以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
1.第1実施形態
(1)基板処理装置
図1に示すように、基板処理装置1Aは、キャリア搬入出部2と、ロット形成部3と、ロット載置部4と、ロット処理部6と、制御部7とを有する。
このうちキャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)のウェハWを水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。
このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容されたウェハWを組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)のウェハWからなるロットを形成する。
このロット形成部3には、複数枚のウェハWを搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、ウェハWの搬送途中でウェハWの姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いてウェハWをロット載置部4に搬送し、ロットを形成するウェハWをロット載置部4に載置する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。
ロット載置部4は、ロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。
このロット載置部4には、処理前(ロット処理部6で処理される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット処理部6で処理された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。
ロット処理部6(処理部)は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚のウェハWを1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。
このロット処理部6には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19と、ウェハWの乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、ウェハWの液処理を行う複数の液処理モジュール26とが設けられている。
ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚のウェハWを保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚のウェハWを保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
そして、ロット搬送機構19は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットを基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受け渡す。また、ロット搬送機構19は、ロット処理部6で処理されたロットを基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受け渡す。さらに、ロット搬送機構19は、ロット処理部6の内部においてもロットの搬送を行う。
乾燥処理装置23は、処理槽27と、処理槽27に昇降自在に設けられた基板昇降機構28とを有する。処理槽27には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚のウェハWが垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることで、処理槽27に供給した乾燥用の処理ガスでウェハWの乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29を有し、この処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
液処理モジュール26は、複数の液処理装置30を有する。それぞれの液処理装置30は、処理槽31と、基板昇降機構32とを有する(図2参照)。処理槽31は、液処理用の処理液を含む。処理液の具体例としては、リン酸水溶液、SC−1(アンモニア、過酸化水素及び純水の混合液)、SC−2(塩酸、過酸化水素及び純水の混合液)、SPM(硫酸、過酸化水素及び純水の混合液)、DHF(フッ酸と純水の混合液)、及びDIW(脱イオン水)等が挙げられる。
基板昇降機構32は、基板保持体22からロットを受取り、そのロットを昇降させることでロットを処理槽31内の処理液に浸漬させてウェハWの液処理を行う。その後、基板昇降機構32は、ロットを上昇させてロット搬送機構19の基板保持体22に引き渡す。
液処理装置30は、処理液の流路に金属含有材料を含んでいてもよい。金属含有材料の具体例としては、石英が挙げられる。石英は、アルミニウムを含有する場合がある。金属含有材料が含有する金属はアルミニウムに限られない。処理液の流路の材料が含み得る金属の他の例としては、鉄及び亜鉛等が挙げられる。
複数の液処理装置30は、循環する第1処理液によりウェハWに液処理を施す少なくとも一つの第1処理装置30A(第1処理部)を含んでもよい。第1処理液は、流路から溶出した金属成分をウェハWに付着させ得る処理液である。また、複数の液処理装置30は、ウェハWに付着した金属成分を除去する第2処理液によりウェハWに液処理を施す少なくとも一つの第2処理装置30B(第2処理部)を更に含んでもよい。第1処理液の具体例としては、SC−1等のアルカリ性処理液、及びDIW等の中性処理液が挙げられる。第2処理液の具体例としては、SC−2、SPM及びDHF等の酸性処理液が挙げられる。
制御部7は、基板処理装置1Aの各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット処理部6)の動作を制御する。
この制御部7は、たとえばコンピュータからなり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体38を備える。記憶媒体38には、基板処理装置1Aにおいて実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記憶媒体38に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1Aの動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体38にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
(2)液処理装置
図2に示すように、上述の液処理装置30は、処理槽31と、基板昇降機構32と、循環部50と、処理液補充部60と、希釈液補充部70と、金属濃度検出部80とを有する。
処理槽31は、内槽41と、外槽42と、蓋部43を有する。内槽41は、処理液中にウェハWを浸漬するための槽であり、浸漬用の処理液を収容する。内槽41の上部は開放されているので、内槽41内の処理液にウェハWを上方から浸漬することが可能である。内槽41内には、複数のウェハWが起立した状態で配置される。外槽42は、内槽41を包囲するように設けられており、内槽41から溢れた処理液を収容する。蓋部43(バスリッド)は、内槽41の上部の少なくとも一部を塞いで内槽41内の処理液の揮発を抑制する。
基板昇降機構32は、基板保持体22から受け取った複数のウェハWを起立した状態で保持する。基板昇降機構32は、保持している複数のウェハWを、内槽41内の浸漬高さと、内槽41の上方の受渡高さとの間で昇降させる。
循環部50は、処理槽31から排出された処理液を処理槽31に戻す。例えば循環部50は、外槽42から排出された処理液を内槽41内の下部に戻す。循環部50は、吐出部51と、循環管路52とを有する。
吐出部51は、内槽41内の下部に設けられており、処理液を内槽41内に吐出する。循環管路52は、外槽42内から内槽41内に処理液を導く。循環管路52の一端部は外槽42の底部に接続されており、循環管路52の他端部は吐出部51に接続されている。循環管路52は、ポンプ53と、ヒータ54と、フィルタ55と、流量計56とを含む。例えばポンプ53、ヒータ54、フィルタ55及び流量計56は、外槽42側から内槽41側(吐出部51側)に向かってこの順に並んでいる。ポンプ53は、外槽42側から内槽41側に処理液を圧送する。ヒータ54は、処理液を設定温度まで加熱する。フィルタ55は、処理液中に混入したパーティクルを除去する。流量計56は、循環管路52における処理液の流量を検出する。この検出結果は、例えばポンプ53の制御等に用いられる。
液処理装置30においては、少なくとも循環部50が金属含有材料を含んでいる。例えば、ヒータ54及び流量計56の少なくとも一部が金属含有材料(例えば石英)により構成されている。更に、内槽41、外槽42、蓋部43及び基板昇降機構32等が金属含有材料(例えば石英)を含んでいてもよい。
処理液補充部60は、必要に応じ処理液を外槽42に補充する。処理液補充部60は、処理液の液源61と、バルブ62とを含む。バルブ62は、処理液補充のタイミングに合わせて、液源61から外槽42への処理液の流路を開閉する。
希釈液補充部70は、必要に応じ希釈液(例えばDIW)を外槽42に補充する。希釈液補充部70は、希釈液の液源71と、バルブ72とを含む。バルブ72は、希釈液補充のタイミングに合わせて、液源71から外槽42への希釈液の流路を開閉する。
金属濃度検出部80は、処理液中の金属成分の濃度を検出する。金属濃度検出部80は、サンプリング管路81と、金属濃度分析器82と、バルブ83とを含む。サンプリング管路81は、例えばヒータ54とフィルタ55との間において循環管路52から分岐し、循環管路52を流れる処理液の一部を抜き出す。金属濃度分析器82は、サンプリング管路81により抜き出された処理液中の金属成分の濃度を分析する。金属濃度分析器82の具体例としては、ICP(誘導結合プラズマ)質量分析装置等が挙げられる。金属濃度分析器82は、処理液の取り込みと金属成分の濃度分析とを所定の周期(例えば約5分)で繰り返す。バルブ83は、金属濃度分析器82が処理液を取り込むタイミングに合わせてサンプリング管路81内の流路を開閉する。なお、ここに例示した金属濃度検出部80によれば、循環部50内の処理液における金属成分の濃度が検出されるが、濃度の検出対象箇所は循環部50内に限られない。液処理装置30内を循環する処理液の濃度を検出し得る限り、液処理装置30のいかなる箇所を濃度の検出対象としてもよい。
(3)制御部
制御部7は、ウェハWを処理用のエリアに搬入して処理液に晒すようにロット処理部6を制御することと、処理液中の金属成分を吸着する吸着部材WD(図1参照)を上記処理用のエリアに搬入して処理液に晒すようにロット処理部6を制御することと、を実行するように構成されている。処理用のエリアは、例えば乾燥処理装置23及び液処理モジュール26を含むロット処理部6内の処理エリアA1(図1参照)である。
図3に例示するように、制御部7は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、スケジュール記憶部91と、処理制御部92と、吸着制御部93とを有する。スケジュール記憶部91は、各液処理装置30にウェハWが搬入されるタイミングを含む処理スケジュールを記憶する。
処理制御部92は、ウェハWのロットを処理エリアA1に搬入して処理液に晒すようにロット処理部6を制御する。例えば処理制御部92は、ウェハWのロットをロット搬送機構19により処理エリアA1に搬入するようにロット処理部6を制御する。更に処理制御部92は、ウェハWのロットをロット搬送機構19によりいずれかの液処理装置30に搬送し、当該ロットを液処理装置30により処理液に浸漬させるようにロット処理部6を制御する。例えば処理制御部92は、基板保持体22から基板昇降機構32に当該ロットを引き渡し、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内の処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。その後処理制御部92は、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内から上昇させ、基板昇降機構32から基板保持体22に当該ロットを戻すようにロット処理部6を制御する。更に処理制御部92は、当該ロットを処理エリアA1から搬出してロット載置部4に戻すようにロット処理部6を制御する。
吸着制御部93は、上記吸着部材WDを処理エリアA1に搬入して処理液に晒すようにロット処理部6を制御する。吸着部材WDは、ウェハWが配置される位置にウェハWと同様に配置することが可能な吸着基板である。より具体的に、吸着部材WDは、ウェハWと同じ外径で、基板保持体22及び基板昇降機構32によりウェハWと同様に保持可能である。吸着部材WDは、表面に被膜が形成されていないベアウェハであってもよいし、表面に酸化被膜が形成されたウェハであってもよい。吸着部材WDは、基板処理装置1A内に常設されていてもよい。換言すると、基板処理装置1Aは吸着部材WDの収容部(以下、「吸着部材キャリア」という。)を更に備えていてもよい。例えば、少なくとも一つのキャリアストック12に吸着部材キャリア9A(吸着部材収容部)が設置されていてもよい(図1参照)。
また、処理液への吸着部材WDの浸漬が必要になる度に、基板処理装置1A外の吸着部材キャリア9Aをキャリアステージ10に搬送してもよい。吸着部材WDを処理液に浸漬させる前に、吸着制御部93は、キャリアステージ10又はキャリアストック12から吸着部材キャリア9Aをキャリア載置台14に搬送するようにキャリア搬入出部2を制御する。その後吸着制御部93は、吸着部材キャリア9A内から吸着部材WDを取り出し、ロット載置部4に吸着部材WDのロットを形成するようにロット形成部3を制御する。
吸着部材WDのロットを形成させた後、吸着制御部93は、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19により処理エリアA1に搬入するようにロット処理部6を制御する。更に吸着制御部93は、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19によりいずれかの上記第1処理装置30Aに搬送し、当該ロットを第1処理装置30Aにより第1処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。例えば吸着制御部93は、基板保持体22から第1処理装置30Aの基板昇降機構32に当該ロットを引き渡し、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内の第1処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。その後吸着制御部93は、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内から上昇させ、基板昇降機構32から基板保持体22に当該ロットを戻すようにロット処理部6を制御する。
吸着部材WDのロットを基板保持体22に戻させた後、吸着制御部93は、ロット搬送機構19により当該ロットをロット載置部4に搬送するようにロット処理部6を制御する。その後吸着制御部93は、ロット載置部4のウェハWを吸着部材キャリア9A内に戻すようにロット形成部3を制御する。その後吸着制御部93は、吸着部材キャリア9Aをキャリアステージ10又はキャリアストック12に戻すようにキャリア搬入出部2を制御する。
吸着制御部93は、上記第1処理装置30Aにより吸着部材WDを第1処理液に晒すようにロット処理部6を制御する吸着制御と、上記第2処理装置30Bにより吸着部材WDを第2処理液に晒すようにロット処理部6を制御する洗浄制御とを繰り返すように構成されていてもよい。吸着制御部93は、吸着制御から洗浄制御までの間、及び洗浄制御から吸着制御までの間の少なくとも一方において、乾燥処理装置23により吸着部材WDの乾燥処理を実行するようにロット処理部6を制御してもよい。
乾燥処理に際して、吸着制御部93は、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19により乾燥処理装置23に搬送し、乾燥処理装置23により吸着部材WDを乾燥させるようにロット処理部6を制御する。例えば吸着制御部93は、基板保持体22から基板昇降機構28に当該ロットを引き渡し、基板昇降機構28により当該ロットを処理槽27内に下降させるようにロット処理部6を制御する。その後吸着制御部93は、基板昇降機構28により当該ロットを処理槽27内から上昇させ、基板昇降機構28から基板保持体22に当該ロットを戻すようにロット処理部6を制御する。
吸着制御部93は、いずれかの第1処理装置30Aにおいて、ウェハWが処理液に晒されていない状態にて所定時間が経過した場合に、吸着部材WDを第1処理装置30Aに搬入するように構成されていてもよい。所定時間は、処理液中の金属成分の濃度が許容レベルを超えることが無いように予め設定される。許容レベルは、処理液中におけるウェハWへの金属成分の付着を十分に抑えられるレベルである。吸着制御部93は、処理液中の金属成分の濃度が所定レベルに達した場合に、吸着部材WDを第1処理装置30Aに搬入するようにロット処理部6を制御してもよい。所定レベルは、上記許容レベル以下となるように予め設定されている。
制御部7は、搬入予定検知部94を更に有してもよい。搬入予定検知部94は、第1処理装置30AへのウェハWの搬入予定タイミングを、スケジュール記憶部91が記憶する処理スケジュールに基づいて検知する。この場合、吸着制御部93は、次の搬入予定タイミングに基づいて上記吸着制御と上記洗浄制御との繰り返しを停止してもよい。例えば吸着制御部93は、吸着制御を実行中の第1処理装置30Aに対するウェハWの搬入予定タイミングが近づくのに応じて吸着制御と洗浄制御との繰り返しを停止させる。より具体的に吸着制御部93は、現在時刻から搬入予定タイミングまでの時間が所定のマージン以下となるのに応じて吸着制御と洗浄制御との繰り返しを停止させる。
(4)基板処理手順
続いて、基板処理方法の一例として、基板処理装置1Aが実行する基板処理手順を例示する。この基板処理手順は、ウェハWを処理エリアA1に搬入して処理液に晒すことと、吸着部材WDを処理エリアA1に搬入して処理液に晒すことと、を含む。
図4は、いずれかの第1処理装置30Aにおいて基板処理装置1Aが実行する基板処理手順を例示するフローチャートである。図4に示すように、制御部7は、まずステップS01,S02を実行する。ステップS01では、処理制御部92が、ウェハWのロットをロット搬送機構19により第1処理装置30Aに搬送し、当該ロットを第1処理装置30Aにより処理液に浸漬させるようにロット処理部6を制御する。ステップS02では、現在時刻から次のウェハWの搬入予定タイミングまでの時間が上記マージン以下となっているか否かを処理制御部92が確認する。以下、現在時刻から次のウェハWの搬入予定タイミングまでの時間が上記マージン以下となっていることを、「次の搬入予約がある」という。
ステップS02において、次の搬入予約があると判定した場合、制御部7は処理をステップS01に戻す。以後、次の搬入予約がないと判定されるまでは、ウェハWのロットを第1処理装置30Aにより処理液に浸漬させることが繰り返される。ステップS02において、次の搬入予約はないと判定した場合、制御部7はステップS03を実行する。ステップS03では、第1処理装置30AにおいてウェハWが処理液に晒されていない状態にて所定時間が経過したか否かを吸着制御部93が確認する。換言すると、ウェハWのロットが第1処理装置30Aの処理液から取り出された後の経過時間(以下、「アイドル時間」という。)が上記所定時間に達したか否かを吸着制御部93が確認する。
ステップS03において、アイドル時間が所定時間に達していないと判定した場合、制御部7は処理をステップS02に戻す。ステップS03において、アイドル時間が所定時間に達したと判定した場合、制御部7はステップS04,S05を実行する。ステップS04では、吸着制御部93が、キャリアステージ10又はキャリアストック12から吸着部材キャリア9Aをキャリア載置台14に搬送するようにキャリア搬入出部2を制御する。ステップS05では、吸着制御部93が、吸着部材キャリア9A内から吸着部材WDを取り出し、ロット載置部4に吸着部材WDのロットを形成するようにロット形成部3を制御する。
次に、制御部7はステップS06,S07を実行する。ステップS06は、吸着部材WDのロットを第1処理装置30Aの処理液に浸漬させる処理(以下、「吸着処理」という。)を含む。ステップS06は、吸着部材WDのロットを第2処理装置30Bの処理液に浸漬させる処理(以下、「洗浄処理」という。)を更に含んでもよい。ステップS06において、制御部7は、上記吸着制御と上記洗浄制御とを繰り返してもよい。すなわち基板処理装置1Aは、ステップS06において上記吸着処理と上記洗浄処理とを繰り返してもよい。ステップS06の具体的処理内容については後述する。ステップS07では、次の搬入予約があるか否かを吸着制御部93が確認する。
ステップS07において、次の搬入予約はないと判定した場合、制御部7は処理をステップS06に戻す。以後、次の搬入予約があると判定されるまでは、吸着制御及び洗浄制御が繰り返される。ステップS07において、次の搬入予約があると判定した場合、制御部7はステップS11,S12,S13を実行する。ステップS11では、吸着制御部93が、ロット搬送機構19により吸着部材WDのロットをロット載置部4に搬送するようにロット処理部6を制御する。ステップS12では、吸着制御部93が、ロット載置部4のウェハWを吸着部材キャリア9A内に戻すようにロット形成部3を制御する。ステップS13では、吸着制御部93が、吸着部材キャリア9Aをキャリアステージ10又はキャリアストック12に戻すようにキャリア搬入出部2を制御する。その後、制御部7は処理をステップS01に戻す。以後、必要に応じて上記吸着制御及び洗浄制御を実行しながら、ウェハWのロットを第1処理装置30Aにより処理液に浸漬させることが繰り返される。
なお、以上においては、アイドル時間が所定時間に達したか否かに基づいて吸着処理の要否を判定する手順を例示したが、吸着処理の要否を判定する手法は必ずしもこれに限られない。例えばステップS03において、吸着制御部93は、処理液中の金属成分の濃度が所定レベルに達したか否かに基づいて吸着処理の要否を判定してもよい。
図5は、ステップS06における吸着処理の手順を例示するフローチャートである。図5に示すように、制御部7は、ステップS21,S22,S23を順に実行する。ステップS21では、吸着制御部93が、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19により処理エリアA1に搬入するようにロット処理部6を制御する。更に吸着制御部93は、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19により第1処理装置30Aに搬送し、当該ロットを第1処理装置30Aにより第1処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。例えば吸着制御部93は、基板保持体22から第1処理装置30Aの基板昇降機構32に当該ロットを引き渡し、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内の第1処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。その後吸着制御部93は、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内から上昇させ、基板昇降機構32から基板保持体22に当該ロットを戻すようにロット処理部6を制御する。
ステップS22では、吸着制御部93が、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19により第2処理装置30Bに搬送し、当該ロットを第2処理装置30Bにより第2処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。例えば吸着制御部93は、基板保持体22から第2処理装置30Bの基板昇降機構32に当該ロットを引き渡し、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内の第2処理液に浸漬するようにロット処理部6を制御する。その後吸着制御部93は、基板昇降機構32により当該ロットを処理槽31内から上昇させ、基板昇降機構32から基板保持体22に当該ロットを戻すようにロット処理部6を制御する。
ステップS23では、吸着制御部93が、吸着部材WDのロットをロット搬送機構19により乾燥処理装置23に搬送し、乾燥処理装置23により吸着部材WDを乾燥させるようにロット処理部6を制御する。例えば吸着制御部93は、基板保持体22から基板昇降機構28に当該ロットを引き渡し、基板昇降機構28により当該ロットを処理槽27内に下降させるようにロット処理部6を制御する。その後吸着制御部93は、基板昇降機構28により当該ロットを処理槽27内から上昇させ、基板昇降機構28から基板保持体22に当該ロットを戻すようにロット処理部6を制御する。以上で1サイクルの吸着処理手順が完了する。ステップS23の実行により、吸着部材WDが乾燥した状態で次のサイクルに移行させることが可能となる。これにより、第1処理装置30Aの第1処理液の濃度(処理用成分の濃度)の変化を抑制することができる。
なお、ステップS22の後に代えて、ステップS21とステップS22との間においてステップS23を実行してもよい。また、ステップS21とステップS22との間と、ステップS22の後との両方においてステップS23を実行してもよい。更に、ステップS23を省略することも可能である。特に、第1処理装置30A及び第2処理装置30Bのいずれにおいても処理液の濃度(処理用成分の濃度)が自動調節される場合には、ステップS23を省略することの影響が小さい。
2.第2実施形態
(1)基板処理装置
図6に示すように、基板処理装置1Bは、搬入出ステーション102と、処理ステーション103(処理部)とを備える。搬入出ステーション102と処理ステーション103とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション102は、キャリア載置部111と、搬送部112とを備える。キャリア載置部111には、複数枚のウェハWを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部112は、キャリア載置部111に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置113と、受渡部114とを備える。基板搬送装置113は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置113は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部114との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション103は、搬送部112に隣接して設けられる。処理ステーション103は、搬送部115と、複数の処理ユニット116とを備える。複数の処理ユニット116は、搬送部115の両側に並べて設けられる。
搬送部115は、内部に基板搬送装置117を備える。基板搬送装置117は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置117は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部114と処理ユニット116との間でウェハWの搬送を行う。
処理ユニット116は、循環する処理液によってウェハWに処理を施す。処理ユニット116は、処理液の流路に金属含有材料を含んでいてもよい。金属含有材料の具体例としては、石英が挙げられる。石英は、アルミニウムを含有する場合がある。金属含有材料が含有する金属はアルミニウムに限られない。処理液の流路の材料が含み得る金属の他の例としては、鉄及び亜鉛等が挙げられる。
複数の処理ユニット116は、循環する第1処理液によりウェハWに液処理を施す少なくとも一つの第1処理ユニット116A(図7参照)を含んでもよい。第1処理液は、流路から溶出した金属成分をウェハWに付着させ得る処理液である。また、複数の処理ユニット116は、ウェハWに付着した金属成分を除去する第2処理液によりウェハWに液処理を施す少なくとも一つの第2処理ユニット116B(図7参照)を更に含んでもよい。第1処理液の具体例としては、SC−1等のアルカリ性処理液、及びDIW等の中性処理液が挙げられる。第2処理液の具体例としては、SC−2、SPM及びDHF等の酸性処理液が挙げられる。
また、基板処理装置1Bは、制御装置118を備える。制御装置118は、たとえばコンピュータであり、記憶媒体119を備える。記憶媒体119は、基板処理装置1Bにおいて実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置118は、記憶媒体119に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1Bの動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置118の記憶媒体119にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理装置1Bでは、まず、搬入出ステーション102の基板搬送装置113が、キャリア載置部111に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部114に載置する。受渡部114に載置されたウェハWは、処理ステーション103の基板搬送装置117によって受渡部114から取り出されて、処理ユニット116へ搬入される。
処理ユニット116へ搬入されたウェハWは、処理ユニット116によって処理された後、制御装置118によって処理ユニット116から搬出されて、受渡部114に載置される。そして、受渡部114に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置113によってキャリア載置部111のキャリアCへ戻される。
(2)処理ユニット
図7に示すように、上述の処理ユニット116は、回転保持部121と、上側吐出部131と、下側吐出部132と、カップ133と、循環部140と、処理液補充部160と、希釈液補充部170と、金属濃度検出部180とを有する。回転保持部121は、処理対象のウェハWを保持して回転させる。
例えば回転保持部121は、保持部124と、回転駆動部125とを有する。保持部124は、水平に配置されたウェハWを保持する。回転駆動部125は、電動モータ等を動力とし、鉛直な軸線まわりに保持部124を回転させる。これにより、保持部124に保持されたウェハWも回転する。
上側吐出部131は、保持部124に保持されたウェハWに向けて上方から処理液を吐出する。下側吐出部132は、保持部124に保持されたウェハWに向けて下方から処理液を吐出する。カップ133は、上側吐出部131及び下側吐出部132からウェハWに供給された後、ウェハWから振り切られた処理液を回収する容器である。
循環部140は、上側吐出部131及び下側吐出部132から吐出された処理液を上側吐出部131及び下側吐出部132に戻す。例えば循環部140は、液貯留部141と、供給管路142と、循環管路148と、バイパス管路153とを有する。液貯留部141は、処理液を貯留する容器である。
供給管路142は、液貯留部141から上側吐出部131及び下側吐出部132に処理液を導く。供給管路142は、液貯留部141から上側吐出部131及び下側吐出部132側に向かう途中の分岐部142cにおいて、上側管路142a及び下側管路142bに分岐している。上側管路142aは上側吐出部131に接続され、下側管路142bは下側吐出部132に接続されている。
供給管路142は、ポンプ143と、フィルタ144と、ヒータ145と、流量計146と、バルブ147a,147bとを含む。ポンプ143、フィルタ144、ヒータ145及び流量計146は、液貯留部141と分岐部142cとの間に設けられており、液貯留部141側から分岐部142c側に向かってこの順に並んでいる。ポンプ143は、液貯留部141側から分岐部142c側に処理液を圧送する。フィルタ144は、処理液中に混入したパーティクルを除去する。ヒータ145は、処理液を設定温度まで加熱する。流量計146は、供給管路142における処理液の流量を検出する。この検出結果は、例えばポンプ143の制御等に用いられる。バルブ147a,147bは、上側管路142a及び下側管路142bにそれぞれ設けられており、上側管路142a及び下側管路142b内の流路をそれぞれ開閉する。
循環管路148は、カップ133から液貯留部141に処理液を導く。循環管路148は、ポンプ151とバルブ152とを含む。ポンプ151は、カップ133側から液貯留部141側に処理液を圧送する。バルブ152は、循環管路148内の流路を開閉する。バルブ152は、上記バルブ147a,147bの少なくとも一方が開かれる場合には開かれ、バルブ147a,147bの両方が閉じられる場合には閉じられる。これにより、上側吐出部131及び下側吐出部132の少なくとも一方から処理液が吐出される場合には、カップ133により回収された処理液が液貯留部141に戻される。
バイパス管路153は、上側管路142a、下側管路142b及び循環管路148を経ることなく、供給管路142から液貯留部141に処理液を導く。例えばバイパス管路153は、分岐部142cと流量計146との間で供給管路142に接続されている。バイパス管路153はバルブ154を含む。バルブ154は、循環管路148内の流路を開閉する。バルブ154は、バルブ147a,147bの少なくとも一方が開かれる場合には閉じられ、バルブ147a,147bの両方が閉じられる場合には開かれる。これにより、上側吐出部131及び下側吐出部132のいずれからも処理液が吐出されない場合にも、循環部140による処理液の循環は継続される。
処理液補充部160は、必要に応じ処理液を液貯留部141に補充する。処理液補充部160は、処理液の液源161と、バルブ162とを含む。バルブ162は、処理液補充のタイミングに合わせて、液源161から液貯留部141への処理液の流路を開閉する。
希釈液補充部170は、必要に応じ希釈液(例えばDIW)を液貯留部141に補充する。希釈液補充部170は、希釈液の液源171と、バルブ172とを含む。バルブ172は、希釈液補充のタイミングに合わせて、液源171から液貯留部141への希釈液の流路を開閉する。
金属濃度検出部180は、処理液中の金属成分の濃度を検出する。金属濃度検出部180は、サンプリング管路181と、金属濃度分析器182と、バルブ183とを含む。サンプリング管路181は、例えばポンプ143とフィルタ144との間において供給管路142から分岐し、供給管路142を流れる処理液の一部を抜き出す。金属濃度分析器182は、サンプリング管路181により抜き出された処理液中の金属成分の濃度を分析する。金属濃度分析器182の具体例としては、ICP(誘導結合プラズマ)質量分析装置等が挙げられる。金属濃度分析器182は、処理液の取り込みと金属成分の濃度分析とを所定の周期(例えば約5分)で繰り返す。バルブ183は、金属濃度分析器182が処理液を取り込むタイミングに合わせてサンプリング管路181内の流路を開閉する。
処理液補充部160においては、少なくとも循環部140が金属含有材料を含んでいる。例えば、ヒータ145及び流量計146の少なくとも一部が金属含有材料(例えば石英)により構成されている。
(3)制御部
制御装置118は、ウェハWを処理用のエリアに搬入して処理液に晒すように処理ステーション103を制御することと、処理液中の金属成分を吸着する吸着部材WD(図6参照)を上記処理用のエリアに搬入して処理液に晒すように処理ステーション103を制御することと、を実行するように構成されている。処理用のエリアは、例えば複数の処理ユニット116を含む処理ステーション103内の処理エリアA2(図6参照)である。
図8に例示するように、制御装置118は、機能モジュールとして、スケジュール記憶部191と、処理制御部192と、吸着制御部193とを有する。スケジュール記憶部191は、各処理ユニット116にウェハWが搬入されるタイミングを含む処理スケジュールを記憶する。
処理制御部192は、ウェハWを処理エリアA2に搬入して処理液に晒すように処理ステーション103を制御する。例えば処理制御部192は、基板搬送装置117によりウェハWを受渡部114から処理エリアA1内に搬入するように処理ステーション103を制御する。更に処理制御部192は、ウェハWを基板搬送装置117によりいずれかの処理ユニット116に搬送し、処理ユニット116により当該ウェハWに処理液を供給するように処理ステーション103を制御する。例えば処理制御部192は、基板搬送装置117から処理ユニット116の保持部124に当該ウェハWを引き渡し、回転駆動部125により当該ウェハWを回転させながら上側吐出部131及び下側吐出部132から処理液を吐出するように処理ステーション103を制御する。その後処理制御部192は、上側吐出部131及び下側吐出部132からの処理液の吐出と、回転駆動部125によるウェハWの回転とを停止させ、保持部124から基板搬送装置117に当該ウェハWを戻すように処理ステーション103を制御する。更に処理制御部192は、基板搬送装置117により当該ウェハWを処理エリアA2から搬出して受渡部114に戻すように処理ステーション103を制御する。
吸着制御部193は、上記吸着部材WDを処理エリアA2に搬入して処理液に晒すように処理ステーション103を制御する。吸着部材WDは、ウェハWが配置される位置にウェハWと同様に配置することが可能な吸着基板である。吸着部材WDは、基板処理装置1B内に常設されていてもよい。換言すると、基板処理装置1Bは吸着部材WDの収容部(以下、「吸着部材キャリア」という。)を更に備えていてもよい。例えば、吸着部材WDは受渡部114に収容されていてもよい(図1参照)。すなわち、受渡部114が吸着部材キャリアとして用いられていてもよい。また、吸着部材WDを処理液に晒すことが必要になる度に、基板処理装置1B外の吸着部材キャリアをキャリア載置部111に搬送してもよい。
吸着部材WDを処理液に晒す前に、吸着制御部193は、吸着部材キャリアとしての受渡部114から基板搬送装置117により吸着部材WDを取り出して処理エリアA2内に搬入するように処理ステーション103を制御する。吸着制御部193は、基板搬送装置113によりキャリア載置部111の吸着部材キャリアから吸着部材WDを取り出して受渡部114に配置するように処理ステーション103を制御することを更に実行してもよい。
その後、吸着制御部193は、吸着部材WDを基板搬送装置117によりいずれかの上記第1処理ユニット116Aに搬送し、第1処理ユニット116Aにより当該吸着部材WDに第1処理液を供給するように処理ステーション103を制御する。例えば吸着制御部193は、基板搬送装置117から第1処理ユニット116Aの保持部124に当該吸着部材WDを引き渡し、回転駆動部125により当該吸着部材WDを回転させながら上側吐出部131及び下側吐出部132から処理液を吐出するように処理ステーション103を制御する。
その後吸着制御部193は、上側吐出部131及び下側吐出部132からの処理液の吐出と、回転駆動部125による吸着部材WDの回転とを停止させ、保持部124から基板搬送装置117に当該吸着部材WDを戻すように処理ステーション103を制御する。更に吸着制御部193は、基板搬送装置117により当該吸着部材WDを処理エリアA2から搬出して受渡部114に戻すように処理ステーション103を制御する。
吸着制御部193は、上記第1処理ユニット116Aにより吸着部材を第1処理液に晒すように処理ステーション103を制御する吸着制御と、上記第2処理ユニット116Bにより吸着部材を第2処理液に晒すように処理ステーション103を制御する洗浄制御とを繰り返すように構成されていてもよい。吸着制御部193は、吸着制御から洗浄制御までの間、及び洗浄制御から吸着制御までの間の少なくとも一方において、第1処理ユニット116A又は第2処理ユニット116Bにより吸着部材WDの乾燥処理を実行するように処理ステーション103を制御してもよい。乾燥処理に際して、吸着制御部193は、上側吐出部131及び下側吐出部132からの処理液の吐出が停止した状態で回転駆動部125によるウェハWの回転を継続させるように処理ステーション103を制御する。
吸着制御部193は、いずれかの第1処理ユニット116Aにおいて、ウェハWが処理液に晒されていない状態にて所定時間が経過した場合に、吸着部材WDを第1処理ユニット116Aに搬入するように構成されていてもよい。所定時間は、処理液中の金属成分の濃度が許容レベルを超えることが無いように予め設定される。許容レベルは、処理液中におけるウェハWへの金属成分の付着を十分に抑えられるレベルである。吸着制御部193は、処理液中の金属成分の濃度が所定レベルに達した場合に、吸着部材WDを第1処理ユニット116Aに搬入するように処理ステーション103を制御してもよい。所定レベルは、上記許容レベル以下となるように予め設定されている。
制御装置118は、搬入予定検知部194を更に有してもよい。搬入予定検知部194は、第1処理ユニット116AへのウェハWの搬入予定タイミングを、スケジュール記憶部191が記憶する処理スケジュールに基づいて検知する。この場合、吸着制御部193は、次の搬入予定タイミングに基づいて上記吸着制御と洗浄制御との繰り返しを停止してもよい。例えば吸着制御部193は、吸着制御を実行中の第1処理ユニット116Aに対する搬入予定タイミングが近づくのに応じて吸着制御と洗浄制御との繰り返しを停止させる。より具体的に吸着制御部193は、現在時刻から搬入予定タイミングまでの時間が所定のマージン以下となるのに応じて吸着制御と洗浄制御との繰り返しを停止させる。
なお、以上においては、ウェハWに第1処理液を供給するための第1処理ユニット116Aと、ウェハWに第2処理液を供給するための第2処理ユニット116Bとが別に設けられている例を示したがこれに限られない。例えば一つの処理ユニット116が、第1処理液を供給する第1供給部(第1処理部)と、第2処理液を供給する第2供給部(第2処理部)とを有していてもよい。この場合、一つの処理ユニット116に対して上記吸着制御と洗浄制御とを繰り返すことが可能となる。
(4)基板処理手順
続いて、基板処理方法の一例として、基板処理装置1Bが実行する基板処理手順を例示する。この基板処理手順は、ウェハWを処理エリアA2に搬入して処理液に晒すことと、吸着部材WDを処理エリアA2に搬入して処理液に晒すことと、を含む。
図9は、いずれかの第1処理ユニット116Aにおいて基板処理装置1Bが実行する基板処理手順を例示するフローチャートである。図9に示すように、制御装置118は、まずステップS31,S32を実行する。ステップS31では、処理制御部192が、ウェハWを基板搬送装置117により第1処理ユニット116Aに搬送し、第1処理ユニット116Aにより当該ウェハWに処理液を供給するように処理ステーション103を制御する。ステップS32では、現在時刻から次のウェハWの搬入予定タイミングまでの時間が上記マージン以下となっているか否かを処理制御部192が確認する。以下、現在時刻から次のウェハWの搬入予定タイミングまでの時間が上記マージン以下となっていることを、「次の搬入予約がある」という。
ステップS32において、次の搬入予約があると判定した場合、制御装置118は処理をステップS31に戻す。以後、次の搬入予約がないと判定されるまでは、第1処理ユニット116AによりウェハWに処理液を供給させることが繰り返される。ステップS32において、次の搬入予約はないと判定した場合、制御装置118はステップS33を実行する。ステップS33では、第1処理ユニット116AにおいてウェハWが処理液に晒されていない状態にて所定時間が経過したか否かを吸着制御部193が確認する。換言すると、第1処理ユニット116Aにおいて処理液の供給が停止した後の経過時間(以下、「アイドル時間」という。)が上記所定時間に達したか否かを吸着制御部193が確認する。
ステップS33において、アイドル時間が所定時間に達していないと判定した場合、制御装置118は処理をステップS32に戻す。ステップS33において、アイドル時間が所定時間に達したと判定した場合、制御装置118はステップS34,S35,S36を実行する。ステップS34では、吸着制御部193が、受渡部114から基板搬送装置117により吸着部材WDを取り出して処理エリアA2内に搬入するように処理ステーション103を制御する。これに先立って、吸着制御部193は、基板搬送装置113によりキャリア載置部111の吸着部材キャリアから吸着部材WDを取り出して受渡部114に配置するように処理ステーション103を制御することを更に実行してもよい。ステップS35は、第1処理ユニット116Aにより吸着部材WDに処理液を供給させる処理(以下、「吸着処理」という。)を含む。ステップS35は、第2処理ユニット116Bにより吸着部材WDに処理液を供給させる処理(以下、「洗浄処理」という。)を更に含んでもよい。ステップS35において、制御装置118は、上記吸着制御と上記洗浄制御とを繰り返してもよい。すなわち基板処理装置1Bは、ステップS35において上記吸着処理と上記洗浄処理とを繰り返してもよい。ステップS35の具体的処理内容については後述する。ステップS36では、次の搬入予約があるか否かを吸着制御部193が確認する。
ステップS36において、次の搬入予約はないと判定した場合、制御装置118は処理をステップS35に戻す。以後、次の搬入予約があると判定されるまでは、吸着制御及び洗浄制御が繰り返される。ステップS36において、次の搬入予約があると判定した場合、制御装置118はステップS37を実行する。ステップS37では、吸着制御部193が、基板搬送装置117により吸着部材WDを処理エリアA2から搬出して受渡部114に戻すように処理ステーション103を制御する。吸着制御部193は、基板搬送装置113により受渡部114からキャリア載置部111の吸着部材キャリアに吸着部材WDを戻すように処理ステーション103を制御することを更に実行してもよい。その後、制御装置118は処理をステップS31に戻す。以後、必要に応じて上記吸着制御及び洗浄制御を実行しながら、第1処理ユニット116AによりウェハWに処理液を供給させることが繰り返される。
なお、以上においては、アイドル時間が所定時間に達したか否かに基づいて吸着処理の要否を判定する手順を例示したが、吸着処理の要否を判定する手法は必ずしもこれに限られない。例えばステップS33において、吸着制御部193は、処理液中の金属成分の濃度が所定レベルに達したか否かに基づいて吸着処理の要否を判定してもよい。
図10は、ステップS35における吸着処理の手順を例示するフローチャートである。図10に示すように、制御装置118は、ステップS41,S42,S43を順に実行する。ステップS41では、吸着制御部193が、吸着部材WDを基板搬送装置117により第1処理ユニット116Aに搬送し、第1処理ユニット116Aにより当該吸着部材WDに第1処理液を供給するように処理ステーション103を制御する。例えば吸着制御部193は、基板搬送装置117から第1処理ユニット116Aの保持部124に当該吸着部材WDを引き渡し、回転駆動部125により当該吸着部材WDを回転させながら上側吐出部131及び下側吐出部132から処理液を吐出するように処理ステーション103を制御する。その後吸着制御部193は、上側吐出部131及び下側吐出部132からの処理液の吐出と、回転駆動部125による吸着部材WDの回転とを停止させ、保持部124から基板搬送装置117に当該吸着部材WDを戻すように処理ステーション103を制御する。
ステップS42では、吸着制御部193が、吸着部材WDを基板搬送装置117により第2処理ユニット116Bに搬送し、第2処理ユニット116Bにより当該吸着部材WDに第2処理液を供給するように処理ステーション103を制御する。例えば吸着制御部193は、基板搬送装置117から第2処理ユニット116Bの保持部124に当該吸着部材WDを引き渡し、回転駆動部125により当該吸着部材WDを回転させながら上側吐出部131及び下側吐出部132から処理液を吐出するように処理ステーション103を制御する。
ステップS43では、第2処理ユニット116Bにより吸着部材WDの乾燥処理を実行するように処理ステーション103を制御してもよい。乾燥処理に際して、吸着制御部193は、上側吐出部131及び下側吐出部132からの第2処理液の吐出が停止した状態で回転駆動部125によるウェハWの回転を継続させるように処理ステーション103を制御する。その後吸着制御部193は、上側吐出部131及び下側吐出部132からの処理液の吐出と、回転駆動部125による吸着部材WDの回転とを停止させ、保持部124から基板搬送装置117に当該吸着部材WDを戻すように処理ステーション103を制御する。以上で1サイクルの吸着処理手順が完了する。ステップS43の実行により、吸着部材WDが乾燥させた状態で次のサイクルに移行させることが可能となる。これにより、第1処理ユニット116Aの第1処理液の濃度(処理用成分の濃度)の変化を抑制することができる。
なお、ステップS42の後に代えて、ステップS41とステップS42との間においてステップS43を実行してもよい。この場合、乾燥処理は第1処理ユニット116Aにおいて実行されることとなる。また、ステップS41とステップS42との間と、ステップS42の後との両方においてステップS43を実行してもよい。更に、ステップS43を省略することも可能である。特に、第1処理ユニット116A及び第2処理ユニット116Bのいずれにおいても処理液の濃度(処理用成分の濃度)が自動調節される場合には、ステップS43を省略することの影響が小さい。
3.実施形態の効果
以上に説明したように、基板処理装置1Aは、循環する処理液により基板に処理を施すためのロット処理部6であって、処理液の流路に金属含有材料を含むロット処理部6と、ウェハWを処理エリアA1に搬入して処理液に晒すようにロット処理部6を制御する処理制御部92と、処理液中の金属成分を吸着する吸着部材WDを処理エリアA1に搬入して処理液に晒すようにロット処理部6を制御する吸着制御部93と、を備える。
処理液の流路が金属含有材料を含んでいるため、循環時間の経過に応じて処理液中の金属成分(金属含有材料から溶出した金属成分)の濃度が上昇する場合がある。特に、ロット処理部6内にウェハWがない状態においては、金属成分がロット処理部6中に留まり易いので、金属成分の濃度が上昇し易い。これに対し、この基板処理装置1Aによれば、ロット処理部6内にウェハWがないときに、ロット処理部6内に吸着部材WDが搬入され、当該吸着部材WDが処理液に晒された後にロット処理部6内から搬出される。これにより、処理液中の金属成分の一部が吸着部材WDに付着してロット処理部6外に取り出される。このため、循環する処理液中における金属成分の濃度上昇が抑制される。従って、金属含有材料から溶出した金属成分のウェハWへの付着量を抑制するのに有効である。
図11は、第1処理装置30Aにおいて処理液が含有する金属成分量の経時的な推移を例示するグラフである。このグラフの横軸はアイドル時間を示し、縦軸は金属成分量を示している。三角印のプロットP1は、アイドル時間において上記吸着制御及び洗浄制御が行われない場合の金属成分量を示している。四角印のプロットP2は、アイドル時間において上記吸着制御及び洗浄制御が繰り返される場合の金属成分量を示している。プロットP1が示すように、上記吸着制御及び洗浄制御が行われない場合、金属成分量は時間の経過に応じて上昇する。これは、処理液の循環に伴って、処理液の流路から金属成分が溶出するためだと考えられる。これに対し、プロットP2が示すように、上記吸着制御及び洗浄制御を繰り返すことによって、金属成分量の上昇が抑制される。これは、処理液の流路から溶出した金属成分が吸着部材WDによって吸着されて処理液から取り出されるためだと考えられる。この原理に基づけば、仮に吸着制御及び洗浄制御を繰り返さずに、吸着制御のみを行ったとしても、金属成分量の上昇を抑制する効果が得られることは明らかである。
吸着部材WDは、ウェハWが配置される位置にウェハWと同様に配置することが可能な吸着基板であってもよい。この場合、吸着部材WDをウェハWと同様に搬送・配置することができる。処理液による処理対象である基板と同様に吸着部材WDを配置することで、吸着部材WDをしっかりと処理液に晒し、金属成分を効率よく吸着させることができる。従って、循環する処理液中における金属成分の濃度上昇がより確実に抑制される。
ロット処理部6は、循環する第1処理液により基板に処理を施すための第1処理装置30Aと、金属成分を除去する第2処理液により基板に処理を施すための第2処理装置30Bとを有し、吸着制御部93は、第1処理装置30Aにより吸着部材WDを第1処理液に晒すようにロット処理部6を制御する吸着制御と、第2処理装置30Bにより吸着部材WDを第2処理液に晒すようにロット処理部6を制御する洗浄制御とを繰り返してもよい。吸着部材WDに金属成分が蓄積すると、金属成分の吸着性能が低下する。これに対し、吸着制御と洗浄制御とを繰り返すことによって吸着部材WDによる金属成分の吸着性能が高く維持される。従って、循環する処理液中における金属成分の濃度上昇がより確実に抑制される。
基板処理装置1Aは、処理エリアA1へのウェハWの搬入予定タイミングを、予め設定されたウェハWの処理スケジュールに基づいて検知する搬入予定検知部94を更に備え、吸着制御部93は、次の搬入予定タイミングに基づいて吸着制御と洗浄制御との繰り返しを停止してもよい。この場合、次の搬入予定タイミングの近くまで吸着制御と洗浄制御とを繰り返すことができる。これにより、循環する処理液中における金属成分の濃度上昇がより確実に抑制される。
吸着制御部93は、ウェハWが処理液に晒されていない状態にて所定時間が経過した場合に、吸着部材WDを処理用のエリアに搬入するようにロット処理部6を制御してもよい。この場合、所定時間が経過するまでは吸着部材WDの搬入を行わないことで、金属成分の濃度上昇の抑制と、キャリア搬入出部2の負荷抑制との両立を図ることができる。また、経過時間に基づくことにより、簡素な構成で吸着部材WDの搬入タイミングを決定することができる。
吸着制御部93は、処理液中の金属成分の濃度が所定レベルに達した場合に、吸着部材WDを処理エリアA1に搬入するようにロット処理部6を制御してもよい。この場合、金属成分の濃度が経過するまでは吸着部材WDの搬入を行わないことで、金属成分の濃度上昇の抑制と、キャリア搬入出部2の負荷抑制との両立を図ることができる。また、金属成分の濃度に基づくことで、より適切なタイミングで吸着部材WDの搬入を開始することができる。
ロット処理部6は、処理液中にウェハWを浸すための処理槽31と、処理槽31から排出された処理液を処理槽31に戻す循環部50とを有していてもよい。処理ステーション103は、ウェハWを保持する保持部124と、保持部124に保持されたウェハWに向けて処理液を吐出する上側吐出部131及び下側吐出部132と、上側吐出部131及び下側吐出部132から吐出された処理液を上側吐出部131及び下側吐出部132に戻す循環部140とを有していてもよい。少なくとも循環部140が金属含有材料を含んでいてもよい。金属含有材料は石英であってもよい。
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。