(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るコンセント装置1は、図1A〜図3に示すように、プラグ2を接続可能なコンセント装置1である。プラグ2は、一対の差込片21を有している。本開示でいう「差込片」は、プラグ2のうちのコンセント装置1に差し込まれる導電性部材を意味し、例えば、栓刃又はピンである。
本実施形態において、コンセント装置1は、電気機器のプラグ2が接続されて電気機器への電力供給を行うコンセント(Outlet)の機能を有している。本実施形態では、コンセント装置1として、接地極無しの交流100V用であって、1個のプラグ2を接続可能な1個口タイプのコンセントを例示する。また、本実施形態では、コンセント装置1として、建物の内部で使用される屋内用のコンセントを例示する。コンセント装置1が使用される建物は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設である。
また、本実施形態に係るコンセント装置1は、図2に示すように、複数組み合わせされて給電装置10に用いられる。本実施形態に係る給電装置10は、コンセント装置1を複数備え、ハウジング11を更に備えている。ハウジング11は、複数のコンセント装置1を保持する。言い換えれば、給電装置10は、複数のコンセント装置1と、複数のコンセント装置1を保持するハウジング11と、を備えている。
このコンセント装置1は、商用電源等の電源に電気的に接続された状態で使用される。そのため、電気機器のプラグ2がコンセント装置1に接続されることによって、コンセント装置1から電気機器への電力供給が可能になる。この種のコンセント装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、給湯器及び照明器具等、種々の電気機器への電力供給に用いられる。つまり、種々の電気機器のプラグ2が、コンセント装置1に接続されることにより、コンセント装置1から電気機器への電力供給が可能になる。
ここで、本実施形態に係るコンセント装置1は、ボディ3と、一対の導電部材41(図3参照)と、操作部71と、押部材72と、規制構造8と、を備えている。ボディ3は、一対の差込口301を接続面311に有している。一対の差込口301は、プラグ2の一対の差込片21を差込可能に構成されている。一対の導電部材41は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21に電気的に接続される。操作部71は、人の操作を受け付ける。押部材72は、待機位置と突出位置との間を移動可能であって、操作部71の操作に従って待機位置から突出位置に移動することでプラグ2を押す。突出位置は、待機位置よりも接続面311からの押部材72の突出量が大きくなる位置である。規制構造8は、操作部71の操作を規制するための構造である。
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1によれば、操作部71の操作に従って押部材72が待機位置から突出位置に移動し、その際に押部材72がプラグ2を押すことになる。言い換えれば、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301に差し込まれた状態で、押部材72に押されて、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72から受ける。しかも、規制構造8により操作部71の操作が規制されているため、ユーザU1(図5A参照)の意に反して、押部材72がプラグ2を押すようなことは生じにくい。つまり、ユーザU1が意図的にコンセント装置1とプラグ2との接続を解除する際には、操作部71の操作によりプラグ2を抜去する向きの力をプラグ2に加えることができ、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ2を抜去できる、という利点がある。
(2)構成
以下、本実施形態に係るコンセント装置1及び給電装置10の構成について、図1〜図5Bを参照して、詳しく説明する。以下の説明において使用する「上下方向」、「前後方向」及び「左右方向」等の方向は、コンセント装置1及び給電装置10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
(2.1)前提
本実施形態では、上述したように、接地極無しの交流100V用のコンセント装置1を想定している。そのため、コンセント装置1に接続されるプラグ2としては、図2に示すように、一対の差込片21を有する、接地極無しのプラグを想定する。
プラグ2は、樹脂製のプラグボディ23を更に有している。一対の差込片21は、プラグボディ23の先端面から一方向に向けて突出する。一対の差込片21の各々は、金属の平板からなる栓刃である。各差込片21は、差込片21を厚み方向に貫通する引掛孔211を有している。一対の差込片21は、各差込片21の厚み方向において互いに対向するように配置されている。言い換えれば、一対の差込片21は互いに平行な位置関係にある。
(2.2)給電装置の構成
給電装置10は、上述したように、コンセント装置1を複数備え、複数のコンセント装置1を保持するハウジング11を更に備えている。本実施形態では一例として、給電装置10は3つのコンセント装置1を備えている。
また、本実施形態に係る給電装置10は、図2に示すように、複数のコンセント装置1及びハウジング11に加えて、ケーブル12を備えている。ケーブル12は、商用電源等の電源と、複数のコンセント装置1との間を電気的に接続する。これにより、電源から、ケーブル12を介して複数のコンセント装置1への電力の供給が可能となる。よって、給電装置10の複数のコンセント装置1に複数の電気機器のプラグ2が接続されることで、給電装置10から複数の電気機器へ電力の供給が可能となる。つまり、給電装置10は、いわゆるテーブルタップである。
本実施形態では、ハウジング11は、長さを有する直方体状である。ケーブル12は、ハウジング11の長手方向の一端面から引き出されている。複数(ここでは3つ)のコンセント装置1は、ハウジング11の長手方向に沿って並ぶように配置されている。複数のコンセント装置1は、少なくとも各々の接続面311を、ハウジング11の前面111から露出させるようにハウジング11に収容されている。前面111は、ハウジング11の長手方向に沿った一面である。このように、複数のコンセント装置1は、ハウジング11に収容された状態で、ハウジング11に保持されている。
ここで、本開示でいう「XがYに沿う」とは、Xに対するYの角度が所定範囲(0度以上45度以下)であることをいう。つまり、複数のコンセント装置1の並ぶ方向と、ハウジング11の長手方向との間の角度は、所定範囲にある。所定範囲は、0度以上25度以下であることが好ましい。本実施形態では、一例として、複数のコンセント装置1の並ぶ方向と、ハウジング11の長手方向との間の角度は0度、つまり、複数のコンセント装置1の並ぶ方向と、ハウジング11の長手方向とは平行である。
また、ハウジング11の側面112には、複数のコンセント装置1の各々の規制構造8(後述する壁81)が露出する。言い換えれば、複数のコンセント装置1は、少なくとも各々の規制構造8を、ハウジング11の側面112から露出させるようにハウジング11に収容されている。ハウジング11の側面112は、ハウジング11の長手方向に沿った一面であって、かつ前面111と直交する一面である。本開示でいう「直交」は、厳密に90度で交わる状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略直交する状態も含む意味である。つまり、前面111と側面112との間の角度は、90度に対してある程度の誤差(一例として10度以下)の範囲内に収まる。本実施形態では、一例として、前面111と側面112との間の角度は90度である。
(2.3)コンセント装置の構成
コンセント装置1は、図1、図3〜図4Bに示すように、ボディ3と、一対の導電部材41と、操作部71と、押部材72と、規制構造8と、を備えている。本実施形態では、コンセント装置1は、伝達機構9と、弾性部材73と、を更に備えている。また、コンセント装置1は、ケーブル12を電気的に接続するための端子部43(図3参照)等を更に備えている。
ボディ3は、上述したように、一対の差込口301を有している。ボディ3は、一対の導電部材41、端子部43及び伝達機構9等を収容している。本実施形態では、ボディ3は、図3に示すように、キャップ31と、内ボディ32と、外ボディ33と、を有している。これらキャップ31、内ボディ32及び外ボディ33が組み合わされることにより、ボディ3は全体として直方体状に形成されている。キャップ31及び内ボディ32は、例えば、ユリア樹脂製である。外ボディ33は、例えば、ASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)樹脂製である。
内ボディ32は、第1内ボディ321と、第2内ボディ322と、の2つの部材が組み合わされて構成されている。第1内ボディ321は、右側面及び前面に開口面を有している。第2内ボディ322は、左側面及び前面に開口面を有している。第1内ボディ321及び第2内ボディ322は、左右方向に組み合わされる。つまり、第1内ボディ321及び第2内ボディ322は、互いの開口面同士を対向させるように組み合わされる。このように組み合わされた状態で、第1内ボディ321及び第2内ボディ322は、接着、溶着又はスナップフィット等の適宜の手段にて機械的に結合され、一体化される。
キャップ31は、内ボディ32の前面を覆うように、内ボディ32と組み合わされる。つまり、第1内ボディ321及び第2内ボディ322が組み合わされた状態では、内ボディ32の前面は開放された状態にあるので、この状態の内ボディ32の前面を覆うように、キャップ31が第1内ボディ321及び第2内ボディ322と組み合わされる。このように組み合わされた状態で、キャップ31及び内ボディ32は、接着、溶着又はスナップフィット等の適宜の手段にて機械的に結合され、一体化される。
キャップ31は、一対の差込口301が形成された接続面311を有している。ここでは、キャップ31の前面が接続面311となる。つまり、ボディ3のうち、キャップ31における内ボディ32とは反対側の面(接続面311)には、一対の差込口301が形成されている。一対の差込口301は、キャップ31の前壁を、その厚み方向(前後方向)に貫通する貫通孔である。
一対の差込口301は、プラグ2の一対の差込片21を差込可能に構成されている。そのため、一対の差込口301の各々は、正面視において、左右方向(第1内ボディ321及び第2内ボディ322の対向方向)に長さを有する長方形状である。一対の差込口301は、接続面311において、プラグ2の一対の差込片21に対応する位置に配置されている。言い換えれば、一対の差込口301は、ボディ3の接続面311において、互いに平行な位置関係にある。
キャップ31は、接続面311における一対の差込口301の周囲に、テーパ面312を更に有している。テーパ面312は、各差込口301の開口周縁に近づくにつれて、接続面311から奥(後方)に離れるように、接続面311に対して傾斜している。テーパ面312は、各差込口301の周囲の全周にわたって形成されている。言い換えれば、各差込口301は、テーパ面312によって、すり鉢状に形成された凹所の底面に開口している。このようなテーパ面312により、差込口301に差込片21が差し込まれる際に、差込片21が差込口301に案内されやすくなる。
さらに、キャップ31は、その前面(接続面311)のうちの一対の差込口301の間に、透孔313(図3参照)を有している。透孔313は、キャップ31の前壁を、その厚み方向(前後方向)に貫通する貫通孔である。透孔313は、正面視において、円形状に開口する。本実施形態では透孔313は、接続面311の中心(重心)位置であって、一対の差込口301の中間(真ん中)に位置する。詳しくは後述するが、透孔313は、押部材72(押ピン721)を通すための孔である。
外ボディ33は、第1外ボディ331と、第2外ボディ332と、の2つの部材が組み合わされて構成されている。第1外ボディ331は、右側面に開口面を有している。第2外ボディ332は、左側面に開口面を有している。第1外ボディ331及び第2外ボディ332は、左右方向に組み合わされる。つまり、第1外ボディ331及び第2外ボディ332は、互いの開口面同士を対向させるように組み合わされる。このように組み合わされた状態で、第1外ボディ331及び第2外ボディ332は、接着、溶着又はスナップフィット等の適宜の手段にて機械的に結合され、一体化される。
ここで、外ボディ33は、第1外ボディ331と第2外ボディ332との間に、内ボディ32及びキャップ31を収容する。つまり、外ボディ33は、ボディ3の外郭を構成する。外ボディ33は、ボディ3をハウジング11等に固定するための固定部333を有している。外ボディ33は、キャップ31を露出させるための露出孔335(図3参照)を有している。露出孔335は、外ボディ33の前壁を、その厚み方向(前後方向)に貫通する貫通孔である。これにより、キャップ31が外ボディ33に収容された状態で、露出孔335から少なくともキャップ31の前面(接続面311)が露出する。
内ボディ32は、内部空間を少なくとも第1収容室323及び第2収容室324の2つに区分けする仕切部34(図3参照)を有している。第1収容室323及び第2収容室324には、それぞれ導電部材41が収容される。一対の導電部材41は、第1収容室323及び第2収容室324内で位置決めされる。
仕切部34は、第1内ボディ321及び第2内ボディ322に分かれて形成されており、第1内ボディ321及び第2内ボディ322を組み合わせることによって、一体の仕切部34が構成される。仕切部34は、前後方向に延びる縦孔341(図3参照)を有している。縦孔341は、前面が開放されている。仕切部34は、この縦孔341内に、後述する伝達機構9の第2リンク部材92の少なくとも一部を収容する。これにより、第2リンク部材92は、仕切部34の縦孔341内を前後方向に移動可能となる。言い換えれば、第2リンク部材92は、内ボディ32の仕切部34によって、前後方向への直進移動が許容され、かつ前後方向以外への移動が規制された状態で、保持される。
また、仕切部34は、第2内ボディ322を左右方向に貫通する横孔342を更に有している。横孔342は、縦孔341につながっている。仕切部34は、この横孔342内に、後述する伝達機構9の第1リンク部材91の少なくとも一部を収容する。これにより、第1リンク部材91は、仕切部34の横孔342内を左右方向に移動可能となる。言い換えれば、第1リンク部材91は、内ボディ32の仕切部34によって、左右方向への直進移動が許容され、かつ左右方向以外への移動が規制された状態で、保持される。
ここで、ボディ3は、接続面311と交差する一側面334を更に有している。本実施形態では一例として、一側面334は、外ボディ33の右側面(右側を向いた側面)である。上述したようにボディ3は全体として直方体状であるので、一側面334は接続面311と直交する。この一側面334には、操作孔336(図3参照)が形成されている。操作孔336は、第2外ボディ332を左右方向に貫通する。内ボディ32と外ボディ33とが組み合わされた状態では、操作孔336は、仕切部34の横孔342につながる。
一対の導電部材41は、図3に示すように、一対の差込口301に対応する位置に配置されている。よって、一対の導電部材41の各々は、対応する差込口301に差し込まれた差込片21に電気的に接続される。一対の導電部材41は、基本的に共通の構成であって、仕切部34の中心を通りかつ前後方向に沿う平面に対して対称である。そこで、以下では一対の導電部材41のうち、一方の導電部材41の構成について説明し、他方の導電部材41については適宜説明を省略する。
導電部材41は、導電性及び弾性を有する金属板、例えば、銅又は銅合金等の金属板にて構成されている。導電部材41は、差込片21を機械的に保持し、かつ差込片21と電気的に接続される。導電部材41は、互いに対向する第1刃受片411及び第2刃受片412を有している。導電部材41は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に差込片21を挟んだ状態で差込片21と電気的に接続されるように構成されている。
第1刃受片411及び第2刃受片412は、図3に示すように、隙間を介して互いに対向するように配置されている。第1刃受片411及び第2刃受片412は、差込口301の幅方向において互いに対向する。導電部材41は、第1刃受片411と第2刃受片412とを連結する連結片413(図3参照)を、更に有している。連結片413は、第1刃受片411及び第2刃受片412のうち、前後方向において差込口301とは反対側の端部同士を連結する。
導電部材41は、ボディ3に収容された状態では、第1刃受片411及び第2刃受片412のうち第1刃受片411が内側(仕切部34側)に位置する。言い換えれば、正面視において、第2刃受片412から見て仕切部34側に、第2刃受片412との間に隙間を形成するように第1刃受片411が配置されている。これにより、第1刃受片411と第2刃受片412との間に差込片21が差し込まれた状態では、差込片21に対して、仕切部34側から第1刃受片411が接触し、仕切部34とは反対側から第2刃受片412が接触する。
また、第1刃受片411及び第2刃受片412は、少なくともその差込口301側の端部が、差込口301に近づくほど、互いに離れるように傾斜している。言い換えれば、第1刃受片411及び第2刃受片412における差込口301側の端部は、差込口301から離れるほど、互いに近づくように傾斜している。このような形状により、差込口301からボディ3内に差し込まれた差込片21は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に案内されやすくなる。
また、本実施形態では、一対の導電部材41の各々は、突起414を有している。導電部材41は、突起414が差込片21に引っ掛かることで、差込片21を保持する。ここでは、一対の導電部材41の各々には突起414が一体に形成されている。この突起414は、差込口301に差し込まれた差込片21の引掛孔211に嵌るような位置及び形状に形成されている。そして、導電部材41は、差込片21の引掛孔211に突起414が嵌ることで、突起414を差込片21における引掛孔211の周縁に引っ掛けるようにして、差込口301に差し込まれた状態の差込片21を保持する。
具体的には、突起414は、ドーム状に形成されている。突起414は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に位置するように、第1刃受片411及び第2刃受片412の少なくとも一方に形成されている。本実施形態では、第1刃受片411及び第2刃受片412のうち、第1刃受片411にのみ、突起414が形成されている。つまり、突起414は、第1刃受片411における、第2刃受片412との対向面に形成されている。
端子部43は、導電性及び弾性を有する金属板、例えば、銅又は銅合金等の金属板にて構成されている。端子部43は、ケーブル12を機械的に保持し、かつケーブル12と電気的に接続される。本実施形態では、コンセント装置1は、一対の導電部材41に対応するように一対の端子部43を備えている。一対の端子部43は、一対の導電部材41と電気的に接続されている。本実施形態では、端子部43は、1枚の金属板にて、導電部材41と一体に形成されている。端子部43には、例えば、ボディ3(外ボディ33)の後面に形成された端子孔から電線(ケーブル12の心線)を差し込むことによってケーブル12が接続される。本実施形態では、コンセント装置1に対して、一対の電源線が接続される。
操作部71は、人の操作を受け付ける。本実施形態では、操作部71は、人の押操作を受け付ける、押ボタンである。本実施形態では一例として、操作部71は、円盤状に形成されている。操作部71は、ボディ3の一側面334(外ボディ33の右側面)に配置されている。操作部71は、非操作位置と操作位置との間を移動可能である。非操作位置は、操作部71が操作されていないときの操作部71の位置であって、操作位置は操作部71が操作されたときの操作部71の位置である。本実施形態では、操作位置は非操作位置から見て左側(内ボディ32側)に位置する。つまり、操作部71は一側面334と直交する方向(左右方向)に移動可能に構成されている。このように構成される操作部71は、一側面334と直交する方向(左右方向)の一方から押し込まれるように操作される。そして、操作部71は、操作時に非操作位置から操作位置に移動する。
押部材72は、待機位置と突出位置との間を移動可能な部材である。突出位置は、待機位置よりも接続面311からの押部材72の突出量が大きくなる位置である。そして、押部材72は、操作部71の操作に従って待機位置から突出位置に移動することで、プラグ2を押す。つまり、押部材72が操作部71の操作に従って待機位置から突出位置に移動することで、接続面311からの押部材72の突出量が大きくなる。このとき、コンセント装置1にプラグ2が接続されていれば、押部材72は、このプラグ2を押すことで、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72に作用させる。本実施形態では、押部材72は、ボディ3(キャップ31)の接続面311に形成された透孔313を貫通するように配置されている。つまり、押部材72は接続面311と直交する方向(前後方向)に移動可能に構成されている。このように構成される押部材72は、操作部71の操作に連動して、操作部71の操作時に待機位置から突出位置に移動する。
本実施形態では、待機位置は、接続面311からの押部材72の突出量が略0(ゼロ)となる位置である。特に本実施形態では、待機位置は、押部材72の先端面が接続面311と面一となる位置である(図4A参照)。これに対して、突出位置は、押部材72がプラグ2を押すのに十分なだけ、接続面311から押部材72が突出した位置である(図4B参照)。ここで、突出位置での接続面311から押部材72の突出量は、差込片21の長さの1/4以上であることが好ましく、差込片21の長さの1/3以上であることがより好ましい。また、突出位置での接続面311から押部材72の突出量は、差込片21の長さの1/2以上であることがより好ましく、差込片21の長さ以上であってもよい。
また、押部材72は、一対の差込片21の差込方向(前後方向)に沿った長さを有する押ピン721を含んでいる。押ピン721の長手方向に直交する断面は円形状である。つまり、本実施形態では、押部材72は、丸ピン状の押ピン721を含んでいる。本実施形態では一例として、押部材72は押ピン721のみを含んでいる。言い換えれば、押部材72と押ピン721とは同一である。
弾性部材73は、操作部71に対する操作が解除されたときに、押部材72を突出位置から待機位置に移動させる部材である。つまり、弾性部材73は、操作部71、押部材72又は伝達機構9の少なくとも一部に弾性力を作用させることにより、操作部71に対する操作が解除されたときに、押部材72を突出位置から待機位置に復帰させる。本実施形態では一例として、弾性部材73は、ボディ3(第2外ボディ332)の一側面334と操作部71との間に配置されるコイルばねからなる。これにより、操作部71が押操作されて非操作位置から操作位置に移動すると、弾性部材73は圧縮されることになる。そして、この状態で、操作部71に対する操作が解除されると、弾性部材73の弾性力によって操作部71が操作位置から非操作位置に押し戻される。
規制構造8は、操作部71の操作を規制するための構造である。具体的には、規制構造8は、操作部71を包囲するように操作部71の周囲に配置された壁81を含んでいる。ここでは、壁81は、操作部71との間に僅かな隙間を空けつつ、操作部71を全周にわたって囲むように形成されている。操作部71と壁81との間の隙間は、操作部71が一側面334と直交する方向(左右方向)に移動可能であって、左右方向以外への操作部71の移動を規制する程度の幅を有する。本実施形態では、上述したように操作部71はボディ3の一側面334(外ボディ33の右側面)に配置されているので、壁81についても、操作部71を包囲するようにボディ3の一側面334に配置されている。また、操作部71は円盤状であるので、壁81は円筒状に形成されている。本実施形態では、壁81はボディ3(第2外ボディ332)と一体に形成されている。
言い換えれば、規制構造8に含まれる壁81に包囲された円柱状の空間内に、操作部71が配置されている。そして、操作部71は、壁81に包囲された円柱状の空間内において、壁81の突出方向(左右方向)に移動可能に構成されている。特に本実施形態では、非操作位置は、操作部71の表面が壁81の先端面と面一となる位置である(図5A参照)。これに対して、操作位置は、操作部71の表面が壁81で包囲された空間内に押し込まれた位置である(図6A参照)。ここで、壁81の内径は、標準的な手の大きさのユーザU1の手の人差し指の指先の外径より大きく、ユーザU1の腕の外径より小さい寸法である。
また、本実施形態では、規制構造8は、接続面311と交差する一側面334に操作部71が配置された構造を含んでいる。つまり、本実施形態では、上述したように一対の差込口301が形成された接続面311と交差(直交)する一側面334に、操作部71が配置されている。このように、接続面311と交差する面(一側面334)に操作部71が配置されている、という操作部71のレイアウトによっても、操作部71の操作を規制するための規制構造8は実現可能である。すなわち、このような操作部71のレイアウトによれば、ユーザU1(図5A参照)の意に反して、操作部71が操作されて押部材72がプラグ2を押すようなことは生じにくい。
伝達機構9は、操作部71に作用した力を押部材72に伝達する機構である。伝達機構9は、一側面334と直交する方向に操作部71が押された力を、接続面311と直交する力に変換して押部材72に伝達する。すなわち、本実施形態では、操作部71は一側面334と直交する方向(左右方向)に押操作され、押部材72は接続面311と直交する方向(前後方向)に移動するので、操作部71と押部材72との間において、力の方向を変換する必要がある。そこで、伝達機構9は、操作部71に作用した力を押部材72に伝達するに際して、力の方向の変換を行う。具体的には、伝達機構9は、操作部71が左方に押し込まれた力を、押部材72を前方に押し出す力に変換する。本実施形態では、伝達機構9は、第1リンク部材91及び第2リンク部材92を有している。
本実施形態では一例として、操作部71、押部材72、規制構造8及び伝達機構9(第1リンク部材91及び第2リンク部材92)は、いずれもASA樹脂等の樹脂製である。
(2.4)伝達機構
次に、伝達機構9の構成について、図4A及び図4Bを参照して、より詳細に説明する。図4A及び図4Bでは、伝達機構9(第1リンク部材91及び第2リンク部材92)、押部材72及び弾性部材73については実線で、ボディ3(キャップ31)及び操作部71については想像線(2点鎖線)で示し、それ以外の図示を省略している。
伝達機構9は、上述したように、第1リンク部材91及び第2リンク部材92を有している。第1リンク部材91と第2リンク部材92とは相互に連動する。第1リンク部材91は、操作部71に機械的に結合される。第2リンク部材92は、押部材72に機械的に結合される。
第1リンク部材91は、左右方向に沿った長さを有する棒状の部材である。第1リンク部材91の長手方向の一端部(右端部)は、操作部71に結合される。本実施形態では、第1リンク部材91は、弾性部材73であるコイルばねの内側を貫通するように配置されている。第1リンク部材91はスライダ911を有している。スライダ911は、第1リンク部材91の長手方向における操作部71とは反対側の端部(左端部)に配置されている。第1リンク部材91は、上述したように仕切部34の横孔342に挿入され、仕切部34の横孔342内を左右方向に移動可能となる。言い換えれば、第1リンク部材91は、内ボディ32の仕切部34によって、左右方向への直進移動が許容され、かつ左右方向以外への移動が規制された状態で、保持される。
第2リンク部材92は、厚みを有する板状の部材である。第2リンク部材92の前端部は、押部材72に結合される。ここでは、押部材72である押ピン721は、第2リンク部材92の前端部の中央部から前方に突出するように、第2リンク部材92と一体に形成されている。第2リンク部材92は、厚み方向の一面にスライド溝921を有している。スライド溝921は、直線状であって、左端部から右端部に近づくにつれて第2リンク部材92の前端部との距離が小さくなるように形成されている。つまり、スライド溝921は、左右方向に対して斜めに延びている。第2リンク部材92は、上述したように仕切部34の縦孔341に挿入され、仕切部34の縦孔341内を前後方向に移動可能となる。言い換えれば、第2リンク部材92は、内ボディ32の仕切部34によって、前後方向への直進移動が許容され、かつ前後方向以外への移動が規制された状態で、保持される。
ここで、第2リンク部材92のスライド溝921は、第1リンク部材91のスライダ911を挿入可能な幅及び深さを有している。第1リンク部材91及び第2リンク部材92は、第1リンク部材91のスライダ911が第2リンク部材92のスライド溝921に挿入された状態で組み合わされる。この状態で、スライダ911は、スライド溝921内をスライド溝921の長手方向に沿って直進移動可能である。そのため、第1リンク部材91の左右方向の移動は、第2リンク部材92の前後方向の移動に変換される。
例えば、図4Aに示す状態から、第1リンク部材91が左方に移動すれば、スライダ911がスライド溝921内を移動することで、第2リンク部材92は前方に移動する。一方、図4Bに示す状態から、第1リンク部材91が右方に移動すれば、スライダ911がスライド溝921内を移動することで、第2リンク部材92は後方に移動する。言い換えれば、スライダ911及びスライド溝921にて、第1リンク部材91の左右方向の移動が、第2リンク部材92の前後方向の移動に変換されることになる。
このような構成により、伝達機構9は、図4A及び図4Bに示すように、操作部71に作用した力を押部材72に伝達するに際して、操作部71が左方に押し込まれた力を、押部材72を前方に押し出す力に変換することになる。その結果、図4Aに示すように、操作部71が非操作位置にあり、押部材72が待機位置にある状態から、図4Bに示すように、操作部71が操作されて操作位置に移動すると、押部材72が突出位置に移動する。
すなわち、図4Aに示す状態で、操作部71が左方に押し込まれると、操作部71に作用した力が伝達機構9にて変換されて押部材72に伝達され、図4Bに示すように、押部材72が待機位置から突出位置に移動する。図4Bの状態では、弾性部材73は圧縮されているので、操作部71に対する操作が解除されると、弾性部材73の弾性力によって操作部71が操作位置から非操作位置に押し戻される。操作部71が非操作位置に戻るときの力も伝達機構9にて変換されて押部材72に伝達されるので、押部材72は突出位置から待機位置に移動する。
(3)使用方法
以下、本実施形態に係るコンセント装置1及び給電装置10の使用方法について、図5A〜図6Bを参照して、詳しく説明する。以下では、ユーザU1がプラグ2をコンセント装置1に接続する「接続作業」と、ユーザU1がプラグ2をコンセント装置1から抜去する「抜去作業」とに分けて、コンセント装置1の使用方法を説明する。図5A及び図6Aでは、ユーザU1の手を想像線(二点鎖線)で示している。
まず、接続作業においては、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301に差し込まれるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。そして、差込口301からボディ3内に差し込まれた差込片21は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に案内される。このとき、導電部材41は、その弾性(ばね性)により、差込片21が第1刃受片411と第2刃受片412との間に進入するにつれて、第1刃受片411と第2刃受片412との隙間を広げるように弾性変形する。これにより、導電部材41は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に差込片21を挟んだ状態で、差込片21を機械的に保持し、かつ差込片21と電気的に接続される。
さらに、図5A及び図5Bに示すように、差込口301に差し込まれた差込片21は、導電部材41の突起414により保持される。つまり、図5A及び図5Bに示す状態では、差込口301に差し込まれた差込片21は、第1刃受片411と、第2刃受片412とに挟まれる。このとき、第1刃受片411に形成された突起414が、差込片21の引掛孔211に嵌ることで、差込片21は保持される。ここで、突起414が引掛孔211に嵌ることにより、ユーザU1に対して、クリック感(節度感)を与えることが可能となる。
以上説明したような接続作業により、プラグ2は、コンセント装置1に接続され、一対の差込片21が、それぞれ一対の導電部材41に電気的に接続される。
一方、抜去作業においては、ユーザU1は、図6A及び図6Bに示すように、操作部71を非操作位置から操作位置に移動させるように押操作する。このとき、ユーザU1は、規制構造8に含まれる壁81に包囲されている操作部71を、壁81で包囲された空間内に押し込むように操作する。そして、操作部71に作用した力は、伝達機構9にて変換されて押部材72に伝達されるため、図6Bに示すように、押部材72が待機位置から突出位置に移動し接続面311から突出する。
すなわち、図5A及び図5Bに示すように、操作部71が非操作位置にある状態では、押部材72は待機位置にあるため、接続面311から押部材72が突出しない。これに対して、図6A及び図6Bに示すように、操作部71が操作位置にある状態では、押部材72は待機位置から移動して突出位置にあるため、接続面311から押部材72が突出する。したがって、図6A及び図6Bの状態では、接続面311から突出した押部材72が、その先端面にてプラグ2のプラグボディ23を前方に押す。押部材72に押されたプラグ2は、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72から受けるため、図6Bに示すように、コンセント装置1から抜去される向きに移動する。
ここで、押部材72に押されたプラグ2は、コンセント装置1から完全に抜去されてもよいし、途中まで抜去されてコンセント装置1から抜け掛かった状態にあってもよい。本実施形態では、図6Bのように、プラグ2は途中まで抜去されて抜け掛かった状態になることと仮定する。このようにプラグ2が抜け掛かった状態において、一対の差込片21は、一対の導電部材41から電気的に切り離されてもよいし、切り離されなくてもよい。一対の差込片21が一対の導電部材41から電気的に切り離されない場合であっても、導電部材41の突起414が差込片21の引掛孔211から外れるため、少なくとも導電部材41による差込片21の保持力は低下する。
この状態で、ユーザU1が操作部71の操作を解除すると、弾性部材73の弾性力によって操作部71が操作位置から非操作位置に押し戻され、押部材72についても突出位置から待機位置に移動する。ただし、押部材72が突出位置から待機位置に移動しても、プラグ2は押部材72に追従して移動することはなく、図6Bに示すように、コンセント装置1から抜け掛かった状態を維持する。
そして、導電部材41による差込片21の保持力が低下した図6A及び図6Bの状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301から抜けるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。つまり、プラグ2がコンセント装置1から抜け掛かった状態において、プラグ2を引っ張ることで、一対の差込片21が一対の差込口301から完全に抜去される。このとき、ユーザU1は、接続面311の法線に沿って、プラグ2を真っ直ぐ移動させることが好ましい。
以上説明したような抜去作業により、プラグ2は、コンセント装置1から抜去され、一対の差込片21は、それぞれ一対の導電部材41との電気的な接続が解除される。
このように、本実施形態に係るコンセント装置1によれば、接続作業においては、一対の差込片21を一対の差込口301に差し込むだけで、コンセント装置1とプラグ2との接続を実現することが可能である。一方、抜去作業においては、ユーザU1は、壁81に包囲された位置にある操作部71を意図的に操作することで、押部材72にて、少なくともプラグ2を途中まで抜去した上で、一対の差込片21を一対の差込口301から抜去することが可能である。これにより、コンセント装置1によるプラグ2の保持力を低下させた状態で一対の差込片21を一対の差込口301から抜去することができるため、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。
例えば、テーブルタップ等の給電装置10において、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力が大きいと、一般的に、ユーザU1は、一方の手でプラグ2を抜去しつつ、他方の手でハウジング11を押さえておく必要がある。これに対して、本実施形態に係るコンセント装置1の構成では、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力が小さいため、ユーザU1は、ハウジング11を押さえておかなくても、一方の手でプラグ2を抜去することが可能となる。結果的に、一例として、テーブルタップ等の給電装置10からプラグ2を抜去する場合、ユーザU1は片手でもプラグ2を抜去することが可能となって、より簡単な作業でプラグ2を抜去できる。
しかも、規制構造8により操作部71の操作が規制されているため、ユーザU1の意に反して、押部材72がプラグ2を押すようなことは生じにくい。例えば、テーブルタップ等の給電装置10において、ユーザU1の足又は家具等が、偶然に操作部71に当たって操作部71を操作してしまうようなことは生じにくい。一方で、ユーザU1が意図的にコンセント装置1とプラグ2との接続を解除する際には、操作部71を操作して、押部材72にてプラグ2を(途中まで)抜去することが可能である。
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(4.1)第1変形例
実施形態1の第1変形例に係るコンセント装置1Aは、図7A及び図7Bに示すように、操作部71と接続面311との位置関係が、実施形態1に係るコンセント装置1と相違する。図7A及び図7Bは、コンセント装置1Aの要部を模式的に表した説明図である。
本変形例に係るコンセント装置1Aでは、操作部71が接続面311から露出するように配置されている。この操作部71は、実施形態1と同様に、人の押操作を受け付ける、押ボタンである。すなわち、本変形例では、接続面311に、一対の差込口301及び操作部71が並べて配置される。
本変形例では、操作部71は接続面311と直交する方向(前後方向)に移動可能に構成されている。このように構成される操作部71は、接続面311と直交する方向(前後方向)の一方(前方)から押し込まれるように操作される。そして、操作部71は、操作時に非操作位置から操作位置に移動する。本変形例においては、規制構造8Aは、操作部71を包囲するように操作部71の周囲に配置された壁にて実現される。この壁(規制構造8A)は、ボディ3において接続面311に形成された穴の内壁にて構成されている。
本変形例では、操作部71は接続面311と直交する方向(前後方向)に押操作され、押部材72は接続面311と直交する方向(前後方向)に移動する。そこで、本変形例では、伝達機構9は、操作部71が後方に押し込まれた力を、押部材72を前方に押し出す力に変換する。このような伝達機構9は、一例として、シーソ動作するリンク機構にて実現される。
(4.2)その他の変形例
また、コンセント装置1は、屋内用に限らず、建物の外部で使用される屋外用の装置であってもよい。また、コンセント装置1は、接地極無しに限らず、接地極付きであってもよいし、例えば、交流200V用又は直流用のコンセント(Outlet)であってもよい。さらに、コンセント装置1は、差込片21が栓刃であるAタイプのプラグ2に限らず、例えば、差込片21がピンであるBタイプ又はCタイプのプラグ2用であってもよい。コンセント装置1は、1個口タイプのコンセントに限らず、例えば、2個のプラグ2を同時に接続可能な2個口タイプのコンセントであってもよいし、3個口タイプのコンセントであってもよい。さらに、コンセント装置1が接地極付きである場合に、コンセント装置1に接続されるプラグ2は、接地極無しのプラグであってもよい。
また、押部材72の待機位置は、突出位置よりも接続面311からの押部材72の突出量が小さくなる位置であればよい。例えば、待機位置は、押部材72の先端面が接続面311と面一となる位置に限らず、押部材72の先端面が接続面311とよりも後退した位置、又は押部材72の先端面が接続面311から突出した位置であってもよい。
また、操作部71の操作の態様は、実施形態1のような押操作に限らず、例えば、スライド操作、回転操作、捻り操作又は引張操作等であってもよい。
また、弾性部材73は、操作部71、押部材72又は伝達機構9の少なくとも一部に弾性力を作用させればよく、実施形態1のように操作部71に弾性力を作用させる構成に限らず、例えば、押部材72に弾性力を作用させてもよい。さらに、弾性部材73は、コイルばねに限らず、例えば、トーションばね又は板ばね等で実現されてもよい。あるいは、弾性部材73は適宜省略されてもよい。
また、伝達機構9は、例えば、てこの原理により、操作部71に作用する力よりも大きな力で、押部材72を押し出すように構成されていてもよい。この場合、操作部71の操作をより小さな力で実現可能である。
また、コンセント装置1からプラグ2へ電力が供給されることは、コンセント装置1に必須の構成ではなく、プラグ2からコンセント装置1に電力が供給されてもよい。例えば、発電装置のプラグ2がコンセント装置1に接続される場合には、発電装置のプラグ2からコンセント装置1に電力が供給されることになる。
また、コンセント装置1に接続されるプラグ2は、電気機器のケーブルの先端部に設けられるプラグに限らず、例えば、充電器等の、筐体とプラグとが一体化された電気機器のプラグであってもよい。
また、コンセント装置1は、例えば、一対の導電部材41の通電状態/非通電状態を切り替えるスイッチ、及び、過電流若しくは漏電電流等の異常電流又は過熱等を検知して一対の導電部材41への通電を遮断する保護回路を、更に備えていてもよい。スイッチ及び保護回路は給電装置10に設けられていてもよく、この場合、スイッチ及び保護回路は、複数のコンセント装置1に対して1つだけ設けられていてもよいし、複数のコンセント装置1の各々に対して1つずつ設けられていてもよい。
また、給電装置10は、複数のコンセント装置1と、ハウジング11と、を備えていればよく、ケーブル12を備えることは必須ではない。給電装置10は、例えば、吊下型の給電装置、据置型の給電装置、床埋込型の給電装置、又は机等の什器に組み込まれた給電装置であってもよい。さらに、給電装置10において、複数のコンセント装置1がハウジング11の前面111から露出することは必須ではなく、例えば、ハウジング11の側面112、又は長手方向の端面等から、複数のコンセント装置1のうちの少なくとも1つが露出してもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係るコンセント装置1Fは、図8A及び図8Bに示すように、プラグ2を抜去するための構成が、実施形態1に係るコンセント装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では一例として、接地極無しのコンセント装置1Fを想定する。
本実施形態に係るコンセント装置1Fは、ボディ3と、一対の導電部材41と、保持構造5と、を備えている。ボディ3は、一対の差込口301を接続面311に有している。一対の差込口301は、プラグ2の一対の差込片21を差込可能に構成されている。一対の導電部材41は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21に電気的に接続される。保持構造5は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21を保持する。ここにおいて、一対の差込片21は、一対の差込口301に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置P1から第2位置P2まで回転可能である。第2位置P2は、第1位置P1よりも保持構造5による一対の差込片21の保持力が低い位置である。第1位置P1及び第2位置P2のいずれでも一対の差込片21が挿抜可能である。
また、本実施形態に係るコンセント装置1Fは、操作部71と、押部材72と、規制構造8と、を更に備えている。操作部71は、人の操作を受け付ける。押部材72は、待機位置と突出位置との間を移動可能であって、操作部71の操作に従って待機位置から突出位置に移動することでプラグ2を押す。突出位置は、待機位置よりも接続面311からの押部材72の突出量が大きくなる位置である。規制構造8は、操作部71の操作を規制するための構造である。
本実施形態では、一対の差込口301の各々は、回転中心R1を中心とする円に沿って延びた形状、つまり、回転中心R1を中心とする円弧状に形成されている。ここでいう回転中心R1は、コンセント装置1Fに対してプラグ2が相対的に回転する際のプラグ2の回転の中心軸である。図8A等では、コンセント装置1Fの接続面311上に位置する回転中心R1を、模式的に図示している。つまり、回転中心R1は仮想的な点であって実体を伴わない。
第1位置P1及び第2位置P2は、このような形状の差込口301内に、正面視において、回転中心R1を中心とする反時計回りに、第1位置P1、第2位置P2の順で並ぶように配置されている。そのため、本実施形態では、プラグ2は、一対の差込片21が一対の差込口301に差し込まれた状態において、正面視において反時計回りに回転することによって、その差込片21が第1位置P1から第2位置P2に移動することになる。
本実施形態では、保持構造5は、一対の導電部材41の各々に形成された突起51を含んでいる。保持構造5は、突起51が一対の差込片21の各々に引っ掛かることで、一対の差込片21を保持する。この保持構造5は、差込片21が少なくとも第1位置P1にあるときに、差込片21の引掛孔211に突起51を嵌めることで、第2位置P2に比較して、第1位置P1での一対の差込片21の保持力を高くしている。
また、本実施形態では、規制構造8は、操作部71を包囲するように操作部71の周囲に配置された壁を含んでいる。ここでは一例として、操作部71は円盤状であるので、規制構造8に含まれる壁は円筒状に形成されている。本実施形態では、壁81はボディ3と一体に形成されている。
また、本実施形態に係るコンセント装置1Fは、伝達機構9を更に備えている。伝達機構9は、操作部71に作用した力を押部材72に伝達する機構である。伝達機構9は、操作部71が左方に押し込まれた力を、押部材72を前方に押し出す力に変換する。
このコンセント装置1Fによれば、一対の差込片21が一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることにより、プラグ2が電気的に接続される。また、このコンセント装置1Fでは、一対の差込口301に差し込まれた状態の一対の差込片21は第1位置P1から第2位置P2まで回転可能である。
そして、一対の差込口301の第2位置P2にて一対の差込片21が一対の差込口301から抜かれる。つまり、一対の差込片21が第2位置P2にある状態で、ユーザU1が操作部71を操作することで、操作部71の操作に従って押部材72を待機位置から突出位置に移動させる。このとき、図8Bに想像線(2点鎖線)で示すように、接続面311から突出する押部材72がプラグ2を押すことになる。言い換えれば、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1Fの一対の差込口301(の第2位置P2)に差し込まれた状態で、押部材72に押されて、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72から受ける。しかも、規制構造8により操作部71の操作が規制されているため、ユーザU1の意に反して、押部材72がプラグ2を押すようなことは生じにくい。このとき、一対の差込片21は第2位置P2にある状態で、一対の差込口301から抜去される。そのため、一対の差込片21が第1位置P1にある状態(第1状態)に比べて、保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下した状態で、一対の差込片21が一対の差込口301から抜去される。
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1Fでは、プラグ2を回転させる操作と、操作部71の操作と、の2段階の操作をユーザU1が行うことで、コンセント装置1Fからプラグ2を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ2を抜去できる、という利点がある。
また、保持構造5は、突起51が一対の差込片21の各々に引っ掛かることで、一対の差込片21を保持する構成に限らない。例えば、保持構造5は、ローレット形状等により差込片21との摩擦力を向上させて差込片21を保持する構造、又は導電部材41自体のばね力により差込片21を保持する構造であってもよい。さらに、保持構造5は、例えば、導電部材41とは別に設けられた弾性体により差込片21を保持してもよいし、磁力又は粘着力等により差込片21を保持してもよい。
また、ボディ3を一対の差込口301側から見て、プラグ2が時計回りに回転することで、一対の差込片21が、第1位置P1から第2位置P2に移動してもよい。
また、コンセント装置1Fは接地極無しに限らず、接地極付きであってもよい。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係るコンセント装置1Gは、図9A及び図9Bに示すように、回転体6を更に備える点で実施形態2に係るコンセント装置1Fと相違する。以下、実施形態2と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
回転体6は、ボディ3における一対の差込口301が形成された接続面311の少なくとも一部を覆う。回転体6は、ボディ3に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように、ボディ3に対して回転可能である。ここで、回転体6は、一対の貫通孔61を有している。上記「複数の状態」は、一対の貫通孔61が第1位置P1に重なる第1状態(図9A参照)と、一対の貫通孔61が第2位置P2に重なる第2状態(図9B参照)と、を含む。
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1Gにおいては、ボディ3の前面である接続面311の手前に、接続面311の少なくとも一部を覆う回転体6が配置されている。回転体6に形成された一対の貫通孔61は、一対の差込片21を差込可能に構成されている。そして、回転体6は、これら一対の貫通孔61が、第1位置P1に重なる第1状態(図9A参照)と、第2位置P2に重なる第2状態(図9B参照)と、を含む複数の状態を切り替えるように、ボディ3に対して相対的に回転可能である。
本実施形態では、回転体6は、樹脂製であって、円盤状に形成されている。回転体6は、ボディ3に対して回転可能な状態で支持されている。一対の貫通孔61の各々は、回転体6を厚み方向に貫通する。また、貫通孔61の開口面は、差込片21の断面よりも一回り大きい、長方形状に形成されている。貫通孔61の開口面積は、差込口301の開口面積よりも小さい。
また、本実施形態においては、コンセント装置1Gは、例えば、ボディ3と回転体6との間に、回転体6に対して弾性力を作用させるばねを更に備えている。ばねは、回転体6を初期状態に維持するような弾性力を回転体6に作用させる。本実施形態では、一例として、初期状態は「第1状態」である。そのため、ばねは、回転体6を初期状態としての第1状態に維持するような弾性力を、回転体6に作用させる。
以下、本実施形態に係るコンセント装置1Gの使用方法について、図9A及び図9Bを参照して説明する。
まず、コンセント装置1Gにプラグ2が接続されていない状態では、回転体6は、図9Aに示すように、ばねにより初期状態としての第1状態に保持されている。つまり、この初期状態(第1状態)では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第1位置P1に重なる位置にある。言い換えれば、一対の差込口301の第1位置P1は、回転体6の一対の貫通孔61を通して露出する。
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1Gの一対の差込口301に差し込まれるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。このとき、プラグ2の一対の差込片21は、回転体6の一対の貫通孔61を貫通して、一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることになる。差込口301の第1位置P1に差し込まれた差込片21は、保持構造5により、抜け止めがなされ、かつ導電部材41と電気的に接続される。
一方、プラグ2をコンセント装置1Gから抜去する際には、ユーザU1は、一対の差込口301内において第1位置P1から第2位置P2に一対の差込片21が移動するように、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させる。ここで、一対の差込片21は、回転体6の一対の貫通孔61を貫通しているので、一対の差込片21の回転に伴って、回転体6がボディ3に対して反時計回りに回転する。
そして、一対の差込片21が第2位置P2に移動すると、回転体6は、図9Bに示すように、ばねの弾性力に抗して、ボディ3との位置関係が第2状態に切り替わる。つまり、この第2状態では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第2位置P2に重なる位置にある。言い換えれば、一対の差込口301の第2位置P2は、回転体6の一対の貫通孔61を通して露出する。
本実施形態では、回転体6の中央部には、押部材72を通すための孔が形成されている。そのため、押部材72は、待機位置から突出位置に移動する際に、回転体6を貫通するようにして、回転体6の前面から更に突出する。
この状態において、ユーザU1が操作部71を操作することで、操作部71の操作に従って押部材72を待機位置から突出位置に移動させる。このとき、回転体6の前面から突出する押部材72がプラグ2を押すことになる。言い換えれば、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1Gの一対の差込口301(の第2位置P2)に差し込まれた状態で、押部材72に押されて、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72から受ける。このとき、一対の差込片21は第2位置P2にある状態で、一対の差込口301から抜去される。そのため、一対の差込片21が第1位置P1にある状態(第1状態)に比べて、保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下した状態で、一対の差込片21が一対の差込口301から抜去される。
これにより、回転体6の一対の貫通孔61からも一対の差込片21が抜去されるので、回転体6は、ばねのばね力によって、時計回りに回転し初期位置である第1状態(図9A参照)に戻る。
以上説明した本実施形態に係るコンセント装置1Gによれば、コンセント装置1Gに接続された状態のプラグ2の回転時に、プラグ2は、回転体6と一緒に回転することになるので、一対の差込片21の回転軌道が安定しやすくなる。つまり、回転体6はボディ3に対して回転中心R1を中心に回転可能となるように、ボディ3に支持されているので、回転体6と一緒に回転するプラグ2の一対の差込片21についても、回転中心R1を中心に回転しやすくなる。その結果、ユーザU1がプラグ2を回転させる操作が比較的簡単になる。さらに、一対の差込片21が導電部材41に引っ掛かることにより導電部材41が変形する等の不具合も生じにくくなる。
また、本実施形態に係るコンセント装置1Gによれば、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21が差し込まれる位置を制限しやすくなる。つまり、上述したように回転体6の初期状態が第1状態であれば、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21は第1位置P1に案内されることになる。すなわち、差込口301に差込片21が差し込まれるときに、差込片21を第2位置P2ではなく第1位置P1に導くように、回転体6が機能する。
また、ばねの弾性力は、回転体6を介して一対の差込片21にも作用するので、一対の差込片21が第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。つまり、ばねは、回転体6に弾性力を作用させるので、回転体6と一緒に回転するプラグ2の一対の差込片21についても、回転体6の初期状態に対応する位置(ここでは第1位置P1)に向けて弾性力を作用させる。これにより、一対の差込片21は、第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。
図10A〜図10Cは、実施形態3の変形例に係るコンセント装置1Hを示す概略図である。コンセント装置1Hでは、上記「複数の状態」は、一対の差込口301を回転体6で覆う第3状態(図10A参照)を更に含む。つまり、回転体6は、ボディ3に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように、ボディ3に対して回転可能であるが、本変形例では、この「複数の状態」が、第1状態(図10B参照)、第2状態(図10C参照)、及び第3状態の3つの状態を含んでいる。
第3状態は、図10Aに示すように、一対の差込口301を回転体6で覆う位置である。回転体6には、一対の貫通孔61が形成されているので、第3状態にあっては、回転体6における一対の貫通孔61以外の部位で、一対の差込口301を覆うことになる。言い換えれば、第3状態は、一対の貫通孔61が一対の差込口301に重ならない状態である。
本変形例では、一例として、初期状態は「第3状態」である。そのため、ばねは、回転体6を初期状態としての第3状態に維持するような弾性力を、回転体6に作用させる。そのため、コンセント装置1Hにプラグ2が接続されていない状態では、回転体6は、図10Aに示すように、ばねにより初期状態としての第3状態に保持されている。つまり、この初期状態(第3状態)では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301に重ならない位置にある。
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21が一対の貫通孔61に差し込み、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させることで、一対の差込片21の回転に伴って、回転体6をボディ3に対して反時計回りに回転させる。そして、回転体6は、図10Bに示すように、ばねの弾性力に抗して、ボディ3との位置関係が第1状態に切り替わる。つまり、この第1状態では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第1位置P1に重なる位置にある。それ以降は、実施形態3のコンセント装置1Gと同様に、第1状態(図10B参照)においてプラグ2が接続され、第2状態(図10C参照)においてプラグ2が抜去される。
本変形例によれば、回転体6が第3状態にあれば、回転体6によって一対の差込口301が覆われるので、一対の差込口301からボディ3内に塵埃等の異物が入ることを抑制できる。
実施形態3の他の変形例として、回転体6は、接続面311の法線に沿って移動可能であって、後方(接続面311側)に押し込まれた状態でのみ回転可能であってもよい。言い換えれば、回転体6は、後方に押し込まれていなければ、ストッパにより回転が規制される。この場合、復帰ばねが設けられ、回転体6を前方(接続面311とは反対側)に押す弾性力が、復帰ばねから回転体6に作用することが好ましい。本変形例では、ユーザU1は、プラグ2を抜去する際には、プラグ2によって回転体6を後方に押し込んだ状態で、回転体6ごとプラグ2を回転させることになる。そのため、ユーザU1の意に反してプラグ2が回転しにくくなる。また、回転体6が周壁の内側に押し込まれる構成では、プラグ2が周壁に接触することで、プラグ2の傾きが生じにくく、プラグ2の回転軌道が安定する。
また、実施形態3の更に他の変形例として、例えば、ばねの弾性力によって維持される初期状態は適宜変更可能である。すなわち、図9A及び図9Bに示したコンセント装置1Gであれば、初期状態は第1状態に限らず、第2状態であってもよい。図10A〜図10Cに示したコンセント装置1Hであれば、初期状態は第3状態に限らず、第1状態であってもよいし、第2状態であってもよい。
また、ばねと同様の機能は、コンセント装置1Gに限らず、プラグ2側に設けられていてもよい。すなわち、ばねが回転体6を介して一対の差込片21に作用させる弾性力に相当する弾性力を、プラグ2に設けられたばねが、一対の差込片21に直接的に作用させてもよい。例えば、プラグボディ23に対して、一対の差込片21が回転可能に構成され、プラグボディ23に内蔵されたばねの弾性力が、第1位置P1に向けて一対の差込片21に作用することで、上記機能を実現できる。この構成であれば、コンセント装置1Gに回転体6を設けなくとも、一対の差込片21が第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。
また、回転体6に弾性力を作用させるばねは、コンセント装置1G(又は1H)に必須の構成ではなく、ばねは適宜省略可能である。
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(実施形態4)
本実施形態に係る給電装置10Aは、図11A及び図11Bに示すように、ハウジング11が円盤状である点で、実施形態1に係る給電装置10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では一例として、給電装置10Aに含まれるコンセント装置1Iとして、接地極無しのコンセント装置1Iを想定する。
本実施形態では、ハウジング11は、円形状の上面110を有する円盤状である。複数(ここでは6つ)のコンセント装置1Iは、少なくとも各々の接続面311を、ハウジング11の上面110から露出させるようにハウジング11に収容されている。このように、複数のコンセント装置1Iは、ハウジング11に収容された状態で、ハウジング11に保持されている。
ハウジング11は、第1ケース113と、第2ケース114と、を有している。第1ケース113及び第2ケース114は、いずれも一面が開放された円盤状に形成されており、互いに組み合わされることにより、中空円盤状のハウジング11を構成する。複数のコンセント装置1Iの接続面311は、ハウジング11のうちの第2ケース114の上面110から露出するように、ハウジング11に収容されている。
また、ハウジング11の外周面の下端部、具体的には、第1ケース113の外周面の一部には、スリット115が形成されている。スリット115は、ハウジング11の内部空間と外部空間とをつないでおり、例えば、ハウジング11内の塵埃を、スリット115を通してハウジング11外に排出することが可能である。
また、ケーブル12は、ハウジング11の外周面の一部から引き出されている。ただし、本実施形態では、ケーブル12は、第1ケース113の底面の中央部からハウジング11外に引き出されており、第1ケース113の底面に形成された溝を通して、ハウジング11の外周面の一部に案内されている。そのため、ケーブル12は、ハウジング11の外周面からだけでなく、ハウジング11の下面から引き出すことも可能である。
ここにおいて、複数のコンセント装置1Iは、ハウジング11の上面110の法線方向から見て、上面110の中心に対して放射状に配置されている。言い換えれば、複数のコンセント装置1Iは、ハウジング11の上面110の中心を囲むように、上面110の周方向に沿って並ぶように配置されている。
より詳細には、複数のコンセント装置1Iの接続面311は、ハウジング11の上面110と同心円となる仮想円上に、等間隔で配置されている。このような配置によれば、複数のコンセント装置1Iに対しては、ハウジング11の上面110の中心から見ていずれの方向からでもプラグ2を接続しやすくなる。言い換えれば、給電装置10Aに対しては、いずれの方向からでも同様にアクセスすることができ、給電装置10Aの使い勝手がよくなる。
また、本実施形態では、複数のコンセント装置1Iの操作部71は、ハウジング11の上面110の外周部に、等間隔で配置されている。すなわち、各コンセント装置1Iの接続面311及び操作部71は、ハウジング11の上面110の中心側に接続面311が位置し、上面110の外周側に操作部71が位置するように配置されている。より詳細には、ハウジング11の上面110の外周部には、内側に食い込むように切り欠いた形状の切欠部82(図11B参照)が複数形成されており、この切欠部82内に操作部71が配置されている。つまり、切欠部82は、ハウジング11の上面110の法線方向から見て、上面110の中心とは反対側に開放された形状の凹部であって、この切欠部82内に収まるように操作部71が配置されている。
この構成では、切欠部82の内側面が、複数のコンセント装置1Iの各々の規制構造8として機能する。すなわち、切欠部82の内側面は、操作部71の操作を規制するための規制構造8として機能する。具体的には、規制構造8は、ハウジング11の上面110の法線方向から見て、少なくとも三方から操作部71を包囲するように操作部71の周囲に配置された切欠部82の内側面を含んでいる。ここでは、切欠部82の内側面は、操作部71との間に僅かな隙間を空けつつ、外側を除く三方から操作部71を囲むように形成されている。
言い換えれば、規制構造8に含まれる切欠部82の内側面に包囲された空間(切欠部82)内に、操作部71が配置されている。そして、操作部71は、切欠部82の内側面に包囲された空間内において、上面110の法線方向に移動可能に構成されている。特に本実施形態では、非操作位置は、操作部71の表面が上面110と面一となる位置である(図13A参照)。これに対して、操作位置は、操作部71の表面が切欠部82内に押し込まれた位置である(図13B参照)。ここで、切欠部82の幅は、標準的な手の大きさのユーザU1の手の人差し指の指先の外径より大きく、ユーザU1の腕の外径より小さい寸法である。
また、本実施形態では、操作部71は、非操作位置と操作位置との間を移動するに際して、直進移動するのではなく、後述する支点C1(図13A参照)を中心に回転する。そのため、ユーザU1(図6A参照)が、操作部71を非操作位置から操作位置に移動させるように押操作することで、図11Bに示すように、操作部71は、上面110の外周縁側の端部が、中心側の端部に比べて大きく沈み込むように変位する。そして、操作部71に作用した力は、伝達機構9にて押部材72に伝達されるため、図11Bに示すように、押部材72が待機位置から突出位置に移動し接続面311から突出する。図11Bでは、一例として、複数(ここでは6つ)のコンセント装置1Iの全てについて、操作部71が操作されて押部材72が突出した状態を表している。
図12は、第2ケース114を外した状態の給電装置10Aを示している。このように、給電装置10Aは、複数のコンセント装置1Iをハウジング11内に収容している。複数のコンセント装置1Iは、それぞれ個別に取り扱い可能なようにモジュール化されており、互いに共通の構成を有している。
各コンセント装置1Iは、一対の導電部材41と電気的に接続された一対の端子部43を備えている。一対の端子部43は、ケーブル12と電気的に接続された一対のバスバー13に対して、電気的に接続される。これにより、各コンセント装置1Iの一対の導電部材41は、一対のバスバー13を介してケーブル12と電気的に接続されることになる。具体的には、一対のバスバー13は、ハウジング11内に配置されており、電線(ケーブル12の心線)と電気的に接続されている。一対のバスバー13は、それぞれ円環状(リング状)に形成されており、ハウジング11の厚み方向に対向した状態で、ハウジング11の中央部に配置されている。各コンセント装置1Iは、一対の端子部43が、例えば、はんだ付け等の手段で一対のバスバー13に電気的に接続されることで、ケーブル12と電気的に接続される。このような、円環状のバスバー13を用いることで、複数のコンセント装置1Iがハウジング11の上面110の周方向に沿って並ぶような配置を採用しながらも、導電部材41等に特殊な加工を要しない。
また、本実施形態に係る給電装置10Aにおいては、コンセント装置1Iが採用している伝達機構9の構造についても、実施形態1とは相違する。すなわち、本実施形態では、図13A及び図13Bに示すように、伝達機構9は、てこの原理により、操作部71に作用する力よりも大きな力で、押部材72を押し出すように構成されている。この場合、操作部71の操作をより小さな力で実現可能である。図13A及び図13Bでは、コンセント装置1Iを含む給電装置10Aの要部の断面を概念的に示している。
伝達機構9は、シーソ部材93及び作動部材94を有している。シーソ部材93と作動部材94とは相互に連動する。シーソ部材93は、操作部71に機械的に結合される。作動部材94は、押部材72に機械的に結合される。
シーソ部材93は、長さを有する棒状の部材である。シーソ部材93の長手方向の一端部は、操作部71に結合される。ここでは、シーソ部材93は、操作部71と一体に形成されている。シーソ部材93の長手方向の他端部は、作動部材94に嵌め込まれている。シーソ部材93は、支点C1を中心に回転可能に構成されている。そのため、シーソ部材93は、操作部71に作用した力を、支点C1を中心に回転することによって、作動部材94へと伝達する。ここで、シーソ部材93において、力点(操作部71に結合された端部)から支点C1までの距離L1は、作用点(作動部材94に嵌る端部)から支点C1までの距離L2以上である。具体的には、距離L1は、距離L2の1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。本実施形態では一例として、距離L1は、距離L2の1.3倍程度である。
本実施形態では、シーソ部材93は、弾性部材73であるコイルばねによって、操作部71に結合された一端部側が上方に押されている。そのため、シーソ部材93は、図13Aにおける時計回りに回転する向きの弾性力を、弾性部材73から受けることになる。
作動部材94は、窪み941を有している。ここでは、押部材72である押ピン721は、作動部材94の上面の中央部から上方に突出するように、作動部材94と一体に形成されている。作動部材94の窪み941に、シーソ部材93の端部が嵌り込むことで、作動部材94はシーソ部材93に連動する。
このような構成により、伝達機構9は、図13A及び図13Bに示すように、操作部71に作用した力を押部材72に伝達するに際して、操作部71が下方に押し込まれた力を、押部材72を上方に押し出す力に変換することになる。その結果、図13Aに示すように、操作部71が非操作位置にあり、押部材72が待機位置にある状態から、図13Bに示すように、操作部71が操作されて操作位置に移動すると、押部材72が突出位置に移動する。
すなわち、図13Aに示す状態で、操作部71が下方に押し込まれると、操作部71に作用した力が伝達機構9にて押部材72に伝達され、図13Bに示すように、押部材72が待機位置から突出位置に移動する。図13Bの状態では、弾性部材73はシーソ部材93にて圧縮されているので、操作部71に対する操作が解除されると、弾性部材73の弾性力によって操作部71が操作位置から非操作位置に押し戻される。操作部71が非操作位置に戻るときの力も伝達機構9にて押部材72に伝達されるので、押部材72は突出位置から待機位置に移動する。しかも、上述したような構成の伝達機構9によれば、てこの原理により、操作部71に作用する力よりも大きな力で、押部材72が押し出されるので、操作部71の操作をより小さな力で実現可能である。
また、本実施形態では、図13Aに示すように、操作部71が非操作位置にある状態では、押部材72は待機位置にあるため、接続面311から押部材72が突出しない。そのため、例えば、コンセント装置1Iに対してプラグ2が接続されていない状態において、接続面311から押部材72が突出するようなことがなく、押部材72の破損が生じにくい。一方、図13Bに示すように、操作部71が操作位置にある状態では、押部材72は待機位置から移動して突出位置にあるため、接続面311から押部材72が突出する。このときの接続面311からの押部材72の突出量H1は、少なくとも一対の差込片21が、一対の導電部材41から電気的に切り離される(図14B参照)ように、設計されることが好ましい。具体的には、突出量H1は、5mm以上40mm以下に設定されることが好ましい。さらに、突出量H1は10mm以上であることがより好ましく、突出量H1は20mm以下であることがより好ましい。
ところで、本実施形態では、コンセント装置1Iは、図14A及び図14Bに示すように、ストッパ構造35を更に備えている。ストッパ構造35は、押部材72が待機位置から突出位置に移動することで一対の差込片21が一対の導電部材41から離れたときに、一対の導電部材41に接触する向きの一対の差込片21の移動を規制する。すなわち、上述したように突出量H1が規定されていれば、操作部71が操作されて、押部材72が待機位置から突出位置に移動すると、少なくとも一対の差込片21は、一対の導電部材41から離れて一対の導電部材41から電気的に切り離される。これにより、コンセント装置1Iとプラグ2との電気的な接続が解除された状態となる。この状態で、操作部71の操作が終了し、押部材72が待機位置に復帰すると、押部材72によってプラグ2を支持できなくなるので、例えば、プラグ2の自重によって、一対の導電部材41に近づく向きの力がプラグ2に作用することがある。このとき、プラグ2が一対の導電部材41に近づく向きに移動し、一対の差込片21が一対の導電部材41に接触すると、チャタリング等が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態に係るコンセント装置1Iは、ストッパ構造35を備えることで、チャタリング等の発生を抑制する。要するに、ストッパ構造35によれば、押部材72が待機位置から突出位置に移動することで一対の差込片21が一対の導電部材41から離れた場合、一対の導電部材41に接触する向きの一対の差込片21の移動はストッパ構造35にて規制される。したがって、操作部71の操作が終了し、押部材72が待機位置に復帰して、例えば、プラグ2の自重によって、一対の導電部材41に近づく向きの力がプラグ2に作用したとしても、プラグ2が一対の導電部材41に近づく向きに移動することが抑制される。その結果、一対の差込片21が一対の導電部材41に接触することを防止でき、チャタリング等の発生を抑制できる。
具体的には、本実施形態では、ストッパ構造35は、ボディ3に支持された扉体351を有している。扉体351は、開位置と、閉位置と、の間を移動可能である。開位置は、一対の差込口301から見て一対の導電部材41を露出させる位置である。閉位置は、一対の差込口301から見て一対の導電部材41を覆う位置である。扉体351は、閉位置にあれば、一対の導電部材41に接触する向きの一対の差込片21の移動を規制する。すなわち、扉体351は、ボディ3に対して、図14Aに示す開位置と、図14Bに示す閉位置と、の間を移動可能な状態で支持されている。本実施形態では、扉体351は、ボディ3に対して回転可能に支持されており、回転することによって開位置と閉位置とが切り替わる。ここでは、扉体351は、一対の差込口301のそれぞれに対して1つずつ設けられている。
さらに、扉体351は、コンセント装置1Iの非使用時、つまりプラグ2を接続しないときには、トーションばね等のばねによって、閉位置に保持されている。そして、プラグ2の一対の差込片21が一対の差込口301に挿入されると、差込片21に押されるようにして、扉体351は閉位置から開位置へと移動する。このような扉体351は、例えば、コンセント装置1Iの非使用時に、一対の差込口301からボディ3内に塵埃等の異物が進入することを防止する機能を持つ。
要するに、本実施形態では、一対の差込口301からボディ3内に塵埃等の異物が進入することを抑制する扉体351を、ストッパ構造35として利用している。そのため、押部材72が待機位置から突出位置に移動することで一対の差込片21が一対の導電部材41から離れた場合、図14Bに示すように、閉位置にある扉体351によって、一対の導電部材41に接触する向きへの一対の差込片21の移動が抑制される。結果的に、一対の差込片21が一対の導電部材41に接触することを抑制でき、チャタリング等の発生を抑制できる。
また、実施形態4の変形例として、給電装置10Aに含まれるコンセント装置1Iの数は6つに限らず、例えば、5つ以下、又は7つ以上であってもよい。
また、コンセント装置1Iは接地極無しに限らず、接地極付きであってもよい。
また、ストッパ構造35は、扉体351に限らず、例えば、差込片21の引掛孔211に嵌るような突起(ダボ)をボディ3の一部に設けることで、ストッパ構造35を構成してもよい。
また、ハウジング11の下面には、例えば、什器等に給電装置10Aを取り付けるためのホルダを固定する取付構造が設けられていることが好ましい。これにより、給電装置10Aを、例えば、ホルダによって什器等に取り付けることが可能である。
また、給電装置10Aは、コンセント装置1に加えて、例えば、USB(Universal Serial Bus)のコンセント(Outlet)としての機能を有していてもよい。この給電装置10Aは、USBプラグを差込接続可能なUSB差込口(USBのレセプタクル)を有し、USB差込口を通じて負荷に5Vの直流電圧を出力するように構成されている。
また、給電装置10Aは、それぞれ個別に取り扱い可能なようにモジュール化された複数のコンセント装置1Iをハウジング11内に収容しているが、この構成に限らない。すなわち、モジュール化されてない複数のコンセント装置1Iがハウジング11に収容されて、給電装置10Aが構成されていてもよい。
実施形態4で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1〜3で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(実施形態5)
本実施形態に係る給電装置10Bは、図15に示すように、1つのコンセント装置1Jにつき操作部71が一対設けられている点で、実施形態4に係る給電装置10Aと相違する。以下、実施形態4と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1Jでは、操作部71は、一対設けられている。一対の操作部71は、接続面311の法線方向から見て押部材72の両側に位置する。押部材72は、一対の操作部71のいずれが操作されても待機位置から突出位置に移動する。要するに、コンセント装置1Jは、押部材72の両側に一対の操作部71を備えており、一対の操作部71のいずれでも、押部材72を待機位置から突出位置に移動させるように操作可能に構成されている。
より詳細には、本実施形態では、ハウジング11は、長さを有する直方体状である。ケーブル12は、ハウジング11の長手方向の一端面から引き出されている。複数(ここでは4つ)のコンセント装置1Jは、ハウジング11の長手方向に沿って並ぶように配置されている。複数のコンセント装置1Jは、少なくとも各々の接続面311を、ハウジング11のうちの第2ケース114の上面110から露出させるようにハウジング11に収容されている。このように、複数のコンセント装置1Jは、第1ケース113及び第2ケース114を有するハウジング11に収容された状態で、ハウジング11に保持されている。
また、本実施形態では、各コンセント装置1Jの一対の操作部71は、ハウジング11の上面110の短手方向の両端部に配置されている。より詳細には、ハウジング11の上面110の短手方向の両端部には、内側に食い込むように切り欠いた形状の切欠部82(図11B参照)が複数形成されており、この切欠部82内に操作部71が配置されている。つまり、切欠部82は、ハウジング11の上面110の法線方向から見て、上面110の短手方向の中心とは反対側に開放された形状の凹部であって、この切欠部82内に収まるように操作部71が配置されている。
言い換えれば、各コンセント装置1Jにおける一対の操作部71は、押部材72に対して、ハウジング11の上面110の短手方向の両側に位置する。つまり、一対の操作部71に挟まれた位置に、押部材72及び一対の差込口301等が配置されている。このような配置によれば、ハウジング11の上面110の短手方向に並ぶ一対の操作部71及び押部材72が対応することになる。よって、一対の操作部71のいずれかが操作されると、これら一対の操作部71に挟まれた押部材72が待機位置から突出位置に移動する。
一対の操作部71にて押部材72を移動させるための伝達機構9の構成としては、例えば、図16A又は図16Bに示すような構成を採用可能である。
図16Aの例では、実施形態4で説明した、操作部71、伝達機構9及び押部材72と同様の構成を、一対の操作部71が並ぶ方向(ハウジング11の上面110の短手方向)において対称に設けている。すなわち、図16Aの例では、伝達機構9は、一対のシーソ部材93と、作動部材94と、を有している。各シーソ部材93は、それぞれ長手方向の一端部が操作部71に機械的に結合される。作動部材94は、一対のシーソ部材93に連動するように、一対の窪み941を有している。図16Aの構成では、一対の操作部71の一方が操作されて操作位置に移動すると、他方の操作部71についても操作位置に移動する。つまり、一対の操作部71の状態は互いに同期し、一対の操作部71のいずれかが操作されると、押部材72が待機位置から突出位置に移動する。
図16Bの例においても、実施形態4で説明した、操作部71、伝達機構9及び押部材72と同様の構成を、一対の操作部71が並ぶ方向(ハウジング11の上面110の短手方向)において対称に設けている。すなわち、図16Aの例では、伝達機構9は、一対のシーソ部材93と、作動部材94と、を有している。各シーソ部材93は、それぞれ長手方向の一端部が操作部71に機械的に結合される。ここで、作動部材94は、窪み941に代えて一対の受け片942を有している。一対の受け片942は、シーソ部材93の長手方向の他端部が下面に接触する。さらに、一対の受け片942に対してシーソ部材93とは反対側(上側)には、弾性部材73としてのコイルばねが配置される。この弾性部材73は、操作部71に対する操作が解除されたときに、一対の受け片942に弾性力を作用させることにより、押部材72を突出位置から待機位置に移動させる。図16Bの構成では、一対の操作部71の一方が操作されて操作位置に移動しても、他方の操作部71については操作位置に移動しない。つまり、一対の操作部71の状態は互いに非同期であり、一対の操作部71のいずれかが操作されると、押部材72が待機位置から突出位置に移動する。
本実施形態の構成によれば、一対の操作部71のいずれを操作しても押部材72を待機位置から突出位置に移動させることができるので、押部材72の両側から操作部71の操作が可能となり、使い勝手が向上する。また、例えば、ACアダプタ等のようにプラグボディ23が比較的大きな場合に、プラグボディ23によって一方の操作部71が覆われることがあっても、他方の操作部71を操作することで、押部材72を待機位置から突出位置に移動させることができる。
また、実施形態5の変形例として、コンセント装置1Jは、操作部71を少なくとも一対備えていればよく、例えば、3つ以上の操作部71を備えていてもよい。
また、給電装置10Bに含まれるコンセント装置1Iの数は4つに限らず、例えば、3つ以下、又は5つ以上であってもよい。
また、ストッパ構造35は、扉体351に限らず、例えば、差込片21の引掛孔211に嵌るような突起(ダボ)をボディ3の一部に設けることで、ストッパ構造35を構成してもよい。
実施形態5で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態4で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)は、ボディ(3)と、一対の導電部材(41)と、操作部(71)と、押部材(72)と、規制構造(8,8A)と、を備える。ボディ(3)は、プラグ(2)の一対の差込片(21)を差込可能な一対の差込口(301)を接続面(311)に有する。一対の導電部材(41)は、一対の差込口(301)に差し込まれた一対の差込片(21)に電気的に接続される。操作部(71)は、人の操作を受け付ける。押部材(72)は、待機位置と突出位置との間を移動可能である。突出位置は、待機位置よりも接続面(311)からの突出量が大きくなる位置である。押部材(72)は、操作部(71)の操作に従って待機位置から突出位置に移動することでプラグ(2)を押す。規制構造(8,8A)は、操作部(71)の操作を規制するための構造である。
この態様によれば、ユーザが意図的にプラグ(2)の接続を解除する際には、操作部(71)の操作によりプラグ(2)を抜去する向きの力をプラグ(2)に加えることができ、プラグ(2)を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ(2)を抜去できる、という利点がある。
第2の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)では、第1の態様において、規制構造(8,8A)は、操作部(71)を包囲するように操作部(71)の周囲に配置された壁(81)を含む。
この態様によれば、例えば、ユーザの足又は家具等が、偶然に操作部(71)に当たって操作部(71)を操作してしまうようなことが生じにくい。
第3の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)では、第1又は2の態様において、規制構造(8,8A)は、接続面(311)と交差する一側面(334)に操作部(71)が配置された構造を含む。
この態様によれば、例えば、接続面(311)上に物体が落下した際等に、この物体が偶然に操作部(71)に当たって操作部(71)を操作してしまうようなことが生じにくい。
第4の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)は、第3の態様において、操作部(71)に作用した力を押部材(72)に伝達する伝達機構(9)を更に備える。伝達機構(9)は、一側面(334)と直交する方向に操作部(71)が押された力を、接続面(311)と直交する力に変換して押部材(72)に伝達する。
この態様によれば、操作部(71)に作用した力を、効率的に押部材(72)に作用させることができる。
第5の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)は、第1〜4のいずれかの態様において、弾性部材(73)を更に備える。弾性部材(73)は、操作部(71)に対する操作が解除されたときに、押部材(72)を突出位置から待機位置に移動させる。
この態様によれば、プラグ(2)の抜去後に、次回のプラグ(2)の接続作業に備えて、押部材(72)を待機位置に移動させることが容易になる。
第6の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)では、第1〜5のいずれかの態様において、押部材(72)は、一対の差込片(21)の差込方向に沿った長さを有する押ピン(721)を含む。押ピン(721)の長手方向に直交する断面は円形状である。
この態様によれば、押ピン(721)の先端面でプラグ(2)を押すことにより、押部材(72)からプラグ(2)に効率的に力を作用させることができる。
第7の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)は、第1〜6のいずれかの態様において、保持構造(5)を更に備える。保持構造(5)は、一対の差込口(301)に差し込まれた一対の差込片(21)を保持する。一対の差込片(21)は、一対の差込口(301)に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置(P1)から、第2位置(P2)まで回転可能である。第2位置(P2)は、第1位置(P1)よりも保持構造(5)による一対の差込片(21)の保持力が低い位置である。第1位置(P1)及び第2位置(P2)のいずれでも一対の差込片(21)が挿抜可能である。
この態様によれば、プラグ(2)を回転させてから、一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜去できるため、プラグ(2)を抜去する際に要する力をより小さく抑えることができる。
第8の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)は、第7の態様において、回転体(6)を更に備える。回転体(6)は、ボディ(3)における一対の差込口(301)が形成された接続面(311)の少なくとも一部を覆う。回転体(6)は、ボディ(3)に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるようにボディ(3)に対して回転可能である。回転体(6)は、一対の貫通孔(61)を有する。上記複数の状態は、一対の貫通孔(61)が第1位置(P1)に重なる第1状態と、一対の貫通孔(61)が第2位置(P2)に重なる第2状態と、を含む。
この態様によれば、プラグ(2)は、回転体(6)と一緒に回転することになるので、一対の差込片(21)の回転軌道が安定しやすくなる。
第9の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)では、第8の態様において、上記複数の状態は、一対の差込口(301)を回転体(6)で覆う第3状態を更に含む。
この態様によれば、回転体(6)が第3状態にあれば、回転体(6)によって一対の差込口(301)が覆われるので、一対の差込口(301)からボディ(3)内に塵埃等の異物が入ることを抑制できる。
第10の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)では、第1〜9のいずれかの態様において、操作部(71)は、一対設けられている。一対の操作部(71)は、接続面(311)の法線方向から見て押部材(72)の両側に位置する。押部材(72)は、一対の操作部(71)のいずれが操作されても待機位置から突出位置に移動する。
この態様によれば、一対の操作部(71)のいずれを操作しても押部材(72)を待機位置から突出位置に移動させることができるので、押部材(72)の両側から操作部(71)の操作が可能となり、使い勝手が向上する。
第11の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)は、第1〜10のいずれかの態様において、ストッパ構造(35)を更に備える。ストッパ構造(35)は、押部材(72)が待機位置から突出位置に移動することで一対の差込片(21)が一対の導電部材(41)から離れたときに、一対の導電部材(41)に接触する向きの一対の差込片(21)の移動を規制する。
この態様によれば、押部材(72)が待機位置から突出位置に移動することで一対の差込片(21)が一対の導電部材(41)から離れた後、一対の差込片(21)が一対の導電部材(41)に接触することによるチャタリング等の発生を抑制できる。
第12の態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)では、第11の態様において、ストッパ構造(35)は、ボディ(3)に支持された扉体(351)を有する。扉体(351)は、一対の差込口(301)から見て一対の導電部材(41)を露出させる開位置と、一対の差込口(301)から見て一対の導電部材(41)を覆う閉位置と、の間を移動可能である。扉体(351)は、閉位置にあれば、一対の導電部材(41)に接触する向きの一対の差込片(21)の移動を規制する。
この態様によれば、扉体(351)にて、チャタリング等の発生を抑制しつつ、さらに、一対の差込口(301)からボディ(3)内に塵埃等の異物が進入することを抑制できる。
第13の態様に係る給電装置(10)は、第1〜12のいずれかの態様に係るコンセント装置(1,1A,1F〜1J)を複数備え、複数のコンセント装置(1,1A,1F〜1J)を保持するハウジング(11)を更に備える。
この態様によれば、ユーザが意図的にプラグ(2)の接続を解除する際には、操作部(71)の操作によりプラグ(2)を抜去する向きの力をプラグ(2)に加えることができ、プラグ(2)を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ(2)を抜去できる、という利点がある。
第2〜12の態様に係る構成については、コンセント装置(1,1A,1F〜1J)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。