JP2020106508A - 速度測定方法及び速度測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定対象物の相対的な速度を測定できる速度測定方法及び速度測定装置を提供する。【解決手段】速度測定装置1では、レーザ光の波長λと、第1測定光の第1光軸角度θ1と、第2測定光の第2光軸角度θ2の各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f1及び第1周波数差△f2を用いて、式(3)から、鋼板Pの速度Vを算出することができる。このように速度測定装置1では、鋼板Pまでの距離を測定する際に用いるレーザ光を利用して鋼板Pの速度についても同時に測定することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、速度測定方法及び速度測定装置に関する。
鉄鋼製品の製造現場においては、製品の品質管理、製造工程の自動化を目的として、高精度に被測定対象物までの距離を測定し、その寸法や形状を算出する必要がある。このような悪環境下で被測定対象物までの距離を測定して被測定対象物の形状を測定する距離測定装置として、例えば、特許文献1に示すように、FSFレーザ(周波数シフト帰還型レーザ:Frequency-Shifted Feedback Laser)光源を利用した距離測定装置が知られている。
一般的に、このような時間に対して周波数が変調されたレーザ光を用いた距離測定装置では、レーザ発振器から出射される周波数変調された光を、参照光と測定光とに分岐し、測定光を被測定対象物に照射して、被測定対象物の表面(測定面)で反射して戻ってきた反射光を光検出部に入射させる。一方、参照光は所定の光路長を有する経路を介して光検出部に入射される。そのため、光がレーザ発振器を出てから、被測定対象物の測定面での反射を経て反射光として光検出部に至るまでの経路と、光がレーザ発振器を出てから参照光として光検出部に至るまでの経路とでは光路長が通常異なる。よって、光がレーザ発振器を出てから光検出部に至るまでに要した時間も、反射光と参照光とでは異なっている。
レーザ発振器から出射される光の周波数は、操作者が事前に把握してある所定の規則(三角波、櫛状波、正弦波等)に基づき、時間と共に所定の周波数変調速度で常に変化しているので、光検出部に入射する反射光と参照光とでは周波数が異なることになる。従って、光検出部においては反射光と参照光との干渉により、反射光と参照光との周波数差に等しい周波数を有するビート(うなり)信号が検出される。
ビート信号の周波数(ビート周波数)は、測定光がレーザ発振器を出てから反射光として光検出部に至るまでに要した時間と、参照光がレーザ発振器を出てから光検出部に至るまでに要した時間との差の時間における、レーザ発振器の発振周波数の変化量に等しい。従って、このような時間に対して周波数が変調されたレーザ光(好ましくは周波数が直線的に変調されたレーザ光)を用いた距離測定装置では、ビート周波数を光路長の差に変換することにより、被測定対象物までの距離を測定できる。
そして、被測定対象物までの距離が分かることで、測定面の位置情報や速度情報等から、被測定対象物の形状を知ることもできる。そのため、距離測定装置を形状測定装置としても用いることが可能である。
ここで、例えば、鉄鋼製品の製造現場に距離測定装置を用いた例で説明すると、搬送ローラにより、被測定対象物となる鋼板が所定の搬送方向(この場合、鋼板の測定面の面方向に沿った一方向)に搬送されている場合に、所定の速度(通板速度とも称する)で移動する鋼板の測定面に対し、距離測定装置の測定ヘッドから測定光が垂直に照射される。鋼板の測定面で反射して戻ってきた反射光は測定ヘッドで受光され、光検出部へと送られる。
距離測定装置は、反射光と参照光との周波数差に等しい周波数を有するビート(うなり)信号を検出し、ビート周波数を光路長の差に変換することにより、移動している鋼板の測定面までの距離をリアルタイムで測定している。
特開2016−80409号公報
ここで、鉄鋼製品の製造現場では、種々の鋼板が搬送され、その際の速度が異なることもある。製造現場で速度を高精度に測定することは、厚みや長さの寸法品質を向上させることや、切断位置や溶接位置を高精度にトラッキングすることでラインを高速化し、製造効率を改善させることに有効である。そのためには、速度をオンラインで高精度に測定する必要があるが、例えば、レーザードップラー速度計を用いて鋼板の速度を測定しようとすると、測定しようとする鋼板表面位置に、レーザードップラー速度計の焦点位置(焦点深度)を合致させる必要がある。
しかしながら、鋼板は搬送に伴う振動や、自身の寸法・形状変化により表面位置が変動するため、焦点位置の調整は容易ではなく、結果として速度の測定が困難となる。また、鋼板表面に接触式の回転ローラを押し付けて、そのローラの回転数から速度を測定することも考えられるが、鋼板が平坦でない場合がある等の理由から、ローラが鋼板表面を追従しない恐れがあり、やはり速度の測定は困難である。
そこで、本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、被測定対象物の相対的な速度を測定できる速度測定方法及び速度測定装置を提供することを目的とする。
本発明の速度測定方法は、被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定方法において、時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光をレーザ発振部で発振するレーザ発振ステップと、前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐ステップと、第1測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第1受光ステップと、第2測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第2受光ステップと、前記第1測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第1ビート周波数を検出し、前記第2測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第2ビート周波数を検出する周波数解析ステップと、基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、基準速度で移動しているときに検出した前記第1ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である第1周波数差を算出し、前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である第2周波数差を算出する周波数差算出ステップと、速度算出ステップと、を有し、前記速度算出ステップは、前記レーザ光の波長と、前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第1測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第1測定ヘッドの光軸とがなす第1光軸角度と、前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第2測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第2測定ヘッドの光軸とがなす第2光軸角度と、前記第1周波数差と、前記第2周波数差と、に基づいて、前記第1測定ヘッド及び前記第2測定ヘッドに対する前記被測定対象物の相対的な速度を測定するものである。
本発明の速度測定装置は、被測定対象物の相対的な速度を測定する距離速度測定装置において、時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部と、前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐器と、前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第1測定ヘッドと、前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第2測定ヘッドと、前記第1測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第1ビート周波数を検出する第1周波数解析部と、前記第2測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第2ビート周波数を検出する第2周波数解析部と、基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、基準速度で移動しているときに検出した前記第1ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である第1周波数差を算出する第1周波数差算出部と、前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である第2周波数差を算出する第2周波数差算出部と、速度算出部と、を有し、前記速度算出部は、前記レーザ光の波長と、前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第1測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第1測定ヘッドの光軸とがなす第1光軸角度と、前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第2測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第2測定ヘッドの光軸とがなす第2光軸角度と、前記第1周波数差と、前記第2周波数差と、に基づいて、前記第1測定ヘッド及び前記第2測定ヘッドに対する前記被測定対象物の相対的な速度を測定するものである。
本発明の速度測定方法及び速度測定装置によれば、被測定対象物までの距離を測定する際に用いるレーザ光を利用して被測定対象物が移動する際の速度を容易に測定することができる。また、距離変化量算出ステップを有する速度測定方法や、距離変化量算出部を有する速度測定装置によれば、速度の測定と一連の操作の中で同時的に、被測定対象物までの距離(より直接的には、基準位置から被測定対象物までの距離の差分)を測定できる。
第1測定ヘッド及び第2測定ヘッドの構成を示した概略図である。 本発明の速度測定装置の全体構成を示したブロック図である。 FSFレーザ光のチャープ周波数コム出力を模式的に表した概略図である。 所定位置で静止させた鋼板に対して第1測定光及び第2測定光を照射する際の説明に供する概略図である。 第一の実施形態に係る演算処理装置の回路構成を示すブロック図である。 第二の実施形態に係る演算処理装置の回路構成を示すブロック図である。 実施例の説明に供する概略図である。 図8Aは、距離変化量(移動距離)と距離測定値との関係を示したグラフであり、図8Bは、距離変化量と距離測定値誤差との関係を示したグラフである。 図9Aは、基準位置で被測定対象物の速度を変えたときの速度と速度測定値との関係を示したグラフであり、図9Bは、図9Aから求めた速度測定値誤差を示したグラフであり、図9Cは、距離変化量を−50mmとし、被測定対象物の速度を変えたときの速度と速度測定値誤差との関係を示したグラフである。 図10Aは、距離変化量を−100mmとし、被測定対象物の速度を変えたときの速度と速度測定値誤差との関係を示したグラフであり、図10Bは、距離変化量を50mmとし、被測定対象物の速度を変えたときの速度と速度測定値誤差との関係を示したグラフであり、図10Cは、距離変化量を100mmとし、被測定対象物の速度を変えたときの速度と速度測定値誤差との関係を示したグラフである。 第三の実施形態における、第1測定ヘッド、第2測定ヘッド及び第3測定ヘッドを備えた速度測定装置の構成を示した概略図である。 第1射影角度、第2射影角度及び第3射影角度を説明するための概略図である。 第三の実施形態に係る演算処理装置の回路構成を示すブロック図である。 第四の実施形態に係る演算処理装置の回路構成を示すブロック図である。
本発明者らは、一般的なFSF(Frequency-Shifted Feedback)レーザを用いた距離測定装置を用いて、移動する鋼板Pの測定面Sまでの距離を測定したところ、速度Vによって、距離計から得られる測定距離が変化してしまうことを確認した。そこで、本発明者らは、このような測定距離が変化する原因について鋭意検討を行った。
その結果、本発明者らは、レーザ発振器を用いて、移動している鋼板Pまでの距離を測定する際に、測定距離が見掛け上シフトしてしまうのは、レーザ光がドップラーシフトによる影響を受けていると考えられることを見出した。より具体的には、測定距離がシフトする原因として、鋼板Pの測定面Sに対して、FSFレーザの光軸に傾きがあることで、ドップラーシフトの影響を受けていると推測した。
こうした推測に基づき、見掛け上生じる測定値のシフトを排除し、高精度に鋼板Pの速度Vを測定する方法及びそのための装置について検討を行った。また、併せて、鋼板Pまでの距離を測定することについても検討を行った。
(1)<第一の実施形態>
以下図面について、本発明の第一の実施形態を詳述する。
(1−1)<本実施形態による測定ヘッドの構成>
図1は、本実施形態による速度測定装置に設けられる第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを示す。これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは同一構成を有するものである。本発明の速度測定装置は、既知の周波数変調速度で変調されたFSF(Frequency-Shifted Feedback)レーザ光を発振するレーザ発振器を備えており、FSFレーザ光(以下、単にレーザ光とも称する)を、それぞれ第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから第1測定光及び第2測定光として、移動する鋼板Pの測定面(被測定対象物表面)Sに照射する。
ここで、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸ax1の傾き(以下、第1光軸角度θと称する)とは、鋼板Pが移動する方向(移動方向X)と第1測定光の光軸ax1とがなす面において、移動方向Xに垂直な方向と、第1測定光の光軸ax1と、がなす角度である。また、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸ax2の傾き(以下、第2光軸角度θと称する)とは、鋼板Pが移動する方向(移動方向X)と第2測定光の光軸ax2とがなす面において、移動方向Xに垂直な方向と、第2測定光の光軸ax2と、がなす角度である。第1光軸角度θと第2光軸角度θとは異なっている。
(1−2)<第一の実施形態による速度測定装置について>
第一の実施形態における速度測定装置は、鋼板Pまでの距離を測定せずに、移動方向Xにおける鋼板Pの速度のみを測定する。図2に示すように、本実施形態の速度測定装置1は、FSFレーザ光を発振するレーザ発振器2、分岐器3a,3b,3c、サーキュレータ(方向性結合器)4a,4b、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b、結合器(光ファイバカプラ)6a,6b、第1光検出部7a、第2光検出部7b、及び演算処理装置11を有する。
レーザ発振器2は、FSFレーザ光を発振するレーザ発振器である。ここで、FSFレーザ光とは、光の周波数を変化させる素子(周波数シフト素子)を備えた共振器(図示せず)を用いて、周波数シフトを受けた光を帰還することにより発振するレーザ光を意味する。
図3は、FSFレーザ光の出力を模式的に表した図である。図3に示すように、FSFレーザ光は、共振器内の光波が周回ごとに周波数シフトを受けながら、共振器の利得曲線(周波数−振幅曲線)に従って増幅され、減衰して、最終的には消滅する。FSFレーザ光の発振出力においては、このような瞬時周波数成分が複数、一定の周波数間隔で櫛状に存在している。
図3中、τRTは共振器の周回時間を表し、νFSは周回あたりの周波数シフト量を表す。1/τRTは、共振器の縦モード周波数間隔(チャープ周波数コム間隔)を示し、rは、FSFレーザ光の瞬時周波数の単位時間あたりの変化量、すなわち、周波数変調速度を示す。
図2に示すように、レーザ発振器2から出力されたレーザ光(FSFレーザ光)は、光ファイバを介して分岐器3aに入射される。分岐器3aは、レーザ発振器2から入射されたレーザ光を、測定光と参照光とに分岐する。また、分岐器3aにおいて分岐された測定光は、光ファイバを介して分岐器3bに入射される。この分岐器3bは、測定光を、第1測定光と第2測定光とに分岐する。なお、これら第1測定光及び第2測定光については、それぞれ単に測定光とも称する。
分岐器3bにおいて分岐された第1測定光は、第1の光ファイバ光路8aを経由して第1測定ヘッド5aに導かれる。第1の光ファイバ光路8aは、第1測定光が分岐器3bから出て第1測定ヘッド5aに至るまでの間にサーキュレータ4aを有している。サーキュレータ4aは、分岐器3bからの第1測定光を第1測定ヘッド5aに出射し、第1測定ヘッド5aから入射した第1反射光を結合器6aに出射する。
第1測定ヘッド5aには、第1の光ファイバ光路8aの端部9aと、集光レンズ9bとが内部に設けられている。第1測定ヘッド5aは、レーザ発振器2から第1の光ファイバ光路8aを介して伝送された第1測定光を、第1の光ファイバ光路8aの端部9aから出射して集光レンズ9bにより集光した後、鋼板Pの測定面Sに向けて照射する。第1測定ヘッド5aは、図示しない搬送ローラにより移動方向X(鋼板Pの平坦な測定面Sの面方向に沿った一方向)に所定の速度Vで移動している鋼板Pの測定面S、或いは、静止している鋼板Pの測定面Sに向けて第1測定光を照射する。
第1測定光が鋼板Pの測定面Sで反射することで得られた第1反射光は、集光レンズ9bで集光された後、第1の光ファイバ光路8aの端部9aで受光され、第1の光ファイバ光路8aを経由して結合器6aに入射される。具体的には、第1測定ヘッド5aで受光した第1反射光は、第1測定光が通った光ファイバと同一の光ファイバを通じてサーキュレータ4aに導かれ、サーキュレータ4aから光ファイバを通じて結合器6aに導かれる。
一方、最初の分岐器3aで分岐された参照光は、光ファイバを介して分岐器3cに入射される。この分岐器3cは、参照光を、第1参照光と第2参照光とに分岐する。なお、これら第1参照光及び第2参照光については、それぞれ単に参照光とも称する。分岐器3cで分岐された第1参照光は、第3の光ファイバ光路8cを通じて第1光検出部7aに導かれる。具体的には、分岐器3cから出射した第1参照光は、所定の光路長の光ファイバを通じて結合器6aに導かれる。結合器6aは、第1参照光と第1反射光とを、光ファイバを通じてそれぞれ第1光検出部7aに入射させる。
第1光検出部7aは、第1反射光及び第1参照光を受光する。第1光検出部7aに同時に入射する第1反射光と第1参照光とは、それぞれのレーザ光がレーザ発振器2を出射してから第1光検出部7aに入射するまでに通った光路長の差に対応する周波数差を有するので、第1反射光と第1参照光との光干渉によりビート信号が発生する。第1光検出部7aは、このビート信号を検出し、これを演算処理装置11に送出する。
一方、上述した分岐器3bにおいて分岐された第2測定光は、第2の光ファイバ光路8bを経由して第2測定ヘッド5bに導かれる。第2の光ファイバ光路8bは、第2測定光が分岐器3bから出て第2測定ヘッド5bに至るまでの間にサーキュレータ4bを有している。サーキュレータ4bは、分岐器3bからの第2測定光を第2測定ヘッド5bに出射し、第2測定ヘッド5bから入射した第2反射光を結合器6bに出射する。
第2測定ヘッド5bは、第1測定ヘッド5aと同様の構成を有しており、レーザ発振器2から第2の光ファイバ光路8bを介して伝送された第2測定光を、第2の光ファイバ光路8bの端部9aから出射して集光レンズ9bにより集光した後、鋼板Pの測定面Sに向けて照射する。第2測定ヘッド5bも、移動方向Xに所定の速度Vで移動している鋼板Pの測定面S、或いは、静止している鋼板Pの測定面Sに向けて第2測定光を照射する。
第2測定光が鋼板Pの測定面Sで反射することで得られた第2反射光は、集光レンズ9bで集光された後、第2の光ファイバ光路8bの端部9aで受光され、第2の光ファイバ光路8bを経由して結合器6bに入射される。具体的には、第2測定ヘッド5bで受光した第2反射光は、第2測定光が通った光ファイバと同一の光ファイバを通じてサーキュレータ4bに導かれ、サーキュレータ4bから光ファイバを通じて結合器6bに導かれる。なお、上述した第1反射光及び第2反射光については、それぞれ単に反射光とも称する。
一方、分岐器3cで分岐された第2参照光は、第4の光ファイバ光路8dを通じて第2光検出部7bに導かれる。具体的には、分岐器3cから出射した第2参照光は、所定の光路長の光ファイバを通じて結合器6bに導かれる。結合器6bは、第2参照光と第2反射光とを、光ファイバを通じてそれぞれ第2光検出部7bに入射させる。
第2光検出部7bは、第2反射光及び第2参照光を受光する。第2光検出部7bに同時に入射する第2反射光と第2参照光とは、それぞれのレーザ光がレーザ発振器2を出射してから第2光検出部7bに入射するまでに通った光路長の差に対応する周波数差を有するので、第2反射光と第2参照光との光干渉によりビート信号が発生する。第2光検出部7bは、このビート信号を検出し、これを演算処理装置11に送出する。
演算処理装置11は、第1光検出部7aで検出した一群の光において、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数(第1ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出する。なお、光ファイバの温度変化の影響を抑制するために、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート周波数の代わりに、第1ビート周波数として、例えば、第1測定ヘッド5aから、鋼板Pの測定面Sまでの距離D1に相当する周波数を用いることができる。この周波数を算出する場合には、第1反射光と参照光が干渉することにより生じるビート周波数から、第1測定ヘッド5aからの反射光と参照光が光干渉することにより生じるビート周波数を差し引くことで求めることができる。
また、演算処理装置11は、第2光検出部7bで検出した一群の光において、第2反射光と第2参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数(第2ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出する。この場合も、例えば、第2測定ヘッド5bから、鋼板Pの測定面Sまでの距離D2に相当する周波数を用いることができる。この周波数を算出する場合には、第2反射光と第2参照光が光干渉することにより生じるビート周波数から、第2測定ヘッド5bでの反射光と第2参照光が光干渉することにより生じるビート周波数を差し引くことで求めることができる。
第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bが鋼板Pの移動方向Xに対して垂直である場合や、鋼板Pが停止している場合においては、第1ビート周波数又は第2ビート周波数を、光路長に換算することで、鋼板Pまでの距離を求めることができる。
これに加えて、第1測定ヘッド5aや第2測定ヘッド5bに傾きを持たせた場合には、演算処理装置11は、後述する速度測定方法に従って演算処理を行うことにより、第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて、鋼板Pが移動している際の速度Vを測定することができる。
(1−3)<本発明の速度測定方法について>
次に、本発明における速度測定方法について、図1及び図4を用いて説明する。この速度測定方法では、従来と同様に、レーザ光を用いて、移動している鋼板Pの速度Vについて測定できるものである。速度測定方法では、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの2つを用い、第1測定ヘッド5aから鋼板Pの測定面Sに第1測定光を照射するとともに、第2測定ヘッド5bから鋼板Pの測定面Sに第2測定光を照射する。
この際、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、鋼板Pに対して異なる位置に配置されており、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸ax1の傾き(第1光軸角度θ)と、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸ax2の傾き(第2光軸角度θ)とがそれぞれ所定の角度に設定されている。なお、この第1光軸角度θと第2光軸角度θとは同じ角度でもよく、異なる角度であってもよい。
なお、この場合の角度は、鋼板Pの移動方向Xと、第1測定ヘッド5aの光軸ax1(第2測定ヘッド5bの光軸aX2)とがなす面において、移動方向Xに垂直な方向と、第1測定ヘッド5aの光軸ax1(第2測定ヘッド5bの光軸aX2)とがなす角度のことであり、ドップラー効果の及ぶ方向成分の角度である。
なお、図1及び図4では、話を簡単にするため、本実施形態に係る一例として、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの光軸ax1,ax2が、ともに移動方向Xと鉛直方向Z(以下、単に、方向Zとも称する)とのなす面内にある場合を示しており、以下ではその例に基づいて説明を行う。
ここで、図1は、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから所定距離離れた所定位置で、移動方向Xに沿って速度Vで移動している鋼板Pを示す。一方、図1との対応部分に同一符号を付して示す図4は、鋼板Pの移動方向Xに垂直な方向Zに沿って鋼板Pを移動させ、所定位置とは異なる基準位置で静止させた鋼板Pを示す。
即ち、基準位置にある鋼板Pは静止しているため、ドップラー効果が生じず、速度測定装置1を用いて鋼板Pまでの距離を測定したとしても、上述した測定距離の見掛け上のシフトは生じず、真の距離を測定できる。
ここで、鋼板Pの移動方向Xと、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの光軸ax1,ax2とがなす面において、移動方向Xに垂直な方向Zにおいて、所定位置(図1)にある鋼板Pと、基準位置(図4)にある鋼板Pとの距離の差を、以下、距離変化量dと称する。なお、図4では、一例として、移動状態の鋼板Pに比べて、移動方向Xと垂直な方向Zに沿って、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから遠ざかる方向に、距離変化量dだけ移動させた鋼板Pを示している。
ここで、基準位置で静止状態にある鋼板P(図4)の測定面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数(第1基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板P(図1)の測定面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数との周波数の差(以下、第1周波数差と称する)を、△fとすると、第1周波数差△fは、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、次の式(1)で表すことができる。
Δf1=k(d/cosθ1)−(2Vsinθ1)/λ …(1)
θは、上述した第1光軸角度を示し、λはレーザの波長を示す。kは、例えば、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bに対して鋼板Pの距離を変化させると、どれだけレーザ光の周波数が変化するかの関係を示した定数である。
上記の式(1)のうち、第一項は、第1測定ヘッド5aから鋼板Pまでの距離が変化することによる、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。一方、上記の式(1)の第二項は、鋼板Pが移動方向Xに沿って移動することで生じるドップラーシフトの影響による、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。
また、基準位置で静止状態にある鋼板P(図4)の測定面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数(第2基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板P(図1)の測定面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数との周波数の差(以下、第2周波数差と称する)を、△fとすると、第2周波数差△fも、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、次の式(2)で表すことができる。
Δf2=k(d/cosθ2)+(2Vsinθ2)/λ …(2)
なお、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bは同一構成のものを用いていることから、定数kについては、第1測定ヘッド5aのときと同じとなる。
このような上記の式(1)及び式(2)から、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vを算出すると、下記の式(3)で表すことができる。
V=(λ/2)・(−Δf1cosθ1+Δf2cosθ2)/(sinθ1cosθ1+sinθ2cosθ2) …(3)
ここで、レーザ光の波長λについては、分光器等で予め測定することで取得可能である。上記の式(1)及び式(2)における定数kについても、例えば、距離変化量dを設けて、異なる位置でそれぞれ鋼板Pを静止させ、各位置での鋼板Pからの第1反射光(又は第2反射光)の周波数をそれぞれ測定し、このときの第1反射光(又は第2反射光)の周波数変化量と、距離変化量dと、から算出することができる。
具体的には、基準位置で静止させた鋼板Pに対して、例えば第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、得られた第1反射光の周波数を測定する。また、基準位置から距離変化量dだけずらした所定位置で静止させた鋼板Pに対して、例えば第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、得られた第1反射光の周波数を測定する。これにより、鋼板Pが各位置にあるときの各第1反射光の周波数差△f11を算出することで、k=△f11/dの式を基に、定数kを算出することができる。このような、定数kについては、第二の実施形態において説明する距離変化量dを求める際に用いることができる。
なお、上述したように、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bは、同じ構成からなるものを使用しているため、第1測定ヘッド5a又は第2測定ヘッド5bのいずれかを用いて、反射光の周波数差△f11を算出すればよい。
また、実際に基準位置で静止させた鋼板Pや、距離変化量dだけずらした鋼板Pを用いた試験を行うことなく、k=2r/cとした演算で、kを求めることも可能である。rはレーザ光の瞬時周波数の単位時間あたりの変化量、すなわち、周波数変調速度、cは空気中の光の速度を示す。
上記の式(3)のうち、第1光軸角度θは、同じ位置で、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vを変え、鋼板Pから反射した第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第1ビート周波数の変化量と、速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。また、第2光軸角度θについても、第1光軸角度θと同様に、同じ位置で、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vを変え、鋼板Pから反射した第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第2ビート周波数の変化量と、速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。
具体的には、上記の式(1)の第二項を利用して第1光軸角度θを算出でき、上記の式(2)の第二項を利用して第2光軸角度θを算出できる。例えば、同じ位置で鋼板Pを移動方向Xに沿って複数の速度V,Vで移動させ、これら速度V,Vのときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数の差を、周波数差△f21として算出する。また、速度V,Vの速度差を、校正用の速度VD1として算出する。
これにより、第1測定光の第1光軸角度θは、レーザ光の波長λと、校正用の速度VD1と、周波数差△f21とを用い、上記の式(1)の第二項(すなわち、△f21=2VD1・Sinθ/λ)から算出することができる。
同様にして、第2測定光の第2光軸角度θについても、レーザ光の波長λと、校正用の速度VD1と、周波数差△f22とを用い、上記の式(2)の第二項(すなわち、△f22=2VD1・Sinθ/λ)から算出することができる。
以上より、上記の式(3)のうち、レーザ光の波長λと、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、については事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f及び第2周波数差△fを測定することで、上記の式(3)から、鋼板Pが移動する際の速度Vを算出することができる。
なお、速度測定装置1を構築した際に、正確に第1光軸角度θと第2光軸角度θが分かっている場合や、別途の測定器による正確な測定により第1光軸角度θと第2光軸角度θが分かっている場合には、その第1光軸角度θと第2光軸角度θとを用いて、直接上記式(3)から、速度Vを算出することができる。
本実施形態においては、第1周波数差△fの算出として、基準位置で鋼板Pが第1測定ヘッド5aと相対的に静止しているときに検出した第1ビート周波数と、所定位置で鋼板Pが第1測定ヘッド5aと相対的に移動しているときに検出した第1ビート周波数とを用いて、その周波数差を第1周波数差△fとして算出したが、本発明はこれに限らない。例えば、基準位置で鋼板Pが第1測定ヘッド5aと相対的に基準速度で移動しているときに検出した第1ビート周波数と、所定位置で鋼板Pが基準速度以外で第1測定ヘッド5aと相対的に移動しているときに検出した第1ビート周波数とを用い、その周波数差を算出して第1周波数差△fとしてもよい。
また、同様に、第2周波数差△fの算出についても、基準位置で鋼板Pが第2測定ヘッド5bと相対的に静止しているときに検出した第2ビート周波数を用いる必要はなく、例えば、基準位置で鋼板Pが第2測定ヘッド5bと相対的に基準速度で移動しているときに検出した第2ビート周波数と、所定位置で鋼板Pが基準速度以外で第2測定ヘッド5bと相対的に移動しているときに検出した第2ビート周波数とを用い、その周波数差を算出して第2周波数差△fとしてもよい。
なお、本実施形態では、第1周波数差△f及び第2周波数差△fについては、基準位置で鋼板Pが相対的に静止しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて算出する場合について、以下説明する。
(1−4)<演算処理装置について>
次に、上述した速度測定方法を実行する演算処理装置11(図2)について以下説明する。この演算処理装置11は、上記の式(3)を基に、鋼板Pが移動する際の速度Vを、距離を求めることなく測定できるものである。図5は、演算処理装置11の回路構成を示したブロック図である。図5に示すように、演算処理装置11は、第1周波数解析部17a、第2周波数解析部17b、距離算出部18、算出部13、及び波長取得部16を備えている。なお、演算処理装置11では、第1周波数解析部17a及び第2周波数解析部17bにより周波数解析部を構成している。
第1周波数解析部17aは、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第1光検出部7aから受け、当該ビート信号の周波数(第1ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を距離算出部18、第1基準周波数取得部18a、第1周波数差算出部19a及び第1光軸角度取得部20aに送出する。
また、第2周波数解析部17bは、第2反射光と第2参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第2光検出部7bから受け、当該ビート信号の周波数(第2ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を距離算出部18、第2基準周波数取得部18b、第2周波数差算出部19b及び第2光軸角度取得部20bに送出する。
距離算出部18は、この第1ビート周波数又は第2ビート周波数を、光路長の差に変換することで、鋼板Pの測定面Sまでの距離を算出する。なお、距離算出部18で、第1ビート周波数又は第2ビート周波数から距離を測定する場合には、鋼板Pが移動していると、上述の通りドップラー効果により測定距離が見掛け上シフトしてしまうため、ある位置に静止した鋼板Pの測定面Sまでの距離を測定するものとし、その位置を基準位置としている。
算出部13は、第1基準周波数取得部18a、第2基準周波数取得部18b、第1周波数差算出部19a、第2周波数差算出部19b、第1光軸角度取得部20a、第2光軸角度取得部20b、及び速度算出部24を備えている。なお、算出部13では、第1基準周波数取得部18a及び第2基準周波数取得部18bにより基準周波数取得部を構成しており、第1周波数差算出部19a及び第2周波数差算出部19bにより周波数差算出部を構成している。また、第1光軸角度取得部20a及び第2光軸角度取得部20bにより光軸角度取得部を構成している。
第1基準周波数取得部18aは、上記の式(3)にて用いる第1周波数差△f1を求める際に使用する第1基準周波数を取得するものである。第1基準周波数取得部18aは、第1周波数解析部17aから受け取った、静止状態かつ基準位置における第1ビート周波数、即ち、第1基準周波数を記憶している。第1基準周波数取得部18aは、第1基準周波数を第1周波数差算出部19aに送出する。
第1周波数差算出部19aは、上記の式(3)にて用いる第1周波数差△fの他、必要に応じて第1光軸角度θを求める際に用いる第1周波数差を算出するものである。第1周波数差算出部19aは、第1周波数解析部17aを介して第1光検出部7aと接続されており、第1光検出部7aで検出された、移動状態にある鋼板Pに係る第1ビート周波数を示す信号を受ける。また、第1周波数差算出部19aは、第1基準周波数取得部18aと接続されており、第1基準周波数を示す信号を受ける。
これにより、第1周波数差算出部19aは、移動状態の鋼板Pから検出した第1ビート周波数と、基準位置で静止している鋼板Pから検出した第1基準周波数との差を、第1周波数差△fとして算出する。第1周波数差算出部19aは、算出結果である第1周波数差△fを示す情報を速度算出部24に送出する。
第2基準周波数取得部18bは、上記の式(3)にて用いる第2周波数差△f2を求める際に使用する第2基準周波数を取得するものである。第2基準周波数取得部18bは、第2周波数解析部17bから受け取った静止状態かつ基準位置における第2ビート周波数、即ち、第2基準周波数を記憶している。第2基準周波数取得部18bは、第2基準周波数を第2周波数差算出部19bに送出する。
第2周波数差算出部19bは、上記の式(3)にて用いる第2周波数差△fの他、必要に応じて第2光軸角度θを求める際に用いる第2周波数差を算出するものである。第2周波数差算出部19bは、第2周波数解析部17bを介して第2光検出部7bと接続されており、第2光検出部7bで検出された、移動状態にある鋼板Pに係る第2ビート周波数を示す信号を受ける。また、第2周波数差算出部19bは、第2基準周波数取得部18bと接続されており、第2基準周波数を示す信号を受ける。
これにより、第2周波数差算出部19bは、移動状態の鋼板Pから検出した第2ビート周波数と、基準位置で静止している鋼板Pから検出した第2基準周波数との差を、第2周波数差△fとして算出する。第2周波数差算出部19bは、算出結果である第2周波数差△fを示す情報を速度算出部24に送出する。
第1光軸角度取得部20aは、上記の式(3)にて用いる第1光軸角度θを取得するものである。第1光軸角度取得部20aは、演算処理により第1光軸角度θを算出してもよく、また、計測手段により第1光軸角度θを測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第1光軸角度θを予め単に記憶しているものでもよい。第1光軸角度取得部20aは、第1光軸角度θを示す情報を速度算出部24に送出する。
ここで、例えば、第1光軸角度θを実際の試験を行うことにより算出する場合は、同じ位置で鋼板Pを移動方向Xに沿って複数の速度V,Vで移動させ、これら速度V,Vのときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数を、第1周波数解析部17aから第1周波数差算出部19aへ送出する。第1周波数差算出部19aは、それらの第1ビート周波数の周波数の差を、周波数差△f21として算出し、これを第1光軸角度取得部20aに送出する。第1光軸角度取得部20aは、この周波数差△f21と、速度V,Vの速度差を示す校正用の速度VD1と、波長λと、を取得し、上記の式(1)の第二項(すなわち、△f21=2VD1・Sinθ/λ)から第1光軸角度θを算出する。
第2光軸角度取得部20bは、上記の式(3)にて用いる第2光軸角度θを取得するものである。第2光軸角度取得部20bは、演算処理により第2光軸角度θを算出してもよく、また、計測手段により第2光軸角度θを測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第2光軸角度θを予め単に記憶しているものでもよい。第2光軸角度取得部20bは、第2光軸角度θを示した情報を速度算出部24に送出する。
ここで、例えば、第2光軸角度θを実際の試験を行うことにより算出する場合は、第1光軸角度θの演算処理のときと同様に、同じ位置で鋼板Pを移動方向Xに沿って複数の速度V,Vで移動させ、これら速度V,Vのときにそれぞれ検出した各第2ビート周波数を第2周波数解析部17bから第2周波数差算出部19bへ送出する。第2周波数差算出部19bは、それらの第2ビート周波数の周波数の差を、周波数差△f22として算出し、これを第2光軸角度取得部20bする。第2光軸角度取得部20bは、この周波数差△f22と、速度V,Vの速度差を示す校正用の速度VD1と、波長λと、を取得し、上記の式(2)の第二項(すなわち、△f22=2VD1・Sinθ/λ)から第2光軸角度θを算出する。
波長取得部16は、例えば、分光器等であり、レーザ発振器2で発振されるレーザ光の波長λを測定することで、波長λを取得するものである。波長取得部16は、波長λを示す情報を速度算出部24に送出する。
また、速度算出部24は、取得した第1周波数差△f、第2周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(3)に基づいて演算処理を行い、速度Vを算出する。このようにして、速度算出部24は、鋼板Pの速度Vを測定することができる。この際、上記式(3)から明らかなように、速度算出部24は、距離変化量dをはじめとした距離の値を用いることなく、速度Vを算出することが可能である。
(1−5)<作用及び効果>
以上の構成において、本実施形態に係る速度測定装置1では、周波数が時間に対して変調するレーザ光を発振し(レーザ発振ステップ)、レーザ光を、参照光と測定光とに分ける(分岐ステップ)。第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを用いて、測定光にあたるレーザ光を異なる位置から鋼板Pの測定面Sに照射し、その反射光を第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bをそれぞれ用いて受光する(第1受光ステップ、第2受光ステップ)。
速度測定装置1は、第1測定ヘッド5aで受光した第1反射光と第1参照光とを干渉させて得られるビート信号を用いた第1ビート周波数を測定し、検出する。また、速度測定装置1は、第2測定ヘッド5bで受光した第2反射光と第2参照光とを干渉させて得られるビート信号を用いた第2ビート周波数を測定し、検出する(周波数解析ステップ)。
そして、速度測定装置1では、鋼板Pが基準位置で静止しているときに検出された第1ビート周波数及び第2ビート周波数を、それぞれ第1基準周波数及び第2基準周波数として取得する。
速度測定装置1では、鋼板Pが所定位置で移動しているときに検出された第1ビート周波数と、鋼板Pが基準位置で静止しているときの第1基準周波数との差である第1周波数差△fを算出する。また、速度測定装置1では、鋼板Pが所定位置で移動しているときに検出された第2ビート周波数と、鋼板Pが基準位置で静止しているときの第2基準周波数との差である第2周波数差△fを算出する(周波数差算出ステップ)。
これにより、速度測定装置1では、レーザ光の波長λと、第1測定光の第1光軸角度θと、第2測定光の第2光軸角度θの各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f及び第1周波数差△fを用いて、上記の式(3)から、鋼板Pの速度Vを算出することができる(速度算出ステップ)。
このように速度測定装置1では、速度測定の際に一般に必要となる距離の値を測定することなく、レーザ光を利用して鋼板Pの速度Vについて測定することができる。
また、速度測定装置1では、例えば、上述した周波数差算出ステップを第1測定ステップ及び第2検出ステップに先立って行い、鋼板Pが基準位置で静止しているときに検出される第1反射光及び第2反射光の各周波数の基準周波数情報を予め記憶しておくことが望ましい。これにより、速度測定装置1では、鋼板Pが所定位置で移動しているときの第1反射光及び第2反射光の各周波数を検出した際に、既に記憶している基準周波数情報(基準位置で鋼板Pを静止させたときの第1反射光及び第2反射光の各周波数の情報)を用い、即座に第1周波数差△f及び第1周波数差△fを算出できる。よって、鋼板Pを移動させている際にリアルタイムで速度Vを測定することができる。
(2)<第二の実施形態>
以下図面について、本発明の第二の実施形態を詳述する。以下の説明において、第一の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(2−1)<本実施形態による測定ヘッドの構成>
第二の実施形態でも、図1に示したような第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを有している。これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、上述した第一の実施形態と同一構成を有するものであり、FSFレーザ光(レーザ光)を第1測定光及び第2測定光として、移動する鋼板Pの測定面(被測定対象物表面)Sに照射する。なお、これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bについては、上述した第一の実施形態と説明が重複するため、ここではその説明は省略する。
(2−2)<第二の実施形態による速度測定装置について>
図2は、第二の実施形態における速度測定装置31の全体構成を示す。第二の実施形態における速度測定装置31は、移動方向Xにおける鋼板Pの速度に加えて、基準位置から鋼板Pまでの距離の差分(距離変化量d)についても、一連の処理の中で同時的に測定できる点で、上述した第一の実施形態とは異なっている。本実施形態における速度測定装置31は、上述した第一の実施形態とは演算処理装置32の構成が相違しており、他の点については第一の実施形態と同様に構成されている。よって、ここでは、第一の実施形態とは異なる演算処理装置32に着目して以下説明する。
この場合、第1光検出部7aは、第1反射光及び第1参照光を受光し、第1反射光と第1参照光との光干渉により発生したビート信号を検出し、これを演算処理装置32に送出する。
第2光検出部7bは、第2反射光及び第2参照光を受光し、第2反射光と第2参照光との光干渉により発生したビート信号を検出し、これを演算処理装置32に送出する。
演算処理装置32は、第1光検出部7aで検出した一群の光において、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数(第1ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出する。なお、光ファイバの温度変化の影響を抑制するために、前記第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数の代わりに、第1ビート周波数として、例えば、第1測定ヘッド5aから、鋼板Pの測定面Sまでの距離D1に相当する周波数を用いることができる。この周波数を算出する場合には、第1反射光と第1参照光が干渉することにより生じるビート周波数から第1測定ヘッド5aでの反射光と第1参照光が光干渉することにより生じるビート周波数を差し引くことで求めることができる。
また、演算処理装置32は、第2光検出部7bで検出した一群の光において、第2反射光と第2参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数(第2ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出する。この場合も、例えば、第2測定ヘッド5bから、鋼板Pの測定面Sまでの距離D2に相当する周波数を用いることができる。この周波数を算出する場合には、第2反射光と第2参照光が干渉することにより生じるビート周波数から第2測定ヘッド5bでの反射光と第2参照光が光干渉することにより生じるビート周波数を差し引くことで求めることができる。
第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bが鋼板Pの移動方向Xに対して垂直である場合や、鋼板Pが停止している場合においては、第1ビート周波数又は第2ビート周波数を、光路長に換算することで、鋼板Pまでの距離を求めることができる。
これに加えて、第1測定ヘッド5aや第2測定ヘッド5bに傾きを持たせた場合には、演算処理装置32は、後述する距離速度測定方法に従って演算処理を行うことにより、第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて、鋼板Pまでの距離と、鋼板Pが移動している際の速度Vを測定することができる。
(2−3)<第二の実施形態における速度測定方法について>
次に、第二の実施形態における速度測定方法について、図1及び図4を用いて説明する。この第二の実施形態における速度測定方法では、第一の実施形態と同様に、レーザ光を用いて鋼板Pの速度Vを測定できる他、その際に移動している鋼板Pまでの距離についても同時に測定できるものである。速度測定方法では、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの2つを用い、第1測定ヘッド5aから鋼板Pの測定面Sに第1測定光を照射するとともに、第2測定ヘッド5bから鋼板Pの測定面Sに第2測定光を照射する。
この際、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、鋼板Pに対して異なる位置に配置されており、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸ax1の傾き(第1光軸角度θ)と、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸ax2の傾き(第2光軸角度θ)とがそれぞれ所定の角度に設定されている。なお、この第1光軸角度θと第2光軸角度θとは同じ角度でもよく、異なる角度であってもよい。
なお、この場合の角度は、鋼板Pの移動方向Xと、第1測定ヘッド5aの光軸ax1(第2測定ヘッド5bの光軸aX2)とがなす面において、移動方向Xに垂直な方向と、第1測定ヘッド5aの光軸ax1(第2測定ヘッド5bの光軸aX2)とがなす角度のことであり、ドップラー効果の及ぶ方向成分の角度である。
なお、図1及び図4では、話を簡単にするため、本実施形態に係る一例として、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの光軸ax1,ax2が、ともに移動方向Xと鉛直方向Z(単に、方向Zとも称する)とのなす面内にある場合を示しており、以下ではその例に基づいて説明を行う。
ここで、図1は、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから所定距離離れた所定位置で、移動方向Xに沿って速度Vで移動している鋼板Pを示す。一方、図1との対応部分に同一符号を付して示す図4は、図1に示す鋼板Pに加え、鋼板Pの移動方向Xに垂直な方向Zに沿って鋼板Pを移動させ、所定位置とは異なる基準位置で静止させた鋼板Pを点線で示す。
即ち、基準位置にある鋼板Pは静止しているため、ドップラー効果が生じず、速度測定装置31を用いて鋼板Pまでの距離を測定したとしても、上述した測定距離の見掛け上のシフトは生じず、真の距離を測定できる。
ここで、鋼板Pの移動方向Xと、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの光軸ax1,ax2とがなす面において、移動方向Xに垂直な方向Zにおいて、所定位置(図1)にある鋼板Pと、基準位置(図4)にある鋼板Pとの距離の差を、距離変化量dと称する。なお、図4では、一例として、移動状態の鋼板Pに比べて、移動方向Xと垂直な方向Zに沿って、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから遠ざかる方向に、距離変化量dだけ移動させた鋼板Pを示している。
ここで、基準位置で静止状態にある鋼板P(図4)の測定面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数(第1基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板P(図1)の測定面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数との周波数の差(第1周波数差)を、△fとすると、第1周波数差△fは、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、上述した第一の実施形態と同様に、次の式(1)で表すことができる。
Δf1=k(d/cosθ1)−(2Vsinθ1)/λ …(1)
θは、上述した第1光軸角度を示し、λはレーザの波長を示す。kは、例えば、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bに対して鋼板Pの距離を変化させると、どれだけレーザ光の周波数が変化するかの関係を示した定数である。
上記の式(1)のうち、第一項は、第1測定ヘッド5aから鋼板Pまでの距離が変化することによる、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。一方、上記の式(1)の第二項は、鋼板Pが移動方向Xに沿って移動することで生じるドップラーシフトの影響による、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。
また、基準位置で静止状態にある鋼板P(図4)の測定面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数(第2基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板P(図1)の測定面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数との周波数の差(第2周波数差)を、△fとすると、第2周波数差△fも、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、上述した第一の実施形態と同様に、次の式(2)で表すことができる。
Δf2=k(d/cosθ2)+(2Vsinθ2)/λ …(2)
なお、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bは同一構成のものを用いていることから、定数kについては、第1測定ヘッド5aのときと同じとなる。
このような上記の式(1)及び式(2)から、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vと、鋼板Pの距離変化量dとを算出すると、下記の式(3)及び式(4)で表すことができる。
V=(λ/2)・(−Δf1cosθ1+Δf2cosθ2)/(sinθ1cosθ1+sinθ2cosθ2) …(3)
d=(cosθ1cosθ2)/k・(Δf1sinθ2+Δf2sinθ1)/(sinθ1cosθ1+sinθ2cosθ2) …(4)
ここで、レーザ光の波長λについては、分光器等で予め測定することで取得可能である。また、定数kについても、例えば、距離変化量dを設けて、異なる位置でそれぞれ鋼板Pを静止させ、各位置での鋼板Pからの第1反射光(又は第2反射光)の周波数をそれぞれ測定し、このときの第1反射光(又は第2反射光)の周波数変化量と、距離変化量dと、から算出することができる。
具体的には、基準位置で静止させた鋼板Pに対して、例えば第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、得られた第1反射光の周波数を測定する。また、基準位置から距離変化量dだけずらした所定位置で静止させた鋼板Pに対して、例えば第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、得られた第1反射光の周波数を測定する。これにより、鋼板Pが各位置にあるときの各第1反射光の周波数差△f11を算出することで、k=△f11/dの式を基に、定数kを算出することができる。
なお、上述したように、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bは、同じ構成からなるものを使用しているため、第1測定ヘッド5a又は第2測定ヘッド5bのいずれかを用いて、反射光の周波数差△f11を算出すればよい。
また、実際に基準位置で静止させた鋼板Pや、距離変化量dだけずらした鋼板Pを用いた試験を行うことなく、k=2r/cとした演算で、kを求めることも可能である。なお、rはレーザ光の瞬時周波数の単位時間当たりの変化量、即ち、周波数変調速度を示し、cは空気中の光の速度を示す。
上記の式(3)及び式(4)のうち、第1光軸角度θは、同じ位置で、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vを変え、鋼板Pから反射した第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第1ビート周波数の変化量と、速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。また、第2光軸角度θについても、第1光軸角度θと同様に、同じ位置で、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vを変え、鋼板Pから反射した第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第2ビート周波数変化量と、速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。
具体的には、上記の式(1)の第二項を利用して第1光軸角度θを算出でき、上記の式(2)の第二項を利用して第2光軸角度θを算出できる。例えば、同じ位置で鋼板Pを移動方向Xに沿って複数の速度V,Vで移動させ、これら速度V,Vのときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数の差を、周波数差△f21として算出する。また、速度V,Vの速度差を、校正用の速度VD1として算出する。
これにより、第1測定光の第1光軸角度θは、レーザ光の波長λと、校正用の速度VD1と、周波数差△f21とを用い、上記の式(1)の第二項(すなわち、△f21=2VD1・Sinθ/λ)から算出することができる。
同様にして、第2測定光の第2光軸角度θについても、レーザ光の波長λと、校正用の速度VD1と、周波数差△f22とを用い、上記の式(2)の第二項(すなわち、△f22=2VD1・Sinθ/λ)から算出することができる。
以上より、上記の式(3)のうち、レーザ光の波長λと、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、については事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f及び第2周波数差△fを測定することで、上記の式(3)から、鋼板PがX方向に移動する際の速度Vを算出することができる。
同様に、上記の式(4)についても、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、定数k(例えば、周波数変調速度rを利用して、k=2r/cから演算で求めた定数k)と、については事前に取得することができるため、第1周波数差△f及び第2周波数差△fを測定することで、上記の式(4)から、鋼板P間の距離変化量dを算出することができる。
なお、速度測定装置31を構築した際に、正確に第1光軸角度θと第2光軸角度θが分かっている場合や、別途の測定器による正確な測定により第1光軸角度θと第2光軸角度θが分かっている場合には、その第1光軸角度θと第2光軸角度θとを用いて、直接上記式(3)及び式(4)から、速度Vと距離変化量dを算出することができる。
なお、第二の実施形態においても、上述した第一の実施形態と同様に、第1周波数差△f及び第2周波数差△fの算出については、基準位置で鋼板Pが相対的に静止しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いる必要はなく、例えば、基準位置で鋼板Pが基準速度で移動しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用い、それぞれ第1周波数差△f及び第2周波数差△fを算出してもよい。なお、ここでは、第1周波数差△f及び第2周波数差△fについては、基準位置で鋼板Pが相対的に静止しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて算出する場合について、以下説明する。
(2−4)<演算処理装置について>
次に、上述した速度測定方法を実行する演算処理装置32(図2)について以下説明する。この演算処理装置32は、レーザ光を基に鋼板Pが移動する際の速度Vを測定できるとともに、上記の式(3)及び式(4)を基に、鋼板Pの基準位置からの距離変化量dとを、一連の処理の中で同時的に測定できるものである。図6は、演算処理装置32の回路構成を示したブロック図である。図6に示すように、演算処理装置32は、第1周波数解析部17a、第2周波数解析部17b、距離算出部18、算出部13、定数取得部14、及び波長取得部16を備えている。なお、演算処理装置32では、第1周波数解析部17a及び第2周波数解析部17bにより周波数解析部を構成している。
第1周波数解析部17aは、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第1光検出部7aから受け、当該ビート信号の周波数(第1ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を距離算出部18、第1基準周波数取得部18a、第1周波数差算出部19a及び第1光軸角度取得部20aに送出する。
また、第2周波数解析部17bは、第2反射光と第2参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第2光検出部7bから受け、当該ビート信号の周波数(第2ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を距離算出部18、第2基準周波数取得部18b、第2周波数差算出部19b及び第2光軸角度取得部20bに送出する。
距離算出部18は、この第1ビート周波数又は第2ビート周波数を、光路長の差に変換することで、鋼板Pの測定面Sまでの距離を算出する。なお、距離算出部18で、第1ビート周波数又は第2ビート周波数から距離を測定する場合には、鋼板Pが移動していると、上述の通りドップラー効果により測定距離が見掛け上シフトしてしまうため、ある位置に静止した鋼板Pの測定面Sまでの距離を測定するものとし、その位置を基準位置としている。
算出部13は、第1基準周波数取得部18a、第2基準周波数取得部18b、第1周波数差算出部19a、第2周波数差算出部19b、第1光軸角度取得部20a、第2光軸角度取得部20b、及び距離速度算出部21を備えている。なお、算出部13では、第1基準周波数取得部18a及び第2基準周波数取得部18bにより基準周波数取得部を構成しており、第1周波数差算出部19a及び第2周波数差算出部19bにより周波数差算出部を構成している。また、第1光軸角度取得部20a及び第2光軸角度取得部20bにより光軸角度取得部を構成している。
第1基準周波数取得部18aは、上記の式(3)及び式(4)にて用いる第1周波数差△f1を求める際に使用する第1基準周波数を取得するものである。第1基準周波数取得部18aは、第1周波数解析部17aから受け取った、静止状態かつ基準位置における第1ビート周波数、即ち、第1基準周波数を記憶している。第1基準周波数取得部18aは、第1基準周波数を第1周波数差算出部19aに送出する。
第1周波数差算出部19aは、上記の式(3)及び式(4)にて用いる第1周波数差△fの他、必要に応じて第1光軸角度θ及び定数kを求める際に用いる第1周波数差を算出するものである。第1周波数差算出部19aは、第1周波数解析部17aを介して第1光検出部7aと接続されており、第1光検出部7aで検出された、移動状態にある鋼板Pに係る第1ビート周波数を示す信号を受ける。また、第1周波数差算出部19aは、第1基準周波数取得部18aと接続されており、第1基準周波数を示す信号を受ける。
これにより、第1周波数差算出部19aは、移動状態の鋼板Pから検出した第1ビート周波数と、基準位置で静止している鋼板Pから検出した第1基準周波数との差を、第1周波数差△fとして算出する。第1周波数差算出部19aは、算出結果である第1周波数差△fを示す情報を距離速度算出部21に送出する。
第2基準周波数取得部18bは、上記の式(3)及び式(4)にて用いる第2周波数差△f2を求める際に使用する第2基準周波数を取得するものである。第2基準周波数取得部18bは、第2周波数解析部17bから受け取った静止状態かつ基準位置における第2ビート周波数、即ち、第2基準周波数を記憶している。第2基準周波数取得部18bは、第2基準周波数を第2周波数差算出部19bに送出する。
第2周波数差算出部19bは、上記の式(3)及び式(4)にて用いる第2周波数差△fの他、必要に応じて第2光軸角度θ及び定数kを求める際に用いる第2周波数差を算出するものである。第2周波数差算出部19bは、第2周波数解析部17bを介して第2光検出部7bと接続されており、第2光検出部7bで検出された、移動状態にある鋼板Pに係る第2ビート周波数を示す信号を受ける。また、第2周波数差算出部19bは、第2基準周波数取得部18bと接続されており、第2基準周波数を示す信号を受ける。
これにより、第2周波数差算出部19bは、移動状態の鋼板Pから検出した第2ビート周波数と、基準位置で静止している鋼板Pから検出した第2基準周波数との差を、第2周波数差△fとして算出する。第2周波数差算出部19bは、算出結果である第2周波数差△fを示す情報を距離速度算出部21に送出する。
第1光軸角度取得部20aは、上記の式(3)及び式(4)にて用いる第1光軸角度θを取得するものである。第1光軸角度取得部20aは、演算処理により第1光軸角度θを算出してもよく、また、計測手段により第1光軸角度θを測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第1光軸角度θを予め単に記憶しているものでもよい。第1光軸角度取得部20aは、第1光軸角度θを示す情報を距離速度算出部21に送出する。
ここで、例えば、第1光軸角度θを実際の試験を行うことにより算出する場合は、同じ位置で鋼板Pを移動方向Xに沿って複数の速度V,Vで移動させ、これら速度V,Vのときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数を、第1周波数解析部17aから第1周波数差算出部19aへ送出する。第1周波数差算出部19aは、それらの第1ビート周波数の差を、周波数差△f21として算出し、これを第1光軸角度取得部20aに送出する。第1光軸角度取得部20aは、この周波数差△f21と、速度V,Vの速度差を示す校正用の速度VD1と、波長λと、を取得し、上記の式(1)の第二項(すなわち、△f21=2VD1・Sinθ/λ)から第1光軸角度θを算出する。
第2光軸角度取得部20bは、上記の式(3)及び式(4)にて用いる第2光軸角度θを取得するものである。第2光軸角度取得部20bは、演算処理により第2光軸角度θを算出してもよく、また、計測手段により第2光軸角度θを測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第2光軸角度θを予め単に記憶しているものでもよい。第2光軸角度取得部20bは、第2光軸角度θを示した情報を距離速度算出部21に送出する。
ここで、例えば、第2光軸角度θを実際の試験を行うことにより算出する場合は、第1光軸角度θの演算処理のときと同様に、同じ位置で鋼板Pを移動方向Xに沿って複数の速度V,Vで移動させ、これら速度V,Vのときにそれぞれ検出した各第2ビート周波数を、第2周波数解析部17bから第2周波数差算出部19bへ送出する。第2周波数差算出部19bは、それらの第2ビート周波数の周波数の差を、周波数差△f22として算出し、これを第2光軸角度取得部20bする。第2光軸角度取得部20bは、この周波数差△f22と、速度V,Vの速度差を示す校正用の速度VD1と、波長λと、を取得し、上記の式(2)の第二項(すなわち、△f22=2VD1・Sinθ/λ)から第2光軸角度θを算出する。
定数取得部14は、上記の式(4)にて用いる定数kを取得するものである。定数取得部14は、実際の試験を行うことにより定数kを算出してもよく、また、定数kを予め単に記憶しているだけであってもよい。定数取得部14は、定数kを示す情報を距離速度算出部21に送出する。
なお、定数kを実際の試験を行うことにより算出する場合は、例えば、鋼板Pの位置を距離変化量dで変え、各位置で検出した第1反射光の周波数差△f11を、第1周波数差算出部19aで算出する。定数取得部14は、この第1反射光の周波数差△f11と、位置を変えたときの鋼板Pの距離変化量dと、を取得して、k=△f11/dの式を基に、定数kを算出する。
波長取得部16は、例えば、分光器等であり、レーザ発振器2で発振されるレーザ光の波長λを測定することで、波長λを取得するものである。波長取得部16は、波長λを示す情報を距離速度算出部21に送出する。
距離速度算出部21は、このようにして得られた、第1周波数差△f、第2周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、定数k、波長λを用いて、上記の式(3)及び式(4)を基に、鋼板Pが移動する際の速度Vと距離変化量dとを算出する。ここで、距離速度算出部21は、距離変化量dを測定する距離変化量算出部23と、鋼板Pの速度Vを測定する速度算出部24とを備えている。
距離変化量算出部23は、取得した第1周波数差△f、第2周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、及び定数kを用い、上記の式(4)に基づいて演算処理を行い、距離変化量dを算出する。このようにして、距離変化量算出部23は、鋼板Pの距離変化量dを測定することができる。
なお、この距離変化量dは、基準位置に対する相対位置を示しているので、速度測定装置31からの距離を求める場合には、予め測定しておいた基準位置までの距離の値を用いることで、算出可能である。
また、速度算出部24は、取得した第1周波数差△f、第2周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(3)に基づいて演算処理を行い、速度Vを算出する。このようにして、速度算出部24は、鋼板Pの速度Vを測定することができる。
(2−5)<作用及び効果>
以上の構成において、本実施形態に係る速度測定装置31でも、上述した第一の実施形態と同様に、レーザ発振ステップ、分岐ステップ、第1受光ステップ、第2受光ステップ、周波数解析ステップ、周波数差算出ステップを実行し、レーザ光の波長λと、第1測定光の第1光軸角度θと、第2測定光の第2光軸角度θの各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f及び第1周波数差△fを用いて、上記の式(3)から、鋼板Pの速度Vを算出することができる(速度算出ステップ)。
この速度測定装置31では、単に上記の式(1)の第二項だけから速度Vを算出するものではなく、第1測定光及び第2測定光の両方を用いて、鋼板Pの距離変化量dも考慮して上記の式(3)を求めていることから、基準位置からずれて距離変化量dが生じている鋼板Pについても、上記の式(3)を基に、鋼板Pの速度Vを正確に算出することができる。
また、速度測定装置31では、例えば、上述した周波数差算出ステップを第1受光ステップ及び第2受光ステップに先立って行っておき、鋼板Pが基準位置で静止しているときに検出される基準周波数を、第1基準周波数及び第2基準周波数として予め記憶しておくことが望ましい。これにより、速度測定装置31では、鋼板Pが所定位置で移動しているときの第1反射光及び第2反射光の各周波数を検出した際に、既に記憶している第1基準周波数及び第2基準周波数を用い、即座に第1周波数差△f及び第1周波数差△fを算出できる。よって、鋼板Pを移動させている際にリアルタイムで速度Vを測定することができる。
さらに、第二の実施形態の速度測定装置31では、鋼板Pまでの距離変化とレーザ光の周波数変化との関係を示した定数kを取得することで、第1周波数差△fと、第2周波数差△fと、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、定数kと、を基に、上記の式(4)から、鋼板Pの距離変化量dも算出することができる(距離変化量算出ステップ)。また、予め速度測定装置31から基準位置までの距離を測定しておくことで、距離変化量dのみならず、速度測定装置31から鋼板Pまでの距離を算出することもできる。より具体的には、距離速度算出部21は、距離算出部18で測定した、基準位置までの距離(基準距離)を受け取り、この基準距離に対して、距離変化量dを加算又は減算し、基準位置までの距離を距離変化量dで補正することで、速度測定装置31から鋼板Pまでの距離D1,D2を算出することができる。
なお、距離変化量dを測定する際は、周波数変調速度rを利用して、k=2r/cから演算で求めた定数kを予め記憶しておき、用いてもよい。また、事前に鋼板Pを所定の距離変化量dで変えたときに各位置で検出される反射光の周波数差△f11と、位置を変えたときの鋼板Pの距離変化量dと、の関係を示した、k=△f11/dの式で求められる、定数kを予め記憶しておき、用いてもよい。
このように速度測定装置31では、鋼板Pまでの距離を測定する際に用いるレーザ光を利用して鋼板Pの速度Vについても同時に測定することができる。よって、第二の実施形態による速度測定装置31では、鋼板Pの速度Vの測定とともに、鋼板Pまでの距離も一連の処理で同時に測定することができる。
(3)<他の実施形態>
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、被測定対象物として板状の鋼板Pを適用したが、本発明はこれに限らず、直方体等の形状でなる鋼板や、円筒状・円柱状の鋼材等、種々の形状の被測定対象物を適用してもよい。また、鋼板以外のその他の材料でなる被測定対象物を適用してもよい。
また、上述した実施形態においては、1つのレーザ発振器2を用いて第1測定光及び第2測定光を生成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1測定光を生成する第1のレーザ発振器と、これとは別体でなる、第2測定光を生成する第2のレーザ発振器とを設けても良い。
また、上述した実施形態においては、被測定対象物が所定位置で第1測定光及び第2測定光の各出射位置に対して相対的に移動する状態とし、第1測定光及び第2測定光の各出射位置(すなわち、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5b)を固定した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、鋼板Pを所定位置で固定して、第1測定光及び第2測定光の各出射位置を移動方向Xに沿って移動させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、被測定対象物が基準位置で、第1測定光及び第2測定光の各出射位置に対して静止する状態とした場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、鋼板Pを所定速度Vで移動させながら、各出射位置も同じ方向に速度Vで移動させることで、相対的に静止した状態にするようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、周波数解析部として第1周波数解析部17a及び第2周波数解析部17bを適用し、基準周波数取得部として第1基準周波数取得部18a及び第2基準周波数取得部18bを適用し、周波数差算出部として第1周波数差算出部19a及び第2周波数差算出部19bを適用し、光軸角度取得部として第1光軸角度取得部20a及び第2光軸角度取得部20bを適用し、それぞれ2つずつ設けた例で説明を行ったが、それぞれ一体的に、一つの、周波数解析部、基準周波数取得部、周波数差算出部、光軸角度取得部を設けるようにして、処理を行うことも可能である。
また、上述した実施形態においては、第1測定光及び第2測定光の出射位置を固定し、鋼板Pの移動方向Xと垂直な方向Zに沿って鋼板Pを距離変化量dだけ移動させた場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、鋼板Pの位置を固定して、移動方向Xと垂直な方向Zに沿って第1測定光及び第2測定光の出射位置を距離変化量dだけ移動させるようにしてもよい。
なお、別体である第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bをそれぞれ設け、第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、これとは別に設けた第2測定ヘッド5bから第2測定光を照射した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、1つの測定ヘッドを設け、第1光軸角度θに設定した測定ヘッドから第1測定光を鋼板Pに照射した後に、測定ヘッドの角度を変えて第2光軸角度θに設定した測定ヘッドから第2測定光を鋼板Pに照射してもよい。このように同じ測定ヘッドを用いて測定光の照射タイミングを変えて、第1測定光及び第2測定光を照射するようにしても、上述した実施形態と同様の処理を行える。よって、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bを1つの測定ヘッドが兼用してもよい。
また、上述した実施形態においては、時間に対して所定の周波数変化量で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部として、FSFレーザを適用したが、本発明はこれに限らず、時間に対して周波数が変調されたレーザ光を発振可能であれば、例えば、注入電流により周波数を変調可能な波長可変半導体レーザ等、種々のレーザ発振部を適用してもよい。
また、上述した実施形態においては、反射光及び参照光(例えば、第1反射光及び第1参照光)の周波数差に等しい周波数を有するビート信号を検出し、このビート周波数を用いて、鋼板Pまでの距離及び鋼板Pが移動する速度を測定するようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、特開2016−80409号公報に開示されているように、第1測定ヘッド及び第2測定ヘッドに反射源を設け、反射源で測定光を反射させて戻り光を生成し、反射光と参照光のビート信号の周波数と、戻り光と参照光のビート信号の周波数を測定し、両ビート周波数の差を上記ビート周波数の代わりに利用して、鋼板Pまでの距離及び鋼板Pが移動する速度を測定してもよい。
また、上述した第二の実施形態では、演算処理装置32は、距離を算出する要素として、距離算出部18と距離変化量算出部23を有しているが、両方が必要なわけではなく、距離算出部18を省略するようにすることも可能である。
次に、上記の式(3)及び式(4)について、θ=θ=θとして、速度V及び距離変化量dについて検討した。上記の式(3)及び式(4)について、θ=θ=θとすると、下記の式(5)及び(6)のように表すことができる。
V=(λ/4sinθ)・(−Δf1+Δf2) …(5)
d=(cosθ/2k)・(Δf1+Δf2) …(6)
この場合、速度V及び距離変化量dは、それぞれ周波数変化量の差及び和(平均)の定数倍で算出することができ、より単純な式で表すことができる。そのため、本発明の距離測定方法により速度V及び距離変化量dを算出する際は、θ=θ=θに設定すると評価し易いことが分かる。
実施例として用いたレーザ発振器は、FSFレーザ光の波長λが1550nmであり、周波数と距離の関係を示す定数kが約44MHz/mであった。θについては5度とした。また、ここでは、図5の第1周波数差算出部19a及び第2周波数差算出部19bには、検出範囲が40MHz以下、分解能が約1kHzの周波数検出器をそれぞれ設けた。
この場合、第1周波数差Δfを3MHz、第2周波数差Δfを2.5MHzとすると、上記の式(5)より速度Vは、−2.2m/sとなり、上記の式(6)より距離変化量dは62mmとなった。また、第1周波数差Δfを−1.6MHz、第2周波数差Δfを−1.5MHzにすると、速度Vは0.4m/sとなり、距離変化量dは−35mmとなった。以上より、鋼板Pの移動方向Xで、鋼板Pがどちらの向きに移動しているかについても判定可能であることが確認できた。
次に、図7に示すように、円柱状の被測定対象物Pを備え、被測定対象物Pの中心軸を回転軸として、被測定対象物Pを回転させる円盤回転装置を用意した。そして、本発明の効果を確認するために、この円盤回転装置と、本発明の速度測定装置31とを用いて、距離速度測定試験を実施した。なお、図7では、扇状の被測定対象物Pが示されているが、これは円柱状の被測定対象物Pのうち一部の断面部分だけを示したものである。
この場合、第1測定ヘッド25aと第2測定ヘッド25bを同じ基台(図示せず)に並べて固定し、被測定対象物Pの円周面に対して基台が垂直方向に移動できるようにした。これにより、基台を垂直方向に移動させることで、第1測定ヘッド25aと第2測定ヘッド25bを同時に垂直方向に移動させることができ、距離変化量dを調整可能とした。
第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bのそれぞれのレンズは、焦点距離が300mmのものを使用した。そのため、被測定対象物Pの円周面から約300mmの位置を、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの基準位置とした。そして、被測定対象物Pの回転速度を変えながら、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置から垂直方向に移動させて、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを数か所の位置に順番に変えてゆき、速度Vと距離変化量dの測定を実施した。
先ずは、測定前に実施した、定数k、第1光軸角度θ、第2光軸角度θの校正について説明する。定数kについては、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を垂直方向に順次変え、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bで検出した第1反射光又は第2反射光(反射光)の周波数の変化量を調べた。そして、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bの距離変化量dの変化量と、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bで検出した第1反射光又は第2反射光(反射光)の周波数の変化量とから、定数kを算出したところ、定数kは、43.14MHz/mと算出された。
次に、第1光軸角度θ及び第2光軸角度θを算出した。ここでは、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定し、被測定対象物Pの回転速度を変えて、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bでそれぞれ検出した第1反射光及び第2反射光の周波数の変化を調べた。
第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定したときの被測定対象物Pの回転速度の変化量(速度VD1)と、第1反射光の周波数変化量△f21とから、△f21=2VD1sinθ1/λの式を用いて第1光軸角度θを算出した。また、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定したときの被測定対象物Pの回転速度の変化量(速度VD1)と、第2反射光の周波数変化量△f22とから、△f22=2VD1sinθ2/λの式を用いて第2光軸角度θを算出した。なお、レーザ光の波長λは、上記同様、1550nmである。
その結果、第1光軸角度θは7.71度と算出され、第2光軸角度θは6.69度と算出された。ここで、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを設置する際、被測定対象物Pの中心から延びる鉛直方向(水平方向に対して垂直な方向)と、第1測定光の光軸ax1とがなす第1光軸角度θは、約5度に設定したはずであり、被測定対象物Pの中心から延びる鉛直方向と、第2測定光の光軸ax2とがなす第2光軸角度θも、約5度に設定したはずだった。
しかしながら、上記の算出結果から、第1光軸角度θは、5度に設定されておらず、実際には7.71度となっていると推測できる。また、第2光軸角度θについても、同様に、5度に設定されておらず、実際には6.69度となっていると推測できる。取り付け精度として、第1測定光の光軸ax1及び第2測定光の光軸ax2が、上記で求めたように7.71度程度、6.69度程度、傾いてしまっている可能性は十分考えられる。
次に、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを、被測定対象物Pから鉛直方向に沿って移動させた距離変化量の実測値と、上記の式(4)から算出した距離測定値(距離変化量d)と、について比較する検証試験を行った。
この検証試験では、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを鉛直方向に移動し、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bに対する被測定対象物Pの回転位置を変え、それぞれの位置から第1周波数差△f及び第2周波数差△fを算出した。
具体的には、被測定対象物Pを基準位置で静止させて、第1反射光及び第2反射光の1S間(1000点)の周波数の平均値を算出した。また、被測定対象物Pを所定の速度Vで回転させつつ、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを鉛直方向に移動した。そして、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを数点の位置で固定し、各位置毎に、第1反射光及び第2反射光の1S間(1000点)の周波数の平均値をそれぞれ算出した。
そして、被測定対象物Pが基準位置で静止しているときと、回転している被測定対象物Pに対して第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を変えたときとの、第1反射光の周波数差(第1周波数差△f)、第2反射光の周波数差(第2周波数差△f)を、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置毎にそれぞれ算出した。
そして、以上のようにして得た、定数k、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、位置毎に得た第1周波数差△f、位置毎に得た第2周波数差△fを用いて、上記の式(4)から距離変化量dをそれぞれ算出した。また、速度測定装置31とは別にレーザ距離計を用意し、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの基準位置からの距離変化量を実測値として測定した。
図8Aはこれら結果をまとめたものである。図8Aの縦軸は、上記の式(4)から算出した距離測定値(距離変化量d)を示す。図8Aの縦軸は、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定し、被測定対象物Pを静止(速度V=0m/s)させたときに、上記の式(4)から算出した距離測定値(距離変化量d)を基準としている。
図8Aの横軸は、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの距離変化量をFSFレーザ距離計で測定した実測値を示している。図8Aは、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bが被測定対象物Pから遠ざかる方向を正としている。図8Aに示すように、縦軸と横軸の結果は概ね一致した。
次に、詳細を確認するため、図8Aの縦軸の値から、図8Aの横軸の値を差し引いた結果(距離測定値誤差)を調べたところ、図8Bに示すような結果が得られた。図8Bから、距離測定値誤差の平均値は、−0.087mmとなり、ばらつきは、1σ=0.19mmとなった。このような結果から、FSFレーザ距離計の精度と比較すると、本発明の速度測定装置31から算出した距離変化量dの測定結果はやや低下するが、速度の違いによるばらつきは最大でも1σ=0.037mm程度となり、FSFレーザ距離計と同等の精度が得られることが確認できた。
次に、被測定対象物Pが回転する速度の実測値と、上記の式(3)から算出した速度Vと、について比較する検証試験を行った。ここでは、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定して、基準位置で被測定対象物Pが回転する速度を変えた。そして、上述のようにして得た、レーザ光の波長λ、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、速度毎に得た第1周波数差△f、速度毎に得た第2周波数差△fを用いて、上記の式(3)から速度Vをそれぞれ算出した。
また、各速度毎の被測定対象物Pの回転数と被測定対象物Pの径とからそれぞれ速度を算出し、これを実測値として得た。図9Aはこれら結果をまとめたものである。図9Aの横軸は、被測定対象物Pの回転速度の実測値であり、被測定対象物Pの回転数と被測定対象物Pの径とから算出した速度を示している。図9Aの横軸は、図7の時計回りの方向を正としている。一方、図9Aの縦軸は、上記の式(3)から算出した速度Vである。図9Aに示すように、縦軸と横軸の結果は概ね一致した。
次に、詳細を確認するため、図9Aの縦軸の値から、図9Aの横軸の値を差し引き、さらに横軸の値で除した結果を速度測定値誤差として調べたところ、図9Bに示すような結果が得られた。図9Bから速度測定値誤差は±0.5%の誤差内であった。このように、基準位置で単に被測定対象物Pの速度Vを変えるだけであっても、上記の式(3)より、速度Vを精度よく得られることが確認できた。
次に、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置から−50mm、−100mm、50mm、100mmだけ移動し、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を変えた。そして、各位置毎にそれぞれ被測定対象物Pの回転速度を変えて、各位置毎に、図9Bと同様に速度測定値誤差を調べたところ、図9C、図10A、図10B、図10Cに示すような結果が得られた。
図9Cは、基準位置からの距離変化量を−50mmとしたときの結果を示し、図10Aは、基準位置からの距離変化量を−100mmとしたときの結果を示す。また、図10Bは、基準位置からの距離変化量を50mmとしたときの結果を示し、図10Cは、基準位置からの距離変化量を100mmとしたときの結果を示す。図9C、図10A、図10B、図10Cから、±100mmの距離変化量範囲では、多くの値が±0.5%の誤差内であった。よって、実測値と比較すると、広い範囲で高精度に速度Vの測定が可能であることが確認できた。
(4)<第三の実施形態>
(4−1)<第三の実施形態による速度測定装置について>
次に、第三の実施形態として、図11に示すように、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cを備えた速度測定装置51について以下説明する。第三の実施形態の速度測定装置51は、始めに、鋼板Pの測定面Sの面方向において、測定面Sに沿った、ある任意の一方向を基準方向と定め、この基準方向に延びる線を基準線として設定する。
速度測定装置51は、基準線を設定した任意の基準方向を第1移動方向Xと規定し、測定面Sの面方向において、第1移動方向Xに垂直な方向を第2移動方向Yと規定する。速度測定装置51は、第1移動方向Xにおける、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cに対する鋼板Pの相対的な速度Vを測定するとともに、第2移動方向Yにおける、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cに対する鋼板Pの相対的な速度Vを測定する。
速度測定装置51は、速度Vの第1移動方向X成分である速度Vと、速度Vの第2移動方向Y成分である速度Vとをベクトル合成し、鋼板Pの速度V及び移動方向を示す、合成ベクトルを求める。第三の実施形態の速度測定装置51は、当該合成ベクトルの大きさから鋼板Pの速度Vを測定することができ、当該合成ベクトルの向きから鋼板Pの移動方向を測定することができる。なお、鋼板Pの速度Vの大きさは、速度Vの値と速度Vの値との2乗和平方根(すなわち、√{(V+(V})であり、鋼板Pの移動方向は、arctan(Vy/Vx)で規定される角度だけ、基準線からずれた方向である。
ここで、速度測定装置51は、時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振器2を備えており、レーザ光を分岐器3によって参照光と測定光とに分け、さらに測定光の一部を、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cにそれぞれ伝送する。
第三の実施形態の速度測定装置51に設けられた第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、上述した第一の実施形態と同様の構成を有し、第1移動方向X及び第2移動方向Yに所定の速度Vで移動している鋼板Pの測定面S、或いは、静止している鋼板Pの測定面Sに向けて第1測定光及び第2測定光を照射する。
また、第3測定ヘッド5cは、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bと同様の構成を有しており、レーザ発振器2からファイバ光路を介して伝送された、測定光の一部である第3測定光を、光ファイバ光路の端部から出射して集光レンズにより集光した後、鋼板Pの測定面Sに向けて照射する。第3測定ヘッド5cは、所定の移動方向に向けて所定の速度Vで移動している鋼板Pの測定面S、或いは、静止している鋼板Pの測定面Sに向けて第3測定光を照射する。
第3測定光が鋼板Pの測定面Sで反射することで得られた第3反射光は、第1反射光や第2反射光と同様に、結合器6に導かれるとともに、分岐器3でレーザ光から分岐された第3参照光も、当該結合器6に導かれる。結合器6は、第3参照光と第3反射光とを、光ファイバを通じてそれぞれ第3光検出部7cに入射させる。なお、結合器6は、第1参照光と第1反射光をそれぞれ第1光検出部7aに入射させるとともに、第2参照光と第2反射光をそれぞれ第2光検出部7bに入射させる。
第3光検出部7cに同時に入射する第3反射光と第3参照光とは、それぞれのレーザ光がレーザ発振器2を出射してから第3光検出部7cに入射するまでに通った光路長の差に対応する周波数差を有するので、第3反射光と第3参照光との光干渉によりビート信号が発生する。第3光検出部7cは、第1光検出部7a及び第2光検出部7bと同様に、このビート信号を検出し、これを後述する演算処理装置33に送出する。なお、第1光検出部7a及び第2光検出部7bは、上述した第一の実施形態と同様であり、説明が重複するため、ここではその説明は省略する。
第三の実施形態では、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cに傾きを持たせており、演算処理装置33は、後述する速度測定方法に従って演算処理を行うことにより、第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数を用いて、鋼板Pが所定の移動方向に移動している際の速度Vを測定することができる。
(4―2)<第三の実施形態による速度測定方法について>
次に、第三の実施形態における速度測定方法について、図11及び図12を用いて説明する。この速度測定方法では、レーザ光を用いて、第1移動方向Xの速度Vを測定するとともに、測定面S(すなわち、XY平面)において、第1移動方向Xと垂直な第2移動方向Yの速度Vも測定し、これら速度V及び速度Vを合成することで、鋼板Pの移動方向とその速度Vを測定できるものである。速度測定方法では、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cの3つを用い、第1測定ヘッド5aから鋼板Pの測定面Sに第1測定光を照射し、第2測定ヘッド5bから鋼板Pの測定面Sに第2測定光を照射し、第3測定ヘッド5cから鋼板Pの測定面Sに第3測定光を照射する。
第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cは、鋼板Pに対して異なる位置に配置されており、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸ax1の傾き(後述する第1光軸角度θ)と、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸ax2の傾き(後述する第2光軸角度θ)と、第3測定ヘッド5cから照射される第3測定光の光軸ax3の傾き(後述する第3光軸角度θ)とがそれぞれ所定の角度に設定されている。なお、この第1光軸角度θと第2光軸角度θと第3光軸角度θは同じ角度でもよく、異なる角度であってもよい。
ここで、第三の実施形態において、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸ax1の傾き(第1光軸角度θ)とは、第1移動方向X及び第2移動方向Yに垂直な測定面Sの面法線の方向Zと、第1測定光の光軸ax1と、がなす角度である。また、第三の実施形態において、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸ax2の傾き(第2光軸角度θ)とは、第1移動方向X及び第2移動方向Yに垂直な測定面Sの面法線の方向Zと、第2測定光の光軸ax2と、がなす角度である。さらに、第3測定ヘッド5cから照射される第3測定光の光軸ax3の傾き(第3光軸角度θ)とは、第1移動方向X及び第2移動方向Yに垂直な測定面Sの面法線の方向Zと、第3測定光の光軸ax3と、がなす角度である。
図11では、鋼板Pの第1移動方向X及び第2移動方向Yに垂直な面法線に沿った方向Zにおいて、所定位置にある鋼板Pと、基準位置にある鋼板P1との距離の差を距離変化量dとしている。なお、図11では、基準位置にある鋼板P1の一例として、移動状態の鋼板Pに比べて、第1移動方向X及び第2移動方向Yと垂直な面法線に沿った方向Zに沿って、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cに近づく方向に、距離変化量dだけ移動させた鋼板P1を示している。
図12は、鋼板Pの上方から(即ち、方向Zに沿って)第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cを見て、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cの位置関係を示した概略図である。この場合、鋼板Pの第1移動方向Xと第2移動方向Yとを含む移動平面である測定面Sへの第1測定ヘッド5aの光軸ax1の射影ax1´と、鋼板Pの測定面Sの面方向で定めた基準方向(ここでは、第1移動方向X)に延びる基準線aΦとが、測定面S上でなす角度を第1射影角度Φとする。また、測定面Sへの第2測定ヘッド5bの光軸ax2の射影ax2´と、同じく基準線aΦとが、測定面S上でなす角度を第2射影角度Φとする。さらに、測定面Sへの第3測定ヘッド5cの光軸ax3の射影ax3´と、同じく基準線aΦとが、測定面S上でなす角度を第3射影角度Φとする。
なお、本実施形態では、測定面Sの面方向に沿って延びる基準線aΦとして第1移動方向Xを適用し、射影ax1´と第1移動方向Xとが測定面S上でなす角度を第1射影角度Φとし、射影ax2´と第1移動方向Xとが測定面S上でなす角度を第2射影角度Φとし、射影ax3´と第1移動方向Xとが測定面S上でなす角度を第3射影角度Φとしたが、本発明はこうした場合に限らない。例えば、測定面Sの面方向に沿って延びる基準線aΦとして、第2移動方向Yや、その他、測定面Sの面方向において任意の方向を基準方向とし、この基準方向に延びる基準線を適用して、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φを規定してもよい。また、図12に示すように、基準線aΦから反時計回りで規定した第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φである必要はなく、基準線aΦから時計回りで規定した第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φであってもよい。
この場合、基準位置で静止状態にある鋼板P1の測定面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数(第1基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板Pの測定面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数との周波数の差(第1周波数差)を、△fとすると、第三の実施形態の第1周波数差△fは、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、次の式(7)で表すことができる。
Δf1=k(d/cosθ1)+((2VX cosΦ1 sinθ1)/λ)+((2VY sinΦ1 sinθ1)/λ)) …(7)
θは、上述した第1光軸角度を示し、Φは、上述した第1射影角度を示し、λはレーザの波長を示す。kは、例えば、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cに対する鋼板Pの距離の変化と、レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数である。
上記の式(7)のうち、第一項は、第1測定ヘッド5aから鋼板Pまでの距離が変化することによる、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。一方、上記の式(7)の第二項は、鋼板Pが所定の移動方向に移動する際に、基準線を定めた第1移動方向Xでのドップラーシフトの影響による、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項であり、第三項は、鋼板Pが所定の移動方向に移動する際に、測定面Sにおいて第1移動方向Xと垂直な第2移動方向Yでのドップラーシフトの影響による、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。
また、基準位置で静止状態にある鋼板P1の測定面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数(第2基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板Pの測定面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数との周波数の差(第2周波数差)を、△fとすると、第三の実施形態の第2周波数差△fは、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、次の式(8)で表すことができる。
Δf2=k(d/cosθ2)+((2VX cosΦ2 sinθ2)/λ)+((2VY sinΦ2 sinθ2)/λ)) …(8)
さらに、基準位置で静止状態にある鋼板P1の測定面Sから反射してきた第3反射光と第3参照光とから得られた第3ビート周波数(第3基準周波数)と、所定位置で移動状態にある鋼板Pの測定面Sから反射してきた第3反射光と第3参照光とから得られた第3ビート周波数との周波数の差(第3周波数差)を、△fとすると、第三の実施形態の第3周波数差△fは、距離変化量dとドップラーシフトの影響を受けることから、次の式(9)で表すことができる。
Δf3=k(d/cosθ3)+((2VX cosΦ3 sinθ3)/λ)+((2VY sinΦ3 sinθ3)/λ)) …(9)
なお、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bと第3測定ヘッド5cは同一構成のものを用いていることから、式(8)及び式(9)の定数kについては、第1測定ヘッド5aのときの式(7)と同じとなる。
また、第三の実施形態においても、上述した第一の実施形態と同様に、第1周波数差△f、第2周波数差△f及び第3周波数差△fの算出については、基準位置で鋼板Pが相対的に静止しているときに検出した第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数を用いる必要はない。例えば、基準位置で鋼板Pが基準速度で移動しているときに検出した第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数を用い、所定位置で鋼板Pが基準速度以外で移動しているときに検出した第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数との差から第1周波数差△f、第2周波数差△f及び第3周波数差△fをそれぞれ算出してもよい。
このような上記の式(7)、式(8)及び式(9)から、鋼板Pが所定の移動方向に移動するときに第1移動方向Xに生じる速度Vを算出することができる、下記の式(10)を導くことができる。
VX=(A1・(D2・C3−C2・D3)+C1・(A2・D3−D2・A3)+D1・(C2・A3−A2・C3))/(A1・(C2・B3−B2・C3)
+B1・(A2・C3−C2・A3)+C1・(B2・A3−A2・B3)) …(10)
上記の式(10)内のAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2,3)は下記の式で表される。
Ai=k/cosθi (i=1,2,3)
Bi=(2cosφi sinθi)/λ (i=1,2,3)
Ci=(2sinφi sinθi)/λ (i=1,2,3)
Di=−Δfi (i=1,2,3)
ここで、レーザ光の波長λについては、分光器等で予め測定することで取得可能である。上記の式(10)における定数kについても、上述した第一の実施形態と同様に、例えば、距離変化量dを設けて、異なる位置でそれぞれ鋼板Pを静止させ、各位置での鋼板Pからの第1反射光(又は、第2反射光若しくは第3反射光)の周波数をそれぞれ測定し、このときの第1反射光(又は第2反射光若しくは第3反射光)の周波数変化量と距離変化量dとから、k=△f11/dの式を基に算出することができる。また、k=2r/c(rは周波数変調速度、cは空気中の光の速度)の式からkを求めることも可能である。
上記の式(10)のうち、第1光軸角度θと第1射影角度Φは、同じ位置で、鋼板Pが移動する速度Vを変え、鋼板Pから反射した第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第1ビート周波数の変化量と、鋼板Pの速度Vを変えたときの第1移動方向Xでの速度Vの差と、第2移動方向Yでの速度Vの差から、それぞれ算出することができる。
具体的には、上記の式(7)の第二項及び第三項を利用して第1光軸角度θと第1射影角度Φを算出できる。例えば、始めに、同じ位置で鋼板Pを、基準方向とした第1移動方向Xに沿って複数の速度VX1,VX2で移動させ、これら速度VX1,VX2のときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数の差を、周波数差△fX31として算出する。また、速度VX1,VX2の速度差を、校正用の速度VXD1として算出する。
これにより、レーザ光の波長λと、校正用の速度VXD1と、周波数差△fX31とを用い、上記の式(7)の第二項から下記の式(12)を導くことができる。
△fX31=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ …(12)
次に、同じ位置で鋼板Pを、測定面Sの面方向において第1移動方向Xと垂直な第2移動方向Yに沿って複数の速度VY1,VY2で移動させ、これら速度VY1,VY2のときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数の差を、周波数差△fY31として算出する。また、速度VY1,VY2の速度差を、校正用の速度VYD1として算出する。
これにより、レーザ光の波長λと、校正用の速度VYD1と、周波数差△fY31とを用い、上記の式(7)の第三項から下記の式(13)を導くことができる。
△fY31=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ …(13)
よって、上記の式(12)及び式(13)から、第1光軸角度θと第1射影角度Φをそれぞれ算出することができる。
第2光軸角度θ及び第2射影角度Φについても、第1光軸角度θ及び第1射影角度Φと同様に、同じ位置で移動する鋼板Pの第1移動方向Xでの速度Vと、第2移動方向Yでの速度Vとを変え、鋼板Pから反射した第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第2ビート周波数の変化量と、速度Vの差と、速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。
具体的には、上記の式(8)の第二項及び第三項を利用して第2光軸角度θ及び第2射影角度Φを算出できる。すなわち、同じ位置で鋼板Pを第1移動方向Xに沿って複数の速度VX1,VX2で移動させ、これら速度VX1,VX2のときにそれぞれ検出した各第2ビート周波数の差を、周波数差△fX41として算出する。
そして、速度VX1,VX2の速度差である校正用の速度VXD1と、レーザ光の波長λと、周波数差△fX41とを用い、上記の式(8)の第二項から下記の式(14)を導くことができる。
△fX41=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ …(14)
同様にして、同じ位置で鋼板Pを第2移動方向Yに沿って複数の速度VY1,VY2で移動させ、これら速度VY1,VY2のときにそれぞれ検出した各第2ビート周波数の差を、周波数差△fY41として算出し、速度VY1,VY2の速度差である校正用の速度VYD1と、レーザ光の波長λと、周波数差△fY41とを用い、上記の式(8)の第三項から下記の式(15)を導くことができる。
△fY41=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ …(15)
よって、上記の式(14)及び式(15)から、第2光軸角度θと第2射影角度Φをそれぞれ算出することができる。
さらに、第3光軸角度θ及び第3射影角度Φについても、第1光軸角度θ及び第1射影角度Φと同様に、同じ位置で移動する鋼板Pの第1移動方向Xでの速度Vと、第2移動方向Yでの速度Vとを変え、鋼板Pから反射した第3反射光と第3参照光とから得られた第3ビート周波数を、各速度でそれぞれ測定し、このときの第3ビート周波数の変化量と、速度Vの差と、速度Vの差とから、それぞれ算出することができる。
具体的には、上記の式(9)の第二項及び第三項を利用して第3光軸角度θ及び第3射影角度Φを算出できる。すなわち、同じ位置で鋼板Pを第1移動方向Xに沿って複数の速度VX1,VX2で移動させ、これら速度VX1,VX2のときにそれぞれ検出した各第3ビート周波数の差を、周波数差△fX51として算出する。
そして、速度VX1,VX2の速度差である校正用の速度VXD1と、レーザ光の波長λと、周波数差△fX51とを用い、上記の式(9)の第二項から下記の式(16)を導くことができる。
△fX51=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ …(16)
同様にして、同じ位置で鋼板Pを第2移動方向Yに沿って複数の速度VY1,VY2で移動させ、これら速度VY1,VY2のときにそれぞれ検出した各第3ビート周波数の差を、周波数差△fY51として算出し、速度VY1,VY2の速度差である校正用の速度VYD1と、レーザ光の波長λと、周波数差△fY51とを用い、上記の式(9)の第三項から下記の式(17)を導くことができる。
△fY51=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ …(17)
よって、上記の式(16)及び式(17)から、第3光軸角度θと第3射影角度Φをそれぞれ算出することができる。
以上より、上記の式(10)のうち、レーザ光の波長λと、定数kと、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、第3光軸角度θと、第1射影角度Φと、第2射影角度Φと、第3射影角度Φとについては事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f、第2周波数差△f及び第3周波数差△fを測定することで、上記の式(10)から、移動する鋼板Pの第1移動方向Xにおける速度Vを算出することができる。
なお、速度測定装置51を構築した際に、正確に第1光軸角度θと第2光軸角度θと第3光軸角度θと第1射影角度Φと第2射影角度Φと第3射影角度Φとが分かっている場合や、別途の測定器による正確な測定によりこれらが分かっている場合には、その値を用いて、直接、上記式(10)から、速度Vを算出することができる。
さらに、これに加えて、上記の式(7)、式(8)及び式(9)から、鋼板Pが所定の移動方向に移動するときに第2移動方向Yに生じる速度Vを算出することができる、下記の式(18)を導くことができる。
VY=−(A1・(D2・B3−B2・D3) +B1・(A2・D3−D2・A3)+D1・(B2・A3−A2・B3))/(A1・(C2・B3−B2・C3)
+B1・(A2・C3−C2・A3)+C1・(B2・A3−A2・B3)) …(18)
上記の式(18)内のAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2,3)は、上記の式(10)で用いるAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2,3)と同じである。
上記の式(18)のうち、レーザ光の波長λと、定数kと、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、第3光軸角度θと、第1射影角度Φと、第2射影角度Φと、第3射影角度Φとについては事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f、第2周波数差△f及び第3周波数差△fを測定することで、上記の式(18)から、鋼板Pの第2移動方向Yにおける速度Vを算出することができる。
(4−3)<演算処理装置について>
次に、上述した第三の実施形態による速度測定方法を実行する演算処理装置33について以下説明する。図13に示すように、演算処理装置33は、距離を求めることなく、上記の式(10)を基に求めた、鋼板Pの第1移動方向Xでの速度Vと、上記の式(18)を基に求めた、鋼板Pの第2移動方向Yでの速度Vと、から鋼板Pの移動方向とその速度Vとをそれぞれ測定できるものである。図13は、演算処理装置33の回路構成を示したブロック図であり、図5の演算処理装置11と同一構成については同一符号を付して示す。
図13に示すように、演算処理装置33は、周波数解析部17、距離算出部18、算出部34、定数取得部14及び波長取得部16を備えている。ここでは、上述した第一の実施形態と異なる点について主に説明し、第一の実施形態と重複する部分については、その説明は省略する。
第三の実施形態では第3測定ヘッド5cを設けたことから、それに伴い、周波数解析部17には、第1周波数解析部17a及び第2周波数解析部17bに加えて、第3周波数解析部17cが設けられている。第3周波数解析部17cは、第3反射光と第3参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第3光検出部7c(図11)から受け、当該ビート信号の周波数(第3ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を、距離算出部18と、基準周波数取得部35と、周波数差算出部19と、角度取得部36とに送出する。
算出部34は、基準周波数取得部35、周波数差算出部19、角度取得部36及び速度算出部38を備えている。
基準周波数取得部35に設けられた第3基準周波数取得部18cは、上記の式(10)及び式(18)にて用いる第3周波数差△fを求める際に使用する第3基準周波数を取得するものである。第3基準周波数取得部18cは、第3周波数解析部17cから受け取った、静止状態かつ基準位置における第3ビート周波数、即ち、第3基準周波数を記憶している。第3基準周波数取得部18cは、第3基準周波数を第3周波数差算出部19cに送出する。
第3周波数差算出部19cは、上記の式(10)及び式(18)にて用いる第3周波数差△fの他、必要に応じて第3光軸角度θ及び第3射影角度Φを求める際に用いる第3周波数差を算出するものである。第3周波数差算出部19cは、第3周波数解析部17cを介して第3光検出部7c(図11)と接続されており、第3光検出部7cで検出された、移動状態にある鋼板Pに係る第3ビート周波数を示す信号を受ける。また、第3周波数差算出部19cは、第3基準周波数取得部18cと接続されており、第3基準周波数を示す信号を受ける。
これにより、第3周波数差算出部19cは、移動状態の鋼板Pから検出した第3ビート周波数と、基準位置で静止している鋼板Pから検出した第3基準周波数との差を、第3周波数差△fとして算出する。第3周波数差算出部19cは、算出結果である第3周波数差△fを示す情報を速度算出部38に送出する。
角度取得部36は、光軸角度取得部20と射影角度取得部37とを有している。光軸角度取得部20の第3光軸角度取得部20cは、上記の式(10)及び式(18)にて用いる第3光軸角度θを取得するものである。第3光軸角度取得部20cは、演算処理により第3光軸角度θを算出してもよく、また、計測手段により第3光軸角度θを測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第3光軸角度θを予め単に記憶しているものでもよい。第3光軸角度取得部20cは、第3光軸角度θを示す情報を速度算出部38に送出する。
射影角度取得部37は、第1射影角度取得部37a、第2射影角度取得部37b及び第3射影角度取得部37cを備えている。第1射影角度取得部37aは、上記の式(10)及び式(18)にて用いる第1射影角度Φを取得するものであり、第2射影角度取得部37bは、上記の式(10)及び式(18)にて用いる第2射影角度Φを取得するものであり、第3射影角度取得部37cは、上記の式(10)及び式(18)にて用いる第3射影角度Φを取得するものである。
第1射影角度取得部37a、第2射影角度取得部37b及び第3射影角度取得部37cは、演算処理により第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φをそれぞれ算出してもよく、また、計測手段により第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φを測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φを予め単に記憶しているものでもよい。第1射影角度取得部37a、第2射影角度取得部37b及び第3射影角度取得部37cは、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ及び第3射影角度Φを示す情報を速度算出部38に送出する。
ここで、例えば、第1光軸角度θ及び第1射影角度Φを実際の試験を行うことにより算出する場合は、同じ位置で鋼板Pを第1移動方向Xに沿って複数の速度VX1,VX2で移動させ、これら速度VX1,VX2のときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数を、第1周波数解析部17aから第1周波数差算出部19aへ送出する。また、同じ位置で鋼板Pを第2移動方向Yに沿って複数の速度VY1,VY2で移動させ、これら速度VY1,VY2のときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数を、第1周波数解析部17aから第1周波数差算出部19aへ送出する。
例えば、第1周波数差算出部19aは、第1移動方向Xでの速度VX1,VX2における第1ビート周波数の周波数の差を、周波数差△fX31として算出し、これを第1光軸角度取得部20a及び第1射影角度取得部37aに送出する。第1光軸角度取得部20aは、この周波数差△fX31と、速度VX1,VX2の速度差を示す校正用の速度VXD1と、波長λと、を取得し、上記の式(7)の第二項(すなわち、△fX31=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)を導く。
また、第1周波数差算出部19aは、第2移動方向Yでの速度VY1,VY2における第1ビート周波数の周波数の差を、周波数差△fY31として算出し、これを第1光軸角度取得部20a及び第1射影角度取得部37aに送出する。第1光軸角度取得部20aは、この周波数差△fY31と、速度VY1,VY2の速度差を示す校正用の速度VYD1と、波長λと、を取得し、上記の式(7)の第三項(すなわち、△fY31=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)を導く。
これにより、第1光軸角度取得部20aは、式(7)の第二項(△fX31=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)と、上記の式(7)の第三項(△fY31=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)とから、第1光軸角度θを算出する。具体的には上記の2式からΦを消去し、√{(△fX31/VXD1+(△fY31/VYD1}=2・sinθ/λから、第1光軸角度θを算出する。第1射影角度Φが既知であれば、上記の2式のいずれか、又は、両方を用いて算出する。
また、第1射影角度取得部37aでも、同様に、上記の式(7)の第二項(△fX31=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)と、上記の式(7)の第三項(△fY31=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)とから、第1射影角度Φを算出する。具体的には上記の2式からθを消去し、(△fY31/△fX31)=(VYD1/VXD1)・tanφから、第1射影角度φを算出する。第1光軸角度θが既知であれば、上記の2式のいずれか、又は、両方を用いて算出する。
第2光軸角度θ及び第2射影角度Φについても実際の試験を行うことにより算出する場合は、上記と同様に、第2周波数差算出部19bで算出した速度VX1,VX2における第2ビート周波数の周波数差△fX41と、速度VX1,VX2の速度差を示す校正用の速度VXD1と、波長λと、を取得し、第2光軸角度取得部20bによって、上記の式(8)の第二項(すなわち、△fX41=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)を導く。また、第2周波数差算出部19bで算出した速度VY1,VY2における第2ビート周波数の周波数差△fY41と、速度VY1,VY2の速度差を示す校正用の速度VYD1と、波長λと、を取得し、第2光軸角度取得部20bによって、上記の式(8)の第三項(すなわち、△fY41=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)を導く。
これにより、第2光軸角度取得部20bは、式(8)の第二項(△fX41=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)と、上記の式(8)の第三項(△fY41=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)とから、第2光軸角度θを算出する。
また、第2射影角度取得部37bは、このようにして得られた、上記の式(8)の第二項(△fX41=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)と、上記の式(8)の第三項(△fY41=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)とから、第2射影角度Φを算出する。
さらに、第3光軸角度θ及び第3射影角度Φについても実際の試験を行うことにより算出する場合は、上記と同様に、第3周波数差算出部19cで算出した速度VX1,VX2における第3ビート周波数の周波数差△fX51と、速度VX1,VX2の速度差を示す校正用の速度VXD1と、波長λと、を取得し、第3光軸角度取得部20cによって、上記の式(9)の第二項(すなわち、△fX51=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)を導く。また、第3周波数差算出部19cで算出した速度VY1,VY2における第3ビート周波数の周波数差△fY51と、速度VY1,VY2の速度差を示す校正用の速度VYD1と、波長λと、を取得し、第3光軸角度取得部20cによって、上記の式(9)の第三項(すなわち、△fY51=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)を導く。
これにより、第3光軸角度取得部20cは、式(9)の第二項(△fX51=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)と、上記の式(9)の第三項(△fY51=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)とから、第3光軸角度θを算出する。
また、第3射影角度取得部37cは、このようにして得られた、上記の式(9)の第二項(△fX51=2VXD1・cosΦ・sinθ/λ)と、上記の式(9)の第三項(△fY51=2VYD1・sinΦ・sinθ/λ)とから、第3射影角度Φを算出する。
定数取得部14は、上記の式(10)及び式(18)にて用いる定数kを取得するものである。定数取得部14は、上述した第二の実施形態と同様に、実際の試験を行うことにより定数kを算出してもよく、また、定数kを予め単に記憶しているだけであってもよい。定数取得部14は、定数kを示す情報を速度算出部38に送出する。
ここで、速度算出部38は、第1速度算出部38aと第2速度算出部38bと合成速度算出部38cとを備えている。第1速度算出部38aは、取得した第1周波数差△f、第2周波数差△f、第3周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、第3光軸角度θ、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ、第3射影角度Φ、定数k及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(10)に基づいて演算処理を行い、第1移動方向Xにおける速度Vを算出する。
また、第2速度算出部38bは、取得した第1周波数差△f、第2周波数差△f、第3周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、第3光軸角度θ、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ、第3射影角度Φ、定数k及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(18)に基づいて演算処理を行い、第2移動方向Yにおける速度Vを算出する。
合成速度算出部38cは、第1速度算出部38aで算出した速度Vと、第2速度算出部38bで算出した速度Vと、から合成ベクトルを求める。すなわち、合成速度算出部38cは、第1移動方向Xの速度Vと第2移動方向Yの速度Vとの2乗和平方根(√{(V+(V})を算出し、鋼板Pの速度Vを求め、更に、arctan(Vy/Vx)を算出し、基準方向(ここでは移動方向X)からarctan(Vy/Vx)だけずれた方向を、鋼板Pの移動方向として求める。
このように、第三の実施形態に係る速度測定装置51では、速度測定の際に一般に必要となる距離の値を測定することなく、レーザ光を利用して鋼板Pの移動方向と、この移動方向における速度Vとを測定することができる。
(5)<第四の実施形態>
次に本発明の第四の実施形態を詳述する。以下の説明において、第三の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(5−1)<第四の実施形態による速度測定装置について>
第四の実施形態においては、図11に示すように、上述した第三の実施形態と同様に、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cが用いられる。第四の実施形態による速度測定装置52は、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b及び第3測定ヘッド5cに対する鋼板Pの相対的な移動方向とその速度Vとを測定することに加えて、さらに、基準位置から鋼板Pまでの距離の差分(距離変化量d)についても、一連の処理の中で同時的に測定できる点で、上述した第三の実施形態とは異なっている。
第四の実施形態における速度測定装置は、上述した第三の実施形態とは演算処理装置41の構成が相違しており、その他の点については第三の実施形態と同様に構成されている。よって、ここでは、主に、第三の実施形態とは異なる演算処理装置41に着目して以下説明する。
(5―2)<第四の実施形態による速度測定方法について>
ここで、上述した第三の実施形態にて説明した式(7)、式(8)及び式(9)から、鋼板Pの距離変化量dを算出すると、下記の式(19)で表すことができる。
d=−(B1・(D2・C3−C2・D3)+C1・(B2・D3−D2・B3)+D1・(C2・B3−B2・C3))/(A1・(C2・B3−B2・C3)
+B1・(A2・C3−C2・A3)+C1・(B2・A3−A2・B3)) …(19)
上記の式(19)内のAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2,3)は、上述した第三の実施形態における式(10)で用いるAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2,3)と同じである。
上記の式(19)のうち、レーザ光の波長λと、定数kと、第1光軸角度θと、第2光軸角度θと、第3光軸角度θと、第1射影角度Φと、第2射影角度Φと、第3射影角度Φとについては、第三の実施形態で説明したように、事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f、第2周波数差△f及び第3周波数差△fを測定することで、上記の式(19)から、距離変化量dを算出することができる。
(5−3)<演算処理装置について>
次に、図14を用いて、第四の実施形態による演算処理装置41について以下説明する。この演算処理装置41は、上記の式(10)及び式(18)を基に、鋼板Pが所定の移動方向に移動する際の第1移動方向X及び第2移動方向Yでの速度V,Vをそれぞれ測定し、これらベクトル成分である速度V,Vから鋼板Pの移動方向と速度Vを測定できる。これに加えて、演算処理装置41は、上記の式(19)を基に、鋼板Pの基準位置からの距離変化量dについても、鋼板Pの移動方向と速度Vを測定する一連の処理の中で同時的に測定できるものである。図14は、この演算処理装置41の回路構成を示したブロック図である。
図14に示すように、演算処理装置41は、算出部42に距離速度算出部43が設けられている点が、第三の実施形態と相違している。なお、その他の構成については、第三の実施形態と同様であるため、ここでは、距離速度算出部43に着目して以下説明し、第三の実施形態と同じ構成については説明を省略する。この場合、距離速度算出部43は、第1速度算出部38aと、第2速度算出部38bと、合成速度算出部38cと、距離変化量算出部43aとを備えている。
第1速度算出部38aは、上述した第三の実施形態と同様に、第1周波数差△f、第2周波数差△f、第3周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、第3光軸角度θ、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ、第3射影角度Φ、定数k及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(10)に基づいて演算処理を行い、第1移動方向Xにおける速度Vを算出する。
第2速度算出部38bは、第1周波数差△f、第2周波数差△f、第3周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、第3光軸角度θ、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ、第3射影角度Φ、定数k及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(18)に基づいて演算処理を行い、第2移動方向Yにおける速度Vを算出する。
合成速度算出部38cは、第1速度算出部38aで算出した速度Vと、第2速度算出部38bで算出した速度Vと、から合成ベクトルを求める。すなわち、合成速度算出部38cは、第1移動方向Xの速度Vと第2移動方向Yの速度Vとの2乗和平方根(√{(V+(V})を算出し、鋼板Pの速度Vを求め、更に、arctan(Vy/Vx)を算出し、基準方向(ここでは移動方向X)からarctan(Vy/Vx)だけずれた方向を、鋼板Pの移動方向として求める。
これに加えて、距離変化量算出部43aは、第1周波数差△f、第2周波数差△f、第3周波数差△f、第1光軸角度θ、第2光軸角度θ、第3光軸角度θ、第1射影角度Φ、第2射影角度Φ、第3射影角度Φ、定数k及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(19)に基づいて演算処理を行い、距離変化量dを算出する。このように、第四の実施形態による速度測定装置では、合成速度算出部38cによって、鋼板Pの移動方向と速度Vをそれぞれ測定できる他、距離変化量算出部43aによって、鋼板Pの基準位置からの距離変化量dも、一連の処理の中で同時的に測定することができる。
なお、この距離変化量dは、基準位置に対する相対位置を示しているので、速度測定装置52からの距離を求める場合には、予め測定しておいた基準位置までの距離の値を用いることで、算出可能である。
なお、第四の実施形態においても、上述した第一の実施形態と同様に、第1周波数差△f、第2周波数差△f及び第3周波数差△f等の周波数差の算出する際、基準位置で鋼板Pが相対的に静止しているときに検出した第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数を用いる必要はない。例えば、基準位置で鋼板Pが基準速度で移動しているときに検出した第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数を用い、所定位置で鋼板Pが基準速度以外で移動しているときに検出した第1ビート周波数、第2ビート周波数及び第3ビート周波数との差から周波数差をそれぞれ算出してもよい。
(6)<他の実施形態>
なお、上述した第三の実施形態及び第四の実施形態においては、1つのレーザ発振器2を用いて第1測定光、第2測定光及び第3測定光を生成してもよく、第1測定光を生成する第1のレーザ発振器と、これとは別体でなる、第2測定光を生成する第2のレーザ発振器とを設け、さらに、これらとは別体でなる、第3測定光を生成する第3のレーザ発振器を設けても良い。
また、上述した第三の実施形態及び第四の実施形態においては、第1移動方向Xの速度Vと、第2移動方向Yの速度Vを合成して合成ベクトルの向きを求めて、この合成ベクトルの向きから、鋼板Pが移動する移動方向を測定し、さらに、速度V,Vの2乗和平方根を求め、この2乗和平方根の解を、移動方向における鋼板Pの速度Vとして、鋼板Pの移動方向及び速度Vを測定する速度測定装置51,52について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、速度V,Vを基に、鋼板Pの移動方向又は速度Vのいずれか一方のみを測定してもよい。また、鋼板Pの移動方向と、移動方向における速度Vとを最終的に算出することなく、単に、第1移動方向Xの速度Vと、第2移動方向Yの速度Vとを測定するだけの速度測定装置であってもよい。
1,31,51,52 速度測定装置
2 レーザ発振器
5a,25a 第1測定ヘッド
5b,25b 第2測定ヘッド
5c 第3測定ヘッド
7a 第1光検出部
7b 第2光検出部
7c 第3光検出部
11,32,33,41 演算処理装置
18 距離算出部
17a 第1周波数解析部(周波数解析部)
17b 第2周波数解析部(周波数解析部)
17c 第3周波数解析部(周波数解析部)
19a 第1周波数差算出部(周波数差算出部)
19b 第2周波数差算出部(周波数差算出部)
19c 第3周波数差算出部(周波数差算出部)
21,43 距離速度算出部
23,43a 距離変化量算出部
24 速度算出部
38a 第1速度算出部(速度算出部)
38b 第2速度算出部(速度算出部)
P 鋼板(被測定対象物)
S 測定面(被測定対象物表面)

Claims (12)

  1. 被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定方法において、
    時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光をレーザ発振部で発振するレーザ発振ステップと、
    前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐ステップと、
    第1測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第1受光ステップと、
    第2測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第2受光ステップと、
    前記第1測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第1ビート周波数を検出し、前記第2測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第2ビート周波数を検出する周波数解析ステップと、
    基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、基準速度で移動しているときに検出した前記第1ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である第1周波数差を算出し、
    前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である第2周波数差を算出する周波数差算出ステップと、
    速度算出ステップと、
    を有し、
    前記速度算出ステップは、
    前記レーザ光の波長と、
    前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第1測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第1測定ヘッドの光軸とがなす第1光軸角度と、
    前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第2測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第2測定ヘッドの光軸とがなす第2光軸角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    に基づいて、前記第1測定ヘッド及び前記第2測定ヘッドに対する前記被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定方法。
  2. 距離変化量算出ステップを有し、
    前記距離変化量算出ステップは、
    前記レーザ光の波長と、
    前記周波数変調速度と、
    前記第1光軸角度と、
    前記第2光軸角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    に基づいて、前記基準位置から前記被測定対象物までの距離を測定する、請求項1に記載の速度測定方法。
  3. 距離変化量算出ステップを有し、
    前記距離変化量算出ステップは、
    前記レーザ光の波長と、
    前記被測定対象物を所定の距離変化量で変えたときに各位置で検出される前記反射光の周波数差△f11と、位置を変えたときの前記被測定対象物の前記距離変化量dと、の関係を示した、k=△f11/dの式で求められる、定数kと、
    前記第1光軸角度と、
    前記第2光軸角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    に基づいて、前記基準位置から前記被測定対象物までの距離を測定する、請求項1に記載の速度測定方法。
  4. 被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定方法において、
    時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光をレーザ発振部で発振するレーザ発振ステップと、
    前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐ステップと、
    第1測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第1受光ステップと、
    第2測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第2受光ステップと、
    第3測定ヘッドを用いて、前記測定光の一部を前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第3受光ステップと、
    前記第1測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第1ビート周波数を検出し、前記第2測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第2ビート周波数を検出し、前記第3測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第3ビート周波数を検出する周波数解析ステップと、
    基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、基準速度で移動しているときに検出した前記第1ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である第1周波数差を算出し、
    前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である第2周波数差を算出し、
    前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第3ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第3ビート周波数との周波数差である第3周波数差を算出する周波数差算出ステップと、
    速度算出ステップと、
    を有し、
    前記速度算出ステップでは、
    前記レーザ光の波長と、
    前記被測定対象物表面の面法線と、前記第1測定ヘッドの光軸とがなす第1光軸角度と、
    前記面法線と前記第2測定ヘッドの光軸とがなす第2光軸角度と、
    前記面法線と前記第3測定ヘッドの光軸とがなす第3光軸角度と、
    前記被測定対象物表面への前記第1測定ヘッドの光軸の射影と、前記被測定対象物表面に沿った面方向に延びる基準線とが、前記被測定対象物表面上でなす第1射影角度と、
    前記被測定対象物表面への前記第2測定ヘッドの光軸の射影と、前記基準線とが、前記被測定対象物表面上でなす第2射影角度と、
    前記被測定対象物表面への前記第3測定ヘッドの光軸の射影と、前記基準線とが、前記被測定対象物表面上でなす第3射影角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    前記第3周波数差と、
    前記第1測定ヘッド、前記第2測定ヘッド及び前記第3測定ヘッドに対する前記被測定対象物の距離の変化と前記レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数kと、
    に基づいて、前記面方向に沿った第1移動方向と、前記面方向で前記第1移動方向と垂直な第2移動方向とにおける、前記第1測定ヘッド、前記第2測定ヘッド及び前記第3測定ヘッドに対する前記被測定対象物の相対的な速度を測定する、速度測定方法。
  5. 距離変化量算出ステップを有し、
    前記距離変化量算出ステップは、
    前記レーザ光の波長と、
    前記第1光軸角度と、
    前記第2光軸角度と、
    前記第3光軸角度と、
    前記第1射影角度と、
    前記第2射影角度と、
    前記第3射影角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    前記第3周波数差と、
    前記定数kと、
    に基づいて、前記基準位置から前記被測定対象物までの距離を測定する、請求項4に記載の速度測定方法。
  6. 前記速度算出ステップは、前記第1移動方向の速度と前記第2移動方向の速度とを合成して合成ベクトルの向きを求め、前記合成ベクトルの向きから、前記被測定対象物が移動する移動方向を測定する、請求項4又は5に記載の速度測定方法。
  7. 前記速度算出ステップでは、前記第1移動方向の速度と前記第2移動方向の速度との2乗和平方根を求めて、前記2乗和平方根の解を、前記被測定対象物が移動する移動方向における速度とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の速度測定方法。
  8. 被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定装置において、
    時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部と、
    前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐器と、
    前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第1測定ヘッドと、
    前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第2測定ヘッドと、
    前記第1測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第1ビート周波数を検出し、前記第2測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第2ビート周波数を検出する周波数解析部と、
    基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、基準速度で移動しているときに検出した前記第1ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である第1周波数差を算出し、前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である第2周波数差を算出する周波数差算出部と、
    速度算出部と、
    を有し、
    前記速度算出部は、
    前記レーザ光の波長と、
    前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第1測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第1測定ヘッドの光軸とがなす第1光軸角度と、
    前記被測定対象物の相対的な移動方向と前記第2測定ヘッドの光軸とがなす面において、前記移動方向に垂直な方向と、前記第2測定ヘッドの光軸とがなす第2光軸角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    に基づいて、前記第1測定ヘッド及び前記第2測定ヘッドに対する前記被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定装置。
  9. 距離変化量算出部を有し、
    前記距離変化量算出部は、
    前記レーザ光の波長と、
    前記周波数変調速度と、
    前記第1光軸角度と、
    前記第2光軸角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    に基づいて、前記基準位置から前記被測定対象物までの距離を測定する、請求項8に記載の速度測定装置。
  10. 距離変化量算出部を有し、
    前記距離変化量算出部は、
    前記レーザ光の波長と、
    前記被測定対象物を所定の距離変化量で変えたときに各位置で検出される前記反射光の周波数差△f11と、位置を変えたときの前記被測定対象物の前記距離変化量dと、の関係を示した、k=△f11/dの式で求められる、定数kと、
    前記第1光軸角度と、
    前記第2光軸角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    に基づいて、前記基準位置から前記被測定対象物までの距離を測定する、請求項8に記載の速度測定装置。
  11. 被測定対象物の相対的な速度を測定する速度測定装置において、
    時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部と、
    前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐器と、
    前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第1測定ヘッドと、
    前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第2測定ヘッドと、
    前記測定光の一部を、前記被測定対象物に照射し、前記被測定対象物表面で反射した反射光を受光する第3測定ヘッドと、
    前記第1測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第1ビート周波数を検出し、前記第2測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第2ビート周波数を検出し、前記第3測定ヘッドで受光した反射光と前記参照光とに基づく第3ビート周波数を検出する周波数解析部と、
    基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、基準速度で移動しているときに検出した前記第1ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である第1周波数差を算出し、
    前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である第2周波数差を算出し、
    前記基準位置で前記被測定対象物が相対的に静止、又は、前記基準速度で移動しているときに検出した前記第3ビート周波数と、前記被測定対象物が前記基準速度以外で相対的に移動しているときに検出した前記第3ビート周波数との周波数差である第3周波数差を算出する周波数差算出部と、
    速度算出ステップと、
    を有し、
    前記速度算出部は、
    前記レーザ光の波長と、
    前記被測定対象物表面の面法線と、前記第1測定ヘッドの光軸とがなす第1光軸角度と、
    前記面法線と前記第2測定ヘッドの光軸とがなす第2光軸角度と、
    前記面法線と前記第3測定ヘッドの光軸とがなす第3光軸角度と、
    前記被測定対象物表面への前記第1測定ヘッドの光軸の射影と、前記被測定対象物表面に沿った面方向に延びる基準線とが、前記被測定対象物表面上でなす第1射影角度と、
    前記被測定対象物表面への前記第2測定ヘッドの光軸の射影と、前記基準線とが、前記被測定対象物表面上でなす第2射影角度と、
    前記被測定対象物表面への前記第3測定ヘッドの光軸の射影と、前記基準線とが、前記被測定対象物表面上でなす第3射影角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    前記第3周波数差と、
    前記第1測定ヘッド、前記第2測定ヘッド及び前記第3測定ヘッドに対する前記被測定対象物の距離の変化と前記レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数kと、
    に基づいて、前記面方向に沿った第1移動方向と、前記面方向で前記第1移動方向と垂直な第2移動方向とにおける、前記第1測定ヘッド、前記第2測定ヘッド及び前記第3測定ヘッドに対する前記被測定対象物の相対的な速度を測定する、速度測定装置。
  12. 距離変化量算出部を有し、
    前記距離変化量算出部は、
    前記レーザ光の波長と、
    前記第1光軸角度と、
    前記第2光軸角度と、
    前記第3光軸角度と、
    前記第1射影角度と、
    前記第2射影角度と、
    前記第3射影角度と、
    前記第1周波数差と、
    前記第2周波数差と、
    前記第3周波数差と、
    前記定数kと、
    に基づいて、前記基準位置から前記被測定対象物までの距離を測定する、請求項11に記載の速度測定装置。
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