JP2020111751A - 無溶媒フォトンアップコンバージョン系 - Google Patents

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将士 細山田
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翔太 久光
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Abstract

【課題】不揮発性の、高密度で凝集した発色団中での三重項励起子の拡散および遭遇に基づく、酸素不透過性TTA系を開発する。【解決手段】(a)アクセプター発色団と、(b)有機ドナーとを含む無溶媒フォトンアップコンバージョン組成物であって、アクセプター発色団が、液体、液晶または結晶の形態のうちの1つであり、有機ドナーをドープされており、アクセプター発色団以外に溶媒を含まない、組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、無溶媒フォトンアップコンバージョン組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を使用して空気中でフォトンアップコンバージョンを達成するための方法に関する。
より低いエネルギー光での励起を用いて、発光性の集団がより高いエネルギー状態に励起されるアップコンバージョン(UC)は、太陽のエネルギー変換装置における熱力学的効率の限界を克服するその潜在能力のため、大いに注目を集めてきた。最も活発に調査されたUC系は、非直線性の現象、例えば、複数のフォトンの吸収などに基づくが、これらは、高い励起光強度(約 MW/cm2)を必要とするという致命的な欠陥に悩まされ、これによってそのアピール性がなくなっている。結果的に、三重項−三重項消滅(TTA、図1)に基づく代替のUC機構が、上述の技法よりも多くの利点を提供することから、脚光を浴びることとなった。例えば、低い励起パワー密度を有する非可干渉性の光を使用して、独立して選択されるドナーおよびアクセプター分子に応じて励起/発光波長が調節可能なUCを達成することができる。図1)では、増感剤(ドナー)の三重項励起状態が励起した一重項状態からの項間交差により形成され、これによって、適切なアクセプターの存在下、三重項−三重項エネルギー移動(TTET)が働く。三重項状態にある2つのアクセプター分子がこれらの寿命の間に拡散し、衝突した場合、三重項−三重項消滅(TTA)がより高い一重項エネルギー準位をもたらし、結果的に遅延蛍光が観察される。
今日までに、効率的なUCは、三重項分子の拡散がTTETとTTA過程の両方に不可欠であるため、溶液中で達成されてきた。しかし、揮発性溶媒の使用および分子の酸素による三重項状態の失活がこれらの実用的用途を有意に制限している。最近では、固体ポリマーフィルム内でのTTAベースのUCが研究されているが、このようなポリマーマトリクスは、三重項分子の拡散を必然的に制限してしまう可能性がある。
分散系におけるこれらの問題を解決するために、不揮発性の、高密度で凝集した発色団中での三重項励起子の拡散および遭遇に基づく、酸素不透過性TTA系を開発することが必要不可欠である。
ここで、発明者らは、液体分子ネットワーク中のマトリクスフリーUCの第1の例を提示する;一連の有機ドナーおよびアクセプター発色団は、溶媒のない液体状態(図2)で効率的な三重項エネルギー移動、マイグレーションおよびTTAを示す。分岐アルキル鎖による芳香族化合物の修飾により、不揮発性の有機液体が得られることが知られている。一部の液体芳香族の発光性の特徴が報告されているが、このような凝縮した液体中での三重項エネルギー移動、マイグレーションおよび結果として起こるフォトンアップコンバージョンは前例がない。
この点を考慮に入れて、発明者らは、9,10-ジフェニルアントラセン部分を有する有機の液体アクセプター、および新しく設計したドナー(三重項増感剤)Pt(II)ポルフィリン誘導体を合成した(図3)。9,10-ジフェニルアントラセン(アクセプターおよび発光体)およびPt(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP、増感剤)はUC系溶液中で広く使用されてきたので、この対の発色団をアクセプターおよびドナーの対として選択した。分岐アルキル鎖をドナー(2)の末梢に導入したが、これは液体アクセプター(1)との良好な混和性を達成する目的のためであった。
よって、本発明は以下を提供する:
[1]
(a)アクセプター発色団と、
(b)有機ドナーと
を含む無溶媒フォトンアップコンバージョン組成物であって、アクセプター発色団が、液体、液晶または結晶の形態のうちの1つであり、有機ドナーをドープされており、
アクセプター発色団以外に溶媒を含まない、組成物。
[2]アクセプター発色団が9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ルブレンおよびテトラセンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]に記載の組成物。
[3]有機ドナーが、Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pyr3RuPZn3およびPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、ならびにトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマーおよびその誘導体、ならびにα-カルゴゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]アクセプター発色団が、1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、[2]に記載の組成物。
[5]アクセプター発色団が、オリゴ/ポリ(エチレングリコール)、糖類、モノ/オリゴヌクレオチド、カルボキシレート、ビピリジン、テルピリジン、カテコール、フェナントロリン、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquiodimethane)、フラーレン、コレステロール、アミノ酸、金属間相互作用を形成するAu/Ag/Pt/Pd錯体、ビピリジニウム、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、およびハロゲンから選択される1つまたは複数の自己集合部分を含む、[2]に記載の組成物。
[6]自己集合部分が、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、ハロゲンおよび芳香族基から選択される1つまたは複数の分子間相互作用部位を含む、[5]に記載の組成物。
[7]有機ドナーが、1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、[3]に記載の組成物。
[8]有機ドナー/アクセプター発色団のモル比が0.001%〜1%の範囲内にある、[1]から[7]のいずれか1つに記載の組成物。
[9]アクセプター発色団が、1つもしくは複数の非置換もしくは置換アルキル部分および/またはオリゴ/ポリ(エチレングリコール)部分を含むカチオン分子と共にイオン性液体を形成する、[1]から[8]のいずれか1つに記載の組成物。
[10]アクセプター発色団が、
Figure 2020111751

からなる群から選択されるイオン性液体を形成する、[9]に記載の組成物。
[11]空気中でアップコンバージョン系として機能する、[1]から[10]のいずれか1つに記載の組成物。
[12][1]から[11]のいずれか1つに記載の組成物を使用して、空気中でフォトンアップコンバージョンを達成する方法。
[13]9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ルブレンおよびテトラセンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、無溶媒フォトンアップコンバージョンのためのアクセプター発色団。
[14]1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、[13]に記載のアクセプター発色団。
[15]オリゴ/ポリ(エチレングリコール)、糖類、モノ/オリゴヌクレオチド、カルボキシレート、ビピリジン、テルピリジン、カテコール、フェナントロリン、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquiodimethane)、フラーレン、コレステロール、アミノ酸、金属間相互作用を形成するAu/Ag/Pt/Pd錯体、ビピリジニウム、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、およびトリアゾール、ハロゲンから選択される1つまたは複数の自己集合部分を含む、[13]に記載のアクセプター発色団。
[16]自己集合部分が、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、ハロゲンおよび芳香族基から選択される分子間相互作用部位の1つまたは複数を含む、[15]に記載のアクセプター発色団。
[17]1つもしくは複数の非置換もしくは置換アルキル部分および/またはオリゴ/ポリ(エチレングリコール)部分を含むカチオン分子と共にイオン性液体を形成する、[13]に記載のアクセプター発色団。
[18]
Figure 2020111751

からなる群から選択されるイオン性液体を形成する、[17]に記載のアクセプター発色団。
[19]Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル-テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pyr3RuPZn3およびPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、ならびにトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマーおよびその誘導体、ならびにα-カルゴゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、無溶媒フォトンアップコンバージョンのための有機ドナー発色団。
[20]1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、[19]に記載の有機ドナー。
空気中で機能する不揮発性の液体フォトンアップコンバーティング系が開発されている。合理的に設計された三重項増感剤(分岐アルキル鎖修飾したPt(II)ポルフィリン)は、9,10-ジフェニルアントラセン単位を有するエネルギーハーベスティング液体アクセプター中で均一にドープされる。無溶媒液体状態において、かなり高いアップコンバージョン量子収率である約28%が通気条件下でも達成される。これは、2つの巡回する励起した三重項状態の一連の効率的なエネルギー移動およびマイグレーションに起因するものであり、これらは、最終的に互いに衝突することによって、アクセプターの一重項励起状態を生成する。アップコンバージョン発光が酸素に対し非感受性であることが観察されたが、これは、発色団を液化するために導入された、凝集するアルキル鎖の密閉能力によるものである。新たに浮上した新規概念、フォトンアップコンバージョン液体により、柔らかい凝縮物質のエネルギー景観を制御する中で新たな見通しが得られる。
分子の自己集合という概念を導入することにより、本発明は、フォトンアップコンバージョンの重大な問題、すなわち、酸素による消光を解決する。フォトンアップコンバージョン系は、今までのところ、これらの実用的用途を制限する厳密な脱酸素化過程を必要とする。色素分子の自己集合は、通気条件下でも溶液、キャストフィルム、およびゲルの形態で効率的なフォトンアップコンバージョンを可能にする。ドナーとアクセプターとの間の巨視的分離のために固体状態で効率的なアップコンバージョンを得ることも困難であったが、アクセプターの自己集合によりドナー分子を受け入れることができ、したがって固体フィルム中でも効率的なアップコンバージョン発光を達成することが可能となっている。
三重項−三重項消滅に基づくアップコンバージョン機構を示す図である。 マトリクス−フリーの液体アップコンバージョン系の概略図を示す。 (a)液体アクセプター(1)および増感剤(2)(またはドナー(2))の化学構造である。(b)白色光および(c)532nmグリーンレーザー(レーザーの入射方向が緑色の矢印で示されている)に曝露した際のドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の写真である。 (a)可視光および(b)UV(365nm)光のもとでの液体アクセプター(1)の写真である。 冷却トレース(10℃/分)におけるアクセプター(1)のDSCサーモグラムである。 (a)アクセプター(1)の貯蔵弾性率(G’;黒色の正方形)および損失弾性率(G’’;赤色の円)対角周波数を示すグラフである。(b)アクセプター(1)の複素粘度(η)対角周波数(η=0.99Pa s)。 液体アクセプター(1)の(a)XRDおよび(b)SAXSプロファイルを示すグラフである。 アクセプター(1)とPtOEPの混合物(PtOEP/アクセプター(1)=1モル%)の(a)光学顕微鏡像および(a’)偏光顕微鏡像の写真である。アクセプター(1)とドナー(2)の混合物(ドナー(2)/アクセプター(1)=1モル%)の(b)光学顕微鏡像および(b’)偏光顕微鏡像の写真である。 (a)脱気CHCl3中のアクセプター(1)(λex=375nm、0.1mM)とドナー(2)(λex=510nm、0.1mM)のCHCl3溶液の規格化された吸収および発光スペクトル;ならびに(b)液体アクセプター(1)(λex=375nm)およびドナーのキャストフィルム(2)(λex=520nm)の規格化された吸収および発光スペクトルを示すグラフである。 (a)CHCl3中液体アクセプター(1)(0.1mM、黒線)および無溶媒状態の液体アクセプター(1)(青線)(λex=365nm、λem=450nm)に対して観察された蛍光減衰;ならびに(b)ドナー(2)ドープした液体アクセプター(1)(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%;λex=531nm、λUC=450nm)からの、空気中(青線)および真空中(赤線)でのTTAアップコンバージョンによる遅延発光に対して得た蛍光減衰曲線を示すグラフである。 ドープした液体アクセプター(1)(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の規格化された吸収および発光(λex=375nm)スペクトルを示すグラフである。 (a)空気中での、532nmレーザーの異なる入射パワー密度を用いた、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の光ルミネセンススペクトル;(b)入射パワー密度に対する433nmでのアップコンバージョン発光強度の依存性(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%);および(c)532nmの入射パワー密度の関数として測定したドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の量子収率を示すグラフである。 (a)真空中での、532nmレーザーの異なる入射パワー密度を用いた、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の発光スペクトル;および(b)真空中での、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の433nmでのアップコンバージョン発光強度の入射パワー密度依存性を示すグラフである。 ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)のλem=433nm(λex=532nm)での温度依存性UC発光強度のプロットである。 励起パワー(λex=532nm)を変化させた、A-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)の空気中でのアップコンバージョン発光である。 293K(赤色)および198K(青色)での、空気中のA-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)の発光スペクトルである。 A-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)から調製したキャストフィルムの空気中のUC発光である。 A-D混合物([A]=16mM、[D]=16μM)の1,2-ジクロロエタンゲルおよびその青色UC発光である。 A1の0.1mM CHCl3溶液(黒色)および無溶媒のイオン性液体A1(赤色)の吸収および発光スペクトルである。 (a)2枚の石英プレート間で密閉したA1-PtOEP混合物の写真である。A1-PtOEP混合物の(b)顕微鏡画像および(c)発光画像である。 (a)Ar中のA1-PtOEP混合物のUC発光スペクトルを示すグラフである。(b)Ar中のA1-PtOEP混合物のUC発光強度の励起パワー依存性を示すグラフである。 (a)異なる温度での、Ar中のA1-PtOEP混合物のUC発光強度を示すグラフである。(b)空気中のA1-PtOEP混合物のUC発光スペクトルを示すグラフである。 2をドープした液晶1(2/1=0.1モル%)の偏光光学顕微鏡像である。 (a)635nmレーザーの異なる入射パワー密度を用いた、2をドープした液晶1(2/1=0.1モル%)の光ルミネセンススペクトルを示すグラフである。(b)580nmでのUC発光強度の入射パワー密度に対する依存性を示すグラフである。青線および赤線は、低パワーレジームおよび高パワーレジームにおける2.3(青色)および1.1(赤色)の傾きを有するフィッティング結果である。 ドープしたLC(2/1=0.1モル%)のλem=580nm(λex=635nm)での温度依存性UC発光強度のプロットである。 溶液をキャストした(a)A1、(c)A2、(e)A3の光学顕微鏡像、および(b)A1、(d)A2、(f)A3の偏光顕微鏡像である。 A1(青色)、A2(赤色)、およびA3(緑色)の粉末X線回折プロファイルを示すグラフである。 溶液をキャストした(a)A1−PtOEP、(c)A2-PtOEP、(e)A3-PtOEPの光学顕微鏡像、および(b)A1-PtOEP、(d)A2-PtOEP、(f)A3-PtOEPの偏光顕微鏡像である。 PtOEP CHCl3溶液(赤色)、純正PtOEP固体(緑色)、および1.0モル%PtOEPをドープしたアクセプター固体フィルム(青色、(a)A1、(b)A2、(c)A3)の吸収スペクトルを示すグラフである。 PtOEP-ドープした(a)A1、(b)A2、(c)A3フィルムの発光スペクトルを示すグラフである。 室温での、通気したクロロホルム中の、PtOEP(10μM)を有する、(a)A’-1(10mM)、(b)A’-2(10mM)、および(c)A’-3(10mM)の光ルミネセンススペクトルである(λex=532nm)。
本明細書中のこれより以下において、本発明を詳細に記載する。以下に記載されている実施形態は、以下の実施形態のみに限定されずに、単に本発明を記載している例として提示されることを意図する。本発明は、本発明の要旨から逸脱することなく、様々な方式により実行することができる。
刊行物、公開特許出願、特許および本明細書中に引用されている他の特許文献のすべては、これら全体が、本明細書中に参照により援用されている。本明細書は、2013年11月6日に出願した日本の特許出願(特願2013-230265)、および2014年3月11日に出願した日本の特許出願(特願2014-048088)(これらに対しては優先権が主張されている)における明細書および図面の内容を明細書中に参照により援用している。
第1の実施形態では、本発明は、
(a)アクセプター発色団と、
(b)有機ドナーと
を含む無溶媒フォトンアップコンバージョン組成物であって、アクセプター発色団が液化され、有機ドナーをドープされており、
液化したアクセプター発色団以外に溶媒を含まない組成物を提供する。
第2の実施形態では、本発明は、前記組成物を使用して空気中でフォトンアップコンバージョンを達成するための方法を提供する。
第3の実施形態では、本発明は、9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ルブレンおよびテトラセンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、無溶媒フォトンアップコンバージョンのためのアクセプター発色団を提供する。
第4の実施形態では、本発明は、Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pyr3RuPZn3およびPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、ならびにトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマーおよびその誘導体ならびにα-カルゴゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、無溶媒フォトンアップコンバージョンのための有機ドナー発色団を提供する。
本明細書で使用する場合、「〜をドープした」という用語は、「〜と混合した」または「〜と組み合わせた」ことを意味する。
アクセプター発色団は、9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ルブレンおよびテトラセンからなる群から選択される化合物であってよく、1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含んでもよい。この場合、アルキル部分のそれぞれは、1〜50個の炭素原子、1〜40個の炭素原子、1〜30個の炭素原子または1〜20個の炭素原子を含んでもよい。アルキル部分は、分岐状または直鎖状であってよい。置換アルキルは、その骨格内に、酸素、窒素および硫黄からそれぞれ選択される1個または複数(好ましくは、1〜3個、3個、2個または1個)のヘテロ原子を含むものであってよい。
アルキル化することで、アクセプター発色団は液化され、酸素からそれ自体を保護することができる。アルキル化したアクセプター発色団は、液体、液晶または結晶のうちのいずれか1つの形態であってよい。
アルキル化は、以下の条件下で実施することができる:
ヒドロキシ基を含有するアクセプター分子を、加熱(60〜120℃、好ましくは80℃)中に、ジメチルホルムアミド中の塩基(例えば、K2CO3など)の存在下、臭化物基(過剰量、好ましくは、アクセプター分子中のヒドロキシル基の量の1.5倍超)を有するアルキル鎖と反応させる。
アクセプター発色団は、1つまたは複数(好ましくは1〜5つ、4つ、3つ、2つまたは1つ)の自己集合部分をさらに含んでもよい。
自己集合部分をアクセプター(発光体)分子に導入することによって、アクセプター分子の高密度配置を形成することが可能となる。この構造化はアクセプターアレイの間の三重項エネルギーマイグレーションに対してだけでなく、酸素分子の侵入を阻害するためにも重要である。重要なことに、色素集合体は、溶液中で、通気条件下でも効率的なフォトンアップコンバージョンを示す。これは、酸素遮蔽のために任意の添加剤を使用することなく、通気した溶液中でTTA-UCが行われる最初の例である。この溶液をキャストすることで、空気中で効率的なフォトン−アップコンバージョンを示すことができる薄膜を生成する。加えて、溶媒だけを変更することによって、空気耐性があるフォトン−アップコンバージョンゲルを作製することも可能である。
自己集合部分として、オリゴ/ポリ(エチレングリコール)、糖類、モノ/オリゴヌクレオチド、カルボキシレート、ビピリジン、テルピリジン、カテコール、フェナントロリン、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquiodimethane)、フラーレン、コレステロール、アミノ酸、金属間相互作用を形成するAu/Ag/Pt/Pd錯体、ビピリジニウム、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、およびハロゲンから選択される1つまたは複数の基を挙げることができる。
前記オリゴ/ポリ(エチレングリコール)は、任意の数のエチレングリコール単位、好ましくは、1〜30単位、1〜20単位または1〜10単位を有していてもよい。
自己集合部分には、別のアクセプター発色団分子との分子間結合、例えば、水素結合、配位結合、π−πスタッキングまたは疎水性および疎溶媒性相互作用などを形成するために、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、ハロゲン、芳香族基から選択される、アクセプターの1つまたは複数の分子間相互作用部位が含まれてもよい。
アクセプター発色団は、200〜500nm、300〜400nmまたは320〜390nmの範囲の吸収ピークを示す。
アルキル化および/または自己集合部分の有無に関わらず、上述のアクセプター発色団化合物は、いくつかの置換基で置換されていてもよい。例えば、アクセプター発色団は、炭素(複数可)または水素(複数可)への1つまたは複数の結合が、以下への結合で置き換えるような方式で置換されていてもよい:
(i)FCl、Br、および/もしくはIの中のハロゲン原子;ならびに/またはトリフルオロメチルおよび/もしくはアルキル含有トリフルオロメチルの中のハロゲン原子;
(ii)ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、およびエステル、カルボニル、カルボキシル、ならびに/もしくはヘテロシクリルオキシの中の酸素原子;
(iii)チオール、アルキル、アリールスルフィド、スルホン、スルホニル、およびスルホキシドの中の硫黄原子;
(iv)アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、エナミン、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ニトリル、ヘテロシクリルアミン、(アルキル)(ヘテロシクリル)アミン、(アリール)(ヘテロシクリル)アミン、および/もしくはジヘテロシクリルアミンの中の窒素原子;
(v)トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリル、およびトリアリールシリルの中のケイ素原子;ならびに/または、
(vi)芳香族炭素の1個が、上に記載されているハロゲン、酸素、硫黄、窒素および/もしくはケイ素基の1つもしくは複数に結合しているアリール基;アリール基の芳香族炭素の1個もしくは複数が、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基に結合しており、この置換が、上に記載されているハロゲン、酸素、硫黄、窒素および/もしくはケイ素基の1つもしくは複数である、アリール基;その2個の炭素原子が、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基の2個の原子と結合することによって、縮合環系を定めている、アリール基;ジヒドロナフチル;テトラヒドロナフチル;トリル;ならびに/またはヒドロキシフェニル。
代わりにまたは加えて、アクセプターを構成する1個または複数の炭素原子は、酸素、窒素、硫黄およびリンから選択されるヘテロ原子で置き換えられていてもよい。
無溶媒フォトンアップコンバージョン組成物は、様々な材料、例えば、溶液、ゲルまたはゲルを乾燥させることによって得られるフィルムなどに使用することができる。
一実施形態では、アクセプター発色団は、以下の式:
Figure 2020111751

を有するアルキル化9,10-ジフェニルアントラセンである。
アルキル化9,10-ジフェニルアントラセンは、以下のスキーム:
Figure 2020111751

を介して合成することができる。
別の実施形態では、アクセプター発色団は、分子間水素結合のためのアミド基、および酸素遮蔽のためのアルキル部分を含有する、修飾9,10-ジフェニルアントラセンである。以下の式:
Figure 2020111751

を有する。
上記修飾9,10-ジフェニルアントラセンは、以下のスキーム:
Figure 2020111751

を介して合成することができる。
一実施形態では、アクセプター発色団は、以下の式:
Figure 2020111751

で示されるような液晶を形成する分岐アルキル鎖を有するペリレンである。
分岐アルキル鎖を有するペリレンは、以下のスキーム:
Figure 2020111751

を介して合成することができる。
一実施形態では、アクセプター発色団は、以下の式:
Figure 2020111751

に示されているようにドナーとの混和性を改善するためのアルキル鎖、フェニル基、および/またはカルボキシレートを有するアントラセンである。
アルキル鎖、フェニル基、および/またはカルボキシレートを有するアントラセンは、以下のスキーム:
Figure 2020111751



Figure 2020111751



を介して合成することができる。
さらなる別の実施形態では、アクセプター発色団は、特定のカチオンと組み合わせてイオン性液体として調製してもよい。本実施形態では、カチオンは好ましくは、1つもしくは複数の非置換もしくは置換アルキル部分および/またはオリゴ/ポリ(エチレングリコール)部分を含有する。非置換または置換アルキルおよびオリゴ/ポリ(エチレングリコール)は上で定義された通りである。
特定の実施形態では、アクセプター発色団は、以下のイオン性液体:
Figure 2020111751

のうちのいずれか1つとして調製することができる。
例えば、イオン性液体A1は、以下のスキーム:
Figure 2020111751

を介して合成することができる。
有機ドナーは、Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-PhOMeTNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、PyrRuPZnおよびPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、ならびにトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマーおよびその誘導体、ならびにα-カルゴゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体からなる群から選択されるいずれか1つの化合物であってよく、1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含んでもよい。この場合、アルキル部分のそれぞれは、1〜50個の炭素原子、1〜40個の炭素原子、1〜30個の炭素原子または1〜20個の炭素原子を含んでもよい。アルキル部分は分岐状または直鎖状であってよい。置換アルキルは、その骨格内に、酸素、窒素および硫黄からそれぞれ選択される1個または複数(好ましくは、1〜3個、3個、2個または1個)のヘテロ原子を含むものであってよい。
ドナーは、液体、液晶または結晶のうちのいずれか1つの形態であってよいアクセプター発色団中で直接ドープしてもよい。
アルキル化することで、有機ドナーはアクセプター発色団中でドープすることができる。アルキル化は以下の条件下で実施することができる:
ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含有するドナー分子を、加熱(60〜120℃、好ましくは80℃)中に、ジメチルホルムアミド中塩基(例えば、K2CO3など)の存在下、臭化物基(過剰量、好ましくは、ドナー分子中のヒドロキシル/カルボキシル基の量の1.5倍超)を有するアルキル鎖と反応させる。
有機ドナーは、400〜700nm、500〜700nm、600〜700nmまたは630〜680nmの範囲の波長を有する光を放出する。
アルキル化の有無に関わらず、ドナー化合物はいくつかの置換基で置換されていてもよい。例えば、ドナーは、炭素(複数可)または水素(複数可)への1つまたは複数の結合が、以下への結合で置き換えられるような方式で置換されていてもよい:
(i)F、Cl、Br、および/もしくはIの中のハロゲン原子;ならびに/またはトリフルオロメチルおよび/もしくはアルキル含有トリフルオロメチルの中のハロゲン原子;
(ii)ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、およびエステル、カルボニル、カルボキシル、ならびに/もしくはヘテロシクリルオキシの中の酸素原子;
(iii)チオール、アルキル、アリールスルフィド、スルホン、スルホニル、およびスルホキシドの中の硫黄原子;
(iv)アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、エナミン、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ニトリル、ヘテロシクリルアミン、(アルキル)(ヘテロシクリル)アミン、(アリール)(ヘテロシクリル)アミン、および/もしくはジヘテロシクリルアミンの中の窒素原子;
(v)トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリル、およびトリアリールシリルの中のケイ素原子;ならびに/または、
(vi)芳香族炭素の1個が、上に記載されているハロゲン、酸素、硫黄、窒素および/もしくはケイ素基の1つもしくは複数に結合しているアリール基;アリール基の芳香族炭素の1個もしくは複数が、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基に結合しており、この置換が、上に記載されているハロゲン、酸素、硫黄、窒素および/もしくはケイ素基の1つもしくは複数である、アリール基;その2個の炭素原子が、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基の2個の原子と結合することによって、縮合環系を定めている、アリール基;ジヒドロナフチル;テトラヒドロナフチル;トリル;ならびに/またはヒドロキシフェニル。
代わりにまたは加えて、ドナーを構成する1個または複数の炭素原子は、酸素、窒素、硫黄およびリンから選択されるヘテロ原子で置き換えられていてもよい。
一実施形態では、有機ドナーは、以下の式:
Figure 2020111751

を有するアルキル化Pt(II)-オクタエチルポルフィリンである。
アルキル化Pt(II)-オクタエチルポルフィリンは、以下のスキーム:
Figure 2020111751

を介して合成することができる。
組成物において、有機ドナー/アクセプター発色団比のモル比は、0.001%〜1%、0.01%〜1%、0.01%〜0.5%の範囲内、0.01%または0.1%である。最も好ましくは、有機ドナー/アクセプター発色団比のモル比は0.01%である。
本発明のフォトンアップコンバージョン組成物は、様々な用途に使用することができる。例えば、組成物は、光触媒、太陽光発電系、または化合物の光生成系を含めた様々なフォトニック系の効力を増加させるために使用することができる。
実施例
本発明は、ここで、以下の実施例を使用して詳細に記載される。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではなく、付随する特許請求の範囲の範囲で理解されるべきである。
材料および方法
材料。合成のためのすべての試薬および溶媒は、さらなる精製なしで入手してそのまま使用した。白金(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP)はAldrichから購入し、入手してそのまま使用した。
アクセプター(1)の合成。N-ブロモスクシンイミド(NBS)およびトリフェニルホスフィン(PPh3)をジクロロメタン中の臭素化試薬として使用し、0℃で2時間、2-オクチル-1-ドデカノールのヒドロキシル基をブロモ誘導体に変換した。生成物9-(ブロモメチル)ノナデカンをシリカゲル上でのクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製した。アクセプター(1)の典型的な合成では、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、30mL)中の9-(ブロモメチル)ノナデカン(6mmol)、9,10-ビス(3,5-ジヒドロキシフェニル)アントラセン(1mmol)およびカリウムcarb(8mmol)の混合物を80℃に20時間加熱した。反応後、溶媒を減圧下で除去した。生成した残渣をジクロロメタンで抽出し、ブラインおよび水で数回洗浄し、次いで無水Na2SO4で脱水した。減圧下での有機層の蒸発、それに続くシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/ジクロロメタン)により、純粋なアクセプター(1)液体を得た(収率:53%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 0.84-0.88 (m, 24H), 1.24-1.43 (m, 128H), 1.53 (m, 4H), 3.84 (d, J = 6 Hz, 8H), 6.60-6.64 (m, 6H), 7.32-7.36 (m, 4H), 7.78-7.81 (m, 4H).MALDI-TOF-MS、(ジトラノールマトリクス):C106H178O4に対する計算値:1516.55;実測値:1518.32[M+]。元素分析、C106H178O4に対する計算値:C、83.95;H、11.83;実測値:C、83.97;H、11.85。
TPP-COOEHの合成。無水DMF(15mL)中のテトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン(79mg、0.1mmol)、1-ブロモ-2-エチルヘキサン(0.16mg,0.6mmol)および炭酸カリウム(0.11mg、0.8mmol)の混合物を80℃に20時間加熱した。反応後、反応溶媒を減圧下で除去した。生成した残渣をジクロロメタンで抽出し、ブラインおよび水で数回洗浄し、次いで無水Na2SO4で脱水した。減圧下での有機層の蒸発、これに続くシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/ジクロロメタン)により、純粋な紫色の固体TPP-COOEHを得た。収率:0.11mg、81%。
ドナー(2)の合成。ベンゾニトリル(30mL)中のTPP-COOEH(50mg、0.04mmol)の混合物に、PtCl2(106mg、0.4mmol)をAr雰囲気下で加えた。生成した混合物を約7時間還流させ、遊離塩基ポルフィリンの蛍光が消えた時点で反応を停止した。ベンゾニトリルの除去後、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル、n-ヘキサン/ジクロロメタン)。収率:52mg、90%。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 0.94-1.07 (m, 24H), 1.42-1.62 (m, 32H), 1.82-1.88 (m, 4H), 4.38-4.48 (m, 8H), 8.16-8.25 (m, 8H), 8.41-8.44 (m, 8H), 8.73 (s, 8H).MALDI-TOF-MS、(ジトラノールマトリクス):C80H92N4O8Ptに対する計算値:1432.69;実測値:1434.45[M+]。元素分析、C80H92N4O8Ptに対する計算値:C、67.07;H、6.47;N、3.91;実測値:C、66.88;H、6.37;N、3.84。
特徴付け。内部標準としてTMSを使用し、Bruker DRX-300分光器で1H NMR(300MHz)スペクトルを測定した。マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析法(MALDI-TOF-MS)はBruker Autoflex-IIIで実施した。元素分析はElemental Analysis Center、Kyushu Universityで行った。XRD分析は、銅K-アルファ源を有するRIGAKU smart-labで行った。SAXS分析は、銅K-アルファ源を有するRigaku MicroMax-007HFを使用して行った。発光スペクトルは、PerkinElmer LS 55蛍光分光器を使用することにより測定した。試料は石英セル表面に対して入射角45°で励起させ、垂線に沿って蛍光を検出した。発光スペクトルは375nmまたは510nmの励起波長で記録した。UV-visスペクトルはJASCO V-670 分光光度計で記録した。絶対量子収率はHamamatsu C9920-02G機器を使用して計算した。時間分解蛍光寿命測定は、時間相関単一光子計数法寿命分光法システム、HAMAMATSU Quantaurus-Tau C11367-02(蛍光寿命測定用)/C11567-01(遅延発光寿命測定用)を使用することによって行った。フィットの質は、χ(<1.2)などのフィッティングパラメーターおよび残渣の目視検査により判定した。示差走査熱量測定(DSC)は、Seiko Electronics SSC-5200機器により実施した。レオロジー実験は、Anton Paar MCR-302レオメーターを25℃で使用して行った。アップコンバージョンルミネセンス発光スペクトルは、外部の調節可能な532nm半導体レーザー(0〜140mW)を励起源として使用してOtsuka Electronics MCPD-7000機器を用いて記録した。
アップコンバージョン発光量子効率の測定。方程式1に従い、アクセプター(1)中のナイルレッドまたはローダミンBと比べて、アップコンバージョン液体のアップコンバージョン発光量子効率(φUC)を求めた。13、14
Figure 2020111751

φUC、AUC、IUC、およびηUCは、量子収率、λexでの吸光度、積分した光ルミネセンススペクトルプロファイル、およびアップコンバージョン試料中の媒体の屈折率を表す。下付き文字「std」に対応する用語は、同一の対応する励起波長における液体アクセプター(1)中の基準量子カウンターであるナイルレッドまたはローダミンBの対するものである。アップコンバージョンは1つを生成するために2つのフォトンの吸収を必要とするため、2という係数が含まれているが、これに対して基準アクチノメーターの発光は入射フォトンに直接比例する。標準的液体およびアップコンバージョンのドープ液体はすべて同じ液体アクセプター(1)中にあるので、屈折率は同じである。したがって、発明者らの実験条件では、方程式1は、以下:
Figure 2020111751

に簡略化される。
本明細書で報告された量子収率値は、少なくとも3回の独立した測定の平均を表す。
結果
不揮発性の液体アクセプター(1)は、紫外光のもとで強い青色発光を示した(図4)。示差走査熱量測定(DSC)、レオロジー、X線回折(XRD)およびX線小角散乱(SAXS)実験により、周囲温度でのアクセプター(1)の液体の特徴を確認した(図5〜7)。液体アクセプター(1)は、コアからコアの平均距離が2.1nmであるジフェニルアントラセン発色団の無秩序な凝集体で構成されている。DSCおよびレオロジーの結果は、-59℃でガラス転移温度、および0.99Pa・sの低い粘度をそれぞれ示した。広く使用されているドナーPtOEPをアクセプター(1)と混合した場合、分子的に溶解せず、偏光光学顕微鏡法下で不規則な結晶構造が観察された(図8)。一方、分岐アルキル鎖で修飾された増感剤(2)(またはドナー(2))は、ドナー(2)/アクセプター(1)=1モル%までの試験した範囲内で液体アクセプター(1)と均一に混和した。ドーピング条件を最適化するため、様々な混合比(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.001モル%〜1モル%、λex=365nm;表1)でのアクセプター(1)の絶対発光量子収率を測定した。純粋な形態でのアクセプター(1)は、0.68という高い量子収率を示したが、ドナー(2)のモル比を特に0.1モル%より上に増加させるとその蛍光は消光した。これは、アクセプター(1)からドナー(2)へのフェルスター共鳴エネルギー移動がより高いドーピング比で実行可能となることを示している。したがって、以下のすべての実験において、ドナー(2)は、0.01モル%という低いモル比でアクセプター(1)に加えた。
図3aは、0.1mMのCHCl3中のアクセプター(1)およびドナー(2)の規格化された吸収および発光スペクトルを示す。アクセプター(1)(Abs1)の吸収スペクトルは、Lバンド(320〜390nm)の典型的な振動構造を示すが、その蛍光(PL1)は最大で433nmにおいて観察された。他方、ドナー(2)(Abs2)は、403および510nmでそれぞれSoret-およびQ-バンドを示した。脱気CHCl3中に溶解したドナー(2)を520nmで光励起した場合、リン光(PL2)が660nmで観察された。溶媒を含まないアクセプター(1)の吸収および蛍光スペクトルを図9bに示す。液体アクセプター(1)は、液体中の分子の込み合いを反映して、あまり構造化されていない吸収バンドを示した。一方、純粋な液体中のアクセプター(1)の蛍光スペクトルは、CHCl3溶液中で観察されたものとほぼ等しい。純粋な液体および希釈CHCl3溶液中のアクセプター(1)に対して得られた蛍光寿命および量子収率もまた同等であり(図10および表1)、これらの観察は、基底状態での発色団間の強い電子の相互作用もエキシマーも液体アクセプター(1)中に存在しないことを示している(図9b)。ドナー(2)をドープした液体試料(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)は、511nmにおいてQ-バンドを示したが、これは、CHCl3中に溶解したドナー(2)のものに近く、ドナー(2)が液体アクセプター(1)中に分子的に分散していることを明確に支持している(図11)。
Figure 2020111751
図12aは、ドナー(2)をドープした液体アクセプター(1)の、異なる入射レーザーパワーで得た発光スペクトルの定常状態を示す(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)。極めて興味深いことに、532nmグリーンレーザーによるドナー(2)の励起の際に青色UC発光ピークが明確に観察された。UC発光のスペクトル形状(λex=532nm)は、正常な蛍光のものと同様である(λex=375nm;図9b)。増感剤(2)(またはドナー(2))のリン光は、励起パワーに関わらず完全に消光しており、これは、ドナー(2)から、アクセプター液体のアクセプター(1)への効率的な三重項−三重項エネルギー移動を示していることに注目されたい。TTAベースのUC機構を証明するために、入射光線のパワー密度に対する依存性を調査した。一般的に、TTA支援のUCは、弱い消滅限界における発光強度の二次的入射光パワー依存性により証明され、これが結果的には、飽和した消滅領域において一次的依存性へと変化する。図12bは、入射パワー密度の関数として、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)のUC発光強度に対する両対数プロットを示す(λex=532nm)。<40mW cm-2の低パワーレジームでは傾き2が観察されたが、より高いパワー密度(>40mW cm-2)では一次依存性に変化した。これらの結果は、溶媒を含まない液体系でのフォトンアップコンバージョンに対する最初の実験証拠を提供している。40mW cm-2あたりの比較的低いパワー密度においてクロスオーバー閾値が達成されたが、これは、無溶媒ポリマー系に対して報告されたものと同等であることに注目されたい。4f、8本発明の液体系中でのTTAベースのUCの発生は蛍光減衰測定でさらに検証された。ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)のUC発光は531nmでの励起下、ミリ秒の時間スケールでの減衰を示し、これは純粋な液体アクセプター(1)の蛍光寿命よりかなり長いものである(τ=7.6ns;λex=365nm;図10)。このようなゆっくりとした蛍光減衰は、長く存続する三重項状態を含むTTAベースのUC過程に対する明確な証拠を提供する。
次いで、発明者らは、0.01モル%のナイルレッドを基準として含有する液体アクセプター(1)を使用することにより、ドナー(2)ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)のUC効率を定量化した。3a,9図12cは、励起パワー密度に対する量子収率依存性を示すが、ここでは、それぞれ異なるバッチを使用して少なくとも3回の独立した測定の平均を表している。パワー密度が増加するにつれて量子効率は増加し、28%で飽和した。同等の量子収率が再現性よく観察され、液体アクセプター(1)中、基準としてRhodamin Bを使用して別のセットの実験を行うと、同様の量子収率が得られた。観察された著しく高い量子収率は、無溶媒UC系に対して報告された最も高い記録に近いもので,4f,8本発明の液体アップコンバーティング系の多大な潜在能力を示している。
以前に記載したように、酸素分子はすべての三重項を消光しこれらの用途を激しく妨害するので、UC現象を達成するためには、一般に厳密な脱酸素化処理が避けられない。しかし、驚くべきことに、現在の液体UC系は、O2分子の存在に影響されない。減圧下で得たUCデータ、すなわち、UC発光スペクトル、UC発光の入射光パワー依存性、およびドナー(2)をドープした液体アクセプター(1)(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)に対するUC蛍光減衰は、空気中で得られるものとほぼ等しかった(図10および13)。これは、O2分子の液体発色団への拡散が、発色団の周りの溶融したアルキル鎖の空気密閉作用によりかなり抑制されていることを意味する。3d,10
液体アクセプターUC系中の三重項エネルギーマイグレーションの寄与率を評価するため、低温度のガラス状態でUC実験を行った。図14に示すように、433nmでの相対的UC発光強度は、温度の低下と共に低下した(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%;λex=532nm)。4b約20%の強度がガラス状態で依然として維持されつつ、UC発光がガラス転移温度(-59℃)より下で明確に観察されたことに注目されたい。この結果は、三重項エネルギーマイグレーションが凍結したアクセプター分子間でも生じることを明確に実証している。三重項エネルギー移動およびエネルギーマイグレーションは、電子交換機構(デクスター励起移動)を介して生じることが理解されている。11これは、ドナーとアクセプターとの間の波動関数の重なりを必要とし、結果的に双極子−双極子カップリング機構(フェルスター共鳴移動)により示されるものと比較して、距離に対してかなり急な指数関数的依存性を有する(これは、これらのファンデルワールス半径の合計を有意に上回る距離にわたり生じる。)。アクセプター分子のアクセプター(1)は液体状態で、XRDデータ(図7)で示されているような極めて短距離秩序を保有し得るが、長距離秩序は欠如している。しかし、観察された効率的UCは、ドナー−アクセプター対(ドナー(2)−アクセプター(1))間での容易な三重項エネルギー移動および隣接する液体アクセプター分子(1)間での三重項エネルギーマイグレーションの発生を示している。これらの性能を達成するためには、波動関数の重なりが最大となるよう、隣接する分子間での励起した三重項分子の再配向が必要となる。したがって、図14において観察された温度依存性は、熱的に促進された三重項エネルギーマイグレーション過程の介入を実証している。このような連鎖した電子交換過程が濃縮分子液体中での三重項励起子の拡散および効率的な衝突を可能にすることは当然であろう。
自己集合能力および酸素遮蔽能力を有するアクセプターA(以下に示す)を設計した。分子間水素結合のためにアミド基で、および酸素遮蔽のためにアルキル鎖で(以下の式の中のR基)9,10-ジフェニルアントラセンを修飾した。
Figure 2020111751
Aの合成経路を以下に示す。
Figure 2020111751
Boc-Glu-C3OC12の合成。
3-(ドデシルオキシ)プロピルアミン 12.7ml(0.044モル)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド 8.43g(0.044モル)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 5.95g(0.044モル)を、400mlの蒸留ジクロロメタン中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-グルタミン酸4.94g(0.02モル)に加え、Ar中、室温で48時間反応させた。反応後、溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で数回洗浄し、無水Na2SO4で脱水した。減圧下での有機層の蒸発、これに続く再沈殿(メタノール/水)およびシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)により純粋なBoc-Glu-C3OC12固体を得た(収率:88%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 0.86-0.91 (t, 6H), 1.26 (m, 36H), 1.44 (s, 9H), 1.56-1.62 (m, 4H), 1.73-1.81 (m, 4H), 1.90-2.09 (m, 2H), 2.21-2.32 (m, 2H), 3.32-3.53 (m, 12H), 5.72-5.75 (d, 1H), 6.44 (t, 1H), 6.95 (t, 1H).ESI-MS:C106H178N3O4に対する計算値:1516.55;実測値:1518.32[M+]。ESI-MS:C40H79N3O6に対する計算値:698.07;実測値:698.65[M+]。
Glu-C3OC12の合成。
合成したBoc-Glu-C3OCl2 2.09g(3.0mmol)を150mlの蒸留ジクロロメタンに加え、氷浴で冷却した。極めて過剰のトリフルオロ酢酸 6.88mlをこの混合物に加え、室温で12時間撹拌した。その後、溶媒をロータリーエバポレーションにより除去し、油性の生成物を得た。油性化合物を10mLのTHFに溶解し、150mLのNaHCO飽和水溶液に注入した。濾過後、メタノール/酢酸エチル中での再結晶化により生成物を精製し、無色の固体Glu-C3OC12を得た(収率:94%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 0.88-0.90 (t, 6H), 1.26 (m, 36H), 1.59 (m, 4H), 1.73-1.80 (m, 4H), 1.82-2.05 (m, 2H), 2.27-2.32 (m, 2H), 3.32-3.51 (m, 12H), 6.48 (t, 1H), 6.44 (t, 1H), 7.60 (t, 1H).
DPA-2COOMeの合成。
2.12g(11.8mmol)の4-メトキシカルボニルフェニルボロン酸、1.80g(5.4mmol)の9,10-ジブロモアントラセン、2.60g(24.2mmol)のCsFおよび187mg(0.61mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の混合物を、Ar下で300mlフラスコに入れた。次いで、100mlの脱気1,2-ジメトキシエタンを加えた。Ar下で60時間還流後、溶媒を除去することにより黄色の残渣を得た。固体を35mlの水中に懸濁させ、100mlのCHCl3で抽出した。MgSO4上で有機相を脱水し、溶媒を除去した後、生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(CHCl3)により精製することによって、黄色の粉末(収率:21%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 4.02 (s, 6H), 7.32-7.38 (m, 4H), 7.56-7.61 (d, 4H), 7.61-7.64 (m, 4H), 8.28-8.31 (d, 4H).
DPA-2COOHの合成。
THF/MeOHの1/1混合物(75ml)中の288mg(0.65mmol)のDPA-2COOMeの懸濁液に、15mlの2M KOH水溶液を加えた。混合物を3時間還流させた。THFを減圧下で除去し、生成した懸濁液を水で希釈した。水性HCl(2M)での酸性化により形成された沈殿物を吸引により収集し、水で数回洗浄し、227mg(84%)の薄黄色の固体を得た。
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO): δ = 7.44-7.49 (m, 4H), 7.51-7.58 (d, 4H), 7.60-7.67 (m, 4H), 8.21-8.32 (d, 4H) 13.16 (s, 2H).
DPA-2(L)Glu(a)の合成。
3mlの蒸留ベンゼンおよび1mlの塩化チオニルを、10mlフラスコに入れた145mg(0.35mmol)のDPA-2COOHにAr下で加えた。この混合物を触媒量のDMFと共に3時間還流させた。溶媒および過剰の塩化チオニルを減圧下で除去した後、残留する黄色の固体を25mlの蒸留ジクロロメタン中に分散させ、これを、25mlの蒸留ジクロロメタンに溶解した623mg(1.04mmol)のGlu-C3OC12に、Ar下で滴下漏斗を使用して滴加した。この混合物を室温で2撹拌した。反応後、溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で数回洗浄し、無水Na2SO4で脱水した。減圧下での有機層の蒸発およびシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)により、403mgの薄黄色の固体を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 0.81-0.92 (t, 12H), 1.16-1.38 (m, 74H), 1.49-1.57 (m, 8H), 1.73-1.90 (m, 8H), 2.14-2.46 (m, 2H), 2.50-2.68 (m, 2H), 3.34-3.47 (m, 16H), 3.47-3.58 (q, 4H), 4.59-4.71 (q, 2H) 6.45-6.52 (t, 2H), 7.17-7.25 (t, 2H), 7.30-7.40 (q, 4H), 7.55-7.61 (d, 4H), 7.61-7.67 (q, 4H), 8.13-8.20 (d, 4H) 8.44-8.51 (d, 2H).元素分析:計算値:H 9.96 C 74.58 N 5.32;実測値:H 9.93 C 74.40 N 5.25。
特徴付け。
TMSを内部標準として使用して、1H NMR(300MHz)スペクトルをBruker DRX-300分光器で測定した。IRはSHIMADZU FT-IR-8400Sで行った。エレクトロスプレーイオン化飛行時間質量分析法(ESI-TOF-MS)はJMS-T100LC AccuTOFで実施した。元素分析は、Elemental Analysis Center、Kyushu Universityで行った。XRD分析は、銅K-アルファ源を有するRIGAKU smart-labで行った。原子間力顕微鏡法(AFM、タッピングモード)は、Agilent PicoPlus 5500を使用して行った。発光スペクトルは、PerkinElmer LS 55蛍光分光器を使用して測定した。試料は石英セル表面に対する入射角45°で励起させ、垂線に沿って蛍光を検出した。発光スペクトルは励起波長375nmまたは510nmで記録した。UV-visスペクトルはJASCO V-670分光光度計で記録した。絶対量子収率はHamamatsu C9920-02G機器を使用して計算した。時間分解蛍光寿命測定は、時間相関単一光子計数法寿命分光法システム、HAMAMATSU Quantaurus-Tau C11367-02(蛍光寿命の測定用)/C11567-01(遅延発光寿命の測定用)を使用することにより行った。フィットの質は、χ(<1.2)などのフィッティングパラメーター、および残渣の目視検査により判定した。アップコンバージョンルミネセンス発光スペクトルは、外部の、調節可能な532nm半導体レーザー(0〜140mW)を励起源として使用してOtsuka Electronics MCPD-7000機器を用いて記録した。
クロロホルム中のAの集合構造は、1H-NMR、原子間力顕微鏡(AFM)、および吸収/発光スペクトルで調べた。可変温度で1H-NMR測定を行うと、温度を上げることによってより高い磁場へのアミド基のピークシフトを示したが、これは25℃での分子間水素結合の存在を示している。原子的に平坦で高配向のパイログラファイト(HOPG)にドロップキャストした溶液AをAFMにより調べると、厚さ約2nmの線維性の構造が示されたが、この厚さは単独の分子幅と一致する。加熱によりクロロホルム中のAの吸収スペクトルに対して小さなシフトのみが観察されたことは、アントラセン部分の間には強い相互作用が存在しないことを示唆している。
ドナーであるPt(II)オクタエチルポルフィリン(D;10μM)をA(10mM)のクロロホルム溶液に加えた。興味深いことに、532nmでの励起によって、青色のアップコンバージョン発光が約440nmで明確に観察された(図15)。ドナーのリン光が存在しないことは、ドナー分子がアクセプター集合体中に含まれており、三重項エネルギーがアクセプターAに効果的に移動したことを示している。このA-D混合物溶液のUC量子収率は、通気条件下および脱気条件下でそれぞれ36%および60%までも高いことが判明した。この著しく高い量子収率は、アクセプター集合体の良好な酸素遮蔽能力を明確に示している。また、この酸素遮蔽性能も寿命測定により確認した;A-D混合物溶液中のアクセプター三重項に対し、室温通気条件でも、633μsという長い寿命を観察した。溶媒(209K)の融点より下でもUC発光が明らかに観察され、これは三重項エネルギーマイグレーションによるTTA-UCの機構を裏付けるものである(図16)。
以前の報告では、ドナーとアクセプターとの間の巨視的な相分離により、ドナーからアクセプターへの効率的な三重項−三重項エネルギー移動を達成することが依然として困難であった。発明者らの系では、アクセプター集合体中にドナー分子を有効に包含させることで、ドナーの均一なドーピングが固体状態でも達成された。A-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)から調製したキャストフィルムは、空気中で明白なUC発光を示した(図17)。この結果は、三重項エネルギーがドナーからアクセプターへと移動し、三重項エネルギーがアクセプターアレイ内をマイグレートすることを明確に示している。重要なことに、酸素遮蔽能力は、固体フィルム状態で維持された。
溶媒をクロロホルムから1,2-ジクロロエタンに変更することによって、アクセプターAは、室温でゲルを形成することが判明した。アクセプターゲルはドナーDをドープした([A]=16mM、[D]=16μM)。重要なことに、A-D混合物ゲルは、環境条件でも緑色光での励起により青色UC発光を示した(図18)。ゲル中で分子の拡散が制限され、エネルギーマイグレーション機構により効率的なTTA-UCが生じることが可能となる。
研究者らは、ドナーおよびアクセプターを溶解するための揮発性有機溶媒の代わりに非揮発性イオン性液体を使用したが、イオン性液体の粘度が高いため強い励起(約1000mW/cm2)を使用する必要があり、UC発光は酸素により消光していた。発明者らはここで、非揮発性イオン性液体における、空気中で安定な低パワーのフォトンアップコンバージョンを示す。このイオン性液体は、アニオン性アクセプターおよび柔軟性のあるカチオンで構成され、ドナー分子は、これらのアクセプターイオン性液体に溶解しているものである。
イオン性液体の設計柔軟性を活用して、アクセプターアントラセン部分を含有するアニオンと、柔軟性のあるアルキルまたはオリゴ(エチレングリコール)連鎖を有するカチオンとの組合せにより異なるイオン性液体を調製した。
Figure 2020111751
アクセプターA1を典型例として採用している合成経路を以下に示す。生成物の純度は1H-NMRおよび元素分析で特徴づけた。
Figure 2020111751
イオン性液体の光学特性は、吸収および発光スペクトルにより特徴づけた(図19)。CHCl3溶液中A1および無溶媒イオン性液体の吸収スペクトルの間でピークシフトは存在しなかったが、これは、アクセプター部分間に強い相互作用が存在しないことを示している。
ドナーPt(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP)をイオン性液体中にうまく溶解させた。A1およびPtOEP(0.1モル%)のCHCl3溶液を減圧下で乾燥させ、不活性なAr雰囲気中に密閉した。図20は、A1-PtOEP混合物の写真および顕微鏡像を示す。相分離および沈殿物は観察されず、A1の均一な青色蛍光およびPtOEPの赤色のリン光が観察された。
無溶媒のイオン性液体状態のA1-PtOEP混合物は、532nmでの励起により450nm付近での明白なアップコンバージョン発光を示した(図21)。励起パワー密度に対するUC発光強度のプロットは、弱いパワー密度領域で約2の傾きを示したが、これはアップコンバージョン発光がTTA過程に基づくことを裏付けるものである。傾きの変化は、イオン性液体中の色素分散液に対して報告された値(約1000mW cm-2)よりずっと低い10mW cm-2で観察された。
A1-PtOEP混合物のUC発光は、A1のガラス転移温度(10℃)より下でも観察された。これは、TTA-UC事象について、高密度のアクセプター凝集体中の三重項エネルギーマイグレーションが重要であることを示すものである(図22a)。重要なことに、A1-PtOEP混合物のUC発光は、空気中でも明らかに観察された(図22b)。
効率的三重項−三重項消滅−フォトンアップコンバージョン(TTA-UC)は、溶液中のドナーとアクセプターの拡散および衝突を利用することによって達成したが、これらの実用的用途を制限する深刻な問題が存在する。それは揮発性溶媒の使用である。最近では固体ポリマーフィルム中でのTTAベースのUCが検討されているが、このような巨大分子のマトリクスは、三重項分子の拡散を必然的に制限し、これがUCの効率を制限してしまう。この問題を解決するために、発明者らは、分子の拡散からエネルギーマイグレーションへのパラダイムシフトを提案する。異なる分子集合体の間で、液晶(LC)は、効率的な三重項エネルギーマイグレーションを示すことが知られているが、LC中のTTA-UCについての報告はなされていない。ここで、発明者らは、低い励起強度で高度に効率的なTTA過程を示す、LCのアップコンバージョンの最初の例を示す。
アクセプター単位と、ペリレンと、分岐アルキル鎖とで構成される柱状LC1化合物を合成した。
Figure 2020111751
1をDSC測定すると、液晶相に対して-76℃〜250℃の広い温度範囲を示した。1を粉末X線回折(PXRD)測定すると、六方晶形の円柱状液晶の典型的な回折パターンを示した。偏光顕微鏡では、六方晶形の円柱状液晶の典型的な組織が同様に観察された。Pt(II)テトラフェニルテトラベンゾポルフィリン(2)をドナーとして利用した。1と2の混合溶液(2/1=0.1モル%)を単に蒸発させるだけで、ドナー2をLC1中でドープした。得られた混合物は、偏光下で六方晶形の円柱状液晶の組織を示し、2の凝集は観察されなかった(図23)。2をドープした1をPXRD測定すると、六方晶形の柱状の相を保持することが示された。
図24aは、2をドープしたLC1(2/1=0.1mol%)の発光スペクトルを示す。黄色のUC発光が635nmでの励起の際に観察された。ドナー2(760nm)のリン光は、励起パワーに関わらず完全に消光していることは注目に値し、これは2から1への効率的な三重項−三重項エネルギー移動を示している。TTAベースのUC機構を証明するため、入射パワー密度に対するUC発光依存性を調べた。一般に、TTA-支援されたUCは、弱い消滅限界において二次的入射光パワー依存性を示し、これは結果的に飽和した消滅レジームにおいて一次依存性に変化する。図24bは、入射パワー密度の関数として、2をドープしたLC1(2/1=0.1mol%)のUC発光強度に対する二重対数プロットを示す(λex=635nm)。<340mW cm-2の低パワーレジームでは、約2の傾きが観察されたが、より高いパワー密度(>340mW cm-2)ではこれが約1に変化した。これは、この液晶系におけるTTAベースのUCに対する決定的な実験証拠を提供している。クロスオーバー閾値(Ith)は、パワー密度、約340mW cm-2において観察される。
液晶アクセプターUC系における三重項エネルギーマイグレーションの存在を証明するため、発光スペクトルを低い温度のガラス状態で記録した。図25に示されているように、UC発光強度は温度の低下と共に低下した。しかし、UC発光はガラス転移温度(-87℃)より低い温度でも観察され、周囲温度で観察されたものと比較して、60%超の強度が維持されている。この結果は、三重項エネルギーマイグレーションが凍結したアクセプター分子間で生じていることを明確に実証している。
効率的TTA-UCは、溶液中のドナーとアクセプターの拡散および衝突を利用することによって達成したが、これらの実用的用途を制限する深刻な問題が存在する。それは揮発性溶媒の使用である。最近では固体ポリマーフィルム中でのTTAベースのUCが検討されているが、このような巨大分子マトリクスは、UCの効率を制限する三重項分子の拡散を必然的に制限してしまう。この問題を解決するために、発明者らは分子の拡散からエネルギーマイグレーションへのパラダイムシフトを提案する。TTA-UCに対して理想的な材料は、増感剤をドープした発光体結晶である。このような系においてTTA速度は、秩序化した結晶構造内での三重項励起子の高い拡散率により最大となる。しかし、一般的な発光体および増感剤は、分離した結晶構造を形成する傾向にあり、したがって必要とされる密接な接触を阻止する。発明者らは、ドナー分子のアクセプター結晶内での分子的分散を可能にする、アルキル鎖によるアクセプター分子の化学的修飾によりこの問題を解決した。ドナー−アクセプター混合溶液を単にキャストするだけで、得られた固体フィルムは、明白なアップコンバージョン発光を示す。
結晶性アクセプター分子A1、A2、およびA3を設計し、合成した。ドナーとの混和性の改善のため、蛍光の消光を回避するためのアントラセン間の立体障害のため、および分子間配置の制御のため、アクセプターであるアントラセンをそれぞれアルキル鎖、フェニル基、およびカルボキシレートで修飾した。
Figure 2020111751
これらの化合物の合成を以下に示す。
Figure 2020111751




トルエン

Figure 2020111751
アクセプターA1、A2、およびA3の固体フィルムは、これらの化合物のCHCl3溶液をキャストすることによって調製した。偏光顕微鏡法およびX線回折測定により、すべてのアクセプターA1、A2、およびA3が良好な結晶化度を有することが示された(図26および27)。
重要なことに、ドナーPt(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP)は、結晶性の固体A1、A2、およびA3中に均一に分散させることができる。アクセプターとドナー(0.1モル%)の混合溶液をガラスプレート上にキャストし、環境条件で乾燥させた。ドープした固体を光学顕微鏡により観察すると、ドナー分子の均一な分布が示された(図28)。
図29は、PtOEP溶液中のPtOEP、塊状のPtOEP固体、およびPtOEPをドープしたアクセプター結晶の吸収バンドを示している。PtOEPをドープしたA1フィルムにおける吸収ピークは、PtOEP溶液と塊状PtOEPとの間に位置し、これはA1結晶内でのPtOEPの部分的な凝集を示唆している。他方、PtOEPドープしたA2およびA3のフィルムでは、吸収ピークはPtOEP溶液中のものに近い。これらの結果は、ドナーPtOEPがA1およびA2アクセプター結晶内で分子的に分散したことを示している。観察されたドナー混和性の差は、A1よりもA2およびA3において分子1個当たりより多くアルキル鎖が存在することに起因する。
PtOEPドープしたアクセプター結晶の発光スペクトルを、Ar雰囲気中で532nmでの励起により測定した(図30)。約650nmでのPtOEPのモノマー性リン光とともに、別の発光バンドがPtOEPドープしたA1フィルムに対して約750nmで観察された。このさらなるバンドは、凝集したPtOEP分子からの発光に割り当てることができる。凝集したPtOEPの発光は、PtOEP-ドープしたA2およびA3フィルムに対しては観察されておらず、これらの観察は、吸収測定の結果と十分一致している。ドープしたフィルムは、約1mW cm-2の低い励起パワー密度でも450nmで明白なアップコンバージョン発光を示したことは重要である。UC強度対励起パワーにおける低い閾値強度(<30mW cm-2)の対数−対数プロットが、PtOEPをドープしたA2およびA3フィルムに対して観察された。
Figure 2020111751
アントラセンジカルボニルクロリドの合成。
10mlの蒸留ジクロロメタンおよび1mlの塩化チオニルを、Ar下で、50mlフラスコ内に入れた100mg(0.38mmol)のアントラセンジカルボン酸に加えた。この混合物を2時間一緒に還流させた。溶媒および過剰の塩化チオニルを減圧下で除去後、残存する黄色の固体を精製なしで使用した。
Figure 2020111751
A’-1の合成。
5mlの蒸留ジクロロメタン中に溶解した114mgのアントラセンジカルボニルクロリドを、Ar下で、10mlの蒸留ジクロロメタン中に溶解した185mg(1.52mmol)のドデシルアミンに滴下添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した。反応後、溶液を希釈塩酸および水で数回洗浄し、無水Na2S04で脱水した。減圧下での有機層の蒸発、これに続くシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)および再結晶化(アセトン)により、190mgの無色の固体を得た。1H NMR (300MHz, CDCl3): δ=0.80-0.94 (t, 6H), 1.06-1.48 (m, 36H), 1.67-1.81 (五重線, 4H), 3.62-3.76 (q, 4H), 5.89-6.02 (s, 2H), 7.47-7.56 (m, 4H), 8.00-8.12 (m, 4H).元素分析:計算値:H 9.96 C 74.58 N 5.32;実測値:H 9.93 C 74.40 N 5.25。
Figure 2020111751
A’-2の合成。
5mlの蒸留ジクロロメタン中に溶解した114mgのアントラセンジカルボニルクロリドを、Ar下で、10mlの蒸留ジクロロメタン中に溶解した185mg(1.52mmol)のドデシルアミンに滴下添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した。反応後、溶液を希釈塩酸および水で数回洗浄し、無水Na2SO4で脱水した。減圧下での有機層の蒸発、これに続くシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)および再結晶化(アセトン)により、190mgの無色の固体を得た。1H NMR (300MHz, CDCl3): δ=0.81-0.94 (t, 6H), 0.97-1.47 (m, 52H), 1.68-1.80 (五重線, 4H), 3.65-3.76 (q, 4H), 5.89-5.99 (s, 2H), 7.48-7.56 (m, 4H), 8.01-8.12 (m, 4H).
Figure 2020111751
3-(ドデシルオキシ)プロピルアミン 0.32ml(1.1mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド 93.6mg(0.5mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 67.6mg(0.5mmol)を、50mlの無水DMF中のアントラセンジカルボン酸 66.5mg(0.25mmol)に加え、Ar中、室温で40時間反応させた。反応後、溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液および水で数回洗浄し、無水Na2S04で脱水した。減圧下で有機層を蒸発させ、これに続いて、再沈殿(メタノール/水)およびシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)により、78mgの無色の固体を得た。1H NMR (300MHz, CDCl3): δ=0.81-0.94 (t, 6H), 0.96-1.50 (m, 40H), 1.94-2.11 (五重線, 4H), 3.26-3.36 (t, 4H), 3.53-3.65 (t, 4H), 3.77-3.90 (q, 4H), 6.58-6.70 (s, 2H), 7.47-7.57 (m, 4H), 8.01-8.13 (m, 4H).
図31は、空気飽和クロロホルム中のドナーPtOEPの存在下でのアクセプターA’-1、A’-2、およびA’-3の光ルミネセンススペクトルを示している([アクセプター]=10mM、[PtOEP]=10μΜ;λεχ=532nm)。440nm周辺でのアップコンバージョン発光が、すべての混合物溶液から明確に観察され、これは、これらのドナー−アクセプターハイブリッドにおける酸素による消光の有効なブロッキングを示している。
図の説明文
図1。三重項光増感剤としてドナー(2)を使用し、三重項アクセプター(および発光体)として液体アクセプター(1)を使用する、増感された三重項−三重項消滅(TTA)ベースのアップコンバージョン発光を示す定性的Jablonski図である。
図2。マトリクスフリーの液体アップコンバージョン系の概略図による表示である。アクセプター液体(黄色)中のドナー分子(赤色)は、長い波長光により励起される。これに続いて、ドナーからアクセプターへの三重項−三重項エネルギー移動(TTET)、続いて三重項エネルギーマイグレーションおよび三重項−三重項消滅(TTA)過程が生じる。これら一連のフォト−リラクゼーション過程は、アクセプターのアップコンバージョンされた一重項状態から遅延蛍光を効率的に付与する。
図3。(a)液体アクセプター(1)および増感剤(2)(またはドナー(2))の化学構造。(b)白色光および(c)532nmグリーンレーザー(レーザー入射方向は緑色が矢印で示されている)に曝露された際のドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の写真。明るい青色発光はUC発光によるもので、緑色のスポットは散乱した入射レーザーである。
図4。(a)可視光および(b)UV(365nm)光のもとでの液体アクセプター(1)の写真。
図5。冷却トレース(10℃/分)におけるアクセプター(1)のDSCサーモグラム。観察された屈曲はガラス転移に割り当てることができる。加熱−冷却サイクルを3回超繰り返すと、-59℃でのガラス転移温度が再現性よく観察された。
図6。(a)アクセプター(1)の貯蔵弾性率(G’;黒色の正方形)および損失弾性率(G’’;赤色の円)対角周波数。(b)アクセプター(1)の複素粘度(η)対角周波数(η=0.99Pa s)。貯蔵弾性率と比較して、観察されたより大きな損失弾性率は、化合物アクセプター(1)が液体状態にあることを示している。液体アクセプター(1)はグリセロール(1.2Pa s)よりも低い粘度、および他の液体芳香族と同等の粘度を有する。15
図7。液体アクセプター(1)の(a)XRDおよび(b)SAXSプロファイル。XRD分析では、アクセプター(1)は、溶融した脂肪族連鎖間の平均距離4.4Å(2θ=19.9°)に対応する広角度領域内でハロを示す。SAXS分析において、アクセプター(1)は、無秩序なアントラセンのコアからコアの距離21Åに対応する小さな角度領域の中で広いハロを示す。15
図8。アクセプター(1)とPtOEPの混合物(PtOEP/アクセプター(1)=1モル%)の(a)光学顕微鏡像および(a’)偏光顕微鏡像。アクセプター(1)とドナー(2)とからなる混合物(ドナー(2)/アクセプター(1)=1モル%)の(b)光学顕微鏡像および(b’)偏光顕微鏡像。
図9。(a)脱気CHCl3中のアクセプター(1)(λex=375nm、0.1mM)とドナー(2)(λex=510nm、0.1mM)のCHCl3溶液の規格化された吸収および発光スペクトル。(b)液体アクセプター(1)(λex=375nm)およびドナー(2)のキャストフィルム(λex=520nm)の規格化された吸収および発光スペクトル。
図10。(a)CHCl3中の液体アクセプター(1)(0.1mM、黒線)および無溶媒状態の液体アクセプター(1)(青線)に対して観察された蛍光減衰(λex=365nm、λem=450nm)。単独の指数関数フィッティングを用いた、溶液および純正の液体に対する蛍光寿命はそれぞれ6.53nsおよび7.66nsであった。(b)ドナー(2)ドープした液体アクセプター(1)(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%;λex=531nm、λUC=450nm)からの空気中(青線)および真空中(赤線)でのTTAアップコンバージョンによる遅延発光に対して得た蛍光減衰曲線。
異なるアルキル鎖構造を有する関連液体化合物に対して報告された発光を、二重指数減衰にフィットさせた。15しかし、発明者らのケースでは、液体アクセプター(1)のデータは単独の指数関数にフィットさせることができるが、二重指数関数を使用したフィッティング結果からは、第2の成分のごくわずかな部分しか得られなかった。発見されたこの差は、光化学的に単離した理想的な液体発色団を得るためのアルキル鎖構造の重要性を意味する。
図11。ドープした液体アクセプター(1)(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の規格化された吸収および発光(λex=375nm)スペクトル。
ドナー(2)をドープした液体試料は、511nmでQ-バンドを示したが、これは、CHCl3に溶解したドナー(2)のものに近い(図9a)。ドナー(2)の吸着範囲を、顕著な518nmへの赤色シフトを示したキャストフィルムで測定したが、これは、固体フィルム内での凝集体の形成を示している(図9b)。これは固体フィルムドナー(2)に対する発光スペクトルの測定によりさらに支持され(λex=520nm)、この測定では、718nmにおいてリン光が得られ、827nmにおいて段部ピークがあった(図9b)。後者の827nmピークは、ダイマー発光に割り当てることができる。16これらのデータは、ドナー(2)がアクセプター液体アクセプター(1)中で分子的に分散していることを支持する。
図12。(a)空気中での、532nmレーザーの異なる入射パワー密度を用いた、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の光ルミネセンススペクトル。(b)入射パワー密度に対する433nmでのアップコンバージョン発光強度依存性(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)。破線は、それぞれ低パワーおよび高パワーレジーム内での、2.0(紫色)および1.0(緑色)の傾きを有するフィッティング結果である。(c)ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の量子収率を532nmの入射パワー密度の関数として測定した。
図13。(a)真空中での、532nmレーザーの異なる入射パワー密度を用いた、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の光ルミネセンススペクトル。(b)真空中での、ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)の433nmでのアップコンバージョン発光強度の入射パワー密度依存性。破線は、それぞれ低パワー密度および高パワー密度レジーム内での、2.0(青色)および1.0(赤色)の傾きを有するフィッティング結果である。
図14。ドープした液体(ドナー(2)/アクセプター(1)=0.01モル%)のλem=433nm(λex=532nm)での温度依存性UC発光強度のプロットである。
図15:励起パワーを変化させた、A-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)の空気中でのアップコンバージョン発光(λex=532nm)。
図16:A-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)の空気中での、293K(赤色)および198K(青色)での発光スペクトル。
図17:A-D混合クロロホルム溶液([A]=10mM、[D]=10μM)から調製したキャストフィルムの空気中のUC発光。
図18:A-D混合物([A]=16mM、[D]=16μM)の1,2-ジクロロエタンゲルおよびその青色UC発光。
図19:A1の0.1mM CHCl3溶液(黒色)および無溶媒のイオン性液体A1(赤色)の吸収および発光スペクトル。
図20:(a)2枚の石英プレート間で密閉したA1-PtOEP混合物の写真。A1-PtOEP混合物の(b)顕微鏡画像および(c)発光画像。
図21:(a)Ar中のA1-PtOEP混合物のUC発光スペクトル。(b)Ar中でのA1-PtOEP混合物のUC発光強度の励起パワー依存性。
図22:(a)異なる温度での、Ar中のA1-PtOEP混合物のUC発光強度。(b)空気中のA1-PtOEP混合物のUC発光スペクトル。
図23:2をドープした液晶1(2/1=0.1モル%)の偏光光学顕微鏡像。
図24:(a)635nmレーザーの異なる入射パワー密度を用いた、2ドープした液晶1(2/1=0.1モル%)の光ルミネセンススペクトル。(b)580nmでのUC発光強度の入射パワー密度に対する依存性。青線および赤線は、低パワーレジームおよび高パワーレジーム内での、2.3(青色)および1.1(赤色)の傾きを有するフィッティング結果である。
図25:ドープしたLC(2/1=0.1モル%)のλem=580nm(λex=635nm)での温度依存性UC発光強度のプロット。
図26:溶液をキャストした(a)A1、(c)A2、(e)A3の光学顕微鏡像、および(b)A1、(d)A2、(f)A3の偏光顕微鏡像。
図27:A1(青色)、A2(赤色)、およびA3(緑色)の粉末X線回折プロファイル。
図28:溶液をキャストした(a)A1-PtOEP、(c)A2-PtOEP、(e)A3-PtOEPの光学顕微鏡像、および(b)A1-PtOEP、(d)A2-PtOEP、(f)A3-PtOEPの偏光顕微鏡像。
図29:PtOEP CHCl3溶液(赤色)、純正PtOEP固体(緑色)、および1.0モル%PtOEPをドープしたアクセプター固体フィルム(青色、(a)A1、(b)A2、(c)A3)の吸収スペクトル。
図30:PtOEPドープした(a)A1、(b)A2、(c)A3フィルムの発光スペクトル。
図31:室温での、通気したクロロホルム中の、PtOEP(10μM)を有する、(a)A’-1(10mM)、(b)A’-2(10mM)、および(c)A’-3(10mM)の光ルミネセンススペクトル(λεχ=532nm)。
結論として、この研究は、液体分子のネットワーク系のアップコンバージョンの最初の例を実証し、この系は、28%まで高い量子収率で、驚くほど空気中で安定なアップコンバージョン特性を発揮する。ドナー−アクセプター対への分岐アルキル鎖の導入は、良好な混和性および酸素遮蔽作用というメリットをもたらした。フォトンアップコンバージョン液体中の、空気中で安定し、長く存続する三重項は、分子の自己集合の概念と統合し得るが,12これは、集団の励起状態のエネルギー景観の制御において新たな観点を提供し得る。現在の液体UC系の近IRから可視または可視からUV領域への延長はまた、重要なエネルギー問題を解決するための解決策を提供し、現在の液体アップコンバーティング系は、地球に優しい軟質材料への新たなドアを開くことが想定される。
超分子の自己集合という概念を導入することによって、最大効率、低電力の、空気中で安定した集光性TTA-UC系が開発された。適切に設計された両親媒性アクセプター分子が、有機媒体中で自然に自己集合することによって、ナノテープ状の単層集合体が作られる。これらは、脱気(60%)および通気(36%)条件下の両方において最大UC量子収率をもたらすドナー分子を効率的に取り込む。本発明の集光系分子の酸素に対する耐性は注目に値する。現在の集光系にはいくつかの用途が想像でき、これらによって、多くの研究分野における自己集合ベースの分子技術の新たな道が切り開かれる。集光性自己集合体を発色団の他の組合せに合理的に拡張することによって、光起電力装置および光触媒装置を改善するための、近IRから可視または可視からUVへの新規アップコンバージョン系をもたらすことになる。水中での両親媒性集光系の設計により、多くの生物学的用途が見出される。TTA-UCの域を超えて、発明者らは、様々な自己集合体における三重項励起子の形成およびマイグレーションを想定しており、これらの有酸素性の安定性は、材料科学に多大な影響を及ぼすことになろう。
参考文献
Figure 2020111751

Figure 2020111751

Claims (20)

  1. (a)アクセプター発色団と、
    (b)有機ドナーと
    を含む無溶媒フォトンアップコンバージョン組成物であって、
    前記アクセプター発色団が液体、液晶または結晶の形態のうちの1つであり、前記有機ドナーをドープされており、
    前記アクセプター発色団以外に溶媒を含まない、組成物。
  2. 前記アクセプター発色団が、9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ルブレンおよびテトラセンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記有機ドナーが、Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pyr3RuPZn3およびPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、ならびにトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマーおよびその誘導体、ならびにα-カルゴゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記アクセプター発色団が、1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、請求項2に記載の組成物。
  5. 前記アクセプター発色団が、オリゴ/ポリ(エチレングリコール)、糖類、モノ/オリゴヌクレオチド、カルボキシレート、ビピリジン、テルピリジン、カテコール、フェナントロリン、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquiodimethane)、フラーレン、コレステロール、アミノ酸、金属間相互作用を形成するAu/Ag/Pt/Pd錯体、ビピリジニウム、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、およびトリアゾール、ハロゲンから選択される1つまたは複数の自己集合部分を含む、請求項2に記載の組成物。
  6. 前記自己集合部分が、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、ハロゲンおよび芳香族基から選択される1つまたは複数の分子間相互作用部位を含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記有機ドナーが、1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、請求項3に記載の組成物。
  8. 有機ドナー/アクセプター発色団比のモル比が0.001%〜1%の範囲内にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記アクセプター発色団が、1つもしくは複数の非置換もしくは置換アルキル部分および/またはオリゴ/ポリ(エチレングリコール)部分を含むカチオン分子と共にイオン性液体を形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記アクセプター発色団が、
    Figure 2020111751

    からなる群から選択されるイオン性液体を形成する、請求項9に記載の組成物。
  11. 空気中でアップコンバージョン系として機能する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を使用して、空気中でフォトンアップコンバージョンを達成する方法。
  13. 9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、ルブレンおよびテトラセンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、無溶媒フォトンアップコンバージョンのためのアクセプター発色団。
  14. 1〜50個の炭素原子からなる1つまたは複数の非置換または置換アルキル部分を含む、請求項13に記載のアクセプター発色団。
  15. オリゴ/ポリ(エチレングリコール)、糖類、モノ/オリゴヌクレオチド、カルボキシレート、ビピリジン、テルピリジン、カテコール、フェナントロリン、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン、フラーレン、コレステロール、アミノ酸、金属間相互作用を形成するAu/Ag/Pt/Pd錯体、ビピリジニウム、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、およびトリアゾール、ハロゲンから選択される1つまたは複数の自己集合部分を含む、請求項13に記載のアクセプター発色団。
  16. 前記自己集合部分が、アミド、ウレア、ピリジン、シトシン、ナフチリジン、カルボキシレート、イミダゾール、トリアゾール、ハロゲンおよび芳香族基から選択される分子間相互作用部位の1つまたは複数を含む、請求項15に記載のアクセプター発色団。
  17. 1つもしくは複数の非置換もしくは置換アルキル部分および/またはオリゴ/ポリ(エチレングリコール)部分を含むカチオン分子と共にイオン性液体を形成する、請求項13に記載のアクセプター発色団。
  18. Figure 2020111751

    からなる群から選択されるイオン性液体を形成する、請求項17に記載のアクセプター発色団。
  19. Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル−テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pyr3RuPZn3およびPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)誘導体、ならびにトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマーおよびその誘導体、ならびにα−カルゴゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、無溶媒フォトンアップコンバージョンのための有機ドナー発色団。
  20. 1〜50個の炭素原子からなる1つもしくは複数の非置換もしくは置換アルキル部分を含む、請求項19に記載の有機ドナー。
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