以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
図1は、一実施形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層方向D1(第1方向)に積層された複数の蓄電モジュール4を含む蓄電モジュール積層体2と、積層方向D1において蓄電モジュール積層体2に拘束荷重を付加する拘束装置3とを備える。
蓄電モジュール積層体2は、複数(本実施形態では3体)の蓄電モジュール4と、複数(本実施形態では2枚)の導電板5とによって構成されている。蓄電モジュール4は、例えば後述するバイポーラ電極14を備えたバイポーラ電池であり、積層方向D1から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向D1に隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。各導電板5は、積層方向に隣り合う蓄電モジュール4間に配置されている。
各導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。各流路5aは、例えば積層方向D1と、後述する正極端子6b及び負極端子7bの延在する方向D2とにそれぞれ交差(例えば直交)する方向D3(図3参照)に互いに平行に延在している。これらの流路5aに冷媒を流通させることで、導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向D1から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束装置3は、蓄電モジュール積層体2を積層方向に挟む一対の拘束板8と、拘束板8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。各拘束板8は、複数の蓄電モジュール4の積層方向D1における端部(一端又は他端)に配置され、積層方向D1において複数の蓄電モジュール4に拘束荷重を付加する。各拘束板8は、積層方向D1から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。金属板は、例えばアルミニウム等からなる。
拘束板8の縁部には、蓄電モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8の挿通孔8aに向かって通され、他方の拘束板8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5が拘束板8によって挟持されて蓄電モジュール積層体2としてユニット化されると共に、蓄電モジュール積層体2に対して積層方向D1に拘束荷重が付加される。
一方の拘束板8と複数の蓄電モジュール4との間には、複数の蓄電モジュール4に電気的に接続された集電板6が配置される。集電板6は、積層方向D1において一端に位置する蓄電モジュール4に接続されている。集電板6は、積層方向D1に交差(例えば直交)する方向D2に延在する正極端子6bを有する。集電板6は、例えばアルミニウム等からなる。拘束板8と集電板6との間には、絶縁板Fが配置される。絶縁板Fによって、拘束板8と集電板6との間の短絡が抑制される。絶縁板Fは、例えばポリプロピレン(PP)等の耐強アルカリ性を有する樹脂材料からなる。絶縁板Fの厚みは例えば1〜2mmである。
他方の拘束板8と複数の蓄電モジュール4との間には、複数の蓄電モジュール4に電気的に接続された集電板7が配置される。集電板7は、積層方向D1において他端に位置する蓄電モジュール4に接続されている。集電板7は、積層方向D1に交差する方向D2に延在する負極端子7bを有する。集電板7は、例えばアルミニウム等からなる。拘束板8と集電板7との間には、絶縁板Fが配置される。絶縁板Fによって、拘束板8と集電板7との間の短絡が抑制される。正極端子6b及び負極端子7bにより、蓄電装置1の充放電が実施される。
次に、蓄電モジュール4の構成について更に詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電装置が備える蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。同図に示すように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を取り囲む樹脂製のシール部材12とを備えている。電極積層体11とシール部材12との間は封止(シール)される。
電極積層体11は、セパレータ13を介して積層方向D1に積層された複数の電極Eを含む。複数の電極Eは、複数のバイポーラ電極14と、負極終端電極18と、正極終端電極19とを含む。この例では、電極積層体11の積層方向D1は蓄電モジュール積層体2の積層方向D1と一致している。バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の一方面15aに設けられた正極16、電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極17は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向D1に隣り合う一方のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向D1に隣り合う他方のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
電極積層体11において、積層方向D1の一端には負極終端電極18が配置され、積層方向D1の他端には正極終端電極19が配置されている。負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の他方面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して積層方向D1の一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。負極終端電極18の電極板15の一方面15aには、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5が接触している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の一方面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19の電極板15の他方面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して積層方向D1の他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
電極板15は、金属製であり、例えばニッケル又はニッケルメッキ鋼板からなる。電極板15は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の周縁部15c(バイポーラ電極14の周縁部)は、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
シール部材12は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の枠状に形成されている。シール部材12を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。シール部材12は、電極積層体11を取り囲み、複数の電極板15の周縁部15cを保持するように構成されている。
シール部材12は、周縁部15cに設けられた一次シール21と、一次シール21の周囲に設けられた二次シール22とを有している。一次シール21は所定の厚さ(積層方向D1の長さ)を有するフィルムである。一次シール21は、積層方向D1から見て、矩形枠状をなし、例えば超音波又は熱により、周縁部15cの全周にわたって連続的に溶着されている。一次シール21は、電極板15の他方面15b側の周縁部15cに設けられている。一次シール21は、周縁部15cを埋設した状態で、周縁部15cに設けられ、電極板15の端面を覆っている。一次シール21は、積層方向D1から見て、正極16及び負極17から離間して設けられている。積層方向D1で隣り合う一次シール21同士は、互いに当接している。
一次シール21は、第1部分21aと第2部分21bとを有している。第1部分21aは、他方面15b上に設けられ、積層方向D1から見て電極板15と重なっている。第2部分21bは、第1部分21aと一体的に形成され、積層方向D1から見て電極板15の外側に設けられている。第1部分21aの厚さは、第2部分21bの厚さよりも薄く、負極17の厚さと同等であるが、同等以上であってもよい。第1部分21aと第2部分21bとの間には、積層方向D1に延在する段差面21cが形成されている。
第1部分21aの上面には、セパレータ13の外縁部が配置されている。積層方向D1から見て、第1部分21aとセパレータ13の外縁部とは互いに重なっている。セパレータ13の外縁部は、セパレータ13の外縁に沿って並ぶ複数箇所において、例えば溶着により第1部分21aの上面に固定されている。セパレータ13の外縁は、段差面21cに当接していてもよいし、段差面21cから離間していてもよい。本実施形態では、段差面21cの高さ(積層方向D1の長さ)は、セパレータ13の厚さと正極16の厚さとの和と同等であるが、同等以上であってもよい。
二次シール22は、電極積層体11及び一次シール21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。二次シール22は、例えば、後述するように樹脂の射出成形によって形成され、積層方向D1において電極積層体11の全長にわたって延在している。二次シール22は、積層方向D1を軸方向として延在する筒状部である。二次シール22は、積層方向D1に延在する一次シール21の外側面を覆っている。二次シール22は、一次シール21の外側面に接合され、一次シール21の外側面をシールしている。二次シール22は、例えば、射出成形時の熱によって一次シール21の外側面に溶着されている。二次シール22は、熱板溶着によって一次シール21の外側面に溶着されていてもよい。一次シール21を構成する樹脂材料と二次シール22を構成する樹脂材料とは互いに相溶可能である。一次シール21は例えばPPからなり、二次シール22は例えば変性PPEからなる。
電極積層体11内には複数の内部空間Vが設けられている。各内部空間Vは、隣り合う複数の電極E間に設けられる。内部空間Vは、積層方向D1で隣り合う電極板15の間において、当該電極板15とシール部材12とにより気密及び水密に仕切られた空間である。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。電解液は強アルカリ性なので、シール部材12は、耐強アルカリ性を有する樹脂材料により構成されている。
図3は、図1に示された蓄電装置の一部を示す平面図である。図3は、積層方向D1から見た拘束板8、絶縁板F及び集電板6を示す。以下では主に集電板6について説明するが、集電板7も集電板6と同様の構成を有するので集電板7についても集電板6と同様の作用効果が得られる。
図3に示されるように、拘束板8の複数の挿通孔8aのそれぞれは、積層方向D1から見て矩形状の拘束板8の4つの角部に設けられる。拘束板8は、積層方向D1に交差する方向D2に沿った長辺と、積層方向D1と方向D2の両方に交差(例えば直交)する方向D3に沿った短辺とを有する。拘束板8の長辺においては、2つの角部の間にも挿通孔8aが設けられている。
集電板6は、蓄電モジュール4に接続される本体部6aと、本体部6aの縁から突出する正極端子6bと、正極端子6bとは反対側に突出する突出部6cとを備える。本体部6a、正極端子6b及び突出部6cのそれぞれは、積層方向D1から見て例えば矩形状である。本体部6aの主面は、蓄電モジュール4に拘束荷重を付加する拘束面である。正極端子6bは、本体部6aの方向D3に沿った一方の縁から方向D2に突出する。突出部6cは、本体部6aの方向D3に沿った他方の縁から方向D2に突出する。方向D3における正極端子6b及び突出部6cの位置は互いにずれている。正極端子6b及び突出部6cの主面は、非拘束面である。積層方向D1から見て、正極端子6bの先端は、方向D2において拘束板8の縁よりも外側に位置している。積層方向D1から見て、突出部6cの先端は、方向D2において拘束板8の縁よりも内側に位置している。
絶縁板Fは、集電板6の本体部6aと拘束板8との間に配置される本体部Faと、本体部Faの縁から突出する端子支持部Fbと、端子支持部Fbとは反対側に突出する突出部Fcとを備える。端子支持部Fbは、正極端子6bを支持する。突出部Fcは、集電板6の突出部6cを支持する。本体部Fa、端子支持部Fb及び突出部Fcのそれぞれは、積層方向D1から見て例えば矩形状である。端子支持部Fbは、本体部Faの方向D3に沿った一方の縁から方向D2に突出する。突出部Fcは、本体部Faの方向D3に沿った他方の縁から方向D2に突出する。積層方向D1から見て、端子支持部Fbの先端は、方向D2において拘束板8の縁よりも外側に位置しているが、正極端子6bの先端より内側に位置している。このような端子支持部Fbによって、正極端子6bと拘束板8との間の適切な絶縁距離が保持される。積層方向D1から見て、突出部Fcの先端は、方向D2において拘束板8の縁よりも内側に位置している。
図4は、図3に示されたIV−IV線に沿った断面図である。図3及び図4に示されるように、絶縁板Fは、積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)における集電板6と絶縁板Fとの間の位置決めのための凸部F1(第1位置決め部)を有する。凸部F1は、絶縁板Fの縁において積層方向D1に突出する。凸部F1は、積層方向D1から見て、集電板6のうち正極端子6bの先端部分を除く部分を取り囲むように設けられている。この場合、凸部F1は、集電板6の縁に沿って延在する壁である。凸部F1により囲まれた空間(凹部)に集電板6が嵌め合わされる。凸部F1は、積層方向D1から見て、集電板6の4つの角部のみに設けられてもよいし、集電板6の4つの辺のみに設けられてもよい。凸部F1は位置決めピンであってもよい。
図4に示されるように、絶縁板Fは、積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)における絶縁板Fと拘束板8との間の位置決めのための凸部F2(第2位置決め部)を有する。凸部F2は、積層方向D1において凸部F1とは反対側に突出する。凸部F2は、積層方向D1から見て、集電板6の4つの角部に設けられているが、対角線上に位置する2つの角部のみに設けられてもよい。凸部F2の形状は、例えば円柱状等の柱状であるが、その他の形状であってもよい。拘束板8は、凸部F2に嵌め合わされる凹部8b(第2位置決め部)を有する。
図5は、図3に示されたV−V線に沿った断面図である。図3及び図5に示されるように、絶縁板Fは、積層方向D1における集電板6と絶縁板Fとの間の相対移動を規制する一対の爪部F3及びF4(規制部)を有する。各爪部F3は、端子支持部Fbに設けられた凸部F1の先端に位置する。一対の爪部F3は、集電板6の正極端子6b上において、互いに近づくように方向D3に延在している。方向D2に直交する断面において、爪部F3は例えば三角形の断面形状を有する。これにより、積層方向D1において集電板6の正極端子6bを爪部F3の傾斜面に押し付けることによって、正極端子6bを絶縁板Fの凸部F1間に嵌め込み易くなる。
各爪部F4は、突出部Fcに設けられた凸部F1の先端に位置する。一対の爪部F4は、集電板6の突出部6c上において、互いに近づくように方向D3に延在している。方向D2に直交する断面において、爪部F4は例えば三角形の断面形状を有する。これにより、積層方向D1において集電板6の突出部6cを爪部F4の傾斜面に押し付けることによって、突出部6cを絶縁板Fの凸部F1間に嵌め込み易くなる。
以上説明したように、蓄電装置1では、絶縁板Fが凸部F1を有するので、積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)における集電板6と絶縁板Fとの間の位置ずれを抑制できる。通常、集電板6の表面粗さは拘束板8の表面粗さよりも小さいので、集電板6と絶縁板Fとの間の界面は、拘束板8と絶縁板Fとの間の界面に比べて滑りやすい。そのような場合でも、凸部F1によって集電板6と絶縁板Fとの間の位置ずれを抑制できる。また、蓄電装置1を製造するために集電板6を絶縁板Fに取り付ける際に、集電板6と絶縁板Fとの位置合わせを迅速に行うことができる。さらに、絶縁板Fが凸部F1を有する場合、集電板6に第1位置決め部を設ける必要がないので、集電板6の形状の設計自由度が向上する。よって、打ち抜き加工によって得られる平板状の集電板6をそのまま用いることができる。
絶縁板Fが爪部F3及びF4を有すると、鉛直方向において集電板6が絶縁板Fの下方に位置しても、集電板6が絶縁板Fから離れて落下することを抑制できる。
さらに、絶縁板Fが凸部F2を有すると、積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)における絶縁板Fと拘束板8との間の位置ずれを抑制できる。積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)に配列される凸部F2の個数を増やしたり、積層方向D1に直交する各凸部F2の断面積を大きくしたりすると、積層方向D1に交差する方向の大きな荷重が凸部F2に付加されたとしても、凸部F2が破壊され難い。
図6は、第1変形例に係る蓄電装置を示す概略部分断面図である。本変形例に係る蓄電装置は、図4に示される拘束板8及び絶縁板Fに代えて、図6に示される拘束板108及び絶縁板F10を備えること以外は蓄電装置1と同じ構成を備える。拘束板108は、凹部8bに代えて凸部108b(第2位置決め部)を有すること以外は拘束板8と同じ構成を備える。絶縁板F10は、凸部F2に代えて凹部F12(第2位置決め部)を有すること以外は絶縁板Fと同じ構成を備える。拘束板108の凸部108bは、絶縁板F10の凹部F12に嵌め合わされる。凸部108bの形状は例えば円柱状等の柱状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
本変形例では、凸部F2に比べて剛性の高い凸部108bを用いているので、積層方向D1に交差する方向の大きな荷重が凸部108bに付加されたとしても、凸部108bが破壊され難い。
図7は、第2変形例に係る蓄電装置を示す概略部分断面図である。本変形例に係る蓄電装置は、図6に示される拘束板108及び絶縁板F10に代えて、図7に示される拘束板208及び絶縁板F20を備えること以外は第1変形例の蓄電装置と同じ構成を備える。拘束板208は、凸部108bに代えて凸部208b(第2位置決め部)を有すること以外は拘束板108と同じ構成を備える。絶縁板F20は、凹部F12を有していないこと以外は絶縁板F10と同じ構成を備える。拘束板208の凸部208bにより囲まれた空間(凹部)に絶縁板F20が嵌め合わされる。凸部208bは、積層方向D1から見て、絶縁板F20のうち端子支持部Fbの先端部分を除く部分を取り囲むように設けられている。この場合、凸部208bは、絶縁板F20の縁に沿って延在する壁である。凸部208bは、積層方向D1から見て、絶縁板F20の4つの角部のみに設けられてもよいし、絶縁板F20の4つの辺のみに設けられてもよい。凸部208bは位置決めピンであってもよい。
本変形例では、拘束板208に絶縁板F20を嵌め合わせる際に凸部208bが見えるので、嵌め合わせの作業効率が向上する。
図8は、第3変形例に係る蓄電装置を示す概略部分断面図である。本変形例に係る蓄電装置は、図4に示される拘束板8及び絶縁板Fに代えて、図8に示される拘束板308及び絶縁板F30を備えること以外は蓄電装置1と同じ構成を備える。拘束板308は、凹部8bに代えて、拘束板308を積層方向D1に貫通する開口部308bを有すること以外は拘束板8と同じ構成を備える。絶縁板F30は、凸部F2に代えて凸部F32を有すること以外は絶縁板Fと同じ構成を備える。絶縁板F30の凸部F32は、拘束板308の開口部308bに嵌め合わされる。
絶縁板F30の凸部F32は、例えば円柱状の基部F321(第2位置決め部)と、例えば先細りの円錐台状の爪部F322(規制部)とを有する。基部F321の外径は、爪部F322の最大外径(底面の外径)よりも小さい。基部F321は、本体部Faと爪部F322との間に位置する。基部F321は、例えば円筒状の開口部F321aを有する。爪部F322は、開口部F321aに連通する例えば円筒状の開口部F322aを有する。
拘束板308の開口部308bは、例えば円筒状の第1部分308b1(第2位置決め部)と、例えば第1部分308b1の径よりも大きい径を有する円筒状の第2部分308b2とを有する。第1部分308b1は、第2部分308b2と絶縁板30Fの本体部Faとの間に位置する。第1部分308b1には、凸部F32の基部F321が嵌め合わされる。基部F321は、積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)における絶縁板F30と拘束板308との間の位置決めを行う。第1部分308b1の内径は基部F321の外径と同じである。第2部分308b2には、凸部F32の爪部F322が配置される。爪部F322の最大外径は、第1部分308b1の径よりも大きい。そのため、爪部F322が第1部分308b1から抜け落ちないようになっている。爪部F322は、積層方向D1における絶縁板F30と拘束板308との間の相対移動を規制する。爪部F322の最小外径は、第1部分308b1の径以下である。
絶縁板F30の凸部F32は、例えば以下のようにして拘束板308の開口部308bに嵌め合わされる。まず、凸部F32の爪部F322を開口部308b内に挿入すると、爪部F322の傾斜した外面が開口部308bの内面によって押圧される。その結果、開口部F321a及びF322aが潰される。開口部F321a及びF322aが潰された状態では、爪部F322の最大外径は第1部分308b1の径以下となる。その結果、爪部F322が開口部308bを通過する。爪部F322が開口部308bを通過した後、開口部F321a及びF322aが広がって、爪部F322が第2部分308b2に配置される。
本変形例では、鉛直方向において絶縁板F30が拘束板308の下方に位置しても、爪部F322によって、絶縁板F30が拘束板308から離れて落下することを抑制できる。絶縁板F30が爪部F3及びF4を更に有している場合には、拘束板308、絶縁板F30及び集電板6を含む正極ユニットを下向きにひっくり返しても絶縁板F30及び集電板6が落下することを抑制できる。拘束板308、絶縁板F30及び集電板7を含む負極ユニットについても同様に絶縁板F30及び集電板7の落下を抑制できる。例えば蓄電装置1を製造する際に、正極ユニット上に蓄電モジュール積層体2及び負極ユニットを順に載置することがある。その場合、負極ユニットをひっくり返す際に、絶縁板F30及び集電板7の落下を抑制できる。
図9は、第4変形例に係る蓄電装置を示す概略部分断面図である。本変形例に係る蓄電装置は、図8に示される拘束板308及び絶縁板F30に代えて、図9に示される拘束板408及び絶縁板F40を備えること以外は蓄電装置1と同じ構成を備える。拘束板408は、開口部308bに代えて、突出部408bを有すること以外は拘束板308と同じ構成を備える。絶縁板F40は、凸部F32に代えて保持部F42を有すること以外は絶縁板F30と同じ構成を備える。絶縁板F30の保持部F42は、拘束板408の突出部408bに引っ掛かる。
拘束板408の突出部408bは、積層方向D1から見て拘束板408の縁から外側に突出する。積層方向D1における突出部408bの厚さは拘束板408の厚さよりも薄い。
絶縁板F40の保持部F42は、突出部408bの下面に沿って延在する基部F421と、基部F421に接続され、突出部408bの側面に沿って積層方向D1に延在する中間部F422(第2位置決め部)と、中間部F422に接続され、突出部408bの上面に沿って延在する爪部423(規制部)とを有する。中間部F422は、積層方向D1に交差する方向(例えば方向D2及びD3)における絶縁板F40と拘束板408との間の位置決めを行う。爪部F423は、突出部408bの上面に引っ掛かることによって、積層方向D1における絶縁板F40と拘束板408との間の相対移動を規制する。
本変形例では、鉛直方向において絶縁板F40が拘束板408の下方に位置しても、絶縁板F40が拘束板408から離れて落下することを抑制できる。絶縁板F40が爪部F3及びF4を更に有している場合には、拘束板408、絶縁板F40及び集電板6を含む正極ユニットを下向きにひっくり返しても絶縁板F40及び集電板6が落下することを抑制できる。拘束板408、絶縁板F40及び集電板7を含む負極ユニットについても同様に絶縁板F40及び集電板7の落下を抑制できる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、絶縁板Fは凸部F1及びF2のうちいずれか一方のみを有してもよい。
絶縁板Fの凸部F1は、集電板6の凹部に嵌め合わされてもよい。絶縁板Fが凸部F1を有しておらず、絶縁板F全体が集電板6の凹部に嵌め合わされてもよい。絶縁板Fが凹部を有しており、集電板6が、絶縁板Fの凹部に嵌め合わされる凸部を有してもよい。
集電板が位置決め部を有し、集電板と絶縁板との間の位置決め及び集電板と拘束板との間の位置決めのうち少なくとも一方を行ってもよい。
拘束板が位置決め部を有し、拘束板と絶縁板との間の位置決め及び拘束板と集電板との間の位置決めのうち少なくとも一方を行ってもよい。例えば、拘束板が有する位置決め部としての絶縁性のピンが、絶縁板に設けられた貫通孔及び、集電板に設けられた凹部と位置決めを行ってもよい。
位置決め部は、正極ユニット(正極側に位置する集電板、絶縁板及び拘束板)のみに設けられてもよいし、負極ユニット(負極側に位置する集電板、絶縁板及び拘束板)のみに設けられてもよいし、正極ユニット及び負極ユニットの両方に設けられてもよい。