JP2020121553A - 積層造形装置および積層造形方法 - Google Patents

積層造形装置および積層造形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】積層造形時の作業効率を向上することができる積層造形装置を提供する。【解決手段】積層造形装置を、保持手段1と、材料供給手段2と、塗布手段3と、硬化手段4を備える構成とする。保持手段1は、積層造形物を形成する際に処理対象をステージ上に保持する。材料供給手段2は、金属材料粉末を各層ごとにステージ上に供給する。塗布手段3は、積層造形物の各層の形成工程において、積層造形物の外周となる領域の金属材料粉末に有機材料を塗布する。硬化手段4は、積層造形物の各層に形成工程において、積層造形物となる領域と、有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させる。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層造形に関するものであり、特に、造形時のサポート領域を形成する技術に関するものである。
3次元CAD(Computer Aided Design)データを層分割し、分割した層ごとに、3次元CADのデータに基づいたパターンが形成されるように材料を積層して3次元の造形物を製造する方法が用いられて始めている。そのような、製造方法は、例えば、国際規格においてAdditive Manufacturingと定義されている。1980年代に発明されたこの製造方法は、3Dプリンタとも呼ばれる。3Dプリンタは、3次元CADデータがあれば、金型を使わずに複雑な形状を容易に製造できることから、ものづくりの新たな手法として注目されている。
切削による除去的な加工や型に材料を流し込んで固める成形加工とは異なり、3Dプリンタは、メッシュ形状やポーラス形状をはじめとする製造が難しかった形状を容易に形成することができる。3Dプリンタには様々な手法があるが、その中の1つに粉末焼結積層法がある。粉末焼結積層法では、粉末材料を1層ずつ造形ステージ全体に敷き詰め、積層した層ごとに造形物に対応する箇所にレーザ等を照射し、粉末材料を焼結または溶融させる動作を繰り返すことで目的の造形品が形成される。この工法に使用される材料は、樹脂だけでなく金属も造形できるため、特に、金属造形においては、主要な造形工法の1つとして用いられている。
積層造形において立体造形品を造形する際に、立体造形品を支持するサポート材の造形を必要とする場合がある。しかし、サポート材は、立体造形品の造形後においては不要な部分となるため、造形後にサポート材を除去する必要がある。特に、金属材料を使用した造形においては、造形後に不要なサポート材を除去する際の作業時間を長く要することがある。そのため、立体造形品の造形後に、サポート材を分離する際の作業効率が高いことが望ましく、関連する技術の開発が行われている。そのような、造形の際に用いたサポート材を分離する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
特許文献1は、立体物を積層造形する技術に関するものである。特許文献1では、立体造形物を造形する際に、オーバーハング部の造形箇所の下方にサポート材が形成されている。特許文献1のサポート部材は、サポート材本体を研磨し除去する研磨材を、立体造形物との境界面に露出しないように流通させる流路を内部に備えている。特許文献1は、そのような構成とすることで、立体造形後のサポート材を、サポート材に形成された流路に研磨剤を流すことで研磨しながら除去することができ、サポート材を除去する際の作業性を向上できるとしている。
特開2017−193776号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、次のような点で十分ではない。特許文献1のサポート材は、研磨材によって除去されているが、サポート材の除去は、研磨用流体が正常に流れる範囲までに限定される。よって、残ったサポート材は、他の方法で除去する必要があるため、特許文献1の技術では、サポート材を分離する際の作業効率が十分には向上しない。また、形状によってはサポート材の研磨に時間を要する恐れがある。そのため、特許文献1の技術は、積層造形による造形品の形成後にサポート材の分離を容易に行うことができるようにすることで作業効率を向上する技術としては十分ではない。
本発明は、上記の課題を解決するため、積層造形時の作業効率を向上することができる積層造形装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明の積層造形装置は、保持手段と、材料供給手段と、塗布手段と、硬化手段を備えている。保持手段は、積層造形物を形成する際に処理対象をステージ上に保持する。材料供給手段は、金属材料粉末を各層ごとにステージ上に供給する。塗布手段は、積層造形物の各層の形成工程において、積層造形物の外周となる領域の金属材料粉末に有機材料を塗布する。硬化手段は、積層造形物の各層に形成工程において、積層造形物となる領域と、有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させる。
本発明の積層造形方法は、積層造形物を形成する際に各層の形成工程において、金属材料粉末を各層ごとにステージ上に供給する。本発明の積層造形方法は、積層造形物の積層造形物の外周となる領域の金属材料粉末に有機材料を塗布する。本発明の積層造形方法は、積層造形物となる領域と、有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させることを特徴とする積層造形方法。
本発明によると、積層造形時の作業効率を向上することができる。
本発明の第1の実施形態の構成の概要を示す図である。 本発明の第2の実施形態の構成の概要を示す図である。 本発明の第2の実施形態における積層造形時のステージ上の状態を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第2の実施形態における金属造形物の他の構成の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態における金属造形物の他の構成の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態における金属造形物の他の構成の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態における金属造形物の他の構成の例を示す図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態において積層造形を行う際の工程図である。 本発明の第3の実施形態における金属造形物の他の構成の例を示す図である。 本発明の第3の実施形態における金属造形物の他の構成の例を示す図である。 本発明の第4の実施形態の積層造形システムの構成の概要を示す図である。 本発明の第4の実施形態の造形データ生成装置の構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態の動作フローを示す図である。 本発明の第4の実施形態の造形データ生成装置の他の構成の例を示す図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の積層造形装置の構成の概要を示した図である。本実施形態の積層造形装置は、保持手段1と、材料供給手段2と、塗布手段3と、硬化手段4を備えている。保持手段1は、積層造形物を形成する際に処理対象をステージ上に保持する。材料供給手段2は、金属材料粉末を各層ごとにステージ上に供給する。塗布手段3は、積層造形物の各層の形成工程において、積層造形物の外周となる領域の金属材料粉末に有機材料を塗布する。硬化手段4は、積層造形物の各層に形成工程において、積層造形物となる領域と、有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させる。
本実施形態の積層造形装置は、塗布手段3において、各層の積層造形物の外周となる領域の金属材料粉末に有機材料を塗布している。また、本実施形態の積層造形装置は、硬化手段4において、各層の積層造形物となる領域と、有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させている。本実施形態の積層造形装置によって、積層造形物となる領域と外周部の硬化した領域との間に有機材料が塗布された領域を形成することで、積層造形物から外周部を容易に分離することができる。その結果、本実施形態の積層造形装置を用いることで、積層造形時の作業効率を向上することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の積層造形装置10の構成の概要を示した図である。また、図3は、積層造形装置10において立体造形物を形成する際のステージ12上の積層物を模式的に示した図である。本実施形態の積層造形装置10は、立体造形物を金属粉末材料を用いて層ごとに形成する3Dプリンタとしての機能を有する。
本実施形態の積層造形装置10は、制御部11と、ステージ12と、塗布ノズル13と、熱エネルギー供給部14と、金属材料チャンバ15と、スキージ16を備えている。
本実施形態の積層造形装置10は、で金属造形物を形成する金属材料として金属粉末21をステージ12上に供給し、溶融後に硬化させることで金属造形部24を形成する。また、本実施形態の積層造形装置10は、金属造形部24を形成する際に、土台となる第1のサポート部23を形成および第1のサポート部23と金属造形部24の境界領域となる有機材料部22を形成する。
積層造形装置10の各部位の構成について説明する。
制御部11は、積層造形装置10の制御全般を行う機能を有する。制御部11は、ステージ12を制御し、ステージ12の内部のヒーターによる加熱の開始、昇温および加熱の停止を行う。制御部11は、塗布ノズル13を制御し、有機材料の塗布を行う。制御部11は、熱エネルギー供給部14を制御して、熱エネルギーを加え金属粉末を溶融させる。制御部11は、金属材料チャンバ15を制御し、ステージ12上に金属粉末の供給を行う。また、制御部11は、スキージ16を制御し、ステージ12上の金属粉末の平坦化等を行う。
ステージ12は、造形品を形成する際の処理台として備えられている。ステージ12は、加熱機構を有する。有機材料の熱硬化は、ステージ12から加熱により伝わる温度や周囲の金属造形部24や第1のサポート部23への熱エネルギー照射時の熱が間接的に伝わることで促進される。ステージ12は、制御部11の制御に基づいて50℃〜150℃程度の範囲で昇温できるように構成されている。
塗布ノズル13は、有機材料の塗布を行うノズルとして備えられている。塗布ノズル13は、制御部11の制御に基づいて有機材料を吐出する。塗布ノズル13は、金属造形部24と第1のサポート部23の境界に有機材料を塗布する。
塗布ノズル13には、例えば、半導体部品の樹脂封止に使用される樹脂塗布部品を使用することができる。塗布ノズル13は、例えば、ポリエチレン等の樹脂によって形成されている。塗布ノズル13は、ステンレス等の金属によって形成されていてもよい。塗布ノズル13の先端部分は、樹脂塗布幅に合わせて交換できる構造としておくことが望ましい。また、塗布ノズル13の周りに発泡スチロール等の断熱材や窒素等による断熱層を設けてもよい。断熱層を設けることで、造形時に造形装置内の温度上昇により塗布ノズル13の中の樹脂材料の温度上昇を抑えることができる。
塗布ノズル13は、複数、準備され、造形中に所定の時間が経過した後に交換されるようにしてもよい。塗布ノズル13を交換する所定の時間は、付着物の蓄積等の影響を受けずに良好な塗布を行うことができる時間を基にあらかじめ設定されている。
塗布ノズル13が塗布する有機材料には、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂およびシリコーン樹脂の樹脂材料を用いることができる。材料の熱硬化特性や接着性は造形条件に合わせて調整されることが望ましい。例えば、有機材料にエポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤には、酸無水物系、アミン系またはフェノール系等の硬化剤を用いることができる。また、硬化剤は、カプセルに包み、所定の温度以上でカプセルが破壊され、硬化反応が促進されるような組成にしてもよい。所定の温度は、有機材料と硬化剤との反応温度等に合わせて設定されている。
熱エネルギー供給部14は、制御部11の制御に基づいてステージ12上の処理対象物の加熱を行う機能を有する。加熱方式としては、例えば、粉末床溶融結合方式(Powder bed fusion)を用いることができる。粉末床溶融結合方式は、ASTM(American Society for Testing and Materials)によって、Additive Manufacturingの方式として分類されている。本実施形態の熱エネルギー供給部14は、粉末床溶融結合方式に基づいて、レーザ照射によって処理対象物を加熱するように構成されている。熱エネルギー供給部14は、電子ビーム照射によって処理対象物を加熱するように構成されていてもよい。
熱エネルギー供給部14は、制御部11の制御に基づいてステージ12上の造形前の金属粉末を加熱して溶融する。溶融した金属粉末は、加熱後の自然放冷によって硬化する。熱エネルギー供給部14は、制御部11の制御に基づいて、処理対象となる層の各エリアを選択的に加熱することで金属粉末を溶融させる。処理対象となる層およびエリア、並びに、加熱時のレーザの照射条件は、制御部11によって制御される。
金属材料チャンバ15は、金属造形物を造形する際に用いる金属粉末をステージ12上に供給する。金属材料チャンバ15は、制御部11の制御に基づいて、設定された厚さの金属層を形成するために必要な量の金属粉末をステージ12上に供給する。
金属粉末には、例えば、球状の粉末の金属材料が用いられる。球状の材料は、例えば、アトマイズ法によって形成される。球状の材料の形成は、他の方法によって行われてもよい。積層に用いられる金属材料としては、5μmから100μm程度の粒径分布を有し、平均粒径が20μmから50μmの球状の材料が用いられる。金属材料の形状は、鱗片状のように平たい形状であってもよい。また、金属粉末には、例えば、アルミ、銅、ステンレス、チタンおよびそれらの合金を用いることができる。
スキージ16は、ステージ12に供給された金属粉末を均一の厚さにする機能を有する。スキージ16は、加熱前の金属粉末をステージ12上に均一の厚さとなるように敷き詰める。スキージの形状は、平スキージ、角スキージおよび剣スキージから材料に適した形状が選択される。また、スキージ16に代えて、ローラーによって金属粉末を押し付けながら均一に敷き詰める構成であってもよい。スキージ16は、ゴム、プラスチック、金属またはそれらの複合材によって形成されている。
本実施形態の積層造形装置10の動作について説明する。図4乃至図17は、本実施形態の積層造形装置10を用いて積層造形物を形成する際の、各ステップにおける状態を模式的に示した工程図である。始めに、制御部11は、金属材料チャンバ15を制御して、ステージ12上に1層目の形成に用いる金属粉末21を供給する。金属材料チャンバ15からステージ12上に金属粉末21を供給すると、制御部11は、スキージ16を制御し、ステージ12上の金属粉末21の厚みを均一にする。
スキージ16によって金属粉末21の厚みを均一にすると、制御部11は、塗布ノズル13を制御して、金属粉末21に有機材料を塗布し有機材料部22を形成する。図4は、ステージ12上に金属粉末21の1層目および有機材料部22が形成された状態を示している。
制御部11は、設計データに基づいて金属造形部24と第1のサポート部23の境界に有機材料を塗布し、有機材料部22を形成する。制御部11は、金属造形物の設計データから生成された層ごと有機材料の塗布位置、サポート部の領域および金属造形物の領域のデータをあらかじめ記憶している。
有機材料を塗布すると、制御部11は、熱エネルギー供給部14を制御して、第1のサポート部23および金属造形部24を形成する領域の金属粉末21を加熱する。図5は、熱エネルギー供給部14によって金属粉末21を加熱している状態を模式的に示した図である。
金属粉末21の加熱を行うと、金属粉末21は、溶融する。金属粉末21は、加熱が終わり、温度が低下すると硬化する。制御部11は、第1のサポート部23と金属造形部24の領域で異なる設定でレーザの照射を行う。制御部11は、金属造形部24の領域では密度が高くなるように低速度で走査しながらレーザを照射する。また、制御部11は、第1のサポート部23の領域では短時間で処理が終わるようにメッシュ状にレーザを照射する。
第1のサポート部23と金属造形部24の領域でのレーザ照射を終えると、制御部11は、熱エネルギー供給部14によるレーザの照射を終了する。図6は、レーザの照射を終了したときのステージ12上の状態を模式的に示した図である。このとき、有機材料の塗布された領域では、金属造形部24と第1のサポート部23のレーザ処理の際に熱の伝導とステージ12の熱によって加熱されるので、有機材料は、硬化した状態となり有機材料部22を形成している。
レーザ照射を終了すると、制御部11は、金属材料チャンバ15を制御し、次の層の金属粉末をステージ12上に供給する。図7は、2層目の金属粉末21を供給し、スキージで均一化された状態を模式的に示した図である。金属粉末21をステージ12上に供給すると、制御部11は、有機材料の塗布およびステージ12の加熱による有機材料部22の形成およびレーザ照射による第1のサポート部23と金属造形部24の形成を行う。2層目の形成を行うと、制御部11は、各部位を制御して、オーバーハング形状を形成するn層の3層前のn−3層まで順次、各層を形成する。オーバーハング形状とは、下層の金属造形部よりも上層の金属造形部が外周方向に張り出した形状のことをいう。
オーバーハング形状を形成するn層の2層前のn−2層の処理になると、制御部11は、金属粉末21を他の層と同様に成膜する。図8は、n−2層の金属粉末21を形成した状態を模式的に示した図である。
金属粉末21を成膜すると、制御部11は、熱エネルギー供給部14によるレーザ照射を行う際に第2のサポート部25と金属造形部24の領域の両方を、金属造形部24の領域の条件で加熱する。図9は、n−2層の処理において、第1のサポート部23と金属造形部24の領域の両方を、金属造形部24の領域の条件で加熱した後の状態を模式的に示す図である。第2のサポート部25を金属造形部24の領域の条件で加熱すると、n−2層の第2のサポート部25は、他の層における第1のサポート部23よりも密度の高い金属膜で形成された領域となる。
n−2層を形成すると、制御部11は、金属材料チャンバ15を制御して、n−1層の金属粉末21の成膜を行う。図10は、n−1層の金属粉末21を形成した状態を模式的に示した図である。金属粉末21を成膜すると、制御部11は、塗布ノズル13を制御して、金属粉末21のn−2層において有機材料を塗布した領域と、第2のサポート部25を形成した領域に有機材料を塗布する。図11は、n−1層の有機材料を塗布した状態を模式的に示した図である。
有機材料を塗布した領域はステージの熱によって硬化する。また、制御部11は、熱エネルギー供給部14を制御して金属造形部24の領域のみを加熱する。図12は、n−1層において金属造形部24の領域を加熱した後の状態を模式的に示した図である。
n−1層を形成すると、制御部11は、金属材料チャンバ15を制御して、n層の金属粉末21の成膜を行う。図13は、n層の金属粉末21の成膜を行った状態を模式的に示した図である。
n層の金属粉末21を成膜すると、制御部11は、熱エネルギー供給部14を制御してn層におけるオーバーハング部分を含めた金属造形部24を形成する。制御部11は、n−1層において有機材料を塗布した領域と、n−1層で金属造形部24の領域であった領域とを金属造形部の領域の条件で加熱する。図14は、n層において金属造形部24の領域を加熱した後の状態を模式的に示した図である。
n層を形成すると、制御部11は、各部位を制御して必要な厚みとなるまで上層を順次、形成する。図15は、オーバーハング部を含めて金属造形部24が設計に基づいた厚みとなるまで形成された状態を模式的に示した図である。
全ての層の形成が完了すると、金属造形部24の第1のサポート部23および第2のサポート部25からの分離が行われる。始めに硬化が行われていない金属粉末21が除去される。図16は、ステージから取り出され、未硬化の金属粉末21が除去された金属造形物を模式的に示した図である。
未硬化の金属粉末21が除去されると、サポート部の分離が行われる。金属造形部24のサポート部からの分離は、例えば、金属のヘラを金属造形部とサポート部の境界領域である有機材料部22に挿入して分離することによって行われる。図17は、金属造形部24から第1のサポート部23および第2のサポート部25が分離された状態を模式的に示した図である。
金属造形部24のサポート部からの分離は、例えば、200℃程度に昇温した金属のヘラを有機材料部22に挿入することで行われる。例えば、有機材料部22をエポキシ樹脂にシロキサン骨格を有する多層粒子を添加した有機材料を塗布して形成することで、加熱した状態での金属ヘラによる金属造形部24とサポート部の分離性をよくすることができる。
多層粒子は、コア部分の硬度がシェル部分の硬度よりも低くなるように設計されている。例えば、多層粒子が2層である場合、コア部の硬度は75未満、シェル部の高度は75以上として設定される。より好ましくは、コア部の硬度は、40以下に設定される。硬度は、例えば、スプリング式硬さ計JIS−A形JISK6301を用いて計測される。コア部の硬度を小さく設計することで、有機材料部22は、低弾性化する。低弾性化することで、サポート部の金属造形部24からの分離を行う温度における樹脂の密着性を低下させることができる。エポキシ樹脂に添加するシロキサン骨格を有する多層粒子は、コア部の体積比率がシェル部分の体積比率よりも高い構造となっている。コア部の体積比率がシェル部の体積比率に比べて1.5倍以上、より好ましくは2倍以上大きい場合に、低弾性化によって分離性が向上する。また、そのような構成とすることで、有機材料部22の線膨張を抑えることができるので金属造形部24を形成する際の精度が向上する。
本実施形態の積層造形装置10は、金属粉末21をステージ12上に供給した後、有機材料を金属粉末21に塗布し、金属造形部24とサポート部の境界領域を形成している。また、本実施形態の積層造形装置10は、金属粉末21を硬化させる際に、第1のサポート部23の密度が金属造形部24よりも小さくなるように処理を行っている。そのような構成とすることで、処理効率を向上しつつ、上層の金属造形部24の形成時の安定性を向上することができる。また、本実施形態の積層造形装置10は、金属造形部24のオーバーハング部分を形成する際に、密度の高い第2のサポート部25をさらに形成し、上層に金属造形部24のオーバーハング部分を形成している。そのため、オーバーハング部分の形成時の安定性および精度を向上することができる。また、本実施形態の積層造形装置10を用いた金属造形物は、金属造形部24とサポート部の間に有機材料部22を有するので、金属造形部24をサポート部から容易に分離して形成することができる。以上より、本実施形態の積層造形装置10を用いることで積層造形時の作業効率を向上することができる。
金属造形物の形状は、第2の実施形態で示した形状以外であってもよい。図18乃至図21は、ステージ12上に形成された金属造形物の例を模式的に示した図である。図18の例では、金属造形部24を囲むように第1のサポート部23を形成している。図18のような構成とすることで、金属造形部24が熱応力等で変形しやすい場合に、第1のサポート部23で金属造形部24を抑え込み、変形を抑制することができる。また、図18のような構成とすることで、有機材料部22によって第1のサポート部23および第2のサポート部25を金属造形部24からより容易に除去することができる。
図19の例では、第1のサポート部23内に有機材料部22による境界層を設けることで、第1のサポート部23を分割しながら除去することができる。そのため、図19の例では、第1のサポート部23の除去がより容易になる。
図20の例では、金属造形部24のオーバーハング部分が、斜めに形成されている。また、オーバーハング層は複数層にまたがって形成されていてもよい。図20のような構成の金属造形部24を形成する場合でも、有機材料部22によって第1のサポート部23および第2のサポート部25を金属造形部24から容易に除去することができる。
図21の例では、ステージ12と金属造形部24および第1のサポート部23の境界面に有機材料部22が形成されている。図21のような構成とすることで、ステージ12から金属造形部24およびサポート部を容易に分離することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1のサポート部23および第2のサポート部25を形成していたが、本実施形態は、金属粉末材料の積層による積層造形物の形成をサポート部を形成せずに行うことを特徴とする。また、本実施形態では第2の実施形態と同様の積層造形装置10を用いて積層造形物の形成を行う。よって、以下において、積層造形装置に係る説明については図2を参照して行う。
本実施形態において、積層造形物を形成する際の積層造形装置10の動作について説明する。本実施形態において、積層造形装置10は、オーバーハング形状を形成するn層の1層前であるn−2層までは、第2の実施形態と同様の方法で層ごとに金属粉末21を成膜し、金属造形部24を形成する。n−2層まで形成すると、積層造形装置10は、n−1層の金属粉末21を成膜する。図22は、オーバーハング形状を形成するn層の1層前のn−1層の金属粉末21の成膜までを終えた状態を模式的に示した図である。本実施形態の金属材料粉末および有機材料には、それぞれ第2の実施形態と同様の材料を用いることができる。
n−1層の金属粉末21を成膜すると、制御部11は、塗布ノズル13を制御して、n−1層の金属粉末21のうち、n層形成時にオーバーハング形状が形成される領域に有機材料を塗布し、有機材料部22を形成する。有機材料を塗布した領域は、ステージの熱によって硬化する。図23は、n−1層の有機材料を塗布し、有機材料部22を形成した状態を模式的に示した図である。
有機材料を塗布すると、制御部11は、熱エネルギー供給部14を制御して金属造形部24の領域を加熱する。図24は、n−1層において金属造形部24の領域を加熱した後の状態を模式的に示した図である。
n−1層を形成すると、制御部11は、金属材料チャンバ15を制御して、n層の金属粉末21の成膜を行う。図25は、n層の金属粉末21の成膜を行った状態を模式的に示した図である。
n層の金属粉末21を成膜すると、制御部11は、熱エネルギー供給部14を制御してn層におけるオーバーハング部分を含めた金属造形部24を形成する。制御部11は、n−1層において有機材料を塗布した領域と、n−1層で金属造形部24の領域であった領域とを金属造形部の領域の条件で加熱する。図26は、n層において金属造形部24の領域を加熱した後の状態を模式的に示した図である。
n層を形成すると、制御部11は、各部位を制御して必要な厚みとなるまで上層を順次、形成する。図27は、オーバーハング部を含めて金属造形部24が設計に基づいた厚みとなるまで形成された状態を模式的に示した図である。
全ての層の形成が完了すると、金属造形部24は、ステージ12から分離され、硬化が行われていない金属粉末21の除去が行われる。図28は、ステージから取り出され、未硬化の金属粉末21が除去された金属造形物を模式的に示した図である。
未硬化の金属粉末21の除去が行われると、有機材料部22の分離が行われる。金属造形部24と有機材料部22の分離は、例えば、金属のヘラを用いて有機材料部22を除去することで行われる。図29は、金属造形部24から有機材料部22が分離された状態を模式的に示した図である。
金属造形部24からの有機材料部22の除去は、例えば、200℃程度に昇温した金属のヘラで有機材料部22が無くなるまで有機材料部22をそぎ落とす等で行うことができる。有機材料部22の有機材料に、例えば、エポキシ樹脂にシロキサン骨格を有する多層粒子を添加した材料を用いることで、加熱した状態での金属ヘラによる金属造形部24の分離性をよくすることができる。多層粒子には、第2の実施形態と同様の粒子材料を用いることができる。
上記の例では、有機材料部22を1層のみ形成した構成について示したが、複数の層に有機材料部22を形成してもよい。図30は、複数の層に有機材料部22を形成し、有機材料部22を厚く形成した上にオーバーハング部分を形成した状態を模式的に示した図である。オーバーハング部形成初期段階において、薄い金属造形部24を形成する際に、有機材料部22を厚く形成し金属造形部24の下地を補強することで、安定した下地の上に金属造形部24を形成することができる。安定した層の上に金属造形部24を形成することで、オーバーハング部形成初期段階における造形層の生成が安定し、積層造形物の品質を向上することができる。
また、金属造形部24の形状によっては、第1のサポート部23および第2のサポート部25を形成した上に有機材料部22を形成する構造とサポート部を形成しない有機材料部22上に金属造形部を形成されている構造が混在している構造としてもよい。図31は、サポート部がある構造と、サポート部がない構造が混在した場合の積層造形物の構造の例を模式的に示した図である。
本実施形態では、積層造形装置10は、積層造形物のオーバーハング形状部を形成する際に、第1のサポート部23および第2のサポート部25を形成せずに、金属造形部24の形成を行っている。そのため、本実施形態では、積層造形物の製造工程を簡略化することができる。特に、オーバーハング形状部の形状の剛性が高い場合などの造形時の熱応力による造形品の反り変形の影響が少ない構成の場合には、第1のサポート部23および第2のサポート部25を形成しなくても寸法や形状の精度を維持できるため製造工程を簡略化する効果が高くなる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図32は、本実施形態の積層造形システム30の構成の概要を示したものである。本実施形態の積層造形システム30は、第2の実施形態および第3の実施形態と同様に、積層造形装置において金属造形物を形成するシステムである。そのため、以下の説明では、第2の実施形態および第3の実施形態における積層造形装置のステージ上の積層造形物の構造を模式的に示している図15および図27も参照して行う。また、第2の実施形態および第3の実施形態では、あらかじめサポート部の有無が設定されているが、本実施形態の積層造形システムは、積層造形を行う際にサポート部を必要とするかを判断する機能を有することを特徴とする。
本実施形態の積層造形システム30は、積層造形装置10と、造形データ生成装置40を備えている。本実施形態の積層造形装置10の構成と機能は、第2の実施形態と同様である。
造形データ生成装置40の構成について説明する。図33は、本実施形態の造形データ生成装置40の構成を示す図である。造形データ生成装置40は、判定部41と、データ生成部42と、データベース部43と、アルゴリズム保存部44と、3DCAD(Three Dimensional Computer Aided Design)モデル保存部45を備えている。
判定部41は、金属造形部を形成する際のサポート部の要否を判定する機能を有する。判定部41は、サポート部を形成しないと上層の金属造形物が必要な特性を満たせないときサポート部の形成が必要と判断する。
判定部41は、データベース部43に保存された物性データを参照し、形成する積層造形物の特性が設定された許容値を満たす積層角度の閾値を決定する。判定部41は、閾値以下の積層角度の箇所にサポート部の挿入が必要と判断する。判定部41は、サポート部の挿入が必要な箇所の情報をデータ生成部42に出力する。
データ生成部42は、サポート部を挿入した積層造形用のデータを生成し、積層造形装置10に出力する。データ生成部42は、判定部41から要求された箇所にサポート部を挿入する。データ生成部42は、生成した積層造形用のデータを制御部11に出力する。
判定部41およびデータ生成部42は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の半導体装置を用いて構成されている。判定部41およびデータ生成部42の各処理は、CPU(Central Processing Unit)においてコンピュータプログラムを実行することで行われてもよい。
データベース部43は、金属造形物を積層造形する際に用いる材料の物性データをデータベースとして保存している。物性データとしては、例えば、積層角度ごとの表面粗度のデータがデータベースに保存されている。データベースの物性データは、例えば、テスト用の積層造形物を積層角度を変えて形成し、表面粗度を計測することであらかじめ作成されている。
アルゴリズム保存部44は、サポート部の要否を判断する際の判断方法のアルゴリズムを保存している。
3DCADデータ保存部45は、造形データ生成装置40に入力された金属造形物のCADデータを保存している。以下では、3D CADを用いて生成された金属造形物の形状を示す情報を3DCADモデルと呼ぶ。3DCADモデルのデータは、作業者が記録媒体等を介して造形データ生成装置40に入力してもよく、通信ネットワークを介して他の情報処理装置等から入力されてもよい。
データベース部43、アルゴリズム保存部44および3DCADデータ保存部45は、不揮発性の半導体記憶装置やハードディスクドライブ等の記憶装置またはそれらの記憶装置の組み合わせによって構成されている。
本実施形態の積層造形システム30において、金属造形物の積層造形を行う際のサポート部の形成の要否を判定する動作について説明する。図34は、本実施形態の造形データ生成装置40がサポート部の要否を判断する際の動作フローを示す図である。
始めに、金属造形物の構造のデータとして、図15および図27の金属造形部24の3DCADモデルのデータが、造形データ生成装置40に入力される。造形データ生成装置40に入力された3DCADモデルのデータは、3DCADモデル保存部34に保存される。
金属造形部24の3DCADモデルのデータは、例えば、作業者によって3D CADを用いて作成される。3DCADモデルのデータは、2次元図面から3D CADを用いて生成されてもよい。また、3DCADモデルのデータは、金属造形部の現物または同形状の模型を3Dスキャナ等で測定して生成された3Dデータを基に生成されてもよい。また、3DCADモデルのデータは、造形データ生成装置40に直接、入力されもよく、通信ネットワークを介して他の情報処理装置から取得されてもよい。
3DCADモデルのデータが3DCADモデル保存部34に保存されると、造形データ生成装置40は、サポート部の形成の要否の判断を開始する。サポート部の形成の要否の判断を開始すると、金属造形物の3DCADモデルの配置と向きが決定されレイアウトが設定される(ステップS101)。レイアウトとは、積層造形装置10が積層造形を行う3次元空間内、すなわち、ステージ12の平面に平行なXY平面において材料の吐出を行う範囲とステージ12の垂直方向の積層可能な範囲内における金属造形物の位置や向きの設定情報のことをいう。金属造形物は、積層造形を行う3次元空間内に複数、配置されてもよい。また、複数の種類の3DCADモデルを用いて、同時に複数、種類の金属造形物が積層造形を行う3次元空間内に配置されてもよい。
レイアウトが設定されると、金属造形物の物性の許容値が設定される(ステップS102)。本実施形態では、物性の許容値として、金属造形物の表面粗度の許容値が設定される。物性の許容値は、例えば、作業者によって造形データ生成装置40に入力される。物性の許容値は、あらかじめ設定された値が用いられてもよい。
金属造形物の物性の許容値が設定されると、判定部41は、データベース部43を参照し、許容値を満たす表面粗度以下となる積層角度があるかどうか確認する(ステップ103)。積層角度とは、XY平面に対する積層造形物の角度のことをいう。例えば、積層造形物の長軸方向がXY平面に対して垂直に立った状態のとき、積層角度は、90度である。また、積層造形物の長軸方向がXY平面に対して平行な状態のとき、積層角度は、0度である。
データベース部43は、金属造形部24を積層造形によって形成する際の積層角度ごとの各物性データを蓄積している。本実施形態のデータベース部43は、金属造形物の積層角度ごとの表面粗度のデータを保存している。データベース部43が保存している物性データとしては、硬度、弾性率、密度またはその他の物性データであってもよい。また、複数の種類の金属粉末を用いる場合には、データベース部43は、金属粉末ごとに物性データを保存していてもよい。また、異なる有機材料を用いるなど下層が異なる場合には、有機材料ごとにデータベース部43は、物性データを保存していてもよい。
許容値を満たす積層角度があるとき(ステップS104でYes)、判定部41は、許容値を満たす積層角度を閾値とし、閾値以下となる領域があるかを確認する。積層角度が閾値以下となる領域があるとき、判定部41は、積層角度が閾値以下となる領域にサポート部を形成する必要があると判断する。例えば、判定部41は、表面粗度の値が許容値以下である積層角度が角度A以上だった場合、角度A未満の箇所にサポート部が必要と判断する。
サポート部を形成する領域があると判断すると、判定部41は、サポート部の生成を要求とサポート部を形成する箇所を示す情報をデータ生成部42に送る。サポート部を生成する要求を受け取ると、データ生成部42は、第1のサポート部23および第2のサポート部25を挿入したデータを生成する(ステップS105)。データ生成部42は、金属造形物の3DCADデータのサポート部が必要と判断された箇所に第1のサポート部23および第2のサポート部25を挿入したデータを生成する。
サポート部を挿入したデータを生成すると、データ生成部42は、生成したデータを制御部11に出力する(ステップS106)。制御部11へのデータの出力は通信ケーブルを介して行われてもよく、有線LAN(Local Area Network)、無線LANなどの通信ネットワークを介して行われもよい。また、データは、CD−RやUSB(Universal Serial Bus)などの記録媒体を介して制御部11に入力されてもよい。
造形データ生成装置40によって作成されたデータを基に、制御部11を通して積層造形装置10の造形が開始される。上記の説明では、金属造形物の物性値として表面粗度を用いたが、他の物性を基準としてサポート部の形成の要否が判断されてもよい。また、ある物性が許容値を満たさなかったときに、他の物性の許容値を基にサポート部の形成の要否が決定されてもよい。また、同時に複数の物性の許容値を満たすかによってサポート部の形成の要否が判断されてもよい。
また、許容値を満たす積層角度が存在しなかったとき(ステップS104でNo)、判定部41は、許容値の設定変更が可能かを判断する。許容値の設定変更が可能であるとき(ステップS107でYes)、判定部41は、新たな許容値に基づいて、ステップ103の物性値のデータベース参照し、許容値を満たす積層角度があるかを確認する動作を行う。許容値の設定変更が可能かの情報は、あらかじめ設定された情報が造形データ生成装置40内に保存されていてもよく、作業者によって許容値の設定変更が行われもよい。
許容値の設定変更ができない(ステップS107でNo)は、サポート部の設定ができないことを作業者等に通知して動作を終了する。許容値の設定変更ができないとき、物性データの見直し等のデータベースの更新や設計変更が行われた後に、再度、サポート部の形成の可否の確認が行われる。
本実施形態の積層造形システムは、金属造形物を形成する際に、サポート部が必要かどうかを判断する造形データ生成装置40を備えている。本実施形態の積層造形システムは、サポート部が必要な箇所にのみサポート部を形成することで、積層造形時の作業効率を向上することができる。
第4の実施形態の造形データ生成装置40における各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行われてもよい。図35は、造形データ生成装置40における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ50の構成の例を示したものである。コンピュータ50は、CPU51と、メモリ52と、記憶装置53と、I/F(Interface)部54を備えている。
CPU51は、記憶装置53から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。メモリ52は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU51が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時保存される。記憶装置53は、CPU51が実行するコンピュータプログラム、物性データのデータベース、アルゴリズム、3D CADデータおよび外部から取得した情報等が保存される。記憶装置53は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置53には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。I/F部54は、積層造形装置10や入力装置等との間でデータの入出力を行うインタフェースである。コンピュータ50は、通信ネットワークを介して他の情報処理装置と通信を行う通信モジュールをさらに備えていてもよい。
また、各処理に行うコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体メモリを記録媒体として用いてもよい。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
[付記1]
積層造形物を形成する際に処理対象をステージ上に保持する保持手段と、
金属材料粉末を各層ごとに前記ステージ上に供給する材料供給手段と、
前記積層造形物の各層の形成工程において、前記積層造形物の外周となる領域の前記金属材料粉末に有機材料を塗布する塗布手段と、
前記積層造形物の各層の形成工程において、前記積層造形物となる領域と、前記有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させる硬化手段と
を備えることを特徴とする積層造形装置。
[付記2]
前記硬化手段は、前記有機材料が塗布された領域の外周部の領域を、前記積層造形物となる領域よりも低密度で硬化させた第1のサポート部として形成することを特徴とする付記1に記載の積層造形装置。
[付記3]
前記硬化手段は、前記第1のサポート部が形成された領域の上層に、前記金属材料粉末を前記積層造形物となる領域と同じ密度となるように硬化させた領域を第2のサポート部として形成し
前記塗布手段は、前記第2のサポート部が形成された領域の上層の前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布することを特徴とする付記2に記載の積層造形装置。
[付記4]
前記塗布手段は、前記第2のサポート部の上層に形成された前記積層造形物の外周に相当する位置において、ステージ側の層から表面側の層まで連続した領域が形成されるように、前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布することを特徴とする付記3に記載の積層造形装置。
[付記5]
前記金属材料粉末に塗布された前記有機材料に熱を加える加熱手段をさらに備えることを特徴とする付記1から4いずれかに記載の積層造形装置。
[付記6]
金属材料粉末を積層することで積層造形物を形成する際に、前記積層造形物よりも低密度の層を前記積層造形物よりも下層にサポート部として形成するかを判断する判断手段と、
前記サポート部を形成すると判断したときに、前記サポート部を挿入した前記積層造形物の造形用のデータを生成するデータ生成手段と
を備えることを特徴とする造形データ生成装置。
[付記7]
前記判断手段は、前記積層造形物の特性が基準を満たす積層角度を導出し、導出した積層角度未満の箇所に前記サポート部を形成すると判断することを特徴とする付記6に記載の造形データ生成装置
[付記8]
前記判断手段は、前記積層造形物の表面粗度を基準値と比較して前記積層角度を導出することを特徴とする付記7に記載の造形データ生成装置。
[付記9]
前記判断手段は、前記積層造形物の特性が基準を満たす前記積層角度が存在しなかったとき、再設定された第2の基準を満たす前記積層角度を導出することを特徴とする付記7または8に記載の造形データ生成装置。
[付記10]
付記2から5いずれかに記載の積層造形装置と、
付記6から9いずれかに記載の造形データ生成装置と
を備え、
前記積層造形装置は、前記サポート部から入力される前記データを基に前記サポート部を形成することを特徴とする積層造形装置。
[付記11]
積層造形物を形成する際に各層の形成工程において、金属材料粉末を各層ごとにステージ上に供給し、
前記積層造形物の前記積層造形物の外周となる領域の前記金属材料粉末に有機材料を塗布し、
前記積層造形物となる領域と、前記有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させることを特徴とする積層造形方法。
[付記12]
前記有機材料が塗布された領域の外周部の領域を、前記積層造形物となる領域よりも低密度で硬化させた第1のサポート部として形成することを特徴とする付記11に記載の積層造形方法。
[付記13]
前記第1のサポート部が形成された領域の上層に、前記金属材料粉末を前記積層造形物となる領域と同じ密度となるように硬化させた領域を第2のサポート部として形成し、
前記第2のサポート部が形成された領域の上層の前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布し、
前記有機材料が塗布された領域の上層に前記積層造形物となる領域を形成することを特徴とする付記12に記載の積層造形方法。
[付記14]
前記第2のサポート部の上層に形成された前記積層造形物の外周に相当する位置において、ステージ側の層から表面側の層まで連続した領域が形成されるように、前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布することを特徴とする付記13に記載の積層造形方法。
[付記15]
最上層まで形成が完了した際に、前記有機材料が塗布された領域よりも外側の領域を、前記積層造形物の形成された領域から分離することを特徴とする付記11から14いずれかに記載の積層造形方法。
[付記16]
金属材料粉末を積層することで積層造形物を形成する際に、前記積層造形物よりも低密度の層を前記積層造形物よりも下層にサポート部として形成するかを判断し、
前記サポート部を形成すると判断したときに、前記サポート部を挿入した前記積層造形物の造形用のデータを生成することを特徴とするサポート部形成方法。
[付記17]
前記積層造形物の特性が基準を満たす積層角度を導出し、導出した積層角度未満の箇所に前記サポート部を形成すると判断することを特徴とする付記16に記載のサポート部形成方法。
[付記18]
前記積層造形物の表面粗度を基準値と比較して前記積層角度を導出することを特徴とする付記17に記載のサポート部形成方法。
[付記19]
前記積層造形物の特性が基準を満たす前記積層角度が存在しなかったとき、再設定された第2の基準を満たす前記積層角度を導出することを特徴とする付記17または18に記載のサポート部形成方法。
[付記20]
金属材料粉末を積層することで積層造形物を形成する際に、前記積層造形物よりも低密度の層を前記積層造形物よりも下層にサポート部として形成するかを判断する処理と、
前記サポート部を形成すると判断したときに、前記サポート部を挿入した前記積層造形物の造形用のデータを生成する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするサポート部形成プログラム。
[付記21]
前記積層造形物の特性が基準を満たす積層角度を導出し、導出した積層角度未満の箇所に前記サポート部を形成すると判断することを特徴とする付記20に記載のサポート部形成プログラム。
[付記22]
前記積層造形物の表面粗度を基準値と比較して前記積層角度を導出することを特徴とする付記21に記載のサポート部形成プログラム。
[付記23]
前記積層造形物の特性が基準を満たす前記積層角度が存在しなかったとき、再設定された第2の基準を満たす前記積層角度を導出することを特徴とする付記21または22に記載のサポート部形成プログラム。
1 保持手段
2 材料供給手段
3 塗布手段
4 硬化手段
10 積層造形装置
11 制御部
12 ステージ
13 塗布ノズル
14 熱エネルギー供給部
15 金属材料チャンバ
16 スキージ
21 金属粉末
22 有機材料部
23 第1のサポート部
24 金属造形部
25 第2のサポート部
30 積層造形システム
40 造形データ生成装置
41 判定部
42 データ生成部
43 データベース部
44 アルゴリズム保存部
45 3DCADデータ保存部
50 コンピュータ
51 CPU
52 メモリ
53 記憶装置
54 I/F部

Claims (10)

  1. 積層造形物を形成する際に処理対象をステージ上に保持する保持手段と、
    金属材料粉末を各層ごとに前記ステージ上に供給する材料供給手段と、
    前記積層造形物の各層の形成工程において、前記積層造形物の外周となる領域の前記金属材料粉末に有機材料を塗布する塗布手段と、
    前記積層造形物の各層の形成工程において、前記積層造形物となる領域と、前記有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させる硬化手段と
    を備えることを特徴とする積層造形装置。
  2. 前記硬化手段は、前記有機材料が塗布された領域の外周部の領域を、前記積層造形物となる領域よりも低密度で硬化させた第1のサポート部として形成することを特徴とする請求項1に記載の積層造形装置。
  3. 前記硬化手段は、前記第1のサポート部が形成された領域の上層に、前記金属材料粉末を前記積層造形物となる領域と同じ密度となるように硬化させた領域を第2のサポート部として形成し
    前記塗布手段は、前記第2のサポート部が形成された領域の上層の前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布することを特徴とする請求項2に記載の積層造形装置。
  4. 前記塗布手段は、前記第2のサポート部の上層に形成された前記積層造形物の外周に相当する位置において、ステージ側の層から表面側の層まで連続した領域が形成されるように、前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布することを特徴とする請求項3に記載の積層造形装置。
  5. 金属材料粉末を積層することで積層造形物を形成する際に、前記積層造形物よりも低密度の層を前記積層造形物よりも下層にサポート部として形成するかを判断する判断手段と、
    前記サポート部を形成すると判断したときに、前記サポート部を挿入した前記積層造形物の造形用のデータを生成するデータ生成手段と
    を備えることを特徴とする造形データ生成装置。
  6. 請求項2から4いずれかに記載の積層造形装置と、
    請求項5に記載の造形データ生成装置と
    を備え、
    前記積層造形装置は、前記サポート部から入力される前記データを基に前記サポート部を形成することを特徴とする積層造形装置。
  7. 積層造形物を形成する際に各層の形成工程において、金属材料粉末を各層ごとにステージ上に供給し、
    前記積層造形物の前記積層造形物の外周となる領域の前記金属材料粉末に有機材料を塗布し、
    前記積層造形物となる領域と、前記有機材料が塗布された領域の外周部とを硬化させることを特徴とする積層造形方法。
  8. 前記有機材料が塗布された領域の外周部の領域を、前記積層造形物となる領域よりも低密度で硬化させた第1のサポート部として形成することを特徴とする請求項7に記載の積層造形方法。
  9. 前記第1のサポート部が形成された領域の上層に、前記金属材料粉末を前記積層造形物となる領域と同じ密度となるように硬化させた領域を第2のサポート部として形成し、
    前記第2のサポート部が形成された領域の上層の前記金属材料粉末に前記有機材料を塗布し、
    前記有機材料が塗布された領域の上層に前記積層造形物となる領域を形成することを特徴とする請求項8に記載の積層造形方法。
  10. 金属材料粉末を積層することで積層造形物を形成する際に、前記積層造形物よりも低密度の層を前記積層造形物よりも下層にサポート部として形成するかを判断し、
    前記サポート部を形成すると判断したときに、前記サポート部を挿入した前記積層造形物の造形用のデータを生成することを特徴とするサポート部形成方法。
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