JP2020121393A - 金属部品の製造方法および金属部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】同心円状の外径部および内径部を有する円筒形状の金属部材およびその製造方法に関して、内径部を含む各面に対する高い精度を実現する。【解決手段】同心円状の外径部および内径部を有する円筒形状の金属部材の製造方法であって、ワークの内径部について研磨を行なう内径研磨工程S201と、この内径研磨工程により内径部が研磨されたワークの外径部についてセンタレスにより研磨を行なう外径研磨工程S202と、この外径研磨工程により外径部が研磨されたワークの端面について研磨を行なう端面研磨工程S203と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、金属部品の製造方法および金属部品に関する。
同心円状の外径部および内径部を有する孔の開いた円筒形状の金属部材に対し、寸法、外径部と内径部との同軸度、各面の直角度や平行度等を精度よく加工する場合、加工方法や加工装置の構成等に基づいて、各面の加工の順番が特定される。
特許文献1には、第1の平らな外面、第2の平らな外面、孔、平らでない外面を有するワークの加工に関して、次の構成が開示されている。特許文献1によれば、研削盤は、最初に、ワーク主軸台において第2の平らな外面側からワークを緊締し、ワークの片側において第1の平らな外面および場合によっては存在する平らでない外面ならびに孔が研削されるように構成されている。このとき孔および第1の外面は、少なくとも時々同時に研削され、その後に、孔における緊締装置によるワークの緊締が行われる。その後で、ワーク主軸台による緊締が解除され、その結果、第1の主軸台の砥石車のうちの1つによって、今や解放された第2の平らな外面が、同じ研削盤において研削可能である。
特表2017−510468号公報
同心円状の外径部および内径部を有する円筒形状の金属部材を加工する場合、内径部に関して高い精度を得ることは、他の面に関して高い精度を得るよりも困難である。特に、端面に対する内径部および外径部の面の高い直角度や、外径部の面に対する内径部の面の高い同軸度を確保することは難しい。
本発明は、同心円状の外径部および内径部を有する円筒形状の金属部材およびその製造方法に関して、内径部を含む各面に対する高い精度を実現することを目的とする。
上記の目的を達成する本発明は、ワークの内径部について研磨を行なう内径研磨工程と、この内径研磨工程により内径部が研磨されたワークの外径部についてセンタレスにより研磨を行なう外径研磨工程と、この外径研磨工程により外径部が研磨されたワークの端面について研磨を行なう端面研磨工程と、を有することを特徴とする金属部品の製造方法である。
より好ましくは、内径研磨工程は、ワイヤを用いてワークの内径部を研磨するワイヤ内径研磨により内径部の研磨を行なう。
さらに好ましくは、内径研磨工程におけるワイヤ内径研磨は、ワイヤに砥粒スラリーを塗布しワイヤとワークの内径部との間に遊離砥粒を挟み込んでワークの内径部を研磨する。
また、より好ましくは、外径研磨工程は、内径研磨工程により内径部が研磨されたワークの内径部に芯棒を通し、この芯棒を通された複数のワークの各々の外径部について同一の工程にて研磨を行なう。
また、より好ましくは、端面研磨工程は、外径研磨工程により研磨されたワークの外径部を基準としてワークの端面について研磨を行なう。
また上記の目的を達成する本発明は、内径部、外径部、および内径部と外径部とが延びる長さ方向成分、を有する金属部品であって、内径部は、穴径0.1mm〜3.5mm、内面の表面粗さRzが1.6μm以下であり、長さ方向成分は、内径部に対して3倍以上の長さを有すること、を特徴とする金属部品である。
本発明によれば、同心円状の外径部および内径部を有する円筒形状の金属部材およびその製造方法に関して、内径部を含む各面に対する高い精度を実現することができる。
本実施形態の製造方法による加工対象の金属部品(ワーク)の形状を示す図である。 本実施形態による研磨の手順を示すフローチャートである。 ワイヤ内径研磨の手法を示す図である。 ワイヤの砥粒がワークの内径部を研磨する様子を示す図であり、図4(A)は砥粒が内径部に当たっている状態を示す図、図4(B)は砥粒が内径部の表面を削る様子を示す図、図4(C)は内径部から切粉(切り屑)が分離する様子を示す図である。 センタレス研磨機の概略構成を示す図であり、図5(A)は正面図、図5(B)は平面図である。 図5のセンタレス研磨機の要部を示す図である。 スルーフィード研磨の概念を示す図である。 スルーフィード研磨のためのセンタレス研磨機の構成例を示す図であり、図8(A)は砥石車、調整車およびブレードの配置(位置関係)を示す図、図8(B)はワークに対する調整車の当たり方の一例を示す図、図8(C)はワークに対する調整車の当たり方の他の例を示す図である。 孔に芯棒が通されたワークが研磨される様子を示す図である。 2ロール1シュー方式による端面研磨方法を示す図であり、研磨装置をワークの研磨する端面側から見た図である。 図10の研磨装置を上から見た図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<加工対象のワーク>
図1は、本実施形態の製造方法による加工対象の金属部品(ワーク)の形状を示す図である。図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)のIb−Ib断面図である。ワーク10は、貫通孔が開けられた円筒形状の部材であり、孔の内部の面である内径部11と、外周面をなす外径部12と、端面13、14とを有している。ワーク10を端面13または端面14側から見た形状は円形であり、内径部11と外径部12とが同心円をなす。すなわち、端面13、14は円環形状である。また、以下の説明において、端面13、14の円環の中心を結ぶ直線を中心軸と呼び、端面13と端面14との間の中心軸の長さをワーク10の長さと呼ぶことがある。言い換えれば、ワーク10の長さは、端面13と端面14との間の距離であり、内径部11と外径部12とが延びる長さ方向成分の値である。図1に示すワーク10の形状は例示であり、本実施形態による加工対象となるワーク10の形状は図1に示すものに限定されない。例えば、図1に示すワーク10は、外径部12が形成する円の半径が端面13側から端面14側まで一定であるが、途中で半径が異なる(すなわち、外径部12の面において段が形成される)形状であっても良い。
<研磨の手順>
図2は、本実施形態による研磨の手順を示すフローチャートである。本実施形態において、ワーク10に対して行われる最初の工程は、内径研磨工程である(S201)。内径研磨工程では、他の面(外径部12および端面13、14)を基準とせずに加工する方式により、内径部11の研磨が行われる。基準面を設定せずに加工することにより、外径部12や端面13、14の加工精度に依存せず内径部11を精度よく加工し得る。このような加工方式の一例として、金属ワイヤを用いて内径部11を研磨する方式(以下、ワイヤ内径研磨)がある。内径研磨工程の具体的な内容については後述する。
内径研磨工程により内径部11が研磨されたワーク10に対して次に行われる工程は、外径研磨工程である(S202)。外径研磨工程では、内径研磨工程(S201)で内径部11が研磨されたワーク10の孔に芯棒を通し、複数のワーク10を連ねてセンタレス研磨を施すことで、研磨された内径部11を基準として外径部12の研磨が行われる。研磨された内径部11を基準として外径部12を研磨することにより、外径部12と内径部11との同軸度および平行度を高い精度で実現し得る。外径研磨工程の具体的な内容については後述する。
外径研磨工程により外径部12が研磨されたワーク10に対して次に行われる工程は、端面研磨工程である(S203)。端面研磨工程では、2つのローラと1つのシューとで外径部12を保持することにより、外径部12を基準とする端面13、14の研磨が行われる。研磨された外径部12を基準として端面13、14を研磨することにより、端面13、14と外径部12との直角度を高い精度で実現し得る。また、これに伴い、端面13、14と内径部11との直角度を高い精度で実現し得る。さらに、端面13、14同士の平行度を高い精度で実現し得る。端面研磨工程の具体的な内容については後述する。
<内径研磨工程>
内径研磨工程では、ワーク10に対し、外径部12や端面13、14を基準とせずに内径部11の研磨が行われる。ここでは、内径研磨工程で用いられる具体的な手法の一例として、金属ワイヤを用いたワイヤ内径研磨について説明する。ワイヤ内径研磨は、遊離砥粒による金属塑性変形破壊機構による研磨である。ワイヤ内径研磨では、複数のワーク10を連ね、同一工程にて複数のワーク10の内径部11に対する研磨を実施し得る。
図3は、ワイヤ内径研磨の手法を示す図である。上述したように、ワイヤ内径研磨では、複数のワーク10を同一工程にて研磨し得るが、図3では手法の説明上、一つのワーク10に対して研磨を行う様子が示されている。ワイヤ内径研磨では、ワーク10の孔にワイヤ20が通される。ワイヤ20には、砥粒21を混入したスラリー(砥粒スラリー)が塗布されている。このため、ワイヤ20をワーク10の内径部11に押し当て、内径部11を摺るようにワイヤ20(またはワーク10)を動かすことにより、ワイヤ20と内径部11との間に挟み込まれた砥粒21(遊離砥粒)により内径部11が研磨される。図3に示す例では、ワイヤ20を回転させながらワーク10をワイヤ20に沿って動かしている(図3の矢印参照)。
図4は、ワイヤ20の砥粒21がワーク10の内径部11を研磨する様子を示す図である。図4(A)は砥粒21が内径部11に当たっている状態を示す図、図4(B)は砥粒21が内径部11の表面を削る様子を示す図、図4(C)は内径部11から切粉(切り屑)が分離する様子を示す図である。
図4(A)に示すように、ワイヤ20がワーク10の内径部11に圧力Pで押し当てられることにより、ワイヤ20に塗布された砥粒スラリーの砥粒21が内径部11の表面に当たって食い込む。この状態で、ワイヤ20およびワーク10の一方または双方を動かすと、ワイヤ20と内径部11の表面とが相対的に移動する。図示の例では、ワイヤ20が矢印M1の方向に、内径部11の表面は矢印M2の方向に移動する。
そして、この移動に伴い、図4(B)に示すように、砥粒21が内径部11の表面を磨り、引っ掻き溝を形成する(塑性変形)。さらにワイヤ20と内径部11の表面との移動が進むと、図4(B)に示した引っ掻き溝の形成により生じた変形部分が、図4(C)に示すように、切粉(切り屑)となって内径部11から分離する。
以上のようにして、ワーク10の内径部11の研磨が行われる。上述したワイヤ内径研磨によれば、ワーク10の孔に通したワイヤ20により内径部11を研磨するため、ワーク10の一端から他端までにわたり、内径部11に均一の圧力を付加し得る。このため、一方の端面(例えば、端面14)を緊締してワーク10を保持し、他方の端面(例えば、端面13)側から軸付砥石を挿入して内径部11を研磨する手法と比較して、ワーク10の長さが長い場合であっても高い精度で内径部11を研磨し得る。また、複数のワーク10を連ね、かかる複数のワークの内径部11を同一工程にて研磨し得る。
<外径研磨工程>
外径研磨工程では、センタレス研磨によりワーク10の外径部12の研磨が行われる。具体的には、複数のワーク10を連ね、内径研磨された孔に芯棒を通し、全体を棒状のワークとしてセンタレス研磨を行う。以下、まずセンタレス研磨に用いられるセンタレス研磨機について説明し、その後、棒状に組んだワーク10群に対する外径研磨について説明する。
図5は、センタレス研磨機の概略構成を示す図である。図5(A)は正面図、図5(B)は平面図である。センタレス研磨機30は、基台31と、基台31に設けられた砥石車32および砥石車支持部33と、調整車34および調整車支持部35と、ブレード36およびブレード支持台37とを備える。ワーク10は、砥石車32、調整車34およびブレード36により三方から外径部12を支持されて位置決めされ、砥石車32により研磨される。
砥石車32は、円筒形状のローラであり、軸周りに回転するように砥石車支持部33に支持されている。砥石車支持部33は、砥石車32を支持し、回転駆動する。また、砥石車支持部33は、ブレード36側(ワーク10側)へ向けて砥石車32を進出させたり後退させたりする(図5(A)の矢印参照)機構を有する。
調整車34は、円筒形状のローラであり、軸周りに回転するように調整車支持部35に支持されている。調整車支持部35は、調整車34を支持し、回転駆動する。また、調整車支持部35は、ブレード36側(ワーク10側)へ向けて調整車34を進出させたり後退させたりする(図5(A)の矢印参照)機構を有する。さらに、調整車支持部35は、調整車34の回転軸の向きを一定の範囲内で上下または左右に変更するための(図5(A)の矢印参照)機構を有する。
ブレード36は、一定の幅を有する長尺な板状の台座であり、上面をワーク10が設置される設置面としている。設置面は調整車34側へ傾斜している。このため、ブレード36に設置されたワーク10は、自重により調整車34側へ移動しようとし、調整車34によって支えられる。ブレード支持台37は、ブレード36を支持すると共に、ブレード36を上下方向に出没させる(図5(A)の矢印参照)機構を有し、ワーク10を設置した際の高さを調整可能としている。
外径研磨が行われる際の(すなわち、ブレード36の設置面に設置された)ワーク10の軸方向と、砥石車32の回転軸と、ブレード36の長手方向とは平行になる。以下、この方向を基準方向と呼ぶ。また、調整車34の回転軸は、基準方向と略平行であるが、図5(A)を参照して説明したように、調整車34の回転軸は上下左右に向きを変更し得る構成であるため、基準方向に対して特定の角度を有する場合がある。砥石車32と調整車34との間隔は、ワーク10のサイズに応じて、砥石車支持部33および調整車支持部35により制御される。また、ブレード36の高さは、ワーク10のサイズに応じて、ブレード支持台37により制御される。
図6は、図5のセンタレス研磨機30の要部を示す図である。ワーク10は、ブレード36に設置されると、ブレード36の設置面と調整車34とに支えられて砥石車32に接する。この状態で砥石車32および調整車34が同一方向に回転することにより、ワーク10が、砥石車32および調整車34とは反対方向に回転し、砥石車32によって研磨される。より具体的に回転の向きを説明すると、調整車34はワーク10との接触位置において上方へ向かうように回転し、砥石車32はワーク10との接触位置において下方へ向かうように回転する(図6の矢印参照)。
センタレス研磨機30による主要な研磨の方法には、インフィード(infeed)研磨とスルーフィード(through-feed)研磨とがある。インフィード研磨は、ワーク10の基準方向への動きを停止させた状態で、砥石車32と調整車34との間隔を狭めながら研磨する方法である。具体的には、例えば、砥石車32を基準方向に対して直角の方向に進行させることにより砥石車32と調整車34との間隔を狭めていき、ワーク10を研磨する。また、砥石車32ではなく、調整車34およびブレード36を(したがって、ブレード36に設置されたワーク10と共に)基準方向に対して直角の方向に進行させることにより砥石車32と調整車34との間隔を狭めて、ワーク10の研磨を行っても良い。さらに、ワーク10の種類によっては、単純に砥石車32と調整車34との間隔を狭める方向だけでなく、砥石車32と調整車34との間隔を変えずに砥石車32と調整車34とワーク10との位置関係を変えるような方向への移動を含め、複雑な軌道を取って砥石車32と調整車34との間隔を変化させながらワーク10の研磨を行っても良い。スルーフィード研磨は、砥石車32と調整車34との間隔を固定したまま、この間にワーク10を通しながら研磨する方法である。
図7は、スルーフィード研磨の概念を示す図である。図7では、複数のワーク10を連ね、各ワーク10の孔に芯棒38を通して棒状に組んだワーク10群に対してスルーフィード研磨を行う様子が示されている。スルーフィード研磨では、ワーク10群をブレード36上で基準方向に沿って移動させながら砥石車32と調整車34との間を通すことによりワーク10の研磨が行われる。そこで、図7に示すように、砥石車32と調整車34との間隔が、ワーク10群が進行する方向に沿って次第に狭くなるように配置される。かかる配置は、例えば、調整車支持部35が調整車34の回転軸の向きを左右方向に変更することによって実現される。このように配置された砥石車32と調整車34との間をワーク10群が矢印Dに沿って進行すると、砥石車32と調整車34との間隔が次第に狭くなることにより、各ワーク10が順に砥石車32に押し付けられて、各ワーク10の外径部12が研磨される。
図7に示すように、芯棒38を通して連なったワーク10群に対して研磨を行うことにより、複数のワーク10を同一工程にて連続的に研磨し得る。このとき、少なくとも連続する数個のワーク10は同時に研磨される。
図8は、スルーフィード研磨のためのセンタレス研磨機30の構成例を示す図である。図8(A)は砥石車32、調整車34およびブレード36の配置(位置関係)を示す図、図8(B)はワーク10に対する調整車34の当たり方の一例を示す図、図8(C)はワーク10に対する調整車34の当たり方の他の例を示す図である。スルーフィード研磨を行う場合、図8(A)に示すように、調整車34の回転軸を基準方向に対して上下に傾斜させる。具体的には、研磨を行う際にワーク10が進入する側(図8(A)では左側)の端部を上方に、ワーク10が退出する側(図8(A)では右側)の端部を下方に位置させるように傾斜させる。上述したように、調整車34はワーク10との接触位置において上方へ向かうように回転する。そして、図8(A)のように(図示の例では角度θ)傾斜させれば調整車34の回転面も傾くため、調整車34の回転によってワーク10を進行方向へ進ませる力が発生する。これにより、ワーク10は、砥石車32と調整車34との間に進入すると、調整車34の回転にしたがって進行方向へ進んでいく。
ここで、ワーク10に対する調整車34の接触の仕方について説明する。調整車34として回転軸方向の全長にわたって半径が一定である円筒形状のローラを用いた場合、上記のように調整車34の回転軸を傾けると、調整車34におけるワーク10と接触するラインには調整車34の円周方向の成分が含まれることになる。そのため、図8(B)に示すように、調整車34におけるワーク10と接触するラインLCは、ワーク10の方向に(調整車34の回転軸から半径方向外側へ向かう方向に)膨らむ。この場合、ワーク10が砥石車32と調整車34との間を進行する際、ワーク10の位置によって、調整車34により砥石車32へ押し付けられる力の強さが変化する。このような構成では、ワーク10に対して所望の研磨を行うのに適切な調整車34の配置(基準方向に対する回転軸の角度や砥石車32との間隔)を特定するのが困難である。
そこで、図8(C)に示すように、調整車34の回転軸が傾いた状態でワーク10と接触するラインLCが直線となるように調整車34を変形させる。具体的には、調整車34の外周面が一葉回転双曲面となるようにする。調整車34の変形は、例えば、調整車34の外周面をドレッサーにて削ることにより行われる。調整車34におけるワーク10と接触するラインLCが直線となるような一葉回転双曲面は、基準方向に対する調整車34の回転軸の角度(図8(A)の角度θ)に応じて異なる。したがって、ワーク10のサイズ、形状、材質、研磨において要求される精度や作業時間等に応じて適当な角度θが決定され、これに応じて必要な調整車34の外周面の形状が定まり、ドレッサーにて個別的に成形されることとなる。
図9は、孔に芯棒38が通されたワーク10が研磨される様子を示す図である。図9は、図7に示したワーク10、砥石車32、調整車34およびブレード36を、ワーク10の退出側から見た状態(図7に示す矢印Dの逆方向に見た状態)を示す。すなわち、図9において、ワーク10は、紙面の奥から手前へ向かって進行する。図9において、研磨された後の(すなわち、砥石車32と調整車34との間を通過した後の)ワーク10が実線で示されており、研磨される前の(すなわち、砥石車32と調整車34との間を通過する前の)ワーク10が破線で示されている。破線で示されたワーク10と実線で示されたワーク10との差分が、外径研磨により削り取られた取り代である。
センタレス研磨機30を用いた外径研磨では、芯棒38を通して連なったワーク10群が砥石車32および調整車34により回転させられながら研磨される際、各ワーク10が芯棒38を中心に回転する。そして、この運動が、芯棒38を内径部11の中心軸位置に維持しようと作用する。この結果、外径部12の取り代部分が偏心方向と反対側に偏るので、取り代部分が研削されることにより、内径部11と外径部12との同軸度が矯正される。
以上のようにして、ワーク10の外径部12の研磨が行われる。棒状のワーク10群を構成するために用いられる芯棒38は、例えばセンタレス研磨により、ワーク10の内径部11の精度に対応する精度で形成されている。このため、この芯棒38を通して連なったワーク10群に対してセンタレス研磨を行うことにより、内径部11を基準として外径部12の研磨が行われる。そして、内径部11と外径部12との同軸度および平行度を、内径部11の精度に対応する高い精度で実現し得る。また、芯棒38を通して連なった複数のワーク10の外径部12を同一工程にて研磨し得る。
<端面研磨工程>
端面研磨工程では、2ロール1シュー方式により、ワーク10を中心軸回りに回転させながら、端面13、14に対してプランジ研磨が行われる。端面13、14の研磨は、例えば、ワーク10の中心軸方向への動きを停止させた状態で一方の端面側から砥石を当てることにより、片側ずつ順に行われる。
図10および図11は、2ロール1シュー方式による端面研磨方法を示す図である。図10は、研磨装置をワーク10の研磨する端面側から見た図である。図11は、図10の研磨装置を上から見た図である。端面研磨に用いられる研磨装置40は、ローラ41、42と、シュー43と、ストッパー44と、砥石45と、砥石支持部46とを備える。
2つのローラ41、42の間隔は、ワーク10のサイズに応じて調整される。シュー43は、ワーク10を設置する台座であり、上面をワーク10の設置面としている。設置面は一方のローラ側(図10に示す例ではローラ42側)へ傾斜している。このため、シュー43に設置されたワーク10は、自重によりローラ42側へ移動しようとし、ローラ42によって支えられる。また、ローラ41、42の一方は、回転軸が、ワーク10の中心軸方向に対して平行となるように配置される。そして、ローラ41、42の他方は、回転軸が、ワーク10の中心軸方向に対して一定の角度で傾けて配置される。ここでは、ローラ41の回転軸がワーク10の中心軸方向に対して平行であり、ローラ42の回転軸が傾いているものとする。ローラ42の回転軸の傾きは、ストッパー44側が低く、砥石45側が高くなるような傾きである。これにより、ローラ42の回転面が傾いてワーク10をストッパー44側へ進ませる力が発生する。ワーク10は、ローラ41、42およびシュー43により三方から外径部12を支持され、ローラ41、42の回転にしたがって回転すると共に、ローラ42の回転を受けてストッパー44に押し付けられる。
ストッパー44は、ローラ41、42およびシュー43により支持されたワーク10の一方の端面に接触し、ワーク10の中心軸方向の動きを止める。なお、ストッパー44としては、ワーク10の端面形状に応じて、自由に動くウォーブル(wobble)タイプまたは標準固定タイプの何れかが用いられる。
砥石45は、ローラ41、42およびシュー43により支持されて回転するワーク10の一方の端面に接触し、端面を研磨する。砥石支持部46は、ワーク10の中心軸方向に平行な方向に砥石45を進出、後退させる。これにより、砥石支持部46は、回転するワーク10の端面13、14に対して砥石45を押し当てることによるプランジ研磨を実現する。
以上のようにして、外径部12を基準として端面13、14の研磨が行われる。これにより、外径部12に対する端面13、14の直角度を高い精度で実現し得る。また、外径部12と内径部11の平行度が高い精度で実現されているため、内径部11に対する端面13、14の直角度も高い精度で実現し得る。そして、端面13、14同士の平行度を高い精度で実現し得る。
<内径研磨工程の加工精度>
図1に示すような形状のワーク10の内径部11を研磨する手法としては、図3および図4を参照して説明したワイヤ内径研磨の他に、軸付砥石を用いた手法も取り得る。具体的には、ワーク10の一方の端面(例えば、端面14)を緊締してワーク10を固定し、他方の端面(例えば、端面13)側から軸付砥石を挿入して内径部11を研磨する。しかし、かかる手法では、ワーク10の長さが長くなり(孔の深さが深くなり)、これに対応するために軸付砥石の軸が長くなると、ワーク10の孔の奥に行くにつれて軸の剛性が足りずに砥石が逃げてしまい、孔の奥がうまく加工できないという事態が生じる。そのため、場所により内径部11の径が異なる状態(例えば、孔の形状が奥へ行くほど先細りになる)になりやすい。また、表面粗さをある程度以上に小さくすることが容易ではない。また、十分な精度を得るために砥石の目立てを頻繁に行うことが必要となり、装置の稼働率が下がると共に、砥石の寿命も短い。部品(製品)の小型化に伴い、ワーク10の内径は小さく(内径部11の直径が短く)なるが、長さは長くなる傾向にあるため、軸付砥石による研磨における上記の特徴は一層顕著になる。
軸付砥石は、軸の周りに砥石を乗せた構成を有するが、ワーク10の内径が小さくなると、軸を細くする必要があるために剛性が不足し、加工負荷に負けてたわみやすくなり、加工時に振動しやすくなる。そのため、ワーク10における寸法精度や真円度、面粗度の悪化を招く。極小の取り代で時間をかけて加工することで寸法精度や真円度、面粗度を向上させることが考えられるが、この場合、生産性が大きく低下する。
また、ワーク10の内径が小さくなると、軸に乗せる砥石も薄くする必要があるため、砥石の寿命が短くなり、交換作業が頻繁に行われることとなり、これも生産性の低下を招いてしまう。具体例として、内径部11の直径が3.3mm程度、長さが6mm程度のワーク10を研磨する場合について示す。ここでは、ワーク10の内径部11の表面粗さRz=1.6μm以下とする研磨を行うものとする。表面粗さの数値Rz=1.6μmは、金属加工における仕上げ加工時の一般的な仕上げ加工時の粗さである。かかる条件で加工を行った場合、100回〜100数十回の加工回数ごとに砥石の目立てを行う必要があった。軸付砥石による研磨では、加工対象として現実的なワーク10は、長さが内径部11の直径の2倍程度までである。
これに対し、ワイヤ内径研磨の手法を用いることにより、これらが大きく改善される。ワイヤ内径研磨では、ワーク10の孔に通したワイヤにより内径部11を研磨するため、ワーク10の長さが長くなったり、内径が小さくなったりしても、軸付砥石の場合のように、軸の剛性が不足して寸法精度や真円度、面粗度の悪化を招くということがない。このため、ワイヤ内径研磨では、長さが内径部11の直径の3倍以上であるようなワーク10であっても、要求される寸法精度や真円度、面粗度で研磨を行うことができる。また、ワイヤ内径研磨では、砥粒スラリーを供給しながら研磨することにより切れ具合の低下を抑制できるため、軸付砥石の場合のように砥石の目立てや交換を頻繁に行う必要がなく、生産性の低下を抑制し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、外径研磨工程では、センタレス研磨により内径部を基準として外径部の研磨が行われれば良く、研磨機の具体的な構成は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、センタレス研磨機に関して、調整車の回転軸の方向を変更可能としたが、砥石車の回転軸も方向を変更可能としても良い。また、端面研磨工程では、外径部を基準として端面の研磨が行われれば良く、研磨の方式や研磨装置の構成は、上述した実施形態に限定されない。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
10…ワーク、11…内径部、12…外径部、13、14…端面、20…ワイヤ、21…砥粒、30…センタレス研磨機、31…基台、32…砥石車、33…砥石車支持部、34…調整車、35…調整車支持部、36…ブレード、37…ブレード支持台、38…芯棒、40…研磨装置、41、42…ローラ、43…シュー、44…ストッパー、45…砥石、46…砥石支持部

Claims (6)

  1. ワークの内径部について研磨を行なう内径研磨工程と、
    前記内径研磨工程により前記内径部が研磨された前記ワークの外径部についてセンタレスにより研磨を行なう外径研磨工程と、
    前記外径研磨工程により前記外径部が研磨された前記ワークの端面について研磨を行なう端面研磨工程と、
    を有することを特徴とする金属部品の製造方法。
  2. 前記内径研磨工程は、ワイヤを用いて前記ワークの前記内径部を研磨するワイヤ内径研磨により当該内径部の研磨を行なうことを特徴とする請求項1記載の金属部品の製造方法。
  3. 前記内径研磨工程における前記ワイヤ内径研磨は、前記ワイヤに砥粒スラリーを塗布し当該ワイヤと前記ワークの前記内径部との間に遊離砥粒を挟み込んで当該ワークの当該内径部を研磨することを特徴とする請求項2記載の金属部品の製造方法。
  4. 前記外径研磨工程は、前記内径研磨工程により前記内径部が研磨された前記ワークの当該内径部に芯棒を通し、当該芯棒を通された複数のワークの各々の外径部について同一の工程にて研磨を行なうことを特徴とする請求項1記載の金属部品の製造方法。
  5. 前記端面研磨工程は、前記外径研磨工程により研磨された前記ワークの前記外径部を基準として当該ワークの前記端面について研磨を行なうことを特徴とする請求項1記載の金属部品の製造方法。
  6. 内径部、外径部、および当該内径部と当該外径部とが延びる長さ方向成分、を有する金属部品であって、
    前記内径部は、穴径0.1mm〜3.5mm、内面の表面粗さRzが1.6μm以下であり、
    前記長さ方向成分は、前記内径部に対して3倍以上の長さを有すること、
    を特徴とする金属部品。
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