<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して第1の実施の形態について説明する。
図1乃至図18は第1の実施の形態によるカード反転移送システムを示す図である。
まず図3により、反転移送システムが組み込まれたカードプリンタ20について述べる。カードプリンタ20は、図2Aおよび図2Bに示すようなICチップ1aを含むICカード(以下、単にカードともいう)1の表面2に対して各個人の必要な表面情報2aおよび顔画像情報2bを印字するとともに、ICカード1の裏面3に対して裏面情報3aを印字し、ICチップ1a内に表面情報2aおよび裏面情報3aを書込んで、例えば社員カード、銀行カード、運転免許証等のICカード1を作製するものである。このようなICカード1は長辺l1と、短辺l2とを有する。
ここで必要な表面情報2aとは、当該個人の氏名、および住所等が考えられる。また裏面情報3aとは表面に書き込めない備考等の詳細情報が考えられ、またICカード1の表面2に個人のID番号(ID情報)2cを印字してもよい。本実施の形態において、カードプリンタ20により、例えば、運転免許証が作製される。
またカードプリンタ20においては、ICカード1のICチップ1a内に、表面情報2aが書込まれる。
さらにカードプリンタ20の下流側には、ICカード1のICチップ1a内に裏面情報3aを書き込み、かつICカード1の裏面に裏面情報3aを印字する裏面書込機能付プリンタ40が接続されている(図3参照)。
さらにこの裏面書込機能付プリンタ40には、ICカード1のICチップ1aから裏面情報3aを読み取り、裏面情報3aのうちICカード1の裏面3に印字できない追記情報を印字して追記情報ラベルを作製するとともに、この追記情報ラベルを発行する追記情報ラベル発行部28が接続されている(図3参照)。
なお、カードプリンタ20はICカードの代わりにICチップを有しないカードに対して印字のみを施すこともできる。
次に図3によりカードプリンタ20の概略を示す。
図3に示すようにカードプリンタ20は、ケーシング20Aと、ケーシング20A内上方に設けられICカード1を積層して収納する4台のカードマガジン21と、各カードマガジン21からのICカード1を移送して反転する本実施の形態によるカード反転移送システム50と、カード反転移送システム50の下流側に設けられ、ICカード1の表面2に顔画像情報2bを印字するY印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24とを有している。このうちY印刷部22はICカード1の表面2にイエロー印刷を施すものであり、M印刷部23はICカード1の表面2にマゼンタ印刷を施すものであり、C印刷部24はICカード1の表面2にシアン印刷を施すものであり、Y印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24により顔画像情報2bが印字される。
またC印刷部24の下流側には、Y印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24によって印刷されたインキをICカード1の表面に定着させるインキ定着部25が設けられ、さらにインキ定着部25の下流側にはICカード1の表面2に表面情報2aおよびID情報2cを印字する表面印字部26が設けられている。この場合、Y印刷部22、M印刷部23、C印刷部24、インキ定着部25および表面印字部26によってプリンタ部22〜26が構成されている。
表面印字部26を通過したICカード1は、その後、第1リーダライタ27に送られ、落下部38からケーシング20A下方にある搬送ライン33へ送られる。
このうち、第1リーダライタ27は、ICカード1のICチップ1aに表面情報2aおよびID情報2cを書込むものである。
さらに搬送ライン33に沿って、ICカード1の表面2に印字された表面情報2aおよび顔画像情報2bを保護するためICカード1の表面2上に第1保護シート(図示せず)を設ける第1保護シート形成部29が設けられ、第1保護シート形成部29の下流側に第1保護シート上に更に第2保護シート(図示せず)を設ける第2保護シート形成部30が設けられている。
また搬送ライン33の下流側には、表面情報2a、顔画像情報2b、ID情報2cが表面2に印字され、かつICチップ1a内に表面情報2aおよびID情報2cが書込まれたICカード1を受け取り、第1集積部35a、第2集積部35bまたは裏面印字集積部36へICカード1を振分ける選別排出部37が設けられている。
このうち第1集積部35a、第2集積部35bは、裏面3に対して印字する必要のないICカード1をICカード1の種類に基づいて集積するものである。また裏面印字集積部36は、下流側の裏面書込機能付プリンタ40によりICチップ1a内に裏面情報3aを書き込み、かつICカード1の裏面3に対して裏面情報3aを印字する必要があるICカード1を集積するものである。
裏面印字集積部36に送られたICカード1は、その後、裏面書込機能付プリンタ40および追記情報ラベル発行部28へ順次送られる。
選別排出部37は、ICカード1のICチップ1aに書込まれたID情報2cを読み取る機能を有し、選別排出部37は読み取られたID情報2cに基づいて、当該ICカード1に印字する裏面情報3aが有るか否か判断する。
そして、印字すべき裏面情報3aが有るICカード1のみが選別排出部37により裏面印字集積部36に送られ、印字すべき裏面情報3aがないICカード1が第1集積部35aおよび第2集積部35bに送られる。
また裏面書込機能付プリンタ40は、ICカード1のICチップ1a内に必要な裏面情報3aを書き込む第2リーダライタ41と、ICカード1の裏面3に必要な裏面情報3aを印字する裏面印字部42とを有している。さらに第2リーダライタ41および裏面印字部42の上流側に入口スタッカ40aが設けられ、第2リーダライタ41および裏面印字部42の下流側に出口スタッカ40bが設けられている。
ところでカードプリンタ20および裏面書込機能付プリンタ40は制御装置20aにより駆動制御される。
次に本実施の形態によるカード反転移送システム50について図1により述べる。カード反転移送システム50は、上述のように、4台のカードマガジン21a〜21d内に積載されたICカード1をカードマガジン21a〜21d内から取り出し、移送して反転させるものである。
この場合、4台のカードマガジン21a〜21dは、各々カードプリンタ20の上方に直線上に配置された載置部21A〜21D上に載置され、このため載置部21A〜21D上に載置された各カードマガジン21a〜21dも直線L方向に並んで配置されている。各カードマガジン21a〜21d内には、複数のICカード1がその裏面3が上方を向くように多層に積載されている。
本実施の形態によるカード反転移送システム50は、カードマガジン21a〜21d内のICカード1の裏面3を上方から吸着してカードマガジン21a〜21dの上方開口から取り出す吸着装置60と、この吸着装置60を水平方向に送り出す送り出し装置51とを有するカード移送機構60Aを備えている。このうち送り出し装置51は後述する昇降機構56を直線L方向に沿って水平方向に往復移動させるものである。この送り出し装置51は昇降機構56と係合して、この昇降機構56を水平方向に往復移動させるガイドレール51Aを有する。また送り出し装置51または昇降機構56のいずれかに昇降機構56を水平方向に移動させるための駆動装置(図示せず)が設けられている。
次に吸着装置60と送り出し装置51との連結構造について図5および図6により説明する。図5および図6に示すように、送り出し装置51には昇降機構56が水平方向に往復移動可能に設けられ、この昇降機構56は昇降機構56または送り出し装置51に設けられた駆動装置により、水平方向に移動可能となっている。昇降機構56は送り出し装置51により水平方向に移動可能となる昇降機構本体56Aと、この昇降機構本体56A内に配置され上下方向に移動可能な昇降ベルト57とを有し、このうち昇降ベルト57は駆動ローラ57aおよび駆動ローラ57b間に掛け渡され、上下方向に往復移動可能となっている。
また昇降ベルト57には保持具61が取り付けられており、この保持具61には吸着部60aを有する吸着装置60が回動自在に設けられている。図5および図6において、保持具61が昇降ベルト57から直線Lと直交する直線x方向に突出して設けられ、吸着装置60はこの保持具61に直線x回りに回動可能に設けられている。吸着装置60は、ICカード1の裏面3を吸着する吸着部60aを有し、保持具61に対して回動することにより、吸着部60aを下方に向けたり上方に向けたりすることができる。
また送り出し装置51の搬送方向(直線L方向)下流側には、ICカード1を載置するカード載置台70と、ICカード1が挿入される挿入口55aを有する回転体(カード反転機構)55とが順次配置されている。このうちカード載置台70はICカード1を載置するとともに水平面上で90°回転するものである。
また回転体55の挿入口55a内には、吸着装置60の吸着部60aにより吸着されたICカード1を引き込む搬送ローラ102(図18参照)が設けられている。そして吸着装置60の吸着部60aにより吸着されたICカード1を回転体55の挿入口55a内に直線L方向に引き込む。その後、回転体55が直線Lと平行する回転軸回りに180°回転する。このことにより裏面3を上方に向けて吸着装置60の吸着部60aにより吸着され、回転体55の挿入口55a内に挿入されたICカード1を、回転体55により180°反転させてICカード1の姿勢を表面2が上方を向くよう変えることができる。
ところで回転体55のICカード1の搬送方向下流側に、上述のようにY印刷部22が配置され、このY印刷部22はM印刷部23およびC印刷部24と略同一構造をもつ。すなわちY印刷部22は、インクリボン22rを加熱する印刷ヘッド22aと、インクリボン22rの送り出し部22bと、インクリボン22rの巻き取り部22cとを有する。
次に図7乃至図18により、上述したカード載置台70および回転体55について、詳述する。
まず図7乃至図15に示すように、とりわけ図8において、カード載置台70はICカード1を載置するとともに回転駆動機構70Aにより水平面上で90°回転するようになっている。
カード載置台70を回転させる回転駆動機構70Aはカード載置台70を保持する2台の保持板71a,71bからなる保持台71と、保持台71の下方に固定された中間台72と、保持台71に連結された回転軸70Bとを有し、回転軸70Bは中間台72を貫通して延びるとともに固定側の支持台76上に回転自在に支持されている(図8参照)。
また保持台71に連結された回転軸70Bには、受動ギア79が取り付けられている。また支持台76上に回転体77が回転自在に取り付けられ、この回転体77には受動ギア79に係合する駆動ギア78が後述するスプリング77cを介して連結されている。この場合、駆動ギア78のギア数と受動ギア79のギア数の比は2:1となっている。また回転体77には、先端にローラ77bが設けられた回転レバー77aが取り付けられており、後述のようにカード移送機構60Aの昇降機構56が回転レバー77aの先端に設けられたローラ77bに当接すると、回転レバー77aおよび回転体77が矢印R1方向に回動する(図8参照)。
この際、回転体77とともに駆動ギア78が矢印R1方向に回動し、これに伴って受動ギア79、および保持台71に連結された回転軸70Bが矢印R1と反対方向に矢印R2方向に沿って回動する。そして保持台71の回動に伴ってカード載置台70も矢印R2方向に回動する。
ところでカード載置台70は、ICカード1の短辺l1側を向く側方開口部70aと、後述する押し出しピン80が通過する押し出しピン用開口部70bとを有しており、図8の状態において、カード載置台70は側方開口部70aがカード反転機構55側を向く縦方向位置をとる。
また図8に示す状態から回転体77および回転レバー77aが矢印R1方向に45°回転すると、駆動ギア78と受動ギア79のギア数の比が2:1となっているため、回転軸70Bに連結されたカード載置台70は矢印R2方向へ90°回転し、カード載置台70は側方開口部70aがカード反転機構55に向かう搬送方向に対して横方向(側方)を向く横方向位置をとる。
次に回転駆動機構70Aについて更に述べる。支持台76上に回転自在に支持された受動ギア79側の回転軸70Bには、スプリング108の一端部が取り付け板108aを介して固定され、スプリング108の他端部は支持台76に取り付けられた突起76aに固定されている。そして図8において、受動ギア79が矢印R2方向へ回転すると、回転軸70Bに固定されたスプリング108が伸長し、スプリング108からの力により回転軸70Bは矢印R2方向と反対方向へ向かって戻るよう付勢される。
また中間台72にはストッパ73が取り付けられており、また保持台71には先端に押し出しピン80が取り付けられたレバー81が回動自在に設けられている。この場合、レバー81は保持台71に回動ピン81aを介して回動自在に設けられ、レバー81のうち押し出しピン80の反対側には、中間台72のストッパ73に当接可能なストッパローラ82が取り付けられている。また保持台71とレバー81との間にはスプリング83が掛け渡されている。そしてカード載置台70が図10に示す縦方向位置をとる場合、ストッパローラ82がストッパ73に当接しレバー81がスプリング83の力に抗して回動ピン81aを中心に回動し、レバー81の端部に取り付けられた押し出しピン80が押し出しピン用開口部70bを介してカード載置台70内側へ進入する。
このとき、レバー81の回動に伴ってスプリング83が伸長され、レバー81はこのスプリング83により押し出しピン80がカード載置台70の外側へ移動する方向に付勢される(図10参照)。
ところで、支持台76に設けられた回転体77と駆動ギア78は、スプリング77cを介して連結されている。またカード載置台70は図8に示す縦方向位置から矢印R2方向へ回転して横方向位置をとる際、中間台72に設けられたストッパ(図示せず)に当接して、所定の横方向位置に位置決めされる。
図8において、昇降機構56が回転レバー77aに当接して回転体77と回転レバー77aが矢印R1方向に回転した場合、これに伴って駆動ギア78も矢印R1方向へ回転する。次にカード載置台70がストッパに当接して横方向位置をとった後、さらに回転体77および回転レバー77aが昇降機構56に押されて矢印R1方向へ回転することも考えられる。
本実施の形態によれば、回転体77と駆動ギア78とはスプリング77cを介して連結されているため、カード載置台70がストッパに当接して横方向位置をとった後、さらに回転体77および回転レバー77aが矢印R1方向へ回転した場合であっても、回転体77および回転レバー77aのさらなる回転を、このスプリング77cにより吸収することができる。
次に図16乃至図18により、回転体(カード反転機構)55について詳述する。回転体55は、2本の垂直レール90aに沿って上下方向に移動可能な移動体90に回転自在に取り付けられている。また一方の垂直レール90aの内面にはラック92が設けられている。
移動体90は駆動モータ91aにより駆動する駆動プーリ91に掛け渡された駆動ベルト91bにより、垂直レール90aに沿って上下方向に移動する。この場合、移動体90は取付具110を介して駆動プーリ91に連結されている。また移動体90には垂直レール90aに設けられたラック92と係合する駆動ギア93と、駆動ギア93に中間ギア94を介して連結された受動ギア95とが設けられ、この受動ギア95は回転体55の外周に設けられた外周ギア55cと係合する。ところで、移動体90は側方に一対の側方フレーム111を有し、移動体90の駆動ギア一方の側方フレーム111の開口111aを介して垂直レール90aのラック92と係合している。
そして移動体90が垂直レール90aに沿って上下へ移動すると、駆動ギア93がラック92に係合して回動する。また駆動ギア93の回動に伴って受動ギア95が回動し、受動ギア95と回転体55の外周ギア55cとが係合して回転体55が移動体90上で回転するようになっている。
なお回転体55は移動体90に回転体55の外周に離間して設けられた3つの支持ローラ55bを介して回転自在に支持されている。さらに回転体55の挿入口55a内側には搬送ローラ102が設けられ、この搬送ローラ102は回転体55に設けられた回転ギア102aにより回動する。
また垂直レール90aの上方には、駆動ギア99とこの駆動ギア99に係合する中間ギア100が設けられている。移動体90が垂直レール90aに沿って上昇し、上端部に達すると、駆動部103により駆動ギア99が回動する。駆動ギア99からの駆動力は中間ギア100を介して回転ギア102aに伝達され、この回転ギア102aにより回転体55の搬送ローラ102が回動して回転体55の挿入口55a内に挿入されたICカード1を回転体55内に引き込むことができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について図4により説明する。
まずカードプリンタ20の載置部21A〜21D上に複数のICカード1を多層に積層したカードマガジン21a〜21dが装着され、カードマガジン21a〜21dは直線L上に並ぶよう配置される。各カードマガジン21a〜21d内に積層されたICカード1は印字および書き込みがなされていない生のICカード1となっており、ICカード1は裏面3を上方に向けてカードマガジン21a〜21d内に収納されている。この場合、ICカード1は短辺が回転体55に向かって横方向を向くよう、すなわちICカード1の長手方向が横方向を向くようカードマガジン21a〜21d内に収納されている。
この場合、カードマガジン21a内には優良者向け運転免許証を作製するためのICカード1が収納され、カードマガジン21b内には一般人向け運転免許証を作製するためのICカード1が収納され、カードマガジン21c内には新規者向け運転免許証を作製するためのICカード1が収納され、カードマガジン21dには経歴者向け(免許を返納した方向け)のICカード1が収納されている。
次に図示しない検出部により、各カードマガジン21a〜21d内に上述したICカードが収納されているか否か確認する。
次にICカード1の発行要求が有るか否か判断し、ICカード1の発行要求が有れば、その発行要求があるICカード1が収納されたカードマガジン21a〜21dまで、吸着装置60を保持する昇降機構56が送り出し装置51に沿って移動する。
この場合カードマガジン21a〜21dは、その上方が開口しており、かつカードマガジン21a〜21dのうち昇降機構56側の側面(図1においてカードマガジン21a〜21dの背面)も開口している。
例えば発行要求があるICカード1がカードマガジン21d内に収納されている場合、昇降機構56がカードマガジン21dの背面に達し、昇降機構56の昇降ベルト57に取り付けられた保持具61がカードマガジン21d内に背面から侵入する。次に保持具61が昇降ベルト57により降下して、保持具61の先端に取り付けられている吸着装置60の吸着部60aが最上層のICカード1の裏面3を吸着する(図7参照)。
その後、保持具61が昇降ベルト57により上昇し、昇降機構56が全体として送り出し装置51のガイドレール51Aに沿って移動する。この状態を図8乃至図10に示す。図8乃至図10において、カード載置台70は側方開口部70aが回転体55側を向く縦方向位置をとっている。
次に昇降機構56は送り出し装置51のガイドレール51Aに沿って移動してカード載置台70に達する。このとき、昇降機構56が回転駆動機構70Aの回転レバー77aのローラ77bに当接する。
この場合、回転レバー77aおよび回転体77が支持台76上で図8の矢印R1方向に回転する。回転体77の回転に伴って駆動ギア78も矢印R1方向へ回転し、駆動ギア78に係合する受動ギア79および回転軸70Bが図8の矢印R2方向へスプリング108の力に抗して回転する。この場合、カード載置台70が矢印R2方向へ水平面上で90°回転し、カード載置台70がストッパに当接して、カード載置台70は側方開口部70aが横方向を向く横方向位置をとる(図11および図12参照)。
この際、カード載置台70および回転軸70Bは、スプリング108の力により縦方向位置をとる方向へ向かって付勢されている。またストッパローラ82がストッパ73から離れ、スプリング83によりレバー81が回動ピン81a回りに回動する。このことにより押し出しピン80が押し出しピン用開口部70bを介してカード載置台70の外側へ移動する。
次に吸着装置60の吸着部60aに吸着されたICカード1は、吸着部60aの吸着機能をOFFとすることによりカード載置台70上に載置される。この場合、カード載置台70上のICカード1は、その長手方向が回転体55に向かって横方向を向くよう載置されている(図13参照)。
次に図14に示すように、昇降機構56が送り出し装置51により送り出し装置51のガイドレール51Aに沿ってカード載置台70から離れる方向(図14の右方向)に移動する。この場合、回転レバー77aおよび回転体55がスプリング108の力により矢印R1方向と反対方向へ戻され、これに伴って回転軸70Bおよびカード載置台70が矢印R2方向と反対方向へ戻される(図8参照)。このためカード載置台70は水平面上で90°回転し、カード載置台70は側方開口部70aが回転体55側を向く縦方向位置をとる。
この間、レバー81のストッパローラ82がストッパ73に当接し、レバー81が回動ピン81a回りにスプリング83の力に抗して回転する。このことにより押し出しピン80が押し出しピン用開口部70bを介してカード載置台70の内部へ入り込むよう移動する。このためカード載置台70上に載置されているICカード1を押し出しピン80によりカード載置台70から回転体55側へ押し出すことができる(図15参照)。
カード載置台70上のICカード1はその後、回転体55の挿入口55a内に挿入される(図16参照)。次に回転体55を保持する移動体90が垂直レール90aに沿って上昇する。この間、移動体90の駆動ギア93がラック92と係合して回動する。
なお図16において、移動体90に設けられた駆動ギア93、中間ギア94および受動ギア95はカバー105により覆われているが、図17においては便宜上カバー105は取り外されている。
移動体90の駆動ギア93が回動すると、これに伴って中間ギア94、受動ギア95も回動し、回転体55が移動体90上で回動して移動体90は垂直レール90aの上端に到る(図18参照)。
このようにして回転体55が移動体90上で180°回転し、回転体55により保持されたICカード1はその表面2が上方を向くようその姿勢が変化する。
移動体90が垂直レール90aの上端部に達すると、駆動部103により駆動ギア99が回動する。駆動ギア99からの駆動力が中間ギア100を介して回転ギア102aに伝達され、この回転ギア102aにより回転体55の搬送ローラ102が回動して回転体55の挿入口55a内に挿入されたICカード1が回転体55内に引き込まれてY印刷部22側へ送られる。
その後、ICカード1の表面2に対してY印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24によって、各々イエロー印刷、マゼンタ印刷、およびシアン印刷が施され、このようにしてICカード1の表面2に顔画像情報2bが印字される。
次にICカード1はインキ定着部25へ送られ、このインキ定着部25においてY印刷部22、M印刷部23およびC印刷部24によって印字された顔画像情報2bのインキがICカード1の表面に定着される。
その後ICカード1は表面印字部26に送られ、この表面印字部26においてICカード1の表面2に表面情報2aおよびID情報2cが印字される。
次にICカード1は第1リーダライタ27へ送られ、この第1リーダライタ27においてICカード1のICチップ1aに対して表面情報2a、顔画像情報2bおよびID情報2cが書込まれる。
このようにして表面情報2a、顔画像情報2b、ID情報2cが表面2に印字され、かつICチップ1aに表面情報2aおよびID情報2cが書込まれたICカード1は、その後、落下部38から搬送ライン33に沿って搬送されて第1保護シート形成部29へ送られ、この第1保護シート形成部29においてICカード1の表面に第1保護シートが形成される。次にICカード1は搬送ライン33に沿って第2保護シート形成部30へ送られ、この第2保護シート形成部30においてICカード1の第1保護シート上に第2保護シートが形成される。
次にICカード1は搬送ライン33により搬送され、選別排出部37に達する。ICカード1はこの選別排出部37により振分けられる。すなわちICカード1のうち、表面2のみに表面情報2a、顔画像情報2bおよびID情報2cが印字され、ICチップ1aに表面情報2aおよびID情報2cが書込まれるとともに、裏面3に裏面情報3aを印字する必要がなく、かつICチップ1aに裏面情報3aを書込む必要のないICカード1は第1集積部35a、第2集積部35bへ送られる。
他方、表面2に表面情報2a、顔画像情報2bおよびID情報2cが印字され、ICチップ1aに表面情報2aおよびID情報2cが書込まれるとともに、裏面3にも裏面情報3aを印字する必要があり、かつICチップ1aに裏面情報3aを書込む必要があるIDカード1は裏面印字集積部36へ送られる。
次に裏面印字集積部36に送られたICカード1は、その後裏面書込機能付プリンタ40へ送られる。そしてICカード1はこの裏面書込機能付プリンタ40内において、第2リーダライタ41によりICチップ1a内に裏面情報3aが書込まれ、続いて裏面印字部42によりICカード1の裏面3に裏面情報3aが印字される。
このようにしてカードプリンタ20および裏面書込機能付プリンタ40によって、ICカード1に対する印字および書込作業が終了し、印字および書込済のICカード1が得られる。
なお、カードプリンタ20および裏面書込機能付プリンタ40における各構成部分は、上述のように制御装置20aにより駆動制御される。
なお印字すべき裏面情報がないと判断されて第1集積部35aおよび第2集積部35bへ送られたICカード1は、裏面書込機能付プリンタ40を経ることなく外方へ排出される。
次に裏面書込機能付プリンタ40を経たICカード1は、追記情報ラベル発行部28に送られる。この追記情報ラベル発行部28では、ICカード1のICチップ1aから裏面情報3aを読み取り、裏面情報3aのうちICカード1の裏面に印字できない追記情報を印字して追記情報ラベルを作製し発行する。このようにして得られた追記情報ラベルは、その後ICカード1の裏面3の所望位置に貼付される。
このようにして表面情報2a、顔画像情報2bおよびID情報2cが表面2に印字され、裏面情報3aが裏面3に印字され、表面情報2a、裏面情報3aおよびID情報2cがICチップ1aに書込まれ、追記情報ラベルが裏面3に貼付されたICカード1を精度良くかつ効率良く作製することができる。
次に図20Aおよび図20Bにより、本実施の形態の比較例について述べる。
図20Aおよび図20Bに示すように、カードマガジン21a,21bが載置部21A,21B上に載置され、載置部21A,21B上に載置されたカードマガジン21a,21b内にはICカード1が表面2を上方に向けて積層して配置されている。カードマガジン21a,21b内のICカード1は、最下層のICカード1から各カードマガジン21a,21b毎に設けられた送り出し装置32a,32bにより集合搬送ライン32側へ送られ、次にこの集合搬送ライン32からY印刷部22側へ送られる。
図20Aおよび図20Bに示す比較例において、各カードマガジン21a,21b毎に送り出し装置32a,32bが設けられ、送り出し装置32a,32bにより各カードマガジン21a,21bの下方から送り出されたICカード1は送り出し装置32a,32bの送り出し方向と直交する集合搬送ライン32によりY印刷部22側へ送られる。
このような比較例において、各カードマガジン21a,21bは各々送り出し装置32a,32bを有し、かつ送り出し装置32a,32bから送り出されたICカード1は、平面視でみて90°向きを変えて集合搬送ライン32に沿って搬送される。このため各カードマガジン21a,21bの送り出し装置の構造が複雑となり、各カードマガジン21a,21bの送り出しラインも90°向きを変える部分があり、複雑となっている。更に各カードマガジン21a,21b内のICカード1は表面を上方に向けて収納されているため、ICカード1に傷が付き易い。
これに対して本実施の形態によれば、各カードマガジン21a〜21dから送り出されるICカード1の送り出し方向は、カードマガジン21a〜21dの配置方向Lと平行する一方向に限られるため、ICカード1の送り出し装置の構造を簡略化することができる。またカードマガジン21a〜21d内に収納されるICカード1は裏面3を上方に向けているので、カードマガジン21a〜21d内でICカード1の表面2に傷が付くことはない。さらにプリンタ部22〜26に入る手前で、カード載置台70によりICカード1を水平面上で90°回転させることができるため、プリンタ部22〜26内においてICカード1はその長手方向が搬送方向を向くよう搬送される。このためICカード1をプリンタ部22〜26内で各プリンタ部22〜26の印字作用に適した方向に向けて適切に印字することができる。
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態によるカード反転移送システム50について図19により述べる。カード反転移送システム50は、4台のカードマガジン21a〜21d内に積載されたICカード1をカードマガジン21a〜21d内から取り出し、移送して反転させるものである。
この場合、4台のカードマガジン21a〜21dは、各々カードプリンタ20の上方に直線上に配置された載置部21A〜21D上に載置され、このため載置部21A〜21D上に載置された各カードマガジン21a〜21dも直線L方向に並んで配置されている。各カードマガジン21a〜21d内には、複数のICカード1がその裏面3が上方を向くように多層に積載されている。
本実施の形態によるカード反転移送システム50は、カードマガジン21a〜21d内のICカード1の裏面3を上方から吸着してカードマガジン21a〜21dの上方開口から取り出す吸着装置60と、この吸着装置60を水平方向に送り出す送り出し装置、例えば搬送ベルト51とを有するカード移送機構60Aを備えている。このうち搬送ベルト51は駆動ローラ51aおよび駆動ローラ51b間に掛け渡され、直線L方向に沿って水平方向に往復移動可能となっている。
また吸着装置60は搬送ベルト51に固定されている。更に各カードマガジン21a〜21d内には、各カードマガジン21a〜21d内のICカード1を上方へ持ち上げるカード昇降機構112が設けられ、このカード昇降機構112によりICカード1がカードマガジン21a〜21dの上方へ持ち上げられる。
なお、搬送ベルト51には保持具61が取り付けられており、この保持具61には吸着部60aを有する吸着装置60が回動自在に設けられている。保持具61は搬送ベルト51から直線Lと直交する直線x方向に突出して設けられ、吸着装置60はこの保持具61に直線x回りに回動可能に設けられている。
また搬送ベルト51の搬送方向(直線L方向)下流側には、ICカード1を載置して水平面上で90°回転させるカード載置台70と、ICカード1が挿入される挿入口55aを有し、180°回転してICカード1を反転させる回転体55が順次配置されている。この場合、カード載置台70は回転駆動機構70Aにより回転駆動される。
また回転体55の挿入口55a内には、吸着装置60の吸着部60aにより吸着されたICカード1を引き込む搬送ローラ102(図18参照)が設けられている。そして吸着装置60の吸着部60aにより吸着されたICカード1をカード載置台70上に載置して水平面上で90°回転させ、その後ICカード1を回転体55の挿入口55a内に直線L方向に引き込む。その後、回転体55が直線Lと平行する回転軸回りに180°回転する。このことにより裏面3を上方に向けて吸着装置60の吸着部60aにより吸着されたICカード1をカード載置台70上に載置して水平面上で90°回転させる。次にICカード1を回転体55の挿入口55a内に挿入し、回転体55によりICカード1を180°反転させてICカード1の姿勢を表面2が上方を向くよう変えることができる。
ところで回転体55のICカード1の搬送方向下流側に、上述のようにY印刷部22が配置され、このY印刷部22はM印刷部23およびC印刷部24と略同一構造をもつ。すなわちY印刷部22は、インクリボン22rを加熱する印刷ヘッド22aと、インクリボン22rの送り出し部22bと、インクリボン22rの巻き取り部22cとを有する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まずカードプリンタ20の載置部21A〜21D上に複数のICカードを多層に積層したカードマガジン21a〜21dが装着され、カードマガジン21a〜21dは直線L上に並ぶよう配置される。各カードマガジン21a〜21d内に積層されたICカード1は印字および書き込みがなされていない生のICカード1となっており、ICカード1は裏面3を上方に向けてカードマガジン21a〜21d内に収納されている。
この場合、カードマガジン21a内には優良者向け運転免許証を作製するためのICカード1が収納され、カードマガジン21b内には一般人向け運転免許証を作製するためのICカード1が収納され、カードマガジン21c内には新規者向け運転免許証を作製するためのICカード1が収納され、カードマガジン21dには経歴者向け(免許を返納した方向け)のICカード1が収納されている。
次に図示しない検出部により、各カードマガジン21a〜21d内に上述したICカードが収納されているか否か確認する。
次にICカード1の発行要求が有るか否か判断し、ICカード1の発行要求が有れば、その発行要求があるICカード1が収納されたカードマガジン21a〜21dまで、吸着装置60が搬送ベルト51に沿って移動する。
この場合カードマガジン21a〜21dは、その上方が開口している。
例えば発行要求があるICカード1がカードマガジン21d内に収納されている場合、搬送ベルト51に取り付けられた保持具61がカードマガジン21dの上方に位置する。次に保持具61の先端に取り付けられている吸着装置60の吸着部60aが最上層のICカード1の裏面3を吸着する。
この間、カードマガジン21d内のICカード1はカード昇降機構112により上方へ持ち上げられ、最上層のICカード1は吸着装置60の吸着部60a側へ押し付けられる。吸着装置60の吸着部60aによりICカード1を吸着した後、カードマガジン21d内のICカード1はカード昇降機構112により下方へわずかに降下する。
その後、吸着装置60を保持する保持具61が搬送ベルト51に沿って移動する。次に吸着装置60の吸着部60aに吸着されたICカード1はカード載置台70上に載置され、水平面上で90°回転する。次にカード載置台70上のICカード1が搬送ローラにより回転体55の挿入口55a内に挿入され、回転体55が180°回転してICカード1は表面2を上方に向くようその姿勢が変化する。
次に回転体55の挿入口55a内のICカード1は、回転体55の挿入口55a内の搬送ローラによりY印刷部22側へ送られる。その後の工程は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に行われる。