JP2020117985A - コンクリート構造物の補修方法 - Google Patents

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秀樹 山内
泰寛 野田
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泰寛 野田
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【課題】容易な方法によりコンクリート構造物の表面や取合い部分、取合い部分周辺にあるクラックなどの隙間から水などの侵入を防止し、その防止した表面の化粧仕上げを行うことができるコンクリート構造物の補修方法を提供することにある。【解決手段】コンクリート構造物の表面にある幅5.0mm以下の隙間に対し、隙間の幅より広く50mm以下で、厚みが、2mm以下である防水テープを張り、防水テープの面積より広く、塗り厚が防水テープの厚みより厚く10mm以下にセメント系下地調整材を塗布することにより、容易な方法によりコンクリート構造物の表面や取合い部分、取合い部分周辺にあるクラックなどの隙間から水などの侵入を防止し、その防止した表面の化粧仕上げを行うことができる。【選択図】 図4−1

Description

本開示は、コンクリート構造物のコンクリート面にあるクラックなど隙間の補修方法に関するものである。
従来、建物などのコンクリート構造物の表面や取合い部分、取合い部分周辺にあるクラックなどの隙間から雨水などが侵入することがある。このクラックなど隙間は、構造物への気候や振動など外的な要因やその構造の使用状況などの内的な要因により構造物が動き、クラックなど隙間が生じることがある。
このような隙間から雨水などが侵入する雨漏りに対して、補修を行い雨水などの侵入を止めることがある。
例えば、コンクリート面のクラックに沿って、シーリング剤やモルタル系の補修材を塗布することや場合によっては、そのクラックに沿ってV字状やU字状の断面にカットし、シーリング剤やモルタル系の補修材を充填することもある。
また、軽微なクラックの場合では、弾性タイプの合成樹脂を主成分とした下地調整材などの塗料により仕上げることもある。
さらに、特許文献1に記載されているような方法もある。これは、コンクリート面にあるクラックなどの隙間を覆うように、未加硫ゴムからなる補助テープをコンクリート面に貼付し、その後、この補助テープと補助テープよりも大きいポリウレタンシートとを無溶剤接着剤で接着させるものである。
この補修方法によれば、コンクリート面が、例えば、垂直面などである場合であっても、良好な仕上がりを得ることができ、被覆に際する異物の付着・混入を抑制できるという優れたものである。
特開2008−214977号公報
しかしながら、クラックに沿って、シーリング剤やモルタル系の補修材を塗布する方法では、その塗布方法により防水性能にバラつきが出ることがある。これは、十分な量の補修材を充填できないことがある。
クラックに沿ってV字状やU字状の断面にカットする場合では、そのカットに際して発生する粉塵の処理が必要となる。又、シーリング剤やモルタル系の補修材を充填することでもその充填の程度によりその防水性能にバラつきが生じることがあり、その補修が大掛かりなものとなる。
加えて、これら補修を行った壁面に対して、化粧を行う場合では、その充填材料と壁面を構成するコンクリートにより下地処理が異なることもあり、その補修後の塗装の仕様が複雑となることもある。これは、壁面とシーリング打設部の硬さの違いが有るためである。
また、弾性タイプの合成樹脂を主成分とした下地調整材などの塗料により仕上げる場合では、その厚みが少ないことから、その防水効果が十分な場合ではないことが多い。
さらに、特許文献1記載の方法によれば、良好な仕上がりを得ることができるものであるが、その良好な仕上げとするためには、ポリウレタンシートの配置や大きさなど張り方に工夫が必要である。
また、建築物などの構造物など美観を重視する場合には、その仕上げ面を更に良好とするために塗料などで化粧をすることが多くある。この場合、コンクリートとポリウレタンシートとの異部材により仕上げられた面に塗装することになると、その塗装仕様が複雑になる場合がある。
それは、被塗装面がコンクリートとポリウレタンシートになり、それぞれ塗装ができるようにプライマーなどで調整することになる。
さらに、未加硫ゴムの補助テープ、無溶剤接着剤、ポリウレタンシートをコンクリート面に積層させることで、それによりできた段差を消す必要が生じる。
本開示は、容易な方法によりコンクリート構造物の表面や取合い部分、取合い部分周辺にあるクラックなどの隙間から水などの侵入を防止し、その防止した表面の化粧仕上げを行うことができるコンクリート構造物の補修方法を提供することにある。
コンクリート構造物の表面にある幅5.0mm以下の隙間に対し、隙間の幅より広く50mm以下で、厚みが2mm以下である防水テープを張り、防水テープの面積より広く、塗り厚が防水テープの厚みより厚く10mm以下にセメント系下地調整材を塗布する。
このことにより、容易な方法によりコンクリート構造物の表面や取合い部分、取合い部分周辺にあるクラックなどの隙間から水などの侵入を防止し、その防止した表面の化粧仕上げを行うことができる。
その補修前に補修対象面にプライマーを塗布することにより、防水テープとセメント系下地調整材の密着性が向上し、防水効果をより向上させることができる。
セメント系下地調整材が硬化乾燥した後に、その補修面に対し塗料により塗装を行うことにより、補修面の美観がより向上するものである。
前記防水テープがブチルゴム層と不織布とが積層されていることにより、防水テープとセメント系下地調整材との密着性がより向上するものである。
開口部周辺に発生したクラックの一例を示す。 防水テープの一例を示す。 クラックに防水テープを張った一例を示す。 クラックに防水テープを張った一例を示す。 クラックに防水テープを張り、セメント系下地調整材により覆った断面の一例を示す。 クラックに防水テープを張り、セメント系下地調整材により覆った断面の一例を示す。
本開示の実施形態を詳細に説明する。
まず、本開示のコンクリート構造物の補修方法での、コンクリート構造物は、住居や倉庫などの建物のことで室内側に居住したり、物を置いたり、機械設備などを設置したりするものである。
このようなコンクリート構造物が経年で入隅部や開口部周辺などに細いクラックなどの隙間が生じることがあり、このクラックが原因で漏水することがある。
この隙間とは、コンクリート面に生じるコンクリートの乾燥収縮によるクラックや構造物の動きにより生じる構造クラックなどのクラックやコンクリートの打継などにより生じるコンクリートの肌別れなどにより発生したものである。
図1には、窓などの開口部周辺に発生した隙間であるクラックの一例を示す。これは構造物の動きにより生じた構造クラックである。
この図1に示したクラック11などの隙間は、コンクリート構造物の壁面10などに発生し、その幅が5mmより細いものが多く、ほとんどが1mm程度の比較的細く軽微な隙間である。
このクラック11などのような隙間に対して、容易な方法により構造物の開口部周辺の表面や取合い部分周辺などの壁面10にあるクラックなどの隙間から水などの侵入を防止し、その防止した表面の化粧仕上げを行うことができる。
まず、この防水テープは、テープ状でコンクリート構造物の壁面10に張付けることができ、防水性能が有るものであれば良い。
代表的なものとしてブチルゴムテープが有る。このブチルゴムテープは、合成ゴムの一種であるブチルゴムをテープ状にしたものである。
ブチルゴムは、イソブチレンと1.5〜5.0%程度のイソプレンとの共重合体で、イソブチレン‐イソプレンゴムとも呼ばれる。イソプレン量が少なく、きわめて不飽和度の小さいゴム質であるため、加硫しにくいものである。
このブチルゴムは、耐熱老化性、耐薬品性、耐候性、防水性などの環境抵抗性や電気特性に優れて、気体の透過性が小さく、更に反発弾性が小さく、衝撃吸収性が大きいものであるため、ケーブルなど電気絶縁材や防水シート、ライニング材、振動衝撃吸収剤やタイヤのインナーチューブなどに用いられる。
このようなブチルゴムをテープ状にした防水テープは、耐久性に優れ、高い防水性を持ち、コンクリートに対して高い接着性を発揮するものである。
このブチルゴムを主とした防水テープの中でもテープ背面側に不織布が積層しているものが好ましい形態である。この不織布により、その表面に塗布されるセメント系下地調整材との接着性が優れたものとなる。
また、この不織布がブチルゴムに積層されていることで、防水層であるブチルゴムの形状を安定化することができる。
図2に防水テープの一例を示す。この図面に示した防水テープ13は、防水性、耐候性に優れたブチルゴム14をポリエチレン‐テレフタレートやポリエステルなどの不織布15に厚く塗布した 気密住宅向け粘着テープとして用いられることが多いものである。
この防水テープ13は、耐久性に優れ、低温から高温まで幅広い温度範囲で安定した粘着力を発揮するものである。
また、防水テープ13背面側にモルタル、防水剤、接着剤、塗料などが載りやすいものである。
次に、セメント系下地調整材は、セメントを主成分とした粉体成分を使用前に水と混練し、塗り材とするものである。その粉体成分は、主成分であるセメントに珪砂、炭酸カルシウムなどの骨材成分により構成され、必要に応じ添加剤を添加しているものである。
この添加剤には、セメント系下地調整材の硬化を調整するための促進剤、遅延剤などや塗布作業を調整するための粘性調整剤などがある。
また、合成樹脂エマルションを加え、その強度や密着性を向上させることもある。この場合の合成樹脂エマルションの形態としては、粉末状のものを粉体成分に添加するものや使用前の混練時に液状のものを添加するものがある。
この合成樹脂エマルションのTgを0℃以下のものを用いることにより、硬化したセメント系下地調整に柔軟性を持たせることができ、構造物などの動きに追従し易くなり、構造物表面のクラックの発生を低減させることができる。
このセメント系下地調整材は、構造物などの壁面を仕上げる場合に、その壁面の不陸を調整し、その不陸を平滑などの一様な面として得るためのものであり、特に制限されるものではない。
この不陸を調整する方法としては、その下地調整が必要な面に対して、コテやヘラなどを用いてこの塗材の状態のものを塗付けたりすることにより一様な平滑な面として得ることができる。
場合によっては、塗装用ローラーにより塗付けたり、リシンガンなどの吹付けガンを用いて塗付けたりすることにより一様な面を得ることができる。
上記記載の防水テープ13とセメント系下地調整材により、コンクリート構造物の表面にあるクラック11などの隙間の補修を行う。より詳細に図面を用いて説明する。
この補修方法では、そのクラック11などの隙間の幅が5.0mm以下の場合により効果を発揮することができるが、1.0mmより軽微な隙間の場合に用いられることが多い。図1に示すような開口部周辺にクラック11が発生したものがある。
この図1では、コンクリート構造物の壁面10であり、その壁面10である補修対象面に開口部として窓12があり、その窓12の四隅から放射状にクラック11が発生している。
まず、クラック11に貼り付ける防水テープを用意する。この防水テープ13は、図2に示すようにロール状で、ブチルゴム14と不織布15とが積層され、ブチルゴム15を保護するための離型紙16を備えたものである。
離型紙16によりブチルゴム14の粘着性を保つことができるため、壁面10の表面への密着性を低下させることなく、張付けることができる。
この防水テープ13の幅は、隙間の幅より広く50mm以下の範囲のものを使用し、隙間以下の幅では防水性能を期待することができない。50mmより広い場合では、防水性能が良いが、取扱い難く、防水テープ13の張付け作業時に張り直しなどが生じることが多い。
この範囲の防水テープ13を使うことにより、防水性能と作業性のバランスの取れたものになる。
また、この防水テープ13の幅が10〜50mmの範囲であれば、5mm以下の隙間に対しての防水性がよく、構造物の壁面10の表面との密着性が確実になるものである。
この防水テープ13の厚みは、2mm以下であり、この厚みより厚くてもこの用途における防水性能にあまり変わりがなく、セメント系下地調整材で覆うことが難しくなるものである。
より好ましくは、1mm以下であり、この厚み以下であれば、セメント系下地調整材で覆うことがより容易なものである。
この防水テープ13を張る前に補修対象面である壁面10を洗浄し、表面に付いているゴミや埃を除去する。又、その壁面10に塗装などがされている場合には、その塗膜の劣化部分も除去する。
その後、好ましくは、その壁面10にプライマーを塗布することである。このプライマーは、防水テープ13が壁面10の表面との密着性能を向上させるためのものである。
このプライマーは、液状のもので、合成樹脂を溶かした溶剤型のプライマーや合成樹脂を有機溶剤に分散させた弱溶剤型のもの、合成樹脂を水に分散させた水性型のものなどがある。
また、このプライマーは、必要に応じ着色することも可能であり、炭酸カルシウムなどの体質顔料を加えたものや酸化チタンなどの白色顔料を加えたものなども使用することは可能である。
このプライマーは、特に制限されるものではないが、使用前にその密着性能を確認してから使用することが好ましい。このプライマーは刷毛、塗装用ローラーなどにより塗付されることが多い。
このプライマーの塗布範囲としては、防水テープ13を張付ける範囲であれば良い。
より好ましくは、セメント系下地調整材を塗付ける範囲に塗布するもので、それによりセメント系下地調整材と壁面10の表面との密着性をより向上させることができる。
このように壁面10の洗浄を行った後、必要に応じ前記プライマーを塗付し、その面のクラック11などの隙間に防水テープを張付ける。
クラック11などの隙間の中心が防水テープ13の中心付近になるように、空気が入らないように端っこから順に張付け、防水テープ13の背面側から圧力を掛け、押し当てて張付ける。
必要に応じ、圧点用のローラーなどの器具を用いて張ることも可能であり、壁面10との密着性が良くなり、好ましい張付け方法である。
このように防水テープ13を壁面10の表面に張付け、十分に密着させる。好ましくは、その後に防水テープ13の背面側にプライマーを塗布することである。これにより、防水テープ13の背面に塗付けるセメント系下地調整材との密着性が向上することになる。
このように防水テープ13を壁面10に張付けた後にセメント系下地調整材を塗付ける。
図3には、壁面10の表面に発生したクラック11に防水テープを張った一例を示す。
この図3−1のようにクラック11が真直ぐでない場合は、防水テープ13の中心がクラック11全体の中心になるように張付ける。この場合では、防水テープ13を広めのものを用いクラック11を完全に覆うようにする。
場合によっては、クラック11の形状に合わせて、防水テープ13を切って張ることが可能である。このよう場合では、図3−2に示したように防水テープを重ね合わせながら張ることが好ましく、防水性を保つことができる。
このように防水テープ13を張付けた壁面10にセメント系下地調整材を塗付ける。この塗付け範囲としては、防水テープ13を覆うようにすれば良いが、その防水テープ13より広い範囲であることが必要である。
このセメント系下地調整材の塗付け範囲が防水テープ13と同じであると防水テープ13を覆うことができず、防水テープ13と壁面10との界面より水が浸入する恐れがある。
セメント系下地調整材の塗付け範囲として好ましくは、図4−1にあるように防水テープ13の幅より広いものが好ましい。
このような範囲でセメント系下地調整材17を塗付けることにより、防水テープ13と壁面10との界面を覆うことができ、その部分からの水の浸入を防ぐことができる。
また、硬化したセメント系下地調整材17の中に防水テープ13を内包し、固定することができるため、安定した防水効果を得ることができる。
このセメント系下地調整材17の塗付け範囲としては、図4−1に示したように防水テープ13の幅aに対して、幅bの部分が5mm以上であることが好ましく、幅aの1/2以上であることがより好ましい。
この幅bが5mm以上あれば防水テープ13を十分に覆うことができ、防水性を保つことができる。
望ましい形態としては、図4−2に示したように壁面10の全体をセメント系下地調整材17で覆い、その壁面10の仕上がりを全体的に平滑に仕上げることである。
このように壁面全体を平滑に仕上げることにより、塗料により塗装を行った場合によりきれいに仕上げることができる。
セメント系下地調整材17の塗布厚cは、防水テープ13の厚みより厚く、その厚みの2倍以上であることが好ましい。
防水テープ13は、柔軟性が有り柔らかいため、その塗布厚が薄いと硬化したセメント系下地調整材が割れることがある。そのため防水テープ13の厚みの2倍以上が好ましい。
また、セメント系下地調整材17の塗布厚cが10mm以下であることがより好ましいものである。その厚みが10mmより厚い場合では、補修した面の重量が増し構造物にかかる負荷が大きくなる。
10・・・壁面
11・・・クラック(又は隙間)
12・・・窓
13・・・防水テープ
14・・・ブチルゴム
15・・・不織布
16・・・離型紙
17・・・セメント系下地調整材

Claims (4)

  1. コンクリート構造物の表面にある幅5.0mm以下の隙間に対し、隙間の幅より広く50mm以下で、厚みが、2mm以下である防水テープを張り、防水テープの面積より広く、塗り厚が防水テープの厚みより厚く10mm以下にセメント系下地調整材を塗布するコンクリート構造物の補修方法。
  2. 請求項1に記載のコンクリート構造物の補修方法であって、その補修前に補修対象面にプライマーを塗布するコンクリート構造物の補修方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の補修方法であって、セメント系下地調整材が硬化乾燥した後に、その補修面に対し塗料により塗装を行うコンクリート構造物の補修方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコンクリート構造物の補修方法であって、前記防水テープがブチルゴム層と不織布とが積層されているコンクリート構造物の補修方法。

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