JP2020113376A - 全固体電池用正極材料、全固体電池、および全固体電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

全固体電池用正極材料、全固体電池、および全固体電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子表面に被膜層が形成されたピロリン酸系正極活物質からなる高純度の全固体電池用正極材料を提供する。【解決手段】バルク型全固体電池の正極に用いられる粉体状の正極材料1aであって、正極活物質2と、当該正極活物質の粒子表面に被膜層を形成する被膜材料3とが含まれ、前記正極活物質は、化学式Li2Co(1−x)MxP(2−y)AyO7で表される化合物であり、前記化学式中の前記Mとして、少なくともTi、V、Cr、Ni、Feのいずれか1種類の金属を含むとともに、前記Aとして、少なくともB、C、Al、Si、Ga、Geのいずれか1種類の元素を含み、前記化学式中のxが、0≦x<1であり、前記化学式中のyが、0≦y≦0.07であり、前記被膜材料は、Li4P2O7である。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池用正極材料、全固体電池、および全固体電池用正極活物質の製造方法に関する。
リチウム二次電池は、各種二次電池の中でもエネルギー密度が高いことで知られている。しかし一般に普及しているリチウム二次電池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いている。そのため、リチウム二次電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められている。そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料であり、従来のリチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的に発生しない。
全固体電池には、バルク型と呼ばれるものがよく知られている。バルク型の全固体電池は、層状の正極(正極層)と層状の負極(負極層)との間に層状の固体電解質(電解質層)が狭持されてなる一体的な焼結体(以下、積層電極体と言うことがある)に集電体を形成した構造を有している。
上記積層電極体は、例えば、周知のグリーンシート法を用いて作製することができる。グリーンシート法を用いた積層電極体の作製方法の一例を示すと、まず、正極活物質と固体電解質を含むスラリー状の正極層材料、負極活物質と固体電解質を含むスラリー状の負極層材料、および固体電解質を含むスラリー状の電解質層材料をそれぞれシート状のグリーンシートに成形し、電解質層材料からなるグリーンシート(以下、電解質層シートと言うことがある)を正極層材料からなるグリーンシート(以下、正極層シートと言うことがある)と負極層材料からなるグリーンシート(以下、負極層シートと言うことがある)とで挟持して得た積層体を圧着し、その圧着後の積層体を焼成する。それによって焼結体である積層電極体が完成する。なお、全固体電池の基本的な製造方法は、例えば、以下の特許文献1に記載されている。
正極活物質には、LiCoO、LiMnなど、従来のリチウム二次電池に使用されていた材料を使用することができる。また、全固体電池では可燃性の電解液を用いないことから、より高い電位差が得られ、エネルギー密度が高い正極活物質についても研究されている。例えば、特許文献2には、第1原理計算に基づくシミュレーションにより、エネルギー密度が極めて高い化学式LiFe(1−x)で表される正極活物質について記載されている。特許文献3にも、エネルギー密度が極めて高い、化学式LiMP(2−x)xで表されるリチウム二次電池用正極活物質について記載されている。なお、負極活物質としては、酸化チタン(TiO)などがある。
固体電解質としては、特許文献4に記載されている硫化物系のものがあるが、一般式Liで表されるNASICON型酸化物系の固体電解質もある。当該NASICON型酸化物系の固体電解質としては、0<x≦1として、一般式Li1+xAlGe2−x(POで表される化合物(以下、LAGPと言うことがある)がよく知られている。なお、LAGPについては、以下の非特許文献1に記載されている。また、、以下の特許文献4には、本発明に関連して、正極活物質の表面に被膜層を形成することでサイクル特性を向上させる旨が記載されている。また、以下の非特許文献2には、リチウム二次電池用の正極活物質の表面改質技術について記載されている。
特開2009−206094号公報 特開2014−194846号公報 特許第5312969号公報 特開2017−103060号公報
J.K.Feng,L.Lu、"Lithium storage capability of lithium ion conductor Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3"、Journal of Alloys and Compounds Volume 501, Issue 2, 9 July 2010,Pages 255-258 渡辺春夫技術士事務所、"活物質の表面改質"、[online]、[平成30年10月3日検索]、インターネット<URL:http://www.haruoffice.com/wp/wp-content/uploads/活物質の表面改質.pdf>
全固体電池の基本構成である積層電極体は、固体電解質層を正極層と負極層で挟持した構造の焼結体からなる。上記特許文献2、および3に記載されている正極活物質は、統一的に、化学式LiM1(1−x)M2x(2−y)と表わすことができる。さらに、M1をCoとすれば、LiCo(1−x)x(2−y)と表わすことができる。そして、当該化学式によって表される正極活物質は、第1原理計算を用いたシミュレーションによれば、多電子反応が期待でき、高いエネルギー密度を有するものとなる。したがって、正極層にこの正極活物質を用いれば、高いエネルギー密度を有する全固体電池が得られる。
ところで、正極層や負極層には、電極活物質と固体電解質とが含まれている。そのため、積層電極体を作製する過程での熱処理により、電極活物質と固体電解質とが反応し、充放電に寄与しない異相が生成される可能性がある。そして、異相が含まれている電極活物質は、結晶構造が不安定であり、充放電を繰り返したときに結晶構造を維持できず、全固体電池のサイクル特性を悪化させる。特に、固体電解質にLAGPなどの酸化物を用いた酸化物系全固体電池では、熱処理時の正極活物質と固体電解質との反応を抑制することが難しい。したがって、特許文献2や3に記載の正極活物質を用いた酸化物系全固体電池を実現させるためには、正極活物質と固体電解質との界面の反応を抑制する必要がある。
そこで、特許文献4にも記載されているように粉体状の電極活物質の粒子表面に被膜層を設けることが考えられる。しかしながら、特許文献2や3に記載の正極活物質については、過去に、被膜層を形成するための検討が一切なされていない。
そこで本発明は、化学式LiCo(1−x)x(2−y)と表される正極活物質の粒子表面に被膜層が形成された高純度の全固体電池用正極材料と、その全固体電池用正極材料と酸化物系固体電解質とを用いた全固体電池、および全固体電池用正極材料の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、バルク型の全固体電池の正極に用いられる粉体状の正極材料であって、
正極活物質と、当該正極活物質の粒子表面に被膜層を形成する被膜材料とが含まれ、
前記正極活物質は、化学式LiCo(1−x)(2−y)で表される化合物であり、
前記化学式中の前記Mとして、少なくともTi、V、Cr、Ni、Feのいずれか1種類の金属を含むとともに、前記Aとして、少なくともB、C、Al、Si、Ga、Geのいずれか1種類の元素を含み、
前記化学式中のxが、0≦x<1であり、
前記化学式中のyが、0≦y≦0.07であり、
前記被膜材料は、Liである、
ことを特徴とする全固体電池用正極材料としている。
前記正極活物質がLiCoPである全固体電池用正極材料としてもよい。
本発明の第2の態様は、一体的な焼結体で、請求項1に記載の前記全固体電池用正極材料と固体電解質とを含む正極層、前記固体電解質を含む固体電解質層、および負極用の電極活物質と前記固体電解質とを含む負極層がこの順に積層されてなる積層電極体を備えた全固体電池であって、
前記固体電解質は、0<x≦1として、一般式Li1+xAlGe2−x(POで表される化合物である、
ことを特徴としている。
本発明の第3の態様は、全固体電池用正極材料の製造方法であって、
水に、前記被膜材料の原料と、粉体状の前記正極活物質と、クエン酸とを添加し、前記被膜材料の原料と前記クエン酸とが溶解した原料水溶液に前記正極活物質が分散されてなる分散液を得る原料混合ステップと、
前記分散液を熱処理してゲル化された混合物を得るゲル化ステップと、
前記ゲル化ステップによりゲル化された前記混合物を熱処理する熱処理ステップと、
を含み
前記原料混合ステップでは、前記クエン酸のモル数Aと、前記原料水溶液中の金属イオンのモル数Bとの比B/Aを、0.15以上0.5以下にする、
ことを特徴とする全固体電池用正極材料の製造方法としている。
または、水に前記被膜材料の原料を溶解させる原料溶解ステップと、
前記原料溶解ステップにより得た原料水溶液にクエン酸を混合するクエン酸混合ステップと、
前記クエン酸混合ステップを経た前記原料水溶液を熱処理してゲル化された前記被膜材料を得るゲル化ステップと、
ゲル化された前記被膜材料を乾燥させて得た粉体状の前記被膜材料と、粉体状の前記正極活物質との混合物を熱処理する熱処理ステップと、
を含み、
前記クエン酸混合ステップでは、前記クエン酸のモル数Aと、前記原料水溶液中の金属イオンのモル数Bとの比B/Aを、0.15以上0.5以下にする、
ことを特徴とする全固体電池用正極材料の製造方法とすることもできる。
本発明によれば、化学式LiCo(1−x)x(2−y)と表される正極活物質の粒子表面に被膜層が形成された高純度の全固体電池用正極材料と、その全固体電池用正極材料と酸化物系固体電解質とを用いた全固体電池、および全固体電池用正極材料の製造方法とが提供される。
本発明の実施例に係る全固体電池用正極活物質の構造を示す図である。 LiおよびLiPOと、LiCoPとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 LiおよびLiPOと、LAGPとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 LiCoPおよびLAGPと、BaTiOとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 LiCoPおよびLAGPと、NiOとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 LiCoPおよびLAGPと、Liとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 LiCoPと、ZnOとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 LiCoPと、ZrOとの混合物を熱処理して得た物質のXRD測定結果を示す図である。 溶液法によるLiの作製手順を示す図である。 溶液法によって作製されたLiのXRD測定結果を示す図である。 錯体重合法によるLiの作製手順を示す図である。 錯体重合法によって作製されたLiのXRD測定結果を示す図である。 錯体重合法によって作製されたLiのXRD測定結果を示す図である。 溶液法および錯体重合法を利用して作製された正極材料のXRD測定結果を示す図である。 全固体電池の作製手順を示す図である。
===本発明に想到する過程===
上記特許文献2、および特許文献3には、第1原理計算を用いたシミュレーションに基づいて、多電子反応によって作動するリチウム二次電池用の正極活物質が示されている。特許文献3と特許文献4とに記載の正極活物質は、叙述したように、化学式LiCo(1−x)(2−y)で表した上で、化学式中のMが、少なくともTi、V、Cr、Ni、Feのいずれか1種類以上の金属であり、当該化学式中のAがB、C、Al、Si、Ga、Geのいずれか1種類の元素である化合物と規定することができる。また、特許文献3や4には、x=1、y=0とした、LiCoPについて記載されている。さらに、特許文献2には、上記シミュレーションに基づいて、上記化学式中のyの値が、0<y≦0.07であることが好ましいとの旨が記載されている。したがって、上記特許文献3、および特許文献4に記載の正極活物質の双方を包含する正極活物質は、化学式LiCo(1−x)(2−y)で表わされ、Mが、少なくともTi、V、Cr、Ni、Feのいずれか1種類以上の金属であり、AがB、C、Al、Si、Ga、Geのいずれか1種類の元素であり、0<x≦1、0≦y≦0.07である化合物(以下、実施例の正極活物質と言うことがある)となる。この正極活物質は、シミュレーションによって、多電子反応によって金属リチウム電位に対して高電位(vs Li/Li)を有するものであることが期待される。そして、本発明者は、この正極活物質の粒子表面に被膜層を形成すれば、正極活物質の結晶構造が安定化すると考え、鋭意研究を重ねた結果、本発明に想到した。
===実施例===
実施例の正極活物質を用いつつ固体電解質にLAGPを用いた実用的なバルク型の全固体電池(以下、全固体電池と言うことがある)を実現させるためには、電極活物質の表面に結晶構造を安定化させるための被膜層を形成する必要がある。また、その被膜層を構成する物質(以下、被膜材料と言うことがある)には、全固体電池の積層電極体を作製する過程で行われる熱処理に際して、正極活物質や固体電解質との反応によって異相が発生しないことが求められる。
図1に正極材料の構造を模式的に示した。図1(A)に示したように、正極材料1aは、正極活物質2の粒子表面に被膜材料3からなる被膜層が形成されてなる。正極材料1aを熱処理によって作製する際に、正極活物質2と被膜材料3とが双方の界面10aで反応する。また、図1(B)に示したように、焼結体である積層電極体を得るための熱処理では、積層電極体を構成する正極層1bにおいて、正極活物質2と被膜材料3とが,双方の界面10aで再度反応するとともに、被膜材料3と固体電解質4とが、双方の界面10bで反応する。
本発明の実施例として、実施例の正極活物質の化学式LiCo(1−x)(2−y)において、x=1、y=0とした、LiCoP(以下、LCPOと言うことがある)を正極活物質とし、Liを被膜層を形成する被膜材料とした全固体電池用正極材料(以下、実施例に係る正極材料と言うことがある)を挙げる。そして、実施例に係る正極材料の特性を評価するために、LCPOを正極活物質としつつ、被膜層に異なる被膜材料を用いた正極材料をサンプルとして作製した。また、焼結体である積層電極体を得るための熱処理(以下、焼成処理と言うことがある)において、被膜材料とLAGPとが反応したり、LCPOと被膜材料とが再度反応したりすることも考慮し、被膜材料とLAGPとを焼成処理することで生成された材料、および被膜材料とLCPOとを熱処理することで生成された材料もサンプルとして作製した。そして、各種サンプルの結晶構造を、X線回折装置(XRD)を用いて測定した。
===特性評価===
サンプルを作製するための原材料となる、LCPO、被膜材料、LAGP(例えば、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)、および正極材料は、周知の固溶法や溶液法などの方法によって作製することができる。LCPO、被膜材料、LAGPは、組成中にある元素を含む粉体状の原料を熱処理したり、粉体状の原料が溶解した溶液を溶液法(ゾルゲル法など)により生成させたりすることで得られる。正極材料は、粉体状の正極活物質の表面に被膜材料をコーティング、または正極活物質と被膜材料との混合粉を熱処理することで得られる。また、正極材料と固体電解質とを含んだ正極層材料は、被膜材料がコーティングされた正極材料と固体電解質とを混合したものを熱処理することにより作製することができる。
<被膜層形成時の反応>
まず、LCPOと反応して異相が発生しない被膜材料を特定する必要がある。そこで、LCPOと組成が近似したリチウムのリン酸塩を被膜材料とした正極材料をサンプルとして作製した。具体的には、LCPOの粉体と被膜材料の粉体とが質量比50:50の割合で含まれている混合粉体を、電気炉を用い、大気雰囲気において、600℃の温度で2時間の条件で熱処理して得た材料と、焼成処理に対応して、被膜材料とLAGPとが質量比50:50の割合で含まれている混合粉体を、窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間の条件で熱処理した材料とをサンプルとした。
以下の表1に各サンプルの作製条件を示した。
Figure 2020113376
表1に示したように、サンプル1とサンプル2は、被膜材料としてLiを用いたサンプルであり、サンプル3は、被膜材料としてLiPOを用いたサンプルである。サンプル1とサンプル3は、LCPOに被膜層を形成する際の熱処理における反応を評価するためのサンプルであり、サンプル2は、焼成処理における、LCPOとLiとの反応を評価するためのサンプルである。
図2に各サンプルのXRD測定結果を示した。図2(A)は、サンプル1とサンプル2のXRD測定結果を示しており、図2(A)では、サンプル1のXRD測定結果が破線で示され、サンプル2のXRD測定結果が点線で示されている。また、図2(A)には、異相の発生の有無を判断するための基準として、Liのみを焼成処理、すなわち窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間の条件で熱処理した被膜材料単体でのXRD測定結果が実線で示されている。図2(B)は、サンプル3のXRD測定結果を示しており、サンプル3のXRD測定結果が破線で示され、LiPOのみを焼成処理した被膜材料単体でのXRD測定結果が実線で示されている。
図2(A)に示したように、サンプル1とサンプル2とにおいて、異相を示すピークとして、僅かにLiCoPO(以下、LCPと言うことがある)に対応するピーク(図中、黒塗り逆三角マーク)が確認された。そして、僅かにLCPのピークが確認されるが、正極活物質であるLCPOと、被膜材料であるLiのピークが明確に現れている。したがって、被膜層を形成する際、および焼成の際のいずれの熱処理においても、LCPOとLiとの反応性は低いものと考えられる。
図2(B)に示したように、サンプル3では、被膜層を形成する際の熱処理において、異相として、LCPとLiが生成されていることが確認できる。そして、正極活物質であるLCPOのピークを確認することができなかったことから、LCPOがLCPに相変化したものと考えられる。したがって、LiPOは、正極材料の結晶構造を安定化させるための被膜材料には適していない。
<焼成時の反応>
次に、被膜材料とLAGPとの反応性について評価した。ここでは、LAGPの粉体と被膜材料の粉体とが質量比50:50の割合で含まれている混合粉体を、大気雰囲気において、600℃の温度で2時間の条件で熱処理して得た材料と、被膜材料とLAGPとが質量比50:50の割合で含まれている混合粉体を焼成処理した材料とをサンプルとして作製し、各サンプルの結晶構造をXRDによって測定した。
以下の表2に各サンプルの作製条件を示した。
Figure 2020113376
表2に示したように、サンプル4とサンプル5は、被膜材料としてLiを用いたサンプルであり、サンプル6とサンプル7は、被膜材料としてLiPOを用いたサンプルである。サンプル4とサンプル6は、大気雰囲気で焼成したサンプルであり、サンプル5と7は、窒素雰囲気で焼成したサンプルである。
図3に各サンプルのXRD測定結果を示した。図3(A)は、サンプル4とサンプル5のXRD測定結果を示しており、図3(A)では、サンプル4のXRD測定結果が破線で示され、サンプル5のXRD測定結果が一点鎖線で示されている。また、図3(A)には、異相の発生の有無を判断するための基準として、Liのみを窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間の条件で熱処理した被膜材料単体でのXRD測定結果が点線で示され、焼成済みのLAGP単体のXRD測定結果が実線で示されている。
図3(B)は、サンプル6とサンプル7のXRD測定結果を示しており、サンプル6、およびサンプル7のXRD測定結果が、それぞれ破線、および一点鎖線で示されている。また、図3(B)には、LiPOのみの被膜材料単体、およびLAGP単体のXRD測定結果が、それぞれ点線、および実線で示されている。
図3(A)に示したように、サンプル4とサンプル5とにおいて、異相と思わる不明ピーク(図中、白塗り逆三角マーク)が僅かに確認されたが、LAGPとLiとに対応するピークが明確に現れていることから、LAGPとLiとの反応性は、低いものと考えられる。
一方、図3(B)に示したように、サンプル6、7では、Liを示すピーク(図中、黒塗り丸マーク)と、異相と思われる不明ピーク(図中、白塗り逆三角マーク)とが明確に現れている。また、サンプル6、7では、被膜材料であるLiPOのピーク(図中、白塗り丸マーク)の回折強度が低くなっている。
以上より、実施例に係る正極材料は、被膜層を形成する際の熱処理および焼成処理においても安定して結晶構造が維持されることが確認された。したがって、実施例に係る正極材料を用いて全固体電池を作製すれば、その全固体電池は、他の正極材料を用いて作製された全固体電池よりも優れたサイクル特性を有するものであることが容易に予想される。
<その他の被膜材料>
次に、安定した結晶構造を有する正極材料として、LCPOからなる正極活物質と、Liからなる被膜層との組み合わせが特異なものであることを確認するために、Li、およびLiPO以外のその他の被膜材料と、LCPOやLAGPとの反応性を調べた。ここでは、BaTiO、NiO、Li、ZnO、およびZrOを被膜材料とし、各被膜材料の粉体とLCPO、あるいはLAGPの粉体とを質量比50:50の割合で含まれている混合粉体を、大気雰囲気あるいは窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間の条件で熱処理して得た材料をサンプルとして作製した。そして、各サンプルの結晶構造を、XRDを用いて調べた。
表3に、各サンプルの作製条件を示した。
Figure 2020113376
表3に示したように、被膜材料としてBaTiO、NiO、およびLiをサンプル8〜13には、それぞれの被膜材料について、大気雰囲気で600℃、2時間の条件で熱処理したサンプルと焼成処理したサンプルとが含まれている。被膜材料として、ZnO、およびZrOを用いたサンプル13、およびサンプル14は、大気雰囲気で600℃、2時間の条件で熱処理したサンプルである。そして、図4〜図8に各被膜材料を用いたサンプルのXRD測定結果を示した。
図4、図5、図6、図7、図8は、それぞれ、サンプル8と9、サンプル9と10、サンプル11と12、サンプル13、およびサンプル14のXRD測定結果を示しており、図4(A)、図5(A)、図6(A)、図7、および図8には、被膜材料とLCPOとについて、結晶構造に対応するピークの位置毎に縦軸方向の線分が示されている。また、各ピークの位置における回折強度の強さが線分の長さによって示されている。図4(B)、図5(B)、および図6(B)には、被膜材料とLAGPとについて、結晶構造に対応するピークの位置と回折強度とが縦軸方向の線分で示されている。そして、図4〜図8では、異相に対応するピークが矢印で示されている。
図4〜図8に示したXRD測定結果より、BaTiO、およびLiは、LCPOとLAGPの双方に対して強い反応性を示し(図4、図6参照)、NiOは、LAGPに対する反応性は弱かったが、LCPOに対して強い反応性を示した。したがって、NiOは、LCPOの被膜材料として使用することができない。ZnO、およびZrOについては、LCPOに対して強い反応性を示し、やはり、LCPOの被膜材料として使用することができない。
===正極材料の作製方法===
上述したように、実施例に係る正極材料は、Liからなる被膜層が形成されたLCPOであり、当該正極材料は、異相が少なく高い純度を有し、焼成処理によっても異相が生成され難い。そして、異相の生成をさらに抑制して、より純度の高い正極材料を得るためには、被膜材料自体の純度を向上させることが必要となる。そこで、以下では、純度の高い被膜材料や、その被膜材料を用いて正極材料を作製するための方法について説明する。
上述したように、焼結体の起源となる粉体材料は、溶液法によるセラミックの作製法でも作製することができる。溶液法を用いて被膜材料を作製する手順について説明する。図9に、溶液法による被膜材料の作製手順を示した。図9に示したように、溶媒として水の入った容器を用意し(s1)、その水にLiの原料であるCHCOOLi・2HO、NHPOを順次混合する(s2、s3)。Liの原料を水に混合したならば、その混合溶液を熱処理する。ここでは、85℃の温度のホットプレート上に容器を置いて混合液を撹拌しながら乾燥させ、さらに、容器内の材料を、オーブンなどを用いて所定の温度(例えば、230℃)で乾燥させる(s4)。それによって、粉体状の材料が得られる。次に、この乾燥工程(s4)によって得た容器内の粉体材料を熱処理することでLiの結晶を得る(s5)。なお、LCPOにLiの被膜層を形成する際には、乾燥工程(s4)前の混合溶液と粉体状のLCPOとを混合しておけばよい。なお、単体のLiを得るためには、乾燥工程(s5)後の材料を、大気雰囲気、あるいは窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間熱処理すればよい。LCPOにLiの被膜層を形成する際には、乾燥工程(s4)前の混合溶液にLCPOを混合したものを、大気雰囲気において、600℃の温度で2時間熱処理すればよい。
図10に、溶液法で作製したLiのXRD測定結果を示した。図10では、大気雰囲気、および窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間熱処理(s5)することで得たLiのXRD測定結果を実線、および点線で示している。図10に示したように、いずれの雰囲気で熱処理(s5)した場合でも、Li以外のLiPO(図中、黒塗り菱形マーク)やLiPO(図中、白抜き逆三角マーク)などの異相が生成されていることが確認できる。
次に、異相の生成が抑制されて、より純度の高い被膜材料を作製するための手順について説明する。図11に、高純度被膜材料の作製順を示した。高純度の被膜材料を作製するための手順は、錯体重合法に基づいている。図11に示したように、溶媒として水の入った容器を用意し(s11)、その水にLiの原料であるLiCO、NHPOを順次混合する(s12、s13)。しかし、錯体重合法では、Liの原料の水溶液にクエン酸を加える(s14)。次に、原料の水溶液にクエン酸を加えた溶液を熱処理し、その溶液をゲル化するとともに(s15)、容器内のゲル化された材料を、オーブンなどを用いて所定の温度(例えば、230℃)で乾燥させることで粉体状の材料を得る(s16)。そして、乾燥工程(s16)によって得た容器内の粉体材料を熱処理することで単体のLiの結晶を得る(s17)。
また、LCPOにLiの被膜層を形成する際には、ゲル化工程(s15)前の混合溶液とLCPOとを混合しておけばよい。そして、実施例に係る正極材料を作製するためには、図11におけるゲル化工程(s15)前の混合溶液にLCPOを混合し、ゲル化工程(s15)、乾燥工程(s16)を実施した後、大気雰囲気において、600℃の温度で2時間熱処理すればよい。
図12に、クエン酸のモル数Aと、被膜材料の原料溶液中の金属イオン(Li、P4+)のモル数Bとを、モル比B/A=0.5としたときのLiのXRD測定結果を示した。図12では、大気雰囲気、および窒素雰囲気において、600℃の温度で2時間熱処理(s17)することで得た単体のLiのXRD測定結果を実線、および点線で示している。そして、図12に示したように、大気、および窒素のいずれの雰囲気で熱処理(s17)した場合でも、異相の生成が抑制されていることがわかる。したがって、高純度のLiを得るためには、錯体重合法によってLiを作製することが好ましい。
次に、錯体重合法を用いつつ、クエン酸と金属イオンとのモル比B/Aを変えるとともに、大気雰囲気で熱処理することで作製したLiをサンプルとし、各サンプルの各結晶構造を調べた。図13に、各サンプルのXRD測定結果を示した。図13(A)に示したように、モル比B/A≦0.75において、明らかに異相(図中、黒塗り三角マーク、黒塗り菱形マーク)の生成が抑制されていることがわかった。そして、異相の生成状態をより詳細に調べるために、図13(A)において点線の枠で囲った27゜≦2θ≦28.5゜の回折角度範囲におけるXRD測定結果を拡大してみた。図13(B)に、当該角度範囲におけるXRD測定結果の拡大図を示した。
図13(B)に示したように、27゜≦2θ≦28.5゜の回折角度範囲では、三斜晶に対応する回折強度が反映され、図13(B)に示したように、モル比B/A=0.25で、三斜晶の回折強度が最大となる。そして、0.15≦B/A≦0.50では、回折強度が大きく低下することはなかった。しかし、モル比B/A=0.1では、三斜晶に対応する回折強度が他のモル比B/Aで作製したLiよりも回折強度が著しく低下することが確認された。なお、モル比B/A=0.1において回折強度が低下した理由としては、例えば、クエン酸の量が金属イオンの10倍にまで増えたことで、ゲルの粘度や分子量が増加し、それに伴って熱分解温度が変化したものと考えることができる。そして、熱分解温度の変化が、熱処理(s17)におけるLiの結晶形成に何らかの影響を及ぼしたものと考えることができる。
一方、モル比B/Aの上限については、図13(A)に示した結果から、モル比B/A≦0.75において、異相の生成が抑制されていることが確認できたが、図13(B)に示した、上記回折角度範囲27゜≦2θ≦28.5゜での拡大図では、モル比B/A=0.75では、回折強度のピークを示す角度の位置が、単斜晶の回折角度を示していた。三斜晶のLiを作製するためには、モル比B/Aを0.15≦B/A≦0.50とすることが好ましい。
次に、溶液法および錯体重合法を利用してLCPOにLiからなる被膜層が形成されてなる正極材料を作製した。上述したように、溶液法および錯体重合法を利用して正極材料を作製するためには、図9および図11に示した手順において、図9では乾燥工程(s16)前の混合溶液、図11ではゲル化工程(s15)前の混合溶液にLCPOを混合し、乾燥工程(s16)後、大気雰囲気にて、600℃の温度で2時間熱処理(s17)する。
図14に、錯体重合法および溶液法を利用して作製した正極材料のXRD測定結果を示した。図14(A)は、錯体重合法を利用して作製した正極材料のXRD測定結果であり、図14(B)は、溶液法を利用して作製した正極材料のXRD測定結果である。なお、図14(A)、図14(B)では、Li、LCPO、および正極材料のXRD測定結果が、それぞれ、点線、実線、および破線で示されている。
そして、図14(A)に示したように、錯体重合法を利用して作製した正極材料では異相の生成が確認されなかった。一方、図14(B)に示したように、溶液法を利用して作製した正極材料ではLCPに対応する異相(図中、矢印)の生成が確認された。
===全固体電池の製造方法===
本発明の実施例に係る正極材料は、バルク型の全固体電池に用いられる。そして、全固体電池を構成する積層電極体は、グリーンシート法によって作製することができる。図15に、全固体電池の作製手順の一例を示した。全固体電池の作製手順としては、まず、積層電極体を構成する正極層シート、負極層シート、および電解質層シートを作製する(s21a,s22a、s21b,s22b、s21c,s22c)。正極層シートについては、実施例に係る正極材料、非晶質や結晶質のLAGP、導電助剤、バインダー、可塑剤を含むスラリー状の正極層材料を上述したドクターブレード法によりシート状に成形する。負極層シートについても、同様にして、負極活物質(例えば、TiO)、非晶質や結晶質のLAGP、導電助剤、バインダー、可塑剤を含むスラリー状の正極層材料を上述したドクターブレード法によりシート状に成形する。
正極層材料の作製手順としては、まず、粉体状の正極材料と非晶質のLAGPの粉体とを、例えば、質量比で50:50となるように混合する。また、必要に応じて炭素材料などからなる導電助剤を添加する。次に、正極材料とLAGPとを含む粉体材料に、バインダーを、例えば、20wt%〜30wt%添加するとともに、溶媒としてエタノールなどのアルコールをセラミック粉体に対し30wt%〜50wt%添加することで得た混合物を、ボールミルなどで、例えば、20h混合する。それによって、スラリー状の正極層材料が得られる。なお、負極層材料の作製手順は、正極材料を負極活物質に替えただけで、正極層材料の作製手順と同様である。
電解質層シートの材料となるペースト状の電解質層材料については、非晶質や結晶質のLAGP粉体に対し、バインダーを、例えば、20wt%〜30wt%添加するとともに、溶媒としてエタノールなどの無水アルコールをセラミック粉体に対し30wt%〜50wt%添加することで得た混合物をボールミルなどで、例えば、20h混合することで作製される。
以上のように作製されたペースト状の正極層材料、負極層材料、および電解質層材料を、それぞれ、真空中にて脱泡した後、ドクターブレード法にてPETフィルム上に塗工し、正極層、負極層、および電解質層のそれぞれに対応する、シート状の正極層材料、シート状の負極層材料、およびシート状の電解質層材料を得る。さらに、各層のシートを目的の厚さに調整するために、一回の塗工で得られた一枚のシート状の材料を複数枚積層する。そして、その積層されたシート状の材料をプレス圧着したものを所定の平面サイズに裁断してグリーンシートである正極層シート、負極層シート、および電解質層シートを完成させる。
次に、電解質層シートを正極層シートと負極層シートとによって狭持したものをプレス圧着して積層体を作製する(s23)。そして、その積層体に対し、脱脂工程を行う(s24)。この脱脂工程(s24)では、バインダーを熱分解させる。脱脂工程(s24)は、使用するバインダーの分解温度に合わせ、大気中で、300-600℃程度の温度で行う。ここでは、LAGPの軟化点が約530℃であることから、この温度以下で脱脂工程(s24)を行い、その脱脂工程(s24)を経た積層体を焼成処理する。すなわち、窒素雰囲気において、脱脂工程(s24)よりも高い温度(例えば、600℃)で所定時間(例えば、2時間)焼成して積層電極体を得る(s25)。そして、積層電極体の最上層と最下層の表面に、スパッタリングや蒸着によって金などの薄膜を形成したり、塗布した銀ペーストを焼き付けたりして、集電体を形成する(s26)。それによって全固体電池が完成する。
===その他の実施例===
上記実施例に係る正極材料は、図11において、ゲル化工程(s15)の前にLCPOを混合せず、乾燥工程(s16)後にLCPOを混合して作製してもよい。
上記実施例に係る正極材料における正極活物質は、化学式LiCo(1−x)(2−y)において、x=0、y=0で表されるLCPOであったが、上記化学式中のMとして、Coの一部を0≦x<1の範囲で少なくともTi、V、Cr、Ni、Feのいずれか1種類の金属で置き換えた場合、またはAとして、Pの一部を0≦y≦0.07の範囲で、少なくともB、C、Al、Si、Ga、Geのいずれか1種類の元素で置き換えた場合でも類似した特性を有しているため、MとAの一部が置き換えられた正極活物質にLiからなる被膜層が形成されてなる正極材料も、異相が少なく、純度の高いものであることは容易に予想される。
1a 正極材料、1b 正極層、2 正極活物質、3 被膜材、
10a、正極活物質と被膜材との界面、10b、被膜材と固体電解質との界面、
s2,s12 CHCOOLi・2HO混合工程、
s3,s13 NHPO混合工程、s4,s15 ゲル化工程、
s5,s16 乾燥工程、s6,s17 熱処理工程、s14 クエン酸混合工程

Claims (5)

  1. バルク型の全固体電池の正極に用いられる粉体状の正極材料であって、
    正極活物質と、当該正極活物質の粒子表面に被膜層を形成する被膜材料とが含まれ、
    前記正極活物質は、化学式LiCo(1−x)(2−y)で表される化合物であり、
    前記化学式中の前記Mとして、少なくともTi、V、Cr、Ni、Feのいずれか1種類の金属を含むとともに、前記Aとして、少なくともB、C、Al、Si、Ga、Geのいずれか1種類の元素を含み、
    前記化学式中のxが、0≦x<1であり、
    前記化学式中のyが、0≦y≦0.07であり、
    前記被膜材料は、Liである、
    ことを特徴とする全固体電池用正極材料。
  2. 請求項1に記載の全固体電池用正極材料であって、前記正極活物質がLiCoPであることを特徴とする全固体電池用正極材料。
  3. 一体的な焼結体で、請求項1に記載の前記全固体電池用正極材料と固体電解質とを含む正極層、前記固体電解質を含む固体電解質層、および負極用の電極活物質と前記固体電解質とを含む負極層がこの順に積層されてなる積層電極体を備えた全固体電池であって、
    前記固体電解質は、0<x≦1として、一般式Li1+xAlGe2−x(POで表される化合物である、
    ことを特徴とする全固体電池。
  4. 請求項1又は2に記載の全固体電池用正極材料の製造方法であって、
    水に、前記被膜材料の原料と、粉体状の前記正極活物質と、クエン酸とを添加し、前記被膜材料の原料と前記クエン酸とが溶解した原料水溶液に前記正極活物質が分散されてなる分散液を得る原料混合ステップと、
    前記分散液を熱処理してゲル化された混合物を得るゲル化ステップと、
    前記ゲル化ステップによりゲル化された前記混合物を熱処理する熱処理ステップと、
    を含み
    前記クエン酸混合ステップでは、前記クエン酸のモル数Aと、前記原料水溶液中の金属イオンのモル数Bとの比B/Aを、0.15以上0.5以下にする、
    ことを特徴とする全固体電池用正極材料の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の全固体電池用正極材料の製造方法であって、
    水に前記被膜材料の原料を溶解させる原料溶解ステップと、
    前記原料溶解ステップにより得た原料水溶液にクエン酸を混合するクエン酸混合ステップと、
    前記クエン酸混合ステップを経た前記原料水溶液を熱処理してゲル化された前記被膜材料を得るゲル化ステップと、
    ゲル化された前記被膜材料を乾燥させて得た粉体状の前記被膜材料と、粉体状の前記正極活物質との混合物を熱処理する熱処理ステップと、
    を含み、
    前記クエン酸混合ステップでは、前記クエン酸のモル数Aと、前記原料水溶液中の金属イオンのモル数Bとの比B/Aを、0.15以上0.5以下にする、
    ことを特徴とする全固体電池用正極材料の製造方法。
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