JP2020124696A - 流量制御システム、流量制御方法、及び流量制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、流体配送系のホース等が長い場合、流体配送系の弾性により、ノズルの流量に反映されるまでに時間がかかってしまい、流量を迅速に制御することは困難である。
また、シール材は、非ニュートン(Non−Newtonian)流体、すなわち粘性係数が一定でなくかつ非線形であるため、シール材の粘性係数の温度、流量、時間、製造ロット等による変動に対応することが困難であった。
図9A、図9Bは、それぞれシール材が過大に塗布されたケースを示す図である。なお、白色の矢印は、ノズルが移動する方向を示す。図9Aには、シール材を塗布するスタート時に過大に塗布され、シール材の塗布された最初の地点から矢印で示す範囲で、塗布幅が膨らんでいる様子が見られる。また、図9Bには、鋭角コーナでのロボットの減速に流量が対応できずに、シール材が過大に塗布され、塗布幅が膨らんでいる様子が見られる。
一方で、流体の粘度特性が時間的に一定である場合にはノズル直前の流体の圧力と流量の間には一意の関係がある。すなわち、予めノズルにおけるシール材の圧力と流量の関係を測定してプロットしておけば、塗布を行っている時のシール材の圧力を計ることによりその瞬間のノズルから流出するシール材の流量を正確に算出することが可能である。
しかしながら、実際のシール材の粘性係数は温度や流量に応じて(Sheer Thinning)、時々刻々大きく変動するため、測定された圧力値の精度が良くても、シール材の流量を精度よく計算することは困難であった。さらに、ノズルでの流量を精度よく求めるためには時々刻々変動する流体の粘性係数を推定して流量計算を補正する必要があるが、流量指令が頻繁に上下する状況では粘性係数を正確に推定することが困難であった。
そこで、上記のように、例えばシール材の吐出ノズルをロボットの先端に装着して塗布作業をするようなときに、流体配送系のホース等が長い場合等のように、弾性流体配送系を用いる場合でもノズルが吐出する流量を精度良く制御することが望まれている。
なお、以下の説明では、簡単のため、「弾性流体配送系」を「流体配送系」という。そして、特に断らない限り、流体配送系とは、「弾性流体配送系」のことである。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る流量制御システムの全体構成を示すブロック図である。流量制御システムは、制御装置10、ポンプ20、流体配送系30、バルブ40、ノズル50及び圧力センサ60から構成される。
なお、以下の説明において、流体制御システムは、シール材を配送するが、これに限定されず、任意の非ニュートン流体に対して適用可能である。
バルブ40は、流体配送系30により配送されてきたシール材のノズル50への流れをON/OFF(開閉)する。
圧力センサ60は、流体配送系30内のシール材の圧力(正確には大気圧との差)を測定し、測定した圧力の測定値を制御装置10にフィードバックする。この文書内で、流体又はシール材の「圧力」と記述している場合は全て「大気圧との差」という意味である。なお、圧力センサ60は、予め設定されたサンプリング周期の一定の時間間隔で圧力を測定する。
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、通信部108とを備える。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶される。
入力部107は、キーボードやタッチパネル等であり、流体制御システムのオペレータによる入力操作に基づいて各種情報を入力する。
また、入出力インターフェース105は、有線又は無線を介して、圧力センサ60に接続され、圧力センサ60により測定された流体配送系30内の圧力を示す信号を受信し、受信した信号をCPU101に出力する。
CPU101は、ROM102に格納された流体制御プログラムを、バス104を介して読み出し、流体制御プログラムに従って流体制御システム全体を制御することで、図3に示すように、流量指令生成部201、減算部202、フィードフォワード(FF)ゲイン部203、フィードバック(FB)ゲイン部204、加算部205、回転速度指令生成部206、及びフィードバック値算出部207の機能を実現するように構成される。RAM103には一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。
減算部202は、生成された流量指令値から、後述するフィードバック値算出部207により算出されたフィードバック値を減算する。
FBゲイン部204は、フィードバック制御の制御値として、流量指令値とフィードバック値との減算値を予め設定されたゲインで調整する。
加算部205は、FFゲイン部203からのフィードフォワード制御の制御値と、FBゲイン部204からのフィードバック制御の制御値とを加算する。
図4は、流体配送系30の弾性について説明する模式図である。上述したように、流体配送系30は、非線形の弾性を有するホースやパイプ等である。図4では、流体配送系30の弾性を、ピストン31、ばね32、及びシリンダ33を用いて模式的に表す。
図4に示すように、シール材等の流体がポンプ20により吐出される吐出量Fiで流体配送系30に流し込まれることで、ピストン31がばね32で支えられているシリンダ33内に流体を流し込むのと同様であり、その体積に対応してシリンダ33内の圧力(流体の圧力)が高くなる。
なお、ポンプ20が吐出する流体の吐出量Fiは、式(1)のように表される。
Fi=a・Vc (1)
aは、ポンプ係数であり、モータ21の1回転あたりの吐出量を示す。Vcは、回転速度指令生成部206により生成された回転速度指令値を示す。
図5Aに示す関係を得るために、流体配送系30内に流体を満たして圧力Paがゼロである状態にする。この時の体積をV0とする。この状態で、例えば、制御装置10は、バルブ40を閉じ、ポンプ20のモータ21を少しずつ段階的に回転させて、流体配送系30に流体を少しずつ流し込み、その都度圧力センサ60に圧力Paを測定させる。そして、流体配送系30の体積Vmと、測定された圧力Paのデータをプロットすることにより、図5Aに示す関係が得られる。
体積Vmと圧力Paとの関係が線形となる部分では、流体配送系30内の圧力Paは、式(2)のように計算できる。
Pa=B・(Vm−V0) (2)
Bは、図5Aに示すVm−Pa曲線の圧力Paにおける傾きである。図5Aに示すように、所定の圧力値(又は所定の体積値)までの間は、体積Vmと圧力Paとの関係は、線形である。なお、体積Vmと圧力Paとの関係が非線形となる場合には、図5Aから傾きBの値を取得することができる。
Vm=∫(Fi−Fa)dt+V0 (3)
したがって、流体の圧力Paは、式(2)と式(3)から式(4)のように表される。
Pa=B・∫(Fi−Fa)dt (4)
Fa=Fi−(Pa’/B) (5)
Pa’は、圧力Paの時間微分を示す。ここで、圧力Paの時間微分Pa’は、直接測定することはできないが、上述したように圧力Paは、例えば、圧力センサ60により所定のサンプリング周期の一定間隔で測定されている。このことから、圧力Paの時間微分Pa’は、式(6)を用いて算出することができる。
Pa’=(P[n]−P[n−1])/Δt (6)
=ΔP/Δt
P[n]、P[n−1]は、圧力センサ60の測定開始からn番目、(n−1)番目に測定された圧力の測定値を示し、Δtは、P[n]、P[n−1]がそれぞれ測定された時間間隔(サンプリング周期)を示す。nは、2以上の整数である。
Fave=Fi−(ΔP/Δt)/B (5’)
なお、上述したように、式(5’)で算出されるFaveは、平均流量であり、現在の瞬間の値ではなく、遅れを含んでいる。その遅れゆえ、FBゲイン部204におけるフィードバック制御のゲインには限度があり、上限以上に上げることができない。しかしながら、流体配送系30での流量Faveを用いることにより、シール材等の非ニュートン流体における粘性係数の変動による影響を最小化することが可能となる。
具体的には、体積Vmと圧力Paの関係が線形の場合、弾性係数Bは定数であるが、非線形の場合、弾性係数Bは、圧力Paに応じて変化し図5Aに示したグラフの圧力Paにおける微分の傾きとなる。
図5Bに示すように、圧力Paがゼロ近辺の圧力P1以下では、圧力Paと体積Vmの関係がほぼ線形に変化するため、弾性係数Bは一定の値B1を示す。そして、体積Vmが増加するに従い、流体配送系30が膨れて、圧力Paが上昇することにより、弾性係数Bも非線形に急激に上昇する。そこで、図5Bに示した圧力Paと弾性係数Bの関係に基づいて、式(5)(式(5’))を非線形の場合に拡張することができる。
図6は、図1に示した流体制御システムの動作を説明するフローチャートである。
ステップS1において、流量指令生成部201は、図示しない上位制御装置や外部入力装置等から入力されるプログラムや命令に従って、ポンプ20が吐出するシール材の流量指令値を生成する。
ステップS3において、回転速度指令生成部206は、流量指令値及びフィードバック値に基づいて、回転速度指令値を生成する。
また、流体制御システムは、ノズル50での流量Faを平均流量Faveとして推定することにより、シール材等の非ニュートン流体における粘性係数の変動による影響を最小化することが可能となる。これにより、流体制御システムは、ロボットの移動速度に応じてノズル50の流量Faを精度良く制御することができ、被塗布物の鋭角なコーナ部等においてシール材の塗布幅を一定に保つことができる。
以上、第1の実施形態について説明した。
第2の実施形態に係る流体制御システムは、平均流量を用いて流体の粘性係数を求め、求めた粘性係数と圧力センサにより測定された現在の圧力に基づいて、ノズルが吐出する流量のフィードバック値を算出する点が、第1の実施形態と異なる。
以下に、第2の実施形態について説明する。
また、第2実施形態に係る制御装置10は、図2の第1実施形態に係る制御装置10と同様のハードウェア構成を有する。
図7は、第2の実施形態に係るCPU101の機能のうち、流体制御処理の実現が可能になる機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、図3のブロック図と同様の機能を有する構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
さらに、フィードバック値算出部207は、粘性係数算出部2071の機能を有する。
粘性係数算出部2071は、例えば、式(5’)を用いて、平均流量Faveを算出し、算出した平均流量Faveと後述する平均圧力とから流体の粘性係数を算出する。
Fa=On・Pa/μ (7)
Onは、ノズル50の開口度(開口部の断面積)を示し、μは、流体の粘性係数を示す。
Fave=On・Pave/μave (8)
μaveは、粘性係数の平均値を示す。
μave=On・Pave/Fave (9)
すなわち、粘性係数算出部2071は、式(9)を用いて、平均流量Faveと平均圧力Paveから粘性係数の平均値μaveを算出する。
これにより、フィードバック値算出部207は、圧力センサ60により測定された現在の圧力P[n+1]と、算出された粘性係数μ(μave)と、式(10)を用い、ノズル50が吐出する流量Faの推定値として、現在の流量Facを算出する。フィードバック値算出部207は、算出した流量Facをフィードバック値としてフィードバックすることができる。
Fac=On・P[n+1]/μ
=Fave・(P[n+1]/Pave) (10)
図8は、第2の実施形態に係る流体制御システムの動作を説明するフローチャートである。なお、図8のフローチャートのうち、図6に示したステップと同様の処理については、同じステップ番号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS1において、流量指令生成部201は、図示しない上位制御装置や外部入力装置等から入力されるプログラムや命令に従って、ポンプ20が吐出するシール材の流量指令値を生成する。
ステップS22において、フィードバック値算出部207は、測定された現在の圧力P[n+1]と、算出された粘性係数μと、式(10)に基づいて、ノズル50が吐出する流量Faの推定値として現在の流量Facを算出し、フィードバック値とする。
ステップS3において、回転速度指令生成部206は、流量指令値及びフィードバック値に基づいて、回転速度指令値を生成する。
以上、第2の実施形態について説明した。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、流体制御システムは、フィードフォワード制御とフィードバック制御の組み合わせで、ノズル50での流量Faを制御したが、これに限定されない。流体制御システムは、FFゲイン部203及び加算部205を省略し、フィードバック制御のみでノズル50での流量Faを制御しても良い。これにより、流体制御システムは、より少ない構成要素でノズル50での流量を制御することができる。
20 ポンプ
30 流体配送系
40 バルブ
50 ノズル
60 圧力センサ
201 流量指令生成部
203 FFゲイン部
204 FBゲイン部
206 回転速度指令生成部
207 フィードバック値算出部
Claims (6)
- モータを有し、前記モータの回転速度に応じた流量の流体を吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された前記流体を配送する弾性流体配送系と、
前記弾性流体配送系により配送された前記流体を吐出するノズルと、
前記弾性流体配送系内の前記流体の圧力を測定する圧力センサと、
前記ポンプに吐出させる前記流体の流量の流量指令値を生成する流量指令生成部と、
前記圧力センサにより測定された前記圧力に基づいて、前記ノズルが吐出する前記流体の流量の推定値をフィードバック値として算出するフィードバック値算出部と、
算出された前記フィードバック値及び生成された前記流量指令値に基づいて、前記モータの回転速度の回転速度指令値を生成する回転速度指令生成部と、を備える流量制御システム。 - 前記フィードバック値算出部は、
前記弾性流体配送系入口での前記流体の流量と、前記圧力センサにより測定された直近の2つの前記流体の圧力と、予め設定された所定の係数と、に基づいて前記ノズルに流入する前記流体の平均流量を算出し、算出した前記流体の平均流量を前記フィードバック値とする、請求項1に記載の流量制御システム。 - 前記弾性流体配送系から前記ノズルに配送される前記流体の流れを開閉するバルブを備え、
前記フィードバック値算出部は、さらに、
前記弾性流体配送系入口での前記流体の流量と、前記圧力センサにより測定された直近の2つの前記流体の圧力と、予め設定された所定の係数と、に基づいて前記ノズルに流入する前記流体の平均流量を算出し、算出した前記ノズルに流入する前記流体の平均流量と、前記圧力センサにより測定された前記流体の現在までの圧力の平均値と、前記ノズルの開口度と、に基づいて前記流体の粘性係数を算出する粘性係数算出部を備える請求項1に記載の流量制御システム。 - 前記フィードバック値算出部は、前記ノズルの開口度と、前記圧力センサにより測定された現在の圧力と、前記粘性係数算出部により算出された前記流体の粘性係数と、に基づいて前記フィードバック値を算出する請求項3に記載の流量制御システム。
- モータを有し、前記モータの回転速度に応じた流量の流体を吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された前記流体を配送する弾性流体配送系と、
前記弾性流体配送系により配送された前記流体を吐出するノズルと、
前記弾性流体配送系内の前記流体の圧力を測定する圧力センサと、を備える流量制御システムの流量制御方法であって、
前記ポンプに吐出させる前記流体の流量の流量指令値を生成し、
前記圧力センサにより測定された前記圧力に基づいて、前記ノズルが吐出する前記流体の流量の推定値をフィードバック値として算出し、
算出された前記フィードバック値及び生成された前記流量指令値に基づいて、前記モータの回転速度の回転速度指令値を生成する流量制御方法。 - モータを有し、前記モータの回転速度に応じた流量の流体を吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された前記流体を配送する弾性流体配送系と、
前記弾性流体配送系により配送された前記流体を吐出するノズルと、
前記弾性流体配送系内の前記流体の圧力を測定する圧力センサと、を備える流量制御システムを制御する流量制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記ポンプに吐出させる前記流体の流量の流量指令値を生成する処理と、
前記圧力センサにより測定された前記圧力に基づいて、前記ノズルが吐出する前記流体の流量の推定値をフィードバック値として算出する処理と、
算出された前記フィードバック値及び生成された前記流量指令値に基づいて、前記モータの回転速度の回転速度指令値を生成する処理と、
を実行させる流量制御プログラム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019019798A JP7227024B2 (ja) | 2019-02-06 | 2019-02-06 | 流量制御システム、流量制御方法、及び流量制御プログラム |
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Citations (5)
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