以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
まず、図1から図3、図7、図17を用いて本発明の一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、マフラ5、トランスミッションケース6、前輪7、後輪8、フェンダ9、昇降装置10、キャビン11、ステアリングホイール15、座席16、アームレスト100、サイドコンソール200、音声入力部300等を具備する。
図1及び図2に示す機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。エンジン3はボンネット4に覆われる。ボンネット4の右側方には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ5が配置される。エンジン3の後部には、トランスミッションケース6が固定される。
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪7に支持される。トランスミッションケース6の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪8に支持される。左右一対の後輪8は、概ね上方からフェンダ9によって覆われる。
トランスミッションケース6の後部には、昇降装置10が設けられる。昇降装置10には、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。昇降装置10は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業装置を昇降させることができる。昇降装置10には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
エンジン3の動力は、トランスミッションケース6に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪7に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪8に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪7及び後輪8が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。またエンジン3の動力によって、昇降装置10に装着された作業装置を駆動させることができる。
エンジン3の後方にはキャビン11が設けられる。キャビン11の内部には、運転者が搭乗する居住空間が形成される。
次に、図3、図4、図7、図9、図17及び図18を用いてキャビン11の内部の詳細について説明する。キャビン11は、床部12、天井部13及び支柱14を具備する。
床部12は、キャビン11の床面を構成するものである。床部12は、ステップ12a及び座席ベース部12bを具備する。ステップ12aは、床部12の前側部分を構成するものである。ステップ12aには、運転者の足が置かれる。座席ベース部12bは、床部12の後側部分を構成するものである。座席ベース部12bは、上面が、ステップ12aの上面よりも上方に位置するように形成されている。換言すれば、座席ベース部12bは、ステップ12aよりも一段高く形成されている。
図17及び図18に示す天井部13は、キャビン11の天井面を構成するものである。天井部13には、収容部13aが設けられている。収容部13aは、天井部13の右側部分に設けられている。収容部13aは、天井部13における他の部分に対して下方に突出するように設けられている。収容部13aは、内部が中空状に形成されている。収容部13aの内部には、オーディオ機器13bや空調機器13cが設けられる。
図3、図7、図9及び図17に示す支柱14は、天井部13を支持するものである。支柱14は、キャビン11の前後方向中間位置において、左右に一対設けられている。支柱14は、支柱本体部14a及び支柱カバー部14bを具備する。支柱本体部14aは、天井部13を支持するフレームを構成するものである。支柱カバー部14bは、キャビン11の内部において、支柱本体部14aを覆うものである。支柱カバー部14bの内部には、中空空間が形成される。上記中空空間は、収容部13aの内部に連通すると共に、オーディオ機器13bや空調機器13cに接続されたケーブルや空調機器13cのダクトが収容される。
キャビン11の前部には、前輪7の切れ角を調節するためのステアリングホイール15、各種のペダル等が配置される。キャビン11の略中央には、座席16が配置される。
図3及び図4に示す座席16は、座席ベース部12bに固定される。座席16は、座面部16aと背もたれ部16bとを具備する。座面部16aは、運転者が着座する部分である。背もたれ部16bは、座面部16aの後端部から上方に起立する部分である。
次に、図3から図7までを用いて、アームレスト100について説明する。
アームレスト100は、座席16のすぐ右方に配置される。アームレスト100は、座席16の座面部16aよりも上方に配置される。アームレスト100は、前後に長尺な形状とされている。アームレスト100には、図5及び図6に示すように、各種の操作具(後述するアクセルレバー111等)が配置される。アームレスト100は、前部110及び後部120を具備する。
図5及び図7に示す前部110は、アームレスト100の前側部分を構成するものである。前部110は、図7に示すように、後側部分が前後方向において座席16(座面部16a)と重複する(前部110の少なくとも一部(後側部分)の前後方向位置が、座面部16aの少なくとも一部の前後方向位置と一致する)ように配置される。また、前部110は、前端部が座席16(座面部16a)の前端部よりも前方に位置する。前部110の前側部分は、上面が前方へ向かうに従い下方へ傾斜する形状とされている。
また、前部110の前側部分は、左面が斜め右前方に傾斜する形状とされている。これにより、座席16に着座した運転者が、座席16よりも右方に位置する操作ペダルを操作する際に、アームレスト100が右脚に干渉することを抑制することができる。前部110は、アクセルレバー111、走行操作ボタン112、ポジションコントロールレバー113、耕耘深さ調節ダイヤル114、主変速レバー115及びポンパスイッチ116を具備する。
アクセルレバー111は、エンジン3の回転数を増減させる操作を行うものである。アクセルレバー111は、前部110の前端部における右側部分に配置される。アクセルレバー111は、軸線方向を左右方向に向けた回動軸を中心として、前後方向に回動可能に設けられる。
走行操作ボタン112は、トラクタ1の走行に関する操作を行うものである。走行操作ボタン112は、前部110の上面において、アクセルレバー111の後方に配置される。走行操作ボタン112は、回転数設定ボタン112a、パワーアシストボタン112b及び旋回アシストボタン112cを具備する。
回転数設定ボタン112aは、エンジン3の回転数を予め設定された所定の回転数とする操作を行うものである。回転数設定ボタン112aは、左右に並列するように、二つ設けられている。上記二つの回転数設定ボタン112aうち一方を押圧することで、予め設定された二つの回転数のうち一方の回転数でエンジン3を駆動させることができる。
パワーアシストボタン112bは、エンジン3の回転数の変動を抑制する操作を行うものである。パワーアシストボタン112bは、回転数設定ボタン112aの後方に配置される。パワーアシストボタン112bが押圧されることで、トラクタ1の走行速度やPTO軸の回転数の変動を抑制することができる。
旋回アシストボタン112cは、トラクタ1の旋回を補助する操作を行うものである。旋回アシストボタン112cは、回転数設定ボタン112aの後方に配置される。旋回アシストボタン112cが押圧されることで、昇降装置10に装着された作業装置を上昇させた際に、自動的にエンジン3の回転数を減少させ、トラクタ1を旋回させ易い状態とすることができる。
ポジションコントロールレバー113は、昇降装置10に装着された作業装置の昇降操作を行うものである。ポジションコントロールレバー113は、前部110の上面において、走行操作ボタン112の後方に配置される。ポジションコントロールレバー113は、軸線方向を左右方向に向けた回動軸を中心として、前後方向に回動可能に設けられる。
耕耘深さ調節ダイヤル114は、耕耘機(作業装置)による耕耘深さの調節を行うものである。耕耘深さ調節ダイヤル114は、前部110の上面において、ポジションコントロールレバー113の後方に配置される。耕耘深さ調節ダイヤル114は、軸線方向を上下方向に向けた回転軸を中心として、回転可能に設けられる。耕耘深さ調節ダイヤル114が時計回り又は反時計回りに回転することで、耕耘機(作業装置)による耕耘深さが、浅く又は深くなるように調整される。
主変速レバー115は、トランスミッションケース6の主変速装置(不図示)を操作するものである。主変速レバー115は、前部110の上面において、アクセルレバー111の左方に配置される。主変速レバー115は、軸線方向を左右方向に向けた回動軸を中心として、前後方向に回動可能に設けられる。主変速レバー115は、運転者に把持される把持部と、前部110の上面に設けられた前後に長尺なガイド孔に挿通される軸部と、を有する。主変速レバー115が回動されることで主変速装置の変速が可能となる。
ポンパスイッチ116は、昇降装置10に装着された作業装置の昇降操作を行うものである。ポンパスイッチ116は、前部110の左面に設けられた凹部に配置される。ポンパスイッチ116は、主変速レバー115の後方に位置する。ポンパスイッチ116は、シーソー型のスイッチであり、作業装置を上昇又は下降させるように、昇降装置10の動作を切り替え可能とされている。
図6及び図7に示す後部120は、アームレスト100の後側部分を構成するものである。後部120は、図7に示すように、全体が、前後方向において座席16(座面部16a及び背もたれ部16b)と重複するように配置される。後部120は、設定スイッチ130、収納部170及びカバー部180を具備する。
図6に示す設定スイッチ130は、後部120の前側部分において上面に配置される。設定スイッチ130は、トラクタ1が備える各種装置の設定に関するスイッチである。設定スイッチ130は、表示部操作ボタン140、設定ボタン150及び設定ダイヤル160を具備する。
表示部操作ボタン140は、キャビン11の居住空間に設けられる所定の表示部(不図示)の操作を行うものである。上記表示部は、タッチパネル式の画面を有し、当該画面の操作によりトラクタ1の各種設定が可能となる。表示部操作ボタン140は、表示部切り替えボタン141及び戻りボタン142を具備する。
表示部切り替えボタン141は、表示部に表示される画面を切り替えるものである。表示部切り替えボタン141は、後部120の左前端部に配置される。表示部切り替えボタン141が押圧されることで、表示部に表示される画面が、ホーム画面と、トラクタ1の各種設定が可能なメニュー画面と、に切り替わる。
戻りボタン142は、表示部に表示される画面を、一つ前の状態に戻すものである。戻りボタン142は、表示部切り替えボタン141の右方に配置される。
設定ボタン150は、表示部に表示される画面を所定の設定画面に切り替えるものである。設定ボタン150は、速度設定ボタン151、エンジン回転数設定ボタン152、旋回設定ボタン153、上昇位置設定ボタン154、PTO回転数設定ボタン155及び水平制御設定ボタン156を具備する。
速度設定ボタン151は、表示部に表示される画面を、トラクタ1の走行速度を設定可能な画面に切り替えるものである。速度設定ボタン151は、戻りボタン142の後方に配置される。
エンジン回転数設定ボタン152は、表示部に表示される画面を、エンジン3の回転数を設定可能な画面に切り替えるものである。エンジン回転数設定ボタン152は、速度設定ボタン151の後方に配置される。
旋回設定ボタン153は、表示部に表示される画面を、トラクタ1の旋回に関する動作を設定可能な画面に切り替えるものである。旋回設定ボタン153は、エンジン回転数設定ボタン152の後方に配置される。
上昇位置設定ボタン154は、表示部に表示される画面を、昇降装置10が備えるリフトアームの上昇位置を設定可能な画面に切り替えるものである。上昇位置設定ボタン154は、表示部切り替えボタン141の後方に配置される。また、上昇位置設定ボタン154は、速度設定ボタン151の左方に配置される。
PTO回転数設定ボタン155は、表示部に表示される画面を、PTO軸の回転数を設定可能な画面に切り替えるものである。PTO回転数設定ボタン155は、上昇位置設定ボタン154の後方に配置される。また、PTO回転数設定ボタン155は、エンジン回転数設定ボタン152の左方に配置される。
水平制御設定ボタン156は、表示部に表示される画面を、作業装置の水平制御装置(モンロー)に関する動作を設定可能な画面に切り替えるものである。水平制御設定ボタン156は、PTO回転数設定ボタン155の後方に配置される。また、水平制御設定ボタン156は、旋回設定ボタン153の左方に配置される。
設定ダイヤル160は、トラクタ1の各種設定が可能なものである。設定ダイヤル160は、軸線方向を上下方向に向けた回転軸を中心として、回転可能に設けられる。設定ダイヤル160は、DBM設定ダイヤル161、感度調整ダイヤル162、落下速度調整ダイヤル163及び上昇位置調整ダイヤル164を具備する。
DBM設定ダイヤル161は、DBM設定が可能なものである。DBM設定ダイヤル161は、戻りボタン142の右方に配置される。
感度調整ダイヤル162は、昇降装置10の感度の設定が可能なものである。感度調整ダイヤル162は、DBM設定ダイヤル161の後方に配置される。
落下速度調整ダイヤル163は、昇降装置10の落下速度の設定が可能なものである。落下速度調整ダイヤル163は、感度調整ダイヤル162の後方に配置される。
上昇位置調整ダイヤル164は、昇降装置10が備えるリフトアームの上昇位置の上限の設定が可能なものである。上昇位置調整ダイヤル164は、落下速度調整ダイヤル163の後方に配置される。
収納部170は、上方に開口し、内部に物品を収納なものである。収納部170は、設定スイッチ130の後方に配置される。収納部170は、平面視において矩形状の箱状とされている。収納部170の内部における設定スイッチ130側の壁部には、収納部170の内部に向けて開口するUSBポート171が設けられている。これにより、収納部170に携帯電話(例えばスマートフォン)等の所定の機器を収容した際には、上記USBポート171を介した接続が可能となる。
カバー部180は、設定スイッチ130及び収納部170を開閉可能なものである。カバー部180は、後部120の右側端部において、軸線方向を前後方向に向けた回動軸を中心として回動可能に連結される。カバー部180を開放した状態では、設定スイッチ130を介した操作や収納部170に対する物品の出し入れが可能となる。カバー部180を閉鎖した状態では、設定スイッチ130及び収納部170を覆うことができる。
これにより、運転者が設定スイッチ130に誤って接触することで、意図しない操作が行われることを防止することができる。また、カバー部180を閉鎖した状態では、カバー部180の上面を、肘置きとして利用することができる。カバー部180を閉鎖した状態では、カバー部180の上面は、前部110の上面におけるカバー部180と隣接する部分と同一平面状とされる。
次に、図4、図7から図16までを用いて、サイドコンソール200について説明する。
サイドコンソール200は、アームレスト100の右方に配置される。サイドコンソール200は、フェンダ9の左方において、当該フェンダ9と隣接するように設けられる。サイドコンソール200は、前後に長尺な形状とされている。サイドコンソール200は、前方へ向かうに従い概ね下方へ傾斜する形状とされている。サイドコンソール200は、図7に示すように、前端部がアームレスト100及び座席16の前端部よりも前方に位置する。また、サイドコンソール200は、後端部がアームレスト100及び座席16の後端部よりも後方に位置する。サイドコンソール200は、操作面部210及び側面部270を具備する。
図7及び図8に示す操作面部210は、サイドコンソール200の上面を構成する。操作面部210には、各種の操作具(後述するフロントローダ操作機構220等)が配置される。操作面部210は、前方側領域210A、側方側領域210B及び内側領域210Cを具備する。なお、図8では、前方側領域210A、側方側領域210B及び内側領域210Cを、それぞれ異なるハッチング(二点鎖線)によって示している。
前方側領域210Aは、操作面部210の前側部分を構成するものである。前方側領域210Aは、図8において、斜め左前方に傾斜するハッチングで示される前側の領域である。前方側領域210Aの後側部分は、前後方向において座席16(座面部16a)の前側部分と重複する。前方側領域210Aは、前方に向かうに従い左右寸法(幅寸法)が狭まる形状とされている。前方側領域210Aは、フロントローダ操作機構220、副変速操作機構230及び物品収容部239を具備する。
フロントローダ操作機構220は、必要に応じてトラクタ1の前部に装着されるフロントローダ(不図示)の操作を行うものである。フロントローダ操作機構220は、前方側領域210Aの前側部分に配置される。フロントローダ操作機構220は、貫通孔221及びフロントローダレバー222を具備する。
貫通孔221は、前方側領域210Aにおいて、上下に貫通するように設けられる。フロントローダレバー222は、貫通孔221に挿通される所定の支持部を介して、必要に応じて取り付けられる。フロントローダレバー222は、前後左右に操作可能に設けられる。なお、フロントローダを装着せず、フロントローダレバー222を取り付ける必要がない場合は、貫通孔221を所定の物品収容部として使用することができる。
図7、図9、図14から図16までに示す副変速操作機構230は、トランスミッションケース6の副変速装置(不図示)を操作するものである。副変速操作機構230は、前方側領域210Aの左側部分において、フロントローダ操作機構220の後方に配置される。副変速操作機構230は、ガイド部231、副変速レバー232、支持部233、カバー部234、アーム部235、保持部236、伝達部237及びセンサ部238を具備する。
ガイド部231は、後述する副変速レバー232をガイドするものである。ガイド部231は、ガイド孔231a及び湾曲面部231bを具備する。
図7、図9、図14及び図15までに示すガイド孔231aは、前方側領域210Aを上下に貫通する孔である。ガイド孔231aは、長孔形状(溝形状)とされている。ガイド孔231aは、図7に示すように、全体が前後方向において座席16(座面部16a)の前側部分と重複している。ガイド孔231aは、斜め右前方に傾斜するように(前方に向かうに従い、右方に傾斜するように)設けられる。換言すれば、ガイド孔231aは、長手方向を、右前方に傾斜する斜め方向に向けて配置される。
図14及び図15に示す湾曲面部231bは、操作面部210の内面において、ガイド孔231aの縁部から下方に突出するように設けられる。湾曲面部231bは、平面視において、ガイド孔231aに応じた形状とされる。湾曲面部231bは、側面視において、下面が上方に凹む湾曲面状とされている。具体的には、湾曲面部231bは、側面視において、後述する回動軸233aを円心とした円弧状に湾曲する湾曲面状とされている。
図14から図16までに示す副変速レバー232は、ガイド孔231aに沿って操作可能に設けられる。副変速レバー232は、後述する回動軸233aを中心として回動可能に設けられる。副変速レバー232は、把持部232a、軸部232b及び基端部232cを具備する。
把持部232aは、運転者によって把持される部分である。把持部232aの幅寸法(ガイド孔231aの幅方向に沿う寸法)は、ガイド孔231aの幅寸法よりも小さい。
軸部232bは、ガイド孔231aに挿通される部分である。軸部232bは、略円柱形状とされている。軸部232bの上端部には、把持部232aが固定される。
基端部232cは、軸部232bの下端部に設けられる部分である。基端部232cは、軸孔232d、第一アーム232e及び第二アーム232fを具備する。
軸孔232dは、後述する回動軸233aの軸線方向に貫通する孔である。第一アーム232eは、軸孔232d側から、斜め前上方に向けて突出する部分である。第一アーム232eの突出方向先端部は、後述する伝達部237(ロッド237a)に連結される。第二アーム232fは、軸孔232d側から、斜め後上方に向けて突出する部分である。第二アーム232fの突出方向先端部の右面には、右方に突出するピンが設けられている。
支持部233は、副変速レバー232を支持するものである。支持部233は、サイドコンソール200の内部に設けられる。支持部233は、所定のステーを介してフェンダ9(フェンダ9のキャビン11側の側面)に対して固定される。支持部233は、回動軸233aを具備する。
回動軸233aは、副変速レバー232の回動中心となるものである。回動軸233aは、軸線方向を、斜め左前方(ガイド孔231aの幅方向)に向けて配置される。回動軸233aが、基端部232cの軸孔232dに挿通されることで、副変速レバー232が支持部233に対して回動自在に連結される。
カバー部234は、ガイド孔231aを操作面部210の内側(サイドコンソール200の内部)から覆うものである。カバー部234は、ガイド孔231aの長手方向(副変速レバー232の回動方向)に沿って長尺な薄板形状とされている。カバー部234の長手寸法は、ガイド孔231aの長手寸法よりも大きい。また、カバー部234の幅寸法は、ガイド孔231aの幅寸法よりも大きい。
カバー部234は、副変速レバー232と一体的に回動する。カバー部234は、副変速レバー232を、回動方向一方側又は回動方向他方側に最大限回動させた場合でも、ガイド孔231aを覆う構成とされている。
カバー部234は、側面視(回動軸233aの軸線方向視)において、回動軸233aを円心とした円弧状とされている。カバー部234の表面(上面)は、ガイド部231の湾曲面部231bの下面に対して当接又は近接するように対向する。カバー部234と、湾曲面部231bと、は回動軸233aの軸線方向視において、互いに対応した形状とされている。
図16に示すように、カバー部234は、孔部234aを有する。孔部234aは、カバー部234において上下に貫通する。孔部234aは、カバー部234の長手方向及び幅方向中央部に形成される。孔部234aは、副変速レバー232の軸部232bが挿通される。孔部234aの内径は、軸部232bの外径に対応している。また、カバー部234は、長手方向両端部に、それぞれ厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられる。
カバー部234は、側面視(回動軸233aの軸線方向視)において、軸部232bを中心として対称形状とされている。カバー部234は、可撓性を有する(弾性変形可能とされている)と共に、平面視において矩形状の薄板を円弧状に変形させることで形成される。具体的には、カバー部234は、上記薄板を弾性変形させた状態で、後述するアーム部235によって固定されることで円弧状に保持される。
アーム部235は、軸部232bに対して固定されると共に、カバー部234の長手方向両端部を固定するものである。アーム部235は、カバー部234の裏面側に配置される。
アーム部235は、軸部232bの軸線方向に直交する方向に長尺な形状とされている。アーム部235は、側面視(回動軸233aの軸線方向視)において、軸部232bを中心として対称形状とされている。アーム部235は、厚さ方向を概ね軸部232bの長手方向に向けた板状とされている。アーム部235の幅寸法は、カバー部234の幅寸法よりも小さい寸法とされている。アーム部235は、アーム本体部235a及び固定部235bを具備する。
アーム本体部235aは、軸部232bから、カバー部234の長手方向両端側に向けて直線状に延びるように設けられる。アーム本体部235aは、軸部232bの長手方向略中央部に設けられる。
固定部235bは、アーム本体部235aの延出方向両端部に設けられる。固定部235bは、アーム本体部235aの延出方向に対して下方(反操作面部210側)に傾斜する形状とされている。本実施形態では、アーム本体部235aに対する固定部235bの傾斜角度を略55度としている。固定部235bは、カバー部234の長手方向両端側の裏面に対してそれぞれ当接する。
固定部235bには、それぞれ厚さ方向に貫通する止具挿通孔が設けられる。固定部235bの止具挿通孔と、カバー部234の止具挿通孔と、を重複させた状態で、各止具挿通孔にねじ等の止具を挿通することで、カバー部234とアーム部235とを固定することができる。
固定部235bにカバー部234の長手方向両端部が固定されることで、カバー部234は、側面視(回動軸233aの軸線方向視)において、回動軸233aを円心とした円弧状に弾性変形された状態で保持される。固定部235bのアーム本体部235aに対する傾斜角度(本実施形態においては略55度)は、固定部235bにカバー部234の長手方向両端部を固定した状態で、カバー部234が上記円弧状となるように設定される。
保持部236は、軸部232bに設けられると共に、カバー部234の長手方向中央部を保持するものである。保持部236は、軸部232bから、カバー部234の幅方向に突出するように設けられる。保持部236は、アーム部235よりも上方側に設けられ、カバー部234の裏面に当接する。保持部236は、厚さ方向をカバー部234の長手方向に向けた板状とされている。
保持部236の突出寸法は、カバー部234の幅寸法と略同寸法とされている。保持部236の上面は、カバー部234の裏面に沿う平坦面とされている。保持部236の下面は、下方に向かうに従い、カバー部234の幅方向中央側に向けて傾斜する傾斜面とされている。
保持部236がカバー部234の裏面に当接することで、カバー部234の長手方向中央部の下方への移動が規制される。また、保持部236がカバー部234の裏面に当接することで、カバー部234のねじれや撓み等の変形を抑制することができる。
伝達部237は、副変速レバー232の操作を副変速装置に伝達するものである。伝達部237は、ロッド237a、ワイヤ237b及び接続部237cを具備する。
ロッド237aは、略上下方向に長尺な部材である。ロッド237aは、上端部が副変速レバー232の基端部232cの第一アーム232eの先端部に、回動可能に連結される。ロッド237aは、副変速レバー232の回動に伴い、略上下方向に沿って往復移動する。
ワイヤ237bは、柔軟性を有するロープ状の部材である。ワイヤ237bは、所定の部材を介して副変速装置に接続される。
接続部237cは、ロッド237aの下端部と、ワイヤ237bの他端部(反副変速装置側の端部)と、を接続するものである。接続部237cは、内側筒部237d及び外側筒部237fを具備する。
内側筒部237dは、ロッド237aの下端部とワイヤ237bの他端部とに嵌装される筒状の部材である。内側筒部237dは、ロッド237aとワイヤ237bとを互いに固定する。
外側筒部237fは、内側筒部237dの外側に嵌装される筒状の部材である。外側筒部237fは、内側筒部237dを摺動自在に保持する。外側筒部237fは、所定の支持部を介して、サイドコンソール200の内部に固定される。
センサ部238は、副変速レバー232の回動位置を検出するものである。センサ部238は、ポテンショメータ238a及びアーム部238bを具備する。
ポテンショメータ238aは、所定の回動軸を有し、当該回動軸の回転量を検出するセンサである。ポテンショメータ238aは、回動軸の軸線方向を、支持部233の回動軸233aの軸線方向に向けて配設される。ポテンショメータ238aは、支持部233に対して固定される。ポテンショメータ238aには、電気信号を伝達可能な所定のケーブルが接続される。
アーム部238bは、ポテンショメータ238aの回動軸を中心として回動可能に設けられる部分である。アーム部238bは、上記回動軸から斜め前下方に突出する。アーム部238bは、下面が第二アーム232fのピンに当接するように配置される。また、アーム部238bは、所定の付勢部材によって、図14で示す側面視において反時計回りに回動するように付勢される。
アーム部238bは、副変速レバー232が図14で示す側面視において反時計回りに回動すれば、第二アーム232fのピンに押圧されることで、時計回りに回動する。また、アーム部238bは、副変速レバー232が図14で示す側面視において時計回りに回動すれば、副変速レバー232の回動に追従して、付勢部材の付勢力により反時計回りに回動する。
上述のようなセンサ部238は、少なくとも一部がカバー部234及びアーム部235によって、上方(操作面部210側)から覆われる。すなわち、センサ部238は、カバー部234及びアーム部235よりも下方に配置されると共に、平面視において、少なくとも一部がカバー部234及びアーム部235と重複するように配置される。センサ部238は、副変速レバー232を、回動方向一方側又は回動方向他方側に最大限回動させた場合でも、少なくとも一部がカバー部234及びアーム部235によって上方から覆われる。
これにより、カバー部234及びアーム部235によって、センサ部238を上方からの落下物や粉塵から保護することができる。特に、カバー部234を保持するアーム部235はある程度の強度を有しているので、当該アーム部235によってある程度重量のある落下物からもセンサ部238を保護することができる。また、上述のようにセンサ部238を配置したことで、副変速操作機構230を構成する要素を集約することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
上述のような副変速操作機構230においては、カバー部234によって好適にガイド孔231aを覆うことができる。すなわち、カバー部234と一体的に回動されるカバー部234によって、ガイド孔231aを容易に覆うことができる。
また、操作面部210に、カバー部234を回動可能に保持するための所定のガイド溝等を設ける必要がなく、操作面部210の構成を簡略化することができる。
また、ガイド孔231aの幅寸法は、副変速レバー232の把持部232aの幅寸法よりも大きく形成されている。従って、把持部232aが取り付けられた副変速レバー232をガイド孔231aに挿通させることができる。これにより、予め副変速レバー232が取り付けられた状態で、サイドコンソール200の操作面部210(前方側領域210A)を、側面部270に対して取り付けることができる。
図9に示す物品収容部239は、所定の物品を収容可能なものである。物品収容部239は、前方側領域210Aの右側部分(副変速操作機構230の右側部分)に配置される。物品収容部239は、上方に開口するように設けられている。
図7から図9までに示す側方側領域210Bは、前方側領域210Aの後方側において、操作面部210の右側部分を構成するものである。側方側領域210Bは、図8において斜め右前方に傾斜するハッチングで示される、右後側の領域である。側方側領域210Bの前後方向略中央部は、前後方向において座席16の背もたれ部16bと重複する。また、側方側領域210Bの前後方向略中央部には、支柱14が配置される。側方側領域210Bは、第一油圧操作機構240及び第二油圧操作機構250を具備する。
図9に示す第一油圧操作機構240は、必要に応じて作業装置に対する油圧の制御操作を行うものである。第一油圧操作機構240は、側方側領域210Bの前側部分に配置される。第一油圧操作機構240は、前方側領域210Aの物品収容部239の後方に配置される。第一油圧操作機構240は、支柱14の前方に配置される。第一油圧操作機構240は、ガイド孔241及び第一油圧レバー242を具備する。
ガイド孔241は、側方側領域210Bを上下に貫通する孔である。ガイド孔241は、長孔形状(溝形状)とされている。ガイド孔241は、斜め左後方に傾斜するように(左方(座席16側)に向かうに従い、後方に傾斜するように)設けられる。換言すれば、ガイド孔241は、長手方向を、左後方に傾斜する斜め方向に向けて配置される。
ガイド孔241は、前後並列するように一対設けられている。以下では、必要に応じて、一対のガイド孔241のうち、前方に設けられたものをガイド孔241A、後方に設けられたものをガイド孔241Bとして説明する。
第一油圧レバー242は、ガイド孔241に沿って操作可能に設けられる。第一油圧レバー242は、所定の回動軸を中心として回動可能に設けられる。第一油圧レバー242は、運転者によって把持される把持部と、ガイド孔241に挿通される軸部と、を有する。
第一油圧レバー242は、一対のガイド孔241にそれぞれガイドされるように、一対設けられている。以下では、必要に応じて、一対の第一油圧レバー242のうち、ガイド孔241Aにガイドされるものを第一油圧レバー242A、ガイド孔241Bにガイドされるものを第一油圧レバー242Bとして説明する。
図9に示す第二油圧操作機構250は、第一油圧操作機構240と同様、必要に応じて、作業装置に対する油圧の制御操作を行うものである。第二油圧操作機構250は、側方側領域210Bの後側部分に配置される。第二油圧操作機構250は、支柱14の後方に配置される。第二油圧操作機構250は、ガイド孔251及び第二油圧レバー252を具備する。
ガイド孔251は、側方側領域210Bを上下に貫通する孔である。長孔形状(溝形状)とされている。ガイド孔251は、斜め左前方に傾斜するように(左方(座席16側)に向かうに従い、前方に傾斜するように)設けられる。換言すれば、ガイド孔251は、長手方向を、左前方に傾斜する斜め方向に向けて配置される。
ガイド孔251は、前後並列するように一対設けられている。以下では、必要に応じて、一対のガイド孔251のうち、前方に設けられたものをガイド孔251A、後方に設けられたものをガイド孔251Bとして説明する。
第二油圧レバー252は、ガイド孔251に沿って操作可能に設けられる。第二油圧レバー252は、所定の回動軸を中心として回動可能に設けられる。第二油圧レバー252は、運転者によって把持される把持部と、ガイド孔251に挿通される軸部と、を有する。
第二油圧レバー252は、一対のガイド孔251にそれぞれガイドされるように、一対設けられている。以下では、必要に応じて、一対の第二油圧レバー252のうち、ガイド孔251にガイドされるものを第二油圧レバー252A、ガイド孔251Bにガイドされるものを第二油圧レバー252Bとして説明する。
また、側方側領域210Bにおける第二油圧操作機構250の後方には、所定のシガーソケットが設けられている。
図7から図9までに示す内側領域210Cは、前方側領域210Aの後方側において、操作面部210の左側部分を構成するものである。内側領域210Cは、図8において斜め左前方に傾斜するハッチングで示される、左後側の領域である。内側領域210Cの前側部分は、前後方向において座席16の座面部16aの後側部分及び背もたれ部16bと重複する。内側領域210Cは、操作スイッチ260を具備する。
図9に示す操作スイッチ260は、トラクタ1が備える各種装置の操作に関するスイッチである。操作スイッチ260は、ワンタッチ耕耘ボタン261、ワイパ操作ボタン262、PTOボタン263、照明操作ボタン264及び水平制御ボタン265を具備する。
ワンタッチ耕耘ボタン261は、トラクタ1の旋回時の速度や昇降装置10の昇降のタイミング等、トラクタ1が備える各種装置の設定を、耕耘機(作業装置)による耕耘作業に適した状態とする操作が可能なものである。ワンタッチ耕耘ボタン261は、内側領域210Cにおいて最も前方に配置される。ワンタッチ耕耘ボタン261は、押圧操作がされることで、上記耕耘作業に適した状態のオンオフの切り替えを可能とする。
ワイパ操作ボタン262は、トラクタ1の窓に設けられたワイパ(不図示)を操作するものである。ワイパ操作ボタン262は、ワンタッチ耕耘ボタン261の後方に配置される。ワイパ操作ボタン262は、シーソー型のスイッチとされている。ワイパ操作ボタン262は、前後方向に並列するように設けられている。一対のワイパ操作ボタン262は、それぞれ、フロントワイパ及びリアワイパを操作可能とされている。
PTOボタン263は、PTO軸から作業装置への動力の伝達及び非伝達の切り替えを操作するものである。PTOボタン263は、軸線方向を上下方向に向けた回転軸を中心として回転操作可能に設けられる。PTOボタン263は、時計回り又は反時計回りに回転操作されることで、作業装置に対するPTO軸の伝達態様を、伝達状態、非伝達状態及び自動伝達状態に切り替え可能とされている。
伝達状態は、PTO軸の動力を作業装置に伝達させる状態である。非伝達状態は、PTO軸の動力を作業装置に伝達させない状態である。自動伝達状態は、作業装置に対するPTO軸の動力の伝達又は非伝達を、昇降装置10を介した作業装置の昇降動作に応じて自動的に切り替える状態である。具体的には、自動伝達状態においては、作業装置を下降させれば作業装置に対してPTO軸の動力を伝達させ、作業装置を上昇させれば作業装置に対してPTO軸の動力を非伝達とする。
また、PTOボタン263は、上記回転操作に加えて、押圧操作が可能とされている。PTOボタン263は、押圧操作がされることで、上記伝達状態から上記非伝達状態に切り替え可能とされている。これにより、作業装置による作業を容易に停止させることができる。
PTOボタン263は、ワイパ操作ボタン262の後方に配置される。PTOボタン263は、図7に示すように、前後方向において、第一油圧操作機構240と第二油圧操作機構250との間に位置するように設けられる。また、PTOボタン263は、前後方向において、支柱14、アームレスト100の後部120及び座席16の背もたれ部16bにそれぞれ重複する。
図9に示すように、PTOボタン263は、平面視において、第一油圧操作機構240のガイド孔241の長手方向に沿う直線(ガイド孔241の幅方向中心を通る直線)及び第二油圧操作機構250のガイド孔251の長手方向に沿う直線(ガイド孔251の幅方向中心を通る直線)と重複しない位置に配置される。また、PTOボタン263は、平面視において、副変速操作機構230のガイド孔231aの長手方向に沿う直線(ガイド孔231aの幅方向中心を通る直線)と重複しない位置に配置される。すなわち、PTOボタン263は、第一油圧レバー242、第二油圧レバー252及び副変速レバー232の操作方向に沿う直線上に位置しないように配置されている。これにより、各種操作レバー(第一油圧レバー242、第二油圧レバー252及び副変速レバー232)の操作に伴い、PTOボタン263が誤って操作されることを抑制することができる。
また、PTOボタン263は、平面視において、第一油圧操作機構240のガイド孔241(ガイド孔241B)の長手方向に沿う直線及び第二油圧操作機構250のガイド孔251(ガイド孔251A)の長手方向に沿う直線の前後方向内側に位置する。
PTOボタン263を上述のように配置したことで、側方側領域210Bにそれぞれ操作方向が異なる第一油圧操作機構240及び第二油圧操作機構250を設けた場合でも、各油圧レバー(第一油圧レバー242及び第二油圧レバー252)の操作に伴い、PTOボタン263が誤って操作されることを抑制することができる。
照明操作ボタン264は、トラクタ1に設けられた作業灯の点灯又は消灯が可能なものである。照明操作ボタン264は、PTOボタン263の後方に配置される。照明操作ボタン264は、トラクタ1の各所に設けられた作業灯にそれぞれ対応するボタンが複数設けられている。
水平制御ボタン265は、作業装置の水平制御装置(モンロー)を制御するものである。水平制御ボタン265は、照明操作ボタン264の後方に配置される。水平制御ボタン265は、内側領域210Cにおいて最も後方に配置される。また、水平制御ボタン265は、アームレスト100及び座席16の背もたれ部16bよりも後方に配置されている。
水平制御ボタン265を上述のように配置したことで、水平制御装置の操作性を向上させることができる。すなわち、水平制御装置の操作中において、運転者は、座席16に着座した状態で後方(斜め右後方)を視認することが多い。従って、水平制御ボタン265を上述のように配置したことで、後方を視認しながら操作し易いものとすることができる。
なお、図例では、内側領域210Cにおいて、ワンタッチ耕耘ボタン261とワイパ操作ボタン262との間に、所定のボタンを追加可能なスペースを設けた例を示している。上記スペースには、必要に応じて、上述した操作スイッチ260に加えて、新たなボタンを追加可能である。
上述したアームレスト100及びサイドコンソール200においては、一旦設定が完了すれば、運転中において比較的使用頻度の低い設定スイッチ130を、アームレスト100に配置し、比較的使用頻度の高い操作スイッチ260を、サイドコンソール200に配置している。また、アームレスト100は、カバー部180によって設定スイッチ130を閉塞可能とされている。
上述のような構成としたことで、座席16側から設定スイッチ130を越えて操作スイッチ260を操作する際でも、設定スイッチ130をアームレスト100のカバー部180で閉塞することで、設定スイッチ130への接触を防止することができる。一方、比較的使用頻度の高い操作スイッチ260をサイドコンソール200において露出させているので、操作スイッチ260を操作し易い構成としている。
また、サイドコンソール200は、側方側領域210Bよりも座席16に近い内側領域210Cに操作スイッチ260が配置されているので、トラクタ1の各種装置に関する操作を行いやすい構成としている。
また、内側領域210Cにおいて、操作スイッチ260は、前後方向に一列に配置される。これにより、操作スイッチ260を見栄えよく整列させることができる。また、PTOボタン263を操作スイッチ260の前後中途部に配置することで、PTOボタン263以外の操作スイッチ260のうち、どのボタンを操作している状態からも比較的操作し易い位置にPTOボタン263を配置することができる。
また、内側領域210Cにおいては、平面視において第一油圧操作機構240のガイド孔241(ガイド孔241B)の長手方向に沿う直線と重複する位置に、ワイパ操作ボタン262を配置している。また、第二油圧操作機構250のガイド孔251(ガイド孔251A及びガイド孔251B)の長手方向に沿う直線と重複する位置に、照明操作ボタン264を配置している。すなわち、第一油圧レバー242や第二油圧レバー252の操作方向に沿う直線上には、誤って操作されたとしても比較的作業に関して影響の少ないものを配置している。
図10から図13に示す側面部270は、サイドコンソール200の側面を構成する。側面部270は、図10に示すように、キャビン11内において、フェンダ9の左側部分の前方及び左方を覆うように設けられる。側面部270は、前端部が座席ベース部12bの前端部よりも前方に位置する。側面部270は、主として前方を向く面(前面)と、主として左方を向く面(左面)と、を有する。側面部270は、左面が座席ベース部12bの右端部と隣接している。側面部270の前面と左面との境界部分は、斜め左前方に向く湾曲面状とされている。
側面部270の前面は、平面視において、前端部を頂点とした湾曲面状とされている。側面部270の前面は、下方に向かうに従い、前方に広がるような緩やかな傾斜面とされている。
側面部270の左面は、図12に示すように、下方に向けて左方に広がるような二つの段差が形成されている。具体的には、側面部270の左面は、上側部分において、左方に突出する段差が設けられ、上下方向中央部において、更に左方に突出する段差が設けられている。
側面部270は、収容部280、開口部290及びカバー部293を具備する。
収容部280は、所定の電装機器を収容可能なものである。収容部280は、側面部270と、操作面部210と、フェンダ9の左側部分と、によって区画されたサイドコンソール200の内部の空間である。
収容部280には、図11から図13までに示すように、リレーボックス281及びヒューズボックス282が収容される。リレーボックス281は、リレー(継電器)を収容するものである。ヒューズボックス282は、ヒューズを収容するものである。リレー及びヒューズは、トラクタ1の内部において配線される電気ケーブルにそれぞれ接続されている。
リレーボックス281及びヒューズボックス282は、収容部280における前側部分(フェンダ9の左側部分の前方)に収容される。リレーボックス281及びヒューズボックス282は、収容部280内に設けられた支持部283を介して、上下に隣接するように配設されている。すなわち、リレーボックス281及びヒューズボックス282は、収容部280における前側部分において集中するように配置されている。図例では、支持部283を介して三段のリレーボックス281を下側に配設し、リレーボックス281の上方に一段のヒューズボックス282を配設している。
また、収容部280には、副変速操作機構230の伝達部237が収容される。伝達部237は、収容部280における前側部分において、リレーボックス281及びヒューズボックス282の後方に配置される。
図11から図13までに示す開口部290は、側面部270において収容部280に連通するように形成された開口である。開口部290は、前方及び左方に向けて開口する。開口部290は、第一開口部291及び第二開口部292を具備する。
第一開口部291は、図13において、二点鎖線で囲われた開口部290の前側を構成する部分である。第一開口部291は、側面部270の前側部分(座席ベース部12bよりも前方に位置する部分)において開口する。第一開口部291は、側面部270の前面から左面に亘って設けられる。第一開口部291は、側面部270の上下方向の略全体に亘って形成される。
第二開口部292は、図13において、二点鎖線で囲われた開口部290の後側を構成する部分である。第二開口部292は、側面部270の後側部分(座席ベース部12bの前端部よりも後方に位置する部分)において少なくとも一部が開口する。第二開口部292は、第一開口部291の後上部と連続するように、側面部270の左面において開口する。
第二開口部292の上下寸法は、第一開口部291の上下寸法よりも小さい寸法とされる。第二開口部292は、後端部が座席ベース部12bの前端部よりも後方に位置するように、当該座席ベース部12bよりも上方に設けられる。すなわち、第二開口部292は、第一開口部291の後上部から、座席ベース部12bを避けるように後方へ突出している。
換言すれば、開口部290は、第二開口部292の後端部が第一開口部291の後端部よりも後方に位置する逆L字形状とされている。上述のような形状としたことで、座席ベース部12bとの干渉を回避しながらも、開口部290の開口寸法を比較的大きくすることができる。
開口部290は、正面視及び側面視において、リレーボックス281及びヒューズボックス282の全体と重複する。具体的には、第一開口部291が、正面視及び側面視において、リレーボックス281及びヒューズボックス282の全体と重複する。
上述のような構成としたことで、開口部290(第一開口部291)を介して、リレーボックス281及びヒューズボックス282の全体を露出させることができる。これにより、部品交換等のメンテナンスの必要性が比較的高い電装機器であるリレーボックス281及びヒューズボックス282に対して、容易に点検やメンテナンスが可能な構成とすることができる。
また、第一開口部291を側面部270の前側部分の大部分において開口するように設けているので、点検やメンテナンスをより行い易い構成とすることができる。また、リレー及びヒューズに接続された電気ケーブルに対する点検やメンテナンスも行い易い構成とすることができる。
また、図13に示すように、開口部290は、側面視において、副変速操作機構230の伝達部237の一部と重複する。具体的には、第二開口部292が、側面視において、伝達部237の接続部237cや、当該接続部237cに対するロッド237a及びワイヤ237bの接続部分と重複する。
これにより、開口部290(第二開口部292)を介して、副変速操作機構230の伝達部237において、メンテナンスの必要性が比較的高い接続部237cの周辺部分を露出させることができ、容易に点検やメンテナンスが可能な構成とすることができる。
また、本実施形態では、側面部270の前面及び左面を、下方に向けて水平方向に広がるような形状としている。これにより、開口部290を、正面視及び側面視に加えて、平面視においても開口させることができる。これにより、平面視において、開口部290を介した収容部280の内部の点検やメンテナンスが可能となる。
図10に示すカバー部293は、開口部290を閉塞するものである。カバー部293は、開口部290に応じた形状とされている。カバー部293は、開口部290を閉塞した状態では、側面部270の前面及び左面を構成する。カバー部293により開口部290を閉塞した状態では、当該カバー部293の表面と、側面部270における開口部290の周囲の面と、は同一平面状とされる。
次に、図17から図19までを用いて、音声入力部300について説明する。
音声入力部300は、音声を入力可能なものである。音声入力部300は、天井部13の収容部13aに設けられる。具体的には、音声入力部300は、収容部13aの左面と、前面と、下面と、によって形成される頂部に設けられる。音声入力部300は、トラクタ1に設けられた所定のケーブルを介して、携帯電話等の所定の通信機器に接続される。これにより、運転者は、トラクタ1を運転した状態での通話が可能となる。音声入力部300は、固定部310、集音部320及び関節部330を具備する。
図19に示す固定部310は、収容部13aに固定される部分である。固定部310は、収容部13aの前面と、下面と、によって形成される角部に固定される。固定部310は、上記角部に対応した形状とされている。
集音部320は、音声を集音可能な部分である。集音部320は、座席16側を指向するように設けられる。具体的には、集音部320は、斜め左下方を指向するように設けられる。集音部320には、電気信号を伝達可能なケーブル321が接続される。ケーブル321は、一端部が集音部320に接続され、他端部が収容部13aの内部に収容される。
関節部330は、固定部310と集音部320とを接続する部分である。関節部330は、集音部320の指向する方向を調整可能なボールジョイントを構成する。
上述の如く構成された音声入力部300は、図7に示すように、座席16よりも右側(サイドコンソール200側)に配置される。音声入力部300は、平面視において、サイドコンソール200の前方側領域210Aと重複する。また、音声入力部300は、前後方向において、フロントローダ操作機構220の貫通孔221と、副変速操作機構230のガイド孔231aと、の間に位置する。また、音声入力部300は、図17に示すように、サイドコンソール200の前端部よりも後方かつ座席ベース部12bよりも前方に位置する。
これにより、音声入力部300を介して、好適に音声を入力することができる。すなわち、トラクタ1の運転中において、運転者は、サイドコンソール200が位置する側(右方)を視認することが多い。従って、音声入力部300を、上述のように配置したことで、音声入力部を介して好適に音声を入力することができる。また、音声入力部300を天井部13に設けているので、音声入力部300を、比較的、雑音を入力させ難い位置とすることができる。
また、音声入力部300を収容部13aに設けているので、当該収容部13aに配置されるオーディオ機器13bや空調機器13cと集中させて、音声入力部300を配置することができる。また、集音部320に接続されるケーブル321の他端部を、収容部13aの内部に配線させ易い構成とすることができる。また、音声入力部300を収容部13aの頂部に設けているので、周囲に配置された物によって音声の入力が妨害されることを抑制することができる。
以上の如く、本実施形態に係る副変速操作機構230(操作機構)は、
回動軸233aを中心に回動可能な副変速レバー232(操作レバー)と、
前記副変速レバー232をガイドする長孔状のガイド孔231aを有する操作面部210と、
前記副変速レバー232に固定され、前記ガイド孔231aを前記操作面部210の内側から覆うカバー部234と、
を具備するものである。
このように構成することにより、カバー部234によって好適にガイド孔231aを覆うことができる。すなわち、カバー部234を副変速レバー232に固定したことで、カバー部234と副変速レバー232とを一体的に回動させることができる。これにより、カバー部234によって好適にガイド孔231aを覆うことができる。また、操作面部210に、カバー部234を回動可能に保持するための所定のガイド溝等を設ける必要がなく、操作面部210の構成を簡略化することができる。
また、前記操作面部210は、
前記回動軸233aの軸線方向視において、当該回動軸233aを円心とした円弧状とされ、前記カバー部234に対向する湾曲面部231b(対向部)を具備し、
前記カバー部234は、
前記軸線方向視において当該湾曲面部231bに対応した円弧状とされるものである。
このように構成することにより、カバー部234及び湾曲面部231bの形状を互いに対応する円弧状としたことで、カバー部234と湾曲面部231bとの間の距離を一定に保つことができる。
また、前記副変速レバー232は、
前記ガイド孔231aに挿通される軸部232bを具備し、
前記カバー部234は、
前記軸部232bが挿通され、当該軸部232bの外径に対応した内径とされた孔部234aを具備するものである。
このように構成することにより、見栄えよくガイド孔231aを覆うことができる。
また、副変速操作機構230は、
前記副変速レバー232に設けられ、前記カバー部234の回動方向両端部を固定するアーム部235を更に具備するものである。
このように構成することにより、アーム部235によってカバー部234の回動方向両端部を固定することで、副変速レバー232に対してカバー部234を好適に固定することができる。
また、前記カバー部234及び前記アーム部235は、
前記回動軸233aの軸線方向視において、前記副変速レバー232を中心として対称形状とされているものである。
このように構成することにより、副変速レバー232に対して、バランスよくカバー部234を固定することができる。
また、前記カバー部234は、可撓性を有し、
前記アーム部235は、前記カバー部234が円弧状となるように当該カバー部234を保持するものである。
このように構成することにより、アーム部235に対してカバー部234を固定することで、カバー部234を円弧状に保持することができる。これにより、アーム部235に対するカバー部234の固定とは別に、カバー部234を円弧状とするような加工が不要となり、比較的容易にカバー部234を円弧状とすることができる。
また、前記アーム部235は、
前記副変速レバー232から直線状に延びるアーム本体部235aと、
前記アーム本体部235aの延出方向両端部に設けられ、当該アーム本体部235aから反操作面部210側に向かって傾斜すると共に、前記カバー部234の裏面に対して固定される固定部235bと、
を具備するものである。
このように構成することにより、固定部235bに対してカバー部234を固定することで、円弧状となるようにカバー部234を保持することができる。
また、副変速操作機構230は、
前記副変速レバー232において前記アーム部235よりも前記操作面部210側に設けられ、前記カバー部234の裏面に当接すると共に、当該カバー部234を保持する保持部236を更に具備するものである。
このように構成することにより、カバー部234の反操作面部210側への移動を規制することができる。
また、副変速操作機構230は、
前記副変速レバー232の回動位置を検出するセンサ部238と、
前記副変速レバー232に固定され、前記センサ部238の少なくとも一部を前記操作面部210側から覆うカバー部234及びアーム部235(保護部)と、
を更に具備するものである。
このように構成することにより、カバー部234及びアーム部235によって、センサ部238を上方からの落下物や粉塵から保護することができる。また、副変速操作機構230を構成する要素を集約することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態に係る副変速操作機構230は、本発明に係る操作機構の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る湾曲面部231bは、本発明に係る対向部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る副変速レバー232は、本発明に係る操作レバーの実施の一形態である。
また、本実施形態に係るカバー部234及びアーム部235は、本発明に係る保護部の一形態である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、カバー部234及びアーム部235の両方によって、センサ部238を上方から覆う構成とした例を示したが、このような態様に限られず、カバー部234及びアーム部235のいずれか一方によってセンサ部238を上方から覆う構成としてもよい。
また、上記実施形態では、保護部としてカバー部234及びアーム部235を例示したが、このような態様に限られない。例えば、カバー部234及びアーム部235とは異なる別の部材によってセンサ部238を上方から覆う構成としてもよい。
また、上記実施形態では、カバー部234を可撓性を有する薄板とし、当該カバー部234の長手方向両端部をアーム部235の固定部235bに対して固定することで、カバー部234を円弧状に変形させた状態で保持する構成としているが、このような態様に限られない。例えば、予め円弧状に加工されたカバー部234を、副変速レバー232に対して固定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、副変速レバー232の軸部232bに、カバー部234を裏面から保持する保持部236を設けた例を示したが、このような態様に限られず、上述のような保持部236を設けない構成としてもよい。
また、上記実施形態では、副変速レバー232の軸部232bに設けられたアーム部235を介してカバー部234を固定した例を示したが、このような態様に限られず、上述のようなアーム部235を設けない構成としてもよい。
また、上記実施形態では、ガイド孔231aの幅寸法を、副変速レバー232の把持部232aの幅寸法よりも大きい構成とした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、ガイド孔231aの幅寸法を、副変速レバー232の把持部232aの幅寸法よりも小さい構成としてもよい。この場合は、軸部232bに把持部232aを取り付けていない状態で、当該軸部232bを操作面部210のガイド孔231aに挿通させ、その後、軸部232bに対して把持部232aを取り付けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、操作レバーとして、副変速レバー232を例示したが、このような態様に限られない。操作レバーとしては、例えば主変速装置を操作する主変速レバーであってもよい。また、操作レバーとしては、変速装置を操作するものに限られず、油圧レバー等、種々の装置を操作するレバーを採用可能である。
また、上記実施形態では、作業車として、トラクタ1を例示したが、このような態様に限られない。例えば作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。