JP2020120622A - 組換え細胞、発現構築物、及び組換えタンパク質の製造方法 - Google Patents

組換え細胞、発現構築物、及び組換えタンパク質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】組換えタンパク質の発現量が増加した組換え細胞を提供すること。【解決手段】第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び前記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する、組換え細胞。【選択図】図5

Description

本発明は、組換え細胞、発現構築物、及び組換えタンパク質の製造方法に関する。
研究用途、産業用途又は医療用途(例えば、酵素、ワクチン、構造タンパク質、ホルモン及び生物医薬タンパク質)に必要とされる多くのタンパク質は、組換え細胞を利用して工業的に産生される。例えば、細菌細胞(特に大腸菌細胞)は、安価な培地中で高い細胞密度まで迅速に増殖することから、組換えタンパク質をより大規模で産生するのに特に適している。
大量の組換えタンパク質を製造するためには、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列及びその発現を制御する配列(例えば、プロモーター)を有する発現カセットを設計する際にいくつかの側面を考慮する必要がある。例えば、組換えタンパク質の製造に用いられる宿主細胞において、目的タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列のコドンの最適化が行われている。また、目的タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の転写において強力なプロモーター及び有効なターミネーターの制御下に置くこと、又は適切なリボソーム結合部位を導入することによって翻訳を最適化することなどの工夫もなされている。さらに、宿主細胞中のポリヌクレオチド配列のコピー数を増加させることも行われている。
また、発現カセットをプラスミドに組み込んだ場合には、宿主細胞の細胞分裂の際に失われる問題があることから、相同組換え等により当該発現カセットを宿主細胞のゲノムDNA中に組み込む工夫も行われている(例えば、特許文献1)。
特許第5996052号公報
しかしながら、外来遺伝子による組換えタンパク質の高い発現は、宿主細胞の生存にとっては有害である。例えば、宿主細胞中に多数の外来遺伝子のコピーが生成されると、それによってタンパク質発現のための資源(RNA及びタンパク質原料、転写及び翻訳のための細胞内機構)が不足し、宿主細胞における代謝負荷が増加する。その結果、組換えタンパク質の収量は抑制される。すなわち、組換えタンパク質の収量が一定量に到達した後に組換えタンパク質の生産能は徐々に減少していく。したがって、組換え細胞における持続的な生産能力の維持は、組換えタンパク質の生産(特に連続培養又は流加培養方式による長時間の組換えタンパク質の生産)において大きな課題である。
本発明は、組換えタンパク質の発現量が増加した組換え細胞を提供することを目的とする。本発明はまた、組換えタンパク質の発現量が増加した発現構築物を提供することを目的とする。
本発明は、例えば以下の各発明に関する。
[1]
第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び上記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された上記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する、組換え細胞。
[2]
上記第二のプロモーターの転写活性が、上記第一のプロモーターの転写活性よりも弱い、[1]に記載の組換え細胞。
[3]
上記第一のプロモーターと上記第二のプロモーターのポリヌクレオチド配列が少なくとも80%の配列同一性を有する、[1]又は[2]に記載の組換え細胞。
[4]
上記第一のプロモーターが、T7プロモーターである、[1]〜[3]のいずれかに記載の組換え細胞。
[5]
上記第二のプロモーターが、配列番号2で示される塩基配列、及び配列番号3で示される塩基配列から選択される塩基配列を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の組換え細胞。
[6]
第三のプロモーターに作動可能に連結された上記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第三の発現カセットを更に有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の組換え細胞。
[7]
上記第三のプロモーターが、上記第一のプロモーター、又は上記第二のプロモーターと同じである、[6]に記載の組換え細胞。
[8]
上記組換えタンパク質がフィブロインである、[1]〜[7]のいずれかに記載の組換え細胞。
[9]
上記第一の発現カセット及び上記第二の発現カセットが、宿主ゲノムDNA中に組み込まれている、[1]〜[8]のいずれかに記載の組換え細胞。
[10]
第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び上記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された上記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する、発現構築物。
[11]
上記第二のプロモーターの転写活性が、上記第一のプロモーターの転写活性よりも弱い、[10]に記載の発現構築物。
[12]
上記第一のプロモーターと上記第二のプロモーターのポリヌクレオチド配列が少なくとも80%の配列同一性を有する、[10]又は[11]に記載の発現構築物。
[13]
上記第一のプロモーターが、T7プロモーターである、[10]〜[12]のいずれかに記載の組換え細胞。
[14]
上記第二のプロモーターが、配列番号2で示される塩基配列、及び配列番号3で示される塩基配列から選択される塩基配列を含む、[10]〜[13]のいずれかに記載の組換え細胞。
[15]
第三のプロモーターに作動可能に連結された上記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第三の発現カセットを更に有する、[10]〜[14]のいずれかに記載の発現構築物。
[16]
上記第三のプロモーターが、上記第一のプロモーター、又は上記第二のプロモーターと同じである、[15]に記載の発現構築物。
[17]
第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び上記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された上記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する組換え細胞をタンパク質生産培地中で培養する生産工程を備える、上記組換えタンパク質の製造方法。
[18]
上記生産工程において、上記組換え細胞を連続培養又は流加培養で培養する、[17]に記載の製造方法。
[19]
上記生産工程は、発現誘導剤を上記タンパク質生産培地に添加して上記組換えタンパク質の発現誘導を行う発現誘導ステップを含む、[17]又は[18]に記載の製造方法。
[20]
上記生産工程は、発現誘導剤を上記タンパク質生産培地に添加して上記組換えタンパク質の発現誘導を行った後、9時間以上培養を行うことを含む、[17]〜[19]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、組換えタンパク質の発現量が増加した組換え細胞を提供することが可能となる。本発明によればまた、組換えタンパク質の発現量が増加した発現構築物を提供することが可能となる。
T7プロモーター、T7.5プロモーター、T7.51プロモーター及びSPT3プロモーターの転写活性を定量PCR法により測定した結果を示すグラフである。 HK022ファージが溶原化する機構を利用して、改変フィブロイン発現カセットを宿主染色体上に組み込む方法の概要を示す概略図である。 φ80ファージが溶原化する機構を利用して、改変フィブロイン発現カセットを宿主染色体上に組み込む方法の概要を示す概略図である。 λファージが有する相同組換えシステムを利用して、改変フィブロイン発現カセットを宿主染色体上に組み込む方法の概要を示す概略図である。 T7−T7−T7株及びT7−T7.51−T7.51株のタンパク質(改変フィブロイン)生産量を評価した結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
〔組換え細胞〕
本実施形態に係る組換え細胞は、第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する。
(第一の発現カセット)
第一の発現カセットは、少なくとも第一のプロモーターと、当該第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むものである。第一の発現カセットは、第一のプロモーター及び組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列を更に含むものであってもよい。
調節配列は、宿主における組換えタンパク質(目的タンパク質)の発現を制御する配列(プロモーター以外には、例えば、エンハンサー、リボソーム結合配列、転写終結配列等)であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。調節配列は、外来性のものであってもよく、内在性のもの(宿主由来の調節配列)であってもよい。
第一のプロモーターは、使用する宿主に応じて、当該宿主において機能するプロモーターを用いることができる。プロモーターの具体例は、後述するとおりである。なお、本発明において使用されるプロモーターは、天然に存在するものであっても、人工的に作製されたものであってもよい。本発明においては、少なくとも2つの異なる転写活性を有するプロモーターが使用されるが、これらのプロモーターは由来の異なるものであっても、共通するものであってもよい。
(第二の発現カセット)
第二の発現カセットは、少なくとも第二のプロモーターと、当該第二のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むものである。第二のプロモーターは、第一のプロモーターとは異なる(塩基配列が異なる)ものである。第二の発現カセットで発現される組換えタンパク質は、第一の発現カセットで発現される組換えタンパク質と同じものであるのが好ましい。
第二の発現カセットは、第二のプロモーター及び組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列を更に含むものであってもよい。調節配列は上述したものである。
第二のプロモーターは、使用する宿主に応じて、当該宿主において機能するプロモーターを用いることができる。プロモーターの具体例は、後述するとおりである。
(第一及び第二のプロモーター)
第二のプロモーターは、その転写活性が、第一のプロモーターの転写活性よりも弱いプロモーターであるのが好ましい。第二のプロモーターは、その転写活性が、第一のプロモーターの転写活性を100としたときに、50以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましく、5以下であることが更により好ましく、1以下であることが特に好ましい。プロモーターの転写活性は、後述する実施例に記載の方法により、測定することができる。
本発明の一実施形態において、第一のプロモーター及び第二のプロモーターは、汎用されるプロモーターとその変異型プロモーターの関係であってもよく、野生型プロモーターとその変異型プロモーターの関係であってもよい。
変異型プロモーターは、汎用されるプロモーター又は野生型プロモーターのポリヌクレオチド配列と比較して、1又は複数の残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するポリヌクレオチド配列を有するプロモーターを意味する。変異型プロモーターは、例えば、遺伝子工学的手法により、作製することができる。
本発明の一実施形態において、第一のプロモーターのポリヌクレオチド配列と第二のプロモーターのポリヌクレオチド配列は、少なくとも80%の配列同一性を有していてもよく、85%以上の配列同一性を有していてもよく、90%以上の配列同一性を有していてもよく、95%以上の配列同一性を有していてもよく、98%以上の配列同一性を有していてもよく、99%以上の配列同一性を有していてもよい。
本発明の一実施形態において、第一のプロモーターは、宿主細胞中で強力な転写活性を有するプロモーターであり、第二のプロモーターは、転写活性が弱められた当該第一のプロモーターの変異型プロモーターであってもよい。宿主細胞中で強力な転写活性を有するプロモーターは、当業者には公知であり、例えば、大腸菌等の原核細胞を宿主とする場合、T7プロモーター(配列番号1)等が挙げられる。第二のプロモーターは、例えば、転写活性が弱められたT7プロモーターの変異型プロモーターであるT7.5プロモーター(配列番号2)、T7.51(配列番号3)、及びSPT3プロモーター(配列番号4)等が挙げられる。
第一のプロモーターと、第二のプロモーターの組み合わせの具体例として、第一のプロモーターがT7プロモーターであり、第二のプロモーターが配列番号2で示される塩基配列及び配列番号3で示される塩基配列から選択される塩基配列を含むプロモーターである組み合わせを挙げることができる。配列番号2(T7.5プロモーター)で示される塩基配列及び配列番号3(T7.51プロモーター)で示される塩基配列は、野生型T7プロモーター(配列番号1)に対して、変異を導入することで、転写活性が弱められたプロモーターである。
(第三以降の発現カセット)
本実施形態に係る組換え細胞は、第一及び第二の発現カセットに加えて、更に1又は複数の発現カセット(第三の発現カセット、第四の発現カセット、・・・第Nの発現カセット、・・・)を含むものであってもよい。
第Nの発現カセットは、少なくとも第Nのプロモーターと、当該第Nのプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むものである。第Nの発現カセットで発現される組換えタンパク質は、第一の発現カセットで発現される組換えタンパク質と同じものであるのが好ましい。第Nの発現カセットは、第Nのプロモーター及び組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列を更に含むものであってもよい。調節配列は上述したものである。
第Nのプロモーターは、第一のプロモーター及び第二のプロモーターと異なるものであってもよく、第一のプロモーター又は第二のプロモーターと同じであってもよいが、第Nのプロモーターは、転写活性の弱いプロモーター(例えば、第二のプロモーター)と同じであることが好ましい。これにより、本発明による効果がより一層顕著になる。例えば、組換え細胞が、第一、第二及び第三の発現カセットを有するものである場合、第二のプロモーターの転写活性が、第一のプロモーターの転写活性よりも弱いものであり、かつ第三のプロモーターが第二のプロモーターと同じであることが好ましい。
(組換えタンパク質)
本発明に係る組換え細胞で生産する組換えタンパク質(以下、「目的タンパク質」ともいう。)は、特に制限されず、任意のタンパク質を使用することができる。目的タンパク質としては、工業規模での製造が好ましい任意のタンパク質を挙げることができ、例えば、工業用に利用できるタンパク質、医療用に利用できるタンパク質、及び構造タンパク質等を挙げることができる。工業用又は医療用に利用できるタンパク質の具体例としては、酵素、制御タンパク質、受容体、ペプチドホルモン、サイトカイン、膜又は輸送タンパク質、予防接種に使用する抗原、ワクチン、抗原結合タンパク質、免疫刺激タンパク質、アレルゲン、及び完全長抗体又は抗体フラグメント若しくは誘導体等を挙げることができる。構造タンパク質の具体例としては、フィブロイン(例えば、スパイダーシルク、カイコシルク等)、ケラチン、コラ−ゲン、エラスチン、レシリン、及びこれらタンパク質の断片、並びにこれら由来のタンパク質等を挙げることができる。
本明細書においてフィブロインは、天然由来のフィブロインと改変フィブロインとを含む。本明細書において「天然由来のフィブロイン」とは、天然由来のフィブロインと同一のアミノ酸配列を有するフィブロインを意味し、「改変フィブロイン」とは、天然由来のフィブロインとは異なるアミノ酸配列を有するフィブロインを意味する。
フィブロインは、クモ糸フィブロインであってよい。「クモ糸フィブロイン」には、天然クモ糸フィブロイン、及び天然クモ糸フィブロインに由来する改変フィブロインが含まれる。天然クモ糸フィブロインとしては、例えば、クモ類が産生するスパイダーシルクタンパク質(SSP)が挙げられる。
フィブロインは、例えば、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質であってもよい。本実施形態に係るフィブロインは、ドメイン配列のN末端側及びC末端側のいずれか一方又は両方に更にアミノ酸配列(N末端配列及びC末端配列)が付加されていてもよい。N末端配列及びC末端配列は、これに限定されるものではないが、典型的には、フィブロインに特徴的なアミノ酸モチーフの反復を有さない領域であり、100残基程度のアミノ酸からなる。
本明細書において「ドメイン配列」とは、フィブロイン特有の結晶領域(典型的には、アミノ酸配列の(A)モチーフに相当する。)と非晶領域(典型的には、アミノ酸配列のREPに相当する。)を生じるアミノ酸配列であり、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるアミノ酸配列を意味する。ここで、(A)モチーフは、アラニン残基を主とするアミノ酸配列を示し、アミノ酸残基数は2〜27である。(A)モチーフのアミノ酸残基数は、2〜20、4〜27、4〜20、8〜20、10〜20、4〜16、8〜16、又は10〜16の整数であってよい。また、(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数の割合は40%以上であればよく、60%以上、70%以上、80%以上、83%以上、85%以上、86%以上、90%以上、95%以上、又は100%(アラニン残基のみで構成されることを意味する。)であってもよい。ドメイン配列中に複数存在する(A)モチーフは、少なくとも7つがアラニン残基のみで構成されてもよい。REPは2〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。REPは、10〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列であってもよい。mは2〜300の整数を示し、10〜300の整数であってもよい。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREPは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。
天然由来のフィブロインとしては、例えば、式1:[(A)モチーフ−REP]、又は式2:[(A)モチーフ−REP]−(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質を挙げることができる。天然由来のフィブロインの具体例としては、例えば、昆虫又はクモ類が産生するフィブロインが挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインとしては、例えば、ボンビックス・モリ(Bombyx mori)、クワコ(Bombyx mandarina)、天蚕(Antheraea yamamai)、柞蚕(Anteraea pernyi)、楓蚕(Eriogyna pyretorum)、蓖蚕(Pilosamia Cynthia ricini)、樗蚕(Samia cynthia)、栗虫(Caligura japonica)、チュッサー蚕(Antheraea mylitta)、ムガ蚕(Antheraea assama)等のカイコが産生する絹タンパク質、及びスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)の幼虫が吐出するホーネットシルクタンパク質が挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインのより具体的な例としては、例えば、カイコ・フィブロインL鎖(GenBankアクセッション番号M76430(塩基配列)、及びAAA27840.1(アミノ酸配列))が挙げられる。
クモ類が産生するフィブロインとしては、例えば、オニグモ、ニワオニグモ、アカオニグモ、アオオニグモ及びマメオニグモ等のオニグモ属(Araneus属)に属するクモ、ヤマシロオニグモ、イエオニグモ、ドヨウオニグモ及びサツマノミダマシ等のヒメオニグモ属(Neoscona属)に属するクモ、コオニグモモドキ等のコオニグモモドキ属(Pronus属)に属するクモ、トリノフンダマシ及びオオトリノフンダマシ等のトリノフンダマシ属(Cyrtarachne属)に属するクモ、トゲグモ及びチブサトゲグモ等のトゲグモ属(Gasteracantha属)に属するクモ、マメイタイセキグモ及びムツトゲイセキグモ等のイセキグモ属(Ordgarius属)に属するクモ、コガネグモ、コガタコガネグモ及びナガコガネグモ等のコガネグモ属(Argiope属)に属するクモ、キジロオヒキグモ等のオヒキグモ属(Arachnura属)に属するクモ、ハツリグモ等のハツリグモ属(Acusilas属)に属するクモ、スズミグモ、キヌアミグモ及びハラビロスズミグモ等のスズミグモ属(Cytophora属)に属するクモ、ゲホウグモ等のゲホウグモ属(Poltys属)に属するクモ、ゴミグモ、ヨツデゴミグモ、マルゴミグモ及びカラスゴミグモ等のゴミグモ属(Cyclosa属)に属するクモ、及びヤマトカナエグモ等のカナエグモ属(Chorizopes属)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質、並びにアシナガグモ、ヤサガタアシナガグモ、ハラビロアシダカグモ及びウロコアシナガグモ等のアシナガグモ属(Tetragnatha属)に属するクモ、オオシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ及びコシロカネグモ等のシロカネグモ属(Leucauge属)に属するクモ、ジョロウグモ及びオオジョロウグモ等のジョロウグモ属(Nephila属)に属するクモ、キンヨウグモ等のアズミグモ属(Menosira属)に属するクモ、ヒメアシナガグモ等のヒメアシナガグモ属(Dyschiriognatha属)に属するクモ、クロゴケグモ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ及びジュウサンボシゴケグモ等のゴケグモ属(Latrodectus属)に属するクモ、及びユープロステノプス属(Euprosthenops属)に属するクモ等のアシナガグモ科(Tetragnathidae科)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質が挙げられる。スパイダーシルクタンパク質としては、例えば、MaSp(MaSp1及びMaSp2)、ADF(ADF3及びADF4)等の牽引糸タンパク質、MiSp(MiSp1及びMiSp2)等が挙げられる。
ケラチン由来のタンパク質として、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等を挙げることができる。
コラーゲン由来のタンパク質としては、例えば、式3:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式3中、pは5〜300の整数を示す。REP2は、Gly−X−Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP2は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。
エラスチン由来のタンパク質としては、例えば、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。
レシリン由来のタンパク質としては、例えば、式4:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式4中、qは4〜300の整数を示す。REP3はSer−J−J−Tyr−Gly−U−Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意アミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP4は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。
目的タンパク質は、親水性タンパク質であってもよく、疎水性タンパク質であってもよい。目的タンパク質としては、目的タンパク質を構成する全てのアミノ酸残基の疎水性指標(ハイドロパシー・インデックス、HI)の総和を求め、次にその総和を全アミノ酸残基数で除した値(平均HI、以下「疎水度」とも表す。)が−1.0以上であるものが好ましい。アミノ酸残基の疎水性指標については、公知の指標(Hydropathy index:Kyte J,&Doolittle R(1982)“A simple method for displaying the hydropathic character of a protein”,J.Mol.Biol.,157,pp.105−132)を使用する。具体的には、各アミノ酸の疎水性指標は、下記表1に示すとおりである。
本発明の一実施形態において、目的タンパク質の疎水度は、−0.9以上、−0.8以上、−0.7以上、−0.6以上、−0.5以上、−0.4以上、−0.3以上、−0.2以上、−0.1以上、0以上、0.1以上、0.2以上、0.3以上、又は0.4以上であってよく、また、目的タンパク質の疎水度は、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、又は0.5以下であってよい。
目的タンパク質の分子量は、特に限定されないが、例えば、10kDa以上700kDa以下であってよい。目的タンパク質の分子量は、例えば、20kDa以上、30kDa以上、40kDa以上、50kDa以上、60kDa以上、70kDa以上、80kDa以上、90kDa以上、又は100kDa以上であってよく、例えば、600kDa以下、500kDa以下、400kDa以下、300kDa以下、又は200kDa以下であってよい。
(組換え細胞の作製)
本発明の一実施形態に係る組換え細胞は、例えば、第一の発現カセット及び第二の発現カセット(並びに、必要に応じて、第三の発現カセット、第四の発現カセット、・・・)(以下、まとめて「発現カセット」ともいう。)を宿主細胞に導入することにより得ることができる。
本実施形態に係る組換え細胞は、例えば、発現カセットを有する発現ベクターで宿主細胞を形質転換する方法により得ることができる。本実施形態に係る組換え細胞は、発現カセットをゲノムDNA外に有するものであってもよく、発現カセットがゲノムDNA中に組み込まれたものであってもよいが、発現カセットがゲノムDNA中に組み込まれたものであるのが好ましい。
宿主細胞を形質転換する方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、プラスミドベクターを用いて宿主細胞を形質転換することが挙げられる。
発現カセットをゲノムDNA中へ組み込む方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、λファージの2重鎖切断修復における組換え機構を応用したλred法、Red/ET相同組換え法、pUT−mini Tn5を用いたトランスポゾン活性を利用した転移法が挙げられる。例えば、バイオメダル社の「トランスポゾンによる遺伝子導入キット:pUTmini−Tn5 Kit」等を用い、キットに記載の方法に準じて、発現カセットを宿主細胞のゲノムDNA中に組み込むことができる。このとき、少なくとも目的タンパク質をコードする核酸配列を含むDNA断片を宿主細胞のゲノムDNA中の1又は複数の調節配列と作動可能に連結するように組み換えることで、発現カセットを宿主細胞のゲノムDNA中に組み込んでもよい。
宿主細胞を形質転換する方法としては、λファージのインテグラーゼにより宿主細胞のゲノムDNA中のアタッチメント・サイト(attB部位)とベクター上のアタッチメント・サイト(attP部位)を介して発現カセットを宿主細胞のゲノムDNA中に組み込む方法、及び相同組換えに不可欠な3つの遺伝子エキソ(exo)、ベータ(bet)、ガンマ(gam)遺伝子を有するヘルパープラスミドpKD46を用いたレッド−リコンビナーゼ・システムを使用して発現カセットを宿主細胞のゲノムDNA中に組み込む方法が好ましい。
宿主細胞として、細菌等の原核生物の細胞、並びに酵母細胞、糸状真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞、及び植物細胞等の真核生物の細胞のいずれも用いることができる。ただし、増殖が速くかつ培養コストを削減する観点から、宿主細胞は細菌等の原核細胞であることが好ましい。
細菌等の原核生物の宿主細胞としては、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する微生物を挙げることができる。原核生物の好ましい例としては、例えば、大腸菌、バチルス・ズブチリス、シュードモナス、コリネバクテリウム、及びラクトコッカス等を挙げることができる。宿主細胞は、エシェリヒア属に属する微生物、特に大腸菌(Escherichia coli)であることが好ましい。
エシェリヒア属に属する微生物として、例えば、エシェリヒア・コリ BL21(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ BL21(DE3)(ライフテクノロジーズ社)、エシェリヒア・コリ BLR(DE3)(メルクミリポア社)、エシェリヒア・コリ DH1、エシェリヒア・コリ GI698、エシェリヒア・コリ HB101、エシェリヒア・コリ JM109、エシェリヒア・コリ K5(ATCC 23506)、エシェリヒア・コリ KY3276、エシェリヒア・コリ MC1000、エシェリヒア・コリ MG1655(ATCC 47076)、エシェリヒア・コリ No.49、エシェリヒア・コリ Rosetta(DE3)(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ TB1、エシェリヒア・コリ Tuner(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ Tuner(DE3)(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ W1485、エシェリヒア・コリ W3110(ATCC 27325)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)XL1−Blue、エシェリヒア・コリ XL2−Blue等を挙げることができる。宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)であることが好ましい。
上記宿主細胞を形質転換する方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63−248394号公報)、又はGene,17,107(1982)やMolecular & General Genetics,168,111(1979)に記載の方法等を挙げることができる。
ブレビバチルス属に属する微生物の形質転換は、例えば、Takahashiらの方法(J.Bacteriol.,1983,156:1130−1134)や、Takagiらの方法(Agric.Biol.Chem.,1989,53:3099−3100)、又はOkamotoらの方法(Biosci.Biotechnol.Biochem.,1997,61:202−203)により実施することができる。
形質転換に使用するベクター(以下、単に「ベクター」という。)の種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター等、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社より市販)、pKK233−2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX−1(Promega社製)、pQE−8(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58−110600号公報)、pKYP200〔Agric.Biol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)〕、pBluescript II SK(−)(Stratagene社製)、pTrs30〔Escherichiacoli JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製〕、pTrs32〔Escherichia coli JM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製〕、pGHA2〔Escherichia coli IGHA2(FERM B−400)より調製、特開昭60−221091号公報〕、pGKA2〔Escherichia coli IGKA2(FERM BP−6798)より調製、特開昭60−221091号公報〕、pTerm2(米国特許4686191号、米国特許4939094号、米国特許5160735号)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400〔J.Bacteriol.,172,2392(1990)〕、pGEX(Pharmacia社製)、pETシステム(Novagen社製)等を挙げることができる。
宿主細胞として大腸菌を用いる場合は、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold等を好適なベクターとして挙げることができる。
ブレビバチルス属に属する微生物に好適なベクターの具体例として、枯草菌ベクターとして公知であるpUB110、又はpHY500(特開平2−31682号公報)、pNY700(特開平4−278091号公報)、pHY4831(J.Bacteriol.,1987,1239−1245)、pNU200(鵜高重三、日本農芸化学会誌1987,61:669−676)、pNU100(Appl.Microbiol.Biotechnol.,1989,30:75−80)、pNU211(J.Biochem.,1992,112:488−491)、pNU211R2L5(特開平7−170984号公報)、pNH301(Appl.Environ.Microbiol.,1992,58:525−531)、pNH326、pNH400(J.Bacteriol.,1995,177:745−749)、pHT210(特開平6−133782号公報)、pHT110R2L5(Appl.Microbiol.Biotechnol.,1994,42:358−363)、又は大腸菌とブレビバチルス属に属する微生物とのシャトルベクターであるpNCO2(特開2002−238569号公報)等を挙げることができる。
プロモーターとしては、上述した条件を満たし、かつ宿主細胞中で機能するものであれば制限されない。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等の大腸菌又はファージ等に由来するプロモーターを挙げることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。転写終結配列は必ずしも必要ではないが、目的タンパク質をコードする遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
真核生物の宿主細胞としては、例えば、酵母及び糸状真菌(カビ等)を挙げることができる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオミセス(Schwanniomyces)属、ピキア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属、ヤロウィア属及びハンゼヌラ属等に属する酵母を挙げることができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合のベクターは通常、複製起点(宿主細胞における増幅が必要である場合)及び大腸菌中でのベクターの増殖のための選抜マーカー、酵母における組換えタンパク質発現のための誘導性プロモーター及びターミネータ、並びに酵母のための選抜マーカーを含むことが好ましい。
ベクターが非組込みベクターの場合、さらに自己複製配列(ARS)を含むことが好ましい。これにより細胞内におけるベクターの安定性を向上させることができる(Myers、A.M.、et al.(1986)Gene 45:299−310)。
酵母を宿主細胞として用いる場合のベクターとしては、例えば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、YIp、pHS19、pHS15、pA0804、pHIL3Ol、pHIL−S1、pPIC9K、pPICZα、pGAPZα、pPICZ B等を挙げることができる。
酵母を宿主細胞とした場合のプロモーターは、上述した条件を満たすものであれば特に制限されない。プロモーターの具体例として、ガラクトース誘導性のgal 1プロモーター及びgal 10プロモーター;銅誘導性のCUP 1プロモーター;チアミン誘導性のnmt1プロモーター;並びにメタノール誘導性のAOX1プロモーター、AOX2プロモーター、DHASプロモーター、DASプロモーター、FDHプロモーター、FMDHプロモーター、MOXプロモーター、ZZA1、PEX5−、PEX8−及びPEX14−プロモーター等を挙げることができる。
酵母へのベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Methods Enzymol.,194,182(1990))、スフェロプラスト法(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,81,4889(1984))、酢酸リチウム法(J.Bacteriol.,153,163(1983))、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)記載の方法等を挙げることができる。
糸状真菌としては、例えば、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ウスチラーゴ(Ustilago)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ノイロスポラ(Neurospora)属、フザリウム(Fusarium)属、フミコーラ(Humicola)属、ペニシリウム(Penicillium)属、マイセリオフトラ(Myceliophtora)属、ボトリティス(Botryts)属、マグナポルサ(Magnaporthe)属、ムコア(Mucor)属、メタリチウム(Metarhizium)属、モナスカス(Monascus)属、リゾプス(Rhizopus)属、及びリゾムコア属に属する菌等を挙げることができる。
糸状真菌を宿主細胞とした場合のプロモーターは、上述した条件を満たすものであれば特に制限されない。プロモーターの具体例として、サリチル酸誘導性PR1aプロモーター;シクロヘキシミド誘導性Placcプロモーター;及びキナ酸誘導性Pqa−2プロモーター等を挙げることができる。
糸状真菌へのベクターの導入は,従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、Cohenらの方法(塩化カルシウム法)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69:2110(1972)]、プロトプラスト法[Mol.Gen.Genet.,168:111(1979)]、コンピテント法[J.Mol.Biol.,56:209(1971)]、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
〔組換えタンパク質の製造方法〕
本実施形態に係る組換えタンパク質の製造方法は、少なくとも生産工程を備える。生産工程は、本発明に係る組換え細胞をタンパク質生産培地中で培養する工程である。本実施形態に係る組換えタンパク質の製造方法は、生産工程の前に、上述した組換え細胞を前培養培地で培養する前培養工程を更に備えるものであってもよい。
組換え細胞を培養するためのタンパク質生産培地は特に限定されず、組換え細胞の種類に応じて、公知の天然培地又は合成培地から選択することができる。タンパク質生産培地としては、例えば、炭素源、窒素源、リン酸源、硫黄源、ビタミン類、ミネラル、栄養要求性により要求される栄養素、及びその他の各種有機成分や無機成分から選択される成分を必要に応じて含有する液体培地を用いることができる。培地成分の種類や濃度は、当業者が適宜設定してよい。
タンパク質生産培地は、天然由来成分を含むことが好ましい。天然由来成分は、天然物(例えば、酵母)そのもの、天然物からの抽出物(例えば、Yeast Extract)等の成分を意味する。天然由来成分は、通常、含まれる成分の種類及びそれぞれの含有量は完全に特定されていないものである。天然由来成分は、例えば、ビタミン類、低分子のペプチド(例えば、アミノ酸残基数2〜20のペプチド)及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
炭素源としては、グルコース、シュクロース、ラクトース、ガラクトース、フラクトースやでんぷんの加水分解物等の糖類、グリセロール、ソルビトール等のアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類が挙げられる。
炭素源としては、1種類であってもよく、2種類以上の炭素源を任意の比率で混合してもよい。タンパク質生産培地における炭素源の濃度は、0.1w/v%〜50w/v%程度、好ましくは0.5w/v%〜40w/v%程度、より好ましくは1w/v%〜30w/v%程度、特に好ましくは5w/v%〜20w/v%程度であってよい。本実施形態において、炭素源としてグリセロール又はグルコースを用いることが好ましく、グリセロール又はグルコースと他の炭素源とを任意の比率で混合してもよい。炭素源中のグリセロール又はグルコースの比率は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であることが望ましい。培養開始時の炭素源の好ましい初発濃度は上記のとおりであるが、培養中の炭素源の消費に応じて、炭素源を適宜に添加してもよい。
窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム塩、アンモニアガス、アンモニア水等の無機窒素塩、アミノ酸、ペプトン、エキス類、コーンスターチ製造工業における副産物であるコーンスティープリカー(CSL)等の有機窒素源が挙げられる。ペプトン類としては、カゼインペプトン、獣肉ペプトン、心筋ペプトン、ゼラチンペプトン、又は大豆ペプトン等が挙げられる。エキス類としては、肉エキス、酵母エキス、心臓浸出液(ハートインフュージョン)等が挙げられる。アミノ酸又はペプチドを含む窒素源としては、より低分子のペプチド及びアミノ酸の含有量が高いほうが好ましい。
リン酸源としては、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム等のリン酸塩、ピロリン酸等のリン酸ポリマーが挙げられる。
硫黄源としては、硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩等の無機硫黄化合物、システイン、シスチン、グルタチオン等の含硫アミノ酸が挙げられる。
ビタミン類としては、ビオチン、塩化コリン、シアノコバラミン、葉酸、イノシトール、ニコチン酸、4−アミノ安息香酸、パントテン酸、ピリドキシン、リボフラビン、チアンミン、チムジン等が挙げられる。ビタミン類の源としては、麦芽エキス、ポテトエキス、トマトジュース等の各種エキスが挙げられる。
ミネラルとしては、リン(P)の他に、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)等が挙げられる。
生産工程における培養は、例えば、通気培養又は振盪培養により、好気的に行うことができる。培養は、回分培養(batch culture)、流加培養(fed−batch culture)、連続培養(continuous culture)、又はそれらの組み合わせにより実施することができる。本発明に係る組換え細胞は、組換えタンパク質の生産能力を長時間維持できることから、生産工程における培養は、連続培養又は流加培養であることが好ましい。
タンパク質生産培地のpHは、例えば、3.0〜9.0であってよい。培養温度は、例えば、15〜40℃であってよい。培養時間は、例えば、1〜60時間であってよい。
培養条件は、上記組換え細胞が増殖でき、かつ目的タンパク質を発現している組換え細胞において目的タンパク質を蓄積させることができる限り、特に制限されない。なお、目的タンパク質が発現している期間においては、組換え細胞は増殖してもよく、しなくてもよい。培養条件は、目的タンパク質が発現する前の期間と発現を開始した後の期間において同一であってもよく、同一でなくてもよい。
培養温度は、通常、細胞の増殖に対して大きな影響を与える。一般的にいえば、増殖の下限の温度は細胞中の水分の凍結温度である0℃又はそれよりやや低い温度であり、上限の温度はタンパク質、核酸などの高分子化合物の変性温度で定まる。ある菌株について増殖可能な温度範囲は比較的せまく、例えば、大腸菌では増殖の下限温度は0〜15℃、上限は46℃、増殖至適温度は36〜42℃付近にある。増殖至適温度によって微生物を分類すると、20℃以下に至適温度のある好低温菌、20〜45℃に至適温度のある好中温菌、45℃以上に至適温度のある好熱菌にわけられる。ここで増殖至適温度とは、培養する微生物が最大の比増殖速度を得られる温度をいい、また、比増殖速度とは、単位微生物量あたりの増殖速度をいい、微生物に固有の値で、培養条件により変化する。
本発明の一実施形態において、「増殖至適温度」とは、pH、溶存酸素濃度などの培養温度以外の条件が、培養開始時に一定の場合に、微生物が最大の比増殖速度を得ることができる温度をいう。本発明の一実施形態において、組換え細胞が目的タンパク質を発現している際(目的タンパク質の発現が誘導性の場合には発現誘導後)に、培養温度の調整等により、組換え細胞の増殖至適温度よりも低い温度に上記組換え細胞を冷却又は維持することで、組換え細胞において目的タンパク質の発現量を増加させることができる。組換え細胞の増殖至適温度よりも低い温度とは、例えば、組換え細胞の増殖至適温度の下限値よりも3〜25℃低い温度であってよく、8〜20℃低い温度であってよく、10〜18℃低い温度であってよく、12℃〜18℃低い温度であってよく、14℃〜17℃低い温度であってよく、3〜10℃低い温度であってよく、5〜8℃低い温度であってよい。
(組換えタンパク質の発現誘導)
本実施形態に係る組換え細胞は、組換えタンパク質(目的タンパク質)の発現が誘導できるものであってもよい。組換えタンパク質の発現の誘導は、誘導性プロモーターによる転写(目的とするタンパク質をコードする核酸の転写)を活性化することにより行われる。誘導性プロモーターの活性化は、誘導性プロモーターの種類に応じて、当該技術分野で公知の方法に従って行うことができる。
例えば、イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)等の誘導物質(発現誘導剤)の存在により活性化される誘導性プロモーターを使用した場合、当該誘導物質を培養液に添加することにより、組換えタンパク質の発現を誘導することができる。誘導物質は、1度に、又は複数回に分けて培養液に添加してもよく、また、連続フィードにより培養液に添加してもよい。流加基質溶液に誘導物質を含有させてフィードしてもよい。添加する誘導物質の量は、誘導物質及び誘導性プロモーターの種類に応じて設定することができるが、例えば、組換え細胞の乾燥重量1g当たり0.1〜30μgの範囲とすることができ、好ましくは、0.5〜20μgの範囲である。
また例えば、温度の上昇又は低下により活性化される誘導性プロモーターを使用した場合、培養液の温度を上昇又は低下させることにより、組換えタンパク質の発現を誘導することができる。例えば、温度上昇により活性化されるλファージのPRプロモーター又はPLプロモーターを使用した場合、増殖時の培養液の温度を20〜37℃の範囲とすることで増殖時の組換えタンパク質の発現は抑えられ、次いで培養液の温度を38〜44℃に上昇させることにより、組換えタンパク質の発現を誘導させることができる。このときに熱ショックタンパク質による影響を緩和させるために、特開平6−292563号公報に記載のように増殖時の培養液のpHを6.5〜7.5とし、組換えタンパク質の発現誘導を開始する時点で培養液のpHを4.5〜6.5と変動させることにより、より安定した発現誘導を行うことができる。
組換え細胞の増殖を行う段階から、組換えタンパク質の発現を誘導する段階へ移行する時期には、特に制限はなく、培養システムの構成、生産プロセスの設計に応じて適宜設定することができる。組換えタンパク質の生産を効率よく行う観点からは、組換え細胞の増殖が対数増殖期の中期〜後期に達した時に、組換えタンパク質の発現の誘導を開始するのが好ましい。
組換え細胞の増殖は、遅延期又は誘導期(培養初期の細胞数の増加が遅い時期)から始まり、対数増殖期(単位時間ごとに細胞数が2倍と対数的に増加する時期)を経て、定常期(細胞の正味の数に変動の見られない時期)に至る。対数増殖期の中期とは、遅延期における細胞数と定常期における細胞数の中間程度の細胞数になる時期をいい、対数増殖期の後期とは、中期から定常期までの時期をいう。組換えタンパク質の発現の誘導を開始する時期の具体例として、例えば、定常期におけるOD600の値が約150になる組換え細胞の場合、OD600の値が30〜110に達した時期であるのが好ましく、40〜90に達した時期であるのがより好ましく、50〜80に達した時期であるのが更に好ましい。
組換えタンパク質の発現を誘導する時間は、使用する宿主、目的タンパク質の種類に応じて、設定した生産量に達するまで行えばよい。培養液の温度等の培養条件により生産速度は変化するため、組換えタンパク質の発現を誘導する時間を一義的に決める必要はない。次工程の組換えタンパク質の分離及び精製の進行に合わせて組換えタンパク質の発現を誘導する時間を設定してもよい。また、並行して行っている組換え細胞の増殖、及び当該増殖した組換え細胞の移送に影響がないように組換えタンパク質の発現を誘導する時間を設定することが、工業的生産においては好ましい。なお、本発明に係る組換え細胞は、組換えタンパク質の生産能力を長時間維持できることから、組換えタンパク質の発現を誘導する時間を長くする程有利である。したがって、一態様として、これに限定されるものではないが、生産工程は、発現誘導剤をタンパク質生産培地に添加して組換えタンパク質の発現誘導を行った後、9時間以上培養を行うものであってよく、12時間以上培養を行うものであってもよく、15時間以上培養を行うものであってもよい。
(前培養工程)
前培養工程は、生産工程の前に、組換え細胞を前培養培地で培養する工程である。前培養培地の具体的な態様は、上述したタンパク質生産培地で説明した態様と同様である。前培養培地は、タンパク質生産培地と同じであってもよく、異なっていてもよい。
〔発現構築物〕
本実施形態に係る発現構築物は、第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び前記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する。
本明細書において、「発現構築物」とは、目的タンパク質(組換えタンパク質)の発現を可能とする核酸を意味する。本実施形態に係る発現構築物は、例えば、必要最小限の構成を有する直鎖DNAの形態等であってもよく、ベクター等に必要最小限の構成が組み込まれた形態等であってよい。本実施形態に係る発現構築物の具体的な態様等は、組換え細胞で説明した態様等と同様である。
本実施形態に係る発現構築物は、宿主細胞に導入して、in vivoで目的タンパク質を発現するものであってもよく、無細胞でin vitroで目的タンパク質を発現するものであってもよい。
本実施形態に係る発現構築物を使用して、無細胞でin vitroで目的タンパク質を発現する場合は、本実施形態に係る発現構築物と、無細胞タンパク質合成用キットに通常含まれる各種成分とを含む、キットとして提供されてもよい。無細胞タンパク質合成用キットに通常含まれる各種成分としては、例えば、細胞抽出物、目的タンパク質合成のための基質、及び/又はエネルギー源、RNAポリメラーゼ、ポリアミン類、塩、酸化/還元調整剤等が挙げられる。これらの成分は、予め混合されていてもよく、独立してキットに含まれていてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)変異型T7プロモーターの作製
T7プロモーターに遺伝子工学的な手法を用いて変異を導入して、T7プロモーターよりも転写活性の弱まった変異型プロモーター(T7.5プロモーター:配列番号2、及びT7.51プロモーター:配列番号3)を取得した。
T7プロモーター、T7.5プロモーター、T7.51プロモーター及びT3プロモーターの転写活性を定量PCR法により測定した。具体的には、ReverTra Ace(登録商標)(TRT−101/TOYOBO)を用いて、付属のマニュアルに従って、転写活性を測定した。転写活性検出用プライマーとして、目的タンパク質(PRT799)をコードする塩基配列の部分配列に対応するGizaQ Cterm_F01(配列番号7)及びGizaQ Cterm_R01(配列番号8)のセットを使用し、対照用プライマーとして、定常発現遺伝子の部分配列に対応するrrsA F(配列番号9)及びrrsA R(配列番号10)のセットを使用した。
図1は、T7プロモーター(配列番号1)、T7.5プロモーター(配列番号2)、T7.51プロモーター(配列番号3)及びSPT3プロモーター(配列番号4)の転写活性を定量PCR法により測定した結果を示すグラフである。グラフの縦軸は、定常発現遺伝子に対する目的タンパク質遺伝子の転写活性の比率(この比率は、目的タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の転写活性値Cq1と、定常発現遺伝子であるリボソームをコードするポリヌクレオチド配列の転写活性値Cqrを用いて、2^(Cqr-Cq1)という計算式で算出したもの)を表す。グラフの横軸は、発現誘導後の時間である。図1に示すように、T7.5プロモーターは、T7プロモーターよりも転写活性が弱く、また転写活性を長時間維持できなかった。また、T7.51プロモーターは、T7プロモーターよりも転写活性が著しく弱くほとんど転写活性を検出できなかった。
(2)組換え細胞(改変フィブロインを発現する大腸菌株)の作製
(目的タンパク質)
ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)由来のフィブロイン(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列に基づき、配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する改変フィブロイン(以下、「PRT799」ともいう。)を設計した。配列番号5で示されるアミノ酸配列は、ネフィラ・クラビペス由来のフィブロインのアミノ酸配列に対して、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施したアミノ酸配列を有し、さらにN末端に配列番号6で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されている。
次に、PRT799をコードする核酸を合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト、終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。この核酸をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、pET−22b(+)ベクターに組み換えて、pET−22(+)/PRT799ベクターを得た。
(改変フィブロイン発現カセットの宿主染色体上への組込み)
宿主として大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)株を用い、以下(a)〜(c)の手法を用いて改変フィブロイン発現カセットを染色体上の3箇所に組み込み、改変フィブロイン発現カセットを3つ有する組換え細胞を取得した。
(a)attHK022
1つ目の改変フィブロイン発現カセットは、HK022ファージが溶原化する機構を利用して宿主染色体上に組み込んだ。当該機構は、宿主染色体の特定部位(attBサイト)とファージゲノムの特定部位(attP(HK022)サイト)との間での配列特異的な組み換えである。
図2は、HK022ファージが溶原化する機構を利用して、改変フィブロイン発現カセットを宿主染色体上に組み込む方法の概要を示す概略図である。まず、pET−22(+)/PRT799ベクターからNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して、PRT799をコードする核酸を切り出した後、attP(HK022)サイトを有するプラスミドベクターattHK022−Cm2−T7(T7プロモーター)又はattHK022−Cm2−T7.51(T7.51プロモーター)に組み換えて、attHK022−T7p−PRT799−T7t−FRT−Cm2−ori_R6K−FRTベクター又はattHK022−T7.51p−PRT799−T7t−FRT−Cm2−ori_R6K−FRTベクターを得た。次に、attHK022−T7p−PRT799−T7t−FRT−Cm2−ori_R6K−FRTベクター又はattHK022−T7.51p−PRT799−T7t−FRT−Cm2−ori_R6K−FRTベクターをそれぞれ宿主に導入して、宿主染色体上のattBサイトと同ベクターのattP(HK022)サイトとの間での配列特異的な組み換えにより改変フィブロイン(PRT799)発現カセットを宿主染色体上に組み込んだ。なお、宿主には、あらかじめint遺伝子を有するヘルパープラスミドpAH69(J.Bact 183:6384−6393)を導入してインテグラーゼを発現させた。その後、ヘルパープラスミドpCP20(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97: 6640−6645)を導入してFLPを発現させることにより、FRT配列で挟まれたクロラムフェニコール耐性遺伝子とori_R6K領域を除去した。
(b)attφ80
2つ目の改変フィブロイン発現カセットは、φ80ファージが溶原化する機構を利用して宿主染色体上に組み込んだ。当該機構は、宿主染色体の特定部位(attBサイト)とファージゲノムの特定部位(attPサイト)との間での配列特異的な組み換えである。
図3は、φ80ファージが溶原化する機構を利用して、改変フィブロイン発現カセットを宿主染色体上に組み込む方法の概要を示す概略図である。まず、pET−22(+)/PRT799ベクターからNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して、PRT799をコードする核酸を切り出した後、attP(φ80)サイトを有するプラスミドベクターattφ80−Km1_1−T7(T7プロモーター)又はattφ80−Km1_1−T7.51(T7.51プロモーター)に組み換えて、attφ80−ori_R6K−FRT−Km1−FRT−T7p−PRT799−T7t−FRTベクター又はattφ80−ori_R6K−FRT−Km1−FRT−T7.51p−PRT799−T7t−FRTベクターを得た。次に、上記(a)の方法で1つ目の改変フィブロイン発現カセットを組み込んだ宿主にattφ80−ori_R6K−FRT−Km1−FRT−T7p−PRT799−T7t−FRTベクター又はattφ80−ori_R6K−FRT−Km1−FRT−T7.51p−PRT799−T7t−FRTベクターをそれぞれ導入して、宿主染色体上のattBサイトと同ベクターのattP(φ80)サイトとの間での配列特異的な組み換えにより2つ目の改変フィブロイン(PRT799)発現カセットを宿主染色体上に組み込んだ。その後、ヘルパープラスミドpCP20を導入してFLPを発現させることにより、FRT配列で挟まれたカナマイシン耐性遺伝子を除去した。
(c)λRed_manX
3つ目の改変フィブロイン発現カセットは、λファージが有する相同組換えシステムを利用して宿主染色体上に組み込んだ。当該相同組換えシステムは、ファージゲノムのRed領域にあるexo、bet、gam遺伝子産物により相同組換えを生じるものである。
図4は、λファージが有する相同組換えシステムを利用して、改変フィブロイン発現カセットを宿主染色体上に組み込む方法の概要を示す概略図である。まず、pET−22(+)/PRT799ベクターを鋳型としてT7プロモーターに改変を導入するプライマーを用いたPCR法により改変フィブロイン発現カセット(manX5’相同配列−SPT3プロモーター−PRT799−T7ターミネータ−をこの順に含む。)を増幅した。同様に、pKD13−Cmベクターを鋳型としてPCR法によりクロラムフェニコール耐性遺伝子発現カセット(T7ターミネーター相同配列−FRT−クロラムフェニコール耐性遺伝子−FRT−manX3’相同配列をこの順に含む。)を増幅した。両PCR産物をIn−Fusion(登録商標)クローニングシステム(タカラバイオ株式会社製)を使用して連結した。次に、上記(a)及び(b)の方法で1つ目の改変フィブロイン発現カセット及び2つ目の改変フィブロイン発現カセットを組み込んだ宿主に連結したDNA断片を導入して、宿主染色体上のmanX5’相同配列とDNA断片上のmanX5’相同配列との間の相同組み換え、及び宿主染色体上のmanX3’相同配列とDNA断片上のmanX3’相同配列との間の相同組み換えにより、3つ目の改変フィブロイン(PRT799)発現カセットを宿主染色体上に組み込んだ。なお、宿主には、あらかじめexo、bet及びgam遺伝子をもつヘルパープラスミドpKD46(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97:6640−6645)を導入して、それぞれの遺伝子を発現させた。その後、ヘルパープラスミドpCP20を導入してFLPを発現させることにより、FRT配列で挟まれたクロラムフェニコール耐性遺伝子を除去した。
(3)改変フィブロインの発現及び評価
上記(2)の方法で取得した組換え細胞2種を使用し、改変フィブロイン(PRT799)の発現量を評価した。使用した2種の組換え細胞は、3つの改変フィブロイン発現カセットがいずれもT7プロモーターを有する組換え細胞(以下、「T7−T7−T7株」ともいう。)と、3つの改変フィブロイン発現カセットのうち、1つがT7プロモーターを有し、残りの2つがT7.51プロモーターを有する組換え細胞(以下、「T7−T7.51−T7.51株」ともいう。)である。
T7−T7−T7株及びT7−T7.51−T7.51株は、それぞれ2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、100mLのシード培養用培地(表2)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
当該シード培養液を500mLの生産培地(表3)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにした。
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(表4の流加基質溶液)を6g/時間の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにし、16時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度0.1mMになるよう添加し、改変フィブロインを発現誘導させた。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS−PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とする改変フィブロインサイズのバンドの出現により、目的とする改変フィブロインの発現を確認した。
回収した菌体を20mM Tris−HCl buffer(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社製)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8M グアニジン塩酸塩、10mM リン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収し、凍結乾燥機で水分を除き、凍結乾燥粉末を回収することにより、改変フィブロイン(PRT799)を得た。
得られた凍結乾燥粉末に対して、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、Totallab(nonlinear dynamics ltd.)を用いて画像解析を行い、改変フィブロインの生産量を評価した。凍結乾燥粉末の重量から計算した各改変フィブロインの生産量(細胞あたりの生産量)を、T7−T7−T7株における誘導時間15時間の値を100%としたときの相対値として、算出した。
(4)結果
図5は、T7−T7−T7株及びT7−T7.51−T7.51株のタンパク質(改変フィブロイン)生産量を評価した結果を示すグラフである。図5に示すように、3つの改変フィブロイン遺伝子の発現がいずれもT7プロモーターで駆動されるT7−T7−T7株よりも、3つの改変フィブロイン遺伝子の発現がそれぞれT7プロモーター又はT7.51プロモーターで駆動されるT7−T7.51−T7.51株の方が、タンパク質(改変フィブロイン)生産量が優れていた。また、誘導後の時間の経過と共にその差が大きくなっていた。これは、T7−T7.51−T7.51株が、組換えタンパク質の生産能力を長時間維持できることを反映していると考えられる。

Claims (20)

  1. 第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び前記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する、組換え細胞。
  2. 前記第二のプロモーターの転写活性が、前記第一のプロモーターの転写活性よりも弱い、請求項1に記載の組換え細胞。
  3. 前記第一のプロモーターと前記第二のプロモーターのポリヌクレオチド配列が少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項1又は2に記載の組換え細胞。
  4. 前記第一のプロモーターが、T7プロモーターである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  5. 前記第二のプロモーターが、配列番号2で示される塩基配列、及び配列番号3で示される塩基配列から選択される塩基配列を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  6. 第三のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第三の発現カセットを更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  7. 前記第三のプロモーターが、前記第一のプロモーター、又は前記第二のプロモーターと同じである、請求項6に記載の組換え細胞。
  8. 前記組換えタンパク質がフィブロインである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  9. 前記第一の発現カセット及び前記第二の発現カセットが、宿主ゲノムDNA中に組み込まれている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  10. 第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び前記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する、発現構築物。
  11. 前記第二のプロモーターの転写活性が、前記第一のプロモーターの転写活性よりも弱い、請求項10に記載の発現構築物。
  12. 前記第一のプロモーターと前記第二のプロモーターのポリヌクレオチド配列が少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項10又は11に記載の発現構築物。
  13. 前記第一のプロモーターが、T7プロモーターである、請求項10〜12のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  14. 前記第二のプロモーターが、配列番号2で示される塩基配列、及び配列番号3で示される塩基配列から選択される塩基配列を含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の組換え細胞。
  15. 第三のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第三の発現カセットを更に有する、請求項10〜14のいずれか一項に記載の発現構築物。
  16. 前記第三のプロモーターが、前記第一のプロモーター、又は前記第二のプロモーターと同じである、請求項15に記載の発現構築物。
  17. 第一のプロモーターに作動可能に連結された組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第一の発現カセット、及び前記第一のプロモーターとは異なる第二のプロモーターに作動可能に連結された前記組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の発現カセットを有する組換え細胞をタンパク質生産培地中で培養する生産工程を備える、前記組換えタンパク質の製造方法。
  18. 前記生産工程において、前記組換え細胞を連続培養又は流加培養で培養する、請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記生産工程は、発現誘導剤を前記タンパク質生産培地に添加して前記組換えタンパク質の発現誘導を行う発現誘導ステップを含む、請求項17又は18に記載の製造方法。
  20. 前記生産工程は、発現誘導剤を前記タンパク質生産培地に添加して前記組換えタンパク質の発現誘導を行った後、9時間以上培養を行うことを含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
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