JP2016074898A - フォトンアップコンバージョン組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
フォトンアップコンバージョンの機構として、これまで多光子吸収などの非線形光学現象に基づく機構が知られているが、この多光子吸収を起こすためにはレーザー光などの非常に強い励起光を必要とし、太陽光などの自然光を有効利用する用途には応用できない欠点を有する(非特許文献4、5)。そこで近年では、弱い励起光でもアップコンバージョン発光を観測できる三重項-三重項消滅(triplet-triplet annihilation; TTA)を経る機構が注目を集めている(非特許文献6〜9、図1)。
前述の通り、最初に増感剤(ドナー)の三重項励起状態が、光励起した一重項からの系間交差によって形成され、アクセプターの励起三重項が、ドナー三重項からの三重項−三重項エネルギー移動(TTET)によってもたらされる。三重項状態にある2つのアクセプター分子が拡散し、それらの寿命の間に衝突した場合、より高い一重項エネルギー準位がTTAによって形成され、次いで、アップコンバージョン遅延蛍光を発生させる。TTA-UCの励起及び発光波長は、増感剤及び発光体を独立に選択することによって制御することができる。三重項種の寿命が長い結果、励起光強度は、特定の励起波長における太陽光強度である約数mW cm-2まで低下させることができる。重要なことに、TTET過程とTTA過程はどちらも、電子交換機構(デクスター型エネルギー移動)で進行し、1nm以下の距離に分子間が接近しての軌道の重なりを持つ必要がある。これは、一般に10nm以下の距離にあるドナーとアクセプター対の間で起こる蛍光(フェルスター)共鳴エネルギー移動の場合とは異なる3。
すなわち、本発明は以下の通りである。
R1及びR2、R4及びR5、R7及びR8並びにR10及びR11は、それぞれ独立して、飽和又は不飽和の5員環又は6員環を形成することができ、前記環は、任意に、C1−6アルキル基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されてもよく、
M1は、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれる金属原子、又はケイ素若しくは水素原子を表す。)
で示されるポルフィリン化合物、又は次式II:
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、又はC6−20アリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、水素原子、C1−6アルキル基又はC2−6アルケニル基を表す。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、M2はイリジウム、白金、金、ルテニウム及びパラジウムから選ばれる金属原子を表す。)
で示される化合物が挙げられる。
R33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、C1−6アルキルエーテル基、C6−20アリールエーテル基、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、リン酸基又はカルボキシル基を表し、前記基は、任意にハロゲン原子、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。)
で示される化合物、次式IV:
R43及びR44は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、C1−6アルキルエーテル基、C6−20アリールエーテル基、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、リン酸基又はカルボキシル基を表し、前記基は、任意に、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。)
で示される化合物、次式V:
で示される化合物、次式(VI):
R63は、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、又はC6−20アリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、
j及びkは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。)
で示される化合物、又は下記いずれかの式:
で示される化合物が挙げられる。
さらに、アクセプター分子としては、下記式:
(2)さらに、本発明は、前記組成物に光を照射し、当該照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光を発生させることを特徴とする、フォトンアップコンバージョン方法を提供する。本発明の方法において、照射光は例えば近赤外光、可視光又は紫外光である。
1.概要
本発明は、光を吸収して励起三重項状態となり増感剤として機能するドナー分子と、当該ドナー分子からの三重項エネルギー移動を受けた後に励起一重項状態となり発光体として機能するアクセプター分子と、自己組織化により前記ドナー分子及びアクセプター分子を集積組織化させる超分子マトリックスとを含む、フォトンアップコンバージョン組成物に関する。
最近、酸素の影響を低減するために、固体ポリマー及び特定の粘性液体中にドナー及びアクセプター分子を分散させ、溶存酸素存在下においてTTA-UCを検討した若干の報告がなされている4f,5。しかし、従来用いられているこれらの高粘性マトリックス中においては、励起した三重項分子の拡散が必然的に制限されるため、TTAを起こすために必要な励起三重項分子の濃度を確保するために、高出力の入射光が必要となる。
超分子オルガノゲルは、低分子量の脂溶性分子が自己組織化してナノファイバー構造ならびにそのネットワークを形成することによって生成される7。「自己組織化」とは、複数の分子が自発的に安定な秩序構造又は配列構造を与える現象を意味する。超分子オルガノゲルは、一般に、多数のアミド基など構成物質の凝集エネルギーを増進させる官能基を含み、長距離にわたる分子配向秩序を有する7。以前、Shinkaiらは、リン光性金属錯体のオルガノゲルは好気状態でもリン光を示すことを報告しており、これは、ナノファイバー凝集体における酸素の溶解度が限られていることを示唆している8。この結果は、オルガノゲル中における金属錯体の会合に帰されているが、オルガノゲルナノファイバー構造の持つ本質的特徴として一般化されてはいない。ゲル化剤分子中に特定の官能基を共有結合的に導入することは、必然的に多段階の合成に要する時間と労力を増大させ8,9、またそのような改変を行ったとしてもゲル化剤分子間の凝集相互作用が必ずしも増進されるわけではない。したがって、光官能性分子を非共有結合的に導入し組織化させるためのマトリックスとして、簡単に合成できる低分子ゲル化剤を使用することができる11。低分子ゲル化剤を用いることは、光機能性超分子集合体を開発するために有効なアプローチであり、超分子ゲルの与える閉じ込めナノ空間における分子又は励起エネルギーの側方拡散を可能にする。
本発明の一態様では、増感剤及び発光体分子を、物理的なゲル化過程でゲルファイバー中に導入した。得られた三成分ゲルは、空気飽和条件下でも、強いアップコンバージョン発光を示した。この簡単な手法は極めて普遍的なものであり、異なるドナー-アクセプターの組合せを用いることにより、近赤外から黄、赤からシアン、緑から青、さらには青からUVまでの波長変換でのTTA-UCが首尾よく達成された。重要なことには、これらの三成分ゲルのIth値は、従来報告されている柔らかいマトリクスにおける空気中で安定なTTA-UCのIth値より低く、その値は1.5mW cm-2であった5e,f,h,i,12。
さらに本明細書においては、水系におけるアップコンバージョン及びイオン溶液中におけるアップコンバージョンを説明する。
2.1.ドナー分子
本発明において、ドナー分子としては、次式Iで示されるポルフィリン化合物が挙げられる。
また、M1は、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれる金属原子、又はケイ素若しくは水素原子を表す。
「C2−10アルケニル基」、「C2−6アルケニル基」とは、炭素数がそれぞれ1〜10個、2〜6個の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、二重結合を1個有する。このようなアルケニル基としては、例えばエテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
「C2−10アルキニル基」とは、炭素数が2〜10個の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、三重結合を1個有する。このようなアルキニル基としては、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基などが挙げられる。
「C3−15シクロアルキル基」とは、炭素数が3〜15個の環状のアルキル基を意味し、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられる。
「C3−15シクロアルケニル基」とは、炭素数が3〜15個の環状のアルケニル基を意味し、二重結合を1個有する。例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキシニル等が挙げられる。
「C6−20アリール基」、「C6−14アリール基」とは、炭素数がそれぞれ6〜20個、6〜14個の芳香族炭化水素基を意味し、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
「5〜14員ヘテロアリール基」とは、環を構成する原子数が5〜14個であり、その原子中に1〜5個のヘテロ原子(窒素原子、酸素原子又は硫黄原子)を含有する芳香族基を意味する。このようなヘテロアリール基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基などが挙げられる。
(i) Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル-テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pyr1RuPPZn2及びPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、
(ii) ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、及びα-カルコゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体、並びに
(iii) 前記(i)及び(ii)の化合物の誘導体
からなる群から選択される1つの化合物を挙げることができる。なお、Ph4OMe8TNPは、下記具体例の式中のMTPBPを表す。
ここで、BODIPYの誘導体は、ヨウ素などの重原子、又はフラーレンなどの系間交差を起こしやすい分子を修飾することでドナーとすることができる。
ドナー分子として採用し得る具体的化合物を以下に示す。下記具体的化合物は上記化合物又はその誘導体の一例であり、これらに限定されるものではない。
<ドナー部位として採用しうるものの具体例>
R33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、C1−6アルキルエーテル基、C6−20アリールエーテル基、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、リン酸基又はカルボキシル基を表し、前記基は、任意にハロゲン原子、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよい。また、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。
ここで本明細書において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。また、R33及びR34において、SO3Xで示される基はスルホン酸ナトリウムであることが好ましい。
R43及びR44は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、C1−6アルキルエーテル基、C6−20アリールエーテル基、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、リン酸基又はカルボキシル基を表し、前記基は、任意にハロゲン原子、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよい。また、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。
R63は、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、又はC6−20アリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよい。
j及びkは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。
<アクセプター部位として採用しうるものの具体例>
本発明において、超分子マトリックスは、次式VII:
で示される化合物である。
で示される化合物又は次式:
LBGは、溶媒をゲル化させオルガノゲルを形成させるために使用される。
本発明は、前記組成物を使用してフォトンアップコンバージョンを達成するための方法を提供する。本発明においては、LBGなどの超分子オルガノゲルを用いたアップコンバージョン、水中におけるアップコンバージョン、イオン液体におけるアップコンバージョンなどを実施することができる。
本発明の組成物は、ドナー分子とアクセプター分子と超分子マトリックスとを混合すればよい。例えば、それぞれの分子を適当な溶媒に溶解し、それを混合すればよい。本発明においては、溶媒として例えばジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム等を使用することができるが、水中におけるアップコンバージョンの場合は3成分を上記などの有機溶媒を用いて混合した後に真空下で乾固し、水(脱イオン水、蒸留水等)を加えて水分散液とすればよい。また、イオン液体におけるアップコンバージョンの場合は、イオン液体中にドナー分子、アクセプター分子及び超分子マトリックスを加えることにより得ることができる。
ドナー分子/アクセプター分子のモル比は、1/10〜1/100000の範囲内であり、好ましくは1/10〜1/1000、より好ましくは1/100〜1/1000である。
アクセプター分子/超分子マトリックスのモル比は、1/1〜1/100000の範囲内であり、好ましくは1/1〜1/100、より好ましくは1/1〜1/10である。
本発明の方法では、前記組成物に光を照射し、当該照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光を発生させることを特徴とする。
組成物に光を照射するときの波長、すなわち組成物中のドナー分子が吸収する光の波長は、特に限定されるものではなく、近赤外光であれば例えば800〜1600nm、可視光であれば例えば400〜800nmである。照射源は、太陽光、LED、Xeランプ、レーザーなどが挙げられ、特に限定されるものではない。また、照射時間は特に限定されるものではなく任意である。
組成物から発光するときの波長、すなわち組成物中のアクセプター分子が発する光の波長は、可視光であれば400〜800nm、紫外光であれば、例えば250〜400nmである。
すべての試薬及び溶媒は、別段の指定のない限り、入手後精製することなく使用した。パラジウム(II)オクタブトキシフタロシアニン(PdPc(OBu)8)及び白金(II)テトラフェニルテトラベンゾポルフィリン(PtTPBP)は、Frontier Scientific, Inc.から購入した。白金(II)オクタエチルポルフィリン(PtOEP)、ルブレン、9,10-ビス(フェニル-エチニル)アントラセン(BPEA)、9,10-ジフェニルアントラセン(DPA)及び2,7-ジ-tert-ブチルピレン(DBP)はAldrich及びTCIから購入した。Ir(C6)2(acac)(C6=クマリン6、acac=アセチルアセトン)は報告されている方法にしたがって合成した13,14。
分析用等級のジメチルホルムアミド(DMF)、四塩化炭素(CCl4)及びクロロホルムは、Wako Pure Chemicalから購入した。ゲル化剤N,N’-ビス(オクタデシル)-L-boc-グルタミン酸ジアミド(LBG)は文献にしたがって合成した11b。
LBG、増感剤、発光体及び溶媒(DMF又はCCl4)の混合物を透明溶液が形成されるまで加熱し、次いで室温に冷却することによって、色素をドープしたゲルを調製した。ゲルの形成は、逆チューブ試験(inverse tube tests)及びレオロジー測定によって確認した。得られた色素ドープゲルは安定であり,2か月以上にわたってその形状を保持した。
UV-vis(紫外光-可視光)吸収スペクトルはJASCO V-670分光光度計で記録した。発光スペクトルは、PerkinElmer LS55蛍光分光器を使用して測定した。時間分解蛍光寿命測定は、時間相関単一光子計数法寿命分光システム、HAMAMATSU Quantaurus-Tau C11367-02(蛍光寿命用)/C11567-01(遅延発光寿命用)を使用して行った。χ2(<1.2)などのフィッティングパラメーター並びに減衰曲線の目視検査によりフィッティングの質を判定した。
アップコンバージョン発光スペクトルは、調節可能な半導体レーザーを励起光源として使用し、Otsuka Electronics MCPD-7000機器で記録した。示差走査熱量測定(DSC)はSeiko Electronics SSC-5200機器で実施した。レオロジー実験はAnton Paar MCR-302レオメーターを25℃で使用して行った。測定の周波数は1Hzに設定した。
キセロゲルの走査電子顕微鏡(SEM)写真はHitachi S-5000(加速電圧、15KV)で撮影した。キセロゲルは、JASCO SCF超臨界CO2システムでゲルを乾燥することによって調製した15。共ゲルのUC量子収率は、レーザー励振源、及びHamamatsu Photonics社製の較正済み絶対量子収率測定システムを用いて測定した。
オルガノゲル中における大気下で安定なTTA-UC現象
最初に、ドナー及びアクセプターは基準の緑色光を青色光へと変換するUC対であるPtOEPとDPAとの組み合わせを用い、超分子ゲルはLBGを用いてTTA-UCを行い、LGBのホストマトリックスとしての能力を試験した。従来の研究によれば、ゲル化剤LBGは、40種類超の非極性又は極性溶媒をゲル化し、多量の芳香族分子を添加しても、均一なゲル形成が乱されないことが示されている11b,c,16。
LBGの3つのアミド基は有機溶媒中において安定な水素結合ネットワークを形成し、2本の長鎖アルキル鎖間の分子間凝集力ならびにキラル中心の効果に基づくナノファイバー構造形成を促進する17。予想通り、LBGは、PtOEP及びDPA分子の存在下においても超分子ゲルを形成した。DMF中でLBG、PtOEP及びDPAの固体粉末([LBG]=10mg mL-1=13.3mM、[PtOEP]=33μM、[DPA]=6.7mM)を加熱溶解し、次いで室温に冷却することによって、均一なピンク色のゲルを得た。
三成分オルガノゲルは構造的安定性を示し、その結果、加熱して得られた溶液を鋳型に注入することによって、特定の形状を有するゲルを調製することができた(図3a)。図3cは、PtOEP及びDPA含有二成分LBGゲル(以下それぞれPtOEP/LBG及びDPA/LBGゲルと略記する)についての吸収及び発光スペクトルを示す。PtOEP/LPG二成分ゲルのスペクトルは、403及び510nmで典型的なSoret-及びQ−バンドをそれぞれ示し、660nmでリン光ピークを示した。DPA/LBGゲルのスペクトルは、アントラセンLa吸収の典型的な振動構造を示し、その蛍光は435nmにおいて観察された。これらのスペクトルはDMF液溶中でのPtOEP又はDPAのものと類似しており、これは、LBG分子がこれら色素分子の光物理的特性を妨げていないことを示している。
用いた実験条件([PtOEP]=33μM、[DPA]=6.7mM、[LBG]=13.3mM)は、UC発光強度に基づいて最適化した(表1)。
空気中で観察された安定なTTA-UCは、LBGのゲルナノファイバー中に色素分子が効率的に内包されたことを意味しており、これは、SEM、レオロジー及びDSC測定によって支持された。まずゲルのミクロ構造を維持するために、ゲル試料を超臨界CO2を使用して乾燥した。LBGキセロゲルのSEM画像によると、70nmの平均厚さを有する繊維状ナノ構造が示された(図4a)。他方、三成分PtOEP/DPA/LBGゲルについては、数百nmの厚さを有する厚いナノファイバーが、平滑な表層構造は維持したまま観察された(図3b)。観察されたナノファイバーの厚さの増大は、PtOEP及びDPA分子がゲルナノファイバー中に取り込まれたことに由来しており、このことは事項で述べる粘弾性測定によってさらに確認された。
図4cは、LBGゲル及びPtOEP/DPA/LBG三成分ゲルについての貯蔵弾性率及び損失弾性率をせん断応力の関数として示す。LBGゲルは14Paで流動し始めたが、驚くべきことに、三成分ゲルは40Paまで安定であった。これは、色素を包含した結果、ゲルナノファイバーが強化されたことを示すものである18。
ゲルからゾルへの転移温度に及ぼす添加色素の効果を、DSC測定によりさらに調べた(図12)。DPAの濃度を増大させると、ゲル相からゾル相への転移温度は漸増を示した(Tc=43.9℃(LBGゲル)、Tc=44.8℃(LBG:DPA=1:0.5)、Tc=45.3℃(LBG:DPA=1:1))。観察されたゲル相の熱安定性の増進は、明らかにナノファイバー集合体中への色素分子の包含を示しており、これによってナノファイバー構造の熱安定性が高められている。
機器構成は、リポソームにおけるφUCを測定するためにBonnetらが使用したものと同様のものである19。量子収率は、一般的に放出されたフォトン数の吸収されたフォトン数に対する比として定義される。1つのアップコンバージョンされたフォトンを生成するためには2つのフォトンの吸収が必要とされることから、TTA-UC効率の理論最大値は50%と定義される4e,4h。
以上の結果は、ドナー及びアクセプター分子の大部分はゲルナノファイバー中に一緒に組み込まれており、酸素による消光から保護されていることを示している。
PtOEP/DPA/LBGの三成分ゲルを、CCl4において同様に調製した([PtOEP]=33μM、[DPA]=6.7mM、[LBG]=13.3mM)。三成分DMFゲルが強いUC発光を示す一方で、空気飽和した状態にあるCCl4中での三成分ゲルにおいてはUC発光は観察されなかった(図6)。これは、UC対はバルクCCl4相中に存在して十分に溶媒和されており、そのためこれらの励起三重項種は溶存酸素分子によって容易に消光されることを示している。
LBGのDMFゲル中でのPtOEPのリン光スペクトルを、脱気及び溶存酸素存在下で測定したところ、ドナーのリン光は、溶存酸素存在下で99%消光されていることが分かった(図14)。二成分DMFゲルにおいては、PtOEPはLBGナノファイバーと強力に結合していないことが明らかである。この結果は、溶存酸素存在下でも、三成分PtOEP/DPA/LBGゲルにおいてPtOEPからDPAへの効率的なTTETと高い全UC量子収率が観察された結果と相違する。
これらの観察結果は、PtOEP分子がDPA組み込みLBGナノファイバーへと取り込まれていることよって説明可能である。DMF中でのLBGナノファイバーへのDPAの取り込みは、図4に示すように、SEM、DSC及びレオロジー測定によって支持されている。TTA-UCについての最適ゲル形成条件下でのLBGの濃度([PtOEP]=33μM、[DPA]=6.7mM、[LBG]=13.3mM)と比較して、DPAが相当高いモル比で用いられているので、DPAはLBGナノファイバー中においてドメイン(DPAラフト)を形成するものと考えられる。すなわち、PtOEP分子は、LBGナノファイバー中には吸着されないが、LBGナノファイバー中に導入されたDPA分子が芳香族ドメイン(ラフト)を形成した場合、そのDPAドメイン中に取り込まれる。
LBGナノファイバー中におけるPtOEPのDPAラフトへの協同的取り込みは興味深い。これは、簡単なオルガノゲルナノファイバーマトリックスでも、オルガノゲルが機能指向性のナノ構造を構築するためのプラットホームとして働くことを示しており、これはオルガノゲル集合体において従来知られてない特徴である。
超分子ゲルの顕著な特性は、熱応答性にある。LBGゲルを加熱すると、繊維状ゲルネットワークの解体を伴うゲルからゾルへの転移を誘発し、これは、その溶液を冷却することによって可逆的に再度集合する。上記したように、PtOEP/DPA/LBGの三成分ゲルは、ナノファイバー中への酸素分子の侵入を阻止することによって強いUC発光を示すが、TTA-UC発光は、LBGナノファイバーなしで、溶液中で完全に消光した。そこで、TTA-UCの温度誘発スイッチングを達成する目的で、熱によって誘発されたゲルからゾルへの転移の効果を検討した。
25℃に冷却することによって、UC発光強度は可逆的に回復した。これは、繊維状ナノ構造が再集合することにより、効率的なエネルギー移動過程およびTTA-UC過程が酸素による影響を受けなくなったためと考えられる。図7に示すように、UC発光のスイッチングは、良好な可逆性を示しており、何度も繰り返すことができる。
太陽光などのかなり弱い励起光であっても、高いTTA-UC効率を達成することは重要である。TTA-UCの効率の有用な指標は、アップコンバージョン効率φUCが0.5となる閾値励起強度Ithによって与えられる6。したがって、太陽光を励起源として使用する場合、Ithは太陽の放射照度より低いことが望ましい。527nmから537nmまでのAM1.5の太陽のスペクトルの積分は1.6mW cm-2となる。
脱気された溶液中において、分子の拡散速度は、太陽の放射照度より低いIth値を得るのに十分大きい4e。一方、空気飽和条件下では、TTA-UCは、溶解酸素による励起三重項の消光によって妨害される。酸素による消光は、酸素の拡散を減速させるマトリックスとなる特定のポリマー又は粘性液体を使用することによって低減される。しかし、これらの場合、色素自体の拡散も抑えられるためIth値は高くなってしまう。
一方で、超分子ゲルにおいて観察される効率的なTTA-UCは、以下で論じるように、ナノファイバーにおける密に共組織化された色素間での効率的なエネルギーマイグレーションの寄与を示している。
一方で、入射光強度をIth以上に上げることによって、TTAがアクセプター三重項の主要な失活経路となる。結果として、Ithにおいて、入射光強度依存性が二次から一次へと変化する。
脱気ゲルにおいてアクセプターを用いると、ドナーリン光強度間の比により97.7%もの高いφET値が得られた(図13a)。したがって、PtOEP/DPA/LBG三成分ゲルについて、6.51×10-4cm2s-1のDTが得られる。このDT値は、低粘度溶媒におけるDPAの拡散定数(1.2×10-5cm2s-1)より、一桁大きい19。従来の低粘度溶媒系と比較して、剛性の結晶様のゲルファイバーにおける分子拡散はかなり抑制される筈であるから、この結果は励起分子の拡散では説明できない。
この状況は、励起光エネルギーが効果的に捕集されていることを示しており、生体膜中に組み込まれた光合成色素の光捕集システムを連想させるものである2。三成分ナノファイバーネットワークから成るTTA-UC系においては、バルク溶媒に溶解した酸素分子からドナー分子、アクセプター分子が遮蔽されており、自己組織化したナノ構造の驚くべき能力を示している。
4つの異なるUC対、すなわちNIRから可視までのUCについてPdPc(OBu)8/ルブレン21、赤からシアンまでのUCについてPtTPBP/BPEA22、緑から青までのUCについてPtOEP/DPA4a、及び可視からUVまでのUCについてIr(C6)2(acac)/DBP23を用いて、ナノマトリクスへの包摂による空気中TTA-UCをさらに一般化するための検討を行った。
空気飽和DMF溶液中では、UC対のすべてについてUC発光を観察することはできなかった。しかし、DMF中でLBGを用いて三成分ゲルを形成した後、すべてのゲルは、空気飽和条件下でも強いUC発光を示した(図9)。
PtOEP/DPA/LBG三成分ゲルの場合と同様に、三成分ゲルのための溶媒として非極性CCl4を使用した場合、他の3つのUC対もUC発光を示さなかった。したがって、すべてのドナー及びアクセプターは、極性DMFを溶媒として用いた場合、疎媒性相互作用を駆動力とするゲルネットワーク中への自己集合を示し、この結果、TTA-UCが溶解酸素分子から効果的に遮蔽されている。本発明の超分子ナノマトリックスを用いるアプローチは、このように広範なTTA-UC系において、空気中でのアップコンバージョンを可能にする画期的なものといえる。
光合成生体膜における高度な光エネルギー捕集系にインスパイアされ、種々のドナー-アクセプターUC対を超分子ナノファイバー中に集積することによって、TTA-UCゲルを構築するための、簡単かつ普遍的なアプローチを開発した。
従来、色素集合体における励起子挙動の制御に対して多くの検討がなされているが、TTA-UCなどのように複数の励起子移動を伴う現象は未開拓のまま残っている。ゲルナノファイバーにおける本発明のアクセプターとドナー分子の適応的及び協同的結合により、溶存酸素存在下であっても、効率的な三重項エネルギー移動及びマイグレーション過程、それに続くTTA-UCを観察することができた。
以上のように、本実施例では、分子の自己組織化との融合によって三重項エネルギーマイグレーション過程による光捕集とTTA-UCを結びつけ、TTA-UCの研究を刷新した。ナノファイバーゲルネットワークの適応的特性、空気感受性官能基の簡易な安定化、及びそれらの蓄積は、多くの分野において機能性分子系を設計するために広く適用可能である。
有機溶媒中において超分子マトリックス中に色素を密にドープすることで、酸素共存下でも低励起光強度からアップコンバージョンを確認することができた。このコンセプトを一般化するため、水系へと展開した。水中・酸素共存下でアップコンバージョンを発現することができれば、バイオイメージングや光線力学療法、光触媒など、応用の幅が広がると期待される。
大気下において、得られた水分散液に532 nmのレーザー光を照射したところ、400~500 nmにアップコンバージョン発光を明確に観測できた(図2)。この発光が確かにTTAに基づくアップコンバージョン発光であることを確かめるため、寿命の測定を行った(図3)。ミリ秒に及ぶ長寿命の発光であることが分かり、確かにTTAを経由したアップコンバージョンであることが確かめられた。またデータの長寿命成分を一次でフィッティングすることにより、アクセプターのトリプレットの寿命が5.1 msと見積もられた。
今回のコンセプトをイオン液体系へと展開できれば、不揮発性の材料とすることができ、応用の幅が広がると期待される。
今回用いた超分子マトリックスと色素を以下に示す。超分子マトリックスとしてはイオン液体中で自己組織化する能力を有するLipid 2を用いた。Lipid 2は複数のアミド基を有し、またそのアミド基が非極性なアルキル鎖に囲まれているため、イオン液体中でも効果的に水素結合ネットワークを形成可能である。更に親媒性部位としてヒドロキシル基を有する4級アンモニウム塩部位を導入した。この両親媒性分子はイオン液体中で高い自己組織化能を示す。この超分子マトリックスに疎媒性相互作用により色素を集積化するため、非極性なドナーとしてPtTPBPを、非極性なアクセプターとしてperyleneを用いた。イオン液体としては汎用的なC4mimTFSAを用いた。本実施例で用いた超分子マトリックスと色素、イオン液体の分子構造を以下に示す。
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Claims (13)
- 光を吸収して励起三重項状態となり増感剤として機能するドナー分子と、当該ドナー分子からの三重項エネルギー移動を受けた後に励起一重項状態となり発光体として機能するアクセプター分子と、自己組織化により前記ドナー分子及びアクセプター分子を集積組織化させる超分子マトリックスとを含む、フォトンアップコンバージョン組成物。
- 前記ドナー分子が、次式I:
R1及びR2、R4及びR5、R7及びR8並びにR10及びR11は、それぞれ独立して、飽和又は不飽和の5員環又は6員環を形成することができ、前記環は、任意に、C1−6アルキル基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されてもよく、
M1は、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれる金属原子、又はケイ素若しくは水素原子を表す。)
で示されるポルフィリン化合物、又は次式II:
で示される化合物である、請求項1に記載の組成物。 - 前記ドナー分子が、
- 前記ドナー分子が、Pt(II)/Pd(II)-ポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-テトラフェニル-テトラベンゾポルフィリン、Pt(II)/Pd(II)-Ph4OMe8TNP、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシナフタロシアニン、Pt(II)/Pd(II)-オクタブトキシフタロシアニン、Pyr3RuPZn3及びPt(II)/Pd(II)-テトラキスキノキサリノポルフィリン、ヨウ化物基を有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)、フラーレン基を含有するホウ素ジピロメタン(BODIPY)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、縮合ポルフィリンダイマー、並びにα-カルコゲニルフタロシアニン基-15(P、As、Sb)錯体、並びにこれらの誘導体からなる群から選択される1つの化合物である、請求項1に記載の組成物。
- 前記アクセプター分子が、次式III:
R33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、C1−6アルキルエーテル基、C6−20アリールエーテル基、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、リン酸基又はカルボキシル基を表し、前記基は、任意にハロゲン原子、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。)
で示される化合物、次式IV:
R43及びR44は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−15シクロアルキル基、C6−20アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、C1−6アルキルエーテル基、C6−20アリールエーテル基、SO3X(XはH、Na又はKを表す。)で示される基、リン酸基又はカルボキシル基を表し、前記基は、任意に、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、m及びnは、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。)
で示される化合物、次式V:
で示される化合物、次式(VI):
R63は、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C3−15シクロアルキル基、C3−15シクロアルケニル基、又はC6−20アリール基を表し、前記基は、任意に、C1−6アルキル基、C6−14アリール基、並びにOR101、COR102及びCOOR103(R101、R102及びR103は、前記と同様である。)からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されてもよく、
j及びkは、それぞれ独立して、1〜3の整数を表す。)
で示される化合物、又は下記いずれかの式:
- 前記アクセプター分子が、下記式:
- 前記アクセプター分子が、9,10-ジフェニルアントラセン、ペリレン、ピレン、ホウ素ジピロメタン(BODIPY)、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ルブレン及びテトラセン、並びにこれらの誘導体からなる群から選択される1つの化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記超分子マトリックスが、次式VII:
で示される化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。 - 超分子マトリックスが、N,N’-ビス(オクタデシル)-L-boc-グルタミン酸ジアミド、次式:
- ドナー分子/アクセプター分子のモル比が、1/10〜1/100000の範囲内であり、アクセプター分子/超分子マトリックスのモル比が、1/1〜1/100000の範囲内である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
- 超分子マトリックスが、有機溶媒、水又はイオン液体中でドナー分子及びアクセプター分子の集積能を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物に光を照射し、当該照射光のエネルギーよりも高いエネルギーの光を発生させることを特徴とする、フォトンアップコンバージョン方法。
- 照射光が近赤外光、可視光又は紫外光である請求項12に記載の方法。
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