図1は、印刷システム1の構成を示す図である。
印刷システム1は、端末装置2と第1プリンター3Aとが通信接続して構成される。また、印刷システム1は、第1プリンター3Aに代えて第2プリンター3Bと端末装置2とが通信接続して構成される。
以下の説明において、第1プリンター3A、及び、第2プリンター3Bを区別しない場合、「プリンター3」と総称する。
なお、端末装置2は、外部装置の一例に対応する。また、第1プリンター3A、及び、第2プリンター3Bは、印刷装置の一例に対応する。
印刷システム1は、端末装置2が印刷データをプリンター3へ送信し、プリンター3が受信した印刷データに基づいて印刷媒体であるロール紙に印刷するシステムである。なお、端末装置2に対して同時に通信接続可能な第1プリンター3A、及び第2プリンター3Bの数に制限はないが、本実施形態では、端末装置2に対して1台の第1プリンター3Aまたは第2プリンター3Bが通信接続する場合を例示する。
印刷システム1を構成する第1プリンター3Aと第2プリンター3Bとは、機種が異なる。すなわち、第2プリンター3Bは、端末装置2と第2プリンター3Bとの通信におけるボーレートを設定するためのディップスイッチ321Bを備える機種である。一方で、第1プリンター3Aは、ディップスイッチ321Bを備えない機種である。
次に、端末装置2、第1プリンター3A、及び、第2プリンター3Bの構成について説明する。
端末装置2は、プリンター3を制御する制御装置であり、例えば通信接続するプリンター3に印刷データを送信することでプリンター3に印刷を行わせる。端末装置2の形態は、タブレット型でもよいしデスクトップ型でもよい。
端末装置2は、端末制御部20、端末入力部21、端末表示部22、及び、端末通信部23を備える。
端末制御部20は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサーである端末プロセッサー200、及び、端末記憶部210を備え、端末装置2の各部を制御する。端末制御部20は、端末プロセッサー200が、端末記憶部210に記憶された端末制御プログラム210Aを読み出して処理を実行するように、ハードウェア、及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
端末記憶部210は、端末プロセッサー200が実行するプログラムや、端末プロセッサー200により処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。端末記憶部210は、端末プロセッサー200が実行する制御プログラムである端末制御プログラム210Aや、その他の各種データを記憶する。また、端末記憶部210は、プリンター3の設定を行うための設定用プログラム210Bを記憶する。端末記憶部210は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶領域を有する。また、端末記憶部210は、揮発性記憶領域を備え、端末プロセッサー200が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するワークエリアを構成してもよい。
端末入力部21は、端末装置2に設けられた操作スイッチや、端末装置2と接続したキーボード、タッチパネル等の入力手段を備え、端末装置2を操作するユーザーの入力手段に対する操作を検出し、端末制御部20に出力する。端末制御部20は、端末入力部21からの入力に基づいて、入力手段に対する操作に対応する処理を実行する。
端末表示部22は、液晶表示パネル等の表示パネルを備え、端末制御部20の制御に従って、各種情報を表示する。
端末通信部23は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアにより構成され、端末制御部20の制御で、第1プリンター3A、或いは第2プリンター3Bと通信する。なお、通信ハードウェアとしては、通信回路や、通信ポート、通信基板、通信コネクター等のハードウェアが一例として挙げられる。端末通信部23とプリンター3との間で使用される通信規格は、有線通信に係る規格でも無線通信に係る規格でもよい。有線通信に係る規格としては、USBや、RC232C等のシリアル通信規格、IEEE1284等のパラレル通信規格、イーサネット等が例として挙げられる。イーサネットは、登録商標である。また、無線通信に係る規格としては、Wi−Fi等の無線LANに係る通信規格や、Bluetooth等の近距離無線通信に係る通信規格等が例として挙げられる。Wi−Fiは、登録商標である。また、Bluetoothは、登録商標である。
プリンター3は、ロール紙を収容し、収容したロール紙にライン型の印刷ヘッドでドットを形成して文字や画像等を印刷するサーマルプリンターである。なお、本実施形態に係るプリンター3の印刷方式はサーマル方式であるが、プリンター3の印刷方式は、サーマル式に限定されず、インクジェット方式等の他の印刷方式でもよい。また、プリンター3の印刷ヘッドは、ライン型に限定されずシリアル型でもよい。
まず、第1プリンター3Aの構成について説明する。
第1プリンター3Aは、第1プリンター制御部30A、第1プリンター通信部31A、第1プリンター入力部32A、第1プリンター表示部33A、第1プリンター印刷部34A、及び、第1プリンターデバイス通信部35Aを備える。
第1プリンター制御部30Aは、制御部の一例に対応する。また、第1プリンター通信部31Aは、通信部の一例に対応する。
第1プリンター制御部30Aは、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサーである第1プリンタープロセッサー300A、及び、第1プリンター記憶部310Aを備え、第1プリンター3Aの各部を制御する。第1プリンター記憶部310Aは、記憶部の一例に対応する。第1プリンター制御部30Aは、第1プリンタープロセッサー300Aが、第1プリンター記憶部310Aに記憶された第1プリンター制御プログラム311Aを読み出して処理を実行するように、ハードウェア、及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
第1プリンター記憶部310Aは、第1プリンタープロセッサー300Aが実行するプログラムや、第1プリンタープロセッサー300Aにより処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。第1プリンター記憶部310Aは、第1プリンタープロセッサー300Aが実行する制御プログラムである第1プリンター制御プログラム311A、その他の各種データを記憶する。また、第1プリンター記憶部310Aは、第1プリンター関連ファイル312Aを記憶する。第1プリンター関連ファイル312Aの詳細については後述する。第1プリンター記憶部310Aは、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶領域を有する。また、第1プリンター記憶部310Aは、揮発性記憶領域を備え、第1プリンタープロセッサー300Aが実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するワークエリアを構成してもよい。
第1プリンター通信部31Aは、所定の通信規格に従った通信ハードウェアにより構成され、第1プリンター制御部30Aの制御で、端末装置2と通信する。
第1プリンター入力部32Aは、第1プリンター3Aに設けられた操作スイッチや、タッチパネル等の入力手段を備え、ユーザーの入力手段に対する操作を検出し、第1プリンター制御部30Aに出力する。第1プリンター制御部30Aは、第1プリンター入力部32Aからの入力に基づいて、入力手段に対する操作に対応する処理を実行する。
第1プリンター表示部33Aは、複数のLEDや、表示パネル等を備え、第1プリンター制御部30Aの制御で、LEDを所定の態様で点灯/消灯や、表示パネルへの情報の表示等を実行する。
第1プリンター印刷部34Aは、第1プリンター3Aの筐体に収容されたロール紙を搬送する搬送機構や、印刷ヘッドによってロール紙にドットを形成して画像を印刷する印刷機構、ロール紙を所定の位置で切断する切断機構等のロール紙への印刷に関する各種機構を備える。第1プリンター印刷部34Aは、第1プリンター制御部30Aの制御で、搬送機構によりロール紙を搬送し、印刷機構によりロール紙に発行する印刷物に係る画像を印刷し、切断機構により所定の位置でロール紙を切断して、レシート等の印刷物を発行する。
第1プリンターデバイス通信部35Aは、USBの規格に従ったポートや、USB以外のシリアル通信規格に従ったポート、パラレル通信規格に従ったポート、有線LANに係る通信規格に従ったポート、その他ポートを有するインターフェースボードを備える。各ポートには、デバイスが接続可能である。第1プリンターデバイス通信部35Aは、第1プリンター制御部30Aの制御で、ポートを介して第1プリンター3Aに接続されたデバイスと通信する。なお、第1プリンターデバイス通信部35Aが、無線通信機能を備え、デバイスと無線通信する構成でもよい。第1プリンター3Aと接続するデバイスとしては、バーコードリーダーや、カスタマーディスプレー、自動釣銭機等のデバイスが一例として挙げられる。
次に、第2プリンター3Bについて説明する。
第2プリンター3Bは、第2プリンター制御部30B、第2プリンター通信部31B、第2プリンター入力部32B、第2プリンター表示部33B、第2プリンター印刷部34B、及び、第2プリンターデバイス通信部35Bを備える。
第2プリンター制御部30Bは、制御部の一例に対応する。また、第2プリンター通信部31Bは、通信部の一例に対応する。
以下の説明において、第1プリンター制御部30Aと第2プリンター制御部30Bとを区別しない場合、「プリンター制御部」と総称し「30」の符号を付す。また、第1プリンター通信部31Aと第2プリンター通信部31Bとを区別しない場合、「プリンター通信部」と総称し「31」の符号を付す。
第2プリンター制御部30Bは、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサーである第2プリンタープロセッサー300B、及び、第2プリンター記憶部310Bを備え、第2プリンター3Bの各部を制御する。第2プリンター記憶部310Bは、記憶部の一例に対応する。第2プリンター制御部30Bは、第2プリンタープロセッサー300Bが、第2プリンター記憶部310Bに記憶された第2プリンター制御プログラム311Bを読み出して処理を実行するように、ハードウェア、及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
第2プリンター記憶部310Bは、第2プリンタープロセッサー300Bが実行するプログラムや、第2プリンタープロセッサー300Bにより処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。第2プリンター記憶部310Bは、第2プリンタープロセッサー300Bが実行する制御プログラムである第2プリンター制御プログラム311B、その他の各種データを記憶する。また、第2プリンター記憶部310Bは、第2プリンター関連ファイル312Bを記憶する。第2プリンター関連ファイル312Bの詳細については後述する。第2プリンター記憶部310Bは、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶領域を有する。また、第2プリンター記憶部310Bは、揮発性記憶領域を備え、第2プリンタープロセッサー300Bが実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するワークエリアを構成してもよい。
以下の説明では、第1プリンター記憶部310A、及び、第2プリンター記憶部310Bを区別しない場合、「プリンター記憶部」と総称し、「310」の符号を付す。また、第1プリンター関連ファイル312A、及び、第2プリンター関連ファイル312Bを区別しない場合、「プリンター関連ファイル」と総称し、「312」の符号を付す。
第2プリンター通信部31Bは、所定の通信規格に従った通信ハードウェアにより構成され、第2プリンター制御部30Bの制御で、端末装置2と通信する。
第2プリンター入力部32Bは、第2プリンター3Bに設けられた操作スイッチや、タッチパネル等の入力手段を備え、ユーザーの入力手段に対する操作を検出し、第2プリンター制御部30Bに出力する。第2プリンター制御部30Bは、第2プリンター入力部32Bからの入力に基づいて、入力手段に対する操作に対応する処理を実行する。
第2プリンター入力部32Bは、第1プリンター入力部32Aと異なり、ディップスイッチ321Bを備える。本実施形態のディップスイッチ321Bは、端末装置2との通信におけるボーレートを設定するためのメカニカルスイッチである。ディップスイッチ321Bは、第2プリンター3Bの所定の位置に設けられる。
第2プリンター表示部33Bは、第1プリンター表示部33Aと同様の構成を備え、第2プリンター制御部30Bの制御で、LEDを所定の態様で点灯/消灯や、表示パネルへの情報の表示等を実行する。
第2プリンター印刷部34Bは、第1プリンター印刷部34Aと同様の構成を備え、第2プリンター制御部30Bの制御で、搬送機構によりロール紙を搬送し、印刷機構によりロール紙に発行する印刷物に係る画像を印刷し、切断機構により所定の位置でロール紙を切断して、レシート等の印刷物を発行する。
第2プリンターデバイス通信部35Bは、第1プリンターデバイス通信部35Aと同様の構成を備え、第2プリンター制御部30Bの制御で、ポートを介して第2プリンター3Bに接続されたデバイスと通信する。なお、第2プリンターデバイス通信部35Bが、無線通信機能を備え、デバイスと無線通信する構成でもよい。なお、第2プリンター3Bと接続するデバイスとしては、第1プリンター3Aを接続するデバイスと同様のデバイスが一例として挙げられる。
次に、端末制御部20、第1プリンター制御部30A、及び、第2プリンター制御部30Bの機能ブロックについて説明する。
図2は、端末制御部20、第1プリンター制御部30A、及び、第2プリンター制御部30Bの機能ブロックを示す図である。図2では、説明便宜のため、第1プリンター通信部31A、第2プリンター通信部31B、第1プリンター関連ファイル312A、及び、第2プリンター関連ファイル312Bを図示している。
まず、端末制御部20の機能ブロックについて説明する。
端末制御部20は、端末設定部2000を備える。端末設定部2000は、端末プロセッサー200が設定用プログラム210Bを読み出して実行することにより実現される機能部である。
端末設定部2000は、プリンター3の設定を実行する。本実施形態においてプリンター3の設定とは、プリンター関連ファイル312が有するプリンター3に関する項目のうち、変更可能項目HKMに対して項目値KTを設定することを示す。変更可能項目HKMは、第1項目の一例に対応する。
ここで、プリンター関連ファイル312について説明する。
プリンター関連ファイル312は、プリンター3に関する項目を示す項目情報KJと、プリンター3に関する項目に設定された項目値KTとの組み合わせが記述されたファイルである。
本実施形態では、プリンター3に関する項目には、対応する項目値KTの変更が禁止される変更禁止項目KKM、対応する項目値KTがプリンター3によって自動で変更される自動変更項目JKM、及び、対応する項目値KTを端末装置2によって変更可能な変更可能項目HKMが含まれる。変更禁止項目KKMは、第2項目の一例に対応する。
本実施形態において、プリンター関連ファイル312には、変更禁止項目KKMとして、機種名項目と、バージョン項目とが存在する。
機種名項目は、プリンター3の機種名に関する項目である。機種名項目に設定される項目値KTは、プリンター3の機種名を示す値である。図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、機種名「PRA」を示す項目値KTが、機種名項目を示す項目情報KJである機種名項目情報KJ−Aと対応付いて記述されている。これは、第1プリンター関連ファイル312Aにおいて、機種名項目に、機種名「PRA」を示す項目値KTが設定されていることを示す。また、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、機種名「PRB」を示す項目値KTが、機種名項目情報KJ−Aと対応付いて記述されている。
バージョン項目は、プリンター3にインストールされている図示せぬファームウェアのバージョンに関する項目である。バージョン項目に設定される項目値KTは、プリンター3にインストールされているファームウェアのバージョンを示す値である。図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、バージョン「VerABC」を示す項目値KTが、バージョン項目を示す項目情報KJであるバージョン項目情報KJ−Bと対応付いて記述されている。また、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、バージョン「VerDEF」を示す項目値KTが、バージョン項目情報KJ−Bと対応付いて記述されている。
第2プリンター関連ファイル312Bには、変更禁止項目KKMとして、ボーレート項目が存在する。一方で、第1プリンター関連ファイル312Aでは、変更禁止項目KKMとしてボーレート項目が存在しない。
ボーレート項目は、端末装置2との通信におけるボーレートに関する項目である。ボーレート項目に設定される項目値KTは、ボーレートを示す値である。図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、ボーレート「BBB bps」を示す項目値KTが、ボーレート項目を示す項目情報KJと対応付いて記述されている。第2プリンター関連ファイル312Bのボーレート項目に設定される項目値KTは、ディップスイッチ321Bが設定するボーレートに対応する値である。
なお、上述したように、第2プリンター関連ファイル312Bにおいてボーレート項目が変更禁止項目KKMとして存在するのは、以下の理由による。仮に、第2プリンター関連ファイル312Bにおいてボーレート項目が変更可能項目HKMとして存在するとする。この場合では、ボーレート項目に対応する項目値KTが端末装置2によって変更可能であるため、ディップスイッチ321Bが設定するボーレートと、ボーレート項目に設定された項目値KTが示すボーレートとに差異が生じて、端末装置2と第2プリンター3Bとの通信に影響が生じ得る。そのため、両者のボーレートに差異が生じないよう、第2プリンター関連ファイル312Bでは、ボーレート項目が変更禁止項目KKMとして存在する。
本実施形態では、プリンター関連ファイル312の自動変更項目JKMとして、稼動時間項目が存在する。
稼動時間項目は、プリンター3の稼動時間に関する項目である。稼動時間項目に設定される項目値KTは、プリンター3の稼働時間を示す値である。プリンター制御部30は、プリンター3の稼動時間を累積的に計時しており、所定のタイミングで計時した稼動時間を示す項目値KTを稼働時間項目に設定する。図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、稼働時間「AAA h」を示す項目値KTが、稼働時間項目を示す項目情報KJである稼動時間項目情報KJ−Dと対応付いて記述されている。また、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、稼働時間「BBB h」を示す項目値KTが、稼動時間項目情報KJ−Dと対応付いて記述されている。
本実施形態では、プリンター関連ファイル312の変更可能項目HKMとして、印刷速度項目、及び、印刷濃度項目が存在する。
印刷速度項目は、プリンター3の印刷速度に関する項目である。印刷速度項目に設定される項目値KTは、印刷速度を示す値である。本実施形態では、プリンター3の印刷速度として、「高速」、「中速」、及び「低速」の3つの速度がある。図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、印刷速度「高速」を示す項目値KTが、印刷速度項目を示す項目情報KJである印刷速度項目情報KJ−Eに対応付いて記述されている。また、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、印刷速度「中速」を示す項目値KTが、印刷速度項目情報KJ−Eと対応付いて記述されている。
印刷濃度項目は、ロール紙に印刷される文字や画像等の濃さを示す印刷濃度に関する項目である。印刷濃度項目に設定される項目値KTは、印刷濃度を示す値である。本実施形態では、印刷濃度として、「濃い」、「普通」、及び、「薄い」の3つの濃度がある。図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、印刷濃度「濃い」を示す項目値KTが、印刷濃度項目を示す項目情報KJである印刷濃度項目情報KJ−Fと対応付いて記述されている。また、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、印刷濃度「薄い」を示す項目値KTが印刷濃度項目情報KJ−Fと対応付いて記述されている。
第1プリンター関連ファイル312Aには、変更可能項目HKMとして、ボーレート項目が存在する。一方で、第2プリンター関連ファイル312Bでは、変更可能項目HKMとしてボーレート項目が存在しない。
図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、ボーレート「AAA bps」を示す項目値KTが、ボーレート項目情報KJ−Cと対応付いて記述されている。
端末設定部2000の説明に戻り、端末設定部2000は、プリンター3の設定において、送信要求コマンド、及び、設定コマンドを生成してプリンター3に送信する。プリンター3の設定における端末設定部2000の詳細な動作については、図3を参照して後述する。
送信要求コマンドは、プリンター関連ファイル312が有する全ての変更可能項目HKMについて、項目情報KJとプリンター関連ファイル312に設定されている項目値KTとの組み合わせの送信を要求するコマンドである。
設定コマンドは、項目値KTの設定を指示するコマンドであり、後述する送信情報が含む変更可能項目HKMのそれぞれについて、項目情報KJと設定する項目値KTとの組み合わせを含んでいる。設定コマンドの具体例については、後述する。
次に、第1プリンター制御部30Aの機能ブロックから説明する。
第1プリンター制御部30Aは、第1プリンターコマンド解析部301A、第1プリンターコマンド処理部302A、第1プリンター設定部303A、第1プリンター選別部304A、及び、第1プリンター生成部305Aを備える。これら各部は、第1プリンタープロセッサー300Aが第1プリンター制御プログラム311Aを実行することにより実現される機能部である。
第1プリンターコマンド解析部301Aは、第1プリンター通信部31Aが受信したコマンドを解析する機能部である。第1プリンターコマンド解析部301Aは、受信したコマンドが、送信要求コマンドであるか、設定コマンドであるか、その他のコマンドであるかを判別する。コマンドの判別は、例えば命令コードに基づいて行われる。
第1プリンターコマンド解析部301Aは、第1プリンター通信部31Aが受信したコマンドが送信要求コマンドである場合、第1プリンター選別部304Aに送信要求コマンドを出力する。また、第1プリンターコマンド解析部301Aは、第1プリンター通信部31Aが受信したコマンドが設定コマンドである場合、第1プリンター設定部303Aに設定コマンドを出力する。また、第1プリンターコマンド解析部301Aは、第1プリンター通信部31Aが受信したコマンドが、送信要求コマンド及び設定コマンド以外のコマンドである場合、第1プリンターコマンド処理部302Aに出力する。なお、送信要求コマンド及び設定コマンド以外のコマンドとしては、印刷の実行を指示する印刷コマンドが一例として挙げられる。
第1プリンターコマンド処理部302Aは、第1プリンターコマンド解析部301Aから入力されたコマンドに基づく処理を実行する。第1プリンターコマンド解析部301Aから入力されたコマンドが印刷コマンドである場合、第1プリンターコマンド処理部302Aは、第1プリンター関連ファイル312Aを参照して、第1プリンター印刷部34Aを制御してロール紙に印刷する。図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aの場合、第1プリンターコマンド処理部302Aは、印刷速度「高速」に対応する印刷速度で、且つ、印刷濃度「濃い」に対応する印刷濃度で印刷するよう第1プリンター印刷部34Aを制御して、ロール紙に印刷を行う。
第1プリンター設定部303Aは、第1プリンターコマンド解析部301Aから入力された設定コマンドに基づいて、第1プリンター関連ファイル312Aに、設定コマンドに含まれる項目値KTを設定する。なお、プリンター関連ファイル312に項目値KTを設定するとは、プリンター記憶部310に項目値KTを記憶することの一例に対応する。第1プリンター設定部303Aは、設定コマンドに含まれるある項目値KTを設定する場合、第1プリンター関連ファイル312Aが有する項目のうち、ある項目値KTに組み合わさる項目情報KJが示す項目と同じ項目に対してある項目値KTを設定する。なお、項目に対して項目値KTを設定するとは、プリンター関連ファイル312において項目値KTを項目情報KJに対応付けて記述することに相当する。
例えば、第1プリンターコマンド解析部301Aが出力した設定コマンドに印刷速度項目情報KJ−Fと、印刷速度「中速」を示す項目値KTとの組み合わせが含まれているとする。この場合、第1プリンター設定部303Aは、第1プリンター関連ファイル312Aの印刷速度項目に対して、設定コマンドに含まれる印刷速度「中速」を示す項目値KTを設定する。
第1プリンター選別部304Aは、第1プリンターコマンド解析部301Aから入力された送信要求コマンドに基づいて、第1プリンター関連ファイル312Aが有する複数の項目から変更可能項目HKMを選別する。第1プリンター関連ファイル312Aの各項目には、項目値KTの変更が可能か否かのいずれかを示す選別情報SJが、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせに対応付いて記述されている。第1プリンター選別部304Aは、項目値KTの変更が可能であることを示す選別情報SJが対応付いている項目情報KJが示す項目を、変更可能項目HKMとして選別する。
例えば、図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aでは、印刷速度項目、印刷濃度項目、及び、ボーレート項目のそれぞれに、項目値KTの変更が可能であることを示す選別情報SJが対応付いている。そのため、第1プリンター選別部304Aは、図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aの各項目から、印刷速度項目、印刷濃度項目、及び、ボーレート項目のそれぞれを、変更可能項目HKMとして選別する。
第1プリンター選別部304Aは、選別した変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを第1プリンター関連ファイル312Aから読み出す。そして、第1プリンター選別部304Aは、読み出した組み合わせを第1プリンター生成部305Aに出力する。
第1プリンター生成部305Aは、第1プリンター選別部304Aから出力された組み合わせの全てを含む送信情報を生成し、生成した送信情報を第1プリンター通信部31Aによって端末装置2に送信する。この送信情報は、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含む情報であることから、第1プリンター選別部304Aが選別した変更可能項目HKMに、対応する項目値KTが付加した情報である。
次に、第2プリンター3Bの機能ブロックから説明する。
第2プリンター3Bは、第2プリンターコマンド解析部301B、第2プリンターコマンド処理部302B、第2プリンター設定部303B、第2プリンター選別部304B、及び、第2プリンター生成部305Bを備える。これら各部は、第2プリンタープロセッサー300Bが第2プリンター制御プログラム311Bを実行することにより実現される機能部である。
第2プリンターコマンド解析部301Bは、第1プリンターコマンド解析部301Aと同様の処理を実行する。すなわち、第2プリンターコマンド解析部301Bは、受信したコマンドが、送信要求コマンドであるか、設定コマンドであるか、その他のコマンドであるかを判別し、判別に応じた出力先にコマンドを出力する。
第2プリンターコマンド処理部302Bは、第1プリンターコマンド処理部302Aと同様に処理を実行する。すなわち、第2プリンターコマンド処理部302Bは、送信要求コマンド及び設定コマンド以外のコマンドに基づく処理を実行する。
第2プリンター設定部303Bは、第1プリンター設定部303Aと同様に、第2プリンターコマンド解析部301Bから入力された設定コマンドに基づいて、第2プリンター関連ファイル312Bに、設定コマンドに含まれる項目値KTの設定を実行する。
第2プリンター選別部304Bは、第1プリンター選別部304Aと同様に、送信要求コマンドに基づいて、第2プリンター関連ファイル312Bの項目から変更可能項目HKMを選別する。
例えば、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bでは、印刷速度項目、及び、印刷濃度項目のそれぞれに、項目値KTの変更が可能であることを示す選別情報SJが対応付いている。そのため、第2プリンター選別部304Bは、図2に示す第2プリンター関連ファイル312Bの各項目から、印刷速度項目、及び、印刷濃度項目を、変更可能項目HKMとして選別する。第2プリンター選別部304Bは、選別した変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを第2プリンター関連ファイル312Bから読み出す。そして、第2プリンター選別部304Bは、読み出した組み合わせを第2プリンター生成部305Bに出力する。
第2プリンター生成部305Bは、第2プリンター選別部304Bから出力された組み合わせの全てを含む送信情報を生成し、生成した送信情報を第2プリンター通信部31Bによって端末装置2に送信する。この送信情報は、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含む情報であることから、第2プリンター選別部304Bが選別した変更可能項目HKMに、対応する項目値KTが付加した情報である。
第1プリンター生成部305A、及び、第2プリンター生成部305Bが生成する送信情報は、構造化言語であるJSON(JavaScript Object Notation)形式で記述された情報である。なお、JavaScriptは、登録商標である。そのため、第1プリンター生成部305A、及び、第2プリンター生成部305Bは、送信情報に含まれる項目情報KJと項目値KTとの組み合わせが多い場合でも、送信情報のデータサイズが増大することを抑制できる。
次に、プリンター3の設定における端末装置2及びプリンター3の動作について説明する。
図3は、端末装置2、及び、プリンター3の動作を示すフローチャートである。図3において、フローチャートFAは端末装置2の動作を示し、フローチャートFBはプリンター3の動作を示す。
図3を用いた説明では、プリンター3として第1プリンター3Aの動作を例示する。すなわち、図3を用いた説明では、端末装置2と第1プリンター3Aとが通信接続し、端末装置2が第1プリンター3Aの設定を行う場合の動作を例示する。なお、端末装置2が第2プリンター3Bと通信接続し端末装置2が第2プリンター3Bの設定を行う場合、第2プリンター3Bは、以下で説明する第1プリンター3Aの動作と同様の動作を実行する。
フローチャートFAに示すように、端末装置2の端末制御部20の端末設定部2000は、プリンター3の設定を実行するか否かを判別する(ステップSA1)。
例えば、設定用プログラム210Bの機能により端末表示部22がプリンター3の設定に係るユーザーインターフェースを表示しており、このユーザーインターフェースにおいてプリンター3の設定の実行が指示された場合、端末設定部2000は、ステップSA1で肯定判別する。なお、ステップSA1において肯定判別するトリガーは、このユーザーインターフェースにおけるプリンター3の設定の実行が指示された場合に限定されない。
端末設定部2000は、プリンター3の設定を実行すると判別した場合(ステップSA1:YES)、送信要求コマンドを生成し(ステップSA2)、生成した送信要求コマンドを端末通信部23により第1プリンター3Aに送信する(ステップSA3)。
フローチャートFBを参照して、第1プリンター3Aのプリンター制御部30Aは、第1プリンター通信部31Aを介して、送信要求コマンドを受信する(ステップSB1)。受信された送信要求コマンドは、第1プリンターコマンド解析部301Aを介して第1プリンター選別部304Aに出力される。
次いで、第1プリンター制御部30Aの第1プリンター選別部304Aは、送信要求コマンドに基づいて、第1プリンター関連ファイル312Aが有する複数の項目から変更可能項目HKMを選別する(ステップSB2)。
図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aの場合、第1プリンター選別部304Aは、第1プリンター関連ファイル312Aが有する複数の項目から、印刷速度項目、印刷濃度項目、及び、ボーレート項目を変更可能項目HKMとして選別する。なお、端末装置2と第2プリンター3Bとの動作の場合、第2プリンター3Bの第2プリンター選別部304Bは、第2プリンター関連ファイル312Bが有する複数の項目から、印刷速度項目、及び、印刷濃度項目を変更可能項目HKMとして選別する。
次いで、第1プリンター制御部30Aの第1プリンター生成部305Aは、第1プリンター選別部304Aが選別した変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含む送信情報を生成する(ステップSB3)。
図2に示す第1プリンター関連ファイル312Aの場合、第1プリンター生成部305Aは、印刷速度項目、印刷濃度項目、及び、ボーレート項目について、項目情報KJと、第1プリンター関連ファイル312Aで設定されている項目値KTとの組み合わせを含む送信情報を生成する。さらに詳細には、第1プリンター生成部305Aは、印刷速度項目情報KJ−Eと印刷速度「高速」を示す項目値KTとの組み合わせ、印刷濃度項目情報KJ−Fと印刷濃度「濃い」を示す項目値KTとの組み合わせ、及び、ボーレート項目情報KJ−Cとボーレート「AAA bps」を示す項目値KTとの組み合わせを含む送信情報を生成する。
なお、端末装置2と第2プリンター3Bとの動作の場合、第2プリンター生成部305Bは、印刷速度項目、及び、印刷濃度項目について、項目情報KJと第2プリンター関連ファイル312Bに設定されている項目値KTとの組み合わせを含む送信情報を生成する。
次いで、第1プリンター生成部305Aは、生成した送信情報を第1プリンター通信部31Aによって端末装置2に送信する(ステップSB4)。
このように、第1プリンター制御部30Aは、送信要求コマンドを端末装置2から受信すると、第1プリンター関連ファイル312Aが有する複数の項目から変更可能項目HKMを選別する。そして、第1プリンター制御部30Aは、選別した変更可能項目HKMに対応する項目値KTを付加した送信情報を生成して、端末装置2に送信する。
これにより、端末装置2は、第1プリンター3Aに関する項目のうち変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握せずとも、第1プリンター3Aから送信される送信情報に基づいて、第1プリンター3Aに関する項目のうち変更可能項目HKMがどの項目であるかを判断できる。したがって、端末装置2は、第1プリンター3A及び第2プリンター3Bのように変更可能項目HKM及び変更禁止項目KKMが異なる場合でも、プリンター3ごとに変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握することなく、プリンター3ごとに変更可能項目HKMがどの項目であるかを判断できる。したがって、端末装置2は、変更可能項目HKMと変更禁止項目KKMとがプリンター3ごとに異なる場合でも、容易にプリンター3の設定を行うことができる。
また、端末装置2は、プリンター3ごとに変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握しておく必要がないため、プリンター3ごとにプリンター3の設定を行うための設定用プログラム210Bを記憶しておく必要がない。そのため、端末装置2が記憶する設定用プログラム210Bは、機種に関わらずプリンター3共通で使用できる汎用的なプログラムとして構成することができる。
フローチャートFAを参照して、端末設定部2000は、端末通信部23により送信情報を受信する(ステップSA4)。
次いで、端末設定部2000は、受信した送信情報に含まれる項目情報KJが示す変更可能項目HKMに対して、項目値KTの設定を実行するか否かを判別する(ステップSA5)。
例えば、設定用プログラム210Bの機能により、端末表示部22が、受信した送信情報に含まれる項目情報KJが示す変更可能項目HKMに対して項目値KTの設定を実行するためのユーザーインターフェースを表示しているとする。この場合、このユーザーインターフェースにおいて、例えば新たに設定する項目値KTの入力や選択等の操作がなされた場合、端末設定部2000は、ステップSA5で肯定判別する。
端末設定部2000は、受信した送信情報に含まれる項目情報KJが示す変更可能項目HKMに対して項目値KTの設定を実行しないと判別した場合(ステップSA5:NO)、処理を終了する。
一方で、端末設定部2000は、受信した送信情報に含まれる項目情報KJが示す変更可能項目HKMに対して項目値KTの設定を実行すると判別した場合(ステップSA5:YES)、設定コマンドを生成する(ステップSA6)。
ステップSA6で生成される設定コマンドは、端末設定部2000がステップSA4で受信した送信情報に含まれる項目情報KJが示す変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含んでいる。
送信情報が示す変更可能項目HKMの全てについて端末装置2が項目値KTを変更する場合、設定コマンドに含まれる項目値KTは、全て新たに設定する項目値KTである。また、送信情報が示す変更可能項目HKMの一部について端末装置2が項目値KTを変更する場合、設定コマンドは、変更する項目について新たに設定する項目値KTを含み、変更しない項目については送信情報に含まれる項目値KTを含む。送信情報に含まれる項目値KTは、既にプリンター関連ファイル312に設定されている項目値KTである。
例えば、第1プリンター関連ファイル312Aが有する印刷速度項目、印刷濃度項目、及び、ボーレート項目のうちボーレート項目のみ項目値KTを変更する場合、端末設定部2000は、以下の設定コマンドを生成する。すなわち、端末設定部2000は、印刷速度項目情報KJ−Eと既に第1プリンター関連ファイル312Aで設定されている印刷速度を示す項目値KTとの組み合わせ、印刷濃度項目情報KJ−Fと既に第1プリンター関連ファイル312Aで設定されている印刷速度を示す項目値KTとの組み合わせ、及び、ボーレート項目情報KJ−Cと新たにボーレート項目に設定するボーレートを示す項目値KTとの組み合わせを含む設定コマンドを生成する。
端末設定部2000は、設定コマンドを生成すると、生成した設定コマンドを端末通信部23により第1プリンター3Aに送信する(ステップSA7)。
フローチャートFBを参照して、第1プリンター制御部30Aは、第1プリンター通信部31Aにより設定コマンドを受信する(ステップSB5)。
次いで、第1プリンター制御部30Aの第1プリンター設定部303Aは、第1プリンター関連ファイル312Aに、設定コマンドに含まれる項目値KTを設定する(ステップSB6)。
ステップSB6では、設定コマンドが、新たに設定する項目値KTの他、既に第1プリンター関連ファイル312Aに設定されている項目値KT、すなわち端末装置2で変更されていない項目値KTを含む場合でも、第1プリンター設定部303Aは、変更可能項目HKMの全てを対象に項目値KTを設定する。設定コマンドは、変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含んでいる。そのため、ステップSB6では、第1プリンター関連ファイル312Aの変更可能項目HKMに設定される項目値KTは、設定コマンドに含まれる項目値KTに更新される。しかし、設定コマンドは、新たな項目値KTに変更しない項目については既に設定されている項目値KTを含んでいる。そのため、設定コマンドによる設定の前後において、第1プリンター関連ファイル312Aの変更可能項目HKMで項目値KTが異なる項目は、端末装置2で新たな項目値KTを設定するとされた項目のみである。
以上のように、端末装置2から送信される設定コマンドは、変更可能項目HKMに対して項目値KTの設定を指示するコマンドである。したがって、第1プリンター設定部303Aは、例えば変更禁止項目KKMに対して誤って項目値KTを設定してしまうとったことがなく、確実に変更可能項目HKMに対して項目値KTを設定できる。
第1プリンター制御部30Aは、設定コマンドに基づいて項目値KTを設定すると、設定コマンドに対する応答として、項目値KTの設定を終了したことを示す情報を第1プリンター通信部31Aにより端末装置2に送信する(ステップSB7)。
フローチャートFAを参照して、端末設定部2000は、端末通信部23により項目値KTの設定を終了したことを示す情報を第1プリンター3Aから受信すると(ステップSA8)、送信要求コマンドを生成する(ステップSA9)。そして、端末設定部2000は、生成した送信要求コマンドを端末通信部23により第1プリンター3Aに送信する(ステップSA10)。
フローチャートFBを参照して、第1プリンター3Aの第1プリンター制御部30Aは、第1プリンター通信部31Aを介して、送信要求コマンドを受信する(ステップSB8)。受信された送信要求コマンドは、第1プリンターコマンド解析部301Aを介して第1プリンター選別部304Aに出力される。
次いで、第1プリンター制御部30Aの第1プリンター選別部304Aは、送信要求コマンドに基づいて、第1プリンター関連ファイル312Aが有する複数の項目から変更可能項目HKMを選別する(ステップSB9)。
次いで、第1プリンター制御部30Aの第1プリンター生成部305Aは、第1プリンター選別部304Aが選別した変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含む送信情報を生成する(ステップSB10)。ステップSB10で生成される送信情報は、設定コマンドに従って設定された項目値KTを含む。
次いで、第1プリンター生成部305Aは、生成した送信情報を第1プリンター通信部31Aによって端末装置2に送信する(ステップSB11)。
フローチャートFAを参照して、端末設定部2000は、端末通信部23により送信情報を受信する(ステップSA11)。
次いで、端末設定部2000は、ステップSA7で送信した設定コマンドに含まれる項目値KTと、ステップSA11で受信した送信情報に含まれる項目値KTとを比較する(ステップSA12)。項目値KTの比較は、同じ変更可能項目HKM同士で行われる。
端末設定部2000は、ステップSA12の比較により、両者の項目値KTが一致するか否かを判別する(ステップSA13)。
端末設定部2000は、一致すると判別した場合(ステップSA13:YES)、第1プリンター3Aに対する設定が成功したと判定し(ステップSA14)、判定結果に対応する処理を実行する(ステップSA16)。判定結果に対応する処理としては、例えば判定結果の報知が挙げれる。
一方で、端末設定部2000は、一致しないと判別した場合(ステップSA13:NO)、第1プリンター3Aに対する設定が失敗したと判定し(ステップSA15)、判定結果に対応する処理を実行する(ステップSA16)。
このように、第1プリンター制御部30Aは、受信した設定コマンドに含まれる項目値KTを第1プリンター関連ファイル312Aに設定した後、端末装置2から送信要求コマンドを受信すると、設定コマンドに含まれる項目値KTを設定した第1プリンター関連ファイル312Aが有する複数の項目から変更可能項目HKMを選別する。そして、第1プリンター制御部30Aは、選別した変更可能項目HKMに対応する項目値KTを付加した送信情報を生成して第1プリンター通信部31Aを介して端末装置2に送信する。
従来、プリンター3は、項目の種類に関わらずプリンター関連ファイル312が有する全ての項目について、項目情報KJと項目値KTとを端末装置2に送信する構成とされる場合があった。例えば、この構成の場合、第1プリンター3Aは、変更禁止項目KKM、自動変更項目JKM、及び、変更可能項目HKMの全てについて、項目情報KJと項目値KTとの組み合わせを含む送信情報を端末装置2に送信する。プリンター3がこの構成である場合、端末設定部2000は、以下の動作を実行してプリンター3の設定を行う。すなわち、端末設定部2000は、プリンター3に関する項目の全てについて項目値KTを取得し、変更可能項目HKMについてのみ項目値KTの変更を行い、再度、プリンター3に関する項目の全てについて項目値KTを取得する。そして、端末設定部2000は、項目値KTの変更の前後で取得した項目値KTを比較して、プリンター3に関する全ての項目について項目値KTが完全に一致するか否かを判定してプリンター3の設定が成功したか否かを判定する。
しかしながら、プリンター3は、端末装置2が1回目に項目値KTを取得してから2回目に項目値KTを取得するまでの間に、自動変更項目JKMの項目値KTを変更する場合が有り得る。この場合、自動変更項目JKMの項目値KTについて1回目に取得したものと2回目に取得したものとに差異が生じ得るため、端末装置2は、自動変更項目JKMの項目値KTが一致していないと判定し、この判定によりプリンター3の設定が失敗したと判定し得る。また、端末装置2は、自動変更項目JKMの項目値KTが不一致し得るため、項目の並び等に沿って項目値KTを一括して比較することでは精度よく成功の有無が判定できず、プリンター3に関する全項目から変更可能項目HKMがどの項目であるかを正確に判断して項目値KTを比較する必要があった。以上より、プリンター3が全項目について項目値KTを送信する構成では、端末装置2は、プリンター3の設定を精度よく且つ容易に行えない場合があった。
そこで、上述したように、プリンター制御部30Aは、変更可能項目HKMに対応する項目値KTを付加した送信情報を端末装置2に送信する。これにより、端末装置2は、端末装置2が変更可能項目HKMの項目値KTのみを送信情報で受信できる。つまり、端末装置2は、プリンター3の設定においてプリンター3が自動で変更し得る項目の項目値KTを含まない送信情報を受信できる。したがって、端末設定部2000は、プリンター3の設定において変更可能項目HKMのみを対象にして項目値KTの比較を行うことができるため、プリンター3の設定の成功の有無を精度良く判定できる。また、端末装置2は、変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握せずとも端末装置2が変更可能な項目の項目値KTのみを比較できるため、項目の並び等に沿って一括して項目値KTを比較できる。以上より、端末装置2は、プリンター3の設定を精度良く且つ容易に行うことができる。
以上、説明したように、プリンター3は、端末装置2と通信可能なプリンター通信部31を備える。プリンター3は、プリンター3に関する項目、及び、この項目に対応する項目値KTを記憶するプリンター記憶部310と、プリンター制御部30と、を備える。プリンター3に関する項目は、対応する項目値KTが変更可能な変更可能項目HKMと、対応する項目値KTの変更が禁止される変更禁止項目KKMとを含む。プリンター制御部30は、プリンター通信部31を介して端末装置から送信要求コマンドを受信すると、プリンター記憶部310が記憶する項目から変更可能項目HKMを選別し、選別した変更可能項目HKMに対応する項目値KTを付加した送信情報を生成し、生成した送信情報を、プリンター通信部31を介して端末装置に送信する。
また、プリンター3の制御方法では、プリンター3は、対応する項目値KTが変更可能な変更可能項目HKMと、対応する項目値KTの変更が禁止される変更禁止項目KKMとを含むプリンター3に関する項目、及び、項目に対応する項目値KTを記憶する。そして、プリンター3は、端末装置2から送信要求コマンドを受信すると、記憶する項目から変更可能項目HKMを選別し、選別した変更可能項目HKMに対応する項目値KTを付加した送信情報を生成して、送信情報を端末装置2に送信する。なお、プリンター3の制御方法は、印刷装置の制御方法の一例に対応する。
プリンター3、及び、プリンター3の制御方法の構成によれば、端末装置2は、プリンター3に関する項目のうち変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握せずとも、プリンター3から送信される送信情報に基づいて、プリンター3に関する項目のうち変更可能項目HKMがどの項目であるかを判断できる。したがって、端末装置2は、第1プリンター3A及び第2プリンター3Bのように変更可能項目HKM及び変更禁止項目KKMが異なる場合でも、プリンター3に関する項目のうち変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握せずとも、プリンター3ごとに変更可能項目HKMがどの項目であるかを判断できる。したがって、端末装置2は、変更可能項目HKMと変更禁止項目KKMとがプリンター3ごとに異なる場合でも、容易にプリンター3の設定を行うことができる。
また、端末装置2は、プリンター3ごとに変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握しておく必要がないため、プリンター3ごとに、プリンター3の設定を行うための設定用プログラム210Bを記憶しておく必要がない。そのため、端末装置2が記憶する設定用プログラム210Bは、機種に関わらずプリンター3共通で使用できる汎用的なプログラムとして構成することができる。
プリンター制御部30は、プリンター通信部31を介して端末装置2から設定コマンドを受信すると、受信した設定コマンドに含まれる項目値KTを変更可能項目HKMに対応する項目値KTとしてプリンター記憶部310に記憶する。
この構成によれば、プリンター制御部30は、例えば変更禁止項目KKMに対して誤って項目値KTを設定してしまうとったことがなく、確実に変更可能項目HKMに対して項目値KTを設定できる。
プリンター制御部30は、設定コマンドに含まれる項目値KTを変更可能項目HKMに対応する項目値KTとしてプリンター記憶部310に記憶する。その後、プリンター制御部30は、プリンター通信部31を介して端末装置2から送信要求コマンドを受信すると、設定コマンドに含まれる項目値KTを記憶したプリンター記憶部310が記憶する項目から変更可能項目HKMを選別して、送信情報を生成し、プリンター通信部31を介して端末装置2に送信する。
この構成によれば、端末装置2は、端末装置2が変更可能な項目の項目値KTのみを送信情報で受信できる。したがって、端末装置2は、変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握せずとも、変更可能項目HKMの項目値KTのみを対象にしてプリンター3の設定に係る処理を実行できるため、容易にプリンター3の設定を行うことができる。
印刷システム1は、端末装置2と、プリンター3とを備える。端末装置2は、設定コマンドをプリンター3に送信する。プリンター3は、設定コマンドを受信すると設定コマンドに含まれる項目値KTを変更可能項目HKMに対応する項目値KTとして記憶する。端末装置2は、送信要求コマンドをプリンター3に送信する。プリンター3は、送信要求コマンドを受信すると送信情報を生成して、端末装置2へ送信する。端末装置2は、受信した送信情報に含まれる項目値KTと、送信した設定コマンドに含まれる項目値KTとを比較し、プリンター3に対する設定の成功の有無を判定する。
この構成によれば、端末装置2は、プリンター3の設定において変更可能項目HKMのみを対象にして項目値KTの比較を行うことができる。そのため、端末装置2は、変更可能項目HKT以外の項目の項目値KTを比較することがないため、プリンター3の設定の成功の有無を精度良く判定できる。また、端末装置2は、変更可能項目HKMがどの項目であるかを把握せずとも端末装置2が変更可能な項目の項目値KTのみを比較できるため、項目の並び等に沿って一括して項目値KTを比較できる。以上より、端末装置2は、プリンター3の設定を精度良く且つ容易に行うことができる。
送信情報は、JSON形式で記述される情報である。
この構成によれば、変更可能項目HKMが多い場合でも送信情報のデータサイズが増大することを抑制できる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態は、プリンター関連ファイル312の変更禁止項目KKMとして機種名項目とバージョン項目とが存在することを例示した。しかしながら、プリンター関連ファイル312には、第2プリンター関連ファイル312Bのボーレート項目ように、プリンター3の機種に応じて、他の項目が変更禁止項目KKMとして存在してもよい。
また、上述した実施形態は、プリンター関連ファイル312の自動変更項目JKMとして稼働時間項目が存在することを例示したが、プリンター3が自動で変更可能な他の項目が存在してもよい。
また、上述した実施形態では、プリンター関連ファイル312の変更可能項目HKMとして機種名項目とバージョン項目とが存在することを例示した。しかしながら、プリンター関連ファイル312には、第1プリンター関連ファイル312Aのボーレート項目ように、プリンター3の機種に応じて、他の項目が変更禁止項目KKMとして存在してもよい。また、プリンター3の機種に関わらず、変更可能項目HKMには、他の項目が存在してもよい。
また、上述した実施形態では、ディップスイッチ321Bが端末装置2との通信におけるボーレートを設定する場合を例示したが、ディップスイッチ321Bが設定するボーレートは、プリンター3とプリンター3に接続するデバイスとの通信におけるボーレートでもよい。また、ディップスイッチ321Bが設定する対象は、ボーレートに限定されない。
また、上述した実施形態では、ディップスイッチ321Bを具備するか否かで第1プリンター3Aと第2プリンター3Bとが異なる機種であることを例示したが、プリンター3の機種は、ディップスイッチ321Bを具備するか否かに応じた機種に限定されず、他の要素に応じた機種でもよい。
また、上述した実施形態では、プリンター3に関する項目への項目値KTの設定に関し、プリンター関連ファイル312に項目値KTを記述する場合を例示したが、項目値KTの設定は、プリンター関連ファイル312への記述に限定されず、所定のプログラムの変数に書き込むことでもよい。
また、端末制御部20、及び、プリンター制御部30の機能は、複数のプロセッサー、又は、半導体チップにより実現してもよい。
また、図1に示した各部は一例であって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、端末装置2、及び、プリンター3の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
また、例えば、図3に示す動作のステップ単位は、端末装置2、及び、プリンター3の各部の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。