以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態に係る圧電素子の平面図である。図2は、図1のII−II線に沿っての断面図である。図3は、図1の圧電素子の分解斜視図である。図1〜図3に示されるように、一実施形態に係る圧電素子10は、素体11と、複数の外部電極13,15とを有している。本実施形態では、圧電素子10は、一対の外部電極13,15を有している。
素体11は、直方体形状を呈している。素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、及び互いに対向している一対の側面11eを有している。直方体形状には、たとえば、角及び稜線が面取りされている直方体の形状、及び、角及び稜線が丸められている直方体の形状が含まれる。一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。一対の側面11cが対向している方向が、第二方向D2である。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11eが対向している方向が、第三方向D3である。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。
各主面11a,11bは、矩形状を呈している。各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子10(素体11)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、主面11a,11bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面11a,11bの短辺方向は、第二方向D2と一致する。
主面11aのうねりは、主面11bのうねりよりも大きい。ここで、うねりは、例えば、主面11aの長辺方向(第三方向D3)の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)である。主面11aは、主面11aの長辺方向に沿って山谷が形成された面である。主面11aには、主面11aの長辺方向に沿って山谷が交互に配置されている。主面11aは、主面11aの長辺方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が、主面11aの短辺方向(第二方向D2)の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)よりも大きくなるように形成されている。つまり、主面11aは、山谷が異方性を有するように形成されている。これに対し、主面11bは、略平面であり、主面11bの長辺方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が、主面11bの短辺方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)と同等となるように形成されている。主面11aの長辺方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、例えば50μm以上80μm以下であり、主面11aの短辺方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、例えば20μm以上50μm以下である。主面11bの長辺方向及び短辺方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、例えば20μm以上50μm以下である。
一対の側面11cは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。素体11の第一方向D1での長さ(厚さ)は、たとえば、500μmである。各主面11a,11bと各側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11c,11eとの間には、稜線部が位置する。
素体11は、複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,17eが第一方向D1に積層されて構成されている。素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,17eを有している。本実施形態では、素体11は、五つの圧電体層17a,17b,17c,17d,17eを有している。素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,17eが積層されている方向が第一方向D1と一致する。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17eは、主面11bを有している。圧電体層17b,17c,17dは、圧電体層17aと圧電体層17eとの間に位置している。
各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、圧電セラミック材料からなる。すなわち、素体11は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr,Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr,Ti)O3]、PZN[Pb(Zn,Nb)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eの第一方向D1での長さ(厚さ)は、たとえば、40μmである。圧電体層17aは、後述する電極層21が主面11a側から圧電体層17aを通して視認できる程度の透明度を有している。他の圧電体層17b,17c,17d,17eも圧電体層17aと同様の透明度を有している。
圧電素子10は、素体11内に配置された複数の電極層21,22,23,24を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、四つの電極層21,22,23,24を備えている。各電極層21,22,23,24は、内部電極である。各電極層21,22,23,24は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各電極層21,22,23,24は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
各電極層21,22,23,24は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。主面11aと電極層21とは、第一方向D1に間隔を有して互いに対向している。電極層21と電極層22とは、第一方向D1に間隔を有して互いに対向している。電極層22と電極層23とは、第一方向D1に間隔を有して互いに対向している。電極層23と電極層24とは、第一方向D1に間隔を有して互いに対向している。電極層24と主面11bとは、第一方向D1に間隔を有して互いに対向している。
電極層21は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。電極層22は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。電極層23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。電極層24は、圧電体層17dと圧電体層17eとの間に位置している。各電極層21,22,23,24は、素体11の表面には露出していない。すなわち、各電極層21,22,23,24は、側面11c及び側面11eから離間して設けられており、側面11c及び側面11eには露出していない。各電極層21,22,23,24は、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
各電極層21,22,23,24は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。各電極層21,22,23,24は、第一方向D1から見て(平面視で)、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。本実施形態では、各電極層21,22,23,24の長辺方向は、第三方向D3と一致している。各電極層21,22,23,24の短辺方向は、第二方向D2と一致している。第一方向D1から見て、電極層21,22,23,24の外縁は、互いに同形状を呈し、互いに一致している。
第一方向D1から見て、各電極層21,22,23,24の四つの角は、丸く、いわゆるR形状を有している。ここで、丸い角とは、2つの直線の交わりからなる角ではなく、2つの直線の端部同士が曲線で接続されてなる湾曲した角を意味する。
各外部電極13,15は、主面11aに配置されている。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3に並んでいる。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3で隣り合っている。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。矩形状は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。
一対の外部電極13,15は、第一方向D1から見て、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、各外部電極13,15の短辺方向は、第二方向D2と一致し、各外部電極13,15の長辺方向は、第三方向D3と一致している。各外部電極13,15の第二方向D2の長さは、例えば3mmである。各外部電極13,15の第三方向D3の長さは、例えば3.6mmである。一対の外部電極13,15の第三方向D3における離間距離は、例えば3.4mmである。
各外部電極13,15は、上述のような形状を有する主面11a上に形成されているので、主面11aの形状に沿った形状を呈する。つまり、各外部電極13,15の外表面には、主面11aの山谷が反映されている。各外部電極13,15の厚さ(第一方向D1の長さ)は、例えば1.5μm以上3.0μm以下である。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
外部電極13は、ビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、電極層21と同じ層に位置している。接続導体25は、電極層21の内側に位置している。電極層21には、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体25は、電極層21に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体25の全縁が、電極層21で囲まれている。
接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。電極層21と接続導体25とは、互いに離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13と対向している。ビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、ビア導体32を通して電極層22と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、電極層22と対向している。ビア導体32は、接続導体25と接続されていると共に、電極層22と接続されている。
電極層22は、ビア導体32を通して接続導体26と電気的に接続されている。接続導体26は、電極層23と同じ層に位置している。接続導体26は、電極層23の内側に位置している。電極層23には、第一方向D1から見て、外部電極13(接続導体25)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体26は、電極層23に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体26の全縁が、電極層23で囲まれている。
接続導体26は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。電極層23と接続導体26とは、互いに離間している。接続導体26は、第一方向D1で、電極層22と対向している。ビア導体33は、電極層22と接続されていると共に、接続導体26と接続されている。接続導体26は、ビア導体34を通して電極層24と電気的に接続されている。接続導体26は、第一方向D1で、電極層24と対向している。ビア導体34は、接続導体26と接続されていると共に、電極層24と接続されている。
外部電極15は、ビア導体35を通して電極層21と電気的に接続されている。電極層21は、第一方向D1で、外部電極15と対向している。ビア導体35は、外部電極15と接続されていると共に、電極層21と接続されている。
電極層21は、ビア導体36を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、電極層22と同じ層に位置している。接続導体27は、電極層22の内側に位置している。電極層22には、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体27は、電極層22に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体27の全縁が、電極層22で囲まれている。
接続導体27は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。電極層22と接続導体27とは、互いに離間している。接続導体27は、第一方向D1で、電極層21と対向している。ビア導体36は、電極層21と接続されていると共に、接続導体27と接続されている。接続導体27は、ビア導体37を通して電極層23と電気的に接続されている。接続導体27は、第一方向D1で、電極層23と対向している。ビア導体37は、接続導体27と接続されていると共に、電極層23と接続されている。
電極層23は、ビア導体38を通して接続導体28と電気的に接続されている。接続導体28は、電極層24と同じ層に位置している。接続導体28は、電極層24の内側に位置している。電極層24には、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体28は、電極層24に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体28の全縁が、電極層24で囲まれている。
接続導体28は、圧電体層17dと圧電体層17eとの間に位置している。電極層24と接続導体28とは、互いに離間している。接続導体28は、第一方向D1で、電極層23と対向している。ビア導体38は、電極層23と接続されていると共に、接続導体28と接続されている。
外部電極13は、ビア導体31、接続導体25、ビア導体32、電極層22、ビア導体33、接続導体26、ビア導体34、及び電極層24と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体35、電極層21、ビア導体36、接続導体27、ビア導体37、電極層23、ビア導体38、及び接続導体28と電気的に接続されている。
接続導体25,26,27,28及びビア導体31,32,33,34,35,36,37,38は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体25,26,27,28及びビア導体31,32,33,34,35,36,37,38は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,26,27,28は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。ビア導体31,32,33,34,35,36,37,38は、対応する圧電体層17a,17b,17c,17dを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
素体11の主面11bには、電極層21,23と電気的に接続されている導体と、電極層22,24と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。素体11の各側面11c,11eにも、電極層21,23と電気的に接続されている導体と、電極層22,24と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、各側面11cを第二方向D2から見たとき、各側面11cの全体が露出している。各側面11eを第三方向D3から見たとき、各側面11eの全体が露出している。
圧電体層17bにおける電極層21と電極層22とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける電極層22と電極層23とで挟まれた領域と、圧電体層17dにおける電極層23と電極層24とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な活性領域を構成する。すなわち、素体11では、電極層21と電極層22との間、電極層22と電極層23との間、及び、電極層23と電極層24との間に活性領域が形成される。第一方向D1から見て、電極層21,22,23,24の外縁が活性領域と、圧電的に不活性な不活性領域との境界となる。
本実施形態では、活性領域は、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15を囲むように位置している。第一方向D1から見て、素体11は、外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、活性領域を含んでいる。第一方向D1から見て、素体11は、外部電極13と外部電極15とが位置している領域の外側にも、活性領域を含んでいる。
図4は、図1の素体の平面図である。図4に示されるように、素体11の主面11aは、第一領域R1、第二領域R2、第三領域R3、及び第四領域R4を有している。本実施形態では、主面11aは、一対の第一領域R1、一対の第二領域R2、一つの第三領域R3、及び一つの第四領域R4を有している。
各第一領域R1には、各外部電極13,15が配置されている。各第一領域R1は、第一方向D1から見て、各外部電極13,15と重なっている。各第一領域R1は、矩形状を呈している。矩形状は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。一対の第一領域R1は、第三方向D3に並んでいる。一対の第一領域R1は、第三方向D3で隣り合っている。一対の第一領域R1は、互いに離間している。各第一領域R1は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。
本実施形態では、各第一領域R1の外縁は、第一方向D1から見て、各外部電極13,15の外側に位置している。すなわち、第一方向D1から見て、各第一領域R1の面積は、各外部電極13,15の面積よりも大きい。
各第二領域R2は、各第一領域R1を囲んでいる。各第二領域R2は、各第一領域R1の全体を囲んでいる。各第二領域R2は、枠状(例えば、矩形枠状)を呈している。各第二領域R2の幅は、各第二領域R2の全周にわたって略一定である。各第二領域R2の幅(第二領域R2の内縁と外縁との間の長さ)は、例えば0.2mm以上1.0mm以下であり、例えば0.4mmである。各第二領域R2の内縁は、各第一領域R1の外縁と一致している。一対の第二領域R2は、互いに離間している。第二領域R2は、第一領域R1と第三領域R3との間に配置されている。
第三領域R3は、一対の第二領域R2の両方を囲んでいる。第三領域R3の外縁は、矩形状を呈している。第三領域R3の外縁は、主面11aの外縁から離間している。第三領域R3は、第二領域R2及び第四領域R4の間と、隣り合う一対の第二領域R2の間と、に配置されている。第三領域R3は、第一方向D1から見て、電極層21と重なっている。第三領域R3は、第一方向D1から見て、各圧電体層17b,17c,17dの活性領域と重なっている。第三領域R3は、第一方向D1から見て、各圧電体層17b,17c,17dの活性領域と同形状を呈している。
第四領域R4は、第三領域R3の全体を囲んでいる。第四領域R4は、枠状(例えば、矩形枠状)を呈している。第四領域R4の幅は、第四領域R4の全周にわたって略一定である。第四領域R4の幅(第四領域R4の内縁と外縁との間の長さ)は、例えば0.2mm以上0.8mm以下であり、例えば0.3mmである。第四領域R4の内縁は、第三領域R3の外縁と一致している。第四領域R4の外縁は、主面11aの外縁と一致している。第四領域R4は、主面11aの外縁部である。
図5は、図4のV−V線に沿っての断面図である。図6は、図4のVI−VI線に沿っての断面図である。図5及び図6では、基準面の傾き、ノイズ、欠点、及びうねり成分が補正された断面図が模式的に示されている。図5及び図6に示されるように、主面11b(図2参照)を基準面とした場合に、基準面からの第一領域R1の高さは、基準面からの第二領域R2の高さよりも高い。以下、基準面からの各領域R1〜R4の高さを、単に、各領域R1〜R4の高さとも言う。各領域R1〜R4の高さは、基準面から各領域R1〜R4までの第一方向D1での長さである。
基準面は、例えば、主面11bの断面曲線の平均線(JIS−B0601(1994))を含む面であってもよい。基準面は、例えば、主面11bに接する平面であってもよく、主面11bが平面と接するように圧電素子10を平面上に載置した場合に、その平面を基準面としてもよい。各領域R1〜R4の高さは、例えば、各領域R1〜R4の断面曲線の平均線(JIS−B0601(1994))の基準面からの高さである。
第三領域R3の高さは、第一領域R1の高さよりも低く、第二領域R2の高さよりも高い。第一領域R1の高さは、第四領域R4の高さよりも高い。第二領域R2の高さは、第四領域R4の高さと同等である。第一領域R1の高さと、第二領域のR2の高さとの差は、例えば10μm以上15μm以下である。第一領域R1の高さと、第三領域のR3の高さとの差は、例えば2μm以上8μm以下であり、例えば5μmである。
各領域R1〜R4の形状は、例えば、三次元測定機を用いて主面11aの形状を測定することにより確認できる。第二領域R2は、第一領域R1よりも低く、第一領域R1を囲む枠状の領域として確認できる。外部電極13,15は、上述のように、主面11aの形状に沿った形状を呈するので、第一領域R1に外部電極13,15が形成されている場合、三次元測定機の測定結果から外部電極13,15の厚さ(例えば、平均厚さ)を引いた形状を、簡易的に第一領域R1の形状として扱ってもよい。
第一領域R1の粗さ(Ra)は、第三領域R3の粗さ(Ra)よりも大きい。第二領域R2の粗さ(Ra)は、第三領域R3の粗さ(Ra)よりも小さい。第四領域R4の粗さ(Ra)は、第二領域R2の粗さ(Ra)と同等である。主面11bの粗さ(Ra)は、第三領域R3の粗さ(Ra)と同等である。第一領域R1の粗さ(Ra)は、例えば2.2μm以上2.8μm以下である。第三領域R3の粗さ(Ra)は、例えば1.2μm以上1.8μm以下である。第二領域R2、第四領域R4、及び主面11bの粗さ(Ra)は、例えば0.9μm以上1.5μm以下である。
図7は、図1の圧電素子に配線部材を接続した状態を示す断面図である。図7に示されるように、圧電素子10には、配線部材50が接続される。配線部材50は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。配線部材50は、外部電極13,15と電気的に接続されている。配線部材50は、帯状のベース51と、一対の導体層53,55と、を備えている。
ベース51は、たとえば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなり、電気絶縁性を有する樹脂層である。各導体層53,55は、ベース51の主面上に接合されている。各導体層53,55は、たとえば、Cuからなる。各導体層53,55は、たとえば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体層53と導体層55とは、互いに離間して配置されている。
配線部材50は、各導体層53,55が各外部電極13,15と対向するように、主面11a上に配置されている。配線部材50は、接合部材61によって主面11aに接合されている。接合部材61は、第一方向D1から見て、図4に示される一対の第一領域R1の全体と、一対の第一領域R1の間に配置された一対の第二領域R2及び第三領域R3の一部とを少なくとも覆っている。接合部材61は、複数の導電性粒子(不図示)を含む樹脂層である。導電性粒子は、例えば、金属粒子、金めっき粒子である。接合部材61は、例えば熱硬化性エラストマーを含んでいる。接合部材61は、例えば、異方性導電ペースト又は異方性導電性膜が硬化することにより形成される。接合部材61は、各導体層53,55と各外部電極13,15とを電気的に接続している。
配線部材50は、接合部材62によっても主面11aに接合されている。接合部材62は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。接合部材62は、主面11aの一方の短辺に沿って配置されている。接合部材62は、配線部材50の幅方向(第二方向D2)の全体を主面11aに接合している。接合部材62は、接合部材61から第三方向D3で離間している。接合部材62は、たとえば、ニトリルゴムを含んでいる。接合部材62は、接合部材61に含まれる樹脂材料と同じ樹脂材料を含んでいてもよい。
以上説明したように、圧電素子10において、第一領域R1の高さは、第一領域R1を囲む第二領域R2の高さよりも高い。外部電極13,15は、第一領域R1に配置されているので、外部電極13,15が周りの第二領域R2から突出した状態となる。仮に、外部電極13,15が周りの第二領域R2から窪んだ状態になっている場合は、配線部材50が第二領域R2に阻害され、外部電極13,15に対する配線部材50の接合強度を容易に高め難い。これに対して、圧電素子10では、外部電極13,15に対する配線部材50の接合強度を容易に高めることができる。この結果、外部電極13,15と配線部材50との接続信頼性を向上させることができる。配線部材50として、FPC又はFFCのような帯状の配線部材を用いているので、外部電極13,15の外表面に反映された主面11aのうねりに沿って、配線部材50が滑らかに変形する。これにより、配線部材50と外部電極13,15との密着性が更に向上する。
圧電素子10では、第三領域R3の高さは、第一領域R1の高さよりも低い。このため、外部電極13,15が第三領域R3からも突出した状態となる。したがって、配線部材50が第三領域R3(特に、一対の第一領域R1の間に配置された部分)によっても阻害され難い。よって、外部電極13,15と配線部材50との接続信頼性を更に向上させることができる。
第一領域R1の粗さ(Ra)は、第三領域R3の粗さ(Ra)よりも大きい。このため、外部電極13,15と第一領域R1との接合強度が向上する。この結果、外部電極13,15と配線部材50との接続信頼性を更に向上させることができる。
主面11aのうねりは、主面11bのうねりよりも大きい。このように、主面11bのうねりが比較的小さいので、主面11bに被振動体を接触させた場合、被振動体に振動を伝え易い。上述のように、うねりは、例えば、主面11aの長辺方向(第三方向D3)の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)であり、主面11aは、第三方向D3に沿って山谷が形成された面である。これにより、主面11aが第三方向D3に容易に伸縮するので、圧電素子10の屈曲振動が阻害され難い。
実施例として、実施形態に対応する圧電素子を作製し、外部電極、第二領域、及び第三領域の粗さ(Ra)を測定した。素体は、主面のサイズを20mm×10mm、厚さを500μmとして形成した。素体の材料は、PZTを主成分にPZN[Pb(Zn,Nb)O3]を12.8%添加した圧電素体とした。外部電極は、厚さを2.0μmとして形成した。外部電極並びに内部電極を構成する電極層、接続導体及びビア導体の材料は、AgPd合金(比率95:5)とした。各領域の粗さ(Ra)は、JIS−B0601(2001)に従い、三次元測定機(キーエンスVK−X250)を用いて測定した。測定方向を主面の長辺方向(第三方向)として、15ライン測定した。
図8(a)は、外部電極の測定断面曲線を示すグラフである。ここでは、第二領域の内縁から約400μm内側の位置を、第二領域の内縁に沿って測定した。外部電極の粗さ(Ra)は、2.449μmであった。外部電極は、外部電極が形成されている主面の形状に沿った形状を呈するので、外部電極の粗さには、第一領域の粗さが反映されている。図8(b)は、第二領域の測定断面曲線を示すグラフである。ここでは、第二領域の内縁から約200μm外側の位置を、第二領域の内縁に沿って測定した。第二領域の粗さ(Ra)は、1.275μmであった。図8(c)は、第三領域の測定断面曲線を示すグラフである。ここでは、第二領域の外縁から約200μm外側の位置を、第二領域の外縁に沿って測定した。第三領域の粗さ(Ra)は、1.577μmであった。なお、図8(a)〜図8(c)では、高さ位置(第一方向の位置)が最も低い位置が縦軸の0として示されている。図8(a)〜図8(c)の測定断面曲線では、基準面の傾き、ノイズ、欠点、及びうねり成分が補正されている。
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
第一領域R1の高さは、少なくとも第二領域R2の高さよりも高ければよく、第三領域R3及び第四領域R4の高さよりも低くてもよい。外部電極13,15は、第一領域R1に配置されていればよく、第一領域R1の外縁は、第一方向D1から見て、外部電極13,15の外縁と一致していてもよい。第一領域R1の外縁は、第一方向D1から見て、外部電極13,15の外縁の内側に位置していてもよい。つまり、外部電極13,15が第一領域R1の外縁からはみ出して、第二領域R2、又は第二領域R2及び第三領域にも配置されていてもよい。第二領域R2の幅は、第二領域R2の周方向の位置によって異なっていてもよい。