JP2018168257A - 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法 - Google Patents

光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018168257A
JP2018168257A JP2017065789A JP2017065789A JP2018168257A JP 2018168257 A JP2018168257 A JP 2018168257A JP 2017065789 A JP2017065789 A JP 2017065789A JP 2017065789 A JP2017065789 A JP 2017065789A JP 2018168257 A JP2018168257 A JP 2018168257A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
structural unit
light
optical
site
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017065789A
Other languages
English (en)
Inventor
秀和 小西
Hidekazu Konishi
秀和 小西
大和 山根
Yamato Yamane
大和 山根
利彦 長村
Toshihiko Nagamura
利彦 長村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Asahi Yukizai Corp
Original Assignee
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Asahi Yukizai Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Institute of National Colleges of Technologies Japan, Asahi Yukizai Corp filed Critical Institute of National Colleges of Technologies Japan
Priority to JP2017065789A priority Critical patent/JP2018168257A/ja
Publication of JP2018168257A publication Critical patent/JP2018168257A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現する光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、光を吸収して励起三重項状態となる増感部位と、この増感部位からの三重項エネルギー移動を受けて励起三重項状態を生じ、さらにその励起三重項間衝突によって励起一重項状態となる発光部位とを有する光アップコンバージョン組成物であって、ハイパーブランチポリマーを含有し、上記ハイパーブランチポリマーが、上記増感部位を含む第1構造単位及び上記発光部位を含む第2構造単位の少なくとも一方と、上記第1構造単位及び上記第2構造単位以外の第3構造単位とを有することを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法に関する。
光アップコンバージョンとは長波長光を短波長光に変換する方法である。光アップコンバージョン組成物の用途としては、例えば有機太陽電池などが挙げられる。有機太陽電池において自由電荷担体を発生させるのは、太陽光のうちの紫外光及び青色光である。そこで、有機太陽電池に光アップコンバージョン組成物を用いることにより、赤色光などの長波長光を青色光などの短波長光に変換し、有機太陽電池の光電変換効率を高めることが期待されている。
光アップコンバージョンの従来の方式としては、(1)強力なパルスレーザーを用いた二光子吸収、(2)非線形光学結晶とコヒーレント光源とを用いた第二高調波発生、(3)希土類元素の二段階励起を用いるものが挙げられる。これらの方式はコヒーレントな非常に強い入射光(レーザー)を必要とし、また、光アップコンバージョン効率は0.2%以下と非常に低い値であった。これらは、レーザーの波長変換光学素子などとして用いられているが、非常に強いコヒーレント光を必要とするため、有機太陽電池には利用できない。これに対して、2003年に初めて報告された二種類の光機能分子と三重項−三重項消滅(triplet−triplet annihilation(TTA))とを用いる方式は、入射光強度の低い非コヒーレント光に対し、1%以上の光アップコンバージョンを行える方法として注目を集めている。具体的には、長波長の光を吸収し効率的に三重項を生成する増感剤(sensitizer)と、増感剤から三重項間エネルギー移動(triplet−triplet energy transfer(TTET))で長寿命の励起三重項を生じ、さらにその励起三重項間衝突によって励起一重項を生成して蛍光を発する発光剤(emitter)という役割分担させた二種類の要素を組み合わせている。
上記二種類の要素を組み合わせる方法として、これまで、この二種類の要素を混合させた溶液系について検討されている(国際公開第2014/136619号参照)が、光アップコンバージョン効率は低いものに留まっており、光アップコンバージョン効率の向上が求められている。加えて、励起三重項状態は空気中や溶液中の酸素によって消光され、失活するため、溶液系では、溶存酸素を除く脱気処理を必要とする。そのため、実用化のためにはフィルム化が必須である。フィルム化の検討は、これまで、高分子へ低分子を分散させる方法などが検討されているが、この方法では、やはり光アップコンバージョン効率が低いという不都合がある。
国際公開第2014/136619号
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現する光アップコンバージョン組成物、この光アップコンバージョン組成物から形成されたフィルム、及びこのフィルムを用いる光アップコンバージョン方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ハイパーブランチポリマーを用いることにより、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現する光アップコンバージョン組成物及びフィルムが得られることが明らかとなった。
上記課題を解決するためになされた発明は、光を吸収して励起三重項状態となる増感部位と、この増感部位からの三重項エネルギー移動を受けて励起三重項状態を生じ、さらにその励起三重項間衝突によって励起一重項状態となる発光部位とを有する光アップコンバージョン組成物であって、ハイパーブランチポリマーを含有し、上記ハイパーブランチポリマーが、上記増感部位を含む第1構造単位及び上記発光部位を含む第2構造単位の少なくとも一方と、上記第1構造単位及び上記第2構造単位以外の第3構造単位とを有することを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該光アップコンバージョン組成物から形成されたフィルムである。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該フィルムに光を照射する工程を備える光アップコンバージョン方法である。
ここで、「ハイパーブランチポリマー」とは、多数の枝からなる樹木状の多分岐高分子であって、分子構造は必ずしも規則的ではないものをいう。
本発明の光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法によれば、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現することができる。また、本発明の光アップコンバージョン組成物によれば、容易にフィルム化が可能なため、従来の溶液系で行っていた溶存酸素を除く脱気処理を不要とすることができる。
ハイパーブランチポリマーの分岐構造を示す概念図である。 ハイパーブランチポリマーの製造方法を示す概念図である。 ハイパーブランチポリマーの重合反応を示す概念図である。 実施例の光アップコンバージョン組成物の分光特性を示すチャートである。 実施例の光アップコンバージョン組成物の分光特性を示すチャートである。 実施例の光アップコンバージョンフィルムの分光特性を示すチャートである。
<光アップコンバージョン組成物>
当該光アップコンバージョン組成物は、光を吸収して励起三重項状態となる増感部位(以下、「増感部位(X)」ともいう)と、この増感部位(X)からの三重項エネルギー移動を受けて励起三重項状態を生じ、さらにその励起三重項間衝突によって励起一重項状態となる発光部位(以下、「発光部位(Y)」ともいう)とを有する。以下、増感部位(X)及び発光部位(Y)について説明する。
[増感部位(X)]
増感部位(X)は、光を吸収して励起三重項状態となる部位である。
増感部位(X)としては、光エネルギーを吸収して、発光部位に光エネルギーを移動させることができるものであれば特に限定されず、例えば公知の光増感剤等を用いて形成することができる。増感部位(X)を形成する化合物としては、光エネルギーを効率よく移動できる観点から、有機金属錯体が好ましい。ここで、「有機金属錯体」とは、金属−炭素結合を有する有機金属化合物と、配位結合を有する金属錯体との両者を含む。配位結合を有する金属錯体は、金属と、これに配位する配位子とを含む。
有機金属錯体を構成する金属としては、特に限定されないが、例えばLi、Mg、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Pb等が挙げられる。これらの中で、Pt及びPdが好ましく、Pdがより好ましい。
有機金属錯体における配位子としては、例えば
octaethylporphyrin等のポルフィリン又はその置換体;
tetra−tert−butyl phtalocyanine等のフタロシアニン又はその置換体;
tetra−tert−butyl naphtalocyanine等のナフタロシアニン又はその置換体などが挙げられる。
置換体における置換基としては、例えば
メチル基、エチル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基等の鎖状炭化水素基などの炭化水素基;
カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等のカルボキシアルキル基などの酸基を有する炭化水素基などが挙げられる。
有機金属錯体における配位子としては、これらの中で、ポルフィリン又はその置換体及びフタロシアニン又はその置換体が好ましく、ポルフィリン又はその置換体がより好ましく、ポルフィリンの置換体がさらに好ましい。
有機金属錯体としては、Pd錯体及びPt錯体が好ましく、Pd錯体がより好ましく、ポルフィリン又はその置換体を配位子とするPd錯体、フタロシアニン又はその置換体を配位子とするPd錯体及びナフタロシアニン又はその置換体を配位子とするPd錯体がさらに好ましく、ポルフィリンの置換体を配位子とするPd錯体が特に好ましい。
光アップコンバージョン組成物中の増感部位(X)の濃度の下限としては、1×10−7mol/Lが好ましく、1×10−6mol/Lがより好ましく、1×10−5mol/Lがさらに好ましく、5×10−5mol/Lが特に好ましい。上記濃度の上限としては、1×10−2mol/Lが好ましく、1×10−3mol/Lがより好ましく、5×10−4mol/Lがさらに好ましい。
[発光部位(Y)]
発光部位(Y)は、増感部位(X)からの三重項エネルギー移動を受けて励起三重項状態を生じ、さらにその励起三重項間衝突によって励起一重項状態となる部位である。
発光部位(Y)としては、エネルギーを受けて励起一重項状態となることができるものであれば特に限定されないが、発光部位(Y)を形成する化合物としては、例えば縮合多環系芳香族化合物等が挙げられる。「縮合多環系芳香族化合物」とは、少なくとも1個の縮合芳香環を有する化合物をいう。
縮合芳香環としては、例えば
ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ペリレン環、フルオレン環等の縮合芳香族炭素環;
ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、キノリン環等の縮合芳香族複素環等が挙げられる。これらの中で、縮合芳香族炭素環が好ましく、アントラセン環がより好ましい。
縮合芳香環は、置換基を有していてもよい。縮合芳香環の置換基としては、例えば
メチル基、エチル基、t−ブチル基等のアルキル基などの鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などの脂環式炭化水素基などが挙げられる。
また、縮合芳香環には、シクロブタン環、シクロヘキサン環、ノルボルナン環等の脂環;ピペリジン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロフラン環等の脂肪族複素環などが縮環していてもよい。
縮合多環系芳香族化合物としては、3〜8個の芳香環を含むものが好ましい。
縮合多環系芳香族化合物としては、例えばアントラセン骨格、テトラセン骨格、ペンタセン骨格、ペリレン骨格、フルオレン骨格、ベンゾチオフェン骨格等を有する化合物などが挙げられる。これらの中で、アントラセン骨格を有する化合物が好ましい。
縮合多環系芳香族化合物の具体例としては、9−(3−メチル−4−アリロキシフェニル)−10−(3−メチル−4−アリロキシフェニルメチル)アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、ルブレン等が挙げられる。これらの中で、9−(3−メチル−4−アリロキシフェニル)−10−(3−メチル−4−アリロキシフェニルメチル)アントラセンが好ましい。
光アップコンバージョン組成物中の発光部位(Y)の濃度の下限としては、1×10−7mol/Lが好ましく、1×10−6mol/Lがより好ましく、1×10−5mol/Lがさらに好ましく、1×10−4mol/Lが特に好ましく、1×10−3mol/Lがさらに特に好ましい。上記濃度の上限としては、1×10−1mol/Lが好ましく、5×10−2mol/Lがより好ましく、1×10−2mol/Lがさらに好ましい。
光アップコンバージョン組成物中の増感部位(X)のモル数に対する発光部位(Y)のモル数の比(発光部位(Y)のモル数/増感部位(X)のモル数)の下限としては、0.005が好ましく、0.01がより好ましく、0.1がさらに好ましく、1が特に好ましい。上記比の上限としては、5,000が好ましく、1,000がより好ましく、500がさらに好ましく、100が特に好ましい。光アップコンバージョン組成物中における増感部位(X)と発光部位(Y)とのモル比を上記範囲とすることで、光アップコンバージョン効率をより向上させることができる。
当該光アップコンバージョン組成物は、ハイパーブランチポリマー(以下、「ハイパーブランチポリマー(A)」ともいう)を含有する。このハイパーブランチポリマー(A)は、上記増感部位(X)を含む第1構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)及び上記発光部位(Y)を含む第2構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)の少なくとも一方と、構造単位(I)及び構造単位(II)以外の第3構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう)とを有する。
当該光アップコンバージョン組成物は、ハイパーブランチポリマー(A)以外にも、増感部位(X)を含む化合物、発光部位(Y)を含む化合物等の他の化合物(B)、溶媒などを含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
<ハイパーブランチポリマー(A)>
ハイパーブランチポリマー(A)は、構造単位(I)及び構造単位(II)の少なくとも一方と、構造単位(III)とを有する。ハイパーブランチポリマー(A)は、構造単位(I)〜(III)をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。
図1は、ハイパーブランチポリマー(A)の分岐構造を示す概念図である。また、AB型モノマーの自己縮合によるハイパーブランチポリマーの構造を図2に示す。
図2に示すように、AB型モノマーの重合は枝分かれの繰り返しにより成長し、形成された構造単位は、2つのB官能基が両方とも反応したデンドリティックユニット、2つのB官能基のうち片方だけ反応したリニアユニット、2つのB官能基が両方とも未反応のターミナルユニットの3種に分けられる。ハイパーブランチポリマー(A)は、重合中に枝分かれを繰り返しながら成長していくことが大きな特徴である。
また、最近では、AB型等のAB型モノマーの重縮合だけでなく、図3に示すように、1分子中に開始剤部位をもつビニル化合物(図3中のA−B)の連鎖重合でもハイパーブランチポリマーが得られることが示されている。
ハイパーブランチポリマーには、既存の線状高分子とは異なるいくつかの特性がある。
まず、分子量が同じ線状高分子と比較して、一般にハイパーブランチポリマーは粘度が低い。また、結晶性が高い線状高分子に対応するハイパーブランチポリマーは、溶解性が改善され、非晶性となる点も特徴であり、材料設計に向けて有用な場合も多い。さらに、ハイパーブランチポリマーは末端官能基が多いため、多くの機能原子団を導入したい分子設計には有用な骨格となる。
このように、ハイパーブランチポリマーは、有用な特性をもつ分岐高分子であり、簡便に合成できるために研究開発の意義は大きい。ハイパーブランチポリマーは耐熱性高分子材料や、液晶素材などの用途に活用できる。
当該光アップコンバージョン組成物は、ハイパーブランチポリマー(A)を含有し、ハイパーブランチポリマー(A)が、構造単位(I)及び構造単位(II)の少なくとも一方と、構造単位(III)とを有することで、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現することができる。当該光アップコンバージョン組成物が上記構成を備えることにより上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、ハイパーブランチポリマー(A)において、増感部位を含む構造単位(I)及び/又は発光部位を含む構造単位(II)を有し、さらにその他の構造単位(III)を有する構造のものとすることで、ランダムコイル状等のポリマー構造中に、増感部位及び/又は発光部位が、光アップコンバージョンが起こるために、より効果的に濃縮、配置、固定化されること等が考えられる。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、増感部位(X)を含む構造単位である。
構造単位(I)を与える化合物としては、例えば公知の光増感剤等において、2個以上の重合性官能基を有する単量体等が挙げられる。重合性官能基としては、例えばビニル基、アリル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基等の炭素−炭素二重結合含有基などが挙げられる。
構造単位(I)を与える化合物としては、上述の有機金属錯体のうち2個以上の重合性官能基を有する単量体が好ましく、2個の重合性官能基を有する有機金属錯体がより好ましく、Palladium(II) protoporphyrinIXがさらに好ましい。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、ハイパーブランチポリマー(A)を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、95モル%が好ましく、90モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましく、60モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、光アップコンバージョン効率をより向上させることができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、発光部位(Y)を含む構造単位である。
構造単位(II)を与える化合物としては、例えば上述の縮合多環系芳香族化合物のうち2個以上の重合性官能基を有する単量体等が挙げられる。これらの中で、2個の重合性官能基を有する縮合多環系芳香族化合物が好ましく、2個の重合性官能基を有するアントラセン化合物がより好ましく、2個のアリル基を有するアントラセン化合物がさらに好ましく、9−(3−メチル−4−アリロキシフェニル)−10−(3−メチル−4−アリロキシフェニルメチル)アントラセンが特に好ましい。
構造単位(II)の含有割合の下限としては、ハイパーブランチポリマー(A)を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、95モル%が好ましく、90モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましく、60モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、光アップコンバージョン効率をより向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、構造単位(I)及び構造単位(II)以外の構造単位である。
構造単位(III)を与える化合物としては、例えば公知の架橋剤等が挙げられる。「架橋剤」とは、2個以上の重合性官能基を有する化合物をいう。
架橋剤としては、例えば
ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、ビニルアリルベンゼン、ジビニルナフタレン、テレフタル酸ジビニル等の2個以上の重合性官能基を有する芳香族炭化水素;
ジ(ビニロキシ)ベンゼン、ジ(アリロキシ)ベンゼン、ジ(ビニロキシ)ナフタレン等の芳香族ジビニルエーテルなどの2個以上の重合性官能基を有する芳香族エーテルなどの芳香族系化合物、
2−ビニロキシ−5−ビニロキシメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]へプタン等の脂環ジビニルエーテルなどの2個以上の重合性官能基を有する脂環エーテルなどの脂肪族系化合物などが挙げられる。
架橋剤としては、少なくとも2つの置換基を有していることが好ましい。
架橋剤における置換基の具体例としては、例えば
C1−C40のアルキル基が挙げられ、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基及びシクロオクチル基であり、
C1−C40のアルケニル基が挙げられ、特に好ましくは、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基及びシクロオクテニル基であり、
C1−C40のアルキニル基が挙げられ、特に好ましくは、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基及びオクチニル基であり、
C1−C40のフルオロアルキル基が挙げられ、特に好ましくは、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基及び2,2,2−トリフルオロエチル基であり、
C6−C40アリール基が挙げられ、特に好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、[1,1’;3’,1’’]テルフェニル−2’−イル基、ビナフチル基及びフェナントレニル基であり、
C6−C40のフルオロアリール基が挙げられ、特に好ましくは、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロベンジリデン基、3,5−ビストリフルオロメチルベンジリデン基、テトラフルオロフェニル基及びヘプタフルオロナフチル基であり、
C1−C40のアルコキシ基が挙げられ、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基及びt−ブトキシ基であり、
C6−C40アリールオキシ基が挙げられ、特に好ましくは、フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、アントラセニルオキシ基及びフェナントレニルオキシ基であり、
C7−C40のアリールアルキル基が挙げられ、特に好ましくは、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,6−ジ−i−プロピルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、o−t−ブチルフェニル基、m−t−ブチルフェニル基及びp−t−ブチルフェニル基であり、
C7−C40のアルキルアリール基が挙げられ、特に好ましくは、ベンジル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基及びナフタレニルメチル基であり、
C7−C20のアリールオキシアルキル基が挙げられ、特に好ましくは、o−メトキシフェニル基、m−フェノキシメチル基及びp−フェノキシメチル基であり、
C12−C40のアリールオキシアリール基が挙げられ、特に好ましくは、p−フェノキシフェニル基であり、
C2−C40のヘテロアリール基が挙げられ、特に好ましくは、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、アクリジニル基、ベンゾキノリニル基及びベンゾイソキノリニル基であり、
C4−C40のヘテロシクロアルキル基が挙げられ、特に好ましくは、フリル基、ベンゾフリル基、2−ピロリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基及び2,3−ジヒドロインドリル基であり、
C8−C40のアリールアルケニル基が挙げられ、特に好ましくは、o−ビニルフェニル基、m−ビニルフェニル基及びp−ビニルフェニル基であり、
C8−C40のアリールアルキニル基、特に好ましくは、o−エチニルフェニル基、m−エチニルフェニル基及びp−エチニルフェニル基であり、
C2−C40のヘテロ原子含有基が挙げられ、特に好ましくは、カルボニル基、ベンゾイル基、オキシベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、アセチル基、アセトキシ基及びニトリル基である。ここで1個以上のC1−C40炭素含有基は環系を形成していてもよい。
構造単位(III)を与える化合物としては、これらの中で、2個以上の重合性官能基を有する芳香族炭化水素基、2個以上の重合性官能基を有する芳香族エーテル及び2個以上の重合性官能基を有する脂環エーテルが好ましく、ジビニルベンゼン、芳香族ジビニルエーテル及び脂環ジビニルエーテルがより好ましく、ジビニルベンゼン及び脂環ジビニルエーテルがさらに好ましい。
構造単位(III)の含有割合の下限としては、ハイパーブランチポリマー(A)を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましく、40モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、99モル%が好ましく、90モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましく、60モル%が特に好ましい。
ハイパーブランチポリマー(A)の態様としては、例えば
(A1)構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)とを有するハイパーブランチポリマー
(A2)構造単位(I)と構造単位(III)とを有するハイパーブランチポリマー
(A3)構造単位(II)と構造単位(III)とを有するハイパーブランチポリマー等が挙げられる。
<ハイパーブランチポリマーの合成方法>
ハイパーブランチポリマー(A)は、例えば構造単位(I)〜(III)を与える単量体を重合させることにより合成することができる。
重合において、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば熱ラジカル重合においては、例えばアゾニトリル系、アゾエステル系、アゾアミド系、アゾアミジン系、アゾイミダゾリン系等のものを使用することができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(MAIB)が好ましい。アゾ重合開始剤は熱及び光により分解し、フリーラジカルを発生するアゾ基(R−N=N−R)を持った化合物であり、この反応性に富んだフリーラジカルを利用し、各種ビニル系モノマーの重合などに使用される。
<他の化合物(B)>
当該光アップコンバージョン組成物は、他の化合物(B)として、例えば増感部位(X)を含む化合物、発光部位(Y)を含む化合物等を含有していてもよい。
増感部位(X)を含む化合物の具体例としては、例えば上述の有機金属錯体等が挙げられる。このような有機金属錯体としては、Palladium(II)protoporphyrinIXが好ましい。
発光部位(Y)を含む化合物の具体例としては、例えば上述の縮合多環系芳香族化合物等が挙げられる。
増感部位(X)を含む化合物のモル数のハイパーブランチポリマー(A)の構造単位(II)のモル数に対する比の下限としては、0.001が好ましく、0.005がより好ましく、0.01がさらに好ましく、0.015が特に好ましい。上記比の上限としては、10が好ましく、1がより好ましく、0.1がさらに好ましく、0.05が特に好ましい。
発光部位(Y)を含む化合物のモル数のハイパーブランチポリマー(A)の構造単位(I)のモル数に対する比の下限としては、0.1が好ましく、1がより好ましく、10がより好ましく、20がさらに好ましい。上記比の上限としては、1000が好ましく、200がより好ましく、100がさらに好ましく、70が特に好ましい。
増感部位(X)又は発光部位(Y)を含む化合物の含有量を上記範囲とすることで、光アップコンバージョン効率をより向上させることができる。
当該光アップコンバージョン組成物の態様としては例えば以下のもの等が挙げられる。
(U1)構造単位(I)と構造単位(II)と構造単位(III)とを有するハイパーブランチポリマーを含有する
(U2)構造単位(I)と構造単位(III)とを有するハイパーブランチポリマー及び発光部位(Y)を含む化合物を含有する
(U3)構造単位(II)と構造単位(III)とを有するハイパーブランチポリマー及び増感部位(X)を含む化合物を含有する
[溶媒]
当該光アップコンバージョン組成物は、通常、溶媒を含有する。溶媒としては、特に限定されず、例えば有機溶媒、水等が挙げられる。
有機溶媒の具体例としては、例えば
アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;
クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;
酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒;
エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒などが挙げられる。これらの中で、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン及びアニソールが好ましく、アニソールがより好ましい。
当該光アップコンバージョン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば界面活性剤等を含有していてもよい。
当該光アップコンバージョン組成物の固形分濃度の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましく、0.15質量%が特に好ましい。上記固形分濃度の上限としては、30質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、1質量%が特に好ましい。
当該光アップコンバージョン組成物は、溶液、ゲル、フィルム等の種々の形態により光アップコンバージョン方法に用いることができる。これらの中で、フィルムとして用いることが好ましい。
<フィルム>
本発明のフィルムは、当該光アップコンバージョン組成物から形成されたフィルムである。
当該フィルムは、例えば上述の当該光アップコンバージョン組成物の溶液を、加熱等により溶媒を除去して乾燥させることにより固体膜として作製することができる。
当該フィルムによれば、上述の当該光アップコンバージョン組成物を用いており、また、固体膜とすることにより、ハイパーブランチポリマー(A)の構造がより固定化されるため、高い光アップコンバージョン効率を実現することができる。また、当該フィルムによれば、従来の溶液系で必要であった溶存酸素を除く脱気処理を行うことが不要となる。
<光アップコンバージョン方法>
本発明の光アップコンバージョン方法は、当該フィルムに光を照射する工程を備える。これにより、照射光の波長よりも短い波長の光、すなわち照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光を発生させることができる。
照射光源としては、例えばLED、Xeランプ、レーザー、太陽等が挙げられる。照射光の波長としては、例えば可視光として400nm以上800nm以下、紫外線として250nm以上400nm以下である。照射光としては、可視光が好ましく、450nm以上600nm以下の波長の可視光がより好ましく、500nm以上560nm以下の可視光がさらに好ましい。
以下に、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<ハイパーブランチポリマーの合成>
[発光体色素を含有し、第2成分をジビニルベンゼンとしたハイパーブランチポリマー]
[製造例1]
脱水ベンゼン1.5mL中に、下記式(Y−1)で表されるアントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、ジビニルベンゼン0.0266mL(80%、ALDRICH社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−1)を合成した。
Figure 2018168257
[製造例2]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、ジビニルベンゼン0.0532mL(80%、ALDRICH社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−2)を合成した。
[製造例3]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、ジビニルベンゼン0.0798mL(80%、ALDRICH社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−3)を合成した。
[製造例4]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、ジビニルベンゼン0.1064mL(80%、ALDRICH社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社製)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−4)を合成した。
[製造例5]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、ジビニルベンゼン0.1331mL(80%、ALDRICH社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−5)を合成した。
[発光体色素を含有し、第2成分を脂環ジビニルエーテルとしたハイパーブランチポリマー]
[製造例6]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、下記式(Z−1)で表される脂環ジビニルエーテル0.027mL(93%、DAICEL社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−6)を合成した。
Figure 2018168257
[製造例7]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、脂環ジビニルエーテル(Z−1)0.0809mL(93%、DAICEL社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−7)を合成した。
[製造例8]
脱水ベンゼン1.5mL中に、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)362mg、脂環ジビニルエーテル(Z−1)0.135mL(93%、DAICEL社)及びDimethyl2,2’−Azobis(isobutyrate)(97%、和光純薬工業社)17.2mgを加え、80℃で4時間還流させ、ハイパーブランチポリマー(A−8)を合成した。
<光アップコンバージョン組成物の調製>
[実施例1]
アニソール1.2mLに、製造例1で得られたハイパーブランチポリマー(A−1)(発光体色素)3.1mg(発光部位のモル数として7.47×10−6mol)及び下記式(X−1)で表されるPalladium(II)protoporphyrinIX(Pd(II)PPIX)(増感剤色素)0.1mg(増感部位のモル数として1.49×10−7mol)を溶解させ、発光部位:増感部位=50:1(mol)のアニソール溶液である光アップコンバージョン組成物(U−1)を調製した。
Figure 2018168257
[実施例2]
製造例3で得られたハイパーブランチポリマー(A−3)を使用した以外は、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン組成物(U−2)を調製した。
[実施例3]
製造例5で得られたハイパーブランチポリマー(A−5)を使用した以外は、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン組成物(U−3)を調製した。
[実施例4]
製造例6で得られたハイパーブランチポリマー(A−6)を使用した以外は、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン組成物(U−4)を調製した。
[実施例5]
製造例7で得られたハイパーブランチポリマー(A−7)を使用した以外は、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン組成物(U−5)を調製した。
[実施例6]
製造例8で得られたハイパーブランチポリマー(A−8)を使用した以外は、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン組成物(U−6)を調製した。
[比較例1]
アニソール1.2mLに、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)3.6mg(発光部位のモル数として7.47×10−6mol)及びPalladium(II)protoporphyrinIX(Pd(II)PPIX)0.1mg(増感部位のモル数として1.49×10−7mol)を溶解させ、発光部位:増感部位=50:1(mol)のアニソール溶液である光アップコンバージョン組成物(CU−1)を調製した。
<評価>
[分光特性評価(溶液)]
上記調製した光アップコンバージョン組成物について、窒素置換脱気処理後、蛍光スペクトルの測定を行った。励起波長λexc=548nmにおける蛍光スペクトル波長について、測定結果を図4及び図5に示す。
図4及び図5の結果からわかるように、当該光アップコンバージョン組成物によれば、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現できる。
<光アップコンバージョンフィルムの作製>
[第2成分をジビニルベンゼンとしたハイパーブランチポリマーを用いたフィルム]
[実施例7]
テトラヒドロフラン(THF)1.2mLに、ハイパーブランチポリマー(A−1)(発光体色素)3.1mg(発光部位のモル数として7.47×10−6mol)及びPalladium(II)protoporphyrinIX(Pd(II)PPIX)(増感剤色素)0.1mg(増感部位のモル数として1.49×10−7mol)を溶解させ、発光部位:増感部位=50:1(mol)のテトラヒドロフラン溶液を作製し、スライドガラス上に滴下した。その後、ホットプレート上にて、40℃で1.5時間乾燥させ、さらに、生成した固体膜を真空乾燥し、光アップコンバージョンフィルム(F−1)を作製した。
[実施例8]
製造例2で得られたハイパーブランチポリマー(A−2)を使用した以外は、実施例7と同様にして、光アップコンバージョンフィルム(F−2)を作製した。
[実施例9]
製造例3で得られたハイパーブランチポリマー(A−3)を使用した以外は、実施例7と同様にして、光アップコンバージョンフィルム(F−3)を作製した。
[実施例10]
製造例4で得られたハイパーブランチポリマー(A−4)を使用した以外は、実施例7と同様にして、光アップコンバージョンフィルム(F−4)を作製した。
[実施例11]
製造例5で得られたハイパーブランチポリマー(A−5)を使用した以外は、実施例7と同様にして、光アップコンバージョンフィルム(F−5)を作製した。
[比較例2]
テトラヒドロフラン1.2mLに、アントラセン化合物(旭有機材社の「BIOC−ANT−AE」)3.6mg(発光部位のモル数として7.47×10−6mol)及びPalladium(II)protoporphyrinIX(Pd(II)PPIX)0.1mg(増感部位のモル数として1.49×10−7mol)を溶解させ、発光部位:増感部位=50:1(mol)のアニソール溶液を作製し、スライドガラス上に滴下した。その後、ホットプレート上にて、40℃で1.5時間乾燥させ、さらに、生成した固体膜を真空乾燥し、光アップコンバージョンフィルム(CF−1)を作製した。
<評価>
[分光特性評価(フィルム)]
上記作製した光アップコンバージョンフィルムについて、蛍光スペクトルの測定を行った。励起波長λexc=514nmにおける蛍光スペクトル波長について、測定結果を図6に示す。
図6の結果からわかるように、当該フィルムによれば、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現できる。
本発明の光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法によれば、従来よりも高い光アップコンバージョン効率を実現することができる。また、本発明の光アップコンバージョン組成物によれば、容易にフィルム化が可能なため、従来の溶液系で行っていた溶存酸素を除く脱気処理を不要とすることができる。

Claims (11)

  1. 光を吸収して励起三重項状態となる増感部位と、この増感部位からの三重項エネルギー移動を受けて励起三重項状態を生じ、さらにその励起三重項間衝突によって励起一重項状態となる発光部位とを有する光アップコンバージョン組成物であって、
    ハイパーブランチポリマーを含有し、
    上記ハイパーブランチポリマーが、上記増感部位を含む第1構造単位及び上記発光部位を含む第2構造単位の少なくとも一方と、上記第1構造単位及び上記第2構造単位以外の第3構造単位とを有することを特徴とする光アップコンバージョン組成物。
  2. 上記発光部位を含む化合物をさらに含有し、上記ハイパーブランチポリマーが上記第1構造単位と上記第3構造単位とを有する請求項1に記載の光アップコンバージョン組成物。
  3. 上記増感部位を含む化合物をさらに含有し、上記ハイパーブランチポリマーが上記第2構造単位と上記第3構造単位とを有する請求項1に記載の光アップコンバージョン組成物。
  4. 上記ハイパーブランチポリマーが、上記第1構造単位と上記第2構造単位と上記第3構造単位とを有する請求項1に記載の光アップコンバージョン組成物。
  5. 上記発光部位が縮合多環系芳香族化合物に由来する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光アップコンバージョン組成物。
  6. 上記縮合多環系芳香族化合物がアントラセン骨格を有する請求項5に記載の光アップコンバージョン組成物。
  7. 上記増感部位がパラジウム錯体に由来する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光アップコンバージョン組成物。
  8. 上記第3構造単位がジビニルベンゼン及び脂環ジビニルエーテルの少なくとも一方に由来する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光アップコンバージョン組成物。
  9. 溶媒をさらに含有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光アップコンバージョン組成物。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光アップコンバージョン組成物から形成されたフィルム。
  11. 請求項10に記載のフィルムに光を照射する工程
    を備える光アップコンバージョン方法。
JP2017065789A 2017-03-29 2017-03-29 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法 Pending JP2018168257A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017065789A JP2018168257A (ja) 2017-03-29 2017-03-29 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017065789A JP2018168257A (ja) 2017-03-29 2017-03-29 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018168257A true JP2018168257A (ja) 2018-11-01

Family

ID=64018445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017065789A Pending JP2018168257A (ja) 2017-03-29 2017-03-29 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018168257A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112538345A (zh) * 2020-11-10 2021-03-23 深圳大学 一种上转换发光体系及制备方法与异构化的控制方法、装置、应用

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001279240A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Toshiba Corp 発光体粒子及び発光デバイス
JP2001521053A (ja) * 1997-10-23 2001-11-06 イシス イノベイション リミテッド 光放射デンドリマー及び光放射装置
JP2008506798A (ja) * 2004-07-15 2008-03-06 メルク パテント ゲーエムベーハー アップコンバージョンのためのポリマーの使用、およびアップコンバージョンのためのデバイス
CN103289674A (zh) * 2012-03-01 2013-09-11 复旦大学 基于三线态-三线态湮灭的水溶性上转换发光纳米材料及其制备方法与应用
CN103320123A (zh) * 2013-07-11 2013-09-25 苏州科技学院 一种弱光频率上转换三元超分子复合体系
WO2014117203A1 (en) * 2013-01-30 2014-08-07 The University Of Sydney Photon upconverter
CN104371728A (zh) * 2014-11-28 2015-02-25 赵兵 一种叶酸偶联的水溶性上转换纳米颗粒及其制备方法
JP2016074898A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 国立大学法人九州大学 フォトンアップコンバージョン組成物
JP2016536449A (ja) * 2013-11-06 2016-11-24 国立大学法人九州大学 無溶媒フォトンアップコンバージョン系

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001521053A (ja) * 1997-10-23 2001-11-06 イシス イノベイション リミテッド 光放射デンドリマー及び光放射装置
JP2001279240A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Toshiba Corp 発光体粒子及び発光デバイス
JP2008506798A (ja) * 2004-07-15 2008-03-06 メルク パテント ゲーエムベーハー アップコンバージョンのためのポリマーの使用、およびアップコンバージョンのためのデバイス
CN103289674A (zh) * 2012-03-01 2013-09-11 复旦大学 基于三线态-三线态湮灭的水溶性上转换发光纳米材料及其制备方法与应用
WO2014117203A1 (en) * 2013-01-30 2014-08-07 The University Of Sydney Photon upconverter
CN103320123A (zh) * 2013-07-11 2013-09-25 苏州科技学院 一种弱光频率上转换三元超分子复合体系
JP2016536449A (ja) * 2013-11-06 2016-11-24 国立大学法人九州大学 無溶媒フォトンアップコンバージョン系
JP2016074898A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 国立大学法人九州大学 フォトンアップコンバージョン組成物
CN104371728A (zh) * 2014-11-28 2015-02-25 赵兵 一种叶酸偶联的水溶性上转换纳米颗粒及其制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112538345A (zh) * 2020-11-10 2021-03-23 深圳大学 一种上转换发光体系及制备方法与异构化的控制方法、装置、应用
CN112538345B (zh) * 2020-11-10 2022-08-16 深圳大学 一种上转换发光体系及制备方法与异构化的控制方法、装置、应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5543064B2 (ja) アップコンバージョンのためのポリマーの使用、およびアップコンバージョンのためのデバイス
JP5419778B2 (ja) スクアリリウム化合物及びその製造方法並びに赤外線吸収剤
JP5508795B2 (ja) ペンダント型高分子化合物、ペンダント型高分子化合物を用いた色変換膜、および多色発光有機elデバイス
Du et al. Alternating vinylarene–carbon monoxide copolymers: Simple and efficient nonconjugated luminescent macromolecules
Chen et al. Strong reverse saturable absorption effect of a nonaggregated phthalocyanine-grafted MA–VA polymer
Haridharan et al. Controlled polymerization of carbazole‐based vinyl and methacrylate monomers at ambient temperature: A comparative study through ATRP, SET, and SET‐RAFT polymerizations
Chen et al. Through-space charge transfer blue polymers containing acridan donor and oxygen-bridged triphenylboron acceptor for highly efficient solution-processed organic light-emitting diodes
JP2018168257A (ja) 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法
ES2762664T3 (es) Método de fotopolimerización por radicales libres y/o catiónica inducida por luz
Fu et al. Zn 2 Yb-Grafted and star-shaped metallopolymers for efficient near-infrared (NIR) polymer light-emitting diodes (PLEDs)
CN108997101B (zh) 反应型发光剂9,10-二苯基蒽衍生物及其制备方法与由其制备的高效弱光上转换体系
CN111607102A (zh) 共价有机框架材料及其制备方法和应用
Kimyonok et al. Poly (cyclooctene) s with pendant fluorescent and phosphorescent metal complexes
JP7057942B2 (ja) 光アップコンバージョン組成物、フィルム及び光アップコンバージョン方法
Kong et al. Dynamic photo-enhanced polyacrylic acid-based room temperature phosphorescence materials with persistent long-wavelength and even near-infrared luminescence via Förster resonance energy transfer
CN103804658A (zh) 一种可聚合聚芴大单体及其合成方法
TWI749335B (zh) 半導體化合物之用途
CN113072547A (zh) 一种化合物和三重态-三重态湮灭上转换体系
JP2023508214A (ja) 新規な高分子およびこれを用いた有機発光素子
CN111378144A (zh) 一种力致响应超分子聚合物
CN110746522A (zh) 一种A-π-D-π-A结构双光子聚合引发剂及其制备方法
CN105601812B (zh) 一种多功能Salen型希夫碱类高分子金属配合物的应用
CN114907549B (zh) 超支化共轭聚合物及其制备方法和作为光敏剂的应用
TWI804168B (zh) 含非對稱具磺醯基之稠環單元的衍生物、其用途、產氫裝置以及光電組件
CN110591693B (zh) 荧光开关体系、制备方法及应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201030

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210323