JP2020118183A - クラッチの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁クラッチ20のアーマチァ40の摩擦面49に対するグリース組成物の塗りムラの発生を抑える。【解決手段】電磁クラッチ20の製造方法において、準備工程では、半固体性を有して、アーマチァ40およびロータ30が凝着することを抑制するためのグリース組成物を準備する。塗布工程では、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。連結工程では、塗布工程の後で、アーマチァ40の摩擦面49とロータ30の摩擦面36とを対向させた状態で、アーマチァ40を板バネ45およびハブ42を介して回転軸2aに連結する。【選択図】図1
Description
本発明は、クラッチの製造方法に関するものである。
従来、車両用空調装置の圧縮機は、走行用エンジンからベルトを介して駆動力を得ており、その作動制御は電磁クラッチのオン、オフによるトルク伝達のオン、オフで行うのが一般的である。
電磁クラッチは、磁性材料によって形成されて走行用エンジンから出力される回転駆動力によって回転するロータと、磁性材料によって形成されてロータと連結されることによって回転するアーマチャとを備える。
電磁クラッチは、通電されることによってロータとアーマチャとを連結させる電磁力を発生させる電磁コイルを備える。アーマチャはハブを介して圧縮機の回転軸に連結されており、アーマチャが電磁コイルの電磁力によって吸引されてロータと連結することでトルクを伝達し、圧縮機の回転軸が回転して圧縮機が作動する。
電磁クラッチのロータとアーマチャとが連結した状態で、ロータおよびアーマチャの両方の摩擦面同士は真実接触部で接触している。
真実接触部において凝着による結合が生じ、それを引き離すのに要するせん断力が摩擦力として作用する。凝着部においてせん断や破壊が起こると、ロータ或いはアーマチャの摩擦面から磁性材料が徐々に失われていく、いわゆる凝着摩耗がおこり、やがて面荒れが発生する。
この面荒れにより、異音(所謂面荒れ異音)が発生するという問題があった。また、更に凝着摩耗が進むと最終的には摩擦面がくっついて離れなくなってしまうという問題もあった。
そのため、摩擦面には一般的に潤滑剤が塗布されており、リンとイオウを含んだ極圧潤滑剤(特許文献1)等が知られている。
本発明者等は、ロータとアーマチャとの間で凝着することを防止するために、極圧潤滑剤として半固定性を有するグリース組成物を検討した。
本発明者等の検討によれば、グリース組成物が半固定性を有している。このため、極圧潤滑剤としてグリース組成物を用いる場合には、液状の極圧潤滑剤を用いる場合に比べて、摩擦面へのグリース組成物の塗布量を調整することが難しい。
本発明は上記点に鑑みて、グリース組成物の半固定性に着目して、グリース組成物の塗布量を良好に調整するようにしたクラッチの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、駆動対象装置(2)の回転軸(2a)の軸線(S)を中心として、駆動源(10)から出力される回転駆動力により回転する駆動側回転体(30)と、
駆動側回転体に対して軸線の軸線方向一方側に配置されて、回転軸の軸線を中心として回転自在に構成されて、駆動対象装置の回転軸に回転力を与える従動側回転体(40)と、を備え、
駆動側回転体および従動側回転体のうち一方の回転体には他方の回転体に対して摩擦によって連結する摩擦面(36、49)が形成され、
駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面が摩擦によって連結されたとき、駆動側回転体の回転力が従動側回転体を通して駆動対象装置の回転軸に伝わるクラッチの製造方法であって、
半固体性を有して、駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面が凝着することを抑制するためのグリース組成物を準備する準備工程(S100)と、
一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物を塗布する塗布工程(S120)と、
塗布工程の後で、駆動側回転体の摩擦面と従動側回転体の摩擦面とを対向させた状態で、駆動側回転体を回転軸に連結する連結工程(S130)と、を備え、
塗布工程では、一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物によって線、或いは複数の点を形成するように一方の回転体の摩擦面にグリース組成物を塗布する。
駆動側回転体に対して軸線の軸線方向一方側に配置されて、回転軸の軸線を中心として回転自在に構成されて、駆動対象装置の回転軸に回転力を与える従動側回転体(40)と、を備え、
駆動側回転体および従動側回転体のうち一方の回転体には他方の回転体に対して摩擦によって連結する摩擦面(36、49)が形成され、
駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面が摩擦によって連結されたとき、駆動側回転体の回転力が従動側回転体を通して駆動対象装置の回転軸に伝わるクラッチの製造方法であって、
半固体性を有して、駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面が凝着することを抑制するためのグリース組成物を準備する準備工程(S100)と、
一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物を塗布する塗布工程(S120)と、
塗布工程の後で、駆動側回転体の摩擦面と従動側回転体の摩擦面とを対向させた状態で、駆動側回転体を回転軸に連結する連結工程(S130)と、を備え、
塗布工程では、一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物によって線、或いは複数の点を形成するように一方の回転体の摩擦面にグリース組成物を塗布する。
したがって、塗布工程において、一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物によって線、或いは複数の点を形成するように摩擦面にグリース組成物を塗布する。これにより、クラッチの製造方法において、グリース組成物の塗布量を良好に制御することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1、図2、図3は、本実施形態の電磁クラッチ20が適用された車両用空調装置の冷凍サイクル装置1の全体構成図である。
図1、図2、図3は、本実施形態の電磁クラッチ20が適用された車両用空調装置の冷凍サイクル装置1の全体構成図である。
冷凍サイクル装置1は、コンプレッサ2、放熱器3、膨張弁4、および、蒸発器5を接続したものである。コンプレッサ2は、冷媒を吸入して圧縮する。放熱器3は、コンプレッサ2の吐出冷媒を放熱させる。膨張弁4は、放熱器3から流出される冷媒を減圧膨張させる。蒸発器5は、膨張弁4にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる。
コンプレッサ2は、車両のエンジンルームに設置されている。コンプレッサ2は、走行用駆動源としての走行用エンジン10から電磁クラッチ20を介して与えられる回転駆動力によって圧縮機構を駆動させることにより、蒸発器5から冷媒を吸入して圧縮する。
なお、圧縮機構としては、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構、あるいは、外部からの制御信号によって吐出容量を調整可能に構成された可変容量型圧縮機構のいずれを採用してもよい。
本実施形態の電磁クラッチ20は、コンプレッサ2に連結されたプーリ一体型のクラッチ機構である。電磁クラッチ20は、エンジン側プーリ11からVベルト12を介して与えられる走行用エンジン10の回転駆動力をコンプレッサ2に伝達する。エンジン側プーリ11は、走行用エンジン10の回転駆動軸に連結されているものである。
電磁クラッチ20は、後述するようにロータ30およびアーマチァ40を備える。ロータ30は走行用エンジン10からのVベルト12を介して与えられる回転駆動力によって回転する駆動側回転体を構成する。アーマチァ40は、コンプレッサ2の回転軸2aに連結された従動側回転体を構成する。
本実施形態の電磁クラッチ20は、ロータ30とアーマチァ40との間を摩擦により連結、あるいは離すことで、走行用エンジン10からコンプレッサ2への回転駆動力の伝達を断続するものである。
つまり、電磁クラッチ20がロータ30とアーマチァ40とを摩擦により連結すると、走行用エンジン10の回転駆動力がコンプレッサ2に伝達されて、冷凍サイクル装置1が作動する。
一方、電磁クラッチ20がロータ30とアーマチァ40とを離すと、走行用エンジン10の回転駆動力がコンプレッサ2に伝達されることはなく、冷凍サイクル装置1も作動しない。
次に、本実施形態の電磁クラッチ20の詳細構成について図2、図3、図4を用いて説明する。
図2は、電磁クラッチ20の軸線方向半断面図である。この軸線方向半断面図は、電磁クラッチ20においてコンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを含んで、かつ軸線Sに沿う断面図である。
図2に示すように、電磁クラッチ20は、ロータ30、アーマチァ40、および電磁コイル50を備える。
まず、ロータ30は、外側円筒部31、内側円筒部32、および、端面部33を有している。
外側円筒部31は、回転軸2aの軸線S(図2参照)を中心線とする円筒状に形成されている。外側円筒部31の外周側には、Vベルト12が掛けられるV溝(具体的には、ポリV溝)が形成されている。
内側円筒部32に対して軸線Sを中心とする内側には、ボールベアリング34aの外側レース34bが固定されている。ボールベアリング34aは、コンプレッサ2の外殻を形成するハウジングに対して、コンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを中心線としてロータ30を回転自在に固定するものである。そのため、ボールベアリング34aの内側レース34cは、コンプレッサ2のハウジングにスナップリング等の固定部材によって固定されている。
本実施形態のボールベアリング34a、外側レース34b、および内側レース34cは、ロータ30をコンプレッサ2に対して軸線Sを中心として回転自在に支持する軸受け34を構成する。
内側円筒部32は、外側円筒部31に対して軸線Sに対して径方向内側に配置されて、軸線Sを中心とする円筒状に形成されている。
端面部33は、外側円筒部31および内側円筒部32の軸線方向一端側同士を結ぶように回転軸垂直方向(すなわち、軸線Sを中心とする径方向)に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成されている。
本実施形態の外側円筒部31、内側円筒部32、および端面部33は、いずれも磁性材(例えば、鉄)にて形成され、後述する磁気回路を構成する。
外側円筒部31および端面部33の間には、軸線Sの軸線方向に貫通する貫通穴33aが複数設けられている。複数の貫通穴33aは、それぞれ、回転軸2aの軸線Sを中心とする円弧状に形成されている。
複数の貫通穴33aは、それぞれ、軸線Sを中心とする円周方向に並べられている。複数の貫通穴33aは、アーマチァ40の複数の貫通穴40aに対して径方向外側に位置する。
内側円筒部32、および端面部33の間には、軸線方向に貫通する貫通穴33bが複数設けられている。複数の貫通穴33bは、それぞれ、回転軸2aの軸線Sを中心とする円弧状に形成されている。複数の貫通穴33bは、それぞれ、軸線Sを中心とする円周方向に並べられている。複数の貫通穴33bは、アーマチァ40の複数の貫通穴40aに対して径方向内側に位置する。
本実施形態では、外側円筒部31、内側円筒部32、および端面部33は、一体に成形されているものである。
ロータ30のうち軸線方向一方側は、ロータ30とアーマチァ40が摩擦により連結された際に、アーマチァ40と接触する摩擦面36を形成している。そこで、本実施形態では、軸線方向他方側に、ロータ30の摩擦係数を増加させるための摩擦部材35を配置している。
摩擦部材35は、リベット41bに対して軸線方向他方側で、かつ複数の貫通穴33aのうち1つの貫通穴33aに対して軸線方向に重なるように配置されている。摩擦部材35は、非磁性材で形成されており、具体的には、アルミナを樹脂で固めたものや、金属粉末(例えば、アルミニウム粉末)の焼結材が採用されている。
アーマチァ40は、ロータ30に対して軸線方向一方側に配置されている。アーマチァ40は、回転軸2aに直交する方向(すなわち、径方向)に広がるとともに、中央部にその軸線方向に貫通する貫通穴が形成された環状部材であって、後述する磁気回路を構成する。本実施形態のアーマチァ40の回転中心は、回転軸2aの軸心に一致している。
具体的には、アーマチァ40は、磁性材(例えば、鉄)にて形成されるリング部材40b、40cを備える。リング部材40b、40cは、それぞれ、回転軸2aの軸線Sを中心とするリング状に形成されている。リング部材40bは、リング部材40cに対して径方向外側に配置されている。リング部材40b、40cの間には、軸線方向に貫通する貫通穴40aが複数設けられている。
つまり、リング部材40b、40cは、複数の貫通穴40aを形成する貫通穴形成部を構成している。複数の貫通穴40aは、それぞれ、軸線Sを中心とする円弧状に形成されている。複数の貫通穴40aは、それぞれ、軸線Sを中心として円周方向に並らべられている。
アーマチァ40のうち軸線方向他方側は、ロータ30の端面部33に対向している。アーマチァ40のうち軸線方向他方側は、ロータ30とアーマチァ40が摩擦により連結された際に、ロータ30と接触する摩擦面49を形成している。
本実施形態のアーマチァ40の摩擦面49には、製造時に、グリース組成物が塗布されている。
ここで、グリース組成物は、ロータ30の摩擦面36およびアーマチァ40の摩擦面49が凝着することを抑制するための極圧潤滑剤である。具体的には、グリース組成物としては、硫黄等を含んで半固定性を有するものが用いられる。グリース組成物としては、例えば、特願2017−160123に記載されているグリース組成物を用いることが好適である。
ハブ42は、ロータ30とアーマチァ40とに対して軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている。ハブ42は、アーマチァ40とコンプレッサ2の回転軸2aとを連結する連結部材を構成している。
具体的には、ハブ42は、軸線方向に延びる円筒部42aと、この円筒部42aのうち軸線方向一方側から径方向外側に広がるフランジ部42bとを備えている。径方向外側とは、軸線Sを中心とする径方向の外側のことである。
フランジ部42bは、ロータ30およびアーマチァ40に対して軸線方向一方側に配置されている。円筒部42aの内側には、コンプレッサ2の回転軸2aが嵌め込まれている。円筒部42aおよびコンプレッサ2の回転軸2aは、ボルト46が締結されることにより、固定されている。
ハブ42とアーマチァ40との間には、軸線Sに対する垂直方向に広がる板バネ45が配置されている。板バネ45は、ハブ42のフランジ部42bに対して複数のリベット41bによって接続されている。板バネ45は、複数のリベット41bによってアーマチァ40に接続されている。
このことにより、板バネ45は、ハブ42およびアーマチァ40のそれぞれに接続されている。本実施形態の複数のリベット41bは、磁性体(例えば、鉄)により形成されている。
板バネ45は、ハブ42に対してロータ30からアーマチァ40が離れる方向に弾性力を作用させる。この弾性力により、ロータ30とアーマチァ40が離された状態では、ハブ42に連結されたアーマチァ40とロータ30の端面部33との間に予め定めた所定間隔の隙間が形成される。
板バネ45は、鉄等の磁性体によって薄板状に形成されたものである。板バネ45のうち軸線Sを中心とする径方向内側には貫通穴(図示省略)が設けられている。貫通穴には、ハブ42の円筒部42aが貫通している。
このように、アーマチァ40、ハブ42、板バネ45、閉塞部材60およびコンプレッサ2の回転軸2aが固定されている。そして、ロータ30とアーマチァ40が摩擦により連結されると、ロータ30、アーマチァ40、ハブ42、板バネ45、コンプレッサ2の回転軸2aがその軸心を中心線として回転する。
電磁コイル50は、コア50aおよびコイル部50bを備える。コア50aは、鉄等の磁性体からなるもので、コンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを中心とするリング状に形成されている。コイル部50bは、コア50aの内側に配置されている。コイル部50bは、銅やアルミ等からなるコイル線が例えば樹脂成形されたスプールに複列・複層に巻きつけられていることにより構成されている。
本実施形態の電磁コイル50は、後述するように、アーマチァ40をロータ30に引き付けるための電磁力を発生させる。
次に、本実施形態の電磁クラッチ20の作動について説明する。
電磁コイル50に通電されると、電磁コイル50からの磁束が矢印GSの如く、ロータ30の外側円筒部31→アーマチァ40のリング部材40b→ロータ30の端面部33→アーマチァ40のリング部材40c→ロータ30の内側円筒部32→電磁コイル50の順に流れる。
この際に、アーマチァ40の摩擦面49およびロータ30の摩擦面36の間には、磁束が通過する極60a、60b、60c、60dが形成される。極60a、60b、60c、60dは、それぞれ、軸線Sを中心とするリング状に形成されている。
極60a、60b、60c、60dは、それぞれ、軸線Sを中心とする径方向に並べられている。具体的には、極60aは、極60bに対して径方向外側に配置されている。極60bは、極60cに対して径方向外側に配置されている。極60cは、極60dに対して径方向外側に配置されている。
極60a、60b、60c、60dにおいて、アーマチァ40をロータ30に引き付ける電磁力としての吸引力が作用する。
つまり、アーマチァ40の摩擦面49およびロータ30の摩擦面36を通過する磁束に基づいてアーマチァ40をロータ30に引き付ける電磁力としての吸引力が作用する。
これに伴い、板バネ45が弾性変形する。この状態で、ロータ30およびアーマチァ40が摩擦により連結される。このため、走行用エンジン10からの回転駆動力がエンジン側プーリ11→Vベルト12→ロータ30→アーマチァ40→板バネ45→ハブ42→コンプレッサ2の回転軸2aの順に伝達される。
次に、電磁コイル50への通電を停止すると、ロータ30およびアーマチァ40の間に吸引力が発生することが停止され、板バネ45の弾性変形が戻る。このことにより、ロータ30およびアーマチァ40が分離する。このため、走行用エンジン10からのコンプレッサ2の回転軸2aに回転駆動力が伝達されることが停止される。
次に、本実施形態の電磁クラッチ20の製造方法の説明に先立って、グリース組成物の役割について説明する。
電磁クラッチ20は、アーマチァ40の摩擦面49およびロータ30の摩擦面36の間の摩擦により発熱する。この発熱よりアーマチァ40の摩擦面49およびロータ30の摩擦面36には、酸化鉄の形成が促進されて、摩擦面49、36が硬化する。このため、摩擦面49、36が凝着することが抑制される。本実施形態のグリース組成物は、摩擦面49、36が酸化鉄の形成により硬化する前に、摩擦面49、36が凝着することが抑制する役割を果たす。
次に、本実施形態の電磁クラッチ20の製造方法について図5を参照して説明する。
まず、第1工程(ステップS100)において、準備工程として、ハブ42、板バネ45、ロータ30、アーマチァ40、軸受け34、およびグリース組成物を準備する。
このとき、ハブ42、板バネ45、およびアーマチァ40が複数のリベット41bによって一体化されたものを用意する。
次の第2工程(ステップS110)において、コンプレッサ2のハウジングに対してアーマチァ40、および軸受け34を組み付ける。
次の第3工程(ステップS120)において、塗布工程として、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物を塗布する。
具体的には、図5に示すように、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点を形成するようにアーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する。
複数の点は、軸線Sを中心とするリング61a、61b、61c、61dをそれぞれ形成する。リング61aは、極60aに沿って並べられる複数の点によって形成されている。リング61bは、極60bに沿って並べられる複数の点によって形成されている。リング61cは、極60cに沿って並べられる複数の点によって形成されている。リング61dは、極60dに沿って並べられる複数の点によって形成されている。
次の第3工程(ステップS130)において、連結工程として、アーマチァ40の摩擦面49をロータ30の摩擦面36に対向させた状態で、ハブ42の円筒部42aの内側にコンプレッサ2の回転軸2aを嵌め込む。
その後、ハブ42およびコンプレッサ2の回転軸2aをボルト46によって締結してハブ42およびコンプレッサ2の回転軸2aを固定する。
このことにより、アーマチァ40は、ハブ42および板バネ45を介してコンプレッサ2の回転軸2aに連結されることになる。以上により、電磁クラッチ20の製造が終了することになる。
その後、コンプレッサ2の運転時において、電磁コイル50に通電されて、電磁コイル50からの磁束が矢印GSの如く、ロータ30の外側円筒部31→アーマチァ40のリング部材40b→ロータ30の端面部33→アーマチァ40のリング部材40c→ロータ30の内側円筒部32→電磁コイル50の順に流れる。
この際に、極60a、60b、60c、60dにおいて、アーマチァ40をロータ30に引き付ける電磁力としての吸引力が作用する。このため、アーマチァ40およびロータ30が摩擦により連結された際に、アーマチァ40の摩擦面49に塗布されたグリース組成物は、アーマチァ40の摩擦面49およびロータ30の摩擦面36の間で押しつぶされて拡がる。
さらに、ロータ30およびアーマチァ40が連結される直後等に、ロータ30およびアーマチァ40の間に滑りが生じると、グリース組成物は、アーマチァ40およびロータ30の間において、摩擦面49、36に沿って薄く拡がる。このように拡がるグリース組成物は、ロータ30の摩擦面36およびアーマチァ40の摩擦面49が凝着することを抑制する。
以上説明した本実施形態によれば、電磁クラッチ20は、コンプレッサ2の回転軸2aの軸線Sを中心として、走行用エンジン10から出力される回転駆動力により回転するロータ30を備える。
電磁クラッチ20は、ロータ30に対して軸線Sの軸線方向一方側に配置されて、回転軸2aの軸線Sを中心として回転自在に構成されて、コンプレッサ2の回転軸2aに回転力を与えるアーマチァ40とを備える。
アーマチァ40およびロータ30のうち一方の回転体には他方の回転体に対して摩擦によって連結する摩擦面36、49が形成されている。
アーマチァ40およびロータ30が摩擦によって連結されたとき、ロータ30の回転力がアーマチァ40を通して駆動対象装置の回転軸に伝わる。
電磁クラッチ20の製造方法は、準備工程(ステップS100)、塗布工程(ステップS120)、および連結工程(ステップS130)を備える。
準備工程(ステップS100)では、半固体性を有して、アーマチァ40およびロータ30が凝着することを抑制するためのグリース組成物を準備する。
塗布工程(ステップS120)では、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。
連結工程(ステップS130)では、塗布工程の後で、アーマチァ40の摩擦面49とロータ30の摩擦面36とを対向させた状態で、アーマチァ40を板バネ45およびハブ42を介して回転軸2aに連結する。
以上により、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。このため、アーマチァ40の摩擦面49に対するグリース組成物の塗布量を良好に調整することができる。これに加えて、製品毎のグリース組成物の塗布量のばらつきを抑えることができる。
本実施形態では、アーマチァ40とロータ30とが摩擦により連結したとき、或いは、アーマチァ40およびロータ30の間で滑りが生じたとき、グリース組成物を摩擦面49、36の間で摩擦面49(或いは36)の全体に拡げることができる。これにより、グリース組成物の塗りムラの発生を抑える。
本実施形態の塗布工程(ステップS120)において、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。このため、アーマチァ40の摩擦面49の全体にグリース組成物を塗布する場合に比べて、摩擦面49に対して塗布するグリース組成物の塗布量を減らすことができるので、コストダウンを図ることができる。
本実施形態の塗布工程(ステップS120)において、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60a、60b、60c、60dに沿うようにグリース組成物を塗布する。このことにより、アーマチァ40およびロータ30の間で吸引力が作用する部位にグリース組成物を塗布することになる。
つまり、摩擦面49、36の間で凝着が生じやすい箇所(すなわち、極60a、60b、60c、60d)に、グリース組成物を塗布することになる。したがって、極60a、60b、60c、60dにおいて、摩擦面49、36が凝着することを未然に抑制することができる。これに加えて、アーマチァ40およびロータ30が連結されたときグリース組成物を良好に拡げることができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、極60a、60b、60c、60dのそれぞれに沿って並べられる複数の点をグリース組成物によって形成するようにアーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する例について説明した。
上記第1実施形態では、極60a、60b、60c、60dのそれぞれに沿って並べられる複数の点をグリース組成物によって形成するようにアーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する例について説明した。
これに代えて、極60a、60b、60c、60dのうち極60c、60dのみに沿ってグリース組成物を塗布する本第2実施形態について図6を参照して説明する。
本実施形態において、極60c、60dは、極60a、60bに対して軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている。
アーマチァ40の摩擦面49およびロータ30の摩擦面36の間で滑りが生じたとき、摩擦面49(或いは、36)のうち軸線Sを中心とする径方向外側は、径方向内側に比べて、接線方向の移動速度(単位:m/sec)が速くなる。このため、摩擦面49(或いは、36)のうち軸線Sを中心とする径方向外側は、径方向内側に比べて、摩擦による発熱量が多くなる。
これに伴い、摩擦面49(或いは、36)のうち径方向外側は、径方向内側に比べて、酸化鉄の形成が速く進んで、硬化が速く進む。このため、アーマチァ40の摩擦面49のうち径方向外側には、グリース組成物の塗布が不要となる場合がある。
一方、アーマチァ40の摩擦面49のうち径方向内側は、径方向外側に比べて、酸化鉄の形成が遅く、硬化が遅い。このため、アーマチァ40の摩擦面49のうち径方向内側は、グリース組成物の塗布が必要となる。
そこで、本実施形態では、塗布工程(ステップS120)において、アーマチァ40の摩擦面49のうち極60c、60dに沿って複数の点を形成するようにグリース組成物を塗布する。
つまり、アーマチァ40の摩擦面49において、グリース組成物による複数の点が、軸線Sを中心とするリング61c、61dをそれぞれ形成することになる。
以上説明した本実施形態によれば、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点でリング61c、61dを形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。このため、上記第1実施形態と同様に、アーマチァ40の摩擦面49に対するグリース組成物の塗布量を良好に調整することができる。これに加えて、製品毎のグリース組成物の塗布量のばらつきを抑えることができる。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60c、60dに沿ってグリース組成物を塗布する例について説明した。
上記第2実施形態では、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60c、60dに沿ってグリース組成物を塗布する例について説明した。
しかし、これに代えて、本第3実施形態では、図7に示すように、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60a、60b、60c、60dのうち極60a、60cのみに沿ってグリース組成物を塗布する。
本実施形態の塗布工程(ステップS120)において、アーマチァ40の摩擦面49において、グリース組成物による複数によって、軸線Sを中心とするリング61a、61cをそれぞれ形成することになる。
以上説明した本実施形態によれば、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の点でリング61a、61cを形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。このため、上記第1実施形態と同様に、アーマチァ40の摩擦面49に対するグリース組成物の塗布量を良好に調整することができる。これに加えて、製品毎のグリース組成物の塗布量のばらつきを抑えることができる。
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、極60a、60b、60c、60dのそれぞれに沿って並べられる複数の点をグリース組成物によって形成するようにアーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する。
上記第1実施形態では、極60a、60b、60c、60dのそれぞれに沿って並べられる複数の点をグリース組成物によって形成するようにアーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する。
しかし、これに代えて、本第4実施形態の塗布工程(ステップS120)において、図8に示すように、極60a、60b、60c、60dのそれぞれに沿って線をグリース組成物によって形成するようにアーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する。
本実施形態のアーマチァ40の摩擦面49において、グリース組成物が、軸線Sを中心とするリング62a、62b、62c、62dを形成することになる。
リング62aは、極60aに沿って線状に形成されている。リング62bは、極60bに沿って線状に形成されている。リング62cは、極60cに沿って線状に形成されている。リング62dは、極60dに沿って線状に形成されている。
以上説明した本実施形態によれば、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって複数の線を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。このため、上記第1実施形態と同様に、アーマチァ40の摩擦面49に対するグリース組成物の塗布量を良好に調整することができる。これに加えて、製品毎のグリース組成物の塗布量のばらつきを抑えることができる。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、アーマチァ40とロータ30とが摩擦により連結したとき、或いは、アーマチァ40およびロータ30の間で滑りが生じたとき、グリース組成物を摩擦面49、36の間で摩擦面49(或いは36)の全体に拡げることができる。これにより、グリース組成物の塗りムラの発生を抑える。
本実施形態の塗布工程(ステップS120)において、上記第1実施形態と実質的同様に、アーマチァ40の摩擦面49に対してグリース組成物によって線を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。
このため、アーマチァ40の摩擦面49の全体にグリース組成物を塗布する場合に比べて、摩擦面49に対して塗布するグリース組成物の塗布量を減らすことができるので、コストダウンを図ることができる。
(第5実施形態)
上記第1〜4実施形態では、アーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する例について説明したが、これに代えて、本第5実施形態では、図9に示すように、ロータ30の摩擦面36にグリース組成物を塗布する。
上記第1〜4実施形態では、アーマチァ40の摩擦面49にグリース組成物を塗布する例について説明したが、これに代えて、本第5実施形態では、図9に示すように、ロータ30の摩擦面36にグリース組成物を塗布する。
本実施形態では、塗布工程(ステップS120)において、ロータ30の摩擦面36のうち極60a、60b、60c、60dに沿ってグリース組成物を複数の点を並べるように塗布する。
つまり、ロータ30の摩擦面36において、グリース組成物による複数の点が、軸線Sを中心とするリング63a、63b、63c、63dをそれぞれ形成することになる。
以上により、アーマチァ40およびロータ30が摩擦により連結されたとき、および、ロータ30およびアーマチァ40の間に滑りが生じるとき、ロータ30の摩擦面36に塗布されたグリース組成物は、摩擦面49、36の間で押しつぶされて拡がる。
このため、グリース組成物を摩擦面49、36に沿って拡がることができる。よって、ロータ30およびアーマチァ40が凝着することを抑制しつつ、グリース組成物の塗布量を低減することができる。
以上説明した本実施形態によれば、ロータ30の摩擦面36に対してグリース組成物によって複数の点を形成するように摩擦面36にグリース組成物を塗布する。このため、上記第1実施形態と同様に、ロータ30の摩擦面36に対するグリース組成物の塗布量を良好に調整することができる。これに加えて、製品毎のグリース組成物の塗布量のばらつきを抑えることができる。
本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、アーマチァ40とロータ30とが摩擦により連結したとき、或いは、アーマチァ40およびロータ30の間で滑りが生じたとき、グリース組成物を摩擦面49、36の間で摩擦面49(或いは36)の全体に拡げることができる。これにより、グリース組成物の塗りムラの発生を抑える。
本実施形態の塗布工程(ステップS120)において、ロータ30の摩擦面36に対してグリース組成物によって複数の点を形成するように摩擦面49にグリース組成物を塗布する。このため、ロータ30の摩擦面36の全体にグリース組成物を塗布する場合に比べて、摩擦面36に対して塗布するグリース組成物の塗布量を減らすことができるので、コストダウンを図ることができる。
(他の実施形態)
(1)上記第1〜第5の実施形態では、本発明に係る駆動源を走行用エンジン10とした例について説明したが、これに限らず、走行用エンジン10以外の装置を本発明に係る駆動源としてもよい。
(1)上記第1〜第5の実施形態では、本発明に係る駆動源を走行用エンジン10とした例について説明したが、これに限らず、走行用エンジン10以外の装置を本発明に係る駆動源としてもよい。
(2)上記第1〜第5の実施形態では、本発明に係る駆動対象装置をコンプレッサ2とした例について説明したが、これに限らず、コンプレッサ2以外の装置を本発明に係る駆動対象装置としてもよい。
(3)上記第1〜第5の実施形態では、電磁力によってアーマチァ40およびロータ30を連結する電磁クラッチ20を本発明のクラッチとする例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
すなわち、電磁力以外の力(例えば、油圧)によってアーマチァ40およびロータ30を連結する油圧式のクラッチを本発明のクラッチとしてもよい。
(4)上記第1〜第5の実施形態では、ハブ42に接続され、かつアーマチァ40に接続される弾性部材として板バネ45を用いた例について説明したが、これに代えて、弾性部材としてゴム製部材を用いてもよい。
(5)上記第5実施形態では、ロータ30の摩擦面36に対して極60a、60b、60c、60dに沿ってグリース組成物を塗布する例について説明した。しかし、これに代えて、上記第2実施形態と同様、極60a、60b、60c、60dのうち極60c、60dのみに沿ってグリース組成物を塗布してもよい。
或いは、上記第5実施形態において、上記第2実施形態と同様、極60a、60b、60c、60dのうち極60a、60cのみに沿ってグリース組成物を塗布してもよい。
(6)上記第5実施形態では、極60a、60b、60c、60dに沿って並べられる複数の点を形成するようにロータ30の摩擦面36に対してグリース組成物を塗布する例について説明した。
しかし、これに代えて、極60a、60b、60c、60dに沿って線を形成するようにロータ30の摩擦面36に対してグリース組成物を塗布してもよい。
(7)上記第1〜第5の実施形態では、極60a、60b、60c、60dのいずれかに沿うようにグリース組成物を塗布した例について説明した。しかし、これに代えて、アーマチァ40の摩擦面49(或いは、ロータ30の摩擦面36)のうち極60a、60b、60c、60d以外の箇所にグリース組成物を塗布してもよい。
(8)上記第1実施形態では、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60a、60b、60c、60dに沿ってグリース組成物を塗布した例について説明したが、これに代えて、次の(a)(b)のようにしてもよい。
(a)アーマチァ40の摩擦面49に対して極60a、60bに沿って塗布するグリース組成物の塗布量と、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60c、60dに沿って塗布するグリース組成物の塗布量とを異ならせる。
例えば、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60a、60bに沿って塗布するグリース組成物の塗布量に比べて、アーマチァ40の摩擦面49に対して極60c、60dに沿って塗布するグリース組成物の塗布量を多くする。
(b)ロータ30の摩擦面36に対して極60a、60bに沿って塗布するグリース組成物の塗布量と、ロータ30の摩擦面36に対して極60c、60dに沿って塗布するグリース組成物の塗布量とを異ならせる。
例えば、ロータ30の摩擦面36に対して極60a、60bに沿って塗布するグリース組成物の塗布量に比べて、ロータ30の摩擦面36に対して極60c、60dに沿って塗布するグリース組成物の塗布量を多くする。
(9)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記第1〜5実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、クラッチは、駆動対象装置の回転軸の軸線を中心として、駆動源から出力される回転駆動力により回転する駆動側回転体を備える。
(まとめ)
上記第1〜5実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、クラッチは、駆動対象装置の回転軸の軸線を中心として、駆動源から出力される回転駆動力により回転する駆動側回転体を備える。
クラッチは、駆動側回転体に対して軸線の軸線方向一方側に配置されて、回転軸の軸線を中心として回転自在に構成されて、駆動対象装置の回転軸に回転力を与える従動側回転体を備える。駆動側回転体および従動側回転体のうち一方の回転体には他方の回転体に対して摩擦によって連結する摩擦面が形成されている。
駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面が摩擦によって連結されたとき、駆動側回転体の回転力が従動側回転体を通して駆動対象装置の回転軸に伝わる。クラッチの製造方法は、準備工程、塗布工程、および連結工程を備える。
準備工程では、半固体性を有して、駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面が凝着することを抑制するためのグリース組成物を準備する。
塗布工程において、一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物を塗布する。連結工程では、塗布工程の後で、駆動側回転体の摩擦面と従動側回転体の摩擦面とを対向させた状態で、駆動側回転体を回転軸に連結する。
塗布工程において、一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物を塗布する。連結工程では、塗布工程の後で、駆動側回転体の摩擦面と従動側回転体の摩擦面とを対向させた状態で、駆動側回転体を回転軸に連結する。
塗布工程では、一方の回転体の摩擦面に対してグリース組成物によって線、或いは複数の点を形成するように一方の回転体の摩擦面にグリース組成物を塗布する。
第2の観点によれば、クラッチの製造方法において、従動側回転体と駆動側回転体とを通過する磁束を発生させる磁気回路を構成する電磁コイルが設けられている。駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面の間には、磁束が通過して駆動側回転体および従動側回転体の間に電磁力としての吸引力を発生させる極が形成されている。
駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面は、極に生じる吸引力によって連結され、塗布工程では、一方の回転体の摩擦面に対して極に沿ってグリース組成物を塗布する。
これにより、駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面の間で凝着が生じやすい箇所にグリース組成物を塗布することができる。
第3の観点によれば、一方の回転体の摩擦面には、極が軸線を中心とするリング状に形成されている。
塗布工程では、一方の回転体の摩擦面に対して、極に沿ってリング状にグリース組成物を塗布する。
第4の観点によれば、一方の回転体の摩擦面には、複数の極が軸線を中心とする径方向に並べらており、塗布工程では、複数の極のうち径方向の内側の極のみに沿ってグリース組成物を塗布する。
これにより、駆動側回転体の摩擦面および従動側回転体の摩擦面の間で凝着が生じやすい径方向内側にグリース組成物を塗布することができる。
具体的には、第5の観点によれば、複数の極は、径方向の外側から径方向の内側に順に並べられている第1極、第2極、第3極、第4極を備えている。塗布工程では、第1極、第2極、第3極、第4極のうち、径方向の内側の極としての第3極および第4極に沿ってグリース組成物を塗布する。
2 コンプレッサ
20 電磁クラッチ
30 ロータ
36 摩擦面
40 アーマチァ
42 ハブ
49 摩擦面
20 電磁クラッチ
30 ロータ
36 摩擦面
40 アーマチァ
42 ハブ
49 摩擦面
Claims (5)
- 駆動対象装置(2)の回転軸(2a)の軸線(S)を中心として、駆動源(10)から出力される前記回転駆動力により回転する駆動側回転体(30)と、
前記駆動側回転体に対して前記軸線の軸線方向一方側に配置されて、前記回転軸の軸線を中心として回転自在に構成されて、前記駆動対象装置の回転軸に回転力を与える従動側回転体(40)と、を備え、
前記駆動側回転体および前記従動側回転体のうち一方の回転体には他方の回転体に対して摩擦によって連結する摩擦面(36、49)が形成され、
前記駆動側回転体の摩擦面および前記従動側回転体の摩擦面が摩擦によって連結されたとき、前記駆動側回転体の回転力が前記従動側回転体を通して前記駆動対象装置の回転軸に伝わるクラッチの製造方法であって、
半固体性を有して、前記駆動側回転体の摩擦面および前記従動側回転体の摩擦面が凝着することを抑制するためのグリース組成物を準備する準備工程(S100)と、
前記一方の回転体の前記摩擦面に対して前記グリース組成物を塗布する塗布工程(S120)と、
前記塗布工程の後で、前記駆動側回転体の前記摩擦面と前記従動側回転体の前記摩擦面とを対向させた状態で、前記駆動側回転体を前記回転軸に連結する連結工程(S130)と、を備え、
前記塗布工程では、前記一方の回転体の摩擦面に対して前記グリース組成物によって線、或いは複数の点を形成するように前記一方の回転体の摩擦面に前記グリース組成物を塗布するクラッチの製造方法。 - 前記従動側回転体と前記駆動側回転体とを通過する磁束を発生させる磁気回路を構成する電磁コイル(50)が設けられており、
前記駆動側回転体の摩擦面および前記従動側回転体の摩擦面の間には、前記磁束が通過して前記駆動側回転体および前記従動側回転体の間に電磁力としての吸引力を発生させる極(60a、60b、60c、60d)が形成されており、
前記駆動側回転体の摩擦面および前記従動側回転体の摩擦面は、前記極に生じる前記吸引力によって連結され、
前記塗布工程では、前記一方の回転体の前記摩擦面に対して前記極に沿って前記グリース組成物を塗布する請求項1に記載のクラッチの製造方法。 - 前記一方の回転体の前記摩擦面には、前記極が前記軸線を中心とするリング状に形成されており、
前記塗布工程では、前記一方の回転体の前記摩擦面に対して、前記極に沿ってリング状に前記グリース組成物を塗布する請求項2に記載のクラッチの製造方法。 - 前記一方の回転体の前記摩擦面には、複数の前記極が前記軸線を中心とする径方向に並べらており、
前記塗布工程では、前記複数の極のうち前記径方向の内側の極のみに沿って前記グリース組成物を塗布する請求項3に記載のクラッチの製造方法。 - 前記複数の極は、前記径方向の外側から前記径方向の内側に順に並べられている第1極(60a)、第2極(60b)、第3極(60c)、第4極(60d)を備えており、
前記塗布工程では、前記第1極、前記第2極、前記第3極、前記第4極のうち、前記径方向の内側の極としての前記第3極および前記第4極に沿って前記グリース組成物を塗布する請求項4に記載のクラッチの製造方法。
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JP2019007844A JP2020118183A (ja) | 2019-01-21 | 2019-01-21 | クラッチの製造方法 |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04165125A (ja) * | 1990-10-26 | 1992-06-10 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電磁クラッチ |
JPH08114241A (ja) * | 1994-10-14 | 1996-05-07 | Nippondenso Co Ltd | 電磁クラッチ |
JPH1092542A (ja) * | 1996-09-13 | 1998-04-10 | Yazaki Corp | 相対回転部材間継電装置 |
-
2019
- 2019-01-21 JP JP2019007844A patent/JP2020118183A/ja active Pending
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