JP2019129031A - 蓄電モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供する。【解決手段】蓄電モジュール4は、積層方向Dに沿って積層された複数の電極を含む電極積層体11と、電極積層体11に設けられた封止体12と、封止体12に設けられ、封止体12の変形を抑制するための補強体23と、を備えている。電極は、複数のバイポーラ電極14と、負極終端電極18と、正極終端電極19と、を含んでいる。封止体12は、電極の縁部に接合された複数の第1樹脂部21と、複数の第1樹脂部21を外側から包囲するように第1樹脂部21に接合された第2樹脂部22と、を含んでいる。補強体23は、積層方向Dから見て、負極終端電極18及び第1樹脂部21に重複するように、一端側の第1樹脂部21の負極終端電極18とは反対側の第3面21aに接合されている。【選択図】図2
Description
本発明は、蓄電モジュールに関する。
特許文献1には、バイポーラ電池が記載されている。このバイポーラ電池は、積層された複数枚のバイポーラ電極を含む電池要素を備える。バイポーラ電極は、集電体と、集電体の片方の面上に設けられた正極層と、集電体の他方の面上に設けられた負極層と、を有する。また、このバイポーラ電池は、電池要素の外部を被覆する樹脂群を備えている。樹脂群は、電池内部の電解液等が外部に漏液しないように電池要素を気密に維持するために設けられている。
上記のバイポーラ電池にあっては、例えば内圧が上昇したとき、中間部に位置するバイポーラ電極においては荷重がキャンセルされるものの、最外部のバイポーラ電極においては荷重がキャンセルされず、集電体及び樹脂群の変形のおそれがある。その場合、樹脂群と集電体との間に隙間が生じて電解液の漏液が発生したり、樹脂群の破損が生じたりする場合がある。特に、最外部に負極層が位置しており、且つ、電解液がアルカリ水溶液からなる場合には、いわゆるアルカリクリープ現象によって、当該隙間からの電解液の漏液が発生しやすくなる。このような状況にあっては、上記のバイポーラ電池といった蓄電モジュールにあっては、漏液や破損を抑制して信頼性を向上することが望ましい。
そこで、本発明は、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供することを目的とする。
本発明の蓄電モジュールは、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む積層体と、電極の縁部を包囲するように積層体に設けられた封止体と、封止体に設けられ、封止体の変形を抑制するための補強体と、を備え、電極は、複数のバイポーラ電極と、負極終端電極と、正極終端電極と、を含み、バイポーラ電極は、電極板と、電極板の第1面に設けられた正極と、電極板の第1面の反対の第2面に設けられた負極と、を含み、負極終端電極は、電極板と第2面に設けられた負極とを含み、第2面が積層体の内側になるように、第1方向の積層体の一端に配置されており、正極終端電極は、電極板と第1面に設けられた正極とを含み、第1面が積層体の内側になるように、第1方向の積層体の他端に配置されており、封止体は、電極の縁部に接合された複数の第1封止部と、複数の第1封止部を外側から包囲するように第1封止部に接合された第2封止部と、を含み、補強体は、第1方向から見て、負極終端電極及び第1封止部に重複するように、一端側の第1封止部の負極終端電極とは反対側の第3面に接合されている。
この蓄電モジュールにおいては、一端側の第1封止部の第3面には、補強体が接合されている。補強体は、第1方向から見て、負極終端電極及び第1封止部に重複している。このため、第1封止部が補強体によって補強されることで、第1封止部の変形が抑制される。これにより、負極終端電極側における漏液や第1封止部等の破損が抑制される。よって、この蓄電モジュールによれば、信頼性が向上される。
本発明の蓄電モジュールにおいては、補強体の剛性は、第1封止部の剛性よりも大きくてもよい。この場合、第1封止部よりも剛性が大きい補強体によって、第1封止部の変形がより確実に抑制される。
本発明の蓄電モジュールにおいては、補強体の材質は、電極板の材質と同一であってもよい。この場合、電極板と補強体との間で母材を共通化できる。
本発明の蓄電モジュールにおいては、補強体の第1封止部側の第4面は、粗面化されており、第3面に溶着されていてもよい。この場合、補強体と第1封止部とをより確実に接合することによって、第1封止部の変形をより確実に抑制することができる。
本発明の蓄電モジュールにおいては、補強体は、第1方向から見て、負極終端電極の外縁から第1封止部の内縁に至るように延在していてもよい。この場合、第1封止部の変形がより確実に抑制される。
本発明の蓄電モジュールにおいては、補強体は、一体的に形成されていてもよい。この場合、第1封止部の変形がより確実に抑制される。
本発明の蓄電モジュールにおいては、補強体は、第1方向から見て複数の部分に分割されていてもよい。この場合、補強体の設計の自由度が向上される。
本発明によれば、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の内側面(モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体(積層体)11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12と、封止体12に設けられ、封止体12の変形を抑制するための補強体23と、を備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18、及び、単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。
バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の第1面15aに設けられた正極16、電極板15の第1面15aの反対の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、その第2面15bが電極積層体11の内側(積層方向Dについての中心側)になるように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、その第1面15aが電極積層体11の内側になるように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、縁部15cに溶着された複数の第1樹脂部(複数の第1封止部)21と、側面11aに沿って第1樹脂部21を外側から包囲するように第1樹脂部21に接合された単一の第2樹脂部(第2封止部)22と、を有している。
第1樹脂部21は、積層方向Dから見て、矩形環状をなし、縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。第1樹脂部21は、電極板15の第1面15aに気密に接合(例えば溶着)されている。第1樹脂部21は、例えば超音波又は熱によって溶着されている。第1樹脂部21は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。電極板15の端面は、第1樹脂部21から露出している。第1樹脂部21の内側の一部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の縁部15c同士の間に位置しており、外側の一部は、電極板15から外側に張り出している。第1樹脂部21は、当該外側の一部において第2樹脂部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1樹脂部21同士は、互いに離間している。
バイポーラ電極14に設けられた第1樹脂部21の内側には、段差部21dが設けられている。段差部21dは、積層方向Dから見て、内縁の大きさが相違する二つの部材が積層されることによって形成されている。なお、段差部21dは、一体的に形成された第1樹脂部21に形成されていてもよい。段差部21d上には、セパレータ13の縁部が載置されている。
第2樹脂部22は、電極積層体11及び第1樹脂部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2樹脂部22は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2樹脂部22は、積層方向Dを軸方向として延在する筒状(環状)を呈している。第2樹脂部22は、例えば、射出成型時の熱によって第1樹脂部21の外表面に溶着(接合)されている。
第2樹脂部22は、第1樹脂部21と共に、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
第1樹脂部21及び第2樹脂部22は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
図3は、電極板と第1樹脂部との接合界面を示す概略断面図である。図3に示されるように、電極板15の表面は粗面化されている。ここでは、図2に示される第1面15a、第2面15b及び端面を含む電極板15の表面全体が粗面化されている。電極板15の表面は、例えば、電解メッキ処理で複数の突起15pが形成されることにより粗面化されている。このように電極板15が粗面化されている場合、電極板15と第1樹脂部21との接合界面では、溶融状態の第1樹脂部21が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、電極板15と第1樹脂部21との結合力を向上させることができる。少なくとも、第1面15aにおける縁部15cが粗面化されていれば、結合力向上の効果が得られる。突起15pは、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。この場合、互いに隣接する突起15pの間の断面形状はアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。なお、図3は模式図であって、突起15pの形状及び密度等は特に限定されない。
図4は、蓄電モジュール4の平面図である。図2及び図4に示されるように、補強体23は、負極終端電極18(積層方向Dの一端側)に設けられた第1樹脂部21の負極終端電極18とは反対側の第3面21aに接合されている。補強体23は、平板状をなしている。また、補強体23は、積層方向Dから見て、矩形環状をなし、第1樹脂部21の全周に亘って連続的に設けられている。つまり、補強体23は、一体的に形成されている。補強体23は、積層方向Dから見て、負極終端電極18及び第1樹脂部21に重複するように設けられている。
補強体23は、積層方向Dから見て、負極終端電極18の外縁(ここでは、電極板15の外縁15d)から第1樹脂部21の内縁21cに至るように延在している。つまり、積層方向Dから見て、補強体23の内縁23cは、第1樹脂部21の内縁21cと一致しており、補強体23の外縁23dは、負極終端電極18の電極板15の外縁15dと一致している。なお、図4においては、視認の便宜のため、第1樹脂部21の内縁21c及び電極板15の外縁15dのそれぞれを補強体23の内縁23c及び外縁23dのそれぞれとずらして点線で示している。補強体23の剛性は、第1樹脂部21の剛性よりも大きい。補強体23の材質は、例えば、電極板15の材質と同一である。また、補強体23の厚さ及び外形は、例えば、電極板15と同一である。
補強体23の第1樹脂部21側の第4面23bは、粗面化されており、第1樹脂部21の第3面21aに溶着されている。第4面23bは、電極板15と同様に、例えば、電解メッキ処理で複数の突起が形成されることにより粗面化されている。このように第4面23bが粗面化されている場合、補強体23と第1樹脂部21との接合界面では、溶融状態の第1樹脂部21が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、補強体23と第1樹脂部21との結合力を向上させることができる。突起は、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。この場合、互いに隣接する突起の間の断面形状はアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。
続いて、蓄電モジュール4の作用・効果について説明する。図5は、比較例に係る蓄電モジュールの一部拡大断面図である。図6は、比較例に係る蓄電モジュールで生じる問題点を説明するための図である。図5,6に示されるように、比較例に係る蓄電モジュール400は、補強体23を備えていない。
このため、内圧の上昇に伴って負極終端電極18の電極板15に荷重が付加されると、当該電極板15に溶着された第1樹脂部21が変形するおそれがある。この場合、第1樹脂部21と電極板15との間に隙間が生じ(例えば、図6に示されるように、電極板15と第1樹脂部21との間に隙間Wが形成され)、当該隙間を介して電解液Lの漏液が生じるおそれがある。また、第1樹脂部21の変形が大きくなると、第1樹脂部21の破損が生じる可能性もなる。電解液Lの漏液については、特に、負極終端電極18側において、アルカリクリープ現象に起因して生じやすい。
蓄電モジュールでは、いわゆるアルカリクリープ現象により、電解液Lが負極終端電極18の電極板15上を伝わり、封止体12Aの第1樹脂部21と電極板15との間の隙間Wを通って電極板15の第1面15a側に滲み出ることがある。図5には、アルカリクリープ現象における電解液Lの移動経路が矢印Aで示されている。このアルカリクリープ現象は、電気化学的な要因と流体現象等により、蓄電装置の充電時及び放電時並びに無負荷時において生じ得る。アルカリクリープ現象は、負極電位、水分、及び電解液Lの通り道がそれぞれ存在することにより生じる。
これに対して、蓄電モジュール4によれば、アルカリクリープ現象に起因した漏液や第1樹脂部21の破損を抑制し、信頼性を向上可能である。すなわち、蓄電モジュール4においては、一端側の第1樹脂部21の第3面21aには、補強体23が接合されている。しかも、補強体23は、積層方向Dから見て、負極終端電極18及び第1樹脂部21に重複している。このため、第1樹脂部21における負極終端電極18との重複する部分が補強体23によって補強される。これにより、第1樹脂部21における上記重複する部分の(ここでは、積層方向Dにおける)変形が抑制される。したがって、負極終端電極18側(ここでは、第1樹脂部21と負極終端電極18との接合部分)における漏液や第1樹脂部21等の破損が抑制される。よって、蓄電モジュール4によれば、信頼性が向上される。
また、蓄電モジュール4においては、補強体23の剛性が、第1樹脂部21の剛性よりも大きい。このため、第1樹脂部21よりも剛性が大きい補強体23によって、第1樹脂部21の変形がより確実に抑制される。
また、蓄電モジュール4においては、補強体23の材質が、電極板15の材質と同一である。このため、電極板15と補強体23との間で母材を共通化できる。また、補強体23が、アルカリ性溶液からなる電解液Lにより腐食されることが抑制される。
また、蓄電モジュール4においては、補強体23の第4面23bが、粗面化されており、第3面21aに溶着されている。このため、補強体23と第1樹脂部21とをより確実に接合することによって、第1樹脂部21の変形をより確実に抑制することができる。
また、蓄電モジュール4においては、補強体23が、積層方向Dから見て、電極板15の外縁15dから第1樹脂部21の内縁21cに至るように延在している。このため、第1樹脂部21の変形がより確実に抑制される。
また、蓄電モジュール4においては、補強体23が、一体的に形成されている。このため、第1樹脂部21の変形がより確実に抑制される。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
実施形態において、補強体23が一体的に形成されている例を示したが、補強体は、積層方向Dから見て複数の部分に分割されてもよい。図7は、変形例に係る蓄電モジュールの平面図である。図7に示されるように、変形例に係る蓄電モジュール4Aは、蓄電モジュール4と比較して、補強体23に代えて補強体23Aを備える点で相違しており、他の点では同一である。補強体23Aは、ここでは一対の第1補強部24と、一対の第2補強部25と、を有している。第1補強部24及び第2補強部25は、積層方向Dから見て長方形状を呈している。
積層方向Dから見て、第1補強部24は、互いに平行となるように配置されている。第2補強部25は、第1補強部24の長手方向の両端において、第1補強部24同士を接続するように互いに平行に配置されている。このように、補強体23Aは、一対の第1補強部24及び一対の第2補強部25により、積層方向Dから見て内縁23c及び外縁23dを含む矩形環状を呈するように構成されている。積層方向Dから見て、補強体23Aの全体としての外形・配置は、補強体23と同様である。この場合、補強体23Aの設計の自由度が向上される。なお、補強体23Aが分割される個数は、この例に限定されない。
また、実施形態において、補強体23の材質が電極板15の材質と同一である例を示したが、補強体23は、第1樹脂部21の変形を抑制することができれば、様々な材質とすることができる。補強体23は、例えば、アルミ等であってもよい。
また、補強体23の第4面23bが粗面化され、第3面21aに溶着されている例を示したが、補強体23は、第3面21aに接合されていればよい。例えば、接着材等を用いて補強体23を第3面21aに接合してもよい。また、第4面23bは粗面化されていなくてもよい。例えば、補強体23が、接着材を用いて第3面21aに接着される場合、又は、補強体23自身が溶着されるときに接着材のような性質を持つ材質(例えば、酸変性PP等)である場合には、第4面23bは粗面化されていなくてもよい。
また、実施形態において、補強体23が、積層方向Dから見て、電極板15の外縁15dから第1樹脂部21の内縁21cに至るように延在している例を示したが、補強体23は、積層方向Dから見て、負極終端電極18及び第1樹脂部21に重複するように設けられていれば、その範囲は限定されない。例えば、補強体23は、積層方向Dから見て、第2樹脂部22から露出された第1樹脂部21の第3面21aの全面に設けられていてもよい。また、補強体23は、積層方向Dから見て、負極終端電極18と第1樹脂部21との重複する部分よりも狭い範囲に設けられていてもよい。
4…蓄電モジュール、11…電極積層体(積層体)、12…封止体、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…第1面、15b…第2面、15c…縁部、16…正極、17…負極、18…負極終端電極、19…正極終端電極、21…第1樹脂部(第1封止部)、21a…第3面、22…第2樹脂部(第2封止部)、23…補強体、D…積層方向(第1方向)。
Claims (7)
- 第1方向に沿って積層された複数の電極を含む積層体と、
前記電極の縁部を包囲するように前記積層体に設けられた封止体と、
前記封止体に設けられ、前記封止体の変形を抑制するための補強体と、
を備え、
前記電極は、複数のバイポーラ電極と、負極終端電極と、正極終端電極と、を含み、
前記バイポーラ電極は、電極板と、前記電極板の第1面に設けられた正極と、前記電極板の前記第1面の反対の第2面に設けられた負極と、を含み、
前記負極終端電極は、前記電極板と前記第2面に設けられた負極とを含み、前記第2面が前記積層体の内側になるように、前記第1方向の前記積層体の一端に配置されており、
前記正極終端電極は、前記電極板と前記第1面に設けられた正極とを含み、前記第1面が前記積層体の内側になるように、前記第1方向の前記積層体の他端に配置されており、
前記封止体は、前記電極の縁部に接合された複数の第1封止部と、前記複数の第1封止部を外側から包囲するように前記第1封止部に接合された第2封止部と、を含み、
前記補強体は、前記第1方向から見て、前記負極終端電極及び前記第1封止部に重複するように、前記一端側の前記第1封止部の前記負極終端電極とは反対側の第3面に接合されている、
蓄電モジュール。 - 前記補強体の剛性は、前記第1封止部の剛性よりも大きい、
請求項1に記載の蓄電モジュール。 - 前記補強体の材質は、前記電極板の材質と同一である、
請求項1又は2に記載の蓄電モジュール。 - 前記補強体の前記第1封止部側の第4面は、粗面化されており、前記第3面に溶着されている、
請求項1〜3の何れか一項に記載の蓄電モジュール。 - 前記補強体は、前記第1方向から見て、前記負極終端電極の外縁から前記第1封止部の内縁に至るように延在している、
請求項1〜4の何れか一項に記載の蓄電モジュール。 - 前記補強体は、一体的に形成されている、
請求項1〜5の何れか一項に記載の蓄電モジュール。 - 前記補強体は、第1方向から見て複数の部分に分割されている、
請求項1〜5の何れか一項に記載の蓄電モジュール。
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