JP2020117430A - 酸化ガリウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度でNがドープされた結晶性が高い酸化ガリウムを提供する。【解決手段】酸化ガリウム基板上に、パルスレーザー堆積法を用いて、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気、NOガスを含む雰囲気、またはそれらの組み合わせを含む雰囲気中で、Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、酸化ガリウムの製造方法。【選択図】図3

Description

本開示は、酸化ガリウムの製造方法に関する。
現在、省電力技術の開発が求められており、パワーデバイスの低損失化が期待されている。パワーデバイスは、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されるインバーターなど、あらゆる電力変換器に搭載されている。
低損失なパワーデバイスの実現に向けて、現状のシリコン(Si)よりも更に高耐圧・低損失なパワーデバイスの実現が期待できるSiC、GaN、酸化ガリウム等の新しいワイドギャップ半導体材料が注目され、活発に研究開発が進められている。その中でも、酸化ガリウムは、SiC、GaNと比較して更に大きなバンドギャップに代表される物性から、パワーデバイスに応用した場合、より一層の高耐圧・低損失化等の優れたデバイス特性が期待される。
車載用パワーデバイスとして用いるために、酸化ガリウム単結晶のp型化及びその特性制御が期待されており、最近では、酸化ガリウムのパワーデバイスへの応用を目的として、イオン注入法を用いて酸化ガリウム単結晶に、酸化ガリウム中でアクセプタ元素として働くことが期待されるN(窒素)をドープする方法が提案されている(非特許文献1)。
APPLIED PHYSICS LETTERS 113(2018)102103
しかしながら、イオン注入法では、酸化ガリウムのp型化及びその特性制御は難しく、特に、高密度で窒素がドープされた結晶性が高い酸化ガリウムを得ることは困難であった。
酸化ガリウム中のNのアクセプタ準位が深く、ホール伝導(p型特性)を発現するためには、高濃度のNドーピングが必要となると予想されるが、高濃度でNをドーピングすることは難しかった。また、車載用途を含めたパワーデバイス応用のためには、ドープした酸化ガリウムの高い結晶性も要求されるが、高濃度のNをドープしようとすると酸化ガリウムの結晶に欠陥や歪みが生じてしまう。
そのため、高密度で窒素がドープされた結晶性が高い酸化ガリウムの製造方法が求められている。
本開示の要旨は、以下のとおりである。
(1)酸化ガリウム基板上に、パルスレーザー堆積法を用いて、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気、NOガスを含む雰囲気、またはそれらの組み合わせを含む雰囲気中で、Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、酸化ガリウムの製造方法。
(2)前記酸化ガリウム基板の温度を、500℃以上900℃以下とすることを含む、上記(1)に記載の酸化ガリウムの製造方法。
(3)前記NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気中で、前記Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、上記(1)または(2)に酸化ガリウムの製造方法。
(4)7×1020/cm3以上のNを含み、X線により測定されるロッキングカーブの半値幅が1.83度以下である、酸化ガリウム。
本開示の方法によれば、高密度でNがドープされた結晶性が高い酸化ガリウムを得ることができる。
図1は、本開示の方法で用いられるPLD装置の一例の断面模式図である。 図2は、基板温度と実施例で作製したNドープ酸化ガリウム単結晶のロッキングカーブ半値幅との関係を表すグラフである。 図3は、基板温度と実施例で作製したNドープ酸化ガリウム単結晶の窒素密度との関係を表すグラフである。 図4は、実施例1で作製したNドープ酸化ガリウムの非対称面XRDチャートである。 図5は、実施例4で作製したNドープ酸化ガリウムの非対称面XRDチャートである。 図6は、実施例4でNOガスをプラズマ化処理した際に測定したプラズマの発光スペクトルと、実施例8でNガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化処理した際に測定したプラズマの発光スペクトルである。 図7は、Nガス流量及びOガス流量の比率を変更したときのN/Oラジカルピーク強度比、及びNOガスをプラズマ化処理して得られたN/Oラジカルピーク強度比を示すグラフである。
本発明者は、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法を用い、Nラジカル及びOラジカル、NOガス、またはそれらの組み合わせをN源として用いることにより、従来報告されていないレベルの、高密度Nドーピング且つ高結晶性の酸化ガリウムを作製することに成功した。
本開示の方法は、酸化ガリウム基板上に、PLD法を用いて、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気、NOガスを含む雰囲気、またはそれらの組み合わせを含む雰囲気中で、Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、酸化ガリウムの製造方法を対象とする。
本開示の方法で用いるPLD法は、金属酸化物薄膜の製造に従来から用いられているパルスレーザー堆積装置(PLD装置)を用いて行うことができる。図1は、本開示の方法で用いられるPLD装置の一例の断面模式図である。
PLD法は図1のPLD装置100を用いて行われ、真空チャンバー10内に設置したターゲット20に、チャンバー外部からアブレーションレーザー光を照射することで、ターゲット20から原子(分子)を引き剥がして、ターゲット20に対向する酸化ガリウム基板30に薄膜を形成する成膜方法である。PLD法の構成の一例を下記に示す。
ターゲット20はステージ上に設置され、酸化ガリウム基板30は、ターゲットから飛散する成膜活性種の分布を考慮して、ターゲット20から所定の距離を隔てた位置に設置される。アブレーションレーザー光は、石英窓を通して斜入射させターゲット表面で適当な強度で集光させる。
用いるアブレーションレーザーとしては、ターゲットが吸収する波長のレーザーを用いることができ、例えば、波長が248nmのKrFエキシマレーザー等を用いることができる。
ターゲット20としては、好ましくは酸化ガリウム単結晶または酸化ガリウムの粉末をペレット状に焼結した酸化ガリウム多結晶を用いることができ、より好ましくは高純度の酸化ガリウム単結晶または酸化ガリウム多結晶を用いることができ、さらに好ましくは高純度の酸化ガリウム単結晶を用いることができる。
本開示の方法においては、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気、NOガスを含む雰囲気、またはそれらの組み合わせを含む雰囲気中でPLD法により、酸化ガリウム基板30上にNドープ酸化ガリウムを成膜する。すなわち、Nドープ源として、Nラジカル及びOラジカル、NOガス、またはそれらの組み合わせを用いる。
NOガスを含む雰囲気は、例えば、チャンバー10内を真空引きし、次いでNOガスを導入することにより形成することができ、あるいはチャンバー内を真空引きし、Ar、He、N2等の不活性ガスを導入し、次いでNOガスを導入することにより形成することができる。
NOガスを含む雰囲気はまた、図1に示すPLD装置100のチャンバー10と、NOガス源(図示せず)と、チャンバー及びNOガス源に接続されたNOガス導入経路(図示せず)とを含む装置を用いて、所定の流量でNOガスをチャンバー10内に導入して形成してもよい。NOガスは、NOガス源及びNOガス導入経路から図1に示すPLD装置100のガス導入管40を通して、チャンバー内に導入され得る。
NOガスを含む雰囲気中のNO分圧は、好ましくは0.013Pa以上、より好ましくは0.13Pa以上である。NO分圧が上記範囲にあることにより、より安定して高密度でNがドープされた結晶性が高い酸化ガリウムを得ることができる。NO分圧の上限は特に制限されないが、例えば13Paとしてもよい。NOガスを含む雰囲気は、好ましくは実質的にNOガスのみで構成される。
NOガスを含む雰囲気は、目的とする酸化ガリウムの結晶性、電気特性に影響しない限り、不活性ガス等の他の成分を含んでもよい。
実質的にNOガスのみを含む雰囲気下でNドープ酸化ガリウムを堆積すると、β相及びγ相を含むドープ酸化ガリウムを得ることができる。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気の生成方法は特に限定されないが、好ましくは、原料ガスとして、NOガス、またはNガス及びOガスの混合ガスを用いて、生成することができる。NOガスとNガス及びOガスの混合ガスとを組み合わせて用いてもよい。
原料ガスとしてNOガスを用いる場合、図1に示すガス導入管40を通ってNOガスがチャンバー10の内部に導入される際に、ガス導入管40の内部で電圧を印加してプラズマ化処理することによりNラジカル及びOラジカルを生成することができる。例えば、NOガスを、1.69×10-4〜1.69×10-2 Pa・m3/sの流量でガス導入管40に通す際に、出力100〜200Wでプラズマ化処理して、Nラジカル及びOラジカルを生成し、チャンバー10の内部に導入することができる。
NOガスをプラズマ化処理して生成したNラジカルとOラジカルとを含む雰囲気には、Nラジカル及びOラジカルに加えて、NOガスが含まれ得る。
原料ガスとしてNガス及びOガスの混合ガスを用いる場合、図1に示すガス導入管40を通ってNガス及びOガスの混合ガスがチャンバー10の内部に導入される際に、ガス導入管40の内部で電圧を印加してプラズマ化処理することによりNラジカル及びOラジカルを生成することができる。例えば、Nガス及びOガスの混合ガスを、1.69×10-4〜1.69×10-2 Pa・m3/sの流量でガス導入管40に通す際に、出力100〜200Wでプラズマ化処理して、Nラジカル及びOラジカルを生成し、チャンバー10の内部に導入することができる。Nガス及びOガスの流量比は、好ましくは、Nガス及びOガスの合計流量100%に対して、Nガス流量が26%以上である。Nガス及びOガスの合計流量中のNガス流量の割合が大きいほど、窒素密度が大きな酸化ガリウムを得ることができる。Nガス及びOガスの合計流量100%に対するNガス流量の上限は、好ましくは99%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下、さらにより好ましくは74%以下である。
ガス及びOガスの混合ガスは、Nガス源及びOガス源(図示せず)から、Nガス源及びOガス源に接続されたNガス及びOガス導入経路(図示せず)を介して、それぞれ、所定の流量でガス導入管40内に導入して形成してもよく、またはガス導入管40内に導入する前にNガスとOガスとを所定の流量で混合して形成してもよい。または、NガスとOガスとが所定の比率で混合された混合ガス源を用いてもよい。
ガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化処理して生成したNラジカルとOラジカルとを含む雰囲気には、Nラジカル及びOラジカルに加えて、Nガス及びOガスが含まれ得る。また、そのNラジカル及びOラジカルの量は、Nガス及びOガスの合計流量に等しい流量のNOガスをプラズマ化処理して生成したNラジカル及びOラジカルのそれぞれの量に等しい。したがって、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積する場合、Nガス及びOガスの混合ガスの流量比を変えることで、基板の温度に依らずNドープ密度を制御しうる。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気中のラジカル分圧は、好ましくは、7.06×10-5〜7.73×10-5 Paである。ラジカル分圧が上記範囲にあることにより、より安定して高密度でNがドープされた結晶性が高い酸化ガリウムを得ることができる。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気は、目的とする酸化ガリウムの結晶性、電気特性に影響しない限り、不活性ガス等の他の成分を含んでもよい。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積すると、実質的にβ相のみを含むNドープ酸化ガリウムを得ることができる。酸化ガリウムの最も安定な結晶構造であるβ相のみを含むNドープ酸化ガリウムが得られる点で、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積させることが好ましい。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積すると実質的にβ相のみを含むNドープ酸化ガリウムを得ることができる理由は、理論に束縛されるものではないが、NOガスまたはNガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化することで高エネルギーの窒素源を注入することになり、この大きなエネルギーによって熱力学的に最も安定なβ相の形成が起きたからであると考えられる。
また、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積すると、基板温度が高いほど酸化ガリウムのNドープ密度及び結晶性の両方が向上し、且つ基板温度によってNドープ密度及び結晶性が大きく変動しないので、より安定して、Nドープ密度が大きく結晶性に優れた酸化ガリウムを堆積することができる。基板温度によって、Nドープ密度及び結晶性の両方が安定して向上させることができる点でも、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積させることが好ましい。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積する場合に、基板温度に対する酸化ガリウムのNドープ密度及び結晶性の両方が向上することの理由は、理論に束縛されるものではないが、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気の有する強い酸化力によって、Nドープ酸化ガリウムの生成反応が安定化することが考えられる。
チャンバーから排出するNOガス、並びにNラジカル及びOラジカルは、アルカリ性溶液で中和することにより処理することができる。
酸化ガリウム基板の温度は、好ましくは500℃以上900℃以下である。基板温度を500℃以上に加熱することにより、結晶欠陥を低減し結晶性を向上することができる。基板温度を900℃以下とすることにより、成長速度を向上させ、成膜を容易に行うことができる。そのため、基板の温度が上記好ましい範囲にあることにより、より安定して高密度でNがドープされた結晶性が高い酸化ガリウムを得ることができる。
酸化ガリウム基板の温度は、任意の方法で制御することができる。例えば、基板のNドープ酸化ガリウムを堆積させる側とは反対側の面に赤外線レーザーを照射することにより、基板を所望の温度に加熱することができる。
Nラジカル及びOラジカルを含まず実質的にNOガスのみで構成される雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積する場合、500℃以上の範囲で基板の温度が高いほど、小さいロッキングカーブ半値幅が得られ、N濃度は若干減少する傾向があるものの依然として高い値を得ることができるが、基板の温度が900℃近くの高温になると、得られる酸化ガリウムの膜厚が減少する。したがって、Nラジカル及びOラジカルを含まず実質的にNOガスのみで構成される雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積する場合、基板の温度は、より好ましくは500℃以上800℃以下、さらに好ましくは500℃以上700℃以下である。
NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積する場合、500〜900℃の範囲で基板の温度が高いほど、高いN濃度及び小さいロッキングカーブ半値幅を有するNドープ酸化ガリウムを得ることができる。したがって、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気でNドープ酸化ガリウムを堆積する場合、基板の温度は、より好ましくは600℃以上900℃以下、さらに好ましくは700℃以上900℃以下である。
本開示の方法で用いる酸化ガリウム基板として、任意の手法で作製したGa23単結晶基板または市販のGa23単結晶基板を用いることができる。Ga23単結晶基板は、α−Ga23単結晶、β−Ga23単結晶、または他の結晶構造を有するGa23単結晶であることができ、好ましくはβ−Ga23単結晶である。
本開示の方法によれば、7×1020/cm3以上のNを含み、X線により測定されるロッキングカーブの半値幅が1.83度以下である、酸化ガリウム単結晶を得ることができる。
得られる酸化ガリウムは、7.0×1020/cm3以上という高濃度のNがドープされる。イオン注入法でこのような高濃度のNを酸化ガリウム単結晶にドープさせることは困難である。酸化ガリウムは、好ましくは1.3×1021/cm3/cm3以上、より好ましくは1.5×1021/cm3以上のNがドープされる。Nドープ量の上限は特に制限されないが、例えば1.0×1022/cm3を上限としてもよい。
得られる酸化ガリウムはまた、X線により測定されるロッキングカーブの半値幅が1.83度以下という良好な結晶性を示す。得られる酸化ガリウムのロッキングカーブの半値幅は、好ましくは0.82度以下、より好ましくは0.25度以下、さらに好ましくは0.21度以下、さらにより好ましくは0.15度以下、さらにより好ましくは0.11度以下である。
酸化ガリウム単結晶中のN密度は、得られた酸化ガリウムを、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定することにより得ることができる。
ロッキングカーブの半値幅は、得られた酸化ガリウムを、X線回折装置を用いて測定することにより得ることができる。
本開示の方法で得られる酸化ガリウムは薄膜であり、好ましくは30〜300nmの厚みを有する。本開示の方法で得られる酸化ガリウムは、好ましくはp型酸化ガリウムであり、より好ましくはp型酸化ガリウム単結晶である。また、本開示の方法で得られる酸化ガリウムは、好ましくはβ相及びγ相を含み、より好ましくは実質的にβ相からなる。
本開示はまた、7×1020/cm3以上のNを含み、X線により測定されるロッキングカーブの半値幅が1.83度以下である、酸化ガリウムを対象とする。
本開示の酸化ガリウムの構成については、上記製造方法に関して説明した内容を適用することができる。
(実施例1)
図1に示すPLD装置を用い、下記の条件で、酸化ガリウム基板上にNドープ酸化ガリウムを成膜した:
レーザー:周波数10Hz、出力0.5J/cm2
チャンバー内雰囲気:原料ガスとして用いたNOガスをプラズマ化処理して生成したNラジカルとOラジカルとを含む雰囲気(チャンバー内を真空引き後に8.45×10-4 Pa・m3/sのNOガスを100Wでプラズマ化処理);
酸化ガリウム基板:縦10mm、横5mm、及び厚み0.65mmで、主面が(100)面でシリコン(Si)濃度が1×1017/cm3の市販((株)ノベルクリスタルテクノロジー製)のβ−Ga23単結晶;
基板温度:500℃;
ターゲット:主面が(100)面でシリコン(Si)濃度が1×1017/cm3の市販((株)ノベルクリスタルテクノロジー製)のβ−Ga23単結晶。
(実施例2)
基板温度を700℃にしたこと以外は、実施例1と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例3)
基板温度を900℃にしたこと以外は、実施例1と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例4)
チャンバー内を真空引き後にプラズマ化処理を行わずに0.13PaのNOガスを導入し、チャンバー内雰囲気を0.13PaのNOガスとしたこと以外は、実施例1と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例5)
基板温度を700℃にしたこと以外は、実施例4と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例6)
基板温度を900℃にしたこと以外は、実施例4と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例7)
原料ガスとしてNガス及びOガスの混合ガスを用い、チャンバー内雰囲気を、Nガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化処理して生成したNラジカルとOラジカルとを含む雰囲気(チャンバー内を真空引き後に2.197×10-4 Pa・m3/sのNガス及び6.253×10-4 Pa・m3/sのOガスの混合ガスを100Wでプラズマ化処理)としたこと以外は、実施例1と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例8)
原料ガスとして4.225×10-4 Pa・m3/sのNガス及び4.225×10-4 Pa・m3/sのOガスの混合ガスを用いたこと以外は、実施例7と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(実施例9)
原料ガスとして6.253×10-4 Pa・m3/sのNガス及び2.197×10-4 Pa・m3/sのOガスの混合ガスを用いたこと以外は、実施例7と同じ条件でNドープ酸化ガリウムを成膜した。
(窒素密度測定)
得られた酸化ガリウムの窒素密度及び膜厚を、SIMSで測定した。1次イオンビームをCs+イオン、1次イオンビームエネルギーを14.5keVとし、N標準試料としてEAG社の標準試料を用いた。
(ロッキングカーブの半値幅測定)
得られた酸化ガリウムについて、ロッキングカーブの半値幅を測定して結晶性評価を行った。ロッキングカーブの半値幅は、X線回折装置(株式会社リガク製、SmartLab)を用い、CuKα1線(λ=1.54056Å)を照射して、測定した。
表1に、実施例及び比較例における雰囲気及び基板温度(成膜温度)、並びに得られたNドープ酸化ガリウムの厚みを示す。
表2及び図2に、基板温度と得られた酸化ガリウムのロッキングカーブ半値幅との関係を表す。
表3及び図3に、基板温度と得られた酸化ガリウムの窒素密度との関係を表す。
図4に、実施例1で作製したNドープ酸化ガリウムの非対称面XRD測定の結果を示す。NOガスをプラズマ化処理して生成したNラジカルとOラジカルとを含む雰囲気で作製したNドープ酸化ガリウムは、γ相の存在を示す2θ=30°にはほとんどピークがみられず、2θ=64°にのみ大きなピークがみられ、実質的にβ相のみが含まれる単結晶であることが分かった。
図5に、実施例4で作製したNドープ酸化ガリウムの非対称面XRD測定の結果を示す。NOガスのみを含む雰囲気で作製したNドープ酸化ガリウムには、2θ=30°及び2θ=63°にピークがみられ、β相及びγ相が含まれることが分かった。
図6に、実施例4でNOガスをプラズマ化処理した際に測定したプラズマの発光スペクトルと、実施例8でNガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化処理した際に測定したプラズマの発光スペクトルとを示す。発光スペクトルの測定には、マルチチャンネル分光器(オーシャンオプティクス社製、FLAME−S、200〜850nmの波長帯域が測定可能なグレーティングを使用)を用いた。NOガスをプラズマ化処理した際のNラジカル及びOラジカルの発光スペクトルと、Nガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化処理した際のNラジカル及びOラジカルの発光スペクトルとは、ほぼ同じであった。
図7に、実施例7〜9でNガス流量及びOガス流量の比率を変更してプラズマ化処理したときの、波長616nmにおけるOラジカルの発光スペクトルの強度に対する波長747nmにけるNラジカルの発光スペクトルのN/Oラジカルピーク強度比(Nラジカルピーク強度/Oラジカルピーク強度)を示す。図7にはまた、実施例1でNOガスをプラズマ化処理したときのN/Oラジカルピーク強度比を示す。図7にはまた、参考データとして、Nガス流量を0Pa・m3/sとしOガス流量を8.45×10-4 Pa・m3/sとしてプラズマ化処理したとき、及びNガス流量を8.45×10-4 Pa・m3/sとしOガス流量を0Pa・m3/sとしてプラズマ化処理したときの、N/Oラジカルピーク強度比を示す。
N/Oラジカルピーク強度比は、Nガス流量及びOガス流量の混合比に比例して変化しており、Nガス流量及びOガス流量の混合比により、プラズマ中の活性原子比を制御可能であることが示された。また、実施例1でNOガスをプラズマ化処理した際のN/Oラジカルピーク強度比と、実施例8でNガス及びOガスの混合ガスをプラズマ化処理した際のN/Oラジカルピーク強度比とは、ほぼ同じであった。
100 PLD装置
10 チャンバー
20 ターゲット
30 酸化ガリウム基板
40 ガス導入管
本開示の要旨は、以下のとおりである。
(1)酸化ガリウム基板上に、パルスレーザー堆積法を用いて、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気、NOガスを含む雰囲気、またはそれらの組み合わせを含む雰囲気中で、Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、酸化ガリウムの製造方法。
(2)前記酸化ガリウム基板の温度を、500℃以上900℃以下とすることを含む、上記(1)に記載の酸化ガリウムの製造方法。
(3)前記NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気中で、前記Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、上記(1)または(2)に記載の酸化ガリウムの製造方法。
(4)7×1020/cm3以上のNを含み、X線により測定されるロッキングカーブの半値幅が1.83度以下である、酸化ガリウム。

Claims (4)

  1. 酸化ガリウム基板上に、パルスレーザー堆積法を用いて、NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気、NOガスを含む雰囲気、またはそれらの組み合わせを含む雰囲気中で、Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、酸化ガリウムの製造方法。
  2. 前記酸化ガリウム基板の温度を、500℃以上900℃以下とすることを含む、請求項1に記載の酸化ガリウムの製造方法。
  3. 前記NラジカルとOラジカルとを含む雰囲気中で、前記Nがドープされた酸化ガリウムを堆積させることを含む、請求項1または2に酸化ガリウムの製造方法。
  4. 7×1020/cm3以上のNを含み、X線により測定されるロッキングカーブの半値幅が1.83度以下である、酸化ガリウム。
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