JP2020114223A - レモン品種のイエローベルのさのう - Google Patents
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Abstract
【課題】さのうの製造が難しいレモン品種の果実から得られた高品質なさのうの提供。【解決手段】レモン品種のイエローベルの果実から得られたさのうであって、30%圧縮時の平均最大強度が、0.9N以上2.0N以下である、さのう。酵素剥皮法により該果実から取り出したセグメントを解して得られたものである、該さのう。該セグメントを50〜80℃の温度のカルシウムイオンを含む水溶液中で解して得られたものである、該さのう。【選択図】図2
Description
本発明は、レモン品種のイエローベルの果実から得られたさのうに関する。より詳細には、本発明は、柑橘類の果実の内果皮や内皮の一部を酵素で溶解した後、外果皮を剥皮する加工法(以下、「酵素剥皮法」という、)を用いて、果実の薄い内皮中の果肉をセグメントと内皮とに分離し、該セグメントから得られた小粒状のさのうに関する。
柑橘類の果実は、可食部であるさじょう(果肉)が内皮(じょうのう膜)で包まれたじょうのうが複数個放射状に集まり、このじょうのうが果皮で包まれている。この果皮の外側の有色部位を外果皮(フラベド)といい、果皮内側の白色部を内果皮(アルベド)という。また、さじょうを一般的にはセグメントといい、さじょうを構成する小粒をさのうという。
食品原料として柑橘類のさのうが用いられており、飲食品の嗜好性を高めて、消費者に満足感を与えている。柑橘類のさのうは、形態が小粒であり、飲料など流動性が求められる場合に好適である。また、さのうはプチプチとした粒々感の食感を有するとともに、噛んだときに柑橘の爽快な香気香味(果汁感)が口腔に広がり、消費者に高い満足感を与えるという利点も有する。特に、柑橘類のレモンは、そのさわやかなイメージから、食品原料として需要が多い。しかし、レモンの果肉は柔らかく、さのうが軟弱であるため、レモンの粒々感のある高品質なさのうは流通していない。このため、粒々感のある高品質なレモンのさのうが市場では要望されている。
従来、さのうの製造方法としては、様々な方法が提案されている。特許文献1では、オレンジ等の果皮が厚く剥きにくい柑橘類を対象として、その内果皮を簡易に剥皮し、内皮に包まれたじょうのうを得る方法が提案されている。具体的には、外果皮に傷をつけ、単一の酵素剤を果皮に侵入処理し、所定の温度、時間を保持させ、軟化した果皮を除去する方法である。特許文献2では、果肉を包む内皮及び内皮間の結合が維持され、果肉の全体の形が維持された状態の果実を得る方法が提案されている。具体的には果実中心温度を低く保つことにより、酵素剤によるじょうのうの房同士の結合が低下することを抑制するものであり、果肉の全体の形を維持した皮のむかれた果物を提供する方法である。特許文献3では、柑橘果実から果皮と内皮を簡易に取り除き、セグメントを得る方法が提案されている。しかし、この方法では、外果皮に傷をつけ、果皮にペクチナーゼ酵素混合液を浸漬するだけでは内皮が堅固に残っており、内皮に達する穴を明けるとともに、ヘミセルラーゼ系酵素をセルラーゼ及びペクチナーゼ系酵素に加えた混合酵素反応処理を併用する必要がある。特許文献4では、内皮を完全に溶解させて、手剥きの必要なくセグメントを得る方法が提案されている。具体的には、10℃以下の低温状態で0.8%以下の酵素液中に3時間以上浸漬させる必要がある。特許文献5では、柑橘類のセグメントにヘミセルラーゼ及び/又はマンナナーゼを作用させて、さのうを得る方法が提案されている。しかし、特許文献5では、柑橘類の果実からセグメントを効率的に得る方法は検討されていない。
本発明者らは、特許文献1〜5に記載のさのうを検討したが、ビラフランカ等の既存品種のレモンの果肉は柔らかく、さのうが軟弱であるため、高品質なさのうを得ることは困難であった。そこで、本発明者らは、高品質のさのうを得るために、ビラフランカ等の既存品種のレモンに比べてさのうの強度が高いイエローベルを用いることに着目した。すなわち、本発明は、レモン新品種のイエローベルを用いて、さのうの製造が難しいレモン品種の果実から高品質なさのうを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、イエローベルの果実の外果皮の少なくとも一部を除去又は穿孔する前処理を行い、酵素剥皮法により取り出した果肉から残存する内果皮及び/又は内皮を分離して、得られたセグメントを特定の条件下において水溶液中で解すことで、高品質なさのうを効率的に得られることを知見した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] レモン品種のイエローベルの果実から得られたさのうであって、
さのうの30%圧縮時の平均最大強度が、0.9N以上2.0N以下である、さのう。
[2] 前記さのうが、ネオヘスペリジン及びナリンギンの少なくとも1種を含む、[1]に記載のさのう。
[3] 酵素剥皮法により前記果実から取り出したセグメントを解して得られたものである、[1]または[2]に記載のさのう。
[4] 前記セグメントを50℃以上80℃以下の温度のカルシウムイオンを含む水溶液中で解して得られたものである、[3]に記載のさのう。
[1] レモン品種のイエローベルの果実から得られたさのうであって、
さのうの30%圧縮時の平均最大強度が、0.9N以上2.0N以下である、さのう。
[2] 前記さのうが、ネオヘスペリジン及びナリンギンの少なくとも1種を含む、[1]に記載のさのう。
[3] 酵素剥皮法により前記果実から取り出したセグメントを解して得られたものである、[1]または[2]に記載のさのう。
[4] 前記セグメントを50℃以上80℃以下の温度のカルシウムイオンを含む水溶液中で解して得られたものである、[3]に記載のさのう。
本発明によれば、果肉が柔らかく、さのうの製造が難しい柑橘類果実の中でも特にさのうの製造が難しいレモン品種の果実から効率的に高品質なさのうを製造することができる。さらに、本発明のさのうを加工食品に添加することにより、従来には無い高品質なレモンのさのうを用いた新規で高付加価値の加工食品を提供することができる。
<さのう>
本発明のイエローベルのさのうは、ビラフランカ等の既存品種のレモンのさのうに比べて強度が高く、高品質である。本発明のイエローベルのさのうは、粒々感を数値的に評価した30%圧縮時の平均最大強度が、0.9N以上2.0N以下であり、好ましくは1.0N以上2.0N以下であり、より好ましくは1.1N以上2.0N以下である。本発明においては、30%圧縮時の平均最大強度は、クリープメーター(山電(株)製)を用いて、付属のテクスチャー解析ソフトにより算出した値である。
本発明のイエローベルのさのうは、ビラフランカ等の既存品種のレモンのさのうに比べて強度が高く、高品質である。本発明のイエローベルのさのうは、粒々感を数値的に評価した30%圧縮時の平均最大強度が、0.9N以上2.0N以下であり、好ましくは1.0N以上2.0N以下であり、より好ましくは1.1N以上2.0N以下である。本発明においては、30%圧縮時の平均最大強度は、クリープメーター(山電(株)製)を用いて、付属のテクスチャー解析ソフトにより算出した値である。
本発明のイエローベルのさのうは、イエローベル由来のフラボノイドであるネオヘスペリジン及びナリンギンの少なくとも1種を含むことが好ましい。このようなフラボノイドを含むことで、機能性食品原料としての利用価値が向上する。
<さのうの製造方法>
さのうの製造方法に用いるレモンは、本出願人が育成者権を取得した新品種のイエローベル(登録番号:21709)である。ここで、図1にレモン既存品種(ビラフランカ)の果実の断面の模式図を示し、図2にレモン新品種(イエローベル)の果実の断面の模式図を示す。図1及び図2の比較からも分かるように、イエローベルは、既存品種のビラフランカに比べて、果皮が比較的薄く、果芯に空隙があり、じょうのうはさのうの結着が比較的緩く、さのうは膜が比較的厚く粒が大きい。
さのうの製造方法に用いるレモンは、本出願人が育成者権を取得した新品種のイエローベル(登録番号:21709)である。ここで、図1にレモン既存品種(ビラフランカ)の果実の断面の模式図を示し、図2にレモン新品種(イエローベル)の果実の断面の模式図を示す。図1及び図2の比較からも分かるように、イエローベルは、既存品種のビラフランカに比べて、果皮が比較的薄く、果芯に空隙があり、じょうのうはさのうの結着が比較的緩く、さのうは膜が比較的厚く粒が大きい。
さのうの製造方法は、前処理工程と、酵素処理工程と、第1の分離工程と、第2の分離工程と、をこの順序で含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(前処理工程)
前処理工程は、イエローベルの果実の外果皮の少なくとも一部を除去又は穿孔する工程である。この工程は、果実内(内果皮)に分解酵素を含浸又は接触させるために、果実に付けた傷(穴)が外果皮を貫通していれば良く、その方法は特に限定されない。例えば、針による穴開け、刃物による切れ込み、切削、外果皮の切除等が挙げられる。
前処理工程は、イエローベルの果実の外果皮の少なくとも一部を除去又は穿孔する工程である。この工程は、果実内(内果皮)に分解酵素を含浸又は接触させるために、果実に付けた傷(穴)が外果皮を貫通していれば良く、その方法は特に限定されない。例えば、針による穴開け、刃物による切れ込み、切削、外果皮の切除等が挙げられる。
(酵素処理工程)
酵素処理工程は、イエローベルの内果皮及び内皮の少なくとも一部を、分解酵素を用いた酵素反応によって軟化又は溶解する工程である。酵素処理工程では、第1の分離工程において果肉を取り出し易くするために、内果皮及び内皮の少なくとも一部を溶解しておくことが好ましい。内果皮の軟化又は溶解と内皮の軟化又は溶解は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいが、同時に行うことが製造の効率化の観点から好ましい。
酵素処理工程は、イエローベルの内果皮及び内皮の少なくとも一部を、分解酵素を用いた酵素反応によって軟化又は溶解する工程である。酵素処理工程では、第1の分離工程において果肉を取り出し易くするために、内果皮及び内皮の少なくとも一部を溶解しておくことが好ましい。内果皮の軟化又は溶解と内皮の軟化又は溶解は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいが、同時に行うことが製造の効率化の観点から好ましい。
果実内(内果皮)に分解酵素を含浸又は接触させて、内果皮の少なくとも一部を軟化又は溶解する方法としては、分解酵素液に果実を浸漬した状態で減圧処理を行って、減圧状態を短時間保持した後、復圧処理を行うことが好ましい。例えば、常圧(101kPa)から、好ましくは21kPa以下まで一気に急速減圧処理を行ってもよい。減圧保持時間は、好ましくは0.1秒以上60秒以下でよく、より好ましくは1秒以上から30秒以下でよい。このような減圧処理により果実内に分解酵素を含浸させることにより、分解酵素液を内果皮と果実の中心部に浸透させることができる。酵素含浸後は、内果皮や内皮の分解効率を向上させるために、好ましくは0.1時間以上3時間以下、より好ましくは0.5時間以上2時間以下の間、40℃以上50℃以下程度の温度下での酵素反応処理を行うことが好ましい。このような工程により、果実の内果皮の溶解を進めるともに、内果皮に接するじょうのうの内皮も十分に溶解させることができる。
酵素処理工程で用いる分解酵素としては、植物組織崩壊酵素が好ましく、例えば、ペクチナーゼ、βグルカナーゼ、セルラーゼ等が挙げられ、少なくともペクチナーゼ又はβグルカナーゼを用いることが好ましい。これらの分解酵素は、1種又は相互に阻害しない範囲内で2種以上を組み合わせて使用することもできる。分解酵素は、市販品を用いることができ、例えば、Novozyme社のViscozyme−L等の市販のβグルカナーゼ系酵素剤、Pectinex SMASH−XXL、Pectinex Ultra Color等の市販のペクチナーゼ系酵素剤が挙げられる。
分解酵素液としては、液状の分解酵素製剤にあっては、そのまま、若しくは希釈して利用でき、粉末状の分解酵素製剤にあっては、分解酵素を水などの溶質に溶解若しくは分散させた状態で用いることができる。分解酵素液の分解酵素の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。分解酵素液のpHは、好ましくはpH3以上pH10以下であり、より好ましくはpH4以上pH8以下である。酵素活性の高い酵素の至適pHに調整することもできる。分解酵素液のpHの調整には、クエン酸のような有機酸類とその塩類やリン酸塩等のpH調整剤等を用いることもできる。
(第1の分離工程)
第1の分離工程は、果実から残存する外果皮及び/又は内果皮を除去して果肉を取り出して、セグメントを得る工程である。第1の分離工程においては、取り出した果肉から残存する内果皮及び/又は内皮をさらに除去して、セグメントを得ることが好ましい。酵素処理した果実は、内果皮が溶解していることにより、外果皮及び内果皮が容易に除去することができる。果実から果皮を除去した果肉は、表面及び中心部の内皮の少なくとも一部が既に溶解しているため、容易に果肉から内皮を除去することができる。例えば、水中で軽く撹拌したり、水流中にさらしたりするだけで、若干のさのうとセグメント、セグメントが割れて断片化した複数個以上のさのうが結着した状態のセグメント片、及び内皮に分離できる。この処理方法は、特に限定されないが、手作業でも容易に行え、完全な形を保ったセグメントの割合を高くするには、手作業が好ましい。なお、酵素処理工程において、内皮が完全に溶解している場合には、内皮の除去が不要となり、製造効率がより向上する。また、内果皮の溶解液には柑橘類果皮に含まれるフラボノイド類等ポリフェノールが豊富に含まれており、機能性食品原料として利用が可能なものである。
第1の分離工程は、果実から残存する外果皮及び/又は内果皮を除去して果肉を取り出して、セグメントを得る工程である。第1の分離工程においては、取り出した果肉から残存する内果皮及び/又は内皮をさらに除去して、セグメントを得ることが好ましい。酵素処理した果実は、内果皮が溶解していることにより、外果皮及び内果皮が容易に除去することができる。果実から果皮を除去した果肉は、表面及び中心部の内皮の少なくとも一部が既に溶解しているため、容易に果肉から内皮を除去することができる。例えば、水中で軽く撹拌したり、水流中にさらしたりするだけで、若干のさのうとセグメント、セグメントが割れて断片化した複数個以上のさのうが結着した状態のセグメント片、及び内皮に分離できる。この処理方法は、特に限定されないが、手作業でも容易に行え、完全な形を保ったセグメントの割合を高くするには、手作業が好ましい。なお、酵素処理工程において、内皮が完全に溶解している場合には、内皮の除去が不要となり、製造効率がより向上する。また、内果皮の溶解液には柑橘類果皮に含まれるフラボノイド類等ポリフェノールが豊富に含まれており、機能性食品原料として利用が可能なものである。
(第2の分離工程)
第2の分離工程は、セグメントを50℃以上の温度の温水又は水溶液中で解して、小粒状のさのうを得る工程である。第1の分離工程で得られたセグメント(セグメント片)は、温水又は水溶液中で容易に解れるため、柑橘さのう特有の粒々感の食感を保持したさのうが得られる。第2の分離工程で用いる水溶液は、カルシウムイオンを含むことが好ましく、例えば、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩を用いて調整することができる。カルシウム塩の添加量は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。また、水溶液の温度は、好ましくは50℃以上80℃以下であり、より好ましくは55℃以上75℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上70℃以下である。このような水溶液を用いてセグメントを解すことで、より粒々感の食感を保持したさのうを得ることができる。
第2の分離工程は、セグメントを50℃以上の温度の温水又は水溶液中で解して、小粒状のさのうを得る工程である。第1の分離工程で得られたセグメント(セグメント片)は、温水又は水溶液中で容易に解れるため、柑橘さのう特有の粒々感の食感を保持したさのうが得られる。第2の分離工程で用いる水溶液は、カルシウムイオンを含むことが好ましく、例えば、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等のカルシウム塩を用いて調整することができる。カルシウム塩の添加量は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。また、水溶液の温度は、好ましくは50℃以上80℃以下であり、より好ましくは55℃以上75℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上70℃以下である。このような水溶液を用いてセグメントを解すことで、より粒々感の食感を保持したさのうを得ることができる。
<加工食品の製造方法>
本発明の加工食品の製造方法は、上記のイエローベルのさのうを用いるものであり、従来には無い高品質なレモンのさのうを用いた新規で高付加価値の加工食品を提供することができる。加工食品としては、ジュース等の飲料やゼリー等の菓子を挙げることができる。
本発明の加工食品の製造方法は、上記のイエローベルのさのうを用いるものであり、従来には無い高品質なレモンのさのうを用いた新規で高付加価値の加工食品を提供することができる。加工食品としては、ジュース等の飲料やゼリー等の菓子を挙げることができる。
[試験例1]
(酵素剥皮条件の検討)
(a)試料
原料柑橘果実として、レモン新品種のイエローベル(以下、「YB」とする)の果実とレモン既存品種のビラフランカ(以下、「VF」とする)の果実を用意した。分解酵素として、βグルカナーゼ酵素剤(novozyme社製酵素剤Viscozyme−L(以下「Vis」とする))と、ペクチナーゼ系酵素剤(novozyme社製酵素剤Pectinex Ultra Color(以下「PUC」とする))の水溶液を用意した。なお、各サンプルにより、分解酵素濃度を変化させた。分解酵素濃度の詳細は、表1に示す。
(b)前処理工程
サンプルA〜D及びG〜Jについては、画鋲を並べて作成した剣山を用いて、YB及びVFの果実の果皮の表面に小さな穴を開ける前処理を行った。また、サンプルE及びFについては、YB及びVFの果実の外果皮をおろし金で切除した。
(c)酵素処理工程
前処理済みの果実を分解酵素液に沈めた状態で急速減圧処理を行い、減圧状態を30秒保持した後、急速復圧処理を行って、果実に分解酵素液を含浸させた。その後、果実を分解酵素液から取り出して、特定の温度に保温して、特定の時間、酵素反応処理を行った。酵素反応処理の条件の詳細は、表1に示す。
(d)第1の分離工程
果実の外果皮及び内果皮を手指により剥皮して果実を取り出した。取り出した果実の外側の内皮(内果皮に面したじょうのう内皮)の溶解度合いを、下記の基準で目視により評価した。結果は、表1に示す。続いて、外側の内皮が溶解しているサンプルについては、水流により果肉からセグメントが分離可能か否かを確認した。
(評価基準)
○:内皮は完全に溶解していた。
△:内皮は部分的に薄く残存していた。
×:内皮は溶解していなかった。
(酵素剥皮条件の検討)
(a)試料
原料柑橘果実として、レモン新品種のイエローベル(以下、「YB」とする)の果実とレモン既存品種のビラフランカ(以下、「VF」とする)の果実を用意した。分解酵素として、βグルカナーゼ酵素剤(novozyme社製酵素剤Viscozyme−L(以下「Vis」とする))と、ペクチナーゼ系酵素剤(novozyme社製酵素剤Pectinex Ultra Color(以下「PUC」とする))の水溶液を用意した。なお、各サンプルにより、分解酵素濃度を変化させた。分解酵素濃度の詳細は、表1に示す。
(b)前処理工程
サンプルA〜D及びG〜Jについては、画鋲を並べて作成した剣山を用いて、YB及びVFの果実の果皮の表面に小さな穴を開ける前処理を行った。また、サンプルE及びFについては、YB及びVFの果実の外果皮をおろし金で切除した。
(c)酵素処理工程
前処理済みの果実を分解酵素液に沈めた状態で急速減圧処理を行い、減圧状態を30秒保持した後、急速復圧処理を行って、果実に分解酵素液を含浸させた。その後、果実を分解酵素液から取り出して、特定の温度に保温して、特定の時間、酵素反応処理を行った。酵素反応処理の条件の詳細は、表1に示す。
(d)第1の分離工程
果実の外果皮及び内果皮を手指により剥皮して果実を取り出した。取り出した果実の外側の内皮(内果皮に面したじょうのう内皮)の溶解度合いを、下記の基準で目視により評価した。結果は、表1に示す。続いて、外側の内皮が溶解しているサンプルについては、水流により果肉からセグメントが分離可能か否かを確認した。
(評価基準)
○:内皮は完全に溶解していた。
△:内皮は部分的に薄く残存していた。
×:内皮は溶解していなかった。
[試験例2]
(さのうの製造)
(a)試料
原料柑橘果実として、レモン新品種のイエローベル(以下、「YB」とする)の果実とレモン既存品種のビラフランカ(以下、「VF」とする)の果実を用意した。分解酵素として、βグルカナーゼ酵素剤(novozyme社製酵素剤Viscozyme−L)の水溶液(YB用酵素濃度:2.0質量%、VF用酵素剤:3.0質量%)を用意した。
(b)前処理工程
画鋲を並べて作成した剣山を用いて、YB及びVFの果実の果皮の表面に小さな穴を開ける前処理を行った。
(c)酵素処理工程
前処理済みの果実を分解酵素液に沈めた状態で急速減圧処理を行い、減圧状態を30秒保持した後、急速復圧処理を行って、果実に分解酵素液を含浸させた。その後、果実を分解酵素液から取り出して、45℃でYBは60分間、VFは90分間保温して、酵素反応処理を行った。
(d)第1の分離工程
果実の外果皮及び内果皮を手指により剥皮して果実を取り出して、内側の内皮(果芯側のじょうのう内皮)が付着したセグメント(及びセグメント片)を得た。続いて、水流により内皮を除去して、セグメント(及びセグメント片)を得た。
(e)第2の分離工程
得られたセグメント(及びセグメント片)を、乳酸カルシウムを3質量%含む水溶液に入れ、緩やかに撹拌しながら所定の温度まで加温して、所定の温度で5分間維持して、さのうを分離させた。その後、さのうを冷水で冷やして強度測定及び官能評価に用いた。なお、各実施例・参考例・比較例において、水溶液の温度を変化させた。詳細は、表2に示す。
(さのうの製造)
(a)試料
原料柑橘果実として、レモン新品種のイエローベル(以下、「YB」とする)の果実とレモン既存品種のビラフランカ(以下、「VF」とする)の果実を用意した。分解酵素として、βグルカナーゼ酵素剤(novozyme社製酵素剤Viscozyme−L)の水溶液(YB用酵素濃度:2.0質量%、VF用酵素剤:3.0質量%)を用意した。
(b)前処理工程
画鋲を並べて作成した剣山を用いて、YB及びVFの果実の果皮の表面に小さな穴を開ける前処理を行った。
(c)酵素処理工程
前処理済みの果実を分解酵素液に沈めた状態で急速減圧処理を行い、減圧状態を30秒保持した後、急速復圧処理を行って、果実に分解酵素液を含浸させた。その後、果実を分解酵素液から取り出して、45℃でYBは60分間、VFは90分間保温して、酵素反応処理を行った。
(d)第1の分離工程
果実の外果皮及び内果皮を手指により剥皮して果実を取り出して、内側の内皮(果芯側のじょうのう内皮)が付着したセグメント(及びセグメント片)を得た。続いて、水流により内皮を除去して、セグメント(及びセグメント片)を得た。
(e)第2の分離工程
得られたセグメント(及びセグメント片)を、乳酸カルシウムを3質量%含む水溶液に入れ、緩やかに撹拌しながら所定の温度まで加温して、所定の温度で5分間維持して、さのうを分離させた。その後、さのうを冷水で冷やして強度測定及び官能評価に用いた。なお、各実施例・参考例・比較例において、水溶液の温度を変化させた。詳細は、表2に示す。
(さのうの評価)
(a)分離状態
第2の分離工程におけるさのうの分離状態を、下記の基準で目視により評価した。結果は、表2に示す。
(評価基準)
◎:セグメントからさのうは速やかに解れた。
○:セグメントからさのうは解れた。
△:セグメントからさのうは解れるのが遅かった。
×:セグメントからさのうは解れなかった。
(b)強度評価
クリープメーター(山電(株)製)を用いて、付属のテクスチャー解析ソフトにより、さのうの30%圧縮時の最大強度を計測した。平均最大強度は、さのう20個を計測し、それらの最大強度の平均値とした。結果は、表2に示す。
(c)官能評価
パネラー6名により、下記の基準でさのうの食感を官能評価した。結果は、表2に示す。
(評価基準)
1:さのうの粒々感、歯応え共に強かった。
2:さのうの粒々感があり、歯応えがあった。
3:さのうの粒は感じられるが歯応えは柔らかかった。
4:さのうの粒が感じられなかった。
(a)分離状態
第2の分離工程におけるさのうの分離状態を、下記の基準で目視により評価した。結果は、表2に示す。
(評価基準)
◎:セグメントからさのうは速やかに解れた。
○:セグメントからさのうは解れた。
△:セグメントからさのうは解れるのが遅かった。
×:セグメントからさのうは解れなかった。
(b)強度評価
クリープメーター(山電(株)製)を用いて、付属のテクスチャー解析ソフトにより、さのうの30%圧縮時の最大強度を計測した。平均最大強度は、さのう20個を計測し、それらの最大強度の平均値とした。結果は、表2に示す。
(c)官能評価
パネラー6名により、下記の基準でさのうの食感を官能評価した。結果は、表2に示す。
(評価基準)
1:さのうの粒々感、歯応え共に強かった。
2:さのうの粒々感があり、歯応えがあった。
3:さのうの粒は感じられるが歯応えは柔らかかった。
4:さのうの粒が感じられなかった。
[試験例3]
(フラボノイドの分析)
(a)試料
原料柑橘果実として、YBの果実とVFの果実を用意した。
(b)分析方法
近畿中国四国農業研究センター研究報告 第5号19−84(2005)に記載の分析方法に従い、YB及びVFの果肉及び内皮のフラボノイド類(ECR:エリオシトリン、NRG:ナリンギン、NHP:ネオヘスペリジン)の分析を行った。
(c)結果
分析結果を表3に示す。YBにはVFと比べて、特徴的なフラボノイド類としてNRG及びNHPが多量に存在することが確認された。
(フラボノイドの分析)
(a)試料
原料柑橘果実として、YBの果実とVFの果実を用意した。
(b)分析方法
近畿中国四国農業研究センター研究報告 第5号19−84(2005)に記載の分析方法に従い、YB及びVFの果肉及び内皮のフラボノイド類(ECR:エリオシトリン、NRG:ナリンギン、NHP:ネオヘスペリジン)の分析を行った。
(c)結果
分析結果を表3に示す。YBにはVFと比べて、特徴的なフラボノイド類としてNRG及びNHPが多量に存在することが確認された。
Claims (4)
- レモン品種のイエローベルの果実から得られたさのうであって、
さのうの30%圧縮時の平均最大強度が、0.9N以上2.0N以下である、さのう。 - 前記さのうが、ネオヘスペリジン及びナリンギンの少なくとも1種を含む、請求項1に記載のさのう。
- 酵素剥皮法により前記果実から取り出したセグメントを解して得られたものである、請求項1または2に記載のさのう。
- 前記セグメントを50℃以上80℃以下の温度のカルシウムイオンを含む水溶液中で解して得られたものである、請求項3に記載のさのう。
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