JP2020116505A - 液体処理システム - Google Patents

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明彦 忠政
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Abstract

【課題】負極のメンテナンスを容易に行うことが可能な液体処理システムを提供する。【解決手段】液体処理システム1,1A,1B,1Cは、有機性物質を含む電解液60を収容する電解液槽70と、電解液と接触し、微生物を担持する負極30と、酸素を含む気相Gと接触し、負極と電気的に接続される正極20と、負極及び正極の一方又は両方で生じる数値を測定する測定部80と、測定部により測定された数値と設定値とを比較判断する比較判断部101を備える制御部100と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、液体処理システムに関する。
近年、持続可能なエネルギーとして、バイオマスを利用して発電をする微生物燃料電池が注目されている。微生物燃料電池は、生活廃水や工場廃水に含まれる有機物の化学エネルギーを電気エネルギーに変換しつつ、その有機物を酸化分解して処理する液体処理システムである。そして、微生物燃料電池は、汚泥の発生が少なく、さらにエネルギー消費が少ない特徴を有する。
微生物燃料電池は、微生物を担持する負極と、酸素を含む気相及び電解液に接触する正極とを有する。そして、有機物などを含有する電解液を負極に供給するとともに、酸素を含んだ気体を正極に供給する。負極及び正極は、負荷回路を介して相互に接続することにより閉回路を形成する。負極では、微生物の触媒作用により電解液から水素イオン及び電子が生成する。そして、生成した水素イオンは正極へ移動し、電子は負荷回路を介して正極へ移動する。負極から移動した水素イオン及び電子は正極において酸素と結合し、水となって消費される。その際に、閉回路に流れる電気エネルギーを回収する。
例えば、特許文献1では、有機性基質に浸漬して嫌気性微生物を担持させる負電極と、イオン透過性隔膜で形成された外殻と入出孔とを有する密閉型中空カセット内に電解液と共に封入して有機性基質中に差し込む正電極と、を備える微生物燃料電池を開示している。そして、当該微生物燃料電池では、入出孔経由でカセット内に酸素を供給しつつ、負電極及び正電極を電気的に接続する回路経由で電気を取り出している。
ここで、微生物燃料電池を長期間稼働させた場合、負極の劣化に伴い、回収できる電気エネルギー量が低下してしまう。具体的には、嫌気性微生物は、バイオフィルムにより負極に担持されている。そして、微生物燃料電池を長期間稼働させた場合、負極上のバイオフィルムが肥大化し、回収できる電気エネルギー量が低下してしまう。そのため、電気エネルギーを長期間に亘り安定的に回収するためには、負極のメンテナンスを行う必要がある。
特許第5164511号公報
しかしながら、特許文献1の微生物燃料電池では、メンテナンスのたびに微生物燃料電池の外に負極を取り出す必要が生じる。そのため、従来の微生物燃料電池は、負極のメンテナンスが煩雑であるという問題があった。また、特許文献1の微生物燃料電池では、負極の劣化度合いを適切に把握することが困難であるという問題もあった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、負極のメンテナンスを容易に行うことが可能な液体処理システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る液体処理システムは、有機性物質を含む電解液を収容する電解液槽と、電解液と接触し、微生物を担持する負極と、酸素を含む気相と接触し、負極と電気的に接続される正極と、負極及び正極の一方又は両方で生じる数値を測定する測定部と、測定部により測定された数値と設定値とを比較判断する比較判断部を備える制御部と、を備える。
本開示によれば、負極のメンテナンスを容易に行うことが可能な液体処理システムを提供することができる。
第一実施形態に係る液体処理システムを概略的に示す斜視図である。 第一実施形態に係る液体処理システムの一例を概略的に示す、図1中のA−A線に沿った断面図である。 第一実施形態に係る液体処理システムにおける電極ユニットの一例を示す分解斜視図である。 第一実施形態に係る液体処理システムにおいて、電位制御部の制御を説明するためのフローチャートである。 第一実施形態に係る液体処理システムの他の例を概略的に示す断面図である。 第二実施形態に係る液体処理システムの一例を概略的に示す断面図である。 第二実施形態に係る液体処理システムの他の例を概略的に示す断面図である。 第二実施形態に係る液体処理システムにおいて、洗浄部の制御を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係る液体処理システムを概略的に示す断面図である。
以下、本実施形態に係る液体処理システムについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[第一実施形態]
本実施形態の液体処理システム1は、図1に示すように、微生物を担持する負極30と、負極30と電気的に接続される正極20と、を有する電極ユニット10を備えている。また、液体処理システム1は、有機性物質を含む電解液60を収容し、さらに電極ユニット10が電解液60に浸漬するように配置される電解液槽70を備えている。
〔電極ユニット〕
電極ユニット10は、図1乃至図3に示すように、正極20及び負極30を備えている。電極ユニット10において、正極20及び負極30は、正極20の面20bと負極30の面30aとが対向するように配設されており、さらに、正極20の面20bと負極30の面30aとの間には空隙が存在する。
図3に示すように、正極20は、スペーサ部材40に積層して固定されている。スペーサ部材40は、正極20における面20aの外周部に沿うU字状の枠部材であり、上部が開口している。つまり、スペーサ部材40は、2本の第一柱状部材41の底面を第二柱状部材42で連結した枠部材である。そして、図2に示すように、スペーサ部材40の側面43は、正極20の面20aの外周部と接合されており、側面43の反対側の側面44は、板部材50の面50aの外周部と接合されている。
図1及び図2に示すように、正極20とスペーサ部材40と板部材50とを積層してなる積層体は、大気と連通した気相Gが形成されるように、電解液槽70の内部に配置される。電解液槽70の内部には廃水である電解液60が保持されており、正極20のガス拡散層22及び負極30は電解液60に浸漬されている。
後述するように、正極20は撥水性を有する撥水層21を備えており、板部材50は電解液60を透過しない平板状の板材からなる。そのため、電解液槽70の内部に保持された電解液60と、正極20、スペーサ部材40及び板部材50により形成された内部空間とは隔てられ、当該内部空間は気相Gとなっている。そして、液体処理システム1では、この気相Gが外気に開放されるか、あるいは気相Gへ例えばポンプによって外部から空気が供給されるように構成されている。さらに、正極20及び負極30は、それぞれ図示しない外部回路と電気的に接続されている。
(正極)
本実施形態に係る正極20は、図2に示すように、撥水層21と、撥水層21に接触するように重ねられているガス拡散層22とを備えるガス拡散電極からなる。このような薄板状のガス拡散電極を用いることにより、気相G中の酸素を正極20中の触媒に容易に供給することが可能になる。
<撥水層>
正極20における撥水層21は、撥水性と酸素透過性とを併せ持つ層である。撥水層21は、電極ユニット10における電気化学系中の気相Gと液相とを良好に分離しながら、気相Gから液相へ向かう酸素の移動を許容するように構成される。つまり、撥水層21は、気相G中の酸素を透過してガス拡散層22へ移動させつつも、電解液60が気相G側に移動することを抑制できる。なお、ここでいう「分離」とは、物理的に遮断することをいう。
撥水層21は、酸素を含む気相Gと接触しており、気相G中の酸素を拡散している。そして、撥水層21は、図2に示す構成では、ガス拡散層22に対し酸素を略均一に供給している。そのため、撥水層21は、当該酸素を拡散できるように多孔質体であることが好ましい。なお、撥水層21は撥水性を有するため、結露等により多孔質体の細孔が閉塞し、酸素の拡散性が低下することを抑制できる。また、撥水層21の内部に電解液60が染み込み難いため、撥水層21における気相Gと接触する面からガス拡散層22と対向する面にかけて、酸素を効率的に流通させることが可能となる。
撥水層21は、シート状に形成されていることが好ましい。また、撥水層21を構成する材料は、撥水性を有し、気相G中の酸素を拡散できれば特に限定されない。撥水層21を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチルセルロース、ポリ−4−メチルペンテン−1、ブチルゴム及びポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる群より選ばれる少なくとも一つを使用することができる。これらの材料は多孔質体を形成しやすく、さらに撥水性も高いため、細孔の閉塞を抑制してガス拡散性を向上させることができる。なお、撥水層21は、撥水層21及びガス拡散層22の積層方向Xに貫通する複数の貫通孔を有することが好ましい。
撥水層21としては、例えば防水透湿シートを使用することができる。防水透湿シートとしては、例えば、積水化学工業株式会社製のセルポア(登録商標)、及び株式会社ニトムズ製のブレスロン(登録商標)を用いることができる。
撥水層21は、撥水性を高めるために、必要に応じて撥水剤を用いて撥水処理を施してもよい。具体的には、撥水層21を構成する多孔質体にポリテトラフルオロエチレン等の撥水剤を付着させ、撥水性を向上させてもよい。
<ガス拡散層>
正極20におけるガス拡散層22は、多孔質な導電性材料と、導電性材料に担持されている触媒とを備えることが好ましい。なお、ガス拡散層22が、多孔質かつ導電性を有する触媒から構成されてもよい。正極20にこのようなガス拡散層22を備えることで、後述する局部電池反応により生成した電子を触媒と外部回路との間で導通させることが可能となる。つまり、後述するように、ガス拡散層22には触媒が担持されており、さらに触媒は酸素還元触媒である。そして、電子が外部回路からガス拡散層22を通じて触媒に移動することにより、触媒によって、酸素、水素イオン及び電子による酸素還元反応を進行させることが可能となる。
正極20では、安定的な性能を確保するために、酸素が撥水層21及びガス拡散層22を効率よく透過し、触媒に供給されることが好ましい。そのため、ガス拡散層22は、撥水層21と対向する面から反対側の面にかけて、酸素が透過する細孔を多数有する多孔質体であることが好ましい。また、ガス拡散層22の形状は、三次元のメッシュ状であることが特に好ましい。このようなメッシュ状であることにより、ガス拡散層22に対し、高い酸素透過性及び導電性を付与することが可能となる。
正極20において、ガス拡散層22に効率的に酸素を供給するために、撥水層21は、接着剤を介してガス拡散層22と接合していることが好ましい。これにより、ガス拡散層22に対し、拡散した酸素が直接供給され、酸素還元反応を効率的に行うことができる。接着剤は、撥水層21とガス拡散層22との間の接着性を確保する観点から、撥水層21とガス拡散層22との間の少なくとも一部に設けられていることが好ましい。ただ、撥水層21とガス拡散層22との間の接着性を高め、長期間に亘り安定的に酸素をガス拡散層22に供給する観点から、接着剤は撥水層21とガス拡散層22との間の全面に設けられていることがより好ましい。
接着剤としては酸素透過性を有するものが好ましく、ポリメチルメタクリレート、メタクリル酸−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム及びシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む樹脂を用いることができる。
ここで、本実施形態における正極20のガス拡散層22について、さらに詳しく説明する。上述のように、ガス拡散層22は、多孔質な導電性材料と、当該導電性材料に担持されている触媒とを備えるような構成とすることができる。
ガス拡散層22における導電性材料は、例えば炭素系物質、導電性ポリマー、半導体及び金属からなる群より選ばれる一種以上の材料から構成することができる。ここで、炭素系物質とは、炭素を構成成分とする物質をいう。炭素系物質の例としては、例えば、グラファイト、活性炭、カーボンブラック、バルカン(登録商標)XC−72R、アセチレンブラック、ファーネスブラック、デンカブラックなどのカーボンパウダー、グラファイトフェルト、カーボンウール、カーボン織布などのカーボンファイバー、カーボンプレート、カーボンペーパー、カーボンディスク、カーボンクロス、カーボンホイル、炭素粒子を圧縮成形した炭素系材料が挙げられる。また、炭素系物質の例として、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノクラスターのような微細構造物質も挙げられる。
導電性ポリマーとは、導電性を有する高分子化合物の総称である。導電性ポリマーとしては、例えば、アニリン、アミノフェノール、ジアミノフェノール、ピロール、チオフェン、パラフェニレン、フルオレン、フラン、アセチレン若しくはそれらの誘導体を構成単位とする単一モノマー又は二種以上のモノマーの重合体が挙げられる。具体的には、導電性ポリマーとして、例えば、ポリアニリン、ポリアミノフェノール、ポリジアミノフェノール、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリフルオレン、ポリフラン、ポリアセチレン等が挙げられる。金属製の導電性材料としては、例えば、ステンレスメッシュが挙げられる。入手の容易性、コスト、耐食性、耐久性等を考慮した場合、導電性材料は炭素系物質であることが好ましい。
ガス拡散層22における触媒は、白金系触媒、鉄又はコバルトを用いた炭素系触媒、部分酸化したタンタル炭窒化物(TaCNO)及びジルコニウム炭窒化物(ZrCNO)等の遷移金属酸化物系触媒、タングステン又はモリブデンを用いた炭化物系触媒、活性炭等を用いることができる。
ガス拡散層22における触媒は、金属原子がドープされている炭素系材料であることが好ましい。金属原子としては特に限定されないが、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の原子であることが好ましい。この場合、炭素系材料が、特に酸素還元反応を促進させるための触媒として優れた性能を発揮する。炭素系材料が含有する金属原子の量は、炭素系材料が優れた触媒性能を有するように適宜設定すればよい。
炭素系材料には、更に窒素、ホウ素、硫黄及びリンからなる群より選ばれる少なくとも一種の非金属原子がドープされていることが好ましい。炭素系材料にドープされている非金属原子の量も、炭素系材料が優れた触媒性能を有するように適宜設定すればよい。
炭素系材料は、例えばグラファイト及び無定形炭素等の炭素源原料をベースとし、この炭素源原料に金属原子と、窒素、ホウ素、硫黄及びリンから選択される一種以上の非金属原子とをドープすることで得られる。
炭素系材料にドープされている金属原子と非金属原子との組み合わせは、適宜選択される。特に、非金属原子が窒素を含み、金属原子が鉄を含むことが好ましい。この場合、炭素系材料が特に優れた触媒活性を有することができる。なお、非金属原子が窒素のみであってもよく、金属原子が鉄のみであってもよい。
非金属原子が窒素を含み、金属原子がコバルトとマンガンとのうち少なくとも一方を含んでもよい。この場合も、炭素系材料が特に優れた触媒活性を有することができる。なお、非金属原子が窒素のみであってもよい。また、金属原子がコバルトのみ、マンガンのみ、あるいはコバルト及びマンガンのみであってもよい。
炭素系材料の形状は特に制限されない。例えば、炭素系材料は、粒子状の形状を有してもよく、またシート状の形状を有してもよい。シート状の形状を有する炭素系材料の寸法は特に制限されず、例えばこの炭素系材料が微小な寸法であってもよい。シート状の形状を有する炭素系材料は、多孔質であってもよい。シート状の形状を有し、かつ、多孔質な炭素系材料は、例えば織布状、不織布状等の形状を有することが好ましい。このような炭素系材料は、導電性材料が無くても、ガス拡散層22を構成することができる。
ガス拡散層22における触媒として構成される炭素系材料は、次のように調製することができる。まず、例えば窒素、ホウ素、硫黄及びリンからなる群より選ばれる少なくとも一種の非金属を含む非金属化合物と、金属化合物と、炭素源原料とを含有する混合物を準備する。そして、この混合物を、800℃以上1000℃以下の温度で、45秒以上600秒未満加熱する。これにより、触媒として構成される炭素系材料を得ることができる。
ここで、炭素源原料としては、上述の通り、例えばグラファイト又は無定形炭素を使用することができる。さらに、金属化合物としては、炭素源原料にドープされる非金属原子と配位結合し得る金属原子を含む化合物であれば、特に制限されない。金属化合物は、例えば金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、臭化物、ヨウ化物、フッ化物などのような無機金属塩、酢酸塩などの有機金属塩、無機金属塩の水和物、及び有機金属塩の水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。例えばグラファイトに鉄がドープされる場合には、金属化合物は塩化鉄(III)を含有することが好ましい。また、グラファイトにコバルトがドープされる場合には、金属化合物は塩化コバルトを含有することが好ましい。また、炭素源原料にマンガンがドープされる場合には、金属化合物は酢酸マンガンを含有することが好ましい。金属化合物の使用量は、例えば炭素源原料に対する金属化合物中の金属原子の割合が5〜30質量%の範囲内となるように決定されることが好ましく、更にこの割合が5〜20質量%の範囲内となるように決定されることがより好ましい。
非金属化合物は、上記の通り、窒素、ホウ素、硫黄及びリンからなる群より選ばれる少なくとも一種の非金属の化合物であることが好ましい。非金属化合物としては、例えば、ペンタエチレンヘキサミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、オクチルボロン酸、1,2−ビス(ジエチルホスフィノエタン)、亜リン酸トリフェニル、ベンジルジサルフィドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を使用することができる。非金属化合物の使用量は、炭素源原料への非金属原子のドープ量に応じて適宜設定される。非金属化合物の使用量は、金属化合物中の金属原子と、非金属化合物中の非金属原子とのモル比が、1:1〜1:2の範囲内となるように決定されることが好ましく、1:1.5〜1:1.8の範囲内となるように決定されることがより好ましい。
ガス拡散層22において、触媒は結着剤を用いて導電性材料に結着していてもよい。つまり、触媒は結着剤を用いて導電性材料の表面及び細孔内部に担持されていてもよい。これにより、触媒が導電性材料から脱離し、酸素還元特性が低下することを抑制できる。結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。また、結着剤としては、NAFION(登録商標)を用いることも好ましい。
(負極)
本実施形態に係る負極30は、後述する微生物を担持し、さらに微生物の触媒作用により、電解液60中の有機性物質から水素イオン及び電子を生成する機能を有する。そのため、負極30は、このような機能を生じさせる構成ならば特に限定されない。
負極30は、導電性を有する導電体シートに微生物を担持した構造を有する。導電体シートは、多孔質の導電体シート、織布状の導電体シート及び不織布状の導電体シートからなる群より選ばれる少なくとも一つを備えることが好ましい。また、導電体シートは複数のシートを積層した積層体でもよい。負極30の導電体シートとして、このような複数の細孔を有するシートを用いることにより、後述する局部電池反応で生成した水素イオンが正極20の方向へ移動しやすくなり、酸素還元反応の速度を高めることが可能となる。また、イオン透過性を向上させる観点から、負極30の導電体シートは、正極20及び負極30の積層方向X、つまり厚さ方向に連続した空間(空隙)を有していることが好ましい。
当該導電体シートは、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する金属板であってもよい。そのため、負極30の導電体シートを構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンなどの導電性金属、並びにカーボンペーパー、カーボンフェルトからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
負極30の導電体シートとして、黒鉛シートを用いてもよい。また、負極30は黒鉛を含有し、さらに黒鉛におけるグラフェン層は、正極20及び負極30の積層方向Xに垂直な方向YZの面に沿って配列していることが好ましい。グラフェン層がこのように配列していることにより、積層方向Xの導電性よりも、積層方向Xに垂直な方向YZの導電性が向上する。そのため、負極30の局部電池反応により生成した電子を外部回路へ導通させやすくなり、電池反応の効率をより向上させることが可能となる。
負極30に担持される微生物としては、電解液60中の有機性物質を分解して、水素イオン及び電子を生成する微生物であれば特に限定されない。このような微生物としては、例えば、増殖に酸素を必要とする好気性微生物、又は増殖に酸素を必要としない嫌気性微生物を使用することができるが、嫌気性微生物を使用することが好ましい。嫌気性微生物は、電解液60中の有機性物質を酸化分解するための空気を必要としない。そのため、空気を送り込むために必要な電力を大幅に低減することができる。また、微生物が獲得する自由エネルギーが小さいので、汚泥発生量を減少させることが可能となる。
負極30に担持される微生物が嫌気性微生物である場合には、嫌気性微生物の活動を高めるため、負極30の周囲を嫌気性雰囲気に保つことが好ましい。また、負極30に保持される嫌気性微生物は、例えば細胞外電子伝達機構を有する電気生産細菌であることが好ましい。具体的には、嫌気性微生物として、例えばGeobacter属細菌、Shewanella属細菌、Aeromonas属細菌、Geothrix属細菌、Saccharomyces属細菌が挙げられる。
負極30に、微生物を含むバイオフィルムが重ねられて固定されることで、負極30に微生物が保持されていてもよい。具体的には、負極30における電解液60と直接接触する面30a及び面30bに対して、微生物を含むバイオフィルムが固定されていてもよい。なお、バイオフィルムとは、一般に、微生物集団と、微生物集団が生産する菌体外重合体物質(extracellular polymeric substance、EPS)とを含む三次元構造体のことをいう。ただ、微生物は、バイオフィルムによらずに負極30に保持されていてもよい。また、微生物は、負極30の表面だけでなく、内部に保持されていてもよい。
負極30には、例えば、電子伝達メディエーター分子が修飾されていてもよい。あるいは、電解液槽70内の電解液60は、電子伝達メディエーター分子を含んでいてもよい。これにより、微生物から負極30への電子移動を促進し、より効率的な液体処理を実現できる。
具体的には、微生物による代謝機構では、細胞内又は最終電子受容体との間で電子の授受が行われる。電解液60中にメディエーター分子を導入すると、メディエーター分子が代謝の最終電子受容体として作用し、かつ、受け取った電子を負極30へと受け渡す。この結果、電解液60における有機性物質などの酸化分解速度を高めることが可能になる。このような電子伝達メディエーター分子は、特に限定されない。電子伝達メディエーター分子としては、例えばニュートラルレッド、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸(AQDS)、チオニン、フェリシアン化カリウム、及びメチルビオローゲンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
(イオン移動層)
電極ユニット10は、正極20と負極30との間に設けられ、プロトン透過性を有する図示しないイオン移動層をさらに備えていてもよい。イオン移動層は電気絶縁性を有し、さらに負極30で生成した水素イオンを透過し、正極20側へ移動させる機能を有している。
イオン移動層としては、例えばイオン交換樹脂を用いたイオン交換膜を使用することができる。イオン交換樹脂としては、例えばデュポン株式会社製のNAFION(登録商標)、並びに旭硝子株式会社製のフレミオン(登録商標)及びセレミオン(登録商標)を用いることができる。
また、イオン移動層として、水素イオンが透過することが可能な細孔を有する多孔質膜を使用してもよい。つまり、イオン移動層は、負極30から正極20へ水素イオンが移動するための空間(空隙)を有するシートであってもよい。そのため、イオン移動層は、多孔質のシート、織布状のシート及び不織布状のシートからなる群より選ばれる少なくとも一つを備えることが好ましい。また、イオン移動層は、ガラス繊維膜、合成繊維膜、及びプラスチック不織布からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができ、これらを複数積層してなる積層体でもよい。このような多孔質のシートは、内部に多数の細孔を有しているため、水素イオンが容易に移動することが可能となる。なお、イオン移動層の細孔径は、負極30から正極20に水素イオンが移動できれば特に限定されない。
上述のように、イオン移動層は、負極30で生成した水素イオンを透過し、正極20側へ移動させる機能を有する。そのため、例えば、負極30と正極20とが接触しない状態で近接していれば、水素イオンが負極30から正極20へ移動することができる。したがって、本実施形態の液体処理システム1において、イオン移動層は必須の構成要素ではない。ただ、イオン移動層を設けることにより、負極30から正極20へ水素イオンを効率的に移動させることが可能となるため、出力向上の観点からイオン移動層を設けることが好ましい。
電極ユニット10において、スペーサ部材40は、上部の全体が開口しているが、内部に空気(酸素)を導入することが可能ならば部分的に開口していてもよく、また閉口していてもよい。
正極20及び負極30には、図示しない外部回路が電気的に接続されている。負極30に担持された微生物の触媒作用により、電解液60中の有機性物質が分解されて電子が生成する。負極30で生成した電子は外部回路へ移動し、さらに外部回路から正極20に移動する。このとき、外部回路によって、閉回路に流れる電気エネルギーを回収することができる。
具体的には、例えば電解液60が有機物としてグルコースを含有する場合、以下の局部電池反応により、二酸化炭素、水素イオン及び電子を生成している。
・負極30(アノード):C12+6HO→6CO+24H+24e
・正極20(カソード):6O+24H+24e→12H
このように、電解液60中の有機性物質が負極30に接触して酸化分解されるため、液体処理システム1は、電解液60中の有機性物質から電気エネルギーを回収しつつ、電解液60を浄化することができる。
なお、本実施形態では、正極20がスペーサ部材40に積層して固定された電極ユニット10を電解液60に浸漬させた例について説明している。しかしながら、液体処理システム1は、電解液60と接触し、微生物を担持する負極30と、気相Gと接触し、負極30と電気的に接続される正極20と、を備えていれば、電気エネルギーを回収し、電解液60を浄化することができる。したがって、本実施形態の液体処理システム1において、スペーサ部材40は必須の構成要素でない。例えば、正極20を電解液60の水面61に浮かべ、負極30を電解液60に沈ませることによっても、正極20の一部は気相Gと接触することができる。なお、このような構成の場合、正極20は撥水層21を備えなくてもよい。また、正極20が電解液槽70の壁の一部を構成しており、正極20の一方の面20aが電解液槽70の外側の気相Gと接触し、正極20における面20aと反対側の面が電解液60と接触していてもよい。
また、図面において、電極ユニット10における正極20、負極30及びイオン移動層、並びに板部材50は、矩形状に形成されている。しかし、これらの形状は特に限定されず、液体処理システム1の大きさ、及び所望の浄化性能等により任意に変更することができる。また、各層の面積も所望の機能が発揮できるならば、それぞれ任意に変更することができる。
〔電解液槽〕
液体処理システム1は、有機性物質を含む電解液60を収容する電解液槽70を備える。電解液槽70は略直方体状の形状をしており、電解液槽70の前壁73には、電解液60を電解液槽70に供給するための流入部71が設けられている。電解液槽70の後壁74には、処理後の電解液60を電解液槽70から排出するための流出部72が設けられている。
電解液60は、流入部71を通じて電解液槽70の内部に連続的に供給される。また、図1及び図2に示すように、電極ユニット10は、電解液60に浸漬するように電解液槽70の内部に配置されている。そのため、電解液槽70の流入部71から供給された電解液60は、電極ユニット10に接触しながら流れ、その後、流出部72から排出される。
〔測定部〕
液体処理システムにおいて、電気生産細菌である微生物は、バイオフィルムにより負極に担持されていてもよい。ただ、液体処理システムを長期間稼働させた場合、負極上のバイオフィルムが肥大化するため、電気エネルギー回収効率及び処理水質が低下する場合がある。バイオフィルムにより液体処理システムの電気エネルギー回収効率が低下する原因は十分に解明されていないが、電気生産細菌以外の他の微生物により形成されたバイオフィルムによって発電が阻害される可能性がある。
本実施形態の液体処理システム1は、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測ることにより、負極30に付着した付着物の付着の程度を測定する測定部80を備えている。さらに液体処理システム1は、後述するように、負極30及び正極20に生じる電位を制御することにより、バイオフィルムなどの付着物を除去する電位制御部90と、電位制御部90を制御する制御部100とを備えている。そのため、液体処理システム1によれば、長期運転に伴い、電気エネルギー回収効率及び処理水質が低下し始めても、測定部80により測定された測定結果に基づいて負極30の表面が洗浄され、負極30に付着した付着物が除去される。したがって、電気エネルギー回収効率及び処理水質が大きく低下する前に、負極30から付着物を除去することが可能となる。
上述のように、測定部80は、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測ることにより、負極30に付着した付着物の付着の程度を測定する。また、測定部80は、測定された数値を制御部100に送信する機能を有する。本実施形態では、液体処理システム1が備えている負極30及び正極20の少なくともいずれか一方を利用することによって、簡易な構成で付着物の付着の程度を測定することができる。
測定部80による測定方法は、負極30及び正極20の少なくともいずれか一方が利用されていれば特に限定されない。すなわち、測定部80は、負極30及び正極20を利用して付着の程度を測定してもよく、正極20のみを利用して付着の程度を測定してもよい。
測定部80は、図2に示すように、例えば、負極30及び正極20を利用し、負極30と正極20との間の電位差(電圧値)を測定してもよい。測定部80が電位差を測定する場合、測定部80は例えば電圧計などであってもよい。負極30に付着した付着物の付着の程度が大きくなると、負極30での酸化反応が抑制され、電位差が小さくなる傾向にある。そのため、電位差を測定することで、負極30に付着する付着物の付着の程度を測定することができる。なお、測定部80が電位差を測定する場合、後述のような正極20の電位を測定する場合のように、銀−塩化銀電極のような参照電極を設置する必要がなく、当該参照電極のメンテナンスの必要性もない。そのため、簡易な構成により、付着物の付着の程度を測定することができる。
測定部80は、例えば、負極30及び正極20を利用し、負極30と正極20との間に流れる電流値を測定してもよい。なお、負極30と正極20との間に流れる電流は、負極30又は正極20に流れる電流であってもよい。測定部80が電流を測定する場合、測定部80は例えば電流計などであってもよい。負極30に付着した付着物の付着の程度が大きくなると、負極30での酸化反応が抑制され、電流が小さくなる傾向にある。そのため、電流値を測定することで、負極30に付着する付着物の付着の程度を測定することができる。測定部80が電流値を測定する場合、後述のような正極20の電位を測定する場合のように、参照電極を設置する必要がなく、当該参照電極のメンテナンスの必要性もない。そのため、簡易な構成により、付着物の付着の程度を測定することができる。
なお、測定部80は、図2に示す形態に限定されず、以下のような形態であってもよい。測定部80は、例えば、正極20を利用し、正極20の電位を測定してもよい。測定部80が正極20の電位を測定する場合、測定部80は例えば電位計などであってもよい。電位計は銀−塩化銀電極のような参照電極を備えており、参照電極を電解液60に浸漬させ、正極20を作用電極とすることで、正極20の電位を測定することができる。負極30に付着した付着物の付着の程度が大きくなると、負極30での酸化反応が抑制され、負極30の電位が正にシフトする傾向にある。負極30の電位が正にシフトした場合、正極20の電位は負にシフトする。そのため、正極20の電位を測定することで、負極30に付着する付着物の付着の程度を測定することができる。
測定部80は、例えば、負極30を利用し、負極30の重量を測定してもよい。測定部80が負極30の重量を測定する場合、測定部80は例えば重量計などであってもよい。負極30の重量を測定する際には、電解液60に浸漬した際の負極30の浮力を算出し、その算出結果に基づいて負極30の重量を求めてもよい。負極30に付着した付着物の付着の程度が大きくなると、負極30の重量が大きくなるため、負極30の重量を測定することで、負極30に付着する付着物の付着の程度を測定することができる。測定部80が、負極30の重量を測定する場合、正極20と負極30とが分離されていると、負極30における付着物の付着の程度をより正確に測定することができる。
このように、測定部80は、負極30と正極20との間の電位差、負極30と正極20との間に流れる電流値、正極20の電位、及び負極30の重量からなる群より選ばれる少なくとも一つを測定してもよい。具体的には、測定部80は、電圧計、電流計、電位計、及び重量計からなる群より選ばれる少なくとも一種の測定器であってもよい。そして、測定部80により測定される数値は、負極30と正極20との間の電位差、負極30と正極20との間に流れる電流値、正極20の電位、及び負極30の重量からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
〔制御部〕
液体処理システム1は、図2及び図4に示すように、制御部100を備えている。制御部100は、測定部80により測定された数値と設定値とを比較判断する比較判断部101を備えており、当該設定値は、制御部100における記憶部に記録されている。また、制御部100は、測定部80と電気的に接続されており、測定部80で測定された数値を受信する。制御部100は、CPUを備えていてもよく、RAM、ROM及びハードディスクからなる群より選ばれる少なくとも一つをさらに備えていてもよい。
〔電位制御部〕
本実施形態の液体処理システム1は、負極30及び正極20に電気的に接続され、負極30及び正極20に生じる電位を制御する電位制御部90をさらに備えている。電位制御部90は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100から指令に基づき、負極30及び正極20に生じる電位を調整する。そして、液体処理システム1が稼働している場合、通常、電位制御部90は、負極30で生じる有機物酸化反応の理論電位に近似するように、負極30の電位を制御する。電位制御部90は、さらに、正極20で生じる酸素還元反応の理論電位に近似するように、正極20の電位を制御する。これにより、負極30における有機物酸化反応及び正極20における酸素還元反応が進行しやすくなり、電解液60中の有機物を効率的に分解することが可能となる。
ここで、後述するように、制御部100の比較判断部101は、測定部80により測定された数値と設定値とを比較判断し、当該数値が設定値未満の場合には、負極30に肥大化したバイオフィルムなどの付着物が付着していると判断する。そして、制御部100は、電位制御部90に対して、肥大化したバイオフィルムが剥離するような電位制御を実行する指令を送信する。指令を受信した電位制御部90は、肥大化したバイオフィルムが剥離するように、次のような制御を行う。
例えば、電位制御部90は、負極30の電位を、負極30で生じる有機物酸化反応の理論電位から大きく乖離するように調整する。これにより、有機物酸化反応により生じた電子が、微生物から負極30に移動し難くなることから、微生物の活動が低下して微生物の生育が困難となる。その結果、肥大化したバイオフィルムを負極30の表面から剥離することが可能となる。
また、電位制御部90は、負極30の電位を、水の電気分解が生じるように調整する。具体的には、電位制御部90は、正極20と負極30との間に逆電圧負荷を付与し、正極20と負極30との間の電圧を反転させる。つまり、通常運転では、負極30から正極20へ電子移動が起こるが、逆電圧負荷を付与して電圧を反転させることにより、正極20から負極30へ電子移動が起こる。これにより、負極30の周囲で水の電気分解が生じてアルカリ性になることから、微生物の活動が低下して微生物の生育が困難となる。その結果、肥大化したバイオフィルムを負極30の表面から剥離することが可能となる。
電位制御部90が正極20と負極30との間に逆電圧負荷を付与し、正極20と負極30との間の電圧を反転させることにより、負極30を正に帯電させることができる。この際、後述するように、負極30を正に帯電させた状態で、負極30の周囲にマイクロバブルを発生させることが好ましい。マイクロバブルは、ISO 20480−1:2017より、直径が1μm以上100μm未満の気泡と定義される。そして、マイクロバブルは、気泡表面が負に帯電していることが知られている。これは、マイクロバブルが発生する過程に起きる静電摩擦力の効果や,水分子から分離したOHイオンが気泡表面に集積するためとされている。そのため、負に帯電したマイクロバブルは、正に帯電した負極30の表面に引き寄せられ、負極30の表面で破壊される。マイクロバブルが破壊された際には衝撃波が発生することから、その衝撃波により、肥大化したバイオフィルムを負極30の表面から剥離することが可能となる。
電位制御部90は、負極30及び正極20に生じる電位を制御するための可変抵抗器を備えることが好ましい。また、正極20と負極30との間に逆電圧負荷を付与して、正極20と負極30との間の電圧を反転させるために、電位制御部90は、スイッチング素子及び反転回路を備えることが好ましい。
次に、本実施形態の液体処理システム1の動作について説明する。図1及び図2に示すように、正極20及び負極30を備える電極ユニット10が電解液60に浸漬した場合、正極20のガス拡散層22及び負極30が電解液60に浸漬し、撥水層21の少なくとも一部が気相Gに露出する。
液体処理システム1の稼働時には、負極30に有機物を含有する電解液60を供給し、正極20に空気を供給する。この際、空気は、スペーサ部材40の上部に設けられた開口部を通じて連続的に供給される。
そして、正極20では、撥水層21を透過してガス拡散層22に酸素が拡散する。負極30では、微生物の触媒作用により、電解液60中の有機物から水素イオン及び電子を生成する。負極30で生成した水素イオンは、正極20側へ移動し、正極20中のガス拡散層22に到達する。電極ユニット10がイオン移動層を有する場合には、負極30で生成した水素イオンは、イオン移動層を透過して正極20側へ移動し、正極20中のガス拡散層22に到達する。また、生成した電子は負極30の導電体シートを通じて外部回路(測定部、電位制御部)へ移動し、さらに外部回路から正極20のガス拡散層22に移動する。そして、水素イオン及び電子は、ガス拡散層22中の触媒の作用により酸素と結合し、水となって消費される。このとき、外部回路によって、閉回路に流れる電気エネルギーを回収する。このように、電極ユニット10は、負極30における微生物の作用により、電解液60中の有機物を分解することができる。
液体処理システム1の稼働時において、測定部80は、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を連続的又は断続的に測定する。具体的には、測定部80は、負極30と正極20との間の電位差、負極30と正極20との間に流れる電流値、正極20の電位、及び負極30の重量からなる群より選ばれる少なくとも一つを測定する。測定部80は、測定して得られた数値を制御部100に送信する。数値を受信した制御部100は、図4に示すように、比較判断部101において、測定部80により測定された数値と設定値とを比較する(ステップS1)。なお、当該設定値は、負極30と正極20との間の電位差、負極30と正極20との間に流れる電流値、正極20の電位、及び負極30の重量に対して、個々に設定され、予め記憶部に記録されている。
比較判断部101は、受信した数値が当該設定値未満の場合には、電気エネルギー回収効率が低下しており、電位制御部90を作動させる必要があると判断する。逆に、比較判断部101は、受信した数値が当該設定値以上の場合には、正常な発電が行われており、電位制御部90を作動させる必要がないと判断する。
比較判断部101が、電位制御部90を作動させる必要がある判断した場合、制御部100は、電位制御部90に対して作動する指令を送信する(ステップS2)。電位制御部90は、制御部100から指令に基づき、負極30及び正極20に生じる電位を調整する。具体的には、上述のように、電位制御部90は、負極30の電位を、負極30で生じる有機物酸化反応の理論電位から大きく乖離するように調整する。または、電位制御部90は、正極20と負極30との間に逆電圧負荷を付与し、正極20と負極30との間の電圧を反転させる。これにより、肥大化したバイオフィルムを負極30の表面から剥離することが可能となる。なお、この際、電位制御部90は、負極30及び正極20に生じる電位をパルス的又は高周波的に変動させてもよい。また、電位制御部90は、負極30及び正極20に生じる電位の変動を、パルス的な変動と高周波的な変動とを組み合わせて行ってもよい。
電位制御部90が作動して負極表面の付着物の除去が進んだ場合、制御部100は、電位制御部90の作動がさらに必要か否かを判断する(ステップS3)。具体的には、制御部100は、測定部80により再度測定された数値を受信し、比較判断部101は、測定部80により測定された数値と、記憶部に記録された設定値とを比較する。比較判断部101は、測定部80により測定された数値が設定値未満の場合には、電位制御部90の作動がさらに必要と判断し、逆に、当該数値が設定値以上の場合には、これ以上の電位制御部90の作動は不要と判断する。
比較判断部101が、これ以上の電位制御部90の作動は不要と判断した場合、制御部100は、電位制御部90に対して作動を停止する指令を送信する(ステップS4)。このように、電位制御部90が作動した場合、塊状のバイオフィルムは速やかに沈降し、電解液槽70の底壁75に沈殿する。そして、微細化したバイオフィルムは、有機物が低減した電解液60と共に、流出部72を通じて電解液槽70の外部に排出される。このようなステップにより、負極表面におけるバイオフィルムなどの付着物を除去することができる。
このように、本実施形態の液体処理システム1は、有機性物質を含む電解液60を収容する電解液槽70を備える。液体処理システム1は、さらに、電解液60と接触し、微生物を担持する負極30と、酸素を含む気相Gと接触し、負極30と電気的に接続される正極20とを備える。液体処理システム1は、さらに、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測定する測定部80と、測定部80により測定された数値と設定値とを比較判断する比較判断部101を備える制御部100とを備える。液体処理システム1では、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測定部80で測定し、さらに測定部80で測定された数値と設定値とを比較判断部101で比較判断している。そのため、電気エネルギー回収効率及び処理水質が大きく低下する前に、負極30から付着物を除去することが可能となる。また、電気エネルギー回収効率が大きく低下した場合には、負極30の表面には既に多くの付着物が付着して、付着物の除去に手間を要することになる。しかし、本実施形態の液体処理システム1では、負極30の表面には多くの付着物が付着する前に、負極30の異常を把握し、付着物を除去することができる。そのため、液体処理システム1では、負極30のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
本実施形態の液体処理システム1において、負極30及び正極20に生じる電位を制御する電位制御部90をさらに備えることが好ましい。さらに、制御部100は、比較判断部101による当該数値と設定値との比較結果に基づいて、負極30と正極20との間の電圧を反転させるように電位制御部を制御することがより好ましい。これにより、有機物酸化反応により生じた電子が微生物から負極30に移動し難くなる。さらに、負極30で水の電気分解が生じて、負極30の周囲がアルカリ性になる。その結果、微生物の活動が低下して微生物の生育が困難となることから、肥大化したバイオフィルムなどの付着物を負極30の表面から剥離することが可能となる。
本実施形態の液体処理システムにおいて、負極30と正極20との間の電圧が反転しているときには、電解液60にマイクロバブルを供給することが好ましい。具体的には、図5に示す液体処理システム1Aは、負極30及び正極20を有する電極ユニット10と、電極ユニット10を内部に配置する電解液槽70と、測定部80と、比較判断部101を備える制御部100とを備えている。液体処理システム1Aは、さらに、マイクロバブルを発生させて電解液60にマイクロバブルを供給する微小気泡発生器110を備える。微小気泡発生器110は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの指令に沿って、電解液60中にマイクロバブルを発生させる。
微小気泡発生器110によりマイクロバブルを発生させる方式は特に限定されないが、エジェクター方式、キャビテーション方式、旋回流方式及び加圧溶解方式の少なくとも一つであることが好ましい。また、微小気泡発生器110で発生するマイクロバブルの粒径(直径)は、負極表面に付着している付着物の量を考慮して決めることが好ましい。なお、マイクロバブルが含む気体は、空気又は窒素であることが好ましい。また、マイクロバブルが含む気体が、酸素又は酸素混合気体である場合、電解液60中の溶存酸素量を向上させる副効果を与えることができる。
ここで、液体処理システム1Aにおいて、電解液60は、流入部71を通じて電解液槽70の内部に供給される。供給された電解液60は、電極ユニット10に接触しながら流れ、その後、流出部72から排出される。そして、微小気泡発生器110は、電解液60が流入部71から流出部72へと流れる際、負極30よりも上流側に設けられることが好ましい。マイクロバブルは、気泡が電解液60に接している表面積が大きく、気泡の上昇速度が遅いことから、電解液60中に長時間滞在し続ける。そのため、微小気泡発生器110を負極30よりも上流側に設けることにより、微小気泡発生器110から発生したマイクロバブルと負極30との接触性を高めることが可能となる。
図2の液体処理システム1と同様に、液体処理システム1Aにおいて、測定部80は、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を連続的又は断続的に測定する。そして、制御部100は、比較判断部101において、測定部80により測定された数値と設定値とを比較する。その結果、比較判断部101が、電位制御部90を作動させる必要がある判断した場合、制御部100は、電位制御部90に対して作動する指令を送信する。
そして、電位制御部90が作動して負極30と正極20との間の電圧が反転しているときに、制御部100は、微小気泡発生器110に対して作動する指令を送信する。微小気泡発生器110が作動することにより、電解液60にマイクロバブルが供給される。上述のように、負極30と正極20との間の電圧が反転しているとき、負極30は正に帯電していることから、負に帯電したマイクロバブルは負極30の表面に引き寄せられる。そして、マイクロバブルは、負極30の表面で破壊される。マイクロバブルが破壊された際には衝撃波が発生することから、その衝撃波により付着物を負極30の表面から剥離することが可能となる。このように、液体処理システム1Aにおいて、負極30と正極20との間の電圧が反転しているときに電解液60にマイクロバブルを供給することで、マイクロバブルのキャビテーションにより、負極30の表面から付着物を剥離することができる。
本実施形態の液体処理システム1Aは、比較判断部101における、測定部80により測定された数値と設定値との比較判断結果に基づき、電位制御部90及び微小気泡発生器110を作動させている。ただ、液体処理システム1Aは、比較判断部101における比較判断結果に基づかずに、電位制御部90及び微小気泡発生器110を作動させてもよい。つまり、液体処理システム1Aは、定期的に電位制御部90及び微小気泡発生器110を作動させて、負極表面の付着物を除去したり、負極表面に付着物を付着し難くしてもよい。
そして、電位制御部90により負極30と正極20との間の電圧が反転しているとき、反転による汚れ防止能力は、反転電圧及び反転電流を、どのくらいの時間かけたかで評価して決定することができる。また、電圧の反転は、単数若しくは複数のパルス的、又は高周波的に行ってもよく、またそれぞれを組み合わせて行ってもよい。さらに、微小気泡発生器110から発生させるマイクロバブルの粒径は、負極30に対する汚れ防止機能を考慮して決定することが好ましい。
本実施形態の液体処理システム1,1Aは、比較判断部101による数値と設定値との比較結果に基づいて、警報を報知する報知部120をさらに備えていてもよい。警報は、例えば、負極30に付着した付着物の付着の程度が強いことをユーザーに知らせるための警報である。
具体的には、図2及び図5に示すように、報知部120は、制御部100と電気的に接続されている。そして、比較判断部101は、測定部80により測定された数値が設定値未満の場合には、負極30に付着した付着物の付着の程度が強いと判断する。その後、制御部100は、報知部120に対して、警報を発するための指令を送信する。ユーザーは、この警報によって、液体処理システム1,1Aの長期運転に伴う電気エネルギー回収効率及び処理水質の大きな低下に気付くことができる。そして、ユーザーは、例えば薬液によって負極30の表面を洗浄するなど、強力な方法によって負極30の表面を洗浄し、電気エネルギー回収効率及び処理水質の大きな低下を抑制することができる。
報知部120には、スピーカーなどの音声出力部、LED(light emitting diode)などの光源を有する表示装置、又はこれらの組み合わせが含まれる。報知部120が音声出力部の場合には、報知部120からの音声メッセージ及びブザー音などによって、ユーザーに警報が報知される。報知部120が表示装置の場合には、報知部120の光源の色並びに点灯及び点滅の時間間隔などによって、ユーザーに警報が報知される。また、報知部120が表示装置の場合には、ディスプレイなどにメッセージが表示されていてもよい。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る液体処理システムについて、図面に基づき詳細に説明する。なお、第一実施形態と同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の液体処理システム1Bは、第一実施形態と同様に、有機性物質を含む電解液60を収容する電解液槽70を備える。液体処理システム1Bは、さらに、電解液60と接触し、微生物を担持する負極30と、気相Gと接触し、負極30と電気的に接続される正極20とを備える。液体処理システム1Bは、さらに、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測定する測定部80と、測定部80により測定された数値と設定値とを比較判断する比較判断部101を備える制御部100とを備える。そして、液体処理システム1Bも第一実施形態と同様に、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測定部80で測定し、さらに測定部80で測定された数値と設定値とを比較判断部101で比較判断している。
ここで、液体処理システム1Bは、負極30の表面を洗浄する洗浄部130をさらに備えている。洗浄部130は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100から指令に基づき、負極30の表面を洗浄して、付着物を除去する。
洗浄部130は、少なくとも負極30の周囲の電解液60を攪拌して負極30の表面を洗浄してもよく、薬液洗浄によって負極30の表面を洗浄してもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。
負極30の周囲の電解液60を攪拌して負極30の表面を洗浄する場合、洗浄部130は、図6に示すように、少なくとも負極30の周囲の電解液60を攪拌する電解液攪拌部であることが好ましい。電解液攪拌部は、負極30の周囲に存在する電解液60を攪拌することができる。このような電解液攪拌部によって、簡易な方法で負極30に付着した付着物を除去することができる。
電解液攪拌部の構成は、負極30の周囲の電解液60を攪拌できるならば特に限定されない。例えば、電解液攪拌部は、負極30の周囲に電解液60の流れを発生させるポンプを備えることが好ましい。このようなポンプを用いることにより、負極30の周囲に電解液60の流れを発生させ、電解液60の水流及び/又は水圧により、負極30の表面に付着した付着物を剥離することが可能となる。なお、電解液攪拌部を構成するポンプは特に限定されないが、水中ポンプ又は水中モーターポンプを使用することができる。水中ポンプは、通常の使用中に、全面的に又は部分的に電解液60中に沈める電気部品をもつポンプである。水中モーターポンプは、ポンプ全体を電動機ごと電解液60中につけて使用するポンプである。
なお、電解液攪拌部は、電解液槽70の外部に配設したポンプと、当該ポンプに接続した配管とを備え、配管の端部から電解液60を吐出することにより、負極30の周囲に電解液60の流れを発生させるような構成であってもよい。
電解液攪拌部は、上述のポンプに限定されない。例えば、電解液攪拌部は、負極30に対して散気する散気装置を備えることも好ましい。具体的には、図7に示すように、散気装置131は、気体を散気するための孔部を有する散気部材132と、孔部に気体を供給する気体供給部材133とを備えていてもよい。
散気部材132は、気体を流通させることが可能な孔部を多数有する部材である。散気部材132は特に限定されないが、例えば粗大なセラミックス粒子をバインダ等で接合した多孔質セラミックス散気板、又は合成樹脂製の散気板を用いることができる。また、散気部材132としては、メンブレンディフューザーも用いることができる。
気体供給部材133は散気部材132を保持し、さらに散気部材132の孔部に気体を供給する中空部材である。そして、気体供給部材133から供給された気体は、散気部材132の孔部を通過して気泡となり、電解液60中に拡散する。
気体供給部材133には、電解液槽70の外部から気体を供給するための配管134が接続されていることが好ましい。具体的には、気体供給部材133の下部に、中空の配管134が接続されていることが好ましい。配管134は、電解液槽70の後壁74を貫通し、電解液槽70の外部に延出している。そして、配管134の端部には、気体を圧送するための圧縮機135が接続されており、圧縮機135は制御部100と電気的に接続されている。
散気装置131から電解液60に散気する気体は特に限定されない。例えば、気体としては空気を用いることができる。ただ、上述のように、嫌気性微生物の活動を高めるためには、負極30の周囲を嫌気性雰囲気に保つことが好ましい。そのため、散気する気体は酸素を含まないガスであることが好ましく、例えば窒素を用いることが好ましい。
電解液攪拌部は、鉛直方向Yにおいて、負極30の下部側に設けられていることが好ましい。具体的には、図6に示すように、電解液攪拌部が水中ポンプ又は水中モーターポンプを備えている場合には、当該ポンプは、鉛直方向Yにおいて、負極30の下部側に設けられていることが好ましい。これにより、電解液攪拌部が稼働したときに、負極30の下部から上方に向かう水流が発生するため、負極30の下端から付着物が剥離し、当該付着物を効率的に除去することが可能となる。
電解液攪拌部が、電解液槽70の外部に配設したポンプと、当該ポンプに接続した配管とを備える場合には、電解液60が吐出する配管の端部を、鉛直方向Yにおいて、負極30の下部側に設けることが好ましい。
電解液攪拌部が負極30に対して散気する散気装置131を備えている場合には、図7に示すように、散気部材132及び気体供給部材133が、鉛直方向Yにおいて、負極30の下部側に設けられていることが好ましい。これにより、散気部材132から発生した気泡が負極30の表面に沿って浮上し、電解液60の水面61に到達する。この際、気泡は、負極30の表面に接触するため、負極30を振動させることができる。また、気泡の上昇により、負極30の表面の近傍に旋回流が生じる。この負極30の振動と旋回流により、負極30の表面の付着物を除去することができる。
薬液洗浄によって負極30の表面を洗浄する場合、負極30を電解液60から取り出して薬液を塗布するか、電解液槽70とは異なる槽に収容された薬液に負極30を移動させて浸漬させてもよい。薬液を塗布する場合には、洗浄部130は、負極30の表面に薬液を塗布する塗布部を備えていてもよい。薬液を塗布する方法は特に限定されず、スプレー等で噴霧してもよく、刷毛等で負極30の表面に直接塗布してもよい。
薬液は特に限定されないが、酸性溶液であってもよく、アルカリ性溶液であってもよい。薬液として酸性溶液を用いた場合には、負極30の表面に付着し、強固に固着したスケールを除去することが容易になる。薬液としてアルカリ性溶液を用いた場合には、負極30の表面に付着し、強固に固着したバイオフィルムを除去することが容易になる。酸性溶液は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リン酸、スルファミン酸、次亜塩素酸及び乳酸からなる群より選択される少なくとも1つを含有する水溶液などを含んでいてもよい。また、アルカリ性溶液は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含有する水溶液などを含んでいてもよい。薬液は、負極30に付着する付着物の種類、量及び付着強度などによって適宜選択すればよい。
洗浄部130の構成は、負極周囲の電解液60を攪拌する構成、及び薬液により洗浄する構成に限定されない。洗浄部130は、例えばマイクロバブルを発生させる微小気泡発生器であってもよい。洗浄部130として微小気泡発生器を用いることにより、マイクロバブルのキャビテーションで、負極30の表面に付着した付着物を除去することができる。また、洗浄部130は、ブラシを備え、ブラシにより負極30の表面に付着した付着物を物理的に除去するような構成であってもよい。
次に、本実施形態の液体処理システム1Bの動作について説明する。第一実施形態と同様に、液体処理システム1の稼働時には、負極30に有機物を含有する電解液60を供給し、正極20に空気を供給する。この際、空気は、スペーサ部材40の上部に設けられた開口部を通じて連続的に供給される。
液体処理システム1の稼働時において、測定部80は、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を連続的又は断続的に測定する。具体的には、測定部80は、負極30と正極20との間の電位差、負極30と正極20との間に流れる電流値、正極20の電位、及び負極30の重量からなる群より選ばれる少なくとも一つを測定する。測定部80は、測定して得られた数値を制御部100に送信する。数値を受信した制御部100は、図8に示すように、比較判断部101において、測定部80により測定された数値と設定値とを比較する(ステップS1)。なお、当該設定値は、負極30と正極20との間の電位差、負極30と正極20との間に流れる電流値、正極20の電位、及び負極30の重量に対して、個々に設定され、予め記憶部に記録されている。
比較判断部101は、受信した数値が当該設定値未満の場合には、電気エネルギー回収効率が低下しており、洗浄部130を作動させる必要があると判断する。逆に、比較判断部101は、受信した数値が当該設定値以上の場合には、正常な発電が行われており、洗浄部130を作動させる必要がないと判断する。比較判断部101が、洗浄部130を作動させる必要がある判断した場合、制御部100は、洗浄部130に対して作動する指令を送信する(ステップS2)。
洗浄部130が作動して負極表面の付着物の除去が進んだ場合、制御部100は、洗浄部130の作動がさらに必要か否かを判断する(ステップS3)。具体的には、制御部100は、測定部80により再度測定された数値を受信し、比較判断部101は、測定部80により測定された数値と、記憶部に記録された設定値とを比較する。比較判断部101は、測定部80により測定された数値が設定値未満の場合には、洗浄部130の作動がさらに必要と判断し、逆に、当該数値が設定値以上の場合には、これ以上の洗浄部130の作動は不要と判断する。
比較判断部101が、これ以上の洗浄部130の作動は不要と判断した場合、制御部100は、洗浄部130に対して作動を停止する指令を送信する(ステップS4)。洗浄部130が停止した場合、塊状のバイオフィルムは速やかに沈降し、電解液槽70の底壁75に沈殿する。そして、微細化したバイオフィルムは、有機物が低減した電解液60と共に、流出部72を通じて電解液槽70の外部に排出される。このようなステップにより、負極表面におけるバイオフィルムなどの付着物を除去することができる。
このように、本実施形態の液体処理システム1Bは、有機性物質を含む電解液60を収容する電解液槽70を備える。液体処理システム1Bは、さらに、電解液60と接触し、微生物を担持する負極30と、酸素を含む気相Gと接触し、負極30と電気的に接続される正極20とを備える。液体処理システム1Bは、さらに、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測定する測定部80と、測定部80により測定された数値と設定値とを比較判断する比較判断部101を備える制御部100とを備える。液体処理システム1Bでは、負極30及び正極20の一方又は両方で生じる数値を測定部80で測定し、さらに測定部80で測定された数値と設定値とを比較判断部101で比較判断している。そのため、電気エネルギー回収効率及び処理水質が大きく低下する前に、負極30から付着物を除去することが可能となる。さらに、液体処理システム1Bでは、負極30のメンテナンスを容易に行うことができる。
液体処理システム1Bは、負極30の表面を洗浄する洗浄部130をさらに備えている。そして、制御部100は、比較判断部101による当該数値と設定値との比較結果に基づいて、負極30の表面を洗浄するように洗浄部130を制御する。このため、長期運転に伴い、電気エネルギー回収効率及び処理水質が低下し始めても、測定部80で測定された測定結果に基づいて、洗浄部130により負極30の表面が洗浄され、負極30に付着した付着物が洗い流される。したがって、電気エネルギー回収効率及び処理水質が、負極30に付着した付着物によって大きく低下する前に、負極30から付着物を除去することができる。したがって、液体処理システム1Bは、長期運転に伴う電気エネルギー回収効率及び処理水質の大きな低下を抑制することができる。
なお、液体処理システム1Bは、第一実施形態と同様に、比較判断部101による数値と設定値との比較結果に基づいて、警報を報知する報知部120をさらに備えていてもよい。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。具体的には、図9に示すように、第一実施形態の液体処理システム1,1Aに、第二実施形態で詳述した洗浄部130を組み合わせてもよい。そして、図9に示す液体処理システム1Cにおいて、制御部100は、比較判断部101による、測定部80により測定された数値と設定値との比較結果に基づいて、電位制御部90及び洗浄部130の両方を制御することが好ましい。これにより、電気エネルギー回収効率及び処理水質が大きく低下する前に、電位制御部90及び洗浄部130の両方により、負極30から付着物を除去することが可能となる。
1,1A,1B,1C 液体処理システム
20 正極
30 負極
60 電解液
70 電解液槽
80 測定部
90 電位制御部
100 制御部
101 比較判断部
120 報知部
130 洗浄部
G 気相

Claims (7)

  1. 有機性物質を含む電解液を収容する電解液槽と、
    前記電解液と接触し、微生物を担持する負極と、
    酸素を含む気相と接触し、前記負極と電気的に接続される正極と、
    前記負極及び前記正極の一方又は両方で生じる数値を測定する測定部と、
    前記測定部により測定された前記数値と設定値とを比較判断する比較判断部を備える制御部と、
    を備える、液体処理システム。
  2. 前記負極及び前記正極に生じる電位を制御する電位制御部をさらに備える、請求項1に記載の液体処理システム。
  3. 前記制御部は、前記比較判断部による前記数値と前記設定値との比較結果に基づいて、前記負極と前記正極との間の電圧を反転させるように前記電位制御部を制御する、請求項2に記載の液体処理システム。
  4. 前記負極と前記正極との間の電圧が反転しているときに、前記電解液にマイクロバブルを供給する、請求項3に記載の液体処理システム。
  5. 前記負極の表面を洗浄する洗浄部をさらに備え、
    前記制御部は、前記比較判断部による前記数値と前記設定値との比較結果に基づいて、前記負極の表面を洗浄するように前記洗浄部を制御する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体処理システム。
  6. 前記測定部により測定された前記数値は、前記負極と前記正極との間の電位差、前記負極と前記正極との間に流れる電流値、前記正極の電位、及び前記負極の重量からなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体処理システム。
  7. 前記比較判断部による前記数値と前記設定値との比較結果に基づいて、警報を報知する報知部をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体処理システム。
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