調節に役立ち得る。上記のとおり、様々な大気汚染物質(例えば空気)を駆逐して付加製造ツール内の環境の構成を制御することによって、付加製造ツール内で実施されるプロセスを制御し、プロセスの繰り返し性及び工程歩留りを向上させ、形成される層の特性を向上させることが可能になる。ある実施形態では、プリントヘッド308A〜B及び形成された層の表面を取り囲む環境内のガス組成は、同環境内に不活性ガスを流すことによって、制御される。不活性ガスの例は、処理環境を通って実質的に層流が形成される流量で供給される、窒素(N2)及びアルゴン(Ar)を含み得る。処理環境を通って不活性ガスを給送することによって、堆積した材料の硬化可能性を制御するようにして、酸素濃度を制御することができる。一実施例では、アクリレート系サンプルのフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)の特性評価(下記表A参照)に基づいて、標準大気環境(即ち周囲条件)内でUV LED照射源を使用したときに生じる表面硬化の割合が、約44%であることが判明したが、一方で、同じ環境を窒素でパージしたときには、表面硬化レベルは約88%であった。別の一実施例では、別のアクリレート系サンプルのFT−IRの特性評価に基づいて、標準大気環境(即ち周囲条件)内でUV照射源を使用したときに生じる表面硬化の割合が、約52%であることが判明したが、一方で、同じ環境を窒素でパージしたときには、表面硬化レベルは約96%であった。UV及びUV LED下における動的接触角は、窒素パージのない場合の30〜50°から、窒素パージ環境の場合の60〜80°へと、変化する。
(表A)
高機能研磨パッドの調合物の実施例
上記のとおり、ある実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206といった2つ以上の研磨要素のうちの、少なくとも1つを形成するのに使用される材料のうちの1つ以上は、少なくとも1つの硬化可能な樹脂前駆体組成物を堆積処理し、次いでその後に堆積後処理することによって、形成される。一般的に、付加製造システム350の前駆体給送セクション353内で実施される前駆体調合プロセス中に混合される硬化可能樹脂前駆体組成物は、官能性オリゴマー、反応性希釈剤、及び開始剤といった硬化成分を含有する、樹脂前駆体組成物の調合物を含んでいるであろう。これらの成分のいくつかの例が、表3に列挙されている。
(表3)
官能性オリゴマーの例は、表3のアイテムO1〜O9で見ることができる。官能性反応性希釈剤及び他の添加剤の例は、表3のアイテムM1〜M11で見ることができる。硬化成分の例は、表3のアイテムP1〜P5、及びA1で見られる。表3に見られるアイテムO1〜O3、O7〜O9、M1〜M3、M5〜M6及びM8〜M10は米国Sartmerから入手可能であり、アイテムM11は米国のIGMレジンから入手可能であり、アイテムO4は韓国のMiwon Specialty Chemicals Corporationから入手可能であり、アイテムO5〜O6は米国ジョージア州アルファレッタのAllnex Corporationから入手可能であり、アイテムM4はドイツ国のBYK−Gardner GmbHから入手可能であり、アイテムM7はRahn USA Corporationから入手可能であり、アイテムP1〜P5は、Ciba Specialty Chemicals Inc.及びRahn USA Corporationから入手可能である。A2は、オクラホマ州タルサのMontello, Inc.から入手可能である。コポリマーA3は、米国ミズーリ州セントルイスの、Sigma−Aldrich Chemical Companyから入手可能である。
本書に記載されている付加製造プロセスの1つの利点は、パッドの本体構造内の材料の組成と、使用されている様々な材料の構造配置に基づいて調整することができる特性を有する、高機能研磨パッドを形成する能力を含む。以下の情報から、いくつかの材料調合物と、これらの調合物及び/または処理技法内の変動する各種の構成要素が、高機能研磨パッドを形成するのに必要な幾つかの特性に対して与える、従来型の研磨パッドの設計に比べて改良された研磨成績を実現するであろう効果の、いくつかの例が与えられる。これらの例で与えられている情報は、第1の研磨要素204、第2の研磨要素206、または第1の研磨要素204及び第1の研磨要素206の両方の一部といった、高機能研磨パッド200の少なくとも一部を形成するために使用することができる。本書に記載されている実施例は、本書に記載の開示の範囲を限定することを意図していない。なぜならば、その他の同様な化学調合物及び処理技法を、本書に記載の特性のうちのいくつかに合致させるのに使用できるからである。
上記及び下記されている硬化可能な樹脂前駆体組成物成分の例は、比較例であることが意図されており、当業者は、所望の特性を実現するために、様々な供給源からの他の適切なモノマー/オリゴマーを見つけることができるであろう。反応性希釈剤のいくつかの例は、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソボルニルアクリレート(IBOA)、及びアルコキシル化ラウリルメタクリレートである。上記の材料はSigma−Aldrichから入手可能であり、米国Sartomer及び/または米国Rahn AGからもまた入手され得る(SRシリーズ 203、217、238、242、306、339、355、368、420、484、502、506A、508、SR531、550、585、495B、256、257、285、611、506、833S、及び9003B、CDシリーズ 421A、535、545、553、590、730、及び9075、Genomerシリーズ 1116、1117、1119、1121、1122、5142、5161、5275、6058、7151、及び7210、Genocureシリーズ、BP、PBZ、PMP、DETX、ITX、LBC、LBP、TPO、及びTPO−L、並びにMiramerシリーズ、M120、M130、M140、M164、M166、及びM170)。Photomer4184は、米国のIGMレジンから入手されてよい。二官能性架橋剤のいくつかの例は、Sigma−Aldrichから入手可能であってよい、ビスフェノールAグリセロレートジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、及び1,4−ブタンジオールジアクリレートである。オリゴマーの例は、脂肪族オリゴマー(米国Sartomer社のCNシリーズ131、131B、132、152、508、549、2910、3100及び3105)、ポリエステルアクリレートオリゴマー(米国Sartomer社のCNシリーズ292、293、294E、299、704、2200、2203、2207、2261、2261LV、2262、2264、2267、2270、2271E、2273、2279、2282、2283、2285及び2303)、並びに脂肪族ウレタンオリゴマー(米国Sartomer社のCNシリーズ929、959、961H81、962、969、964A85、965、968、980、986、989、991、992、996、2921、9001、9007、9013、9178及び9783)を含み得る。3550、3560、307、378、1791、1794、9077、A515、A535、JET9510、JET9511、P9908、UV3500、UV3535、DISPERBYK168、及びDISPERBYK2008といった化学物質及び添加物は、BYKから供給可能である。Irgacureシリーズ184、2022、2100、250、270、295、369、379、500、651、TPO、TPO−L、754、784、819、907、1173、または4265といった第1のタイプの光開始剤は、BASFからであることができる。エベクリルシリーズ(EB)の40、53、80、81、83、110、114、130、140、150、152、154、168、170、180、220、230、242、246、264、265、270、271、284、303、350、411、436、438、450、452、524、571、600、605、608、657、745、809、810、811、812、830、860、870、871、885、888、889、893、1258、1290、1291、1300、1360、1710、3200、3201、3411、3415、3418、3500、3600、3700、3701、3720、4265、4827、4833、4849、4858、4883、5129、7100、8100、8296、8301、8311、8402、8405、8411、8412、8413、8414、8465、8501、8602、8701、8702、8804、8807、8808、及び8810といった他の官能性オリゴマー及び樹脂前駆体組成物成分は、Allnex Corpから購入可能である。トリエタノールアミン(TEA)並びに、ヒテノール及びマキセマル印の材料といった、遊離した非移動性の(重合可能な)界面活性剤は、米国オクラホマ州タルサのSigma−Aldrich、Montello Inc.及び、米国デラウェア州ニューカッスルのCroda Inc.から入手可能である。
実施例1−貯蔵弾性率E’及びE’30:E’90比の対象試験
付加製造プロセスによって、高機能研磨パッドの所望の領域に所望の貯蔵弾性率E’及びE’30:E’90比を有する材料を選択し、調合し、及び/または形成することは、高機能研磨パッドによって実現される研磨結果が基板全体をわたって均一になることを確保するための、重要な要因である。貯蔵弾性率E’が、硬化されたポリマー材料内の化学結合に由来する、形成された材料に固有の材料特性であることは、留意される。貯蔵弾性率は、30°C及び90°Cといった所望の温度で、動的粘弾性測定(DMA)技法を用いて測定されてよい。種々の貯蔵弾性を含む調合物の例を、下記の表4に示す。
(表4)
表3、並びに表4のアイテム1及び2を参照すると、他の樹脂前駆体成分よりも高い官能性を有する樹脂前駆体成分(例えばモノマー、オリゴマー、反応性希釈剤及び、化学的に活性な官能基または官能性セグメントを含む他の材料)を含有する調合物を製作することによって、種々の温度において貯蔵弾性率E’が上昇する結果となる一方、形成される材料のE’30:E’90比は、低下し得る。調合物内の樹脂前駆体成分を、単官能性を有するM3のタイプから二官能性を有するM1のタイプの樹脂前駆体成分に変更することによって、30°Cにおける貯蔵弾性率が400%近く上昇する一方、E’30:E’90比は、元の値の約8%下落した。同様に、表4のアイテム3とアイテム4を比較すると、調合物に多官能性オリゴマーを添加することによって、種々の温度における貯蔵弾性率E’が中程度に上昇する一方、形成される材料のE’30:E’90比は大きく低下することが、留意されるであろう。こうして、六官能性を有する多官能性オリゴマーO4を調合物に添加することによって、30°Cにおける貯蔵弾性率E’は136%上昇しただけであったが、E’30:E’90比は、元の値の約4%下落した。理論に束縛されるものではないが、液滴調合物に高い官能性を有する成分を追加して、形成されたポリマー材料内の架橋の程度を増加させることによって、高温(例えば90°C)における貯蔵弾性率E’に顕著な影響があり、その結果、E’30:E’90比に顕著な影響があると確信されている。したがって、本開示のある実施形態では、高機能研磨パッド200内のより硬い材料の領域(例えば、第1の研磨要素204)を形成するのに使われる調合物に、二以上の官能性を有する前駆体成分が使用される。同様に、高機能研磨パッド200のより軟らかい領域は、研磨パッド内のより硬い領域よりも少ない官能性を有する調合物を使用することによって、形成されてよい。したがって、本開示のある実施形態では、高機能研磨パッド200内のより軟らかい材料の領域(例えば、第2の研磨要素206)を形成するのに使われる調合物に、二以下の官能性を有する前駆体成分が使用される。
本開示のさらなる実施形態では、より大きい40kgのバッチ内で、表4のアイテム7及び8で例示されているものといった、高貯蔵弾性率の調合物が生産されてよい。これらの、及び他の実施形態では、高度の架橋が実現する一方で、この調合物が、本書に記載のとおり付加製造プロセスを使った分注を可能にする粘度(例えば、70°Cで5〜30cP)を有することもまた確保されるように、多官能性樹脂前駆体成分の量が増加されてよい。例えば、アイテム7に由来する材料は、六官能性のウレタンアクリレートO1を含んでおり、高弾性率と安定したE’30:E’90弾性率比を示す。同様に剛性で高弾性率である研磨パッドの材料が、四官能性のアクリレート希釈液(アイテムM9)を含む、アイテム8の調合物から作製されてよい。とりわけ、アイテム8の調合物で作製された研磨パッドは、有利なことに、約2500〜約3500オングストローム/分の間で、平均除去速度が約3000オングストローム/分である、高い酸素除去速度(セリウム系研磨スラリを使用)を示した。アイテム8の調合物は、複数の研磨試験にわたって、様々な「熱的安定性」もまた示した。パッドの温度は約27°C〜約31°Cの間でのみ変動し、平均温度は約30°Cであった。
本開示のさらなる実施形態では、通常の研磨処理温度における高い材料除去速度といった、向上したパッド研磨特性を有する、新たな親水性即ち「水に親和性を示す」研磨パッド材料及び/またはパッド表面を作製するために、表4のアイテム7を含むがそれに限定されない調合物が、調節または変更されてよいことが明らかにされている。具体的には、高い除去率を有する新たな親水性研磨パッドは、表4のアイテム9に示す調合物といった調合物内に、重合可能な界面活性剤を添加することによって作製されてよい。この例では、本書に記載の付加製造プロセスの使用によって、疎水性ではなく親水性である新たな研磨パッド材料を作製するために、調合物に、適量の重合可能な界面活性剤が添加されてよい。あるケースでは、重合可能な界面活性剤は、非移動性の界面活性剤(NMS)または「サーファマー(surfamers)」としても知られていてよい。NMS材料は、オリゴマー及びモノマーといった調合物内の他の重合樹脂前駆体成分と、共有結合及び/または共重合しているため、材料内を通って、または材料の外部へ、移動または拡散しない。NMSの官能性及び/または共重合機構は、本開示によって限定されるものではなく、したがってNMSは、アクリレートとの遊離基反応などの遊離基機構によって共重合されてよい二重結合または他の不飽和部位といった、こうした共重合を生じさせる任意の適切な官能基や、及び/または、本書で開示しているものといった、任意の適切な樹脂前駆体成分を含んでいてよい。概して、NMSは、限定しないが、合成、分解、単純置換及び二重置換、酸化/還元、酸/塩基、求核置換、求電子置換、及びラジカル置換、並びに付加反応/離脱反応を含む、任意の化学反応、化学変化、または化学的相互作用に関与し得る、化学的官能性を含んでいてよい。
NMS材料及び界面活性剤は、概して、活性表面被覆及び、材料分散またはゾルの生成において有用である。なぜならば、これらは、安定なミセルを形成してよく、その中では、界面活性剤の親水性の部分が水性溶媒または水媒体と相互反応し、この分子の疎水性の部分がミセル内の分子またはゾルの分子を安定化させ得るからである。従来型の界面活性剤及びNMS界面活性剤は、限定しないが、アルカリ金属またはアルキルアンモニウム塩、アリール、またはアルキルアリールサルフェート、スルホネート、ホスフェート、またはホスフェートエステル、アルキルスルホン酸、スルホサクシネート塩、脂肪酸、及びエトキシ化アルコール、またはエトキシ化フェノールといった、アニオン性化合物及び/またはノニオン性化合物、またはその部分を含んでいてよい。典型的な処理で通常使用されるNMSまたは界面活性剤の量は、粒子、流体、モノマー、及び/または樹脂前駆体成分の重量に基づいて、約0.1重量%〜6重量%の間であってよい。
研磨スラリにも、研磨粒子及び他の成分を安定させ懸濁させるために、通常、界面活性剤が用いられる。ある水性スラリ乳濁液は、従来型の研磨パッド表面とは相互反応しないであろうと確信されている。なぜならば、パッド表面が、反発性または疎水性を有しているからである。有利には、本書で開示する実施形態では、親水性の研磨パッド調合物を形成するために、NMS材料を使用し、それによって、水性研磨スラリといった従来型の研磨スラリのほとんどと相互作用し得るようにする表面エネルギーを有する表面を有する、研磨パッドが作製される。具体的には、共有結合しているNMS材料を含む新たな研磨パッド及び/または新たな研磨パッド表面によって、研磨パッド−スラリ−基板間の界面で研磨スラリと化学的に相互反応し、それによって研磨スラリを安定化させる、界面活性剤のようなパッド表面(例えば、動的接触角が60°未満)が設けられると確信されている。パッド表面がNMS含有調合物を使って形成されていることで、露出されたパッド表面の親水性によってパッド表面と基板との間でスラリが好適に維持されるので、基板材料除去速度の上昇がもたらされると確信されている。有用であり得る非移動性界面活性剤は、米国オクラホマ州タルサのMontello Inc.、米国デラウェア州ニューカッスルのCroda,Inc.、米国サウスカロライナ州グリーンビルのEthox Chemicals,LLCからそれぞれ入手可能な、ヒテノール、マキセマル、及びE−スパースを含む。
NMS材料によって変更された研磨パッドは、水性研磨スラリと接触した際に、表面濡れ性の向上と、動的接触角の縮小を示すと予期されている。これは、親水性のパッドの表面エネルギー(Dyne)が、スラリまたはスラリの液滴の表面エネルギーとより密接にマッチしており、それによって液滴がパッド表面と相互反応し、疎水性の表面に対して広がるからである。ある実施形態では、親水性のパッド材料は、パッド表面にわたるスラリの相互作用及びスラリの移送の増大を示してよく、このことは、NMSによって変更された表面とスラリとの相互作用によると確信されている。こうした材料は、約60°、例えば約10°と約60°の間、約20°と約60°の間、約30°と約60°の間、約40°と約60°の間、約50°と約60°の間である、パッド表面に水がある場合の動的接触角を示してよい。
一実施形態では、疎水性の調合物であるアイテム7が重合可能な界面活性剤及び他の適切な材料の添加によって変更されて、表4のアイテム9によって表される新たな親水性の調合物が生成されてよい。アイテム9の調合物を使って形成された親水性の研磨パッドは、アイテム7の調合物を使って形成された疎水性の対照用サンプルと比較して、より高い、研磨中の酸化ケイ素の除去速度を示す。一実施形態では、アイテム9の親水性の調合物に由来するパッドは、アイテム7の疎水性のパッド材料よりも1.5倍高い除去速度を示した。例えば、アイテム9の調合物によって形成されたパッド材料は、約2200オングストローム/分〜約2400オングストローム/分の間で、平均が約2350オングストローム/分である除去速度を示した。対照的に、疎水性のアイテム7の調合物に由来する研磨パッド材料は、約1470オングストローム/分〜約1685オングストローム/分の間で、平均が約1590オングストローム/分である除去速度を示した。
材料の除去速度は、概して、基板表面の研磨によって作り出された摩擦による研磨処理温度の上昇と、軌を一にする傾向がある。このことは、アイテム9の親水性パッドが約26°C〜約29°Cの間の温度で、平均温度が約28°Cである処理温度を示した、研磨処理の一実施形態に反映されている。対照的に、疎水性のアイテム7の調合物に由来する疎水性のパッドの温度は、約20°Cから約23°Cの間の温度で、平均温度が約22°Cである、著しくより低い処理温度を示した。本開示の別の実施形態では、研磨処理中に同様の発熱挙動が観察され、アイテム9の親水性のパッドは、約44°Cから約49°Cの間の温度で、平均温度が約48°Cである処理温度を示した。対照的に、疎水性のアイテム7の調合物に由来する疎水性のパッドの温度は、約37°Cから約42°Cの間の温度で、平均温度が約40°Cである、著しくより低い処理温度を示した。
実施例2−貯蔵弾性率E’及びパーセント回復率の対象試験
高機能研磨パッドに使用される、貯蔵弾性率E’及びパーセント回復率(%)を調整するのに使用できる種々の調合物の例が、以下の表5で示されている。
(表5)
表5のアイテム1及びアイテム2を参照すると、調合物中の様々な成分の量を調整することによって、低温(例えば30°C)における貯蔵弾性率E’の上昇、パーセント回復率(%)の上昇、およびパーセント破断伸びの低下を実現し得ることが留意されるであろう。30°Cにおける貯蔵弾性率E’、パーセント回復率(%)、およびパーセント破断伸びという諸特性の著しい変化は、高いガラス転移点温度(Tg)を有する化学成分のパーセンテージの上昇に多くを負っていると、確信されている。樹脂前駆体成分M2といった低いガラス転移点温度(例えばTg=5°C)を有する材料が、室温でより軟らかい傾向がある一方、樹脂前駆体成分M1といった高いガラス転移点温度(例えばTg=104°C)を有する材料は室温付近の温度でより硬く、より脆い傾向があることは、留意されるだろう。この実施例では、二官能性を有する多官能性オリゴマーO1の割合がわずかに減少している一方、同様に二官能性を有する樹脂前駆体成分M1の割合が著しく増大し、E’30:E’90比の変化がほんのわずかに過ぎないことは、留意されるだろう。したがって、架橋密度は、表5のアイテム1及び2の組成物によって形成されたポリマー材料と同様である可能性が高く、このことは、この2つの材料のE’30:E’90比の変化がやや少量であることによって裏付けられると確信されている。したがって、ある実施形態では、より高い貯蔵弾性率E’、より高い硬さ、より高い処理中の回復率、及びより小さい破断伸びを有する材料を形成するため、調合物内で、高いガラス転移点温度を有する前駆体成分を増加することができる。同様に、ある実施形態では、より低い貯蔵弾性率E’、より低い硬さ、及びより大きい破断伸びを有する材料を形成するため、低いガラス転移点温度を有する前駆体成分が、調合物中で増加されてよい。
ある実施形態では、40°C以下のガラス転移点温度(Tg)を有する組成物の量が、40°Cを超えるガラス転移点温度(Tg)を有する組成物の量よりも多くなるようにして、低い貯蔵弾性率E’を有する材料を形成するために使われる液滴調合物の中の、様々な成分を調整することが望ましい。同様に、ある実施形態では、40°Cを超えるガラス転移点温度(Tg)を有する組成物の量が、40°C以下のガラス転移点温度(Tg)を有する組成物の量よりも多くなるようにして、高い貯蔵弾性率E’を有する材料を形成するために使われる液滴調合物の中の、様々な成分を調整することが望ましい。ある実施形態では、高機能研磨パッド内の低い貯蔵弾性率E’材料を形成するのに使用される液滴調合物内の1つ以上の樹脂前駆体成分材料は、40°C以下、例えば30°C以下のガラス転移点温度(Tg)を有し、同じ高機能研磨パッド内のより高い貯蔵弾性率E’材料を形成するのに使用される液滴調合物を形成するのに使用される1つ以上の樹脂前駆体成分材料は、40°C以上のガラス転移点温度(Tg)を有する。
ある実施形態では、高機能研磨パッド内に形成された低貯蔵弾性率E’の材料は、形成された材料のタンデルタが、25°Cと90°Cの間の範囲の温度にわたって0.25よりも大きくなるような、ガラス転移点温度(Tg)を有している。ある実施形態では、液滴調合物中の1つ以上の樹脂前駆体成分材料は、高機能研磨パッド内の低貯蔵弾性率E’の材料を形成するのに使用されている。
実施例3−接触角の対照実施例
上記で図3Cに関連して検討されたとおり、表面上に堆積した液滴の接触角を調整するのに使用され得る種々の調合物の例が、以下の表6に示されている。上記で留意されているように、少なくとも、1)付加製造プロセス中に分注された液滴中の成分の組成、2)先立って形成された層の硬化の量、3)硬化装置からのエネルギーの量、4)分注された液滴が堆積する表面の組成、及び5)液滴組成物中の硬化剤(例えば光開始剤)の量、を制御することによって、本書に記載の付加製造プロセスによって形成される特徴の解像度の制御を向上するために、分注された液滴の接触角αを制御することができることが判明している。
(表6)
表6内の品目1、2、及び3を参照することで、調合物内の様々な成分の量を調整することによって、同一または同様の液滴調合物によって形成された、硬化された液滴または表面上に「固着された」液滴の接触角が調整され得ることが、留意されるであろう。接触角の著しい変化は、分注された液滴の組成の中の、官能性モノマー(例えばアイテムM1〜M2及びM4)、並びに光開始剤成分(例えば、アイテムP1、P2、及びA1)のタイプと量を調整することによって実現できると確信されている。
液滴調合物の接触角は、1)少なくとも部分的に硬化された液滴の機械的特性の実現を確保する貫通硬化即ちバルク硬化の光開始剤(例えば、第1のタイプの光開始剤)、2)UVへの曝露を通じて生成された遊離基をクエンチするために環境内のO2の能力を低下させることによって高速表面硬化を可能にする、ベンゾフェノン及びアミン共力剤といった第2のタイプの光開始剤、及び3)分注された液滴の表面に多かれ少なかれ極性を持たせる傾向がある表面変更剤を使用することによって、向上することができる。例えば、親水性の未硬化樹脂の液滴が疎水性の表面上に堆積されたときに、分注された液滴の表面エネルギーが変更され得るように、表面変更剤が使用されてよい。この結果、接触角は大きくなり、それによって、液滴が表面を「濡れ」させないことが確保される。表面の濡れを防止することによって、後続して堆積される液滴が垂直に(例えばZ方向に)形成されるのが可能になる。液滴が水平方向に隣同士に次々と置かれていくとき、表面の水平方向の濡れが防止され、それによって垂直方向に形成された特徴部の側壁が、まき散らした形状(slopping shape)ではなく垂直方向に形成されるのが望ましい。接触角がこうして向上することによって、次々に重ねて堆積されるときに、印刷された特徴部の側壁が、垂直になるかまたは緩やかな傾斜になることが確保される。研磨用特徴部の基板接触面積が、各研磨処理を通じて一定の接触面積に維持される必要があるため、及び/またはパッドの研磨材料がパッドの寿命を通じて研磨もしくはパッドコンディショニングによって除去されるため、高機能研磨パッド内がこの解像度になることは重要である。
実施例4−低貯蔵弾性率E’の調節の例
高機能研磨パッドの様々な領域内で所望の低貯蔵弾性率E’及び所望のE’30:E’90比を有する材料を選択、調合、及び/または形成することは、貯蔵弾性率E’がより高い材料と組み合わされたときに所望の研磨結果を実現するために、高機能研磨パッドの静的及び動的な関連機械的特性を調整できることを確保する上で、重要な要因であり得る。種々の貯蔵弾性率E’を含む調合物の例を、下記の表7に示す。
(表7)
上記の実施例1で留意されているのと同様に、表7のアイテム1及びアイテム3を参照すると、二官能性以上の官能性を有し、且つ種々のガラス転移点温度(Tg)を有する多官能性オリゴマーを含む調合物を製作することによって、種々の温度における貯蔵弾性率E’を調整することができる一方で、形成された材料のE’30:E’90比が一定に留まり得ることが、留意されるだろう。例えば、三、四官能性を有する多官能性オリゴマーO5を調合物に添加することによって、30°Cにおける貯蔵弾性率E’を500%近くも上昇することができるが、E’30:E’90比は、元の値の約75%下落しただけであった。理論に束縛されるものではないが、液滴調合物に多官能性オリゴマーO5成分を追加して、形成されたポリマー材料内の架橋の程度を増加させることによって、比較的低いガラス転移点温度Tgを有する樹脂前駆体成分と組み合わせて使用したときに、より低い温度(例えば30°C)における貯蔵弾性率E’に顕著な影響があると確信されている。したがって、本開示のある実施形態では、高機能研磨パッド200内のより軟らかい材料の領域(例えば、第2の研磨要素206)を形成するために、二以上の官能性を有する樹脂前駆体成分が、比較的低いガラス転移点温度Tgを有する樹脂前駆体成分と組み合わせて使用される。また、本開示のある実施形態では、高機能研磨パッド200内のより軟らかい材料の領域(例えば、第2の研磨要素206)を形成するのに使われる調合物に、二以下の官能性を有する前駆体成分及び多官能性オリゴマーが使用される。樹脂前駆体成分の比及びアイデンティティの調整によって、有利には、表7のアイテム2で例示されるように、所望のE’30:E’90比で伸びが高い材料が生成され、材料が、約82%から約114%の伸びと、約4.8のE’30:E’90比を示したことが、さらに留意される。本開示の別の実施形態では、約80%から約195%の伸びを示した伸びの高い材料であって、樹脂前駆体成分O7:M10:M11:P5の重量パーセント比が約15:10:75:2であってよい、材料が作製された。同様に、安定したE’30:E’90の材料は、各樹脂前駆体成分を、O1:M7:M8:O3:M4:P1が約16.537:8.949:13.424.0.233:0.078:0.778であるように組み合わせることによって作製されてよく、相対重量パーセント比(kg)がこの数値であるとき、40kgのバッチが作製されてよい。上記の実施形態及び実施例に従って、樹脂前駆体成分及びそれらの互いに対する比率を慎重に選択することによって、硬さと伸びを均衡させてよい一方、調合物が、本書に記載のとおり付加製造プロセスを使った分注を可能にする粘度(例えば、70°Cで15〜30cP)を有することもまた、確保されてよい。
ある実施形態では、樹脂前駆体組成物によって形成された硬化された材料中の架橋の量を制御するために、樹脂前駆体組成物中のオリゴマーのモノマーに対する相対的な量を制御(本書ではオリゴマー−モノマー比の制御とも呼ばれる)することによって、高機能研磨パッド内の1つ以上の研磨要素204、206の特性を制御することが望ましい。樹脂前駆体組成物中のオリゴマー−モノマー比を制御することによって、形成される材料の特性(例えば、機械的特性、動的特性、研磨成績など)がさらに制御され得る。ある構成では、モノマーは、600未満の分子量を有する。ある構成では、オリゴマーは、1000超の分子量といった、600または600を超える分子量を有する。ある構成では、オリゴマー−モノマー比は、オリゴマー成分のモノマー成分に対する重量比として規定され、通常、所望の強度及び弾性率を実現するために選択される。ある実施形態では、オリゴマー−モノマー比は、約3:1〜約1:19である。ある実施形態では、オリゴマー−モノマー比は、約3:1〜約1:3(例えば、2:1〜1:2の比、1:1〜1:3の比、3:1〜1:1の比)の範囲内である。一実施形態では、形成される調合物の印刷可能性を維持したままで伸び及び貯蔵弾性率E’といった所望の靱性特性を実現するために、1:1のオリゴマー−モノマー比が使用され得る。ある実施形態では、1:1の比よりも大きいオリゴマー−モノマー比であって、したがって重量でオリゴマーをモノマーよりも多く含む、オリゴマー−モノマー比を選択することが望ましい。1:1よりも大きいオリゴマー−モノマー比を有する樹脂前駆体組成物は、高機能研磨パッド200内の、より靱性が高い、即ちより弾性が高い材料領域(例えば、第1の研磨要素204)を形成するために使用されてよい。ある実施形態では、1:1の比よりも小さいオリゴマー−モノマー比であって、したがって重量でオリゴマーをモノマーよりも少なく含む、オリゴマー−モノマー比を選択することが望ましい。1:1よりも小さいオリゴマー−モノマー比を有する樹脂前駆体組成物は、高機能研磨パッド200内の、より弾性が低い材料領域(例えば、第2の研磨要素206)を形成するために使用されてよい。
実施例5−高機能研磨パッドの特性の例
上記で検討したとおり、本書に記載の付加製造プロセスによって、高機能研磨パッドの特定のエリア内に所望の特性を持った材料組成物を具体的に配置することが可能になり、それによって、堆積した組成物の特性を組み合わせて、個々の材料の諸特性の平均である特性や、諸特性の「複合」である特性を持つ、研磨パッドを作製することができる。一実施例では、高機能研磨パッドは、所望の温度範囲にわたって所望の平均タンデルタ(tan δ)特性を有するようにして、形成されてよい。図8Aの曲線821〜823、曲線831〜833、および曲線841は、様々に構成及び/またはロードされた高機能研磨パッドに関する、温度に応じた平均タンデルタ特性を示す。
図8B及び図8Cは、図8Aに示すタンデルタ対温度のデータの生成に使用された高機能研磨パッドの2つの基本的な構成の、側面断面図である。図8Aの曲線821〜823に見られるタンデルタ対温度のデータは、片持ちされたサンプルをZ方向にロードする試験用固定具内で図8Bに示すタイプの高機能研磨パッドのサンプルを循環させる、DMA技法を用いて収集された。図8Aの曲線831〜833に見られるタンデルタ対温度のデータは、片持ちされたサンプルをX方向(例えば、形成された層と平行な方向)にロードする試験用固定具内で図8Bに示すタイプの高機能研磨パッドのサンプルを循環させる、DMA技法を使用して収集された。図8Aの曲線841に見られるタンデルタ対温度のデータは、片持ちされた試験用サンプルをZ方向にロードする試験用固定具内で図8Cに示すタイプの高機能研磨パッドのサンプルを循環させる、DMA技法を使用して収集された。全試験の間、高機能研磨パッドのサンプルは、−81°Cの温度から95°Cの温度まで、5°C/分の傾斜率で加熱された。
図8Bは、本書に記載の付加製造プロセスを使って形成された第1の研磨パッド材料801と第2の研磨パッド材料802の別個の層を含み、形成された各層がX−Y平面に平行に整列し、Z方向に積層されている、高機能研磨パッド200の部分を示す。第1の研磨パッド材料801は、低ガラス転移点温度(Tg)を有する低貯蔵弾性率のウレタンアクリレート材料を含み、第2の研磨パッド材料802は、高ガラス転移点温度(Tg)を有する高貯蔵弾性率のウレタンアクリレート材料を含む。第1の研磨パッド材料801及び第2の研磨パッド材料802の各層は、それぞれZ方向に厚さ810及び811を有する。
図8Aに戻ると、プロットされたデータは、曲線801C及び802Cに示すように、第1の研磨パッド材料801と第2の研磨パッド材料802とで、分離した別個のタンデルタピークを含んでいる。図8Bに示す高機能研磨パッドの構成で実施されたDMA試験のタンデルタデータが、曲線821〜823及び曲線831〜833で示されており、図8Cに示す高機能研磨パッドの構成で実施されたDMA試験のタンデルタデータが、曲線841で示されている。
曲線821、822、及び823は、試験中にZ方向にロードされた際の、図8Bに示す各層の厚さ及び相対的間隔を変更する影響を示している。曲線821は、図8Bに示す高機能研磨パッド構造に関する、温度に応じたタンデルタのプロットを示している。この高機能研磨パッド構造は、第1の研磨パッド材料801と第2の研磨パッド材料802の組成が50:50であり、したがって層それぞれのZ方向の厚さ810と811は、等しい。第1のサンプルにおける厚さ810及び811は、どちらも約0.16mm(0.006インチ)であった。曲線822は、第1の材料の層801と第2の材料の層802の厚さ810と811がどちらも2倍の厚さになっている点を除いて、曲線821を生成するのに使用されたのと同一である、一般的な高機能研磨パッド構造の、温度に応じたタンデルタのプロットを示す。同様に、曲線823は、第1の研磨パッド材料の層801と第2の研磨パッド材料の層802の厚さ810と811がどちらも3倍の厚さになっている点を除いて、曲線821を生成するのに使用されたのと同一である、一般的な高機能研磨パッド構造の、温度に応じたタンデルタのプロットを示す。タンデルタデータの2つの明確なピーク(例えばピーク825及び826)並びに各ピークの大きさの落ち込みによって示されるように、曲線821、822、及び823が全て、個別の材料801及び802に見られる諸特性がブレンドまたは平均されているのを示していることは、留意されるだろう。曲線821、822、及び823に見られる2つのピークは、第1の研磨パッド材料と第2の研磨パッド材料との間に形成された、分子レベルにおける混合、分子鎖の絡み合い、及び/または化学結合を表していてよい。したがって、ある実施形態では、高機能研磨パッドの第1の研磨要素中の第1の材料組成物と第2の研磨要素中の第2の材料組成物との間で、分子レベルにおける混合、分子鎖の絡み合い、及び/または化学結合が望ましく形成されていてよく、それによって、形成される高機能研磨パッドの特性(例えば、タンデルタ、E’30:E’90比、E’30など)の向上に役立つことができる。
曲線831、832、及び833は、試験中にX方向にロードされた際の、図8Bに示す各層の厚さ及び関連する間隔を変更する影響を示している。曲線831は、図8Bに示す高機能研磨パッド構造に関する、温度に応じたタンデルタのプロットを示している。この高機能研磨パッド構造は、第1の研磨パッド材料801と第2の研磨パッド材料802の組成が50:50であり、したがって各層のZ方向の厚さ810と811は、等しい。第1のサンプルにおける厚さ810及び811は、どちらも約0.16mm(0.006インチ)であった。曲線832は、第1の材料の層801と第2の材料の層802の厚さ810と811がどちらも2倍の厚さになっている点を除いて、曲線831を生成するのに使用されたのと同一である、一般的な高機能研磨パッド構造の、温度に応じたタンデルタのプロットを示す。同様に、曲線833は、第1の研磨パッド材料の層801と第2の研磨パッド材料の層802の厚さ810と811が3倍の厚さになっている点を除いて、曲線831を生成するのに使用されたのと同一である、一般的な高機能研磨パッド構造の、温度に応じたタンデルタのプロットを示す。タンデルタデータの2つの明確なピーク(例えばピーク835及び836)並びに各ピークの大きさの落ち込みによって示されるように、曲線831が、個別の材料801及び802に見られる特性のブレンドまたは平均を示していることは、留意されるだろう。曲線832及び833は、2つの明確なピークを持たないことから分かるように、個々の材料801及び802に見られる諸特性のほんのわずかなブレンドまたは平均を示しているに過ぎない。
図8Cは、同様に付加製造プロセスを用いて形成された第1の研磨パッド特徴部815及びベース層816を含み、第1の研磨パッド特徴部815がベース層816によって支持され、Z方向に整列している(例えば図2Aのアイテム204a)、高機能研磨パッド200の一部を示す。この構成では、ベース層816は、第1の研磨パッド材料801の固着した液滴と、第2の研磨パッド材料802の固着した液滴の50:50(即ち、1:1の材料組成比)の「ブレンド」を含んでいる。第1の研磨パッド特徴部815及びベース層816の各厚さは、幅818及び819を有し、これらはそれぞれX方向に並列している。曲線841は、高機能研磨パッド200の、組成が平均的に「ブレンドされた」研磨パッド要素、即ち「複合的な」特性を形成する効果を示す。タンデルタデータの2つの明確なピーク(例えばピーク845及び846)並びに各ピークの大きさの落ち込みによって示されるように、曲線841が、ベース層816中の個別の材料801及び802に見られる諸特性がブレンドまたは平均されているのを示していることは、留意されるだろう。曲線841に見られる2つのピークは、ベース層816内で第1の研磨パッド材料と第2の研磨パッド材料との間に形成された、分子レベルにおける混合、分子鎖の絡み合い、及び/または化学結合を表していてよい。
図8Aに見られるタンデルタ対温度のデータは、各層の、ロード方向(例えば、曲線821及び841)に対する層の構造的な間隔または厚さが、高機能研磨パッド内におけるタンデルタ特性の平均化に対して劇的な影響を有し得ることを示している。曲線831、832、及び833を参照すると、形成された層の配向と平行の方向(例えばX方向)にロードされたとき、より硬い材料の層とより軟らかい材料の層の間の間隔が増すのにつれて、より硬い材料の特性が、形成された研磨パッドの特性をより大きく支配する傾向があることが、留意されるであろう。しかし、曲線821、822、及び823を参照すると、より硬い材料の層とより軟らかい材料の層の間の間隔が、ロード方向に垂直な方向に整列している研磨特徴部によって構成されている、形成された高機能研磨パッドの特性に、ほとんど影響を持たないことが留意されるだろう。なぜならば、タンデルタ対温度の測定値は、特徴部の厚さが増大するのにつれて大きくは変化しないからである。したがって、1つ以上の層の、ロード方向に対する構造的配向、並びに、高機能研磨パッド内の「硬い」層と「軟らかい」層の相対的な間隔を制御することによって、1つ以上のパッド特性(例えばタンデルタ)を調整して、高機能研磨パッドの研磨処理性能をよりよく制御することが可能である。
代替的なパッド構築設計
図9は、本開示の一実施形態による研磨パッド900の概略的な透視断面図である。研磨パッド900は、印刷された研磨パッドの第2の研磨要素206と同様に軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の材料である、第2の研磨要素902を含む。第2の研磨要素902は、第2の研磨要素206と同様に、ポリウレタン及び脂肪酸セグメントを含み得る、1つ以上の弾性ポリマー組成物から形成されていてよい。研磨パッド900は、第2の研磨要素902から延在する、複数の表面特徴部906を含む。表面特徴部906の外表面908は、軟性の即ちE’が低い材料、または軟性の即ち貯蔵弾性率E’が低い材料の組成物から形成されていてよい。一実施形態では、表面特徴部906の外表面908は、第2の研磨要素902と同じ材料、または同じ材料の組成物から形成されていてよい。表面特徴部906は、その中に埋めこまれた硬性特徴部904もまた含んでいてよい。硬い即ち高貯蔵弾性率E’の特徴部904は、表面特徴部906よりも硬い材料または材料の組成物から形成されていてよい。硬い即ち高貯蔵弾性率E’の特徴部904は、架橋ポリマー組成物及び芳香族基含有組成物を含む、高機能研磨パッドの硬い即ち高貯蔵弾性率E’の特徴部204の材料(単数または複数)と同様の材料から形成されていてよい。埋めこまれた硬性特徴部904は、表面特徴部906の有効硬さを変化させ、その結果、研磨のために望ましい目標パッド硬さを提供する。外表面908の軟性即ち低貯蔵弾性率E’のポリマー層は、不具合を減少させ、研磨中の基板の平坦度を向上させるために使用され得る。同じ利点を提供するために、代わりに、軟性即ち低貯蔵弾性率E’ポリマー材料が本開示の他の研磨パッドの表面上に印刷されてもよい。
図10は、1つ以上の観察窓1010を有する研磨パッド1000の概略的な斜視断面図である。研磨パッド1000は、パッド本体1002を有していてよい。パッド本体1002は、1つ以上の軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の特徴部1006と、研磨用に第2の研磨要素1006から延びている、複数の第1の研磨要素1004とを含んでいてよい。第2の研磨要素1006及び第1の研磨要素1004は、高機能研磨パッド200の第2の研磨要素206及び第1の研磨要素204の材料と同様の材料から形成されていてよい。第1の研磨要素1004は、本開示による任意の適切なパターンで配置され得る。
研磨中の基板を観察可能にするため、1つ以上の観察窓1010が、透明の材料または組成物で形成されていてよい。観察窓1010は、第2の研磨要素1006もしくは第1の研磨要素1004を貫通して、及び/または、第2の研磨要素1006もしくは第1の研磨要素1004の部分の周囲に、形成されていてよい。ある実施形態では、観察窓1010は、実質的に透明な、ゆえに、CMP光学終点検出システムで使用するためにレーザ及び/または白色光源から放出された光を透過させることが可能な、材料で形成されていてよい。光学的透明度は、終点検出システムの光学検出器によって使用される光線の波長帯全体にわたり、少なくとも約25 % (例えば、少なくとも約50 %、少なくとも約80 %、少なくとも約90 %、少なくとも約95 %)の光透過性を提供するのに十分なほど、高くなくてはならない。典型的な光学終点検出波長帯は、可視スペクトル(例えば約400nm〜約800nm)、紫外(UV)スペクトル(例えば約300nm〜約400nm)、及び/または、赤外スペクトル(例えば約800nm〜約1550nm)を含む。一実施形態では、観察窓1010は、280〜800nmの間の波長で>35%の透過率を有する材料から形成されている。一実施形態では、観察窓1010は、280〜399nmの間の波長で>35%の透過率を有し、400〜800nmの間の波長で>70%の透過率を有する材料から形成されている。一部の実施形態では、観察窓1010は、研磨スラリの屈折率とほぼ同じ低い屈折率と、大気/窓/水の界面からの反射を低減させ、かつ、観察窓1010を通って基板との間を行き来する光の透過性を向上させるための、高い光学的透明度とを有する材料で、形成される。
一実施形態では、観察窓1010は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、透明な印刷された材料から形成されていてよい。別の実施形態では、観察窓は、エポキシ基を含む透明ポリマー組成物を用いて形成されている。この組成物はカチオン硬化を用いて硬化されてよく、この組成物によって、さらなる透明性とより少ない収縮性が提供されてよい。同様の実施形態では、観察窓は、カチオン硬化と遊離基硬化の両方を受ける組成物の混合物から形成されていてよい。別の実施形態では、観察窓は、別のプロセスによって作製されていてよく、3Dプロセスによって形成された研磨パッド内にあらかじめ形成された開口内に、機械的に挿入されていてよい。
図11は、バッキング層1106を含む研磨パッド1100の概略斜視断面図である。研磨パッド1100は、第2の研磨要素1104と、第2の研磨要素1104から突き出ている、複数の第1の研磨要素1102とを含む。研磨パッド1100は、バッキング層1106が第2の研磨要素1104に取り付けられていることを除いて、上記の研磨パッド200、900、1000のうちの任意のものと同様であってよい。バッキング層1106は、研磨パッド1100に所望の圧縮性を提供し得る。バッキング層1106は、研磨パッド1100の全体的な機械的特性を変化させて、所望の硬さを実現するため、及び/または、所望の貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を実現するためにも、使用されてよい。バッキング層1106は、80ショアAスケール未満の硬さの値を有していてよい。一実施形態では、バッキング層1106は、ポリウレタンまたはポリシロキサン(シリコーン)といったオープンセルまたはクローズセルの発泡体から形成されていてよく、それによって、加圧下ではセルがつぶれ、バッキング層1106は圧縮される。別の実施形態では、バッキング層1106は、天然ゴム、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンモノマー)、ニトリル、またはネオプレン(ポリクロロプレン)から形成されていてよい。
一実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206の材料は、研磨スラリによる腐食に対して、化学的耐性を有する。別の実施形態では、第1の研磨要素204及び第2の研磨要素206の材料は、親水性である。研磨パッドの親水性及び疎水性の特性は、当業者が調合物の化学的特性を慎重に選択することによって調整し得る。
本書に記載の研磨パッドは円形であるが、本開示による研磨粒子は、研磨中に直線的に移動するよう構成された研磨ウェブといった、任意の適切な形状を含んでいてよい。
本書で開示する高機能研磨パッドは、従来型の研磨パッドと比較して、製造とコストに関するいくつかの利点を有する。例えば、従来型の研磨パッドは一般的に、基板研磨用の目標とする硬さ及び/または貯蔵弾性率E’を得るため、発泡体といった軟らかい即ち低貯蔵弾性率E’の材料から形成されたサブパッドによって支持されている、機械加工されテクスチャのある研磨面を含んでいる。しかし、様々な機械的特性を有する材料を選択することと、高機能研磨パッド上に形成された種々の特徴部の寸法及び配設を調整することによって、サブパッドを必要とすることなく、高機能研磨パッドのパッド本体内に同じ特性を実現することが可能である。したがって、高機能研磨パッドは、サブパッドの必要性を解消することによってユーザの所有コストを低減する。
次世代のIC装置を研磨するために必要とされるであろう研磨パッド設計の複雑さが増したことによって、これらの研磨パッドの、製造上の複雑性が大いに増大している。これらの複雑なパッド設計のある面を製造するのに使用されてよい、非付加製造タイプのプロセス、及び/または除去プロセスが存在する。これらのプロセスは、多材料射出成形、及び/または、単一の別個の材料から複数の材料層を形成する逐次段階UV鋳造を含み得る。これらの形成工程には次に、フライス作業、研削作業、またはレーザアブレーション作業、または他の除去技法を用いた、機械加工及び後処理が続くのが通常である。
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。