以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における非接触給電システム100の概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態の非接触給電システム100は、誘導加熱調理器1と、誘導加熱調理器1の天板11上に配置される受電装置2とからなる。非接触給電システム100では、誘導加熱調理器1から受電装置2に対し、非接触給電が行われる。なお、本願において「非接触給電」とは、磁束または磁界を利用して電力線を用いずに給電することをいう。
(誘導加熱調理器の構成)
まず、誘導加熱調理器1の構成について、図1および図2を参照して説明する。図2は、実施の形態1における誘導加熱調理器1の概略構成図である。図2では、説明のため誘導加熱調理器1を一部分解し、斜視図で示している。本実施の形態の誘導加熱調理器1は、家庭用IH(Induction Heating)式調理器である。図1および図2に示すように、誘導加熱調理器1は、被加熱物3が載置される天板11と、被加熱物3を加熱する加熱コイル12と、加熱コイル12に出力する電流を制御するインバータ13と、インバータ13の動作を制御する送電側制御部14とを備える。
天板11は、例えば、耐熱性のガラス板と、ガラス板の周囲に取り付けられた金属の枠体とにより構成される。天板11には、加熱領域である加熱口111が印刷などにより設けられている。図2に示すように、本実施の形態では3つの加熱口111が設けられている。天板11の加熱口111には、被加熱物3または受電装置2が載置される。
また、天板11の手前側には、操作表示部112が設けられている。本実施の形態の操作表示部112は、例えば複数のLEDを有する表示画面と、静電容量式のタッチセンサとを備え、各加熱口111に対応した加熱コイル12の火力、温度、および調理モードなどの使用者の操作入力を受け付ける。
加熱コイル12は、導線を平面状に巻線したコイルであり、20k〜100kHzの高周波の電流を流すことにより、被加熱物3の底面にうず電流を発生させ、被加熱物3を加熱させる。また、加熱コイル12は、送電コイルとして、受電装置2に内蔵される受電コイル21に非接触で受電し、高周波電流を出力させる。本実施の形態では、3つの加熱コイル12が、3つの加熱口111の下にそれぞれ配置される。
インバータ13は、50Hzまたは60Hzといった周波数の商用電源200から供給される電流を、20k〜100kHzの高周波電流に変換し、加熱コイル12に出力する駆動回路である。インバータ13の回路方式として、フルブリッジまたはハーフブリッジを形成する他、インバータ回路の前段に昇圧回路を接続したものを用いてもよい。
送電側制御部14は、操作表示部112に入力された設定内容などに基づいて、インバータ13を含め、誘導加熱調理器1全体の動作を制御する。送電側制御部14は、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、プロセッサまたはマイクロコンピュータなどで構成される。
また、誘導加熱調理器1は、商用電源200からの商用周波数電流を検出する第1電流検出手段15、およびインバータ13から出力される高周波電流を検出する第2電流検出手段16を備える。第1電流検出手段15および第2電流検出手段16の検出結果は、送電側制御部14に送信される。送電側制御部14は、第1電流検出手段15および第2電流検出手段16の検出結果に基づいて、天板11上の負荷種類の判別およびインバータ13の制御などを行う。
(受電装置の構成)
次に、本実施の形態における受電装置2の構成について説明する。受電装置2は、非接触受電装置である。図1に示すように、受電装置2は、筐体20と、筐体20内に配置される受電コイル21と、筐体20内に配置される電気回路部22と、筐体20に対し着脱可能に配置される負荷プレート23と、からなる。受電装置2の負荷プレート23の上には、被調理物4が載置される。
受電コイル21は、例えば、加熱コイル12と同じ構成を有している。誘導加熱調理器1の標準的な加熱コイル12の径がφ180mmの場合、受電装置2の受電コイル21の径も略φ180mmで構成される。なお、これに限定されるものではなく、受電コイル21の径を加熱コイル12の径よりも小さくしてもよい。受電コイル21は、筐体20の底面近傍に配置され、加熱コイル12から高周波電力を受電して、加熱コイル12の電流と同等周波数の高周波電流を電気回路部22に出力する。
図3は、実施の形態1の受電装置2における電気回路部22の概略構成図である。電気回路部22は、受電コイル21から出力された高周波電流を変換し、負荷プレート23に電源を供給する。図3に示すように、電気回路部22は、第1変換部22A、第2変換部22Bおよび第3変換部22Cを備える。
第1変換部22Aは、受電コイル21から出力される高周波電流(電圧)を直流電流に変換して出力する。第1変換部22Aは、高周波電流を直流電流に変換するための直流平滑回路221Aと、変換した直流電流を出力するための第1電極225Aとを有する。
第2変換部22Bは、受電コイル21から出力される高周波電流(電圧)を直流電流に変換し、変換した直流電流をさらに20k〜100kHzの高周波電流に変換して出力する。第2変換部22Bは、高周波電流を直流電流に変換するための直流平滑回路221Bと、直流電流から高周波電流を生成するための高周波交流生成回路222と、変換した高周波電流を出力するための第2電極225Bとを有する。
第3変換部22Cは、受電コイル21から出力される高周波電流(電圧)を直流電流に変換し、変換した直流電流をさらに50Hzまたは60Hzの低周波電流に変換して出力する。第3変換部22Cは、高周波電流を直流電流に変換するための直流平滑回路221Cと、直流電流から低周波電流を生成するための低周波交流生成回路223と、変換した低周波電流を出力するための第3電極225Cとを有する。
第1電極225A、第2電極225Bおよび第3電極225Cは、一列に並んで配置され、電気回路部22の上面から突出して形成される。
図4は、実施の形態1における負荷プレート23の上面図であり、図5は、実施の形態1における負荷プレート23の底面図である。また、図6は、実施の形態1における負荷プレート23を図4のA−A線で切断した断面模式図である。図4〜図6に示すように、負荷プレート23は、ベース231と、ベース231上に配置され、電気回路部22からの給電により駆動する負荷232と、ベース231の外周に形成されるフレーム233と、フレーム233に支持される天板234と、を備える。負荷プレート23は、平面視で矩形形状を有し、高さは例えば30mm〜40mmである。
ベース231は、矩形の平板形状を有し、例えばABS樹脂などのプラスチックで構成される。フレーム233は、例えば金属などで構成される枠体であり、天板234を負荷232の上方に支持する。天板234は、ベース231よりも大きい矩形形状を有する耐熱性のガラス板と、ガラス板の周囲に取り付けられた金属の枠体とにより構成される。天板234上に負荷232の被調理物4が載置される。天板234の上面には、被調理物4の載置場所を示す表示を設けてもよい。
図5に示すように、ベース231の底面には、電気回路部22の第1電極225A、第2電極225Bおよび第3電極225Cがそれぞれ導入される第1導入口235A、第2導入口235Bおよび第3導入口235Cが設けられる。第1導入口235A、第2導入口235Bおよび第3導入口235Cは、ベース231の一辺に沿って一列に配置される。また、第1導入口235A、第2導入口235Bまたは第3導入口235Cの何れか1つには、対応する電極と電気的に接続されるよう電極236が設けられ、その他の導入口は絶縁構成とされる。図5の例では、第2導入口235Bに電極236が設けられ、第2電極225Bが導入されることで、電気的に接続される。その他の第1導入口235Aおよび第3導入口235Cは絶縁構成とされ、第1電極225Aまたは第3電極225Cが導入された場合も絶縁される。
何れの導入口に電極236を設けるかは、負荷232の種類に応じて決められる。具体的には、負荷232が直流電流により駆動されるものである場合には、第1導入口235Aに電極236が設けられ、その他の導入口は絶縁構成とされる。また、負荷232が高周波電流により駆動されるものである場合には、第2導入口235Bに電極236が設けられ、その他の導入口は絶縁構成とされる。また、負荷232が低周波電流により駆動されるものである場合には、第3導入口235Cに電極236が設けられ、その他の導入口は絶縁構成とされる。
何れかの導入口に設けられる電極236は、図示しない配線等により負荷232に接続され、負荷232に電源が供給される。図7は、実施の形態1における負荷232の例を示す図である。負荷232は、電気回路部22から供給される電力によって駆動し、様々な機能を提供する。
図7(a)に示すように、負荷232は、ペルチェ素子であってもよい。この場合は、第1導入口235Aに電極236が設けられ、負荷232は第1電極225Aと電気的に接続される。これにより、第1変換部22Aから出力される直流電流がペルチェ素子に供給され、吸排熱動作が開始される。負荷232をペルチェ素子とすることで、負荷プレート23上に載置された被調理物4を冷却することができる。
また、図7(b)に示すように、負荷232は、独立して高周波電流が供給される複数の加熱コイルを有する分割コイルであってもよい。図7(b)の分割コイルは内コイル232aと外コイル232bで構成される。この場合は、第2導入口235Bに電極236が設けられ、負荷232は第2電極225Bと電気的に接続される。これにより、第2変換部22Bから出力される高周波電流が分割コイルに供給され、誘導加熱動作が開始される。ここで、第2変換部22Bから内コイル232aのみに通電、または外コイル232bのみに通電するよう構成することで、天板234に配置された被調理物4(例えば鍋の中の食材など)に対流を発生させることができる。または、外コイル232bの火力を強くすることで外火力強化を図ることもできる。
また、図7(c)に示すように、負荷232は、誘導加熱調理器1の加熱コイル12の径よりも大きい径を有する加熱コイル(以下、「大口径コイル」という)であってもよい。大口径コイルの径は、例えばφ240mmである。この場合は、第2導入口235Bに電極236が設けられ、負荷232は第2電極225Bと電気的に接続される。これにより、第2変換部22Bから出力される高周波電流が大口径コイルに供給され、誘導加熱動作が開始される。負荷232を大口径コイルとすることで、誘導加熱調理器1では対応できない大口径鍋などを加熱することができる。
また、図7(d)に示すように、負荷232は、AC100Vコンセントであってもよい。この場合は、第3導入口235Cに電極236が設けられ、負荷232は第3電極225Cと電気的に接続される。これにより、第3変換部22Cから出力される低周波電流がコンセントに供給される。負荷232をAC100Vコンセントとすることで、様々な機器に電源を供給することができる。なお、負荷232をAC100Vコンセントとする場合は、フレーム233および天板234を備えない構成、またはこれらを取り外し可能な構成とする。
また、図7(e)に示すように、負荷232は、ラジエントヒータであってもよい。この場合は、第3導入口235Cに電極236が設けられ、負荷232は第3電極225Cと電気的に接続される。これにより、第3変換部22Cから出力される低周波電流がラジエントヒータに供給され、加熱動作が開始される。負荷232をラジエントヒータとすることで、天板234上の被調理物4を加熱することができる。
さらに、図7(f)に示すように、負荷232は、回転攪拌機であってもよい。この場合は、第1導入口235Aに電極236が設けられ、負荷232は第1電極225Aと電気的に接続される。これにより、第1変換部22Aから出力される直流電流が回転撹拌機の回転モータに供給され、回転動作が開始される。負荷232を回転撹拌機とすることで、例えばブレンダーなどのように、容器の内容物を撹拌させることができる。なお、負荷232を回転撹拌機とする場合は、負荷232を磁性材料で構成し、非磁性材料で構成される被調理物4の容器の内側に負荷232を収めて回転させる構成とする。また、負荷プレート23にフレーム233および天板234を備えない構成、またはこれらを取り外し可能な構成とする。
図8は、実施の形態1における負荷プレート23の装着を説明する図である。負荷プレート23は、受電装置2の筐体20に対して、着脱可能に装着される構成となっている。詳しくは、図8に示すように、受電装置2の筐体20は、上部が開口した箱形状を有している。そして、負荷プレート23は、筐体20の上方から開口に嵌めこまれる。このとき、電気回路部22の上面から突出する第1電極225A、第2電極225Bおよび第3電極225Cが負荷プレート23の底面に設けられた第1導入口235A、第2導入口235Bおよび第3導入口235Cに導入される。これにより、電気回路部22と負荷プレート23とが電気的に接続される。また、図8に示すように、負荷プレート23の天板234は、筐体20の開口よりも大きい形状を有している。これにより、天板234上での吹きこぼれなどが、筐体20内に侵入することを抑制するとともに、負荷プレート23の着脱を容易にしている。なお、筐体20の開口に、パッキン等を設ける構成としてもよい。
(非接触給電システムの動作)
次に、非接触給電システム100の動作について説明する。図9は、実施の形態1における非接触給電システム100の動作を示すフローチャートである。図9のフローチャートは、誘導加熱調理器1の送電側制御部14によって実施される。まず、非接触給電システム100の動作を開始する前に、使用者により被加熱物3または受電装置2が誘導加熱調理器1の天板11に配置される。そして、使用者により、操作表示部112が操作され、電源スイッチが入れられることにより、誘導加熱調理器1の動作が開始される。
誘導加熱調理器1の動作が開始されると、まず、送電側制御部14によって、誘導加熱調理器1の天板11上に載置された負荷の種類が判別される(S1)。ここでは、天板11上に載置された負荷が被加熱物3(鍋またはフライパン等)であるか、受電装置2であるかが判別される。具体的には、送電側制御部14は、動作周波数掃引時において、第1電流検出手段15により検出された商用周波数電流と、第2電流検出手段16により検出された高周波電流から抵抗値を換算し、換算した抵抗値特性から負荷判別を行う。
図10は、被加熱物3と受電装置2との抵抗値特性の例を示すグラフである。図10の実線は受電装置2を示す代表特性であり、破線は被加熱物3を示す代表特性である。図10に示すように、受電装置2と被加熱物3とでは抵抗値特性が異なり、この差異を利用して負荷を判別することができる。すなわち、換算した抵抗値が、ピークを有する特性である場合は、受電装置2が天板11に載置されていると判別される。なお、送電側制御部14は、第1電流検出手段15により検出された商用周波数電流値と、第2電流検出手段16により検出された高周波電流値との2軸マッピングを用いて負荷判別を行ってもよい。
図9に戻って、負荷判別の結果、天板11上に載置された負荷が受電装置2であると判別されると(S2:YES)、送電側制御部14によって、加熱コイル12が非接触給電コイルとして機能するようインバータ13が制御される(S3)。この場合は、加熱コイル12から最大電力(1500W)が受電装置2に送電される。
受電装置2の受電コイル21は、加熱コイル12の送電により高周波電流を発生し、電気回路部22に出力する。電気回路部22では、負荷プレート23と導通している第1変換部22A、第2変換部22Bまたは第3変換部22Cの何れかにて、直流電流、高周波電流または低周波電流への変換が行われ、負荷プレート23に出力される。これにより、負荷プレート23の負荷232が駆動され、天板234上の被調理物4の加熱または冷却などが行われる。なお、受電装置2の動作の開始および停止は、受電装置2に設けられたスイッチ(図示せず)が操作されることにより行われる。
一方、天板11上に載置された負荷が受電装置2ではなく、被加熱物3であると判別されると(S2:NO)、送電側制御部14によって、加熱コイル12による加熱動作が行われるよう、インバータ13が制御される(S4)。なお上記の負荷判別および加熱コイル12の制御は、加熱コイル12毎に行われるものであり、誘導加熱調理器1において、受電装置2への非接触給電と、被加熱物3の加熱の両方を行うことができる。
以上のように、本実施の形態では、負荷プレート23を着脱可能としたことにより、受電装置2の筐体20を移動させることなく、負荷プレート23を交換するだけで、複数の拡張機能を容易に実施することができる。例えば、対流用の分割コイルを備える負荷プレート23(図7(b))を用いて煮込み調理を実施した後、冷却用のペルチェ素子を備える負荷プレート23(図7(a))に取り換えて調理物を急速冷却させることができる。または、回転撹拌用の負荷プレート23(図7(f))で内容物を撹拌したのち、外火力強化の負荷プレート23(図7(b))に取り替えて、外コイル232bの火力を強くして、フライパンにて加熱調理を開始することもできる。
このように、負荷プレート23を取り替えるだけで、使用者は様々な調理シーケンスを実行することができる。また、負荷プレート23は、受電コイル21および電気回路部22を備えていないため、薄型とすることができる。これにより、取り替え動作が容易であるとともに、収納も容易となり、使い勝手がさらに向上する。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、受電装置2が誘導加熱調理器1から調理情報を受信する点において、実施の形態1と相違する。図11は、実施の形態2における非接触給電システム100Aの概略構成図である。
図11に示すように、誘導加熱調理器1Aは、実施の形態1と同じ構成に加え、受電装置2Aと無線通信を行うための無線通信部17を備える。無線通信部17における無線通信としては、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線、または可視光による通信が用いられる。無線通信部17は、送電側制御部14からの指令に基づき、調理情報を受電装置2Aへ送信する。
また、受電装置2Aは、実施の形態1と同じ構成に加え、誘導加熱調理器1Aと無線通信を行うための無線通信部24と、無線通信部24が受信した情報を表示するための表示部25と、表示部25を制御する受電側制御部26とを備える。無線通信部24における無線通信としては、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線、または可視光による通信が用いられる。無線通信部24は、受信した情報を受電側制御部26へ送信する。表示部25は、例えば液晶ディスプレなどである。受電側制御部26は、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、プロセッサまたはマイクロコンピュータなどで構成される。
次に、非接触給電システム100Aの動作について説明する。図12は、実施の形態2における非接触給電システム100Aの動作を示すフローチャートである。図12では、誘導加熱調理器1Aの送電側制御部14によって実行されるフローと、受電装置2Aの受電側制御部26によって実行されるフローとをまとめて記載している。まず、非接触給電システム100Aの動作を開始する前に、使用者により被加熱物3または受電装置2Aが誘導加熱調理器1Aの天板11に配置される。そして、使用者により、操作表示部112が操作され、電源スイッチが入れられることにより、誘導加熱調理器1Aの動作が開始される。また、受電装置2Aの動作は、受電装置2に設けられたスイッチ(図示せず)が操作されることにより開始される。
誘導加熱調理器1Aの動作が開始されると、まず、送電側制御部14によって、誘導加熱調理器1Aの天板11上に載置された負荷の種類が判別される(S11)。負荷判別の方法は、実施の形態1と同様である。そして、負荷判別の結果、天板11上に載置された負荷が受電装置2Aであると判別されると(S12:YES)、無線通信部17から受電装置2Aに調理情報が送信される(S13)。
調理情報とは、受電装置2Aを用いた調理に関する情報であり、例えば「対流」、「冷却」、「撹拌」、「外火力強化」などの単一の調理情報、または「対流→冷却」または「撹拌→外火力強化」といった調理シーケンスである。調理情報は、使用者によって、誘導加熱調理器1の操作表示部112が操作されることにより入力される。以下の説明では、調理情報が「対流→冷却」の調理シーケンスである場合を例に説明する。なお、調理情報が調理シーケンスの場合も、ステップS13では、現在実施すべき単一の調理情報(例えば「対流」)が受電装置2Aに送信される。
そして、加熱コイル12が非接触給電コイルとして機能するよう、インバータ13が制御される(S14)。その後、送電側制御部14によって「対流」のための非接触給電が終了したと判断されると、次の調理があるか否かが判断される(S15)。なお、「対流」のための非接触給電が終了したか否かは、時間の経過、または総電力量などに基づき自動的に判断される。そして、次の調理がない場合は(S15:NO)本処理を終了し、次の調理がある場合は(S15:YES)、次の調理(例えば「冷却」)の調理情報が受電装置2に送信される(S13)。すなわち、誘導加熱調理器1Aでは、調理シーケンスが終了するまで、ステップS13〜S15の処理が繰り返され、調理情報が受電装置2Aに送信される。
一方、天板11上に載置された負荷が受電装置2ではなく、被加熱物3であると判別されると(S12:NO)、送電側制御部14によって、加熱コイル12による加熱動作が行われるよう、インバータ13が制御される(S16)。
また、受電装置2では、無線通信部24によって、誘導加熱調理器1から送信された調理情報が受信される(S21:YES)と、表示部25に受信した調理情報に対応する負荷プレート23の使用を促すための表示が行われる(S22)。例えば、誘導加熱調理器1Aから「対流」の調理情報を受信した場合、表示部25に対流用の負荷プレート23(図7(b))の負荷プレート番号(例えば「No.1」)を表示する。これにより、使用者は、「No.1」の負荷プレート23を受電装置2Aに装着し、被調理物4を天板234に載せて対流動作を開始させることができる。
その後、ステップS21に戻り、新たな調理情報を受信した場合は(S21:YES)、表示部25に、新たな調理情報に対応する負荷プレート23の使用を促すための表示が行われる(S22)。例えば、新たな調理情報「冷却」用の負荷プレート23(図7(a))の負荷プレート番号(例えば「No.2」)が表示部25に表示される。これにより、使用者は、「No.2」の負荷プレート23を受電装置2Aに装着し、被調理物4を天板234に載せて冷却動作を開始させることができる。
また、別の例として「撹拌→外火力強化」の調理シーケンス(ハンバーグ等の焼き物調理を想定)が調理情報として選択されると、誘導加熱調理器1Aは、受電装置2Aに、撹拌用の負荷プレート23の使用を促すための表示を行わせる。具体的には、攪拌用の負荷プレート番号として、例えば「No.3」と表示する。そして、使用者はNo.3の撹拌用の負荷プレート23を受電装置2Aに装着し、攪拌動作を開始する。次に、攪拌動作が終了すると、誘導加熱調理器1Aから受電装置2Aに対して、次なるシーケンスである外火力強化用の負荷プレート23の使用を促すための表示を行わせる。具体的には、外火力強化用の負荷プレート番号として、例えば「No.4」と表示する。使用者はNo.4である外火力強化用の負荷プレート23を受電装置2Aにセットして、外火力強化動作を開始する。
以上のように、本実施の形態によれば、受電装置2Aの表示部25に、調理情報に応じた負荷プレート23の使用を促す表示を行うことで、使用者が必要な負荷プレート23を把握し、受電装置2Aに装着することができる。これにより、誤った負荷プレート23を装着して動作させるなどの調理の失敗を防ぐことができ、使い勝手をさらに向上させることができる。
なお、上記実施の形態では、調理シーケンスにおける1つの調理の終了を誘導加熱調理器1Aの送電側制御部14によって自動で判断する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、誘導加熱調理器1Aにスイッチを備え、スイッチがオフとされた場合に調理が終了したと判断してもよい。この場合は、例えば、使用者が「対流」が終了したと判断した場合、スイッチをオフにする。送電側制御部14は、スイッチがオフとなったことを検知し、対流シーケンス完了と判断する。そして、次なるシーケンス「冷却」の調理情報を受電装置2Aに送信する。また、受電装置2Aにスイッチを備え、スイッチがオフとされた場合に受電装置2Aから誘導加熱調理器1Aに信号を送信してもよい。または、負荷プレート23に被調理物4の温度を検出する温度センサを備え、被調理物4の温度に応じて調理の終了を判断してもよい。
さらに別の変形例として、受電装置2Aに操作部を備え、受電装置2Aに調理情報が入力される構成としてもよい。この場合は、誘導加熱調理器1Aから調理情報を受信する必要がなく、受電装置2Aにて、調理情報に基づいて装着すべき負荷プレート23を表示することができる。また、受電装置2Aは、誘導加熱調理器1A以外の外部装置(例えば携帯端末装置など)から調理情報を受信する構成としてもよい。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、誘導加熱調理器1が受電装置2から負荷プレート23に関する情報を受信し、非接触給電の出力制御を行う点において、実施の形態2と相違する。実施の形態3における非接触給電システム100Aの概略構成は、実施の形態2と同じである。
図13は、実施の形態3における非接触給電システム100Aの動作を示すフローチャートである。図13では、誘導加熱調理器1Aの送電側制御部14によって実行されるフローと、受電装置2Aの受電側制御部26によって実行されるフローとをまとめて記載している。まず、非接触給電システム100Aの動作を開始する前に、使用者により被加熱物3または受電装置2Aが誘導加熱調理器1Aの天板11に配置される。そして、使用者により、操作表示部112が操作され、電源スイッチが入れられることにより、誘導加熱調理器1Aの動作が開始される。また、受電装置2Aの動作は、受電装置2に設けられたスイッチ(図示せず)が操作されることにより開始される。
受電装置2Aの動作が開始されると、受電側制御部26により、筐体20に装着されている負荷プレート23の種類が判別される(S201)。負荷プレート23の種類は、第1電極225A、第2電極225Bまたは第3電極225Cの何れが負荷プレート23と導通しているかによって判別される。本実施の形態の場合、負荷プレート23の種類は、下記の何れかである。
(1)直流負荷(第1電極225Aが導通)
(2)高周波交流負荷(第2電極225Bが導通)
(3)低周波交流負荷(第3電極225Cが導通)
そして、負荷プレート23の種類を示す負荷プレート情報が無線通信部24から誘導加熱調理器1Aへ送信される(S202)。
誘導加熱調理器1Aでは、実施の形態1と同様に、負荷判別が行われる(S101)。天板11上に載置された負荷が被加熱物3であると判別されると(S102:NO)、送電側制御部14によって、加熱コイル12による加熱動作が行われるよう、インバータ13が制御される(S105)。一方、天板11上に載置された負荷が受電装置2Aであると判別されると(S102:YES)、無線通信部17にて、受電装置2Aからの負荷プレート情報が受信される(S103)。そして、送電側制御部14は、受信した負荷プレート情報に基づき、非接触給電制御を行う(S104)。
例えば、負荷プレート23が(1)直流負荷である場合は、定電圧制御をする必要がある。そこで、送電側制御部14は、加熱コイル12からの出力が一定値となるようにインバータ13を制御する。例えば、負荷プレート23が攪拌用の負荷プレート23(図7(f))の場合、モータ電源は定電圧の必要があるため、誘導加熱調理器1Aからの送電が一定値(例えば非接触給電の法規制上限になると予想される1500W)となるように制御されるとよい。送電側制御部14は、第1電流検出手段15を用いて、出力の一定値制御を行う。
また、負荷プレート23が(2)高周波交流負荷である場合は、電力制御を行う必要がある。誘導加熱調理器1Aはデフォルトで電力制御方式となっているため、負荷プレート23が高周波交流負荷である場合は、送電側制御部14は、デフォルト動作制御(例えば100W〜1500W)となるようインバータ13を制御する。また、負荷プレート23が(3)低周波交流負荷である場合は、電気回路部22での変換で十分であるため、特別な制御は不要となる。
以上のように、本実施の形態では、負荷プレート23の電気特性に応じた制御を誘導加熱調理器1A側で行うこととしたため、過大または過小な送電を抑制することができる。これにより、消費電力の削減になるとともに、受電装置2Aにおける電気回路部22の負荷を軽減することができる。
なお、本実施の形態の変形例として、受電装置2Aに操作部を備え、受電装置2Aに負荷プレートの種類が入力される構成としてもよい。この場合は、上記の3種類に限定されるものではなく、誘導加熱調理器1Aにおいて負荷プレート23に応じたより詳細な非接触給電を行うことができる。
以上が本発明の実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、上記の実施の形態および変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。例えば、実施の形態2と実施の形態3を組み合わせて、誘導加熱調理器1Aから受電装置2Aへの調理情報の送信および負荷プレート番号の表示と、受電装置2Aから誘導加熱調理器1Aへの負荷プレート情報の送信および送電制御と、の両方を行ってもよい。
また、負荷プレート23の種類は、上記実施の形態に限定されるものではく、その他の様々な機能を有する負荷プレートを使用することができる。例えば、負荷プレート23の負荷232として、誘導加熱調理器1の加熱コイル12と同じ加熱コイルを備えてもよい。また、上記実施の形態では、電気回路部22にて3種類の変換部を備える構成としたが、これに限定されるものではなく、少なくとも何れか一つを備えればよい。または、負荷プレート23の種類に応じて、4種類以上の変換部を備えてもよい。
さらに、上記実施の形態では、電気回路部22を受電装置2の筐体20内に配置する構成としたが、これに限定されるものではなく、負荷プレート23に電気回路部22を配置してもよい。図14は、変形例1における負荷プレート23Aの構成を示す図である。図14に示すように、負荷プレート23Aに負荷232と、負荷232に対応する変換部とを備える構成としてもよい。図14の場合は、負荷232がAC100Vコンセントであり、第3変換部22Cが負荷プレート23Aに設けられる。この場合は、負荷プレート23Aの底面に、第3変換部22Cの第3電極225Cを配置し、受電コイル21に設けられた出力電極と接続させる構成とすればよい。このように、負荷プレート23に負荷232に対応する電気回路を設けることで、筐体20内の構成を簡素化することができ、製造が容易となる。
また、上記実施の形態では、負荷プレート23に天板234を設け、負荷プレート23を筐体20の上方から装着する構成としたが、これに限定されるものではない。図15は、変形例2における受電装置2Bの概略構成図である。図15に示すように、受電装置2Bの筐体20Bの上面に天板27を設け、筐体20Bの正面に、負荷プレート23を挿入するための投入口28を設けてもよい。この場合、負荷プレート23は、投入口28から挿入され、筐体20B内をスライドして装着される。このとき、実施の形態1と同様に、負荷プレート23の底面における導入口に電気回路部22の電極が導入され、負荷プレート23と電気回路部22とが電気的に接続される。なお、天板27は、取り外し可能な構成とし、負荷232がAC100Vコンセントまたは回転攪拌機の場合には、取り外して使用できるようにするとよい。また、負荷プレート23のフレーム233および天板234は省略される。その替りに、負荷232の上方に取り外し可能なカバーを設けてもよい。
また、筐体20Bは、装着された負荷プレート23を取り出すための機構をさらに備える。取り出すための機構としては、例えば取り出しボタンを設けること、または負荷プレート23のプッシュ式などがある。このような構成とすることで、受電装置2Bの天板27上に被調理物4を載置したまま負荷プレート23を交換することができ、使い勝手がさらに向上する。